(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画素駆動部は、前記第2電圧信号を前記所定電圧に切り替えるタイミングを、前記表示駆動部において表示駆動するラインに応じて制御する請求項1に記載の液晶表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の技術を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。本開示は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値などは例示である。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は以下の順序で行う。
1.本開示の液晶表示装置、液晶表示装置の駆動方法、及び、電子機器、全般に関する説明
2.実施形態に係る液晶表示装置
2−1.システム構成
2−2.MIP方式の画素
2−3.面積階調法
2−4.実施形態の特徴部分
3.電子機器
4.本開示の構成
【0013】
<1.本開示の液晶表示装置、液晶表示装置の駆動方法、及び、電子機器、全般に関する説明>
本開示の液晶表示装置は、記憶機能を持つ画素が配置されて成る液晶表示装置である。この種の液晶表示装置としては、例えば、画素内にデータを記憶可能なメモリ部を有する、所謂、MIP(Memory In Pixel)方式の液晶表示装置を例示することができる。また、画素にメモリ性液晶を用いることで、画素に記憶機能を持つ液晶表示装置とすることができる。本開示の液晶表示装置は、モノクロ表示対応の液晶表示装置であってもよいし、カラー表示対応の液晶表示装置であってもよい。
【0014】
画素に記憶機能を有する液晶表示装置は、画素にデータを記憶できることで、モード切替えスイッチによってアナログ表示モードによる表示と、メモリ表示モードによる表示とを実現できる。ここで、「アナログ表示モード」とは、画素の階調をアナログ的に表示する表示モードである。また、「メモリ表示モード」とは、画素に記憶されている2値のデータ(論理“1”/論理“0”)に基づいて、画素の階調をデジタル的に表示する表示モードである。
【0015】
画素に記憶機能を有する液晶表示装置、例えば、MIP方式の液晶表示装置にあっては、解像度の制約により、画素に内蔵する回路規模が限られるために表示階調数が低下する傾向にある。そこで、MIP方式の液晶表示装置にあっては、複数のフレームを1周期とし、即ち、1フレームの画像生成を複数のサブフレームに分割し、この1周期(1フレームの画像生成周期)内で各画素の階調を時間的に変化させることで中間階調を得るFRC駆動にて表示駆動を行う構成とすることができる。
【0016】
前にも述べたように、「FRC駆動」とは、異なる複数の階調輝度をサブフレーム単位で高速に切り替えることによって人間の目の残像特性(残像効果)を利用し、複数の階調輝度の中間調輝度を表示させる駆動法である。ここで、「サブフレーム」とは、複数のフレームを1周期(1フレームの画像生成周期)とするときの各フレームを言う。このFRC駆動を行うことで、1フレームを1周期(1フレームの画像生成周期)とするフレーム単位での駆動の場合に比べて、表示(表現)可能な階調数を上げることができる。
【0017】
上述したように、本開示の液晶表示装置、液晶表示装置の駆動方法、及び、電子機器は、記憶機能を持つ画素が配置されて成り、FRC駆動にて表示駆動を行う構成を前提としている。また、記憶機能を持つ画素の駆動に当たっては、液晶容量の対向電極に印加されるコモン電圧に対して同相の電圧または逆相の電圧を液晶容量の画素電極に印加(供給)することになる。コモン電圧は、極性が所定の周期で反転する電圧である。
【0018】
液晶表示装置にあっては、液晶の特性上、液晶ON状態から液晶OFF状態への遷移時と、液晶OFF状態から液晶ON状態への遷移時とで応答速度が異なる。尚、液晶については特に限定するものではなく、ノーマリーホワイト液晶であってもよいし、ノーマリーブラック液晶であってもよい。ここでは、ノーマリーホワイト液晶の場合を例に挙げて説明するが、ノーマリーブラック液晶ではノーマリーホワイト液晶の逆になる。
【0019】
ノーマリーホワイト液晶の場合、液晶に電圧が印加されていない状態が液晶OFFの状態であって白表示となる。また、液晶に電圧が印加されている状態が液晶ONの状態であって黒表示となる。そして、ノーマリーホワイト液晶では、白(液晶OFF)から黒(液晶ON)への遷移時の応答速度と、黒から白への遷移時の応答速度が異なる。
【0020】
具体的には、液晶OFFから液晶ONへ遷移するときの方が、液晶ONから液晶OFFへ移行するときよりも応答速度が速い。このように、液晶ON/OFF時の応答速度が異なると、FRC駆動を適用する場合、中間調が黒に寄ってしまうため、期待する中間調を表示できないことになる。
【0021】
そこで、本開示の液晶表示装置、液晶表示装置の駆動方法、及び、電子機器にあっては、コモン電圧に対して同相の電圧の供給から逆相の電圧の供給に遷移させるときに、コモン電圧の高電圧側と低電圧側との間の中間電圧を液晶容量の画素電極に供給するようにする。
【0022】
