(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Protが、キナーゼもしくはCYS1を含むキナーゼの一部であり、JAK3、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、CKIT、CSFR1、PDGFR-A、FAK2、FLT3、FER、FES、CDKL1、CDKL4、FLT4、KDR、FLT1、PDGFR-BおよびCYS1を含む上述のいずれか1つの一部からなる群より選択され;または
Protが、RC*VHRDL(配列番号:1)、KC*IHRDL(配列番号:2)、NC*IHRDL(配列番号:3)、NC*IHRDV(配列番号:4)、NC*VHRDL(配列番号:5)、NC*VHRDI(配列番号:6)、SC*VHRDL(配列番号:7)、CC*IHRDL(配列番号:8)もしくはNC*IHRDI(配列番号:9)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、ここで、C*はCYS1であり;または
Protが、キナーゼもしくはCYS5を含むキナーゼの一部であり、PFTAIRE1、JNK1、JNK2、JNK3、BMPR2およびCYS5を含む上述のいずれか1つの一部からなる群より選択され;または
Protが、DLC*QYMD(配列番号:26)、NLC*QVIH(配列番号:27)、NLC*QVIQ(配列番号:28)およびSLC*KYLSL(配列番号:29)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、ここで、C*はCYS5であり;または
Protが、キナーゼもしくはCYS6を含むキナーゼの一部であり、TNK1、YES、FGR、SRC、LIMK1、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4およびCYS6を含む上述のいずれか1つの一部からなる群より選択され;または
Protが、SGC*FGV(配列番号:30)、QGC*FGE(配列番号:31)、TGC*FGD(配列番号:32)、KGC*FGQ(配列番号:33)およびEGC*FGQ(配列番号:34)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、ここで、C*はCYS6であり;または
Protが、キナーゼもしくはCYS7を含むキナーゼの一部であり、FAK、ALK1、ALK2およびCYS7を含む上述のいずれか1つの一部からなる群より選択され;または
Protが、GRC*IGEGQFGD(配列番号:35)、VEC*VGKGRYG(配列番号:36)およびLEC*VGKGRYG(配列番号:37)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、ここで、C*はCYS7であり;または
Protが、キナーゼもしくはCYS8を含むキナーゼの一部であり、ZAP70、CRIK、ERK3、CK1g1、CK1g2、CK1g3およびCYS8を含む上述のいずれか1つの一部からなる群より選択され;または
Protが、GC*GNF(配列番号:38)、GC*GHF(配列番号:39)およびGC*GGN(配列番号:40)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、ここで、C*はCYS8であり;または
Protが、キナーゼもしくはCYS9を含むキナーゼの一部であり、ROR1もしくはCYS9を含むその一部であり;または
Protが、キナーゼもしくはCYS10を含むキナーゼの一部であり、MELKもしくはCYS10を含むその一部であり;または
Protが、キナーゼまたはCYS11を含むキナーゼの一部であり、c-KIT、FMS、RON、FLT3、FGRおよびCYS11を含む上述のいずれか1つの一部からなる群より選択され;または
Protが、YCC*YG(配列番号:41)、YMC*HG(配列番号:42)およびFMC*HG(配列番号:43)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、ここで、C*はCYS11であり;または
Protが、キナーゼもしくはCYS12を含むキナーゼの一部であり、ALKもしくはCYS12を含むその一部であり;または
Protが、アミノ酸配列AARNCLLTC*PGPGRVAKIGD(配列番号:44)を含み、ここで、C*はCYS12であり;または
Protが、キナーゼもしくはCYS13を含むキナーゼの一部であり、B-RAFもしくはCYS13を含むその一部であり;または
Protが、アミノ酸配列TKPQLAIVTQWC*EGSSLYHH(配列番号:45)を含み、ここで、C*はCYS13である、請求項1〜4いずれか記載のコンジュゲート。
C-KITまたはCYS1 (Cys788)を含むその一部、およびCYS1に共有結合的かつ不可逆的に結合する式XVIII、XIX、XIX-a、XIX-b、XIX-c、XXもしくはXX-aの化合物を含む;または
B-RAFもしくはCYS13 (Cys532)を含むその一部、およびCYS13に共有結合的かつ不可逆的に結合する式XVIII、XIX、XIX-a、XIX-b、XIX-c、XXもしくはXX-aの化合物を含む;または
FAKもしくはCYS7 (Cys427)を含むその一部、およびCYS7に共有結合的かつ不可逆的に結合する式IV、IVaもしくはIVbの化合物を含む;または
JNK1もしくはCYS5 (Cys116)を含むその一部、およびCYS5に共有結合的かつ不可逆的に結合する式VI、VII、VIII、IX、IX-a、X、X-a、XI、XIIもしくはXII-aの化合物を含む;または
ZAP70もしくはCYS8 (Cys346)を含むその一部、およびCYS8に共有結合的かつ不可逆的に結合する式I-a、I-b、I-c、I-d、I-eおよびI-fの化合物を含む;または
RONもしくはCYS11 (Cys1165)を含むその一部、およびCYS11に共有結合的かつ不可逆的に結合する式XIII-a、XIII-b、XIII-c、XIII-d、XIV、XV、XVIもしくはXVIIの化合物を含む;または
式I-a、I-b、I-c、I-d、I-e、I-f、II-a、II-b、II-c、II-d、III、IV、IVa、IVb、V、VI、VII、VIII、IX、IX-a、X、X-a、XI、XII、XII-a、XIII-a、XIII-b、XIII-c、XIII-d、XIV、XV、XVI、XVI-a、XVI-b、XVI-c、XVII、XVIII、XIX、XIX-a、XIX-b、XIX-c、XXもしくはXX-aの化合物を含む、
請求項1記載のプロテインキナーゼコンジュゲート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の化合物には、上記に一般的に記載されたものが挙げられ、さらには本明細書に開示されたクラス、サブクラス及び種によって説明される。別段の指定がない限り、本明細書で用いられるように、次の定義が適用されるべきである。本発明の目的のために、Periodic Table of the Elements、CAS version、Handbook of Chemistry and Physics、第75版に従って、化学元素が特定される。さらに、有機化学の原則は、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、University Science Books, Sausalito: 1999、及び「March's Advanced Organic Chemistry」、第5版、編集:Smith, M.B.及びMarch, J.、John Wiley & Sons、New York: 2001に記載されており、それらの内容の全体は、参照することによって本明細書に援用される。
【0013】
本明細書で用いられるように、用語「脂肪族」又は「脂肪族基」は、分子の残りの部分に一つの結合点を有するものであって、完全に飽和しているか若しくは一単位以上の不飽和を含む、直鎖(即ち、分岐が無い)若しくは分岐鎖の、置換若しくは非置換の炭化水素鎖か、又は、完全に飽和しているか若しくは一単位以上の不飽和を含む、単環の炭化水素若しくは二環の炭化水素であって、芳香族ではないもの(本明細書では、「炭素環」、「脂環式」又は「シクロアルキル」とも称する)を意味する。別段の指定がない限り、脂肪族基は1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの態様において、脂肪族基は1〜5個の脂肪族炭素原子を含む。他の態様において、脂肪族基は1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の態様において、脂肪族基は1〜3個の脂肪族炭素原子を含み、そしてさらに他の態様において、脂肪族基は1〜2個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの態様において、「脂環式」(又は「炭素環」若しくは「シクロアルキル」)は、分子の残りの部分に一つの結合点を有するものであって、完全に飽和しているか若しくは一単位以上の不飽和を含む、単環のC
3〜C
6の炭化水素であって、芳香族ではないものを意味する。適切な脂肪族基には、直鎖又は分岐鎖の、置換又は非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル基及びそれらの混成物、例えば(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル又は(シクロアルキル)アルケニルが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
本明細書で用いられるように、用語「架橋された二環」は、少なくとも一つの架橋を有する、あらゆる二環系、即ち、炭素環若しくは複素環の、飽和若しくは部分不飽和のものを意味する。IUPACによって定義されているように、「架橋」とは、複数若しくは単数の原子の非分岐鎖又は二つの橋頭を結合する価の結合であり、ここで、「橋頭」とは、三つ以上の骨格原子(水素を除く)に結合している環系の任意の骨格原子である。いくつかの態様において、架橋された二環基は、7〜12員環と、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子とを有する。このような架橋された二環基は本分野で周知であり、下記に列挙される基が挙げられ、ここで、各基は、分子の残りと、任意の置換可能な炭素原子又は窒素原子において結合している。別段の指定がない限り、架橋された二環基は、脂肪族基について記載されているような一つ以上の置換基で任意に置換される。さらに又はあるいは、架橋された二環基の任意の置換可能な窒素は任意に置換される。典型的な架橋された二環には、次のようなものが含まれる。
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【0015】
用語「低級アルキル」とは、C
1-4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を意味する。低級アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、及びtert-ブチルがある。
【0016】
用語「低級ハロアルキル」とは、一つ以上のハロゲン原子で置換された、C
1-4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を意味する。
【0017】
用語「低級シクロアルキル」とはC
3-5の飽和の環状基を意味し、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロペンチルが含まれる。
【0018】
用語「ヘテロ原子」とは、一つ以上の酸素、硫黄、窒素、リン、又はケイ素(窒素、硫黄、リン、又はケイ素の任意の酸化型; 任意の塩基性窒素の四級化型、又は;複素環の置換可能な窒素、例えば、(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルにおけるような)N、(ピロリジニルにおけるような)NH若しくは(N-置換ピロリジニルにおけるような)NR+を含む)を意味する。
【0019】
本明細書で用いられるように、用語「不飽和」とは、ある部分が一つ以上の不飽和単位を有することを意味する。
【0020】
本明細書で用いられるように、用語「二価のC
1-8(又はC
1-6、C
2-8、C
2-6)の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐鎖の炭化水素鎖」とは、本明細書で規定されるような、直鎖又は分岐鎖である二価のアルキレン鎖、アルケニレン鎖、及びアルキニレン鎖を意味する。
【0021】
用語「アルキレン」とは二価のアルキル基を意味する。「アルキレン鎖」はポリメチレン基、即ち、-(CH
2)
n-であり、ここで、nは1〜8の、1〜6の、1〜4の、1〜3の、1〜2の、2〜8の、2〜6の、又は2〜3の正の整数である。置換されたアルキレン鎖は、その中の一つ以上のメチレンの水素原子が置換基で置換されているポリメチレン基である。適切な置換基には、置換された脂肪族基について下に記載されるものが含まれる。
【0022】
用語「アルケニレン」とは、二価のアルケニル基を意味する。置換されたアルケニレン鎖は、その中の一つ以上の水素原子が置換基で置換されている少なくとも一つの二重結合を含むポリメチレン基である。適切な置換基には、置換された脂肪族基について下に記載されるものが含まれる。
【0023】
本明細書で用いられるように、用語「シクロプロピレニル」とは、次の構造:
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の二価のシクロプロピル基を意味する。
【0024】
用語「ハロゲン」はF、Cl、Br、又はIを意味する。
【0025】
単独で用いられるか、又は「アラルキル」、「アラルコキシ」若しくは「アリールオキシアルキル」のようなより大きな部分の一部として用いられる用語「アリール」は、合計5〜14員環又は5〜10員環を有する単環系及び二環系を意味し、ここで、系における少なくとも一つの環が芳香族であり、系における各環は3〜7員環を有する。用語「アリール」は、用語「アリール環」と置き換えて使用し得る。本発明の特定の態様において、「アリール」は芳香環系を意味し、一つ以上の置換基を有していてもよいフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラシル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書で用いられる用語「アリール」の範囲内に含まれるものは、一つ以上の非芳香環と縮合した芳香環基であり、例えばインダニル、フタルイミジル、ナフトイミジル、フェナントリジニル又はテトラヒドロナフチル等である。
【0026】
単独で用いられるか、又は例えば、「ヘテロアラルキル」又は「ヘテロアラルコキシ」のようなより大きな部分の一部として用いられる用語「ヘテロアリール」及び「ヘテロア−(heteroar-)」は、5〜10個の環原子、好ましくは5、6、又は9個の環原子を有する基であって、環アレイ(cyclic array)中で共有される6、10、又は14個のπ電子を有し、炭素原子に加えて1〜5個のヘテロ原子をさらに有するものを意味する。用語「ヘテロ原子」は窒素、酸素又は硫黄を意味し、任意の窒素又は硫黄の酸化型や、任意の塩基性窒素の四級型を包含する。ヘテロアリール基には、限定なく、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、及びプテリジニルが含まれる。本明細書で用いられるように、用語「ヘテロアリール」及び「ヘテロア−」はさらに、ヘテロ芳香族の環が一つ以上のアリール、脂環式環又はヘテロシクリル環に縮合した基を包含し、ここで、ラジカル又は結合点はヘテロ芳香環上にある。限定されない例として、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、及びピリド[2,3-b]-1,4-オキサジン-3(4H)-オンが挙げられる。ヘテロアリール基は単環でも二環でもよい。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」又は「ヘテロ芳香族」と置き換えて使用し得るものであり、この用語のいずれもが、任意に置換された環を包含する。用語「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリールで置換されたアルキル基を意味し、ここで、アルキル及びヘテロアリールの部分は、独立して、かつ任意に置換されてもよい。
【0027】
本明細書で用いられるように、用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素環式ラジカル」及び「複素環(heterocyclic ring)」は、互いに置き換えて使用し得るものであり、飽和又は部分不飽和のいずれかであって、炭素原子に加えて、一つ以上の、好ましくは1〜4個の上記に規定されるヘテロ原子を有する、安定した5〜7員の単環又は7〜10員の二環の複素環式部分を意味する。複素環の環原子が引用される場合、用語「窒素」は、置換された窒素を包含する。一例として、酸素、硫黄若しくは窒素から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する飽和若しくは部分不飽和の環においては、窒素は(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルにあるような)N、(ピロリジニルにあるような)NH、又は(N-置換ピロリジニルにあるような)
+NRであり得る。
【0028】
複素環は、任意のヘテロ原子又は炭素原子でそのペンダント基と結合することができ、その結果、安定した構造が生じ、任意の環原子は任意に置換され得る。このような飽和又は部分不飽和の複素環式ラジカルの例としては、限定なく、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニルピロリジニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルフォリニル、及びキヌクリジニルが挙げられる。用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクリル環」、「複素環式基」、「複素環式部分」、及び「複素環式ラジカル」は、本明細書において互いに置き換えて使用し得るものであり、さらにはヘテロシクリル環が一つ以上のアリール、ヘテロアリール又は脂環式環に縮合にしている基が含まれ、例えばインドリニル、3H-インドリル、クロマニル、フェナントリジニル、又はテトラヒドロキノリニルが挙げられ、ここではラジカル又は結合点はヘテロシクリル環上にある。ヘテロシクリル環基は単環でも二環でもよい。用語「ヘテロシクリルアルキル」はヘテロシクリルで置換されたアルキル基を意味し、アルキル及びヘテロシクリルの部分は独立してかつ任意に置換される。
【0029】
本明細書で用いられるように、用語「部分不飽和」は、少なくとも一つの二重結合又は三重結合を含む環の部分を意味する。用語「部分不飽和」は、複数の不飽和の部分を有する環を包含することを意図するが、本明細書で規定されるようなアリール又はヘテロアリール部分を包含することは意図しない。
【0030】
本明細書で用いられるように、用語「可溶化基」は、それが結合した化合物の可溶性を高める化学部分を意味する。適切な可溶化基には、例えば、飽和の複素環、例えばモルフォリノ、ピペラジニル(piperazinyl)、及びピペラジニル(piperadinyl)、並びにアミノ基、例えばジメチルアミノ及びメトキシプロピルアミノが包含される。
【0031】
本明細書に記載されているように、本発明の化合物には、「任意に置換された」部分が含まれてもよい。一般的に、用語「任意に」が後に続くか又は続かないかに関係なく、用語「置換される」は、指定された部分の一つ以上の水素が適切な置換基で置換されていることを意味する。別段の指定がない限り、「任意に置換された」基は、その基の置換可能な各位置において適切な置換基を有してもよく、所定の任意の構造において、1を超える位置が、特定の基から選択される1を超える置換基で置換されてもよい場合、置換基は、それぞれの位置において、同一であってもよく、異なっていてもよい。本発明によって想定される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定した化合物又は化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。本明細書で用いられるように、用語「安定した」とは、それらの製造、検出及び特定の態様においてそれらの本明細書に開示された一つ以上の目的のための回収、精製、及び使用が適用される条件にさらされた場合であっても、化合物が実質的に変化しないことを意味する。
【0032】
「任意に置換された」基の置換可能な炭素原子上における適切な一価の置換基は、独立して、ハロゲン;-(CH
2)
0-4R○;-(CH
2)
0-4OR○;-O(CH
2)
0-4R○、-O-(CH
2)
0-4C(O)OR○;-(CH
2)
0-4CH(OR○)
2;-(CH
2)
0-4SR○;-(CH
2)
0-4Ph、このものはR○で置換されてもよい;-(CH
2)
0-4O(CH
2)
0-1Ph、このものはR○で置換されてもよい;-CH=CHPh、このものはR○で置換されてもよい;-(CH
2)
0-4O(CH
2)
0-1-ピリジル、このものはR○で置換されてもよい;-NO
2;-CN;-N
3;-(CH
2)
0-4N(R○)
2;-(CH
2)
0-4N(R○)C(O)R○;-N(R○)C(S)R○;-(CH
2)
0-4N(R○)C(O)NR○
2;-N(R○)C(S)NR○
2;-(CH
2)
0-4N(R○)C(O)OR○;-N(R○)N(R○)C(O)R○;-N(R○)N(R○)C(O)NR○
2;-N(R○)N(R○)C(O)OR○;-(CH
2)
0-4C(O)R○;-C(S)R○;-(CH
2)
0-4C(O)OR○;-(CH
2)
0-4C(O)SR○;-(CH
2)
0-4C(O)OSiR○
3;-(CH
2)
0-4OC(O)R○;-OC(O)(CH
2)
0-4SR-、SC(S)SR○;-(CH
2)
0-4SC(O)R○;-(CH
2)
0-4C(O)NR○
2;-C(S)NR○
2;-C(S)SR○;-SC(S)SR○、-(CH
2)
0-4OC(O)NR○
2;-C(O)N(OR○)R○;-C(O)C(O)R○;-C(O)CH
2C(O)R○;-C(NOR○)R○;-(CH
2)
0-4SSR○;-(CH
2)
0-4S(O)
2R○;-(CH
2)
0-4S(O)
2OR○;-(CH
2)
0-4OS(O)
2R○;-S(O)
2NR○
2;-(CH
2)
0-4S(O)R○;-N(R○)S(O)
2NR○
2;-N(R○)S(O)
2R○;-N(OR○)R○;-C(NH)NR○
2;-P(O)
2R○;-P(O)R○
2;-OP(O)R○
2;-OP(O)(OR○)
2;SiR○
3;-(C
1-4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン)O-N(R○)
2;又は-(C
1-4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン)C(O)O-N(R○)
2、であり、ここで、各R○は下記のように置換されてもよく、独立して水素、C
1-6○脂肪族、-CH
2Ph、-O(CH
2)
0-1Ph、-CH
2-(5〜6員のヘテロアリール環)、又は5〜6員の飽和環、部分不飽和環、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有するアリール環であるか、又は、上記の定義に関わらず、二つの独立して存在するR○が介在原子と一緒になって、3〜12員の飽和環、部分不飽和環、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有するアリールの一環若しくは二環を形成するものであり、下記のように置換されてもよい。
【0033】
R○上の適切な一価の置換基(又は二つの独立して存在するR○が介在原子と一緒になって形成される環)は、独立して、ハロゲン、-(CH
2)
0-2R●、-(ハロR●)、-(CH
2)
0-2OH、-(CH
2)
0-2OR●、-(CH
2)
0-2CH(OR●)
2;-O(ハロR●)、-CN、-N
3、-(CH
2)
0-2C(O)R●、-(CH
2)
0-2C(O)OH、-(CH
2)
0-2C(O)OR●、-(CH
2)
0-2SR●、-(CH
2)
0-2SH、-(CH
2)
0-2NH
2、-(CH
2)
0-2NHR●、-(CH
2)
0-2NR●
2、-NO
2、-SiR●
3、-OSiR●
3、-C(O)SR●
、-(C
1-4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン)C(O)OR●、又は-SSR●であり、ここで、各R●は非置換であるか、「ハロ」の後に続く場合は一つ以上のハロゲンでのみ置換され、C
1-4脂肪族、-CH
2Ph、-O(CH
2)
0-1Ph、若しくは5〜6員の飽和環、部分不飽和環、又は窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有するアリール環から独立して選択される。R○の飽和炭素原子上の適切な二価の置換基には、=O及び=Sが含まれる。
【0034】
「任意に置換された」基の飽和炭素原子上の適切な二価の置換基には、次のもの:=O、=S、=NNR
*2、=NNHC(O)R
*、=NNHC(O)OR
*、=NNHS(O)
2R
*、=NR
*、=NOR
*、-O(C(R
*2))
2-3O-、又は-S(C(R
*2))
2-3S-が包含され、ここで、それぞれ独立した存在のR
*は、水素、下記のように置換されてもよいC
1-6脂肪族、又は非置換の5〜6員の飽和環、部分不飽和環、又は窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有するアリール環から選択される。「任意に置換された」基の近接する置換可能な炭素に結合する適切な二価の置換基としては:-O(CR
*2)
2-3O-が包含され、ここで、それぞれ独立した存在のR
*は、水素、下記のように置換されてもよいC
1-6脂肪族、又は非置換の5〜6員の飽和環、部分不飽和環、又は窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有するアリール環から選択される。
【0035】
R
*の脂肪族基上の適切な置換基としては、ハロゲン、-R●、-(ハロR●)、-OH、-OR●、-O(ハロR●)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR●、-NH
2、-NHR●、-NR●
2、又は-NO
2、が含まれ、各R●は非置換であるか、又は「ハロ」の後に続く場合は一つ以上のハロゲンでのみ置換され、それぞれ独立して、C
1-4脂肪族、-CH
2Ph、-O(CH
2)
0-1Ph又は5〜6員の飽和環、部分不飽和環、又は窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有するアリール環である。
【0036】
「任意に置換された」基の置換可能な窒素上の適切な置換基には、-R△、-NR△
2、-C(O)R△、-C(O)OR△、-C(O)C(O)R△、-C(O)CH
2C(O)R△、-S(O)
2R△、-S(O)
2NR△
2、-C(S)NR△
2、-C(NH)NR△
2、又は-N(R△)S(O)
2R△が包含され;ここで、各R△は独立して、水素、下記のように置換されてもよいC
1-6の脂肪族、非置換-OPh、又は非置換の5〜6員の飽和環、部分不飽和環、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有するアリール環であり、又は、上記の定義に関わらず、二つの独立して存在するR△が介在原子(1つ又は複数)と一緒になって、非置換の3〜12員の飽和環、部分不飽和環、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有するアリールの一環又は二環を形成する。
【0037】
R△の脂肪族基上の適切な置換基は、独立して、ハロゲン、-R●、-(ハロR●)、-OH、-OR●、-O(ハロR●)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR●、-NH
2、-NHR●、-NR●
2、又は-NO
2であり、各R●は非置換であるか、又は、「ハロ」の後に続く場合は一つ以上のハロゲンでのみ置換され、独立して、C
1-4脂肪族、-CH
2Ph、-O(CH
2)
0-1Ph、又は5〜6員の飽和環、部分不飽和環、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有するアリール環である。
【0038】
本明細書で用いられるように、用語「薬学的に許容され得る塩」は、信頼できる医学的判断の範囲内で、ヒト及びより下等な動物の組織に接触した際に過度の毒性、刺激、アレルギー反応等を伴わない、使用に適した塩を意味するものであり、妥当な利益/リスク比に見合ったものである。薬学的に許容され得る塩は、本技術分野において周知である。例えば、S. M. Berge et al.は、参照により本明細書に援用されるJ. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19において薬学的に許容され得る塩を詳細に記述している。本発明の化合物の薬学的に許容され得る塩には、適切な無機及び有機の酸及び塩基に由来するものが包含される。薬学的に許容され得る、非毒性の酸付加による塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸等の無機酸と共に、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸若しくはマロン酸等の有機酸と共に形成されるアミノ基の塩、あるいは、イオン交換等の本技術分野において用いられる他の方法を用いて形成されるものである。他の薬学的に許容され得る塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヒドロヨージド、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等が包含される。
【0039】
適切な塩基に由来する塩には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム及びN
+(C
1-4アルキル)
4の塩が包含される。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属の塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が包含される。さらに、薬学的に許容され得る塩には、適切な場合、非毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、並びにハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩等の対イオンを用いて形成されるアミンカチオンが包含される。
【0040】
別段の記載がない限り、本明細書で描かれる構造は、その構造の全ての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー及び幾何異性体(又は配座異性体))形態;例えば、それぞれの不斉中心についてのR及びS立体配置、Z及びE二重結合アイソマー、並びにZ及びEの配座異性体を包含することも意味する。従って、本化合物の一つの立体化学的アイソマー並びにエナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何異性体(又は配座異性体)の混合物は本発明の範囲内である。別段の記載がない限り、本発明の化合物の全ての互変異性体は、本発明の範囲内である。さらに、別段の記載がない限り、本明細書で描かれる構造は、一つ以上の同位体が濃縮された原子の存在のみが異なる化合物も包含することを意味する。例えば、重水素若しくは三重水素によって水素が置換されたもの、あるいは
13C-若しくは
14C-濃縮炭素によって炭素が置換されたものを含む本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は実用的であり、例えば、分析用のツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、又は本発明の治療剤として有用である。特定の態様において、所定の化合物の頭部部分のR
3は、一つ以上の重水素原子を含む。
【0041】
本明細書で用いられるように、用語「不可逆的」又は「不可逆的インヒビター」は、標的プロテインキナーゼ中のシステイン残基に、実質的に不可逆的な様式で共有結合し得るインヒビター(即ち、化合物)を意味する。即ち、可逆的インヒビターは標的プロテインキナーゼに結合し得る(が、一般的にはそれと共有結合を形成することはできない)ものであり、それゆえに標的プロテインキナーゼから解離することができるのに対して、不可逆的インヒビターはひとたび共有結合が形成されると、標的プロテインキナーゼに実質的に結合し続けることになる。不可逆的インヒビターは通常、時間依存性を示し、それによって、阻害の程度は、インヒビターが酵素と接触する時間に伴って上昇する。特定の態様において、ひとたび共有結合が形成されると、不可逆的インヒビターは、標的プロテインキナーゼに実質的に結合し続けることになり、そのタンパク質の寿命よりも長期間、結合し続ける。
【0042】
化合物が不可逆的インヒビターとして働くかどうかを同定する方法は、当業者にとって公知である。そのような方法としては、酵素の共有結合修飾を示すための、その化合物と標的プロテインキナーゼとの阻害プロフィールの酵素速度論的解析法、インヒビター化合物の存在下で修飾されたタンパク質薬物標的の質量分析法の使用、「洗浄」研究としても知られている断続暴露、及び放射性同位体で標識されたインヒビター等の標識の使用、並びに当業者により知られている他の方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
当業者であれば、特定の反応性官能基が「頭部(warheads)」として働き得ることを認識する。本明細書で用いられるように、用語「頭部」又は「頭部基」は、本発明の化合物上に存在する官能基を意味し、この官能基は、標的タンパク質の結合ポケットに存在するアミノ酸残基(システイン、リジン、ヒスチジン又は共有的に修飾され得る他の残基等)に共有結合する能力を有し、それによってタンパク質を不可逆的に阻害する。本明細書にて定義され、かつ記載されるように、-L-Y基は、共有的にかつ不可逆的にタンパク質を阻害するためのそのような頭部基を提供することが理解されよう。
【0044】
本明細書で用いられるように、用語「インヒビター」は、標的プロテインキナーゼに、測定可能な親和性を伴って結合する及び/又はこれを阻害する化合物として定義される。特定の態様において、インヒビターは約50μM未満、約1μM未満、約500nM未満、約100nM未満、約10nM未満、又は約1nM未満のIC
50及び/又は結合定数を有する。
【0045】
本発明の化合物は検出可能な部分に繋がれていてもよい。当業者であれば、検出可能な部分は適切な置換基を介して与えられた化合物に結合され得ることを認識する。本明細書で用いられるように、用語「適切な置換基」は、検出可能な部分と共有結合できる部分を意味する。そのような部分は当業者にとって周知であり、ほんの数例を挙げれば、例えば、カルボン酸塩部分、アミノ部分、チオール部分又はヒドロキシル部分を含む基が包含される。そのような部分は、所定の化合物に直接的に結合してもよく、又は、二価の飽和又は不飽和の炭化水素鎖等の連結基を介して結合してもよいことが理解されよう。いくつかの態様において、そのような部分はクリック(click)化学を介して結合され得る。いくつかの態様において、そのような部分は、アジドとアルキンとの1,3-環付加を介して結合され得るものであり、必要に応じて銅触媒が存在してもよい。クリック化学を用いる方法は、本技術分野において公知であり、Rostovtsev et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2002, 41, 2596-99及びSun et al., Bioconjugate Chem., 2006, 17, 52-57に記載されたものが包含される。
【0046】
本明細書で用いられるように、用語「検出可能な部分」は、用語「標識」と置き換えて使用し得るものであり、検出可能な任意の部分、例えば、一次標識及び二次標識に関連する。放射性同位体(例えば、三重水素、
32P、
33P、
35S又は
14C)、質量タグ、蛍光標識等の一次標識は、さらなる修飾を伴うことなく検出可能なシグナルを発生するレポーター基である。検出可能な部分には、発光基及びリン光基も包含される。
【0047】
本明細書で用いられるように、用語「二次標識」は、検出可能なシグナルの生成のための二次媒介物の存在が要求される、ビオチン及び種々のタンパク質の抗原などの部分を意味する。ビオチンについては、二次媒介物にはストレプトアビジン−酵素コンジュゲートが包含され得る。抗原標識については、二次媒介物には抗体−酵素コンジュゲートが含まれ得る。いくつかの蛍光基は二次標識として作用する。というのは、これらは非放射性の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)プロセスにおいてエネルギーを別の基に移動させ、第二の基が検出されたシグナルを発生させる。
【0048】
本明細書で用いられるように、用語「蛍光標識」、「蛍光染料」、及び「フルオロフォア」は、明確な励起波長の光エネルギーを吸収し、異なる波長の光エネルギーを放射する部分を意味する。蛍光標識の具体例としては、Alexa Fluor染料(Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 660及びAlexa Fluor 680)、AMCA、AMCA-S、BODIPY染料(BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY TMR、BODIPY TR、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665)、カルボキシローダミン6G、カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、Cascade Blue、Cascade Yellow、クマリン343、シアニン染料(Cy3、Cy5、Cy3.5、Cy5.5)、ダンシル、ダポキシル、ジアルキルアミノクマリン、4',5'-ジクロロ-2',7'-ジメトキシ-フルオレセイン、DM-NERF、エオシン、エリトロシン、フルオレセイン、FAM、ヒドロキシクマリン、IRDyes(IRD 40、IRD 700、IRD 800)、JOE、リッサミンローダミンB、Marina Blue、メトキシクマリン、ナフトフルオレセイン、Oregon Green 488、 Oregon Green 500、Oregon Green 514、Pacific Blue、PyMPO、ピレン、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、ロドールグリーン、2',4',5',7'-テトラ-ブロモスルホン-フルオレセイン、テトラメチル-ローダミン(TMR)、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、Texas Red、Texas Red-Xが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
本明細書で用いられるように、用語「質量タグ」は、質量分析法(MS)検出技術を利用して、その質量を理由として一意的に検出可能な任意の部分を意味する。質量タグの具体例としては、N-[3-[4’-[(p-メトキシテトラフルオロベンジル)オキシ]フェニル]-3-メチルグリセロイル]イソニペコチン酸、4’-[2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(ペンタフルオロフェノキシル)]メチルアセトフェノン及びこれらの誘導体等の電気泳動によって遊離するタグが挙げられる。これらの質量タグの合成及び有用性は、米国特許公報4,650,750、4,709,016、5,360,8191、5,516,931、5,602,273、5,604,104、5,610,020及び5,650,270に記載されている。質量タグの他の例としては、ヌクレオチド、ジデオキシヌクレオチド、種々の長さ及び塩基組成のオリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、オリゴ糖及び種々の長さ及びモノマー組成の他の合成ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。多種多様な有機分子、適切な質量範囲(100〜2000ダルトン)の中性及び荷電したものの両者(生体分子又は合成化合物)も質量タグとして使用され得る.
