特許第5876785号(P5876785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5876785
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】コンクリートの打継施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/02 20060101AFI20160218BHJP
   E04B 1/62 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
   E04G21/02 103A
   E04B1/62 Z
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-166200(P2012-166200)
(22)【出願日】2012年7月26日
(65)【公開番号】特開2014-25261(P2014-25261A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】横関 康祐
(72)【発明者】
【氏名】小林 聖
(72)【発明者】
【氏名】坂田 昇
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−156627(JP,A)
【文献】 実開昭59−051952(JP,U)
【文献】 特開平10−140540(JP,A)
【文献】 特開平06−307084(JP,A)
【文献】 特開2011−094313(JP,A)
【文献】 特開平08−135190(JP,A)
【文献】 特開2003−105972(JP,A)
【文献】 特開平10−280687(JP,A)
【文献】 特開2009−108601(JP,A)
【文献】 特開2003−253884(JP,A)
【文献】 特開平11−269853(JP,A)
【文献】 特開昭61−172965(JP,A)
【文献】 特開昭51−006331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/02
E04B 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存構造体の上に新設コンクリートを打継ぐコンクリートの打継施工方法であって、
前記既存構造体の上面に、前記新設コンクリートよりも遅く硬化する遅延硬化層を設ける遅延硬化層設置工程と、
前記遅延硬化層の上方に隣接する領域に前記新設コンクリートを打設する新設コンクリート打設工程と、を備え、
前記遅延硬化層設置工程は、
前記既存構造体の上面に、型枠を設置する型枠設置工程と、
前記型枠内に粗骨材を敷均する粗骨材敷均工程と、
前記型枠内の前記粗骨材の隙間に遅延硬化性材料を注入する遅延硬化性材料注入工程と、を有することを特徴とするコンクリートの打継施工方法。
【請求項2】
前記新設コンクリート打設工程は、
前記遅延硬化層設置工程の前記遅延硬化性材料注入工程の後に実行され、
前記新設コンクリート打設工程では、
前記遅延硬化層設置工程で設けられ前記粗骨材と前記遅延硬化性材料とからなる前記遅延硬化層の上に前記新設コンクリートを投入することを特徴とする請求項1に記載のコンクリートの打継施工方法。
【請求項3】
前記新設コンクリート打設工程は、
前記遅延硬化層設置工程の前記粗骨材敷均工程の後で、前記遅延硬化性材料注入工程の前に実行され、
前記遅延硬化性材料注入工程では、
前記既存構造体と前記新設コンクリートとの間に存在する前記粗骨材同士の隙間に遅延硬化性材料を注入することを特徴とする請求項1に記載のコンクリートの打継施工方法。
【請求項4】
前記遅延硬化性材料注入工程では、
前記型枠の最下部に設けられた注入口を介して前記型枠内に前記遅延硬化性材料を注入すると共に、前記遅延硬化層の最上部の位置で前記型枠に設けられた空気孔を介して前記粗骨材の隙間の空気を排出させることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のコンクリートの打継施工方法。
【請求項5】
前記遅延硬化性材料は、超遅延剤を含む超遅延硬化性材料であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のコンクリートの打継施工方法。
【請求項6】
