特許第5903895号(P5903895)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5903895
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】交通信号制御機
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/095 20060101AFI20160331BHJP
【FI】
   G08G1/095 E
   G08G1/095 M
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-2078(P2012-2078)
(22)【出願日】2012年1月10日
(65)【公開番号】特開2013-142960(P2013-142960A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 豪仁
【審査官】 田中 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−071176(JP,A)
【文献】 特開2008−090343(JP,A)
【文献】 特開2006−171983(JP,A)
【文献】 特開2011−123595(JP,A)
【文献】 特開2009−169869(JP,A)
【文献】 特開2004−355165(JP,A)
【文献】 特開2013−020421(JP,A)
【文献】 特開2013−003976(JP,A)
【文献】 特開2013−003905(JP,A)
【文献】 特開2007−159363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号灯器の点灯及び消灯を制御する灯器制御部と、
前記灯器制御部に異常が発生した旨の情報を中央装置に送信する制御部、及びこの制御部に給電する通信電源部を有する通信制御部とを備え、前記灯器制御部は前記通信電源部以外の外部電源から直接給電され、前記通信電源部は前記外部電源から直接給電されるとともに当該外部電源とは独立して起動及び停止することが可能であり、前記通信電源部を停止させて前記制御部への給電を停止することで省電力運転を行う交通信号制御機であって、
前記通信制御部は、前記外部電源から直接給電され且つ前記省電力運転中に前記灯器制御部の異常を検出するとともに、その検出に基づいて前記通信電源部を起動する起動指令を当該通信電源部に出力する検出回路を有することを特徴とする交通信号制御機。
【請求項2】
前記制御部は、前記省電力運転中に給電されると、前記灯器制御部を構成する機器に異常が発生しているか否かを当該機器から収集し、その収集結果を前記中央装置に送信する請求項1に記載の交通信号制御機。
【請求項3】
前記灯器制御部は、前記制御部との間で通信可能であり、
前記制御部は、前記機器の全てに異常が発生している場合、前記灯器制御部と通信できるか否かに基づいて、前記機器の異常及び前記機器への給電異常のうちのいずれの異常であるかを判定し、その判定結果を前記中央装置に送信する請求項2に記載の交通信号制御機。
【請求項4】
前記通信制御部は、前記通信電源部の異常を検出するとともにその検出に基づいて前記通信電源部に給電する蓄電部を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の交通信号制御機。
【請求項5】
前記制御部は、前記通信電源部に異常が発生した旨の情報を前記蓄電部から収集し、その収集した情報を前記中央装置に送信する請求項4に記載の交通信号制御機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通管制センター等に設置された中央装置との通信機能を遮断して省電力運転を行う交通信号制御機に関する。
【背景技術】
【0002】
交差点又は横断歩道には、信号灯器の青、黄、赤、青矢印等の点灯及び消灯を所定の時間間隔で繰り返すように制御する交通信号制御機が設置されている。
かかる交通信号制御機には、「集中型」と「地点型」とがある。このうち、集中型の交通信号制御機は、交通管制センター等に設置された中央装置との間で情報通信を行う機能を備えたものであり、地点型の交通信号制御機は、中央装置との通信を行わずに単独で信号灯器の制御を行うものである。
【0003】
