特許第5830950号(P5830950)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5830950ゴム組成物およびこれを用いるスタッドレスタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5830950
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】ゴム組成物およびこれを用いるスタッドレスタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 7/00 20060101AFI20151119BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20151119BHJP
   C08L 33/10 20060101ALI20151119BHJP
   C08L 33/26 20060101ALI20151119BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20151119BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20151119BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20151119BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20151119BHJP
   C08K 3/30 20060101ALI20151119BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20151119BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20151119BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20151119BHJP
【FI】
   C08L7/00
   C08L9/00
   C08L33/10
   C08L33/26
   C08K3/36
   C08K3/34
   C08K3/26
   C08K3/22
   C08K3/30
   C08K3/04
   C08K5/54
   B60C1/00 A
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-133326(P2011-133326)
(22)【出願日】2011年6月15日
(65)【公開番号】特開2012-21149(P2012-21149A)
(43)【公開日】2012年2月2日
【審査請求日】2014年6月5日
(31)【優先権主張番号】特願2010-135981(P2010-135981)
(32)【優先日】2010年6月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】三原 諭
(72)【発明者】
【氏名】北村 臣将
(72)【発明者】
【氏名】網野 直也
(72)【発明者】
【氏名】木村 和資
(72)【発明者】
【氏名】岡松 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 弥生
【審査官】 赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−277411(JP,A)
【文献】 特開平04−370125(JP,A)
【文献】 特開2010−059272(JP,A)
【文献】 特開2006−096908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00− 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゴムとブタジエンゴムとを含むジエン系ゴム100質量部に対して白色充填剤(A)5〜60質量部と、前記白色充填剤(A)と水素結合及び/又は加水分解縮合反応が可能な官能基を2個以上有する(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体(B)とを含有し、前記白色充填剤(A)の量に対する前記(メタ)アクリレート系重合体及び/又は前記(メタ)アクリルアミド系重合体(B)の量の比率が0.1〜1.5であり、前記白色充填剤(A)と前記(メタ)アクリレート系重合体及び/又は前記(メタ)アクリルアミド系重合体(B)とを予め混合したことを特徴とし、スタッドレスタイヤに使用する、ゴム組成物。
【請求項2】
前記官能基が、反応性シリル基及び/又はアミド基である請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記白色充填剤(A)が、シリカ、クレー、マイカ、タルク、シラス、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム及び硫酸バリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記ジエン系ゴム中の、前記天然ゴムの含有率が20〜70質量%の範囲であり、前記ブタジエンゴムの含有率が30〜80質量%の範囲である、請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項5】
さらにカーボンブラックを含有し、前記カーボンブラックの量が前記ジエン系ゴム100質量部に対して10〜65質量部であり、前記白色充填剤と前記カーボンブラックとの合計量が前記ジエン系ゴム100質量部に対して15〜125質量部である請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項6】
前記ジエン系ゴムの平均ガラス転移温度が、−50℃以下である請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項7】
さらに、シランカップリング剤を含有し、前記シランカップリング剤の量が前記白色充填剤(A)の配合量の3〜15質量%である請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項8】
前記(メタ)アクリルアミド系重合体が、下記式(6)で表される化合物である、請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物。
【化1】
式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2はアルキル基であり、mは2〜100の整数であり、nは1〜100の整数であり、R3、R4は水素原子又は炭化水素基である。
【請求項9】
前記スタッドレスタイヤのトレッド部に用いられる請求項1〜のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項10】
請求項1〜のいずれかに記載のゴム組成物を用いて得られるトレッド部を有するスタッドレスタイヤ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物およびこれを用いる空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、0℃付近及び30℃付近でのtanδが高く、−20℃付近での動的弾性率(G′)が低く、スタッドレスタイヤのドライ性能、ウェット性能及び氷上性能を向上させることが可能なゴム組成物の提供、かかるゴム組成物をトレッドに用いた、ドライ性能、ウェット性能及び氷上性能に優れたスタッドレスタイヤの提供を目的として、天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムと、ポリブタジエンゴムとを主成分とするゴム成分(A)100質量部に対して、カーボンブラック及び白色充填剤からなる群から選択される少なくとも一種の充填剤(B)20〜70質量部と、ポリスチレン換算重量平均分子量が2×103〜50×103である(メタ)アクリレート系(共)重合体(C)3〜30質量部とを配合してなることを特徴とするゴム組成物、該ゴム組成物をトレッドに用いたことを特徴とするスタッドレスタイヤが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−274051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本願発明者らは、(メタ)アクリレート系重合体を含有するゴム組成物について氷上摩擦が特に大きくはならず耐摩耗性が低くなることを見出した。
