【実施例】
【0052】
次に、本発明の実施例について説明する。
実施例、比較例においてフィルム状の接着シートを作製するのに使用した原材料は以下の通りである。
(A)ナフタレン骨格を有する多官能エポキシ樹脂
(a1)2官能ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製/「EPICLON HP−4770」)、エポキシ当量204
(a2)3官能ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製/「EPICLON HP−4750」)、エポキシ当量188
(a3)4官能ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製/「EPICLON HP−4700」)、エポキシ当量165
(B)1分子中に、フェノール性水酸基および/またはフェニルエーテル基と、カルボキシル基とを有する化合物
(b1)フェノールフタリン(東京化成工業株式会社製)
(b2)ジフェノール酸(東京化成工業株式会社製)
(b3)2−ヒドロキシ安息香酸(東京化成工業株式会社製)
(b4)4−フェノキシ安息香酸(東京化成工業株式会社製)
(b5)4−(4−ヒドロキシフェノキシ)安息香酸(東京化成工業株式会社製)
(C)フィルム形成性樹脂
(c1)フェノキシ樹脂(三菱化学株式会社製/「YX6954」)、
数平均分子量14000
(c2)アクリル酸エステル共重合体(ナガセケムテックス社製/「SG−80H」)、数平均分子量350,000
(c3)アクリル酸エステル共重合体(ナガセケムテクス社製/「SG−70L」)
数平均分子量200,000
その他
(d)ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製/「jER806」)、エポキシ当量165
(f)シリカ(株式会社アドマテックス製/「SC1050−LC」)、平均粒径0.25μm
(g)ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製/「PR−55617」)、水酸基当量103
(h1)2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製
/「2P4MZ」)
(h2)2−フェニルイミダゾール(四国化成工業株式会社製/「2PZ」)
(h3)2−フェニルイミダゾリン(四国化成工業株式会社製/「2PZL」)
(h4)2−ウンデシルイミダゾール(四国化成工業株式会社製/「C11Z」)
(h5)トリフェニルホスフィン(北興化学工業株式会社製/「TPP」)
(i)カップリング剤(信越化学工業株式会社製/「KBE403」)
(j)アジピン酸(関東化学株式会社製)
【0053】
<実施例1>
(1)フィルム状の接着シートの作製
(A)成分として「EPICLON HP−4770」6質量部、(B)成分として「フェノールフタリン」6質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」24質量部、「PR−55617」11.7質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、メチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
得られた樹脂組成物ワニスを、ポリエステルフィルム基材(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)に厚さ50μmとなるように塗布した後、100℃で5分間乾燥して溶剤を蒸発除去して、厚さ25μmのフィルム状の接着シートを得た。
【0054】
(2)電子装置1の作製
上記で得られたフィルム状の接着シートと、表面に低融点の導電性金属として錫、銀を含む合金からなる半田付き銅電極を有する半導体ウエハ(サイズ200mmφ、個別回路のサイズ10mm×10mm、厚さ100μm、電極の高さ15μm、電極の幅30μm、電極間の距離30μm、)を用意し、半導体ウエハに、真空ラミネーター(名機株式会社製、MVLP)を用いて、100℃、0.8MPa、30秒間でラミネートし、フィルム状の接着シート付き半導体ウエハを得た。
次に、半導体ウエハのフィルム状の接着シートを貼り合せた面と逆の面に、ダイシングテープをラミネーターで貼り合せた。このときの貼り合せ条件は25℃、圧力0.8MPa、2mm/sで、フィルム状の接着シート付き半導体ウエハとダイシングテープを貼り合せた。
次いで、ダイシングテープをウエハリングに固定して、ダイシングソー(DFD6360、(株)ディスコ製)のダイシングテーブルにセットした。さらに、フィルム状の接着シート付き半導体ウエハ側からダイシングソーを用いて以下の条件でダイシング(切断)した。これにより、フィルム状の接着シート付き半導体ウエハが個片化され、以下のダイシングサイズのフィルム状の接着シート付き半導体チップを得た。
≪ダイシング条件≫
ダイシングサイズ :10mm×10mm角
ダイシング速度 :50mm/sec
スピンドル回転数 :40,000rpm
ダイシング最大深さ :0.13mm(シリコンウエハの表面からの切り込み量
)
ダイシングブレードの厚さ:15μm
【0055】
これを、フリップチップボンダー(Panasonic株式会社製、FCB3)を用いて、先端に金とニッケルがコーティングされた銅からなる突起電極を有するシリコン製回路基板(サイズ200mmφ、厚さ200μm、個別回路のサイズ12mm×12mm、電極の高さ15μm、電極の幅30μm、電極間の距離30μm)の突起電極と、半田付き銅電極と、が当接するようにフィルム状の接着シート付き半導体チップの所定のアライメントマークとシリコン製回路基板の所定のアライメントマークをフリップチップボンダーで自動認識させることによって位置合わせを行い、シリコン製回路基板に半導体チップを235℃、5秒間加熱して、半田付き銅電極の半田を溶融させて半田接続を行った。
そして、180℃、60分間、0.8MPaの流体圧(空気圧)の雰囲気下で加熱して、フィルム状の接着シートを硬化させた。
次に、シリコン製回路基板の半導体チップを搭載した面と反対側の面に、ダイシングテープをラミネーターで貼り合せた。このとき、貼り合せ条件は25℃、圧力0.8MPa、2mm/sであった。
【0056】
次いで、ダイシングテープをウエハリングに固定して、ダイシングソー(DFD6360、(株)ディスコ製)のダイシングテーブルにセットした。さらに、搭載した半導体チップと半導体チップの間をダイシングソーを用いて以下の条件でダイシング(切断)した。これにより、半導体チップを搭載したシリコン製回路基板が個片化され、半導体チップと、シリコン製回路基板とがフィルム状の接着シートの硬化物を介して接着された以下のダイシングサイズの電子装置1(半導体装置)を得た。
≪ダイシング条件≫
