特許第5833275号(P5833275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5833275塩素供給制御装置、塩素供給制御方法、及び管保護システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5833275
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月16日
(54)【発明の名称】塩素供給制御装置、塩素供給制御方法、及び管保護システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/50 20060101AFI20151126BHJP
   C02F 1/76 20060101ALI20151126BHJP
   F28F 19/00 20060101ALI20151126BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20151126BHJP
【FI】
   C02F1/50 550C
   C02F1/50 510E
   C02F1/50 520F
   C02F1/50 531P
   C02F1/50 540D
   C02F1/50 540B
   C02F1/50 550L
   C02F1/50 560Z
   C02F1/50 520K
   C02F1/50 531M
   C02F1/76 A
   F28F19/00 501B
   F28F21/08 A
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-515741(P2015-515741)
(86)(22)【出願日】2013年12月16日
(86)【国際出願番号】JP2013083636
【審査請求日】2015年3月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】吉崎 司
(72)【発明者】
【氏名】引野 健治
(72)【発明者】
【氏名】植村 聡志
(72)【発明者】
【氏名】藤木 俊也
(72)【発明者】
【氏名】串本 弘平
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−129697(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/041400(WO,A1)
【文献】 特開平11−333466(JP,A)
【文献】 特開平06−296972(JP,A)
【文献】 特開2012−148770(JP,A)
【文献】 特開2006−026545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/50
C02F 1/76
F28F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二価鉄イオンを含む海水を注水する管に対する塩素供給を制御する塩素供給制御装置であって、
前記海水中のクロロフィルが所定の濃度以上の時に前記塩素供給を減量し、その後、前記海水中の動物プランクトンが所定の密度以上の時に前記塩素供給を増量するように、前記塩素供給を制御する、塩素供給制御装置。
【請求項2】
前記海水中のクロロフィルが所定の濃度以上の時に前記塩素供給を停止し、その後、前記動物プランクトンが所定の密度以上の時に前記塩素供給を再開する、請求項1に記載の塩素供給制御装置。
【請求項3】
前記管が、発電所復水器内熱交換細管である、請求項1または2に記載の塩素供給制御装置。
【請求項4】
前記管が、アルミ黄銅製である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塩素供給制御装置。
【請求項5】
海水を注水する管の管保護システムであって、
前記海水に二価鉄イオンを供給する二価鉄イオン供給装置と、
前記海水に塩素を供給する塩素供給装置と、
前記海水に対する前記塩素供給を制御する塩素供給制御装置と、
前記海水中のクロロフィルを検出する第一の検出装置と、
前記海水中の動物プランクトンを検出する第二の検出装置と、を備え、
前記二価鉄イオン供給装置は、前記海水に二価鉄イオンを供給し、
