【実施例】
【0052】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
【0053】
(1)スリット工程の工程通過性
多孔性フィルムを(株)ゴードーキコー社製のスリッター“MODEL433B”を用いて、各実施例・比較例につき、幅60mm、長さ100mのスリットを行った。なお、搬送速度は25m/分、巻き出し張力は18N/110mm、巻取り張力は20Nで行い、スリット刃は刃先端厚みが0.5mmの丸型シェア刃で行い、間欠塗工を行っていた多孔層の未積層部の幅方向の中央部をスリットした。なお、間欠塗工を起こっていない多孔性フィルムについては多孔層部をスリットした。
【0054】
粒子が脱落し、シェア刃、パスロールに粒子が付着したものをNGと評価した。
【0055】
○:巻き始めから100m全体でNGなし
△:巻き始めから50m以上100m未満でNG発生
×:巻き始めから50m未満でNG発生
(2)透気抵抗(ガーレー透気度)
JIS P 8117(1998)のB法に準拠して、23℃、65%RHにて測定した(単位:秒/100ml)。各実施例・比較例の多孔性フィルムの多孔層部について同様の測定を、場所を変えて5回行い、得られたガーレー透気度の平均値を当該サンプルのガーレー透気度とした。この際、ガーレー透気度の平均値が7,200秒/100mlを超えるものについては実質的に透気性を有さないものとみなし、無限大(∞)秒/100mlとした。
【0056】
(3)厚み
ダイアルゲージ(三豊製作所製No2109−10)に10mmφ平型の標準測定子を取り付け、0.06kg/cm
2となるように荷重を加えて測定した値をD1(μm)とし、また1mmφ平型の標準測定子を取り付け、6kg/cm
2となるように荷重を加えて測定した値をD2(μm)とした。
【0057】
なお、厚み測定は荷重を加えた後、30秒後に測定を行った。この測定は測定位置を変えて、10点測定しその平均値を用いた。
【0058】
(4)耐熱性試験
試料フィルムを幅方向60mm×長手方向30mmの長方形に切り取り、テスター産業(株)製ヒートシールテスターを用いて、加熱温度200℃、加熱時間10秒間、荷重0.1MPaの条件で幅方向60mm×長手方向10mmの面積を加熱した。
【0059】
上記処理を行ったフィルムを以下の基準で評価した。
【0060】
○:フィルムの形状を保っている。目視にて孔の形成なし。幅変化が12%未満。
【0061】
△:フィルムの形状を保っている。目視にて孔の形成ないが、幅寸法変化が12〜20%。
【0062】
×:フィルムの平面性が悪く、未塗工部に溶融による孔の形成あるか、または、幅寸法変化が20%を超える。
【0063】
(5)電池組立性
宝泉(株)製のリチウムコバルト酸化物(LiCoO
2)厚みが40μmの正極を使用し、長手方向:300mm×幅方向52mmの長方形にサンプリングし、また、宝泉(株)製の厚みが50μmの黒鉛負極を使用し、長手方向:300mm×幅方向:55mmの長方形にサンプリングし、次に、各実施例・比較例の多孔性フィルムを長手方向:310mm×幅方向:60mmの長方形にサンプリングした。なお、間欠塗工した多孔性フィルムについては、未積層部の中央部をカットした。
【0064】
宇部興産(株)製手動捲回機UP3015を用いて、正極、負極を、多孔性フィルムを介して正極、負極は多孔性フィルムの幅方向の中央に重ね合わせ、巻回することによって高さ60mmの円筒状の電極体を得た。円筒型、張力は100g/cmのバネ圧のバネを用いて張力制御を行い、速度は1m/分になるように手動で捲回した。
【0065】
円筒状の電極体を高さ方向の両側から、50g/cm
2の荷重で押し、粒子の脱落、多孔層の状態を円筒状の電極体を分解し、評価した。
【0066】
以下の基準で評価した。
【0067】
○:粒子の脱落および多孔層のひび割れなし
△:粒子の脱落はないが、多孔層のひび割れあり
×:粒子の脱落および多孔層のひび割れあり。
【0068】
(6)長手方向のエッジ部の断面観察
各実施例・比較例の多孔性フィルムをミクロトーム切削し、断面を形成し、該断面の多孔層の長手方向のエッジ部を日本電子(株)製走査型電子顕微鏡(SEM)JSM−6700Fを用いて、500倍に拡大観察し断面写真を採取し、状態を確認した。
【0069】
エッジ部の形状を以下の基準で評価した。
【0070】
○:長手方向のエッジ部の断面が、曲線であるか、角が取れているか、または面取りされている
×:長手方向のエッジ部の断面が、直線であるか、角がある。
【0071】
エッジ部の無機粒子の状態を以下の基準で評価した。
【0072】
○:粒子の脱落した形跡がない
×:粒子が脱落した形跡がある。
【0073】