【0050】
本明細書で用いられるように、用語「測定可能な親和性」及び「測定可能に阻害」は、本発明の化合物又はその組成物及びタンパク質を含むサンプルと、該化合物又はその組成物を含まないがプロテインキナーゼを含む等価のサンプルとの間でのプロテインキナーゼ活性の測定可能な変化を意味する。
【0051】
プロテインキナーゼコンジュゲート
本発明は、ATP結合部位にシステイン残基を含むプロテインキナーゼと、そのATP結合部位に結合するインヒビターを含むコンジュゲートに関する。本発明のコンジュゲートにおいて、インヒビターはプロテインキナーゼのATP結合部位中のシステイン残基に共有的にかつ不可逆的に結合し、その結果、プロテインキナーゼの活性は不可逆的に阻害される。
【0052】
本明細書に記載されるコンジュゲートには種々の用途がある。例えば、不可逆的インヒビターで処理された患者から得られた生体サンプル中の、非複合化標的ポリペプチドに対する複合化標的ポリペプチドの量を、投薬及びポリペプチド活性の阻害の有効性の監視のためのバイオマーカーとして使用できる。したがって、不可逆的インヒビターを治療目的で用いる場合、不可逆的インヒビターの投与(例えば、投与量及び/又は投与の時間間隔)を調整して、所望の治療効果を獲得するためにコンジュゲートを使用することができる。
【0053】
本明細書に記載されているように、ATP結合部位内又は近傍に存在する、ある特定の保存されていないシステインの存在に基づいてプロテインキナーゼを分類できることは決定されている。共通の保存されていないシステインを、本明細書ではCYS1〜CYS13と称し、そのシステインは、本発明のコンジュゲートにおける共有結合修飾の標的である。表1は、標的CYSを有するプロテインキナーゼ、プロテインキナーゼのアミノ酸配列についての配列コード、対象のシステインを包含するアミノ酸配列、及びアミノ酸配列中の対象のシステインの残基数を示す。例えば、表1から明らかなように、CYS1はJAK3のCys945、FGFR1のCys619、FGFR2のCys622、FGFR3のCys613、FGFR4のCYS607、CKITのCys788、CSFR1のCys744、PDGRF-AのCys814、FAK2のCys545、FLT3のCys807、FERのCys680、FESのCys679、CDKL1のCys122、CDKL4のCys122、FLT4のCys1033、KDRのCys1024、FLT1のCys1018及びPDGFR-BのCys822を参照する。同様に、CYS2、CYS3、CYS4、CYS5、CYS6、CYS7、CYS8、CYS11、CYS12及びCYS13は、表1に列挙されているように、特定のプロテインキナーゼ中の特定のシステイン残基を参照する。プロテインキナーゼを分類するために用いられている表1に特定されるシステインは、プロテインキナーゼファミリー内では保存されてはいないが、特定されたシステインは特定のタンパク質に共通して見出されるものであり、CYS1キナーゼなどの表1で特定されるプロテインキナーゼグループを構成する。
【0054】
表1
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【0055】
本発明のコンジュゲートは、プロテインキナーゼまたはその一部を含む。好ましくは、プロテインキナーゼまたはその一部は、ヒトプロテインキナーゼまたはその一部である。しかしながら、本発明は、任意の記載された種、例えばげっ歯類(マウス、ラット)または霊長類(アカゲザル、チンパンジー)由来のプロテインキナーゼまたはその一部を含むコンジュゲートを含む。配列は、表1に示されるヒトプロテインキナーゼをコードする。本発明は、表1に示されるデータベース配列と同じ配列を有するプロテインキナーゼまたはその一部を含むコンジュゲートには限定されない。配列データベースにおいてアミノ酸配列が異なる特定のキナーゼについての2つ以上の配列が存在し得ることは、当該技術分野において周知である。しかしながら、これらのタンパク質は、同じキナーゼとして認識される。天然の配列変化、例えば対立遺伝子バリアントまたは天然に生じる変異により配列の変化が存在し得る。本発明のコンジュゲートは、対立遺伝子バリアントおよび変異体タンパク質などのプロテインキナーゼの全ての形態を含む。
【0056】
標的Cys残基(CYS1〜CYS13)の1つと共有結合を形成する不可逆的インヒビターは、標的システイン残基を含むプロテインキナーゼとのコンジュゲートを選択的に形成し得る。本発明のコンジュゲートの形成に適切な不可逆的インヒビターは、プロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する結合部分および頭部 (warhead)部分を含む。本明細書に記載されるように、頭部部分は、プロテインキナーゼの標的システインと反応し得、基-L-Yにより示される。
【0057】
一般的にコンジュゲートは、式:
X-M-S-CH
2-Protを有し、
Protは、プロテインキナーゼまたはATP結合部位にまたはその近位にシステインを含むその一部であり;
S-CH
2は、システイン残基の側鎖由来の硫黄原子およびメチレン基であり;
Mは、頭部基とシステイン残基の側鎖の共有結合により形成される修飾部分であり;
Xは、プロテインキナーゼのATP結合部位に、またはその近位に結合する化学部分である。
【0058】
修飾部分は、頭部基(-L-Y)とシステイン残基の側鎖の共有結合により形成される。修飾部分は、本明細書に記載される頭部のいずれかと標的システインの反応により提供され得る。本明細書に記載されるLおよびY構成要素は、様々に組み合わされて、式-L-Yの頭部を提供し、本発明のコンジュゲートは、システインと本明細書に記載されるLおよびY基の任意の組合せの反応生産物を含むことが理解されよう。一例において、修飾部分は、-L-Yと標的システインの反応により提供され、式中
Lは、共有結合または二価のC
1-8飽和もしくは不飽和、直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lの1、2または3個のメチレン単位は、任意にかつ独立してシクロプロピレン、-NR-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、-N(R)SO
2-、-SO
2N(R)-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-C(=S)-、-C(=NR)-、-N=N-または-C(=N
2)-により置き換えられ;
Yは、水素、ニトリル、1つ以上のOH、NRxRy、オキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族、または3〜10員の単環もしくは二環式、飽和、部分不飽和の環または独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環であり、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され;
RxおよびRyは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各R
eは、独立して-Q-Z、OH、オキソ、NO
2、ハロゲン、CN、適切な脱離基またはオキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族から選択され、ここで;
Qは、共有結合または二価のC
1-6飽和もしくは不飽和、直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Qの1または2個のメチレン単位は、任意にかつ独立して-N(R)-、-S-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-SO-または-SO
2-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、-N(R)SO
2-または-SO
2N(R)-により置き換えられ;
Zは、水素、またはオキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族である。
【0059】
システインと反応して修飾部分を形成する-L-Yのさらなる例および態様を本明細書に詳細に記載する。表2は、システインの側鎖(表2に示される構造S-CH
2)に結合する修飾部分のいくつかの非限定的な例の構造を示す。いくつかの態様において、修飾部分は、表2に示されるシステインの側鎖(S-CH
2)に結合する、非限定的な例示修飾部分から選択される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、表2に示されるものから選択される構造を含む。
【0060】
表2. 例示的な修飾部:
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【0061】
上述のように、コンジュゲートは、一般式:
X-M-S-CH
2-Protを有する。
【0062】
Protは、プロテインキナーゼまたはATP結合部位にまたはその近位にシステインを含むその一部であり;
S-CH
2は、システイン残基の側鎖由来の硫黄原子およびメチレン基であり;
Mは、頭部基とシステイン残基の側鎖の共有結合により形成される修飾部分であり;
Xは、プロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する化学部分である。
【0063】
一局面において、コンジュゲートは、CYS1キナーゼ、CYS5キナーゼ、CYS6キナーゼ、CYS7キナーゼ、CYS8キナーゼ、CYS9キナーゼ、CYS10キナーゼ、CYS11キナーゼ、CYS12キナーゼ、CYS13キナーゼまたは標的システイン(すなわち、CYS1またはCYS5〜CYS13)を含む上述のいずれかの一部を含む。
【0064】
コンジュゲートは、プロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する任意の適切な化学部分を含み得る。キナーゼのATP結合部位に結合する多くの適切な化学部分は、当該技術分野において周知である。また、かかる多くの化学部分の結合様式は公知であり、構造に基づいた設計の従来の方法を使用して、ATP結合部位に結合するさらなる部分を設計するために使用され得る。例えば、ニロチニブ、イマチニブ、ソラフェニブ(US 7,235,576)、VX-680(US 6,664,247)、BI2536(US2006/018182)、TAE226(US2008/01322504)、PF-573,228、CP-562,271-26、CPP690550等が、プロテインキナーゼのATP結合部位に結合する周知の化合物である。これらの化合物その一部およびその誘導体は、例えば頭部を化合物、その一部またはその誘導体に結合させることにより、プロテインキナーゼのATP結合部位に結合する化学部分として使用され得る。
【0065】
本発明は、CYS1を含むプロテインキナーゼおよびCYS1キナーゼのATP結合部位に結合するインヒビターを含むコンジュゲートに関する。本発明のコンジュゲートにおいて、インヒビターは、共有的および不可逆的にCYS1に結合して、プロテインキナーゼの活性を不可逆的に阻害する。
【0066】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、式
X-M-S-CH
2-Prot
を有し、式中、Protは、プロテインキナーゼまたはCYS1を含むその一部であり;
S-CH
2は、CYS1の側鎖由来の硫黄原子およびメチレン基であり;
Mは、頭部基とCYS1の側鎖の共有結合により形成される修飾部分であり;
Xは、CYS1を含むプロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する化学部分である。
【0067】
これらの態様において、Protは、JAK3、FGFR(例えば、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4)、CKIT、CSFR1、FAK2、FLT3、FER、FES、CDKL1、CDKL4、FLT4、KDR、FLT1、PDGFR(例えば、PDGRF-A、PDGFR-B)およびCYS1を含む上述のいずれかの一部からなる群より選択される。
【0068】
コンジュゲートは、実質的に、成熟プロテインキナーゼ全体またはCYS1を含むその一部を含み得る。一般的に、Protは、RC*VHRDL (配列番号:1)、KC*IHRDL (配列番号:2)、NC*IHRDL (配列番号:3)、NC*IHRDV (配列番号:4)、NC*VHRDL (配列番号:5)、NC*VHRDI (配列番号:6)、SC*VHRDL (配列番号:7)、CC*IHRDL (配列番号:8)またはNC*IHRDI (配列番号:9) (式中C*は、CYS1である)からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するプロテインキナーゼの少なくとも一部を含む。
【0069】
これらの態様のいくつかのコンジュゲートは、表2に示される部分から選択される修飾部分を含む。
【0070】
コンジュゲートは、プロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する任意の適切な化学部分を含み得る。キナーゼのATP結合部位に結合する多くの適切な化学部分は、当該技術分野において周知である。また、かかる多くの化学部分の結合様式は、公知であり、構造に基づく設計の従来の方法を使用してATP結合部位に結合するさらなる部分を設計するために使用し得る。例えば、ニロチニブ、イマチニブおよびソラフェニブは、CYS1を含むプロテインキナーゼ、例えばC-KIT、PDGFR(PDGFRA、PDGFRB)、FLT3、CSF1R および/またはKDRの周知のインヒビターである。頭部がCYS1に共有的および不可逆的に結合するコンジュゲートのいくつかの態様において、Protは、C-KIT、PDGFR(PDGFRA、PDGFRB)、FLT3、CSF1RまたはKDRであり、Xは、C-KIT、PDGFR(PDGFRA、PDGFRB)、FLT3、CSF1RまたはKDRに結合するニロチニブ、イマチニブ、ソラフェニブまたはそれらの一部もしくはそれらの誘導体である。
【0071】
所望の場合、2008年6月3日に出願されたUS 12/132,537に開示される式I、IIまたはIIIの化合物をCYS1キナーゼ、例えばC-KITまたはPDGFRのATP結合部位にまたはその近位に結合する化学部分として使用することができる。式I、IIおよびIIIならびにそれらの記載を含むUS 12/132,537の全教示は、参照により本明細書に援用される。CYS1キナーゼのATP結合部位に結合する他の適切な化学部分としては、本明細書に記載される式XVIII〜XXの化合物が挙げられる。
【0072】
本発明は、CYS1を含むプロテインキナーゼおよびCYS1キナーゼのATP結合部位に結合するインヒビターを含むコンジュゲートに関する。本発明のコンジュゲートにおいて、インヒビターは、CYS1に共有的および不可逆的に結合して、プロテインキナーゼの活性を不可逆的に阻害する。
【0073】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、式
X-M-S-CH
2-Prot
を有し、式中、Protは、プロテインキナーゼまたはCYS5を含むその一部であり;
S-CH
2は、CYS5の側鎖由来の硫黄原子およびメチレン基であり;
Mは、頭部基とCYS5の側鎖の共有結合により形成される修飾部分であり;
Xは、CYS5を含むプロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する化学部分である。
【0074】
これらの態様において、Protは、PFTAIRE1、JNK(例えば、JNK1、JNK2、JNK3)およびBMPR2、ならびにCYS5を含む前述のいずれかの一部からなる群より選択される。
【0075】
コンジュゲートは、実質的に、成熟プロテインキナーゼ全体またはCYS5を含むその一部を含み得る。一般的に、Protは、DLC*QYMD (配列番号:26)、NLC*QVIH (配列番号:27)、NLC*QVIQ (配列番号:28)およびSLC*KYLSL (配列番号:29) (式中、C*はCYS5である)からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するプロテインキナーゼの少なくとも一部を含む。
【0076】
これらの態様のいくつかのコンジュゲートは、表2に示される部分から選択される修飾部分を含む。
【0077】
コンジュゲートは、プロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する任意の適切な化学部分を含み得る。CYS5キナーゼのATP結合部位に結合するために適切な化学部分としては、例えば、本明細書に記載される式VI〜VIII、IX、IX-a、X、X-a、XI、XIIおよびXII-aの化合物が挙げられる。
【0078】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、式
X-M-S-CH
2-Prot
を有し、式中、Protは、プロテインキナーゼまたはCYS6を含むその一部であり;
S-CH
2は、CYS6の側鎖由来の硫黄原子およびメチレン基であり;
Mは、頭部基とCYS6の側鎖の共有結合により形成される修飾部分であり;
Xは、CYS6を含むプロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する化学部分である。
【0079】
これらの態様において、Protは、TNK1、YES、FGR、SRC、LIMK1、FGFR(例えばFGFR1、FGFR2、FGFR3およびFGFR4)、ならびにCYS6を含む前述のいずれかの一部からなる群より選択される。
【0080】
コンジュゲートは、実質的に、成熟プロテインキナーゼ全体またはCYS6を含むその一部を含み得る。一般的に、Protは、SGC*FGV (配列番号:30)、QGC*FGE (配列番号:31)、TGC*FGD (配列番号:32)、KGC*FGQ (配列番号:33)およびEGC*FGQ (配列番号:34) (式中、C*はCYS6である)からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するプロテインキナーゼの少なくとも一部を含む。
【0081】
これらの態様のいくつかのコンジュゲートは、表2に示される部分から選択される修飾部分を含む。
【0082】
コンジュゲートは、プロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する任意の適切な化学部分を含み得る。
【0083】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、式
X-M-S-CH
2-Prot
を有し、式中、Protは、プロテインキナーゼまたはCYS7を含むその一部であり;
S-CH
2は、CYS7の側鎖由来の硫黄原子およびメチレン基であり;
Mは、頭部基とCYS7の側鎖の共有結合により形成される修飾部分であり;
Xは、CYS7を含むプロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する化学部分である。
【0084】
これらの態様において、Protは、FAK、ALK(例えばALK1、ALK2)、およびCYS7を含む前述のいずれかの一部からなる群より選択される。
【0085】
コンジュゲートは、実質的に、成熟プロテインキナーゼ全体またはCYS7を含むその一部を含み得る。一般的に、Protは、GRC*IGEGQFGD (配列番号:35)、VEC*VGKGRYG (配列番号:36)およびLEC*VGKGRYG (配列番号:37) (式中、C*はCYS7である)からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するプロテインキナーゼの少なくとも一部を含む。
【0086】
これらの態様のいくつかのコンジュゲートは、表2に示される部分から選択される修飾部分を含む。
【0087】
コンジュゲートは、プロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する任意の適切な化学部分を含み得る。CYS7キナーゼのATP結合部位に結合するために適切な化学部分としては、例えば、本明細書に記載される式IVの化合物および周知の化合物TAE226 (US2008/01322504)、PF-573,228およびCP-562,271-26が挙げられる。
【0088】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、式
X-M-S-CH
2-Prot
を有し、式中、Protは、プロテインキナーゼまたはCYS8を含むその一部であり;
S-CH
2は、CYS8の側鎖由来の硫黄原子およびメチレン基であり;
Mは、頭部基とCYS8の側鎖の共有結合により形成される修飾部分であり;
Xは、CYS8を含むプロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する化学部分である。
【0089】
これらの態様において、Protは、ZAP70、CRIK、ERK3、CK1g1、CK1g2およびCK1g3、ならびにCYS8を含む前述のいずれかの一部からなる群より選択される。
【0090】
コンジュゲートは、実質的に、成熟プロテインキナーゼ全体またはCYS8を含むその一部を含み得る。一般的に、Protは、GC*GNF (配列番号:38)、GC*GHF (配列番号:39)およびGC*GGN (配列番号:40) (式中、C*はCYS8である)からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するプロテインキナーゼの少なくとも一部を含む。
【0091】
これらの態様のいくつかのコンジュゲートは、表2に示される部分から選択される修飾部分を含む。
【0092】
コンジュゲートは、プロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する任意の適切な化学部分を含み得る。CYS8キナーゼのATP結合部位への結合のための適切な化学部分としては、例えば本明細書に記載される式I-a、I-b、I-c、I-d、I-eおよびI-fの化合物、ならびに周知の化合物イマチニブ、ニロチニブおよびCP-562,271-26ならびにUS 2006/0247246に開示される化合物、特に実施例6の化合物が挙げられる。
【0093】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、式
X-M-S-CH
2-Prot
を有し、式中、Protは、プロテインキナーゼまたはCYS9を含むその一部であり;
S-CH
2は、CYS9の側鎖由来の硫黄原子およびメチレン基であり;
Mは、頭部基とCYS9の側鎖の共有結合により形成される修飾部分であり;
Xは、CYS9を含むプロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する化学部分である。
【0094】
これらの態様において、Protは、ROR1またはCYS9を含むその一部であり得る。
【0095】
コンジュゲートは、実質的に、成熟プロテインキナーゼ全体またはCYS9を含むその一部を含み得る。
【0096】
これらの態様のいくつかのコンジュゲートは、表2に示される部分から選択される修飾部分を含む。
【0097】
コンジュゲートは、プロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する任意の適切な化学部分を含み得る。
【0098】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、式
X-M-S-CH
2-Prot
を有し、Protは、プロテインキナーゼまたはCYS10を含むその一部であり;
S-CH
2は、CYS10の側鎖由来の硫黄原子およびメチレン基であり;
Mは、頭部基とCYS10の側鎖の共有結合により形成される修飾部分であり;
Xは、CYS10を含むプロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する化学部分である。
【0099】
これらの態様において、Protは、MELKまたはCYS10を含むその一部であり得る。
【0100】
コンジュゲートは、実質的に、成熟プロテインキナーゼ全体またはCYS10を含むその一部を含み得る。
【0101】
これらの態様のいくつかのコンジュゲートは、表2に示される部分から選択される修飾部分を含む。
【0102】
コンジュゲートは、プロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する任意の適切な化学部分を含み得る。
【0103】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、式
X-M-S-CH
2-Prot
を有し、式中、Protは、プロテインキナーゼまたはCYS11を含むその一部であり;
S-CH
2は、CYS11の側鎖由来の硫黄原子およびメチレン基であり;
Mは、頭部基とCYS11の側鎖の共有結合により形成される修飾部分であり;
Xは、CYS11を含むプロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する化学部分である。
【0104】
これらの態様において、Protは、c-KIT、FMS、RON、FLT3およびFGR、ならびにCYS11を含む前述のいずれかの一部からなる群より選択される。
【0105】
コンジュゲートは、実質的に、成熟プロテインキナーゼ全体またはCYS11を含むその一部を含み得る。一般的に、Protは、YCC*YG (配列番号:41)、YMC*HG (配列番号:42)およびFMC*HG (配列番号:43) (式中、C*はCYS11である)からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するプロテインキナーゼの少なくとも一部を含む。
【0106】
これらの態様のいくつかのコンジュゲートは、表2に示される部分から選択される修飾部分を含む。
【0107】
コンジュゲートは、プロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する任意の適切な化学部分を含み得る。CYS11キナーゼのATP結合部位に結合するための適切な化学部分としては、例えば本明細書に記載される式XIII-a、XIII-b、XIII-c、XIII-dおよびXIV〜XVIIの化合物が挙げられる。
【0108】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、式
X-M-S-CH
2-Prot
を有し、式中、Protは、プロテインキナーゼまたはCYS12を含むその一部であり;
S-CH
2は、CYS12の側鎖由来の硫黄原子およびメチレン基であり;
Mは、頭部基とCYS12の側鎖の共有結合により形成される修飾部分であり;
Xは、CYS12を含むプロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する化学部分である。
【0109】
これらの態様において、Protは、ALKキナーゼまたはCYS12を含むその一部であり得る。
【0110】
コンジュゲートは、実質的に、成熟プロテインキナーゼ全体またはCYS12を含むその一部を含み得る。一般的に、Protは、アミノ酸配列AARNCLLTC*PGPGRVAKIGD (配列番号:44) (式中、C*はCYS12である)を有するプロテインキナーゼの少なくとも一部を含む。
【0111】
これらの態様のいくつかのコンジュゲートは、表2に示される部分から選択される修飾部分を含む。
【0112】
コンジュゲートは、プロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する任意の適切な化学部分を含み得る。
【0113】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、式
X-M-S-CH
2-Prot
を有し、式中、Protは、プロテインキナーゼまたはCYS13を含むその一部であり;
S-CH
2は、CYS13の側鎖由来の硫黄原子およびメチレン基であり;
Mは、頭部基とCYS13の側鎖の共有結合により形成される修飾部分であり;
Xは、CYS13を含むプロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する化学部分である。
【0114】
これらの態様において、Protは、B-RAFまたはCYS13を含むその一部であり得る。
【0115】
コンジュゲートは、実質的に、成熟プロテインキナーゼ全体またはCYS13を含むその一部を含み得る。一般的に、Protは、アミノ酸配列TKPQLAIVTQWC*EGSSLYHH (配列番号:45) (式中、C*はCYS13である)を有するプロテインキナーゼの少なくとも一部を含む。
【0116】
これらの態様のいくつかのコンジュゲートは、表2に示される部分から選択される修飾部分を含む。
【0117】
コンジュゲートは、プロテインキナーゼのATP結合部位にまたはその近位に結合する任意の適切な化学部分を含み得る。
【0118】
本発明はまた、ATP結合部位にシステイン残基を含むプロテインキナーゼおよび本明細書に開示されるインヒビターを含むコンジュゲートに関し、該インヒビターは、プロテインキナーゼのATP結合部位のシステイン残基に共有的および不可逆的に結合して、プロテインキナーゼの活性を不可逆的に阻害する。一態様において、コンジュゲートは、本明細書に開示されるインヒビターおよびプロテインキナーゼを含み、該インヒビターは、プロテインキナーゼのATP結合部位のシステイン残基に共有的および不可逆的に結合する。
【0119】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、C-KITまたはC-KITのCYS1(Cys788)を含むその一部、ならびにC-KITのCYS1(Cys788)に共有的および不可逆的に結合して、C-KITを不可逆的に阻害する式XVIII、XIX、XIX-a、XIX-b、XIX-c、XXまたはXX-aの化合物を含む。
【0120】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、KDRまたはKDRのCYS1(Cys1024)を含むその一部、ならびにKDRのCYS1(Cys1024)に共有的および不可逆的に結合して、KDRを不可逆的に阻害する式XVIII、XIX、XIX-a、XIX-b、XIX-c、XXまたはXX-aの化合物を含む。
【0121】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、PDGFRAまたはPDGFRAのCYS1(Cys814)を含むその一部、ならびにPDGFRAのCYS1(Cys814)に共有的および不可逆的に結合して、PDGFRAを不可逆的に阻害する式VIII、XIX、XIX-a、XIX-b、XIX-c、XXまたはXX-aの化合物を含む。
【0122】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、PDGFRBまたはPDGFRBのCYS1(Cys822)を含むその一部、ならびにPDGFRBのCYS1(Cys822)に共有的および不可逆的に結合して、PDGFRBを不可逆的に阻害する式XVIII、XIX、XIX-a、XIX-b、XIX-c、XXまたはXX-aの化合物を含む。
【0123】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、FLT3またはFLT3のCYS1(Cys807)を含むその一部、ならびにFLT3のCYS1(Cys807)に共有的および不可逆的に結合し、FLT3を不可逆的に阻害する式XVIII、XIX、XIX-a、XIX-b、XIX-c、XXまたはXX-aの化合物を含む。
【0124】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、CSF1RまたはCSF1RのCYS1(Cys744)を含むその一部、ならびにCSF1RのCYS1(Cys744)に共有的および不可逆的に結合し、CSF1Rを不可逆的に阻害する式XVIII、XIX、XIX-a、XIX-b、XIX-c、XXまたはXX-aの化合物を含む。
【0125】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、B-RAFまたはB-RAFのCYS13(Cys532)を含むその一部、ならびにB-RAFのCYS13(Cys532)に共有的および不可逆的に結合し、B-RAFを不可逆的に阻害する式XVIII、XIX、XIX-a、XIX-b、XIX-c、XXまたはXX-aの化合物を含む。
【0126】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、FLT3またはFLT3のCYS2(Cys828)を含むその一部、ならびにFLT3のCYS2(Cys828)に共有的および不可逆的に結合し、FLT3を不可逆的に阻害する式II-a、II-b、II-cまたはII-dの化合物を含む。
【0127】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、MEK1またはMEK1のCYS2(Cys207)を含むその一部、ならびにMEK1のCYS2(Cys207)に共有的および不可逆的に結合して、MEK1を不可逆的に阻害する式II-a、II-b、II-cまたはII-dの化合物を含む。
【0128】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、JAK3またはJAK3のCYS3(Cys909)を含むその一部、ならびにJAK3のCYS3(Cys909)に共有的および不可逆的に結合し、JAK3を不可逆的に阻害する式Vの化合物を含む。
【0129】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、PLK1またはPLK1のCYS4(Cys67)を含むその一部、ならびにPLK1のCYS4(Cys67)に共有的および不可逆的に結合し、PLK1を不可逆的に阻害する式IIIの化合物を含む。
【0130】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、FAKまたはFAKのCYS7(Cys427)を含むその一部、ならびにFAKのCYS7(Cys427)に共有的および不可逆的に結合し、FAKを不可逆的に阻害する式IV、IVaまたはIVbの化合物を含む。
【0131】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、JNK1またはJNK1のCYS5(Cys116)を含むその一部、ならびにJNK1のCYS5(Cys116)に共有的および不可逆的に結合し、JNK1を不可逆的に阻害する式VI、VII、VIII、IX、IX-a、X、X-a、XI、XIIまたはXII-aの化合物を含む。
【0132】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、ZAP70またはZAP70のCYS8(Cys346)を含むその一部、ならびにZAP70のCYS8(Cys346)に共有的および不可逆的に結合し、ZAP70を不可逆的に阻害する式I-a、I-b、I-c、I-d、I-eおよびI-fの化合物を含む。
【0133】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、RONまたはRONのCYS11(Cys1165)を含むその一部、ならびにRONのCYS11(Cys1165)に共有的および不可逆的に結合し、RONを不可逆的に阻害する式XIII-a、XIII-b、XIII-c、XIII-d、XIV、XV、XVIまたはXVIIの化合物を含む。
【0134】
3. プロテインキナーゼを不可逆的に阻害する化合物
本発明は、1つ以上のプロテインキナーゼを不可逆的に阻害する化合物、ならびにその薬学的に許容され得る塩およびその組成物に関する。何ら特定の理論に拘束されることを望まないが、本明細書に記載される化合物中の頭部基は、特定のプロテインキナーゼの結合部位における重要なシステイン残基に共有結合するのに特に適していると考えられる。本明細書に開示される化合物は、プロテインキナーゼの少なくとも1つのインヒビターであり、記載の簡易化のために、特定のキナーゼのインヒビターとして言及する。
【0135】
A. 頭部
本発明の化合物は、本明細書に記載される式中で-L-Yにより示される頭部基を含む。以下の-L-Yにより示される頭部基の詳細な説明は、本明細書に記載される化合物および式のそれぞれに適用される。LおよびYは、様々に組み合わされて頭部を提供し得ることが理解されよう。本明細書に記載される特定のLおよびY基は、任意の所望の組合せで組み合わされて、本明細書に記載される化合物の態様のいずれかについての頭部が提供され得る。
【0136】
一般的に、頭部は、-L-Yで示され、式中:
Lは、共有結合または二価のC
1-8飽和もしくは不飽和、直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lの1、2または3個のメチレン単位は、任意にかつ独立して、シクロプロピレン、-NR-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、-N(R)SO
2-、-SO
2N(R)-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-C(=S)-、-C(=NR)-、-N=N-または-C(=N
2)-により置き換えられ;
Yは、水素、ニトリル、1つ以上のOH、NRxRy、オキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族、または3〜10員の単環もしくは二環式、飽和、部分不飽和の環、または独立して窒素、酸素または硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環であり、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され;
RxおよびRyは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各R
eは、独立して-Q-Z、OH、オキソ、NO
2、ハロゲン、CN、適切な脱離基、またはオキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族から選択され、ここで;
Qは、共有結合または二価のC
1-6飽和もしくは不飽和、直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Qの1または2個のメチレン単位は、任意にかつ独立して-N(R)-、-S-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-SO-または-SO
2-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、-N(R)SO
2-または-SO
2N(R)-により置き換えられ;
Zは、水素、またはオキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族である。
【0137】
特定の態様において、Lは、共有結合である。
【0138】
特定の態様において、Lは、二価のC
1-8飽和もしくは不飽和、直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖である。特定の態様において、Lは、-CH
2-である。
【0139】
特定の態様において、Lは、共有結合、-CH
2-、-NH-、-CH
2NH-、-NHCH
2-、-NHC(O)-、-NHC(O)CH
2OC(O)-、-CH
2NHC(O)-、-NHSO
2-、-NHSO
2CH
2-、-NHC(O)CH
2OC(O)-または-SO
2NH-である。
【0140】
いくつかの態様において、Lは、二価のC
2-8直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lは少なくとも1つの二重結合を有し、Lの1つまたは2つのさらなるメチレン単位は、任意にかつ独立して-NRC(O)-、-C(O)NR-、-N(R)SO
