特許第5838023号(P5838023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5838023
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】接続材料半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/14 20060101AFI20151203BHJP
   B23K 35/26 20060101ALI20151203BHJP
   B23K 35/40 20060101ALI20151203BHJP
   C22C 13/00 20060101ALI20151203BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   B23K35/14 A
   B23K35/26 310A
   B23K35/40 340D
   C22C13/00
   H01L21/52 E
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-86665(P2010-86665)
(22)【出願日】2010年4月5日
(65)【公開番号】特開2011-218364(P2011-218364A)
(43)【公開日】2011年11月4日
【審査請求日】2012年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】池田 靖
(72)【発明者】
【氏名】東平 知丈
【審査官】 鈴木 毅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−205198(JP,A)
【文献】 特開2005−125360(JP,A)
【文献】 特開2009−142890(JP,A)
【文献】 特開2009−147111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/00 − 35/40
C22C 13/00 − 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Al含有率が10〜40mass%のSn-Al系合金層と、
前記合金層の最表面に設けられたSn系層とを備え、
前記Sn-Al系合金層は、Sn-Al2元系合金であり、
前記Sn系層はSnあるいはSn-3.5AgあるいはSn-0.7Cuで構成されており、
前記Sn-Al系合金層と前記Sn系層の全界面に存在するAl酸化物残存界面の割合が25%以下であることを特徴とする接続材料。
【請求項2】
請求項1記載の接続材料において、
前記Sn系層は、
前記Sn-Al系合金層の主面に設けられた第一のSn系層と、
前記Sn-Al系合金層が有する主面のうち、前記第一のSn系層が設けられた主面とは反対側の主面に第二のSn系層が設けられたものであることを特徴とする接合材料。
【請求項3】
請求項1記載の接続材料において、
前記Sn-Al系合金層は、さらに、Znを0.01〜9mass%含有することを特徴とする接続材料。
【請求項4】
請求項1記載の接続材料において、
前記Sn-Al系合金層は、さらに、Inを0.01〜7mass%含有することを特徴とする接続材料。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の接続材料において、
前記Sn系層のSn含有率が95〜100 mass%であることを特徴とする接続材料。
【請求項6】
Sn層にAl層を加熱溶融させ、Al含有率が10〜40mass%のSn-Al層を形成する工程と、
前記形成したSn-Al層の表裏面にそれぞれSn層をクラッド圧延または加圧成形により形成する工程とを含み、
前記Sn-Al層と前記Sn層の全界面に存在するAl酸化物残存界面の割合が25%以下であることを特徴とする接続材料の製造方法。
【請求項7】
請求項記載の接続材料の製造方法において、
前記クラッド圧延または加圧成形により形成する工程は、最終加工度80%以上で前記クラッド圧延または前記加圧成形をすることを特徴とする接続材料の製造方法
【請求項8】
請求項1乃至のいずれかに記載の接続材料を、第1の部材と第2の部材との間に設ける工程と、
