(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。なお、
図1〜
図11においてX軸、Y軸、Z軸は直交座標を示しており、X軸方向は乗物の前後方向(X軸の向かう方向が前)を示し、Y軸方向は乗物の左右方向(Y軸の向かう方向が左)を示し、Z軸方向は乗物の上下方向(Z軸の向かう方向が上)を示している。
【0013】
●[乗物用シート1の外観(
図1)]
図1は、乗物用シート1の全体を斜視図にて示している。
図1に示すように、乗物用シート1は、乗員が腰を下ろすシートクッション部3と、乗員が背中を凭せ掛けるシートバック部2と、乗員が頭を凭せ掛けるヘッドレスト部6(乗員の頭部を支持する個所に相当)と、を有している。なお、ヘッドレスト部6を省略してシートバック部2の上部にて乗員の頭部を支持するように構成されていてもよい。本実施の形態の説明では、ヘッドレスト部6を有する乗物用シート1の例にて説明する。
また、シートクッション部3は、骨格となるクッションフレーム3Fを有しており、シートバック部2は、骨格となるバックフレーム2Fを有している。そしてバックフレーム2Fの左右はコネクティングロッド2Rにて接続されており、クッションフレーム3Fの左右はコネクティングロッド3Rにて接続されている。
そしてクッションフレーム3Fとバックフレーム2Fは、乗物用シート1に着座した乗員に対して左右一対で設けられた連結部材50にて連結されている。
【0014】
また、乗物用シート1は、乗物の床面Fに固定された左右一対のスライド装置であるシート支持装置4に取り付けられている。
シート支持装置4は、支持具40F、40Rと、ロアレール20と、アッパレール10と、支持フレーム40、スライドレバー30L等を有している。
支持具40F、40Rは前後方向に配置され、それぞれが床面Fに固定されている。
ロアレール20は、前後方向に延びるレールであり、支持具40F、40Rに固定されている。
アッパレール10は、前後方向に延びるレールであり、ロアレール20に挿通されて、ロアレール20に対して前後方向にスライド可能である。
支持フレーム40はアッパレール10に固定されており、支持フレーム40には、乗物用シート1のシートクッション部3が接続されている。
【0015】
乗員は、スライドレバー30Lを操作することでスライドロック機構を解除して、乗物用シート1の前後方向の位置を調整することが可能であり、スライドレバー30Lを離すことでスライドロック機構をロック状態にすることができる。なお、スライドロック機構の詳細については説明を省略する。
また、乗員は、リクライニングレバー5を操作することでリクライニングロック機構を解除して、シートクッション部3に対するシートバック部2の傾斜角度を調整することが可能であり、リクライニングレバー5を離すことでリクライニングロック機構をロック状態にすることができる。なお、リクライニングロック機構の詳細については説明を省略する。
【0016】
本発明の乗物用シート1は、乗物が後突を受けた際に衝撃を吸収する衝撃吸収手段が設けられている。そして衝撃吸収手段は、乗物の後方から第1の速度(例えば16[km/h])以下の衝突(比較的低速の後突)を受けた際の第1衝撃エネルギーを吸収する第1衝撃吸収手段と、第1の速度よりも大きな第2の速度(例えば24[km/h])の衝突(比較的高速の衝突)を受けた際の第2衝撃エネルギーを第1衝撃吸収手段とともに吸収する第2衝撃吸収手段と、を有している。
以下、衝撃吸収手段の構造において、
図2〜
図5を用いて連結プレート50Pに衝撃吸収手段を形成した第1の実施の形態について説明し、
図6〜
図8を用いてクッションフレーム3Fに衝撃吸収手段を形成した第2の実施の形態について説明し、
図9〜
図11を用いて連結部材62Yに衝撃吸収手段を形成した第3の実施の形態について説明し、
図12〜
図14を用いて連結部材62Xに衝撃吸収手段を形成した第4の実施の形態について説明する。
【0017】
●[第1の実施の形態(
図2〜
図5)]
●[連結部材50の構造(
図2)と、連結プレート50Pの変形状態(
図3)と、シートバック部2の移動状態(
図4)]
第1の実施の形態では、クッションフレーム3Fとバックフレーム2Fとを連結する連結部材50にて第1衝撃吸収手段と第2衝撃吸収手段を実現している。
図2に示すように、連結部材50は、クッションフレーム3Fに対してバックフレーム2Fの傾斜角度を調整可能なリクライニング調整部材50Aと、板状の連結プレート50Pにて構成されている。リクライニング調整部材50Aは、バックフレーム2Fの取付面2Mに固定される固定部50Bと、固定部50Bに対して相対的に回転可能な可動部50Cとを有している。