また、この種の交通信号制御機として、太陽電池を主電源とし、商用電源を補助電源として、主電源である太陽電池からの電力供給では不足すると判定した場合にのみ、補助電源である商用電源で必要な電力を補うようにした、省電力型の交通信号制御機が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−281691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の交通信号制御機では、例えば雨天あるいは曇天のため、太陽電池での電源供給が不足した場合は、商用電力の使用量を削減したい電力需要が大きい時間帯であっても商用電源が選択されてしまい、結果として商用電力の使用量の削減ができなくなる。
【0006】
そこで、本出願人は、集中型の交通信号制御機において、中央装置から省電力モードの指令を受信すると、自機で電力制御する一部の機器の給電を停止させることで、交通信号制御機の省電力化を行うものを提案している(特願2011−136626。以下、「先願発明」という)。
この交通信号制御機は、信号灯器の点灯及び消灯を制御する灯器制御部と、中央装置からの指令を受信する通信部と、これら各機器の給電を個別に制御する電源制御部とを備えている。電源制御部は、中央装置から受信した省電力モードの指令に従って通信部への給電のみを停止することで、交通信号制御機の機能を維持しつつ交通信号制御機に省電力運転を行わせるようになっている。
【0007】
ところで、集中型の交通信号制御機の通信部は、中央装置からの指令を受信する役割以外に、灯器制御部に故障が発生したときにその故障情報を中央装置に送信する役割も務めている。
しかし、先願発明の交通信号制御機は、省電力運転を行うときに通信部への給電を停止して中央装置との通信機能を遮断しているため、省電力運転中に灯器制御部が故障しても、その故障情報を中央装置に直ちに送信することができない。このため、灯器制御部の修理や故障解析が遅れることによって、交通渋滞が発生するおそれがある。
【0008】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、通信機能が遮断された省電力運転中であっても、自機の故障情報を外部に送信することができる交通信号制御機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の交通信号制御機は、信号灯器の点灯及び消灯を制御する灯器制御部と、前記灯器制御部に異常が発生した旨の情報を中央装置に送信する制御部、及びこの制御部に給電する通信電源部を有する通信制御部とを備え、前記通信電源部を停止させることで省電力運転を行う交通信号制御機であって、前記通信制御部は、前記省電力運転中に前記灯器制御部の異常を検出するとともに、その検出に基づいて前記通信電源部を起動する起動指令を当該通信電源部に出力する検出回路を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、通信電源部を停止して省電力運転を行っているときに灯器制御部に異常が発生した場合、検出回路がその異常を検出することによって通信電源部を起動することができる。これにより、通信制御部の制御部は、通信電源部によって給電されるため、灯器制御部に異常が発生した旨の情報を中央装置に送信することができる。その結果、灯器制御部の修理や故障解析を迅速に行うことができるため、交通渋滞が発生するのを効果的に抑制することができる。
【0011】
(2)前記制御部は、前記省電力運転中に給電されると、前記灯器制御部を構成する機器に異常が発生しているか否かを当該機器から収集し、その収集結果を前記中央装置に送信することが好ましい。
この場合、制御部から中央装置に送信される情報に基づいて、灯器制御部において異常が発生している機器を特定し易くなるため、灯器制御部の修理や故障解析をさらに迅速に行うことができる。
【0012】
(3)前記灯器制御部は、前記制御部との間で通信可能であり、前記制御部は、前記機器の全てに異常が発生している場合、前記灯器制御部と通信できるか否かに基づいて、前記機器の異常及び前記機器への給電異常のうちのいずれの異常であるかを判定し、その判定結果を前記中央装置に送信することが好ましい。
この場合、制御部から中央装置に送信される情報に基づいて、灯器制御部を構成する機器の異常か当該機器への給電異常かを容易に特定することができるため、灯器制御部の修理や故障解析をさらに迅速に行うことができる。
【0013】
(4)前記通信制御部は、前記通信電源部の異常を検出するとともにその検出に基づいて前記通信電源部に給電する蓄電部を有することが好ましい。
この場合、灯器制御部に異常が発生したときに、通信電源部の異常により制御部に給電することができない場合であっても、蓄電部を用いて制御部に給電することができるため、灯器制御部に異常が発生した旨の情報を中央装置に確実に送信することができる。