このように、FRC駆動を適用するに当たって、同相の電圧の供給から逆相の電圧の供給に遷移させるときに中間電圧を介在させることで、液晶ON/OFF時の応答速度の差を、中間電圧を介在させないときよりも小さくできる。これにより、例えばノーマリーホワイト液晶の場合、中間調が黒に寄ってしまうような現象を回避できるため、期待する中間調の表示を実現できる。
【0023】
そして、上述した好ましい構成を含む、本開示の液晶表示装置、液晶表示装置の駆動方法、及び、電子機器にあっては、コモン電圧の高電圧側と低電圧側との間の中間電圧を供給するタイミングを、表示駆動するライン(画素行)に応じて制御する構成とすることができる。このとき、画素の記憶内容の書き換えタイミングに応じて中間電圧を供給するようにするのが好ましい。
【0024】
また、上述した好ましい構成を含む、本開示の液晶表示装置、液晶表示装置の駆動方法、及び、電子機器にあっては、液晶表示装置(液晶表示パネル)の周辺環境の温度に応じて中間電圧の供給を制御する構成とすることができる。
【0025】
液晶の応答特性は、周辺環境の温度によって変わる。具体的には、周辺環境の温度が所定の温度を超える高温状態の環境下では、液晶の応答特性が速くなる。これにより、例えばノーマリーホワイト液晶にあっては、液晶ONから液晶OFFへ移行するときの液晶の応答速度も速くなる。
【0026】
このような観点からすると、周辺環境の温度が所定の温度を超えるときは中間電圧の供給を行わないようにし、周辺環境の温度が所定の温度以下のときに中間電圧の供給を行うようにするのが好ましい。このとき、周辺環境の温度に応じて中間電圧の電圧値を調整したり、周辺環境の温度に応じて中間電圧の供給時間を調整したりする構成とすることができる。
【0027】
ところで、MIP方式の液晶表示装置にあっては、画素毎に1ビットで2階調しか表現を行うことができない。そのために、画素の駆動に当たっては、階調表現方式として、1つの画素を複数の副画素で構成し、当該複数の副画素の電極の面積の組み合わせによって階調を表示する面積階調法を用いる構成とするのが好ましい。
【0028】
ここで、「面積階調法」とは、面積比を2
0,2
1,2
2,・・・,2
N-1、という具合に重み付けしたN個の副画素電極で2
N個の階調を表現する階調表現方式である。この面積階調法は、例えば、画素回路を構成するTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)の特性ばらつきによる画質の不均一性を改善する等の目的で採用される。
【0029】
面積階調法にて駆動される画素の画素電極にあっては、複数の副画素毎に複数の電極に分割されており、当該複数の電極の面積の組合せによって階調表示を行う構成とするのが好ましい。このとき、複数の電極は3つの電極から成り、真ん中の電極と当該真ん中の電極を挟む2つの電極との面積の組合せによって階調表示を行う構成とするのが好ましい。また、真ん中の電極を挟む2つの電極は、互いに電気的に結線され、1つの駆動回路によって駆動される構成とするのが好ましい。
【0030】
<2.実施形態に係る液晶表示装置>
続いて、本開示の実施形態に係る液晶表示装置である、アクティブマトリクス型液晶表示装置について説明する。
【0031】
[2−1.システム構成]
図1は、本開示の実施形態に係るアクティブマトリクス型液晶表示装置の構成の概略を示すシステム構成図である。液晶表示装置は、少なくとも一方が透明な2枚の基板(図示せず)が所定の間隔をもって対向して配置され、これら2枚の基板間に液晶が封入されたパネル構造となっている。
【0032】
本実施形態に係る液晶表示装置10は、液晶容量を含む複数の画素20が行列状に2次元配列されてなる画素アレイ部30と、当該画素アレイ部30の周辺に配置された表示駆動部とを有する構成となっている。表示駆動部は、信号線駆動部40、制御線駆動部50、及び、駆動タイミング発生部60などから成り、例えば、画素アレイ部30と同じ液晶表示パネル(基板)11上に集積され、画素アレイ部30の各画素20を駆動する。
【0033】
ここで、液晶表示装置10がカラー表示対応の場合は、1つの画素は複数の副画素(サブピクセル)から構成され、この副画素の各々が画素20に相当することになる。より具体的には、カラー表示用の液晶表示装置では、1つの画素は、赤色(R)光の副画素、緑色(G)光の副画素、青色(B)光の副画素の3つの副画素から構成される。
【0034】
但し、1つの画素としては、RGBの3原色の副画素の組み合わせに限られるものではなく、3原色の副画素に更に1色あるいは複数色の副画素を加えて1つの画素を構成することも可能である。より具体的には、例えば、輝度向上のために白色光の副画素を加えて1つの画素を構成したり、色再現範囲を拡大するために補色光の少なくとも1つの副画素を加えて1つの画素を構成したりすることも可能である。
【0035】
本実施形態に係る液晶表示装置10は、画素20として記憶機能を有する画素、例えば、画素毎にデータを記憶可能なメモリ部を有するMIP方式の画素を用い、アナログ表示モードによる表示とメモリ表示モードによる表示の両方に対応可能な構成となっている。MIP方式の画素を用いる液晶表示装置10にあっては、画素20に常に一定電圧がかかることになるために、画素トランジスタの光リーク等による経時的な電圧変動によるシェーディングの問題を解消できる利点がある。
【0036】
