特許第5824927号(P5824927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5824927
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】雪路面の密度測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 9/02 20060101AFI20151112BHJP
   G01N 1/08 20060101ALI20151112BHJP
【FI】
   G01N9/02
   G01N1/08 A
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-156858(P2011-156858)
(22)【出願日】2011年7月15日
(65)【公開番号】特開2013-24591(P2013-24591A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2014年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】桂 直之
【審査官】 福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−186289(JP,A)
【文献】 特開2004−053453(JP,A)
【文献】 実開昭59−183646(JP,U)
【文献】 特開2002−286593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 9/02
G01N 1/00〜1/44
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方向の両端が開放された外側筒体と、軸方向の両端が開放され同一内径、同一外径で直線状に密接に並べられて前記外側筒体に挿脱可能に嵌合された3つ以上の内側筒体とで構成された筒状容器を設け
前記筒状容器の軸方向を鉛直方向に向け前記筒状容器を雪路面に差し込んだ際に、最も下位に位置する内側筒体と、最も上位に位置する内側筒体を除いた残りの1つまたは複数の内側筒体密度測定のための雪採取用筒とし、
前記筒状容器から前記雪採取用筒を取り出し、該雪採取用筒の軸方向の一方の端部に、この一方の端部を塞ぐ底部材を取り付け、前記雪採取用筒及び底部材を合わせた質量を計測する工程Aと、
前記底部材を取り付けた前記雪採取用筒の内部に水で満たした後、全体の質量を計測する工程Bと、
前記工程Bの計測値と前記工程Aの計測値との差を演算して前記雪採取用筒の容積を求める工程Cと、
前記雪採取用筒に、前記工程Cで求めた容積以上の体積の雪が挿入される位置まで、前記筒状容器を雪路面に挿入する工程Dと、
前記筒状容器を雪路面から引き出して雪を採取する工程Eと、
前記筒状容器から前記雪採取用筒を取り出し、前記雪採取用筒に底部材を取り付け、採取した雪の入った前記雪採取用筒及び前記底部部材を合わせた質量を計測する工程Fと、
前記Fで計測した質量と、工程Aで計測した質量との差を演算して、工程Cで計測した容積で除算する工程Gと、
を含むことを特徴とする雪路面の密度測定方法
【請求項2】
前記筒状容器の軸方向を鉛直方向に向けた状態で、前記外側筒体の上端と最も上位に位置する内側筒体の上端とは同一面上に位置している、
ことを特徴とする請求項記載の雪路面の密度測定方法
【請求項3】
前記筒状容器の軸方向を鉛直方向に向けた状態で、前記外側筒体の上端と最も上位に位置する内側筒体の上端とは同一面上に位置し、かつ、前記外側筒体の下端と最も下位に位置する内側筒体の下端とは同一面上に位置している、
ことを特徴とする請求項記載の雪路面の密度測定方法
【請求項4】
前記筒状容器の軸方向を鉛直方向に向けた状態で、前記外側筒体の下部と最も下位に位置する内側筒体の下部とにわたり、前記筒状容器の下部を下方に至るにつれて先細り状とする傾斜面が形成されている、
ことを特徴とする請求項記載の雪路面の密度測定方法
【請求項5】
前記筒状容器の軸方向を鉛直方向に向けた状態で、前記外側筒体の下端の全周には鋸刃状の突起が形成されている、
ことを特徴とする請求項記載の雪路面の密度測定方法
【請求項6】
前記外側筒体に対する前記内側筒体の軸方向に沿った動きを阻止する固定手段が設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至に何れか1項記載の雪路面の密度測定方法