【0014】
(5)前記制御部は、前記通信電源部に異常が発生した旨の情報を前記蓄電部から収集し、その収集した情報を前記中央装置に送信することが好ましい。
この場合、制御部から中央装置に送信される情報に基づいて、通信制御部の通信電源部に異常が発生したことを迅速に把握することができるため、通信制御部の修理や故障解析を迅速に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、省電力運転中に自機の故障を検出することで通信可能な状態に復帰させることができるので、通信機能が遮断された省電力運転中であっても、自機の故障情報を外部に送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係る交通信号制御機の構成例を示すブロック図である。
図2図1の交通信号制御機における省電力運転中の異常発生時の動作を示すシーケンス図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係る交通信号制御機の構成例を示すブロック図である。
図4図3の交通信号制御機における省電力運転中の異常発生時の動作を示すシーケンス図である。
図5】本発明の第3の実施形態に係る交通信号制御機の構成例を示すブロック図である。
図6図5の交通信号制御機における省電力運転中の異常発生時の動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔交通信号制御機の構成〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る交通信号制御機の構成例を示すブロック図である。本実施形態の交通信号制御機1は、交通管制センター等に設置された中央装置6との間で情報通信を行う機能を備えた集中型のものであり、信号灯器(図示省略)の点灯及び消灯を制御する灯器制御部2と、中央装置6との間で情報通信を行う通信制御部3とを備えている。中央装置6は、自装置の管轄エリア内の複数の集中型の交通信号制御機1と通信回線を通じて接続されている。
【0018】
灯器制御部2は、電圧変換回路21、CPU22、RTC(リアルタイムクロック)23及びLSI24によって構成されている。電圧変換回路21は、DC/DC変換回路からなり、直流電源から入力された入力電圧(12V)を所定の出力電圧(3V)に変換する。電圧変換回路21にはCPU22及びRTC23が接続され、CPU22及びRTC23は、電圧変換回路21から供給される直流電圧によって動作するようになっている。また、LSI24は、RTC23に接続されており、電圧変換回路21からRTC23を介して供給される直流電圧によって動作するようになっている。
【0019】
CPU22は、プログラマブルな演算装置よりなり、メモリ又はHDDなどの記憶装置(図示省略)に格納されたコンピュータプログラムを実行することで、信号灯器の灯色切り替えタイミングを生成可能である。
例えば、CPU22は、通信制御部3が受信した中央装置6からの信号制御パラメータに基づいて、信号灯器の点灯及び消灯などの切り替えタイミングをサイクル毎に決定し、そのタイミング信号を灯器駆動部(図示省略)に出力する。
【0020】
また、CPU22は、予め設定された所定の切り替えパターンが記憶装置に記録されており、記憶装置から読み出した当該パターンから信号灯器の点灯及び消灯などの切り替えタイミングを決定することもできる。
さらに、CPU22は、後述する電源制御回路34及び制御部36の制御回路37との間でLAN4を介して通信可能であり、中央装置6から制御回路37を介して省電力モードの指令を取得すると、省電力運転を行うためにその運転時間を記憶装置に保存するとともに、通信制御部3の通信電源部31(後述)の電源を停止させる停止信号を電源制御回路34に出力する。そして、CPU22は、前記運転時間の間、上述のように記憶装置に記憶された切り替えパターンにより信号灯の点灯及び消灯などを切り替えるタイミング信号を灯器駆動部に出力する。
【0021】
通信制御部3は、通信電源部31、検出回路35及び制御部36によって構成されている。通信電源部31は、制御部36に給電する主電源32と、主電源32を起動及び停止する制御を行う電源制御回路34とを備えている。主電源32は、直流電源から入力された入力電圧(12V)を所定の出力電圧(5V)に変換するDC/DC変換回路を内部に備えている。電源制御回路34は、灯器制御部2のCPU22から停止信号を受けると、主電源32及び自回路を停止することで、交通信号制御機1の省電力運転が行われる。また、電源制御回路34は、省電力運転中に停止した状態から起動信号を受けると、直流電源から電圧供給されて起動するとともに、主電源32を起動させる起動信号を出力する。