図1において、画素アレイ部30のm行n列の画素配列に対して、列方向に沿って信号線31
1〜31
n(以下、単に「信号線31」と記述する場合もある)が画素列毎に配線されている。また、行方向に沿って制御線32
1〜32
m(以下、単に「制御線32」と記述する場合もある)が画素行毎に配線されている。ここで、「列方向」とは画素列の画素の配列方向(即ち、垂直方向)を言い、「行方向」とは画素行の画素の配列方向(即ち、水平方向)を言う。
【0037】
信号線31(31
1〜31
n)の各一端は、信号線駆動部40の画素列に対応した各出力端に接続されている。信号線駆動部40は、任意の階調を反映した信号電位(アナログ表示モードではアナログ電位、メモリ表示モードでは2値電位)を、対応する信号線31に対して出力するように動作する。また、信号線駆動部40は、例えばメモリ表示モードの場合でも、画素20内に保持する信号電位の論理レベルを入れ替える場合、必要な階調を反映した信号電位を対応する信号線31に対して出力するように動作する。
【0038】
図1では、制御線32
1〜32
mについて、1本の配線として示しているが、1本に限られるものではない。実際には、制御線32
1〜32
mは複数本の配線からなる。この制御線32
1〜32
mの各一端は、制御線駆動部50の画素行に対応した各出力端に接続されている。制御線駆動部50は、例えばアナログ表示モードの場合、信号線駆動部40から信号線31
1〜31
nに出力される、階調を反映した信号電位の画素20に対する書込み動作の制御を行う。
【0039】
駆動タイミング発生部(TG;タイミングジェネレータ)60は、信号線駆動部40及び制御線駆動部50を駆動するための各種の駆動パルス(タイミング信号)を生成し、これら駆動部40,50に供給する。
【0040】
[2−2.MIP方式の画素]
続いて、画素20として用いるMIP方式の画素について説明する。MIP方式の画素は、アナログ表示モードによる表示とメモリ表示モードによる表示の両方に対応可能な構成となっている。前にも述べたように、アナログ表示モードとは、画素の階調をアナログ的に表示する表示モードである。また、メモリ表示モードとは、画素内のメモリに記憶されている2値情報(論理“1”/“0”)に基づいて、画素の階調をデジタル的に表示する表示モードである。
【0041】
メモリ表示モードの場合、メモリ部に保持されている情報を用いるため、階調を反映した信号電位の書込み動作をフレーム周期で実行する必要がない。そのため、メモリ表示モードの場合は、階調を反映した信号電位の書き込み動作をフレーム周期で実行する必要があるアナログ表示モードの場合に比べて消費電力が少なくて済む、換言すれば、表示装置の低消費電力化を図ることができる利点がある。
【0042】
図2は、MIP方式の画素20の回路構成の一例を示すブロック図である。また、
図3に、MIP方式の画素20の動作説明に供するタイミングチャートを示す。
【0043】
画素20は、液晶容量21の他、図面の簡略化のために図示を省略するが、例えば薄膜トランジスタ(TFT)から成る画素トランジスタ及び保持容量を有する構成となっている。液晶容量21は、画素電極とこれに対向して形成される対向電極との間で発生する液晶材料の容量成分を意味している。液晶容量21の対向電極にはコモン電圧V
COMが全画素共通に印加される。
図3のタイミングチャートに示すように、コモン電圧V
COMは、所定の周期(例えば、フレーム周期)で極性が反転する電圧である。
【0044】
画素20は更に、3つのスイッチ素子22〜24及びラッチ部25を有するSRAM機能付きの画素構成となっている。スイッチ素子22は、信号線31(
図1の信号線31
1〜31
nに相当)に一端が接続されている。そして、
図1の制御線駆動部50から制御線32(
図1の制御線32
1〜32
mに相当)を介して走査信号φVが与えられることによってオン(閉)状態となり、
図1の信号線駆動部40から信号線31を介して供給されるデータSIGを取り込む。この場合の制御線32は走査線ということになる。ラッチ部25は、互いに逆向きに並列接続されたインバータ251,252によって構成されており、スイッチ素子22によって取り込まれたデータSIGに応じた電位を保持(ラッチ)する。
【0045】
スイッチ素子23,24の各一方の端子には、コモン電圧V
COMと同相の電圧FRP及び逆相の電圧XFRPが与えられる。スイッチ素子23,24の各他方の端子は共通に接続され、本画素回路の出力ノードN
outとなる。スイッチ素子23,24は、ラッチ部25の保持電位の極性に応じていずれか一方がオン状態となる。これにより、対向電極にコモン電圧V
COMが印加されている液晶容量21の画素電極に対して、コモン電圧V
COMと同相の電圧FRPまたは逆相の電圧XFRPが印加される。
【0046】
図3から明らかなように、ノーマリーブラック(無電圧印加時に黒表示)の液晶パネルの場合、ラッチ部25の保持電位が負側極性のときは、液晶容量21の画素電位がコモン電圧V
COMと同相になるため黒表示となる。また、ラッチ部25の保持電位が正側極性のときは、液晶容量21の画素電位がコモン電圧V
COMと逆相になるため白表示となる。
【0047】
