特許第5830861号(P5830861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5830861タイヤ更生方法及びタイヤ更生用バフ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5830861
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】タイヤ更生方法及びタイヤ更生用バフ装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/54 20060101AFI20151119BHJP
   B60C 11/00 20060101ALI20151119BHJP
【FI】
   B29D30/54
   B60C11/00 B
   B60C11/00 D
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-2260(P2011-2260)
(22)【出願日】2011年1月7日
(65)【公開番号】特開2012-143902(P2012-143902A)
(43)【公開日】2012年8月2日
【審査請求日】2014年1月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100068685
【弁理士】
【氏名又は名称】斎下 和彦
(72)【発明者】
【氏名】神徳 孝一
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−085205(JP,A)
【文献】 特開平03−031007(JP,A)
【文献】 特開2007−326275(JP,A)
【文献】 特開2005−219523(JP,A)
【文献】 特開平01−145206(JP,A)
【文献】 特開2009−262828(JP,A)
【文献】 特表2010−531254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/54
B60C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部にタイヤ周方向に対する補強コードの傾斜角度が10°〜30°であって該補強コードが層間で互いに交差する少なくとも2層のベルト層と該ベルト層の外周側に配置されたトレッドゴム層とを備え、前記ベルト層と前記トレッドゴム層との間であって該ベルト層の中央部及び端部に対応する位置にそれぞれ周囲のゴム層とは色が異なる識別ゴム層を埋設した空気入りタイヤを台タイヤとして使用したタイヤ更生方法であって、前記空気入りタイヤのトレッドゴム層を任意のバフラジアスに基づいてタイヤ幅方向に設定された軌道に沿って移動する回転研磨体によりバフし、前記トレッド部に配置された一方の識別ゴム層がバフ表面に露出した際にその露出を色識別装置で判別し、露出が判別された一方の識別ゴム層の埋設位置におけるタイヤ径方向のバフ位置を固定しつつ前記バフラジアスを変更し、他方の識別ゴム層がバフ表面に露出するまでバフ作業を行うようにし、
前記中央部の識別ゴム層の露出が先に判別された場合、該中央部の識別ゴム層の埋設位置におけるタイヤ径方向のバフ位置を固定しつつ当初のバフラジアスR0を該バフラジアスR0よりも小さいバフラジアスR1に変更し、
前記端部の識別ゴム層の露出が先に判別された場合、該端部の識別ゴム層の埋設位置におけるタイヤ径方向のバフ位置を固定しつつ当初のバフラジアスR0を該バフラジアスR0よりも大きいバフラジアスR2に変更することを特徴とするタイヤ更生方法。
【請求項2】
前記ベルト層の中央部に配置された識別ゴム層はタイヤ赤道線を中心として3mm〜20mmの幅を有し、前記ベルト層の端部に配置された識別ゴム層は前記ベルト層のうちの最外側ベルト層との重複幅が3mm〜20mmであると共に前記ベルト層のうちの最内側ベルト層からの突き出し幅が3mm〜20mmであることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ更生方法。
【請求項3】
前記ベルト層の中央部に配置された識別ゴム層はタイヤ赤道線の位置での厚さが1mm〜4mmであり、前記ベルト層の端部に配置された識別ゴム層は前記ベルト層のうちの最外側ベルト層及び最内側ベルト層の各エッジ位置での厚さが1mm〜4mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ更生方法。
【請求項4】
