(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板等の積層板は、プレス機を用いた熱プレスにより形成される。この熱プレスでは、ガラス繊維又は紙等の基材に熱硬化性樹脂を含浸して乾燥処理させた半硬化状態のシート(以下、「プリプレグ」ともいう)をステンレス板等の鏡面板の間に挟み、プレス機の熱盤の間にセットし、真空状態で2〜3時間加熱加圧することにより完全硬化させている。このような熱プレスでは、圧力分布を均一化するため、鏡面板とプリプレグとの間にクラフト紙やコットンリンター紙等のクッション材を挿入している。
【0003】
上記熱プレスにおけるプレス温度は、一般的には180℃〜200℃であるが、近年、融解温度の高い鉛フリーはんだや高温条件下での使用に対応するべく、プレス温度が上昇する傾向にある。このようにプレス温度が上昇すると、従来の紙製のクッション材では、パルプ繊維が熱分解(炭化)し、繊維間の結合力や層間強度が低下するため、クッション材が鏡面板に貼り付いてしまう。また、このようにクッション材の貼り付きが生じることにより、貼り付いたクッション材を剥がし取る作業が必要となるため、生産性が低下する上にプレス機の熱盤や鏡面板に傷が付くおそれが生じる。
【0004】
このような貼り付きを防止する対策としては、クッション材の上下にシリコン樹脂フィルムやフッ素樹脂フィルム等の剥離性の高い樹脂フィルムを挿入して両者の貼り付きを防止する方法がある。しかし、樹脂フィルムのセッティングには手間がかかり、加えて、上記樹脂フィルムは高価な上に再利用ができず、産業廃棄物としての処理費用が発生するという不都合がある。
【0005】
一方、紙自体の耐熱性を向上させる技術としては、紙製の支持体に熱可塑性樹脂を含浸させた耐熱紙が提案されている(特開2005−342997号公報参照)。しかし、上記耐熱紙は、ある程度の耐熱性は得られるものの、加熱加圧条件下での長時間の使用を想定していないためクッション性及び剥離性が不十分である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の耐熱クッション紙の実施の形態を詳説する。
【0015】
<耐熱クッション紙>
本発明の耐熱クッション紙は、ポリホウ酸塩を含有する。まず、本発明の特徴であるポリホウ酸塩について説明し、続いて他の構成要素について説明する。
【0016】
(ポリホウ酸塩)
ポリホウ酸塩は、高温条件下で発泡し、無機発泡構造を形成する性質を有する。そのため、ポリホウ酸塩を含有する当該耐熱クッション紙は、加熱された場合、上記ポリホウ酸塩が発泡してパルプ繊維の表面を覆うことにより、パルプ繊維が直接高温に曝されることを防止することができる。その結果、パルプ繊維が熱分解(炭化)し層間強度が低下することによる、プレス機の熱盤や鏡面板への貼り付きを抑制することができる。また、ポリホウ酸塩は、有害なガス等を発生することがないため、取り扱い性に優れ、環境への負荷も小さい。
【0017】
上記ポリホウ酸塩としては、ホウ酸を脱水縮合したポリホウ酸の塩、ホウ酸塩を脱水縮合したもの、又はホウ酸及びホウ酸塩を脱水縮合したものが考えられ、具体的には、例えば、ポリホウ酸ナトリウム、ポリホウ酸カルシウム、ポリホウ酸カリウム、ポリホウ酸バリウム、ポリホウ酸亜鉛、ホウ砂等が挙げられる。これらの中でも、水に対する溶解度が高く、後述する基紙にポリホウ酸塩を効率良く含有することができるポリホウ酸ナトリウムが好ましい。
【0018】
ポリホウ酸塩の含有量としては、1g/m
2以上15g/m
2以下が好ましく、2g/m
2以上12g/m
2以下がより好ましく、3g/m
2以上10g/m
2以下がさらに好ましい。当該耐熱クッション紙におけるポリホウ酸塩の含有量が上記上限を超えると、含有量に対する十分な効果が得られず経済性が低下するおそれがある。一方、当該耐熱クッション紙におけるポリホウ酸塩の含有量が上記下限未満の場合、十分な耐熱性、クッション性及び剥離性が得られないおそれがある。
【0019】
(ポリケイ酸塩)
本発明の耐熱クッション紙は、上記ポリホウ酸塩以外に、ポリケイ酸塩を含有してもよい。ポリケイ酸塩は、ポリホウ酸塩と同様、高温条件下で発泡し、無機発泡構造を形成する性質を有する。
【0020】
上記ポリケイ酸塩としては、ケイ酸を脱水縮合したポリケイ酸の塩、ケイ酸塩を脱水縮合したもの、又はケイ酸及びケイ酸塩を脱水縮合したものが考えられ、具体的には、例えばポリケイ酸ナトリウム、ポリケイ酸カルシウム、ポリケイ酸カリウム、ポリケイ酸バリウム、ポリケイ酸亜鉛等が挙げられる。これらの中でも、ポリケイ酸ナトリウムが好ましい。
【0021】
ポリケイ酸塩の含有量としては、3g/m
2以上10g/m
2以下が好ましく、4g/m
2以上9g/m
2以下がより好ましく、5g/m
2以上8g/m
2以下がさらに好ましい。当該耐熱クッション紙におけるポリケイ酸塩の含有量が上記上限を超えると、含有量に対する十分な効果が得られず経済性が低下するおそれがある。一方、当該耐熱クッション紙におけるポリケイ酸塩の含有量が上記下限未満の場合、十分な耐熱性、クッション性及び剥離性が得られないおそれがある。
【0022】
(基紙)
当該耐熱クッション紙は上記ポリホウ酸塩を含有する基材として基紙を有し、この基紙は、通常、原料パルプ等を含むパルプスラリーを抄紙して得られる。
【0023】