そして固定部50Bはバックフレーム2Fの取付面2Mに固定され、可動部50Cは連結プレート50Pに固定され、連結プレート50Pはクッションフレーム3Fに固定されている。
なお、リクライニング調整部材50Aは既存のものを利用可能であり、リクライニング調整部材50Aの詳細については説明を省略する。
また
図2では、
図1におけるリクライニングレバー5やスプリング等の記載を省略している。
【0018】
連結プレート50Pは、衝撃によって変形可能な金属等にて形成されており、ベース面51P、浮島面52P、第1ブリッジ部53A、第2ブリッジ部53B、第3ブリッジ部53C、第1スリット部56A、第2スリット部56B、第3スリット部56C、取付孔55等を有している。
浮島面52Pは、バックフレーム2Fの側に固定される面(
図2の例では、バックフレーム2Fに固定されたリクライニング調整部材50Aの可動部50Cに固定される面)である。
ベース面51Pは、クッションフレーム3Fの側に固定される面であり、
図2に示す例では、浮島面52Pの周囲を囲む面である。またベース面51Pは、取付孔55に挿通されたボルトB1等にてクッションフレーム3Fの取付孔3Hに固定される。
そして浮島面52Pとベース面51Pとの境界には、少なくとも第1スリット部56Aが形成されて、ベース面51Pに対して浮島面52Pが区画形成されている。
なお、
図2、
図3(A)〜(C)の例では、浮島面52Pとベース面51Pとの境界には、第1スリット部56Aと第3スリット部56Cが形成されており、第1スリット部56Aは、浮島面52Pに隣接する位置であって少なくとも浮島面52Pの後方に相当する位置に形成されている。
【0019】
第1ブリッジ部53A、第3ブリッジ部53Cは、ベース面51Pに対して浮島面52Pを接続及び支持しており、上方から下方に向かって延びるように形成されている。なお、本実施の形態にて説明する第1ブリッジ部53A及び第3ブリッジ部53Cは、上方から下方に向かって延びているが、鉛直方向よりもやや前方に向かって角度θAにて傾斜している(
図3(A)参照)。しかし、前方に向かって傾斜していても、鉛直方向であっても、後方に向かって傾斜していても、とにかく水平方向でなく(斜めも含めて)上から下へと延びていればよい。なお、傾斜の角度θAは、実験等によって適宜設定される。
また、上方に形成されている第1ブリッジ部53Aの幅W1は、下方に形成されている第3ブリッジ部53Cの幅W3よりも大きい。従って、第3ブリッジ部53Cのほうが、第1ブリッジ部53Aよりも脆弱となるように形成されている。
また、ベース面51Pにおいて第1スリット部56Aに隣接する位置であって少なくとも第1スリット部56Aの後方に相当する位置には、第2スリット部56Bと、第2スリット部56Bと第1スリット部56Aとの間に形成されて第1スリット部56Aと第2スリット部56Bとを区切る第2ブリッジ部53Bと、が形成されている。なお、
図2、
図3(A)〜(C)の例では、第1スリット部56Aの後方且つ上方に相当する位置に、第2ブリッジ部53Bと第2スリット部56Bが形成されている。
第1ブリッジ部53Aは、乗物の後方から比較的低速である第1の速度以下の衝突を受けた際の第1衝撃エネルギーを吸収して変形する第1変形部であり、第1衝撃吸収手段に相当する。
第2ブリッジ部53Bは、乗物の後方から比較的高速であって第1の速度よりも大きな第2の速度の衝突を受けた際の第2衝撃エネルギーを第1変形部とともに吸収して変形する第2変形部であり、第2衝撃吸収手段に相当する。
なお、第3ブリッジ部53Cは省略してもよい。
【0020】
次に
図3(A)〜(C)を用いて、乗物が後突を受けた場合において、連結プレート50Pの第1ブリッジ部53A及び第2ブリッジ部53Bの変形の様子について説明する。
図3(A)は、変形前の連結プレート50Pの状態を説明する図である。この状態は、第1ブリッジ部53Aも第2ブリッジ部53Bも変形していない状態である。
【0021】
図3(B)は、
図3(A)の状態から比較的低速である第1の速度以下の後突を受けた際の変形状態を示している。第1の速度以下では、第1ブリッジ部53A及び第3ブリッジ部53Cは変形するが、第2ブリッジ部53Bは変形しないように、第1ブリッジ部53Aの幅W1及び第1スリット部56Aの幅が設定されている。
乗物が第1の速度以下の後突を受けた際は、乗員の後方荷重がかかり、当該後方荷重がシートバック部2のバックフレーム2Fから連結プレート50Pの浮島面52Pに集中し、第1ブリッジ部53Aと第3ブリッジ部53Cが変形する。
そして、
