特許第5811568号(P5811568)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5811568
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月11日
(54)【発明の名称】偽造防止媒体
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20151022BHJP
   B42D 25/00 20140101ALI20151022BHJP
   B41M 3/14 20060101ALI20151022BHJP
   G07D 7/12 20060101ALN20151022BHJP
【FI】
   G02B5/30
   B42D15/10
   B41M3/14
   !G07D7/12
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-81779(P2011-81779)
(22)【出願日】2011年4月1日
(65)【公開番号】特開2012-215762(P2012-215762A)
(43)【公開日】2012年11月8日
【審査請求日】2014年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】落合 英樹
(72)【発明者】
【氏名】永吉 美保子
(72)【発明者】
【氏名】青野 耕太
(72)【発明者】
【氏名】小手川 雄樹
【審査官】 小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特表平09−503169(JP,A)
【文献】 特開2008−083093(JP,A)
【文献】 特開2001−056484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
B42D 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な基材の一方の面に2層コレステリック液晶で形成された反射層を、他方面に光吸収層を設けた構成であり、前記コレステリック液晶で形成された反射層が、異なる色相を示す層からなり、前記光吸収層側に設けられる1層目のコレステリック液晶の正面反射ピーク中心が500nm〜700nmであり、2層目のコレステリック液晶の正面反射ピークが400nm〜500nmであることを特徴とする偽造防止媒体。
【請求項2】
光吸収層上に粘着層を積層したことを特徴とする請求項に記載の偽造防止媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の偽造防止及び真贋判定を行うため、検証フィルターを用いることで目視とは異なった色彩が現れる偽造防止媒体とその検証方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、偽造を防止する手段としては、物品そのものを真似することが困難なものとするか、あるいは真似することが困難な媒体を、本物であることの証として物品に取りつけることにより、本物と偽物を区別するものがある。この後者の代表的なものとして、光の回折と干渉により見る角度に応じて、固有のカラーシフト(反射光の色変化)を生じ、観察する位置により見える色が異なる媒体があげられる。その媒体を確認することにより、真正品であるか否かを容易に判定することができる。
【0003】
そこで、見る角度によるカラーシフト(反射光の色変化)の効果を有するものとして、視角に依存して色シフトを呈する光学的可変性顔料とその偽造防止印刷物が記載されている(特許文献1)。
【0004】
また、偽造防止のための媒体に適した材料として、高虹彩色効果を有するパール顔料が記載されている(特許文献2)。
【0005】
さらには、視角に依存してカラーシフトを呈する、薄膜層を複数積層してなる多層薄膜層上にエンボスを施してなる偽造防止媒体が記載されている(特許文献3)。
【0006】
これらのカラーシフト(反射光の色変化)や高虹彩色効果を持つ材料は、視角による色の変化があり、偽造物に対して真偽の判定を可能とする。特にカラーコピー機やプリンターにより不正に複写したものでは、その光学特性を再現することが不可能であるため、偽造・変造を困難とし、偽造・変造されたとしても、その使用をあきらめさせる効果を有する。
