(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
酸化チタン含有核粒子(A)と、それを被覆する層であって二酸化珪素/酸化第二スズの質量比が0.1〜5.0である二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)からなる被覆層とを有し、かつ前記酸化チタン含有核粒子(A)と前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)からなる被覆層との間に、Si、Al、Sn、Zr、Zn、Sb、Nb、Ta及びWからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物、複合酸化物、又は該酸化物及び該複合酸化物の混合物のいずれか1種からなる中間薄膜層が1層以上介在してなる二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子。
前記酸化チタン含有核粒子(A)は、Si、Al、Sn、Zr、Zn、Sb、Nb、Ta及びWからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含むものである請求項1又は2に記載の二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子。
前記酸化チタン含有核粒子(A)は、結晶型がルチル型である請求項1〜3のいずれか一項に記載の二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子。
分散媒に金属酸化物粒子が分散した金属酸化物粒子分散ゾルであって、前記金属酸化物粒子は請求項1〜5のいずれか一項に記載の二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子であり、前記分散媒は水、有機溶媒、又は水及び有機溶媒の混合溶媒である二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子分散ゾル。
金属酸化物粒子及びマトリックス形成成分を含む透明被膜形成用塗布液であって、前記金属酸化物粒子が請求項1〜5のいずれか一項に記載の二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子を含有するものであり、前記マトリックス形成成分が下記式(I)で表される有機珪素化合物、該有機珪素化合物の加水分解物、及び該加水分解物の部分縮合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有するものである透明被膜形成用塗布液。
R1aR2bSi(OR3)4−(a+b) (I)
(式中、R1は炭素原子数1〜10の炭化水素基、ビニル基、メタクリロキシ基、又はメルカプト基、アミノ基若しくはエポキシ基を有する有機基を表し、R2は炭素原子数1〜4の炭化水素基を表し、R3は炭素原子数1〜8の炭化水素基又はアシル基を表し、a、bは0又は1を表す。)
金属酸化物粒子及びマトリックス形成成分を含む透明被膜形成用塗布液であって、前記金属酸化物粒子が請求項1〜5のいずれか一項に記載の二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子を含有するものであり、前記マトリックス形成成分が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、及び紫外線硬化性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有するものである透明被膜形成用塗布液。
表面に、請求項8又は9に記載の透明被膜形成用塗布液を用いて形成させたプライマー膜を有し、その上に更に請求項7に記載の透明被膜形成用塗布液を用いて形成させたハードコート膜を有する透明被膜付基材。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子は、酸化チタン含有核粒子(A)と、それを被覆する層であって二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子からなる被覆層とを有し、かつ前記酸化チタン含有核粒子(A)と前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)からなる被覆層との間に、Si、Al、Sn、Zr、Zn、Sb、Nb、Ta及びWからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物、複合酸化物、又は該酸化物及び該複合酸化物との混合物のいずれか1種からなる中間薄膜層が1層以上介在してなる二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子であることを特徴としている。
【0018】
前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有複合金属酸化物粒子の一次粒子径は特に制限はないが、1〜100nm、好ましくは2〜60nmの範囲である。ここで一次粒子径とは、透過型電子顕微鏡観察によって測定される粒子径を指す。
【0019】
前記一次粒子径が1nm未満の場合は、その粒子を含む塗布液を用いて得られる被膜は硬度が不充分であり、耐擦傷性及び耐磨耗性に劣る。しかも被膜の屈折率を充分に高くできないことがある。また、一次粒子径が100nmを超えると、得られる被膜が白濁して不透明になることがある。
【0020】
前記酸化チタン含有核粒子(A)の一次粒子径は、特に制限はないが概ね1〜100nm、好ましくは2〜50nmの範囲にあることが望ましい。
【0021】
前記酸化チタン含有核粒子(A)における酸化チタン含有量は、TiO
2換算で5〜100質量%であり、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。酸化チタン含有量が10質量%未満の場合は、これらの粒子を含む塗布液を用いて得られる透明被膜の屈折率が高くならず、基材の屈折率によっては干渉縞が生成することがある。
【0022】
前記酸化チタン含有核粒子(A)は、酸化チタンのみからなるものであっても、酸化チタンと酸化チタン以外の成分からなるものであってもよい。前記酸化チタン含有核粒子(A)は、Si、Al、Sn、Zr、Zn、Sb、Nb、Ta及びWからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含んでいることが好ましい。このような酸化チタンと酸化チタン以外の成分は、混合物でも、互いに固溶状態でもよい。
【0023】
前記酸化チタン含有核粒子(A)に酸化チタン以外の成分が含まれる場合の具体例としては、酸化チタンと酸化第二スズ、又は酸化チタンと酸化第二スズと酸化ジルコニウムからなる粒子が挙げられる。
【0024】
また、前記酸化チタン含有核粒子(A)は無定形でも、アナタース型、ルチル型、ブルッカイト型等の結晶であってもよい。更には、チタン酸バリウム(BaTiO
3又はBaO・TiO
2 で表される。)のようなペロブスカイト型チタン化合物であってもよい。中でも前記酸化チタン含有核粒子(A)の結晶型はルチル型であることが好ましい。
【0025】
本発明の二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子における二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)からなる被覆層の量は、前記酸化チタン含有核粒子(A)に対して0.01〜1.0の範囲である。
【0026】
本発明の二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子は、酸化チタン含有核粒子(A)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)からなる被覆層との間に、Si、Al、Sn、Zr、Zn、Sb、Nb、Ta及びWからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物、複合酸化物、又は該酸化物及び該複合酸化物の混合物のいずれか1種からなる中間薄膜層が1層以上介在している。該中間薄膜層は1層であっても、2層以上の多層であってもよい。
【0027】
酸化チタン含有核粒子(A)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)からなる被覆層との間に中間薄膜層を少なくとも1層介在していることによって、二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の屈折率を調整することができる他、この粒子を含む塗布液を用いて得られる被膜の耐光性、耐候性、被膜と基材との密着性等の諸物性を向上させることができる。更に前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の着色を抑制し、被膜の透明性を向上させることができる。
【0028】
また、少なくとも1層設ける中間薄膜層の層の数、層の厚さは、二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子中の酸化チタン含有核粒子(A)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)からなる被覆層との割合が、前記酸化チタン含有核粒子(A)の質量を基準として二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)からなる被覆層の量として0.01〜1.0の範囲にあれば、とくに制限はない。
【0029】
前記中間薄膜層としては、特に二酸化珪素、酸化アンチモン、酸化アルミニウム又は酸化ジルコニウムが好適であり、形態としては、二酸化珪素、酸化アンチモン、酸化アルミニウム又は酸化ジルコニウムが各成分毎に積層して薄膜層を形成していてもよく、また、例えば酸化アンチモン−二酸化珪素複合体のように複合化して薄膜層を形成していてもよい。
【0030】