【0022】
検出回路35は、直流電源から直接電圧供給されており、前記省電力運転中に灯器制御部2を構成する機器に異常が発生しているか否かを検出し、前記機器に異常が発生していることを検出すると、通信電源部31を起動させる起動信号(起動指令)を通信電源部31に出力する。具体的には、検出回路35は、灯器制御部2のCPU22、RTC23及びLSI24にそれぞれ接続されており、これらの各機器の出力信号がH信号(高レベル信号)の場合は正常な状態である正常状態と判定し、L信号(低レベル信号)の場合は異常が発生している異常状態とそれぞれ判定する。そして、検出回路35は、いずれか1つの機器が異常状態と判定すると、電源制御回路34を起動させる起動信号を電源制御回路34に出力する。
【0023】
制御部36は、制御回路37及び通信デバイス38を備えている。制御回路37及び通信デバイス38は、それぞれDC/DC変換回路(図示省略)を介して主電源32に接続されており、主電源32からDC/DC変換回路を介してそれぞれに対応した直流電圧が供給されることで動作するようになっている。
通信デバイス38は、所定の通信回線を通じて中央装置6に接続されており、この通信回線を通じて中央装置6との間で所定情報のやり取りを行う。例えば、通信デバイス38は、自機が行う交通信号制御に必要な、サイクル長、オフセット及びスプリットなどの信号制御パラメータや、省電力モードの指令を中央装置6から受信する。また、通信デバイス38は、信号灯器を点灯/消灯した時間等に関する情報を含む制御実行情報や、灯器制御部2を構成する機器に異常が発生した旨の情報(第1異常情報)S1などを中央装置6に送信する。
【0024】
制御回路37は、プログラマブルな演算装置よりなり、メモリ又はHDDなどの記憶装置(図示省略)に格納されたコンピュータプログラムを実行することで、電源制御回路34及び灯器制御部2のCPU22とLAN4を介して通信し、これらの間で所定情報のやり取りを行う。例えば、制御回路37は、通信デバイス38が受信した信号制御パラメータ及び省電力モードの指令を灯器制御部2のCPU22に送信する。また、制御回路37は、灯器制御部2のCPU22から省電力運転を行うための電源停止の指示信号を受けると、電源制御回路34に通信電源部31を停止させる停止信号を出力する。なお、制御回路37は、中央装置6から省電力モードの指令を取得することで電源制御回路34に停止信号を出力しているが、自ら省電力運転をするタイミングを判断して前記停止信号を出力するようにしてもよい。
【0025】
さらに、制御回路37は、省電力運転中に検出回路35が灯器制御部2の異常を検出して主電源32から電圧供給されると、灯器制御部2を構成する機器に異常が発生しているか否かを当該機器から収集する。具体的には、制御回路37は、灯器制御部2のCPU22、RTC23及びLSI24にそれぞれ接続されており、検出回路35と同様に、これらの各機器の出力信号がH信号の場合は正常状態と、L信号の場合は異常状態とそれぞれ判定する。このようにして判定された判定結果は制御回路37によって、第1異常情報S1に含められる。
【0026】
そして、制御回路37は、前記機器の全てを異常状態と判定した場合、灯器制御部2のCPU22とLAN4を介して通信できるか否かに基づいて、前記機器の異常及び前記機器への給電異常のうちのいずれの異常であるかを判定する。すなわち、制御回路37は、CPU22と通信できる場合には前記機器の全てに異常が発生していると判定し、CPU22と通信できない場合には前記機器への給電異常と判定する。この給電異常としては、電圧変換回路21の異常や電圧変換回路21の入力電圧の異常などが考えられる。このようにして判定された判定結果は制御回路37によって、第1異常情報S1に含められる。
【0027】
〔省電力運転中に異常が発生した場合の動作シーケンス〕
図2は、交通信号制御機1における省電力運転中の異常発生時の動作を示すシーケンス図である。省電力運転中では、通信制御部3の通信電源部31は停止され、制御部36への給電は停止しており、制御部36と中央装置6との通信機能は遮断されている。
【0028】
この状態において、信号灯器の点灯及び消灯を制御するために動作している灯器制御部2において、CPU22、RTC23及びLSI24のうちの少なくとも1つの機器に異常が発生した場合、その異常が発生した機器が異常信号(L信号)を出力することで、通信制御部3の検出回路35は、灯器制御部2を構成する機器に異常が発生した異常状態であることを検出する。異常状態を検出した検出回路35は、通信電源部31の電源制御回路34に起動信号を出力する。起動信号を受けた電源制御回路34は、自回路を起動させるとともに主電源32に起動信号を出力し、主電源32を起動させる。起動した主電源32は、制御部36の制御回路37及び通信デバイス38に直流電圧を供給する。