そこで、本発明は、氷上摩擦が大きく耐摩耗性に優れるゴム組成物、氷上摩擦が大きく耐摩耗性に優れる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ジエン系ゴム100質量部に対して白色充填剤(A)5〜60質量部と、前記白色充填剤(A)と水素結合及び/又は加水分解縮合反応が可能な官能基を2個以上有する(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体(B)とを含有し、前記白色充填剤(A)の量に対する前記(メタ)アクリレート系重合体及び/又は前記(メタ)アクリルアミド系重合体(B)の量の比率が0.1〜1.5であり、前記白色充填剤(A)と前記(メタ)アクリレート系重合体及び/又は前記(メタ)アクリルアミド系重合体(B)とを予め混合したことを特徴とするゴム組成物、該ゴム組成物を用いて得られるトレッド部を有する空気入りタイヤが、氷上摩擦が大きく耐摩耗性に優れることを見出し、本願発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、下記1〜9を提供する。
1. ジエン系ゴム100質量部に対して白色充填剤(A)5〜60質量部と、前記白色充填剤(A)と水素結合及び/又は加水分解縮合反応が可能な官能基を2個以上有する(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体(B)とを含有し、前記白色充填剤(A)の量に対する前記(メタ)アクリレート系重合体及び/又は前記(メタ)アクリルアミド系重合体(B)の量の比率が0.1〜1.5であり、前記白色充填剤(A)と前記(メタ)アクリレート系重合体及び/又は前記(メタ)アクリルアミド系重合体(B)とを予め混合したことを特徴とするゴム組成物。
2. 前記官能基が、反応性シリル基及び/又はアミド基である上記1に記載のゴム組成物。
3. 前記白色充填剤(A)が、シリカ、クレー、マイカ、タルク、シラス、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム及び硫酸バリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記1または2に記載のゴム組成物。
4. 前記ジエン系ゴムが、天然ゴムとブタジエンゴムとを含む上記1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
5. さらにカーボンブラックを含有し、前記カーボンブラックの量が前記ジエン系ゴム100質量部に対して10〜65質量部であり、前記白色充填剤と前記カーボンブラックとの合計量が前記ジエン系ゴム100質量部に対して15〜125質量部である上記1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
6. 前記ジエン系ゴムの平均ガラス転移温度が、−50℃以下である上記1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
7. さらに、シランカップリング剤を含有し、前記シランカップリング剤の量が前記白色充填剤(A)の配合量の3〜15質量%である上記1〜6のいずれかに記載のゴム組成物。
8. 空気入りタイヤのトレッド部に用いられる上記1〜7のいずれかに記載のゴム組成物。
9. 上記1〜8のいずれかに記載のゴム組成物を用いて得られるトレッド部を有する空気入りタイヤ。
【発明の効果】
【0007】
本発明のゴム組成物は氷上摩擦が大きく耐摩耗性に優れる。
本発明の空気入りタイヤは氷上摩擦が大きく耐摩耗性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明のゴム組成物の一例を模式的に表わす断面図である。
図2図2は、会合体の一例を模式的に表す断面図である。
図3図3は、本発明のゴム組成物の別の一例を模式的に表わす断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明について以下詳細に説明する。
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対して白色充填剤(A)5〜60質量部と、前記白色充填剤(A)と水素結合及び/又は加水分解縮合反応が可能な官能基を2個以上有する(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体(B)とを含有し、前記白色充填剤(A)の量に対する前記(メタ)アクリレート系重合体及び/又は前記(メタ)アクリルアミド系重合体(B)の量の比率が0.1〜1.5であり、前記白色充填剤(A)と前記(メタ)アクリレート系重合体及び/又は前記(メタ)アクリルアミド系重合体(B)とを予め混合したことを特徴とするゴム組成物である。
本発明において、(B)成分としての(メタ)アクリレート系重合体が白色充填剤(A)と水素結合及び/又は加水分解縮合反応が可能な官能基を2個以上有すること、及び/又は、(B)成分としての(メタ)アクリルアミド系重合体が白色充填剤(A)と水素結合が可能な官能基としてアミド結合を有することによって、(B)成分は白色充填剤(A)との親和性及び/又は反応性に優れる。
また本発明において、白色充填剤(A)と(B)成分とは特定の量で予め混合される。このとき白色充填剤(A)と(B)との混合物中には上記の親和性及び/又は反応性によって後述する会合体(複合体)を形成すると考えられる。このようにして得られる白色充填剤(A)と(B)成分との混合物(会合体)はジエン系ゴムにおいて白色充填剤を効果的に分散させることができる。
そして本発明のゴム組成物は上記要件を有することによって氷上摩擦が大きく耐摩耗性に優れる、つまり、耐摩耗性を低下させることなくまたは耐摩耗性を改善しつつ、氷上摩擦を大きくすることができる。
【0010】
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴムと、白色充填剤(A)と、前記白色充填剤(A)と水素結合及び/又は加水分解縮合反応が可能な官能基を2個以上有する(メタ)アクリレート系重合体(B)とを含有するものである。
ジエン系ゴムについて以下に説明する。本発明のゴム組成物に配合されるジエン系ゴムは、ジエン化合物を少なくとも含むモノマーから得られるゴムであれば特に制限されない。例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。
ポリブタジエンゴムは、シス−1,4結合含量が75%以上であることが好ましい。
ジエン系ゴムはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0011】
ジエン系ゴムの組み合わせとしては、例えば、天然ゴム(NR)および/またはイソプレンゴム(IR)と、ブタジエンゴム(BR)との組み合わせが挙げられる。なかでも、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れるという観点から、ジエン系ゴムが天然ゴムとブタジエンゴムとを含むのが好ましい。
氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れるという観点から、ジエン系ゴム中の天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムの含有率は20〜70質量%の範囲が好ましく、ブタジエンゴムの含有率は30〜80質量%の範囲が好ましい。
【0012】
ジエン系ゴムの平均ガラス転移温度は、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れるという観点から、−50℃以下であるのが好ましく−55℃以下であるのがより好ましい。ジエン系ゴムの平均ガラス転移温度は−70℃以下とすることができる。
なおガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により20℃/分の昇温速度条件によりサーモグラムを測定し、転移域の中点の温度とする。また、ジエン系ゴムが油展品であるときは、油展成分(オイル)を含まない状態におけるジエン系ゴムのガラス転移温度とする。また、平均ガラス転移温度とは、各ジエン系ゴムのガラス転移温度に各ジエン系ゴムの重量分率を乗じた合計(ガラス転移温度の重量平均値)である。尚、全てのジエン系ゴムの重量分率の合計を1とする。
【0013】
白色充填剤(A)について以下に説明する。本発明のゴム組成物に配合される白色充填剤(A)(以下これを「白色充填剤」ということがある。)は一般的にゴム組成物に充填材として配合できるものであれば特に制限されない。なかでも、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れるという観点から、極性を有するものであるのが好ましい。白色充填剤(A)が有することができる極性基としては例えば、OH基、シラノール基、アミド基、カルボキシル基、アミノ基、CO32-、SO42-が挙げられる。
白色充填剤(A)としては、例えば、シリカ;クレー、タルクのような粘土鉱物やマイカなどのケイ酸塩鉱物;シラス;炭酸カルシウム(例えば、極微細炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム)、炭酸マグネシウム(例えば塩基性炭酸マグネシウム)、炭酸カリウムのような炭酸塩類;水酸化アルミニウム(例えば含水水酸化アルミニウム)のようなアルミナ水和物;硫酸バリウムが挙げられる。
なかでも、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れるという観点から、シリカ、クレーやタルク、マイカ等のケイ酸塩鉱物、シラス、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、及び硫酸バリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、シリカであるのがより好ましい。
シリカは特に限定されず、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。なかでも、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れ、破壊特性の改良効果並びにウェットグリップ性及び低転がり抵抗性の両立効果に優れる点で、湿式シリカが好ましい。
クレーとしては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト族:カオリナイト、ハロサイトなどのカオリナイト族:ジオクタヘドラルバーミキュライト、トリオクタヘドラルバーミキュライトなどのバーミキュライト族が挙げられる。
マイカとしては、例えば、テニオライト、テトラシリシックマイカ、マスコバイト、イライト、セリサイト、フォロゴバイト、バイオタイトが挙げられる。
なかでも氷上摩擦がより大きいという観点からシリカ、クレー、マイカが好ましく、シリカ、モンモリロナイトクレー、ヘクトライトクレーがより好ましい。
白色充填剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0014】
本発明において、白色充填剤の量はジエン系ゴム100質量部に対して5〜60質量部である。白色充填剤の量は、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れるという観点から、ジエン系ゴム100質量部に対して、10〜60質量部であるのが好ましく、20〜60質量部であるのがより好ましい。
【0015】
本発明のゴム組成物は、(B)成分として、白色充填剤(A)と水素結合及び/又は加水分解縮合反応が可能な官能基を2個以上有する(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体を含有する。
(B)成分としての(メタ)アクリレート系重合体、(メタ)アクリルアミド系重合体は単独重合体、共重合体のいずれであってもよい。
(B)成分としての(メタ)アクリレート系重合体について以下に説明する。本発明のゴム組成物に配合することができる(メタ)アクリレート系重合体(以下これを「(メタ)アクリレート系重合体」ということがある。)は、白色充填剤(A)と水素結合及び/又は加水分解縮合反応が可能な官能基を2個以上有し、主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含む重合体である。本発明において(メタ)アクリレートはアクリレートおよびメタクリレートのうちの一方または両方を意味する。(メタ)アクリルアミドも同様である。
(B)成分としての(メタ)アクリレート系重合体は(メタ)アクリル酸エステル単量体由来のエステル結合以外に、さらに、白色充填剤(A)と水素結合及び/又は加水分解縮合反応が可能な官能基を有する。
官能基は主鎖の片末端もしくは複数の末端(例えば両末端)に、及び/又は側鎖として結合することができる。
本発明において、(メタ)アクリレート系重合体が有する官能基の数は2個以上であり、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れるという観点から、2〜5個であるのが好ましい。
官能基としては、例えば、反応性シリル基、アミド基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基が挙げられる。なかでも、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れるという観点から、官能基は、反応性シリル基及び/又はアミド基であるのが好ましい。
なお、本発明において、官能基はエステル結合[例えば(メタ)アクリレート系重合体が有する、モノマー由来のエステル結合]を含まない。
官能基は、例えば、(メタ)アクリレート系重合体を重合する際使用する単量体によって、及び/又は、(メタ)アクリレート系重合体の主鎖を変性することによって、(メタ)アクリレート系重合体に導入することができる。
ここで、反応性シリル基とは、例えば、ケイ素原子と結合した加水分解性基を有するケイ素含有基やシラノール基のように湿気や架橋剤の存在下、必要に応じて触媒等を使用することにより縮合反応を起こすことができる基をいう。具体的には例えば、下記式(1)で表される基が挙げられる。
【0016】
【化1】
式中、R6およびR7は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(R83SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R6またはR7が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。R8は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のR8は同一であってもよく、異なっていてもよい。
Yはヒドロキシ基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1または2をそれぞれ示す。