この場合、中間薄膜層として、酸化ケイ素と酸化ジルコニウムおよび/または酸化アルミニウムとを用いると、優れた耐候性、耐光性、基材との密着性、膜硬度、耐擦傷性、可撓性等を有する透明被膜を形成可能な
二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有複合酸化物粒子を得ることができる。また、薄膜層に酸化ケイ素を含むことで、複合酸化物微粒子分散水ゾルの安定性が向上し、かつ後述する塗布液のポットライフが長くなり、得られる透明被膜の硬度の向上と透明被膜の上に形成される反射防止膜との密着性の向上を図ることができ、更にこの場合も耐候性、耐光性、基材との密着性、膜硬度、耐擦傷性、可撓性等が向上する。
【0031】
本発明の二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子は、その表面に有機珪素化合物又はアミン系化合物が結合されていることが好ましい。
【0032】
使用される有機珪素化合物としては、シランカップリング剤として知られている公知の有機珪素化合物を用いることができ、その種類は、用途や溶媒の種類等に応じて適宜選択される。
【0033】
有機珪素化合物として、具体的には、以下の一般式(1)〜(4)で表される化合物が使用される。
【0034】
一般式(1):R
3SiX (1)
で表される単官能性シラン(式(1)中、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基、フェニル基、ビニル基、メタクリロキシ基、メルカプト基、アミノ基又はエポキシ基を有する有機基を表す。Xは加水分解性基を表す。)。このような単官能性シランとしては、例えば、トリメチルシラン、ジメチルフェニルシラン、ジメチルビニルシラン等が挙げられる。
【0035】
一般式(2):R
2SiX
2 (2)
で表される二官能性シラン(式(2)中、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基、フェニル基、ビニル基、メタクリロキシ基、メルカプト基、アミノ基又はエポキシ基を有する有機基を表す。Xは加水分解性基を表す。)。このような二官能性シランとしては、例えば、ジメチルシラン、ジフェニルシラン等が挙げられる。
【0036】
一般式(3):RSiX
3 (3)
で表される三官能性シラン(式(3)中、Rは炭素原子数1〜10のアルキル基、フェニル基、ビニル基、メタクリロキシ基、メルカプト基、アミノ基又はエポキシ基を有する有機基を表す。Xは加水分解性基を表す。)。このような三官能性シランとしては、例えば、メチルシラン、フェニルシラン等が挙げられる。
【0037】
一般式(4):SiX
4 (4)
で表される四官能性シラン(式(4)中、Xは加水分解性基を表す。)。このような四官能性シランとしては、例えば、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン等が挙げられる。
【0038】
これらの有機珪素化合物は、単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。また、前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の表面に有機珪素化合物が結合される表面改質処理を行う際に、前記有機珪素化合物の部分的な加水分解を行っても良いし、加水分解を行わないままで表面改質処理を行っても良い。また、表面改質処理後は、加水分解性基が前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の表面のヒドロキシ基と反応した状態が好ましいが、一部のヒドロキシ基が未処理のまま残存した状態でも何ら差し支えない。
【0039】
また、使用されるアミン系化合物としては、エチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン等のアルキルアミン、ベンジルアミン等のアラルキルアミン、ピペリジン等の脂環式アミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の第4級アンモニウム塩や第4級アンモニウムハイドロオキサイドがある。
これらのアミン系化合物は、単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
また、これらのアミン系化合物は、例えば、前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の表面のヒドロキシ基と反応させることによって、又は該粒子表面に配位結合させることによって該粒子の表面に結合させてもよい。
【0040】
二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子被覆酸化チタン含有複合金属酸化物粒子の表面に有機珪素化合物又はアミン系化合物を結合させるには、例えば、有機珪素化合物又はアミン系化合物のアルコール溶液中に前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子被覆酸化チタン含有複合金属酸化物粒子を混合し、所定量の水と、必要に応じて加水分解触媒を加えた後、所定時間常温で放置するか、又は加熱処理を行なうとよい。
【0041】
また、有機珪素化合物の加水分解物と二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子被覆酸化チタン含有複合金属酸化物粒子とを水とアルコールの混合液に加えて加熱処理することによっても行うことができる。
【0042】
用いられる有機珪素化合物又はアミン系化合物の量は、二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子被覆酸化チタン含有複合金属酸化物粒子の金属酸化物粒子質量に対して0.1〜40質量%添加することができる。
【0043】
本発明の二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子は、水、有機溶媒、又は水及び有機溶媒の混合溶媒に分散した金属酸化物分散ゾルとして取り扱うことができる。
【0044】
本発明の二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有複合金属酸化物粒子分散ゾルは、前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有複合金属酸化物粒子が水、有機溶媒、又は水と有機溶媒との混合溶媒に分散したものである。
【0045】
本発明の二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有複合金属酸化物粒子分散ゾルは、前記中間薄膜層が設けられているので、従来公知の酸化チタンゾル、酸化チタン系の複合酸化物ゾルに比べて分散安定性等に優れている。
【0046】
二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子被覆酸化チタン含有複合金属酸化物粒子の水分散ゾル中の全金属酸化物濃度は、0.01〜40質量%、好ましくは0.5〜20質量%の範囲である。全金属酸化物濃度が0.01質量%未満の場合は、他の成分と配合して得られる塗布液等の濃度が低くなりすぎて、得られる塗膜の厚さを所望の厚さにできないことがある。全金属酸化物濃度が40質量%を越えるとゾルの安定性が不充分となることがある。
【0047】
二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有複合金属酸化物粒子の有機溶媒分散ゾルの場合、前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有複合金属酸化物粒子の表面に有機珪素化合物又はアミン系化合物が結合されて、表面改質処理されていることが好ましい。表面改質処理されたものは、表面が疎水化されているので、有機溶媒への分散性に優れている。
【0048】
二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有複合金属酸化物粒子の有機溶媒分散ゾル中の全金属酸化物濃度は、1〜60質量%、好ましくは2〜30質量%の範囲である。全金属酸化物濃度が1質量%未満の場合は、他の成分と配合して得られる塗布液等の濃度が低くなりすぎて、得られる塗膜の厚さを所望の厚さにできないことがある。固形分濃度が60質量%を越えるとゾルの安定性が不充分となる。
【0049】
本発明の二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有複合金属酸化物粒子の有機溶媒分散ゾルに用いる有機溶媒としては、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、エチレングリコール等のグリコール類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及びN,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの溶媒は2種以上を混合して用いてもよい。
【0050】
本発明に係る第一の透明被膜形成用塗布液は、前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子と、マトリックス形成成分として下記の一般式(I)で表される有機珪素化合物、有機珪素化合物の加水分解物又は該加水分解物の部分縮合物の1種以上とを含有することを特徴としている。
【0051】
R
1aR
2bSi(OR
3)
4−(a+b) (I)
(式中、R
1は炭素原子数1〜10の炭化水素基、ビニル基、メタクリロキシ基、又はメルカプト基、アミノ基若しくはエポキシ基を有する有機基を表し、R
2は炭素原子数1〜4の炭化水素基を表し、R
3は炭素原子数1〜8の炭化水素基又はアシル基を表し、a、bは0又は1を表す。)
前記一般式(I)で表される有機珪素化合物としては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0052】