上述したことから明らかなように、MIP方式の画素20にあっては、ラッチ部25の保持電位の極性に応じてスイッチ素子23,24のいずれか一方がオン状態となることにより、液晶容量21の画素電極に対して、同相の電圧FRPまたは逆相の電圧XFRPが印加される。これにより、先述したように、画素20には常に一定電圧が印加されることになるためにシェーディングが発生する懸念はない。
【0048】
図4は、画素20の具体的な回路構成の一例を示す回路図であり、図中、
図2と対応する部分には同一符号を付して示している。
【0049】
図4において、スイッチ素子22は、例えばNchMOSトランジスタQ
n10から成る。NchMOSトランジスタQ
n10は、一方のソース/ドレイン電極が信号線31に接続され、ゲート電極が制御線(走査線)32に接続されている。
【0050】
スイッチ素子23,24は共に、例えば、NchMOSトランジスタ及びPchMOSトランジスタが並列に接続されてなるトランスファスイッチから成る。具体的には、スイッチ素子23は、NchMOSトランジスタQ
n11及びPchMOSトランジスタQ
p11が互いに並列に接続された構成となっている。スイッチ素子24は、NchMOSトランジスタQ
n12及びPchMOSトランジスタQ
p12が互いに並列に接続された構成となっている。
【0051】
スイッチ素子23,24は、必ずしも、NchMOSトランジスタ及びPchMOSトランジスタを並列接続して成るトランスファスイッチである必要はない。スイッチ素子23,24を、単一導電型のMOSトランジスタ、即ち、NchMOSトランジスタあるいはPchMOSトランジスタを用いて構成することも可能である。スイッチ素子23,24の共通接続ノードが、本画素回路の出力ノードN
outとなる。
【0052】
インバータ251,252は共に、例えばCMOSインバータから成る。具体的には、インバータ251は、NchMOSトランジスタQ
n13及びPchMOSトランジスタQ
p13のゲート電極同士及びドレイン電極同士が共通に接続された構成となっている。インバータ252は、NchMOSトランジスタQ
n14及びPchMOSトランジスタQ
p14のゲート電極同士及びドレイン電極同士が共通に接続された構成となっている。
【0053】
上記の回路構成を基本とする画素20が、行方向(水平方向)及び列方向(垂直方向)に展開されて行列状に配置されることになる。この画素20の行列状配列に対して、画素列毎の信号線31及び画素行毎の制御線32に加えて、コモン電圧V
COMと同相、逆相の電圧FRP,XFRPを伝送する配線33,34と、正側電源電圧V
DD、負側電源電圧V
SSの電源線35,36とが画素列毎に配線されている。
【0054】
そして、液晶容量21の画素電極には、コモン電圧V
COMと同相の電圧FRP及び逆相の電圧XFRPが、画素駆動部70から配線33,34及びスイッチ素子24,23を介して供給される。画素駆動部70は、先述した表示駆動部を構成する要素の一つでもある。画素駆動部70は、コモン電圧VCOMと逆相の電圧XFRPについて、コモン電圧VCOMの高電圧側と低電圧側との間の中間電圧を適宜設定する。この中間電圧については本実施形態の特徴とする部分であり、その詳細については後述する。
【0055】
上述したように、本実施形態に係るアクティブマトリクス型液晶表示装置10は、表示データに応じた電位を保持するラッチ部25を有するSRAM機能付き画素(MIP)20が行列状に配置された構成となっている。尚、本実施形態では、画素20に内蔵するメモリ部としてSRAMを用いる場合を例に挙げたが、SRAMは一例に過ぎず、他の構成のメモリ部、例えば、DRAMを用いる構成であってもよい。
【0056】
このMIP方式の液晶表示装置10は、画素20毎に記憶機能(メモリ部)を持つことで、前にも述べたように、アナログ表示モードによる表示と、メモリ表示モードによる表示とを実現できる。そして、メモリ表示モードの場合、メモリ部に保持されている画素データを用いて表示を行うことから、階調を反映した信号電位の書き込み動作を単発実行するため常時フレーム周期で実行する必要がなく、液晶表示装置10の消費電力の低減を図ることができる、という利点がある。
【0057】
また、表示画面を部分的に、即ち、表示画面の一部だけを書き換えたい、というニーズがある。この場合、部分的に画素データを書き換えれば良いことになる。表示画面を部分的に書き換える、即ち、画素データを部分的に書き換えると、書き換えを行わない画素についてはデータを転送する必要がなくなる。従って、データ転送量を減らすことができるため、液晶表示装置10の更なる省電力化を図ることができる、という利点もある。
【0058】
[2−3.面積階調法]
ところで、画素内部に記憶機能を有する表示装置、例えば、MIP方式の液晶表示装置の場合、画素20毎に1ビットで2階調しか表現を行うことができない。そこで、本実施形態に係る液晶表示装置10にあっては、MIP方式を採用するに当たって、面積階調法を用いる構成とするのが好ましい。
【0059】
具体的には、画素20の表示領域となる画素電極を、面積的に重み付けした複数の画素(副画素)電極に分割する面積階調法を用いる。画素電極としては、透過電極であってもよいし、反射電極であってもよい。そして、ラッチ部25の保持電位によって選択された画素電位を面積的に重み付けした画素電極に通電し、重み付けした面積の組み合わせによって階調表示を行うようにする。