各識別ゴム層は、100%伸長時のモジュラスが4.0MPa〜5.5MPaであり、かつ温度20℃時のtanδが0.01〜0.20であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ更生方法。
【請求項5】
各識別ゴム層は、黒色以外の有彩色又は白色に着色されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ更生方法。
【請求項6】
台タイヤとなる空気入りタイヤを回転自在に保持する支持装置と、前記空気入りタイヤのトレッド部と対面する位置に配設されていて任意のバフラジアスに基づいてタイヤ幅方向に設定された軌道に沿って移動する回転研磨体と、前記トレッド部に埋設されたベルト層の中央部及び端部に対応する各測定箇所におけるバフ表面の色を識別する色識別装置と、該色識別装置により一方の測定箇所での色の変化が判別されたとき、該一方の測定箇所におけるタイヤ径方向のバフ位置を固定しつつ前記バフラジアスを変更し、前記色識別装置により他方の測定箇所での色の変化が判別されるまでバフ作業を行うように前記回転研磨体によるタイヤ径方向のバフ位置及び前記バフラジアスを制御する制御装置とを備え
前記中央部の測定箇所での色の変化が先に判別された場合、該中央部の測定箇所におけるタイヤ径方向のバフ位置を固定しつつ当初のバフラジアスR0を該バフラジアスR0よりも小さいバフラジアスR1に変更し、
前記端部の測定箇所での色の変化が先に判別された場合、該端部の測定箇所におけるタイヤ径方向のバフ位置を固定しつつ当初のバフラジアスR0を該バフラジアスR0よりも大きいバフラジアスR2に変更することを特徴とするタイヤ更生用バフ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ更生方法及びタイヤ更生用バフ装置に関し、更に詳しくは、台タイヤに対するバフ量を適正化し、更生タイヤの耐久性を十分に確保することを可能にしたタイヤ更生方法及びタイヤ更生用バフ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤを更生する場合、古いトレッドゴム層を回転研磨体によりバフして台タイヤを形成し、その台タイヤのトレッド部に新たなトレッドゴム層を形成することが行われている。バフ工程においては、古いトレッドゴム層を十分に取り除く必要があるが、バフ量が過剰であるとトレッド部に埋設されたベルト層を回転研磨体で削り込んでしまうことがある。そして、ベルト層を回転研磨体で削り込んでしまった場合、更生後の2次走行時にベルト層の損傷部分を起点としてセパレーションが発生し易くなり、更生タイヤの耐久性が低下するという不都合がある。
【0003】
このような不都合に鑑みて、空気入りタイヤのトレッドゴム層とベルト層との間であってタイヤ赤道線の位置にトレッドゴム層とは色が異なる識別ゴム層を埋設し、識別ゴム層を指標としてバフ作業を行うことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、タイヤ更生用バフ装置に色識別装置を付設し、色識別装置からの情報に基づいてバフ作業を制御することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、近年では偏平比が小さいタイヤサイズを有する更生タイヤの使用が増加しており、上述のような手法では必ずしもバフ量を適正化することができないのが現状である。即ち、偏平比が小さいタイヤは、偏平比が大きいタイヤに比べてショルダー部での径成長が大きいため、タイヤ赤道線の位置だけに識別ゴム層を埋設したのでは、更生時のバフ作業においてベルト層のエッジ部を削り込んでしまう恐れがある。また、使用済みタイヤにおける径成長の度合いやその膨張部分はタイヤの使用条件により種々異なるため、最適なバフラジアスはタイヤ毎に相違する。そのため、トレッド部に識別ゴム層を埋設するだけでは台タイヤに対するバフ量を適正化することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−31007号公報