2-、-SO
2N(R)-、-S-、-S(O)-、-SO
2-、-OC(O)-、-C(O)O-、シクロプロピレン、-O-、-N(R)-または-C(O)-により置き換えられる。
【0141】
特定の態様において、Lは、二価のC
2-8直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lは、少なくとも1つの二重結合を有し、Lのメチレン単位の少なくとも1つは、-C(O)-、-NRC(O)-、-C(O)NR-、-N(R)SO
2-、-SO
2N(R)-、-S-、-S(O)-、-SO
2-、-OC(O)-または-C(O)O-により置き換えられ、Lの1つまたは2つのさらなるメチレン単位は、任意にかつ独立してシクロプロピレン、-O-、-N(R)-または-C(O)-により置き換えられる。
【0142】
いくつかの態様において、Lは、二価のC
2-8直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lは、少なくとも1つの二重結合を有し、Lの少なくとも1つのメチレン単位は、-C(O)-により置き換えられ、Lの1つまたは2つのさらなるメチレン単位は、任意にかつ独立してシクロプロピレン、-O-、-N(R)-または-C(O)-により置き換えられる。
【0143】
上述のように、特定の態様において、Lは、二価のC
2-8直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lは、少なくとも1つの二重結合を有する。当業者は、かかる二重結合は、炭化水素主鎖中に存在し得るかまたは主鎖に対して「エクソ(exo)」であり、アルキリデン基を形成し得ることを理解しよう。例により、かかるアルキリデン分岐鎖を有するL基は、-CH
2C(=CH
2)CH
2-を含む。そのため、いくつかの態様において、Lは、二価のC
2-8直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lは、少なくとも1つのアルキリデニル二重結合を有する。例示的なL基としては、-NHC(O)C(=CH
2)CH
2-が挙げられる。
【0144】
特定の態様において、Lは、二価のC
2-8直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lは、少なくとも1つの二重結合を有し、Lの少なくとも1つのメチレン単位は、-C(O)-により置き換えられる。特定の態様において、Lは、-C(O)CH=CH(CH
3)-、-C(O)CH=CHCH
2NH(CH
3)-、-C(O)CH=CH(CH
3)-、-C(O)CH=CH-、-CH
2C(O)CH=CH-、-CH
2C(O)CH=CH(CH
3)-、-CH
2CH
2C(O)CH=CH-、-CH
2CH
2C(O)CH=CHCH
2-、-CH
2CH
2C(O)CH=CHCH
2NH(CH
3)-または-CH
2CH
2C(O)CH=CH(CH
3)-または-CH(CH
3)OC(O)CH=CH-である。
【0145】
特定の態様において、Lは、二価のC
2-8直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lは、少なくとも1つの二重結合を有し、Lの少なくとも1つのメチレン単位は、-OC(O)-により置き換えられる。
【0146】
いくつかの態様において、Lは、二価のC
2-8直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lは、少なくとも1つの二重結合を有し、Lの少なくとも1つのメチレン単位は、-NRC(O)-、-C(O)NR-、-N(R)SO
2-、-SO
2N(R)-、-S-、-S(O)-、-SO
2-、-OC(O)-または-C(O)O-により置き換えられ、Lの1つまたは2つのさらなるメチレン単位は、任意にかつ独立してシクロプロピレン、-O-、-N(R)-または-C(O)-により置き換えられる。いくつかの態様において、Lは、-CH
2OC(O)CH=CHCH
2-、-CH
2-OC(O)CH=CH-または-CH(CH=CH
2)OC(O)CH=CH-である。
【0147】
特定の態様において、Lは、-NRC(O)CH=CH-、-NRC(O)CH=CHCH
2N(CH
3)-、-NRC(O)CH=CHCH
2O-、-CH
2NRC(O)CH=CH-、-NRSO
2CH=CH-、-NRSO
2CH=CHCH
2-、-NRC(O)(C=N
2)C(O)-、-NRC(O)CH=CHCH
2N(CH
3)-、-NRSO
2CH=CH-、-NRSO
2CH=CHCH
2-、-NRC(O)CH=CHCH
2O-、-NRC(O)C(=CH
2)CH
2-、-CH
2NRC(O)-、-CH
2NRC(O)CH=CH-、-CH
2CH
2NRC(O)-または-CH
2NRC(O)シクロプロピレン-であり、各Rは、独立して水素または任意に置換されたC
1-6脂肪族である。
【0148】
特定の態様において、Lは、-NHC(O)CH=CH-、-NHC(O)CH=CHCH
2N(CH
3)-、-NHC(O)CH=CHCH
2O-、-CH
2NHC(O)CH=CH-、-NHSO
2CH=CH-、-NHSO
2CH=CHCH
2-、-NHC(O)(C=N
2)C(O)-、-NHC(O)CH=CHCH
2N(CH
3)-、-NHSO
2CH=CH-、-NHSO
2CH=CHCH
2-、-NHC(O)CH=CHCH
2O-、-NHC(O)C(=CH
2)CH
2-、-CH
2NHC(O)-、-CH
2NHC(O)CH=CH-、-CH
2CH
2NHC(O)-または-CH
2NHC(O)シクロプロピレン-である。
【0149】
いくつかの態様において、Lは、二価のC
2-8直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lは、少なくとも1つの三重結合を有する。特定の態様において、Lは、二価のC
2-8直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lは少なくとも1つの三重結合を有し、Lの1つまたは2つのさらなるメチレン単位は、任意にかつ独立して-NRC(O)-、-C(O)NR-、-S-、-S(O)-、-SO
2-、-C(=S)-、-C(=NR)-、-O-、-N(R)-または-C(O)-により置き換えられる。いくつかの態様において、Lは、少なくとも1つの三重結合を有し、Lの少なくとも1つのメチレン単位は、-N(R)-、-N(R)C(O)-、-C(O)-、-C(O)O-または-OC(O)-または-O-により置き換えられる。
【0150】
例示的なL基としては、-C≡C-、-C≡CCH
2N(イソプロピル)-、-NHC(O)C≡CCH
2CH
2-、-CH
2-C≡C-CH
2-、-C≡CCH
2O-、-CH
2C(O)C≡C-、-C(O)C≡C-または-CH
2OC(=O)C≡C-が挙げられる。
【0151】
特定の態様において、Lは、二価のC
2-8直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lの1つのメチレン単位は、シクロプロピレンにより置き換えられ、Lの1つまたは2つのさらなるメチレン単位は、独立して-C(O)-、-NRC(O)-、-C(O)NR-、-N(R)SO
2-または-SO
2N(R)-により置き換えられる。例示的なL基としては、-NHC(O)-シクロプロピレン-SO
2-および-NHC(O)-シクロプロピレン-が挙げられる。
【0152】
一般的に先に定義されるように、Yは、水素、オキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族、または3〜10員の単環もしくは二環式、飽和、部分不飽和の環、または独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環であり、前記環は、1〜4個のR
eで置換され、各R
eは、独立して-Q-Z、オキソ、NO
2、ハロゲン、CNまたはC
1-6脂肪族から選択され、Qは、共有結合または二価のC
1-6飽和もしくは不飽和、直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Qの1または2個のメチレン単位は、任意にかつ独立して-N(R)-、-S-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-SO-または-SO
2-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、-N(R)SO
2-または-SO
2N(R)-により置き換えられ;Zは、水素、またはオキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族である。
【0153】
特定の態様において、Yは水素である。
【0154】
特定の態様において、Yは、オキソ、ハロゲン、NO
2またはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族である。いくつかの態様において、Yは、オキソ、ハロゲン、NO
2またはCNで任意に置換されたC
2-6アルケニルである。他の態様において、Yは、オキソ、ハロゲン、NO
2またはCNで任意に置換されたC
2-6アルキニルである。いくつかの態様において、Yは、C
2-6アルケニルである。他の態様において、Yは、C
2-4アルキニルである。
【0155】
他の態様において、Yは、オキソ、ハロゲン、NO
2またはCNで置換されたC
1-6アルキルである。かかるY基としては、-CH
2F、-CH
2Cl、-CH
2CNおよび-CH
2NO
2が挙げられる。
【0156】
特定の態様において、Yは、独立して窒素、酸素または硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する飽和3〜6員単環式環であり、Yは、1〜4個のR
eで置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである。
【0157】
いくつかの態様において、Yは、酸素または窒素から選択される1つのヘテロ原子を有する飽和3〜4員複素環式環であり、前記環は、1〜2個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである。例示的なかかる環は、エポキシドおよびオキセタン環であり、各環は、1〜2個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである。
【0158】
他の態様において、Yは、酸素または窒素から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する飽和5〜6員複素環式環であり、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである。かかる環としては、ピペリジンおよびピロリジンが挙げられ、それぞれの環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである、特定の態様において、Yは、
[この文献は図面を表示できません]
であり、各R、Q、ZおよびR
eは、本明細書中で上述されるとおりである。
【0159】
いくつかの態様において、Yは、飽和3〜6員炭素環式環であり、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである。特定の態様において、Yは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであり、各環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである。
【0160】
特定の態様において、Yは、
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であり、R
eは、本明細書中に上述されるとおりである。特定の態様において、Yは、ハロゲン、CNまたはNO
2で任意に置換されたシクロプロピルである。
【0161】
特定の態様において、Yは、独立して窒素、酸素または硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する部分不飽和3〜6員単環式環であり、前記環は1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中に上述されるとおりである。
【0162】
いくつかの態様において、Yは、部分不飽和3〜6員炭素環式環であり、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中に上述されるとおりである。いくつかの態様において、Yは、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニルまたはシクロヘキセニルであり、各環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中に上述されるとおりである。特定の態様において、Yは、
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であり、各R
eは本明細書中に上述されるとおりである。
【0163】
特定の態様において、Yは、独立して窒素、酸素または硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する部分不飽和4〜6員複素環式環であり、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中に上述されるとおりである。特定の態様において、Yは:
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から選択され、各RおよびR
eは、本明細書中に上述されるとおりである。
【0164】
特定の態様において、Yは、0〜2個の窒素を有する6員芳香族環であり、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
e基は、本明細書中で上述されるとおりである。特定の態様において、Yは、フェニル、ピリジルまたはピリミジニルであり、各環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである。
【0165】
いくつかの態様において、Yは:
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から選択され、各R
eは、本明細書中に上述されるとおりである。
【0166】
他の態様において、Yは、独立して窒素、酸素または硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5員へテロアリール環であり、前記環は、1〜3個のR
e基で置換され、各R
e基は、本明細書中で上述されるとおりである。いくつかの態様において、Yは、5員部分不飽和の環または独立して窒素、酸素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有するアリール環であり、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
e基は、本明細書中に上述されるとおりである。例示的なかかる環は、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリル、フラニル、チエニル、トリアゾール、チアジアゾールおよびオキサジアゾールであり、各環は、1〜3個のR
e基で置換され、各R
e基は、本明細書中に上述されるとおりである。特定の態様において、Yは:
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から選択され、式中、各RおよびR
eは、本明細書中に上述されるとおりである。
【0167】
特定の態様において、Yは、8〜10員、二環式、飽和、部分不飽和の環、または独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環であり、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、R
eは、本明細書中に上述されるとおりである。別の局面によると、Yは、9〜10員、二環式部分不飽和の環、または独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有するアリール環であり、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、R
eは、本明細書中に上述されるとおりである。例示的なかかる二環式環としては、2,3-ジヒドロベンゾ[d]イソチアゾールが挙げられ、前記環は1〜4個のR
e基で置換され、R
eは、本明細書中で上述されるとおりである。
【0168】
一般的に上述されるように、各R
e基は、独立して-Q-Z、オキソ、NO
2、ハロゲン、CN、適切な脱離基、またはオキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族から選択され、Qは、共有結合または二価のC
1-6飽和もしくは不飽和、直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Qの1または2個のメチレン単位は、任意にかつ独立して-N(R)-、-S-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-SO-または-SO
2-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、-N(R)SO
2-または-SO
2N(R)-で置き換えられ;Zは、水素、またはオキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族である。
【0169】
特定の態様において、R
eは、オキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族である。他の態様において、R
eは、オキソ、NO
2、ハロゲンまたはCNである。
【0170】
いくつかの態様において、R
eは、-Q-Zであり、Qは、共有結合であり、Zは、水素(すなわちR
eは水素)である。他の態様において、R
eは、-Q-Zであり、Qは、二価のC
1-6飽和もしくは不飽和、直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Qの1または2個のメチレン単位は、任意にかつ独立して-NR-、-NRC(O)-、-C(O)NR-、-S-、-O-、-C(O)-、-SO-または-SO
2-により置き換えられる。他の態様において、Qは、少なくとも1つの二重結合を有する二価のC
2-6直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Qの1または2個のメチレン単位は、任意にかつ独立して-NR-、-NRC(O)-、-C(O)NR-、-S-、-O-、-C(O)-、-SO-または-SO
2-により置き換えられる。特定の態様において、R
e基のZ部分は水素である。いくつかの態様において、-Q-Zは、-NHC(O)CH=CH
2または-C(O)CH=CH
2である。
【0171】
特定の態様において、各R
eは、独立して、オキソ、NO
2、CN、フルオロ、クロロ、-NHC(O)CH=CH
2、-C(O)CH=CH
2、-CH
2CH=CH
2、-C≡CH、-C(O)OCH
2Cl、-C(O)OCH
2F、-C(O)OCH
2CN、-C(O)CH
2Cl、-C(O)CH
2F、-C(O)CH
2CNまたは-CH
2C(O)CH
3から選択される。
【0172】
特定の態様において、R
eは、適切な脱離基、すなわち求核性置換に供される基である。「適切な脱離基」は、対象のシステインのチオール部分などの化学部分の所望の導入により容易に置換される化学基である。適切な脱離基は、当該技術分野で周知であり、例えば「Advanced Organic Chemistry」、Jerry March, 第5版、pp. 351-357, John Wiley and Sons, N.Yを参照。かかる脱離基としては限定されないが、ハロゲン、アルコキシ、スルホニルオキシ、任意に置換されたアルキルスルホニルオキシ、任意に置換されたアルケニルスルホニルオキシ、任意に置換されたアリールスルホニルオキシ、アシルおよびジアゾニウム部分が挙げられる。適切な脱離基の例としては、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、アセチル、メタンスルホニルオキシ(メシルオキシ)、トシルオキシ、トリフリルオキシ、ニトロ-フェニルスルホニルオキシ(ノシルオキシ)およびブロモ-フェニルスルホニルオキシ(ブロシルオキシ)が挙げられる。
【0173】
特定の態様において、以下の態様および-L-Yの組合せが適用される:
(a) Lは、二価のC
2-8直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lは、少なくとも1つの二重結合を有し、Lの1つまたは2つのさらなるメチレン単位は、任意にかつ独立して-NRC(O)-、-C(O)NR-、-N(R)SO
2-、-SO
2N(R)-、-S-、-S(O)-、-SO
2-、-OC(O)-、-C(O)O-、シクロプロピレン、-O-、-N(R)-または-C(O)-により置き換えられ;Yは、水素、またはオキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族である;あるいは
(b) Lは、二価のC
2-8直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lは、少なくとも1つの二重結合を有し、Lの少なくとも1つのメチレン単位は、-C(O)-、-NRC(O)-、-C(O)NR-、-N(R)SO
2-、-SO
2N(R)-、-S-、-S(O)-、-SO
2-、-OC(O)-または-C(O)O-で置き換えられ、Lの1つまたは2つのさらなるメチレン単位は、任意にかつ独立してシクロプロピレン、-O-、-N(R)-または-C(O)-により置き換えられ;Yは、水素、またはオキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族である;あるいは
(c) Lは、二価のC
2-8直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lは、少なくとも1つの二重結合を有し、Lの少なくとも1つのメチレン単位は、-C(O)-により置き換えられ、Lの1つまたは2つのさらなるメチレン単位は、任意にかつ独立してシクロプロピレン、-O-、-N(R)-または-C(O)-により置き換えられ;Yは、水素、またはオキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族である;あるいは
(d) Lは、二価のC
2-8直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lは、少なくとも1つの二重結合を有し、Lの少なくとも1つのメチレン単位は、-C(O)-により置き換えられ;Yは、水素、またはオキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族である;あるいは
(e) Lは、二価のC
2-8直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lは、少なくとも1つの二重結合を有し、Lの少なくとも1つのメチレン単位は、-OC(O)-により置き換えられ;Yは、水素、またはオキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族である;あるいは
(f) Lは、-NRC(O)CH=CH-、-NRC(O)CH=CHCH
2N(CH
3)-、-NRC(O)CH=CHCH
2O-、-CH
2NRC(O)CH=CH-、-NRSO
2CH=CH-、-NRSO
2CH=CHCH
2-、-NRC(O)(C=N
2)-、-NRC(O)(C=N
2)C(O)-、-NRC(O)CH=CHCH
2N(CH
3)-、-NRSO
2CH=CH-、-NRSO
2CH=CHCH
2-、-NRC(O)CH=CHCH
2O-、-NRC(O)C(=CH
2)CH
2-、-CH
2NRC(O)-、-CH
2NRC(O)CH=CH-、-CH
2CH
2NRC(O)-または-CH
2NRC(O)シクロプロピレン-であり;Rは、Hまたは任意に置換されたC
1-6脂肪族であり;Yは、水素、またはオキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族である;あるいは
(g) Lは、-NHC(O)CH=CH-、-NHC(O)CH=CHCH
2N(CH
3)-、-NHC(O)CH=CHCH
2O-、-CH
2NHC(O)CH=CH-、-NHSO
2CH=CH-、-NHSO
2CH=CHCH
2-、-NHC(O)(C=N
2)-、-NHC(O)(C=N
2)C(O)-、-NHC(O)CH=CHCH
2N(CH
3)-、-NHSO
2CH=CH-、-NHSO
2CH=CHCH
2-、-NHC(O)CH=CHCH
2O-、-NHC(O)C(=CH
2)CH
2-、CH
2NHC(O)-、-CH
2NHC(O)CH=CH-、-CH
2CH
2NHC(O)-または-CH
2NHC(O)シクロプロピレン-であり;Yは、水素、またはオキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族である;あるいは
(h) Lは、二価のC
2-8直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lは、少なくとも1つのアルキリデニル二重結合を有し、Lの少なくとも1つのメチレン単位は、-C(O)-、-NRC(O)-、-C(O)NR-、-N(R)SO
2-、-SO
2N(R)-、-S-、-S(O)-、-SO
2-、-OC(O)-または-C(O)O-により置き換えられ、Lの1つまたは2つのさらなるメチレン単位は、任意にかつ独立してシクロプロピレン、-O-、-N(R)-または-C(O)-により置き換えられ;Yは、水素、またはオキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族である;あるいは
(i) Lは、二価のC
2-8直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lは、少なくとも1つの三重結合を有し、Lの1つまたは2つのさらなるメチレン単位は、任意にかつ独立して-NRC(O)-、-C(O)NR-、-N(R)SO
2-、-SO
2N(R)-、-S-、-S(O)-、-SO
2-、-OC(O)-または-C(O)O-により置き換えられ、Yは、水素、またはオキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族である;あるいは
(j) Lは、-C≡C-、-C≡CCH
2N(イソプロピル)-、-NHC(O)C≡CCH
2CH
2-、-CH
2-C≡C-CH
2-、-C≡CCH
2O-、-CH
2C(O)C≡C-、-C(O)C≡C-または-CH
2OC(=O)C≡C-であり;Yは、水素、またはオキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族である;あるいは
(k) Lは、二価のC
2-8直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、Lの1つのメチレン単位は、シクロプロピレンにより置き換えられ、Lの1つまたは2つのさらなるメチレン単位は、独立して-NRC(O)-、-C(O)NR-、-N(R)SO
2-、-SO
2N(R)-、-S-、-S(O)-、-SO
2-、-OC(O)-または-C(O)O-により置き換えられ;Yは、水素、またはオキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
1-6脂肪族である;あるいは
(l) Lは、共有結合であり、Yは:
(i) オキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで置換されたC
1-6アルキル;
(ii) オキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
2-6アルケニル;または
(iii) オキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
2-6アルキニル;または
(iv) 酸素もしくは窒素から選択される1つのヘテロ原子を有する飽和3〜4員複素環式環、前記環は、1〜2個のR
eで置換され、各R
eは、本明細書中で上述されたとおりである;または
(v) 酸素または窒素から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する飽和5〜6員複素環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中に上述されたとおりである;または
(vi)
[この文献は図面を表示できません]
式中、各R、Q、ZおよびR
eは、本明細書中で上述されたとおりである;または
(vii) 飽和3〜6員炭素環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(viii) 独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する部分不飽和3〜6員単環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(ix) 部分不飽和3〜6員炭素環式環、前記環は1〜4個のR
eで置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(x)
[この文献は図面を表示できません]
、式中、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xi) 独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する部分不飽和4〜6員複素環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xii)
[この文献は図面を表示できません]
式中、各RおよびR
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xiii) 0〜2個の窒素を有する6員芳香族環、前記環は、1〜4個のR
eで置換され、各R
e基は、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xiv)
[この文献は図面を表示できません]
式中、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xv) 独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5員ヘテロアリール環、前記環は、1〜3個のR
e基で置換され、各R
e基は、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xvi)
[この文献は図面を表示できません]
式中、各RおよびR
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xvii) 8〜10員二環式飽和、部分不飽和の環、または独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである
から選択される;
(m) Lは、-C(O)-であり、Yは:
(i) オキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで置換されたC
1-6アルキル;または
(ii) オキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
2-6アルケニル;または
(iii) オキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
2-6アルキニル;または
(iv) 酸素もしくは窒素から選択される1つのヘテロ原子を有する飽和3〜4員複素環式環、前記環は、1〜2個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(v) 酸素もしくは窒素から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する飽和5〜6員複素環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(vi)
[この文献は図面を表示できません]
式中、各R、Q、ZおよびR
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(vii) 飽和3〜6員炭素環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(viii) 独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する部分不飽和3〜6員単環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(ix) 部分不飽和3〜6員炭素環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;
(x)
[この文献は図面を表示できません]
、式中、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xi) 独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する部分不飽和4〜6員複素環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xii)
[この文献は図面を表示できません]
式中、各RおよびR
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xiii) 0〜2個の窒素を有する6員芳香族環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
e基は、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xiv)
[この文献は図面を表示できません]
式中、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xv) 独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5員へテロアリール環、前記環は、1〜3個のR
e基で置換され、各R
e基は、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xvi)
[この文献は図面を表示できません]
式中、各RおよびR
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xvii) 8〜10員二環式飽和、部分不飽和の環または独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、R
eは、本明細書中で上述されるとおりである
から選択される;
(n) Lは、-N(R)C(O)-であり、Yは:
(i) オキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで置換されたC
1-6アルキル;または
(ii) オキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
2-6アルケニル;または
(iii) オキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
2-6アルキニル;または
(iv) 酸素もしくは窒素から選択される1つのヘテロ原子を有する飽和3〜4員複素環式環、前記環は、1〜2個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(v) 酸素もしくは窒素から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する飽和5〜6員複素環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(vi)
[この文献は図面を表示できません]
式中、各R、Q、ZおよびR
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(vii) 飽和3〜6員炭素環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(viii) 独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する部分不飽和3〜6員単環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(ix) 部分不飽和3〜6員炭素環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;
(x)
[この文献は図面を表示できません]
、式中、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xi) 独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する部分不飽和4〜6員複素環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xii)
[この文献は図面を表示できません]
式中、各RおよびR
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xiii) 0〜2個の窒素を有する6員芳香族環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
e基は、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xiv)
[この文献は図面を表示できません]
式中、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xv) 独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5員へテロアリール環、前記環は、1〜3個のR
e基で置換され、各R
e基は、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xvi)
[この文献は図面を表示できません]
式中、各RおよびR
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xvii) 8〜10員二環式飽和、部分不飽和の環、または独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、R
eは、本明細書中で上述されるとおりである
から選択され;
(o) Lは、二価のC
1-8飽和もしくは不飽和、直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり;Yは:
(i) オキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで置換されたC
1-6 アルキル;
(ii) オキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
2-6アルケニル;または
(iii) オキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
2-6アルキニル;または
(iv) 酸素もしくは窒素から選択される1つのヘテロ原子を有する飽和3〜4員複素環式環、前記環は、1〜2個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(v) 酸素もしくは窒素から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する飽和5〜6員複素環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(vi)
