特許第5834144号(P5834144)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5834144プリント基板設計検証システム、プリント基板設計検証方法及び記録媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5834144
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月16日
(54)【発明の名称】プリント基板設計検証システム、プリント基板設計検証方法及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/50 20060101AFI20151126BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20151126BHJP
【FI】
   G06F17/50 666Z
   H05K3/00 D
【請求項の数】15
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2014-535308(P2014-535308)
(86)(22)【出願日】2012年9月13日
(86)【国際出願番号】JP2012073502
(87)【国際公開番号】WO2014041665
(87)【国際公開日】20140320
【審査請求日】2014年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】高見 知親
【審査官】 合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−293765(JP,A)
【文献】 特開平5−198675(JP,A)
【文献】 特開2000−35982(JP,A)
【文献】 特開2010−262338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/50
H05K 3/00
IEEE Xplore
CiNii
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板の設計中途以降の段階までに決定されるデータを示すプリント基板設計データと、プリント基板の製造時に必要となるデータを示すプリント基板製造用データとを入力する入力部と、
前記入力部から入力されたプリント基板設計データ及びプリント基板製造用データを格納するデータ格納部と、
前記データ格納部に格納されたプリント基板設計データ及びプリント基板製造用データに基づいて、前記プリント基板を製造した場合の電流経路における電流密度を算出し、前記算出した電流密度を参照して、設計値として定められた許容範囲を超える電流密度が発生する配線の不合格箇所が前記電流経路上にないか判定する設計検証部と、
前記設計検証部によって判定された配線の不合格箇所を示す情報を出力する出力部と、
を備え、
前記設計検証部は、
前記データ格納部に格納されたプリント基板設計データ及びプリント基板製造用データを取得し、
前記取得したプリント基板設計データ及び前記プリント基板製造用データに基づいて製造後のプリント基板における電流経路を探索し、
前記探索した電流経路について、該電流経路の配線を形成する各銅箔ベタに流れる電流値を決定し、
前記各銅箔ベタにおける電流経路を示す銅箔ベタ電流経路を決定し、
前記各銅箔ベタについて決定した電流値及び銅箔ベタ電流経路に基づいて、前記各銅箔ベタにおける電流密度を算出し、
前記算出した電流密度が前記設計値の許容範囲を超えていないか判定し、前記判定の基準を満たさない銅箔ベタによる配線箇所を前記不合格箇所とする
ことを特徴とするプリント基板設計検証システム。
【請求項2】
前記設計検証部は、前記プリント基板に定常電流が供給された場合の前記銅箔ベタにおける電流密度を示す定常電流密度と、前記プリント基板に異常電流が供給された場合の前記銅箔ベタにおける電流密度を示す異常電流密度とを算出し、前記算出した定常電流密度及び異常電流密度が各電流密度に対応して定められる設計値の許容範囲を超えていないか判定する
ことを特徴とする請求項1記載のプリント基板設計検証システム。
【請求項3】
前記設計検証部は、前記プリント基板における電流経路を探索するときに、該プリント基板上の配線に接続される複数の部品のピン数に基づいて電流が提供される始点部品を決定し、前記決定した始点部品を始点とする電流経路を探索する過程で、グラウンド配線に到達した場合及び電力消費量が大きい所定の部品に到達した場合には、該経路における以降の電流経路を探索しない
ことを特徴とする請求項1記載のプリント基板設計検証システム。
【請求項4】
前記設計検証部は、前記銅箔ベタに流れる電流値と、該銅箔ベタにおける銅箔ベタ電流経路に対する銅箔面の幅の最小値と、該銅箔ベタの銅箔層の厚さとに基づいて、該銅箔ベタにおける電流密度を算出する
ことを特徴とする請求項1記載のプリント基板設計検証システム。
【請求項5】
前記設計検証部は、前記各銅箔ベタにおける銅箔ベタ電流経路を、該銅箔ベタに電流が供給される始点及び終点の位置と該銅箔ベタの形状とに応じて決定する
ことを特徴とする請求項1記載のプリント基板設計検証システム。
【請求項6】
前記設計検証部は、配線に接続する部品が銅箔ベタに存在しない場合に、該銅箔ベタに接続して設けられたヴィアを前記銅箔ベタ電流経路の始点又は終点とみなす
ことを特徴とする請求項5記載のプリント基板設計検証システム。
【請求項7】
前記プリント基板製造用データは、前記プリント基板に供給される電流値を示す入力電流値、前記プリント基板のグラウンド配線を示すグラウンド配線情報、前記プリント基板に搭載される部品に流れる電流値を示す部品電流値、前記プリント基板の配線に流れる電流値を示す配線電流値を含む
ことを特徴とする請求項1記載のプリント基板設計検証システム。
【請求項8】
プリント基板を製造した場合の電流経路における電流密度が設計値として定められた許容範囲を超えないかを検証するプリント基板設計検証システムによるプリント基板設計検証方法であって、
前記プリント基板設計検証システムは、
データが入力される入力部と、
前記入力部によって入力されたデータを格納するデータ格納部と、
前記データ格納部に格納されたデータに基づいてプリント基板を製造した場合の電流経路における電流密度を検証する設計検証部と、
前記設計検証部による検証結果を出力する出力部と、
を有し、
前記入力部が、プリント基板の設計中途以降の段階までに決定されるデータを示すプリント基板設計データと、プリント基板の製造時に必要となるデータを示すプリント基板製造用データとを前記データ格納部に入力するデータ入力ステップと、
前記データ格納部が、前記入力されたプリント基板設計データ及びプリント基板製造用データを格納するデータ格納ステップと、
前記設計検証部が、前記格納されたデータを取得するデータ取得ステップと、
前記設計検証部が、前記取得されたデータに基づいて、製造後のプリント基板における電流経路を探索する電流経路探索ステップと、
前記設計検証部が、前記探索された電流経路について、該電流経路の配線を形成する各銅箔ベタに流れる電流値を決定する電流値決定ステップと、
前記設計検証部が、前記電流値が決定された各銅箔ベタにおける電流経路を示す銅箔ベタ電流経路を決定する銅箔ベタ電流経路決定ステップと、
前記設計検証部が、前記電流値決定ステップで決定された電流値と前記銅箔ベタ電流経路決定ステップで決定された銅箔ベタ電流経路とに基づいて、前記各銅箔ベタにおける電流密度を算出する電流密度算出ステップと、
前記設計検証部が、前記算出した電流密度が前記設計値の許容範囲を超えていないか判定し、前記判定の基準を満たさない銅箔ベタによる配線箇所を不合格箇所とする不合格箇所判定ステップと、
前記出力部が、前記不合格箇所判定ステップで不合格箇所とされた配線箇所を出力する検証結果出力ステップと、
を備えることを特徴とするプリント基板設計検証方法。
【請求項9】
前記電流密度算出ステップでは、前記設計検証部が、前記プリント基板に定常電流が供給された場合の前記銅箔ベタにおける電流密度を示す定常電流密度と、前記プリント基板に異常電流が供給された場合の前記銅箔ベタにおける電流密度を示す異常電流密度とを算出し、
前記不合格箇所判定ステップでは、前記設計検証部が、前記電流密度算出ステップで算出した定常電流密度及び異常電流密度が、各電流密度に対応して定められる設計値の許容範囲を超えていないか判定する
ことを特徴とする請求項8記載のプリント基板設計検証方法。
【請求項10】
前記電流経路探索ステップでは、前記設計検証部が、前記プリント基板における電流経路を探索するときに、該プリント基板上の配線に接続される複数の部品のピン数に基づいて電流が提供される始点部品を決定し、前記決定した始点部品を始点とする電流経路を探索する過程で、グラウンド配線に到達した場合及び電力消費量が大きい所定の部品に到達した場合には、該経路における以降の電流経路を探索しない
ことを特徴とする請求項8記載のプリント基板設計検証方法。
【請求項11】
前記電流密度算出ステップでは、前記設計検証部が、前記銅箔ベタに流れる電流値と、該銅箔ベタにおける銅箔ベタ電流経路に対する銅箔面の幅の最小値と、該銅箔ベタの銅箔層の厚さとに基づいて、該銅箔ベタにおける電流密度を算出する
ことを特徴とする請求項8記載のプリント基板設計検証方法。
【請求項12】
前記銅箔ベタ電流経路決定ステップでは、前記設計検証部が、前記各銅箔ベタにおける銅箔ベタ電流経路を、該銅箔ベタに電流が供給される始点及び終点の位置と該銅箔ベタの形状とに応じて決定する
ことを特徴とする請求項8記載のプリント基板設計検証方法。
【請求項13】
前記銅箔ベタ電流経路決定ステップでは、前記設計検証部が、配線に接続する部品が銅箔ベタに存在しない場合に、該銅箔ベタに接続して設けられたヴィアを前記銅箔ベタ電流経路の始点又は終点とみなす
ことを特徴とする請求項12記載のプリント基板設計検証方法。
【請求項14】
前記データ入力ステップでは、前記入力部が、前記プリント基板に供給される電流値を示す入力電流値、前記プリント基板のグラウンド配線を示すグラウンド配線情報、前記プリント基板に搭載される部品に流れる電流値を示す部品電流値、前記プリント基板の配線に流れる電流値を示す配線電流値を含むプリント基板製造用データと、前記プリント基板設計データとを前記データ格納部に入力する
ことを特徴とする請求項8記載のプリント基板設計検証方法。
【請求項15】
プリント基板の設計中途以降の段階までに決定されるデータを示すプリント基板設計データと、プリント基板の製造時に必要となるデータを示すプリント基板製造用データとが入力されて記憶領域に格納されるコンピュータに、
前記記憶領域に格納されたプリント基板設計データ及びプリント基板製造用データを取得するデータ取得手順と、
前記データ取得手順で取得したデータに基づいて、製造後のプリント基板における電流経路を探索する電流経路探索手順と、
前記電流経路探索手順で探索した電流経路について、該電流経路の配線を形成する各銅箔ベタに流れる電流値を決定する電流値決定手順と、
前記電流値決定手順で電流値を決定した各銅箔ベタにおける電流経路を示す銅箔ベタ電流経路を決定する銅箔ベタ電流経路決定手順と、
前記電流値決定手順で決定した電流値と前記銅箔ベタ電流経路決定手順で決定した銅箔ベタ電流経路とに基づいて、前記各銅箔ベタにおける電流密度を算出する電流密度算出手順と、
前記電流密度算出手順で算出した電流密度が設計値の許容範囲を超えていないか判定し、前記判定の基準を満たさない銅箔ベタによる配線箇所を不合格箇所とする不合格箇所判定手順と、
を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板設計検証システム、プリント基板設計検証方法及び記録媒体に関し、プリント基板の電流経路における電流密度を検証するプリント基板設計検証システム、プリント基板設計検証方法及び記録媒体に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板は、集積回路(IC:Integrated Circuit)や大規模集積回路(LSI:Large Scale Integration)等の半導体部品を、はんだ接続によって物理的及び電気的に接続する役割を担っている。近年、プリント基板では、搭載部品の搭載精度が向上するに伴い、半導体部品とプリント基板との接続部の微細化が進んでいる。一般には、プリント基板上の半導体部品間の電気的接続は、プリント基板に設けられた導体の配線を介して実現されるため、半導体部品とプリント基板との接続部の微細化が進むに従って、プリント基板の配線密度が増加する。また、低価格化のためにプリント基板の面積の縮小及び層数の低減が求められる結果、プリント基板に給電するための給電用回路の縮小が求められ、電流経路の複雑化が進んでいる。
【0003】