【特許文献2】特開2007−326275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、台タイヤに対するバフ量を適正化し、更生タイヤの耐久性を十分に確保することを可能にしたタイヤ更生方法及びタイヤ更生用バフ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明のタイヤ更生方法は、トレッド部にタイヤ周方向に対する補強コードの傾斜角度が10°〜30°であって該補強コードが層間で互いに交差する少なくとも2層のベルト層と該ベルト層の外周側に配置されたトレッドゴム層とを備え、前記ベルト層と前記トレッドゴム層との間であって該ベルト層の中央部及び端部に対応する位置にそれぞれ周囲のゴム層とは色が異なる識別ゴム層を埋設した空気入りタイヤを台タイヤとして使用したタイヤ更生方法であって、前記空気入りタイヤのトレッドゴム層を任意のバフラジアスに基づいてタイヤ幅方向に設定された軌道に沿って移動する回転研磨体によりバフし、前記トレッド部に配置された一方の識別ゴム層がバフ表面に露出した際にその露出を色識別装置で判別し、露出が判別された一方の識別ゴム層の埋設位置におけるタイヤ径方向のバフ位置を固定しつつ前記バフラジアスを変更し、他方の識別ゴム層がバフ表面に露出するまでバフ作業を行うようにし、
前記中央部の識別ゴム層の露出が先に判別された場合、該中央部の識別ゴム層の埋設位置におけるタイヤ径方向のバフ位置を固定しつつ当初のバフラジアスR0を該バフラジアスR0よりも小さいバフラジアスR1に変更し、
前記端部の識別ゴム層の露出が先に判別された場合、該端部の識別ゴム層の埋設位置におけるタイヤ径方向のバフ位置を固定しつつ当初のバフラジアスR0を該バフラジアスR0よりも大きいバフラジアスR2に変更することを特徴とするものである。
【0008】
また、上記目的を達成するための本発明のタイヤ更生用バフ装置は、台タイヤとなる空気入りタイヤを回転自在に保持する支持装置と、前記空気入りタイヤのトレッド部と対面する位置に配設されていて任意のバフラジアスに基づいてタイヤ幅方向に設定された軌道に沿って移動する回転研磨体と、前記トレッド部に埋設されたベルト層の中央部及び端部に対応する各測定箇所におけるバフ表面の色を識別する色識別装置と、該色識別装置により一方の測定箇所での色の変化が判別されたとき、該一方の測定箇所におけるタイヤ径方向のバフ位置を固定しつつ前記バフラジアスを変更し、他方の測定箇所での色の変化が判別されるまでバフ作業を行うように前記回転研磨体によるタイヤ径方向のバフ位置及び前記バフラジアスを制御する制御装置とを備え
前記中央部の測定箇所での色の変化が先に判別された場合、該中央部の測定箇所におけるタイヤ径方向のバフ位置を固定しつつ当初のバフラジアスR0を該バフラジアスR0よりも小さいバフラジアスR1に変更し、
前記端部の測定箇所での色の変化が先に判別された場合、該端部の測定箇所におけるタイヤ径方向のバフ位置を固定しつつ当初のバフラジアスR0を該バフラジアスR0よりも大きいバフラジアスR2に変更することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のタイヤ更生方法では、トレッド部にタイヤ周方向に対する補強コードの傾斜角度が10°〜30°であって該補強コードが層間で互いに交差する少なくとも2層のベルト層と該ベルト層の外周側に配置されたトレッドゴム層とを備え、ベルト層とトレッドゴム層との間であって該ベルト層の中央部及び端部に対応する位置にそれぞれ周囲のゴム層とは色が異なる識別ゴム層を埋設した空気入りタイヤを台タイヤとして使用する。そして、空気入りタイヤのトレッドゴム層を任意のバフラジアスに基づいてタイヤ幅方向に設定された軌道に沿って移動する回転研磨体によりバフし、トレッド部に配置された一方の識別ゴム層がバフ表面に露出した際にその露出を色識別装置で判別し、露出が判別された一方の識別ゴム層の埋設位置におけるタイヤ径方向のバフ位置を固定しつつバフラジアスを変更し、他方の識別ゴム層がバフ表面に露出するまでバフ作業を行うようにする。これにより、空気入りタイヤの径成長の状態に拘らず、ベルト層の中央部及び端部に対応する位置において台タイヤに対するバフ量を適正化することができるので、更生タイヤの耐久性を十分に確保することができる。
【0011】
また、本発明のタイヤ更生用バフ装置は、台タイヤとなる空気入りタイヤを回転自在に保持する支持装置と、空気入りタイヤのトレッド部と対面する位置に配設されていて任意のバフラジアスに基づいてタイヤ幅方向に設定された軌道に沿って移動する回転研磨体と、トレッド部に埋設されたベルト層の中央部及び端部に対応する各測定箇所におけるバフ表面の色を識別する色識別装置と、該色識別装置により一方の測定箇所での色の変化が判別されたとき、該一方の測定箇所におけるタイヤ径方向のバフ位置を固定しつつバフラジアスを変更し、前記色識別装置により他方の測定箇所での色の変化が判別されるまでバフ作業を行うように回転研磨体によるタイヤ径方向のバフ位置及びバフラジアスを制御する制御装置とを備えているから、上述のタイヤ更生方法を実施することが可能になる。
