(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の実施の形態において、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0028】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0029】
また、材料等について言及するときは、特にそうでない旨明記したとき、または、原理的または状況的にそうでないときを除く、特定した材料は主要な材料であって、副次的要素、添加物、添加要素等を排除するものではない。例えばシリコン部材は特に明示した場合等を除き、純粋なシリコンの場合だけでなく、添加不純物、シリコンを主要な要素とする2元、3元等の合金(例えばSiGe)等を含むものとする。また、以下の実施の形態において、窒化シリコン、窒化ケイ素またはシリコンナイトライドというときは、Si
3N
4は勿論であるが、それのみではなく、シリコンの窒化物で類似組成の絶縁膜を含むものとする。
【0030】
また、以下の実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。また、以下の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0031】
(実施の形態1)
≪半導体装置≫
本発明の実施の形態1によるIGBTを含む半導体装置について
図1および
図2を用いて説明する。
図1はIGBTを形成する半導体チップの要部平面図であり、
図2は半導体チップの活性部および外周部を示す要部断面図(活性部は、
図1に示すA−A′線に沿った断面に該当する要部断面図)である。
図1に示す半導体チップの活性部は、その一部を拡大して示している。
【0032】
半導体チップ1の活性部には、IGBTの素子が形成されている。このIGBTの素子は、例えばn
−型の単結晶シリコンからなるベース層2の主面(表面)上に、埋め込み絶縁膜3を介して、n
−型の単結晶シリコンからなる複数の表面半導体層4が形成され、ベース層2と表面半導体層4とは、埋め込み絶縁膜3に形成された開口部(離間部)5を通じて接続した構造となっている。また、上記埋め込み絶縁膜3よりも厚い複数の絶縁膜6によってベース層2の主面上では複数の活性領域が規定され、これらの複数の活性領域の各々に上記表面半導体層4が形成されている。ベース層2の厚さは、例えば70μm〜100μmであるが、これはIGBTの耐圧に合わせて決定されるものであり、耐圧600Vであれば60μm〜100μmとし、耐圧1200Vであれば120μm〜150μmとすることを例示できる。また、表面半導体層4の厚さは、IGBTの定常損失、ターンオフ時間、およびターンオフ損失を低減するために、100nm以下、より望ましくは20nm〜40nmの範囲に設定されている。
【0033】
埋め込み絶縁膜3上の表面半導体層4には、p型チャネル層7、n
+型ソース層8aとn
−型ソース層8bとからなるn型ソース層8、およびp
+型エミッタ層(p型バックゲート層)9が形成されている。n
+型ソース層8a中の不純物濃度はn
−型ソース層8b中の不純物濃度よりも高くなっており、p型チャネル層7側(p型チャネル層7とn
+型ソース層8aとの間)にn
−型ソース層8bが形成されている。また、p
+型エミッタ層9中の不純物濃度は、p型チャネル層7中の不純物濃度よりも高くなっている。
【0034】
各々の表面半導体層4上には、ゲート絶縁膜10を介してゲート電極11がパターニングされており、上面視においてすべてのゲート電極11が連結した帯状パターンとなっている。また、ゲート電極11の一部は、上面視において複数の表面半導体層4を取り囲むパターンとなっている。ゲート電極11は、例えば下から順に多結晶シリコン膜27およびタングステンシリサイド層28が堆積された積層膜によって構成される。
【0035】
上記n型ソース層8および上記p
+エミッタ層9は、同一断面の中に形成することは不可能である。そのため、上面視においてゲート電極11と絶縁膜6との間の1本の帯状の領域の中でn型ソース層8とp
+型エミッタ層9とが交互に配置されている。また、n型ソース層8の平面面積を、p
+型エミッタ層9の平面面積よりも小さくすることによって破壊耐量を高くしている。上記p型チャネル層7は、ゲート電極11と埋め込み絶縁膜3との間に形成されている。また、p型チャネル層7はp
+エミッタ層9と接続して、電位が固定されているので、寄生MOSが形成されることによる特性劣化を防止することができる。
【0036】
ゲート電極11の側面には、サイドウォールSWが形成されている。ゲート電極11をマスクとしてゲート電極11の側面下の表面導体層4に高濃度の不純物をイオン注入すると、その後の熱処理によって、ゲート電極11の側面下の表面導体層4に結晶欠陥が発生することが懸念された。そこで、ゲート電極11の側面にサイドウォールSWを形成し、サイドウォールSWをマスクとしてサイドウォールSWの端部下の表面導体層4に高濃度不純物をイオン注入することにより、ゲート電極11の側面下の表面半導体層4に結晶欠陥が発生するのを防止している。すなわち、ゲート電極11の側面下近傍の表面導体層4には低濃度のn
−型ソース層8bを形成し、サイドウォールSWの端部下近傍の表面導体層4には高濃度のn
+型ソース層8aを形成する。
【0037】
活性部の複数の厚い絶縁膜6下のベース層2内には、p型ウェル23が形成されている。p型チャネル層7とベース層2とのpn接合部からベース層2へ空乏層が拡がることにより接合耐圧を保たせているが、補助的にp型ウェル23を設けることにより、さらに接合耐圧を上げることが可能となる。
【0038】
半導体チップ1の外周部には、上面視において上記活性部を囲むように複数のp型フィールドリミッティングリング(Field Limiting Ring)12が形成され、さらにそれら複数のp型フィールドリミッティングリング12を囲むようにn型ガードリング(チャネルストッパ)13が形成されている。
【0039】
p型フィールドリミッティングリング12は、ベース層2内にp型を示す不純物が導入されて形成されている。また、p型フィールドリミッティングリング12は、埋め込み絶縁膜3に形成された開口部5を通じて、p型を示す不純物が導入されたp
+型半導体層26(上記表面半導体層4と同様に形成されて、p
+型エミッタ層9中の不純物濃度と同程度の不純物濃度を有する)と接続した構造となっており、フィールドリミッティングリング電極12Aによって電圧が固定されている。
図1では、2本のp型フィールドリミッティングリング12が形成されている例を図示しているが、さらに多数形成してもよい。上記のような複数本のp型フィールドリミッティングリング12を形成することにより、電界が複数本のp型フィールドリミッティングリング12によって分担されるので、本実施の形態1によるIGBTを高耐圧とすることが可能となる。
【0040】
複数のp型フィールドリミッティングリング12を取り囲むように形成されたn型ガードリング13は、半導体ウエハから半導体チップ1が個片化された後で半導体チップ1中のIGBTの素子を保護する機能を有する。n型ガードリング13は、上記表面半導体層4と同様に形成され、n型を示す不純物が導入された構造となっており、ガードリング電極13Aによって電圧が固定されている。n型ガードリング13は、n
+型ソース層8a中の不純物濃度と同程度の不純物濃度を有する。
【0041】