プリント基板の給電用回路は銅箔ベタを電流経路とし、銅箔ベタを流れる電流密度は、設計段階で許容範囲が規定される。しかし、プリント基板の設計途中(主に設計中盤以降)において、配線を追加するために給電用の銅箔ベタを縮小することがあり、銅箔ベタを縮小しすぎた場合には、銅箔ベタを流れる電流密度が設計値を超えてしまう可能性がある。特に近年では、上述したようにプリント基板の配線密度が上昇し電流経路の複雑化も進んでいるので、銅箔ベタの縮小による電流密度の設計値超えが発生しやすい状況が増えている。銅箔ベタを流れる電流密度が設計値を超えたことに気づかないままプリント基板を製造すると、プリント基板に部品を配置し、当該プリント基板を搭載した装置を稼働するときになって初めて、銅箔ベタを流れる電流密度の超過に気づくことになる。この場合には、プリント基板の再設計及び再製造を行わなければならず、手戻りが発生してしまう。
【0004】
プリント基板を搭載した装置の稼働前に異常の有無を確認する方法の1つに、プリント基板の実測試験がある。プリント基板の実測試験は、製造後のプリント基板に対して設計データとの整合性を確認するものであり、例えば特許文献1には、プリント基板への効率的な実測試験を支援するプリント基板試験支援装置が記載されている。特許文献1に記載されたプリント基板試験支援装置は、信号特性の劣化度合に基づいて、実測試験時に問題点が顕著に発生し得る重要度の高い配線パターンを特定することにより、実測試験の対象とする配線パターンを絞り込み、効率的な実測試験を支援することを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−29285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載されたプリント基板試験支援装置は、製造後のプリント基板の実測試験を支援するものであるから、異常が発見された場合にはプリント基板の再設計及び再製造が必要なことに変わりはないという課題があった。また、特許文献1に記載されたプリント基板試験支援装置は、重要度の高い配線パターンを特定する方法として配線パターンにおける特性インピーダンスの変化や配線パターンに生じるクロストークを用いているので、銅箔ベタの電流経路における電流密度の変化を検証する用途には適用できないという課題があった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、プリント基板の設計に要する全体的な工程時間を短縮するプリント基板設計検証システム、プリント基板設計検証方法及び記録媒体を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明においては、プリント基板の設計中途以降の段階までに決定されるデータを示すプリント基板設計データとプリント基板の製造時に必要となるデータを示すプリント基板製造用データとを入力する入力部と、入力されたデータを格納する格納部と、格納部に格納されたデータに基づいて、プリント基板を製造した場合の電流経路における電流密度を算出し、算出した電流密度を参照して、設計値として定められた許容範囲を超える電流密度が発生する配線の不合格箇所が電流経路上にないか判定する設計検証部と、配線の不合格箇所を示す情報を出力する出力部と、を備え、設計検証部は、データ格納部に格納されたデータを取得し、取得したデータに基づいて製造後のプリント基板における電流経路を探索し、探索した電流経路において配線を形成する各銅箔ベタに流れる電流値を決定し、各銅箔ベタにおける電流経路を示す銅箔ベタ電流経路を決定し、各銅箔ベタについて決定した電流値及び銅箔ベタ電流経路に基づいて、各銅箔ベタにおける電流密度を算出し、算出した電流密度が設計値の許容範囲を超えていないか判定し、判定の基準を満たさない銅箔ベタによる配線箇所を不合格箇所とすることを特徴とするプリント基板設計検証システムが提供される。
【0009】
また、かかる課題を解決するため本発明においては、プリント基板を製造した場合の電流経路における電流密度が設計値として定められた許容範囲を超えないかを検証するプリント基板設計検証システムによるプリント基板設計検証方法であって、プリント基板設計検証システムが、データが入力される入力部と、データを格納するデータ格納部と、データ格納部に格納されたデータに基づいてプリント基板を製造した場合の電流経路における電流密度を検証する設計検証部と、設計検証部による検証結果を出力する出力部と、を有し、入力部がプリント基板の設計中途以降の段階までに決定されるデータを示すプリント基板設計データとプリント基板の製造時に必要となるデータを示すプリント基板製造用データとを入力するデータ入力ステップと、データ格納部が入力されたデータを格納するデータ格納ステップと、設計検証部が、データ格納部に格納されたデータを取得するデータ取得ステップと、取得したデータに基づいて製造後のプリント基板における電流経路を探索する電流経路探索ステップと、探索された電流経路について、該電流経路の配線を形成する各銅箔ベタに流れる電流値を決定する電流値決定ステップと、電流値が決定された各銅箔ベタにおける電流経路を示す銅箔ベタ電流経路を決定する銅箔ベタ電流経路決定ステップと、電流値決定ステップで決定された電流値と銅箔ベタ電流経路決定ステップで決定された銅箔ベタ電流経路とに基づいて、各銅箔ベタにおける電流密度を算出する電流密度算出ステップと、算出した電流密度が設計値の許容範囲を超えていないか判定し、判定の基準を満たさない銅箔ベタによる配線箇所を不合格箇所とする不合格箇所判定ステップと、出力部が、不合格箇所とされた配線箇所を出力する検証結果出力ステップと、を備えることを特徴とするプリント基板設計検証方法が提供される。
【0010】
また、かかる課題を解決するため本発明においては、プリント基板の設計中途以降の段階までに決定されるデータを示すプリント基板設計データと、プリント基板の製造時に必要となるデータを示すプリント基板製造用データとが入力されて記憶領域に格納されるコンピュータに、記憶領域に格納されたプリント基板設計データ及びプリント基板製造用データを取得するデータ取得手順と、データ取得手順で取得したデータに基づいて、製造後のプリント基板における電流経路を探索する電流経路探索手順と、電流経路探索手順で探索した電流経路について、該電流経路の配線を形成する各銅箔ベタに流れる電流値を決定する電流値決定手順と、電流値決定手順で電流値を決定した各銅箔ベタにおける電流経路を示す銅箔ベタ電流経路を決定する銅箔ベタ電流経路決定手順と、電流値決定手順で決定した電流値と銅箔ベタ電流経路決定手順で決定した銅箔ベタ電流経路とに基づいて、各銅箔ベタにおける電流密度を算出する電流密度算出手順と、電流密度算出手順で算出した電流密度が設計値の許容範囲を超えていないか判定し、判定の基準を満たさない銅箔ベタによる配線箇所を不合格箇所とする不合格箇所判定手順と、を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、設計の中途段階以降に、プリント基板の設計に要する全体的な工程時間を短縮するプリント基板設計検証システム、プリント基板設計検証方法及び記録媒体を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態による設計認証システムの構成例を示すブロック図である。
図2図1に示す計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3】プリント基板設計データの一例を説明するテーブル図である。
図4】プリント基板におけるピンの設置面を説明するための概略図である。
図5】入力電流値を示す入力電流値テーブルの一例を示すテーブル図(その1)である。
図6】入力電流値を示す入力電流値テーブルの一例を示すテーブル図(その2)である。
図7】GND配線名を示すGND配線名テーブルの一例を示すテーブル図である。
図8】部品電流値を定義する部品電流値テーブルの一例を示すテーブル図である。
図9】配線電流値を定義する配線電流値テーブルの一例を示すテーブル図である。
図10】電流経路の始点を決定する処理手続の一例を示すフローチャートである。
図11】始点部品テーブルの一例を示すテーブル図である。
図12】検証対象となるプリント基板を上面から見た概略図である。
図13】電流経路の始点から終点までの経路を探索し決定する処理手続の一例を示すフローチャートである。
図14図13に示す処理手続のうち、電流経路を探索する処理手続を詳細に示すフローチャートである。
図15】部品搭載後のプリント基板を上面から見た概要図である。
図16】電流経路テーブルの一例を示すテーブル図である。
図17図16の電流経路テーブルが示す電流経路を木構造で表した概念図である。
図18】電流経路に流れる電流値を決定する処理手続の一例を示すフローチャートである。
図19】定常電流の電流値が追加された電流経路テーブルの一例を示すテーブル図である。
図20図19の電流経路テーブルが示す電流経路を木構造で表した概念図である。
図21】異常電流の電流値が追加された電流経路テーブルの一例を示すテーブル図である。
図22図21の電流経路テーブルが示す電流経路を木構造で表した概念図である。
図23】銅箔ベタの一例を示す説明図(その1)である。
図24】銅箔ベタの一例を示す説明図(その2)である。
図25図24に示す銅箔ベタにおける電流経路の決定方法を説明するための説明図である。
図26】銅箔ベタの一例を示す説明図(その3)である。
図27】銅箔ベタの一例を示す説明図(その4)である。
図28】銅箔ベタの一例を示す説明図(その5)である。
図29】プリント基板の一例を示す断面図である。
図30図29に示すプリント基板の一部を上面から見た概念図である。
図31図29に示すプリント基板を下面から見た概念図である。
図32】電流経路幅の最小値を算出する方法を説明するための説明図である。
図33】電流経路幅の最小値を算出する処理手続の一例を示すフローチャートである。
図34】銅箔ベタの一例を示す説明図(その6)である。
図35】電流密度を説明するための概要図である。
図36】算出結果リスト及び基準値リストの一例を示すデータ図である。
図37】不合格箇所リストの一例を示すデータ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1)本発明の一実施の形態
本発明の一実施の形態による設計認証システムは、プリント基板の設計中途以降の段階までに決定されるデータとプリント基板の製造時に必要となるデータとに基づいて、プリント基板を製造した場合の電流経路における電流密度を算出し、算出した電流密度に基づいて電流経路上に設計値として定められた許容範囲を超える電流密度が発生する配線の不合格箇所がないかを検証することを特徴とする。
【0014】
(1−1)プリント基板設計検証システムの全体構成
図1は、本発明の一実施の形態による設計認証システムの構成例を示すブロック図である。図1に示すように、プリント基板設計検証システム1は、計算機10、入力装置20、及び出力装置30を備えて構成される。計算機10は、入力装置20及び出力装置30に接続され、例えばパーソナルコンピュータやサーバ等の情報処理装置で実現される。入力装置20は、例えばマウス又はキーボード等であって、ユーザからの入力操作に応じた信号を計算機10に入力する機能を有する。出力装置30は、例えばディスプレイ又はプリンタ等であって、計算機10における処理結果を出力する機能を有する。
【0015】
なお、以下の説明では銅箔ベタは線分及び円弧の集合体であり、部品を搭載するピンは矩形であり、ヴィアは円形であり、座標の単位系はミリメートルであることを前提に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0016】
(1−2)計算機の構成
以下では、図1に示す計算機10について説明する。計算機10は、計算機10の各部を制御する制御部110、入力装置20から入力されたデータを格納するデータ格納部120、及びプリント基板の電流経路における電流密度を検証する設計検証部130を有している。データ格納部120には、設計検証部130による検証に必要なプリント基板に関するデータが格納され、設計検証部130は、制御部110による制御のもとで、データ格納部120に格納されたデータを参照しながら、プリント基板の電流経路における電流密度を検証する。
【0017】
ここで、図2は、図1に示す計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。図2に示す計算機10は、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)11、主記憶装置12、補助記憶装置13、及び入出力インタフェース(I/F)14が、それぞれバスで接続されて構成されるコンピュータである。図1の制御部110は、図2に示す中央処理装置11に相当し、図1のデータ格納部120はデータを格納する記憶領域を有し、図2に示す主記憶装置12又は補助記憶装置13の少なくとも何れかに相当する。主記憶装置12及び補助記憶装置13は、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。図1の設計検証部130は、主記憶装置12又は補助記憶装置13の少なくとも何れかに記憶されたプログラムを中央処理装置11が呼出して実行することによって実現される。入出力インタフェース14は、計算機10の外部との入出力を行うためのインタフェースであって、入力装置20及び出力装置30に接続する。