【0060】
ここでは、理解を容易にするために、画素電極(副画素電極)の面積(画素面積)に2:1の重みを付けることによって2ビットで4階調を表現する面積階調法を例に挙げてより具体的に説明するものとする。
【0061】
画素面積に2:1の重みを付ける構造としては、
図5の(A)に示すように、画素20の画素電極を面積1の副画素電極201と、当該副画素電極201の2倍の面積(面積2)の副画素電極202とに分割する構造が一般的である。しかし、
図5の(A)の構造の場合には、1画素の中心(重心)に対する各階調(表示画像)の中心(重心)が揃わない(一致しない)ため、階調表現の点で好ましくない。
【0062】
1画素の中心に対する各階調の中心を揃える構造としては、
図5の(B)に示すように、面積2の副画素電極204の中心部を例えば矩形形状にくり抜き、そのくり抜いた矩形領域の中心部に面積1の副画素電極203を配置する構造が考えられる。しかし、
図5の(B)の構造の場合には、副画素電極203の両側に位置する、副画素電極204の連結部204
A,204
Bの幅が狭いため、副画素電極204全体の反射面積が小さくなるとともに、連結部204
A,204
Bの辺りの液晶配向が難しい。
【0063】
上述したように、面積階調で、無電界時に液晶分子が基板に対してほぼ垂直になるVA(Vertical Aligned:垂直配向)モードにしようとすると、液晶分子に対する電圧のかかり方が、電極形状や電極サイズなどによって変わるため、良好に液晶配向させることが難しい。また、副画素電極の面積比が反射率比になるとは限らないので階調設計が難しい。反射率は、副画素電極の面積や液晶配向などによって決まる。
図5の(A)の構造の場合は、面積比が1:2であっても電極周辺の長さの比が1:2とはならない。従って、副画素電極の面積比が反射率比になるとは限らない。
【0064】
このような観点からすると、面積階調法を採用するに当たっては、階調の表現性と反射面積の有効活用を考える上では、
図5の(C)に示すように、画素電極を例えば同じ面積(大きさ)の3つの副画素電極205,206
A,206
Bに分割する、所謂、3分割の電極構成にするのが好ましい。
【0065】
この3分割の電極構成の場合、中央の副画素電極205を挟む上下2つの副画素電極206
A,206
Bを組とし、当該組となる2つの副画素電極206
A,206
Bを同時に駆動する。このとき、下位ビットには面積1の副画素電極205を接続し、上位ビットには面積2の副画素電極206
A,206
Bを接続する。これにより、2つの副画素電極206
A,206
Bと中央の副画素電極205との間で画素面積に2:1の重みを付けることができる。また、上位ビットの面積2の副画素電極206
A,206
Bを2等分して中央の副画素電極205を挟んで上下に配置していることで、1画素の中心(重心)に対する各階調の中心(重心)を揃えることができる。
【0066】
ここで、3つの副画素電極205,206
A,206
Bの各々について駆動回路と電気的にコンタクトを取るとすると、
図5の(A),(B)の構造に比べて金属配線のコンタクト数が増えるため画素サイズが大きくなり、高精細化の阻害要因となる。特に、画素20毎にメモリ部を有するMIP方式の画素構成の場合には、
図4から明らかなように、1つの画素20内にトランジスタ等の多くの回路構成素子やコンタクト部が存在することになり、レイアウト面積的に余裕がないために、コンタクト部1個が画素サイズに大きく影響を及ぼす。
【0067】
コンタクト数を減らすには、1個の副画素電極205を挟むことによって互いの距離が離れた2つの副画素電極206
A,206
B同士を電気的に結合する(結線する)画素構造とすれば良い。そして、
図6に示すように、1つの駆動回路207
Aで1個の副画素電極205を駆動し、他の1つの駆動回路207
Bで残りの2つの副画素電極206
A,206
Bを同時に駆動するようにする。ここで、駆動回路207
A,207
Bは、
図4に示した画素回路に相当する。
【0068】
このように、2つの副画素電極206
A,206
Bを1つの駆動回路207
Bによって駆動するようにすることにより、2つの副画素電極206
A,206
Bを別々の駆動回路によって駆動する構成を採る場合に比べて画素20の回路構成を簡略化できる利点がある。
【0069】
尚、ここでは、メモリ機能を有する画素として、画素毎にデータを記憶可能なメモリ部を持つMIP方式の画素を用いる場合を例に挙げたが、これは一例に過ぎない。メモリ機能を有する画素としては、MIP方式の画素の他に、例えば、周知のメモリ性液晶を用いる画素を例示することができる。
【0070】
[2−4.面積階調+FRC駆動]
ところで、MIP技術はデザインルールの制約から集積できる1画素あたりのメモリ数が限定されるため、表現色数も限定されてしまう。例えば、180PPI(7インチXGA相当)の表示装置にあっては、メモリの集積数の限界はRGB各色2ビットであり、面積階調を用いる通常駆動では各色4階調、計64色の表現色数となる。これに対し、FRC駆動を導入し、面積階調+FRC駆動の駆動を行うことにより、表現階調数の増加を図ることができる。
【0071】
(2ビット面積階調+1ビットFRC駆動)
ここで、2ビットの面積階調(面積比=1:2)に対し、1ビットのFRC駆動を行う場合について、