図3(B)に示すように、ベース面51Pに対して浮島面52Pが、第1スリット部56Aの空洞部内において振り子のように弧を描くように移動(浮島面52Pが振り子の錘に相当し、第1ブリッジ部53Aが振り子の糸に相当する)し、変形前に対して変形後では、浮島面52Pの中心P1が、中心P2へと移動する。
これにより、浮島面52Pに接続されているバックフレーム2F(すなわちシートバック部2)は、シートクッション部3に対して、後方にΔL2だけ移動するとともに上方にΔH2だけ移動し、前方に向かって角度θ2だけ傾斜するように移動する。
【0022】
図3(C)は、
図3(A)の状態から比較的高速である第2の速度の後突を受けた際の変形状態を示している。第2の速度では、第1ブリッジ部53A、第3ブリッジ部53Cの変形に加えて、第2ブリッジ部53Bも変形する。そして、第2ブリッジ部53Bの幅W2は、第2の速度の後突による衝撃エネルギーを適切に吸収して変形するように、適宜設定されている。
乗物が第2の速度の後突を受けた際は、乗員の後方荷重がかかり、当該後方荷重がシートバック部2のバックフレーム2Fから連結プレート50Pの浮島面52Pに集中し、第1ブリッジ部53Aと第3ブリッジ部53Cが変形し、更に第2ブリッジ部53Bも変形する。
図3(C)に示すように、ベース面51Pに対して浮島面52Pが、第1スリット部56Aの空洞部内において振り子のように弧を描くように移動し、更に浮島面52Pが第2ブリッジ部53Bに突き当たり、浮島面52Pは第2ブリッジ部53Bを湾曲させて第2スリット部56B内へと食い込み、変形前に対して変形後では、浮島面52Pの中心P1が、中心P3へと移動する。
この場合、第2の速度による第2衝撃エネルギーにおける第1衝撃エネルギー分が、第1スリット部56A内における第1ブリッジ部53Aの変形によって吸収され、第2衝撃エネルギーにおける第1衝撃エネルギーを超えた分の衝撃エネルギーが、浮島面52Pが第2スリット部56Bへと食い込んだ際の第1ブリッジ部53Aの変形と第2ブリッジ部53Bの変形によって吸収される。
これにより、浮島面52Pに接続されているバックフレーム2F(すなわちシートバック部2)は、シートクッション部3に対して、後方にΔL3だけ移動するとともに上方にΔH3だけ移動し、前方に向かって角度θ3だけ傾斜するように移動する。
これにより、
図4に示すように、乗物が第2の速度の後突を受けると、第2衝撃エネルギーを吸収して連結プレート50Pの浮島面52Pの中心P1が、後方にΔL3、上方にΔH3だけ移動した中心P3へと移動し、シートバック部2は前方に向かって角度θ3だけ傾斜する。
【0023】
●[第1の実施の形態の効果(
図5)]
図5(A)は、後突を受けた際、第1の実施の形態における連結部材50(連結プレート50P)によって、衝突の前後における乗物用シート1の挙動を説明する図であり、衝突前の状態を実線にて表している。また、第1の実施の形態の連結プレート50Pを用いた乗物用シートにおける衝突後の状態を一点鎖線にて表し、本実施の形態の連結プレート50Pを用いていない従来の乗物用シートにおける衝突後の状態を点線にて表している。
シート支持装置4のロアレール20に対してアッパレール10がスライド可能であるため、ロアレール20とアッパレール10との間には必ず隙間がある。この隙間によって、第1の実施の形態の乗物用シート1も、従来の乗物用シートも、後突後は、角度θ10にて後方に向かって傾斜し、点線で示した従来の乗物用シートは、ヘッドレスト部(乗員の頭部を支持する個所)の後方への移動量ΔM2が大きい。
【0024】
これに対して第1の実施の形態の連結プレート50Pを用いた乗物用シート1では、後突後において、シートクッション部3の位置は従来の乗物用シートと同じであるが、シートバック部2の位置は大きく異なる。
図3(A)〜(C)及び
図4を用いて説明したように、後突後、連結プレート50Pの浮島面52Pは、乗員の後方荷重によってベース面51Pに対して振り子のように移動する。これにより、シートバック部2は、シートクッション部3に対して後方に移動するとともに上方にも移動し、更に、前方に向かって傾斜する。この前方への傾斜によって、
図5(A)に示すように、ヘッドレスト部6(乗員の頭部を支持する個所)が、従来の後突後のヘッドレスト部の位置よりも前方へと移動するので、ヘッドレスト部6の移動量ΔM1は、従来の乗物用シートのヘッドレスト部の移動量ΔM2よりも小さくなる。
【0025】
すなわち、乗物が後方からの衝突を受けた際において、シートクッション部3に対してシートバック部2の位置を少なくとも後方に移動させて衝撃を吸収し、更にヘッドレスト部6の移動量ΔM1を、従来よりも小さくすることが可能であり、乗員の首への衝撃をより小さく抑えることができる。