さらに、半導体チップ1の活性部および外周部には、IGBTの素子、p型フィールドリミッティングリング12、およびn型ガードリング13を覆うように層間絶縁膜14が形成されている。層間絶縁膜14は、例えば下から順に酸化シリコン膜31、窒化シリコン膜32、酸化シリコン膜33、およびPSG(Phospho Silicate Glass)膜とSOG(Spin On Glass)膜との積層絶縁膜35が堆積された積層膜によって構成される。この層間絶縁膜14には、n型ソース層8およびp
+型エミッタ層9、ゲート電極11、p
+型半導体層26、ならびにn型ガードリング13に達する開口部15がそれぞれ形成されている。
【0042】
これら開口部15が形成された状況下で、層間絶縁膜14上にはn型ソース層8およびp
+型エミッタ層9と接続するエミッタパッド(エミッタ電極)16と、p
+型半導体層26と接続するフィールドリミッティングリング電極12Aと、n型ガードリング13と接続するガードリング電極13Aとが、互いに離間して形成されている。さらに、ゲート電極11と接続するゲートフィンガー17Aが上記活性部を取り囲むように形成されている。ゲートフィンガー17Aは、その下の層間絶縁膜14に形成された開口部(図示は省略)を通じてゲート電極11と接続し、ゲートパッド17と連続して形成されている。これらエミッタパッド16等は、例えばAl(アルミニウム)等から形成されている。
【0043】
さらに、エミッタパッド16等を覆うようにポリイミド膜(図示は省略)が形成されており、そのポリイミド膜には、エミッタパッド16の一部の表面およびゲートパッド17の一部の表面をそれぞれ露出する開口部が形成されている。これら開口部は、半導体チップ1を外部と電気的に接続するためのボンディングワイヤを接続するためのボンディングパッドとなる。なお、必要に応じては、ガードリング電極13Aの一部の表面を露出する開口部を上記ポリイミド膜に形成することもある。
【0044】
ベース層2の裏面には、ベース層2に近い順からn型バッファ層18、p型コレクタ層19、およびコレクタ電極20が形成されている。スイッチング速度を速くし、スイッチング損失を減らすためには、裏面からのホール注入量を減らすことが望ましく、p型コレクタ層19に導入されているp型を示す不純物の濃度を低くする必要がある。しかし、不純物濃度が低いことに起因してp型コレクタ層19の比抵抗は高くなる。そのため、p型コレクタ層19が有する直列抵抗成分を下げるために薄く形成することが求められ、その厚さは、例えば5μm以下とすることが好ましい。さらに、p型コレクタ層19に導入されているp型を示す不純物であるB(ホウ素)の拡散係数が小さいことを考慮した場合には、p型コレクタ層19の厚さは、例えば1μm以下とすることが好ましい。コレクタ電極20は、p型コレクタ層19に近い順からAl(アルミニウム)膜、Ti(チタン)膜、Ni(ニッケル)膜、およびAu(金)膜を積層した金属膜、p型コレクタ層19に近い順からNi(ニッケル)膜、Ti(チタン)膜、Ni(ニッケル)膜、およびAu(金)膜を積層した金属膜、もしくはp型コレクタ層19に近い順からTi(チタン)膜、Ni(ニッケル)膜、およびAu(金)膜を積層した金属膜から形成されている。
【0045】
また、本実施の形態1によるIGBTでは、n型ソース層8およびp
+エミッタ層9の配置に特徴を有しており、これにより、表面半導体層4(p
+型エミッタ層9)の厚さが、例えば20nm〜100nmと薄くても、ホール電流を回収する際の破壊耐量の低下を防ぐことができる。ホール電流の回収は、例えばオン状態からターンオフする際に生じる。また、負荷短絡による破壊を防ぐために、ホール電流を回収する場合もある。負荷短絡とは、例えば負荷コイルをつなぎ忘れて、IGBTをオンした場合に、コレクタとエミッタとの間に電源電圧がかかり、大電流が流れることをいい、この状態になると、発熱量が極めて大きくなり、ラッチアップの可能性が高まる。
【0046】
以下に、上記n型ソース層8および上記p
+エミッタ層9の構成について、
図56〜
図60を用いて詳細に説明する。
図56は本発明者らが検討したIGBTを形成する半導体チップの活性部の一部を拡大して示す要部平面図、
図57は
図56に示すB−B′線に沿った断面に該当する要部断面図、
図58は
図56に示すC−C′線に沿った断面に該当する要部断面図である。また、
図59は前述の
図1のIGBTの一部を拡大して示す要部平面図、
図60は
図59に示すD−D′線に沿った断面に該当する要部断面図である。
【0047】
まず、本発明に先立って検討されたn型ソース層8およびp
+エミッタ層9の構成について
図56〜
図58を用いて、以下に説明する(前述の特許文献11参照)。
【0048】
図56に示すように、本発明が適用される前のn型ソース層8およびp
+エミッタ層9においても、上面視において、y方向(第1方向)に延びるゲート電極11と絶縁膜6との間の1本の帯状の領域の中で、n型ソース層8とp
+型エミッタ層9とがy方向に交互に配置されている。しかし、y方向と直交するx方向(第2方向)においては、ゲート電極11を挟んでn型ソース層8とn型ソース層8、またはp
+型エミッタ層9とp
+型エミッタ層9とが対向し、かつ、複数のn型ソース層8のみが配置されているか、または複数のp
+型エミッタ層9のみが配置されているかのいずれかであって、n型ソース層8とp
+型エミッタ層9とはx方向に交互に配置されていない。
【0049】
ところで、ホール電流を回収する際には、エミッタ側に比べてコレクタ側に高濃度で存在していたホールが、ベース層2を通過し、さらにp型チャネル層7とp
+型エミッタ層9とを介してエミッタ電極16に流入する。
【0050】
しかしながら、
図57に示すように、n型ソース層8では、x方向とy方向とに直交するz方向(第3方向:コレクタ側からエミッタ側へ向かう方向)に沿って流れてきたホール電流をx方向に回収することができない。そのため、ホール電流はy方向に沿って流れ、回収される箇所を見つけることになる。
【0051】
一方、
図58に示すように、p
+型エミッタ層9では、z方向に沿って流れてきたホール電流をx方向に回収することができる。さらに、y方向に沿って流れてきたホール電流も同時に回収することができる。
【0052】
従って、n型ソース層8近傍にz方向に沿って流れてきたホール電流はp
+型エミッタ層9に回収されることになるが、この際、前述の
図56中の矢印で示すように、ホール電流がy方向に沿って流れ、p
+型エミッタ層9の端部に集中しながら回収されることになる。
【0053】
そのため、(1)ホール電流がy方向に沿って流れることにより、電圧降下が生じて寄生ラッチアップ動作が発生する、また、抵抗成分に起因した温度上昇によりIGBTの素子が破壊する、(2)p
+型エミッタ層9の端部にホール電流が集中して、p
+型エミッタ層9の端部において接合破壊が生じる、などの破壊耐量低下の問題が生じてしまう。特に、p
+型エミッタ層9の端部に集中するホール電流による接合破壊の問題は、表面半導体層4の厚さが薄くなるとp
+型エミッタ層9の厚さも薄くなり、p
+型エミッタ層9の端部の面積も減少することから、表面半導体層4の厚さが、例えば20nm〜100nmのIGBTでは深刻となっている。
【0054】
しかし、上記破壊耐量低下の問題は、本発明によるn型ソース層8およびp
+エミッタ層9の構成を適用することにより回避することができる。本実施の形態1によるn型ソース層8およびp
+エミッタ層9の構成について
図59および
図60を用いて、以下に説明する。
【0055】