【0007】
その形態は、例として媒体、ステッカーとして、さらにより高いセキュリティの付加として、あるいは脆性ステッカーのような剥離後再生困難となるように構成されており、一度張り付けた後、これを剥離すると一部もしくは全体が破壊されることで、偽造だけでなく、改竄など物品になんらかの手が加えられたことが、一目で判別できるようにしたものである。
【0008】
コレステリック液晶の2層、すなわち第1層が青から紫外の反射色を示し、第2層が赤外から赤の反射色を示す構成により、カラーシフト効果を高める提案がなされているが、コレステリック液晶を用いていることが分かってしまい十分な偽造防止にならない(特許文献4)。
【0009】
また、カラーシフトや高虹彩色効果といった光学干渉を利用した媒体では、少しでも色変化すれば本物であると見てしまいがちで、真偽の判定がしにくいという問題点がある。また、近年化粧品等の分野でカラーシフト性顔料が使用され一般での入手が容易になったため、正面と斜め方向からの観察により色彩が変化することは公知となり、材料自身が持つカラーシフトによる光学効果だけに依存した偽造防止媒体では高い偽造防止効果を期待しにくくなってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2002−523606号公報
【特許文献2】特開平10−279828号公報
【特許文献3】特開平11−224050号公報
【特許文献4】特開2010−134333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、複写防止機能や偽造防止機能を備えた偽造防止媒体であって、カラーシフト効果を極限まで押さえ、コレステリック液晶を利用していることの判別が不可能であり、偽造防止媒体と同一の媒体を複写機で作製することが困難な偽造防止媒体を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、透明な基材の一方の
に2コレステリック液晶で形成された反射層を、他方面に光吸収層を設けた構成であり、前記コレステリック液晶で形成された反射層が、異なる色相を示す層からなり、前記光吸収層側に設けられる1層目のコレステリック液晶の正面反射ピーク中心が500nm〜700nmであり、2層目のコレステリック液晶の正面反射ピークが400nm〜500nmであることを特徴とする偽造防止媒体である。
【0014】
また、請求項に記載の発明は、光吸収層上に粘着層を積層したことを特徴とする請求項に記載の偽造防止媒体である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の偽造防止媒体は、異なる反射色を示す反射層を積層することで青色となるよう構成され、反射層の下側に光吸収層が形成されている。この媒体を正面から観察すると鏡面の如く青色の反射光が観察される。ついで円偏光フィルターを翳すと反射光がフィルターにより吸収され黒色を示す。さらに円偏光フィルターの偏向方向が逆のフィルターを翳すと色彩の変化は現れない。これらのことからも複写機での複写は困難な偽造防止媒体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明における偽造防止媒体の一実施形態例の断面概略図である。
図2】本発明における偽造防止媒体の一実施形態例を示す概要図である。
図3】本発明における偽造防止媒体を斜めから観察した時の見え方を示す概要図である。
図4】本発明における偽造防止媒体を左円偏光板を介して時の見え方を示す概略図である。
図5】本発明における偽造防止媒体を右円偏光板を介して時の見え方を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。図1は本発明における偽造防止媒体10の断面概略図であり、基材1上に、1層目のコレステリック液晶2からなる反射層、2層目のコレステリック液晶3からなる反射層、必要に応じてさらなるコレステリック液晶からなる反射層を有している。その上に印刷により画像情報6が設けられて
いる。基材1の反対面には光吸収層4と偽造防止媒体10を偽造防止を必要とする物品に貼りつける為の粘着層5が設けられている。
【0018】