しかも、連結プレート50Pの構造は、プレスで型抜きすればよい程度の非常にシンプルな構造であり、製造も容易である。また、複雑なリンク機構も衝撃吸収装置も特に必要なく、乗物用シート1の部品点数を増加させることなく、安全性をより向上させることができる。
更に、
図5(B)のグラフに示すように、第1の衝撃エネルギーを第1ブリッジ部53Aの変形にて吸収し、第1の衝撃エネルギーよりも大きな衝撃エネルギーを第1ブリッジ部53Aの変形と第2ブリッジ部53Bの変形にて吸収する。
図5(B)のグラフにおける変形量A1の位置は、第1ブリッジ部53Aのみの変形から第1ブリッジ部53A及び第2ブリッジ部53Bの変形へと切り替わる位置である。また
図5(B)のグラフにおける衝撃エネルギーE1の位置は、第1衝撃エネルギーと第2衝撃エネルギーの境界となる位置である。
このように衝撃エネルギーの大きさに応じて、2段階で衝撃を吸収できるので、第1ブリッジ部53Aの設定を、比較的小さな衝撃エネルギーを適切に吸収できるように比較的変形し易く設定し、第2ブリッジ部53Bの設定を、比較的大きな衝撃エネルギーを適切に吸収できるように比較的変形しにくく設定することが可能である。これにより、設計自由度が増すとともに、比較的小さな衝撃エネルギーから比較的大きな衝撃エネルギーまで、適切に衝撃エネルギーを吸収できる乗物用シート1を容易に実現することができる。
【0026】
●[第2の実施の形態(
図6〜
図8)]
●[リフタ機構60の構造(
図6(A))と、支持フレーム40とクッションフレーム3Fの連結構造(
図6(B))と、連結部材62Zの構造(
図7)]
第2の実施の形態では、支持フレーム40に対してクッションフレーム3Fを上下に移動可能なリフタ機構60の連結部材62(後方リンク部材)における支持軸62B(
図6(A)参照)の周囲、あるいはリフタ機構を持たない乗物用シートにおいて支持フレーム40に対してクッションフレーム3Fを固定する連結部材62Zにおける支持軸62B´(
図6(B)参照)の周囲、にて第1衝撃吸収手段と第2衝撃吸収手段を実現している。
【0027】
図6(A)に示すように、シートクッション部3の上下方向の位置を調整可能なリフタ機構60を備えている乗物用シートでは、クッションフレーム3Fは、支持フレーム40に対して前方リンク部材61と連結部材62(後方リンク部材)にて接続されている。
前方リンク部材61は、クッションフレーム3Fに対して支持軸61Bにて回転可能に支持され、支持フレーム40に対して支持軸61Aにて回転可能に支持されている。また連結部材62は、クッションフレーム3Fに対して支持軸62Bにて回転可能に支持され、支持フレーム40に対して支持軸62Aにて回転可能に支持されている。また連結部材62の近傍には、所望する上下方向のシートクッション部3の位置への移動と固定を行うためのピニオンギア63が、ギア歯62Fと噛み合うように配置されている。そしてピニオンギア63は、クッションフレーム3Fに対して支持軸63Bにて回転可能に支持されている。
また
図6(B)に示すように、リフタ機構を備えていない乗物用シートでは、クッションフレーム3Fは、支持フレーム40に対して連結部材61Zと連結部材62Zにて固定されている。連結部材61Zは、クッションフレーム3Fに対して支持軸61B´にて固定され、支持フレーム40に対して支持軸61A´にて固定されている。また連結部材62Zは、クッションフレーム3Fに対して支持軸62B´にて固定され、支持フレーム40に対して支持軸62A´にて固定されている。
なお、
図6(A)の例に示す連結部材62における支持軸62Bの周囲に形成された第1衝撃吸収手段及び第2衝撃吸収手段と、
図6(B)の例に示す連結部材62Zにおける支持軸62B´の周囲に形成された第1衝撃吸収手段及び第2衝撃吸収手段と、は構造が同じである。従って、以下、
図6(B)における連結部材62Zを例として説明する。
【0028】
図7(A)は、
図6(B)に示す連結部材62Zの拡大図である。
連結部材62Zは、衝撃によって変形可能な金属等にて形成されている。そして連結部材62Zにおける支持軸62B´の周囲には、
図3(A)〜(C)にて説明した連結プレートと同様、ベース面62ZQ、浮島面62ZP、第1ブリッジ部62ZA、第2ブリッジ部62ZB、第3ブリッジ部62ZC、第1スリット部62Zα、第2スリット部62Zβ、第3スリット部62Zγ等を有している。
ベース面62ZQは、連結部材62Zの本体の面であり、浮島面62ZPの周囲を囲む面である。