前記新設コンクリート打設工程の後において、前記新設コンクリートを硬化させた後、前記遅延硬化層を硬化させることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のコンクリートの打継施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存構造体の上に新設コンクリートを打継ぐコンクリートの打継施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既存構造体(既設のコンクリート構造物や既存の岩盤等)などの上に新設コンクリートを打ち継ぐ場合には、新設コンクリートに温度ひび割れが生じる場合がある。このような温度ひび割れは、新設コンクリートの硬化過程において、硬化時の温度変化による収縮が既存構造体に拘束され、新設コンクリートに引張応力が生じることで発生する。このような新設コンクリートのひび割れを低減する方法としては、超遅延剤を用いて凝結時間を遅らせた超遅延モルタル又は超遅延コンクリートを打継ぎ部に敷設しておき、その上に新設コンクリートを打込む方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58−156627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の方法では、新設コンクリートの打込み時に、打継ぎ部に敷設した超遅延モルタル又は超遅延コンクリートが、流されて偏在したり、新設コンクリートと混ざってしまったり、不均一に偏在したりすることで、新設コンクリートのひび割れ抑制効果が十分に発揮されない場合がある。
【0005】
このような問題に鑑み、本発明は、新設コンクリートのひび割れを十分に抑制することができるコンクリートの打継施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンクリートの打継施工方法は、既存構造体の上に新設コンクリートを打継ぐコンクリートの打継施工方法であって、既存構造体の上面に、新設コンクリートよりも遅く硬化する遅延硬化層を設ける遅延硬化層設置工程と、遅延硬化層の上方に隣接する領域に新設コンクリートを打設する新設コンクリート打設工程と、を備え、遅延硬化層設置工程は、既存構造体の上面に、型枠を設置する型枠設置工程と、型枠内に粗骨材を敷均する粗骨材敷均工程と、型枠内の粗骨材の隙間に遅延硬化性材料を注入する遅延硬化性材料注入工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
この打継施工方法によれば、新設コンクリートと既存構造体との間に、硬化が遅い遅延硬化層が設けられる。新設コンクリートの硬化過程において、未硬化である遅延硬化層は比較的柔らかいので、このような遅延硬化層の介在により、新設コンクリートの硬化過程の伸縮が既存構造体から絶縁され、新設コンクリートの伸縮が既存構造体に拘束される作用が低減される。その結果、新設コンクリートのひび割れが抑制される。
【0008】
また、遅延硬化層は、型枠内に敷均された粗骨材と、当該粗骨材の隙間に注入された遅延硬化性材料と、からなる。従って、遅延硬化層は、新設コンクリートが打設されるときに流されたり、新設コンクリートの打設後に当該新設コンクリートと混ざったり、不均一に偏在したりし難い。よって、遅延硬化層が上記のような絶縁作用を十分に発揮し、新設コンクリートのひび割れが十分に抑制される。
【0009】
また、新設コンクリート打設工程は、遅延硬化層設置工程の遅延硬化性材料注入工程の後に実行され、新設コンクリート打設工程では、遅延硬化層設置工程で設けられ粗骨材と遅延硬化性材料とからなる遅延硬化層の上に新設コンクリートを投入することとしてもよい。
【0010】
また、新設コンクリート打設工程は、遅延硬化層設置工程の粗骨材敷均工程の後で、遅延硬化性材料注入工程の前に実行され、遅延硬化性材料注入工程では、既存構造体と新設コンクリートとの間に存在する粗骨材同士の隙間に遅延硬化性材料を注入することとしてもよい。
【0011】
また、遅延硬化性材料注入工程では、型枠の最下部に設けられた注入口を介して型枠内に遅延硬化性材料を注入すると共に、遅延硬化層の最上部の位置で型枠に設けられた空気孔を介して粗骨材の隙間の空気を排出させることとしてもよい。この構成によれば、粗骨材の隙間に遅延硬化性材料が円滑に充填される。
また、本発明において、遅延硬化性材料は、超遅延剤を含む超遅延硬化性材料であってもよい。また、本発明において、新設コンクリート打設工程の後において、新設コンクリートを硬化させた後、遅延硬化層を硬化させるようにしてもよい。
【0012】
また、本発明のコンクリートの打継施工方法は、既存構造体の上に新設コンクリートを打継ぐコンクリートの打継施工方法であって、既存構造体の上面に、固体の樹脂を含む樹脂層を設ける樹脂層設置工程と、樹脂層の上に新設コンクリートを打設する新設コンクリート打設工程と、新設コンクリート打設工程の後に、樹脂層の樹脂を除去する樹脂除去工程と、樹脂除去工程の後、樹脂が除去された領域に硬化性材料を注入し硬化させる硬化材注入工程と、を備えることを特徴とするコンクリートの打継施工方法。