【請求項7】
前記外側筒体に対する前記内側筒体の軸方向に沿った動きおよび周方向の沿った動きを阻止する固定手段が設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至に何れか1項記載の雪路面の密度測定方法
【請求項8】
前記筒状容器の軸方向を鉛直方向に向けた状態で、記外側筒体に対する前記内側筒体の上方への動きを阻止する固定手段が設けられ、前記外側筒体の上部に、電動ドリルの回転軸部に係合可能で前記回転軸部に係合することで前記外側筒体を前記回転軸部と一体に回転させる係合部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至に何れか1項記載の雪路面の密度測定方法
【請求項9】
前記外側筒体の外周面に、前記筒状容器の雪路面への挿入位置の目安となる目印が設けられていることを特徴とする請求項1乃至に何れか1項記載の雪路面の密度測定方法
【請求項10】
前記外側筒体の外周面と前記内側筒体の内周面には、雪に対しての摩擦係数を低減するための表面処理が施されていることを特徴とする請求項1乃至に何れか1項記載の雪路面の密度測定方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両走行用の路面、特に雪路面の管理のための、路面の密度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を様々な目的により試験的に走行させるテストコースや、室内台上試験機等においては、常時、使用される路面の状況を把握することにより、好適な状態に整備し管理している。
例えば、冬仕様のタイヤの評価等の目的で、雪路面のテストコースを使用する場合、通常の路面とは異なる雪路面の状況を正確に把握し、屋外の雪路面に近づけた状態を保つように管理する必要がある。雪路面とは、ここでは少なくとも表面から3Cm以上の雪深さを有する路面を称するものとする。
雪路面の管理のため、試験片を路面に接触させた状態で移動させ、その際の抵抗を測定する測定器も提案されているが(特許文献1)、従来、市販の木下式硬度計を用い、雪路面の硬度を計測することにより雪路面の状態を把握し、管理するのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−28789
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、木下式硬度計は、錘を雪路面に落下させ、その破壊強度を定量値で表したものであるため、車両が走行する道路として雪路面の状態を実質的に把握することが難しい状況にあった。例えば、踏み固められた雪路面の場合は、表層の雪が非常に固い状態であり、内部の層の雪は柔らかい状態であることが考えられる。また、アイスバーン上に雪が降り始めた場合は、表層の雪が柔らかい状態であり、内部の層の雪は非常に固い状態であることが考えられる。
このようなことから雪路面を管理するため、表層のみならず、ある程度の深さまでの雪の状態も把握することが望まれていた。
この発明は以上の点を鑑みてなされたものであり、雪路面の深さ方向における状態も把握することが可能な、路面密度の測定方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するために、本発明は、雪路面の密度測定方法であって、軸方向の両端が開放された外側筒体と、軸方向の両端が開放され同一内径、同一外径で直線状に密接に並べられて前記外側筒体に挿脱可能に嵌合された3つ以上の内側筒体とで構成された筒状容器を設け、前記筒状容器の軸方向を鉛直方向に向け前記筒状容器を雪路面に差し込んだ際に、最も下位に位置する内側筒体と、最も上位に位置する内側筒体を除いた残りの1つまたは複数の内側筒体を密度測定のための雪採取用筒とし、前記筒状容器から前記雪採取用筒を取り出し、該雪採取用筒の軸方向の一方の端部に、この一方の端部を塞ぐ底部材を取り付け、前記雪採取用筒及び底部材を合わせた質量を計測する工程Aと、前記底部材を取り付けた前記雪採取用筒の内部に水で満たした後、全体の質量を計測する工程Bと、前記工程Bの計測値と前記工程Aの計測値との差を演算して前記雪採取用筒の容積を求める工程Cと、前記雪採取用筒に、前記工程Cで求めた容積以上の体積の雪が挿入される位置まで、前記筒状容器を雪路面に挿入する工程Dと、前記