ダイシングサイズ :12mm×12mm角
ダイシング速度 :50mm/sec
スピンドル回転数 :40,000rpm
ダイシング最大深さ :0.23mm(シリコンウエハの表面からの切り込み量)
ダイシングブレードの厚さ:15μm
【0057】
<実施例2>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4750」6質量部、(B)成分として「フェノールフタリン」6質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」24質量部、「PR−55617」11.7質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、メチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。<実施例3>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4700」6質量部、(B)成分として「フェノールフタリン」6質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」24質量部、「PR−55617」11.7質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、メチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。
【0058】
<実施例4>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4700」1質量部、(B)成分として「フェノールフタリン」6質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」21.7質量部、「PR−55617」19質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、メチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。<実施例5>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4700」1質量部、(B)成分として「フェノールフタリン」25質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」21.7質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。
【0059】
<実施例6>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4700」20質量部、(B)成分として「フェノールフタリン」3質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」13質量部、「PR−55617」11.7質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、メチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は 実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。<実施例7>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4700」15質量部、(B)成分として「フェノールフタリン」15質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」6質量部、「PR−55617」11.7質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、メチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は 実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。
【0060】
<実施例8>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4700」0.5質量部、(B)成分として「フェノールフタリン」6質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」29.5質量部、「PR−55617」11.7質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、メチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は 実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。<実施例9>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4700」21質量部、(B)成分として「フェノールフタリン」6質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか
、「jER806」9質量部、「PR−55617」11.7質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、メチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は 実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。
【0061】
<実施例10>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4700」6質量部、(B)成分として「フェノールフタリン」2質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」24質量部、「PR−55617」15.7質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。<実施例11>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製において、(A)成分として「EPICLON HP−4700」2質量部、(B)成分として「フェノールフタリン」26質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」19.7質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。
【0062】