【0013】
この打継設施工方法によれば、新設コンクリートと既存構造体との間に、固体の樹脂を含む樹脂層が設けられる。樹脂層に含まれる樹脂はコンクリートに比較して変形し易いので、樹脂層は、新設コンクリートの硬化過程における伸縮にある程度追従して変形する。また、樹脂とコンクリートとの接合が比較的弱いことから、新設コンクリートが硬化過程で伸縮しても、樹脂層と新設コンクリートとが境界面である程度滑ることになる。よって、上記のような樹脂層の介在により、新設コンクリートの硬化過程の伸縮が既存構造体から絶縁され、新設コンクリートの伸縮が既存構造体に拘束される作用が低減される。その結果、新設コンクリートのひび割れが抑制される。
【0014】
また、固体の樹脂を含む樹脂層は、新設コンクリートが打設されるときに流されたり、新設コンクリートの打設後に当該新設コンクリートと混ざったりし難い。よって、樹脂層が上記のような絶縁作用を十分に発揮し、新設コンクリートのひび割れが十分に抑制される。また、最終的には上記の樹脂は除去され、その後の隙間は硬化性材料で充填されるので、最終的には、必要な強度を備えた構造物が完成する。
【0015】
具体的には、樹脂層設置工程は、既存構造体の上面に型枠を設置する型枠設置工程と、型枠内に粗骨材を敷均する粗骨材敷均工程と、型枠内の粗骨材の隙間に樹脂を充填する樹脂充填工程と、を有し、樹脂層は、粗骨材と当該粗骨材の隙間に挿入された樹脂とを含むこととしてもよい。
【0016】
またこの場合、粗骨材敷均工程では、粗骨材の近傍にヒータを設置し、樹脂除去工程では、ヒータにより樹脂を加熱し溶解させて型枠外に排出することとしてもよい。また、樹脂充填工程では、樹脂として粒状の発砲スチロールを使用し、樹脂除去工程では、樹脂層にリモネン液を注入し樹脂を溶解させて型枠外に排出することとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明のコンクリートの打継施工方法によれば、新設コンクリートのひび割れを十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)〜(c)は、本発明の第1実施形態に係る打継施工方法により施工されるコンクリート構造物を示す断面図である。
図2】(a)〜(c)は、本発明の第2実施形態に係る打継施工方法により施工されるコンクリート構造物を示す断面図である。
図3】本発明者らの実験で用いた供試体を示す斜視図である。
図4】本発明者らの実験の結果を示すグラフである。
図5】(a)〜(c)は、本発明の第3実施形態に係る打継施工方法により施工されるコンクリート構造物を示す断面図である。
図6】(a),(b)は、図5の後工程におけるコンクリート構造物を示す断面図である。。
図7】(a)〜(c)は、本発明の第4実施形態に係る打継施工方法により施工されるコンクリート構造物を示す断面図である。
図8】(a),(b)は、図7の後工程におけるコンクリート構造物を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るコンクリートの打継施工方法の実施形態について詳細に説明する。なお、同一又は同等の構成要素には、図面に同一の符号を付して重複する説明を省略するものとする。
【0020】
〔第1実施形態〕
図1を参照しながら、本発明の打継施工方法の第1実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態のコンクリートの打継施工方法は、既設のコンクリート構造物(既存構造体)11の上に新設コンクリート19を打継いで新設コンクリート体21を施工する方法である。本実施形態のコンクリートの打継施工方法は、以下に説明する型枠設置工程と、粗骨材敷均工程と、超遅延硬化性材料注入工程と、新設コンクリート打設工程と、遅延硬化層硬化工程と、を備えている。このうち、型枠設置工程と、粗骨材敷均工程と、超遅延硬化性材料注入工程と、は、既設コンクリート構造物11の上面11aに遅延硬化層17を設けるための工程であり、以下では、これら3つの工程をまとめて「遅延硬化層設置工程」と呼ぶ場合がある。
【0021】
(型枠設置工程)
図1(a)に示すように、既設コンクリート構造物11上で新設コンクリート体21の設置予定位置Aには、新設コンクリート体21に埋設される鉄筋13が上面11aから突出するように予め設けられている。この鉄筋13を囲んで既設コンクリート構造物11の上面11aに型枠15を設置する。
【0022】
(粗骨材敷均工程)