また、t個の下記式(2)で表される基におけるbは異なっていてもよい。tは0〜19の整数を示す。ただし、a+t×b≧1を満足するものとする。なおa+t×b≧1はa+t×bが1以上であることを意味する。
【0017】
【化2】
上記式(1)におけるR6およびR7の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基などのアルキル基;シクロヘキシル基などの脂環式炭化水素基;フェニル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;R8がメチル基やフェニル基などである(R83SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基;等が挙げられる。R6、R7、R8としてはメチル基が特に好ましい。
【0018】
上記Yで示される加水分解性基は特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらのうち、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基であることが好ましく、加水分解性が穏やかで取り扱いやすいという理由からメトキシ基等のアルコキシ基が特に好ましい。
反応性シリル基の中で、下記式(3)で表される反応性シリル基が、入手容易の点から好ましい。下記式(3)中、R7、Y、aは上述のR7、Y、aと同義である。
【0019】
【化3】
【0020】
反応性シリル基は、白色充填剤(例えばシリカ)との反応性に優れ、結果として氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れるという観点から、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基が好ましい。
(メタ)アクリレート系重合体が反応性シリル基を有する場合、(メタ)アクリレート系重合体1分子中に反応性シリル基を2〜8個有するのが好ましい。
反応性シリル基は、少なくとも(メタ)アクリレート系重合体の末端に結合することができる。反応性シリル基は主鎖の両末端に結合したり、側鎖として主鎖に結合することができる。
【0021】
(メタ)アクリレート系重合体を製造する際に使用される(メタ)アクリル酸エステル単量体は特に制限されない。(メタ)アクリレート系重合体(の主鎖)を形成する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ミリスチルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、フェニルアクリレート、トルイルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビフェニルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリシジルアクリレート、2−アミノエチルアクリレート、トリフルオロメチルメチルアクリレート、2−トリフルオロメチルエチルアクリレート、2−パーフルオロエチルエチルアクリレート、2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチルアクリレート、パーフルオロエチルアクリレート、パーフルオロメチルアクリレート、ジパーフルオロメチルメチルアクリレート、2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチルアクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチルアクリレート、2−パーフルオロデシルエチルアクリレート、2−パーフルオロヘキサデシルエチルアクリレート等のアクリル酸エステルまたはこれに対応するメタクリル酸エステルが挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
更に、(メタ)アクリレート系重合体(の主鎖)は、アクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位のほかに、これらと共重合性を有する単量体単位を含んでいてもよい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシ基を含有する単量体単位;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基を含有する単量体単位[(メタ)アクリルアミド系化合物];グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を含有する単量体単位;ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含有する単量体単位が挙げられる。ポリオキシエチレンアクリレート、ポリオキシエチレンメタクリレート等は、湿分硬化性および内部硬化性の点で共重合効果を期待することができる。
そのほかに、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位が挙げられる。
なお、本発明において、(メタ)アクリレート系重合体はモノマーとして(メタ)アクリルアミド系化合物を使用しないものとすることができる。
【0023】
反応性シリル基を有する(メタ)アクリレート系重合体としては、例えば、下記式(4)で表されるものが挙げられる。
【化4】
式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2はアルキル基であり、R5はアルキレン基であり、nは3〜100の整数であり、R7、Y、aは上述と同義である。アルキル基としては炭素原子数1〜20のものが挙げられる。具体的には例えば、メチル基、エチル基が挙げられる。アルキレン基としては炭素原子数1〜20のものが挙げられる。具体的には例えば、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基が挙げられる。
【0024】
なかでも、(メタ)アクリレート系重合体は、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れるという観点から、下記式(5)であるのが好ましい。
【化5】
式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2はアルキル基であり、nは1〜20の整数である。アルキル基は上記と同義である。
【0025】
(B)成分としての(メタ)アクリルアミド系重合体は、少なくとも(メタ)アクリルアミド系化合物を含むモノマーを重合することによって得られるポリマーであれば特に制限されない。(メタ)アクリルアミド系化合物はエチレン性不飽和結合とアミド基とを有する化合物であれば特に制限されない。
(B)成分としての(メタ)アクリルアミド系重合体は、一般的な(メタ)アクリレート系重合体及び/又は加水分解縮合反応が可能な官能基を有さない(メタ)アクリレート系重合体より、白色充填剤(A)との親和性に優れる。
(メタ)アクリルアミド系重合体は、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アルキルアミド、N,N−置換(メタ)アルキルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミドのようなアミド基およびエチレン性不飽和結合を含有する単量体を使用することによって製造することができる。
N−置換(メタ)アクリルアミド、N,N−置換(メタ)アクリルアミドが窒素原子に有する置換基としては、例えば、炭化水素基、官能基を有する炭化水素基が挙げられる。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基(鎖状、分岐状のいずれでもよく、不飽和結合を有することができる。)、脂環式炭化水素基(分岐していてもよく、不飽和結合を有することができる。)、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。