偽造防止媒体10を媒体に対し垂直方向で視認すると、図2の如く青色光沢のある均一な面が確認され、偽造防止媒体10を図3に示す様に傾けて視認してもやはり青色光沢のある均一な面が確認される。
【0019】
図4はコレステリック液晶の螺旋軸とは異なる方向の円偏光フィルターを翳した時の媒体の見え方を示し、図5はコレステリック液晶の螺旋軸と同じ方向の円偏光フィルターを翳した時の媒体の見え方を示す。
【0020】
コレステリック液晶の螺旋軸と異なる方向の円偏光フィルターを翳したときは、コレステリック液晶からの円偏光反射光はフィルターを透過するため変化しない。一方コレステリック液晶の螺旋軸と同じ方向の円偏光フィルターを翳すとコレステリック液晶からの
円偏光反射光はフィルターに吸収され暗くなる。
【0021】
まず光選択反射層であるコレステリック液晶について詳しく説明する。ここで螺旋軸が右及び左のコレステリック液晶は、キラル相を有する三次元架橋性液晶物質を配向し、三次元架橋することで得られる。
【0022】
コレステリック液晶によって反射した光は円偏光であり、液晶物質の中でもコレステリック液晶はねじれ構造を有し、そのねじれ軸(螺旋軸)に沿って光の屈折率が周期的に変動するため、そのねじれ構造のピッチに等しい波長の光を選択的に反射する。
【0023】
したがって、ねじれ構造のピッチを温度、及び/またはカイラル剤を用いて制御することで所望のコレステリック液晶による反射色を作り出すことが可能である。また、ねじれ構造を有する液晶は、各分子が層を成して配置されており、層中で均一に配列されることで初めてその光学的特性を形成する。この場合、分子は層毎にその優先方向を変えるのでねじれ構造が生じる。
【0024】
各分子の配向は公知の方法、例えば配向層または電解または磁界によって制御できる。また、その固定化の代表的な方法には、キラル相を有する三次元架橋性液晶と多官能性重合化合物を組合せ、紫外線を照射することで三次元架橋し、ねじれ構造を固定化できコレステリック高分子液晶ができる。
【0025】
コレステリック高分子液晶の出発物質としては、紫外線から赤外線の光の波長に対して等しいピッチのねじれ構造を有する全てのコレステリック液晶物質が利用できる。即ち、キラル相を有する液晶物質はネマチック、スメクチック構造をとる液晶にキラル物質を加えることで製造できる。
【0026】
キラル物質の種類及び分子量がねじれ構造の向きやピッチ、延いては反射光の波長を決定する。さらに構造中に不整炭素を持つ液晶であればキラル物質の添加無しにねじれ構造をとらせることも可能である。キラル物質の添加、無添加に関わらず、ねじれ構造のピッチ変更には温度の変更も有効である。
【0027】
ただし、ピッチは温度が低いと長く、温度が高いと短くなるため、温度が低すぎる場合には反射光は赤外線領域に、高いと分子による吸収を除けば紫外線領域に入り、さらには等方層となり液晶性を示さなくなる点があるため必要な反射光を得るために、どの波長を利用するかによって適正に管理する必要がある。
【0028】
さらに、出発物質は重合性基、重縮合性基または重付加に有効な基を有し、従来公知のエネルギー線硬化性化合物が使用されるが、特に分子中に2個ないしそれ以上のエネルギー線硬化性基を有する単量体、オリゴマーを含有することが好ましい。ラジカル系光重合性単量体として従来公知の、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能性単量体、ポリウレタンポリアクリレート、エポキシ樹脂系ポリアクリレート、アクリルポリオールポリアクリレート等の他官能性オリゴマー類が好ましい。
【0029】
一官能性の単量体としては、アルキル(C1〜C18)(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アルキレン(C2〜C4)グリコール(メタ)アクリレート、アルコキシ(C1〜C10)アルキル(C2〜C4)(メタ)アクリレート、ポリアルキレン(C2〜C4)グリコール(メタ)アクリレート、アルコキシ(C2〜C10)ポリアルキレン(C2〜C4)グリコール(メタ)アクリレート等である。カチオン系光重合性単量体として従来公知の芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル系化合物が挙げられる。さらに好ましくは、3次元架橋性液晶ポリオルガノシロキサンがあげられる。