[この文献は図面を表示できません]
式中、各R、Q、ZおよびR
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(vii) 飽和3〜6員炭素環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(viii) 独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する部分不飽和3〜6員単環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(ix) 部分不飽和3〜6員炭素環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;
(x)
[この文献は図面を表示できません]
、式中、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xi) 独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する部分不飽和4〜6員複素環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xii)
[この文献は図面を表示できません]
式中、各RおよびR
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xiii) 0〜2個の窒素を有する6員芳香族環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
e基は、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xiv)
[この文献は図面を表示できません]
式中、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xv) 独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5員へテロアリール環、前記環は、1〜3個のR
e基で置換され、各R
e基は、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xvi)
[この文献は図面を表示できません]
式中、各RおよびR
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xvii) 8〜10員二環式飽和、部分不飽和の環、または独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、R
eは本明細書中で上述されるとおりである
から選択される;
(p) Lは、共有結合、-CH
2-、-NH-、-C(O)-、-CH
2NH-、-NHCH
2-、-NHC(O)-、-NHC(O)CH
2OC(O)-、-CH
2NHC(O)-、-NHSO
2-、-NHSO
2CH
2-、-NHC(O)CH
2OC(O)-または-SO
2NH-であり;Yは:
(i) オキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで置換されたC
1-6アルキル;または
(ii) オキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
2-6アルケニル;または
(iii) オキソ、ハロゲン、NO
2もしくはCNで任意に置換されたC
2-6アルキニル;または
(iv) 酸素もしくは窒素から選択される1つのヘテロ原子を有する飽和3〜4員複素環式環、前記環は、1〜2個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(v) 酸素もしくは窒素から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する飽和5〜6員複素環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(vi)
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式中、各R、Q、ZおよびR
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(vii) 飽和3〜6員炭素環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(viii) 独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する部分不飽和3〜6員単環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(ix) 部分不飽和3〜6員炭素環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;
(x)
[この文献は図面を表示できません]
、式中、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xi) 独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する部分不飽和4〜6員複素環式環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xii)
[この文献は図面を表示できません]
式中、各RおよびR
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xiii) 0〜2個の窒素を有する6員芳香族環、前記環は、1〜4個のR
e基で置換され、各R
e基は、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xiv)
[この文献は図面を表示できません]
式中、各R
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xv) 独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5員へテロアリール環、前記環は、1〜3個のR
e基で置換され、各R
e基は、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xvi)
[この文献は図面を表示できません]
式中、各RおよびR
eは、本明細書中で上述されるとおりである;または
(xvii) 8〜10員二環式飽和、部分不飽和の環または独立して窒素、酸素もしくは硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環、前記環は1〜4個のR
e基で置換され、R
eは、本明細書中で上述されるとおりである
から選択される。
【0174】
特定の態様において、Y基は、以下の表3に記載されるものから選択され、式中、各波線は、分子の残りに結合する点を示す。
【0175】
表3. 例示的なY基:
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式中、表2に示される各R
e基は、独立してハロゲンから選択される。
【0176】
特定の態様において、R
1は、-C≡CH、-C≡CCH
2NH(イソプロピル)、-NHC(O)C≡CCH
2CH
3、-CH
2-C≡C-CH
3、-C≡CCH
2OH、-CH
2C(O)C≡CH、-C(O)C≡CHまたは-CH
2OC(=O)C≡CHである。いくつかの態様において、R
1は、-NHC(O)CH=CH
2、-NHC(O)CH=CHCH
2N(CH
3)
2または-CH
2NHC(O)CH=CH
2から選択される。
【0177】
特定の態様において、R
1は、以下の表4に記載されるものから選択され、式中、各波線は、分子の残りに結合する点を示す。
【0178】
表4:例示的なR
1基
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式中、各R
eは、独立して適切な脱離基、NO
2、CNまたはオキソである。
【0179】
B. ZAP70インヒビター
一局面において、本発明は、式I-a、I-bまたはI-c:
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の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であり、式中:
Ra、Rb、Rc、RdおよびRfのそれぞれは、独立してR、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-Rまたは-C(O)NHRzから選択され;
Rgは、R、OR、ハロゲン、-CF
3、ならびにR、OR、ハロゲンもしくは-CF
3で任意に置換された5〜10員単環もしくは二環式、飽和、部分不飽和の環または独立して窒素、酸素および硫黄からなる群より選択される0〜3個のヘテロ原子を含むアリール環から選択され;
各Rは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各Rzは、独立して水素、脂肪族またはアリールであり;
X
1は、-NH-C(O)-または-C(O)-NH-であり;
環Aは、4〜10員単環もしくは二環式、飽和、部分不飽和の環、または独立して窒素、酸素および硫黄からなる群より選択される0〜3個のヘテロ原子を含むアリール環であり
R
1は、-L-Yである。基-L-Yは、本明細書中で、頭部の詳細な説明において記載される通りである。
【0180】
いくつかの態様において、Rbは、ピリミジニル環の5位に結合し、化合物は、式I-d、I-eまたはI-fのものである。
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【0181】
式I-a、I-b、I-c、I-d、I-eまたはI-fの化合物のいくつかの態様において、環Aは:
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からなる群より選択される。
【0182】
特定の態様において、R
1は、-L-Y部分がZAP70のCys 346に共有結合して、それにより酵素を不可逆的に阻害し得ることを特徴とする。
【0183】
典型的なZAP70化合物
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【0184】
C. FLT3インヒビター
他の局面において、本発明は式II-a、II-b、II-c又はII-dの化合物:
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又は薬学的に許容され得るその塩であり:
WyはN又はC-Rbであり;
WはN又はCHであり;
XはNH、CH
2、O又はSであり;
Ra及びRbのそれぞれは独立して、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRy、又は-C(O)NHRzから選ばれ;
R、Rx及びRyのそれぞれは独立して、水素、低級アルキル、低級ハロアルキル、又は低級シクロアルキルであり;
Rzのそれぞれは独立して、水素、脂肪族、又はアリールであり;
Zは水素又は可溶化基であり;
環Aは4〜10員の単環若しくは二環の、飽和、部分不飽和の環、又は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を含むアリール環であり;
R
1又はR
1’は-L-Yである(ただし、R
1が-L-Yの場合はR
1’はR、OR、ハロゲン、-CF
3-CN、-C≡C-R又は-C(O)NHRzであり、R
1’が-L-Yの場合はR
1はR、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R又は-C(O)NHRzである)。-L-Y基は頭部の詳細な説明において本明細書に記載されるとおりである。
【0185】
いくつかの態様において、化合物は式II-a、II-b、II-c又はII-dのものであり、Zは、メトキシプロピルアミノ、ジメチルアミノであるか、又は
[この文献は図面を表示できません]
からなる群より選択され、ここで、Rdは水素、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R又は-C(O)NHRzである。
【0186】
特定の態様において、化合物は式II-c又はII-dのものであり、環Aは:
[この文献は図面を表示できません]
からなる群より選択され、ここで、W’’及びW’’’は独立して窒素又は炭素原子である。これらの態様において、Zは、メトキシプロピルアミノ、ジメチルアミノであるか、又は
[この文献は図面を表示できません]
からなる群より選択され、ここで、Rdは水素、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R又は-C(O)NHRzである。
【0187】
特定の態様において、R
1は、FLT3(Cys828)及びMEK1(Cys207)から選択されるプロテインキナーゼ中のCys2残基に共有結合し、それによって酵素を不可逆的に阻害する能力を-L-Y部分が有することに特徴を有するものである。特定の態様において、R
1は、FLT3のCys828に共有結合し、それによって酵素を不可逆的に阻害する能力を-L-Y部分が有することに特徴を有するものである。
【0188】
典型的なFLT3インヒビター
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【0189】
D. PLKインヒビター
いくつかの局面において、本発明は式IIIの化合物
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又は薬学的に許容され得るその塩であり、
Ra及びRbは独立して、水素、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRy、又は-C(O)NRxRzから選ばれ;
R、Rx及びRyのそれぞれは独立して、水素、低級アルキル、低級ハロアルキル、又は低級シクロアルキルであり;
Rzのそれぞれは独立して、水素、脂肪族、又はアリールであり;
Xは二価のC
1-8の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖の炭化水素鎖であり、ここで、一つ、二つ又は三つのメチレン単位Lは任意にかつ独立して、シクロプロピレン、-NR-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、-N(R)SO
2-、-SO
2N(R)-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-C(=S)-、-C(=NR)-、-N=N-、又は-C(=N
2)-で置換され;
Zは、水素、低級アルキル、又は、N、S及びOから選択される0〜3個のヘテロ原子を含み、かつオキソ、低級アルキル、-O-低級アルキル、ハロゲン、及び-CF
3からなる群より選択される0〜3個の置換基を含む、5若しくは6員の飽和環、部分不飽和環又は芳香環であり;
W及びW
1は独立して、N又はCHであり;
WyはN又はC-Rcであり;
RcはR、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRy、-C(O)Rx又は-C(O)NRxRzであり;
R
1は-L-Yであり;
あるいは、Rc及びR
1はそれらと結合する原子と一緒になって5又は6員の部分不飽和環又は芳香環を形成し、該環はN、S及びOから選択される0〜3個のヘテロ原子を含み、かつ-L-Yと、オキソ、低級アルキル、-O-低級アルキル、ハロゲン及び-CF3からなる群より選択される2個以下の他の置換基で置換されている。
【0190】
-L-Y基は頭部の詳細な説明において本明細書に記載されるとおりである。
【0191】
いくつかの態様において、WyはN-Rcであり、WはCHであり、かつW
1はNである。
【0192】
いくつかの態様において、WyはN-Rcであり、RcとR
1は一緒になって
[この文献は図面を表示できません]
を形成し、
ここで、R’は、水素、低級アルキル又は3〜10員の単環若しくは二環の、飽和、部分不飽和の環、又は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環である。
【0193】
式IIIの化合物の任意の態様において、Zは
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であり得、ここで、W
2及びW
3は独立してCH又はNであり、そしてRf及びRdは独立して水素;R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRy、-C(O)Rx又は-C(O)NRxRzである。
【0194】
特定の態様において、R
1は、PLK1(Cys67)、PLK2(Cys96)及びPLK3(Cys76)から選択されるプロテインキナーゼ中のCys4残基に共有結合し、それによって酵素を不可逆的に阻害する能力を-L-Y部分が有することに特徴を有するものである。特定の態様において、R1は、PLK1のCys96に共有結合し、それによって酵素を不可逆的に阻害する能力を-L-Y部分が有することに特徴を有するものである。
【0195】
典型的なPLKインヒビター
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【0196】
E. FAKインヒビター
別の局面において、本発明は式IV:
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の化合物、又はその生理学的に許容され得る塩であって、ここで、
Ra、Rb及びRcは独立して、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRy、又は-C(O)NRxRzから選ばれ;
R、Rx及びRyのそれぞれは独立して、水素、低級アルキル、低級ハロアルキル、又は低級シクロアルキルであり;
Rzのそれぞれは独立して、水素、脂肪族、又はアリールであり;
R’は
[この文献は図面を表示できません]
であり、
WはCH又はNであり;
Rdは水素、低級アルキル、-O-低級アルキル、-CF
3、又はハロゲンであり;
Rvは-C(O)NRxRy、-N(Rx)C(O)Rz;-S(O)
2NRxRy、又は-N(Rx)S(O)
2Rzであり;
R
1は-T-L-Yであるか;あるいは
Ra及びR
1はそれらと結合する介在炭素原子と一緒になって5又は6員の部分不飽和環又は芳香環を形成し、該環はN、S及びOから選択される0〜3個のヘテロ原子を含み、かつ-L-Yと、オキソ、低級アルキル、-O-低級アルキル、ハロゲン、及び-CF3からなる群より選択される2個以下の他の置換基で置換され、
Tは存在しないか、又は3〜10員の単環若しくは二環の、飽和、部分不飽和の環、又は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環であり、該環は1〜4個のR
e基で任意に置換され;
R
eのそれぞれは独立して、-Q-Z、OH、オキソ、NO
2、ハロゲン、CN、適切な脱離基、又はオキソ、ハロゲン、NO
2、若しくはCNによって任意に置換されたC
1-6の脂肪族から選択され、ここで:
Qは共有結合又は二価のC
1-6の飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、ここで、一つ若しくは二つのメチレン単位Qは任意にかつ独立して、-N(R)-、-S-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-SO-、又は-SO
2-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、-N(R)SO
2-又は-SO
2N(R)-で置換され;
Zは水素か、又は、オキソ、ハロゲン、NO
2、若しくはCNによって任意に置換されたC
1-6の脂肪族である。
【0197】
-L-Y基は頭部の詳細な説明において本明細書に記載されるとおりである。
【0198】
いくつかの態様において、Ra及びR
1は一緒になって
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を形成する。
【0199】
いくつかの態様において、FAKインヒビターは式IVaの化合物:
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又は生理学的に許容され得るその塩であって、ここで、
環Aは、5若しくは6員の部分不飽和環、又はN、S及びOから選択される0〜3個のヘテロ原子を有する芳香環であり、-L-Yと、オキソ、低級アルキル、-O-低級アルキル、ハロゲン、及び-CF3からなる群より選択される二個以下の他の置換基で置換され;
Ra、Rb、Rc、R
1及びR’は式IVのように記述されるとおりである。
【0200】
他の態様において、FAKインヒビターは式IVbの化合物:
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、又は生理学的に許容され得るその塩であって、ここで、
Rfは、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRy、又は-C(O)NRxRzから選ばれ;
R、Rx及びRyのそれぞれは独立して、水素、低級アルキル、低級ハロアルキル、又は低級シクロアルキルであり;
Rzのそれぞれは独立して、水素、脂肪族、又はアリールであり;
環A及び環Bは独立して、5若しくは6員の飽和環、部分不飽和環、又はN、S及びOから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む芳香環であり;
L
2は存在しない、共有結合、二価のC
1-8の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖の炭化水素鎖であり、ここで、一つ、二つ又は三つのメチレン単位Lは任意にかつ独立して、シクロプロピレン、-NR-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、-N(R)SO
2-、-SO
2N(R)-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-C(=S)-、-C(=NR)-、-N=N-、又は-C(=N
2)-で置換される。L
2が存在しない場合、環A及び環Bは縮合するか又はスピロ原子を介して結合する。
【0201】
Ra、Rb、Rc、及びR’は式IVのように記述されるとおりである。
【0202】
R
1は-L-Yであり;そして-L-Y基は頭部の詳細な説明において本明細書に記載されるとおりである。
【0203】
いくつかの態様において、環A及びBは独立して、ピペリジン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、ピペラジン、ジオキサン、ジチアン、モルフォリン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ベンゼン、ピリジン、ピロール、チオフェンである。
【0204】
典型的なFAKインヒビター
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【0205】
F. JAK3インヒビター
別の局面において、本発明は式Vの化合物
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又は生理学的に許容され得るその塩であって、ここで、
Ra、Rb、Rc、Rd、及びRfは独立して、R、OR、ハロゲン及び-CF
3から選ばれ;
Rのそれぞれは独立して、水素、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6のアルケニル、C
1〜C
6のアルキニル、又は低級ハロアルキルであり;
R
1又はR
1’は-L-Yである(ただし、R
1が-L-Yの場合、R
1’は水素又は低級アルキルであり、R
1’が-L-Yの場合R
1は水素又は低級アルキルである)。
【0206】
-L-Y基は頭部の詳細な説明において本明細書に記載されるとおりである。
【0207】
いくつかの態様において、Ra、Rb、Rc、Rd及びRfはそれぞれ水素である。特定の態様において、R
1は-L-Yである。
【0208】
特定の態様において、R
1は、JAK3中のCys909に共有結合し、それによって酵素を不可逆的に阻害する能力を-L-Y部分が有することに特徴を有するものである。
【0209】
典型的なJAK-3インヒビター
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【0210】
G. JNKインヒビター
1. 式VI
他の局面において、本発明は式VIの化合物
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又は生理学的に許容され得るその塩であって、ここで、
Ra、Rb、Rc、Rd及びRfは独立して、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRy、及び-C(O)NHRzから選ばれ;
R、Rx及びRyのそれぞれは独立して、水素、低級アルキル、低級ハロアルキル、又は低級シクロアルキルであり;
Rzのそれぞれは独立して、水素、脂肪族、又はアリールであり;
環Aは、3〜10員の単環若しくは二環の、飽和、部分不飽和の環、又は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環であり;
Xは単結合又は二価のC
1〜C
6の飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、ここで、炭化水素鎖の任意に、一つ、二つ若しくは三つのメチレン単位は独立して、-NR-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-C(=S)-、-C(=NR)-、-N=N-、又は-C(=N
2)-によって置換され;
X
1は単結合であるか、又は二価の、3〜10員の単環、二環、飽和若しくは部分不飽和の環、又は窒素、酸素、及び硫黄からなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を含むアリール環であり;
R
1は-L-Yである。-L-Y基は頭部の詳細な説明において本明細書に記載されるとおりである。
【0211】
いくつかの態様において、X
1は二価の六員環であり、R1は、Xと結合する環の原子とパラの位置で結合する。本態様の特定の例において、X
1は
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である。
【0212】
ここで、*はXとの結合点を示し、**はR
1との結合点を示す。
【0213】
いくつかの態様において、X及びX
1の両者は単結合であり、環Aは
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0214】
特定の態様において、R
1は、JNK1(Cys116)、JNK2(Cys116)、及びJNK3(Cys154)から選択されるプロテインキナーゼ中のCys5残基に共有結合し、それによって酵素を不可逆的に阻害する能力を-L-Y部分が有することに特徴を有するものである。特定の態様において、R
1は、JNK1のCys116に共有結合し、それによって酵素を不可逆的に阻害する能力を-L-Y部分が有することに特徴を有するものである。
【0215】
典型的な式VIのJNKインヒビター
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【0216】
2. 式VII
別の局面において、本発明は式VIIの化合物
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又は薬学的に許容され得るその塩であり、ここで
nは一、二又は三であり;
Ra、Rb、Rc及びRdは独立して、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRy、及び-C(O)NHRzから選ばれ;
R、Rx及びRyのそれぞれは独立して、水素、低級アルキル、低級ハロアルキル、又は低級シクロアルキルであり;
Rzのそれぞれは独立して、水素、脂肪族、又はアリールであり;
R’及びR’’は独立して、水素又はハロゲンであり;
Xは単結合であるか、又は
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からなる群より選択され、
X
1はO、NH又はSであり;
WはCH
2又はNHであり;
R
1は-L-Yである。-L-Y基は頭部の詳細な説明において本明細書に記載されるとおりである。
【0217】
いくつかの態様において、Ra、Rb及びRcは水素であり、Rdはメチルであり、Xは
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である。
【0218】
特定の態様において、R
1は、JNK1(Cys116)、JNK2(Cys116)、及びJNK3(Cys154)から選択されるプロテインキナーゼ中のCys5残基に共有結合し、それによって酵素を不可逆的に阻害する能力を-L-Y部分が有することに特徴を有するものである。特定の態様において、R
1は、JNK1のCys116に共有結合し、それによって酵素を不可逆的に阻害する能力を-L-Y部分が有することに特徴を有するものである。
【0219】
典型的な式VIIのJNKインヒビター
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【0220】
3. 式VIII
別の局面において、本発明は式VIIIの化合物
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又は薬学的に許容され得るその塩であり、ここで、
n及びn
1は独立して、零、一、二、三又は四であり;
Ra、Rb、及びRcは独立して、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRy、及び-C(O)NHRzから選ばれ;
R、Rx及びRyのそれぞれは独立して、水素、低級アルキル、低級ハロアルキル、又は低級シクロアルキルであり;
Rzのそれぞれは独立して、水素、脂肪族、又はアリールであり;
R’はハロゲンであり;
X
1及びZ
1は独立して-N(Ry)-C(O)-、-C(O)-N(Ry)-であり;
Z
2は単結合か、あるいは、4〜10員の単環若しくは二環の、飽和、部分不飽和の環、又は窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環であり;
R
1は-L-Yである。-L-Y基は頭部の詳細な説明において本明細書に記載されるとおりである。
【0221】
いくつかの態様において、R’はクロロでありRa、Rb及びRcはそれぞれ水素である。
【0222】
いくつかの態様において、X
1は-N(Ry)-C(O)-であり、nは三であり、Ry及びRzの両者はメチルである。さらなる態様において、Z
1は-C(O)-N(Ry)-であり、n
1は零であり、Z
2は、5若しくは6員の単環の飽和環か、又は窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環である。別の態様において、Z
1は-C(O)-N(Ry)-であり、Z
2は単結合である.
【0223】
特定の態様において、R
1は、JNK1(Cys116)、JNK2(Cys116)、及びJNK3(Cys154)から選択されるプロテインキナーゼ中のCys5残基に共有結合し、それによって酵素を不可逆的に阻害する能力を-L-Y部分が有することに特徴を有するものである。特定の態様において、R
1は、JNK1のCys116に共有結合し、それによって酵素を不可逆的に阻害する能力を-L-Y部分が有することに特徴を有するものである。
【0224】
典型的な式VIIIのJNKインヒビター
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【0225】
4. 式IXおよびIX-a
別の局面において、本発明は、式IXまたはX
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の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩であり、式中
Ra、Rb、Rc、Rd、RfおよびRgは、独立してR、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRyおよび-C(O)NHRzから選択され;
各R、RxおよびRyは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各Rzは、独立して水素、脂肪族またはアリールであり;
R’はハロゲンであり;
Xは、共有結合であるか、または二価のC
1-8飽和もしくは不飽和、直鎖もしくは分岐炭化水素鎖であり、ここでLの1、2または3個のメチレン単位は、任意にかつ独立してシクロプロピレン、-NR-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、-N(R)SO
2-、-SO
2N(R)-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-C(=S)-、-C(=NR)-、-N=N-または-C(=N
2)-により置き換えられ;
環Aは、3〜10員の単環式もしくは二環式、飽和、部分不飽和の環、または窒素、酸素および硫黄からなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を含むアリール環であり;
R
1は、-L-Yである。基-L-Yは、本明細書において、頭部(warhead)の詳細な説明に記載される通りである。
【0226】
いくつかの態様において、該化合物は、式IXの化合物であり、式中R'はフッ素であり、Raはメトキシであり、Rb、Rc、RdおよびRfはそれぞれ水素である。
【0227】
他の態様において、該化合物は式IX-aの化合物であり、式中R'はフッ素であり、Raはメトキシであり、Rb、Rc、RdおよびRfはそれぞれ水素であり、環Aは6員芳香族環である。
【0228】
特定の態様において、R
1は、-L-Y部分がJNK1 (Cys 116)、JNK2 (Cys 116)およびJNK3 (Cys 154)から選択されるプロテインキナーゼ中のCys5残基に共有結合でき、それにより酵素を不可逆的に阻害することを特徴とする。特定の態様において、R
1は、-L-Y基がJNK1のCys 116に共有結合し得、それにより酵素を不可逆的に阻害することを特徴とする。
【0229】
例示的なJNKインヒビターまたは式IXもしくはIX-a
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【0230】
5. 式XおよびX-a
別の局面において、本発明は、式Xまたは式X-a
[この文献は図面を表示できません]
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であり、式中
nは1、2または3であり;
Ra、Rb、Rc、RdおよびRfは、独立してR、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRyおよび-C(O)NHRzから選択され;
各R、RxおよびRyは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各Rzは、独立して水素、脂肪族またはアリールであり;
R'はハロゲンであり;
Xは、-C(O)NRx-または-NRx-C(O)-であり;
環Aは、4〜10員、単環式もしくは二環式、飽和、部分不飽和の環、または窒素、酸素および硫黄からなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を含むアリール環であり;
R
1は、-L-Yである。基-L-Yは、本明細書において、頭部の詳細な説明に記載される通りである。
【0231】
他の態様において、化合物は式Xの化合物であり、式中R1はフッ素であり、Ra、Rb、RcおよびRdはそれぞれ水素である。
【0232】
他の態様において、該化合物は式X-aの化合物であり、式中R'はフッ素であり、Ra、Rb、RcおよびRdはそれぞれ水素であり、環Aは6員芳香族環である。
【0233】
特定の態様において、R
1は、-L-Y部分がJNK1 (Cys 116)、JNK2 (Cys 116)およびJNK3 (Cys 154)から選択されるプロテインキナーゼ中のCys5残基に共有結合し得、それにより酵素を不可逆的に阻害することを特徴とする。特定の態様において、R
1は、-L-Y部分がJNK1のCys 116に共有結合し得、それにより酵素を不可逆的に阻害することを特徴とする。
【0234】
式XおよびX-aの例示的なJNKインヒビター。
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【0235】
6. 式XI
別の局面において、本発明は、式XI
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の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であり、式中
Ra、Rb、RcおよびRdは、独立してR、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRyおよび-C(O)NHRzから選択され;
各R、RxおよびRyは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各Rzは、独立して水素、脂肪族またはアリールであり;
Xは、-C(O)NRx-または-NRx-C(O)-であり;
R
1は、-L-Yである。基-L-Yは、本明細書において、頭部の詳細な説明に記載される通りである。
【0236】
いくつかの態様において、Xは-C(O)NRxであり、Ra、Rb、RcおよびRdは水素である。
【0237】
特定の態様において、R
1は、-L-Y部分がJNK1 (Cys 116)、JNK2 (Cys 116)およびJNK3 (Cys 154)から選択されるプロテインキナーゼ中のCys5残基に共有結合し得、それにより酵素を不可逆的に阻害することを特徴とする。特定の態様において、R
1は、-L-Y部分がJNK1のCys 116に共有結合し得、それにより酵素を不可逆的に阻害することを特徴とする。
【0238】
式XIの例示的なJNKインヒビター
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0239】
7. 式XIIおよびXII-a
別の局面において、本発明は、式XIIまたはXII-a
[この文献は図面を表示できません]
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であり、式中
Ra、RbおよびRcは、独立してR、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRyおよび-C(O)NHRzから選択され;
各R、RxおよびRyは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各Rzは、独立して水素、脂肪族またはアリールであり;
R'は、ハロゲンであり;
Xは、-C(O)NRx-または-NRx-C(O)-であり;
環Aは、4〜10員、単環式もしくは二環式、飽和、部分不飽和の環、または窒素、酸素および硫黄からなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を含むアリール環であり;
R
1は、-L-Yである。基-L-Yは、本明細書において、頭部の詳細な説明に記載される通りである。
【0240】
いくつかの態様において、化合物は式XIIの化合物であり、環Aは、
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0241】