また、これらの有機珪素化合物は無溶媒下で又はアルコール等の極性有機溶媒中で、酸の存在下に加水分解して使用することが好ましい。
【0053】
前記一般式(I)で表される有機珪素化合物と二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有複合金属酸化物粒子との混合は、前記一般式(I)で表される有機珪素化合物の加水分解の後でも、酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有複合金属酸化物粒子と混合後に加水分解を行っても良い。加水分解は完全に加水分解されていても一部が部分的に加水分解されていても良い。
【0054】
なお、透明被膜形成用塗布液中に占める前記マトリックス形成成分の割合は、10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%の範囲とすることが適当である。この割合が10質量%以下では、基材と被膜との密着性が低下することがあり、また、90質量%以上では高屈折率の被膜が得られないことがある。
【0055】
また、本発明の第二の透明被膜形成用塗布液は、前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子と、マトリックス形成成分として、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及び紫外線硬化性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂とを含有することを特徴としている。
【0056】
前記マトリックス形成成分としては、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、フォスファーゲン系樹脂等が用いられる。中でもポリエステル系樹脂又はウレタン系樹脂であることが好ましい。
【0057】
本発明の透明被膜形成用塗布液は、マトリックス形成成分の110℃乾燥固形分100質量部に対して、二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有複合金属酸化物粒子が5〜1000質量部であり、好ましくは10〜600質量部である。
【0058】
本発明の透明被膜形成用塗布液には、二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物酸化チタン含有複合金属酸化物粒子及びマトリックス形成成分の他に次の(C)〜(F)成分が任意に含まれていてもよい。
(C)成分:
(C)成分は、一般式(5):Si(OR
4)
4 (5)
(式(5)中、R
4は炭素原子数1〜8の炭化水素基、アルコキシアルキル基又はアシル基を表す。)
で表される四官能有機珪素化合物の加水分解物又は部分縮合物の1種以上である。
【0059】
前記一般式(5)で表される有機珪素化合物は、形成される透明被膜の屈折率を調整し、更に塗布された透明被膜の硬化速度を速めたり、透明被膜の硬度を向上させる目的で用いられる。(C)成分を用いることにより、硬化後の透明被膜の屈折率を基材の屈折率に応じて適宜調整することができ、かつ二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有複合金属酸化物粒子の含有量がある程度低下しても反射防止膜の密着性を得ることが可能である。
【0060】
一般式(5)で表される四官能有機珪素化合物としては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラアリロキシシラン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルブトキシシラン)、テトラキス(2−エチルヘキシロキシ)シラン等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。また、これらは無溶媒下で又はアルコール等の有機溶媒中で、酸の存在下に加水分解して使用することが好ましい。
なお、透明被膜形成用塗布液中に占める前記(C)成分の含有割合は、透明被膜形成用塗布液の質量を基準として0〜50質量%が適当である。これは、含有割合が50質量%を超えると硬化後の透明被膜にクラックが入り易いためである。
【0061】
(D)成分:
(D)成分は、Si、Al、Sn、Sb、Ta、Ce、La、Zn、W、Nb、Zr及びInからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の金属酸化物微粒子、又は1種以上の元素の複合金属酸化物であり、一次粒子径は1〜50nmである。これらは具体的にはSiO
2、Al
2O
3、SnO
2、Sb
2O
5、Ta
2O
5、CeO
2、La
2O
3、ZnO、WO
3、ZrO
2、In
2O
3、Nb
2O
5等の金属酸化物微粒子、ZnSbO
6、ZnSnO
3等の複合酸化物微粒子、又はその双方が水又は有機溶媒にコロイド状に分散したものである。
(D)成分は、その表面に前記一般式(1)〜(4)のいずれか一つの式で表される有機珪素化合物又はアミン系化合物が結合されたものを使用することもできる。
【0062】
(E)成分:
(E)成分は、多官能性エポキシ化合物、多価カルボン酸及び多価カルボン酸無水物から選ばれる少なくとも1種である。形成される透明被膜の硬度の改良を目的として用いられる。
【0063】
多官能性エポキシ化合物とは、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であって、従来から知られているエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、1、4シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
多価カルボン酸及び多価カルボン酸無水物としては、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、マレイン酸、オルソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、イタコン酸、オキザロ酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、無水フタル酸等が挙げられる。
【0064】
透明被膜形成用塗布液中に占める(E)成分の含有割合は、透明被膜形成用塗布液の質量を基準として0〜40質量%が適当である。これは、40質量%を超えると硬化後の透明被膜とその上に形成される反射防止膜との密着性が低下するためである。
【0065】
(F)成分:
(F)成分は、アミン類、アミノ酸類、金属アセチルアセトナート、有機酸金属塩、過塩素酸類、過塩素酸類の塩、酸類及び金属塩化物から選ばれる少なくとも1種の硬化触媒である。(F)成分は、透明被膜形成用塗布液に含まれる有機珪素系マトリックス形成成分の有するシラノール基又はエポキシ基の硬化を促進するために用いられる。これらの硬化触媒を用いることにより、被膜形成反応を速めることが可能となる。
【0066】
これらの具体例としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、グアニジン、ビグアニジド等のアミン類、グリシン等のアミノ酸類、アルミニウムアセチルアセトナート、クロムアセチルアセトナート、チタニルアセチルアセトネート、コバルトアセチルアセトネート等の金属アセチルアセトナート、酢酸ナトリウム、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸スズ等の有機酸金属塩類、過塩素酸、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸マグネシウム等の過塩素酸類又はその塩、塩酸、リン酸、硝酸、p−トルエンスルホン酸等の酸、若しくはSnCl
2、AlCl
3、FeCl
3、TiCl
4、ZnCl
2、SbCl
3等のルイス酸である金属塩化物等が挙げられる。
【0067】
これらの硬化触媒は、透明被膜形成用塗布液の組成等により種類と使用量を調整して用いることができる。使用量の上限としては、前記塗布液中の全固形分に対して5質量%以下で用いるのが望ましい。
【0068】
更に、本発明の透明被膜形成用塗布液を用いて基材上に形成される透明被膜の性能を改良するため、必要に応じて、少量の界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散染料、油溶染料、蛍光染料、顔料、フォトクロミック化合物、チクソトロピー剤等を添加してもよい。
【0069】
本発明の透明被膜形成用塗布液には、流動性の付与、固形分濃度の調整、表面張力、粘度、蒸発速度等を調整する目的で溶媒が用いられる。用いられる溶媒は、水又は有機溶媒である。
【0070】
用いられる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、エチレングリコール等のグリコール類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及びN,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0071】
本発明の二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の製造方法としては、従来公知の方法を採用することができる。
【0072】
酸化チタン含有核粒子(A)としては、例えば、本出願人の出願による特開平10−306258号公報等に開示された複合酸化物粒子の製造方法により製造することができる。酸化チタン含有核粒子(A)の水分散ゾルの固形分濃度は全金属酸化物として0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜20質量%の範囲である。前記水分散ゾルの濃度が0.1質量%未満の場合は生産性が低く、工業的に不利である。また、固形分濃度が30質量%を越えると、得られる粒子が凝集体となる傾向があり、優れた透明被膜が得られにくいため、好ましくない。
【0073】