【0030】
本発明のコレステリック液晶層の製造で使用するエネルギー線硬化を起こすための重合開始剤等は、照射するエネルギー線により適切な特性の公知の重合開始剤が必要に応じて使用される。例えば、光重合開始剤としては従来公知のものが使用される。
【0031】
ラジカル系光重合開始剤として、α−ヒドロキシアセトフェノン系、α−アミノアセトフェノン系等のアセトフェノン系、ベンゾインエーテル系、ベンジルケタール系、α−ジカルボニル系、α−アシルオキシムエステル系等公知のものが使用され、具体的にはα−アミノアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、イソプロピルチオキサントン、ベンゾフェノンとN−メチルジエタノールアミンとの併用等があげられる。
【0032】
カチオン系光重合開始剤としては従来公知のものを特に制限なく使用することができ、さらに好ましくは、公知の増感剤や過酸化物と適宜併用することができる。例えば、アリルヨードニウム塩−α−ヒドロキシアセトフェノン系、トリアリルスルホニウム塩系、メタロセン化合物−パーオキサイド併用系、メタロセン化合物−チオキサントン併用系、メタロセン化合物−アントラセン併用系等である。
【0033】
コレステリック液晶層の製造方法は、例えば、まず3次元架橋性液晶ポリオルガノシロキサンと光重合開始剤の混合溶液を、金属支持体、プラスチック支持体、またはガラス支持体上に加温しながらドクターを用いてせん断力を加えながら塗布し、液晶分子を配向させる。また、次に、液晶層に紫外線を照射し、三次元架橋させる。
【0034】
支持体は場合により、例えばポリイミドまたはポリビニルアルコールから成る配向層を有していても良い。また、液晶分子の配向方法には、2枚のシート間でせん断することも可能であり、好ましくはポリエチレンテレフタレートを使用する方法もある。
【0035】
コレステリック液晶層は上述の材料を、コンマコーター、マイクログラビアコーターオフセット等公知のコーティング、印刷方法で膜厚0.5〜20μm、好ましくは2〜10μmとなるよう基材上に塗布し、メタルハライドランプ高圧水銀ランプ等公知の活性エネルギー線照射装置で架橋させることで得られる。なお、架橋を速やかに進めるため、活性エネルギー線照射環境を不活性ガス、例えば窒素を用い酸素濃度を下たり、ポリエチレン等のフィルムと貼り合わせ酸素阻害を回避することもできる。また、基材1上に構築したコレステリック液晶フィルムの液晶面に接着剤を塗布し、必要に応じた形状で別の基材に転写しても良い。
【0036】
基材1上に形成されたコレステリック液晶はBraggの式に表されるように、コレステリック液晶に入射する光の角度が垂直方向から徐々に大きくなるとより短波長の光を反射するようになる。すなわちコレステリック液晶の観察において観察者が斜めから見たり、またはコレステリック液晶を傾けたりすると必ず色彩の変化が生じることになる。
【0037】
ここで基材1上に正面から観察した時にグリーン色を呈するコレステリック液晶を設置し、その上にブルー色を呈するコレステリック液晶を積層すると、反射色は加法混色によりシアン色を示す。
【0038】
次いで観察角度を斜めに移して行くと基材1側に設置された1層目のコレステリック液晶層2はグリーン色からブルー色へと色変化する。また表層側の2層目のコレステリック液晶層3はブルー色からバイオレット色を経由し紫外線域へと反射色を変え結果として目視上無色となる。観察者は2層分のコレステリック液晶からの反射色を視認するため、観察する角度を正面から斜めに変えてもシアン色からブルー色になるだけで色変化は殆ど起こらない。
【0039】
コレステリック液晶はその螺旋軸の方向と同じ向きの円偏光を反射する。そこで直線偏向板に1/4λの位相差フィルムを張り合わせた円偏光板をコレステリック液晶上に翳すとコレステリック液晶と同じ螺旋軸の偏向板の時はコレステリック液晶からの反射光は円偏光板に吸収され暗くなる。円偏光板とコレステリック液晶の螺旋軸が異なる時、コレステリック液晶からの反射光円偏光板を透過し変化しない。
【0040】