浮島面62ZPには支持軸62B´が取り付けられており、浮島面62ZPは支持軸62B´を介してクッションフレーム3Fを支持している。
浮島面62ZPとベース面62ZQとの境界には、少なくとも第1スリット部62Zαが形成されて、ベース面62ZQに対して浮島面62ZPが区画形成されている。
なお、
図6、
図7(A)〜(C)の例では、浮島面62ZPとベース面62ZQとの境界には、第1スリット部62Zαと第3スリット部62Zγが形成されており、第1スリット部62Zαは、浮島面62ZPに隣接する位置であって少なくとも浮島面62ZPの後方に相当する位置に形成されている。
【0029】
第1ブリッジ部62ZA、第3ブリッジ部62ZCは、ベース面62ZQに対して浮島面62ZPを接続及び支持しており、上方から下方に向かって延びるように形成されている。なお、本実施の形態にて説明する第1ブリッジ部62ZA及び第3ブリッジ部62ZCは、上方から下方に向かって延びているが、鉛直方向よりもやや前方に向かって角度θAにて傾斜している(
図7(A)参照)。しかし、前方に向かって傾斜していても、鉛直方向であっても、後方に向かって傾斜していても、とにかく水平方向でなく(斜めも含めて)上から下へと延びていればよい。なお、傾斜の角度θAは、実験等によって適宜設定される。
また、上方に形成されている第1ブリッジ部62ZAの幅W1は、下方に形成されている第3ブリッジ部62ZCの幅W3よりも大きい。従って、第3ブリッジ部62ZCのほうが、第1ブリッジ部62ZAよりも脆弱となるように形成されている。
また、ベース面62ZQにおいて第1スリット部62Zαに隣接する位置であって少なくとも第1スリット部62Zαの後方に相当する位置には、第2スリット部62Zβと、第2スリット部62Zβと第1スリット部62Zαとの間に形成されて第1スリット部62Zαと第2スリット部62Zβとを区切る第2ブリッジ部62ZBと、が形成されている。なお、
図6、
図7(A)〜(C)の例では、第1スリット部62Zαの後方且つ上方に相当する位置に、第2ブリッジ部62ZBと第2スリット部62Zβが形成されている。
【0030】
第1ブリッジ部62ZAは、乗物の後方から比較的低速である第1の速度以下の衝突を受けた際の第1衝撃エネルギーを吸収して変形する第1変形部であり、第1衝撃吸収手段に相当する。
第2ブリッジ部62ZBは、乗物の後方から比較的高速であって第1の速度よりも大きな第2の速度の衝突を受けた際の第2衝撃エネルギーを第1変形部とともに吸収して変形する第2変形部であり、第2衝撃吸収手段に相当する。
なお、第3ブリッジ部62ZCは省略してもよい。
【0031】
次に
図7(A)〜(C)を用いて、乗物が後突を受けた場合において、連結部材62Zの第1ブリッジ部62ZA及び第2ブリッジ部62ZBの変形の様子について説明する。
図7(A)は、変形前の連結部材62Z及び第1ブリッジ部62ZA、第2ブリッジ部62ZBの状態を説明する図である。この状態は、第1ブリッジ部62ZAも第2ブリッジ部62ZBも変形していない状態である。
【0032】
図7(B)は、
図7(A)の状態から比較的低速である第1の速度以下の後突を受けた際の変形状態を示している。第1の速度以下では、第1ブリッジ部62ZA及び第3ブリッジ部62ZCは変形するが、第2ブリッジ部62ZBは変形しないように、第1ブリッジ部62ZAの幅W1及び第1スリット部62Zαの幅が設定されている。
乗物が第1の速度以下の後突を受けた際は、乗員の後方荷重がかかり、当該後方荷重がシートバック部2のバックフレーム2Fから連結プレートを介してクッションフレーム3Fの支持軸62B´に取り付けられた浮島面62ZPに集中し、第1ブリッジ部62ZAと第3ブリッジ部62ZCが変形する。
そして、
図7(B)に示すように、ベース面62ZQに対して浮島面62ZPが、第1スリット部62Zαの空洞部内において振り子のように弧を描くように移動(浮島面62ZPが振り子の錘に相当し、第1ブリッジ部62ZAが振り子の糸に相当する)し、変形前に対して変形後では、浮島面62ZPの中心P1が、中心P2へと移動する。
これにより、浮島面62ZPに取り付けられている支持軸62B´(すなわちシートクッション部3)は、支持フレーム40に対して、後方にΔL2だけ移動するとともに上方にΔH2だけ移動し、前方に向かって角度θ2だけ傾斜するように移動する。
【0033】
図7(C)は、
図7(A)の状態から比較的高速である第2の速度の後突を受けた際の変形状態を示している。第2の速度では、第1ブリッジ部62ZA、第3ブリッジ部62ZCの変形に加えて、第2ブリッジ部62ZBも変形する。そして、第2ブリッジ部62ZBの幅W2は、第2の速度の後突による衝撃エネルギーを適切に吸収して変形するように、適宜設定されている。