前記Si、Al、Sn、Zr、Zn、Sb、Nb、Ta及びWからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物、複合酸化物、又は該酸化物及び該複合酸化物の混合物のいずれか1種からなる中間薄膜層の形成方法は、先ず中間薄膜層の構成成分となる元素の水溶液又はコロイド粒子分散液を用意し、その中に酸化チタン含有核粒子(A)を投入し、該酸化チタン含有核粒子(A)の表面に中間薄膜層を形成させる。中間薄膜層を形成させる際は加熱することが好ましく、40以上、又は200℃以下が好ましい。
【0074】
次いで中間薄膜層を形成させた酸化チタン含有核粒子(A)の水分散ゾルに、二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)の水分散ゾルを添加して、被覆層を形成させる。二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)の添加量は、前記酸化チタン含有核粒子(A)に対して0.01〜1.0の範囲である。
【0075】
上記の方法で得られた二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の水分散ゾルは、必要に応じて分散ゾルのpH、温度を適宜調節し、必要に応じて加熱してもよい。加熱は40以上、又は200℃以下が好ましい。被覆層形成後、必要に応じて洗浄処理して不純物を除去してもよい。また、限外濾過、蒸発濃縮等の方法により全金属酸化物濃度を調整することができる。
【0076】
本発明の二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子分散ゾルは水、有機溶媒、又は水及び有機溶媒の混合溶媒を分散媒とするゾルである。前記有機溶媒分散ゾルは、前記水分散ゾルの分散媒である水を、蒸留法又は限外濾過法等の通常用いられる方法により溶媒置換して製造することができる。
【0077】
本発明の透明被膜形成用塗布液は、前記の方法により得られた二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子に、マトリックス形成成分と、必要に応じてその他の成分を混合することによって得られる。
【0078】
本発明の透明被膜形成用塗布液を製造する際には、前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子分散ゾルを好適に用いることができる。
【0079】
前記透明被膜形成用塗布液の固形分濃度は、必要に応じて混合して用いるその他の成分に由来する固形分を含めた合計濃度で1〜70質量%、好ましくは2〜50質量%の範囲である。
【0080】
尚、本発明の透明被膜形成用塗布液を製造する際には、前記分散ゾルの形態で用いる他に、二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子が塗布液中で容易に分散可能な場合には、微粉末の状態で用いてもよく、更に前記分散ゾルを乾燥したものを用いてもよい。
【0081】
次いで本発明の透明被膜付基材について説明する。本発明の透明被膜付基材は、基材と基材表面に形成された高屈折率の透明被膜を有し、この透明被膜は前記透明被膜形成用塗布液から形成される。
【0082】
本発明の透明被膜付基材は、基材表面に前記第一又は第二の透明被膜形成用塗布液を用いて形成させた透明被膜を有することを特徴とする。
【0083】
また本発明の透明被膜付基材は、基材表面に前記第二の透明被膜形成用塗布液を用いて形成させたプライマー膜を有し、その上に更に第一の透明被膜形成用塗布液を用いて形成させたハードコート膜を有することを特徴とする。前記透明被膜又はハードコート膜の上には、更に反射防止膜を有していてもよい。
【0084】
用いられる基材は、ガラス、プラスチック等からなる各種基材が用いられ、具体的には、眼鏡レンズ、カメラ等の各種光学レンズ、各種表示素子フィルター、ルッキンググラス、窓ガラス、自動車等の塗料膜、自動車等に用いられるライトカバーが挙げられる。この基材表面には、ハードコート膜として透明被膜が形成される。又はハードコート膜以外にも、プラスチックレンズのプライマー用膜等として透明被膜が形成されることがある。
【0085】
これらの基材表面に形成される被膜の膜厚は、被膜付基材の用途によって異なるが、0.05〜30μmが好ましい。
【0086】
本発明の透明被膜付基材は、上述した基材表面に本発明の透明被膜形成用塗布液をディッピンク法、スピンコート法、スプレー法、ロールコーター法、フロー法等、従来公知の方法で塗布、乾燥して被膜を形成し、次いでこの被膜を基材の耐熱温度以下に加熱することによって製造することができる。特に熱変形温度が100℃未満のレンズ基材に対しては、治具でレンズ基材を固定する必要のないスピンコート法が好適である。また、被膜形成用基材が樹脂レンズである場合、基材上に塗布液を塗布した後、40〜200℃の温度で数時間加熱乾燥することにより、被膜を形成することが望ましい。
【0087】
なお、前記透明被膜形成用塗布液のマトリックス形成成分として紫外線硬化性樹脂を用いた場合には、該塗布液を基材表面に塗布した後、乾燥し、この塗布液が塗布されている基材表面に所定の波長の紫外線を照射し硬化する等の方法で本発明に係る被膜付基材を製造することができる。
【0088】
更に、本発明の被膜付基材を製造するに際し、基材、例えばレンズ基材、と被膜との密着性を向上させる目的で、基材表面を予めアルカリ、酸又は界面活性剤で処理したり、無機又は有機微粒子で研磨処理したり、プライマー処理又はプラズマ処理を行ってもよい。
【0089】
また本発明の被膜付基材としては、プライマー膜を、基材とハードコート層との間に有するものであってもよい。この場合、プライマー膜を前記第二の透明被膜形成用塗布液を使用して形成し、ハードコート膜を前記第一の透明被膜形成用塗布液を使用して形成すればよい。
【0090】
屈折率が高い光学材料を使用したプラスチックレンズでは、表面にハードコート膜が形成され、更にこのハードコート膜上に反射防止を目的にマルチコート層が形成されている。このマルチコート層形成工程でプラスチックレンズ基材に歪みが生じ、落下等の衝撃によりレンズが割れやすくなることがあり、このためプラスチックレンズとハードコート膜の間に衝撃を吸収する柔軟なプライマー膜が設けられている。
【0091】
プライマー膜の屈折率は、基材の屈折率と等しくないと干渉縞が生じることがあるが、本発明の透明被膜形成用塗布液のうち、マトリックス成分として、前記アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、フォスファーゲン系樹脂等の樹脂を含む第二の透明被膜形成用塗布液を使用すれば、基材の屈折率と同程度のプライマー膜を形成することができる。
【0092】
尚、このようなプライマー膜を形成する場合、前記のような方法によって塗布液を塗布したのち、被膜を硬化すればよい。
【0093】
本発明の透明被膜形成用塗布液には、反応を促進するために硬化剤を、また、基材との屈折率を合わせるために微粒子状金属酸化物を、更に、塗布時における濡れ性を向上させ、硬化された被膜の平滑性を向上させる目的で各種の界面活性剤を含有させることができる。更に、紫外線吸収剤、酸化防止剤等も硬化膜の物性に影響を与えない限り添加することが可能である。
【0094】
また、本発明の透明被膜形成用塗布液より得られる被膜の上に設けられる、無機酸化物の蒸着膜からなる反射防止膜は、特に限定されず、従来より知られている無機酸化物の蒸着膜からなる単層、多層の反射防止膜を使用できる。その反射防止膜の例としては、例えば特開平2−262104号公報、特開昭56−116003号公報に開示されている反射防止膜等が挙げられる。
【0095】
衝撃吸収膜は、耐衝撃性を向上させる。この衝撃吸収膜は、ポリアクリル酸系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニールアルコール系樹脂等で構成される。
【0096】
また、本発明の透明被膜形成用塗布液より得られる被膜は、高屈折率膜として反射膜に使用でき、更に、防曇、フォトクロミック、防汚等の機能成分を加えることにより、多機能膜として使用することもできる。
【0097】
本発明のコーティング組成物よりなる被膜を有する光学部材は、眼鏡レンズのほか、カメラ用レンズ、自動車の窓ガラス、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等に付設する光学フィルター等に使用することができる。
【実施例】
【0098】
以下の実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(製造例)
製造例1
特開平10−245224号公報の実施例2に基づいて、酸化チタン含有核粒子(A1)の水分散ゾルを調製した。
(a)工程:四塩化チタン(住友シチックス(株)製:TiO
2換算濃度27.2質量%、Cl 32.0質量%)293.8g(TiO
2換算で79.8g)と水371.6gを、3リットルのジャケット付きガラス製セパラブルフラスコにとり、塩化チタン水溶液665g(TiO
2換算濃度12.0質量%)を調製した。この水溶液をガラス製攪拌棒で攪拌しながら50℃まで加熱した後、冷却しながら35質量%の過酸化水素水950.8gと金属スズ粉末(山石金属(株)製:商品名AT−Sn、No.200)566.4gを添加した。過酸化水素水と金属スズの添加は、はじめに金属スズ31.5g(0.265モル)を、次いで過酸化水素水53.8g(0.554モル)を徐々に加えた。この反応が終了するのを待って、金属スズ31.5g(0.265モル)を、次いで過酸化水素水53.8g(0.554モル)を徐々に加えた。この様に金属スズの添加に続く過酸化水素水の添加を、5〜10分の間隔を置いて合計17回繰り返すことにより、(金属スズを31.5gと過酸化水素水を53.8g)×17回の分割添加を行った後、最後に金属スズ30.9gを、次いで過酸化水素水36.2gを添加し、合計18回の分割添加を行った。反応は発熱反応のため、金属スズの添加により水溶液は70〜75℃になり、反応が終了した後に冷却されて50〜60℃に低下した。反応は50〜75℃で行われた。過酸化水素と金属スズの1回分の添加割合はH