次に、型枠15内に粗骨材を投入し、型枠15内に粗骨材41を敷均する。粗骨材41としては、通常コンクリートに使用される砂利よりも十分に粒径が大きいものを用いる。粗骨材41の最大粒径は40mm以下とすることが好ましい。粗骨材41は、例えば上面11a上に約10cmの厚さに敷均する。
【0023】
(超遅延硬化性材料注入工程)
次に、図1(b)に示すように、型枠15内の粗骨材41同士の隙間に、ペースト状の超遅延硬化性材料43を注入する。ここでは、型枠15の最下部に予め設けられた注入口47を通じて、外部から型枠15内に超遅延硬化性材料43を圧入する。また、注入口47の上方で、遅延硬化層17の最上部に該当する位置には空気孔49が設けられており、超遅延硬化性材料43の注入に伴って、粗骨材41同士の隙間の空気が、空気孔49を通じて型枠15外に排出される。これにより、粗骨材41同士の隙間に超遅延硬化性材料43が円滑に充填される。
【0024】
注入する超遅延硬化性材料43は超遅延剤を含んでおり、新設コンクリート体21よりも遅く硬化する。超遅延硬化性材料43としては、超遅延モルタル又は超遅延ペーストを用いることができる。超遅延剤としては、例えば、(株)フローリック製のオキシカルボン酸系の遅延剤「フローリックT」、「ジオリター」や小野田ケミコ(株)製の有機カルボン酸系遅延剤「ジェットセッター」などを用いることができる。
【0025】
なお、上記の超遅延硬化性材料43には、更にセピオライトを混入してもよい。セピオライトを混入した場合、超遅延硬化性材料43に粘性と保湿性が付与され、遅延硬化層17の硬化過程での乾燥によるひび割れの発生が抑制される。また、セピオライトの混入により、遅延硬化層17におけるブリーディングの発生や、骨材の沈下などの材料分離の発生を抑制することもできる。
【0026】
以上の型枠設置工程と、粗骨材敷均工程と、超遅延硬化性材料注入工程と、からなる遅延硬化層設置工程により、粗骨材41と超遅延硬化性材料43とを含む遅延硬化層17が型枠15内の下部に形成される。この超遅延硬化性材料注入工程で行ったように、粗骨材を詰めた後に硬化性材料を注入する工法は、「プレパックド工法」とも呼ばれる。
【0027】
(新設コンクリート打設工程)
続いて、図1(c)に示すように、遅延硬化層17の上から型枠15内に新設コンクリート19を打設する。新設コンクリート19は、超遅延剤等を含まない通常のコンクリートであるので、遅延硬化層17よりも早く硬化し、最終的には新設コンクリート体21となる。
【0028】
(遅延硬化層硬化工程)
その後、型枠15を除去し、所定期間静置して遅延硬化層17を硬化させることで、本実施形態の打継施工方法による構造物が完成する。なおここでは、型枠15を取り付けたまま遅延硬化層17を硬化させてもよい。また、型枠15のうち、新設コンクリート19を覆う型枠の上部のみを除去し、遅延硬化層17を覆う型枠の下部のみ取り付けたままで遅延硬化層17を硬化させてもよい。この場合、型枠15を、新設コンクリート19を覆う上部型枠15aと、遅延硬化層17を覆う下部型枠15bとに予め分割しておけばよい。このように、遅延硬化層17を型枠で覆った状態で遅延硬化層硬化工程を行うことにより、遅延硬化層17の硬化過程における乾燥を抑制することができ、その結果、所望の硬化遅延作用を確実に得ることができる。
【0029】
次に、上述した本実施形態の打継施工方法による作用効果について説明する。
【0030】
この打継設施工方法によれば、新設コンクリート19と既設コンクリート構造物11との間に、硬化が遅い遅延硬化層17が設けられる。新設コンクリート19の硬化過程において、未硬化である遅延硬化層17は比較的柔らかいので、このような遅延硬化層17の介在により、新設コンクリート19の硬化過程の伸縮が既設コンクリート構造物11から絶縁され、新設コンクリート19の伸縮が既設コンクリート構造物11に拘束される作用が低減される。その結果、硬化過程における新設コンクリート19のひび割れが抑制され、最終的には新設コンクリート体21のひび割れが抑制される。
【0031】
ここで、遅延硬化層17は、プレパックド工法により形成されるので、密に配置された粗骨材41の隙間に超遅延硬化性材料43が充填された構造をなす。従って、新設コンクリート19が型枠15内に打設されるときに流されたり、新設コンクリート19の打設後に超遅延硬化性材料43が当該新設コンクリート19と混ざったり、超遅延硬化性材料43が不均一に偏在したりし難い。よって、遅延硬化層17が上記のような絶縁作用を十分に発揮し、硬化過程における新設コンクリート19のひび割れが十分に抑制され、その結果、最終的に新設コンクリート体21のひび割れが十分に抑制される。
【0032】
〔第2実施形態〕