<実施例12>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4700」6質量部、(B)成分として「ジフェノール酸」6質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」24質量部、「PR−55617」11.7質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。<実施例13>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4700」6質量部、(B)成分として「2−ヒドロキシ安息香酸」6質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」24質量部、「PR−55617」11.7質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。
【0063】
<実施例14>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4700」6質量部、(B)成分として「フェノールフタリン」4質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」24質量部、「PR−55617」13.7質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニス
を調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。<実施例15>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製において、(A)成分として「EPICLON HP−4700」6質量部、(B)成分として「フェノールフタリン」5質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」24質量部、「PR−55617」12.7質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。
【0064】
<実施例16>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4700」1質量部、(B)成分として「フェノールフタリン」17質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」24質量部、「PR−55617」5.7質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。<実施例17>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4700」1質量部、(B)成分として「フェノールフタリン」13.5質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」24質量部、「PR−55617」9.2質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。
【0065】
<実施例18>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4700」1質量部、(B)成分として「フェノールフタリン」11.5質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」24質量部、「PR−55617」11.2質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。<実施例19>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4700」1質量部、(B)成分として「フェノールフタリン」9質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」24質量部、「PR−55617」13.7質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。
【0066】
<実施例20>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製において、(A)成分として「EPICLON HP−4700」3質量部、(B)成分として「フェノールフタリン」12質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」24質量部、「PR−55617」8.7質量部、「2PZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。
<実施例21>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4700」6質量部、(B)成分として「フェノールフタリン」12質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」24質量部、「PR−55617」5.7質量部、「TPP」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。
【0067】
<実施例22>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4770」0.5質量部、(B)成分として「4−(4−ヒドロキシフェノキシ)安息香酸」11質量部、(C)成分としてアクリル酸エステル共重合体「SG−80H」12質量部、のほか、「jER806」28質量部、「PR−55617」8.2質量部、「C11Z」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」40質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。<実施例23>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4750」19質量部、(B)成分として「4−(4−ヒドロキシフェノキシ)安息香酸」3質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」8質量部、「PR−55617」7.4質量部、「2PZ」0.4質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」60質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。<実施例24>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4700」17質量部、(B)成分として「4−フェノキシ安息香酸」3質量部、(C)成分としてアクリル酸エステル共重合体「SG−70L」7質量部、のほか、「jER806」9質量部、「PR−55617」8.7質量部、「2PZL」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」55質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。<実施例25>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4750」21質量部、(B)成分として「4−フェノキシ安息香酸」9質量部、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」9質量部、「PR−55617」8.5質量部、「TPP」0.3質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「
SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シートおよび電子装置1を得た。
【0068】
さらに、上記実施例1〜25のフィルム状の接着シートを用いて、以下に示すように、ウエハ加工用粘着シート一体型接着シート、電子部品を作製し、評価した。評価結果を表1〜3に記載した。
<ダイシングテープ一体型接着シート>
(1)フィルム状の接着シートの製造
実施例1〜25の固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを用いて、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム社製、商品名「ピューレックスA53」、後のダイシングテープ一体型接着シートのカバーフィルムに相当する。)に厚さ50μmとなるように塗布して、100℃で5分間乾燥して、厚さ25μmのフィルム状の接着シートを得た。
(2)ダイシングテープの介在層の形成
アクリル酸2−エチルヘキシル30質量%と酢酸ビニル70質量%とを共重合して得られた重量平均分子量約300,000の共重合体100質量部と、分子量が約700の5官能アクリレートモノマー45質量部と、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン5質量部と、トリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートT−100」)3質量部との混合物を、予め離型処理した厚さ38μmのポリエステルフィルム表面に、乾燥後の厚さが10μmになるように塗布し、その後、80℃で5分間乾燥した。そして、得られた塗布膜に対して紫外線500mJ/cm
2を照射し、ポリエステルフィルム上に介在層を成膜した。
【0069】
(3)ダイシングテープの粘着剤層の形成
アクリル酸ブチル70質量%とアクリル酸2−エチルヘキシル30質量%とを共重合して得られた重量平均分子量約500,000の共重合体100質量部と、トリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートT−100」)3質量部とを混合したダイシングテープの粘着剤層用ワニスを調製した。上記ダイシングテープの粘着層用ワニスを予め離型処理した厚さ38μmのポリエステルフィルム表面に、乾燥後の厚さが10μmになるように塗布し、その後、80℃で5分間乾燥した。そして、ポリエステルフィルム上にダイシングテープの粘着層を成膜した。その後、ダイシングテープの基材層として厚さ100μmのポリエチレンシートを上記ポリエステルフィルムと反対側面の粘着剤層側にラミネート(積層)して、ダイシングテープを得た。
(4)ダイシングテープ一体型接着シートの製造
介在層を成膜したフィルムと、上記で得られたフィルム状の接着シートとを、介在層とフィルム状の接着シートとが接するようにラミネートし、第1積層体を得た。
次に、ロール状の金型を用いて、上記第1積層体を半導体ウエハの外径よりも大きく、かつウエハリングの内径よりも小さく打ち抜き、その後、不要部分を除去して、第2積層体を得た。
さらに、ダイシングテープの粘着層の一方の面側にあるポリエステルフィルムと、上記第2積層体の介在層側にあるポリエステルフィルムとを剥離した。そして、上記第2積層体の介在層とダイシングテープの粘着剤層とが接するように、これらをラミネートした。これにより、ダイシングテープの基材層、ダイシングテープの粘着剤層、介在層、フィルム状の接着シート、カバーフィルムがこの順でラミネートされたダイシングテープ一体型接着シートを得た。
【0070】
(5)電子装置2の製造
本発明の電子装置として、上記で得られた本発明のダイシングテープ一体型接着シートを用いて、下記の手順で電子装置2を作製した。
表面に低融点の導電性金属として錫、銀を含む合金からなる半田付き銅電極を有する半導体ウエハ(サイズ200mmφ、個別回路のサイズ10mm×10mm、厚さ100μm、電極の高さ15μm、電極の幅30μm、電極間の距離30μm)を用意した。
ダイシングテープ一体型接着シートからカバーフィルムを剥離し、その剥離面と、半導体ウエハの半田付き銅電極を有する面とが接するように、ダイシングテープ一体型接着シートと半導体ウエハとを積層した。これをラミネーターで、貼り合わせ温度80℃、ダイシングテープ一体型接着シートにかける圧力0.8MPa、30秒間の条件でラミネートして、ダイシングテープ一体型接着シート付きの半導体ウエハを得た。
次いで、このダイシングテープ一体型接着シート付きの半導体ウエハを、半導体ウエハ側から、ダイシングソー(ディスコ社製、DFD6360)を用いて下記の条件でダイシング(切断)した。これにより、半導体ウエハが個片化され、下記のダイシングサイズの半導体チップを得た。なお、このダイシングにより形成された切り込みは、その先端が介在層内に達していた。
<ダイシング条件>
ダイシングサイズ :10mm×10mm角
ダイシング速度 :50mm/sec
スピンドル回転数 :40,000rpm
ダイシング最大深さ :0.130mm(シリコンウエハの表面からの切り込み量)
ダイシングブレードの厚さ :15μm
【0071】
次いで、半導体チップの1つをダイシングテープ一体型接着シートの支持フィルム側(ダイシングテープの基材層側)からニードルで突き上げ、突き上げた半導体チップの表面をダイボンダーのコレットで吸着しつつ上方に引き上げた。これにより、接着シート付き半導体チップをピックアップした。