以下に実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。もちろん、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0074】
(実施例1)
まず、下記の組成を二軸押出機でコンパウンドして、樹脂Aのチップを準備した。
【0075】
<ポリプロピレン樹脂A>
住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4(以下、PP−1と表記)を99.75質量部、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、Nu−100、以下、単にβ晶核剤と表記)を0.25質量部に、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.15、0.1質量部(以下、単に酸防剤と表記し、特に記載のない限り3:2の質量比で使用)で、二軸押出機でコンパウンドした。
【0076】
ポリプロピレン樹脂Aのチップを単軸押出機に供給し、225℃で溶融押出を行い、25μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイにて120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出し、ドラムに15秒間接するようにキャストして、フィルムの非ドラム面側からエアーナイフを用いてエアを吹き付けて密着させながら、シート状に成形し、未延伸シートを得た。
【0077】
得られた未延伸シートを118℃に保ったロール群に通して予熱し、118℃に保ち周速差を設けたロール間に通し、118℃で縦方向に5倍延伸後、118℃で1秒保持し、80℃に冷却した。一旦冷却後、両端をクリップで把持しつつテンターに導入して150℃で予熱し、155℃で横方向に6倍に延伸した。次いで、テンター内で横方向に10%の弛緩を与えつつ、160℃で熱固定をし、100℃で徐冷した後、室温まで冷却して、エッジをスリット後、巻き取り、厚さ21μmの多孔性樹脂フィルムを得た。
【0078】
ついで、無機粒子として乾式法で製造したシリカ粒子である電気化学工業(株)製“FB−3SDC”25質量部と、オキシラン環含有化合物としてナガセ化成工業(株)製デナコール“EX−861”2.0質量部と、セルロースおよび/またはセルロース塩であるダイセル化学工業(株)製“CMCダイセル2240”1.0質量部と、イオン交換水を72質量部とを混合した懸濁液を準備した。上記の懸濁液を4時間攪拌した。ついで、攪拌後の懸濁液を多孔性樹脂フィルム上に、搬送速度2.5m/分の条件で、ダイコーターによりwet厚みを15μmとなるように塗布するとともに、塗工部55mm、未積層部が5mmとなるように間欠的に3箇所塗布し、未積層部の下に冷却液を循環させたホースを配置することで未積層部の温度上昇を抑制しつつ、塗工部のみを100℃で1分間乾燥させ、トータル厚み25μmの多孔性フィルムロールを得た。得られた多孔性フィルムロールの未積層部の中央部をスリットし、多孔性フィルムを得た。なお、使用したダイコーターの吐出口部は、[端部マスキング部|55mm塗工部|5mmマスキング部|55mm塗工部|5mmマスキング部|55mm塗工部|端部マスキング部]とし、55mm幅の塗工部が幅方向に3箇所、未積層部の幅が5mmとなるようにテープでマスキングした。両端の端部マスキング部は少なくとも5mmの未積層部を確保できるように終端までマスキングした。得られたフィルムを用いて上記(5)電池組立性に記載の方法に従って円筒状の組立体を作製した。
【0079】
得られたフィルムのスリット工程の工程通過性、ガーレー透気度、電池組立性、耐熱性を測定した。結果を表1に示した。
【0080】
得られたフィルムは、基材フィルムと同等の工程通過性、透気性、優れた電池組立性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0081】
(実施例2)
まず、下記の組成を二軸押出機でコンパウンドして、樹脂Bのチップを準備した。
【0082】
<ポリプロピレン樹脂B>
住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4(以下、PP−1と表記)を99質量部、エチレン−オクテン−1共重合体であるダウ・ケミカル製 Engage8411(メルトインデックス:18g/10分)を1質量部、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、Nu−100、以下、単にβ晶核剤と表記)を0.25質量部、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.15、0.1質量部(以下、単に酸防剤と表記し、特に記載のない限り3:2の質量比で使用)で、二軸押出機でコンパウンドした。
【0083】