図59に示すように、上面視において、y方向(第1方向)に延びるゲート電極11と絶縁膜6との間の1本の帯状の領域の中で、n型ソース層8とp
+型エミッタ層9とがy方向に沿って交互に配置されている。また、上面視において、y方向と直交するx方向(第2方向)に沿ってゲート電極11を挟んでn型ソース層8とp
+型エミッタ層9とが対向し、また、上面視において、x方向(第2方向)に沿ってn型ソース層8とp
+型エミッタ層9とが交互に配置されている。
【0056】
さらに、p
+型エミッタ層9のy方向の長さ(L1)は、n型ソース層8のy方向の長さ(L2)と同じか、またはn型ソース層8のy方向の長さ(L2)よりも大きく形成されており、ホール電流の回収する間口を広くしている。例えばp
+型エミッタ層9のy方向の長さ(L1)はn型ソース層8のy方向の長さ(L2)の1〜3倍程度が適切な範囲と考えられ、また、2〜3倍程度が最も好適と考えられる。p
+型エミッタ層9のy方向の長さ(L1)とn型ソース層8のy方向の長さ(L2)とが同じ場合は、p
+型エミッタ層9のx方向の長さをn型ソース層8のx方向の長さよりも長くすることにより、ホール電流の回収する間口を広くすることができる。
【0057】
さらに、上面視において、y方向(第1方向)に延びるゲート電極11と絶縁膜6との間の1本の帯状の領域の中で、n型ソース層8とp
+型エミッタ層9とがy方向に交互に配置されているが、上記1本の帯状の領域の両端部にはp
+型エミッタ層9が形成されている。
【0058】
このように、本実施の形態1によるn型ソース層8およびp
+エミッタ層9の構成を適用すると(上面視において、y方向(第1方向)に延びるゲート電極11と絶縁膜6との間の1本の帯状の領域の中に、n型ソース層8およびp
+型エミッタ層9がy方向に沿って交互に配置されている。さらに、上面視において、y方向と直交するx方向(第2方向)に沿ってゲート電極11を挟んでn型ソース層8とp
+型エミッタ層9とが対向し、また、上面視において、x方向(第2方向)に沿ってn型ソース層8とp
+型エミッタ層9とが交互に配置されている。)、
図60に示すように、z方向に沿って流れてきたホール電流はy軸方向に沿って流れずに、x軸方向に沿って流れる。
【0059】
従って、ホール電流をp
+型エミッタ層9において回収する際、前述の
図59中の矢印で示すように、ホール電流はp
+型エミッタ層9の端部に集中せず、p型チャネル層7と接する面で回収されるので、表面半導体層4の厚さを、例えば20nm〜100nmと薄くしても、p
+型エミッタ層9の端部における接合破壊を回避することができる。さらに、ホール電流がy方向に沿って流れないので、電圧降下による寄生ラッチアップ動作や抵抗成分に起因した温度上昇によるIGBTの素子の破壊も回避することができる。これらにより、上記したホール電流を回収する際の破壊耐量の低下を防ぐことができる。
【0060】
≪半導体装置の製造方法≫
本発明の実施の形態1によるIGBTを含む半導体装置の製造方法について
図3〜
図25を用いて工程順に説明する。
図3〜
図25は半導体チップの活性部および外周部を示す要部断面図である。
【0061】
まず、
図3に示すように、n
−型の単結晶シリコンからなる高抵抗の半導体基板(以下、単に基板と記す)2Aを用意する。基板2Aを形成する結晶の種類としては、フローティングゾーン法で製造されたFZ(Float Zoning)結晶、チョクラルスキー法(引き上げ法)で製造されたCZ(Czochralski)結晶、またはMCZ(Magnetic Field Applied Czochralski)結晶が望ましい。
【0062】
次に、基板2Aに熱酸化処理を施すことによって、基板2Aの主面(表面)に表面酸化膜21を形成する。続いて、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして外周部の所定の領域の表面酸化膜21および基板2Aを順次エッチングして、位置合わせ用のアライメントマークとして用いる溝22を基板2Aの外周部に形成する。
【0063】
次に、
図4に示すように、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして、基板2Aの主面の外周部にp型を示す不純物(例えばB(ホウ素))をイオン注入法により導入し、複数のp型フィールドリミッティングリング12(第1ウェル)を形成する。
【0064】
次に、
図5に示すように、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして、基板2Aの主面の活性部にp型を示す不純物(例えばB(ホウ素))をイオン注入法により導入し、複数のp型ウェル(第2ウェル)23を形成する。
【0065】
次に、
図6に示すように、基板2Aに熱酸化処理を施すことによって、基板2Aの主面に表面酸化膜(図示は省略)を形成し、続いて、この表面酸化膜上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法により酸化膜(図示は省略)を堆積して、上記表面酸化膜および上記酸化膜からなる絶縁膜(第1絶縁膜)6を形成する。絶縁膜6の厚さは、例えば600nmである。このとき、外周部に設けられた溝22の内部は全て絶縁膜6によって埋まらない。
【0066】
次に、
図7に示すように、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとした等方性ウエットエッチングにより、活性領域(例えばソース領域、チャネル領域、およびエミッタ領域(バックゲート領域)が形成される領域)となる領域の絶縁膜6を、例えば30nm〜110nmエッチングする。これにより、エッチングされなかった絶縁膜6によって基板2Aの主面では活性領域が規定される。本実施の形態1では、絶縁膜6の厚膜部が形成された領域と、絶縁膜6の薄膜部が形成された領域(
図1ではゲート電極11が配置されている)とが交互にストライプ状に並ぶ。さらに、外周部のp型フィールドリミッティングリング12上およびn型ガードリング13が形成される領域にも絶縁膜6の薄膜部を形成する。
【0067】
また、本実施の形態1では、前述の絶縁膜6のエッチングに等方性ウエットエッチングを用いている。これは、等方性ウエットエッチングはドライエッチングよりも絶縁膜6を制御性よくエッチングできるので、絶縁膜6の薄膜部の厚さのばらつきを抑えることができるからである。後述するように、絶縁膜6の薄膜部は埋め込み絶縁膜3を構成するが、均一な厚さを有する埋め込み絶縁膜3が形成されることにより、ホール電流素子能力のばらつきに起因するIGBTの特性変動を抑えることができる(前述の特許文献11参照)。
【0068】
次に、
図8に示すように、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして絶縁膜6の薄膜部の一部をエッチングして、開口部(離間部)5を形成する。これにより、開口部5を備えた絶縁膜6の薄膜部からなる埋め込み絶縁膜3を形成することができる。このとき、開口部5の底面には基板2Aの表面が露出する。
【0069】
次に、
図9に示すように、埋め込み絶縁膜3の開口部5からシリコン結晶が格子レベルで連続するように、比抵抗が基板2Aとほぼ同じであるn
−型単結晶シリコン膜4Aをエピタキシャル法により成膜する。この時、埋め込み絶縁膜3の表面に多結晶シリコンが堆積しないようにするために、選択性を有するエピタキシャル成膜条件とする。すなわち、基板2Aをエピタキシャル炉に導入してから、主成分がH