本態様のさらなる例においてR'はフッ素であり、Xは-C(O)NRx-であり、Ra、RbおよびRcは水素である。
【0242】
他の態様において、化合物は式XII-aの化合物であり、式中R'はフッ素であり、Xは-C(O)NRx-であり、RbおよびRcは水素である。
【0243】
特定の態様において、R
1は、-L-Y部分がJNK1 (Cys 116)、JNK2 (Cys 116)およびJNK3 (Cys 154)から選択されるプロテインキナーゼ中のCys5残基に共有結合し得、それにより酵素を不可逆的に阻害することを特徴とする。特定の態様において、R
1は、-L-Y部分がJNK1のCys 116に共有結合し得、それにより酵素を不可逆的に阻害することを特徴とする。
【0244】
式XIIおよびXII-aの例示的なJNKインヒビター
[この文献は図面を表示できません]
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【0245】
H. RONインヒビター
1. 式XIII-aおよびXIII-b
別の局面において、本発明は、式XIII-aまたはXIII-b
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の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であり、式中
Ra、Rb、RcおよびRdは、独立してR、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRyおよび-C(O)NHRzから選択され;
各R、RxおよびRyは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各Rzは、独立して水素、脂肪族またはアリールであり;
R
2は、水素、任意に置換されたアリールまたは任意に置換されたヘテロアリールであり;
Xは、結合であるかまたは二価のC
1-C
6飽和もしくは不飽和、直鎖もしくは分岐炭化水素鎖であり、該炭化水素鎖の任意に1、2または3個のメチレン単位は、独立して-NR-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-C(=S)-、-C(=NR)-、-N=N-または-C(=N
2)-により置き換えられ;
環Aは、4〜10員、単環式もしくは二環式、飽和、部分不飽和の環、または窒素、酸素および硫黄からなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を含むアリール環であり;
R
1は、-L-Yである。基-L-Yは、本明細書において、頭部の詳細な説明に記載される通りである。
【0246】
好ましくは、式XIII-aまたは式XIII-bの化合物において、XおよびR
1を含む部分は、式XIII-aおよびXIII-bに示されるように、キノリン環系の6、7または8位に結合する。より好ましくは、XおよびR
1を含む部分は、化合物が式XIII-cまたはXIII-dの化合物であるように、キノリン環系の7位に結合する。
[この文献は図面を表示できません]
【0247】
式XIII-a、XIII-b、XIII-cまたはXIII-dの化合物のいくつかの態様において、Xは、結合、-O-、-NH-、-S-、-O-CH
2-C≡C-、-NH-CH
2-C≡C-または-S-CH
2-C≡C-である。
【0248】
式XIII-a、XIII-b、XIII-cまたはXIII-dの化合物のいくつかの態様において、R
2は、フェニルまたはRfで置換されたフェニルであり、式中、Rfは、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRyおよび-C(O)NHRzから選択され;
各R、RxおよびRyは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各Rzは、独立して水素、脂肪族またはアリールである。
【0249】
いくつかの態様において、化合物は、式XIII-dの化合物であり、式中、Xは-O-であり、環Aは、
[この文献は図面を表示できません]
から選択される。
【0250】
特定の態様において、R
1は、-L-Y部分がRON (Cys 1165)のCys11残基に共有結合し得、それにより酵素が不可逆的に阻害されることを特徴とする。
【0251】
式XIII-aおよびXIII-bの例示的なRonインヒビター
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【0252】
2. 式XIV
他の局面において、本発明は、式XIV
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XIV
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であり、式中
RaおよびRbは、独立してR、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRyおよび-C(O)NHRzから選択され;
各R、RxおよびRyは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各Rzは、独立して水素、脂肪族またはアリールであり;
R
2は、水素、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり;
Xは、結合であるか、または二価のC
1-C
6、飽和もしくは不飽和、直鎖もしくは分岐の炭化水素鎖であり、該炭化水素鎖の任意に1、2または3個のメチレン単位は、独立して-NR-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-C(=S)-、-C(=NR)-、-N=N-または-C(=N
2)-により置き換えられ;
R
1は、-L-Yである。基-L-Yは、本明細書において、頭部の詳細な説明に記載される通りである。
【0253】
いくつかの態様において、RaおよびRbは共に、水素であり、R
2は、フェニルまたはRcで置換されたフェニルであり、式中、Rcは、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRyおよび-C(O)NHRzから選択され;
各R、RxおよびRyは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各Rzは、独立して水素、脂肪族またはアリールである。特定の態様において、R
2はフェニルである。
【0254】
いくつかの態様において、Xは、-O-CH
2-CH
2-O-、-O-(CH
2)
3-または-O-(CH
2)
2-C(CH
3)
2-である。
【0255】
特定の態様において、R
1は、-L-Y部分がRON (Cys 1165)のCys11残基に共有結合し得、それにより酵素を不可逆的に阻害することを特徴とする。
【0256】
式XIVの例示的なRONインヒビター
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【0257】
3. 式XV
他の局面において、本発明は、式XV
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の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であり、式中、
Ra、Rb、RcおよびRdは、独立してR、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRyおよび-C(O)NHRzから選択され;
各R、RxおよびRyは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各Rzは、独立して水素、脂肪族またはアリールであり;
R
2は、水素、任意に置換されたアリールまたは任意に置換されたヘテロアリールであり;
R
3およびR
4は、独立してR、OR、-OHまたはハロゲンであり;
R'はハロゲンであり;
Xは、結合であるか、または二価のC
1-C
6、飽和もしくは不飽和、直鎖もしくは分岐の炭化水素鎖であり、該炭化水素鎖の任意に1、2または3個のメチレン単位は、独立して-NR-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-C(=S)-、-C(=NR)-、-N=N-または-C(=N
2)-により置き換えられ;
R
1は-L-Yである。基-L-Yは、本明細書において、頭部の詳細な説明に記載される通りである。
【0258】
いくつかの態様において、R
2は、フェニルまたはRfで置換されたフェニル、R''、またはRfおよびR''であり、式中、Rfは、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRyおよび-C(O)NHRzから選択され;
各R、RxおよびRyは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各Rzは、独立して水素、脂肪族またはアリールであり;
R''はハロゲンである。例えばいくつかの態様において、R
2は、p-フルオロフェニル、p-クロロフェニル、p-ブロモフェニルまたはp-ヨードフェニルなどのp-ハロフェニルである。
【0259】
いくつかの態様において、Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ水素であり、R''はフッ素である。
【0260】
いくつかの態様において、R
3およびR
4は、それぞれ水素である。
【0261】
特定の態様において、R
1は、-L-Y部分がRON (Cys1165)のCys11残基に共有結合し得、それにより酵素を不可逆的に阻害することを特徴とする。
【0262】
式XVの例示的なRonインヒビター
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【0263】
4. 式XVI
他の局面において、本発明は、式XVI
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の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であり、式中
RaおよびRbは、独立してR、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRyおよび-C(O)NHRzから選択され;
各R、RxおよびRyは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各Rzは、独立して水素、脂肪族またはアリールであり;
R
2は、水素、任意に置換されたアリールまたは任意に置換されたヘテロアリールであり;
R
3およびR
4は、独立して水素、R、OR、-OHまたはハロゲンであり;
R'はハロゲンであり;
R''およびR'''は、独立してR、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRyおよび-C(O)NHRzから選択され;
Xは、結合であるか、または二価のC
1-C
6、飽和もしくは不飽和、直鎖もしくは分岐の炭化水素鎖であり、該炭化水素鎖の任意に1、2または3個のメチレン単位は、独立して-NR-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-C(=S)-、-C(=NR)-、-N=N-または-C(=N
2)-により置き換えられ;
R
1は-L-Yである。基-L-Yは、本明細書において、頭部の詳細な説明に記載される通りである。
【0264】
いくつかの態様において、R
2は、フェニルまたはRcで置換されたフェニル、R''''で置換されたフェニルもしくはRcおよびR''''で置換されたフェニルであり、式中、Rcは、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRyおよび-C(O)NHRzから選択され;
各R、RxおよびRyは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各Rzは、独立して水素、脂肪族またはアリールであり;
R''''は、ハロゲンである。例えばいくつかの態様において、R
2は、p-フルオロフェニル、p-クロロフェニル、p-ブロモフェニルまたはp-ヨードフェニルなどのp-ハロフェニルである。
【0265】
いくつかの態様において、RaおよびRbはそれぞれ水素であり、R'はフッ素である。
【0266】
いくつかの態様においてR
3およびR
4はそれぞれ水素である。
【0267】
特定の態様において、化合物は、式XV1-bまたはXVI-c
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の化合物であり、式中Ra、Rb、Rc、XおよびR
1は、式XVIにおいて規定されたとおりである。いくつかの態様において、Ra、RbおよびRcはそれぞれ水素である。
【0268】
特定の態様において、R
1は、-L-Y部分がRON (Cys 1165)のCys11残基に共有結合し得、それにより酵素を不可逆的に阻害することを特徴とする。
【0269】
式XVIの例示的なRonインヒビター。
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【0270】
5. 式XVII
他の局面において、本発明は、式XVII
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の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であり、式中、
Ra、RbおよびRcは、独立してR、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRyおよび-C(O)NHRzから選択され;
各R、RxおよびRyは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各Rzは、独立して水素、脂肪族またはアリールであり;
R
2は、水素、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級シクロアルキル、任意に置換されたアリールまたは任意に置換されたヘテロアリールであり;
R'およびR''は、独立して水素または低級アルキルであり;
Xは、結合であるか、または二価のC
1-C
6、飽和もしくは不飽和、直鎖もしくは分岐の炭化水素鎖であり、該炭化水素鎖の任意の1、2または3個のメチレン単位は、独立して-NR-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-C(=S)-、-C(=NR)-、-N=N-または-C(=N
2)-により置き換えられ;
R
1は、-L-Yである。基-L-Yは、本明細書において、頭部の詳細な説明に記載される通りである。
【0271】
いくつかの態様において、R
2は、フェニルまたはRdで置換されたフェニル、RdおよびR'''またはR'''であり、式中、Rdは、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRyおよび-C(O)NHRzから選択され;
各R、RxおよびRyは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各Rzは、独立して水素、脂肪族またはアリールであり;
R'''は、ハロゲンである。例えばいくつかの態様において、R2は、m-クロロフェニル、m-フルオロフェニル、m-ブロモフェニルまたはm-ヨードフェニルなどのm-ハロフェニルである。
【0272】
いくつかの態様において、R'およびR''は両方メチルである。
【0273】
いくつかの態様において、Ra、RbおよびRcはそれぞれ水素である。
【0274】
特定の態様において、R
1は、-L-Y部分がRON (Cys 1165)のCys11残基に共有結合し得、それにより酵素を不可逆的に阻害することを特徴とする。
【0275】
式XVIIの例示的なRonインヒビター
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【0276】
I. C-KIT、PDGFR、CSF1R、FLT3、KDRインヒビター
1. 式XVIII
他の局面において、本発明は、式XVIII
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の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であり、式中
Ra、RbおよびRcは、独立して水素、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-O-CF3、-CN、-C≡C-R、-NRxRy、-C(O)NHRzおよび3〜10員、単環式もしくは二環式、飽和、部分不飽和の環、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環から選択され、該環は、1〜4個のRで置換され;
各R、RxおよびRyは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各Rzは、独立して水素、脂肪族またはアリールであり;
Xは、-C(O)-NRxRy-または-NRxRy-C(O)-Rzであり;
R
1またはR
1'は、-L-Yであり;R
1が-L-Yであるとすると、R
1'は、水素、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRy、-C(O)NHRzおよび3〜10員の単環式もしくは二環式、飽和、部分不飽和の環または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環から選択され、該環は、1〜4個のRで置換され;R
1'が-L-Yである場合、R
1は、水素、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRy、-C(O)NHRzおよび3〜10員の単環式もしくは二環式、飽和、部分不飽和の環、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環から選択され、該環は、1〜4個のRで置換される。
【0277】
基-L-Yは、本明細書において、頭部の詳細な説明に記載される通りである。
【0278】
いくつかの態様において、R
1は-L-Yである。
【0279】
好ましい態様において、R
1'は-L-Yであり、R
1はCF
3である。
【0280】
いくつかの態様において、Ra、RbおよびRcはそれぞれ水素である。
【0281】
いくつかの態様において、Xは-C(O)-NRxRyであり、Rxは水素であり、Ryはメチルである。
【0282】
特定の態様において、R
1またはR
1'は、-L-Y部分がC-KIT、PDGFR、CSF1R、FLT3および/またはKDRのCys1残基に共有結合し得、それにより酵素を不可逆的に阻害することを特徴とする。
【0283】
式XVIIIの例示的なインヒビター
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【0284】
J. c-KIT、PDGFRインヒビター
1. 式XIX
他の局面において、本発明は、式XIX
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XIX
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であり、式中
RaおよびRbは、独立して水素、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-O-CF3、-CN、-C≡C-R、-NRxRy、-C(O)NHRz、および3〜10員の単環式もしくは二環式、飽和、部分不飽和の環、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環から選択され、該環は、1〜4個のRで置換され;
各R、RxおよびRyは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各Rzは、独立して水素、脂肪族またはアリールであり;
Xは、-C(O)-NRxRyまたは-NRx-C(O)-Rzであり;
Wは、O、NHまたはN-Rcであり;
Rcは、水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
R
1またはR
1'は、-L-Yであり;R1が-L-Yであるとすると、R
1'は、水素、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRy、-C(O)NHRz、および3〜10員の単環式もしくは二環式、飽和、部分不飽和の環、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環から選択され、該環は、1〜4個のRで置換され;R
1'が-L-Yである場合、R
1は、水素、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRy、-C(O)NHRz、および3〜10員の単環式もしくは二環式、飽和、部分不飽和の環、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環から選択され、該環は、1〜4個のRで置換される。
【0285】
基-L-Yは、本明細書において、頭部の詳細な説明に記載される通りである。
【0286】
特定の態様において、化合物は、式XIX-a、XIX-bまたはXIX-c
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の化合物である。式中X、Ra、Rb、Rc、R
1およびR
1'は、式XIXに規定されるとおりである。好ましくは、式XIX-a、XIX-bおよびXIX-cの化合物において、Xは、-C(O)-NRxRyであり、式中、Rxは水素であり、Ryはメチルである。
【0287】
式XIX-aまたはXIX-bの化合物のいくつかの態様において、RaおよびRbは、それぞれ水素である。式XIX-cのいくつかの態様において、RaおよびRbは、それぞれ水素であり、Rcはメチルである。
【0288】
特定の態様において、R
1またはR
1'は、-L-Y部分がc-KITおよび/またはPDGFRのCys 1残基に共有結合し得、それにより酵素を不可逆的に阻害することを特徴とする。
【0289】
式XIXの例示的な化合物
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【0290】
2. 式XX
他の局面において、本発明は、式XX
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の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であり、式中
Ra、Rb、RcおよびRdは、独立して水素、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-O-CF3、-CN、-C≡C-R、-NRxRy、-C(O)NHRzおよび3〜10員の単環式もしくは二環式、飽和、部分不飽和の環、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環から選択され、該環は、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級シクロアルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、低級シクロアルコキシ、-CF
3、-O-CF3、-CN、-C≡C-R、-NRxRyおよび-C(O)NHRzから選択される1〜4個の置換基で任意に置換され;
各R、RxおよびRyは、独立して水素、低級アルキル、低級ハロアルキルまたは低級シクロアルキルであり;
各Rzは、独立して水素、脂肪族またはアリールであり;
Xは、-C(O)-NRxRyまたは-NRx-C(O)-Rzであり;
あるいはRaおよびXは、それらが結合する原子と一緒になって、Rf、Rf1、Rf2およびRf3の1つ以上で任意に置換されたベンゾ環を形成し;
Rf、Rf1、Rf2およびRf3は、独立して低級アルキル、低級ハロアルキル、低級シクロアルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、低級シクロアルコキシ、-CF
3、-O-CF3、-CN、-C≡C-R、-NRxRyおよび-C(O)NHRzから選択され;
R
1またはR
1'は、-L-Yであり;R
1が-L-Yであるとする場合、R
1'は、水素、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRy、-C(O)NHRz、および3〜10員の単環式もしくは二環式、飽和、部分不飽和の環、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環から選択され、該環は1〜4個のRで任意に置換され、R
1'が-L-Yである場合、R
1は、水素、R、OR、ハロゲン、-CF
3、-CN、-C≡C-R、-NRxRy、-C(O)NHRz、および3〜10員の単環式もしくは二環式、飽和、部分不飽和の環、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有するアリール環から選択され、該環は、1〜4個のRで任意に置換される。
基-L-Yは、本明細書において、頭部の詳細な説明に記載される通りである。
【0291】
いくつかの態様において、Xは-C(O)NRxRyであり、Rxは水素であり、Ryはメチルである。
【0292】
いくつかの態様において、Ra、Rb、RcおよびRdはそれぞれ水素である。
【0293】
いくつかの態様において、R
1が-L-YでありR1'がCF3であるか、またはR1がCF
3でありR
1'が-L-Yである。
【0294】
いくつかの態様において、XおよびRaは、それらが結合する原子と一緒になって、置換されたベンゾ環を形成し、該化合物は、式
[この文献は図面を表示できません]
を有する。式中Rf、Rf1、Rb、Rc、Rd、R
1およびR
1'は、式XXにおいて記載される通りである。
【0295】
式XX-aのいくつかの態様において、RfおよびRf1は両方メトキシである。他の態様において、Rb、RcおよびRdはそれぞれ水素である。いくつかの態様において、R1が-L-YでありR
1'がCF
3であるか、またはR
1がCF
3でありR
1'が-L-Yである。
【0296】
特定の態様において、R
1は、-L-Y部分がc-KITおよび/またはPDGFのCys1残基に共有結合し得、それにより酵素を不可逆的に阻害することを特徴とする。
【0297】
式XXの例示的な化合物
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【0298】
4. 使用、調製および投与
A. 薬学的に許容され得る組成物
別の態様によると、本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る誘導体および薬学的に許容され得る担体、アジュバントまたはビヒクルを含む組成物を提供する。本発明の組成物中の化合物の量は、標的プロテインキナーゼ、特にZAP70、FLT3、PLK、FAK、JAK3、JNK、RONまたはそれらの変異体の少なくとも1つを、生物学的試料または患者中で測定可能に阻害するのに有効である。特定の態様において、本発明の組成物中の化合物の量は、ZAP70、FLT3、PLK、FAK、JAK3、JNK、RON、またはそれらの変異体の少なくとも1つを、生物学的試料または患者中で測定可能に阻害するのに有効である。特定の態様において、本発明の組成物は、かかる組成物を必要とする患者への投与のために調製される。いくつかの態様において、本発明の組成物は、患者への経口投与のために調製される。
【0299】
用語「患者」は、本明細書で使用する場合、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0300】
用語「薬学的に許容され得る担体、アジュバント、またはビヒクル」は、化合物と共に調製した場合に化合物の薬理学的活性を損なわない非毒性の担体、アジュバントまたはビヒクルのことをいう。本発明の組成物に使用され得る薬学的に許容され得る担体、アジュバントまたはビヒクルとしては、限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝化物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩などの塩または電解質、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。
【0301】
「薬学的に許容され得る誘導体」は、レシピエントへの投与時に、直接または間接的に、本発明の化合物または阻害活性代謝産物またはその残渣を提供し得る任意の非毒性塩、エステル、エステルの塩または本発明の化合物の他の誘導体を意味する。
【0302】
本明細書で使用する場合、用語「阻害活性代謝産物またはその残渣」は、代謝産物またはその残渣がZAP70、FLT3、PLK、FAK、JAK3、JNK、RONまたはそれらの変異体の少なくとも1つのインヒビターでもあることを意味する。
【0303】
本発明の組成物は、経口的、非経口的、吸入スプレーにより、局所的、経直腸的、経鼻的、口内的、経膣的または埋め込みレザバーを介して投与され得る。用語「非経口」は、本明細書で使用する場合、皮下、静脈内、筋内、関節内、滑膜内、胸骨内、鞘内、肝臓内、病変内および頭蓋内の注射または注入技術を含む。好ましくは、該組成物は、経口、腹腔内または静脈内で投与される。本発明の組成物の滅菌注射可能形態は、水性または油性の懸濁物であり得る。これらの懸濁物は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、当該技術分野に公知の技術にしたがって調製され得る。滅菌注射可能調製物は、非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒中の滅菌注射可能な溶液または懸濁物、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液などであり得る。許容され得るビヒクルおよび溶媒の中で、使用され得るものは、水、リンガー液および等張塩化ナトリウム溶液である。また、溶媒または懸濁媒体として滅菌固定油が慣例的に使用される。
【0304】
この目的のために、合成モノ-またはジ-グリセリドなどの任意の低刺激固定油が使用され得る。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、オリーブ油またはヒマシ油、特にそれらのポリオキシエチル化型などの天然の薬学的に許容され得る油であるので、注射物の調製に有用である。これらの油溶液または懸濁物はまた、エマルジョンおよび懸濁液などの薬学的に許容され得る投薬形態の調製に一般的に使用される、カルボキシメチルセルロースなどの長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤、または同様の分散剤を含み得る。薬学的に許容され得る固体、液体または他の投薬形態の製造において他の一般的に使用されるTween、Spanなどの界面活性剤および一般的に使用される他の乳化剤またはバイオアベイラビリティ促進剤も調製のために使用され得る。
【0305】
本発明の薬学的に許容され得る組成物は、限定されないがカプセル剤、錠剤、水性懸濁物または溶液などの任意の経口的に許容され得る投薬形態で経口投与され得る。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用される担体としては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑剤も、典型的に添加される。カプセル形態での経口投与について、有用な希釈剤としてはラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。経口使用のために水性懸濁物が必要な場合、活性成分は、乳化剤および懸濁剤と合わされる。所望の場合、特定の甘味料、矯味矯臭剤または着色剤も添加され得る。
【0306】
代替的に、本発明の薬学的に許容され得る組成物は、経直腸投与のために坐剤の形態で投与され得る。これは、室温で固体であるが直腸温度では液体であるために直腸で溶解して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と、薬剤を、混合することで調製され得る。かかる物質としては、ココアバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0307】
本発明の薬学的に許容され得る組成物はまた、特に治療の標的が、目、皮膚または下部腸管の疾患などの局所的投与により容易に接触可能な領域または器官を含む場合にも局所投与され得る。適切な局所製剤は、これらの領域または器官のそれぞれについて容易に調製される。
【0308】
下部腸管についての局所適用は、直腸坐剤製剤(上述参照)または適切な浣腸製剤中で有効であり得る。局所-経皮パッチも使用され得る。
【0309】
局所適用のために、提供された薬学的に許容され得る組成物は、1つ以上の担体中に懸濁または溶解された活性成分を含む適切な軟膏中に調製され得る。本発明の化合物の局所投与のための担体としては、限定されないが、鉱物油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化剤ワックスおよび水が挙げられる。代替的に、提供された薬学的に許容され得る組成物は、1つ以上の薬学的に許容され得る担体中に懸濁または溶解された活性成分を含む適切なローションまたはクリーム中に調製され得る。適切な担体としては限定されないが、鉱物油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられる。
【0310】
眼用使用のために、提供された薬学的に許容され得る組成物は、等張性pH調整滅菌食塩水中の微小化懸濁物として、好ましくは等張性pH調整滅菌食塩水中の溶液として、塩化ベンジルアルコニウムなどの保存剤ありまたはなしのいずれかで調製され得る。代替的に、眼用使用のために、薬学的に許容され得る組成物は、ワセリンなどの軟膏中に調製され得る。
【0311】
本発明の薬学的に許容され得る組成物は、鼻腔エーロゾルまたは吸入によっても投与され得る。かかる組成物は、医薬製剤の技術分野において周知の技術により調製され、ベンジルアルコールまたは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティを高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を使用して、食塩水中の溶液として調製され得る。
【0312】
最も好ましくは、本発明の薬学的に許容され得る組成物は、経口投与のために調製される。
【0313】
担体物質と合わせて単一投薬形態中の組成物を生成し得る本発明の化合物の量は、治療される宿主、特定の投与形態に応じて変化する。好ましくは、提供される組成物は、0.01〜100mg/体重kg/日のインヒビターの投薬量がこれらの組成物を受ける患者に投与され得るように調製される。
【0314】
任意の特定の患者のための具体的な投薬量および治療養生法は、種々の要因、例えば使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、排出速度、薬物組合せおよび主治医の判断ならびに治療される具体的な疾患の重症度に応じて変化することが理解される。組成物中の本発明の化合物の量は、組成物中の具体的な化合物にも依存する。
【0315】
B. 化合物および薬学的に許容され得る組成物の使用
本明細書に記載される化合物および組成物は、一般的に、1つ以上の酵素のプロテインキナーゼ活性の阻害に有用である。該化合物はまた、例えば不可逆的インヒビターを使用した治療の有効性を評価するためのバイオマーカーとして使用され得る、本明細書に記載されるようなコンジュゲートを形成するためにも使用され得る。該化合物はまた、画像化剤、例えば医学的画像化剤としても使用され得る。検出可能部分または標識を含む化合物は、標的プロテインキナーゼに結合し得、形成されたコンジュゲートの存在または局在を検出するために使用され得る。適切な検出可能部分および標識が本明細書に記載される。
【0316】
薬物耐性は、標的化治療について非常に困難なものとして出現している。例えば、薬物耐性は、グリーベック(登録商標)およびイレッサ(登録商標)、ならびにいくつかの他の開発中のキナーゼインヒビターについて報告されている。また薬物耐性は、cKitおよびPDGFR受容体について報告されている。不可逆的インヒビターは、プロテインキナーゼの薬物耐性形態に対して有効であり得ることが報告されている(Kwak, E. L., R. Sordella, et al. (2005). 「Irreversible inhibitors of the EGF receptor may circumvent acquired resistance to gefitinib.」 PNAS 102(21): 7665-7670)。何ら特定の理論に拘束されることを望まないが、本発明の化合物は、プロテインキナーゼの薬物耐性形態の有効なインヒビターであり得ると考えられる。
【0317】
本明細書で使用する場合、用語「臨床薬物耐性」は、薬物標的の変異の結果としての薬物治療に対する薬物標的の感受性の消失のことをいう。
【0318】
本明細書で使用する場合、用語「耐性」は、標的タンパク質および/または標的のタンパク質配列をコードする野生型核酸配列の標的タンパク質に対するインヒビターの阻害効果を変化、減少または消失させる変化のことをいう。
【0319】
本明細書に記載される化合物および組成物により阻害されるキナーゼ、および本明細書に記載される方法が有用であるキナーゼの例としては、ZAP70、FLT3、PLK、FAK、JAK3、JNK、RONまたはそれらの変異体が挙げられる。
【0320】
本発明において標的キナーゼ、特にZAP70、FLT3、PLK、FAK、JAK3、JNK、RONまたはそれらの変異体のインヒビターとして使用される化合物の活性は、インビトロ、インビボまたは細胞株においてアッセイされ得る。インビトロアッセイには、リン酸化活性および/またはその後の機能的な結果、または活性化された標的キナーゼのATPアーゼ活性またはそれらの変異体のいずれかの阻害を決定するアッセイが含まれる。代替的なインビトロアッセイでは、標的キナーゼ、例えばZAP70、FLT3、PLK、FAK、JAK3、JNK、RONに結合するインヒビターの能力が定量化される。インヒビター結合は、結合前にインヒビターを放射性標識すること、インヒビター/標的キナーゼ複合体を単離することおよび結合した放射性標識の量を測定することにより測定され得る。代替的に、インヒビター結合は、新規のインヒビターと、公知の放射性リガンドに結合した標的キナーゼとをインキュベートする競合実験を行なうことにより決定され得る。本発明において特定のキナーゼまたはその変異体のインヒビターとして使用した化合物をアッセイするための詳細な条件は、下記の実施例に記載される。
【0321】
プロテインキナーゼは、ATPまたはGTPからタンパク質基質上に局在するアクセプターアミノ酸残基(例えばチロシン、セリン、トレオニン)残基へのリン酸基の転移を触媒する酵素の部類である。受容体キナーゼは、リン酸化事象を介して二次伝達エフェクターを活性化することにより細胞の外側から内側へとシグナルを伝達するために機能する。増殖、炭水化物利用、タンパク質合成、脈管形成、細胞成長および細胞生存などの種々の細胞プロセスは、これらのシグナルにより促進される。
【0322】
本明細書で使用する場合、用語「治療」、「治療する(treat)」および「治療する(treating)」は、本明細書に記載されるように、疾患もしくは障害またはそれらの1つ以上の症状を逆転、改善、開始を遅延または進行を抑制することをいう。いくつかの態様において、治療は、1つ以上の症状が発症した後に施され得る。他の態様において、治療は、症状がない場合に施され得る。例えば、治療は、症状の発症前に感受性の個体に対して(例えば、症状の病歴を考慮しておよび/または遺伝的もしくは他の感受性要因を考慮して)施され得る。治療はまた、症状が回復した後に、例えば症状の再発を防ぐまたは遅らせるために継続され得る。
