特許第5815966号(P5815966)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5815966
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月17日
(54)【発明の名称】浄水器
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/50 20060101AFI20151029BHJP
   C02F 1/70 20060101ALN20151029BHJP
   C02F 1/72 20060101ALN20151029BHJP
   C02F 1/30 20060101ALN20151029BHJP
【FI】
   C02F1/50 531U
   C02F1/50 510A
   C02F1/50 520B
   C02F1/50 560A
   !C02F1/70 Z
   !C02F1/72 101
   !C02F1/30
【請求項の数】16
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-76372(P2011-76372)
(22)【出願日】2011年3月30日
(65)【公開番号】特開2012-210556(P2012-210556A)
(43)【公開日】2012年11月1日
【審査請求日】2014年2月25日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 循環社会構築型光触媒産業創成プロジェクト 光触媒関連基礎技術の研究開発ならびに新環境科学領域の創成事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(72)【発明者】
【氏名】三木 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】絹川 謙作
(72)【発明者】
【氏名】山本 晃士
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和仁
(72)【発明者】
【氏名】砂田 香矢乃
(72)【発明者】
【氏名】蓑島 維文
(72)【発明者】
【氏名】宮内 雅浩
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−027848(JP,A)
【文献】 特開平06−218374(JP,A)
【文献】 特開2010−036068(JP,A)
【文献】 特開2001−170636(JP,A)
【文献】 特開平07−222928(JP,A)
【文献】 特開平04−145910(JP,A)
【文献】 特開2009−041859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/50
C02F 1/30
C02F 1/32
C02F 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入水口及び出水口に接続され、水を通水する通水部と、前記通水部の内部に設けられ、入水した前記水を殺菌する殺菌部とを備え、
前記殺菌部は、亜酸化銅を含んで形成され、
前記通水部の内部に、前記殺菌部に酸化銅を亜酸化銅に戻す還元剤を供給する還元剤供給部が設けられている、浄水器。
【請求項2】
前記殺菌部は、銅材の表面に亜酸化銅の被膜が形成されたものである、請求項1に記載の浄水器。
【請求項3】
前記殺菌部は、光触媒に亜酸化銅が担持されたものである、請求項1に記載の浄水器。
【請求項4】
前記殺菌部は、無機バインダーと亜酸化銅とを含むバインダー複合体である、請求項1に記載の浄水器。
【請求項5】
前記還元剤を貯蔵し、前記還元剤供給部と管体によって連結された還元剤貯蔵部を前記通水部の外部に備えている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の浄水器。
【請求項6】
前記還元剤供給部は、前記殺菌部に向けて前記還元剤を噴射するものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の浄水器。
【請求項7】
前記還元剤は、有機酸又は有機酸塩を含む液体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の浄水器。
【請求項8】