2(水素)ガスのキャリアガスを用い、SiHCl
3(トリクロロシラン)およびHCl(塩酸)の混合ガスを炉内に供給する手段や、主成分がH
2(水素)ガスのキャリアガスを用い、SiH
2Cl
2(ジクロロシラン)およびHCl(塩酸)の混合ガスを炉内に供給する手段を例示することができる。エピタキシャル炉内に導入するガスのうち、HClガスは、シリコン結晶に対して軽いエッチング性を有しており、埋め込み絶縁膜3上に多結晶シリコンが堆積してしまうことを阻止することができる。しかし、HClガスのエッチング力は、開口部5下の結晶(基板2A)から連続して成膜される結晶シリコンのエピタキシャル成膜を阻止するほどの強いエッチング力ではないので、開口部5からの選択エピタキシャル成膜が可能となる。
【0070】
次に、
図10に示すように、絶縁膜6の厚膜部をストッパ(研磨終点)としたCMP(Chemical Mechanical Polishing)法によりn
−型単結晶シリコン膜4Aを研磨し、絶縁膜6の厚膜部と薄膜部(埋め込み絶縁膜3)とによる段差で厚さが規定される表面半導体層4を形成する。
【0071】
本実施の形態1において、表面半導体層4の厚さは、例えば20nm〜100nmとすることを前述したが、後の工程で表面半導体層4の表面は、所定の厚さだけゲート絶縁膜10の形成工程で犠牲となってしまうことから、本工程では、そのゲート絶縁膜10の形成工程で犠牲となってしまう厚さ分(ゲート絶縁膜10の厚さ自体も含む)を考慮して表面半導体層4の厚さを規定する必要がある。すなわち、ゲート絶縁膜10の形成工程では、ゲート絶縁膜10自体を形成する前に、表面半導体層4に不純物をイオン注入するために、基板2Aの熱酸化法によって表面半導体層4の表面に犠牲酸化膜を形成し、その犠牲酸化膜を除去した後で改めて基板2Aの熱酸化処理によって表面半導体層4の表面にゲート絶縁膜10を形成する。つまり、犠牲酸化膜およびゲート絶縁膜10の厚さ分だけ表面半導体層4の厚さが失われてしまうことを考慮して、上記CMP工程後に残る表面半導体層4の厚さを規定しなければならない。例えばIGBTのゲート絶縁膜を、熱酸化法により形成される10nmの厚さの酸化膜と、CVD法により形成される90nmの厚さの酸化膜との積層膜により構成した場合、犠牲酸化膜およびゲート絶縁膜10の厚さ分をそれぞれ5nmとすると、そのCMP工程後に残る表面半導体層4の厚さは、30nm〜110nmとすることを例示できる。また、このCMP工程後に残る表面半導体層4の厚さは、絶縁膜6による段差で決定されるものであるから、CMP工程後に残る表面半導体層4の厚さがそのような値となるように絶縁膜6の薄膜部を形成しなければならないことは言うまでもない。
【0072】
次に、
図11に示すように、基板2Aに熱酸化処理を施すことによって、表面半導体層4の表面に犠牲酸化膜24を形成する。
【0073】
次に、
図12に示すように、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして、活性部の表面半導体層4の一部領域(後の工程で形成されるゲート電極11下のチャネルとなる領域とその両側)にp型を示す不純物(例えばB(ホウ素))をイオン注入法により導入して、p型半導体層25を形成する。同時に、外周部のp型フィールドリミッティングリング12上の表面半導体層4にもp型を示す不純物(例えばB(ホウ素))をイオン注入法により導入して、p型半導体層25を形成する。
【0074】
ゲート電極11を形成する前に、活性部の表面半導体層4にp型半導体層25を形成するのは、以下の理由による。すなわち、ゲート電極11を形成した後に、ゲート電極11をマスクとして表面半導体層4にp型を示す不純物を導入すると、その不純物をゲート電極11下のチャネルとなる領域まで拡散させるためには、高温かつ長時間の熱処理が必要となる。しかし、この熱処理により絶縁膜6の薄膜部に応力がかかり、歪みが生じるため、フォトリソグラフィ技術におけるフォーカスの合わせずれ、または結晶欠陥が発生する。このような問題を回避するために、活性部にゲート電極11を形成する前に、表面半導体層4にp型半導体層25を形成している。
【0075】
次に、
図13に示すように、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして、活性部のp型半導体層25の一部領域(エミッタ(バックゲート)となる領域)にp型を示す不純物(例えばB(ホウ素))をイオン注入法により導入して、p
+型エミッタ層(p型バックゲート層)9を形成する。同時に、外周部のp型フィールドリミッティングリング12上のp型半導体層25にp型を示す不純物(例えばB(ホウ素))をイオン注入法により導入して、p
+型半導体層26を形成する。
【0076】
ここでは、p
+型エミッタ層9の内側にp型半導体層25を残しているが、p型半導体層25の全てにp
+型エミッタ層9を形成してもよい。
【0077】
次に、
図14に示すように、基板2Aに熱酸化処理を施すことによって、表面半導体層4(活性部のp型半導体層25およびp
+型エミッタ層9ならびに外周部のp
+型半導体層26も含む)の表面に下層酸化膜(図示は省略)を形成し、続いて、この下層酸化膜上にCVD法により上層酸化膜(図示は省略)を堆積して、下層酸化膜および上層酸化膜からなるゲート絶縁膜10を形成する。下層酸化膜の厚さは、例えば10nmであり、上層酸化膜の厚さは、例えば90nmである。
【0078】
次に、
図15に示すように、基板2Aの主面上に多結晶シリコン膜27を堆積し、続いて、多結晶シリコン膜27上にタングステンシリサイド層28を形成する。タングステンシリサイド層28を形成するのは、ゲート電極11の高さを低くして、かつゲート電極11の抵抗を増加させないためである。
【0079】
次に、
図16に示すように、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとしたエッチングにより、タングステンシリサイド層28および多結晶シリコン膜27を順次パターニングする。これにより、多結晶シリコン膜27とタングステンシリサイド層28との積層膜からなるゲート電極11を形成することができる。
【0080】
次に、
図17に示すように、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして、活性部のゲート電極11の両側のp型半導体層25にn型を示す不純物(例えばAs(ヒ素))をイオン注入法により導入して、n
−型ソース層8bを形成する。このn型を示す不純物の導入により、ゲート電極11の側面下の表面半導体層4およびゲート絶縁膜10に結晶欠陥が生じるのを防止するため、イオン注入の注入エネルギーおよび注入量は相対的に低く設定される。
【0081】
次に、
図18に示すように、基板2Aの主面上に窒化シリコン膜29を堆積し、続いて、窒化シリコン膜29上に酸化シリコンからなる絶縁膜30を堆積する。
【0082】
次に、
図19に示すように、窒化シリコン膜29をエッチングストッパ膜として絶縁膜30を異方性ドライエッチングして、ゲート電極11の側面に絶縁膜30からなるサイドウォールSWを形成する。
【0083】
次に、
図20に示すように、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして、活性部のゲート電極11の両側のn
−型ソース層8bにn型を示す不純物(例えばAs(ヒ素))をイオン注入法により導入して、前述のn
−型ソース層8bよりも不純物濃度の高いn