次に、フリップチップボンダー(Panasonic株式会社製、FCB3)を用いて、先端に金とニッケルがコーティングされた銅からなる突起電極を有するシリコン製回路(サイズ200mmφ、個別回路のサイズ12mm×12mm、厚さ200μm、電極の高さ15μm、電極の幅30μm、電極間の距離30μm)の突起電極と、接着シート付き半導体チップの所定のアライメントマークとシリコン製回路基板の所定のアライメントマークをフリップチップボンダーで自動認識させることによって位置合わせを行い、シリコン製回路基板に半導体チップを235℃、5秒間加熱して、半田バンプの半田を溶融させて半田接続を行った。そして、180℃、60分間、0.8MPaの流体圧(空気圧)の雰囲気下で加熱して、フィルム状の接着シートを硬化させて、半導体チップとシリコン製回路基板とがフィルム状の接着シートの硬化物で接着された電子装置を得た。
次に、シリコン製回路基板の半導体チップを搭載した面と反対側の面に、ダイシングテープをラミネーターで貼り合せた。このとき、貼り合せ条件は25℃、圧力0.8MPa、2mm/sであった。
【0072】
次いで、ダイシングテープをウエハリングに固定して、ダイシングソー(DFD6360、(株)ディスコ製)のダイシングテーブルにセットした。さらに、搭載した半導体チップと半導体チップの間をダイシングソーにて以下の条件でダイシング(切断)した。これにより、半導体チップを搭載したシリコン製回路基板が個片化され、半導体チップと、シリコン製回路基板とがフィルム状の接着シートの硬化物を介して接着された以下のダイシングサイズの電子装置2(半導体装置)を得た。
≪ダイシング条件≫
ダイシングサイズ :12mm×12mm角
ダイシング速度 :50mm/sec
スピンドル回転数 :40,000rpm
ダイシング最大深さ :0.23mm(シリコンウエハの表面からの切り込み量
)
ダイシングブレードの厚さ:15μm
(6)評価結果
実施例1〜25のダイシングテープ一体型接着シートを用いて、電子装置2を作製し、問題なくダイシングができた。また、24℃1カ月間保管後の接続性評価、絶縁信頼性評価を実施し、24℃1カ月間保管後の接続性評価については、実施例6、9、10、22、23、24、25は、「○」、これら以外の実施例は「◎」となる良好な結果であった。24℃1カ月間保管後の絶縁信頼性評価では、実施例1、5、8、11、13、16、22は「○」、これら以外の実施例は「◎」となる良好な結果であった。24℃1カ月間保管後の剥離評価も実施し、実施例8と実施例22は、「○」、実施例8と実施例22以外の実施例は「◎」となる良好な結果であった。
【0073】
<バックグラインドテープ一体型接着シート>
(1)フィルム状の接着シートの製造
実施例1〜25の固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを用いて、基材ポリエステルフィルム(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム社製、商品名「ピューレックスA53」、後のバックグラインドテープ一体型接着シートのカバーフィルムに相当する。)に厚さ50μmとなるように塗布して、100℃で5分間乾燥して、厚さ25μmのフィルム状の接着シートを得た。
(2)バックグラインドテープ一体型接着シートの製造
ベース樹脂としてアクリル酸アルキルエステル系共重合物ニッセツKP−2254E(日本カーバイド工業製)44質量部、ウレタンアクリレートHC−15(大日精化工業製)45質量部、イソシアネート系架橋剤コロネートL(日本ポリウレタン工業製)8質量部、光重合開始剤イルガキュア651(BASFジャパン製)3質量部を酢酸エチルに溶解させて、バックグラインドテープの粘着剤層用ワニスを調製した。
上記バックグラインドテープの粘着剤層用ワニスを予め離型処理した厚さ38μmのポリエステルフィルム表面に、乾燥後の厚さが10μmになるように塗布し、その後、80℃で5分間乾燥した。そして、ポリエステルフィルム上にバックグラインドテープの粘着剤層を成膜した。その後、バックグラインドテープの基材層として厚さ120μmのポリエチレンとエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)からなるフィルムを上記ポリエステルフィルムと反対側面の粘着剤層側にラミネート(積層)し粘着剤層をポリエチレンとエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)からなるフィルムに転写させることによって、バックグラインドテープを得た。
次に、ロール状の金型を用いて、上記フィルム状の接着シートを半導体ウエハと同等の大きさに打ち抜き、その後不要部分を除去した後に、上記で得られたバックグラインドテープの粘着剤層とフィルム状の接着シートとが接するようにラミネートすることによって、バックグラインドテープの基材、バックグラインドテープの粘着剤層、フィルム状の接着シート、カバーフィルムがこの順でラミネートされたバックグラインドテープ一体型接着シートを得た。
【0074】
(3)電子装置3の作製
本発明の電子装置として、上記で得られたバックグラインドテープ一体型接着シートを用いて、下記の手順で電子装置3を作製した。
表面に低融点の導電性金属として錫、銀を含む合金からなる半田付き銅電極を有する半導体ウエハ(サイズ200mmφ、個別回路のサイズ10mm×10mm、厚さ725μm、電極の高さ15μm、電極の幅30μm、電極間の距離30μm、)を用意した。
バックグラインドテープ一体型接着シートからカバーフィルムを剥離し、その剥離面と、半導体ウエハの半田付き銅電極を有する面とが接するように、バックグランドテープ一体型接着シートと半導体ウエハとをラミネートし、バックグランドテープ一体型接着シート付き半導体ウエハを得た。
次いで、このバックグランドテープ一体型接着シート付き半導体ウエハのバックグラインドテープ一体型接着シートが貼り付けられた面とは反対側の面を研削し、バックグランドテープ一体型接着シート付き半導体ウエハの厚さが200μmとなるように研削した。その後、バックグランドテープ一体型接着シート付き半導体ウエハのバックグラインドテープ一体型接着シートが貼り付けられた面とは反対側の面(研削面)にダイシングテープをラミネートした後に、バックグランドテープ一体型接着シートの粘着剤層とフィルム状の接着シートの界面からバックグラインドテープを剥離した。
その後、半導体ウエハをダイシングして、フィルム状の接着シート付き半導体チップを得た。得られたフィルム状の接着シート付き半導体チップを用いて、実施例1と同様に電子装置3を作製し、同様の評価を実施した。
(4)評価結果
実施例1〜25のバックグラインドテープ一体型接着シートを用いて、電子装置3を作製し、問題なく、半導体ウエハ裏面の研削およびダイシングができた。また、作製した電子装置3も問題なく作動した。また、24℃1カ月間保管後の接続性評価、絶縁信頼性評価を実施し、24℃1カ月間保管後の接続性評価については、実施例6、9、10、22、23、24、25は、「○」、これら以外の実施例は「◎」となる良好な結果であった。24℃1カ月間保管後の絶縁信頼性評価では、実施例1、5、8、11、13、16、22は「○」、これら以外の実施例は「◎」となる良好な結果であった。
