特許第5859145号(P5859145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5859145
(24)【登録日】2015年12月25日
(45)【発行日】2016年2月10日
(54)【発明の名称】電気集塵器の槌打
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/76 20060101AFI20160128BHJP
   B03C 3/36 20060101ALI20160128BHJP
【FI】
   B03C3/76
   B03C3/36 Z
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-553842(P2014-553842)
(86)(22)【出願日】2013年1月24日
(65)【公表番号】特表2015-504782(P2015-504782A)
(43)【公表日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】IB2013050629
(87)【国際公開番号】WO2013111095
(87)【国際公開日】20130801
【審査請求日】2014年7月28日
(31)【優先権主張番号】12461503.0
(32)【優先日】2012年1月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503416353
【氏名又は名称】アルストム テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】イレネウシュ マレツ
【審査官】 河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04968330(US,A)
【文献】 特開平10−077130(JP,A)
【文献】 特開平09−071118(JP,A)
【文献】 特開2002−253988(JP,A)
【文献】 特開平07−246348(JP,A)
【文献】 特開昭63−218267(JP,A)
【文献】 特開平1−180259(JP,A)
【文献】 実開昭60−86461(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 3/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気集塵器(100)であって、当該電気集塵器は、
煙道ガスチャンバ(10)と、
集電極(30)と、
前記集電極(30)を槌打する第1の槌打装置(60)と、
ダストホッパー(20)と、
前記ダストホッパー(20)と前記ダストホッパー(20)内に配置されている素子とのうちの少なくとも1つを槌打する第2の槌打装置(70)とを含んでおり、
前記第2の槌打装置(70)は、前記煙道ガスチャンバ(10)と前記ダストホッパー(20)とによって規定される内側のチャンバ内に配置されており、
前記第1の槌打装置(60)は、槌打ハンマ(62)とショックバー(63)とを含んでおり、該ショックバー(63)は前記集電極(30)に接続されている、
ことを特徴とする電気集塵器(100)。
【請求項2】
電気集塵器(100)であって、当該電気集塵器は、
煙道ガスチャンバ(10)と、
集電極(30)と、
前記集電極(30)を槌打する第1の槌打装置(60)と、
ダストホッパー(20)と、
前記ダストホッパー(20)と前記ダストホッパー(20)内に配置されている素子とのうちの少なくとも1つを槌打する第2の槌打装置(70)とを含んでおり、
前記第2の槌打装置(70)は、前記煙道ガスチャンバ(10)と前記ダストホッパー(20)とによって規定される内側のチャンバ内に配置されており、
前記第2の槌打装置(70)は槌打ハンマ(72)とショックバー(73)とを含んでおり、当該ショックバー(73)は、気流回り止め板(40)に固定されているか、または、ダストホッパー(20)内で可動に支持されている、ことを特徴とする電気集塵器(100)。
【請求項3】
前記第2の槌打装置(70)は、
・前記ダストホッパー(20)の内壁(21)、
・前記ダストホッパー(20)内に配置されており、かつ、前記ダストホッパー(20)の少なくとも1つの内壁(21)に接続されている構造素子(22A、23A)、