上記原料パルプとしては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、例えば古紙パルプ、バージンパルプ又はこれらの組み合わせたものを適宜用いることができる。なお、バージンパルプよりも古紙パルプを多く用いることが省資源化の観点から好ましい。
【0024】
上記古紙パルプとしては、例えば茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ(DIP)又は離解・脱墨・漂白古紙パルプ等が挙げられる。これらの古紙パルプの中でも、段ボール古紙から製造される古紙パルプが好ましい。
【0025】
上記バージンパルプとしては、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプ;ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等の機械パルプ(MP);サイザル麻、マニラ麻、サトウキビ、コットン、シルク、ケナフ、竹、葦等の非木材繊維から化学的又は機械的に製造されたパルプ等が挙げられる。これらの中でも、比較的紙力が大きく、当該耐熱クッション紙に良好な機械的強度及び寸法安定性を付与できる針葉樹クラフトパルプ(針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ)が好ましい。
【0026】
原料パルプにおける古紙パルプの含有率としては、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。原料パルプにおける古紙パルプの含有率を上記範囲とすることにより、資源の有効利用等の環境性を向上することができる。
【0027】
また、上記原料パルプは、叩解してパルプ繊維表面に微細な毛羽立ちを設けてもよい。このように原料パルプを叩解することにより、繊維間にポリホウ酸塩を入り込みやすくしてポリホウ酸塩の浸透性を向上することができる。叩解の程度としては、原料パルプのJIS−P8121(1995)「パルプのろ水度試験方法」に準拠して測定したフリーネスで、200mlCSF以上450mlCSF以下が好ましく、250mlCSF以上400mlCSF以下がより好ましい。原料パルプのフリーネスが上記上限を超えると、繊維同士の絡み合いが少なく、ポリホウ酸塩の含有量が低下するおそれがある。一方、原料パルプのフリーネスが上記下限未満の場合、透気抵抗度が高くなり、ポリホウ酸塩水溶液が基紙内部に浸透し難くなり、当該耐熱クッション紙の耐熱性、クッション性及び剥離性が低下するおそれがある。なお、上記フリーネスは、例えば原料パルプの種類や配合量、叩解条件等を変更することにより調整することができる。
【0028】
上記基紙は、単層構造でもよいし、多層抄き等により多層構造としてもよい。上記基紙を多層構造とすることにより、当該耐熱クッション紙の機械的強度及び寸法安定性を向上することができる。
【0029】
(その他の任意成分)
当該耐熱クッション紙には、本発明の目的効果を損なわない範囲で、その他の任意成分を含有させることができる。かかる任意成分としては、例えばスルファミン酸塩等の難燃剤;軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クレー、焼成カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、尿素−ホリマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子などの填料;アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤などのサイズ剤;ポリビニルアルコール系高分子、ポリアクリルアミド系高分子、カチオン化澱粉、尿素/ホルマリン樹脂、メラミン/ホルマリン樹脂などの紙力増強剤;アクリルアミド/アミノメチルアクリルアミドの共重合物の塩、カチオン化澱粉、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合物、カチオン性の定着剤などの歩留り向上剤;紙粉脱落防止剤;硫酸バンド;湿潤紙力材;紙厚向上剤;嵩高剤;カチオン化剤;着色剤;染料等が挙げられる。
【0030】
<品質等>
当該耐熱クッション紙のJIS−P8118(1998)「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した密度としては、0.2g/cm
2以上0.7g/cm
2以下であり、0.25g/cm
2以上0.65g/cm
2以下が好ましい。
【0031】
当該耐熱クッション紙のJIS−P8118(1998)「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した厚さとしては、0.4mm以上1.2mm以下が好ましく、0.7mm以上1.0mm以下がより好ましい。当該耐熱クッション紙の厚さが上記上限を超えると、熱プレスの熱が伝わりにくくなるおそれがある。一方、当該耐熱クッション紙の厚さが上記下限未満の場合、破損しやすくなると共に、十分なクッション性が得られないおそれがある。
【0032】
<耐熱クッション紙の製造方法>
耐熱クッション紙の製造方法としては、上記基紙にポリホウ酸塩を略均一に含有させることができれば特に限定されず、例えば抄紙により基紙を得る抄紙工程と、基紙にポリホウ酸塩を含有させる含浸工程と、含浸後の基紙を乾燥する乾燥工程とを有する方法等が挙げられる。
【0033】
(抄紙工程)