ポリプロピレン樹脂Bのチップを単軸押出機に供給し、220℃で溶融押出を行い、25μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイにて120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出し、ドラムに15秒間接するようにキャストして、フィルムの非ドラム面側からエアーナイフを用いてエアを吹き付けて密着させながら、シート状に成形し、未延伸シートを得た以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたフィルムを用いて上記(5)電池組立性に記載の方法に従って円筒状の組立体を作製した。
【0084】
得られたフィルムのスリット工程の工程通過性、ガーレー透気度、電池組立性、耐熱性を測定した。結果を表1に示した。
【0085】
得られたフィルムは、基材フィルムと同等の工程通過性、透気性、優れた電池組立性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0086】
(実施例3)
ダイコーターの吐出口部を、[端部マスキング部|58mm塗工部|2mmマスキング部|58mm塗工部|2mmマスキング部|58mm塗工部|端部マスキング部]とし、58mm幅の塗工部が幅方向に3箇所、未積層部の幅が2mmとなるようにテープでマスキングしたダイコーター(両端の端部マスキング部は少なくとも2mmの未積層部を確保できるように終端までマスキング)を使用し、wet厚みを15μmとなるように塗布し、塗工部58mm、未積層部2mmとした以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたフィルムを用いて上記(5)電池組立性に記載の方法に従って円筒状の組立体を作製した。
【0087】
得られたフィルムのスリット工程の工程通過性、ガーレー透気度、電池組立性、耐熱性を測定した。結果を表1に示した。
【0088】
得られたフィルムは、基材フィルムと同等の工程通過性、透気性、優れた電池組立性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0089】
(実施例4)
ダイコーターの吐出口部を、[端部マスキング部|50mm塗工部|10mmマスキング部|50mm塗工部|10mmマスキング部|50mm塗工部|端部マスキング部]とし、50mm幅の塗工部が幅方向に3箇所、未積層部の幅が10mmとなるようにテープでマスキングしたダイコーター(両端の端部マスキング部は少なくとも10mmの未積層部を確保できるように終端までマスキング)を使用し、wet厚みを15μmとなるように塗布し、塗工部50mm、未積層部10mmとした以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたフィルムを用いて上記(5)電池組立性に記載の方法に従って円筒状の組立体を作製した。
【0090】
得られたフィルムのスリット工程の工程通過性、ガーレー透気度、電池組立性、耐熱性を測定した。結果を表1に示した。
【0091】
得られたフィルムは、基材フィルムと同等の工程通過性、透気性、優れた電池組立性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0092】
(実施例5)
搬送速度2.5m/分の条件で、攪拌後の懸濁液を多孔性樹脂フィルムの上面に、実施例1で使用したのと同様のダイコーターによりwet厚みを15μmとなるように塗布し、塗工部55mm、未積層部が5mmとなるように間欠的に3箇所塗布した後、同様に下面にも、wet厚みを15μmとなるように塗布し、塗工部55mm、未積層部が5mmとなるように間欠的に3箇所塗布し、100℃で1分間全面乾燥させた以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたフィルムを用いて上記(5)電池組立性に記載の方法に従って円筒状の組立体を作製した。
【0093】
得られたフィルムのスリット工程の工程通過性、ガーレー透気度、電池組立性、耐熱性を測定した。結果を表1に示した。
【0094】
得られたフィルムは、基材フィルムと同等の工程通過性、透気性、優れた電池組立性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0095】
(実施例6)
搬送速度2.5m/分の条件で、攪拌後の懸濁液を多孔性樹脂フィルムの上面に、実施例3で使用したのと同様のダイコーターによりwet厚みを15μmとなるように塗布し、塗工部58mm、未積層部が2mmとなるように間欠的に3箇所塗布した後、同様に下面にも、wet厚みを15μmとなるように塗布し、塗工部58mm、未積層部が2mmとなるように間欠的に3箇所塗布し、100℃で1分間全面乾燥させた以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたフィルムを用いて上記(5)電池組立性に記載の方法に従って円筒状の組立体を作製した。