24℃1カ月間保管後の剥離評価も実施し、実施例8と実施例22は、「○」、実施例8と実施例22以外の実施例は「◎」となる良好な結果であった。
【0075】
<バックグラインドテープ兼ダイシングテープ一体型接着シート>
(1)フィルム状の接着シートの製造
実施例1〜25の固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを用いて、ポリエステルフィルム基材(ベースフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53、後のバックグラインドテープ兼ダイシングテープ一体型接着シートのカバーフィルムに相当する。)に厚さ50μmとなるように塗布した後、100℃で5分間乾燥して溶剤を蒸発除去して、厚さ25μmのフィルム状の接着シートを得た。
(2)バックグラインドテープ兼ダイシングテープ一体型接着シートの製造
クリアテックCT−H717(クラレ社製)を、押出機で、厚み100μmのフィルムを形成し、表面をコロナ処理して、基材フィルムを得た。次に、アクリル酸2−エチルヘキシル50質量部、アクリル酸ブチル10質量部、酢酸ビニル37質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル3質量部を共重合して得られた重量平均分子量500,000の共重合体を離型処理した厚さ38μmのポリエステルフィルムに乾燥後の厚さが10μmになるように塗工し、80℃で5分間乾燥し、粘着剤層を得た。その後、この粘着剤層を上述した基材フィルムのコロナ処理面にラミネートすることによって粘着剤層を転写した後にポリエステルフィルム基材を剥離した。次に上記のフィルム状の接着シートのみ(ウエハと接続(接合)される部分のみ残す)をハーフカットし、フィルム状の接着シートと、粘着剤層とが接するように貼り付けた。これにより、基材フィルム、粘着剤層、フィルム状の接着シート、カバーフィルムが、この順に構成されてなるバックグラインドテープ兼ダイシングテープ一体型接着シートを得た。
【0076】
(3)電子装置4の製造
本発明の電子装置として、上記で得られたバックグラインドテープ一体型接着シートを用いて、下記の手順で電子装置4を作製した。
表面に低融点の導電性金属として錫、銀を含む合金からなる半田付き銅電極を有する半導体ウエハ(サイズ200mmφ、個別回路のサイズ10mm×10mm、厚さ725μm、電極の高さ15μm、電極の幅30μm、電極間の距離30μm)を用意した。
バックグラインドテープ兼ダイシングテープ一体型接着シートのカバーフィルムを剥離して、フィルム状の接着シートを半導体ウエハの半田付き銅電極がついている面に温度9
0℃、圧力0.3MPaで貼り付けし、バックグラインドテープ兼ダイシングテープ一体型接着シートが付いた半導体ウエハを得た。
そして、バックグラインドテープ兼ダイシングテープ一体型接着シート1の上側の面(
図9中の上側)を、研磨装置の研磨ステージ304に固定し、半導体ウエハ303の厚さが725μmから200μmとなるまで研削を行った。次に、この半導体ウエハを、
図10に示すようにバックグラインドテープ兼ダイシングテープ一体型接着シート1とダイサーテーブル305の上面とが接するように設置して、ダイシングソーを用いて、スピンドル回転数30,000rpm、切断速度50mm/secで10mm×10mm角の半導体チップにダイシング(切断)した。次に、バックグラインドテープ兼ダイシングテープ一体型接着シート1の裏面から突上げ、粘着剤層とフィルム状の接着シートの界面で剥離しフィルム状の接着シート付き半導体チップを得た。
その後、得られたフィルム状の接着シート付き半導体チップを用いて、実施例1と同様に電子装置4を作製し、同様の評価を実施した。
(4)評価結果
実施例1〜25のバックグラインドテープ兼ダイシングテープ一体型接着シートを用いて、電子装置4を作製し、問題なく、半導体ウエハ裏面の研削と、ダイシングができた。また、作製した電子装置4も問題なく作動した。また、下記の24℃1カ月間保管後の接続性評価、絶縁信頼性評価を実施し、24℃1カ月間保管後の接続性評価については、実施例6、9、10、22、23、24、25は、「○」、これら以外の実施例は「◎」となる良好な結果であった。24℃1カ月間保管後の絶縁信頼性評価では、実施例1、5、8、11、13、16、22は「○」、これら以外の実施例は「◎」となる良好な結果であった。
24℃1カ月間保管後の剥離評価も実施し、実施例8と実施例22は、「○」、実施例8と実施例22以外の実施例は「◎」となる良好な結果であった。
【0077】
<比較例1>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4770」15質量部、(B)成分を用いず、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」6質量部、「PR−55617」11.7質量部、「アジピン酸」15質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シート、ウエハ加工用粘着シート一体型接着シートおよび電子装置を作製し、実施例1と同様に評価した。
ウエハ加工用粘着シート一体型接着シート(ダイシングテープ一体型接着シート、バックグラインドテープ一体型接着シート、および、バックグラインドテープ兼ダイシングテープ一体型接着シート)を用いた評価は、24℃1カ月保管後の接続性評価が「×」であり、劣る結果であった。また、24℃1カ月保管後の絶縁信頼性評価は、「×」であった。
24℃1カ月保管後の剥離評価においては「○」であった。
<比較例2>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4770」15質量部、(B)成分を用いず、(C)成分として「YX6954」2質量部、のほか、「jER806」6質量部、「PR−55617」26.7質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シート、ウエハ加工用粘着シート一体型接着シートおよび電子装置を作製し、実施例1と同様に評価した。
ウエハ加工用粘着シート一体型接着シート(ダイシングテープ一体型接着シート、バックグラインドテープ一体型接着シート、および、バックグラインドテープ兼ダイシングテープ一体型接着シート)を用いた評価は、24℃1カ月保管後の接続性評価が「×」であり、劣る結果であった。また、24℃1カ月保管後の絶縁信頼性評価は、「○」であった。
24℃1カ月保管後の剥離評価においては「○」であった。
【0078】