前記有機酸又は有機酸塩は、アスコルビン酸、没食子酸、酒石酸、酒石酸ナトリウムカリウム、クエン酸、から選ばれる少なくとも1種である、請求項7に記載の浄水器。
【請求項9】
前記殺菌部に洗浄液を供給する洗浄液供給部を前記通水部の内部に備え、
前記洗浄液は、前記還元剤が供給された前記殺菌部を洗浄するものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の浄水器。
【請求項10】
前記洗浄液を貯蔵し、前記洗浄液供給部と管体によって連結された洗浄液貯蔵部を前記通水部の外部に備えている、請求項9に記載の浄水器。
【請求項11】
前記洗浄液は水である、請求項9又は10に記載の浄水器。
【請求項12】
前記殺菌部は、前記通水部に対して着脱可能に形成されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の浄水器。
【請求項13】
前記殺菌部を加熱するヒーターを備えている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の浄水器。
【請求項14】
前記還元剤を加熱するヒーターを備えている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の浄水器。
【請求項15】
開閉可能な入水口及び開閉可能な出水口に接続され、水を通水する通水部と、前記通水部の内部に設けられ、入水した前記水を殺菌する殺菌部とを備え、
前記殺菌部は、光触媒に亜酸化銅が担持されて形成され、
前記通水部の内部に、前記殺菌部に犠牲試薬を供給する犠牲試薬供給部と、前記殺菌部に対して光を照射する発光部とが設けられ、
前記犠牲試薬は水に溶解し、前記亜酸化銅に由来する酸化銅と酸化銅錯体を形成するものであり、
前記入水口及び前記出水口を閉じて前記通水部を閉鎖し、前記酸化銅錯体を前記発光部の光により亜酸化銅へ還元する、浄水器。
【請求項16】
前記光触媒は酸化チタンである、請求項15に記載の浄水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を浄化する浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浄水器においては、殺菌手段として紫外線を照射するものが知られている。紫外線の生成には紫外線殺菌灯あるいは深紫外LEDが用いられている。そのため、薬品を用いて殺菌する場合のような、臭気や汚れ、人体への影響を低減することができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、紫外線殺菌灯と浄水タンクを備えた浄水器が開示されている。この浄水器によれば、浄水タンク内に設置された紫外線殺菌灯により浄水タンク内の水に紫外光を照射し、殺菌を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−149031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記に示す従来の殺菌方法には、以下の問題点があった。
【0006】
第一に、紫外線殺菌灯として主に水銀灯が用いられており、環境に対する影響が大きい。
【0007】
第二に、深紫外LEDは、現在実現している出力が数mwであり、紫外線殺菌灯の1/1000程度と発光効率が極めて低く、殺菌能力が小さい。
【0008】
第三に、本体部筐体の破損等により、紫外光が外部に漏れた場合、人体に有害である。
【0009】
そのため、環境に対する負荷が少なく、人体に安全に殺菌を行う浄水器が求められている。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、環境に優しく人体に安全で、かつ、殺菌性の高い浄水器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る第一の浄水器は、入水口及び出水口に接続され、水を通水する通水部と、前記通水部の内部に設けられ、入水した前記水を殺菌する殺菌部とを備え、前記殺菌部は、亜酸化銅を含んで形成され、前記通水部の内部に、前記殺菌部に酸化銅を亜酸化銅に戻す還元剤を供給する還元剤供給部が設けられている、浄水器である。
【0012】
本発明では、前記殺菌部は、銅材の表面に亜酸化銅の被膜が形成されたものであることが好ましい。
【0013】
本発明では、前記殺菌部は、光触媒に亜酸化銅が担持されたものであることが好ましい。
【0014】