筒状容器を雪路面から引き出して雪を採取する工程Eと、前記筒状容器から前記雪採取用筒を取り出し、前記雪採取用筒に底部材を取り付け、採取した雪の入った前記雪採取用筒及び前記底部部材を合わせた質量を計測する工程Fと、前記Fで計測した質量と、工程Aで計測した質量との差を演算して、工程Cで計測した容積で除算する工程Gとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の路面の密度測定方法は、従来のように表面の硬度を計測することによって雪路面を管理するのではなく、雪路面のある程度の深さまでの雪の密度を計測することによって雪路面の管理を行なう。このため、より実用に即した雪路面の管理を行なうことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態の雪路面の密度測定用雪採取装置の構成を説明するための図であり、(A)は雪採取装置の平面図、(B)は同断面正面図、(C)は外側筒体の断面正面図、(D)は各内側筒体の断面正面図である。
図2】(A)〜(H)は、第1の実施の形態の雪採取装置を用いた雪路面密度の測定方法の説明図である。
図3】(A)は第2の実施の形態の雪採取装置の平面図、(B)は同断面正面図、(C)は第2の実施の形態の雪採取装置の平面図、(D)は同断面正面図である。
図4】第3の実施の形態の雪採取装置の断面正面図である。
図5】(A)は第5の実施の形態の雪採取装置の断面正面図、(B)は同底面図である。
図6】第6の実施の形態の雪採取装置の断面正面図である。
図7】第6の実施の形態の雪採取装置の断面正面図である。
図8】(A)は他の実施形態の雪採取装置の平面図、(B)は同断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の雪路面の密度測定用雪採取装置を密度測定方法と共に実施の形態について説明する。
図1に示すように、第1の実施の形態の雪採取装置10Aは、筒状容器12を備えている。
筒状容器12は、単一の外側筒体14と、複数(3つ)の内側筒体16とを含んで構成されている。
外側筒体14と内側筒体16は、筒の断面形状が外的条件によって変形するおそれのない材料を用いることが望ましく、金属、硬質プラスティック等の従来公知の様々な材料が使用可能である。
外側筒体14は、均一内径、均一外径で形成され、軸方向の両端が開放されている。
各内側筒体16は全て同一内径、同一外径で形成され、軸方向の両端が開放されている。そして、内側筒体16は直線状に密接に並べられて外側筒体14に挿脱可能に嵌合されるように形成されている。
筒状容器12は、外側筒体14に全ての内側筒体16が直線状に密接に並べられて嵌合されることで構成される。そして、全ての内側筒体16の内側の空間が、雪が採取される箇所となる。
【0009】
本実施の形態では、筒状容器12は、筒状容器12の軸方向を鉛直方向に向けた状態で、外側筒体14の上端と最も上位に位置する内側筒体16の上端とは同一面上に位置している。このように構成することで、筒状容器12を雪路面に挿入する作業を効率良く行う上で有利となる。
さらに、本実施の形態では、外側筒体14の下端と最も下位に位置する内側筒体16の下端とは同一面上に位置するように形成されている。外側筒体14の上端と最も上位に位置する内側筒体16の上端とを同一面上に位置させ、外側筒体14の下端と最も下位に位置する内側筒体16の下端とを同一面上に位置するように形成すると、筒状容器12の取り扱いが便利となり、筒状容器12を雪路面に挿入する作業など、筒状容器12を持って行う作業を効率良く行う上で有利となる。
なお、外側筒体14および内側筒体16の断面形状は、円環状に限定されず、多角形の枠状など従来公知の様々な形状が採用可能である。
【0010】
筒状容器12を、その軸方向を鉛直方向に向けた状態で、下端部が雪採取部12Aとなる。雪採取部12Aを雪路面に挿入することにより、雪を雪採取装置10の内部(全ての内側筒体16の内側の空間)に採取する。
なお、説明の便宜上、筒状容器12を、その軸方向を鉛直方向に向けた際に、最も上位に位置する内側筒体16、中間に位置する内側筒体16、最も下位に位置する内側筒体16を、上部16A、中間部16B、下部16Cとする。
【0011】
また、筒状容器12を、その軸方向を鉛直方向に向けた状態で、上端と下端とを除く一つまたは複数個の内側筒体16が、採取した雪の密度を測定するための雪採取用筒となる。本実施の形態では中間部16Bが雪採取用筒として使用される。