・前記ダストホッパー(20)の内壁(21)の近くで前記ダストホッパー(20)内に配置されている槌打板および
・前記ダストホッパー(20)内に配置されている気流回り止め板(40)
のうちの少なくとも1つを槌打する、請求項1または2記載の電気集塵器(100)。
【請求項4】
前記第1の槌打装置(60)の駆動によって前記第2の槌打装置(70)が駆動されるように、前記第1の槌打装置(60)と前記第2の槌打装置(70)とを相互に連結させる機械的な接続部(61)を含んでいる、請求項1から3までのいずれか1項記載の電気集塵器(100)。
【請求項5】
前記第1の槌打装置(60)は、軸(61)上に取り付けられた槌打ハンマ(62)を含んでおり、
前記第2の槌打装置(70)は、当該軸上に取り付けられた槌打ハンマ(72)を含んでいる、請求項1からまでのいずれか一項記載の電気集塵器(100)。
【請求項6】
前記第1の槌打装置(60)を駆動する第1の駆動システム(61)と、
前記第2の槌打装置(70)を駆動する第2の駆動システム(71)と、
前記第1の槌打装置(60)の駆動と前記第2の槌打装置(70)の駆動とが少なくとも部分的に同時に起こるように、前記第1の駆動システム(61)と前記第2の駆動システム(71)とをコントロールするコントロールシステムとを含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の電気集塵器(100)。
【請求項7】
煙道ガスチャンバ(10)と、集電極(30)と、前記集電極(30)を槌打する第1の槌打装置(60)と、ダストホッパー(20)とを有する電気集塵器(100)の改造方法であって、
前記ダストホッパー(20)と前記ダストホッパー(20)内に配置されている素子とのうちの少なくとも1つを槌打する第2の槌打装置(70)を前記電気集塵器(100)に設けるステップを含んでおり、
前記第2の槌打装置(70)は、前記煙道ガスチャンバ(10)と前記ダストホッパー(20)とによって規定される内側のチャンバ内に配置され
前記第2の槌打装置(70)は槌打ハンマ(72)とショックバー(73)とを含み、当該ショックバーは、気流回り止め板(40)に固定されるか、または、ダストホッパー(20)内で可動に支持される、
ことを特徴とする電気集塵器(100)の改造方法。
【請求項8】
前記第2の槌打装置(70)は、
・前記ダストホッパー(20)の内壁(21)、
・前記ダストホッパー(20)内に配置されており、かつ、前記ダストホッパー(20)の少なくとも1つの内壁(21)に接続されている構造素子(22A、23A)、
・前記ダストホッパー(20)の内壁(21)の近くで前記ダストホッパー(20)内に配置されている槌打板および
・前記ダストホッパー(20)内に配置されている気流回り止め板(40)
のうちの少なくとも1つを槌打する、請求項7記載の方法
【請求項9】
前記第1の槌打装置(60)の駆動によって前記第2の槌打装置(70)が駆動されるように、前記第1の槌打装置(60)と前記第2の槌打装置(70)とを相互に連結させる機械的な接続部(61)を前記電気集塵器(100)に設けるステップを含んでいる、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
前記第1の槌打装置(60)は、軸(61)上に取り付けられた槌打ハンマ(62)を含んでおり、
前記第2の槌打装置(70)は、当該軸上に取り付けられた槌打ハンマ(72)を含んでいる、請求項7から9までのいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
前記電気集塵器(100)は前記第1の槌打装置(60)を駆動する第1の駆動システム(61)と、当該第1の駆動システム(61)をコントロールするコントロールシステムとを含んでおり、
前記電気集塵器(100)に、前記第2の槌打装置(70)を駆動する第2の駆動システム(71)を設けるステップと、
前記第1の槌打装置(60)の駆動と前記第2の槌打装置(70)の駆動とが少なくとも部分的に同時に生じるように前記第2の駆動システム(71)をコントロールするように、前記コントロールシステムを構成するステップとを有している、請求項7または8記載の方法。
【請求項12】
煙道ガスチャンバ(10)と、集電極(30)と、前記集電極(30)を槌打する第1の槌打装置(60)と、ダストホッパー(20)とを有する電気集塵器(100)の槌打方法であって、