図2を参照しながら、本発明の打継施工方法の第1実施形態について説明する。図2に示すように、本実施形態のコンクリートの打継施工方法は、既設のコンクリート構造物(既存構造体)11の上に新設コンクリート19を打継いで新設コンクリート体21を施工する方法である。本実施形態のコンクリートの打継施工方法は、以下に説明する型枠設置工程と、粗骨材敷均工程と、新設コンクリート打設工程と、超遅延硬化性材料注入工程と、遅延硬化層硬化工程と、を備えている。このうち、型枠設置工程と、粗骨材敷均工程と、超遅延硬化性材料注入工程と、は、既設コンクリート構造物11の上面11aに遅延硬化層17を設けるための工程であり、以下では、これら3つの工程をまとめて「遅延硬化層設置工程」と呼ぶ場合がある。
【0033】
(型枠設置工程)
図2(a)に示すように、既設コンクリート構造物11上で新設コンクリート体21の設置予定位置Aには、新設コンクリート体21に埋設される鉄筋13が上面11aから突出するように予め設けられている。この鉄筋13を囲んで既設コンクリート構造物11の上面11aに型枠15を設置する。
【0034】
(粗骨材敷均工程)
次に、型枠15内に粗骨材を投入し、型枠15内に粗骨材41を敷均する。粗骨材41としては、通常コンクリートに使用される砂利よりも十分に粒径が大きいものを用いる。粗骨材41の最大粒径は40mm以下とすることが好ましい。粗骨材41は、例えば上面11a上に約10cmの厚さに敷均する。
【0035】
(新設コンクリート打設工程)
続いて、図2(b)に示すように、型枠15内で、粗骨材41が敷均された領域(遅延硬化層17が形成される予定の領域)の上に隣接する領域に、新設コンクリート19を打設する。新設コンクリート19は、超遅延剤等を含まない通常のコンクリートであるので、後述する遅延硬化層17よりも早く硬化し、最終的には新設コンクリート体21となる。
【0036】
(超遅延硬化性材料注入工程)
次に、図2(c)に示すように、型枠15内の粗骨材41同士の隙間に、ペースト状の超遅延硬化性材料43を注入する。ここでは、型枠15の最下部に予め設けられた注入口47を通じて、外部から型枠15内に超遅延硬化性材料43を圧入する。また、注入口47の上方で、遅延硬化層17の最上部に該当する位置には空気孔49が設けられており、超遅延硬化性材料43の注入に伴って、粗骨材41同士の隙間の空気が、空気孔49を通じて型枠15外に排出される。これにより、粗骨材41同士の隙間に超遅延硬化性材料43が円滑に充填される。
【0037】
注入する超遅延硬化性材料43は超遅延剤を含んでおり、新設コンクリート体21よりも遅く硬化する。超遅延硬化性材料43としては、超遅延モルタル又は超遅延ペーストを用いることができる。超遅延剤としては、例えば、(株)フローリック製のオキシカルボン酸系の遅延剤「フローリックT」、「ジオリター」や小野田ケミコ(株)製の有機カルボン酸系遅延剤「ジェットセッター」などを用いることができる。
【0038】
なお、上記の超遅延硬化性材料43には、更にセピオライトを混入してもよい。セピオライトを混入した場合、超遅延硬化性材料43に粘性と保湿性が付与され、遅延硬化層17の硬化過程での乾燥によるひび割れの発生が抑制される。また、セピオライトの混入により、遅延硬化層17におけるブリーディングの発生や、骨材の沈下などの材料分離の発生を抑制することもできる。
【0039】
以上の型枠設置工程と、粗骨材敷均工程と、超遅延硬化性材料注入工程と、からなる遅延硬化層設置工程により、粗骨材41と超遅延硬化性材料43とを含む遅延硬化層17が型枠15内の下部に形成される。
【0040】
(遅延硬化層硬化工程)
その後、型枠15を除去し、所定期間静置して遅延硬化層17を硬化させることで、本実施形態の打継施工方法による構造物が完成する。なおここでは、型枠15を取り付けたまま遅延硬化層17を硬化させてもよい。また、型枠15のうち、新設コンクリート19を覆う型枠の上部のみを除去し、遅延硬化層17を覆う型枠の下部のみ取り付けたままで遅延硬化層17を硬化させてもよい。この場合、型枠15を、新設コンクリート19を覆う上部型枠15aと、遅延硬化層17を覆う下部型枠15bとに予め分割しておけばよい。このように、遅延硬化層17を型枠で覆った状態で遅延硬化層硬化工程を行うことにより、遅延硬化層17の硬化過程における乾燥を抑制することができ、その結果、所望の硬化遅延作用を確実に得ることができる。
【0041】
本実施形態の打継施工方法によっても、前述の第1実施形態の打継施工方法と同様の作用効果が奏される。
【0042】
続いて、上述の第1及び第2実施形態に示す遅延硬化層17に起因する作用効果を確認すべく本発明者らが行った実験について図3及び図4を参照しながら説明する。
【0043】