前記塩素供給制御装置は、第一の検出装置が前記クロロフィルを所定の濃度以上検出した時に塩素供給を減量し、その後、第二の検出装置が前記動物プランクトンを所定の密度以上検出した時に塩素供給を増量するように、前記塩素供給装置による塩素供給を制御する、管保護システム。
【請求項6】
第一の検出装置が前記クロロフィルを所定の濃度以上検出した時に前記塩素供給を停止し、その後、第二の検出装置が前記動物プランクトンを所定の密度以上検出した時に前記塩素供給を再開する、請求項5に記載の管保護システム。
【請求項7】
前記管が、発電所復水器内熱交換細管である、請求項5または6に記載の管保護システム。
【請求項8】
前記管が、アルミ黄銅製である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の管保護システム。
【請求項9】
二価鉄イオンを含む海水を注水する管に対する塩素供給を制御する塩素供給制御方法であって、
前記海水中のクロロフィルが所定の濃度以上検出された時に塩素供給を減量し、その後、前記海水中の動物プランクトンが所定の密度以上検出された時に塩素供給を増量するように、前記塩素供給を制御する、塩素供給制御方法。
【請求項10】
前記クロロフィルが所定の濃度以上検出された時に前記塩素供給を停止し、前記動物プランクトンが所定の密度以上検出された時に前記塩素供給を再開する、請求項9に記載の塩素供給制御方法。
【請求項11】
前記管が、発電所復水器内熱交換細管である、請求項9または10に記載の塩素供給制御方法。
【請求項12】
前記管が、アルミ黄銅製である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の塩素供給制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素供給制御装置、塩素供給制御方法、及び管保護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電所復水器へは、冷却用循環水として、海水が用いられているが、その循環水の通り道であるアルミ黄銅製の復水器内熱交換細管には、フジツボ類・イガイ類等の付着性生物が付着するという問題があった。このような復水器内熱交換細管への付着性生物の付着は、復水器内熱交換細管の熱伝導率の低下や復水器真空度の低下を招き、結果的に発電機出力を低下させる。この解決手法として、付着性生物の付着を防止するため、海水への塩素注入が行われている(特許公開2011−92821号)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
近年、四季のある日本の発電所では冬季の一時期において、循環海水温度が低く、大きな温度変化がないにも関わらず、復水器真空度が低下し、発電機出力に影響を与えるという現象が起きている。発明者らは、その原因について研究し、その時期に爆発的に増殖する植物プランクトンが塩素によって破壊されることで、海水中に内容物である大量の有機物が放出され、後述するように、それらが復水器細管内に通常とは異なる皮膜の形成に寄与していることを見出し、本発明の完成に至った。
【0004】
本発明の一実施態様は、二価鉄イオンを含む海水を注水する管に対する塩素供給を制御する塩素供給制御装置であって、前記海水中のクロロフィルが所定の濃度以上の時に前記塩素供給を減量し、その後、前記動物プランクトンが所定の密度以上の時に前記塩素供給を増量するように、前記塩素供給を制御する、塩素供給制御装置である。前記海水中のクロロフィルが所定の濃度以上の時に前記塩素供給を停止し、その後、前記動物プランクトンが所定の密度以上の時に前記塩素供給を再開してもよい。前記管が、発電所復水器内熱交換細管であってもよい。前記管が、アルミ黄銅製であってもよい。
【0005】