+型ソース層8aを形成する。これにより、n
−型ソース層8bとn
+型ソース層8aとからなるn型ソース層8を形成する。同時に、外周部の表面半導体層4にn型を示す不純物(例えばAs(ヒ素))を導入して、n型ガードリング(チャネルストッパ)13を形成する。
【0084】
n
+型ソース層8a等を形成する不純物のイオン注入では、前述のn
−型ソース層8bを形成する不純物のイオン注入よりも注入量を多くしている。このように、高濃度の不純物が導入されても、ゲート電極11の側面からサイドウォールSWのサイドウォール長分の距離を離れて不純物がイオン注入されるので、このn型を示す不純物の導入により、ゲート電極11の側面下の表面半導体層4およびゲート絶縁膜10に結晶欠陥が生じるのを防止することができる。また、サイドウォールSWの端部下の表面半導体層4に結晶欠陥が生じても、ゲート電極11の側面から離れているので、IGBTの動作特性へはほとんど影響を及ぼさない。
【0085】
ところで、n型ソース層8およびp
+型エミッタ層9は、同一断面の中に形成することは不可能である。そのため、前述の
図1に示したように、上面視において、y方向(第1方向)に延びるゲート電極11と絶縁膜6との間の1本の帯状の領域の中に、y方向に沿ってn型ソース層8とp
+型エミッタ層9とを交互に配置する。さらに、上面視において、y方向と直交するx方向(第2方向)に沿ってゲート電極11を挟んでn型ソース層8とp
+型エミッタ層9とを対向させ、また、上面視において、x方向(第2方向)に沿ってn型ソース層8とp
+型エミッタ層9とを交互に配置する。
【0086】
また、n型ソース層8またはp
+型エミッタ層9が形成されなかったゲート電極11下のp型半導体層25は、p型チャネル層7を構成することになる。
【0087】
ここまでの工程により、本実施の形態1によるIGBTの素子を形成することができる。
【0088】
次に、
図21に示すように、基板2Aに対して熱酸化処理を施すことにより、基板2Aの主面上に酸化シリコン膜31を形成し、続いて、窒化シリコン膜32、酸化シリコン膜33、およびPSG膜とSOG膜との積層絶縁膜35を順次堆積することにより、これら絶縁膜からなる層間絶縁膜14を形成する。酸化シリコン膜31の厚さは、例えば10nm〜30nm、窒化シリコン膜32の厚さは、例えば10nm〜50nm、酸化シリコン膜33の厚さは、例えば100nm〜300nm、PSG膜とSOG膜との積層絶縁膜35の厚さは、例えば200nm〜500nmである。PSG膜とSOG膜との積層絶縁膜35に代えてBPSG(Boron-PSG)膜、PSG膜とBPSG膜との積層絶縁膜、BPSG膜とSOG膜との積層絶縁膜を形成してもよい。
【0089】
その後、基板2Aに対して熱処理を施して、上記SOG膜を焼き締める。この熱処理により、外周部のp型フィールドリミッティングリング12上の表面半導体層4に形成されたp
+型半導体層26中の不純物が拡散して、p型フィールドリミッティングリング12とp
+型半導体層26との間の表面半導体層4(開口部5)にも不純物が導入されて、両者は低抵抗で接続される。同様に、外周部のn型ガードリング13中の不純物が拡散して、n型ガードリング13と基板2Aとの間の表面半導体層4(開口部5)にも不純物が導入されて、両者は低抵抗で接続される。
【0090】
次に、
図22および
図23に示すように、フォトリソグラフィ技術によりパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして層間絶縁膜14をエッチングし、n
+型ソース層8a、p
+型エミッタ層9、ゲート電極11、p
+型半導体層26、およびn型ガードリング13のそれぞれに達する開口部15を形成する。
【0091】
この開口部15を形成する際には、まず、窒化シリコン膜32をエッチングストッパとして、PSG膜とSOG膜との積層絶縁膜35および酸化シリコン膜33を順次エッチングする(
図22)。続いて、酸化シリコン膜31をエッチングストッパとして窒化シリコン膜32をエッチングした後、単結晶シリコンからなるn
+型ソース層8a、p
+型エミッタ層9、p
+型半導体層26、およびn型ガードリング13、ならびにゲート電極11の上部を構成するタングステンシリサイド層28をエッチングストッパとして、酸化シリコン膜31をエッチングする(
図23)。
【0092】
このように、窒化シリコン膜32においてPSG膜とSOG膜との積層絶縁膜35および酸化シリコン膜33のエッチングを一旦止めて、その後、相対的に薄い窒化シリコン膜32および酸化シリコン膜31を順次エッチングして開口部15を形成しているので、n
+型ソース層8a、p
+型エミッタ層9、p
+型半導体層26、およびn型ガードリング13のオーバエッチング量を僅かとすることができる。従って、n
+型ソース層8a、p
+型エミッタ層9、p
+型半導体層26、およびn型ガードリング13を突き抜けて、その下の埋め込み絶縁膜3をエッチングすることがなく、開口部15が基板2Aに達することがない。
【0093】
また、本実施の形態1では、ゲート電極11を多結晶シリコン膜27とタングステンシリサイド層28との積層膜により構成し、前述したように、ゲート電極11の高さを相対的に低くしている。タングステンシリサイド層28を用いずに多結晶シリコン膜27のみによってゲート電極11を構成した場合は、ゲート電極11の抵抗を下げるために多結晶シリコン膜27を相対的に厚く形成する必要がある。しかし、多結晶シリコン膜27が厚くなると、層間絶縁膜14の表面段差(表面うねり)が大きくなり、開口部15を形成する際のフォトリソグラフィ工程におけるデフォーカスまたはエッチング工程におけるエッチング不良を生じる危険性がある。本実施の形態1では、ゲート電極11の高さを相対的に低く形成していることから、上記エッチング不良を回避することができる。
【0094】
次に、
図24に示すように、例えばスパッタリング法により基板2Aの主面上にAl(アルミニウム)膜を堆積する。次いで、フォトリソグラフィ技術によりパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとしてそのAl(アルミニウム)膜をエッチングする。これにより、n
+型ソース層8aおよびp
+型エミッタ層9と電気的に接続するエミッタパッド(エミッタ電極)16、ゲート電極11と電気的に接続するゲートフィンガー17A(
図1参照)、およびゲートフィンガー17Aと連続したゲートパッド17(
図1参照)を形成する。さらに、p型フィールドリミッティングリング12とp
+型半導体層26を介して電気的に接続するフィールドリミッティングリング電極12A、およびn型ガードリング13と電気的に接続するガードリング電極13Aを形成する。
【0095】
図示は省略するが、エミッタパッド16、ゲートパッド17、ゲートフィンガー17A、フィールドリミッティングリング電極12A、およびガードリング電極13Aを形成した後、基板2Aの主面上に表面保護膜としてポリイミド膜を堆積する。続いて、このポリイミド膜に、エミッタパッド16およびゲートパッド17のそれぞれに達する開口部を形成する。また、必要に応じて、ガードリング電極13Aに達する開口部を形成する。これら開口部は、基板2Aを個々の半導体チップ1(
図1参照)へ分割し、半導体チップ1をリードフレームのダイパッドに搭載した後で、ボンディングワイヤを用いてエミッタパッド16およびゲートパッド17のそれぞれを対応するリードと電気的に接続するために形成するものである。
【0096】