これは、実際に雪採取部12Aから雪路面の雪を採取する場合、上部16A内に上部16Aの上端と面一まで雪が位置するように採取するには筒状容器12の雪路面への差し込み作業が慎重にならざるを得ず効率良く行えないこと、また、下部16C内の雪は採取時にかかる負荷等により雪が押し潰される部分が生じたりするためであり、測定に適した状態の雪が得られる中間部16B内の雪を密度測定用に使用することが望ましいことによる。
【0012】
また、外側筒体14の外周面と、内側筒体16の内周面とに、雪に対しての摩擦係数を低減するための、例えば、フッ素樹脂加工などのような従来公知の様々な表面処理加工を施すようにしてもよい。このような表面処理を施すことにより、採取時に雪が潰れたりすることを抑え、密度測定の際の雪の潰れによる誤差比を小さく抑える上で有利となる。
筒状容器12の外径、高さについては、片手で容易に雪中に抜き差し可能なサイズであれば操作が容易であるため、好適であるといえる。
また、内側筒体16の内側の断面積については、雪路面に挿す時に雪に潰れが生じない程度の大きさが必要であり、また、断面積を大きくし過ぎると、外側筒体14から内側筒体16を抜き取る際に採取した雪が落ちたりこぼれたりするおそれが生じる。このようなことから内側筒体16の内側の空間の断面積は、5cm以上500cm以下が好ましい。
【0013】
次に、図2を参照して、第1の実際の形態の雪採取装置10Aによる、雪路面の密度測定方法につき、以下のA)〜G)工程に沿って説明する。
工程A)まず、第1の実際の形態の雪路面雪採取装置10Aから、雪採取用筒を取り出し、この雪採取用筒の軸方向の一端に、この一端を塞ぐ底部材20を取り付け、雪採取用筒及び底部材20を合わせた質量を計測する。具体的には、ここでは雪採集装置10の内側筒体16のうち、雪採取用筒として使用する中間部16Bに、たとえば中間部16Bの片側端部に密着して覆う底部材20を取り付け、中間部16Bの質量mと、底部材20の質量mを合わせた質量(m+m)を計測器22を用いて計測する(図2の(A)及び(B))。
【0014】
工程B)次に、底部材20を取り付けた中間部16Bの内部を水Wで満たした後、全体の質量を計測器22により計測する。水Wの質量をmとすると、全体の質量は(m+m+m)であり、この全体の質量(m+m+m)から、工程Aで計測した質量(m+m)を減算することで、水Wの質量mが判明する。
工程C)次に、B工程の計測値とA工程の計測値との差を演算して雪採取用筒の容積を求める。B工程の計測値とA工程の計測値との差は、(m+m+m)−(m+m)=mであるため、水Wの質量mから、中間部16Bの容積C(cm)が判明する(図2の(C))。
【0015】
工程D)次に、C工程で求めた容積C(cm)以上の体積の雪が中間部16Bに挿入される位置まで、筒状容器12を鉛直に向けて雪路面に挿入する(図2の(D))。
上述の位置までの挿入は、採取した雪が中間部16Bの上端よりも上側まで入り、上部16Aの位置まで採取できたことを筒状容器12の上側から目視で確認しながら挿入することで行なうことができる。
【0016】
工程E)工程D後に筒状容器12を雪路面から引き出して雪Sを採取する(図2の(E))。この際、スコップやシャベルを使用し、筒状容器12の周囲を雪ごと掘り起こすと、雪路面から容易に筒状容器12を引き出すことができる。
【0017】
工程F)次に、外側筒体14から、雪採取用筒である中間部16Bを水平方向に取り出し(図2の(F)、(G))、上述の底部材20上に設置した後、採取した雪Sの入った中間部16B及び底部材20を合わせた質量を計測器22により計測する(図2の(H))。
ここで、採取した雪Sの質量をm(G)とすると、採取した雪Sの入った中間部16B及び底部材20を合わせた質量は(m+m+m)となる。
工程G)次に、F工程で計測した質量(m+m+m)と、A工程で計測した質量と質量(m+m)の差を演算して、C工程で計測した容積Cで除算する。
したがって、(m+m+m)−(m+m)/Cが採取した雪Sの密度となる。
【0018】
以上のような方法で、たとえば車両を走行させるテストコースとして管理したい雪路面の任意の箇所の雪を採取し、密度を測定する。このような方法により計測され雪密度の値が、雪路面の密度の目標値として設定された値に近ければ、雪路面をそのままの状態とする。また、目標値よりも小さければ雪を押し固めることにより、雪路面の整備を行なう。また、計測された雪密度が目標値よりも大きい場合は好適な道具を用いて雪路面の雪を掻き混ぜたり、新しい雪を持ってきたり、人工降雪機で雪を降らせたりすることにより、雪密度が上述の目標値の範囲内になるように、雪路面を整備する。