【0018】
(1−3)データ格納部
図1に示すように、データ格納部120には、設計検証部130による検証に必要なプリント基板に関するデータとして、プリント基板設計データ121、入力電流値122、グラウンド(GND)配線名123、部品電流値124、及び配線電流値125が格納されている。プリント基板設計データ121は、検証対象となるプリント基板の設計時に決定されるデータであり、入力電流値122、GND配線名123、部品電流値124、及び配線電流値125は、プリント基板の製造時に必要となるデータを示すプリント基板製造用データの一例である。
【0019】
図1に示すプリント基板設計検証システム1では、設計検証部130による電流密度の検証が行われる前に、プリント基板設計データ121とプリント基板製造用データとが、予め入力装置20からデータ格納部120に入力される。プリント基板設計データ121及びプリント基板製造用データの各データは、例えば以下に説明するようにテーブル形式で管理されている。なお、以下に説明する各テーブルでは、特別に説明を行わない限りは、同名の項目欄には、当該項目欄について最初に説明したのと同様の記載が行われるものとして説明を省略する。
【0020】
(1−3−1)プリント基板設計データ
プリント基板設計データ121は、検証対象となるプリント基板に使用又は形成される部品、部品ピン(ピンともいう)、銅箔ベタ、及び配線等のそれぞれについて、名称や位置情報等が記載されている。プリント基板設計データ121は、設計完了後の設計データを用いてもよく、プリント基板の電流経路を特定できる程度の銅箔ベタ情報が提供可能な段階であれば、設計中途以降の段階における設計データを用いてもよい。
【0021】
図3は、プリント基板設計データの一例を説明するテーブル図である。図3に示す部品データテーブル141は、プリント基板設計データ121の一部を示し、部品に関する情報が行ごとに記載されている。図3は、整理用の番号が記載される番号欄141A、部品名が記載される部品名欄141B、当該部品に設けられたピンの名前が記載されるピン名欄141C、当該ピンで接続する配線の名前が記載される配線名欄141D、及び、当該ピンの位置を示す位置情報が記載されるピンの位置情報欄141Eを有するテーブルとして構成されている。図3では、ピンの位置情報欄141Eに記載される位置情報として、ピンのXY座標及びプリント基板におけるピンの配置層が記載されている。
【0022】
図4は、プリント基板におけるピンの設置面を説明するための概略図である。図4では、プリント基板のある1層について、絶縁層201の上面に配線層202が設けられ、配線層202のさらに上面にピン203Aが設けられている。また、ピン203Bは、配線層202の下方に絶縁基板201を貫通して設けられている。このとき、ピンの位置情報欄141Eにおいて、ピン203Aは「TOP」と記載され、ピン203Bは「THROUGH」と記載される。
【0023】
従って、例えば、図3で番号欄141Aに「1」が記載された行においては、「U1」という部品について、「U1.1」というピンが設けられ、当該ピンには「P12V_IN」という配線名の配線が接続されていることが示される。さらに、「U1.1」のピンは、XY座標(100,40)の位置で、絶縁基板を貫通(「THROUGH」)して設けられていることが示される。
【0024】
なお、プリント基板設計データ121は、プリント基板の設計中途以降の段階までに決定されるデータを示すプリント基板設計データの一例であるが、プリント基板設計データ121が実際に構成する部品データテーブル141も、プリント基板の設計中途以降の段階までに決定されるデータの一例といえる。
【0025】
(1−3−2)入力電流値及びGND配線名
入力電流値122は、プリント基板の配線に供給される電流値である。図5及び図6は、入力電流値を示す入力電流値テーブルの一例を示すテーブル図である。図5の入力電流値テーブル142は、整理用の番号が記載される番号欄142A、配線名欄142B、定常電流値欄142C、及び異常電流値欄142Dを有して構成される。配線名欄142Bには、電流が供給されるプリント基板の配線名が記載される。
【0026】
定常電流値欄142Cには、当該プリント基板が製造後に装置に適用されたときに、正常に稼動している状態における最大の電流値(定常電流値)が記載される。定常電流値は、当該プリント基板が搭載された装置が正常に稼動している状態で、電流密度が高いことにより装置の正常稼動に不都合が発生するか否かを検証するために用いる値である。
【0027】
異常電流値欄142Dには、当該プリント基板が製造後に装置に適用されたときに、電流供給元のヒューズあるいは保護回路等によりこの値を超える電流が流れないことが保障されている電流値(異常電流値)が記載される。異常電流値は、異常電流が発生した場合に、装置が保護されるか、あるいは焼損するか否かを検証するために用いる値である。以下の説明における定常電流値及び異常電流値は、上記と同様に定義されるため、説明を省略する。
【0028】
図6の入力電流値テーブル143は、番号欄143A、電流が供給されるピン名が記載されるピン名欄143B、配線名欄143C、定常電流値が記載される定常電流値欄143D、及び異常電流値が記載される異常電流値欄143Eを有して構成され、図5の入力電流値テーブル142に、ピン名が記載されるピン名欄143Bが追加された構成となっている。図6の入力電流値テーブル143は、ピンに対応した入力電流値を設定できることから、図5の入力電流値テーブル142のように、配線に対応した入力電流値よりも細かい入力電流値を指定することが可能となる。また、ピン名がピン名欄143Bに記載されることにより、図3を参照して当該ピンに対応する配線名を取得することができるので、入力電流値テーブル143は、配線名欄143Cを有していなくてもよい。
【0029】
なお、本実施の形態によるプリント基板設計検証システム1では、入力電流値122は、入力電流値テーブル142又は入力電流値テーブル143の少なくとも何れかの形式によってデータ格納部120に格納されていればよい。
【0030】
GND配線名123は、プリント基板に形成されるGND配線の情報である。図7は、GND配線名を示すGND配線名テーブルの一例を示すテーブル図である。図7のGND配線名テーブル144は、整理用の番号が記載される番号欄144Aと、GND配線の配線名が記載される配線名144Bとを有して構成される。
【0031】
(1−3−3)部品電流値
部品電流値124は、部品の下流側に流れる電流値を示す。図8は、部品電流値を定義する部品電流値テーブルの一例を示すテーブル図である。図8の部品電流値テーブル145は、番号欄145A、部品電流値を定義する部品の名前が記載される部品名欄145B、定常電流値欄145C、異常電流値欄145D、及び上流適用欄145Eを有して構成される。なお、番号欄145Aに「1」又は「2」が記載された行のように、部品名欄145Bには、部品名だけでなく当該部品に設けられるピン名まで記載されてもよい。定常電流値欄145C及び異常電流値欄145Dには、同じ行の部品名欄145Bに記載された部品について、定常電流値及び異常電流値が記載される。また、上流適用欄145Eには、当該部品の上流側に下流側と同じ大きさの電流が流れる(上流適用できる)と定義する場合には「有」が記載され、そうでない場合には「無」が記載される。
【0032】
図8に示す部品電流値テーブル145では、1つの部品に複数のインダクタが集合しているような部品の場合に、インダクタのピンを定義することによって、1つのインダクタを持つ部品と同様に扱う例が示されている。例えば、図8の番号欄145Aに「1」が記載された行では、部品名「U001」のピン「1」とピン「2」とを1個のインダクタとして扱い、番号欄145Aに「2」が記載された行では、部品名「U001」のピン「3」とピン「4」とを1つのインダクタとして扱っている。また、番号欄145Aに「3」が記載された行では、部品名「Q1」で示される3ピンのトランジスタに流れる部品電流値を定義している。
【0033】
また、図8の番号欄145Aに「4」が記載された行では、部品名「F2」で示されるヒューズに流れる部品電流値を定義している。一般に、ヒューズは定格を超える電流が流れると電流を遮断するため、定常電流値を定義せず、異常電流値だけを定義している。また、番号欄145Aに「5」が記載された行では、部品名「L1」で示されるインダクタに流れる部品電流値を定義している。
【0034】
ここで、電流が流れる部品が2ピン部品の場合は、部品の上流及び下流に同じ大きさの電流が流れることから、部品に直結する上流配線に、下流配線と同じ電流値を適用することができ、そのような場合には、上流適用欄145Eに「有」が記載される。従って、例えば番号欄145Aに「1」,「2」が記載された行では、部品「U001」が、各行でそれぞれ2ピンを持つ部品として定義されることから、上流適用を「有」としている。
【0035】
一方、番号欄145Aに「3」が記載されたトランジスタ「Q1」は、上述したように3ピン(多ピン)部品であり、一般的に下流と上流とで同じ電流値にならないので、上流適用は「無」としている。また、番号欄145Aに「4」が記載されたヒューズ「F2」は2ピン部品ではあるが、ヒューズの特性上、上流に流れる電流値がヒューズの定格値を超える場合があることから、上流適用は「無」としている。
【0036】
(1−3−4)配線電流値
配線電流値125は、配線部分に流れる電流値である。図9は、配線電流値を定義する配線電流値テーブルの一例を示すテーブル図である。図9に示す配線電流値テーブル146は、番号欄146A、配線名欄146B、定常電流値欄146C、及び異常電流値欄146Dを有して構成される。図8に示す部品電流値テーブル145が部品に対する電流値を定義していたのに対して、図9に示す配線電流値テーブル146は配線に対する電流値を直接定義するものである。
【0037】
また、部品電流値テーブル145及び配線電流値テーブル146の両方で電流値が決定され得る配線が存在する場合には、何れかのテーブルに基づいて決定される電流値を使えばよい。本実施形態では、部品電流値テーブル145に基づいて決定される電流値よりも、配線電流値テーブル146に基づいて決定される電流値を優先して使用する。
【0038】
なお、上述した入力電流値122、GND配線名123、部品電流値124、及び配線電流値125は、プリント基板の製造時に必要となるデータを示すプリント基板製造用データの一例であるが、各データを実際に構成する入力電流値テーブル142,143、GND配線名テーブル144、部品電流値テーブル145、及び配線電流値テーブル146も、プリント基板製造用データの一例といえる。
【0039】
(1−4)設計検証部
図1に示すように、設計検証部130は、データ取得部131、電流経路探索部132、電流値決定部133、電流経路決定部134、電流密度算出部135、及び不合格箇所リスト作成部136を有する。前述したように、設計検証部130は、制御部110による制御のもとでプログラムが実行されることにより実現され、製造後のプリント基板の電流経路における電流密度を検証する。設計検証部130によるプリント基板の電流経路における電流密度の検証は、入力装置20から制御部110に電流密度の検証を開始させる所定の実行指令が入力され、当該実行指令を受けた制御部110が検証処理の実行を設計検証部130に指示することをトリガとして開始される。
【0040】
設計検証部130による電流密度の検証では、まず、データ取得部131が検証に必要なデータをデータ格納部120から取得し、電流経路探索部132がプリント基板の銅箔ベタ及び配線に関する情報に基づいて製造後のプリント基板における電流経路を探索する。次に電流値決定部133が、電流経路探索部132によって探索された電流経路と、データ取得部131によって取得された入力電流値122、部品電流値124及び配線電流値125とに基づいて、電流経路の配線を形成する各銅箔ベタに流れる電流値を決定する。次いで電流経路決定部134が、銅箔ベタに関する情報と電流経路探索部132によって探索された電流経路とに基づいて、配線を形成する各銅箔ベタにおける電流経路(銅箔ベタ電流経路)を決定する。そして、電流密度算出部135が、電流経路決定部134によって決定された銅箔ベタ電流経路における電流密度を算出する。最後に、不合格箇所リスト作成部136が、電流密度算出部135によって算出された電流密度が設計値を満たす許容範囲内であるか否かを判定し、不合格と判定した箇所(不合格箇所)のリストを生成して出力する。以下では、このような設計検証部130による電流密度の検証処理について、より詳しく説明する。
【0041】
(1−4−1)データの取得