乗物が第2の速度の後突を受けた際は、乗員の後方荷重がかかり、当該後方荷重がシートバック部2のバックフレーム2Fから連結プレートを介してクッションフレーム3Fの支持軸62B´に取り付けられた浮島面62ZPに集中し、第1ブリッジ部62ZAと第3ブリッジ部62ZCが変形し、更に第2ブリッジ部62ZBも変形する。
図7(C)に示すように、ベース面62ZQに対して浮島面62ZPが、第1スリット部62ZAの空洞部内において振り子のように弧を描くように移動し、更に浮島面62ZPが第2ブリッジ部62ZBに突き当たり、浮島面62ZPは第2ブリッジ部62ZBを湾曲させて第2スリット部62Zβ内へと食い込み、変形前に対して変形後では、浮島面62ZPの中心P1が、中心P3へと移動する。
この場合、第2の速度による第2衝撃エネルギーにおける第1衝撃エネルギー分が、第1スリット部62Zα内における第1ブリッジ部62ZAの変形によって吸収され、第2衝撃エネルギーにおける第1衝撃エネルギーを超えた分の衝撃エネルギーが、浮島面62ZPが第2スリット部62Zβへと食い込んだ際の第1ブリッジ部62ZAの変形と第2ブリッジ部62ZBの変形によって吸収される。
これにより、浮島面62ZPに取り付けられている支持軸62B´(すなわちシートクッション部3)は、支持フレーム40に対して、後方にΔL3だけ移動するとともに上方にΔH3だけ移動し、前方に向かって角度θ3だけ傾斜するように移動する。
これにより、
図8に示すように、乗物が第2の速度の後突を受けると、第2衝撃エネルギーを吸収して連結部材62Zの浮島面62ZPの中心P1が、後方にΔL3、上方にΔH3だけ移動した中心P3へと移動する。その結果、
図8に示すように、シートバック部2は前方に向かって角度θ21だけ傾斜するように移動する。
なお、後突を受けた際の乗物用シートの挙動は、
図5に示す挙動と同様であるので、説明を省略する。
【0034】
●[第3の実施の形態(
図9〜
図11)]
●[支持フレーム40とクッションフレーム3Fを接続する連結部の構造(
図9)と連結部材62Yの構造(
図10)]
第3の実施の形態では、リフタ機構を持たない乗物用シートにおいて、支持フレーム40に対してクッションフレーム3Fを固定する連結部材62Yにて第1衝撃吸収手段と第2衝撃吸収手段を実現している。
図9に示すように、連結部材62Yは、支持軸62A´、支持軸62B´にて、支持フレーム40に対してクッションフレーム3Fを上下に移動させることなく固定し、連結部材61Zは、支持軸61A´、支持軸61B´にて、支持フレーム40に対してクッションフレーム3Fを上下に移動させることなく固定している。
【0035】
図10(A)は、連結部材62Yの拡大図である。
連結部材62Yは、衝撃によって変形可能な金属等にて形成されており、
図10(A)に示すように、第1ブリッジ部62YA、第2ブリッジ部62YB、第3ブリッジ部62YK、第4ブリッジ部62YC、第5ブリッジ部62YD、第1スリット部62Yα(空洞部)、第2スリット部62Yβ(空洞部)、支持軸62A´、支持軸62B´等を有している。なお、第3ブリッジ部62YKは省略してもよい。
第1ブリッジ部62YAの幅W13は、第2ブリッジ部62YBの幅W12よりも小さく形成されており、第1ブリッジ部62YAのほうが、第2ブリッジ部62YBよりも脆弱となるように形成されている。また、第2ブリッジ部62YBの幅W12は、第4ブリッジ部62YC及び第5ブリッジ部62YDの幅W11よりも小さく形成されている。
【0036】
次に
図10(A)〜(C)を用いて、乗物が後突を受けた場合において、連結部材62Yの第1ブリッジ部62YA及び第2ブリッジ部62YBの変形の様子について説明する。
図10(A)は、変形前の連結部材62Yの第1ブリッジ部62YA、第2ブリッジ部62YBの状態を説明する図である。この状態は、第1ブリッジ部62YAも第2ブリッジ部62YBも変形していない状態である。
【0037】
図10(B)は、
図10(A)の状態から比較的低速である第1の速度以下の後突を受けた際の変形状態を示している。第1の速度以下では、第1ブリッジ部62YA及び第4ブリッジ部62YCは変形する(この場合、第1ブリッジ部62YAが延びる)が、第2ブリッジ部62YBは変形しないように、第1ブリッジ部62YAの幅W13の幅が適切に設定されている。
乗物が第1の速度以下の後突を受けた際は、乗員の後方荷重がかかり、当該後方荷重がシートバック部2のバックフレーム2Fから連結プレートとクッションフレーム3Fを介して連結部材62Yに集中し、第1ブリッジ部62YAが変形する(この場合、第1ブリッジ部62YAが延びる)。