本発明の他の一実施態様は、海水を注水する管の管保護システムであって、前記海水に二価鉄イオンを供給する二価鉄イオン供給装置と、前記海水に塩素を供給する塩素供給装置と、前記海水に対する前記塩素供給を制御する塩素供給制御装置と、前記海水中のクロロフィルを検出する第一の検出装置と、前記海水中の動物プランクトンを検出する第二の検出装置と、を備え、前記二価鉄イオン供給装置は、前記海水に二価鉄イオンを供給し、前記塩素供給制御装置は、第一の検出装置が前記クロロフィルを所定の濃度以上検出した時に塩素供給を減量し、その後、第二の検出装置が前記動物プランクトンを所定の密度以上検出した時に塩素供給を増量するように、前記塩素供給装置による塩素供給を制御する、管保護システムである。第一の検出装置が前記クロロフィルを所定の濃度以上検出した時に前記塩素供給を停止し、その後、第二の検出装置が前記動物プランクトンを所定の密度以上検出した時に前記塩素供給を再開してもよい。前記管が、発電所復水器内熱交換細管であってもよい。前記管が、アルミ黄銅製であってもよい。
【0006】
本発明のさらなる他の一実施態様は、二価鉄イオンを含む海水を注水する管に対する塩素供給を制御する塩素供給制御方法であって、前記海水中のクロロフィルが所定の濃度以上検出された時に塩素供給を減量し、その後、前記海水中の動物プランクトンが所定の密度以上検出された時に塩素供給を増量するように、前記塩素供給を制御する、塩素供給制御方法である。前記クロロフィルが所定の濃度以上検出された時に前記塩素供給を停止し、前記動物プランクトンが所定の密度以上検出された時に前記塩素供給を再開してもよい。前記管が、発電所復水器内熱交換細管であってもよい。前記管が、アルミ黄銅製であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例における、模擬配管による海水通水試験の結果を示す図である。
図2】本発明の一実施例において、鉄イオンと塩素による橙褐色の沈殿生成に対し、有機物の関与を調べた結果を示す図である。
図3】本発明の一実施例において、皮膜形成実験の結果を示す図である。
図4図3で形成された皮膜の観察結果を示す図である。
図5】本発明の一実施例において、プランクトンの発生時期を調べた図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的に実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
【0009】
==塩素供給制御方法==
本発明にかかる、二価鉄イオンを含む海水を注水する管に対する塩素供給を制御する塩素供給制御方法は、海水中のクロロフィルが所定の濃度以上検出された時に塩素供給を減量し、その後、海水中の動物プランクトンが所定の密度以上検出された時に塩素供給を増量するように、塩素供給を制御する。減量は、50%減量が好ましく、80%減量がより好ましく、90%減量がさらに好ましく、100%減量、すなわち供給停止が最も好ましい。また、増量は、停止前の塩素供給量と比較して、50%になるまで増量するのが好ましく、80%になるまで増量するのがより好ましく、90%になるまで増量するのがさらに好ましく、100%になるまで増量するのが最も好ましいが、100%以上になるまで増量してもかまわない。
【0010】
ここで、二価鉄イオンを含む海水は、海水に二価鉄イオンを生じる化合物を添加することで製造できる。二価鉄イオンは、例えば、硫酸第一鉄が好ましいが、特に限定されない。添加方法や頻度は特に限定されないが、常時添加されているのが好ましい。二価鉄イオンの濃度は、好ましくは0.05ppm以上であり、より好ましくは0.1ppm以上であり、さらに好ましくは0.3ppm以上であり、さらに好ましくは、1.0ppm以上であるが、好ましくは、10ppm以下であり、より好ましくは、3.0ppm以下であり、さらに好ましくは1.0ppm以下である。
【0011】
対象となる管は、発電所復水器内熱交換細管が好ましいが、特に限定されない。管の材料も特に限定されないが、アルミ黄銅が好ましい。
【0012】
対象の植物プランクトンは特に限定されないが、コスキノディスカス(Coscinodiscus)が例示できる。
【0013】
塩素供給を停止する海水中のクロロフィルの濃度の所定値は、0.01〜1.00μg/lの値であることが好ましく、0.05μg/lが最も好ましい。なお、本方法では、海水中のクロロフィルの濃度を測定し、総有機物量の指標としているが、植物プランクトンの総質量や総重量を指標としてもよい。
【0014】
また、動物プランクトンも特に限定されないが、アカフジツボなどのフジツボ類、ムラサキイガイなどのイガイ類、ベニクダウミヒドラなどのヒドラ類が例示できる。
【0015】
動物プランクトンの所定値は特に限定されないが、検出されると直ちに動物プランクトンの付着期幼生に対して塩素を供給するのが好ましい。