前記接続材料を加熱し、前記第1の部材と前記第2の部材とを接続する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の部材は半導体素子であり、前記第2の部材は、基板またはリードであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛フリーはんだに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パワーモジュールは、家電、ハイブリッド自動車等の電力制御に用いられている。インバータ駆動による省エネルギー化が可能であるため、近年、需要が増大している。図1にパワーモジュールの模式図を示す。パワー半導体素子6が基板3にはんだ接続され、素子6を搭載した基板3が支持部材5にはんだ4で接続される。ワイヤボンディング1を通じて数十から数百アンペアの電流を通電することで、素子接続部が125から175℃の高温となるため、パワー半導体素子接続部には融点が300℃以上の高鉛はんだが使用されてきた。ただし、高鉛はんだは、鉛含有率が85%以上と高く、環境負荷が大きい。そのため、使用時の素子接続部温度が低い製品から、高鉛はんだからSn−Ag系はんだ等に置き換えられ、鉛フリー化が進んでいる。しかしながら、一般的に使用されるSn−Ag系はんだの場合、150℃以上の高温下ではんだ主成分のSnと接続部材との間で反応が進み、図2のような空隙101が接続界面に生じて劣化する。そのため、接続部温度が150℃より高温となるパワーモジュールに対応できる鉛フリーはんだが必要になっていた。
【0003】
Sn系はんだの耐熱性は、はんだ主成分のSnと被接続部材間の反応性によって決まる。そのため、接続した際に接続界面にX−Sn系の金属間化合物を形成させないことが重要となる。その方法として、Sn以上に部材との反応性の高い元素をはんだ中に添加する方法が挙げられる。本発明者は、Sn以外にはんだの主成分としてにZnもしくはAlを添加することで、接続界面にX−Zn系、X−Al系の金属間化合物を形成できることを確認した。ただし、図3のようにCu−ZnといったX−Zn系金属間化合物はCu−SnといったX−Sn系金属間化合物に比べて成長しやすく、耐熱性が低い。一方、Cu−AlといったX−Al系金属間化合物は、Cu−Sn化合物に比べて成長が遅く高い耐熱性が得られることを確認している。ただし、Alをはんだ主成分とした場合、はんだ表面にAl酸化物の膜が形成され、これが接続時の濡れ性を大きく阻害する。Al酸化物の膜は、はんだ接続を行う250から400℃の温度域で極めて安定であり、機械的に膜を破る、非常に強いフラックスを用いなければ被接続材に濡らすことがない。パワーモジュールの組立では、減圧してボイド低減するためにバッチ式の炉を用いることが多いため、スクラブ等の機械的な方法で酸化膜を破ることが難しい。また、フラックスを使用した場合、揮発成分がボイド生成原因となる可能性があるため、フラックスの使用も困難である。そのため、Alを主成分とした場合にも材料自身で濡れを確保することが要求されている。Alを主成分とする接続材料のAl酸化膜による濡れ性阻害を回避する手段として特許文献1の方法がある。Zn−Al合金の濡れ性を改善するために、Al箔表面にZnをクラッドしている。クラッドの際に、圧延等の加工でAlが大変形するため、表面のAl酸化膜が破れる。破れたAl酸化膜はそのままの状態を維持するため、接続時に良好な濡れを確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−126272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の方法を用いて、Alの表面にSnをクラッドした場合、良好な接続を得ることはできなかった。図4は、Zn−Alの2元系状態図である。Zn−Al系は広い固溶域を持つ合金系であるため、ZnがAl中に極めて固溶しやすい。そのため、クラッド材が溶融した際にZnとAlは分離することなく馴染んで合金化し良好な接続状態が得られる。一方、SnとAlの場合、図5のSn−Al2元系状態図から分かるように、ほとんど固溶域を持たない合金系である。そのため、接続しようとしても図6のようにAl12が溶融したSn11をはじいてしまい、良好な接続ができない。
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、Alを含んでいても、濡れ性が確保でき、耐熱性が高く、軽量な接続材料を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、上記課題を解決するために、Al含有率が10〜40mass%のSn-Al系合金層と、合金層の最表面に設けられたSn系層とを備え、Sn-Al系合金層は、Sn-Al2元系合金であり、Sn系層はSnあるいはSn-3.5AgあるいはSn-0.7Cuで構成されており、Sn-Al系合金層とSn系層の全界面に存在するAl酸化物残存界面の割合が25%以下であることを特徴とする接続材料を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、SnとAlを主成分とする合金の最表層にSn層をクラッドすることにより、濡れ性が確保でき、耐熱性が高く、軽量な接続材料および接続材料を用いた半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】パワーモジュールの断面を模式的に示した図である。