ただし、前記第1の槌打装置(60)は、槌打ハンマ(62)とショックバー(63)とを含んでおり、該ショックバー(63)は前記集電極(30)に接続されており、
前記方法は、
前記煙道ガスチャンバ(10)と前記ダストホッパー(20)とによって規定される内側のチャンバ内に配置されている第2の槌打装置(70)によって、前記ダストホッパー(20)と前記ダストホッパー(20)内に配置されている素子とのうちの少なくとも1つを槌打するステップを有している、
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記第2の槌打装置(70)による前記槌打は、
・前記ダストホッパー(20)の内壁(21)、
・前記ダストホッパー(20)内に配置されており、かつ、前記ダストホッパー(20)の少なくとも1つの内壁(21)に接続されている構造素子(22A、23A)、
・前記ダストホッパー(20)の内壁(21)の近くで前記ダストホッパー(20)内に配置されている槌打板および
・前記ダストホッパー(20)内に配置されている気流回り止め板(40)
のうちの少なくとも1つを槌打することを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記第1の槌打装置(60)は、軸(61)上に取り付けられた槌打ハンマ(62)を含んでおり、
前記第2の槌打装置(70)は、当該軸(61)上に取り付けられた槌打ハンマ(72)を含んでいる、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
前記第2の槌打装置(70)は、槌打ハンマ(72)を含んでいる、請求項12または13記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、電気集塵器、電気集塵器を改造する方法並びに電気集塵器を槌打する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気集塵器は、ガス流れから粒子状物質を除去することで知られている。例えば、電気集塵器は一般的に、石炭、油、産業廃棄物、都市ごみ、泥炭、バイオマスまたは他の燃料の燃焼によって、粒子状物質、例えばフライアッシを含む煙道ガスが生じる産業施設において使用されている。他の産業プロセスでは、粒子状物質は、電気集塵器内で、ガス流れから分別された飛散ダストまたは粉から成る。
【0003】
電気集塵器は、少なくとも2つの電極システムの電極間に静電界を形成することによって動作する。これらの電極システムのうちの第1の電極システムは典型的に、電源に接続されており、正の電荷を搬送するプレート状の電極を有している。このような電極は、通常、集電極または集塵プレートとして設計される。これらの電極システムの第2の電極システムは、典型的にワイヤーまたは先の尖った管の形態で組み込まれている電極を有している。これらの電極は上述した電源に接続されており、負の電荷を搬送する。このような電極は通常、放射電極または放電極として設計されている。第2の電極の側を通るガス流れ内の粒子状物質も同様に負の電荷を有しているので、これは集電極上の正の電荷に引きつけられ、保持される。
【0004】
時間とともに、粒子状物質は集電極上に集まり、電気集塵器がガス流れから粒子状物質を除去する効果が低減する。この問題を解決するために、機械的に集電極を槌で打つこと、すなわち槌打として知られている技術が公知である。集電極のこの槌打によって、粒子状物質(しばしば「ダスト」と称される)は、集電極から、その下の集塵ビン(しばしば「ダストホッパー」と称される)内に落下する。このようにして、粒子状物質の集電極が少なくとも部分的に浄化される。
【0005】
ダストホッパー内に落下した粒子状物質は、例えばスクリュー、ドラッグチェーンコンベヤー、コンベヤーベルトまたは他のダスト排出/搬送システムによって搬出され、地域の法律に従って、適切に処置される。
【0006】
本発明の課題は、この従来技術に改良を加えることである。
【0007】
本発明の要約
一般的に、本願発明は、ダストホッパーおよび/またはダストホッパー内に配置されている素子を槌打する槌打機構を提供することを開示する。これは、完全に電気集塵器内に配置されている槌打機構を用いて行われる。
【0008】