【0016】
導入する塩素濃度は、特に限定されず、海水中における塩素の消費量の変化を考慮し、放水口において検出されないような注入濃度とする。塩素は、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、粉末塩素,海水電解による塩化物イオンなどを添加することが好ましいが、特に限定されない。
【0017】
植物プランクトンが増加した後も、二価鉄イオンを含む海水を注水する管に塩素供給を続けていると、実施例で後述するように、植物プランクトンが塩素で破壊されて放出される有機物と、二価鉄存在下で沈殿が生じ、その沈殿が管壁に沈着し、皮膜を形成するため、復水器真空度が低下し、発電機出力に影響が及ぶ。従って、クロロフィルの濃度が所定値以上になったら、塩素供給を減量することで、皮膜の形成を防止することができる。塩素供給は、また、動物プランクトンの密度が所定値以上になったら、塩素供給を増量することで、動物プランクトンを駆除することができる。
【0018】
以下、本方法に用いることができる装置例について、詳細に述べる。
【0019】
==塩素供給制御装置==
本発明にかかる塩素供給制御装置は、二価鉄イオンを含む海水を注水する管に対する塩素供給を制御する塩素供給制御装置であって、海水中のクロロフィルが所定の濃度以上の時に塩素供給を減量し、その後、動物プランクトンが所定の密度以上の時に塩素供給を増量するように、塩素供給を制御する。塩素供給制御装置が、海水中のクロロフィルが所定の濃度以上である情報を得る方法は特に限定されず、クロロフィルの濃度は、クロロフィル蛍光測定装置による定量やアセトン抽出による定量など公知の方法によって計測できる。
【0020】
==管保護システム==
本発明にかかる、海水を注水する管の管保護システムは、海水に二価鉄イオンを供給する二価鉄イオン供給装置と、海水に塩素を供給する塩素供給装置と、海水に対する塩素供給を制御する塩素供給制御装置と、海水中のクロロフィルを検出する第一の検出装置と、海水中の動物プランクトンを検出する第二の検出装置と、を備え、二価鉄イオン供給装置は、海水に二価鉄イオンを供給し、塩素供給制御装置は、第一の検出装置がクロロフィルを所定の濃度以上検出した時に塩素供給を減量し、その後、第二の検出装置が動物プランクトンを所定の密度以上検出した時に塩素供給を増量するように、塩素供給装置による塩素供給を制御する。
【0021】
二価鉄イオン供給装置は、鉄の二価イオンを管に注入する海水に供給できれば、限定されない。
【0022】
塩素供給装置も、海水に塩素が供給できれば、特に限定されない。
【0023】
塩素供給制御装置は、塩素供給装置に対し、塩素の供給量を制御する装置であり、上述した塩素供給制御装置を用いることができる。例えば、塩素供給装置が塩素を液体の形で、電磁弁を通じて供給する場合、塩素供給制御装置は、その供給電磁弁の開閉を制御すればよい。
【0024】
クロロフィルの濃度を測定する装置は、例えば、クロロフィル蛍光装置(ターナーデザイン社製、笠原理化工業,JFEアドバンテックなどであってもよい。動物プランクトンの検出は、幼生検出キット(Wako社)によるか,あるいは顕微鏡観察による目視による。
【0025】
(1)模擬配管による海水通水試験
発電所1号機の復水器入口 CSW ベント配管ライン(ベント弁下流側)にアルミ黄銅管を実装した模擬配管経路を仮設し、本系統と同様の海水を通水することで、アルミ黄銅管内における鉄皮膜の形成状況を観察した。アルミ黄銅管には、実際の復水器冷却管であるフェロコチューブ (神鋼メタルプロダクツ社製 JISH3300C6872T-0 アルミブラス;外径3.175 cm、厚さ2.14 mm)を使用した。アルミ黄銅管内への供給流量を1.4L/sec とすることにより、実際の復水器と同様、細管内流速2.4 m/sec を再現した。なお、通水は、夜間の取水槽ゲート部への鉄イオン注入時 (通常注入時; 鉄イオン濃度0.1ppm 7時間)を含め、常時行った。模擬配管経路は、本系統の復水器とは “温度・流れ (層流・乱流)” などの物理的要因が異なるものとなるが、定期的な細管の一部採取を可能とすることで、経時的な皮膜形成状況に関して付加的なデータを得る。ちなみに、模擬配管経路設置時には、植物プランクトンが大量に確認されており,通常真空度が低下する時期である。