本発明では、前記殺菌部は、無機バインダーと亜酸化銅とを含むバインダー複合体であることが好ましい。
【0015】
本発明では、前記還元剤を貯蔵し、前記還元剤供給部と管体によって連結された還元剤貯蔵部を前記通水部の外部に備えていることが好ましい。
【0016】
本発明では、前記還元剤供給部は、前記殺菌部に向けて前記還元剤を噴射するものであることが好ましい。
【0017】
本発明では、前記還元剤は、有機酸又は有機酸塩を含む液体であることが好ましい。
【0018】
本発明では、前記有機酸又は有機酸塩は、アスコルビン酸、没食子酸、酒石酸、酒石酸ナトリウムカリウム、クエン酸、から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0019】
本発明では、前記殺菌部に洗浄液を供給する洗浄液供給部を前記通水部の内部に備え、前記洗浄液は、前記還元剤が供給された前記殺菌部を洗浄するものであることが好ましい。
【0020】
本発明では、前記洗浄液を貯蔵し、前記洗浄液供給部と管体によって連結された洗浄液貯蔵部を前記通水部の外部に備えていることが好ましい。
【0021】
本発明では、前記洗浄液は水であることが好ましい。
【0022】
本発明では、前記殺菌部は、前記通水部に対して着脱可能に形成されていることが好ましい。
【0023】
本発明では、前記殺菌部を加熱するヒーターを備えていることが好ましい。
【0024】
本発明では、前記還元剤を加熱するヒーターを備えていることが好ましい。
【0025】
本発明では、前記ヒーターは、前記還元剤貯蔵部に貯蔵された前記還元剤を加熱するもの、又は、前記還元剤貯蔵部と前記還元剤供給部とを連結する管体を流れる前記還元剤を加熱するものであることが好ましい。
【0026】
本発明に係る第二の浄水器は、開閉可能な入水口及び開閉可能な出水口に接続され、水を通水する通水部と、前記通水部の内部に設けられ、入水した前記水を殺菌する殺菌部とを備え、前記殺菌部は、光触媒に亜酸化銅が担持されて形成され、前記通水部の内部に、前記殺菌部に犠牲試薬を供給する犠牲試薬供給部と、前記殺菌部に対して光を照射する発光部とが設けられ、前記犠牲試薬は水に溶解し、前記亜酸化銅に由来する酸化銅と酸化銅錯体を形成するものであり、前記入水口及び前記出水口を閉じて前記通水部を閉鎖し、前記酸化銅錯体を前記発光部の光により亜酸化銅へ還元する、浄水器である。
【0027】
本発明では、前記光触媒は酸化チタンであることが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、殺菌部が亜酸化銅を含んでおり、この亜酸化銅の還元性を殺菌に用いるため、紫外線による殺菌と比較して、安全に環境に優しく、水の浄化を行うことができる。また、亜酸化銅は、殺菌により酸化されて酸化銅になるが、供給される還元剤又は光触媒による還元反応によって亜酸化銅に戻すことが可能であるため、殺菌性を持続して水の浄化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る浄水器の第一の実施形態の一例を示す概略図である。
図2】本発明に係る浄水器の第二の実施形態の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[第一の実施形態]
図1は、第一の実施形態の浄水器の一例を示す概略図である。この浄水器は、入水口11及び出水口12と接続された通水部1と、前記通水部1内に配置される殺菌部2とを備えている。
【0031】
通水部1は、本体ケースなどで構成される筐体10に格納されている。この通水部1は、入水口11から入った水(Water)を出水口12に送り出す通水路である。通水部1は、金属や樹脂成型体など適宜の材料で形成される。通水部1内又は通水部1外には、水を吸入する機構や、水を吐出する機構など、積極的に外部から水を通水路内に取り入れる機構が設けられていてもよい。機構としては、ポンプ機構などが挙げられる。また、例えば、水道管など、水が流れる配管に入水口11が接続されることによって、水が通水部1に取り入れられてもよい。その場合、水の流れる圧力で、水が通水部1内を通過することができる。
【0032】
殺菌部2は、通水部1内において、水が流れる流路に設けられている。それにより、入水口11から入水した原水は、殺菌部2に接触する。殺菌部2に当たった原水は、殺菌部2の殺菌作用によって水中の菌が殺菌されて、浄水となる。その後、浄化した水が出水口12から放出される。
【0033】