【0323】
提供された化合物は、標的キナーゼ、例えばZAP70、FLT3、PLK、FAK、JAK3、JNK、RONの1つ以上のインヒビターであり、そのために該標的キナーゼの1つ以上(one of more)の活性に関連のある1つ以上の障害の治療に有用である。したがって、特定の態様において、本発明は、治療を必要とする患者に本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る組成物を投与する工程を含む、ZAP70媒介性、FLT3媒介性、PLK媒介性、FAK媒介性、JAK3媒介性、JNK媒介性またはRON媒介性障害を治療する方法を提供する。
【0324】
本明細書で使用する場合、用語「ZAP70媒介性」、「FLT3媒介性」、「PLK媒介性」、「FAK媒介性」、「JAK3媒介性」、「JNK媒介性」または「RON媒介性」障害または症状は、本明細書で使用する場合ZAP70、FLT3、PLK、FAK、JAK3、JNKもしくはRONまたはそれらの変異体の1つ以上が重要な役割をすることが公知の任意の疾患または他の有害状態を意味する。したがって、本発明の別の態様は、ZAP70、FLT3、PLK、FAK、JAK3、JNKおよび/またはRONまたはそれらの変異体の1つ以上が重要な役割をすることが公知の1つ以上の疾患を治療またはその重症度を低減することに関する。具体的に、本発明は、増殖性障害から選択される疾患もしくは状態を治療、またはその重症度を低減する方法に関し、該方法は、治療または低減を必要とする患者に本発明の化合物または組成物を投与する工程を含む。
【0325】
いくつかの態様において、本発明は、癌から選択される1つ以上の障害を治療、またはその重症度を低減する方法を提供する。いくつかの態様において、癌は、充実腫瘍を伴う。特定の態様において、癌は、乳癌、グリア芽腫、肺癌、頭部および頚部の癌、結腸直腸癌、膀胱癌、または小細胞肺癌である。いくつかの態様において、本発明は、扁平上皮癌、唾液腺癌、卵巣癌、または膵臓癌から選択される1つ以上の障害を治療またはその重症度を低減する方法を提供する。他の態様において、癌は、白血病、リンパ腫または骨髄腫などの可溶性腫瘍を伴う。
【0326】
いくつかの態様において、本発明は、免疫学的障害または過敏性障害、例えば喘息、アレルギー、移植拒絶、対宿主移植片病および関節リウマチなどの自己免疫疾患、筋萎縮性側索硬化症、および多発性硬化症ならびに白血病、リンパ腫および骨髄腫などの固体および血液学的悪性腫瘍の1つ以上を治療またはその重症度を低減する方法を提供し、該方法は、治療または低減を必要とする患者に本発明の組成物を投与する工程を含む。
【0327】
治療対象の特定の状態または疾患に応じて、通常かかる状態を治療するために投与されるさらなる治療剤も、本発明の組成物中に存在し得る。本明細書で使用する場合、特定の疾患または状態を治療するために通常投与されるさらなる治療剤は、「治療される疾患または状態に適切である」ことが公知である。
【0328】
例えば、本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る組成物は、増殖性疾患および癌を治療するための化学療法剤と組み合わせて投与され得る。公知の化学療法剤の例としては、限定されないが、特に、アドリアマイシン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、フルオロウラシル、トポテカン、タキソール、インターフェロン、白金誘導体、タキサン(例えばパクリタキセル)、ビニカアルカロイド(例えばビンブラスチン)、アントラサイクリン(例えばドキソルビシン)、エピポドフィロトキシン(例えばエトポシド)、シスプラチン、mTORインヒビター(例えばラパマイシン)、メトトレキサート、アクチノマイシンD、ドラスタチン10、コルヒチン、エメチン、トリメトレキサート、メトプリン(metoprine)、シクロスポリン、ダウノルビシン、テニポシド、アンホテリシン、アルキル化剤(例えばクロラムブシル)、5-フルオロウラシル、カンプトテシン、シスプラチン、メトロニダゾール、およびグリーベック
TMが挙げられる。他の態様において、本発明の化合物は、アバスチンまたはVECTIBIXなどの生物学的薬剤と組み合わせて投与される。
【0329】
特定の態様において、本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る組成物は、アバレリックス、アルデスロイキン、アルデスロイキン(Aldesleukin)、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アミホスチン、アナストロゾール、亜ヒ素酸、アスパラギナーゼ、アザシチジン(Azacitidine)、BCG Live、ベバクジマブ(Bevacuzimab)、フルオロウラシル、ベキサロテン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルステロン、カペシタビン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン、セレコキシブ、セツキシマブ、クロラムブシル、クラドリビン、クロファラビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダクチノマイシン、ダーベポエチンα、ダウノルビシン、デニロイキン、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン(中性)、塩酸ドキソルビシン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピルビシン、エポエチンα、エルロチニブ、エストラムスチン、リン酸エトポシド、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フロクスウリジン フルダラビン、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、酢酸ゴセレリン、酢酸ヒストレリン、ヒドロキシウレア、イブリツモマブ、イダルビシン、イホスファミド、メシル酸イマチニブ、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、イリノテカン、レナリドミド、レトロゾール、ロイコボリン、酢酸ロイプロリド、レバミゾール、ロムスチン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、6-MP、メスナ、メトトレキサート、メトキサレン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトザントロン、ナンドロロン、ネララビン、ノフェツモマブ(Nofetumomab)、オプレルベキン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パリフェルミン、パミドロネート、ペガデマーゼ、ペガスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド二ナトリウム、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、サルグラモスチム、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、マレイン酸スニチニブ、タルク、タモキシフェン、テモゾロマイド、テニポシド、VM-26、テストラクトン、チオグアニン、6-TG、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ATRA、ウラシルマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ゾレドロネートまたはゾレドロン酸のいずれか1つ以上から選択される抗増殖剤または化学療法剤と組み合わせて投与される。
【0330】
本発明のインヒビターと組み合わされ得る他の薬剤の例としては、限定されないが:アルツハイマー病の治療薬、例えばAricept(登録商標)およびExcelon(登録商標);パーキンソン病の治療薬、例えばL-DOPA/カルビドパ、エンタカポン、ロピンロール(ropinrole)、プラミペキソール、ブロモクリプチン、ペルゴリド、トリヘキセフェンジル(trihexephendyl)およびアマンタジン;多発性硬化症(MS)の治療剤、例えばβインターフェロン(例えばAvonex(登録商標)およびRebif(登録商標))、Copaxone(登録商標)、およびミトザントロン;喘息の治療薬、例えばアルブテロール(albuterol)およびSingulair(登録商標);統合失調症の治療剤、例えばジプレキサ、リスパダール、セロクエルおよびハロペリドール;抗炎症剤、例えばコルチコステロイド、TNFブロッカー、IL-1 RA、アザチオプリン、シクロホスファミドおよびスルファサラジン;免疫調節剤および免疫抑制剤、例えばシクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、インターフェロン、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリンおよびスルファサラジン;神経栄養因子、例えばアセチルコリンエステラーゼインヒビター、MAOインヒビター、インターフェロン、抗痙攣誘発薬、イオンチャネルブロッカー、リルゾールおよび抗パーキンソン剤;心臓血管疾患の治療剤、例えばβブロッカー、ACEインヒビター、利尿薬、硝酸塩、カルシウムチャネルブロッカーおよびスタチン;肝臓疾患の治療剤、例えばコルチコステロイド、コレスチラミン、インターフェロンおよび抗ウイルス剤;血液障害の治療剤、例えばコルチコステロイド、抗白血病剤および成長因子;ならびに免疫不全障害の治療剤例えばガンマグロブリンが挙げられる。
【0331】
特定の態様において、本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る組成物は、モノクローナル抗体またはsiRNA治療薬と組み合わせて投与される。
【0332】
これらのさらなる薬剤は、多数回投薬養生法の一部として本発明の化合物を含む組成物とは別に投与されてもよい。代替的に、これらの薬剤は、単一組成物中の本発明の化合物と混合して、単回投薬形態の一部であり得る。多数回投薬養生法の一部として投与される場合、2つの活性剤は、同時に投与、互いに連続してもしくは通常互いに5時間以内の時間中に投与され得る。
【0333】
本明細書で使用する場合、用語「組合せ」、「組み合わされた」および関連する用語は、本発明の治療剤の同時または連続投与のことをいう。例えば、本発明の化合物は、別の治療剤と別々の単位投薬形態中で同時にもしくは連続して、または単一の単位投薬形態中で一緒に投与され得る。したがって、本発明は、式Iの化合物、さらなる治療剤および薬学的に許容され得る担体、アジュバントまたはビヒクルを含む一単位投薬形態を提供する。
【0334】
担体物質と合わされて単一投薬形態を生じ得る本発明の化合物およびさらなる治療剤(これらの組成物中に上述されるようなさらなる治療剤)を含む)の両方の量は、治療される宿主および具体的な投与形態に応じて変化する。好ましくは、本発明の組成物は、本発明の0.01〜100mg/体重kg/日の投薬量が投与され得るように調製される。
【0335】
さらなる治療剤を含むこれらの組成物中で、かかるさらなる治療剤および本発明の化合物は相乗的に作用し得る。したがって、かかる組成物中のさらなる治療剤の量は、かかる治療剤のみを使用する単一療法において必要な量未満である。かかる組成物において、さらなる治療剤の0.01〜1,000μg/体重kg/日の投薬量が投与され得る。
【0336】
本発明の組成物中に存在するさらなる治療剤の量は、唯一の活性剤としてかかる治療剤を含む組成物中で通常投与される量以下である。好ましくは、本明細書に開示される組成物中のさらなる治療剤の量は、唯一の治療活性剤としてかかる薬剤を含む組成物中に通常存在する量の約50%〜100%の範囲である。
【0337】
本発明の化合物またはその医薬組成物はまた、埋め込み可能な医療機器、例えばプロテーゼ、人口弁、血管移植物、スーテントおよびカテーテルをコーティングするための組成物中に組み込まれ得る。血管スーテントは、例えば再狭窄(傷害後に血管の壁が再度狭くなること)を克服するために使用されている。しかしながらスーテントまたは他の埋め込み可能デバイスを使用する患者は、凝血塊形成または血小板活性のリスクを有する。これらの望ましくない効果は、該デバイスを、キナーゼインヒビターを含む薬学的に許容され得る組成物で前もってコーティングすることにより予防または緩和され得る。本発明の化合物でコートされた埋め込み可能デバイスは、本発明の別の態様である。
【0338】
C 脈管形成のインヒビター
本発明は、脈管形成を阻害する製剤および方法に関する。該方法は、脈管形成標的の不可逆的インヒビターの局所、好ましくは限局的(local)適用を含む。脈管形成は、新規の血管の成長のことをいい、種々の病理学的状態の重要な一因である。例えば、脈管形成の役割は、成長の促進および支持であり、充実腫瘍の生存が良く報告されている。脈管形成はまた、乾癬および喘息などの他の病理学的状態、ならびに加齢性黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫および早熟の網膜症などの目の病理学的状態に寄与する。
【0339】
不可逆的インヒビターは、脈管形成を阻害するため、例えば目の脈管形成に関連する目の疾患を治療するための前脈管形成タンパク質の活性を阻害するという利点を提供する。不可逆的インヒビターは、標的タンパク質の持続的な阻害をもたらす。一旦タンパク質活性が阻害されると、新規の標的タンパク質の産生によりタンパク質が再度獲得されるだけである。したがって、不可逆的インヒビターへの短い曝露により、毒性および副作用の原因となり得、局所適用により達成および持続が困難な可逆的なインヒビターの長期の持続的用量を維持する必要なく持続的な効果がもたらされ得る。
【0340】
本発明は、1つ以上の脈管形成標的タンパク質の不可逆的インヒビターを、脈管形成が阻害される領域へと局所的に投与する工程を含む、脈管形成を治療する方法を提供する。本発明は、1つ以上の脈管形成標的タンパク質の不可逆的インヒビターを、治療が必要な被験体の目に局所投与する工程を含む目の脈管形成を治療する方法を提供する。適切な脈管形成標的タンパク質としては、新規の血管の成長に関与する任意のタンパク質が挙げられる。多くのキナーゼおよび非キナーゼは、脈管形成において重要な役割を果たすことが知られている。キナーゼである脈管形成標的の例としては、VEGF受容体2/KDR、PDGFR(例えばPDGFRA、PDGFRB)、SRC、FAK、PI3K、MEK、FGFR(例えばFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4)、PLK(例えばPLK-1、PLK-2、PLK-3)およびEph受容体が挙げられる。非キナーゼ脈管形成標的としては、メチオニンアミノペプチド-2およびHsp90が挙げられる。本発明のこの局面において、不可逆的インヒビターは、システイン残基または任意の他の適切な残基と共有結合を形成し得る。
【0341】
脈管形成標的を阻害する不可逆的インヒビターは、抗VEGF剤または異なる脈管形成標的を阻害する別の不可逆的インヒビターなどのさらなる治療剤と共に投与され得る。このアプローチは、付加的または相乗的な効果をもたらし得る。2つ以上の薬剤を投与する場合、それらは、同時に投与される必要はないが実質的に重複した治療効果を提供するために投与される。例えば、ラニビズマブ(VEGFAに結合する抗体のFab断片)などの抗VEGF剤は、眼内注射により約4〜6週間ごとに投与される。ラニビズマブおよび脈管形成標的の不可逆的インヒビターを使用した併用療法において、ranibuzumabは、注射により4〜6週間ごとに1回投与され得、不可逆的インヒビターは、例えば1日に1回局所投与され得る。
【0342】
一態様において、1つより多くの脈管形成標的を阻害する不可逆的インヒビターが投与される。このアプローチを使用すると、単一の治療剤を使用して、より優れた治療が達成され得る。これは、成分の数ならびに製剤の安全性、効果および安定性の開発および試験において考慮しなければならない変形物の数を低下することにより、局所投与のための薬剤を調製するという利点をもたらし得る。例えば、KDRおよびPDGFRを不可逆的に阻害する不可逆的インヒビターを投与し得る。
【0343】
不可逆的インヒビターは局所投与のために調製される。例えば、不可逆的インヒビターは、(例えば乾燥粉末剤または液体製剤などのエーロゾルとして)喘息を治療するための肺への局所送達のため、クリーム、軟膏、ローション等として乾癬を治療する皮膚への局所投与のため、または眼用製剤として目の疾患を治療する目への局所適用のために調製され得る。かかる製剤は、不可逆的インヒビターおよび薬学的に許容され得る担体を含む。保存剤および製剤の粘度を上げるための天然または合成ポリマーなどの薬剤などのさらなる成分も存在し得る。眼用製剤は、液体、軟膏、ヒドロゲルまたは粉末などの任意の適切な形態であり得る。
【0344】
有効量の不可逆的インヒビターが、例えば目、肺または皮膚に局所投与される。局所送達のための有効量は、脈管形成標的の活性を実質的に阻害するのに充分な量、新規の血管の形成を阻害する量、または疾患の進行を遅延もしくは予防するのに充分な量などの所望の効果を有するのに充分な量である。
【0345】
一局面において、本発明は、治療を必要とする被験体の目に脈管形成標的の不可逆的インヒビターの有効量を局所投与する工程を含む、脈管形成関連眼疾患を治療する方法である。不可逆的インヒビターは、VEGF受容体2/KDR、PDGFR(例えばPDGFRA、PDGFRB)、SRC、FAK、PI3K、MEK、FGFR(例えばFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4)、PLK(例えばPLK-1、PLK-2、PLK-3)、Eph受容体、メチオニンアミノペプチド-2およびHsp90からなる群より選択される1つ以上のタンパク質の不可逆的インヒビターであり得る。特定の態様において、治療される被験体は、湿性加齢関連横斑変性、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫および早熟の網膜症に罹患している。特定の態様において、KDRの不可逆的インヒビターおよびPDGFRの不可逆的インヒビターが投与される。別の特定の態様において、KDRおよびPDGFRを阻害する単一の不可逆的インヒビターが投与される。
【0346】
一局面において、本発明は、治療を必要とする被験体に、脈管形成標的の不可逆的インヒビターの有効量を局所投与する工程を含む乾癬を治療する方法である。該不可逆的インヒビターは、VEGF受容体2/KDR、PDGFR(例えばPDGFRA、PDGFRB)、SRC、FAK、PI3K、MEK、FGFR(例えばFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4)、PLK(例えばPLK-1、PLK-2、PLK-3)、Eph受容体、メチオニンアミノペプチド-2およびHsp90からなる群より選択される1つ以上のタンパク質の不可逆的インヒビターであり得る。特定の態様において、不可逆的インヒビターは、皮膚に局所投与される。特定の態様において、KDRの不可逆的インヒビターおよびPDGFRの不可逆的インヒビターが投与される。別の特定の態様において、KDRおよびPDGFRを阻害する単一の不可逆的インヒビターが投与される。
【0347】
一局面において、本発明は、治療を必要とする被験体に、脈管形成標的の不可逆的インヒビターの有効量を局所投与する工程を含む、喘息を治療する方法である。該不可逆的インヒビターは、VEGF受容体2/KDR、PDGFR(例えばPDGFRA、PDGFRB)、SRC、FAK、PI3K、MEK、FGFR(例えばFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4)、PLK(例えばPLK-1、PLK-2、PLK-3)、Eph受容体、メチオニンアミノペプチド-2およびHsp90からなる群より選択される1つ以上のタンパク質の不可逆的インヒビターであり得る。特定の態様において、該不可逆的インヒビターは、例えばエーロゾルとして肺に局所投与される。特定の態様において、KDRの不可逆的インヒビターおよびPDGFRの不可逆的インヒビターが投与される。別の特定の態様において、KDRおよびPDGFRを阻害する単一の不可逆的インヒビターが投与される。
【実施例】
【0348】
実施例
実施例1
N-(4-(4-(5-シアノチアゾール-2-イルアミノ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-2-イルチオ)フェニル)アクリルアミドII-1
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【0349】
2-(6-クロロ-2-メチルチオピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリル
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4,6-ジクロロ-2-メチルチオピリミジン(3.00g、15.4mmol)および2-アミノ-チアゾール-5-カルボニトリル(1.92g、15.4mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(40mL)に溶解した。三塩基性リン酸カリウムを反応混合物に添加して100℃で5時間加熱した。真空下、65℃で溶媒を除去した。残渣を水(50mL)に溶解した。濃塩酸によりpHを4〜5に調整した。得られた固体を単離して、水およびジエチルエーテルで洗浄して真空下で乾燥させて、赤レンガ色の固体の表題の化合物を得た(2.397g、55%収率)。
【0350】
2-(6-クロロ-2-メタンスルホニル-ピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリル
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水(30mL)中のオキソン(oxone)(15.5g、25.3mmol)のスラリーを、2-(6-クロロ-2-メチルチオピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリル(2.39g、8.42mmol)に、アセトン(100mL)中で添加した。混合物を55℃に2時間加熱した。温められた混合物をろ過した。真空下でろ過物からアセトンを除去し、得られた橙色固体を濾過し、水で洗浄して真空下で乾燥させた。固体をシリカゲルのカラムの上部において、EtOAcで溶出した。橙色泡状物の表題の化合物をEtOAcから単離した(1.56g、59%収率)。
【0351】
2-(2-(4-アミノフェニルチオ)-6-クロロピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリル
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2-(2-クロロ-6-メタンスルホニル-ピリミジン-4-イルアミノ)-チアゾール-5-カルボニトリル(800mg、2.53mmol)をテトラヒドロフラン(40mL)およびトリエチルアミン(0.5mL、3.6mmol)に溶解した。数サイクルの真空および窒素流により溶液を脱気した。N
2下で反応させて、4-アミノチオフェノール(380mg、3.04mol)をテトラヒドロフラン(5mL)の溶液に添加した。溶液をN
2下で2.5時間、室温で攪拌した。真空下で蒸発させて反応体積を約5mLに減少して、残りの溶液を乾燥シリカゲルカラム(40g)に供した。カラムを、ヘキサン:酢酸エチル1:1で溶出して表題の化合物を得た(351mg、38%収率)。
【0352】
2-(2-(4-アミノフェニルチオ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリル
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1-メチルピペラジン(2.7mL、24mmol)を2-(2-(4-アミノフェニルチオ)-6-クロロピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリル(385mg、1.07mmol)に添加した。混合物を100℃で3時間加熱した。冷却した反応物に水(25mL)を添加して得られた固体をろ過した。固体を水で洗浄して(2x10mL)、45℃で3時間真空乾燥して、表題の化合物を得た(385mg、85%収率)。
【0353】
N-(4-(4-(5-シアノチアゾール-2-イルアミノ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-2-イルチオ)フェニル)アクリルアミドII-1
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2-(2-(4-アミノフェニルチオ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリル(150mg、0.35mmol)のテトラヒドロフラン(6mL)およびトリエチルアミン(0.5mL、1.4mmol)中の懸濁物を氷浴、N
2下で冷却した。塩化アクリロイル(0.034mL、0.42mmol)を添加した。20分後反応を室温に温めた。その後、反応をHPLCに供した。2.5時間後、さらに塩化アクリロイル(0.010mL、0.11mmol)を添加した。6時間後、溶媒を蒸発させて、黄色固体を得た。固体を水で粉砕し(2x2mL)、次いで室温で2時間真空乾燥させた。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーに供し、クロロホルム:MeOH:アンモニア17:3:0.1で溶出して表題の化合物を得た(10.3mg、6%収率): MS (ES+) 479 (M+H, 100%); 1H NMR (DMSO-d
6, 300 MHz) δ (ppm): 12.0 ( broad s, 1H), 10.35 (s, 1H), 8.07 (s, 1H), 7.84 (d, 2H, J = 3.9 Hz), 7.58 (d, 2H, J = 3.9 Hz), 6.44 (m, 1H), 6.40 (d, 1H, J = 10 Hz) 5.89 (s, 1H), 5.73 (d, 1H, J = 5.7 Hz), 3.47 (s, 3H), 2.34 (m, 4H), 2.20 (m, 4H).
【0354】
可逆的参照化合物1
N-(4-(4-(5-シアノチアゾール-2-イルアミノ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-2-イルチオ)フェニル)プロピオンアミド
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2-(2-(4-アミノフェニルチオ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリル(70mg、0.16mmol)の懸濁物をテトラヒドロフラン(6mL)およびトリエチルアミン(0.1mL、0.7mmol)に懸濁して、N
2下、氷浴中で冷却した。塩化プロピオニル(0.017mL、0.19mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)中で添加した。10分後、反応を室温に温めた。50分後さらに塩化プロピオニル(0.005mL、0.055mmol)を添加した。2時間後、溶媒を蒸発させ、オフホワイトの固体を得た。固体を水(2x2mL)およびEtOAc(2x2mL)で粉砕して、45℃で16時間真空乾燥させ、表題の化合物を得た(56mg、78%収率): MS (ES+) 503 (M+Na, 25%), 481 (M+H, 100%); 1H NMR (DMSO-d
6, 300 MHz) δ (ppm): 12.0 (s, 1H), 10.07 (s, 1H), 8.08 (s, 1H), 7.77 (d, 2H, J = 3.7 Hz), 7.54 (d, 2H, J = 3.7 Hz), 5.92 (s, 1H), 3.54 (s, 3H), 2.48 (m, 4H), 2.34 (m, 4H), 1.07 (m, 3H, J = 1.5 Hz).
【0355】
実施例2
2-(2-(1-アクリロイルピペリジン-4-イルチオ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリルII-2
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Tert-ブチル4-(4-クロロ-6-(5-シアノチアゾール-2-イルアミノ)ピリミジン-2-イルチオ)ピペリジン-1-カルボキシレート
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4-メルカプト-ピペリジン-1-カルボン酸、tert-ブチルエステル(482mg、2.22mmol(WO2007/030366、第136頁に記載のように調製)の無水THF(20ml)中の窒素下の攪拌溶液を水酸化ナトリウムで処理した(60%分散、189mg、4.72mmol)。15分後、2-(6-クロロ-2-メタンスルホニル-ピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリル(700mg、2.22mmol)を一部に添加して、反応混合物を周囲温度で18時間攪拌した。水で過剰な試薬をクエンチして、有機溶媒を真空下で除去した。残渣を水と酢酸エチルの間に分離して、有機相を乾燥させ(MgSO
4)、ろ過して真空下で濃縮した。粗製生成物をフラッシュカラムで溶出して(シリカゲル60、230〜400メッシュ、3:2ヘキサン:EtOAc)、橙色不定形固体の表題の化合物を得た、250mg (25%)。MS (ES
+): (M + Na)
+= 475;
1H-NMR (DMSO-d
6): δ 12.82 (br s, 1H), 8.38 (s, 1H), 6.79 (s, 1H), 4.02 (m, 1H), 3.80 (m, 4H), 1.98-2.08 (m, 2H), 1.55 (m, 2H), 1.39 (s, 9H).
【0356】
Tert-ブチル4-(4-(5-シアノチアゾール-2-イルアミノ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-2-イルチオ)ピペリジン-1-カルボキシレート
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tert-ブチル4-(4-クロロ-6-(5-シアノチアゾール-2-イルアミノ)ピリミジン-2-イルチオ)ピペリジン-1-カルボキシレート(250mg、0.55mmol)、N-メチルピペラジン(0.187ml、1.66mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.289ml、1.66mmol)のn-ブタノール(7ml)中の混合物を120℃で1.5時間加熱した。反応混合物を濃縮して残渣を水でスラリーにした。得られた生成物をろ過除去して水およびアセトンで洗浄し、225mg(79%)の表題の化合物を得た。MS (ES
+): (M + 1)
+ = 517, (M + Na)
+ = 539;
1H-NMR (DMSO-d
6): δ 12.00 (br s, 1H), 8.25 (s, 1H), 5.93 (s, 1H), 3.92 (m, 1H), 3.83 (m, 2H), 3.50 (m, 4H), 3.04 (m, 2H), 2.36 (m, 4H), 2.20 (s, 3H), 2.06 (m, 2H), 1.52 (m, 2H), 1.40 (s, 9H).
【0357】
2-(2-(ピペリジン-4-イルチオ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリル
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メタノール(8mL)中、3.0N HCl溶液中のtert-ブチル4-(4-(5-シアノチアゾール-2-イルアミノ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-2-イルチオ)ピペリジン-1-カルボキシレート(292mg、0.57mmol)の混合物を周囲温度で19時間攪拌した。反応混合物を濃縮して、残渣を飽和重炭酸ナトリウム中で数分間攪拌した。回収時に明るいベージュの不定形固体を水で洗浄して、真空下、40〜50℃で乾燥させ、187mg (79%)の表題の化合物を得た。MS (ES
+) (M + 1)
+= 417.
【0358】
2-(2-(1-アクリロイルピペリジン-4-イルチオ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリルII-2
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2-(2-(ピペリジン-4-イルチオ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリル(225mg)の無水THF(2ml)中の溶液に、トリエチルアミン(0.188ml、1.35mmol)および塩化アクリロイル(0.044ml、0.54mmol)を添加した。反応混合物を周囲温度で1時間攪拌して、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムで溶出した(シリカゲル60、230〜400メッシュ、クロロホルム中5% 2.0M NH
3-メタノール溶液対クロロホルム中10% 2.0M NH
3-メタノール溶液)。生成物は塩酸トリエチルアミンと共溶出することが見いだされ、この混合物を、水中、周囲温度で12時間攪拌した。残りの不溶性固体を回収し、水で洗浄して真空下40〜50℃で乾燥させて、21.5mg (10%)の表題の化合物を得た。MS (ES
+): (M + 1)
+ = 471;
1H-NMR (DMSO-d
6): δ 12.00 (br s, 1H), 8.25 (s, 1H), 6.90 (m, 1H), 6.10 (d, 1H), 5.94 (s, 1H), 5.68 (d, 1H), 4.40 (m, 1H), 4.00 (m, 2H), 3.60 (m, 4H), 3.10 (m, 2H), 2.37 (m, 4H), 2.21 (s, 3H), 2.12 (m, 2H), 1.60 (m, 2H).
【0359】
実施例3
(E)-2-(2-(1-(4-ジメチルアミノ)ブト-2-エノイル)ピペリジン-4-イルチオ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリルII-5
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5滴のDMFを含む塩酸4-ジメチルアミノ-ブト-2-エノン酸(0.322g、1.944mmol)の10mL THF中、0℃、N
2下の攪拌懸濁物に、塩化オキサリルを滴下した(シリンジで)(0.18mL、2.063mmol)。すぐに気体が生じ始めた。試料を0℃で約30分間、室温で約4時間攪拌して、再度0℃に冷却し、その後50mLのTHF中の2-(2-(ピペリジン-4-イルチオ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリル(0.405g、0.972mmol)次いでトリエチルアミン(0.34mL、2.439mmol)の滴下により処理した。氷浴を取り除いて試料を室温で約2時間攪拌した。試料を濃縮して、次いでEtOAcと飽和NaHCO
3溶液に分離した。有機抽出物を飽和水性NaCl溶液で洗浄して乾燥させ(MgSO
4)、ろ過して濃縮し、クロマトグラフィーに供した(MPLC、シリカゲル、200mLのCHCl
3中10% MeOH次いでCHCl
3中1%水酸化アンモニウム-10%メタノールで濃縮して0.201g (39%)の表題の化合物をオフホワイト固体として得た。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 1.59 (m, 2H), 2.16-2.21 (m, 11H), 2.36-2.38 (m, 4H), 3.03 (m, 4H), 3.52 (m, 4H), 3.97-4.01 (m, 2H), 4.19-4.21 (m, 1H), 5.95 (b, 1H), 6.61 (m, 2H), 8.26 (s, 1H) and 12.0 (bs, 1H). MS (APCI) m/z 528 (M+1, 100%).
【0360】
実施例4
2-(2-(1-ブト-2-イノイル)ピペリジン-4-イルチオ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリルII-3
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0℃でN
2下の2-ブチン酸(0.63g、0.749mmol)およびトリエチルアミン(0.104mL、0.746mmol)の5mLのTHF中の攪拌溶液にイソブチルクロロホルメート(0.097mL、0.748mmol)を添加した。混合物を0℃で15分間攪拌して、次いで2-(2-(ピペリジン-4-イルチオ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリル(0.250g、0.600mmol)の20mLのTHF中の溶液を滴下した。試料を0℃で1時間攪拌して、次いでEtOAcと飽和NaHCO
3溶液間に分離した。有機抽出物を飽和水性NaCl溶液で洗浄して乾燥させ(MgSO
4)、ろ過して真空下で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(シリカゲルCHCl
3中1% NH
4OH-10% MeOH)に供し、0.067g (23%)の表題の化合物を明黄色固体として得た。
1H NMR (DMSO-d
6) δ1.35-1.66 (m, 2H), 2.03-2.21 (m, 7H), 2.38 (bs, 3H), 3.10 (m, 1H), 3.34-3.52 (m, 水ピークも含む、約7H), 3.98 (bs, 1H), 4.08-4.16 (m, 2H), 5.95 (s, 1H), 8.26 (s, 1H) and 12.10 (bs, 1H). MS (APCI) m/z 483 (M+1, 100%).
【0361】
可逆的参照化合物2
2-(2-(1-プロピオニルピペリジン-4-イルチオ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリル
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0℃でN
2下の2-(2-(ピペリジン-4-イルチオ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリル(0.200g、0.480mmol)およびトリエチルアミン(0.20mL、1.435mmol)の5mLのTHF中攪拌懸濁液に、塩化プロピオニル(0.05mL、0.576mmol)を添加した。試料を0℃で1時間攪拌して、次いでEtOAcと飽和NaHCO
3溶液間で分離した。有機抽出物を飽和NaCl水溶液で洗浄して、乾燥させ(MgSO
4)、ろ過して濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl
3中1% NH
4OH-10% MeOH)に供し、0.169g (74%)の表題の化合物を明黄色固体として得た。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 0.99 (m, 3H), 1.49-1.60 (m, 2H), 2.0-2.6 (m, DMSOも含む、約11H), 2.97 (m, 1H), 3.2-3.6 (m, 水も含む、約5H), 3.81-4.19 (m, 3H), 5.95 (s, 1H), 8.26 (s, 1H) and 12.06 (bs, 1H). MS (APCI) m/z 473 (M+1, 100%).