2O
2/Snモル比で2.09であった。過酸化水素水と金属スズの添加に要した時間は、3.0時間であった。反応終了後、塩基性塩化チタン−スズ複合塩水溶液3195.6gを得た。このときの濃度は、TiO
2+SnO
2換算の合計濃度として25質量%であった。
(b)工程:(a)工程で得られた塩基性塩化チタン−スズ複合塩水溶液2870gに水11269g、28質量%のアンモニア水211gを添加し、TiO
2+SnO
2換算濃度で5質量%まで希釈した。この水溶液を95℃で10時間加水分解を行い、酸化チタン−酸化第二スズ複合コロイドの凝集体スラリーを得た。
(c)工程:(b)工程で得られた酸化チタン−酸化第二スズ複合コロイドの凝集体スラリーを、限外濾過装置にて水約15リットルを用いて濃縮と注水の操作を繰り返し、過剰な電解質を洗浄除去した後、解膠させて酸性の酸化チタン−酸化第二スズ複合水分散ゾル14350gを得た。酸化チタン−酸化第二スズ複合コロイド粒子の透過型電子顕微鏡観察による一次粒子径は4〜8nmであった。
(d)工程:(c)工程で得た酸性の酸化チタン−酸化第二スズ複合ゾル14350gにイソプロピルアミン137gを添加してアルカリ性にした後、限外濾過装置にて水約24リットルを用いて濃縮と注水の操作を繰り返し、過剰な電解質を洗浄除去してアルカリ性の酸化チタン−酸化第二スズ複合水分散ゾル14600gを得た。更に陰イオン交換樹脂(オルガノ(株)製:アンバーライト(登録商標)IRA−410)200ミリリットルを詰めたカラムに通液し、陰イオンがほぼ除去されたアルカリ性の酸化チタン−酸化第二スズ複合水分散ゾル15500gを得た。このゾルをロータリーエバポレーターにて減圧下で濃縮を行い、酸化チタン含有核粒子(A1)の水分散ゾル7kgを得た。このときの(TiO
2+SnO
2)換算濃度は10質量%であった。酸化チタン含有核粒子(A1)の透過型電子顕微鏡観察による一次粒子径は4〜8nmであった。得られたゾルを110℃で乾燥させた粉末のX線回折分析を行い、ルチル型結晶であることを確認した。
【0099】
製造例2
特開平10−310429号公報の実施例2に基づいて、酸化チタン含有核粒子(A2)の水分散ゾルを調製した。
(a)工程:四塩化チタン(TiO
2換算27.2質量%、Cl 32.0質量%、住友シチックス(株)製)587.5g(TiO
2換算で159.8g)とオキシ炭酸ジルコニウム(ZrO
2換算43.0質量%、第一稀元素化学(株)製)114.6g(ZrO
2換算で49.2g)と水629.6gを、3リットルのジャケット付きガラス製セパラブルフラスコにとり塩化チタンとオキシ塩化ジルコニウムの混合水溶液1331.7g(TiO
2換算12.0質量%、ZrO
2換算3.7質量%)を調製した。この水溶液をガラス製攪拌棒で攪拌しながら60℃まで加熱した後、冷却しながら35質量%の過酸化水素水358.0gと金属スズ粉末(山石金属(株)製:商品名AT−Sn、No.200)190.0gを添加した。過酸化水素水と金属スズの添加は、はじめに過酸化水素過酸化水素水35.8g(0.37モル)を、次いで金属スズ19.0g(0.16モル)を徐々に加えた。この反応が終了するのを5〜10分程度待った後、過酸化水素35.8g(0.37モル)を、次いで金属スズ19.0g(0.16モル)を徐々に加えた。この様に過酸化水素に続く金属スズの添加を、5〜10分の間隔を置いて合計10回繰り返すことにより、(過酸化水素35.8gと金属スズ19.0g)×10回の分割添加を行った。反応は発熱反応のため金属スズの添加により80〜85℃になり、反応が終了した後に冷却されて60〜70℃に低下した。反応温度は60〜85℃で行われた。過酸化水素と金属スズの添加割合はH
2O
2/Snモル比で2.31であった。過酸化水素水と金属スズの添加に要した時間は2.5時間であった。なお、反応により水が蒸発するので適量の水の補充を行った。反応終了後、淡黄色透明な塩基性塩化チタン−ジルコニウム−スズ複合塩水溶液1780gを得た。得られた塩基性塩化チタン−ジルコニウム−スズ複合塩水溶液では、チタン成分はTiO
2換算濃度として8.98質量%、ジルコニウム成分はZrO
2換算濃度として2.76質量%、スズ成分はSnO
2換算濃度として13.55質量%、ZrO
2/TiO
2モル比は0.2、TiO
2/(ZrO
2+SnO
2)モル比1.0であった。また、(Ti+Zr+Sn)/Clモル比は0.76であった。
(b)工程:(a)工程で得られた塩基性塩化チタン−ジルコニウム−スズ複合塩水溶液1780gに28質量%アンモニア水259g、水6964gを添加し、TiO
2+ZrO
2+SnO
2換算濃度で5質量%に希釈した。この水溶液を95〜98℃で12時間加水分解を行い、酸化チタン−酸化ジルコニウム−酸化第二スズ複合コロイド粒子の凝集体スラリーを得た。
(c)工程:(b)工程で得られた酸化チタン−酸化ジルコニウム−酸化第二スズ複合コロイド粒子の凝集体スラリーを限外濾過装置にて水約20リットルを用いて濃縮と注水の操作を繰り返し、過剰な電解質を洗浄除去した後、解膠させて、酸性の酸化チタン−酸化ジルコニウム−酸化第二スズ複合コロイド粒子の水分散ゾル8400gを得た。透過型電子顕微鏡観察による酸化チタン−酸化第二スズ複合コロイド粒子の一次粒子径は4〜8nmであった。
(d)工程:(c)工程で得られた酸性の酸化チタン−酸化ジルコニウム−酸化第二スズコロイド粒子の複合ゾル9000gにイソプロピルアミン27.0gを添加し、アルカリ性にした後、更に限外濾過装置にて水約20リットルを用いて濃縮と注水の操作を繰り返し、過剰な電解質を洗浄除去し、アルカリ性の酸化チタン―酸化ジルコニウム―酸化第二スズ複合コロイド粒子の水分散ゾル8000gを得た。このゾルを陰イオン交換樹脂(アンバーライト(登録商標)IRA−410、オルガノ(株)製:)500ミリリットルを詰めたカラムに通液し、陰イオンがほぼ除去されたアルカリ性の酸化チタン−酸化ジルコニウム−酸化第二スズ複合コロイド粒子の水分散ゾル9050gを得た。このゾルを限外濾過装置にて、濃縮を行い、酸化チタン―酸化ジルコニウム―酸化第二スズ複合コロイド粒子の水分散濃縮ゾル3100gを得た。得られたゾルは比重1.140、粘度10.3mPa・s、pH10.31、電導度1105μs/cm、TiO
2換算濃度5.18質量%、ZrO
2換算濃度1.58質量%、SnO
2換算濃度7.7質量%、透過型電子顕微鏡による一次粒子径は4〜8nmであった。得られた酸化チタン−酸化ジルコニウム−酸化第二スズ複合コロイド粒子を酸化チタン含有核粒子(A2)とした。得られたゾルを110℃で乾燥させた粉末のX線回折分析を行い、ルチル型結晶とアナターゼ結晶の混合体であることを確認した。
【0100】
製造例3
3リットルの容器に純水1169gを入れ、シュウ酸二水和物151g(宇部興産(株)製)、チタンテトライソプロポキシド227g(TiO
2換算で64g含有、関東化学(株)製)、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液582g(多摩化学工業(株)製)を攪拌下に添加した。得られた混合溶液は、シュウ酸/チタン原子のモル比1.5、水酸化テトラメチルアンモニウム/シュウ酸のモル比1.33であった。該混合溶液2131gを大気圧下、開放系で88〜92℃にて3時間保持し、副生するイソプロパノールを蒸留除去して、チタン含有水溶液1937gを調製した。得られたチタン含有水溶液に純水194gを添加して、チタン含有水溶液のTiO
2換算濃度を3.0質量%に調整した。濃度調整後のチタン含有水溶液のpHは4.7、電導度は31.4mS/cmであった。3Lのステンレス製オートクレーブ容器に上記チタン含有水溶液2131gを投入し、140℃で5時間水熱処理を行った。室温に冷却後、取り出された水熱処理後の溶液は透明性の高い酸化チタンコロイド粒子の水分散ゾルであった。得られたゾルは、比重1.037、pH3.8、電導度35.7mS/cm、TiO
2濃度3.0質量%、水酸化テトラメチルアンモニウム濃度6.8質量%、シュウ酸濃度5.1質量%、動的光散乱法粒子径(コールター社N5で測定)12nm、粘度3.2mPa・s(B型粘度計)、透過型電子顕微鏡観察では、一次粒子径5〜8nmの略球状の粒子が観察された。得られたゾルを110℃で乾燥させた粉末のX線回折分析を行い、アナターゼ型結晶であることが確認された。得られた酸化チタンコロイド粒子を酸化チタン含有核粒子(A3)とした。
【0101】
製造例4
以下のようにして酸化チタン含有核粒子(A4)分散ゾルを調製した。
2リットルの容器に純水197gを入れ、シュウ酸スズ溶液269g(SnO
2換算で75g、シュウ酸換算で67g含有)、チタンテトライソプロポキシド142g(TiO
2換算で40g含有)、シュウ酸二水和物73g(シュウ酸換算で52g)、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液319gを攪拌下に添加した。得られた混合溶液は、シュウ酸/チタン原子のモル比1.3、水酸化テトラメチルアンモニウム/チタン原子のモル比1.75であった。該混合溶液1000gを、80℃で2時間保持し、更に580Torrまで減圧して2時間保持し、チタン混合溶液を調製した。調製後のチタン混合溶液のpHは5.1、電導度は30.9mS/cm、TiO
2濃度4.0質量%であった。3リットルのガラスライニングされたオートクレーブ容器に上記チタン混合溶液1000gを投入し、140℃で5時間水熱処理を行った。室温に冷却後、取り出された水熱処理後の溶液は淡い乳白色の酸化チタンコロイド粒子の水分散ゾルであった。得られたゾルは、pH3.9、電導度32.6mS/cm、TiO
2濃度4.0質量%、水酸化テトラメチルアンモニウム8.0質量%、シュウ酸5.9質量%、動的光散乱法粒子径16nm、透過型電子顕微鏡観察では、一次粒子径5〜15nmの楕円粒子が観察された。得られたゾルを110℃で乾燥させた粉末のX線回折分析を行い、ルチル型結晶であることが確認された。得られた酸化チタンコロイド粒子を酸化チタン含有核粒子(A4)とした。
【0102】
製造例5
珪酸カリウム水溶液(SiO
2として19.9質量%含有、日産化学工業(株)製)35.6kgを純水330.0kgにて希釈を行った後、48質量%水酸化カリウム水溶液18.1kgと三酸化アンチモン(Sb