N−置換(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−メチルアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミドが挙げられる。
N,N−置換(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−エチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリディン、N−アクリロイルメチルホモピロリディン、N−アクリロイルメチルピペラディン、N−ビニルアセトアミドが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド系重合体は、1分子中にアミド基を3〜4個有するのが好ましい。
【0026】
更に、(メタ)アクリルアミド系重合体は、単量体単位として(メタ)アクリルアミド系化合物のほかに、これらと共重合性を有する単量体単位を含んでいてもよい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシ基を含有する単量体単位;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を含有する単量体単位;ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含有する単量体単位が挙げられる。ポリオキシエチレンアクリレート、ポリオキシエチレンメタクリレート等は、湿分硬化性および内部硬化性の点で共重合効果を期待することができる。
そのほかに、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位が挙げられる。
【0027】
(メタ)アクリルアミド系重合体としては、例えば、下記式(6)で表される化合物が挙げられる。
【化6】
式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2はアルキル基であり、mは2〜100の整数であり、nは1〜100の整数であり、R3、R4は水素原子、炭化水素基、官能基を有する炭化水素基である。アルキル基としては炭素原子数1〜4のものが挙げられる。具体的には例えば、メチル基、エチル基が挙げられる。炭化水素基、官能基を有する炭化水素基は上記と同義である。
【0028】
(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体はその製造について特に限定されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体の分子量は、取り扱い粘度や白色充填剤(例えばシリカ)との反応性に優れるという観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算での重量平均分子量が500〜30,000であるのが好ましく、2,000〜30,000であるのがより好ましい。
【0029】
(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体は氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れ、取扱い性に優れるという観点から、液状であるのが好ましい。(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体が固体である場合は溶媒(例えば水)に溶解させて使用するのが好ましい。
(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体の溶液粘度は、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れ、取扱い性に優れるという観点から、(メタ)アクリレート系重合体は、E型粘度計における25℃の条件下で測定された溶液粘度が1〜300cpsであるのが好ましく、1〜280cpsであるのがより好ましい。
(B)成分は、単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0030】
(メタ)アクリレート系重合体としては、公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、カネカ社製のカネカテレケリックポリアクリレート−SA100S、SA100、SA110S、SA120S、SA310S等が挙げられる。
【0031】
(B)成分[(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体]の量は、前記白色充填剤(A)に対する(B)成分としての、前記(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体の比率[B/A:前記白色充填剤(A)に対する前記(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体(B)の質量の比の値]が0.1〜1.5となるものである。このような範囲の場合氷上摩擦が大きく耐摩耗性に優れる。
(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体の量は、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れるという観点から、白色充填剤(A)の量に対する(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体(B)の量の比率(B/A)が0.1〜1.3であるのが好ましく、0.1〜1.2であるのがより好ましい。
また、(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体(B)の量は、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れるという観点から、白色充填剤100質量部に対して3〜120質量部、10〜120質量部、40〜120質量部とすることができる。
【0032】
(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体(B)を使用する際、(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体(B)を溶媒に溶解させて使用するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体(B)を溶解させる際に使用される溶媒としては、例えば、水、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどの極性溶媒が挙げられる。溶媒はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
溶媒の量は、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れるという観点から、(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体(B)100質量部に対して、5〜10000質量部であるのが好ましく、10〜1500質量部であるのがより好ましい。
【0033】
白色充填剤(A)と(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体(B)との組み合わせは、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れるという観点から、シリカと反応性シリル基を有する(メタ)アクリレート系重合体との組み合わせ、クレー(例えばモンモリロナイトクレー)と(メタ)アクリルアミド系重合体との組み合わせが好ましい。