<比較例3>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分を用いず、(B)成分として「フェノールフタリン」13.7質量部、(C)成分として「YX6954」6質量部、のほか、「jER806」30質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」50質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は、実施例1と同様にしてフィルム状の接着シート、ウエハ加工用粘着シート一体型接着シートおよび電子装置を作製し、実施例1と同様に評価した。
ウエハ加工用粘着シート一体型接着シート(ダイシングテープ一体型接着シート、バックグラインドテープ一体型接着シート、および、バックグラインドテープ兼ダイシングテープ一体型接着シート)を用いた評価は、24℃1カ月保管後の接続性評価が「○」であった。また、24℃1カ月保管後の絶縁信頼性評価は、「×」であった。
24℃1カ月保管後の剥離評価においては「×」となり、劣る結果であった。
<比較例4>
フィルム状の接着シートに用いる樹脂組成物ワニスの調製
(A)成分として「EPICLON HP−4770」0.5質量部、(B)成分を用いず、(C)成分としてアクリル酸エステル共重合体「SG−80H」12質量部、のほか、「jER806」28質量部、「PR−55617」19.2質量部、「2P4MZ」0.1質量部、「KBE403」0.2質量部、をメチルエチルケトンに溶解し、さらに、「SC1050−LC」40質量部を混合し、固形分比率50質量%の樹脂組成物ワニスを調製した。
これ以降は実施例1と同様にしてフィルム状の接着シート、ウエハ加工用粘着シート一体型接着シートおよび電子装置を作製し、実施例1と同様に評価した。
ウエハ加工用粘着シート一体型接着シート(ダイシングテープ一体型接着シート、バックグラインドテープ一体型接着シート、および、バックグラインドテープ兼ダイシングテープ一体型接着シート)を用いた評価は、24℃1カ月保管後の接続性評価が「×」であり、劣る結果であった。また、24℃1カ月保管後の絶縁信頼性評価は、「○」であった。
24℃1カ月保管後の剥離評価においては「○」であった。
【0079】
・特性評価
<接続性評価>
上記各実施例および比較例で得られた電子装置1(10個)それぞれについて、半導体チップとシリコン製回路基板の接続抵抗値をデジタルマルチメーターで測定し、接続抵抗値を基に評価結果を下記の基準で判定した。[◎]、[○]は、良好で問題ないものであった。
[◎]:10個全ての電子装置の接続抵抗値が10Ω以下であったもの。
[○]:10個全ての電子装置の接続抵抗値が10Ωより高く、30Ω以下
であったもの。
[×]:1個以上の電子装置の接続抵抗値が30Ωより高かったもの。
<絶縁信頼性評価>
上記各実施例および比較例で得られた電子装置1(10個)それぞれについて、130
℃、85%RHの環境下で3Vの電圧を印加しながら200時間処理し、隣接バンプ間の絶縁抵抗値を連続測定することによって評価した。
評価結果を下記の基準で判定した。[◎]、[○]は、良好で問題ないものであった。
[◎]:200時間の処理で、10個すべての電子装置の絶縁抵抗値が常に
1.0×10
7Ω以上であったもの。
[○]:200時間の処理で、1個以上の電子装置の絶縁抵抗値が1.0×
10
4Ω以上、1.0×10
7Ω未満であったもの。
[×]:200時間の処理で、1個以上の電子装置の絶縁抵抗値が1.0×
10
4Ωを下回ったもの。
【0080】
<ダイシング性評価>
上記電子装置1の作製中に得られたフィルム状の接着シート付き半導体チップをフリップチップボンダー(Panasonic株式会社製、FCB3)を用いて、半導体チップのコーナーにあるアライメントマークを自動認識可能であるか否かを評価した。詳細について述べると、同一の条件でダイシングを行った際に、ダイシング性の良好なフィルム状の接着シートであればエッジ部がダレることがないため、フィルム状の接着シートに生じる傾斜や歪みによって光が乱反射することなく半導体チップのコーナーにあるアライメントマークを自動認識することができる。
一方、ダイシング性が悪いフィルム状の接着シートの場合、ダイシング時のブレードの圧力やブレードとの摩擦熱によってフィルム状の接着シートのエッジ部がダレてしまう。このためフィルム状の接着シートに生じる傾斜や歪みによって光が乱反射するため、半導体チップのコーナーにあるアライメントマークを自動認識することができなくなる。このことを利用して、フィルム状の接着シート付き半導体チップ10個のアライメントマークを自動認識可能であるか否か評価することによって、ダイシング性評価を行った。評価結果は下記の基準で判定した。
[○]:フィルム状の接着シート付き半導体チップ10個のうち、10個全てが
自動認識可能であった。
[△]:フィルム状の接着シート付き半導体チップ10個のうち、6個以上9個
以下が自動認識可能であった。
[×]:フィルム状の接着シート付き半導体チップ10個のうち、5個以下が
自動認識可能であった。
【0081】
<フィルム性評価>
上記作製したフィルム状の接着シートを用いて、25℃の雰囲気下で直径4mmφの円柱に巻きつけ、フィルム状の接着シートの割れ、欠けを評価した。評価結果を下記の基準で判定した。
[○]:フィルム状の接着シートに割れ、欠けが全く発生しなかった。
[×]:フィルム状の接着シートの一部に割れ、欠けが発生した。
<吸湿密着性評価>
上記作製したフィルム状の接着シートを、SiN膜が形成されたウエハに真空ラミネーター(名機株式会社製、MVLP)を用いて100℃、0.8MPa、30秒間でラミネートし、ダイシングにて2mm角のフィルム状の接着シート付きチップを作製した。また、SiN膜が形成された別個のウエハをダイシングにて6mm角のチップを作製し、このチップのSiN膜が形成された面に前述の2mm角のフィルム状の接着シート付きチップをフィルム状の接着シートが接するように120℃で接着し、その後180℃、60分間加熱しフィルム状の接着シートを硬化することによって評価用サンプルを5個ずつ作製した。これらを、60℃、60%、120時間処理した後に、260℃の雰囲気下でダイシェア強度を1水準当たり5個測定し、その平均値を得た。評価結果を下記の基準で判定した。
[○]:評価用サンプル5個のダイシェア強度の平均値が5MPa以上であった。
[△]:評価用サンプル5個のダイシェア強度の平均値が2MPa以上、5MPa
未満であった。
[×]:評価用サンプル5個のダイシェア強度の平均値が2MPa未満であった。
【0082】
<温度サイクル試験後のクラック評価>
上記作製した電子装置1(半導体装置)を−55℃/30分⇔125℃/30分、500サイクルの温度サイクル処理を行った後、断面研磨により半田接続部が現れる面が観察できるように加工し、フィルム状の接着シートのクラック発生の有無を観察した。評価結果を下記の基準で判定した。
[○]:フィルム状の接着シートにクラックが発生しない。