まず、設計検証部130が制御部110から電流密度の検証処理を実行する指示を受信すると、データ取得部131が、データ格納部120にアクセスし、データ格納部120に格納されている各種データ121〜125を取得する。なお、ここでデータ取得部131によってデータ格納部120から実際に取得されるデータは、図3に一例を示した部品データテーブル141、図5及び図6に一例を示した入力電流値テーブル142,143、図7に一例を示したGND配線名テーブル144、図8に一例を示した部品電流値テーブル145、及び図9に一例を示した配線電流値テーブル146とする。
【0042】
そして、データ取得部131は、プリント基板設計データ121(又は部品データテーブル141)から、部品、部品ピン、銅箔ベタ、及び配線に関連する情報(部品情報、ピン情報、銅箔ベタ情報、及び配線情報)を抽出する。その後、データ取得部131は、データの取得が完了したことを電流経路探索部132に通知する。
【0043】
(1−4−2)電流経路の探索
電流経路探索部132は、データ取得部131によるデータの取得が完了した旨の通知を受信すると、データ取得部131によって取得された情報に基づいて、製造後のプリント基板における電流経路を探索し、電流経路を示すためのテーブル(電流経路テーブル)を作成する。電流経路テーブルについては、図16を参照して後述する。
【0044】
(1−4−2−1)電流経路の始点の決定
電流経路探索部132は、電流経路テーブルを作成するために、まず、入力電流値テーブルを参照して、電流が入力される部品、すなわち、電流経路の始点を決定する。
【0045】
ここで、入力電流値テーブルとして図5に示した入力電流値テーブル142を用いる場合について説明する。入力電流値テーブル142は、配線ごとに流れる電流値が記載されたテーブルなので、入力電流値ケーブル142によって電流値を指定する場合には、配線に接続する複数の部品のうち、電流が入力される部品がどれであるかを特定する必要がある。一般的には、電流の供給元はコネクタ部品であり、ピン数が多い部品であると推測される。従って、電流経路探索部132は、入力電流値テーブル142の配線名欄142Bに名前が記載された配線のそれぞれについて、当該配線に接続する複数の部品のうち、ピン数が最大の部品を探して電流の供給元と判断する。配線に接続する複数の部品におけるピン数は、データ取得部131がプリント基板設計データ121(又は部品データテーブル141)から抽出した部品情報及びピン情報を参照して取得することができる。
【0046】
図10は、電流経路の始点を決定する処理手続の一例を示すフローチャートである。図10を参照して、配線ごとの電流値が記載された入力電流値テーブル142を用いて電流経路の始点を決定する方法を説明する。
【0047】
まず、図10のステップS101では、電流経路探索部132が、最大ピン数に「0」を設定して初期化する。「最大ピン数」は変数であって、設定された値を保存する。次に、電流経路探索部132は、入力電流値テーブル142に記載された配線を1つ選択し、部品データテーブル141から抽出した部品情報を参照して、当該配線に接続する部品を1つ取得する(ステップS102)。そして、電流経路探索部132は、部品データテーブル141から抽出したピン情報を参照して、ステップS102で取得した部品のピン数を取得する(ステップS103)。
【0048】
次に、電流経路探索部132は、「最大ピン数」の値がステップS103で取得したピン数よりも小さいか否か判定する(ステップS104)。「最大ピン数」の値がステップS103で取得したピン数よりも小さい場合には(ステップS104のYES)、電流経路探索部132は、「最大ピン数」の値に、ステップS103で取得したピン数を設定する(ステップS105)。さらに、電流経路探索部132は、電流経路の始点に、ステップS102で取得した部品を設定する(ステップS106)。「電流経路の始点」も「最大ピン数」と同様の変数であって、設定された値を保存する。
【0049】
ステップS104で「最大ピン数」の値がステップS103で取得したピン数以上であった場合(ステップS104のNO)、又は、ステップS106の処理の後は、ステップS107の処理に進み、電流経路探索部132は、選択した配線における全ての部品についてステップS102〜S104の処理が行われたか(処理済であるか)否かを判定する。処理が未処理の部品がある場合には(ステップS107のNO)、電流経路探索部132は、当該配線における別の部品について、再びステップS102以降の処理を行う。
【0050】
ステップS107で全ての部品について処理済である場合には(ステップS107のYES)処理を終了し、このとき、「電流経路の始点」に設定されている部品が、当該配線における電流経路の始点の部品となる。そして、電流経路探索部132は、上述のステップS101〜S107の処理を、入力電流値テーブル142に記載された全ての配線について行うことにより、配線ごとに電流経路の始点となる部品を決定することができる。
【0051】
ところで、入力電流値テーブルとして図6に示した入力電流値テーブル143を用いる場合には、入力電流値テーブル143にはピンごとに流れる電流値が記載されているので、電流経路探索部132は、図10に示したような処理を行う必要はなく、入力電流値テーブル143を参照して電流経路の始点を決定できる。
【0052】
このように、電流経路探索部132は、入力電流値テーブル142又は入力電流値テーブル143に基づいて電流経路の始点となる始点部品を決定することができるが、この決定された始点部品を示す情報を保持するために、新たなテーブル(始点部品テーブル)を作成してもよい。始点部品テーブルは、例えば主記憶装置12に格納される。図11は、始点部品テーブルの一例を示すテーブル図である。始点部品テーブル147は、番号欄147A、部品名欄147B、配線名欄147C、定常電流値欄147D、及び異常電流値欄147Eを有して構成され、配線に対する始点部品(又はピン)と入力電流値とが纏めて記載されている。
【0053】
次に、プリント基板のモデルを用いて電源経路の始点を説明する。図12は、検証対象となるプリント基板を上面から見た概略図である。部品301,303,304,306,307,309は、基板300の上面に設けられた部品を示し、特に、部品301,304,307はコネクタ部品であって電源の供給元とする。配線302,305,308は、プリント基板300の上面に設けられた配線を示している。配線302は、部品301と部品303とを接続し、配線305は、部品304と部品306とを接続し、配線308は、部品307と部品309とを接続している。ここで、配線302,305,308は、図5に例示した配線名「P12V_IN」,「P12V_STBY」,「P5V」の配線に、順に対応しているとする。
【0054】
図12の各部品301,303,304,306,307,309における円又は突起は、ピンを示している。例えば、部品301のピン数は12であり、部品303のピン数は4である。上述したように、各配線302,305,308において、接続する部品のうち最もピン数の多い部品を電流経路の始点と判断するので、例えば、配線302については、接続する部品が部品301と部品303であり、各ピン数は12と4であるから、配線302では部品301を電流経路の始点と判断する。同様にして、配線305では部品304を電流経路の始点と判断し、配線308では部品309を電流経路の始点と判断する。
【0055】
なお、最もピン数の多い部品とは、配線に接続するピンの数に限定せず、当該部品の全てのピン数を基準に判断している。例えば、配線305に接続する部品306は接続部分のピン数は2で、同じく配線305に接続する部品304における接続部分のピン数1よりも多いが、全てのピン数に基づいて、部品304を電流経路の始点と判断する。
【0056】
また、部品307がコネクタ部品であることを勘案すれば、配線308における電流経路の実際の始点は部品309ではなく部品307とすべきところであるが、このような場合には、図6の入力電流値テーブル143のように配線に対する電流供給元を明示する入力電流値テーブルを用いることによって、部品307を電流経路の始点とすればよい。
【0057】
(1−4−2−2)電流経路の始点から終点までの経路探索
図13は、電流経路の始点から終点までの経路を探索し決定する処理手続の一例を示すフローチャートである。図14は、図13に示す処理手続のうち、電流経路を探索する処理手続を詳細に示すフローチャートである。
【0058】
図15は、部品搭載後のプリント基板を上面から見た概要図である。図15に示すプリント基板の構成は、プリント基板310の製造前でも、プリント基板設計データ121を参照して把握することができる。図15では、部品を無地で示し、配線を網掛けで表示している。具体的には、プリント基板310には、部品311,313,316,318,320,322,323,324,326,327,329,331が設けられ、配線312,314,315,317,319,321,325,328,330,332,333が設けられている。部品311は12ピンのコネクタ部品で、電流経路の始点の決定について上述した方法によって、電流経路の始点に決定されているとする。各部品のピンは、図12と同様に円や突起によって示され、例えば部品313は4ピン、部品318は16ピンである。そして、部品316や部品320のように長方形で示された部品は、2ピン部品とする。なお、部品322はLSIであってピンの記載が省略されている。また、配線314はGND配線とする。
【0059】
以下では、図13及び図14の処理を説明するが、説明を明瞭にするために図15を参照することがある。なお、ここでは部品311を始点部品として電流経路始点が1つである場合の処理を説明するが、入力電流値テーブル142又は入力電流値テーブル143に複数の部品又はピンが記載されている場合には、それぞれの部品(又はピン)に対して同様の処理を実施すればよい。
【0060】
まず、図13のステップS201では、電流経路探索部132は、電流経路の始点となる部品(始点部品)を電流経路テーブルに登録する。図16は、電流経路テーブルの一例を示すテーブル図である。電流経路テーブルは、例えば主記憶装置12に保持される。図16に示す電流経路テーブル148は、部品及び配線が交互に記載された部品/配線欄148Aと、経路を構成する部品又は配線の名前が記載される経路情報欄148Bとを有して構成される。図16の電流経路テーブル148では、経路情報欄148Bで上方の行に記載された部品や配線ほど電流経路の上流であることを示す。図16の電流経路テーブル148は、図13及び図14に示す処理に従って、所定のタイミングで部品名又は配線名が登録される。例えばステップS201では電流経路テーブル148に始点部品が登録されるので、経路情報欄148Bの最初の行に始点部品の部品名が記載される。また、経路情報欄148Bの次行には、始点部品を決定するときに対応付けられた配線の配線名が記載される。以下では、説明の簡略のために、経路情報欄148Bに部品又は配線の名前を記載することを、電流経路テーブル148に部品又は配線を登録する、と表現する。
【0061】
次に、電流経路探索部132は、ステップS201で始点部品とした部品と同じ配線に接続する別の部品を1つ取得する(ステップS202)。同じ配線に接続する部品は、例えば始点部品テーブル147を参照して取得することができる。そして電流経路探索部132は、ステップS202で取得した部品が、始点部品であるか判定する(ステップS203)。始点部品であるか否かは、例えば当該部品が始点部品テーブル147に記載されているか否かによって判定できる。ステップS202で取得した部品が始点部品である場合には(ステップS203のYES)、後述するステップS208の処理に進む。ステップS202で取得した部品が始点部品ではない場合には(ステップS203のNO)、電流経路探索部132は、電流経路テーブル148に当該部品を登録し、部品データテーブル141を参照して当該部品のピン数を取得する(ステップS204)。
【0062】
次に、電流経路探索部132は、ステップS202で取得した部品が、電力消費量の大きい部品であるか否かを判定するために、ステップS204で取得したピン数が予め定められた基準数以上であるか否かを判定する(ステップS205)。電力消費量の大きい部品とは、例えばIC、LSI、又はメモリ等であって、当該部品では多くの電力が消費されるので、電流密度の超過を検証するための電流経路を探索する処理では、これ以上扱う必要がないと判断できる。基準数は、部品がICやLSIであるか否かを推定するための基準とするピン数であり、図13では例えば11本とする。一般に、ICは14ピン以上であることが多く、LSIは80ピン以上であることが多い。
【0063】
なお、電力消費量の大きい部品を纏めたデータがある場合には、ステップS204〜S205の処理に替えて、ステップS202で取得した部品が電力消費量の大きい部品を纏めたデータに登録されているかを判定する処理を行うようにしてもよい。
【0064】