殺菌部2は、亜酸化銅を含んで形成されている。亜酸化銅は還元性があり、この還元性による殺菌能力を水の浄化に利用する。すなわち、亜酸化銅の還元力で水中の菌を殺菌することができる。しかしながら、亜酸化銅は、水中で徐々に酸化されて、酸化銅に変化して還元性を失う。そこで、本実施形態では、還元剤を殺菌部2に供給することにより、酸化銅を再び亜酸化銅に戻して還元性を再生・付与して、抗菌活性を復活させるようにする。
【0034】
通水部1内には、殺菌部2に還元剤を供給する還元剤供給部3が設けられている。還元剤供給部3は、テーパ状で先端に向って先細りする中空のノズルによって形成されており、その先端は殺菌部2に向けられている。そして、一定の時間間隔で、還元剤供給部3から還元剤が殺菌部2に向って供給される。還元剤の供給は、亜酸化銅が所定量減少した段階、あるいは、酸化銅が所定量増加した段階、といった銅の酸化状態に基づくものであってもよい。還元剤は、噴射されて供給されることが好ましく、殺菌部2が噴射の際の押力を受けるように供給されることがより好ましい。その場合、より迅速に殺菌部2に還元剤を行き渡らせて、酸化銅を亜酸化銅に素早く還元することができる。
【0035】
このように、上記の浄水器においては、亜酸化銅の殺菌作用により、人体に安全で効率よく水の殺菌を行なうことができる。そして、還元剤を適用することにより、殺菌部2の殺菌作用を回復させることができるのである。
【0036】
還元剤供給部3は、管体5によって、還元剤を貯蔵する還元剤貯蔵部4と連結されている。管体5は中空のパイプやホースなどで構成することができる。このように、還元剤貯蔵部4を設置することにより、還元剤を必要なときに供給することができ、酸化銅の還元反応をタイミングよく行うことができる。還元剤貯蔵部4は、通水部1内に設けられてもよいが、この形態では、通水部1外に設けられている。還元剤貯蔵部4が通水部1外に設けられている場合には、還元剤の補充が容易である。例えば、還元剤貯蔵部4の上部に設けられたキャップを取り外し、この開口から還元剤を注入することにより還元剤貯蔵部4に還元剤を貯蔵することができる。
【0037】
還元剤供給部3からの還元剤の供給は、例えば、コンピュータ制御により行ってもよい。具体的には、例えば、酸化銅の濃度が高くなる、あるいは、所定時間経過すると、コンピュータから指令が発せられて還元剤供給部3から還元剤を殺菌部2に供給するようにする。また、還元剤の供給を所定時間ごとに作動するタイマー手段で行ってもよい。供給手段は圧力変化機構やポンプ機構などを採用することができる。例えば、還元剤貯蔵部4が加圧されて還元剤が管体5に向かって押し出され、還元剤供給部3から還元剤が噴出されるようにすることができる。
【0038】
殺菌部2の好ましい一形態は、銅材の表面に亜酸化銅の被膜が形成されたものである。銅材の表面に亜酸化銅を形成するのは容易であり、簡単に殺菌部2を形成することができる。例えば、硫酸銅溶液に過酸化水素溶液を添加したものに銅材を浸漬することにより亜酸化銅の被膜を形成することができる。銅材としては、銅板であることが好ましい。例えば、銅板表面に亜酸化銅層が形成されて殺菌部2が構成されたようなものである。板状のものを用いることで、簡単に殺菌部2を形成することができ、また、後述のように着脱可能にしやすくなる。なお、表面積を増加させるため、銅板に、微細な表面凹凸を設けたり、複数の微細な孔を設けたりしてもよい。また、板状に限られるものではなく、表面積をさらに向上させるために、網状、棒状、繊維状等の形状であってもよい。
【0039】
殺菌部2の他の好ましい一形態は、光触媒に亜酸化銅が担持されたものである。光触媒により酸化銅を亜酸化銅に還元させることができ、還元剤と光触媒とを併用することで抗菌性能を増加させることができる。光触媒としては、例えば、酸化チタンなどを用いることができる。殺菌部2の形状は、板状、網状、棒状、繊維状等の形状にすることができる。
【0040】
殺菌部2の他の好ましい一形態は、無機バインダーと亜酸化銅とを含むバインダー複合体である。その場合、殺菌部2の形成の際に、粉末状の亜酸化銅を用いることが可能となり、殺菌部2の形状を様々なものに変更することが容易となる。無機バインダーとしては、例えば、シロキサン、アルキルシリケートなどを用いることができる。具体的には、無機バインダーと亜酸化銅を混合し、無機バインダーで結合して硬化した複合体を形成することによって、殺菌部2を形成することができる。殺菌部2の形状は、板状、網状、棒状、繊維状等の形状にすることができる。
【0041】