なお、コレステリック液晶からの反射色を変えなければコレステリック液晶から反射する円偏光の旋回方向を変たり、直線偏向とする操作を加えても良い。コレステリック液晶の層間には1/2λの位相差層を設ければ、位相差層の下部にあるコレステリック液晶からの円偏光の旋回方向を逆転させることが可能であり、検証に用いる円偏光板の右と左で異なる色を確認することができる。また1/4λの位相差層はコレステリック液晶から反射する円偏光を直線偏光に変えるため、検証用円偏光フィルターの表と裏で異なる色を確認することが可能となる。
【0041】
一方、前述したコレステリック液晶からの反射光の効果をより引き立てるために、光吸収層4を設けることが好ましい。すなわち、1層目のコレステリック液晶層2と2層目のコレステリック液晶層3を透過した光(選択反射される波長以外の光)が基材1上で反射・散乱し、1層目のコレステリック液晶層2と2層目のコレステリック液晶層3で選択反射した光に混ざりあうあうことを防止するために設ける層である。この層には光を透過し難く、吸収しやすい黒色インキあるいは黒色に近い色インキを用いて印刷されることが好ましいが、デザインや視認性を考慮し黄色、赤色等適宜選択し印刷することも可能である。
【0042】
光吸収層4は全面に設けるだけでなく絵柄や文字といったパターン等で設けることも可能である。また、設ける位置も観察側からみてコレステリック液晶層の下側にくればいずれの層間に設けてもよく、図2のように基材を介してコレステリック液晶とは反対面の下側でも基材1と1層目のコレステリック液晶層2との間でも良いし、さらには接着層5を着色し光吸収層4を兼ねることも可能である。これら設ける位置は製造上等の観点から適宜選択して設けることができる。
【0043】
媒体を作成する際に通常用いる基材1は、押出加工やキャスト加工により作製された無延伸フィルム及び、延伸加工により作製された延伸フィルム等を用いる事ができる。延伸フィルムには、伸ばし方により、1軸延伸フィルム及び2軸延伸フィルムがあり、両者とも使用できる。
【0044】
これらの無延伸フィルム及び延伸フィルムの材料としては、セロハン、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリオレフィン(PO)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等があげられる。
【0045】
なを、基材1上の一部にレリーフ型ホログラム(回折格子)等の所謂ホログラムを形成しても良い。レリーフ型のホログラム(回折格子)は微細な凹凸パターンからなるレリーフ形成層と、その面にて光が反射する反射層を設ける必要がある。光反射層はコレステリック液晶を透過した光を反射させると、結果として全反射となりコレステリック液晶固有の反射色が観察され難くなるため、ホログラム反射層の反射光とコレステリック液晶の反射色を区別させるため、ホログラム反射層を部分的に形成したり、光吸収層で一部を覆う等の工夫をする必要がある。
【0046】
回折構造形成層は、微細な凹凸を有するプレス版にて成形可能であるという性能が要求され、その材質は高分子樹脂が用いられる。一方、回折構造効果層は描かれた画像の回折効率を高めるため設けられる層であり、レリーフ面を構成する高分子材料と屈折率の異なる材料からなる。用いる材料としては、反射効果の高いAl、Sn、Cr、Ni、Cu、Ag,Au等の金属材料やTiOの如き屈折率の高い金属酸化物が挙げられるが、これらに限定されるものではなく公知の材料であれば適宜使用可能であり、本発明の反射層と同様の効果を持つ。
【0047】
さらには、ホログラムや回折格子の画像技術としては、立体的画像を再現する3Dホログラムや回折格子を微小なドットで表現し、高い輝感を与えることが可能な特殊な回折格子(本発明者等はグレーティングイメージと称する)、等の撮影技術が挙げられる。
【0048】
最近では回折格子の微小なドットを星型等の特定形状で形成する手法や、マイクロ文字と言われる肉眼では見えない細かな文字を描画する手法、回折格子を使用していながらあたかも写真のように被写体の色彩を忠実に再現する手法、あるいは見る角度でまったく違う複数の画像を表現する手法(本発明者等はチェンジングと称する)、等が開発されている。
【0049】
本発明においては、これらに限定されるものではなく、前述の画像表現の手法はもちろんのこと、公知の画像表現の手法であれば適宜利用可能である。
【0050】