図7を用いて説明する。この2ビット面積階調+1ビットFRC駆動の場合は7階調表示となる。
【0072】
先ず、2ビットの面積階調のみの場合について、
図7の(A)を用いて説明する。2ビットの面積階調のみの場合は、1画面を1フレーム周期で構成する。
図7の(A)に示すように、3つの副画素が全て消灯状態となる0、中央の副画素のみが点灯状態となる1、上下の2つの副画素が点灯状態となる2、3つの副画素が全て点灯状態となる3の計4階調表示となる。
【0073】
これに対して、2ビットの面積階調+1ビットのFRC駆動の場合は、1画面を2つのフレーム(サブフレーム)周期で構成する。そして、2つのフレームで同じ点灯駆動となる上記の4階調に、
図7の(B)に示す0.5,1.5,2.5の3階調が加わる。
【0074】
階調0.5では、第1フレームで3つの副画素が全て消灯状態となり、第2フレームで中央の副画素のみが点灯状態となる。階調1.5では、第1フレームで中央の副画素のみが点灯状態となり、第2フレームで上下の2つの副画素が点灯状態となる。階調2.5では、第1フレームで上下の2つの副画素が点灯状態となり、第2フレームで3つの副画素が全て点灯状態となる。
【0075】
上述したことから明らかなように、面積階調とFRC駆動とを併用することにより、FRC駆動ビット分だけ表示階調数を増やすことができる。因みに、単純に3ビットの画素構成とした場合、その分の回路を画素(副画素)20内に詰め込むことになるため、配線ルールが高精細化されない限り画素サイズが大きくなり、表示装置の高精細化を図る上で不利になる。
【0076】
また、画素20が3分割の電極構成であり、副画素電極205を挟む上下2つの副画素電極206
A,206
Bを同時駆動する画素構造での面積階調によれば、階調表示の画素の中心と複数のフレーム間の表示画像(階調)の中心とを一致させることができる。ここで、「一致」とは、階調表示の画素の中心と、複数のフレーム間の表示画像の中心とが厳密に一致する場合の他、実質的に一致する場合も含む。設計上あるいは製造上生ずる種々のばらつきの存在は許容される。
【0077】
そして、画素の中心と階調(表示画像)の中心とがフレーム(サブフレーム)間で一致することで、表示画像にフレーム周期での揺らぎが生じないため、表示特性の更なる向上を図ることができる。また、表示画像にフレーム周期での揺らぎが生じないことで、フレーム周期の時間(フレームレート)を遅くすることができるため、FRC駆動の下での消費電力の低減を図ることができる。
【0078】
(2ビット面積階調+2ビットFRC駆動)
次に、2ビットの面積階調(面積比=1:2)に対し、2ビットのFRC駆動を行う場合について、
図8を用いて説明する。
【0079】
図8に示すように、2ビット面積階調+2ビットFRC駆動の場合、1つの階調を表現するための時間(階調表現に要する時間)を1:4に分割することにより、空間的に2ビット分、時間的に2ビット分の計4ビット(=16階調)分の階調表現を実現できる。ここで、1つの階調を表現するための時間を1:4に分割するということは、1つの階調を5フレーム(サブフレーム)で表現するということである。
【0080】
このように、2ビット面積階調+2ビットFRC駆動の場合、階調表現に5フレーム必要となるため、1つの階調を1フレームで表現する、即ち、1フレームを1周期とする通常の駆動の場合の5倍速で駆動することになる。
【0081】
[2−4.実施形態の特徴部分]
前にも述べたが、液晶表示装置にあっては、液晶の特性上、液晶ON状態から液晶OFF状態への遷移時と、液晶OFF状態から液晶ON状態への遷移時とで応答速度が異なることで、FRC駆動を適用する場合、期待する中間調を表示できないことになる。
【0082】
一例として、ノーマリーホワイト液晶の場合を例に挙げて、
図9のタイミング波形図を用いて説明する。
図9には、コモン電圧V
COM、当該コモン電圧V
COMと同相、逆相の電圧FRP,XFRP、液晶容量21に印加される電圧|V
pix|、及び、輝度特性を示している。尚、
図9において、(1),(2)は、FRC駆動におけるサブフレームを表わしている。そして、(1)は逆相の電圧XFRP選択(黒)のサブフレーム、(2)は同相の電圧FRP選択(白)のサブフレームとなっている。
【0083】
ノーマリーホワイト液晶の場合、液晶OFF(白)から液晶ON(黒)へ遷移するときの方が、液晶ONから液晶OFFへ移行するときよりも応答速度が速い。すなわち、
図9に示す中間調(グレー)の輝度特性において、立ち下がりが相対的に速く、立ち上がりが相対的に遅い。人間の目には輝度特性の積分値がグレー階調として視認される。従って、液晶ON/OFF時の応答速度が異なると、FRC駆動を適用する場合、ノーマリーホワイト液晶にあっては、黒寄りのグレーとして視認される、即ち、期待する中間調を表示できないことになる。
【0084】
そこで、本実施形態では、
図10のタイミング波形図に示すように、コモン電圧V
COMと逆相の電圧XFRPを、サブフレーム(2)からサブフレーム(1)へ切り替わるタイミング(図中、矢印のタイミング)で、中間電圧V
Mに切り替えるようにする。ここで、サブフレーム(2)からサブフレーム(1)への切り替わりタイミング、即ち、FRC切り替わりタイミングは、ノーマリーホワイト液晶にあっては、白表示から黒表示に移行するタイミングであり、また、画素20のメモリ部の記憶内容を書き換えるタイミングである。