図3に示すように、長さ200cm×幅200cm×厚さ20cmの既設コンクリート構造物11を準備した。準備した既設コンクリート構造物11の上面11aに、2つの供試体S1、S2を打継した。供試体S1,S2の寸法は、長さ200cm×幅15cmとした。
【0044】
供試体S1は、厚さ2cmのモルタルを上面11aに直接打継いだものである。供試体S2は、厚さ2cmの遅延硬化層17を介在させて厚さ2cmのモルタルを上面11aに打継いだものである。供試体S2の遅延硬化層17は、前述のとおりプレパックド工法で形成される超遅延プレパックドコンクリートからなる。
【0045】
各供試体S1,S2について、所定の材齢で上面の長手方向の収縮長さを実測し、各供試体S1,S2の材齢(日)とひずみ(μ)との関係を図4に示した。図4に示されるとおり、供試体S2は、供試体S1に比較して大きく収縮していることが判る。すなわち、供試体S2は、既設コンクリート構造物11による拘束が弱く、硬化過程においてある程度大きい収縮が許容されていることが判る。よって、供試体S2では、既設コンクリート構造物11からの拘束に起因する硬化過程のひび割れが抑制されることが判り、第1及び第2実施形態に示した遅延硬化層17による作用効果が確認された。
【0046】
〔第3実施形態〕
続いて、図5及び図6を参照しながら、本発明の打継施工方法の第3実施形態について説明する。図5に示すように、本実施形態のコンクリートの打継施工方法は、既設のコンクリート構造物(既存構造体)11の上に新設コンクリート19を打継いで新設コンクリート体21を施工する方法である。
【0047】
本実施形態のコンクリートの打継施工方法は、以下に説明する型枠設置工程と、粗骨材敷均工程と、 樹脂充填工程と、新設コンクリート打設工程と、樹脂除去工程と、硬化材注入工程と、を備えている。このうち、型枠設置工程と、粗骨材敷均工程と、樹脂充填工程と、は、既設コンクリート構造物11の上面11aに樹脂を含む樹脂層51を設けるための工程であり、以下では、これら3つの工程をまとめて「樹脂層設置工程」と呼ぶ場合がある。
【0048】
(型枠設置工程)
図5(a)に示すように、既設コンクリート構造物11上で新設コンクリート体21の設置予定位置Aには、新設コンクリート体21に埋設される鉄筋13が上面11aから突出するように予め設けられている。この鉄筋13を囲んで既設コンクリート構造物11の上面11aに型枠15を設置する。
【0049】
(粗骨材敷均工程)
次に、型枠15内に粗骨材を投入し、型枠15内に粗骨材41を敷均する。粗骨材41としては、通常コンクリートに使用される砂利よりも十分に粒径が大きいものを用いる。粗骨材41の最大粒径は40mm以下とすることが好ましい。粗骨材41は、例えば上面11a上に約10cmの厚さに敷均する。また、型枠15内に、粗骨材41と一緒にヒータ52を設置する。ヒータ52は、粗骨材41の層の中央部に埋め込むことが好ましい。なお、ヒータを型枠15に設置してもよい。
【0050】
(樹脂充填工程)
次に、図5(b)に示すように、型枠15内の粗骨材41同士の隙間に、液状の熱可塑性樹脂53を注入する。例えばここでは、型枠15の最下部に予め設けられた注入口(図示せず)を通じて、外部から型枠15内に熱可塑性樹脂53を圧入する。また、上記注入口の上方には空気孔(図示せず)が設けられており、熱可塑性樹脂53の注入に伴って、粗骨材41同士の隙間の空気が、空気孔を通じて型枠15外に排出される。これにより、粗骨材41同士の隙間に熱可塑性樹脂53が円滑に充填される。充填された熱可塑性樹脂53は、粗骨材41の隙間で自然に温度低下し硬化する。
【0051】
注入する熱可塑性樹脂53としては、例えば、アクリル系樹脂、酢酸セルローズ、ポリアミド系樹脂、パルミテン酸、オクタデシル、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー等を使用することができる。また、熱可塑性樹脂53としては、加熱により液状化するものを選択する。
【0052】
以上の型枠設置工程と、粗骨材敷均工程と、樹脂充填工程と、からなる樹脂層設置工程により、粗骨材41と当該粗骨材41の隙間で硬化した熱可塑性樹脂53とを含む樹脂層51が型枠15内の下部に形成される。
【0053】
(新設コンクリート打設工程)
続いて、図5(c)に示すように、樹脂層51の上から型枠15内に新設コンクリート19を打設する。新設コンクリート19は、所定期間静置することで硬化し、最終的には新設コンクリート体21となる。
【0054】
(樹脂除去工程)