【0013】
本発明で台タイヤとして使用される空気入りタイヤにおいて、ベルト層の中央部に配置された識別ゴム層はタイヤ赤道線を中心として3mm〜20mmの幅を有し、ベルト層の端部に配置された識別ゴム層は前記ベルト層のうちの最外側ベルト層との重複幅が3mm〜20mmであると共に前記ベルト層のうちの最内側ベルト層からの突き出し幅が3mm〜20mmであることが好ましい。各識別ゴム層の大きさを上記範囲に設定することにより、台タイヤに対するバフ量を適正化し、しかもバフ時にベルト層が露出するのを確実に防止することができる。
【0014】
また、ベルト層の中央部に配置された識別ゴム層はタイヤ赤道線の位置での厚さが1mm〜4mmであり、ベルト層の端部に配置された識別ゴム層は前記ベルト層のうちの最外側ベルト層及び最内側ベルト層の各エッジ位置での厚さが1mm〜4mmであることが好ましい。これにより、各識別ゴム層の厚さを上記範囲に設定することにより、台タイヤに対するバフ量を適正化することができる。
【0015】
各識別ゴム層は、100%伸長時のモジュラスが4.0MPa〜5.5MPaであり、かつ温度20℃時のtanδが0.01〜0.20であることが好ましい。各識別ゴム層の物性は上記範囲に設定することにより、1次走行時及び更生後の2次走行時において識別ゴム層が耐久性に悪影響を与えるのを回避することができる。なお、100%伸長時のモジュラスは、JIS K6251に規定される「所定伸び引張応力」の測定方法(3号ダンベル使用)に準拠して測定されるものである。一方、温度20℃時のtanδは、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所製)を使用し、周波数20Hz、初期歪み10%、動歪み±2%、温度20℃の条件にて測定されるものである。
【0016】
各識別ゴム層は、黒色以外の有彩色又は白色に着色されていることが好ましい。空気入りタイヤのトレッドゴム層は一般的には黒色であるため、各識別ゴム層を黒色以外の有彩色又は白色とすることで露出の判別が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のタイヤ更生方法で使用される空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
図2】本発明のタイヤ更生方法で使用されるバフ装置を示す側面図である。
図3】本発明のタイヤ更生方法のフローチャートである。
図4】本発明のタイヤ更生方法の具体例を示し、(a),(b)はそれぞれバフ工程での異なる状態を示す断面図である。
図5】本発明のタイヤ更生方法の他の具体例を示し、(a),(b)はそれぞれバフ工程での異なる状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明のタイヤ更生方法で使用される空気入りタイヤを示すものである。
【0019】
図1に示すように、空気入りタイヤTは、トレッド部1と、該トレッド部1に連なる一対のサイドウォール部2,2と、該サイドウォール部2,2に連なる一対のビード部3,3とを備えている。一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架され、このカーカス層4が各ビード部3に埋設されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げられている。
【0020】
トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には4層のベルト層6a,6b,6c,6dが配置されている。カーカス層4に隣接するベルト層6aは、タイヤ周方向に対する補強コードの傾斜角度が40°〜80°の範囲に設定されている。ベルト層6aの外周側に位置するベルト層6b,6cは、タイヤ周方向に対する補強コードの傾斜角度が10°〜30°の範囲に設定され、補強コードが層間で互いに交差するように配置されている。ベルト層6b,6cの外周側に位置するベルト層6dはタイヤ周方向に対する補強コードの傾斜角度が10°〜30°の範囲に設定されている。
【0021】
更に、トレッド部1におけるベルト層6a〜6dの外周側にはトレッドゴム層7が配置されている。そして、交差関係にあるベルト層6b,6cとトレッドゴム層7との間であってベルト層6b,6cの中央部及び両端部に対応する位置にはそれぞれ周囲のゴム層(例えば、トレッドゴム層7)とは色が異なる3本の識別ゴム層8c,8eがタイヤ全周にわたって埋設されている。即ち、1本の識別ゴム層8cはベルト層6b,6cの幅方向の中央部に対応する位置に配置され、2本の識別ゴム層8eはベルト層6b,6cの幅方向の両端部に対応する位置にそれぞれ配置されている。