ステップS205でピン数が基準数以上であった場合には(ステップS205のYES)、当該部品は電力消費量の大きい部品であると推定されるので、電流経路探索部132は、電流経路の探索を行わずにステップS207の処理に進む。ステップS205でピン数が基準数未満であった場合には(ステップS205のNO)、電流経路探索部132は、ステップS202で取得した部品を含む電流経路を探索する(ステップS206)。ステップS206の詳細な処理は、図14に示す。ステップS206で電流経路の探索が終了すると、ステップS207に移行する。
【0065】
ステップS207では、電流経路探索部132は、始点部品と同じ配線に接続する全ての部品についてステップS202〜S206の処理が完了したか確認する。始点部品と同じ配線に接続する部品で、ステップS202〜S206の処理が完了していない部品がある場合には(ステップS207のNO)、電流経路探索部132は、ステップS202に戻り、未処理の部品を1つ取得して処理を繰り返す。始点部品と同じ配線に接続する部品の処理が全て終わると(ステップS207のYES)、処理を終了する。
【0066】
次に、図13のステップS206における電流経路の探索について、図14を参照して説明する。まず、電流経路探索部132は、図13のステップS202で取得した部品、すなわち、始点部品と同じ配線に接続する部品の1つに対して、当該部品に接続する配線を1つ取得する(ステップS301)。なお、ステップS301で取得される配線の候補には、図13のステップS202で参照された配線は含まない。
【0067】
次に、電流経路探索部132は、ステップS301で取得した配線がGND配線か否かを判定する(ステップS302)。配線がGND配線であるか否かは、配線はGND配線の配線名が記載されているGND配線名テーブル144を参照することで判断できる。当該配線がGND配線である場合には(ステップS302のYES)、後述するステップ311の処理に進む。ステップS301で取得した配線がGND配線ではない場合には(ステップS302のNO)、電流経路探索部132は、当該配線が電流経路テーブル148の上流に登録済でないか判定する(ステップS303)。当該配線が電流経路テーブル148の上流に登録済とは、例えば電流経路テーブル148において、直近に情報が登録された行よりも上側の行に、当該配線が既に登録されている状況に相当する。当該配線が電流経路テーブル148の上流に登録済である場合には(ステップS303のYES)、後述するステップS311の処理に進む。当該配線が電流経路テーブル148の上流に登録済でない場合には(ステップS303のNO)、電流経路探索部132は、ステップS301で取得した配線を、図13のステップS202で取得した部品の下流配線として電流経路テーブル148に登録する(ステップS304)。
【0068】
次に、電流経路探索部132は、ステップS304で登録した配線に接続する部品のうち、これまで取得されていない部品を1つ取得し(ステップS305)、電流経路テーブル148に登録し(ステップS306)、部品データテーブル141を参照して当該部品のピン数を取得する(ステップS307)。そして、電流経路探索部132は、ステップS305で取得した部品が電力消費量の大きい部品であるか否かを判定するために、ステップS307で取得したピン数が基準数以上であるか否かを判定する(ステップS308)。ステップS308の処理は、図13のステップS205の処理と同様であり、詳細な説明を省略する。ステップS308における基準数も「11」とする。
【0069】
ステップS308でピン数が基準数以上であった場合には(ステップS308のYES)、電流経路探索部132は、ステップS305で取得した部品以降については電流経路の探索を行わずにステップS310の処理に進む。ステップS308でピン数が基準数未満であった場合には(ステップS308のNO)、電流経路探索部132は、再帰的に図14に示す電流経路の探索を行い(ステップS309)、電流経路の探索が終了すると、ステップS310に移行する。
【0070】
ステップS310では、電流経路探索部132は、ステップS304で電流経路テーブル148に登録した配線に接続する全ての部品についてS305〜S309の処理が完了したか確認し、完了していない部品がある場合には(ステップS310のNO)、ステップS305に戻り、未処理の部品を1つ取得して処理を繰り返す。ステップS304で電流経路テーブル148に登録した配線に接続する全ての部品について処理が終わると(ステップS310のYES)、ステップS311に移行する。
【0071】
ステップS311では、電流経路探索部132は、図13のステップS202又は図14のステップS305で取得した部品に接続する全ての配線についてステップS301〜S310の処理が完了したか確認し、完了していない配線がある場合には(ステップS311のNO)、ステップS301に戻り、未処理の配線を1つ取得して処理を繰り返す。図13のステップS202又は図14のステップS305で取得した部品に接続する全ての配線について処理が終わると(ステップS311のYES)、電流経路探索部132は、図13のステップS202で取得した部品を含む電流経路の探索(図13のステップS206の処理に相当)が終了したとして、図13のステップS207の処理に進む。
【0072】
なお、図14のステップS301において部品に接続する配線が1つも存在しない場合、また、ステップS305において配線に接続する部品が1つも存在しない場合には、電流経路探索部132は、図14に示す処理を終了して図13のステップS207の処理に移行する。
【0073】
電流経路探索部132は、上述の図13のステップS201〜S207及び図14のステップS301〜S311の処理を実行することにより、電源経路テーブル148を作成する。
【0074】
ここで、図13及び図14に示した処理を図15に適用した場合の具体的な処理を説明する。まず、図13のステップS201では、配線312を選択し、配線312に対する始点部品が部品311であることから、電流経路テーブル148の1行目について、部品/配線欄148Aに「部品」が記載され、経路情報欄148Bに部品「311」が記載される。そして、ステップS202では、部品311と同じ配線312に接続する別の部品として、部品313が取得される。部品313は、始点部品でなく、ピン数は4で基準数の11未満であるので、ステップS203〜S205の処理を経由してステップS206の処理が行われる。
【0075】
図14を参照して、部品313に対するステップS206の処理を続けると、まず、ステップS301では、部品313と同じ配線の候補として配線314,315が存在する。ここで、配線314が取得されると、配線314はGND配線であるからステップS302でYESとなり、ステップS311を経由して再びS301に戻る。次に配線315が取得されると、配線315はGND配線でもなく上流に登録済でもないので、ステップS304で電流経路テーブル148に登録される。
【0076】
ステップS305では、配線315に接続する部品の候補は1つしかないので、部品316が取得されて電流経路テーブル148に登録される。部品316は2ピンでありステップS308で基準数未満となるので、ステップS309で電流経路探索が行われる。そして、ステップS301で部品316に接続する配線の候補として配線314,317が存在する。しかし、配線314は前述したようにGND配線という理由から電流経路の候補から除外され、配線317が取得される。そして、ステップS304で配線317が電流経路テーブル148に登録される。
【0077】
次に、ステップS305では、配線317に接続する部品の候補として、部品318,320,323が存在する。部品318が取得された場合には、部品318はピン数が基準数の11本以上なので、電流経路テーブル148に登録されるだけで、部品318より先の経路探索は行われない。部品320が取得された場合には、部品320が登録され、さらに処理が続くが、最終的には、電流経路テーブル148に部品322が登録された以降は、部品322がLSIで電力消費量の大きい部品と判定されるために後続の経路探索は行われない。また、部品320からは別の経路として、配線321、部品324、配線325の順に経路が探索されるが、配線325は、部品323からの経路で上流に登録済となってしまうので電流経路テーブル148には登録されず、以降の経路探索は行われない。
【0078】
ステップS305で、配線317に接続する部品の候補として部品323が取得された場合には、詳細は省略するが、図16に示すように順に経路が探索される。ここで、電流経路テーブル148に部品331が登録された後の処理を説明する。部品331が登録された後は、ステップS309において部品331より先の電流経路探索が行われる。そしてステップS301では、配線の候補として、配線333,332が存在する。ステップS301で配線333が取得された場合には、経路として部品322が探索されるが、前述したように部品322はLSIなので、以降の経路探索は行われない。ステップS301で配線332が取得された場合には、配線332はGND配線でも上流に登録済の配線でもないので、ステップS304で電流経路テーブル148に登録される。その後、ステップS305で、配線332に接続する部品は下流側に1つもないので、電流経路探索部132は、図14の処理(図13のステップS206)を終了し、図13のステップS207に進む。そして、ステップS207で、始発部品とした部品311と同じ配線312に接続する全ての部品についてステップS202〜S206の処理が完了しているので、全ての処理が終了する。なお、部品311には配線314も接続されているが、前述したようにGND配線なので以降の経路探索は行われない。このようにして、図16に示す電流経路テーブル148が作成される。
【0079】
図17は、図16の電流経路テーブルが示す電流経路を木構造で表した概念図である。電流経路探索部132が電流経路テーブル148を作成することによって、図17に示すように、部品311を始点部品として上流から下流に向かう電流経路が探索される。
【0080】
(1−4−3)電流値の決定
電流値決定部133は、データ取得部131によって取得されたデータと、電流経路探索部132によって作成された電流経路テーブル148とに基づいて、電流経路テーブル148に示される電流経路の配線部分を形成する各銅箔ベタに流れる電流値を決定する。
【0081】
図18は、電流経路に流れる電流値を決定する処理手続の一例を示すフローチャートである。図18では、入力情報として、始点部品と当該始点部品に入力される入力電流値とが与えられる。始点部品は図16の電流経路テーブル148を参照して取得され、始点部品の入力電流値は、図5の入力電流値テーブル142、図6の入力電流値テーブル143、又は図11の始点部品テーブル147の少なくとも何れかを参照して取得される。なお、始点部品が複数存在する場合は、始点部品の数の分だけ図18に示す処理を実行すればよい。また、電流経路テーブル148の途中を開始点として電流値を決定したい場合には、開始点とする部品を始点部品とし、当該始点部品に対応する入力電流値が入力される。このとき、始点部品に対応する入力電流値には、当該部品の部品電流値124、又は当該部品の下流に接続される配線の配線電流値125が採用される。
【0082】
図18のステップS401では、電流値決定部133は、最初に与えられる入力電流値を継承電流値に設定する。継承電流値は、指定部品(初回の処理では始点部品、それ以外の処理では、後述するステップS413で選択される部品に相当)の下流に流れる電流値(下流電流値)を決定するために用いる変数である。
【0083】
次に、電流値決定部133は、指定部品の下流に接続される配線を取得し、取得した配線に配線電流値125が定義されているか確認する(ステップS402)。例えば、初回の処理では始点部品が指定されているので、電流値決定部133は、始点部品に接続する下流の配線について、配線電流値125が定義されているか確認する。指定部品の下流に接続される配線は、電流経路テーブル148を参照して取得することができ、配線に配線電流値125が定義されているか否かは、図9に示した配線電流値テーブル146を参照することによって判断できる。従って、配線電流値125は、実際には配線電流値テーブル146の定常電流値欄146C又は以上電流値欄146Dに記載された電流値に相当するが、以下の説明では、簡略のために配線電流値125と記載する。また、後述する部品電流値124についても同様であり、実際には部品電流値テーブル145の定常電流値欄145C又は異常電流値欄145Dに記載された電流値に相当する。
【0084】
ステップS402で下流の配線に配線電流値125が定義されている場合には(ステップS402のYES)、電流値決定部133は、配線電流値125を下流電流値と判定し、電流経路探索部132が作成した電流経路テーブル148に下流電流値を登録する(ステップS403)。このとき、電流経路テーブル148で下流の配線が記載された欄に、下流電流値と判定された配線電流値125が追加記載される。電流値が追加記載された電流経路テーブルについては、図19及び図21を参照して後述する。その後、電流値決定部133は、ステップS403で登録した配線電流値125を継承電流値に設定し(ステップS404)、後述するステップS412の処理に進む。