2O
3として99質量%含有、三国精錬(株)製)3.2kgを添加し、攪拌下で35質量%過酸化水素水2.2kgを添加し、93℃で1時間反応させることにより、珪酸アンチモン酸カリウム水溶液を得た。得られた珪酸アンチモン酸カリウム水溶液427.5gを純水1kgで希釈し、水素型陽イオン交換樹脂(アンバーライト(登録商標)IR−120B)を充填したカラムに通液することにより、二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物コロイド粒子の水分散ゾル(pH2.1、Sb
2O
5として0.64質量%、SiO
2として1.26質量%を含有、SiO
2/Sb
2O
5質量比2.0)2703gを得た。次いで、得られた水分散ゾルにジイソプロピルアミンを10.2g添加した。得られたゾルはアルカリ性の二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物コロイド粒子の水分散ゾルであり、pH8.2であった。得られた水分散ゾルは、一次粒子径5nm以下のコロイド粒子が観察された。
【0103】
製造例6
JIS3号珪酸ナトリウム(SiO
2として29.8質量%含有、富士化学(株)製)77.2gを純水1282gに溶解し、次いでスズ酸ナトリウムNaSnO
3・H
2O(SnO
2として55.1質量%含有、昭和化工(株)製)20.9gを溶解した。得られた水溶液を水素型陽イオン交換樹脂(アンバーライト(登録商標)IR−120B)を充填したカラムに通すことにより、酸性の二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)の水分散ゾル(pH2.4、SnO
2として0.44質量%、SiO
2として0.87質量%を含有、SiO
2/SnO
2質量比2.0)2634gを得た。次いで得られた水分散ゾルにジイソプロピルアミンを6.9g添加した。得られたゾルはアルカリ性の二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)の水分散ゾルであり、pH8.0であった。該水分散ゾルは、透過型電子顕微鏡により5nm以下の一次粒子径のコロイド粒子が観察された。
【0104】
実施例1
オキシ塩化ジルコニウム(ZrO
2として21.19質量%含有、第一稀元素化学工業(株)製)70.8gを純水429.2gで希釈してオキシ塩化ジルコニウム水溶液500g(ZrO
2として3.0質量%含有、)を調製し、製造例1で調製した酸化チタン含有核粒子(A1)の水分散ゾル1000gを攪拌下に添加した。次いで95℃に加熱して加水分解を行って、表面に酸化ジルコニウムの薄膜層が形成された酸化チタン含有核粒子(A1)の水分散ゾルが得られた。得られた水分散ゾルは、pH1.2、全金属酸化物濃度20質量%であり、透過型電子顕微鏡観察では、一次粒子径4〜8nmのコロイド粒子が観察された。得られた水分散ゾル1455gを製造例6で調製したアルカリ性の二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)の水分散ゾル2634gに撹拌下で添加した。次いでアニオン交換樹脂(アンバーライト(登録商標)IRA−410、オルガノ(株)製)500ミリリットルを詰めたカラムに通液した。次いで通液後の水分散ゾルを95℃で3時間加熱した後、限外濾過膜法で濃縮し、酸化チタン含有核粒子(A1)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に酸化ジルコニウムからなる中間薄膜層が形成されている二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の水分散ゾルを得た。得られた水分散ゾルの全金属酸化物濃度は20質量%であり、このゾルの透過型電子顕微鏡観察による一次粒子径は4〜10nmであった。次いで、得られた水分散ゾルの分散媒をロータリーエバポレーターを用いてメタノールに置換して、酸化チタン含有核粒子(A1)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に酸化ジルコニウムからなる中間薄膜層が形成されている二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子のメタノール分散ゾルを得た。このメタノール分散ゾルは、全金属酸化物濃度30質量%、粘度3.2mPa・s、動的光散乱法による粒子径(DLS粒子径:BECKMAN COULTER社製N4PLUSにより測定した。)32nm、水分1.2質量%であった。
【0105】
実施例2
オキシ塩化ジルコニウム(ZrO
2として21.19質量%含有、第一稀元素化学工業(株)製)70.8gを純水429.2gで希釈して、オキシ塩化ジルコニウム水溶液500g(ZrO
2として3.0質量%含有、)を調製し、製造例2で調製した酸化チタン含有核粒子(A2)の水分散ゾル1298.7gを攪拌下に添加した。次いで95℃に加熱することにより加水分解を行って、表面に酸化ジルコニウムの薄膜層が形成された酸化チタン含有核粒子(A2)の水分散ゾルが得られた。得られた水分散ゾルは、pH1.2、全金属酸化物濃度20質量%であり、このゾルの透過型電子顕微鏡観察では、一次粒子径は4〜8nmのコロイド粒子が観察された。得られた水分散ゾル1764gを製造例6で調製したアルカリ性の二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)の水分散ゾル2634gに撹拌下で添加した。次いでアニオン交換樹脂(アンバーライト(登録商標)IRA−410、オルガノ(株)製)500ミリリットルを詰めたカラムに通液した。次いで通液後の水分散ゾルを95℃で3時間加熱した後、限外濾過膜法で濃縮し、酸化チタン含有核粒子(A2)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に酸化ジルコニウムからなる中間薄膜層が形成された二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の水分散ゾルを得た。得られた水分散ゾルの全金属酸化物濃度は20質量%であり、このゾルの透過型電子顕微鏡観察による一次粒子径は4〜10nmであった。次いで、得られた水分散ゾルの分散媒をロータリーエバポレーターを用いてメタノールに置換して、酸化チタン含有核粒子(A2)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に酸化ジルコニウムからなる中間薄膜層が形成されている二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子のメタノール分散ゾルを得た。このメタノール分散ゾルは、全金属酸化物濃度30質量%、粘度3.2mPa・s、DLS粒子径36nm、水分1.5質量%であった。
【0106】
実施例3
オキシ塩化ジルコニウム(ZrO
2として21.19質量%含有、第一稀元素化学工業(株)製)35.8gを純水217gで希釈して、オキシ塩化ジルコニウム水溶液253g(ZrO
2として3.0質量%含有、)を調製し、製造例3で調製した酸化チタン含有核粒子(A3)の水分散ゾル1331gを攪拌下に添加した。次いで95℃に加熱することにより加水分解を行って、表面に酸化ジルコニウムの薄膜層が形成された酸化チタン含有核粒子(A3)の水分散ゾルが得られた。得られた水分散ゾルは、pH1.2、全金属酸化物濃度20質量%であり、このゾルの透過型電子顕微鏡観察では、一次粒子径は4〜8nmのコロイド粒子が観察された。得られた水分散ゾルを製造例6で調製したアルカリ性の二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)の水分散ゾル1090gに撹拌下で添加した。次いでアニオン交換樹脂(アンバーライト(登録商標)IRA−410、オルガノ(株)製)500ミリリットルを詰めたカラムに通液した。次いで通液後の水分散ゾルを150℃で3時間加熱した後、限外濾過膜法で濃縮し、酸化チタン含有核粒子(A3)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に酸化ジルコニウムからなる中間薄膜層が形成された二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の水分散ゾルを得た。得られた水分散ゾルの全金属酸化物濃度は20質量%であり、このゾルの透過型電子顕微鏡観察による一次粒子径は5〜10nmであった。次いで、得られた水分散ゾルの分散媒をロータリーエバポレーターを用いてメタノールに置換して、酸化チタン含有核粒子(A3)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に酸化ジルコニウムからなる中間薄膜層が形成された二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子のメタノール分散ゾルを得た。このメタノール分散ゾルは、全金属酸化物濃度30質量%、粘度2.2mPa・s、DLS粒子径22nm、水分1.0質量%であった。
【0107】
実施例4
オキシ塩化ジルコニウム(ZrO
2として21.19質量%含有、第一稀元素化学工業(株)製)35.9gを純水217gで希釈して、オキシ塩化ジルコニウム水溶液253g(ZrO
2として3.0質量%含有、)を調製し、製造例4で調製した酸化チタン含有核粒子(A4)の水分散ゾル1000gを攪拌下に添加した。次いで95℃に加熱することにより加水分解を行って、表面に酸化ジルコニウムの薄膜層が形成された酸化チタン含有核粒子(A4)の水分散ゾルが得られた。得られた水分散ゾルは、pH1.2、全金属酸化物濃度20質量%であり、このゾルの透過型電子顕微鏡観察では、一次粒子径は5〜15nmのコロイド粒子が観察された。得られた水分散ゾル1231gを製造例6で調製したアルカリ性の二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)の水分散ゾル1090gに撹拌下で添加した。次いでアニオン交換樹脂(アンバーライト(登録商標)IRA−410、オルガノ(株)製)500ミリリットルを詰めたカラムに通液した。次いで通液後の水分散ゾルを150℃で3時間加熱して、酸化チタン含有核粒子(A4)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に酸化ジルコニウムからなる中間薄膜層が形成された二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物