次に、
図25に示すように、基板2Aの主面上に発泡性両面テープまたはガラス補強板などの補強材(図示は省略)を貼り付けた後、基板2Aの裏面を研削し、ベース層2を形成する。前述したように、ベース層2の厚さは、IGBTの耐圧に合わせて決定するものであり、耐圧600Vであれば60μm〜100μmとなるまで、また耐圧1200Vであれば120μm〜150μmとなるまで基板2Aの裏面を研削する。基板2Aの主面側に補強材を貼り付けているので、基板2Aの反りや垂れ下がりを防止することができる。
【0097】
次に、ベース層2の裏面にn型を示す不純物(例えばP(リン))およびp型を示す不純物(例えばB(ホウ素))を順次イオン注入法により導入し、例えばレーザーアニール法を用いて上記不純物を活性化することにより、n型バッファ層18およびp型コレクタ層19を形成する。
【0098】
次に、ベース層2の裏面にコレクタ電極20を形成する。このコレクタ電極20は、たとえばスパッタリング法または蒸着法により、p型コレクタ層19に近い順からAl(アルミニウム)膜、Ti(チタン)膜、Ni(ニッケル)膜、およびAu(金)膜を積層することで形成することができる。また、p型コレクタ層19に近い順からNi(ニッケル)膜、Ti(チタン)膜、Ni(ニッケル)膜、およびAu(金)膜を積層したコレクタ電極20、もしくはp型コレクタ層19に近い順からTi(チタン)膜、Ni(ニッケル)膜、およびAu(金)膜を積層したコレクタ電極20としてもよい。その後、補強材を除去する。
【0099】
次に、基板2Aを分割領域(ダイシングライン)に沿って切断することにより、個々の半導体チップ1(
図1参照)へ個片化する。続いて、リードフレームを用意し、個片化された半導体チップ1をリードフレームのダイパッドに搭載した後で、ボンディングワイヤを用いてエミッタパッド16、ゲートパッド17、フィールドリミッティングリング電極12A、およびガードリング電極13Aのそれぞれを対応するリードと電気的に接続する。その後、封止用樹脂で半導体チップ1、リードフレーム、およびボンディングワイヤを封止して、本実施の形態1による半導体装置を製造する。
【0100】
このように、本実施の形態1によれば、層間絶縁膜14に開口部15を形成する際、一旦、窒化シリコン膜32においてPSG膜とSOG膜との積層絶縁膜35および酸化シリコン膜33のエッチングを止めている。その後、窒化シリコン膜32および酸化シリコン膜31を順次エッチングして、n
+型ソース層8aおよびp
+型エミッタ層9に達する開口部15を形成しているので、n
+型ソース層8aおよびp
+型エミッタ層9のオーバエッチング量を僅かとすることができる。従って、定常損失、ターンオフ時間、およびターンオフ損失を低減するために、p型チャネル層7、n型ソース層8、およびp
+型エミッタ層9(表面半導体層4)の厚さを、例えば20nm〜100nmとしても、n
+型ソース層8aおよびp
+型エミッタ層9を突き抜けて、その下の埋め込み絶縁膜3をエッチングすることがなく、開口部15が基板2Aまで達することがない。
【0101】
さらに、本実施の形態1によれば、定常損失、ターンオフ時間、およびターンオフ損失を低減するために、表面半導体層4の厚さを、例えば20nm〜100nmとしても、ホール電流を回収する際の破壊耐量の低下を防ぐことができる。
【0102】
(実施の形態2)
≪半導体装置≫
本発明の実施の形態2によるIGBTを含む半導体装置について
図26を用いて説明する。
図26は半導体チップの活性部および外周部を示す要部断面図である。
【0103】
前述の実施の形態1と相違する点は、ゲート電極11の側面にサイドウォールSWを形成せずに、n型ソース層8をn
+型ソース層8aのみで構成していることである。すなわち、前述の実施の形態1では、ゲート電極11の側面にサイドウォールSWを形成した後に、相対的に高濃度のn
+型ソース層8aを形成するための不純物のイオン注入を行うことにより、ゲート電極11の側面下の表面半導体層4およびゲート絶縁膜10に結晶欠陥が生じるのを防止していた。しかし、サイドウォールSWを形成することにより、その後、層間絶縁膜14に形成される開口部15の底部(n
+型ソース層8aおよびp
+型エミッタ層(p型バックゲート層)9の露出面)が小さくなり、エミッタパッド(エミッタ電極)16とn
+型ソース層8aおよびp
+型エミッタ層9との接続不良が生じる危険性がある。
【0104】
これに対して、本実施の形態2では、サイドウォールSWを形成していない。これにより、エミッタパッド16とn
+型ソース層8aおよびp
+型エミッタ層9との接続不良を回避することができる。この場合、n
+型ソース層8aを形成するための不純物のイオン注入条件(注入エネルギーおよび注入量など)を調整することにより、ゲート電極11の側面下の表面半導体層4およびゲート絶縁膜10に生じる結晶欠陥を防止する必要がある。
【0105】
≪半導体装置の製造方法≫
本発明の実施の形態2によるIGBTを含む半導体装置の製造方法について
図27〜
図32を用いて工程順に説明する。
図27〜
図32は半導体チップの活性部および外周部を示す要部断面図である。
【0106】
本実施の形態2によるIGBTの製造工程は、前述の実施の形態1において説明したIGBTの製造工程のうち、
図3〜
図16を用いて説明した工程までは同様であるため、その説明を省略する。
【0107】
前述の
図16を用いて説明した工程に続いて、
図27に示すように、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして、活性部のゲート電極11の両側のp型半導体層25にn型を示す不純物(例えばAs(ヒ素))をイオン注入法により導入して、n
+型ソース層8aを形成する。n
+型ソース層8aが形成されなかったゲート電極11下のp型半導体層25は、p型チャネル層7を構成することになる。同時に、外周部の表面半導体層4にn型を示す不純物(例えばAs(ヒ素))を導入して、n型ガードリング(チャネルストッパ)13を形成する。
【0108】
次に、
図28に示すように、基板2Aに対して熱酸化処理を施すことにより、基板2Aの主面上に酸化シリコン膜31を形成し、続いて、窒化シリコン膜32、酸化シリコン膜33、およびPSG膜とSOG膜との積層絶縁膜35を順次堆積することにより、これら絶縁膜からなる層間絶縁膜14を形成する。酸化シリコン膜31の厚さは、例えば10nm〜30nm、窒化シリコン膜32の厚さは、例えば10nm〜50nm、酸化シリコン膜33の厚さは、例えば100nm〜300nm、PSG膜とSOG膜との積層絶縁膜35の厚さは、例えば200nm〜500nmである。PSG膜とSOG膜との積層絶縁膜35に代えてBPSG(Boron-PSG)膜、PSG膜とBPSG膜との積層絶縁膜、BPSG膜とSOG膜との積層絶縁膜を形成してもよい。
【0109】
その後、基板2Aに対して熱処理を施して、上記SOG膜を焼き締める。この熱処理により、外周部のp型フィールドリミッティングリング12上の表面半導体層4に形成されたp
+型半導体層26中の不純物が拡散して、p型フィールドリミッティングリング12とp
+型半導体層26との間の表面半導体層4(開口部5)にも不純物が導入されて、両者は低抵抗で接続される。同様に、外周部のn型ガードリング13中の不純物が拡散して、n型ガードリング13と基板2Aとの間の表面半導体層4(開口部5)にも不純物が導入されて、両者は低抵抗で接続される。
【0110】
次に、
図29および