次に、図6(a)に示すように、ヒータ52に給電し樹脂層51を加熱することで、樹脂層51の熱可塑性樹脂53が溶解する。更に、型枠15外から真空ポンプ55で樹脂層51を吸引することにより、液化した熱可塑性樹脂53を型枠15外に排出する。なお、型枠15の下部において樹脂層51の最上部に該当する位置には、外部からの空気を樹脂層51に流入させるための空気孔59が設けられている。これにより、樹脂層51においては、熱可塑性樹脂53が除去され、粗骨材41が残る。ここで排出された熱可塑性樹脂53は、他の同様の打継施工で再利用することができる。なお、樹脂除去工程は、新設コンクリート19が完全に硬化する前に開始することもできる。すなわち、新設コンクリート19の打設翌日からであれば、任意の時期に樹脂除去工程を開始することができる。
【0055】
(硬化材注入工程)
次に、図6(b)に示すように、型枠15内の粗骨材41同士の隙間に、ペースト状の硬化性材料57を注入する。ここでは、型枠15の最下部に予め設けられた注入口58を通じて、外部から型枠15内に硬化性材料57を圧入する。また、型枠15の下部において樹脂層51の最上部に該当する位置には前述の空気孔59が設けられており、硬化性材料57の注入に伴って、粗骨材41同士の隙間の空気が、空気孔59を通じて型枠15外に排出される。これにより、粗骨材41同士の隙間に硬化性材料57が円滑に充填される。硬化性材料57としては、モルタル又はペーストを用いることができる。その後、所定期間の静置により硬化性材料57が硬化することで、本実施形態の打継施工方法による構造物が完成する。
【0056】
次に、上述した本実施形態の打継施工方法による作用効果について説明する。
【0057】
この打継設施工方法によれば、新設コンクリート19と既設コンクリート構造物11との間に、樹脂層51が設けられる。樹脂層51に含まれる熱可塑性樹脂53はコンクリートに比較して変形し易いので、樹脂層51は、新設コンクリート19の硬化過程における伸縮にある程度追従して変形する。また、熱可塑性樹脂53と新設コンクリート19との接合が比較的弱いことから、新設コンクリート19が硬化過程で伸縮しても、樹脂層51と新設コンクリート19とが境界面である程度滑ることになる。よって、上記のような樹脂層51の介在により、新設コンクリート19の硬化過程の伸縮が既設コンクリート構造物11から絶縁され、新設コンクリート19の伸縮が既設コンクリート構造物11に拘束される作用が低減される。その結果、新設コンクリート19のひび割れが抑制され、最終的に新設コンクリート体21のひび割れが十分に抑制される。
【0058】
また、固体の熱可塑性樹脂53と粗骨材41とを含む樹脂層51は、新設コンクリート19が打設されるときに流されたり、新設コンクリート19の打設後に当該新設コンクリート19と混ざったりし難い。よって、樹脂層51が上記のような絶縁作用を十分に発揮し、新設コンクリート19のひび割れが十分に抑制される。また、最終的には熱可塑性樹脂53は除去され、その後の隙間はモルタル又はペースト等の硬化性材料で充填されるので、最終的には、必要な強度を備えた構造物が完成する。
【0059】
〔第4実施形態〕
続いて、図7及び図8を参照しながら、本発明の打継施工方法の第4実施形態について説明する。図7に示すように、本実施形態のコンクリートの打継施工方法は、既設のコンクリート構造物(既存構造体)11の上に新設コンクリート19を打継いで新設コンクリート体21を施工する方法である。
【0060】
本実施形態のコンクリートの打継施工方法は、以下に説明する型枠設置工程と、粗骨材敷均工程と、 樹脂充填工程と、新設コンクリート打設工程と、樹脂除去工程と、硬化材注入工程と、を備えている。このうち、型枠設置工程と、粗骨材敷均工程と、樹脂充填工程と、は、既設コンクリート構造物11の上面11aに樹脂を含む樹脂層61を設けるための工程であり、以下では、これら3つの工程をまとめて「樹脂層設置工程」と呼ぶ場合がある。
【0061】
(型枠設置工程)
図7(a)に示すように、既設コンクリート構造物11上で新設コンクリート体21の設置予定位置Aには、新設コンクリート体21に埋設される鉄筋13が上面11aから突出するように予め設けられている。この鉄筋13を囲んで既設コンクリート構造物11の上面11aに型枠15を設置する。
【0062】
(粗骨材敷均工程)
次に、型枠15内に粗骨材を投入し、型枠15内に粗骨材41を敷均する。粗骨材41としては、通常コンクリートに使用される砂利よりも十分に粒径が大きいものを用いる。粗骨材41の最大粒径は40mm以下とすることが好ましい。粗骨材41は、例えば上面11a上に約10cmの厚さに敷均する。
【0063】
(樹脂充填工程)
次に、図7(b)に示すように、型枠15内の粗骨材41同士の隙間に、粒状の発砲スチロール(樹脂)63を投入する。粗骨材41の粒径に対して十分に小さい粒径の発砲スチロール63を使用することにより、粗骨材41同士の隙間に発砲スチロール63の粒子が円滑に充填される。