還元剤としては、有機酸又は有機酸塩を含む液体であることが好ましい。有機酸及びその塩は生体に安全であるため、安全に酸化銅を亜酸化銅に還元することができる。これらは水溶液の形態で用いることができる。また、安全の観点から、食用の有機酸又は有機酸塩であることが好ましく、アスコルビン酸、没食子酸、酒石酸、酒石酸ナトリウムカリウム、クエン酸、から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。その場合、さらに安全に還元することができる。特に、食用であれば、人体に無害なものとすることが可能である。
【0042】
図1の形態では、通水部1内に、殺菌部2に洗浄液を供給する洗浄液供給部6が設けられている。洗浄液は、還元剤が供給された殺菌部2を洗浄するものである。殺菌部2に還元剤が供給されると還元剤が殺菌部2に残存し、亜酸化銅の殺菌性を阻害するおそれがある。そこで、殺菌部2に洗浄液を供給することによって、還元剤を洗い流し、亜酸化銅の殺菌活性を高める。
【0043】
洗浄液供給部6は、管体8によって、洗浄液を貯蔵する洗浄液貯蔵部7に連結されている。この洗浄液貯蔵部7は、通水部1外に設けられている。各部の構成を含め、洗浄液の供給機構は、還元剤の供給機構と同様の構成にすることができる。
【0044】
そして、例えば、還元剤が供給された所定時間後に、コンピュータから指令が発せられて洗浄液供給部6から洗浄液を殺菌部2に供給するようにする。供給手段は圧力変化機構やポンプ機構などを採用することができる。例えば、洗浄液貯蔵部7が加圧されて洗浄液が管体8に向かって押し出され、洗浄液供給部6から洗浄液がジェット流などで噴出されるようにすることができる。
【0045】
洗浄液は、還元剤を除去する液体であれば特に限定されるものではないが、水であることが好ましい。水を洗浄液に用いることによって殺菌部2を簡単に洗浄することができる。水としては水道水などを利用してもよい。その際、水の噴射力によって還元剤を除去するようにすることが好ましい。
【0046】
殺菌部2は、通水部1に対して着脱可能に形成されていることが好ましい。着脱可能な場合、殺菌部2の亜酸化銅が劣化し、還元による再生が十分に行われなくなったような場合でも、殺菌部2を取り替えることにより、還元性を復活させることができる。また、筐体10から取り出すことができれば、殺菌部2の取替えが容易になる。特に、殺菌部2は、取替え容易なカートリッジ式であることが好ましい。筐体10から取り外された殺菌部2は、浄水器の外部において還元剤が適用されて再生されてもよい。
【0047】
図1の形態では、さらにヒーター9を備えている。この形態では、ヒーター9は通水部1内に配置されている。このヒーター9は、通水部1の内部にある殺菌部2又は還元剤供給部3を加熱するものであり、加熱により殺菌部2又は還元剤供給部3の温度が上昇する。殺菌部2及び還元剤供給部3のうちいずれか1つ以上を加熱することができるのであれば、ヒーター9は通水部1外に設けられていてもよい。ただし、殺菌部2や還元剤供給部3を加熱するためには通水部1に隣接して設けられていることが好ましい。例えば、加熱用のヒーター9を通水部1内または通水部1外の筐体10に密着させて設置することができる。このようにヒーター9で加熱すると、酸化銅の還元反応がより進行しやすくなる。
【0048】
また、ヒーター9は還元剤を加熱するものであってもよい。その場合も、加熱されて温度が上昇した還元剤により酸化銅を還元することができるので、反応の進行を速めて還元効率を向上させることができる。その場合、ヒーター9は、還元剤貯蔵部4に設けられていても、還元剤貯蔵部4と還元剤供給部3とを連結する管体5に設けられていてもよい。ヒーター9が還元剤貯蔵部4に設けられていると、還元剤貯蔵部4に貯蔵された還元剤を加熱することができ、十分に加熱された還元剤を殺菌部2に供給しやすくなる。また、ヒーター9が還元剤貯蔵部4と還元剤供給部3とを連結する管体5に設けられていると、管体5を流れる前記還元剤を加熱することができ、必要なときに必要な量の還元剤を加熱することができる。
【0049】
銅(II)イオンを含む液体を、還元性物質を含む還元剤と混合すると、銅イオン(I)に還元する反応(フェーリング反応)が進行する。その際、混合系が加熱されていると、還元反応がより一層速く進行する。本実施形態では、この反応を利用して、還元効率を向上させ、亜酸化銅を再生することができるものである。
【0050】