【0029】
電圧供給された制御部36の制御回路37は、灯器制御部2から情報を収集して第1異常情報S1を生成する。まず、制御回路37は、灯器制御部2のCPU22、RTC23及びLSI24のいずれの機器から異常信号が出力されているか否かによって異常状態にある機器を判定する。そして、これらの機器の全てを異常状態と判定した場合、灯器制御部2のCPU22とLAN4を介して通信できるか否かに基づいて、機器の異常及び機器への給電異常のうちのいずれの異常であるかを判定する。制御回路37は、このようにして収集及び判定した収集結果及び判定結果を第1異常情報S1に含める。第1異常情報S1は、制御部36の通信デバイス38によって中央装置6に送信される。
【0030】
以上、本発明の実施形態に係る交通信号制御機1によれば、通信電源部31を停止して省電力運転を行っている際に灯器制御部2に異常が発生した場合、検出回路35がその異常を検出することによって通信電源部31を起動することができる。これにより、制御部36は、通信電源部31によって給電されるため、第1異常情報S1(灯器制御部2に異常が発生した旨の情報)を中央装置6に迅速に送信することができる。その結果、灯器制御部2の修理や故障解析を迅速に行うことができるため、交通渋滞が発生するのを効果的に抑制することができる。
【0031】
また、制御部36の制御回路37は、省電力運転中に給電されると、灯器制御部2を構成する機器に異常が発生しているか否かを当該機器から収集することで第1異常情報S1を生成する。このため、制御部36の通信デバイス38から中央装置6に送信される第1異常情報S1に基づいて、灯器制御部2において異常が発生している機器を特定し易くなり、灯器制御部2の修理や故障解析をさらに迅速に行うことができる。
【0032】
また、制御部36の制御回路37は、灯器制御部2を構成する機器の全てに異常が発生している場合、灯器制御部2のCPU22と通信できるか否かに基づいて、前記機器の異常及び前記機器への給電異常のうちのいずれの異常であるかを判定し、その判定結果を灯器制御部2の第1異常情報S1に含める。このため、制御部36の通信デバイス38から中央装置6に送信された第1異常情報S1に基づいて、灯器制御部2を構成する機器の異常か当該機器への給電異常かを容易に特定することができ、灯器制御部2の修理や故障解析をさらに迅速に行うことができる。
【0033】
〔第2の実施形態〕
図3は、本発明の第2の実施形態に係る交通信号制御機の構成例を示すブロック図である。本実施形態の交通信号制御機1は、通信制御部3が従電源33と蓄電部39とを備えている点で第1の実施形態と相違する。以下、その相違点について詳しく説明する。なお、本実施形態のその他の構成については、第1の実施形態と同様であるためその説明を省略する。
【0034】
本実施形態の通信制御部3の通信電源部31は、主電源32から電圧供給される従電源33を備えており、この従電源33に制御部36の制御回路37及び通信デバイス38が接続されている。従電源33は、主電源32から入力された入力電圧(5V)を、制御回路37及び通信デバイス38に対応する所定の出力電圧に変換するDC/DC変換回路を内部に備えている。したがって、制御回路37及び通信デバイス38は、通常時は主電源32から従電源33を介して電圧供給されることで動作するようになっている。また、従電源33は、省電力運転中は主電源32とともに停止している。
【0035】
通信制御部3は、直流電源に接続された蓄電部39をさらに備えている。この蓄電部39は、例えば電気二重層コンデンサで構成されたキャパシタを内部に備えており、通信電源部31に異常が発生したときに、従電源33に電圧を供給するものである。具体的には、蓄電部39は、主電源32への入力電圧の異常及び主電源32の異常を、主電源32から出力される異常信号によって検出し、その検出に基づいて従電源33に対応する直流電圧(5V)を供給する。これにより、省電力運転中に灯器制御部2に異常が発生したときに、主電源32が異常により起動しなかった場合に、蓄電部39によって従電源33を主電源32を介さずに直接起動させることで、制御部36に電圧を供給することができる。
【0036】