図30に示すように、フォトリソグラフィ技術によりパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして層間絶縁膜14をエッチングし、n
+型ソース層8a、p
+型エミッタ層9、ゲート電極11、p
+型半導体層26、およびn型ガードリング13のそれぞれに達する開口部15を形成する。
【0111】
この開口部15を形成する際には、まず、窒化シリコン膜32をエッチングストッパとして、PSG膜とSOG膜との積層絶縁膜35および酸化シリコン膜33を順次エッチングする(
図29)。続いて、酸化シリコン膜31をエッチングストッパとして窒化シリコン膜32をエッチングした後、単結晶シリコンからなるn
+型ソース層8a、p
+型エミッタ層9、p
+型半導体層26、およびn型ガードリング13、ならびにゲート電極11の上部を構成するタングステンシリサイド層28をエッチングストッパとして、酸化シリコン膜31をエッチングする(
図30)。
【0112】
このように、窒化シリコン膜32においてPSG膜とSOG膜との積層絶縁膜35および酸化シリコン膜33のエッチングを一旦止めて、その後、相対的に薄い窒化シリコン膜32および酸化シリコン膜31を順次エッチングして開口部15を形成しているので、n
+型ソース層8a、p
+型エミッタ層9、p
+型半導体層26、およびn型ガードリング13のオーバエッチング量を僅かとすることができる。従って、n
+型ソース層8a、p
+型エミッタ層9、p
+型半導体層26、およびn型ガードリング13を突き抜けて、その下の埋め込み絶縁膜3をエッチングすることがなく、開口部15が基板2Aに達することがない。
【0113】
その後は、前述の実施の形態1と同様にして、
図31に示すように、エミッタパッド(エミッタ電極)16、フィールドリミッティングリング電極12A、およびガードリング電極13Aなどを形成する。さらに、
図32に示すように、基板2Aの裏面を研削し、ベース層2を形成する。続いて、n型バッファ層18、p型コレクタ層19、およびコレクタ電極20を形成する。
【0114】
このように、本実施の形態2によれば、前述の実施の形態1と同様の効果を得ることができ、さらに、エミッタパッド16とn
+型ソース層8aおよびp
+型エミッタ層9との接続不良を防止することができる。
【0115】
(実施の形態3)
≪半導体装置≫
本発明の実施の形態3によるIGBTを含む半導体装置について
図33を用いて説明する。
図33は半導体チップの活性部および外周部を示す要部断面図である。
【0116】
前述の実施の形態1と主に相違する点は、埋め込み絶縁膜3および活性領域を規定する絶縁膜6を、窒化膜を含む多層膜により形成していることと、ゲート電極11の側面にサイドウォールSWを形成せずに、n型ソース層8をn
+型ソース層8aのみで構成していることである。すなわち、前述の実施の形態1では、埋め込み絶縁膜3および絶縁膜6を同一層の酸化膜により構成した。これに対して、本実施の形態3では、酸化膜と、その上に堆積した窒化膜との積層膜により上記埋め込み絶縁膜3に対応する薄膜部を構成し、上記積層膜の上にさらに堆積した酸化膜との積層膜により上記絶縁膜6に対応する厚膜部を構成する。
【0117】
具体的には、酸化シリコン膜36と窒化シリコン膜37との積層膜によって埋め込み絶縁膜39を形成し、酸化シリコン膜36と窒化シリコン膜37と酸化シリコン膜38との積層膜によって活性領域を規定する絶縁膜を形成する。このように、埋め込み絶縁膜39および活性領域を規定する絶縁膜を、窒化膜を含む多層膜により構成することにより、この窒化膜により開口部15の突き抜けを確実に防止することができる。ゲート電極11の側面にサイドウォールSWを形成せずに、n型ソース層8をn
+型ソース層8aのみで構成している態様については前述の実施の形態2と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0118】
≪半導体装置の製造方法≫
本発明の実施の形態3によるIGBTを含む半導体装置の製造方法について
図34〜
図54を用いて工程順に説明する。
図34〜
図54は半導体チップの活性部および外周部を示す要部断面図である。
【0119】
本実施の形態3によるIGBTの製造工程は、前述の実施の形態1において説明したIGBTの製造工程のうち、
図3〜
図5を用いて説明した工程までは同様であるため、その説明を省略する。
【0120】
前述の
図5を用いて説明した工程に続いて、
図34に示すように、基板2Aに熱酸化処理を施すことによって、基板2Aの主面(表面)に酸化シリコン膜36を形成する。酸化シリコン膜36の厚さは、例えば100nm〜300nmである。
【0121】
次に、
図35に示すように、表面酸化膜36上にCVD法により窒化シリコン膜37を堆積する。窒化シリコン膜37の厚さは、例えば10nm〜50nmである。
【0122】
次に、
図36に示すように、窒化シリコン膜37上にCVD法により酸化シリコン膜38を形成する。酸化シリコン膜38の厚さは、例えば200nm〜500nmである。このとき、外周部に設けられた溝22の内部は全て酸化シリコン膜36、窒化シリコン膜37、および酸化シリコン膜38によって埋まらない。
【0123】
次に、
図37に示すように、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとしたドライエッチングにより、活性領域(例えばソース領域、チャネル領域、およびエミッタ領域(バックゲート領域)が形成される領域)となる領域の酸化シリコン膜38をエッチングする。これにより、エッチングされなかった酸化シリコン膜38によって基板2Aの主面では活性領域が規定される。本実施の形態3では、前述の実施の形態1と同様に、酸化シリコン膜38が形成された厚膜部(酸化シリコン膜36、窒化シリコン膜37、および酸化シリコン膜38からなる積層膜)が形成された領域と、酸化シリコン膜38が除去された薄膜部(酸化シリコン膜36および窒化シリコン膜37からなる積層膜)が形成された領域とが交互にストライプ状に並ぶ。さらに、外周部のp型フィールドリミッティングリング12上およびn型ガードリング13が形成される領域にも酸化シリコン膜38が除去された薄膜部(酸化シリコン膜36および窒化シリコン膜37からなる積層膜)を形成する。
【0124】
次に、
図38に示すように、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして酸化シリコン膜38が除去された薄膜部(酸化シリコン膜36および窒化シリコン膜37からなる積層膜)の一部をエッチングして、開口部(離間部)5を形成する。これにより、開口部5を備え、酸化シリコン膜36と窒化シリコン膜37との積層膜により構成された埋め込み絶縁膜39を形成することができる。このとき、開口部5の底面には基板2Aの表面が露出する。
【0125】
次に、
図39に示すように、埋め込み絶縁膜39の開口部5からシリコン結晶が格子レベルで連続するように、比抵抗が基板2Aとほぼ同じであるn
−型単結晶シリコン膜4Aをエピタキシャル法により成膜する。
【0126】
次に、
図40に示すように、酸化シリコン膜38が形成された厚膜部(酸化シリコン膜36、窒化シリコン膜37、および酸化シリコン膜38からなる積層膜)をストッパ(研磨終点)としたCMP法によりn
−型単結晶シリコン膜4Aを研磨する。これにより、酸化シリコン膜38が形成された厚膜部(酸化シリコン膜36、窒化シリコン膜37、および酸化シリコン膜38からなる積層膜)と薄膜部(埋め込み絶縁膜39)とによる段差で厚さが規定される表面半導体層4を形成する。