【0064】
以上の型枠設置工程と、粗骨材敷均工程と、樹脂充填工程と、からなる樹脂層設置工程により、粗骨材41と当該粗骨材41の隙間に充填された粒状の発砲スチロール63とを含む樹脂層61が型枠15内の下部に形成される。
【0065】
(新設コンクリート打設工程)
続いて、図7(c)に示すように、樹脂層61の上から型枠15内に新設コンクリート19を打設する。新設コンクリート19は、所定期間静置することで硬化し、最終的には新設コンクリート体21となる。
【0066】
(樹脂除去工程)
次に、図8(a)に示すように、注入口58を通じて樹脂層61にリモネン液を注入する。これにより、樹脂層61の発砲スチロール63がリモネン液に溶解する。更に、型枠15外から真空ポンプ55で樹脂層61を吸引することにより、発砲スチロール63が溶解したリモネン液64を型枠15外に排出する。なお、型枠15の下部において樹脂層61の最上部に該当する位置には、外部からの空気を樹脂層61に流入させるための空気孔59が設けられている。これにより、樹脂層61においては、発砲スチロール63が除去され、粗骨材41が残る。ここで排出された溶液は、所定のプラントで発泡スチロールとリモネン液とに分離し、再利用することができる。なお、樹脂除去工程は、新設コンクリート19が完全に硬化する前に開始することもできる。すなわち、新設コンクリート19の硬化時の温度収縮が十分に小さくなった時期に、樹脂除去工程を開始することができる。
【0067】
(硬化材注入工程)
次に、図8(b)に示すように、型枠15内の粗骨材41同士の隙間に、ペースト状の硬化性材料57を注入する。ここでは、型枠15の下部に予め設けられた注入口58を通じて、外部から型枠15内に硬化性材料57を圧入する。また、硬化性材料57の注入に伴って、粗骨材41同士の隙間の空気が、前述の空気孔59を通じて型枠15外に排出される。これにより、粗骨材41同士の隙間に硬化性材料57が円滑に充填される。硬化性材料57としては、モルタル又はペーストを用いることができる。その後、所定期間の静置により硬化性材料57が硬化することで、本実施形態の打継施工方法による構造物が完成する。
【0068】
次に、上述した本実施形態の打継施工方法による作用効果について説明する。
【0069】
この打継設施工方法によれば、新設コンクリート19と既設コンクリート構造物11との間に、樹脂層61が設けられる。樹脂層61に含まれる発砲スチロール63は粒状をなすので、樹脂層61は、全体として変形し易く、新設コンクリート19の硬化過程における伸縮にある程度追従して変形する。また、樹脂層61と新設コンクリート19との接合が比較的弱いことから、新設コンクリート19が硬化過程で伸縮しても、樹脂層61と新設コンクリート19とが境界面である程度滑ることになる。よって、上記のような樹脂層61の介在により、新設コンクリート19の硬化過程の伸縮が既設コンクリート構造物11から絶縁され、新設コンクリート19の伸縮が既設コンクリート構造物11に拘束される作用が低減される。その結果、新設コンクリート19のひび割れが抑制され、最終的に新設コンクリート体21のひび割れが十分に抑制される。
【0070】
また、粒状の発砲スチロール63と粗骨材41とを含む樹脂層61は、新設コンクリート19が打設されるときに流されたり、新設コンクリート19の打設後に当該新設コンクリート19と混ざったりし難い。よって、樹脂層61が上記のような絶縁作用を十分に発揮し、新設コンクリート19のひび割れが十分に抑制される。また、最終的には発砲スチロール63は除去され、その後の隙間はモルタル又はペースト等の硬化性材料で充填されるので、最終的には、必要な強度を備えた構造物が完成する。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形したものであってもよい。例えば、既存構造体は、実施形態に示したような既設のコンクリート構造物に限らず、例えば、天然の岩盤であってもよい。また、上述の各実施形態に係る打継施工方法が備える各々の構成要素は、適宜組み合わせて採用してもよい。
【符号の説明】
【0072】
11…既設コンクリート構造物(既存構造体)、11a…上面、15…型枠、17…遅延硬化層、19…新設コンクリート、21…新設コンクリート体、41…粗骨材、43…超遅延硬化性材料、47…注入口、49…空気孔、51,61…樹脂層、52…ヒータ、53…熱可塑性樹脂、55…真空ポンプ、57…硬化性材料、63…発砲スチロール、71,72…超遅延剤塗布層。
図1
図2
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図8