【0034】
本発明のゴム組成物はさらにカーボンブラックを含有することができる。氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れるという観点から、充填剤としてカーボンブラックおよび白色充填剤を配合するのが好ましい。
本発明のゴム組成物がさらに含有することができるカーボンブラックは特に制限されない。例えば、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFグレードのもの等が挙げられる。カーボンブラックは、耐摩耗性をより向上させる観点からは、HAF、ISAF、SAFグレードのものが好ましい。カーボンブラックはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0035】
カーボンブラックの量は、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れるという観点から、ジエン系ゴム100質量部に対して10〜65質量部であるのが好ましく、15〜50質量部であるのがより好ましい。
白色充填剤とカーボンブラックとの合計量は、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れるという観点から、ジエン系ゴム100質量部に対して15〜125質量部であるのが好ましく、40〜90質量部であるのがより好ましい。
【0036】
充填剤としてカーボンブラックおよび白色充填剤を配合する場合、カーボンブラックの量は、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れるという観点から、充填剤全量中、15〜90質量%であるのが好ましく、20〜85質量%であるのがより好ましい。
充填剤としてカーボンブラックおよび白色充填剤を配合する場合、白色充填剤の量は、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れるという観点から、充填剤全量中、10〜85質量%であるのが好ましく、15〜80質量%であるのがより好ましい。
【0037】
本発明のゴム組成物は、さらにシランカップリング剤を配合することができる。
充填剤(特にシリカ)を用いる場合、その補強性を更に向上させる観点から、シランカップリング剤を配合時に添加することが好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド等が挙げられる。
なかでも、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れ、補強性改善効果の観点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが好ましい。
シランカップリング剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0038】
シランカップリング剤の量は、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性により優れ、補強性改善効果の観点から、白色充填剤の配合量の3〜15質量%(重量パーセント)であるのが好ましく、4〜12質量%であるのがより好ましい。
【0039】
本発明のゴム組成物には一般的なゴム用架橋系化合物(例えば架橋剤、加硫促進剤)を用いることができる。なかでも架橋剤と加硫促進剤とを組み合わせて用いることが好ましい。架橋剤としては例えば硫黄等が挙げられる。架橋剤の使用量は、ジエン系ゴム100質量部に対して硫黄分として0.1〜3.0質量部であるのが好ましい。
加硫促進剤は特に限定されない。例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール(M)、ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CZ)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NS)等のチアゾール系加硫促進剤、ジフェニルグアニジン(DPG)等のグアニジン系加硫促進剤等が挙げられる。
加硫促進剤の使用量は、ジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜5質量部であるのが好ましい。加硫促進剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
本発明のゴム組成物は、軟化剤としてプロセスオイル等を配合することができる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマチック系オイル等が挙げられる。なかでも、引張強度及び耐摩耗性の観点からは、アロマチック系オイルが好ましく、ヒステリシスロス及び低温特性の観点からは、ナフテン系オイル及びパラフィン系オイルが好ましい。プロセスオイルの使用量は、ジエン系ゴム100質量部に対して0〜100質量部であるのが好ましい。
【0041】
本発明のゴム組成物は、上記の成分の他に、例えば、白色充填剤およびカーボンブラック以外の充填剤、老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、酸化防止剤、ワックス、オゾン劣化防止剤等のゴム業界で通常用いられる添加剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。
【0042】
本発明のゴム組成物は、例えば、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて、ジエン系ゴム、白色充填剤、および(メタ)アクリレート系重合体、必要に応じて使用することができる、カーボンブラック、軟化剤、添加剤、ゴム用架橋系化合物を混練りすることによって製造することができる。
本発明において、白色充填剤と(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体とをあらかじめ混合する。この際(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体を溶媒で溶解させたものとして使用するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
混合(混練)の温度は、耐摩耗性に優れるという観点から、120〜160℃であるのが好ましい。本発明のゴム組成物は例えば成形加工した後加硫を行うことができる。
【0043】
本発明のゴム組成物は、その用途としては例えば空気入りタイヤ(例えばトレッド部用として)、防振ゴム、ベルト、ホース、その他の工業製品等が挙げられる。具体的には例えば、空気入りタイヤのトレッド部、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビードに使用することができる。なかでも、スタッドレスタイヤのトレッド部に使用するのが好適である。
【0044】
本願発明者らは本発明のゴム組成物が氷上摩擦が大きく耐摩耗性に優れるメカニズムを以下のように推察する。
本発明のゴム組成物は疎水性のジエン系ゴムと高極性の(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体とを配合し、ジエン系ゴムと(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体とは相溶しにくいので、本発明のゴム組成物はジエン系ゴムをマトリックスとし(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体をドメインとする海島構造を形成すると考えられる。このようなモルフォロジーによって、本発明の組成物は、ジエン系ゴム中にゴムより柔らかい(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体のドメインによってゴムが氷の凹凸に追従するようになり氷上摩擦が大きくなると考えられる。
