特許第5807573号(P5807573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5807573
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】車両用シートクッションフレーム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/427 20060101AFI20151021BHJP
【FI】
   B60N2/427
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-19687(P2012-19687)
(22)【出願日】2012年2月1日
(65)【公開番号】特開2013-159127(P2013-159127A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2014年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 剛史
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−073548(JP,A)
【文献】 特開2003−096737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/427
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側に配置された縦フレーム体間の前側及び後側を、それぞれ横フレーム体によって結合してシートクッションの骨格が形成され、
前記前側の横フレーム体を含む両縦フレーム体の前端部間のスペースを上側から覆うように、両縦フレーム体にパネルが固定されて成る車両用シートクッションフレームであって、
前記各縦フレーム体は、それぞれ上下に離間して対向配置された上側縦フレーム体及び下側縦フレーム体と、該上側縦フレーム体及び下側縦フレーム体の前側同士及び後側同士をそれぞれ連結する前側リンク及び後側リンクとを備えて、バーチカル調整機構が構成され、前記前側リンク及び後側リンクが前記上側縦フレーム体及び下側縦フレーム体との成す角度を調整されることにより、前記下側縦フレーム体に対する前記上側縦フレーム体の高さを調整可能とされ、
前記各前側リンクは、前記上側縦フレーム体及び下側縦フレーム体との連結端部間で前記前側の横フレーム体の長手方向に屈曲された屈曲部を備え、該屈曲部の屈曲により前記各前側リンクの前記各下側縦フレーム体との結合部同士の間隔に比べて前記各上側縦フレーム体との結合部同士の間隔が広くされ、
前記前側の横フレーム体は、円形断面で直線状の筒体から成り、前記前側リンクの前記屈曲部に貫通して溶接結合され、この溶接による前記前側の横フレーム体周りの結合箇所は、前記前側の横フレーム体が前記前側リンクに貫通する貫通部に沿って前記前側の横フレーム体の長手方向に分散して配置されており、
前記前側の横フレーム体は、前記両前側リンクとの結合部に対応させて、前記前側の横フレーム体を成す筒体の内周側若しくは外周側に沿って補強用筒体を嵌合して重合することにより実質的に板厚を厚くし、相対的に前記前側リンクとの結合部に比べて結合部間の板厚を薄くされ、筒体と補強用筒体とは互いの重合方向からのカシメ加工により一体化されていることを特徴とする車両用シートクッションフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両側に配置された縦フレーム体間の前側及び後側を、それぞれ横フレーム体によって結合してシートクッションの骨格が形成され、前側の横フレーム体を含む両縦フレーム体の前端部間のスペースを上側から覆うように、両縦フレーム体にパネルが固定されて成る車両用シートクッションフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
車両前突時には、シートに着座した乗員の体が、シートベルトに拘束された状態で、シート表面上を前下方に滑り落ちる現象、所謂サブマリン現象が起きることがある。このとき、乗員保護の観点から乗員に過大な衝撃荷重が加わらないようにする必要がある。そのため、従来よりシート周辺の部品に各種の工夫が施されている。下記特許文献1には、車両前突時に乗員の腰部に過大な荷重が加わらないようにシートバックフレームの一部を変形容易にした発明が開示されている。また、一部の車両では、車両前突時のサブマリン現象の発生に伴いシートクッションの前部上方から入る荷重に対して、シートクッションの前部を変形させて、乗員がシートの前下方に移動することに伴うエネルギを吸収することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−145538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一部の車両のシートでは、サブマリン現象に伴うエネルギを吸収するために必要な変形量をシート前部で確保することができない。なぜなら、シート前部を構成するパネルの下方には、シートの骨格を成す前側の横フレーム体が配置されており、衝突荷重によりパネルが変形しても前側の横フレーム体によりパネルの変形が阻害され、パネルの変形によるエネルギ吸収量が不足する問題がある。
このような問題に鑑み本発明の課題は、前側の横フレーム体の強度を低下させることにより、前側の横フレーム体を変形し易くして、サブマリン現象に伴う衝撃荷重をシート前部で吸収することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1発明は、両側に配置された縦フレーム体間の前側及び後側を、それぞれ横フレーム体によって結合してシートクッションの骨格が形成され、前記前側の横フレーム体を含む両縦フレーム体の前端部間のスペースを上側から覆うように、両縦フレーム体にパネルが固定されて成る車両用シートクッションフレームであって、前記前側の横フレーム体は、前記縦フレーム体との結合部に比べて結合部間の板厚を薄くされていることを特徴とする。
第1発明によれば、前側の横フレーム体の板厚が薄くされているため、パネルを介して上方から押された際の強度は小さく、車両衝突時のサブマリン現象に伴ってパネルが変形されると、前側の横フレーム体も変形され、衝突に伴うエネルギを効果的に吸収することができる。しかも、前側の横フレーム体の縦フレーム体との結合部の板厚は薄くされていないため、縦フレーム体と横フレーム体との結合強度は低下させないようにすることができる。例えば、横フレーム体と縦フレーム体との結合を溶接により行う場合、横フレーム体の板厚と共に当該部の熱容量が大きく確保されているため、溶接熱が適度に分散して溶接部の溶け過ぎを防止し、溶接強度が低下することを防止できる。