なお、上記の実施形態では、通水部1に連続的に水を流して水を浄化する洗浄器の例を示したが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、通水部1に水を溜めて所定時間、水を殺菌部2に接触させて殺菌した後、水を吐出して、水の浄化を行うようなバッチ式の浄水器であってもよい。その場合には、入水口11と出水口12とを同じ開口で形成してもよい。
【0051】
[第二の実施形態]
図2は、第二の実施形態の浄水器の一例を示す概略図である。この浄水器は、入水口11及び出水口12と接続された通水部1と、前記通水部1内に配置される殺菌部2とを備えている。
【0052】
入水口11には、入水口11の開閉を切り替え可能にする入水弁17が設けられている。また、出水口12には、出水口12の開閉を切り替え可能にする出水弁18が設けられている。弁は、バルブや電磁弁などで構成することができ、これらの弁の開閉は機械操作によるものであっても、手動によるものであってもよい。
【0053】
通水部1は、本体ケースなどで構成される筐体10に格納されている。この通水部1は、入水口11から入った水(Water)を出水口12に送り出す通水路である。通水部1は、金属や樹脂成型体など適宜の材料で形成される。通水部1内又は通水部1外には、水を吸入する機構や、水を吐出する機構など、積極的に外部から水を通水路内に取り入れる機構が設けられていてもよい。機構としては、ポンプ機構などが挙げられる。また、例えば、水道管など、水が流れる配管に入水口11が接続されることによって、水が通水部1に取り入れられてもよい。その場合、水の流れる圧力で、水が通水部1内を通過することができる。
【0054】
通水部1への通水は、入水弁11及び出水弁12を開くことにより行うことができる。また、入水弁11及び出水弁12を閉じることにより、通水部1への通水を停止することができる。入水弁11及び出水弁12を閉じた場合には、通水部1は閉鎖状態となる。
【0055】
殺菌部2は、通水部1内において、水が流れる流路に設けられている。それにより、入水口11から入った原水は、殺菌部2に接触する。殺菌部2に当たった原水は、殺菌部2の殺菌作用によって水中の菌が殺菌されて、浄水となる。その後、浄化した水が出水口12から放出される。
【0056】
殺菌部2は、光触媒に亜酸化銅が担持されて形成されている。亜酸化銅は還元性があり、この還元性による殺菌能力を水の浄化に利用する。すなわち、亜酸化銅の還元力で水中の菌を殺菌することができる。しかしながら、亜酸化銅は、水中で徐々に酸化されて、酸化銅に変化して還元性を失う。そこで、本実施形態では、犠牲試薬を殺菌部2に供給するとともに光触媒を作用させることにより、酸化銅を再び亜酸化銅に戻して還元性を再生・付与して、抗菌活性を復活させるようにする。光触媒としては、例えば、酸化チタンなどを用いることができる。殺菌部2の形状は、板状、網状、棒状、繊維状等の形状にすることができる。
【0057】
通水部1内には、殺菌部2に犠牲試薬を供給する犠牲試薬供給部13が設けられている。犠牲試薬供給部13は、テーパ状で先端に向って先細りする中空のノズルによって形成されており、その先端は殺菌部2に向けられている。
【0058】
また、通水部1内には、殺菌部2に対して光を照射する発光部16が設けられている。発光部16による発光は、紫外光、可視光、赤外光などにすることができるが、紫外光であることが好ましい。より好ましくは、紫外LEDにより発光部16が構成されている。発光部16に用いる紫外LEDとしては、光触媒に電子を生じさせるために照射するものであればよく、例えば5mW/cm程度の出力を有する紫外LEDであればよい。発光部16は、電気配線19により、外部電源と電気的に接続されている。
【0059】
そして、一定の時間間隔で、入水弁17及び出水弁18がともに閉じられ、閉鎖状態となった通水部1において、犠牲試薬供給部13から犠牲試薬が殺菌部2に向って供給される。犠牲試薬の供給は、亜酸化銅が所定量減少した段階、あるいは、酸化銅が所定量増加した段階、といった銅の酸化状態に基づくものであってもよい。犠牲試薬は、噴射されて供給されることが好ましく、殺菌部2が噴射の際の押力を受けるように供給されることがより好ましい。その場合、より迅速に殺菌部2に犠牲試薬を行き渡らせることができる。供給された犠牲試薬は通水部1内の水で溶解する。そして、殺菌部2近傍に存在する酸化銅イオンと犠牲試薬とが酸化銅錯体を形成する。さらに、犠牲試薬供給部13が供給された後、発光部16から殺菌部2に向って、光、例えば紫外光が照射される。このように殺菌部2に光が照射されると、殺菌部2は光触媒を含んで構成されているので、光触媒中で生成する励起電子で殺菌部2近傍に形成した酸化銅錯体を還元することができる。還元後は、入水弁17及び出水弁18がともに開かれ、通水状態となった通水部1において再び水の浄化が開始される。なお、光触媒による反応後の通水部1内の水は、出水口12から出水してもよいし、出水口12とは別に、排水弁などを備えた排水口を通水部1に設けて、排水口から排水してもよい。また、その場合、一定時間、入水口12から通水部1内に入った水を排水口から排出して、通水部1内を洗浄するようにしてもよい。