そして、連結部材62Yの支持軸62B´の中心P1は、変形前に対して変形後では中心P3へと移動し、後方にΔL2だけ移動するとともに上方にΔH2だけ移動する。
これにより、クッションフレーム3F(シートクッション部3)は、支持フレーム40に対して、後方にΔL2だけ移動するとともに上方にΔH2だけ移動する。その結果、
図11に示すように、シートバック部2は前方に向かって角度θ31だけ傾斜するように移動する。
【0038】
図10(C)は、
図10(A)の状態から比較的高速である第2の速度の後突を受けた際の変形状態を示している。第2の速度では、第1ブリッジ部62YAの変形に加えて、第2ブリッジ部62YBも変形する。そして、第2ブリッジ部62YBの幅W12は、第2の速度の後突による衝撃エネルギーを適切に吸収して変形するように、適宜設定されている。
乗物が第2の速度の後突を受けた際は、乗員の後方荷重がかかり、当該後方荷重がシートバック部2のバックフレーム2Fから連結プレートとクッションフレーム3Fを介して連結部材62Yに集中し、第1ブリッジ部62YAと第2ブリッジ部62YBが変形する(この場合、第1ブリッジ部62YAと第2ブリッジ部62YBが延びる)。
そして、連結部材62Yの支持軸62B´の中心P1は、変形前に対して変形後では中心P3へと移動し、後方にΔL3だけ移動するとともに上方にΔH3だけ移動する。
これにより、クッションフレーム3F(シートクッション部3)は、支持フレーム40に対して、後方にΔL3だけ移動するとともに上方にΔH3だけ移動する。その結果、
図11に示すように、シートバック部2は前方に向かって角度θ31だけ傾斜するように移動する。
なお、後突を受けた際の乗物用シートの挙動は、
図5に示す挙動と同様であるので、説明を省略する。
【0039】
●[第4の実施の形態(
図12〜
図14)]
●[支持フレーム40とクッションフレーム3Fを接続する連結部の構造(
図12)と連結部材62X(後方リンク部材)の構造(
図13)]
第4の実施の形態では、リフタ機構を有する乗物用シートにおいて、支持フレーム40に対してクッションフレーム3Fを上下方向に移動可能に支持するリフタ機構60における連結部材62X(後方リンク部材)にて第1衝撃吸収手段と第2衝撃吸収手段を実現している。
【0040】
図12に示すように、シートクッション部3の上下方向の位置を調整可能なリフタ機構60を備えている乗物用シートでは、クッションフレーム3Fは、支持フレーム40に対して前方リンク部材61と連結部材62X(後方リンク部材)にて接続されている。
前方リンク部材61は、クッションフレーム3Fに対して支持軸61Bにて回転可能に支持され、支持フレーム40に対して支持軸61Aにて回転可能に支持されている。また連結部材62Xは、クッションフレーム3Fに対して支持軸62Bにて回転可能に支持され、支持フレーム40に対して支持軸62Aにて回転可能に支持されている。また連結部材62Xの近傍には、所望する上下方向のシートクッション部3の位置への移動と固定を行うためのピニオンギア63が、ギア歯62Fと噛み合うように配置されている。そしてピニオンギア63は、クッションフレーム3Fに対して支持軸63Bにて回転可能に支持されている。
【0041】
図13(A)は、連結部材62Xの拡大図である。
連結部材62Xは、衝撃によって変形可能な金属等にて形成されており、
図13(A)に示すように、第1ブリッジ部62XA、第2ブリッジ部62XB、第3ブリッジ部62XK、第4ブリッジ部62XC、第5ブリッジ部62XD、第1スリット部62Xα(空洞部)、第2スリット部62Xβ(空洞部)、支持軸62A、支持軸62B、ギア歯62F等を有している。なお、第3ブリッジ部62XKは省略してもよい。
第1ブリッジ部62XAの幅W23は、第2ブリッジ部62XBの幅W22よりも小さく形成されており、第1ブリッジ部62XAのほうが、第2ブリッジ部62XBよりも脆弱となるように形成されている。また、第4ブリッジ部62XCの幅W21と第5ブリッジ部62XDの幅W21は、後述する
図13(B)及び(C)に示す変形状態となるように適切に設定されている。
【0042】
次に
図13(A)〜(C)を用いて、乗物が後突を受けた場合において、連結部材62Xの第1ブリッジ部62XA及び第2ブリッジ部62XBの変形の様子について説明する。
図13(A)は、変形前の連結部材62Xの第1ブリッジ部62XA、第2ブリッジ部62XBの状態を説明する図である。この状態は、第1ブリッジ部62XAも第2ブリッジ部62XBも変形していない状態である。