図2】高温保持した後のSn−Ag系はんだ接続界面の断面図である。
図3】150℃における各種金属間化合物の成長厚さを示す図である。
図4】Zn−Al2元系状態図である。
図5】Sn−Al2元系状態図である。
図6】Alの最表層にSnをクラッドした材料を加熱したときの状況を模式的に示す図である。
図7】本発明の接続材料を模式的に示す断面図である。
図8】本発明の接続機構を模式的に示す断面図である。
図9】本発明の接続材料で接続した界面の断面図である。
図10】本発明の接続材料で接続した界面の断面図である。
図11】本発明の接続材料で接続した界面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願発明の接合材料は、図7に示すように、Al含有率が40mass%以下のSn−Al系合金層13と、合金層の最表面に設けられたSn系層11aとからなる。便宜上、図面ではSn−Al合金層13をSn成分11bとAl成分12に分けて記載しているが、実際にはほぼ均一なSn−Al合金となっている。
【0011】
これによって、Al含有率が40mass%以下のSn−Al系合金13の上下面にSn系層11を、冷間もしくは熱間のクラッド圧延や加圧成形によって設けることで、加工前にSn−Al系合金層13の表面に存在していたAl酸化物の膜(図示せず)を破ることができる。Al酸化物の膜が破れることで露出した新生面は、同じく表面の酸化膜が破れたSn系層11aの新生面と金属的に接合される。この接続材料の中心がSn−Al系合金であるため、接続時に溶融した際にSn−Al系合金層13のSn成分11bとSn系層11aのSn成分が一体化することで、図6のような分離を起こすことなく、良好な接続ができる。図6では、Al層12の表面にSn系層11が析出してしまっている。
【0012】
図8は、本発明の接続材料で半導体素子1を基板3に接続したときの接続部断面である。接続前はSn−Al系合金層13とSn系層11aとに分かれていたが、接続後は全体がほぼ均一なSn−Al合金となっている。Al含有率が40mass%より高いSn−Al系合金を用いた接続材料の場合、Sn−Al系合金表面に存在するAl成分の量が多すぎるため、表面のSn系合金層と分離してしまう。
【0013】
Sn−Al系合金層のAl含有率が10mass%以上、すなわち10〜40mass%であることが望ましい。Al含有率10mass%以上にすることで、幅広い接続条件において、耐熱性を得るために必要なAl−X系化合物を接続界面に形成することができる。ここで、Sn−Al系層合金層13がSn系層11aと溶融するとAlの割合が減少するが、Sn系層11aの厚さは両面あわせてもSn−Al系合金層13の厚さ以下とし、接続時のAl含有率の変動は考慮しなくてよいほど小さいものとする。Sn系層11aは、Sn−Al合金層13の酸化膜の影響を小さくするためにあるので薄くてよく、また、接続時の組成変動を少なくするために余分に厚くしないほうがよい。
【0014】
図9はCuむく部材に本発明の接続材料を接続したときの接続界面の模式図である。Cu14の上にCu−Al化合物21が形成している。図10は、NiめっきをしたCu部材を本発明の接続材料で接続したときの界面の模式図である。Niめっき15上にNi−Al化合物22が形成している。
【0015】
一方、図11は、同じ接続条件において、Al含有率10mass%未満の接続材料でCuむく部材を接続した場合である。接続界面から、Cu−Al化合物21が遊離して、接続界面にはCu−Sn化合物23が生成している。これは、接続の早い段階では接続界面に供給できるAlが多く存在するためCu−Al化合物21が形成するが、接続が進むにつれて、化合物を形成するAlが不足するためにはんだ接続時の対流等で界面からCu−Al化合物21が遊離してしまうためである。すなわち、Al含有率10mass%未満の接続材料を用いる場合、耐熱性の高いAl−X系化合物を有する接続界面を得るために、接続条件を短時間にする、接続温度を低温化するといった調整が必要になることを示している。したがってAl含有率を10mass%以上とすることにより、幅広い接続条件に対応した接続材料とすることができる。また、Al含有率を10〜40mass%とすることにより、これまで用いられてきた一般的なSn−Ag系はんだに対して、15%〜40%接続材料を軽量化することができる。
【0016】