【0362】
実施例5
N-(2-(4-(5-シアノチアゾール-2-イルアミノ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-2-イルチオ)エチル)アクリルアミドII-4
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Tert-ブチル2-(4-クロロ-6-(5-シアノチアゾール-2-イルアミノ)ピリミジン-2-イルチオ)エチルカルバメート
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室温でN
2下の2-(6-クロロ-2-メタンスルホニルピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボニトリル(2.80g、8.87mmol)およびトリエチルアミン(3.1mL、22.24mmol)の、50mlのTHF中の攪拌溶液にBoc-システアミン(2.00g、11.28mmol)の、10mLのTHF中の溶液を滴下した。反応を4時間攪拌して濃縮し、次いでEtOAcと飽和NaHCO3溶液間で分離した。有機抽出物を飽和NaCl水溶液で洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、ろ過して茶色の油状物および固体に濃縮した。試料を30mLのEtOAcに懸濁して、室温で30分間攪拌して、ろ過した。固体を冷EtOAcで洗浄し、真空乾燥させて1.44g (39%)の表題の化合物を褐色固体として得た。MS (APCI) m/z 435/437 (M+23, 100/43%), 413/415 (M+1, 10/4%)および357/359 (M-55, 20/8%). TLC (SiO
2, ヘキサン中50% EtOAc)、R
f 0.37で一成分。
【0363】
Tert-ブチル2-(4-(5-シアノチアゾール-2-イルアミノ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-2-イルチオ)エチルカルバメート
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tert-ブチル2-(4-クロロ-6-(5-シアノチアゾール-2-イルアミノ)ピリミジン-2-イルチオ)エチルカルバメート(1.44g、3.48mmol)、1-メチルピペラジン(0.48mL、4.32mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1.30mL、7.46mmol)の、20mLのEtOH中の密封バイアル中の混合物を80℃で24時間加熱した。試料を冷却してろ過した。固体を冷EtOHで洗浄して真空乾燥させて1.16g (70%)の表題の化合物をオフホワイト固体として得た。MS (APCI) m/z 477 (M+1, 100%). TLC (SiO
2、CHCl
3中10% MeOH), R
f0.28で一成分。
【0364】
2-(4-(5-シアノチアゾール-2-イルアミノ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-2-イルチオ)エチルアミン
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室温でN
2下のtert-ブチル2-(4-(5-シアノチアゾール-2-イルアミノ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-2-イルチオ)エチルカルバメート(1.13g、2.37mmol)の、20mLのCH
2Cl
2中の攪拌懸濁物を、20mLのトリフルオロ酢酸で処理した。添加中、全ての固体を溶液にした。溶液を室温で2時間攪拌して、次いで真空下で暗褐色油状物に濃縮した。残渣の飽和NaHCO
3溶液による塩基性化により固体を得た。試料を室温で約2時間攪拌して、濾過して水で洗浄し、真空乾燥して0.913g (>100%)の表題の化合物を明褐色固体として得た。
【0365】
N-(2-(4-(5-シアノチアゾール-2-イルアミノ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-2-イルチオ)エチル)アクリルアミドII-4
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0℃でN
2下の2-(4-(5-シアノチアゾール-2-イルアミノ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-2-イルチオ)エチルアミン(0.473g、1.256mmol)およびトリエチルアミン(0.35mL、2.51mmol)の、25mLのTHF中の攪拌懸濁物に、塩化アクリロイル(0.13mL、1.60mmol)を添加した。試料をゆっくりと室温まで一晩かけて温めて、次いでEtOAcと1N NaOH溶液間で分離した。有機抽出物を飽和NaCl水溶液で洗浄して、乾燥させ(MgSO
4)、ろ過して濃縮し、クロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl
3中1%濃縮NH
4OH-10% MeOH)に供し、オフホワイトの固体として表題の化合物を得た。
1H NMR (DMSO-d
6) δ2.12-2.61 (m, DMSOも含む、約7H), 3.16-3.67 (m, 水も含む、約8H), 5.59-5.61 (m, 1H), 5.95 (s, 1H), 6.11 (m, 1H), 6.19-6.21 (m, 2H), 8.24 9s, 1H) and 8.37 (bs, 1H). MS (APCI) m/z 431 (M+1, 100%).
【0366】
実施例6
N-(4-(4-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イルアミノ)-6-(4-メチルピペリアジン(methylpiperiazin)-1-イル)ピリミジン-2イルチオ)フェニル)アクリルアミドII-53
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4,6-ジクロロ-2-メチルスルホニルピリミジン
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4,6-ジクロロ-2-(メチルチオ)ピリジン(24g、0.123mol)を、500mlのCH
2Cl
2中、攪拌しながら氷浴中で溶解した。メタ-クロロペルオキシ安息香酸(約0.29mol)を40分かけてゆっくり添加した。反応混合物を4時間攪拌し、CH
2Cl
2で希釈し、次いで50% Na
2S
2O
3/NaHCO
3溶液で処理した。有機相を飽和水性NaClで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、ろ過した。真空下で溶媒を除去し、約24gの表題の化合物を、明紫色固体として得た。
【0367】
Tert-ブチルN-(4-メルカプトフェニル)カルバメート
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4-アミノチオフェノール(25g、0.2mol)を250mlのEtOAcに溶解した。溶液を氷浴で冷却し、ジ-t-ブチルジカルボネート(48g、0.22mol)を攪拌しながら滴下した。1時間攪拌後、水中飽和NaHCO
3(200ml)を添加した。反応混合物を一晩攪拌した。有機相を水、飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、ろ過した。真空下で有機溶媒を除去し、約68gの黄色油を得て、これをヘキサンで処理し、約50gの表題の化合物を黄色固体として得た。
【0368】
Tert-ブチル4-(4,6-ジクロロピリミジン-2-イルチオ)フェニルカルバメート
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tert-ブチルN-(4-メルカプトフェニル)カルバメート(5g、0.022mol)および4,6-ジクロロ-2-メチルスルホニルピリミジン(5g、0.026mol)の、150mlのt-BuOH中の混合物を還流で1時間加熱し、次いでNaOAc(0.5g)を添加した。反応を還流でさらに14時間加熱した。溶媒を真空下で除去して残渣を酢酸エチルに溶解した。有機相をK
2CO
3溶液、飽和水性NaClで連続して洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過した。溶媒を除去して約5gの表題の化合物を黄色固体として得た。
【0369】
Tert-ブチル4-(4-クロロ-6-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イルアミノ)ピリミジン-2-イルチオ)フェニルカルバメート
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tert-ブチル4-(4,6-ジクロロピリミジン-2-イルチオ)フェニルカルバメート(100mg、0.27mmol)、3-メチル-5-アミノ-1H-ピラゾール(28.7mg、0.3mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(41.87mg)およびNaI(48.6mg、0.324mmol)の、1mlのDMF中の溶液を85℃で4時間加熱した。次いで冷却して、20mLの酢酸エチルで希釈して、有機相を水および飽和水性NaClで連続して洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過した。真空下で溶媒を除去し、約120mgの粗製の生成物を得、これをシリカゲルで精製し(30% EtOAc/ヘキサン)、64mgの表題の化合物を得た。
【0370】
Tert-ブチル4-(4-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イルアミノ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-2-イルチオ)フェニルカルバメート
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tert-ブチル4-(4-クロロ-6-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イルアミノ)ピリミジン-2-イルチオ)フェニルカルバメート(61mg、0.14mmol)および1mlのメチルピペラジンの混合物を110℃で2時間加熱した。反応混合物を20mLの酢酸エチルで希釈した。有機相を水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過した。真空下で溶媒を除去し、約68.2mgの粗製生成物を明褐色固体として得、これをシリカゲルで精製し(30% EtOAc/ヘキサン)、49.5mgの表題の化合物を得た。MS (M+H
+): 497.36.
【0371】
2-(4-アミノフェニルチオ)-N-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イルアミノ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-アミン
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tert-ブチル4-(4-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イルアミノ)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-2-イルチオ)フェニルカルバメート(44.5mg)の、5mlのMeOH中の溶液を2mlの5N HClで処理した。TLCにより開始物質が残っていないことが示された場合、反応混合物を酢酸エチルで希釈した。有機相をNaHCO
3および飽和水性NaClで洗浄し、MgSO
4で乾燥させてろ過した。真空下で溶媒を除去し、約32.1mgの表題の化合物を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6): δ 11.68 (s, 1 H), 9.65 (s, 1 H), 9.25 (s, 1 H), 7.60 (d, 2 H), 7.45 (d, 2 H), 6.00 (s, 1H), 5.43 (s, 1H), 2.38 (m, 4 H), 2.20 (m, 2 H), 2.05 (m, 2 H), 1.52 (s, 6 H), MS (M+H
+): 397.18.
【0372】
N-(4-(4-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イルアミノ)-6-(4-メチルピペリアジン(methylpiperiazin)-1-イル)ピリミジン-2イルチオ)フェニル)アクリルアミドII-53
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塩化アクリロイル(6.85mL、7.33mg、0.081mmol)を、2-(4-アミノフェニルチオ)-N-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-アミン(32.1mg、0.081mmol)の、3mlのCH
2Cl
2中の溶液に0℃で添加した。30分後、反応混合物を酢酸エチルで希釈した。有機相をNaHCO3溶液、飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過した。溶媒を除去して粗製生成物を得、これをシリカゲルで精製して20mgの生成物を得た。MS (M+H
+): 451.36.
【0373】
実施例7
4-(4-(3-(4-アクリルアミド-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミドXVIII-11
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C,C'-ビス-tert-ブチルN-4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェニル)イミノジカルボネート
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4-ニトロ-2-トリフルオロメチルアニリン(4.12g、20mmol)の、1,4-ジオキサン(50mL)中の攪拌溶液に、4-DMAP(1.22g、10mmol)および無水Boc(13.13g、50mmol)を室温で添加した。反応混合物を110℃で2時間加熱した。反応混合物を冷却し、減圧下で濃縮して残渣をEtOAc(25mL)に溶解した。これを10%クエン酸溶液(5mL)、水(5mL)および飽和水性NaCl(2mL)で洗浄した。Na
2SO
4で乾燥して、次いで減圧下で濃縮して、残渣を得、これをカラムクロマトグラフィー(SiO
2、60〜120、petエーテル/酢酸エチル、6/4)で精製して、5.3g(13mmol)のビス-Boc中間物を薄黄色固体として得た。この物質を50mLメタノールに溶解した。窒素雰囲気下でこの溶液に酢酸(3mL)、次いで鉄粉末(1.71g、19.4g-気圧)を添加した。反応混合物を70℃で2時間加熱し、室温に冷却して、セライト(登録商標)床によりろ過した。ろ過物を減圧下で濃縮して残渣をEtOAc(30mL)で希釈した。これを水(2mL)および飽和水性NaCl(2mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させた。減圧下で濃縮して残渣を得、これをカラムクロマトグラフィー(SiO
2、60〜120、petエーテル/酢酸エチル、6/4)で精製して、3.19gの表題の化合物をオフホワイトの固体として得た。
【0374】
4-(4-(3-(4-アミノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド
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C,C'-ビス-tert-ブチルN-4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェニル)イミノジカルボネート(0.5g、1.32mmol)およびEt
3N(0.6mL、5.97mmol)の、トルエン(5mL)中の攪拌溶液に、ホスゲン(トルエン中20%溶液、0.91mL、1.85mmol)を添加した。反応混合物を還流で16時間加熱して、室温に冷却した。4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチル-2-ピリジンカルボキサミド(0.32g、1.32mmol)を添加して反応混合物を還流で2時間加熱した。その後、反応混合物を燻蒸フード中で水(5mL)でクエンチし、EtOAc(2x20mL)で抽出した。酢酸エチル抽出物を飽和水性NaCl(15mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で0.62gの表題の化合物まで濃縮した。
【0375】
4-(4-(3-(4-アクリルアミド-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミドXVIII-11
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4-(4-(3-(4-アミノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(0.1g、0.22mmol)およびピリジン(0.035g、0.45mmol)の、DMF(5mL)中の攪拌溶液に塩化アクリロイル(0.03g、0.33mmol)を0℃で添加した。反応を室温にして、さらに12時間攪拌し氷冷水(10mL)でクエンチし、EtOAc (2x20mL)で抽出した。酢酸エチル抽出物を飽和NaCl水溶液(5mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗製のXVIII-11を得た。粗製生成物を最初に中性アルミナカラムクロマトグラフィー、次いで分取HPLCで精製して18mgの表題の化合物を白色固体として得た
1H NMR (MeOD) δ ppm : 2.94 (s, 3H), 5.82 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 6.37 (dd, J = 1.76 & 17.16 Hz, 1H), 6.50 (dd, J = 10.28 & 17.16 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 2.6 & 5.94 Hz, 1H), 7.11-7.15 (m, 2H), 7.45 (d, J = 8.64 Hz, 1H), 7.56-7.61 (m, 3H), 7.67 (dd, J = 2.24 & 8.48 Hz, 1H), 8.0 (s, 1H), 8.45-8.55 (m, 1H); LCMS : m/e 501 (M+2)
【0376】
実施例8
(E)-4-(4-(3-(4-(ジメチルアミノ)ブト-2-エンアミド)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミドXVIII-12
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4-ジメチルアミノ-2-ブテン酸(0.186g、1.12mmol)の、CH
3CN(2.0mL)中の攪拌溶液に、塩化オキサリル(0.171g、1.34mmol)を0℃で添加した。反応混合物を0℃で1/2時間、次いで室温で2時間攪拌した。最後にこれを45℃で5分間加熱し、冷却して、さらに精製せずに反応混合物を次の工程に持ち越した。
【0377】
4-(4-(3-(4-アミノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(0.1g、0.224mmol)の、NMP(2.0mL)中の攪拌溶液に、0℃で上記の4-ジメチルアミノブト-2-エノイルクロライドを添加した。反応混合物を0℃〜10℃で2時間攪拌し、冷水でクエンチし(10mL)、トリエチルアミンで塩基性化し、ジクロロメタン(3x10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、水(10mL)および飽和NaCl水溶液(10mL)で連続して洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させた。減圧下で濃縮してカラムクロマトグラフィー(中性Al
20
3、CHCl
3/MeOH、99/1)で精製して、表題の化合物(0.04g)を明黄色固体として得た。
1H NMR (DMSO-d
6) δ ppm : 2.17 (s, 6H), 2.77 (d, J = 4.84 Hz, 3H), 3.04 (d, J = 5.8 Hz, 2H), 6.32 (d, J = 14.84 Hz, 1H), 6.69 (td, J = 5.92 & 15.44 Hz, 1H), 7.13-7.18 (m, 3H), 7.37-7.40 (m, 2H), 7.58-7.60 (m, 3H), 8.00 (d, J = 2.36 Hz, 1H), 8.49 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 8.77 (q, J = 4.52 Hz, 1H), 8.95 (s, 1H), 9.10 (s, 1H), 9.55 (s, 1H); LCMS : m/e 557.2 (M+1).
【0378】
実施例9
4-(4-(3-(4-(2-クロロアセトアミド)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミドXVIII-13
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4-(4-(3-(4-アミノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(0.15g、0.34mmol)およびEt
3N(0.05g、0.51mmol)の、乾燥THF(10mL)中の攪拌溶液に塩化クロロアセチル(0.045g、0.404mmol)を0℃で、N
2下で滴下した。反応混合物を室温にして、この温度で12時間攪拌した。これを減圧下で濃縮して、水でクエンチし(10mL)、混合物をEtOAcで抽出した(2x25mL)。合わせたEtOAc抽出物を水(10mL)、飽和水性NaCl(10mL)で洗浄して、Na
2SO
4で乾燥させて、減圧下で濃縮して残渣を得た。これをカラムクロマトグラフィーでさらに精製して(中性Al
2O
3、CHCl
3/MeOH混合物)表題の化合物(0.025g)を乳色固体として得た。
1H NMR (DMSO-d
6) δ ppm : 2.77 (d, J = 4.8 Hz, 3H), 4.28 (s, 2H), 7.13-7.18 (m, 3H), 7.37-7.39 (m, 2H), 7.58-7.63 (m, 3H), 8.20 (d, J = 2.28 Hz, 1H), 8.50 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 8.70-8.80 (m, 1H), 8.96 (s, 1H), 9.13 (s, 1H), 9.83 (s, 1H); LCMS : m/e 522.2 (M+1).
【0379】
実施例10
4-(4-(3-(4-(2-クロロプロピオンアミド)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミドXVIII-14
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4-(4-(3-(4-アミノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(0.15g、0.34mmol)の、THF(5mL)中の攪拌溶液に、Et
3N(0.07mL、0.51mmol)を添加し、反応混合物を0℃に冷却した。これに2-クロロ塩化プロピオニル(0.064g、0.51mmol)を、同じ温度で滴下した。反応混合物を室温にして、同じ温度で12時間攪拌した。これを酢酸エチル(5mL)で希釈し、水 (2mL)、飽和NaCl水溶液(2mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させた。ろ過して減圧下で濃縮し、残渣を得、これをカラムクロマトグラフィーで精製し(SiO
2、60〜120、クロロホルム/メタノール、9/1)、表題の化合物(0.01g)を白色固体として得た。
1H NMR (DMSO-d
6) δ ppm : 1.61 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 2.79 (d, J = 5.2 Hz, 3H), 4.75 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 7.14-7.19 (m, 3H), 7.35-7.39 (m, 2H), 7.59-7.65 (m, 3H), 8.02 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.51 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 8.70-8.80 (m, 1H), 8.98 (s, 1H), 9.15 (s, 1H), 9.85 (s, 1H); LCMS : m/e 536.1 (M+1).
【0380】
可逆的参照化合物3
4-(4-(3-(4-(プロピオンアミド)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド
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4-(4-(3-(4-アミノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(0.1g、0.23mmol)およびEt
3N(0.04g、0.43mmol)の、DMF(2mL)中の攪拌溶液に塩化プロピオニル(0.023g、0.25mmol)を0℃で滴下した。反応を室温にし、さらに16時間攪拌した。これを減圧下で濃縮し、水中に残渣を得て(2mL)、EtOAc(2x20mL)で抽出した。EtOAc抽出物を飽和NaCl水溶液(5mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させた。減圧下で濃縮してクロマトグラフィーで精製し(SiO
2、230〜400、CHCl
3/MeOHの混合物)、表題の化合物(0.024g)をオフホワイト固体として得た。
1H NMR (MeOD) δ ppm: 1.23 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 2.35-2.55 (m, 2H), 2.94 (s, 3H), 7.05-7.07 (m, 1H), 7.11-7.15 (m, 2H), 7.39 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.56-7.60 (m, 3H), 7.63-7.66 (dd, J = 2.32 & 8.44 Hz, 1H), 7.98 (d, J = 2.36 Hz, 1H), 8.47 (d, J = 5.64 Hz, 1H); LCMS: m/e 503.2 (M+1)
【0381】
実施例11
4-(4-(3-(3-アクリルアミド)-4-クロロフェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミドXVIII-15
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C,C'-ビス-tert-ブチルN-3-ニトロ-5-クロロフェニル)イミノジカルボネート
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3-ニトロ-5-クロロアニリン(3g、17.4mmol)の1,4-ジオキサン(50mL)中の攪拌溶液に4-DMAP(1g、8.7mmol)およびBoc無水物(9.5g、43.6mmol)を室温で添加した。反応混合物を110℃で2時間加熱した。反応混合物を冷却し、減圧下で濃縮し、残渣をEtOAc(25mL)に溶解した。これを10%クエン酸溶液(5mL)、水(5mL)および飽和水性NaCl(2mL)で洗浄した。Na
2SO
4で乾燥させて、減圧下で濃縮して、残渣を得て、カラムクロマトグラフィーで精製し(SiO
2、60〜120、petエーテル/酢酸エチル、6/4)、4.2gの表題の化合物を薄黄色固体として得た。
【0382】
(2) C,C'-ビス-tert-ブチルN-3-アミノ-5-クロロフェニル)イミノジカルボネート
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C,C'-ビス-tert-ブチルN-3-ニトロ-5-クロロフェニル)イミノジカルボネート(1.9g、5.1mmol)のメタノール(25mL)中の攪拌溶液に酢酸(2.5mL)、次いで鉄粉末(0.45g、7.6 g-気圧)を窒素雰囲気下で添加した。反応混合物を70℃で2時間加熱し、室温に冷却し、セライト(登録商標)床でろ過した。ろ過物を減圧下で濃縮し、残渣をEtOAc(10mL)で希釈した。これを水(2mL)および飽和NaCl水溶液(2mL)で連続して洗浄した。Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮して残渣を得て、さらにカラムクロマトグラフィーで精製し(SiO
2、60〜120、petエーテル/酢酸エチル、6/4)、1.1gの表題の化合物をオフホワイト固体として得た。
【0383】
4-(4-(3-(3-ビス-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-クロロフェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド
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4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチル-2-ピリジンカルボキサミド(0.36g、1.4mmol)の、CH
2Cl
2(5mL)中の攪拌溶液に、ホスゲン溶液(トルエン中20%溶液、1.01g、2.19mmol)を0℃で添加し、反応混合物を室温で15分間攪拌した。これを再度0℃に冷却して、Et
3N(0.44g、4.38mmol)をこれに添加した。次いで、TLC分析により開始物質が存在しないことが示された場合に、反応混合物を35℃で3時間攪拌した。反応混合物を再度0℃に冷却して、C,C'-ビス-tert-ブチルN-3-アミノ-5-クロロフェニル)イミノジカルボネート(0.5g、1.4mmol)をこれに添加した。反応混合物を室温にして、還流で16時間加熱した。混合物を室温に冷却して水でクエンチし(2mL)、ジクロロメタン層を分離してNa
2SO
4で乾燥させた。ろ過後、減圧下で濃縮して残渣を得て、カラムクロマトグラフィーで精製し(SiO
2、60〜120、クロロホルム/メタノール、9/1)、0.4gの表題の化合物を茶色固体として得た。
【0384】
4-(4-(3-(3-アクリルアミド)-4-クロロフェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミドXVIII-15
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4-(4-(3-(3-ビス-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-クロロフェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(0.35g、0.59mmol)の、CH
2Cl
2(5mL)中の攪拌溶液に、TFA(0.195g、1.71mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温にして、この温度で3時間攪拌した。これをNaHCO
3溶液(5mL)でクエンチして、有機相を分離してNa
2SO
4で乾燥させた。ろ過後、減圧下で濃縮し、残渣を得て、カラムクロマトグラフィーで精製して(SiO
2、60〜120、クロロホルム/メタノール、9/1)、明茶色固体としてアミノ中間体を得た(0.15g)。この物質をNMP(3mL)に溶解して、塩化アクリロイル(0.05g、0.54mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温にして、この温度で1時間攪拌した。これをCH
2Cl
2で希釈して(2mL)、NaHCO
3溶液(1mL)、水(1mL)、飽和NaCl水溶液(1mL)で洗浄して、Na
2SO
4で乾燥させた。ろ過後減圧下で濃縮して残渣を得て、カラムクロマトグラフィーで精製して(SiO
2、60〜120、クロロホルム/メタノール、9/1)、0.07gの表題の化合物を白色固体として得た。
1H NMR (DMSO-d
6) δ ppm: 2.77 (d, J = 4.84 Hz, 3H), 5.78 (dd, J = 1.8 & 10.12 Hz, 1H), 6.28 (dd, J = 1.84 & 16.96 Hz, 1H), 6.62 (dd, J = 10.16 & 16.92 Hz, 1H), 7.12-7.17 (m, 3H), 7.35-7.41 (m, 3H), 7.56-7.58 (m, 2H), 7.95 (d, J = 1.96 Hz, 1H), 8.49 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 8.76-8.81 (m, 2H), 8.95 (s, 1H), 9.85 (s, 1H); LCMS: m/e 464 (M+1).
【0385】
実施例12
4-(4-(3-(4-(N-メチルアクリルアミド)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミドXVIII-16
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Tert-ブチルN-メチル-N-(4-ニトロフェニル)カルバメート
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NaH(パラフィン油中60%分散)(251mg、6.28mmol)の、THF(6.0mL)中の攪拌溶液に、0℃でtert-ブチルN-(4-ニトロフェニル)カルバメート(1.0g、4.19mmol)のTHF(4.0mL)中の溶液を15分かけて添加した。反応混合物をこの温度で15分間攪拌し、これにヨウ化メチル(590.8mg、4.19mmol)を添加した。反応混合物を室温に温め、50℃で16時間攪拌した。混合物を冷却し、氷冷水でクエンチし(10.0mL)、EtOAc(3x50mL)で抽出した。合わせたEtOAc抽出物を水(50mL)、飽和水性NaCl(50mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をさらにカラムクロマトグラフィーで精製して(SiO
2、60〜120、ヘキサン/酢酸エチル90/10)、黄色固体として表題の化合物を得た(300mg)。
【0386】
Tert-ブチルN-メチル-N-(4-アミノフェニル)カルバメート
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tert-ブチルN-メチル-N-(4-ニトロフェニル)カルバメート(0.090g、0.356mmol)の、EtOAc(5mL))中の溶液に、10% Pd/C(0.012g)を添加して反応混合物をH
2雰囲気下(1.5Kg水素圧)、室温で16時間攪拌した。反応混合物をセライト(登録商標)のパッドでろ過して減圧下で濃縮し、茶色がかった粘性油として表題の化合物を得た(42mg)。
【0387】
4-(4-(3-(4-tert-ブトキシルカルボニルメチルアミノフェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド
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tert-ブチルN-メチル-N-(4-アミノフェニル)カルバメート(0.2g、0.89mmol)およびEt
3N(318mg、3.14mmol)の、トルエン(4mL)中の攪拌溶液にホスゲン(トルエン中20%溶液、0.85mL、1.61mmol)を0℃で添加した。反応混合物を16時間還流して室温に冷却し、これに4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチル-2-ピリジンカルボキサミド(0.218g、0.89mmol)を添加して、反応混合物を再度4時間還流した。その後、反応混合物を燻蒸フード中、水でクエンチし(5mL)、EtOAc(2x20mL)で抽出して酢酸エチル抽出物を飽和水性NaClで洗浄して(15mL)、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をさらにカラムクロマトグラフィーで精製して(SiO
2、60〜120、ヘキサン/酢酸エチル:60/40)、オフホワイト固体として表題の化合物を得た(78mg)。
【0388】
4-(4-(3-(4-メチルアミノフェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド
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4-(4-(3-(4-tert-ブトキシルカルボニルメチルアミノフェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(76mg、0.154mmol)の、CH
2Cl
2(2.5mL)中の攪拌溶液にトリフルオロ酢酸(0.38mL)を0℃で添加した。反応混合物を室温にしてさらに16時間攪拌した。次いでこれを氷冷水(3mL)でクエンチし、10%NaHCO
3で塩基性化した。これをEtOAc(2x25mL)で抽出した。合わせたEtOAc抽出物を飽和水性NaCl(5mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させて減圧下で濃縮し、表題の化合物を得た(24mg)。
【0389】
4-(4-(3-(4-(N-メチルアクリルアミド)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミドXVIII-16
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4-(4-(3-(4-メチルアミノフェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(20mg、0.051mmol)のNMP(1.0mL)中の攪拌溶液に、0℃で塩化アクリロイル(11.53mg、0.127mmol)を添加した。反応混合物を0℃で30分間攪拌し、室温にしてこの温度で90分間攪拌した。反応混合物を水(2mL)でクエンチし、10% NaHCO
3溶液で塩基性化してジクロロメタン(2x10mL)で抽出した。合わせたCH
2Cl
2抽出物を水(5mL)、次いで飽和水性NaCl(5mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をさらにカラムクロマトグラフィーで精製し(SiO
2、230〜400、MeOH/CHCl
3:1/99)、表題化合物(5mg)をオフホワイト固体として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ ppm: 3.05 (d, J = 5.2 Hz, 3H), 3.33 (s, 3H), 5.51 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 6.08-6.15 (m, 1H), 6.35 (bd, J = 17.2 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 8.44 Hz, 2H), 7.07-7.12 (m, 3H), 7.39 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.49 (d, J = 6.8 Hz, 2H), 7.64 (s, 1H), 8.16 (s, 1H), 8.25 (s, 1H), 8.43 (d, J = 5.6 Hz, 1H); LCMS: m/e 446 (M+1).
【0390】
実施例13.
4-{4-[4-(2-クロロ-アセチル)-ピペラジン-1-イル]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-3-メトキシ-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(III-26)
表題の化合物を以下に記載の工程および中間体に従い調製した。
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【0391】
工程1: 中間体13a
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0℃、N
2下で、500mgの2,4-ジクロロ-5-トリフルオロメチル-ピリミジン(2.31mmol)および780mgの臭化亜鉛(3.46mmol)の、20mLのジクロロメタン-メタノール(v/v 1/1)中の攪拌溶液に、10mLのN-メチル-ピロリジノン(NMP)中526mgの4-アミノ-3-メトキシ-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(2.0mmol)を添加した。0℃で30分間攪拌後、LC-MSにより工程1の反応が所望のMS m/z = 444.1 (ES+)で終了したことが示された。中間体13aの湿度感受性のために、反応混合物を4つのアリコートに分け(それぞれ0.5mmol)、次の工程に直接使用した。
【0392】
工程2: 中間体13b
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1つのアリコートにN-Boc-ピペリジン(0.75mmol)および100mgの無水K
2CO
3を添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を50mLのEtOAcで抽出して水、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮後、残渣をエーテル-ヘプタンに懸濁した。白色固体をろ過して所望の生成物13b(120mg)を得た、MS m/z = 594.2 (ES+)。
【0393】
工程3: 中間体13c
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120mgの中間体13b(202μmol)の、4mLの無水ジクロロメタン中の攪拌溶液に、2mLのトリフルオロ酢酸を添加した。30分後、LC-MSにより脱Boc保護の完了が示された、MS m/z = 492.2 (ES+)。減圧下で溶媒を除去し、メタノール/DCMで数回、共蒸発させてトリフルオロ酢酸の除去の完了を確実にした。残渣が中間体13cであり、これは次の工程に直接使用し得る。
【0394】
工程4: 4-{4-[4-(2-クロロ-アセチル)-ピペラジン-1-イル]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-3-メトキシ-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(III-26)
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中間体13c(100μmol)、250μLのピリジンの、2mL無水ジクロロメタンおよび1mL N,N-ジメチルアセトアミド中の攪拌溶液に、2-クロロアセチルクロライド150μLを添加した。10分後、LC-MSによりアシル化の完了が示された。反応混合物を濃縮して、分取HPLCで精製して、39.5mgの生成物III-26を得た。MS m/z = 570.2 (ES+), 568.2 (ES-).