【0043】
図13(B)は、
図13(A)の状態から比較的低速である第1の速度以下の後突を受けた際の変形状態を示している。第1の速度以下では、第1ブリッジ部62XA及び第4ブリッジ部62XCは変形するが、第2ブリッジ部62XBは変形しないように、第1ブリッジ部62XAの幅W23の幅が適切に設定されている。
乗物が第1の速度以下の後突を受けた際は、乗員の後方荷重がかかり、当該後方荷重がシートバック部2のバックフレーム2Fから連結プレートとクッションフレーム3Fを介して連結部材62Xに集中し、第1ブリッジ部62XAが変形する。
そして、連結部材62Xの支持軸62Bの中心P1は、変形前に対して変形後では中心P2へと移動し、後方にΔL2だけ移動するとともに上方にΔH2だけ移動する。
これにより、クッションフレーム3F(シートクッション部3)は、支持フレーム40に対して、後方にΔL2だけ移動するとともに上方にΔH2だけ移動する。その結果、
図14に示すように、シートバック部2は前方に向かって角度θ41だけ傾斜するように移動する。
【0044】
図13(C)は、
図13(A)の状態から比較的高速である第2の速度の後突を受けた際の変形状態を示している。第2の速度では、第1ブリッジ部62XAの変形に加えて、第2ブリッジ部62XBも変形する。そして、第2ブリッジ部62XBの幅W22は、第2の速度の後突による衝撃エネルギーを適切に吸収して変形するように、適宜設定されている。
乗物が第2の速度の後突を受けた際は、乗員の後方荷重がかかり、当該後方荷重がシートバック部2のバックフレーム2Fから連結プレートとクッションフレーム3Fを介して連結部材62Xに集中し、第1ブリッジ部62XAと第2ブリッジ部62XBが変形する。
そして、連結部材62Xの支持軸62Bの中心P1は、変形前に対して変形後では中心P3へと移動し、後方にΔL3だけ移動するとともに上方にΔH3だけ移動する。
これにより、クッションフレーム3F(シートクッション部3)は、支持フレーム40に対して、後方にΔL3だけ移動するとともに上方にΔH3だけ移動する。その結果、
図14に示すように、シートバック部2は前方に向かって角度θ41だけ傾斜するように移動する。
なお、後突を受けた際の乗物用シートの挙動は、
図5に示す挙動と同様であるので、説明を省略する。
【0045】
特許第4026856に開示された構成では、低い速度(第1の速度)の衝撃エネルギーの吸収に合わせて変形するようにピボットリンクを設計すると、高い速度(第2の速度)の衝撃エネルギーを吸収しきれずに反発(はねかえり)が大きくなり(変形の限界に達するため)、安全性が低下する可能性がある。逆に、高い速度(第2の速度)の衝撃エネルギーの吸収に合わせてピボットリンクを設計すると、低速時の衝撃エネルギーを適切に吸収できなくなり(変形量が小さいため)、安全性が低下する可能性がある。
これに対して、第1〜第4の実施の形態にて説明した乗物用シートは、後突を受けた際の衝突エネルギーの大きさに応じて、
図5(B)に示すように、2段階の変形量にて適切に衝撃を吸収することができる。すなわち、低い速度(第1の速度)の衝撃エネルギーを適切に吸収して変形できるように第1ブリッジ部を設計し、高い速度(第2の速度)の衝撃エネルギーを適切に吸収して変形できるように第2ブリッジ部を設計することができるので、設計の自由度が大きく、非常に安全な乗物用シートを提供することができる。
また、衝撃を吸収した際、乗物用シートのヘッドレスト部6(乗員の頭部を支持する個所)が、前方へと移動するので、
図5(A)に示すように、ヘッドレスト部6の移動量ΔM1は、従来の乗物用シートのヘッドレスト部の移動量ΔM2よりも小さくなる。すなわち、乗物が後方からの衝突を受けた際において、乗員の首への衝撃をより小さく抑えることができる。
しかも、第1衝撃吸収手段(第1変形部)と第2衝撃吸収手段(第2変形部)の構造は、プレスで型抜きすればよい程度の非常にシンプルな構造であり、製造も容易である。また、複雑なリンク機構も衝撃吸収装置も特に必要なく、更に、乗物用シート1の部品点数を増加させることなく、安全性をより向上させることができる。
【0046】
本発明の乗物用シート1は、本実施の形態で説明した外観、構成、構造、形状等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
また、連結プレート50Pの形状、クッションフレーム3Fのエリア3FA、3FBにおける形状、連結部材62Yの形状、連結部材62Xの形状は、第1〜第4の実施の形態にて説明した形状に限定されず、種々の形状とすることが可能である。