Sn−Al系合金層13がSn−10〜40Al mass%であることが望ましい。
【0017】
これによって、より軟質な接続材料にすることができる。一般的に、合金を構成する元素が多くなると、析出硬化、固溶強化などによって、合金が硬くなる。パワー半導体素子等の脆性材料を接続する場合、接続材料がより軟質である方が望ましい。
【0018】
Sn−Al系合金層13がZnを0.01〜9mass%含んでいることが望ましい。
【0019】
Sこれにより、はんだの固相線温度を低下させ、最大で約200℃まで低くすることができる。Sn−Al2元系合金の場合、固相線温度が約230℃に比べて、約30℃固相線温度が低いため、接続後の冷却によって生じる残留応力を低減することができる。更に、Sn−Al−Zn3元系は、脆弱な金属間化合物を形成しない合金系であるので、接続部の信頼性を確保できる。また、Znを主成分として含む場合においても、接続界面にはAl−X系金属間化合物を形成することができる。Zn含有率が9mass%より高くなった場合、Znが接続材料の濡れ性、耐湿性を損なう恐れがある。
【0020】
Sn−Al系合金層13がInを0.01〜7mass%含んでいることが望ましい。
【0021】
これにより、固相線温度を低下させ、最大で約200℃まで低下させることができる。また、Inを成分とした場合、Inが母相であるSn中に固溶するため、母相を固溶強化することができる。更に、Sn−Al−In3元系は、脆弱な金属間化合物を形成しない合金系であるので、接続部の信頼性を確保できる。また、Inを主成分として含む場合においても、接続界面にはAl−X系金属間化合物がを形成することができる。Inの含有率が7mass%以上となった場合、固相線温度が200℃未満となりはんだの界面反応性が高まるため、175℃以上の耐熱性を得るのが難しくなる。
【0022】
Sn系層11aのSn含有率が95〜100 mass%であることが望ましい。
【0023】
これにより、表面に亀裂等発生させること無くクラッド圧延もしくは加圧成形ができ、Sn−Al系合金層と良好な金属接合が得られる。表面のSn層11aは中央のSn−Al合金層13に対して薄く形成する必要があるため、より高い加工性が望まれる。Sn中に含有率5mass%より多くの第2元素が存在する場合、Sn中に析出物が析出する、あるいはSn中に固溶することによって加工性が低下する恐れがある。中央のSn−Al系合金層13に前述のZn,Inなどの第3元素が多く存在した場合、加工性が低下して圧延時に破断したとしても、最表層のSn系層11aで封止されているため、特に接続性に影響は与えない。一方、最表層のSn系層11aが破れた場合、加工によりSn−Al系合金層13表面のAl酸化物の膜を破壊した箇所が、再度酸化してAl酸化物を形成することになり、濡れ性を損なう可能性がある。
【0024】
Sn−Al系合金層13とSn系層11aの全界面に存在するAl酸化物残存界面の割合が25%以下であることが望ましい。
【0025】
これによって、Sn−Al系合金層13とSn系層11aの全界面に存在するAl酸化物残存界面の割合が25%以下にすることで、濡れ性を阻害することなく、接続ができる。接続材料作製時の加工量が小さい場合、中央部のSn−Al系合金13表面のAl酸化物の膜が破れても、破れた膜が界面に残ることで、Sn−Al系合金層13と表面のSn系層11aの金属接合を妨げる。Al酸化物残存界面の割合が25%より多い場合、未濡れおよびボイドにより、接続部の約20%が未接続となる。
【0026】
Sn−Al系合金箔の上下にSn系合金箔を重ねて最終加工度80%以上でクラッド圧延または加圧成形することが望ましい。
【0027】
これによって、最終加工度80%以上の接続材料にすることで、未濡れ、ボイドが少ない接続ができる。最終加工度とは、圧延および加圧成形前の材料厚さが接続材料として成形された際にどの程度の厚さまで加工されたかを示す指標である。成形前後で厚さが変わらない場合に最終加工度は0%、10分の1の厚さになった場合、最終加工度を90%と表す。接続材料の最終加工度と材料内の未接続割合の関係では、最終加工度が低いほど、接続材料内の未接続割合が増加する。この未接続部は、接続材料として部材を接続した場合に未濡れおよびボイドの原因となる。最終加工度を80%以上にすることで、接続部の未接続割合を20%以内にすることができる。
【0028】
半導体素子と基板とのはんだ接続部のSn含有率が60〜90mass%、Al含有率が10〜40mass%であることが望ましい。
【0029】