【0127】
次に、
図41に示すように、基板2Aに熱酸化処理を施すことによって、表面半導体層4の表面に犠牲酸化膜24を形成する。
【0128】
次に、
図42に示すように、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして、活性部の表面半導体層4の一部領域(後の工程で形成されるゲート電極11下のチャネルとなる領域とその両側)にp型を示す不純物(例えばB(ホウ素))をイオン注入法により導入して、p型半導体層25を形成する。同時に、外周部のp型フィールドリミッティングリング12上の表面半導体層4にもp型を示す不純物(例えばB(ホウ素))をイオン注入法により導入して、p型半導体層25を形成する。
【0129】
次に、
図43に示すように、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして、活性部のp型半導体層25の一部領域(エミッタ(バックゲート)となる領域)にp型を示す不純物(例えばB(ホウ素))をイオン注入法により導入して、p
+型エミッタ層(p型バックゲート層)9を形成する。同時に、外周部のp型フィールドリミッティングリング12上のp型半導体層25にp型を示す不純物(例えばB(ホウ素))をイオン注入法により導入して、p
+型半導体層26を形成する。このとき、活性部の酸化シリコン膜38の側面近傍のp型半導体層25に上記p型を示す不純物を導入せずにp
+型エミッタ層9を形成しない場合もある。不純物を導入せずに残されたp型半導体層25は、熱によって発生する応力を緩和する機能を有する。本実施の形態3では上記p型半導体層25を残した場合を例示している。
【0130】
次に、
図44に示すように、基板2Aに熱酸化処理を施すことによって、表面半導体層4(活性部のp型半導体層25およびp
+型エミッタ層9ならびに外周部のp
+型半導体層26も含む)の表面に下層酸化膜(図示は省略)を形成する。続いて、この下層酸化膜上にCVD法により上層酸化膜(図示は省略)を堆積して、下層酸化膜および上層酸化膜からなるゲート絶縁膜10を形成する。下層酸化膜の厚さは、例えば10nmであり、上層酸化膜の厚さは、例えば90nmである。
【0131】
次に、
図45に示すように、基板2Aの主面上に多結晶シリコン膜27を堆積する。
【0132】
次に、
図46に示すように、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとしたエッチングにより、多結晶シリコン膜27をパターニングする。これにより、多結晶シリコン膜27からなるゲート電極11を形成することができる。
【0133】
次に、
図47に示すように、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして、活性部のゲート電極11の両側のp型半導体層25にn型を示す不純物(例えばAs(ヒ素))をイオン注入法により導入して、n
+型ソース層8aを形成する。同時に、外周部の表面半導体層4にn型を示す不純物(例えばAs(ヒ素))を導入して、n型ガードリング(チャネルストッパ)13を形成する。
【0134】
なお、活性部の酸化シリコン膜38の側面近傍のp型半導体層25に上記n型を示す不純物を導入せずにn
+型ソース層8aを形成しない場合もある。不純物を導入せずに残されたp型半導体層25は、熱によって発生する応力を緩和する機能を有する。本実施の形態3では、上記p型半導体層25を残した場合を例示している。また、n
+型ソース層8aが形成されなかったゲート電極11下のp型半導体層25は、p型チャネル層7を構成することになる。
【0135】
ここまでの工程により、本実施の形態3によるIGBTの素子を形成することができる。
【0136】
次に、
図48に示すように、基板2Aに熱酸化処理を施すことにより、露出している活性部のp型半導体層25、n
+型ソース層8a、p
+型エミッタ層9、およびゲート電極11の上面および側面、ならびに外周部のp
+型半導体層26およびn
+型ガードリング13の表面に酸化シリコン膜40を形成する。酸化シリコン膜40の厚さは、例えば10nm〜30nmである。続いて、基板2Aの主面上にCVD法により酸化シリコン膜を堆積した後、この酸化シリコン膜を異方性ドライエッチングにより加工して、ゲート電極11の側面にスペーサ41を形成する。
【0137】
次に、
図49に示すように、基板2Aの主面上に窒化シリコン膜32を堆積する。窒化シリコン膜32の厚さは、例えば10nm〜50nmである。
【0138】
次に、
図50に示すように、基板2Aの主面上に酸化シリコン膜33およびPSG膜とSOG膜との積層絶縁膜35を順次堆積する。これにより、酸化シリコン膜40、窒化シリコン膜32、酸化シリコン膜33、およびPSG膜とSOG膜との積層絶縁膜35からなる層間絶縁膜42を形成する。酸化シリコン膜33の厚さは、例えば100nm〜300nm、PSG膜とSOG膜との積層絶縁膜35の厚さは、例えば200nm〜500nmである。PSG膜とSOG膜との積層絶縁膜35に代えてBPSG膜、PSG膜とBPSG膜との積層絶縁膜、BPSG膜とSOG膜との積層絶縁膜を形成してもよい。その後、基板2Aに対して熱処理を施して、上記SOG膜を焼き締める。
【0139】
次に、
図51および
図52に示すように、フォトリソグラフィ技術によりパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして層間絶縁膜42をエッチングし、n
+型ソース層8a、p
+型エミッタ層9、p型半導体層25、ゲート電極11、p
+型半導体層26、およびn型ガードリング13のそれぞれに達する開口部15を形成する。
【0140】
この開口部15を形成する際には、まず、窒化シリコン膜32をエッチングストッパとして、PSG膜とSOG膜との積層絶縁膜35および酸化シリコン膜33を順次エッチングする(
図51)。続いて、酸化シリコン膜40およびスペーサ41をエッチングストッパとして窒化シリコン膜32をエッチングする。この際、窒化シリコン膜32をオーバエッチングしても、ゲート電極11の側面にはスペーサ41が形成されているので、n
+型ソース層8a、p
+型エミッタ層9、およびp型半導体層25までエッチングは進み難い。続いて、単結晶シリコンからなるn
+型ソース層8a、p
+型エミッタ層9、p型半導体層25、p
+型半導体層26、およびn型ガードリング13、ならびに多結晶シリコンからなるゲート電極11をエッチングストッパとして、酸化シリコン膜40およびスペーサ41をエッチングする(
図52)。この際、酸化シリコン膜40およびスペーサ41をオーバエッチングしても、これらの下に形成された窒化シリコン膜37によって、エッチングは止まり、開口部15が基板2Aに達することはない。
【0141】
その後は、前述の実施の形態1と同様にして、
図53に示すように、エミッタパッド(エミッタ電極)16、フィールドリミッティングリング電極12A、およびガードリング電極13Aなどを形成する。さらに、
図54に示すように、基板2Aの裏面を研削し、ベース層2を形成する。例えばn型バッファ層18、p型コレクタ層19、およびコレクタ電極20を形成する。
【0142】
このように、本実施の形態3により、前述の実施の形態1と同様の効果をより確実に得ることができる。
【0143】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。