槌打機構全体が電気集塵器内に設けられているので、この槌打機構は電気集塵器内の周辺温度を考慮して、槌打機構上に結露が生じることを回避する。この結露は粒子状物質を濡らし、ボックス壁部またはボックス内に設けられている他の素子への凝集または粘着を生じさせ得る。この結露抑制も「ウェットスポット」の発生を低下させ、これによって、ダストチャンバの腐食が低減される。
【0009】
槌打機構は、ダストホッパーを内側から槌打する、または、ダストホッパーを有する部材を槌打するので、ダストホッパーを、まるでダストホッパーが外側から槌打される(すなわち、ボックスの絶縁壁部が槌打される)かのようにしっかりと形成する必要はない。
【0010】
槌打機構が電気集塵器内に設けられているので、槌打機構は、電気集塵器の集塵プレートを槌打するための槌打機構と一緒に駆動され得る。これは、現存するシステムの修復を容易にするだけでなく、ダストホッパーが電気集塵器の集塵プレートと同時に槌打されることも保証する。これによって、上述した、粒子状物質の凝集/粘着も回避される。
【0011】
槌打機構が電気集塵器内に設けられているので、槌打機構によって生じるあらゆる騒音が煙道ガスチャンバおよびダストホッパーの壁部によって、特にこのような壁部上に設けられている断熱材によって和らげられる。
【0012】
槌打機構が電気集塵器内に設けられているので、修復が容易に行われる。
【0013】
第1の態様では、本発明の開示内容は、煙道ガスチャンバと、集電極と、集電極を槌打する第1の槌打装置と、ダストホッパーとを含んでいる電気集塵器を教示する。この電気集塵器はさらに、放電極と、電源を有しており、この電源は集電極と放電極に接続されており、集電極と放電極との間で電界を形成する。集電極(および放電極)は、煙道ガスチャンバ内に配置されてもよい。
【0014】
集電極はプレート状であり得、金属プレートであり得る。放電極はワイヤー状、ロッド状、または尖っている管状であり得、同様に金属から成り得る。電気集塵器は、上述したように複数の集電極および/または放電極を含み得る。
【0015】
煙道ガスチャンバは流入口を有し得る。この流入口を通って、浄化されるべきガスが煙道ガスチャンバ内に流入する。煙道ガスチャンバは流出口も有し得る。この流出口を通って、電気集塵器によって浄化されたガスが煙道ガスチャンバから流出する。
【0016】
第1の槌打装置は、少なくとも1つの槌打ハンマを有し得る。この槌打ハンマは、集電極を槌打するまたはショックバーを槌打するように配置され得る。このショックバーは集電極に接続されている、または、集電極に背く。従って、第1の槌打装置は、少なくとも1つのこのようなショックバーを含み得る。槌打ハンマは、回転軸に接続されたタンブリングハンマであり得る。複数の槌打装置がこの軸に接続可能であり、各ハンマは1つまたは複数の集電極の各セットを槌打する。各槌打ハンマは、各集電極セットを、軸が回転する毎に一度槌打し得る。軸の回転毎に個々の槌打ハンマによって行われる槌打が、不規則な間隔で生じるように槌打ハンマを軸上に配置し得る。これは、力の蓄積を避けるだけでなく、槌打の騒音を低減させる。槌打ハンマおよび/またはショックバーは金属から製造され得る。
【0017】
煙道ガスチャンバは、煙道ガスチャンバからダストホッパーへの粒状物質の通過を可能にする1つまたは複数のチャンバ開口部を有し得る。煙道ガスチャンバとダストホッパーは、集電極から槌打された粒子状物質が、重力によって、煙道ガスチャンバからダストホッパーへと搬送されるように配置されて得る。電気集塵器は、ダスト排出/搬送システムを含むことができる。これは例えばドラグチェーンコンベヤー、コンベヤーベルトまたはスクリュー機構を含み得る。これは自動的に、粒子状物質をダストホッパーから除去する。これは例えば、ダストホッパー内に蓄積された粒子状物質である。ダストホッパーは、ボックス開口部を含み得る。これは、ダスト排出/搬送システムの各部分を受け入れる、および/または、ダストホッパーからの粒子状物質の排出/搬送を可能にする。
【0018】
煙道ガスチャンバは、実質的または本質的に、上述した流入口と流出口と開口部を除いて、閉鎖されたチャンバである。換言すれば、煙道ガスチャンバは、上述した流入口、流出口および開口部を除いて、実質的または本質的に閉鎖されたチャンバを形成する複数の壁部によって形成される。1つまたは複数または全ての壁部は、金属シートから形成され得る。
【0019】