[×]:フィルム状の接着シートの一部にクラックが発生した。
上記実施例および比較例におけるフィルム状の接着シートの配合ならびに電子装置1の評価結果を表1〜表3に示す。
【0083】
<24℃で1ヶ月間保管後の接続性評価、絶縁信頼性評価>
実施例1〜25、比較例1〜4で作製したフィルム状の接着シートと、ウエハ加工用粘着テープ(ダイシングテープ、バックグラインドテープ、バックグラインドテープ兼ダイシングテープ:3種類)をラミネートすることによって得られたウエハ加工用粘着テープ一体型接着シート(ダイシングテープ一体型接着シート、バックグラインドテープ一体型接着シート、バックグラインドテープ兼ダイシングテープ一体型接着シート:3種類)を、24℃±5℃かつ紫外線がカットされた雰囲気下で1カ月間保管したこと以外は、実施例1と同様の方法で電子装置2〜4をそれぞれ10個作製し、10個の電子装置それぞれについて、半導体チップとシリコン製回路基板の接続抵抗値をデジタルマルチメーターで測定し、接続抵抗値を基に評価結果を下記の基準で判定した。[◎]、[○]は、良好で問題ないものであった。
[◎]:10個全ての電子装置の接続抵抗値が10Ω以下であったもの。
[○]:10個全ての電子装置の接続抵抗値が10Ωより高く、30Ω以下で
あったもの。
[×]:1個以上の電子装置の接続抵抗値が30Ωより高かったもの。
上記ウエハ加工用粘着テープ一体型接着シートを用いて作製した電子装置2〜4の10個それぞれについて、130℃、85%RHの環境下で3Vの電圧を印加しながら200時間処理し、隣接バンプ間の絶縁抵抗値を連続測定することによって評価した。
評価結果を下記の基準で判定した。[◎]、[○]は、良好で問題ないものであった。
[◎]:200時間の処理で、10個すべての電子装置の絶縁抵抗値が常に
1.0×10
7Ω以上であったもの。
[○]:200時間の処理で、1個以上の電子装置の絶縁抵抗値が1.0×
10
4Ω以上、1.0×10
7Ω未満であったもの。
[×]:200時間の処理で、1個以上の電子装置の絶縁抵抗値が1.0×
10
4Ωを下回ったもの。
【0084】
<ダイシングテープ一体型接着シート 24℃で1ヶ月間保管後の剥離評価>
実施例1〜25、比較例1〜4で作製したフィルム状の接着シートと、ダイシングテープをラミネートすることによって得られたダイシングテープ一体型接着シートを、24℃±5℃かつ紫外線がカットされた雰囲気下で1カ月間保管したこと以外は、実施例1と同様の方法で電子装置2を作製し、その途中の工程において、ダイシングテープ一体型接着シートからフィルム状の接着シート付き半導体チップを得る際に、下記の基準によって判定した。[◎]、[○]は、良好で問題ないものであった。
[◎]:ピックアップ装置を用いてフィルム状の接着シート付き半導体チップの
ピックアップを20個トライし、ピックアップできた個数が20個であ
った。
[○]:ピックアップ装置を用いてフィルム状の接着シート付き半導体チップ
ピックアップを20個トライし、ピックアップできた個数が16個以上、
19個以下であった。
[×]:ピックアップ装置を用いてフィルム状の接着シート付き半導体チップ
ピックアップを20個トライし、ピックアップできた個数が15個以
下であった。
【0085】
<バックグラインドテープ一体型接着シート 24℃で1ヶ月間保管後の剥離評価>
実施例1〜25、比較例1〜4で作製したフィルム状の接着シートと、バックグラインドテープをラミネートすることによって得られたバックグラインドテープ一体型接着シートを、24℃±5℃かつ紫外線がカットされた雰囲気下で1カ月間保管したこと以外は、実施例1と同様の方法で電子装置3を作製し、その途中の工程において、バックグランドテープ一体型接着シートの粘着剤層とフィルム状樹脂組成物の界面からバックグラインドテープを剥離する際に、下記の基準によって判定した。[◎]、[○]は、良好と判断した。
[◎]:半導体ウエハが破損することなく、粘着剤層とフィルム状の接着シート
の界面で剥離した。
[○]:粘着剤層とフィルム状の接着シートの界面で剥離するが、剥離が重いた
めに半導体ウエハに過度に力が加わり、半導体ウエハの一部に割れ、お
よび/または、一部に破損が発生したが、半導体チップは問題がなかった。
[×]:バックグラインドテープが剥がれない、および/または、粘着剤層とフィ
ルム状の接着シートの界面以外で剥離した。
【0086】
<バックグラインドテープ兼ダイシングテープ一体型接着シート 24℃で1ヶ月間保管後の剥離評価>
実施例1〜25、比較例1〜4で作製したフィルム状の接着シートと、バックグラインドテープ兼ダイシングテープをラミネートすることによって得られたバックグラインドテープ兼ダイシングテープ一体型接着シートを、24℃±5℃かつ紫外線がカットされた雰囲気下で1カ月間保管したこと以外は、実施例1と同様の方法で電子装置4を作製し、その途中の工程において、バックグラインドテープ兼ダイシングテープ一体型接着シートからフィルム状の接着シート付き半導体チップを得る際に、下記の基準によって判定した。[◎]、[○]は、良好と判断した。
[◎]:ピックアップ装置を用いてフィルム状の接着シート付き半導体チップの
ピックアップを20個トライし、ピックアップできた個数が20個であ
った。
[○]:ピックアップ装置を用いてフィルム状の接着シート付き半導体チップの
ピックアップを20個トライし、ピックアップできた個数が16個以上、
19個以下であった。
[×]:ピックアップ装置を用いてフィルム状の接着シート付き半導体チップの
ピックアップを20個トライし、ピックアップできた個数が15個以下
であった。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
表1〜3の結果より、実施例1〜25はいずれも、(A)成分、(B)成分、および(C)成分を含有するフィルム状の接着シートであり、これを用いた電子装置はいずれも接続性、絶縁信頼性、ウェハ加工用粘着シート一体型粘着テープの保存性に優れたものであった。
ウェハ加工用粘着シート一体型粘着テープの保存後の接続性評価においては、実施例2
2以外の実施例が優れており、ウェハ加工用粘着シート一体型粘着テープの剥離性評価においては、実施例8と実施例22以外の実施例が優れた結果となった。
一方、比較例1は、(B)成分を用いずアジピン酸を用いたものであるが、フラックス機能は付与できたものの、エポキシ樹脂との反応に関与しないアジピン酸がフィルム状の接着シート内に存在するため、絶縁信頼性が大きく低下した。比較例2は、(B)成分を用いなかったものであるが、フラックス機能を発現させることができず、接続性が大きく低下した。そして、比較例3は(A)成分を用いなかったものであるが、耐熱性が不足しているため、絶縁信頼性が大きく低下した。比較例4は、(B)成分を用いなかったものであるが、フラックス機能を発現させることができず、接続性が大きく低下した。