【0395】
実施例14
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4-[4-(4-アクリロイル-ピペラジン-1-イル)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-3-メトキシ-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(III-27)
-20℃で、中間体13c(100μmol)、250μLのピリジンの、2mL無水ジクロロメタンおよび1mL N,N-ジメチルアセトアミド中の攪拌溶液に、塩化アクリロイル(acryoyl chloride)(1.2当量)を添加した。10分後、200μLの水を添加して反応をクエンチした。反応混合物を濃縮して、分取HPLCで精製してIII-27を得た。MS m/z = 548.3 (ES+), 546.2 (ES-).
【0396】
実施例15
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4-{4-[2-(2-クロロ-アセチルアミノ)-エチルアミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-3-メトキシ-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(III-28)
以下の工程および中間体により、III-26と同様の方法で、以下に記載のように表題の化合物を調製した。
【0397】
工程1: 中間体15b
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中間体15bは、N-Boc-ピペリジンの代わりに2-N-Boc-エチルアミンを使用して、中間体13bと同じ方法で合成した。MS m/z= 568.2 (ES+), 566.2 (ES-).
【0398】
工程2: 中間体15c
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中間体15cは、中間体15Bで開始して、中間体1cと同じ方法で調製した。MS m/z: 468.2 (ES+).
【0399】
工程3: -{4-[2-(2-クロロ-アセチルアミノ)-エチルアミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-3-メトキシ-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(III-28)
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III-28は、中間体15cを介して、III-26と同様の方法で合成した。MS m/z = 544.2 (ES+), 542.3 (ES-)
【0400】
実施例16
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4-[4-(2-アクリロイルアミノ-エチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-3-メトキシ-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンズアミド(III-29)
III-29は、中間体15cを介してIII-27と同様の方法で合成した。MS m/z = 522.3 (ES+), 520.2 (ES-).
【0401】
実施例17. 生化学アッセイ
A. 潜在力の評価のためのKDRおよびFLT-3 Omniaアッセイ:
以下のプロトコルには、アビラセラピューティクスの化合物の活性KDRおよびFLT-3酵素に対する本来の潜在力を測定するための連続読み取りキナーゼアッセイが記載される。該アッセイは、実質的に、販売者(Invitrogen, Carlsbad, CA; http://www.invitrogen.com/content.cfm?pageid=11338)により記載されるようにして行われた。
【0402】
簡潔に、InvitrogenまたはBPS BioscienceからのKDR(PV3660または40301)およびFLT-3(PV3182)酵素の10Xストック、1.13X ATP(AS001A)およびY9-SoxまたはY12-Soxペプチド基質(KCZ1001)を、20mM Tris、pH7.5、5mM MgCl
2、1mM EGTA、5mM β-グリセロホスフェート、5%グリセロール(10Xストック、KB002A)および0.2mM DTT(DS001A)で構成された1Xキナーゼ反応バッファ中に調製した。5μLの酵素をCorning (#3574) 384ウェル、白色、非結合表面マイクロタイタープレート(Corning、NY)中、27℃で30分間、0.5μL容量の50% DMSOおよび連続希釈した50% DMSO中に調製した化合物と共にプレインキュベートした。45μLのATP/Y9またはY5-Soxペプチド基質混合物を添加してキナーゼ反応を開始し、30〜90秒毎に60分間、BioTek (Winooski、VT)のSynergy
4プレートリーダー中λ
ex360/λ
em485でモニターした。それぞれのアッセイの終了時に、それぞれのウェルからの進行曲線を線形反応動力学および適合統計学(R
2、95%信頼区間、二乗の合計の絶対値)について試験した。それぞれの反応の最初の速度(0分〜20+分)を相対蛍光単位対時間(分)のプロットの傾斜から決定し、次いでインヒビター濃度に対しプロットし、Log[インヒビター]対応答、GraphPad Software (San Diego、CA)のGraphPad Prismの可変傾斜モデルからIC
50を推定した。
最適プロトコルに使用した[試薬]:
[PDGFRa] = 2〜5nM、[ATP] = 60μMおよび[Y9-Soxペプチド] = 10μM(ATP K
Mapp= 61μM)
[FLT-3] = 15nM、[ATP] = 500μMおよび[Y5-Soxペプチド] = 10μM (ATP K
Mapp = 470μM)
【0403】
B. BTKに対する潜在力評価のためのOmniaアッセイ
以下にEGFR-WTおよびEGFR-T790M/L858Rを使用したプロトコルを記載し、次にプロトコルBTK最適化試薬条件を記載する。
【0404】
アッセイプラットホームの操作方法は、以下のURLで販売業者(Invitrogen、Carlsbad、CA)のウェブサイト上で販売業者により最も良好に記載される:
http://www.invitrogen.com/content.cfm?pageid=11338またはhttp://www.invitrogen.com/site/us/en/home/Products-and-Services/Applications/Drug-Discovery/Target-and-Lead-Identification-and-Validation/KinaseBiology/KB-Misc/Biochemical-Assays/Omnia-Kinase-Assays.html。
【0405】
簡潔に、InvitrogenのEGFR-WT(PV3872)およびBPS Bioscience(San Diego、CA)のEGFR-T790M/L858R(40350)の10Xストック、1.13X ATP(AS001A)および適切なTyr-Soxコンジュゲートペプチド基質(KCZ1001)を、20mM Tris、pH7.5、5mM MgCl
2、1mM EGTA、5mMβ-グリセロホスフェート、5%グリセロール(10Xストック、KB002A)および0.2mM DTT(DS001A)から構成される1Xキナーゼ反応バッファ中に調製した。それぞれの酵素の5μLを、Corning (#3574) 384ウェル、白色、非結合表面マイクロタイタープレート(Corning、NY)中、27℃で30分間、0.5μL容量の50% DMSOおよび50% DMSO中に調製された連続希釈化合物とプレインキュベートした。45μLのATP/Tyr-Soxペプチド基質混合物を添加してキナーゼ反応を開始し、30〜90秒毎に60分間、BioTek (Winooski、VT)のSynergy
4プレートリーダー中、λ
ex360/λ
em485でモニターした。各アッセイの終了時に、各ウェルからの進行曲線を、線形反応動力学および適合統計学(R
2、95%信頼区間、二乗の合計の絶対値)について試験した。各反応の最初の速度(0分〜約30分)を、相対蛍光単位対時間(分)のプロットの傾斜から決定し、インヒビター濃度に対してプロットして、log[インヒビター]対応答、GraphPad Software (San Diego、CA)のGraphPad Prismの可変傾斜モデルからIC
50を推定した。
【0406】
上記プロトコルについての改変BTK最適化試薬条件は:
[BTK] = 5nM、[ATP] = 40mM、[Y5-Sox] = 10mM (ATP KMapp約36mM)である。
【0407】
C. 潜在力評価についてのc-Kit(V654AおよびT670I)Omniaアッセイ:
簡潔に、Millipore (14-733)のc-Kit(V654A)またはCell Signaling (7922)のc-Kit(T670I)の10Xストック、1.13X ATP(AS001A)およびY9-SoxまたはY12-Soxペプチド基質(KCZ1001)を、20mM Tris、pH7.5、5mM MgCl
2、1mM EGTA、5mMβ-グリセロホスフェート、5%グリセロール(10Xストック、KB002A)および0.2mM DTT(DS001A)から構成される1Xキナーゼ反応バッファ中に調製した。各酵素の5μLを、Corning (#3574) 384ウェル、白色、非結合表面マイクロタイタープレート(Corning、NY)中、27℃で30分間、0.5μL容量の50% DMSOおよび50% DMSO中に調製した連続希釈化合物と共にプレインキュベートした。45μLのY9またはY12-Soxペプチド基質を添加してキナーゼ反応を開始し、30〜90秒毎に、60分間、BioTek (Winooski、VT)のSynergy
4プレートリーダー中、λ
ex360/λ
em485でモニターした。各アッセイの終了時に、各ウェルの進行曲線を、線形反応動力学および適合統計学(R
2、95%信頼区間、二乗の合計の絶対値)について試験した。各反応の最初の速度(0分〜20+分)を相対蛍光単位対時間(分)のプロットの傾斜から決定して、インヒビター濃度に対してプロットし、log[インヒビター]対応答、GraphPad Software (San Diego、CA)のGraphPad Prismの可変傾斜モデルからIC
50を推定した。
[c-Kit V654A] = 5nM、[ATP] = 220μMおよび[Y9-Sox] = 10μM (ATP K
Mapp = 240μM)
[c-Kit T670I] = 5nM、[ATP] = 220μMおよび[Y12-Sox] = 10μM (ATP K
Mapp = 220μM)
【0408】
D. PDGFRAについてのアッセイ
簡潔に、PDGFRα(PV3811)酵素の10Xストック、1.13X ATP(AS001A)およびY12-Soxペプチド基質(KCZ1001)を、20mM Tris、pH7.5、5mM MgCl
2、1mM EGTA、5mMβ-グリセロホスフェート、5%グリセロール(10Xストック、KB002A)および0.2mM DTT(DS001A)から構成される1Xキナーゼ反応バッファ中に調製した。5μLの酵素を、Corning (#3574) 384ウェル、白色、非結合表面マイクロタイタープレート(Corning、NY)中、27℃で30分間、0.5μL容量の50% DMSOおよび50% DMSO中に調製した連続希釈化合物と共にプレインキュベートした。45μLのATP/Y9またはY12-Soxペプチド基質混合物を添加してキナーゼ反応を開始し、30〜9秒毎に60分間、BioTek (Winooski、VT)のSynergy
4プレートリーダー中、λ
ex360/λ
em485でモニターした。各アッセイの終了時に、各ウェルの進行曲線を、線形反応動力学および適合統計学(R
2、95%信頼区間、二乗の合計の絶対値)について試験した。各反応の最初の速度(0分〜20+分)を、相対蛍光単位対時間(分)のプロットの傾斜から決定し、インヒビター濃度に対しプロットして、log[インヒビター]対応答、GraphPad Software (San Diego、CA)のGraphPad Prismの可変傾斜モデルからIC
50を推定した。
[PDGFRα] = 2〜5nM、[ATP] = 60μMおよび[Y9-Soxペプチド] = 10μM (ATP K
Mapp = 61μM)
【0409】
生化学アッセイの結果を以下に示す。報告されたIC50_APPおよびIC50の値はnM単位である。
【0410】
II-53は、3.7625のIC50_APPでFLT3;15.155のIC50_APPでKDR、114.40のIC50_APPでCKIT、127.13のIC50_APPでCKIT D816Vを阻害した。
【0411】
XVIII-11は、1.9935のIC50_APPでFLT3;26.923のIC50_APPでKDR、31.129のIC50_APPでCKIT、3.4233のIC50_APPでCKIT D816Vを阻害した。
【0412】
XVIII-12は、1.0740のIC50_APPでFLT3;148.50のIC50_APPでKDR、10.450のIC50_APPでCKIT、2.5040のIC50_APPでCKIT D816Vを阻害した。
【0413】
XVIII-13は、0.5080のIC50_APPでFLT3;0.9499のIC50_APPでKDR、0.5080のIC50_APPでPDGFRAを阻害した。
【0414】
XVIII-14は、106.90のIC50_APPでFLT3;6.9410のIC50_APPでKDR、1.5450のIC50_APPでPDGFRAを阻害した。
【0415】
XVIII-15は、462.50のIC50_APPでKDRを阻害した。
【0416】
XVIII-16は、1335.0のIC50_APPでKDRを阻害した。
【0417】
II-1は、3.1510のIC50_APPでFLT3;39.259のIC50_APPでKDR、6169.5のIC50_APPでBTKを阻害した。
【0418】
II-2は、0.5080のIC50_APPでFLT3;51.384のIC50_APPでKDR、0.5715のIC50_APPでBTKを阻害した。
【0419】
II-4は、111.49のIC50_APPでFLT3 KDR、05080.5のIC50_APPでBTKを阻害した。
【0420】
II-3は、290.2のIC50_APPでKDR、458.50のIC50_APPでBTKを阻害した。
【0421】
II-5は、39.700のIC50_APPでKDR、105.91のIC50_APPでBTKを阻害した。
【0422】
可逆的参照化合物1は、5.8445のIC50でFLT3;253.89のIC50でKDR、1640.5のIC50でBTKを阻害した。
【0423】
可逆的参照化合物2は、95.669のIC50でKDR;183.69のIC50でBTKを阻害した。
【0424】
可逆的参照化合物3は、16.309のIC50でCKIT、4.1550のIC50でPDGFRA、0.4606のIC50でFLT3、39.375のIC50でKDRを阻害した。
【0425】
実施例18. EOL-1細胞洗浄アッセイ
DSMZ (ACC 386)から購入したEOL-1細胞を、RPMI(Invitrogen #21870)+10% FBS+1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen #15140-122)中に維持した。EOL-1細胞を完全培地中の懸濁物中で増殖し、試料あたり2x10
6細胞に化合物を1時間添加した。1時間後、細胞をペレット化し、培地を除去して化合物非含有培地と取り替えた。細胞を2時間ごとに洗浄して、新鮮な化合物非含有培地に再懸濁した。細胞を特定の時点で回収して細胞抽出バッファに溶解し、全量15μgのタンパク質溶解物を各レーンに負荷した。PDGFRリン酸化は、Santa Cruz抗体sc-12910を用いてウェスタンブロットによりアッセイした。この実験の結果を
図1に示し、DMSO対照および可逆的参照化合物に対して、XVIII-11は、「洗浄」の0時間および4時間後にEOL-1細胞中のPDGFRの酵素阻害を維持したことが示される。
【0426】
実施例19. cKIT洗浄アッセイ
GIST882細胞(Bauer et al., Cancer Research, 66(18):9153-9161 (2006)参照)を6ウェルプレートに、完全培地中8x10
5細胞/ウェルの密度で播種した。翌日、細胞を1uMの完全培地希釈化合物で90分間処理した。90分後、培地を除去し、細胞を化合物非含有培地で洗浄した。2時間ごとに細胞を洗浄し、新しい化合物非含有培地に再懸濁した。特定の時点で細胞を回収し、Roche完全プロテアーゼインヒビタータブレット(Roche 11697498001)およびホスファターゼインヒビター(Roche 04 906 837 001)を補充した細胞抽出バッファ(Invitrogen FNN0011)に溶解し、28.5ゲージのシリンジに溶解物を10回ずつ通して、溶解物をせん断した。タンパク質濃度を測定して総量10ugのタンパク質溶解物を各レーンに負荷した。C-kitリン酸化は、pTyr(4G10)抗体およびCell Signaling Technologyのトータルキット抗体を用いてウェスタンブロットによりアッセイした。
【0427】
GIST882細胞株における細胞活性についてソラフェニブおよびXVIII-11を1マイクロモーラーで試験した。結果を
図2aおよび2bに示し、XVIII-11は、GIST430細胞において少なくとも8時間の「洗浄」後、c-KIT酵素阻害を維持したことが示された。両方の化合物は、cKIT自己リン酸化を阻害し、ERKの下流シグナル伝達も阻害した。不可逆的インヒビターにより阻害が延長したかどうかを理解するために、細胞を洗浄して化合物非含有にした。可逆的インヒビターソラフェニブについて、cKITおよび下流のシグナル伝達の阻害活性は克服されたが、XVIII-11の不可逆的阻害は少なくとも8時間持続した。これらのデータは、不可逆的インヒビターXVIII-11の作用の持続が可逆的インヒビターソラフェニブよりも優れることを支持する。
【0428】
実施例20 質量スペクトル分析
A. C-KITおよびXVIII-11
トリプシン消化の前に、C-kit(15pmol)を、XVIII-11(150pmol)と3時間、10X接触でインキュベートした。化合物のインキュベーション後、ヨードアセトアミドをアルキル化剤として使用した。XIII-11を添加しなかった対照試料も調製した。トリプシン消化のために、2ulのアリコート(3.3pmol)を10ulの0.1% TFAで希釈して、αシアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸をマトリックス(0.1%TFA:アセトニトリル50:50中5mg/ml)として使用したMALDI標的に直接、マイクロC18をジップチッピング(Zip Tipping)した。
【0429】
トリプシン消化のために、パルス抽出を2200に設定して装置をリフレクトロン(Reflectron)モードに設定した。Laser Biolabs Pep Mix標準(1046.54、1296.69、1672.92、2093.09、2465.20)を使用して較正を行なった。CID/PSD分析について、カーソルを用いてペプチドを選択してイオンゲート(ion gate)タイミングおよび約20%より高いレーザーパワーで生じる断片化を設定し、CIDのための衝突気体としてHeを使用した。曲線場リフレクトロン(Curved field Reflectron)についてのP14R断片化較正を使用して、断片についての較正を行なった。
【0430】
1141.49のMH+の修飾ペプチド(N
CIHR;配列番号:46)が見られた(
図3)。これは、499.15DaのMwでXVIII-11化合物について予測される質量である。XVIII-11修飾ペプチドの断片化の試みにより、非常に弱いCIDスペクトルが生じ、これは、110でのHisおよび175でのC末端Argについて、インモニウム(Immonium)イオンを介した1141.49ペプチドのいくつかの確認証拠を示した。I
CDFGLARのCysが修飾され得ることを示唆するデータも存在した。
【0431】
B. KDRおよびII-2
トリプシン消化の前に、KDRキナーゼ(40pmol)を、II-2(395pmol)と3時間、10X接触でインキュベートした。化合物インキュベーション後、アルキル化剤としてヨードアセトアミドを使用した。トリプシン消化のために、5ulのアリコート(6.7pmol)を10ulの0.1% TFAで希釈して、αシアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸をマトリックス(0.1%TFA:アセトニトリル50:50中5mg/ml)として使用して、MALDI標的に直接、マイクロC18をジップチッピングした。
【0432】
トリプシン消化のために、装置を、パルス抽出を1800に設定したリフレクトロンモードに設定した。Laser Biolabs Pep Mix標準(1046.54、1296.69、1672.92、2093.09、2465.20)を使用して較正を行なった。CID/PSD分析のために、カーソルを使用してペプチドを選択してイオンゲートタイミングおよび約20%より高いレーザーパワーで生じる断片化を設定し、CIDのための衝突ガスとしてHeを使用した。曲線場リフレクトロンについてのP14R断片化較正を使用して断片の較正を行なった。
【0433】
配列I
CDFGLAR(配列番号:47)を有することが予想される1364.63のMH+で、修飾ペプチドが見られた(
図4)。これは、II-2(470.17)の付加(adduct)質量が894.45のペプチドに付加した場合に予想される質量である。低質量のスペクトル範囲中、471.27のMH+で化合物(II-2)の証拠が観察された。この場合、化合物の証拠は、1364.63ペプチドのPSDスペクトル中で見られた。1364.63での修飾ペプチドは、データベースサーチでも確認された。
【0434】
調製実施例
該実施例は、FAKインヒビター(IV-29〜IV-31)の調製に使用される一般的なスキームを示す。
【0435】
スキーム1.
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スキーム1は一般的に、2-メトキシ-4-置換アミノアニリンの合成を記載する。4-メチル-4-N-Boc-ピペリジンBを、炭酸カリウムの存在下で4-フルオロ-2-メトキシ1-ニトロベンゼンAと反応させて、F-置換生成物Cを得て、これをFAKインヒビターの調製のため中間体として使用した。
【0436】
スキーム2
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p-TsOHで触媒して中間体Dを化合物Eと縮合させた。次いでジオキサン中のHClを使用して、Boc保護を除去し、その後4-N-Boc-安息香酸をカップリングして結合を導入した。最終的なBoc除去および塩化アクリロイルによる頭部(warhead)の挿入により最終化合物を得た。
【0437】
実施例21
2-(2-(4-(4-(4-アクリルアミドベンズアミド)-4-メチルピペリジン-1-イル)-2-メトキシフェニルアミノ)-5-クロロピリミジン-4-イルアミノ)-N-メチルベンズアミド(IV-21):
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以下に示されるような工程および中間体に従い、表題の化合物を調製した。
【0438】
中間体21-1
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tert-ブチル1-(3-メトキシ-4-ニトロフェニル)-4-メチルピペリジン-4-イルカルバメート(調製実施例スキーム1のC): 171mgの4-フルオロ-2-メトキシ-1-ニトロベンゼン(1mmol)、214mgの4-N-Boc-4-メチル-ピペリジン(1mmol)および200mgのK
2CO
3を、5mLのN,N-ジメチルアセトアミド(DMA)中、70℃で24時間加熱した。冷却後、反応混合物を60mLのEtOAcで希釈し、水10mLx2、ブライン10mLで洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。濃縮後、溶質(ヘプタン/EtOAc 2/1)を使用したシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、350mgの所望の生成物を黄色固体として得た(96%)。LC-MS: m/z 366.2 (ES+).
【0439】
中間体21-2
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tert-ブチル[1-(4-アミノ-3-メトキシ-フェニル)-4-メチル-ピペリジン-4-イル]-エート(調製実施例スキーム1のD): 350mgの化合物21-1を、1気圧の水素下で一晩、15mLのMeOH中50mgの10% Pd/Cを用いて、水素付加した。ろ過後、300mgの所望のアニリン21-2を得た。LC-MS: m/z 336.2 (ES+).
【0440】
中間体21-3
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2-(2,5-ジクロロ-ピリミジン-4-イルアミノ)-N-メチル-ベンズアミド(調製実施例スキーム2のE): 1.0gの2-アミノ-N-メチル-ベンズアミド(6.64mmol)、1.22gの2,4,5-トリクロロピリミジン(6.64mmol)および1.3gのK
2CO
3を5mLのDMA中室温で一晩攪拌した。次いで反応混合物を50mLの氷水に注ぎ、沈殿物をろ過除去し、真空下で乾燥させ、わずかに黄色の固体を1.7g (86%)得た。LC-MS: m/z 297.0 (ES+), 295.0 (ES-).
【0441】
中間体21-4
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tert-ブチル(1-{4-[5-クロロ-4-(2-メチルカルバモイル-フェニルアミノ)-ピリミジン-2-イルアミノ]-3-メトキシ-フェニル}-4-メチル-ピペリジン-4-イル)-カルバメート(調製実施例スキーム2のF): 300mgの中間体21-2(0.895mmol、1.2当量)および220mgの中間体21-3(0.746mmol、1当量)を、ジオキサン(0.8当量)中の6mLの0.1M p-TsOH中、100℃で60時間加熱した。次いで反応混合物をEtOAcで抽出して、水性NaHCO
3で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮後、溶質(ヘプタン/EtOAc 1/1)を用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー後に黄色固体の所望の中間体を100mg(20%)得た。LC-MS: m/z 596.3 (ES+), 594.2 (ES-).
【0442】
中間体21-5
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tert-ブチル[4-(1-{4-[5-クロロ-4-(2-メチルカルバモイル-フェニルアミノ)-ピリミジン-2-イルアミノ]-3-メトキシ-フェニル}-4-メチル-ピペリジン-4-イルカルバモイル)-フェニル]-カルバメート(調製実施例スキーム2のG): 100mgの中間体21-4の、1mLの無水ジクロロメタン中の溶液に、ジオキサン中の2mLの4M HClを添加した。室温で30分の攪拌後、減圧下で溶媒を除去し、所望の脱Boc中間体を得て、これを次のカップリング工程に直接使用した。LC-MS: m/z: 496.2 (ES+), 494.2 (ES-).
【0443】
27mgの脱Boc中間体を、2mLのアセトニトリル中50uLのDIPEA、40mgのHATUの存在下で、12mgの4-N-Boc-安息香酸と室温で2時間反応させた。反応混合物を40mLのEtOAcで希釈し、水性NaHCO
3で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させた。濃縮後、ヘプタン/EtOAc(1/3 v/v)を溶質として使用したシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー後、29mgの中間体21-5をわずかに黄色の固体として得た。LC-MS: m/z 715.2 (ES+), 713.3 (ES-).
【0444】
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2-(2-(4-(4-(4-アクリルアミドベンズアミド)-4-メチルピペリジン-1-イル)-2-メトキシフェニルアミノ)-5-クロロピリミジン-4-イルアミノ)-N-メチルベンズアミド(IV-29): 29mgの中間体21-5の、0.5mLの無水ジクロロメタン中の溶液に、ジオキサン中1mLの4M HClを添加した。室温で1時間攪拌後、減圧下で溶媒を除去し、所望の脱Boc中間体を得て、これを次のカップリング工程に直接使用した。
【0445】
2mLのジクロロメタンおよび100uLのDIPEA中の脱Boc中間体に、-20℃でジクロロメタン(1.3当量)中55uLの1.1M塩化アクリロイル溶液を添加した。5分後、反応を水でクエンチし、反応混合物を濃縮して、分取HPLC精製に供し、6mgの最終生成物を得た。LC-MS: m/z 669.3 (ES+), 667.2 (ES-).
【0446】
実施例22
2-{2-[4-(9-アクリロイル-2,9-ジアザ-スピロ[5.5]ウンデク-2-イル)-2-メトキシ-フェニルアミノ]-5-クロロ-ピリミジン-4-イルアミノ}-N-メチル-ベンズアミド(IV-30):
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調製実施例スキーム1の中間体Bとして4-N-Boc-4-Me-ピペリジンの代わりに2,9-ジアザ-スピロ[5.5]ウンデカン-9-カルボン酸tert-ブチルエステルを使用して、実施例21に記載のものと同様の手順で表題の化合物を調製した。脱Bocおよび塩化アクリロイルでのアシル化は、実施例21と同じ方法で行なった。LC-MS: m/z 590.2 (ES+), 588.3 (ES-).
【0447】
実施例23
2-(2-{4-[4-(4-アクリロイルアミノ-ベンゼンスルホニル)-ピペラジン-1-イル]-2-メトキシ-フェニルアミノ}-5-クロロ-ピリミジン-4-イルアミノ)-N-メチル-ベンズアミド(IV-31)
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調製実施例スキーム1の中間体Bとして4-N-Boc-4-Me-ピペリジンの代わりに4-N-Boc-ピペリジン、および調製実施例スキーム2における4-N-Boc-安息香酸の代わりに4-ニトロベンゼンスルホニルクロライドを使用して、実施例21に記載のものと同様の方法で表題の化合物を調製した。還流MeOH中でSnCl
2を用いてニトロ還元を達成した。実施例21と同じ方法で、塩化アクリロイルにより最終的なアシル化を行なった。LC-MS: m/z 677.2 (ES+).
【0448】
実施例24 FAK生化学アッセイ
OMNIA(登録商標)キナーゼアッセイ(Invitrogen、Carlsbad、CA)において前活性化FAK酵素を使用して、FAKインヒビターの活性を評価した。簡潔に、Invitrogen (Madison、WI)の前活性化FAK酵素(M4446)の10Xストック、1.13X ATP(AS001A)およびY3-Soxコンジュゲートペプチド基質(YP003A)を、20mM Tris、pH7.5、5mM MgCl
2、1mM EGTA、5mMβ-グリセロホスフェート、5%グリセロール(10Xストック、KB002A)および0.2mM DTT(DS001A)から構成される1Xキナーゼ反応バッファ中に調製した。5μLの酵素を、Corning (#3574) 384ウェル、白色、非結合表面マイクロタイタープレート(Corning、NY)中、27℃で30分、0.5μL容量の50% DMSOおよび50% DMSO中に調製した連続希釈化合物とプレインキュベートした。45μLのATP/Y3-Soxペプチド基質混合物を添加してキナーゼ反応を開始し、30〜90秒毎に60分間、BioTek (Winooski、VT)のSynergy
4プレートリーダー中λ
ex360/λ
em485でモニターした。各アッセイの終了時に、各ウェルの進行曲線を、線形反応動力学および適合統計学(R
2、95%信頼区間、二乗の合計の絶対値)について試験した。各反応の最初の速度(0分〜約30分)を、相対蛍光単位対時間(分)のプロットの傾斜から決定して、インヒビター濃度に対してプロットし、log[インヒビター]対応答、GraphPad Software (San Diego、CA)のGraphPad Prismの可変傾斜モデルからIC
50を推定した。アッセイは、以下の試薬の濃度を使用して行った、FAK = 15nM、Y3-Sox = 10μM、ATP = 100μM、(ATP K
Mapp 92μM)。
【0449】
化合物IV-29は、アッセイ中5.24nMのIC
50を有し、化合物IV-30は、アッセイ中5.89nMのIC
50を有した。
【0450】
実施例25 質量スペクトル分析
完全なFAK(PTK2)を、化合物IV-29対タンパク質の10X倍接触で1時間インキュベートした。3ulアリコートの試料を10ulの0.1% TFAで希釈して、脱着マトリックス(0.1%TFA:アセトニトリル50:50中10mg/ml)としてシナピン(Sinapinic)酸を使用してMALDI標的に直接、マイクロC4をジップチッピングした。完全なFAK(PTK2)タンパク質(m/z 146,672Da)および化合物IV-29とインキュベートしたFAK(mw=669.2)に対して質量スペクトル分析を行なった。質量中心質量(m/z= 147,037Da)は、最小未修飾タンパク質が残っている約365Daの正のシフトを示し、これはFAK(PTK2)が化合物IV-29によりほとんど完全に修飾されていることを示す。質量分析により評価した場合、化合物IV-30は、FAKを修飾せず、化合物IV-31は、FAKの部分修飾を示した。
【0451】
本明細書において引用される全ての特許、出願公開公報および参考文献の教示は、その全てにおいて参照により援用される。本発明は、その例示態様を参照して具体的に示され記載されるが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細における種々の変更が、本明細書になされ得ることが当業者に理解されよう。