さらに、蓄電部39は、従電源33を起動させて制御部36が動作すると、通信電源部31に異常が発生した旨の情報(第2異常情報)S2を制御部36の制御回路37に送信する。第2異常情報S2には、主電源32への入力電圧の異常及び主電源32の異常に関する情報が含まれている。制御部36は、制御回路37において第1異常情報S1を生成した後、通信デバイス38から第1及び第2異常情報S1,S2を中央装置6に送信する。このように、蓄電部39は、緊急時のみに使用されるため、従電源33を介して制御部36の制御回路37及び通信デバイス38を動作させてから中央装置6に第1及び第2異常情報S1,S2を送信するまでに必要な最低限の電力を蓄電している。
【0037】
図4は、本実施形態の交通信号制御機1における省電力運転中の異常発生時の動作を示すシーケンス図である。省電力運転中に灯器制御部2に異常が発生したときに、主電源32が正常に起動する場合は、主電源32が従電源33を介して制御部36に電圧供給する点以外は、第1の実施形態の動作シーケンス(図2参照)と同様であるため、その説明を省略する。一方、省電力運転中に灯器制御部2に異常が発生したときに、主電源32への入力電圧の異常及び主電源32の異常が発生した場合は、以下のように動作する。
【0038】
信号灯器の点灯及び消灯を制御するために動作している灯器制御部2において、CPU22、RTC23及びLSI24のうちの少なくとも1つの機器に異常が発生した場合、通信制御部3の検出回路35がその異常を検出して電源制御回路34を起動させ、起動した電源制御回路34は主電源32に起動信号を出力する。その際、主電源32は異常発生により停止した状態のままであることから、蓄電部39は、主電源32から異常信号を検出し、従電源33に対して直流電圧の供給を開始する。電圧供給された従電源33は、制御部36の制御回路37及び通信デバイス38に直流電圧を供給する。
【0039】
また、蓄電部39は、制御部36の制御回路37が動作すると、主電源32への入力電圧の異常及び主電源32の異常に関する第2異常情報S2を制御回路37に送信する。制御回路37は、第2異常情報S2を一時的に記憶するとともに、第1の実施形態と同様に灯器制御部2から情報を収集及び判定して第1異常情報S1を生成する。生成された第1異常情報S1は、第2異常情報S2とともに通信デバイス38によって中央装置6に送信される。
【0040】
以上、本実施形態に係る交通信号制御機1によれば、通信制御部3は通信電源部31の異常を検出したときに通信電源部31に給電する蓄電部39を有するため、灯器制御部2に異常が発生したときに、通信電源部31の異常により制御部36に給電することができない場合であっても、蓄電部39を用いて制御部36に給電することができる。これにより、灯器制御部2に異常が発生した旨の情報を中央装置6に確実に送信することができる。
【0041】
また、制御部36は、第2異常情報S2(通信電源部31に異常が発生した旨の情報)を蓄電部39から収集し、その収集した第2異常情報S2を中央装置6に送信するため、第2異常情報S2に基づいて通信制御部3の通信電源部31に異常が発生したことを迅速に把握することができるため、通信制御部3の修理や故障解析を迅速に行うことができる。
【0042】
〔第3の実施形態〕
図5は、本発明の第3の実施形態に係る交通信号制御機の構成例を示すブロック図である。本実施形態の交通信号制御機1は、通信制御部3が蓄電部39を備えている点で第1の実施形態と相違する。以下、その相違点について詳しく説明する。なお、本実施形態のその他の構成については、第1の実施形態と同様であるためその説明を省略する。
【0043】
本実施形態の通信制御部3は、直流電源に接続された蓄電部39を備えている。この蓄電部39は、バッテリ等の蓄電池を内部に備えており、通信電源部31に異常が発生したときに、主電源32に電圧を供給するものである。具体的には、蓄電部39は、主電源32への入力電圧の異常を、主電源32から出力される異常信号によって検出し、その検出に基づいて主電源32に直流電圧(12V)を供給する。また、蓄電部39は、電源制御回路34に主電源32を起動させる指示信号を出力する。これにより、省電力運転中に灯器制御部2に異常が発生したときに、主電源32が入力電圧の異常により起動しなかった場合に、蓄電部39によって主電源32を起動させることで、制御部36に電圧を供給することができる。
【0044】
また、蓄電部39は、主電源32を起動させて制御部36が動作すると、通信電源部31に異常が発生した旨の情報(第2異常情報)S2を制御部36の制御回路37に送信する。第2異常情報S2には、主電源32への入力電圧の異常に関する情報が含まれている。制御部36は、制御回路37において第1異常情報S1を生成した後、通信デバイス38から第1及び第2異常情報S1,S2を中央装置6に送信する。本実施形態の蓄電部39は、第2の実施形態と同様に緊急時のみに使用されるため、主電源32に電圧供給して制御部36の制御回路37及び通信デバイス38を動作させてから中央装置6に第1及び第2異常情報S1,S2を送信するまでに必要な最低限の電力を蓄電している。