ダストホッパーは煙道ガスチャンバに近接して配置されることがあり、これによって、ダストチャンバは、上述したチャンバ開口部およびボックス開口部を除いて実質的または本質的に閉鎖されたチャンバを形成する。換言すれば、ダストホッパーは、煙道ガスチャンバの1つまたは複数の壁部とともに、上述したチャンバ開口部およびボックス開口部を除いて実質的または本質的に閉鎖されたチャンバを形成する複数の(内)壁によって形成される。
【0020】
ダストホッパーは、実質的にV字状であり得る、または、実質的にピラミッド状であり得る。V字の幅広部分またはピラミッドの底部は、煙道ガスチャンバに近接して位置し得る。
【0021】
電気集塵器は、上述したような複数のダストホッパーを含み得る。
【0022】
煙道ガスチャンバと(複数の)ダストホッパーは共同して、内側のチャンバを規定し得る。この内側のチャンバは、上述した流入口、流出口およびボックス開口部を除いて、実質的または本質的に閉鎖されたチャンバであり得る。この内側のチャンバは実質的に、流入口から流出口へと通過するガスと、ガスから除去された粒子状物質を中に入れている。すなわち、実質的にガスおよび粒子状物質が、周辺雰囲気内に飛散するのを阻止する。この内側のチャンバの周を構成する煙道ガスチャンバおよび(複数の)ダストホッパーの壁部は、絶縁され得る。
【0023】
ダストホッパーは、1つまたは複数の構造的な素子を含み得る。これは例えば、ダストホッパーの安定性を高めるための素子、例えばダストホッパーが粒子状物質の重さを負って膨れることを阻止するための素子である。この点で、あらゆる構造的な素子は、ダストホッパーの少なくとも1つの内壁に接続され得る。あらゆる構造的な素子は、ダストホッパーの内側に位置付けされ得る。あらゆる構造的な素子は、ダストホッパーの内側にわたって、ダストホッパーの1つの内壁から、ダストホッパーの別の内壁へと延在し得る。
【0024】
電気集塵器は、ダストホッパーを通って(流入口から流出口へと通過して)ガスが流れるのを阻止するために、1つまたは複数の気流回り止め板を含み得る。あらゆる気流回り止め板が、ダストホッパー内または少なくともダストホッパー内に配置可能である。気流回り止め板は、金属製のプレートであり得る。気流回り止め板は、電気集塵器内に、チェーン、ワイヤーおよび/またはサスペンションビームからつり下げられ得る。
【0025】
電気集塵器は、第2の槌打装置を含み得る。この第2の槌打装置は、ダストホッパーを槌打し得る。この第2の槌打装置は、ダストホッパー内の素子を槌打し得る。このようにして第2の槌打装置は、ダストホッパー内に粒子状物質が凝集および粘着するのを防ぐ。
【0026】
例えば、電気集塵器は、少なくとも1つの槌打板を含み得る。これは、第2の槌打装置によって槌打される。槌打板は、ダストホッパーの内壁のすぐ近くに、近接して、および/またはこれに沿って配置可能である。槌打板は、チェーンまたはワイヤーによってダストホッパー内につり下げ可能である。槌打板は、金属製プレートであり得る。このような槌打板の槌打は、ダストホッパーの著しい振動を受けることなく、ダストホッパー内壁の槌打と同様の槌打効果を提供することができる。
【0027】
第2の槌打装置は、ダストホッパーの少なくとも1つの内壁を槌打し得る。第2の槌打装置は、あらゆる上述の構造的な素子を槌打可能であり、例えば、ダストホッパー内部に配置されている構造的な素子を槌打可能である。第2の槌打装置は、あらゆる気流回り止め板を槌打し得る。第2の槌打装置は、ダストホッパーの内壁の少なくとも1つ、前記ダストホッパーの少なくとも1つの内壁に接続されている構造的な素子および前記ダストホッパー内に配置されている気流回り止め板を槌打し得る。
【0028】
第2の槌打装置は、少なくとも1つの槌打ハンマを含み得る。この槌打ハンマは、槌打される素子(例えば内壁、構造的な素子、槌打板および/または気流回り止め板)を槌打するように、または、ショックバーを槌打するように配置され得る。このショックバーは、(複数の)槌打される素子に接続されている、または、これに背く。従って、第2の槌打装置は、少なくとも1つのこのようなショックバーを含み得る。ショックバーは、1つまたは複数の支持部材によって支持され得る。この支持部材は、上述したあらゆる構造的な素子に固定され得る。槌打ハンマは、回転軸に接続されたタンブリングハンマであり得る。複数の槌打ハンマをこの軸に接続することができ、各ハンマは各槌打される部材またはショックバーを槌打する。各槌打ハンマは、各槌打される部材またはショックバーを、軸の回転毎に一度槌打する。槌打ハンマは、次のように軸上に配置され得る。すなわち、軸の回転毎に各槌打ハンマによって行われる槌打が不規則な間隔で生じるように配置され得る。これは、力の蓄積を回避するだけでなく、槌打の騒音も低減させる。槌打ハンマおよび/またはショックバーは、金属から成り得る。