粒子の水分散ゾルを得た。得られた水分散ゾルは2877gで全金属酸化物濃度は2.1質量%であり、このゾルの透過型電子顕微鏡観察による一次粒子径は5〜18nmであった。更に得られた水分散ゾルの分散媒をロータリーエバポレーターを用いてメタノールに置換して、酸化チタン含有核粒子(A
4)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に酸化ジルコニウムからなる中間薄膜層が形成されている二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子のメタノール分散ゾルを得た。得られたメタノール分散ゾルは濃度30質量%、粘度2.0mPa・s、DLS粒子径24nm、水分0.9質量%であった。
【0108】
実施例5
オキシ塩化ジルコニウム水溶液500gの代わりに製造例5で調製した二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物コロイド粒子の水分散ゾル1211gを用いた以外は実施例1と同様に行って酸化チタン含有核粒子(A1)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物からなる中間薄膜層が形成されている二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の水分散ゾルを得た。更に得られた水分散ゾルの分散媒をロータリーエバポレーターを用いてメタノールに置換して、酸化チタン含有核粒子(A1)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物からなる中間薄膜層が形成されている二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子のメタノール分散ゾルを得た。得られたメタノール分散ゾルは濃度30質量%、粘度3.1mPa・s、DLS粒子径32nm、水分1.1質量%であった。
【0109】
実施例6
オキシ塩化ジルコニウム水溶液500gの代わりに製造例5で調製した二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物コロイド粒子の水分散ゾル1211gを用いた以外は実施例2と同様に行って酸化チタン含有核粒子(A2)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物からなる中間薄膜層が形成されている二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の水分散ゾルを得た。更に得られた水分散ゾルの分散媒をロータリーエバポレーターを用いてメタノールに置換して、酸化チタン含有核粒子(A2)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物からなる中間薄膜層が形成されている二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子のメタノール分散ゾルを得た。得られたメタノール分散ゾルは濃度30質量%、粘度3.3mPa・s、DLS粒子径35nm、水分2.0質量%であった。
【0110】
実施例7
オキシ塩化ジルコニウム水溶液253gの代わりに製造例5で調製した二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物コロイド粒子の水分散ゾル653gを用いた以外は実施例3と同様に行って酸化チタン含有核粒子(A3)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物からなる中間薄膜層が形成されている二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の水分散ゾルを得た。更に得られた水分散ゾルの分散媒をロータリーエバポレーターを用いてメタノールに置換して、酸化チタン含有核粒子(A3)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物からなる中間薄膜層が形成されている二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子のメタノール分散ゾルを得た。得られたメタノール分散ゾルは濃度30質量%、粘度1.6mPa・s、DLS粒子径18nm、水分1.1質量%であった。
【0111】
実施例8
オキシ塩化ジルコニウム水溶液253gの代わりに製造例5で調製した二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物コロイド粒子の水分散ゾル653gを用いた以外は実施例
4と同様に行って酸化チタン含有核粒子(A4)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物からなる中間薄膜層が形成されている二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の水分散ゾルを得た。更に得られた水分散ゾルの分散媒をロータリーエバポレーターを用いてメタノールに置換して、酸化チタン含有核粒子(A4)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物からなる中間薄膜層が形成されている二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子のメタノール分散ゾルを得た。得られたメタノール分散ゾルは濃度30質量%、粘度2.4mPa・s、DLS粒子径21nm、水分1.3質量%であった。
【0112】
比較例1
製造例1で調製した酸化チタン含有核粒子(A1)の水分散ゾル1150gを製造例6で調製したアルカリ性の二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)の水分散ゾル2634gに撹拌下で添加した。次いでアニオン交換樹脂(アンバーライト(登録商標)IRA−410、オルガノ(株)製)500ミリリットルを詰めたカラムに通液した。次いで通液後の水分散ゾルを95℃で3時間加熱した後、限外濾過膜法で濃縮し、酸化チタン含有核粒子(A1)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)からなる被覆層とから形成された二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の水分散ゾルを得た。得られた水分散ゾルの全金属酸化物濃度は16.5質量%であり、このゾルの透過型電子顕微鏡観察による一次粒子径は4〜10nmであった。更に得られた水分散ゾルの分散媒をロータリーエバポレーターを用いてメタノールに置換して、酸化チタン含有核粒子(A1)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)からなる被覆層とから形成された二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子のメタノール分散ゾルを得た。得られたメタノール分散ゾルは濃度30質量%、粘度3.8mPa・s、DLS粒子径41nm、水分0.9質量%であった。
【0113】
比較例2
製造例6で調製したアルカリ性の二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)の水分散ゾ
ルの代わりに製造例5で調製したアルカリ性の二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物コロイド粒子の水分散ゾ
ルを用いた以外は実施例2と同様に行って、酸化チタン含有核粒子(A2)と二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物コロイド粒子との間に酸化ジルコニウムからなる中間薄膜層が形成された二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の水分散ゾルを得た。このゾルの透過型電子顕微鏡観察による一次粒子径は4〜10nmであった。更に得られた水分散ゾルの分散媒をロータリーエバポレーターを用いてメタノールに置換して、酸化チタン含有核粒子(A2)と二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物コロイド粒子との間に酸化ジルコニウムからなる中間薄膜層が形成された二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子のメタノール分散ゾルを得た。得られたメタノール分散ゾルは濃度30質量%、粘度3.4mPa・s、DLS粒子径44nm、水分0.7質量%であった。
【0114】
比較例3
製造例3で調製した酸化チタン含有核粒子(A3)の水分散ゾル1666gを製造例6で調製したアルカリ性の二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)の水分散ゾル1317gに撹拌下で添加した。次いでアニオン交換樹脂(アンバーライト(登録商標)IRA−410、オルガノ(株)製)500ミリリットルを詰めたカラムに通液した。次いで通液後の水分散ゾルを95℃で3時間加熱した後、限外濾過膜法で濃縮し、酸化チタン含有核粒子(A3)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)からなる被覆層とから形成された二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の水分散ゾルを得た。得られた水分散ゾルの全金属酸化物濃度は16.8質量%であり、このゾルの透過型電子顕微鏡観察による一次粒子径は5〜10nmであった。更に得られた水分散ゾルの分散媒をロータリーエバポレーターを用いてメタノールに置換して、酸化チタン含有核粒子(A3)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)からなる被覆層とから形成された二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子のメタノール分散ゾルを得た。得られたメタノール分散ゾルは濃度30質量%、粘度1.6mPa・s、DLS粒子径13nm、水分2.5質量%であった。