【0060】
このように、上記の浄水器においては、亜酸化銅の殺菌作用により、人体に安全で効率よく水の殺菌を行なうことができる。そして、犠牲試薬と光触媒作用とを適用することにより、殺菌部2の殺菌作用を回復させることができるのである。
【0061】
犠牲試薬供給部13は、管体15によって、犠牲試薬を貯蔵する犠牲試薬貯蔵部14と連結されている。管体15は中空のパイプやホースなどで構成することができる。このように、犠牲試薬貯蔵部14を設置することにより、犠牲試薬を必要なときに供給することができ、酸化銅の還元反応をタイミングよく行うことができる。犠牲試薬貯蔵部14は通水部1内に設けられてもよいが、この形態では、通水部1外に設けられている。犠牲試薬貯蔵部14が通水部1外に設けられている場合には、犠牲試薬の補充が容易である。例えば、犠牲試薬貯蔵部14の上部に設けられたキャップを取り外し、この開口から犠牲試薬を注入することにより犠牲試薬貯蔵部14に犠牲試薬を貯蔵することができる。
【0062】
光触媒による還元反応は、例えば、コンピュータ制御により行ってもよい。具体的には、例えば、酸化銅の濃度が高くなる、あるいは、所定時間経過すると、コンピュータから指令が発せられて、入水弁17及び出水弁18を閉じるとともに、犠牲試薬供給部13から犠牲試薬を殺菌部2に供給するようにする。そして、所定時間経過した後、発光部16から光が殺菌部2に照射される。さらに、所定時間経過した後、入水弁17及び出水弁18が開かれて通水が再開する。また、これらの動作を所定時間ごとに作動するタイマー手段で行ってもよい。犠牲試薬の供給手段は圧力変化機構やポンプ機構などを採用することができる。例えば、犠牲試薬貯蔵部14が加圧されて犠牲試薬が管体15に向かって押し出され、犠牲試薬供給部13から犠牲試薬が噴出されるようにすることができる。
【0063】
犠牲試薬としては、メタノール、エタノール、ギ酸、シュウ酸、酢酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミンなどが好ましい。その場合、酸化銅との錯体形成が容易となる。
【0064】
殺菌部2は、通水部1に対して着脱可能に形成されていることが好ましい。着脱可能な場合、殺菌部2の亜酸化銅が劣化し、還元による再生が十分に行われなくなったような場合でも、殺菌部2を取り替えることにより、還元性を復活させることができる。また、筐体10から取り出すことができれば、殺菌部2の取替えが容易になる。特に、殺菌部2は、取替え容易なカートリッジ式であることが好ましい。筐体10から取り外された殺菌部2は、浄水器の外部において犠牲試薬と光照射が適用されて再生されてもよい。
【0065】
銅(II)イオンを含む液体を犠牲試薬と混合すると、銅(II)イオンの錯体が形成される。そして、光触媒の存在下で光を照射すると、銅(II)イオンが銅イオン(I)に還元する反応が進行する。本実施形態では、この反応を利用して、還元効率を向上させ、亜酸化銅を再生することができるものである。
【0066】
なお、上記の実施形態では、通水部1に連続的に水を流して水を浄化する洗浄器の例を示したが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、通水部1に水を溜めて所定時間、水を殺菌部2に接触させて殺菌した後、水を吐出して、水の浄化を行うようなバッチ式の浄水器であってもよい。その場合には、入水口11と出水口12とを同じ開口で形成してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 通水部
2 殺菌部
3 還元剤供給部
4 還元剤貯蔵部
5 管体
6 洗浄剤供給部
7 洗浄剤貯蔵部
8 管体
9 ヒーター
10 本体部
11 入水口
12 出水口
13 犠牲試薬供給部
14 犠牲試薬貯蔵部
15 管体
16 発光部
17 入水弁
18 出水弁
図1
図2