【0096】
得られたフィルムのスリット工程の工程通過性、ガーレー透気度、電池組立性、耐熱性を測定した。結果を表1に示した。
【0097】
得られたフィルムは、基材フィルムと同等の工程通過性、透気性、優れた電池組立性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0098】
(実施例7)
搬送速度2.5m/分の条件で、攪拌後の懸濁液を多孔性樹脂フィルムの上面に、実施例4で使用したのと同様のダイコーターによりwet厚みを15μmとなるように塗布し、塗工部50mm、未積層部が10mmとなるように間欠的に3箇所塗布した後、同様に下面にも、wet厚みを15μmとなるように塗布し、塗工部50mm、未積層部が10mmとなるように間欠的に3箇所塗布し、100℃で1分間全面乾燥させた以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたフィルムを用いて上記(5)電池組立性に記載の方法に従って円筒状の組立体を作製した。
【0099】
得られたフィルムのスリット工程の工程通過性、ガーレー透気度、電池組立性、耐熱性を測定した。結果を表1に示した。
【0100】
得られたフィルムは、基材フィルムと同等の工程通過性、透気性、優れた電池組立性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0101】
(実施例8)
搬送速度2.5m/分の条件で、攪拌後の懸濁液を多孔性樹脂フィルムの上面に、実施例1で使用したのと同様のダイコーターによりwet厚みを15μmとなるように塗布し、塗工部55mm、未積層部が5mmとなるように間欠的に3箇所塗布した後、下面に、実施例3で使用したのと同様のダイコーターによりwet厚みを15μmとなるように塗布し、塗工部58mm、未積層部が2mmとなるように間欠的に3箇所塗布し、100℃で1分間全面乾燥させた以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたフィルムを用いて上記(5)電池組立性に記載の方法に従って円筒状の組立体を作製した。
【0102】
得られたフィルムのスリット工程の工程通過性、ガーレー透気度、電池組立性、耐熱性を測定した。結果を表1に示した。
【0103】
得られたフィルムは、基材フィルムと同等の工程通過性、透気性、優れた電池組立性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0104】
(実施例9)
搬送速度2.5m/分の条件で、攪拌後の懸濁液を多孔性樹脂フィルムの上面に、実施例1で使用したのと同様のダイコーターによりwet厚みを15μmとなるように塗布し、塗工部55mm、未積層部が5mmとなるように間欠的に3箇所塗布した後、下面に、実施例4で使用したのと同様のダイコーターによりwet厚みを15μmとなるように塗布し、塗工部50mm、未積層部が10mmとなるように間欠的に3箇所塗布し、100℃で1分間全面乾燥させた以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたフィルムを用いて上記(5)電池組立性に記載の方法に従って円筒状の組立体を作製した。
【0105】
得られたフィルムのスリット工程の工程通過性、ガーレー透気度、電池組立性、耐熱性を測定した。結果を表1に示した。
【0106】
得られたフィルムは、基材フィルムと同等の工程通過性、透気性、優れた電池組立性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0107】
(実施例10)
特許第4280371号の実施例4に記載の以下の方法に従って製膜を行った。重量平均分子量が200万の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)30質量%、重量平均分子量が35万の高密度ポリエチレン(HDPE)40質量%、融点108℃のメタロセン触媒で製造したエチレン−オクテン共重合体(AffnityPOP FM1570、オクテン含有量7.5mol%)10質量%及び重量平均分子量が53万のポリプロピレン20質量%からなる組成物100質量部に酸化防止剤0.375質量部を加えたポリオレフィン組成物(融点165℃)を得た。このポリオレフィン組成物30質量部を二軸押出機(58mmφ、L/D=42、強混練タイプ)に投入した。またこの二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン70質量部を供給し、200rpmで溶融混練して、押出機中にてポリオレフィン溶液を調製した。続いて、この押出機の先端に設置されたTダイから190℃で押し出し、冷却ロールで引取りながらゲル状シートを成形した。続いてこのゲル状シートを、116℃で5×5倍に同時2軸延伸を行い、延伸膜を得た。得られた延伸膜を塩化メチレンで洗浄して残留する流動パラフィンを抽出除去した後、乾燥および120℃で熱セットを行い多孔性樹脂フィルムを得た以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたフィルムを用いて上記(5)電池組立性に記載の方法に従って円筒状の組立体を作製した。