以上の説明からも明らかなように、第1の実施の形態の雪採取装置10は、雪路面の表面のみならず、ある程度の深さまでの雪路面の密度を精度よく測定することができるため、雪路の路面管理を正確に行なうことができる。
なお、上記の工程Eで筒状容器12を雪路面から引き出して雪Sを採取し、工程Fで、雪が収容された中間部16Bを取り出した状態で、雪の静電容量を測定することで雪の密度を演算するなど、従来公知の様々な手法により雪の密度を求めてもよいが、実施の形態の工程を採用すれば、高価な密度測定用の専用機器を備える必要がなく、コストの上昇を抑えつつ雪路面の管理を行なう上で有利となる。
【0019】
次に、図3を参照して第2の実施の形態の雪採取装置10Bについて説明する。
第2の実施の形態では、筒状容器12の軸方向を鉛直方向に向けた状態で、外側筒体14の下部と最も下位に位置する内側筒体16の下部とにわたり、筒状容器12の下部を下方に至るにつれて先細り状とする傾斜面12を形成したものである。すなわち、雪採取部12Aに傾斜面1202を形成したものである。
図3(A)、(B)に示すものでは、傾斜面1202は、外側筒体14の下部と最も下位に位置する内側筒体16の下部とにわたり、下方に至るにつれて直径が次第に小さくなる単一の円錐面として形成されている。
図3(C)、(D)に示すものでは、傾斜面1202は、外側筒体14の下部と最も下位に位置する内側筒体16の下部とにわたり、四角錐の4つの側面上を通るように4つ形成されている。
【0020】
例えば、降り積もった直後の雪であれば第1の実施の形態の筒状容器12を容易に雪路面内に挿入することができるが、日中、人が通ったり、自転車等の軽車両や一般の車両が通過したりした後は雪が固まった状態にあり、作業者が筒状容器12をそのまま挿し込んでも容易に雪路面内に挿入できる状態ではない。そのような場合に、第2の実施の形態の筒状容器12のように、雪採取部12Aに傾斜面1202を形成しておくと、雪路面に筒状容器12を容易に挿入し、雪を容易に採取する上で有利となり、雪路面の深さ方向における状態を把握する上で有利となる。
【0021】
次に、図4を参照して第3の実施の形態の雪採取装置10Cについて説明する。
第3の実施の形態では、筒状容器12を鉛直方向に向けた状態で、外側筒体14の下端の全周に鋸刃状の突起1204が形成されている点が第1の実施の形態と異なっている。
このような第3の実施の形態によっても、表面が固まった状態の雪路面であっても、筒状容器12を雪路面に容易に挿入することができ、雪を容易に採取する上で有利となり、雪路面の深さ方向における状態を把握する上で有利となる。
【0022】
次に、図5を参照して第4の実施の形態の雪採取装置10Dについて説明する。
第4の実施の形態では、第1の実施の形態に、外側筒体14及び内側筒体16の双方を固定する固定手段24Aをさらに備えている。固定手段24Aは、外側筒体14に対する内側筒体16の軸方向に沿った動きを阻止するものである。
固定手段24Aは、例えば、筒状容器12の上下端にそれぞれ装脱可能に装着されるキャップ26で構成することができる。キャップ26は、外側筒体14の外周面に嵌合される筒部2602と、筒部2602の端部に接続され外側筒体14および内側筒体16の両端面に当接可能な環板部2604とを備えている。環板部2604の中心には、内側筒体16の内径と同一直径の孔2606が形成されている。
このような固定手段24Aを備えることにより、キャップ26を装着したまま雪を採取でき、また、雪の採取時に上から目視で採取量を確認することができる。
したがって、第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が得られる上に、雪採取のために筒状容器12を雪路面に挿入する際に内側筒体16がずれてしまったり、また、雪路面から抜き出す際に内側筒体16が雪の中に残ってしまったりすることを防ぐことができ、雪の採取を効率良く行なう上で有利となり、雪路面の深さ方向における状態を把握する上で有利となる。
【0023】
次に、図6を参照して第5の実施の形態の雪採取装置10Eについて説明する。