【0115】
比較例4
製造例6で調製したアルカリ性の二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)の水分散ゾル1090gの代わりに製造例5で調製したアルカリ性の二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物コロイド粒子の水分散ゾル747gを用いた以外は実施例4と同様に行って、酸化チタン含有核粒子(A4)と二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物コロイド粒子との間に酸化ジルコニウムからなる中間薄膜層が形成された二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の水分散ゾルを得た。このゾルの透過型電子顕微鏡観察による一次粒子径は5〜18nmであった。更に得られた水分散ゾルの分散媒をロータリーエバポレーターを用いてメタノールに置換して、酸化チタン含有核粒子(A4)と二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物コロイド粒子との間に酸化ジルコニウムからなる中間薄膜層が形成された二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子のメタノール分散ゾルを得た。得られたメタノール分散ゾルは濃度30質量%、粘度2.1mPa・s、DLS粒子径18nm、水分1.7質量%であった。
【0116】
実施例9
マグネチックスターラーを備えたガラス製の容器にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン55.8質量部を加え、撹拌しながら0.01規定の塩酸19.5質量部を3時間で滴下した。滴下終了後、0.5時間撹拌を行い、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分解物を得た。次に実施例1で得られた酸化チタン含有核粒子(A1)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に酸化ジルコニウムからなる中間薄膜層が形成されている二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子のメタノール分散ゾル(全金属酸化物換算で30質量%を含有する。)151.0質量部、ブチルセロソルブ65質量部、更に硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネート0.9質量部を前記γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分解物75.3質量部に加え、十分に撹拌した後、ろ過を行って透明被膜形成用塗布液を作製した。また、市販の水分散エマルションポリウレタン(スーパーフレックス(登録商標)170:第一工業製薬(株)製、固形分濃度30質量%)を151.0質量部、純水74質量部を混合し、下地層用コーティング液を調製した。
【0117】
(硬化膜の形成)
市販の屈折率n
D=1.59のポリカーボネート板を用意し、これにスピンコート法でまず上記の下地層用コーティング組成物を塗布し、100℃で30分加熱処理して塗膜を
形成させた。更に透明被膜形成用塗布液を塗布し、120℃で2時間加熱処理して、塗膜を硬化させた。評価結果を表1に示した。
実施例10
実施例2で得られた酸化チタン含有核粒子(A2)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に酸化ジルコニウムからなる中間薄膜層が形成されている二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子のメタノール分散ゾル(全金属酸化物換算で30質量%を含有する。)151.5質量部を用いた以外は
実施例9と同様に行った。評価結果を表1に示した。
【0118】
実施例11
実施例3で得られた酸化チタン含有核粒子(A3)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に酸化ジルコニウムからなる中間薄膜層が形成された二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子のメタノール分散ゾル(全金属酸化物換算で30質量%を含有する。)151質量部を用いた以外は実施例10と同様に行った。評価結果を表1に示した。
【0119】
実施例12
実施例4で得られた酸化チタン含有核粒子(A4)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に酸化ジルコニウムからなる中間薄膜層が形成された二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の水分散ゾルを得た。得られた水分散ゾル(全金属酸化物換算で30質量%を含有する。)151質量部を用いた以外は実施例10と同様に行った。評価結果を表1に示した。
【0120】
実施例13
実施例5で得られた酸化チタン含有核粒子(A1)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物からなる中間薄膜層が形成されている二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の水分散ゾル(全金属酸化物に換算して30質量%を含有する)151質量部を用いた以外は実施例10と同様に行った。評価結果を表1に示した。
【0121】
実施例14
実施例6で得られた酸化チタン含有核粒子(A2)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物からなる中間薄膜層が形成されている二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の水分散ゾル(全金属酸化物に換算して30質量%を含有する)151質量部を用いた以外は実施例10と同様に行った。
【0122】
実施例15
実施例7で得られた酸化チタン含有核粒子(A3)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物からなる中間薄膜層が形成されている二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の水分散ゾル(全金属酸化物換算で30質量%を含有する。)151質量部を用いた以外は実施例10と同様に行った。評価結果を表1に示した。
【0123】
実施例16
実施例8で得られた酸化チタン含有核粒子(A4)と二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子(B1)との間に二酸化珪素−五酸化アンチモン複合酸化物からなる中間薄膜層が形成されている二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子の水分散ゾル(全金属酸化物換算で30質量%を含有する。)151質量部を用いた以外は実施例10と同様に行った。評価結果を表1に示した。
【0124】
比較例5
実施例10で用いたゾルの代わりに、比較例1で作製したゾルを用い、同様に行った。評価結果を表1に示した。
比較例6
実施例10で用いたゾルの代わりに、比較例2で作製したゾルを用い、同様に行った。評価結果を表1に示した。
比較例7
実施例10で用いたゾルの代わりに、比較例3で作製したゾルを用い、同様に行った。評価結果を表1に示した。
比較例8
実施例10で用いたゾルの代わりに、比較例4で作製したゾルを用い、同様に行った。評価結果を表1に示した。
尚、実施例及び比較例で得られた硬化膜を有する光学部材は、以下に示す測定方法により諸物性を測定した。
【0125】
(1)耐候性試験
得られた光学部材について高圧水銀灯(アーク製作所(株)製 UV−800)下で暴露を100時間行い、暴露後の光学部材の外観の変化を目視で判断した。
A:全く変色していない。
B:ほとんど変色していない。
C:激しく変色している。
(2)耐クラック性試験
(1)の耐光性試験で使用した試験片を目視で外観を観察し、判断した。
A:全くクラックが発生しない。
B:ほとんどクラック発生しない。
C:少しクラックが発生。
D:全面のクラックが発生。
(3)耐擦傷性試験
スチールウール#0000で硬化膜表面を擦り、傷の付きにくさを目視で判断した。判断基準は下記の通りである。
A:全く傷が確認できない
B:若干の傷が確認できる
C:目立った傷が多数確認できる
(4)透明性試験
暗室内、蛍光灯下で硬化膜の曇りの有無を目視で調べた。判断基準は次の通りである。A:曇りの発生がほとんど無いもの
B:曇りが透明硬化膜として問題がない程度のもの
C:白化が顕著に表れるもの
(5)長期安定性試験
実施例9〜16、比較例5〜8で調製した各透明被膜形成用塗布液を10℃で60日保存した後、各々実施例9〜16、比較例5〜8と同様にして透明被膜を形成して(1)の耐候性試験の評価を行った。透明被膜形成用塗布液を調製した直後に形成した透明被膜と10℃で
60日保存後の塗布液で形成した透明被膜との差異をA、B、Cの3段階で評価した。
A:差異が認められなかった。
B:わずかに性能の低下が認められた。
C:明らかに性能の低下が認められた。
【表1】
【0126】
本発明の実施例1〜8は、耐擦傷性、密着性、透明性及び耐候性に優れるものであった。比較例1〜4は、耐擦傷性、透明性及び耐候性において十分なものとは言えなかった。