【0085】
従って、本実施形態にあっては、同相の電圧FRPの供給から逆相の電圧XFRPの供給に遷移させるときに中間電圧V
Mを介在させ、当該中間電圧V
Mを画素電極に供給することになる。この逆相の電圧XFRPの電圧値の切り替えは、
図4に示す画素駆動部70において実行される。
【0086】
このように、FRC駆動を適用するに当たって、コモン電圧V
COMと逆相の電圧XFRPについて、液晶ON(白)から液晶OFF(黒)へ遷移するときに中間電圧V
Mを介在させる(挟む)ことで、
図10(Gray)に示すように、液晶の応答速度が遅れる(所謂、アンダードライブ)。
【0087】
そして、液晶ONから液晶OFFへ遷移するときの液晶の応答速度を遅らせることで、液晶ON/OFF時の応答速度の差を、中間電圧V
Mを介在させないときよりも小さくできる。これにより、ノーマリーホワイト液晶にあっては、中間調が黒に寄ってしまうような現象を回避できるため、期待する中間調の表示を実現できる。
【0088】
尚、黒表示時も中間電圧V
Mを挟むことになるが、黒表示に対応する第2電圧V
Lから中間電圧V
Mへの応答速度は非常に遅く、
図10(Black)に示すように、黒浮きのレベルは低いため、視認上、問題になることはない。
【0089】
また、先述したように、FRC切り替わりタイミングは、画素20の記憶内容の書き換えタイミングであり、画素20の位置によって異なる。従って、
図11に示すように、コモン電圧V
COMと逆相の電圧XFRPについて、FRC切り替わりタイミングに対応した波形、即ち、画素20の記憶内容の書き換えタイミングに応じた波形を生成する必要がある。このことについて、
図12及び
図13を用いてより具体的に説明する。
【0090】
図12には、液晶表示パネル11上における画素アレイ部30、制御線駆動部50、及び、画素駆動部70の関係を示している。前にも述べたように、制御線駆動部50は、階調を反映した信号電位の画素20に対する書込み動作の制御をライン(画素行)単位で行う。画素駆動部70は、コモン電圧V
COMと同相、逆相の電圧FRP,XFRPの画素20への供給をライン単位で行う。
【0091】
図12では、図面の簡略化のため、画素アレイ部30がa〜jの10ラインからなるものとして示している。そして、画素アレイ部30の各ラインa〜jに対して、制御線駆動部50から走査パルスGATE
a〜GATE
jが供給され、画素駆動部70からコモン電圧V
COMと逆相の電圧XFRP
a〜XFRP
jが供給される。尚、ここでは、モン電圧V
COMと同相の電圧FRPについては図示を省略している。
【0092】
図13には、4ライン分の走査パルスGATE
a〜GATE
d、逆相の電圧XFRP
a〜XFRP
d、同相の電圧FRP、及び、コモン電圧V
COMのタイミング関係を示している。
図13のタイミング波形図において、走査パルスGATE
a〜GATE
jがアクティブになる(立ち上がる)タイミングが、
図10及び
図11におけるFRC切り替わりタイミング(矢印のタイミング)である。
【0093】
図13に示すように、コモン電圧V
COMと逆相の電圧XFRPについて、画素20の記憶内容の書き換えタイミングに同期して中間電圧V
Mを供給するようにすることで、液晶ON(白)から液晶OFF(黒)へ遷移するときに中間電圧V
Mを介在させる(挟む)ことによる作用、効果を確実に得ることができる。
【0094】
ここで、コモン電圧V
COMと逆相の電圧XFRPについて、FRC切り替わりタイミングに対応した波形とするということは、中間電圧V
Mを供給するタイミングを、制御線駆動部50によって表示駆動するラインに応じて制御するということになる。
【0095】
また、コモン電圧V
COMと逆相の電圧XFRPについて、液晶ONから液晶OFFへ遷移するときに中間電圧V
Mを介在させるに当たっては、液晶表示パネル11の周辺環境の温度に応じて中間電圧V
Mの供給を制御する構成を採るようにするのが好ましい。何故なら、前にも述べたように、液晶の応答特性は、液晶表示装置(液晶表示パネル)の周辺の環境温度によって変わるからである。
【0096】
具体的には、
図14に示すように、液晶表示パネル11上またはその近傍に温度センサ80を配置する。そして、温度センサ80が検出する(測定する)周辺環境の温度に基づいて、制御部90による制御の下に、画素駆動部70から出力される、コモン電圧V
COMと逆相の電圧XFRP、より具体的には、中間電圧V
Mの供給を制御するようにする。
【0097】
周辺環境の温度が所定の温度(例えば、70℃程度)を超える高温状態の環境下では、液晶の応答特性が速くなる。これにより、例えばノーマリーホワイト液晶にあっては、液晶ONから液晶OFFへ移行するときの液晶の応答速度も速くなる。このとき、中間電圧V
Mが不変のままでは、黒浮きが顕著になる懸念がある。
【0098】
従って、周辺環境の温度が所定の温度を超えるときは中間電圧V
Mの供給を行わないようにし、周辺環境の温度が所定の温度以下のときに中間電圧V
Mの供給を行うようにすることで、周辺環境の温度の影響を受けない、即ち、黒浮きが生じない制御を行うことができる。
【0099】