【0045】
また、本発明のゴム組成物において、(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体は官能基(例えば、反応性シリル基、アミド基)を有するので、白色充填剤(特にシリカ、モンモリロナイトクレー)は(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体とその表面で水素結合および/または加水分解縮合反応による結合を形成し、(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体と白色充填剤との会合体を形成することができると考えられる。
このように、(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体と白色充填剤とが相互作用および/または結合することによって、(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体がジエン系ゴム中において会合体を保持されやすくなり、結果として耐摩耗性、氷上摩擦力が向上すると考えられる。したがって、本発明のゴム組成物は、官能基(例えば、反応性シリル基、アミド基等)を有さない、(メタ)アクリレート系重合体、及び/又は、アミド結合を有さない(メタ)アクリル系重合体を含む従来のゴム組成物よりも、氷上摩擦力、耐摩耗性に格段に優れると考えられる。
【0046】
また、本発明のゴム組成物はシランカップリング剤を配合する場合、シランカップリング剤は、(B)成分および/または白色充填剤と、水素結合および/または加水分解縮合反応による結合を形成することができると考えられる。
このように、シランカップリング剤が(B)成分および/または白色充填剤と相互作用および/または結合することによって、(B)成分のドメインおよび/または会合体とジエン系ゴムとの界面応力が緩和されやすくなり補強性が向上することによって本発明のゴム組成物は耐摩耗性により優れると考えられる。
【0047】
本発明のゴム組成物が充填剤として白色充填剤を配合する場合について添付の図面を用いて以下に説明する。
図1は、本発明のゴム組成物の一例を模式的に表わす断面図である。
図1において、ゴム組成物10はジエン系ゴム1、白色充填剤5、(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体3を配合し、ゴム組成物10はジエン系ゴム1をマトリックスとし(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体3をドメインとするモルフォロジーを有する。また、白色充填剤は一般的極性が高く親水性を有するため、白色充填剤5は(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体3の周辺に分散および/または(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体3と反応して、会合体7を形成することができる。なお図1において白色充填剤5は(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体3全体を覆って示されるが、白色充填剤は(メタ)アクリレート系重合体の表面の一部をコーティングするものであってもよい。
【0048】
図2は、会合体の一例を模式的に表す断面図である。
図2において、会合体7は(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体3の表面に白色充填剤の粒9を有し、粒9が図1における白色充填剤5の層を形成していることを示す。
【0049】
図3は、本発明のゴム組成物の別の一例を模式的に表わす断面図である。
図3において、ゴム組成物30はジエン系ゴム31、白色充填剤35、(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体33を配合し、ゴム組成物30はジエン系ゴム31をマトリックスとし(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体33と白色充填剤35とが水素結合及び/又は加水分解縮合反応による結合をして形成された会合体37をドメインとするモルフォロジーを有する。
なお、上記メカニズムは本願発明者らの推測であり、仮にメカニズムが上記以外のものであっても本願発明の範囲内である。
【0050】
本発明の空気入りタイヤについて以下に説明する。
本発明の空気入りタイヤは、本発明のゴム組成物を用いて得られるトレッド部を有する空気入りタイヤである。
本発明の空気入りタイヤのトレッド部を形成する際に使用されるゴム組成物は本発明のゴム組成物であれば特に制限されない。
なお、本発明の空気入りタイヤは、本発明のゴム組成物をトレッド部に用いる以外特に制限はなく、例えば従来公知の方法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
【実施例】
【0051】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
<ゴム組成物の製造1>
第1表において標準例1、比較例4を除き、まず、第1表に示す、白色充填剤1または白色充填剤4と、シリル基末端(メタ)アクリレート重合体1〜4、(メタ)アクリルアミド系重合体1または(メタ)アクリレート重合体1とを同表に示す量(単位:質量部)で用いてあらかじめ混合した。つぎに、第1表に示す、加硫促進剤と硫黄以外とを除く成分を同表に示す量(単位:質量部)で用い、これに上記の白色充填剤1または白色充填剤4とシリル基末端(メタ)アクリレート重合体1〜4、(メタ)アクリルアミド系重合体1または(メタ)アクリレート重合体1との混合物を加え、これらを1.5リットルの密閉型ミキサーで6分間混練し、150℃に達したときにミキサーから取り出し、この混合物に加硫促進剤と硫黄とを加えてオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。なお第1表においてB/Aは、白色充填剤(A)に対する(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体(B)の比率(質量比)を意味する。標準例1、比較例4については、第1表に示す、加硫促進剤と硫黄以外とを除く成分を同表に示す量(単位:質量部)で用いてこれらを同時に混合する以外は上記と同様にしてゴム組成物を製造した。
【0052】
<ゴム組成物の製造2>
第2表において標準例2、比較例8を除き、まず、第2表に示す、白色充填剤2、3と(メタ)アクリルアミド系重合体1〜3または(メタ)アクリルアミド系重合体1とを同表に示す量(単位:質量部)で用いてあらかじめ混合した。つぎに、第2表に示す、加硫促進剤と硫黄以外とを除く成分を同表に示す量(単位:質量部)で用い、これに上記の白色充填剤2、3と(メタ)アクリルアミド系重合体1〜3または(メタ)アクリレート重合体1との混合物を加え、これらを1.5リットルの密閉型ミキサーで6分間混練し、150℃に達したときにミキサーから取り出し、この混合物に加硫促進剤と硫黄とを加えてオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。なお第2表においてB/Aは、白色充填剤(A)に対する(メタ)アクリルアミド系重合体(B)の比率(質量比)を意味する。標準例2、比較例8については、第2表に示す、加硫促進剤と硫黄以外とを除く成分を同表に示す量(単位:質量部)で用いてこれらを同時に混合する以外は上記と同様にしてゴム組成物を製造した。
【0053】