粘着剤は、光吸収層4、1層目のコレステリック液晶層2、2層目のコレステリック液晶層3、及び虹彩性多層フィルムと十分な接着力があれば一般的な材料を用いることが出来る。
【0051】
例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系ポリアミド、アクリル系、ブチルゴム系、天然ゴム系、シリコン系、ポリイソブチル系等の粘着材を単独、もしくはアルキルメタクリレート、ビニルエステル、アクリルニトリル、スチレン、ビニルモノマー等の凝集成分、不飽和カルボン酸、ヒドロキシ基含有モノマー、アクリルニトリル等に代表される改質成分や重合開始剤、可塑剤、硬化剤、硬化促進剤、酸化防止剤等の添加剤を
必要に応じて添加したものを用いることができる。
【0052】
粘着層5の形成には公知のグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などの印刷方法やバーコート法、グラビア法、ロールコート法等の塗布方法等を用いることができる。さらには両面がフィルムセパレーターで構成された粘着剤の使用も可能であり、貼り合わせには公知のロールラミネート等の方法を用いることが出来る。
【0053】
偽造防止媒体10の一部には目視情報として通常の印刷を行っても良く、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等公知の手法により、夫々に用いられる通常の印刷インキを用いて印刷すれば良い。
【0054】
これらにより、コレステリック液晶特有のカラーシフト効果が無いにも関わらず、選択的円偏光を反射する偽造防止媒体となり、目視上の反射色情報を複写し偽造したとしても、本発明全ての偽造防止効果を網羅することは出来ないため、確実に真偽判定が可能となる。
【実施例】
【0055】
本発明を、具体的な実施例をあげて詳細に説明する。本実施例においては、図1に示す偽造防止媒体10の構成を代表例として説明する。
厚み25μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムから成る基材1に正面から観察してグリーン色を示すコレステリック液晶インキ1として
ネマチック液晶 (パリオカラー LC242 BASF(株)製) 30重量部
カイラル剤 (パリオカラー LC756 BASF(株)製) 1.4重量部
重合開始剤 (イルガキュア184 チバガイギー(株)製) 1.5重量部
溶 剤 (メチルエチルケトン ) 67重量部を硬化後膜厚5μmとなるよう塗布し、50℃で1分乾燥した後、窒素雰囲気下で500mJの紫外線照射を行いコレステリック液晶の固定化を行なった。
【0056】
次いで正面から観察してブルー色を示すコレステリック液晶インキ2として
ネマチック液晶 (パリオカラー LC242 BASF(株)製) 30重量部
カイラル剤 (パリオカラー LC756 BASF(株)製) 1.5重量部
重合開始剤 (イルガキュア184 チバガイギー(株)製) 1.5重量部 溶 剤 (メチルエチルケトン ) 67重量部
を硬化後膜厚3.5μmとなるよう塗布し、50℃で1分乾燥を行なった後窒素雰囲気下で500mJの紫外線照射を行ないコレステリック液晶の固定化を行なった。その上にスクリーン印刷機を用いスクリーン印刷用の黄インキで画像情報を形成した。さらにコレステリック液晶を塗布した面と逆の基材面に黒色インキでなる光吸収層4を2μm、接着材料からなる接着層5を10μm、順次塗布し、図1に示した偽造防止体10を作製した。
【0057】
こうして得られた偽造防止媒体10を被偽造防止媒体に両面テープを用いて貼り付け、偽造防止媒体10に対し垂直方向から視認すると均一な青い反射光が確認され、媒体を傾けても同じく青い反射光が確認された。この媒体に左円偏光板11を翳しても変化は現れないが、右円偏光板12を翳すとコレステリック液晶部分は暗くなった。
【0058】
偽造防止媒体10を複写機でカラーコピーを行なったところ、円偏光フィルターを翳しても暗くならず、複写品であることは容易に判別可能であった。
【符号の説明】
【0059】
1・・・基材
2・・・1層目のコレステリック液晶層(光反射層)
3・・・2層目のコレステリック液晶層(光反射層)
4・・・光吸収層
5・・・粘着層
6・・・画像情報
10・・・偽造防止媒体
11・・・左円偏光板
12・・・右円偏光板
図1
図2
図3
図4
図5