【0045】
図6は、本実施形態の交通信号制御機1における省電力運転中の異常発生時の動作を示すシーケンス図である。省電力運転中に灯器制御部2に異常が発生したときに、主電源32が正常に起動する場合は、第1の実施形態の動作シーケンス(図2参照)と同様であるため、その説明を省略する。一方、省電力運転中に灯器制御部2に異常が発生したときに、主電源32への入力電圧の異常が発生した場合は、以下のように動作する。
【0046】
信号灯器の点灯及び消灯を制御するために動作している灯器制御部2において、CPU22、RTC23及びLSI24のうちの少なくとも1つの機器に異常が発生した場合、通信制御部3の検出回路35がその異常を検出して電源制御回路34を起動させ、起動した電源制御回路34は主電源32に起動信号を出力する。その際、主電源32は異常発生により停止した状態のままであることから、蓄電部39は、主電源32から異常信号を検出し、主電源32に対して直流電圧の供給を開始する。また、蓄電部39は、主電源32への電圧供給後に、電源制御回路34に主電源32を起動させる指示信号を出力する。この指示信号を受けた電源制御回路34は、主電源32に起動信号を出力し、主電源32を起動させる。起動した主電源32は、制御部36の制御回路37及び通信デバイス38に直流電圧を供給する。
【0047】
さらに、蓄電部39は、制御部36の制御回路37が動作すると、主電源32への入力電圧の異常に関する第2異常情報S2を制御回路37に送信する。制御回路37は、第2異常情報S2を一時的に記憶するとともに、第1の実施形態と同様に灯器制御部2から情報を収集及び判定して第1異常情報S1を生成する。生成された第1異常情報S1は、第2異常情報S2とともに通信デバイス38によって中央装置6に送信される。
【0048】
以上、本実施形態に係る交通信号制御機1においても、通信制御部3は通信電源部31の異常を検出したときに通信電源部31に給電する蓄電部39を有するため、灯器制御部2に異常が発生したときに、通信電源部31の異常により制御部36に給電することができない場合であっても、蓄電部39を用いて制御部36に給電することができる。これにより、灯器制御部2に異常が発生した旨の情報を中央装置6に確実に送信することができる。
【0049】
また、制御部36は、第2異常情報S2(通信電源部31に異常が発生した旨の情報)を蓄電部39から収集し、その収集した第2異常情報S2を中央装置6に送信するため、第2異常情報S2に基づいて通信制御部3の通信電源部31に異常が発生したことを迅速に把握することができるため、通信制御部3の修理や故障解析を迅速に行うことができる。
【0050】
〔その他の変形例〕
上記実施形態は例示であって本発明の範囲を制限するものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内のすべての変更が本発明に含まれる。
例えば、上記実施形態における検出回路35は、灯器制御部2のCPU22、RTC23及びLSI24の3つの機器に異常が発生しているか否かを検出しているが、灯器制御部2を構成するその他の機器について検出してもよい。また、検出回路35は、灯器制御部2を構成する機器のうちの少なくとも1つの機器に異常が発生しているか否かを検出していればよい。
【0051】
また、制御部36は、灯器制御部2のCPU22、RTC23及びLSI24の3つの機器から異常が発生しているか否かの情報を収集しているが、灯器制御部2を構成するその他の機器から前記情報を収集してもよい。また、制御部36は、少なくとも1つの機器から前記情報を収集していればよい。
【0052】
さらに、制御部36は、灯器制御部2を構成する機器から情報を収集した収集結果と、機器の異常及び機器への給電異常のうちのいずれの異常であるかを判定した判定結果とを第1異常情報S1に含めているが、第1異常情報S1に含めずにそれぞれ個別に中央装置6に送信してもよい。
また、制御部36は、灯器制御部2を構成する機器から情報を収集及び判定することなく、灯器制御部2に異常が発生した情報だけを含めた第1異常情報S1を中央装置6に送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 交通信号制御機
2 灯器制御部
3 通信制御部
6 中央装置
31 通信電源部
35 検出回路
36 制御部
39 蓄電部
図1
図2
図3
図4
図5
図6