以下に、所定の温度以下の通常環境下において中間電圧V
Mの供給を制御する具体的な実施例について説明する。
【0100】
(実施例1)
図15は、通常環境下において中間電圧V
Mの供給を制御する実施例1についての説明に供するタイミング波形図である。
【0101】
実施例1では、周辺環境の温度が所定の温度以下のときに、温度センサ80の検出温度に応じて中間電圧V
Mの電圧値を調整する、即ち、温度センサ80の測定結果を中間電圧V
Mの電圧値にフィードバックするようにする。このとき、中間電圧V
Mの電圧値を、温度センサ80の検出温度に応じて段階的に調整するようにしてもよいし、連続的に調整するようにしてもよい。これらの調整は、制御部90による制御の下に実行される。
【0102】
(実施例2)
図16は、通常環境下において中間電圧V
Mの供給を制御する実施例2についての説明に供するタイミング波形図である。
【0103】
実施例2では、周辺環境の温度が所定の温度以下のときに、温度センサ80の検出温度に応じて中間電圧V
Mの供給時間(パルス幅)を調整する、即ち、温度センサ80の測定結果を中間電圧V
Mの供給時間にフィードバックするようにする。このとき、中間電圧V
Mの供給時間を、温度センサ80の検出温度に応じて段階的に調整するようにしてもよいし、連続的に調整するようにしてもよい。これらの調整は、制御部90による制御の下に実行される。
【0104】
<3.電子機器>
以上説明した本開示の液晶表示装置は、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示部(表示装置)として用いることが可能である。
【0105】
先述した実施形態の説明から明らかなように、本開示の液晶表示装置は、FRC駆動を適用するに当たって、期待する中間調の表示を実現できる、という特徴を持っている。従って、あらゆる分野の電子機器において、その表示部として本開示の液晶表示装置を用いることで、FRC駆動によって表示階調数の多い画像表示を実現しつつ、期待する中間調の表示を実現できる。
【0106】
本開示の液晶表示装置を表示部に用いる電子機器としては、例えば、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ゲーム機器、ノート型パーソナルコンピュータなどを例示することができる。特に、本開示の液晶表示装置は、電子書籍機器や電子腕時計等の携帯情報機器や、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯通信機器などの電子機器において、その表示部として用いて好適なものである。
【0107】
<4.本開示の構成>
尚、本開示は以下のような構成を採ることができる。
(1)記憶機能を有する画素が配置されて成り、
複数のフレームを1周期とし、この1周期内で各画素の階調を時間的に変化させることによって中間階調を得る駆動法にて表示駆動を行う表示駆動部と、
所定の周期で極性が反転し、液晶容量の対向電極に印加されるコモン電圧に対して同相の電圧または逆相の電圧を液晶容量の画素電極に供給する画素駆動部とを備え、
前記画素駆動部は、前記同相の電圧の供給から前記逆相の電圧の供給に遷移させるときに、前記コモン電圧の高電圧側と低電圧側との間の中間電圧を液晶容量の画素電極に供給する液晶表示装置。
(2)前記画素駆動部は、前記中間電圧を供給するタイミングを、表示駆動するラインに応じて制御する上記(1)に記載の液晶表示装置。
(3)前記画素駆動部は、前記画素の記憶内容の書き換えタイミングに応じて前記中間電圧を供給する上記(2)に記載部の液晶表示装置。
(4)前記画素駆動部は、周辺環境の温度に応じて前記中間電圧の供給を制御する上記(1)から上記(3)のいずれかに記載の液晶表示装置。
(5)前記画素駆動部は、周辺環境の温度が所定の温度以下のときに前記中間電圧の供給を行う上記(4)に記載の液晶表示装置。
(6)前記画素駆動部は、周辺環境の温度に応じて前記中間電圧の電圧値を調整する上記(5)に記載の液晶表示装置。
(7)前記画素駆動部は、周辺環境の温度に応じて前記中間電圧の供給時間を調整する上記(1)に記載の液晶表示装置。
(8)記憶機能を有する画素が配置されて成り、
複数のフレームを1周期とし、この1周期内で各画素の階調を時間的に変化させることによって中間階調を得る駆動法にて表示駆動を行う表示駆動部を備え、
所定の周期で極性が反転し、液晶容量の対向電極に印加されるコモン電圧に対して同相の電圧または逆相の電圧を液晶容量の画素電極に供給する液晶表示装置の駆動に当たって、
前記同相の電圧の供給から前記逆相の電圧の供給に遷移させるときに、前記コモン電圧の高電圧側と低電圧側との間の中間電圧を液晶容量の画素電極に供給する液晶表示装置の駆動方法。
(9)記憶機能を有する画素が配置されて成り、
複数のフレームを1周期とし、この1周期内で各画素の階調を時間的に変化させることによって中間階調を得る駆動法にて表示駆動を行う表示駆動部と、
所定の周期で極性が反転し、液晶容量の対向電極に印加されるコモン電圧に対して同相の電圧または逆相の電圧を液晶容量の画素電極に供給する画素駆動部とを備え、
前記画素駆動部は、前記同相の電圧の供給から前記逆相の電圧の供給に遷移させるときに、前記コモン電圧の高電圧側と低電圧側との間の中間電圧を液晶容量の画素電極に供給する液晶表示装置を有する電子機器。