これによって、耐熱性が高く、軽量な半導体装置が得られる。SnとAlを主成分とすることで、はんだ接続部に脆弱な金属間化合物のない接続ができる。Snが60%未満の場合、接続部の軟質さが低下し、熱応力発生時に十分な応力緩衝ができない。また、Sn含有率が90%より高い場合、Al含有率が10mass%未満となるため、150℃以上の高温下において界面反応を抑制するAl−X系化合物を形成することが難しくなる。Al含有率が40mass%より高い場合は、本発明の接続材料では形成することができない。
【0030】
(実施例1−20)以下、本発明をパワー半導体モジュールに適用した実施例について説明する。
【0031】
表1の仕様である最表層のSn系合金層20μm、中央層のSn−Al系合金層が100μmの厚さ140μmのクラッド材2を作成した。まず、AlとSnとを表1の仕様の割合で加熱溶融させ、Sn−Al系合金層を作成し、Sn−Al系合金層の両面にSn系層を設け、クラッド加工を行なうことでクラッド材2を作成した。
【0032】
そして作成したクラッド材2を基板3上に置き、その上に10mm×10mm.のパワー半導体素子6を積層し、素子上におもしを置き、H2還元雰囲気中、300℃5min.で接続を行った。ワイヤボンディング1を行った素子付基板を厚さ200μmのSn−Ag系はんだで支持部材5に接続し、ケースを取り付けて、接続部周辺にゲルを注入して硬化させ、図1に示すような半導体装置を作製した。クラッド材2以外は、従来の半導体装置と同一である。
【0033】
この半導体装置接続工程に用いた素子接続材料のSnに対する比重、素子接続部の接続面積、半導体装置を175℃で1000h保持したときの接続部の空隙生成状況を調査した結果を表1に示す。素子接続面積については、接続面積が素子面積に対して90%以上の場合を○、90%未満の場合を×とした。また、175℃1000h保持に関しては、1000h保持後に接続界面の断面観察を行い、素子接続界面において空隙が生成しなかったものを○、空隙が生成したものを×とした。
【0034】
表1のように、実施例1から20において、Al含有率が高いほど、Snに対する重量比が軽くなった。接続面積においては、何れの実施例の場合も素子面積に対して90%以上の接続面積が得られた。175℃1000h後の接続部の空隙生成状態について確認したところ、何れの実施例においても接続部に空隙は形成されていなかった。以上のことから、本発明を用いることで、濡れが確保でき、耐熱性が高く、軽量化が可能なことが明らかとなった。なお、上記では全体構造を編み線状導体と半導体素子、半導体素子と基板の接続を別々に接続するプロセスについて述べたが、半導体素子、クラッド材、基板、はんだ、支持部材を積層した後、一度のプロセスで接続しても良い。
【0035】
【表1】

(比較例1、2)
【0036】
基板上に、厚さ150μmのSn−3.5AgあるいはSn−0.7Cuはんだ箔を置き、その上に10mm×10mm.のパワー半導体素子をおき、更に素子上におもしを置き、H2還元雰囲気中、300℃5min.で接続を行った。ワイヤボンディング1を行った素子付基板を厚さ200μmのSn−Ag系はんだで支持部材5に接続し、ケースを取り付けて、接続部周辺にゲルを注入して硬化させ、半導体装置を作製した。
【0037】
上記の実施例1から20と同様に、Snに対する重量比および接続面積、175℃1000h後の接続界面への空隙生成状況を調査した。その結果、表2のように、重量比はSnと同等、接続性は何れの場合も素子面積に対して90%以上の濡れを確保することができた。一方、175℃1000h保持後の素子接続部の接続界面を観察したところ、図2のような空隙が接続界面に生成していた。
(比較例3−6)
【0038】
厚さ150μmの表2に示すはんだ箔を用いて、素子を接続し、比較例1、2と同様の工程で半導体装置の組立を行った。しかしながら、何れの比較例においても、表2のように90%未満の接続面積となった。特に比較例4については、ほとんど濡れている箇所が無かった。良好な接続が得られなかったため、175℃1000h保持による耐熱性は実施できなかった。
【0039】
【表2】
【0040】
実施例では半導体素子と基板とを接続する接続材料を用いて説明したが、接続する対象はこれに限られず、接続端子やリードなど他の部材でもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 Alワイヤ、2導電性接合材(はんだ)、3 基板、4 はんだ、5 支持部材、6 パワー半導体素子、7 はんだ、8 金属間化合物、9 導電性接合材、11 Sn系はんだ、11a Sn系層、11b Sn成分、12 Al成分、13 Sn−Al系合金層、14 Cu部材、 15 Niめっき、16 クラッド材、21 Cu−Al化合物、22 Ni−Al化合物、23 Cu−Sn化合物、101 空隙。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11