【0022】
図2は本発明のタイヤ更生方法で使用されるバフ装置を示すものである。図2に示すように、本実施形態のタイヤ更生用バフ装置は、台タイヤとなる空気入りタイヤTを回転自在に保持する支持装置11と、空気入りタイヤTのトレッドゴム層7をバフするための回転研磨体12と、トレッドゴム層7のバフ状態を検出するための色識別装置13と、色識別装置13の検出結果に基づいて回転研磨体12の動作を制御する制御装置14とを備えている。
【0023】
支持装置11は、水平方向に延びる回転軸15を備えた支持台16を有し、空気入りタイヤTを回転軸15の廻りに回動自在に保持するように構成されている。また、支持装置11は不図示の駆動手段を備えていて、その駆動手段により空気入りタイヤTを回動させるようになっている。
【0024】
回転研磨体12は、空気入りタイヤTのトレッド部1と対面するようにフレーム17上に配設されていて、任意のバフラジアスに基づいてタイヤ幅方向に設定された軌道に沿って反復的に移動するように構成されている。回転研磨体12としては、回転歯やラスプ等を使用することができる。
【0025】
なお、回転研磨体12と空気入りタイヤTとの間のタイヤ径方向の距離を変化させるために、空気入りタイヤTを支持する支持装置11及び回転研磨体12の少なくとも一方は水平方向に移動自在に構成されている。
【0026】
色識別装置13は、空気入りタイヤTのトレッド部1と対面するようにフレーム17上に配設されていて、トレッド部1に埋設されたベルト層6b,6cの中央部及び両端部に対応する各測定箇所におけるバフ表面の色を識別するように構成されている。即ち、色識別装置13は空気入りタイヤTのトレッドゴム層7からの反射光を入力し、その入力に基づいて色を識別する機能を備えている。色識別装置13の構成は特に限定されるものではなく、一般的に入手可能な装置を採用することができる。また、複数の測定箇所に対して複数の色識別装置を用いても良く、或いは、複数の測定箇所を一括して監視する単独の色識別装置を用いても良い。
【0027】
制御装置14は、フレーム17上に搭載されていて、色識別装置13の検出結果に基づいて回転研磨体12の動作を制御する。つまり、制御装置14は、色識別装置13によりベルト層6b,6cの中央部及び両端部のうち一方の測定箇所での色の変化が判別されたとき、その一方の測定箇所におけるタイヤ径方向のバフ位置を固定しつつバフラジアスを変更し、色識別装置13により他方の測定箇所での色の変化が判別されるまでバフ作業を行うように回転研磨体12によるタイヤ径方向のバフ位置及びバフラジアスを制御するようになっている。
【0028】
本発明のタイヤ更生方法では、図1に示すような識別ゴム層8c,8eを備えた空気入りタイヤTを台タイヤとして使用し、図2に示すようなバフ装置を用いてバフ作業を実施する。つまり、支持装置11に空気入りタイヤTを取り付け、その空気入りタイヤTを回動させながら、空気入りタイヤTのトレッドゴム層7を任意のバフラジアスに基づいてタイヤ幅方向に設定された軌道に沿って移動する回転研磨体12によりバフし、ベルト層6b,6cの中央部の識別ゴム層8c及び両端部の識別ゴム層8eのいずれか一方がバフ表面に露出した際にその露出を色識別装置13で判別する。そして、露出が判別された識別ゴム層8c又は8eの埋設位置におけるタイヤ径方向のバフ位置を固定しつつバフラジアスを変更し、露出していない識別ゴム層8e又は8cがバフ表面に露出するまでバフ作業を行うのである。
【0029】
図3は本発明のタイヤ更生方法のフローチャートであり、図4は本発明のタイヤ更生方法の具体例を示し、図5は本発明のタイヤ更生方法の他の具体例を示すものである。
【0030】
先ず、図3のフローチャートに示すように、所定のバフラジアスR0にてバフを開始する(ステップS1)。ここで、バフラジアスR0はタイヤサイズに応じて任意に設定することが可能であるが、例えば、トラック・バス用タイヤの場合、300mm〜1000mmの範囲に設定すれば良い。
【0031】
図4(a)に示すように、バフラジアスR0が最適値よりも大きかった場合、中央部の識別ゴム層8cが露出することになる(ステップS2−1)。そして、中央部の識別ゴム層8cの露出が判別されると、図4(b)に示すように、中央部の識別ゴム層8cの埋設位置におけるタイヤ径方向のバフ位置を固定しつつバフラジアスR0を該バフラジアスR0よりも小さいバフラジアスR1に変更する(ステップS3−1)。これにより、両端部の識別ゴム層8eがバフ表面に露出することになる(ステップS4−1)。