【0006】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記横フレーム体は、前記縦フレーム体との結合部に対応させて別部材を重合させて実質的に板厚を厚くされていることを特徴とする。
第2発明によれば、一つの横フレーム体において、縦フレーム体との結合部と該結合部間とで板厚を変えるに際し、別部材を付加するのみで対応でき、板厚を変えるための生産性を高めることができる。
【0007】
本発明の第3発明は、上記第1又は2発明において、前記横フレーム体は、筒体から成り、筒体の両開口側が前記縦フレーム体を貫通して結合されており、該筒体の縦フレーム体との両結合部に筒体の内周側若しくは外周側に沿って補強用筒体が嵌合され、筒体と補強用筒体とは互いの重合方向からのカシメ加工により一体化されていることを特徴とする。
第3発明によれば、横フレーム体を成す筒体に補強用筒体を重ねてカシメ加工により一体化することで板厚を変えることができるので、筒体に補強用筒体を一体化するための生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の平面図である。
図2】上記実施形態の側面図である。
図3】上記実施形態の分解斜視図である。
図4図2のIV−IV線断面図である。
図5】上記実施形態の前側の横フレーム体の水平断面図である。
図6図5のVI−VI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1〜4に示すように、車両用のシートクッション1の骨格は、車両進行方向Fに沿って両側に縦フレーム体11、12が平行配置され、その縦フレーム体11、12の間の前側及び後側を、それぞれ横フレーム体13、14によって結合して形成されている。両縦フレーム体11、12の前端部には、前側の横フレーム体13を含めて両縦フレーム体11、12間のスペースを上側から覆うようにパネル15が固定されている。
両縦フレーム体11、12は、公知のバーチカル調整機構を備えており、両縦フレーム体11、12は、上側縦フレーム体111、121、下側縦フレーム体112、122、前側リンク113、123、後側リンク114、124から成っている。公知のように後側リンク114は、上側縦フレーム体111と下側縦フレーム体112との成す角度を任意に調整可能に構成され、この後側リンク114の角度調整により上側縦フレーム体111、121と下側縦フレーム体112、122との高さを調整可能としている。
【0010】
前側の横フレーム体13は、上側縦フレーム体111、121と下側縦フレーム体112、122とを連結する前側リンク113、123の連結端部間に結合されており、後側の横フレーム体14は、上側縦フレーム体111、121の後端間に結合されている。
前側の横フレーム体13は、前側リンク113、123との結合部に比べて結合部間の板厚を薄くされている。具体的には、前側の横フレーム体13は、筒体131から成り、筒体131の両開口側が前側リンク113、123を貫通して溶接にて結合されており、筒体131の前側リンク113、123との両結合部に筒体131の内周側に沿って補強用筒体132、133(第2発明における別部材に相当)が嵌合され、筒体131と補強用筒体132、133とは互いの重合方向からのカシメ加工により一体化されている。図5、6には、カシメ加工により形成されたカシメ部134が示されている。
なお、補強用筒体132、133は、筒体131の外周側に沿って嵌合されても良い。このように補強用筒体132、133が筒体131の外周側に配置される場合は、横フレーム体13の中央部の外径が補強用筒体132、133が無い分細くなるため、僅かながらもパネル15と横フレーム体13との距離が大きくなり、パネル15の変形可能量が大きくできるメリットもある。即ち、サブマリン現象に伴う衝撃荷重に対するエネルギ吸収量を大きくすることができる。
図5、6には、筒体131と補強用筒体132、133とのカシメ加工の様子が示されており、ここから明らかなように、カシメ部134は、各補強用筒体132、133毎に周方向に4箇所づつ形成されている。4箇所のうち、2箇所づつのカシメ加工は筒体131の中心を通って互いに対向する位置で施されている。そのため、互いに対向するカシメ具を使用して筒体131を間に挟んで2回のカシメ作業を行うことにより4箇所のカシメ部134を形成することができる。
【0011】
以上の実施形態によれば、前側の横フレーム体13の板厚が薄くされているため、パネル15を介して上方から押された際の強度は小さく、車両衝突時のサブマリン現象に伴ってパネル15が変形されると、前側の横フレーム体13も変形され、衝突に伴うエネルギを効果的に吸収することができる。しかも、前側の横フレーム体13の縦フレーム体11、12との結合部の板厚は薄くされていないため、縦フレーム体11、12と横フレーム体13との結合強度は低下させないようにすることができる。横フレーム体13と縦フレーム体11、12の前側リンク113、123との結合は溶接により行われているが、横フレーム体13の板厚と共に当該部の熱容量が大きく確保されているため、溶接熱が適度に分散して溶接部の溶け過ぎを防止し、溶接強度が低下することを防止できる。
また、横フレーム体13と縦フレーム体11、12との結合部と該結合部間とで板厚を変えるに際し、別部材である補強用筒体132、133を付加するのみで対応でき、板厚を変えるための生産性を高めることができる。
更に、横フレーム体13を成す筒体131に補強用筒体132、133を重ねてカシメ加工により一体化することで板厚を変えることができるので、筒体131に補強用筒体132、133を一体化するための生産性を高めることができる。
【0012】
なお、図3において、18は補強パネルであり、図1に破線で示すようにパネル15の後側中央部の下面に溶接固定されている。このように補強パネル18をパネル15に付加することによりパネル15の強度を調整して、車両衝突時におけるパネル15の変形によるエネルギ吸収量を適切に設定している。また、16、17はシートクッションを前後スライド動作させるための前後スライド機構である。
【0013】
本発明は、上記実施形態で説明した外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、
1.横フレーム体は、円筒状のものに限らず、角筒状、板状のものでも良い。
2.シートクッションフレームとしてバーチカル調整機構を備えないものを採用しても良い。
【符号の説明】
【0014】
1 シートクッションフレーム
11、12 縦フレーム体
13、14 横フレーム体
131 筒体
132、133 補強用筒体(別部材)
134 カシメ部
15 パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6