【0085】
ステップS402で下流の配線に配線電流値125が定義されていない場合には(ステップS402のNO)、電流値決定部133は、指定部品に部品電流値124が定義されているか確認する(ステップS405)。指定部品に部品電流値124が定義されているか否かは、図8に示した部品電流値テーブル145を参照することによって判断できる。
【0086】
指定部品に部品電流値124が定義されている場合には(ステップS405のYES)、電流値決定部133は、部品電流値124を下流電流値と判定し、電流経路テーブル148に下流電流値を登録する(ステップS406)その後、電流値決定部133は、ステップS406で登録した部品電流値124を継承電流値に設定し(ステップS407)、指定部品に対する上流適用の有無を確認する(ステップS408)。上流適用の有無は、部品電流値テーブル145の上流適用欄145Eを参照することによって判断できる。上流適用がない場合には(ステップS408のNO)、ステップS412に移行する。
【0087】
ステップS408で上流適用がある場合には(ステップS408のYES)、電流値決定部133は、部品電流値124を上流電流値と判定し、電流経路テーブル148に上流電流値を登録する(ステップS409)。上流電流値は、指定部品の上流側に流れる電流値であり、上流適用有りの場合には下流電流値と同値になる。その後、電流値決定部133は、ステップS412の処理を行う。
【0088】
一方、ステップS405で指定部品に部品電流値124が定義されていない場合には(ステップS405のNO)、電流値決定部133は、指定部品が2ピン部品であるか判定する(ステップS410)。指定部品のピン数は、例えば部品データテーブル141から抽出したピン情報を参照することによって取得できる。ここで、2ピン部品は、上流と同じ電流が下流に流れる部品と判断する。コンデンサ等の部品では上流電流値と下流電流値とが異なる場合もあるが、このような場合には、当該部品の部品電流値を予め0と定義すればよい。
【0089】
ステップS410で指定部品が2ピン部品でない場合には(ステップS410のNO)、下流電流値を判定する手段がなく、当該指定部品の下流に続く電流経路をこれ以上特定できないので、電流値決定部133は、電流値を決定する処理を終了する。指定部品が2ピン部品である場合には(ステップS410のYES)、指定部品は下流の配線電流値125も部品電流値124もないが、2ピン部品であることから下流電流が上流電流と同じと判断できるので、電流値決定部133は、下流電流値は継承電流値と判断し、電流経路テーブル148に下流電流値を登録する(ステップS411)。その後、ステップS412に移行する。
【0090】
ステップS412では、電流値決定部133は、指定部品の下流側に部品があるか判定する。下流側の部品の有無は、電流経路テーブル148を参照し、指定部品から下流側に繋がる経路に別の部品が記載されているか否かによって判定できる。指定部品の下流に部品がない場合には(ステップS412のNO)、現在の指定部品が電流経路の最下流の部品であると判断して処理を終了する。指定部品の下流に部品がある場合には(ステップS412のYES)、電流値決定部133は、下流の部品を指定部品として選択し(ステップS413)、ステップS402の処理に戻る。
【0091】
上述のステップS401〜S413の処理を行うことにより、電流値決定部133は、電流経路テーブル148に示された電流経路に対して、当該電流経路の配線を形成する各銅箔ベタに流れる電流値を決定し、決定した電流値を電流経路テーブル148に追加する。なお、電流値決定部133は、最初に入力される入力電流値が定常電流値による入力電流値であった場合には、銅箔ベタに流れる定常電流の電流値を決定し、異常電流値による入力電流値が入力された場合には、銅箔ベタに流れる異常電流の電流値を決定する。
【0092】
図19は、定常電流の電流値が追加された電流経路テーブルの一例を示すテーブル図である。図19の電流経路テーブル149は、定常電流の入力電流値を入力された場合に、電流値決定部133が図18のフローチャートに従った処理を行って決定する定常電流の電流値を、図16に示した電流経路テーブル148に追記したものである。図19に示すように、決定された定常電流の電流値は、部品/配線欄149Aに「配線」が記載された行の経路情報欄149Bに記載される。なお、図19の経路情報欄149Bの「333」は「電流値なし」となっている。この配線333は、電流経路としては記載されるが、電流値がないので、後述する電流密度の算出の対象外となる配線である。図20は、図19の電流経路テーブルが示す電流経路を木構造で表した概念図である。図20は、図19の電流経路テーブル149によって示される電流経路及び電流値を見やすく表している。
【0093】
図21は、異常電流の電流値が追加された電流経路テーブルの一例を示すテーブル図である。図21の電流経路テーブル150は、異常電流の入力電流値を入力された場合に、電流値決定部133が図18のフローチャートに従った処理を行って決定する異常電流の電流値を、図16に示した電流経路テーブル148に追記したものである。また、図22は、図21の電流経路テーブルが示す電流経路を木構造で表した概念図である。
【0094】
(1−4−4)銅箔ベタ電流経路の決定
電流経路決定部134は、電流経路探索部132によって作成された電流経路テーブルを用いて、配線を形成する各銅箔ベタにおける電流経路(銅箔ベタ電流経路)を決定する。電流経路決定部134は、銅箔ベタ内で電流が流れる始点から終点までの距離を出来るだけ短く結ぶように銅箔ベタ電流経路を決定する。しかし、図15に例示した配線312,314,315,317,319,321,325,328,330,332,333のように、配線部分になる銅箔ベタは様々な形状をしているので、銅箔ベタ電流経路の決定方法は、始点及び終点の位置や銅箔ベタの形状によって異なる。
【0095】
以下では、様々な銅箔ベタの形状を例示し、それぞれの銅箔ベタ内で、電流経路決定部134が、始点と終点とを結ぶ銅箔ベタ電流経路をどのように決定するかを説明する。銅箔ベタの形状は、データ取得部131によってデータ格納部120から取得されたデータに基づいて決定できる。また、図23図34では、同じ要素には同じ番号を付し、説明を省略する。
【0096】
(1−4−4−1)始点と終点とを結ぶ線分が銅箔ベタの内部を通る場合
図23は、銅箔ベタの一例を示す説明図である。図23に示す銅箔ベタ401の内部には、上流側の部品を搭載するピン402と、下流側の部品を搭載するピン403とが設けられている。始点401Aはピン402の中心座標であり、銅箔ベタ401における電流経路の始点を示す。終点401Bはピン403の中心座標であり、銅箔ベタ401における電流経路の終点を示す。線分404は、始点401Aと終点401Bとを結んだ線分である。
【0097】
図23に示す銅箔ベタ401は、上流側の部品を搭載する1個のピン402と下流側の部品を搭載する1個のピン403とが設けられ、電流経路の始点401Aと終点401Bとを直線で結んだ線分404が銅箔ベタ401の周縁に交差しない、という特徴を有している。なお、以下で「交差」という状態は、重なっている状態を含まないとする。従って、例えば線分404が銅箔ベタ401の周縁に重なったとしても、銅箔ベタ401の周縁に交差したとはいわない。このような特徴を有する銅箔ベタ401では、電流経路決定部134は、線分404を銅箔ベタ401内の電流経路とする。
【0098】
(1−4−4−2)始点と終点とを結ぶ線分が銅箔ベタの外側を通る場合(その1)
図24は、銅箔ベタの一例を示す説明図である。図24に示す銅箔ベタ411の内部には、上流側の部品を搭載するピン412と、下流側の部品を搭載するピン413とが設けられている。始点411Aはピン412の中心座標であり、銅箔ベタ411における電流経路の始点を示す。終点411Bはピン413の中心座標であり、銅箔ベタ411における電流経路の終点を示す。破線で示した線分414は、図23の線分404と同様に始点411Aと終点411Bとを結んだ線分であるが、銅箔ベタ411の周縁に交差している。
【0099】
図24に示す銅箔ベタ411は、上流側の部品を搭載する1個のピン412と下流側の部品を搭載する1個のピン413とが設けられ、始点411Aと終点411Bとを直線で結んだ線分414が銅箔ベタ411の周縁に交差するという特徴を有している。このような特徴を有する銅箔ベタ411では、線分414を電流経路とすることはできないので、電流経路決定部134は、始点と終点との最短経路を探索する。
【0100】
図25は、図24に示す銅箔ベタにおける電流経路の決定方法を説明するための説明図である。図25を参照しながら、銅箔ベタ411における電流経路の決定方法を説明する。
【0101】
まず、電流経路決定部134は、銅箔ベタ411の周縁部分で内角の大きさが180度を超える頂点を経由点の候補として経路を探索する。図25では、内角の大きさが180度を超える頂点は、頂点415,416の2箇所である。次に、電流経路決定部134は、始点411Aから、それぞれの頂点415,416に直線を引き、その線分(線分417,418に相当)が銅箔ベタ411の周縁に交差しない頂点だけを経由点の候補とする。図25では、線分417,418の何れも銅箔ベタ411の周縁に交差しないので、頂点415,416の両方が経由点の候補に選ばれる。
【0102】
次に、経由点の候補となった頂点415,416からそれぞれ終点411Bに直線を引き、その線分(線分419,420に相当)が銅箔ベタ411の周縁に交差しない頂点だけを経由点とする。図25では、線分419,420の何れも銅箔ベタ411の周縁に交差しないので、頂点415,416の両方が経由点に選ばれる。この結果、頂点415を経由する経路(線分417〜線分419)と、頂点416を経由する経路(線分418〜線分420)とが、始点411Aと終点411Bとを結ぶ電流経路の候補となる。
【0103】
最後に、電流経路決定部134は、電流経路の候補となった経路のうち、最短の経路を選択して銅箔ベタ411の電流経路とする。図25では、頂点416を経由する経路は頂点415を経由する経路よりも遠回りであるから、電流経路決定部134は、始点411Aから頂点415を経由して終点411Bを結ぶ経路を、銅箔ベタ411内の電流経路とする。
【0104】
なお、図25では、始点411Aから終点411Bまでの間の経由点が1つである場合について説明したが、経由点から終点に結んだ線分が銅箔ベタ411の周縁に交差してしまう場合には、電流経路決定部134は、段階的に経由点の候補探索及び経由点の決定を行うことによって、複数の経由点を経由する銅箔ベタ電流経路を決定すればよい。
【0105】
(1−4−4−3)銅箔ベタの頂点における内角の大きさの判定
図26は、銅箔ベタの一例を示す説明図である。図26の銅箔ベタ411では、ピン412及びピン413の表示が省略されている。図26を参照して、内角の大きさが180度を超える銅箔ベタの頂点を探す方法を説明する。
【0106】
電流経路決定部134は、内角の大きさが180度を超える銅箔ベタ411の頂点を探すために、以下に説明する方法を銅箔ベタ411の各頂点に対して用いることによって各頂点における内角の大きさが180度を超えるか否かを判定する。例えば、頂点415について、内角の大きさが180度を超える頂点であるか否かを判定する方法を説明する。
【0107】
まず電流経路決定部134は、頂点415を始点とする単位ベクトル421,422を生成する。単位ベクトル421,422の長さは、プリント基板設計データ121で扱われる各種のデータを示す数値に比べて十分に小さい値とする。例えばプリント基板設計データ121で扱われるデータの最小単位が1マイクロメートルの場合には、単位ベクトル421,422の長さは0.1マイクロメートルとする。
【0108】
次に、電流経路決定部134は、単位ベクトル421に単位ベクトル422を加算したベクトルで始点を頂点415とするベクトル423を算出する。次いで、電流経路決定部134は、ベクトル423上の始点以外の点を選択し、選択した点を始点として座標系平行方向に線分424を引く。例えばXY座標系であれば、線分424はX軸又はY軸に平行な線分である。
【0109】
そして、電流経路決定部134は、線分424と銅箔ベタ411の周縁との交点の数を算出する。電流経路決定部134は、交点の数が偶数の場合には、頂点415における内角の大きさが180を超えると判定し、交点の数が奇数の場合には、頂点415における内角の大きさが180度以下であると判定する。図26に示すように、線分424は、銅箔ベタ411の周縁に、点425,426の2箇所で交わるので、交点の個数は偶数であり、頂点415における内角の大きさは180度を超えると判定できる。
【0110】
一方、頂点427に対して同様の判定を行った場合を考えると、単位ベクトルを合成して始点を頂点427とするベクトル428が算出され、ベクトル428上の頂点427以外の点から座標系平行方向に線分429が引かれる。図26に示すように、線分429は銅箔ベタ411の周縁と点430の1か所でだけ交わるので、交点の個数は奇数となり、電流経路決定部134は、頂点427における内角の大きさを180度以下と判定する。