【0032】
一方、図5(a)に示すように、バフラジアスR0が最適値よりも小さかった場合、両端部の識別ゴム層8eが露出することになる(ステップS2−2)。そして、両端部の識別ゴム層8eの露出が判別されると、図5(b)に示すように、両端部の識別ゴム層8eの埋設位置におけるタイヤ径方向のバフ位置を固定しつつバフラジアスR0を該バフラジアスR0よりも大きいバフラジアスR2に変更する(ステップS3−2)。これにより、中央部の識別ゴム層8cがバフ表面に露出することになる(ステップS4−2)。
【0033】
ステップS4−1又はステップS4−2が完了した後、空気入りタイヤTのバットレス部をバフして作業を終了する(ステップS5)。
【0034】
上述したタイヤ更生方法によれば、空気入りタイヤTの径成長の状態に拘らず、ベルト層6b,6cの中央部及び両端部に対応する位置において台タイヤに対するバフ量を適正化することができる。つまり、古いトレッドゴム層7を十分に取り除くことを可能にしながら、トレッド部1に埋設されたベルト層6b,6cを回転研磨体12で削り込んでしまうことを確実に回避し、更生タイヤの耐久性を十分に確保することができる。
【0035】
上記空気入りタイヤにおいて、ベルト層6b,6cの中央部に配置された識別ゴム層8cはタイヤ赤道線CLを中心として3mm〜20mmの幅Cを有し、ベルト層6b,6cの両端部に配置された各識別ゴム層8eはベルト層6b,6cのうちの最外側ベルト層6cとの重複幅Aが3mm〜20mmであると共にベルト層6b,6cのうちの最内側ベルト層6bからの突き出し幅Bが3mm〜20mmであると良い。各識別ゴム層8c,8eの大きさを上記範囲に設定することにより、台タイヤに対するバフ量を適正化し、しかもバフ作業時にベルト層6b,6cが露出するのを確実に防止することができる。各識別ゴム層8c,8eの大きさが小さ過ぎるとバフ作業時にベルト層6b,6cが露出し易くなり、逆に大き過ぎると最適なバフ形状を得ることが難しくなる。
【0036】
ベルト層6b,6cの中央部に配置された識別ゴム層8cはタイヤ赤道線CLの位置での厚さtcが1mm〜4mmであり、ベルト層6b,6cの両端部に配置された各識別ゴム層8eはベルト層6b,6cのうちの最外側ベルト層6c及び最内側ベルト層6bの各エッジ位置での厚さta,tbが1mm〜4mmに設定されている。各識別ゴム層8c,8eの厚さを上記範囲に設定することにより、台タイヤに対するバフ量を適正化することができる。各識別ゴム層8c,8eの厚さが小さ過ぎるとバフ工程においてベルト層6b,6cを損傷する恐れがあり、逆に大き過ぎると古いトレッドゴム層7を十分に取り除くことができない。
【0037】
各識別ゴム層8c,8eは、100%伸長時のモジュラスが4.0MPa〜5.5MPaであり、かつ温度20℃時のtanδが0.01〜0.20であると良い。各識別ゴム層8c,8eの物性を上記範囲に設定することにより、1次走行時及び更生後の2次走行時において識別ゴム層8c,8eが耐久性に悪影響を与えるのを回避することができる。各識別ゴム層8c,8eの100%伸長時のモジュラスが上記範囲から外れ、或いは、その温度20℃時のtanδが上記範囲の上限値を超えると、識別ゴム層8c,8eが耐久性の低下要因となる。
【0038】
上記空気入りタイヤにおいて、黒色を有するトレッドゴム層7とは対照的に、各識別ゴム層8e,8eは黒色以外の有彩色又は白色に着色されている。そのため、トレッドゴム層7をバフして識別ゴム層8c,8eが露出した際に、その識別ゴム層8c,8eを容易に判別することができる。黒色以外の有彩色としては、黄色、青色、赤色、ピンク色等を挙げることができる。
【0039】
上述した実施形態ではベルト層6b,6cの中央部に識別ゴム層8cを配置する一方でベルト層6b,6cの両端部にそれぞれ識別ゴム層8eを配置しているが、一般にタイヤ形状は左右対称であるため、識別ゴム層8eをベルト層6b,6cの片側の端部だけに配置することも可能である。勿論、ベルト層6b,6cの両端部にそれぞれ識別ゴム層8eを配置した方がバフ作業を精度良く行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6a,6b,6c,6d ベルト層
7 トレッドゴム層
8c,8e 識別ゴム層
11 支持装置
12 回転研磨体
13 色識別装置
14 制御装置
T 空気入りタイヤ
図1
図2
図3
図4
図5