<ゴム組成物の加硫>
得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃で20分間加硫して加硫ゴムのシートを製造した。
<加硫ゴムの試験>
得られた加硫ゴムの氷上摩擦係数指数、耐摩耗性指数を以下に示す試験法で測定した。結果を第1表、第2表に示す。
・氷上摩擦係数指数
上記のようにして得られた加硫ゴムのシート(大きさは縦30cm、横1.5cm、厚さ2mm)を偏平円柱状の台ゴムにはりつけ、インサイドドラム型氷上摩擦試験機にて氷上摩擦係数を測定した。測定温度は−1.5℃、荷重5.5kg/cm3、ドラム回転速度は25km/hrであった。
標準例1で得られた氷上摩擦係数の値を100としてこれを基準にした各実施例、比較例の氷上摩擦係数指数(%)を第1表に示す。第2表においては標準例2を基準とする。
氷上摩擦指数係数が大きいものほど氷上摩擦力が高い事を示す。
【0054】
・耐摩耗性指数
上記のようにして得られた加硫ゴムのシートをランボーン摩耗試験機を用いてJIS K6264に準拠し、荷重4.0kg(=39N)スリップ率30%の条件にて摩耗量を測定した。
第1表において標準例1で得られた摩耗量の値を100とし、[(標準例1の摩耗量)/(試料の摩耗量)]×100として指数(%)を表示した。第2表においては標準例2を基準とする。
耐摩耗性指数の値が大きいほど耐摩耗性は良好である。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
第1表、第2表に示されている各成分の詳細は、以下のとおりである。
・ジエン系ゴム1(NR):天然ゴムRSS#3
・ジエン系ゴム2(BR):日本ゼオン社製、「Nipol BR1220」
・カーボンブラック:東海カーボン社製、「シースト6」、グレードはHAFである。
・白色充填剤1:シリカ、ローディア社製、「Zeosil 1165MP、湿式シリカ
・白色充填剤2:モンモリロナイトクレー、クニミネ工業株式会社社製、商品名「クニピア」
・白色充填剤3(モンモリロナイト以外のクレー):カオリンクレー、竹原化学工業社製、商品名「NNカオリンクレー」
・白色充填剤4(白色充填剤1以外のシリカ):親水性フュームドシリカ、日本アエロジル株式会社製、商品名「AEROSIL 130」
・シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、デクサ社製、「SI69」
・酸化亜鉛:正同化学工業(株)製、「酸化亜鉛3種」
・ステアリン酸:日本油脂製、「ビーズステアリン酸」
・老化防止剤:フレキシス製、「6PPD」
・ワックス:大内新興製、「パラフィンワックス」
・プロセスオイル:昭和シェル石油社製、「エキストラクト4号S」
・シリル基末端(メタ)アクリレート重合体1:鐘淵化学社製 SA100、溶液粘度250cps、メトキシ末端変性アクリレートのオリゴマータイプ、GPCにおけるポリスチレン換算分子量が500〜30,000の液状ポリマー
・シリル基末端(メタ)アクリレート重合体2:鐘淵化学社製 SA310、メトキシ末端変性アクリレートのオリゴマータイプ、GPCにおけるポリスチレン換算分子量が500〜30,000の液状ポリマー
・シリル基末端(メタ)アクリレート重合体3:鐘淵化学社製 SA310S、メトキシ末端変性アクリレートのオリゴマータイプ、GPCにおけるポリスチレン換算分子量が500〜30,000の液状ポリマー
・シリル基末端(メタ)アクリレート重合体4:上記シリル基末端(メタ)アクリレート重合体1:100質量部を(溶媒)アセトン:10質量部に溶解させたもの
・(メタ)アクリルアミド系重合体1:荒川化学工業社製、商品名「ポリテンション」、溶液粘度4,000〜15,000cps、(メタ)アクリルアミド系化合物の重合体、GPCにおけるポリスチレン換算分子量が500〜30,000のポリマー
・(メタ)アクリルアミド系重合体2:荒川化学工業社製、商品名「ポリマセット」、溶液粘度1,000〜4,000cps、(メタ)アクリルアミド系化合物の重合体、GPCにおけるポリスチレン換算分子量が500〜30,000の液状ポリマー
・(メタ)アクリルアミド系重合体3:上記(メタ)アクリルアミド系重合体重合体1:100質量部を(溶媒)アセトン10質量部に溶解させたもの
・(メタ)アクリレート重合体1:Aldrich社製 Poly(styrene)−block−poly(acrylic acid)、mol wt Mn 1,890−2,310(poly(acrylic acid))
Mn 5,580−6,820(polystyrene)
Mn 7,470−9,130
Mw/Mn 1.1−1.3
・硫黄:鶴見化学工業社製、「金華印油入微粉硫黄」
・加硫促進剤:大内新興化学工業製、「ノクセラーCZ−G」
なお、ジエン系ゴム1(NR)50質量部とジエン系ゴム2(BR)50質量部とを含むジエン系ゴムの平均ガラス転移温度は−84℃であった。
【0058】
第1表に示す結果(白色充填剤がシリカである場合)から明らかなように、白色充填剤(A)に対する(メタ)アクリレート系重合体(B)の比率が1.5を超える比較例1は、耐摩耗性が低かった。官能基を有さない(メタ)アクリレート重合体を含有する比較例2、白色充填剤(A)に対する(メタ)アクリレート系重合体(B)の比率が0.1未満である比較例3は、氷上摩擦力が小さく、耐摩耗性が低かった。特に比較例2は耐摩耗性が低下している。比較例2では官能基を有さない(メタ)アクリレート重合体が使用されているので、(メタ)アクリレート系重合体が白色充填剤と官能基による相互作用(水素結合及び/又は加水分解縮合反応)をすることができない。白色充填剤(A)と(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体(B)とを予め混合しない比較例4は氷上摩擦力が小さく、耐摩耗性が低かった。
これに対して、実施例1〜9は氷上摩擦力が大きく耐摩耗性に優れる。つまり実施例1〜9は耐摩耗性を低下させることがなく耐摩耗性を改善しつつ、氷上摩擦を大きくすることができる。なかでも、白色充填剤がシリカである場合、(B)成分は、(メタ)アクリルアミド系重合体より官能基を有する(メタ)アクリレート系重合体である方が氷上摩擦を高くすることができる。
【0059】
第2表に示す結果(白色充填剤がケイ酸塩鉱物である場合)から明らかなように、(メタ)アクリレート重合体1を含有する比較例6は耐摩耗性が低下した。白色充填剤(A)に対する(メタ)アクリルアミド系重合体の比率が1.5を超える比較例5は、耐摩耗性が低かった。白色充填剤(A)に対する(メタ)アクリルアミド系重合体の比率が0.1未満である比較例7は、氷上摩擦力が低かった。白色充填剤(A)と(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体(B)とを予め混合しない比較例8は氷上摩擦力が小さかった。特に比較例6は耐摩耗性が低下している。比較例6では官能基を有さない(メタ)アクリレート重合体が使用されているので、(メタ)アクリレート系重合体が白色充填剤と官能基による相互作用(水素結合及び/又は加水分解縮合反応)が(メタ)アクリルアミド系重合体より劣る。
これに対して、実施例10〜16は氷上摩擦力が大きく耐摩耗性に優れる。つまり実施例10〜16は耐摩耗性を低下させることがなく耐摩耗性を改善しつつ、氷上摩擦を大きくすることができる。
本発明において、白色充填剤としてケイ酸塩鉱物を使用する場合であっても、(B)成分が(メタ)アクリルアミド系重合体であり、(メタ)アクリルアミド系重合体を溶剤で希釈することによって、より氷上摩擦を高くすることができる。
【符号の説明】
【0060】
10、30 ゴム組成物
1、31 ジエン系ゴム
3、33 (メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体
5 白色充填剤(層)
35 白色充填剤
7、37 会合体
9 白色充填剤の粒
図1
図2
図3