【0029】
第2の槌打装置は、内側のチャンバ内に配置され得る。換言すれば、第2の槌打装置は、煙道ガスチャンバまたはダストホッパー内に配置可能である、または、第2の槌打装置は次のように配置され得る。すなわち、第2の槌打装置の一部が煙道ガスチャンバ内に配置され、第2の槌打装置の残りの部分がダストホッパー内に配置されるように配置され得る。第2の槌打装置は次のように構成され得る。すなわち、第2の槌打装置の槌打ハンマが煙道ガスチャンバ内に配置され、第2の槌打装置のショックバーが、槌打ハンマのすぐ近くの煙道ガスチャンバ内の位置から、ダストホッパー内の槌打される素子の位置へと延在するように構成され得る。
【0030】
電気集塵器は、第1の槌打装置の駆動によって第2の槌打装置が駆動されるように、第1の槌打装置と第2の槌打装置とを相互に連結する機械的な接続部を含み得る。この機械的な接続は、チェーン、軸および/またはギアシステムを含み得る。例えば、第1の槌打装置の1つまたは複数の槌打ハンマおよび第2の槌打装置の1つまたは複数の槌打ハンマは、共通の軸上に取り付けられ得る。これと同様に、その上に、第1の槌打装置の1つまたは複数の槌打ハンマが取り付けられている軸は、例えばチェーンまたはギアシステムによって、その上に、第2の槌打装置の1つまたは複数の槌打ハンマが取り付けられている軸に接続され得る。
【0031】
電気集塵器は、第1の槌打装置を駆動する第1の駆動システムを含み得る。この第1の駆動システムは、電気モータを含み得る。第1の駆動システムは、その上に、第1の槌打装置の1つまたは複数の槌打ハンマが取り付けられている軸を含み得る。例えば、電気集塵器は、第1の槌打装置を直接的または間接的に駆動する電気モータを含み得る。これは例えば、その上に、第1の槌打装置の1つまたは複数の槌打ハンマが取り付けられている軸を直接的または間接的に駆動する。第1の駆動システムは、内側のチャンバの内側、または、少なくとも部分的に、内側のチャンバの外側に配置され得る。
【0032】
電気集塵器は、第2の槌打装置を駆動する第2の駆動システムを含み得る。この第2の駆動システムは、電気モータを含み得る。第2の駆動システムは、その上に、第2の槌打装置の1つまたは複数の槌打ハンマが取り付けられている軸を含み得る。例えば、電気集塵器は、第2の槌打装置を直接的または間接的に駆動する電気モータを含み得る。これは例えば、その上に、第2の槌打装置の1つまたは複数の槌打ハンマが取り付けられている軸を直接的または間接的に駆動する。第2の駆動システムは、内側のチャンバの内側、または、少なくとも部分的に、内側のチャンバの外側に配置され得る。
【0033】
電気集塵器は、コントロールシステムを含み得る。このコントロールシステムは、第1の駆動システムの駆動と第2の駆動システムの駆動とが少なくとも部分的に同時に生じるように、第1の駆動システムと第2の駆動システムをコントロールするように構成されている。
【0034】
第2の態様に関して、本願の開示内容は、電気集塵器を改造する方法を教示する。電気集塵器を改造するこの方法は、上述したあらゆる特徴を電気集塵器に備え付ける/上述したあらゆる特徴で電気集塵器を改装することを含む。
【0035】
第3の態様に関して、本願の開示内容は、電気集塵器を槌打する方法を教示する。電気集塵器を槌打するこの方法は、上述したあらゆる特徴を有する電気集塵器を、上述したあらゆる方法で槌打することを含む。
【0036】
本発明の新規の特徴並びに発明自体の構造および動作は、添付図面から、付随する説明を参照して、良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本願の開示内容に即した、電気集塵器の実施例の概略図
図2】本願の開示内容に即した、第1の槌打装置の実施例の概略図
図3】本願の開示内容に即した、第2の槌打装置の実施例の概略図
図4】本願の開示内容に即した、第2の槌打装置の別の実施例の概略図
図5】本願の開示内容に即した、第2の槌打装置のさらに別の実施例の概略図