第5の実施の形態は、第4の実施の形態と同様に、外側筒体14及び内側筒体16の双方を固定する固定手段24Bを備えたものであるが、固定手段24Bの態様が異なっている。
すなわち、第5の実施の形態では、固定手段24Bは、外側筒体14の上部と、最も上位に位置する内側筒体16とにわたって挿通されたピン28と、外側筒体14の下部と、最も下位に位置する内側筒体16とにわたって挿通されたピン28とで構成されている。ピン28は、それら外側筒体14と内側筒体16とに貫通形成された孔に挿脱可能に挿通されている。
第5の実施の形態では、固定手段24Bは、外側筒体14に対する内側筒体16の軸方向に沿った動きおよび上位と下位の内側筒体16の周方向に沿った動きの双方を阻止している。
第5の実施の形態によれば、雪採取のために筒状容器12を雪路面に挿入する際に内側筒体16がずれを防ぎ、雪の採取を効率良く行なう上でより有利となり、雪路面の深さ方向における状態を把握する上で有利となる。
【0024】
次に、図7を参照して第6の実施の形態の雪採取装置10Fについて説明する。
第6の実施の形態では、固定手段24Cと、電動ドリル30の回転軸部に係合可能な係合部32を設けたものである。
固定手段24Cは、筒状容器12の軸方向を鉛直方向に向けた状態で、外側筒体14に対する内側筒体16の上方への動きを阻止するものである。本実施の形態では、固定手段24Cは、外側筒体14と最も上位に位置する内側筒体16とにわたり装脱可能に挿入されたピン40により構成されている。
係合部32は、電動ドリル30の回転軸部に係合することで外側筒体14を回転軸部と一体に回転させるものである。本実施の形態では、外側筒体14の上部は、最も上位に位置する内側筒体16の上端よりも上方に突出形成され、外側筒体14の上端に径方向に沿って連結板34が架け渡され、係合部32はこの連結板34に設けられている。
第6の実施の形態の雪採取装置10Fによれば、電動ドリル30の回転駆動力を外側筒体14に伝達し、外側筒体14を回転させることができるので、雪が非常に硬く踏み固められており雪採取装置10A〜10Fを簡単に挿入できない路面に対しても、筒状容器12を差し込み、雪の採取を効率良く行なうことが可能となる。
【0025】
第6の実施の形態の雪採取装置10Fの場合、電動ドリル30に遮られ筒状容器12の上方から筒状容器12の内部が見にくくなるため、外側筒体14の外周面に、筒状容器12の雪路面への挿入位置の目安となる、目印をさらに備えることが好ましい。
ここではピン40が筒状容器12に装着された状態で、ピン40を外側筒体14の径方向外方に突出させることで、ピン40を筒状容器12の雪路面への挿入位置の目安となる目印としている。なお、ピン40に代え、外側筒体14の外周面に目盛などを形成してもよい。
【0026】
本発明は上述の実施の形態に限定されないことは明らかである。上述の実施の形態では、内側筒体16が3つに分割されていたが、内側筒体16を更に細かく分割して、雪採取用筒を増やして構成するようにしても良い。そうすれば、深さ方向の雪密度が更に細かく判明するため、雪路面の管理の精度も向上する。
【0027】
さらに、図8に示すように、内側筒体16を2つとした雪採取装置10Gとしてもよい。
この場合には、筒状容器12の軸方向を鉛直方向に向け筒状容器12を雪路面に差し込んだ際に、2つの内側筒体16のうち上方に位置する内側筒体16が密度測定のための雪採取用筒とされる。
内側筒体16を2つとして筒状容器12を構成した場合、雪路面の密度を正確に測定する関係上、筒状容器12を雪路面に差し込む際に、内側筒体16の内部に採取される雪が、上方に位置する内側筒体16の上端と面一になった時点で差し込み動作を停止する必要がある。
したがって、第1〜第6の実施の形態10A〜10Fに比べて雪の採取を効率良く行えない不利はあるものの、雪路面の深さ方向における状態を把握でき、雪路の路面管理を正確に行なうことが可能となる。
【符号の説明】
【0028】
10A〜10G……雪採取装置、12……筒状容器、1202……傾斜面、1204……突起、14……外側筒体、16……内側筒体、20……底部材、22……計測器、24A、24B、24C……固定手段、30……電動ドリル、32……係合部、W……水、S……雪。
図1
図2
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図5
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図7
図8