【0108】
得られたフィルムのスリット工程の工程通過性、ガーレー透気度、電池組立性、耐熱性を測定した。結果を表1に示した。
【0109】
得られたフィルムは、基材フィルムと同等の工程通過性、透気性、優れた電池組立性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0110】
(実施例11)
搬送速度2.5m/分の条件で、攪拌後の懸濁液を多孔性樹脂フィルムの上面に、実施例1で使用したのと同様のダイコーターによりwet厚みを15μmとなるように塗布し、塗工部55mm、未積層部が5mmとなるように間欠的に3箇所塗布した後、下面に、実施例4で使用したのと同様のダイコーターによりwet厚みを15μmとなるように塗布し、塗工部52mm、未積層部が8mmとなるように間欠的に3箇所塗布し、100℃で1分間全面乾燥させた以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたフィルムを用いて上記(5)電池組立性に記載の方法に従って円筒状の組立体を作製した。
【0111】
得られたフィルムのスリット工程の工程通過性、ガーレー透気度、電池組立性、耐熱性を測定した。結果を表1に示した。
【0112】
得られたフィルムは、基材フィルムと同等の工程通過性、透気性、優れた電池組立性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0113】
(比較例1)
懸濁液を塗布しなかった以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたフィルムを用いて上記(5)電池組立性に記載の方法に従って円筒状の組立体を作製した。
【0114】
得られたフィルムのスリット工程の工程通過性、ガーレー透気度、電池組立性、耐熱性を測定した。結果を表1に示した。
【0115】
得られたフィルムは、基材フィルムと同等の工程通過性、透気性、優れた電池組立性を両立するものであったが、得られたフィルムに溶融による孔の形成が見られ、また収縮率も大きいことから耐熱性が不十分であった。
【0116】
(比較例2)
懸濁液を多孔性樹脂フィルム全面に塗布した以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたフィルムを用いて上記(5)電池組立性に記載の方法に従って円筒状の組立体を作製した。
【0117】
得られたフィルムのスリット工程の工程通過性、ガーレー透気度、電池組立性、耐熱性を測定した。結果を表1に示した。
【0118】
得られたフィルムは、優れた透気性、耐熱性を有するものであったが、工程通過性、電池組立性が不十分であった。
【0119】
(比較例3)
塗工部45mm、未積層部を15mmとした以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたフィルムを用いて上記(5)電池組立性に記載の方法に従って円筒状の組立体を作製した。
【0120】
得られたフィルムのスリット工程の工程通過性、ガーレー透気度、電池組立性、耐熱性を測定した。結果を表1に示した。
【0121】
得られたフィルムは、基材フィルムと同等の工程通過性、優れた透気性、電池組立性を有しているものの、収縮率が大きく耐熱性が不十分であった。
【0122】
(比較例4)
オキシラン環含有化合物としてナガセ化成工業(株)製デナコール“EX−861”2.0質量部と、セルロースおよび/またはセルロース塩であるダイセル化学工業(株)製“CMCダイセル2240”1.0質量部と、イオン交換水97質量部とを混合した懸濁液に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたフィルムを用いて上記(5)電池組立性に記載の方法に従って円筒状の組立体を作製した。
【0123】
得られたフィルムのスリット工程の工程通過性、ガーレー透気度、電池組立性、耐熱性を測定した。結果を表1に示した。
【0124】
この場合、基材フィルムと同等の工程通過性、透気性を優れた電池組立性を有するものであったが、耐熱性が不十分であった。
【0125】
【表1】
【0126】
【表2】