【実施例】
【0038】
図1は、本願の開示内容に即した、例えば上述されたような電気集塵器100の実施例の概略図を示している。
【0039】
図1に示されている実施例では、電気集塵器100は、粒子状物質、例えばフライアッシを含んでいるガス51の流入用の流入口11と、粒子状物質がほぼ除去されたガス52の流出用の流出口12とを有している。流入ガス51は、内部で例えば石炭が燃やされた炉からの煙道ガスであり得る。
【0040】
電気集塵器100は、1つの煙道ガスチャンバ10と、複数の壁部13とを含む。これらの壁部は実質的に、煙道ガスチャンバ10を規定している。煙道ガスチャンバ10、すなわち壁部13は、ガスが流入口11から流出口12へと流れるときにガス用の容器の一部を提供する。
【0041】
電気集塵器100は、複数の集電極30を有している。1つまたは複数の放電極および1つまたは複数の電源と共に、従来技術において公知のように、集電極30は、流入ガス51から粒子状物質を除去することができる。特に、粒子状物質は、集電極30上に蓄積する。
【0042】
電気集塵器100は、第1の槌打装置60(図1には示されていない)を含んでいる。これは、その上に堆積している粒子状物質をどかすために集電極30を槌打する。第1の槌打装置は軸61を含む。
【0043】
電気集塵器100は、1つまたは複数のダストホッパー20と複数の壁部21とを含んでいる。これらの壁部は実質的にダストホッパー20を画定している。ダストホッパー20は、集電極30から槌打された粒子状物質を集めるように位置付けされている。ダスト排出/搬送システム、例えばコンベヤーベルト80(図1には示されていない)が設けられ、これによって、ダストホッパー20内に集められた粒子状物質が適切な処理のために自動的に搬出される。
【0044】
ダストホッパー20は、接続部材23によって壁部21に固定されているクロスバー22の形態の複数の構造的な素子を含んでいる。このケースではクロスバー22である、この構造的な素子は、このようにして、ダストホッパー20内の粒子状物質の重さに耐えるように、壁部21に対する補強を提供する。
【0045】
電気集塵器100は、複数の気流回り止め板40を含んでいる。これらは、流入口11から流出口12へと流れるときに、流入ガス51がダストホッパー20を通って流れないようにする。
【0046】
図2は、本願の開示内容に従った、例えば上述されたような第1の槌打装置60の実施例の概略図を示している。
【0047】
より良く理解するために、図2は、電気集塵器の特徴も示している。これらの特徴は既に上述されているので、それらの構造および機能は繰り返し説明されない。
【0048】
図2に示された実施例では、第1の槌打装置60は、槌打ハンマ62とショックバー63とを含んでいる。図示の実施形態では、槌打ハンマ62は、タンブリングハンマであって、これは軸61と接続されており、かつ軸61と共に回転する。槌打ハンマ62は、軸61が回転する毎に一度、ショックバー63を槌打するように配置されている。ショックバー63は、複数の固定器具64によって集塵プレート30に接続されている。従って、槌打ハンマ62の、ショックバー63の槌打は集塵プレート30に伝えられ、これは、集塵プレート30に付着している粒状物質をどかす。どかされた粒状物質は、その後、上述したように、ダストホッパー20内に落ちる。
【0049】
図3は、本願の開示内容に従った、例えば上述されたような第2の槌打装置70の実施例の概略図を示している。
【0050】
より良く理解するために、図3は、電気集塵器の特徴も示している。これらの特徴は既に、上述されているので、それらの構造および機能は繰り返し説明されない。
【0051】
図3に示された実施例では、第2の槌打装置70は、槌打ハンマ72とショックバー73とを含んでいる。図示の実施形態では、槌打ハンマ72は、タンブリングハンマである。これは、軸61と接続されており、かつ軸61と共に回転する。集電極30を槌打する第1の槌打装置60の槌打ハンマ62も、この軸61上に取り付けられ得る。槌打ハンマ72は、軸61が回転する毎に一度、ショックバー73を槌打するように配置されている。ショックバー73は、ダストホッパー20のクロスバー22上に取り付けられている複数のガイド74によって可動に、例えばスライドするように支持されている。ショックバー73は、クロスバー22Aと接続エレメント23Aに接続されている。この接続エレメントは、逆側でダストホッパー20の壁部21に接続されている。従って、槌打装置72の、ショックバー73の槌打は、ダストホッパー20の壁部21に伝達される。これは、ダストホッパー20内での粒状物質の粘着と目詰まりを防ぐ。