【0111】
(1−4−4−4)始点と終点とを結ぶ線分が銅箔ベタの外側を通る場合(その2)
図27は、銅箔ベタの一例を示す説明図である。図27に示す銅箔ベタ431の内部には、上流側の部品を搭載するピン432と、下流側の部品を搭載するピン433とが設けられている。始点431Aはピン432の中心座標であり、銅箔ベタ431における電流経路の始点を示す。終点431Bはピン433の中心座標であり、銅箔ベタ431における電流経路の終点を示す。銅箔ベタ431は、中央付近で円434が削られた形状となっており、始点431Aと終点431Bとを直線で結んだ線分は、円434を交差して銅箔ベタ431の外部を通過してしまう。
【0112】
図27に示す銅箔ベタ431は、上流側の部品を搭載する1個のピン432と下流側の部品を搭載する1個のピン433とが設けられ、電流経路の始点431Aと終点431Bとを直線で結んだ線分が銅箔ベタ431を切り欠いた円形部分(円434)を通過することで銅箔ベタ431の周縁に交差する、という特徴を有している
【0113】
このような場合に、電流経路決定部134は、始点431Aから円434への接線を引き、円434の円周上の接点435を経由点とする。線分436は、始点421Aから円434への接線であって、始点431Aと接点435とを結んだ線分である。次に、電流経路決定部134は、終点431Bからも円434に対して同様に接線を引き、円434の円周上の接点437を経由点とする。線分438は、終点421Bから円434への接線であって、終点421Bと接点437とを結んだ線分である。そして、電流経路決定部134は、経由点である接点435と接点437との間を円弧439で結び、線分436、円弧439、そして線分438を通る経路を銅箔ベタ電流経路に決定する。
【0114】
(1−4−4−5)銅箔ベタに複数のピンが存在する場合
図28は、銅箔ベタの一例を示す説明図である。図28に示す銅箔ベタ441の内部には、上流側の部品を搭載するピン442,443と、下流側の部品を搭載するピン444,445とが設けられている。始点441Aは銅箔ベタ441における電流経路の始点を示し、終点441Bは銅箔ベタ441における電流経路の終点を示す。
【0115】
図28に示す銅箔ベタ441は、上流側の部品を搭載する複数個のピン442,443と下流側の部品を搭載する複数個のピン444,445とが設けられている、という特徴を有している。このような特徴を有する銅箔ベタ441では、電流経路決定部134は、上流側の部品を搭載するピン442,443の中心座標の平均値を算出し、算出した平均値が示す座標点を始点441Aとする。また、電流経路決定部134は、下流側の部品を搭載するピン444,445の中心座標の平均値を算出し、算出した平均値が示す座標点を終点441Bとする。
【0116】
図28に示す銅箔ベタ441では、始点441Aと終点441Bとを結んだ線分446は、銅箔ベタ441の周縁に交差しないので、電流経路決定部134は、線分446を電流経路に決定する。また、線分446が銅箔ベタ441の周縁に交差する場合には、電流経路決定部134は、上述してきた方法に従って銅箔ベタ電流経路を決定する。
【0117】
(1−4−4−6)銅箔ベタの異なる層に上流用のピンと下流用のピンとが存在する場合
図29は、プリント基板の一例を示す断面図である。図29に示すプリント基板は、絶縁層451の上面に銅箔ベタ454,459が設けられ、銅箔ベタ456には電流経路の始点となる部品のピン452が接続され、銅箔ベタ459には電流経路の始点となる部品のピン453が設けられている。また、絶縁層451の下面には銅箔ベタ456が設けられ、銅箔ベタ454と銅箔ベタ456とを接続するヴィア455が絶縁層451を貫通して形成されている。さらに、図29に示すプリント基板には、銅箔ベタ459と銅箔ベタ456とを接続する2つのヴィア457,458が絶縁層451を貫通して形成されている。以下では、図29に示すプリント基板について、銅箔ベタ454における電流経路及び銅箔ベタ456における電流経路を決定する方法を説明する。
【0118】
図30は、図29に示すプリント基板の一部を上面から見た概念図である。図30に示す銅箔ベタ454の内部には、上流側の部品を搭載するピン452と、ヴィア455が設けられている。始点454Aは、ピン452の中心座標であり、銅箔ベタ454における電流経路の始点を示す。終点454Bは、ヴィア455の中心座標であり、銅箔ベタ454における電流経路の終点を示す。
【0119】
図30に示す銅箔ベタ454は、上流側の部品を搭載する1個のピン452が設けられ、下流側の部品を搭載するピンが設けられていない、という特徴を有している。このような特徴を有する銅箔ベタ454では、電流経路決定部134は、ヴィア455を下流側の部品を搭載するピンとみなし、ピン455の中心座標を終点として銅箔ベタ電流経路を決定する。なお、ヴィアが2個以上ある場合は上流側の部品を搭載するピンの中心座標から見て経路長が一番長くなるヴィアを電流経路の終点とみなす。また、下流側の部品を搭載するピンが存在し、上流側の部品を搭載するピンが存在しない銅箔ベタの場合には、電流経路決定部134は、銅箔ベタ454の場合と同様に、ヴィアを上流側の部品を搭載するピンとみなして始点の座標を算出すればよい。
【0120】
電流経路決定部134は、銅箔ベタ電流経路の始点と終点とを決定した後は、銅箔ベタの形状に応じて上述した様々な方法を用いて銅箔ベタ電流経路を決定する。また、銅箔ベタに、上流の部品を搭載するピン又は下流の部品を搭載するピンの何れか一方は存在するが、ヴィアが存在しない場合には、電流経路決定部134は、電流の流れ道がないと判断し、銅箔ベタ電流経路を算出せず、電流密度も算出されない。
【0121】
図31は、図29に示すプリント基板を下面から見た概念図である。図31に示す銅箔ベタ456の内部には、ヴィア455,457,458が設けられている。始点456Aは、ヴィア455の中心座標であり、銅箔ベタ456における電流経路の始点を示す。終点456Bは、ヴィア458の中心座標であり、銅箔ベタ456における電流経路の終点を示す。
【0122】
図31に示す銅箔ベタ456は、上流側の部品を搭載するピン及び下流側の部品を搭載するピンが存在せず、かつ、複数のヴィアが存在する、という特徴を有している。このような特徴を有する銅箔ベタ456では、電流経路決定部134は、任意の2個のヴィアを銅箔ベタ電流経路の始点又は終点とする全ての組合せを試し、最も経路長が長くなるヴィアの組合せを選択し、選択されたヴィアを始点又は終点として結ぶ経路を銅箔ベタ456における電流経路に決定する。図31では、ヴィア455とヴィア458との組み合わせによる経路長が最も長いので、電流経路決定部134は、始点456Aと終点456Bとを結ぶ線分461を銅箔ベタ456における電流経路に決定する。
【0123】
なお、銅箔ベタにおいて上流側の部品を搭載するピン及び下流側の部品を搭載するピンが存在せず、ヴィアの数が1個以下の場合には、電流経路決定部134は、電流の流れ道がないと判断し、銅箔ベタ電流経路を算出せず、電流密度も算出されない。
【0124】
図23図31を参照して上述してきたように、電流経路決定部134は、銅箔ベタの形状と、銅箔ベタに電流が供給される始点及び終点の位置とに応じた処理を行うことにより、プリント基板の電流経路の配線を形成する各銅箔ベタにおける銅箔ベタ電流経路を、様々な銅箔ベタの形状に対応して決定することができる。
【0125】
(1−4−5)電流密度の算出及び判定
電流密度算出部135は、電流値決定部133によって電流値が追加された電流経路テーブル149(又は150)と、電流経路決定部134によって決定された銅箔ベタ電流経路とに基づいて、プリント基板の電流経路の配線を形成する各銅箔ベタにおける電流密度を算出することにより、プリント基板の電流経路の配線部分における電流密度を算出する。
【0126】
(1−4−5−1)電流経路幅の算出(その1)
まず、電流密度算出部135は、電流密度を算出するために必要な電流経路幅の最小値を算出する。電流経路幅は、銅箔ベタ電流経路に対する銅箔面の幅であり、銅箔ベタ電流経路に対して垂直方向の銅箔長に相当する。図32は、電流経路幅の最小値を算出する方法を説明するための説明図である。図32に示す銅箔ベタ411は、図25で示した銅箔ベタであり、重複する箇所については説明を省略する。銅箔ベタ411では、電流経路決定部134によって、始点411Aから経由点415を経由して終点411Bを結ぶ線分417,419が銅箔ベタ電流経路に決定される。電流密度算出部135による電流経路幅の算出方法を、図32を参照しながら説明する。
【0127】
まず、電流密度算出部135は、始点411Aから銅箔ベタ電流経路である線分417に対して垂線417Aを引き、銅箔ベタ411の周縁との交点間距離を電流経路幅とする。すなわち、始点411Aにおける電流経路幅は、垂線417Aの長さに相当する。次に、電流密度算出部135は、線分417上を始点411Aから所定の微小区間(例えば0.05ミリメートル)分だけ終点側に移動した点(調査点)において、始点411Aのときと同様に垂線417Bを引く。そして、電流密度算出部135は、垂線417Bの長さを算出し、線分417Aよりも小さい値の場合には、電流経路幅を更新する。
【0128】
その後、電流密度算出部135は、調査点を銅箔ベタ電流経路上に所定の微小区間分だけ終点側に移動させながら、それぞれの調査点で垂線417C〜417D,419A〜419Bの長さを算出して、最小値で電流経路幅を更新していく処理を繰り返す。なお、頂点415のように複数の垂線が引ける調査点では、電流密度算出部135は、複数の垂線について長さを算出する。具体的には例えば、頂点415の線分417に対する垂線417Dと、線分419に対する垂線419Aとに相当する。
【0129】
最後に、電流密度算出部135は、調査点が終点411Bに到達すると、終点411Bにおける垂線419Cを引き、垂線419Cの長さを算出して最小値の場合には電流経路幅を更新し、銅箔ベタ電流経路上の移動を終了する。この結果、銅箔ベタ電流経路上で算出した垂線の長さの最小値が電流経路幅として決定される。図32では、垂線419A〜419Cの長さが同じ最小値を示し、電流経路幅として決定される。
【0130】
(1−4−5−2)電流経路幅の算出(その2)
図33は、電流経路幅の最小値を算出する処理手続の一例を示すフローチャートである。電流密度算出部135は、図33に示す処理を行うことによって、図32で説明した電流経路幅の最小値の算出を実現することができる。図33に示す処理では、事前に、データ取得部131によってデータ格納部120から取得されたデータに基づいて決定される銅箔ベタの形状と、電流経路決定部134によって決定される銅箔ベタ電流経路に関する情報(銅箔ベタ電流経路の始点及び終点を示す情報を含む)とが入力される。
【0131】
まず、電流密度算出部135は、調査点を銅箔ベタ電流経路の始点に設定する(ステップS501)。次に、電流密度算出部135は、ステップS501で設定した調査点を通り、銅箔ベタ電流経路に垂直な線を引く(ステップS502)。そして、電流密度算出部135は、ステップS502で引いた垂線が銅箔ベタと交差する点を算出して、垂線における銅箔ベタの端点を決定する(ステップS503)。
【0132】
ここで、図34は、銅箔ベタの一例を示す説明図である。図34を参照しながら、垂線における銅箔ベタの端点について説明する。図34に示す銅箔ベタ461には、上流側の部品を搭載するピン462と、下流側の部品を搭載するピン463とが設けられている。線分464は、銅箔ベタ461における銅箔ベタ電流経路を示し、始点461Aから終点461Bを結ぶ直線である。また、空洞465は、銅箔ベタ461内で銅箔が存在しない空洞領域である。
【0133】
図34において、垂線466Aは、調査点466における銅箔ベタ電流経路(線分464)に対する垂線である。垂線466Aは、銅箔ベタ461の周縁と点467〜470の4箇所で交差し、空洞465と点465A,465Bで交差する。このとき、電流算出部135は、点467と点468の間に調査点466が存在することから、点467,468を垂線466Aにおける銅箔ベタ461の端点に決定する。電流算出部135は、点469と点470の間に調査点466が存在しないことから、点469,470を垂線466Aにおける銅箔ベタ461の端点とはみなさない。また、電流算出部135は、点465A,465Bは銅箔ベタ461内の空洞領域との交点であることから、点465A,465Bについても銅箔ベタ461の端点とはみなさない。
【0134】
ステップS503で銅箔ベタの端点が決定されると、電流密度算出部135は、銅箔ベタの端点間の長さを算出する(ステップS504)。図34を例にとると、銅箔ベタの端点間の長さは、点467と点468との間の長さになる。そして、銅箔ベタの端点の間に空洞領域が存在する場合には、電流密度算出部135は、ステップS504で算出した銅箔ベタ端間の長さから空洞領域の長さを減算する(ステップS505)。図34を例にとると、垂線466Aは、銅箔ベタの端点である点467と点468との間に空洞領域との交点465A,465Bを有するので、電流密度算出部135は、銅箔ベタ端間の長さを示す点467〜点468の長さから、空洞領域の長さを示す点465A〜点465Bの長さを減算する。