【0026】
未使用のチューブ(図1左)と比べ、設置後一ヶ月には、管の内面にべったりした膜ができていた(図1右)。植物プランクトンと塩素によって有機物が大量に海水中に吐露され,そこに鉄が加わることで形成したものであると考えられた。内面の膜は、少し管に衝撃が加わっただけで簡単に片寄るようなものであった。
【0027】
(2)ビーカーでの実験
目合い32μmのメッシュフィルターを用いて培養培地中のチョウチンケイソウを捕集し、濾過海水で洗浄した後、濾過海水中に移した。この珪藻溶液(珪藻密度 27x10個/mL)に、図に示した濃度の次亜塩素酸ナトリウムを加え、その後に硫酸第一鉄を鉄イオンが100ppmになるように加えたところ(図3)、3者が存在し、しかも、珪藻が存在する場合、塩素が30ppmで、橙褐色の沈殿が形成された。珪藻が存在しない場合は、その10倍である300ppmの塩素がないと、橙褐色の沈殿が生じなかった。このように、有機物が存在すると、橙褐色の沈殿が非常に生じやすくなる。
【0028】
(4)皮膜形成実験
(3)と同様の溶液を調整し、アルミ黄銅片(試験片)を浸漬し、皮膜の形成状態を確認した。アルミ黄銅片には、実際の復水器冷却管であるフェロコチューブ(神鋼メタルプロダクツ社製 JISH3300C6872T-0 アルミブラス; 外径3.175 cm、厚さ2.14 mm)をダイヤモンドソーにより切断した、長さ2cm の半管を使用した。各試験区への浸漬時間は49 時間 (通常鉄注入7 時間×7 日間に相当) とした。試験終了後、試験水中から試験片をゆっくりと垂直に引き上げ回収し、室温にて2日間自然乾燥させた(図4)。試験片上に乾燥・固化した皮膜を実体顕微鏡により観察し(図5)、また、その成分の分析 (元素分析) を行った。
【0029】
試験区1:珪藻溶液+鉄イオン(100ppm)+塩素濃度(30ppm)
試験区2:珪藻溶液+鉄イオン(100ppm)
試験区3:濾過海水+鉄イオン(100ppm)+塩素濃度(30ppm)
試験区1では、赤褐色の皮膜が確認されたが、試験区2、3では、皮膜の形成は認められなかった(図4)。このように、珪藻に対し、鉄イオンと塩素が共存すると、皮膜が形成されることがわかる。
【0030】
以上より、冬の一時期に、復水器真空度が低下し、発電機出力に影響を与えるのは、植物プランクトンが、塩素及び鉄イオンの存在下で、皮膜を形成するためであることがわかる。
【0031】
(5)プランクトンの発生時期
平成23年及び24年に、1号機復水器、2号機復水器で、動物プランクトンとして、フジツボ類キプリス幼生の500L辺りの固体数を測定した。また、平成23年に、取水口及び2号機復水器で、平成24年1号機復水器、植物プランクトンの500L辺りの固体数を測定した。
【0032】
図6に示したように、植物プランクトンは、2月初旬から増え始め、動物プランクトンは、5月下旬から増え始める。それは、日照の長時間化や海水の温度上昇とともに植物プランクトンが増え始め、植物プランクトンの増殖後、それを餌として、動物プランクトンが増え始めるためである。
【0033】
従って、植物プランクトンが増え始めてから動物プランクトンが増え始めるまでの間、塩素注入を止めるのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、塩素供給制御装置、塩素供給制御方法、及び管保護システムを提供することを目的とする。
【要約】
【課題】本発明は、塩素供給制御装置、塩素供給制御方法、及び管保護システムを提供することを目的とする。そのため、海水を注水する管の管保護システムは、前記海水に二価鉄イオンを供給する二価鉄イオン供給装置と、前記海水に塩素を供給する塩素供給装置と、前記海水に対する前記塩素供給を制御する塩素供給制御装置と、前記海水中のクロロフィルを検出する第一の検出装置と、前記海水中の動物プランクトンを検出する第二の検出装置と、を備え、前記二価鉄イオン供給装置は、前記海水に二価鉄イオンを供給し、前記塩素供給制御装置は、第一の検出装置が前記クロロフィルを所定の濃度以上検出した時に塩素供給を減量し、その後、第二の検出装置が前記動物プランクトンを所定の密度以上検出した時に塩素供給を増量するように、前記塩素供給装置による塩素供給を制御するものとする。
図1
図2
図3
図4
図5