【0052】
図4は、本願の開示内容に従った、例えば上述されたような第2の槌打装置70の別の実施例の概略図である。
【0053】
より良く理解するために、図4は、電気集塵器の特徴も示している。これらの特徴は既に、上述されているので、それらの構造および機能は繰り返し説明されない。
【0054】
図4に示された実施例では、第2の槌打装置70は、槌打ハンマ72とショックバー73とを含んでいる。図示の実施形態では、槌打ハンマ72は、タンブリングハンマであって、これは、軸61と接続されており、かつ軸61と共に回転する。集電極30を槌打する第1の槌打装置60の槌打ハンマ62も、軸61上に取り付けられ得る。槌打ハンマ72は、軸61が回転する毎に一度、ショックバー73を槌打するように配置されている。ショックバー73は、固定エレメント75によって気流回り止め板40に固定されている。従って、槌打装置72の、ショックバー73の槌打は、気流回り止め板40に伝達される。これは、ダストホッパー20内での粒状物質の粘着および目詰まりを防ぐ。
【0055】
図4は、ダストホッパー20の底部に配置されたコンベヤーベルト80も示している。コンベヤーベルト80は、処理のために、ダストホッパー20の底部に落ちている粒子状物質を搬出する。
【0056】
図5は、本願の開示内容に従った、例えば上述されたような第2の槌打装置70の別の実施例の概略図である。
【0057】
より良く理解するために、図5は、電気集塵器の特徴も示している。これらの特徴は既に、上述されているので、それらの構造および機能は繰り返し説明されない。
【0058】
図5に示された実施例では、第2の槌打装置70は、槌打ハンマ72とショックバー73とを含んでいる。図示の実施形態では、槌打ハンマ72は、タンブリングハンマであって、これは、軸71と接続されており、かつ軸71と共に回転する。槌打ハンマ72は、軸61が回転する毎に一度、ショックバー73を槌打するように配置されている。ショックバー73は、ダストホッパー20のクロスバー22上に取り付けられている複数のガイド74によって可動に、例えばスライドするように支持されている。ショックバー73は、クロスバー22Aおよび接続エレメント23Aに接続されている。この接続エレメントは、逆側で、ダストホッパー20の壁部21に接続されている。従って、槌打装置72の、ショックバー73の槌打は、ダストホッパー20の壁部21に伝達される。これは、ダストホッパー20内での粒状物質の粘着および目詰まりを防ぐ。
【0059】
軸71が、例えば、チェーン、軸および/またはギアの組み合わせによって機械的に、軸61に接続されていてもよい。集電極30を槌打する第1の槌打装置60の槌打ハンマ62が、軸61上に取り付けられ得る。従って、第1の槌打装置の駆動によって、第2の槌打装置が駆動され、これは、ダストホッパー20内での粒状物質の粘着および目詰まりを防ぐ。
【0060】
軸61は、第1の駆動システムによって、または、第1の駆動システムの一部によって駆動され得る。軸71は、第1の駆動システムとは無関係の第2の駆動システムによって、または、第2の駆動システムの一部によって駆動され得る。第1の駆動システムの駆動および第2の駆動システムの駆動は、共通のコントローラによってコントロール可能である。従って、第1の駆動システムの駆動と第2の駆動システムの駆動は、少なくとも部分的に同時に行われる。これは同様に、ダストホッパー20内での粒状物質の粘着および目詰まりを防ぐ。
【0061】
本発明の種々の実施形態を開示し、詳細に記載したが、当業者には、本発明の構造、動作および形状に対する種々の変更が、本発明の主旨および範囲を逸脱することなく行われることが自明である。特に、本発明の個々の特徴は、それが、単独で開示されていたとしても、本発明の別の特徴と組み合わせて、当業者に無意味であると容易に分かるものを除いて、あらゆる構造に組み合わせられる、ということに留意されたい。同様に、単数形および複数形の使用も、単に分かりやすくするためだけのものであり、本願を制限するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5