【0135】
次に、電流密度算出部135は、ステップS505までの処理で算出された長さを、これまで保持されている電流経路幅の値と比較して、最小値であるか否か判定する(ステップS506)。電流経路幅は、例えば主記憶装置12に保持される値とし、初期値を0とする。ステップS506において、算出した値が電流経路幅の最小値ではない場合には、ステップS508に移行する。ステップS506において、算出した値が電流経路幅の最小値である場合には(ステップS506のYES)、電流密度算出部135は、算出値で電流経路幅を更新し(ステップS507)、ステップS508に移行する。例えば、調査点が銅箔ベタ電流経路の始点である場合には電流経路幅の値が0なので、電流密度算出部135は、ステップS505までの処理で算出された長さを電流経路幅として保持する。
【0136】
ステップS508では、電流密度算出部135は、調査点が銅箔ベタ電流経路の終点であるか判定し(ステップS508)、終点である場合には(ステップS508のYES)処理を終了する。調査点が銅箔ベタ電流経路の終点でない場合には(ステップS508のNO)、電流密度算出部135は、調査点を銅箔ベタ電流経路上の終点方向に所定の微小区間分移動させ(ステップS509)、ステップ502以降の処理を繰り返す。
【0137】
上述のステップS501〜S509の処理を行うことによって、電流密度算出部135は、銅箔ベタ電流経路における電流経路幅の最小値を算出できる。
【0138】
(1−4−5−3)電流密度の算出
図35は、電流密度を説明するための概要図である。図35に示す銅箔481は、銅箔ベタを形成する銅箔である。銅箔481の幅は、電流密度算出部135によって算出される電流経路幅482に相当する。銅箔厚483は、銅箔が塗布された厚みであり、予め設定可能な値である。
【0139】
ここで、銅箔ベタの電流密度は、銅箔ベタに流れる電流値を銅箔ベタの断面積で除算した値に相当する。銅箔ベタに流れる電流値とは、電流値決定部133によって決定される電流値に相当する。そして、銅箔ベタの断面積は、図35では電流経路幅482と銅箔厚483とを乗算して表わされる。従って、図35を例にとると、電流密度算出部135は、電流値決定部133によって決定された銅箔ベタ481に流れる電流値を、電流経路幅482で除算し、さらに銅箔厚483で除算することによって、電流密度を算出する。
【0140】
このようにして、電流密度算出部135は、プリント基板の電流経路の配線を形成する各銅箔ベタにおける電流密度を算出することにより、プリント基板の電流経路の配線部分における電流密度を算出する。そして、電流密度算出部135は、電流経路を構成する配線ごとに電流密度を算出し、算出結果を算出結果リストに出力する。
【0141】
図36(a)は、算出結果リストの一例を示すデータ図である。算出結果リスト151は、番号欄151A、座標欄151B、定常電流密度欄151C、及び異常電流密度欄151Dを有して構成される。座標欄151Bには、電流密度の算出を行った配線を示す座標が記載される。配線を示す座標には、例えば、当該配線において電流経路の始点の座標を用いてもよいし、その他の当該配線を特定できる座標等を用いてもよい。定常電流密度欄151Cには、定常電流を用いて算出した場合の電流密度の算出結果が記載され、異常電流密度欄151Dには、異常電流を用いて算出した場合の電流密度の算出結果が記載される。算出結果リスト151は、例えば主記憶装置12に格納される。
【0142】
(1−4−6)不合格箇所リストの作成
不合格箇所リスト作成部136は、電流密度算出部135によって算出された電流密度が設計値を満たす許容範囲内であるか否かを判定し、不合格と判定した箇所(電流経路)のリストを生成して出力する。
【0143】
図36(b)は、基準値リストの一例を示すデータ図である。基準値リスト152は、設計時に電流密度の許容範囲として設定される設計値が格納されたリストであり、例えばデータ格納部120に予め入力されて格納される。基準値リスト152は、データ取得部131がデータ格納部120に格納されているデータを取得するときに、合わせて取得されてもよいし、不合格箇所リスト作成部136によって格納先から取得されてもよい。
【0144】
図36に示す基準値リスト152は、定常電流の場合の電流密度の設計値が記載される定常電流密度欄152Aと、異常電流の場合の電流密度の設計値が記載される異常電流密度欄152Bとを有して構成されているが、定常電流値及び異常電流値の上下限が指定されるようなリストであってもよい。
【0145】
不合格箇所リスト作成部136は、電流密度算出部135によって作成された算出結果リスト151と基準値リスト152とを比較し、電流密度算出部135によって算出された電流密度が、基準値リスト152に記載された設計値に適合しているか否かを判定する。そして、不合格箇所リスト作成部136は、基準値リスト152に記載された設計値の許容範囲内にない電流密度を不合格と判定し、不合格と判定した電流密度に関する情報を不合格箇所リストに纏める。
【0146】
図37は、不合格箇所リストの一例を示すデータ図である。不合格箇所リスト153は、図36(a)に示した算出結果リスト151と同様に、番号欄153A、座標欄153B、定常電流密度欄153C、及び異常電流密度欄153Dを有して構成される。座標欄152Bには、不合格と判定された電流密度に対応する配線を特定可能な座標が記載され、定常電流密度欄153C及び異常電流密度欄153Dには、不合格と判定された電流密度が記載される。なお、定常電流密度又は異常電流密度の何れかが不合格と判定された場合には、不合格ではない電流密度、すなわち、設計値の許容範囲内であった電流密度については、図37に示すように「OK」のような記載がされてもよい。
【0147】
なお、図36(a)の算出結果リスト151及び図37の不合格箇所リスト153では、配線を特定するための情報として座標欄151B,153Bが設けられているが、座標以外に配線を特定可能な情報(例えば配線名)が記載されるようになっていてもよい。
【0148】
最後に、不合格箇所リスト作成部136は、作成した不合格箇所リスト153を出力装置30に送信し、出力装置30は、受信した不合格箇所リスト153に基づいて、プリント基板設計検証システム1による検証結果を出力する。出力装置30による検証結果の出力は、例えばディスプレイに表示するようにしてもよいし、プリンタ機能を用いて印刷するようにしてもよいし、その他の一般的な出力方法を適用するようにしてもよい。
【0149】
(1−5)本実施の形態による効果
このようなプリント基板設計検証システム1によれば、データ格納部120に入力されたプリント基板設計データ121、入力電流値122、GND配線名123、部品電流値124、及び配線電流値125に基づいて、設計検証部130がプリント基板の銅箔ベタによる配線部分における電流密度を算出することができ、算出した電流密度が設計値として許容された範囲内にあるかを判定することによって、判定の基準を満たさない不合格な配線箇所(不合格箇所)を選定することができる。プリント基板設計検証システム1は、このようにプリント基板の設計データに基づいてプリント基板の電流密度に対する検証を行うことによって、部品が搭載された後のプリント基板を想定して電流密度の不合格箇所を選定できるので、電流供給時に発生する発熱により配線及び当該配線が接続する部品で劣化や破損が発生することを未然に防止することができる。
【0150】
さらに、このようなプリント基板設計検証システム1によれば、電流密度の不合格箇所が出力されたプリント基板について、直接的あるいは対話的に修正を加え、修正後のプリント基板に対して再度検証を行うことによって、不適格な電流密度が発生しないプリント基板を設計することができる。その結果、プリント基板の製造前に電流密度の超過という問題を解消することができるので、プリント基板を製造し部品を搭載した後に電流密度の超過という問題が顕在化する場合に比べて、プリント基板の製造後に再設計を行う必要もないため、短い時間で設計工程を収束させることができる。
【0151】
また、このようなプリント基板設計検証システム1によれば、定常電流だけでなく異常電流をプリント基板に供給した場合の電流密度についても検証を行うことができるので、異常電流が発生した際に設計値を超える電流密度が発生してヒューズ等の保護部品が焼損する可能性を事前に判定することができる。そして、不適格な異常電流密度が発生すると判定された配線について修正を行うことにより、異常電流の発生時に電流密度が設計値の許容範囲内に収まるような修正を、プリント基板の製造前に行うことができ、ヒューズ等の部品による製品の保護を確実に実現することができる。
【0152】
さらに、このようなプリント基板設計検証システム1によれば、設計を進めていくに従って銅箔ベタに関する情報が次第に増えていくので、プリント基板の電流経路を特定できる程度の銅箔ベタ情報が入力できる段階であれば、プリント基板の設計が完了する前の中途段階であっても現段階で想定される製造後のプリント基板について電流密度の超過の有無を判定することができるので、設計中途の段階で修正を行いながら電流密度が設計値の許容範囲内に収まるような設計を推進することができ、プリント基板の製造後の再設計による手戻りを防止し、プリント基板の設計に要する全体的な工程時間を短縮する効果が期待できる。
【0153】
(2)他の実施の形態
なお、上述の実施の一形態によるプリント基板設計検証システム1では、入力装置20及び出力装置30が計算機10とは別に構成される場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば入力装置20及び出力装置30が計算機10と一体化して構成されてもよい。このようなプリント基板設計検証システムでは、1台の情報処理装置によってプリント基板の電流密度を検証することができる。
【0154】
また、上述の実施の一形態によるプリント基板設計検証システム1では、プリント基板の設計データ(例えばプリント基板設計データ121や入力電流値122等)が入力装置20から入力されてデータ格納部120に格納され、データ格納部120は主記憶装置12又は補助記憶装置13の少なくとも何れかの記録媒体である場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば計算機10とは別にデータを格納するデータベースが設けられ、プリント基板の設計データが入力装置20から当該データベースに入力されて格納されるように構成されてもよい。このとき、設計検証部130による検証処理の開始時に、データ取得部131がデータベースから必要な情報を取得するようにすればよい。このようなプリント基板設計検証システムでは、計算機10の動作状況とは関係なく、プリント基板の設計データをデータベースに随時蓄積することができるので、システム全体の利便性を向上させる効果が期待できる。
【0155】
また、上述の実施の一形態によるプリント基板設計検証システム1では、プリント基板設計データ121が、図3に示した部品データテーブル141のようにテーブル構造のデータが複数個集められて構成される場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばプリント基板設計データ121が部品の2次元データや3次元データ等を含んで構成されるようにしてもよい。さらに、データ格納部120に格納される各データの形式についても、テーブル形式に限定されるものではない。このように構成されたプリント基板設計検証システムでは、プリント基板の設計データとして様々な形式のデータを用いることができる。
【0156】
また、上述の実施の一形態によるプリント基板設計検証システム1では、プリント基板の配線部分が銅箔ベタによって形成される場合について述べたが、本発明はこれに限らず、プリント基板の配線に、導電性を有する銅以外の金属を用いて形成される配線が用いられてもよい。このとき、例えば銅箔の代わりにアルミニウムを用いた配線(アルミニウム配線)の場合には、電流密度算出部は、アルミニウム配線に入力される電流値、アルミニウム箔による電流経路幅、及びアルミニウム箔の塗布厚に基づいて、配線部分の電流密度を算出すればよい。
【符号の説明】
【0157】
1 プリント基板設計検証システム
10 計算機
11 中央処理装置
12 主記憶装置
13 補助記憶装置
14 入出力インタフェース
110 制御部
120 データ格納部
130 設計検証部
131 データ取得部
132 電流経路探索部
133 電流値決定部
134 電流経路決定部
135 電流密度算出部
136 不合格箇所リスト生成部
20 入力装置
30 出力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37