抄紙工程としては、一般的な製紙用途に使用される抄紙方法を用いることができる。具体的には、原料パルプ等を含むパルプスラリーを用い、ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、カレンダーパート、リールパート等を経ることで基紙を得ることができる。
【0034】
(含浸工程)
含浸工程は、上記基紙にポリホウ酸塩を含有させることができれば、特に限定されず、例えばポリホウ酸塩水溶液を基紙に塗工したり、ポリホウ酸塩水溶液に基紙を浸漬したりする方法等が挙げられる。基紙にポリホウ酸塩水溶液を塗工する方法としては、例えば、スプレー、ゲートロールコーター、ロールサイズプレス、フィルムプレス、ブレードコーター、シムサイザー、カレンダー、バーコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、キスロール、アプリケーター、グラビアコーター、ロッドコーター、リバースロールコーター、フローコーター、刷毛による塗工が挙げられる。また、ポリホウ酸塩水溶液に基紙を浸漬する方法としては、例えば、ディッピング−スクイーズ法等が挙げられる。これらの中でも、基紙全体に均一にポリホウ酸塩を含有させることができ、パルプ繊維の表面を広範囲にポリホウ酸塩で被覆しやすい点でポリホウ酸塩水溶液を用いたカレンダー塗工又は基紙をポリホウ酸塩水溶液に浸漬する方法が好ましい。
【0035】
上記ポリホウ酸塩水溶液におけるポリホウ酸塩の濃度(固形分濃度)としては、10質量%以上25質量%以下が好ましく、15質量%以上24質量%以下がより好ましい。ポリホウ酸塩の濃度が上記上限を超えると、ポリホウ酸の結晶が析出するおそれがある。一方、ポリホウ酸塩の濃度が上記下限未満の場合、基紙に十分なポリホウ酸塩を含有させるために多量のポリホウ酸塩水溶液が必要となるうえに、後述する乾燥工程に時間がかかり生産性が低下するおそれがある。
【0036】
また、ポリホウ酸塩の基紙への浸透性を高めるために、ポリホウ酸塩水溶液に浸透剤を含有させることができる。このような浸透剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコールなどのジオール類;グリセリンなどのトリオール類;炭素数3〜11のアルジトールなどのポリオール類;界面張力を低下させる作用を有する界面活性剤等が挙げられる。
【0037】
(乾燥工程)
乾燥工程では、ポリホウ酸塩水溶液を含有する基紙を加熱し水分を揮発させる。基紙を乾燥させる方法としては特に限定されず、例えば、ドライヤーを用いる方法等が挙げられる。乾燥温度は100℃以上200℃以下が好ましく、110℃以上180℃以下がより好ましい。乾燥温度が上記上限を超えると乾燥時にポリホウ酸塩が発泡してしまい当該耐熱クッション紙を使用する際のクッション性が低下するおそれがある。一方、乾燥温度が上記下限未満の場合、乾燥に時間がかかり生産性が低下するおそれがある。
【実施例】
【0038】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0039】
なお、本実施例における各測定値は、以下の方法にて測定した値である。
【0040】
[密度(単位:g/cm
3)]
JIS−P8118(1998)に記載の「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
【0041】
[紙厚(単位:mm)]
JIS−P8118(1998)に記載の「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
【0042】
[坪量(単位:g/m
2)]
JIS−P8124(1998)に記載の「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した。
【0043】
[実施例1]
(基紙の製造)
原料パルプスラリーとしては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)80%とクラフト古紙パルプ20%とを配合したものを用いた。なお、この原料パルプスラリーのJIS−P8121(1995)「パルプのろ水度試験方法」に準拠して測定したフリーネスは350mlCSFだった。
【0044】
次いで、上記原料パルプスラリーを、ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、カレンダーパートを経て抄紙し、基紙を得た。このドライヤーパートにおける乾燥温度は110℃だった。なお、ワイヤーパートではギャップフォーマを、プレスパートではオープンドローのないストレートスルー型を、ドライヤーパートではシングルデッキドライヤーを用いて抄紙した。
【0045】
(ポリホウ酸塩水溶液の調整)
ポリホウ酸塩として、ポリホウ酸ナトリウムの粉末(株式会社トラストライフ製「ファイアレスBパウダー」)を用い、これを蒸留水に溶解してポリホウ酸ナトリウム水溶液を調整した。
【0046】
(耐熱クッション紙の製造)
上記ポリホウ酸ナトリウム水溶液をカレンダー塗工により基紙に含浸させた後、150℃の乾燥機中で1分間乾燥させることで本発明の耐熱クッション紙を得た。
【0047】
[実施例2〜14、比較例1〜5]
基紙の原料パルプの種類、ポリホウ酸塩の含有量、密度、紙厚、坪量を表1に示すように変更したこと以外は上記実施例1と同様の操作を行い、実施例2〜14及び比較例1〜5の耐熱クッション紙を得た。
【0048】
(品質評価)
得られた各耐熱クッション紙について、下記方法にて耐熱性、クッション性、剥離性についてそれぞれ評価した。結果を表1に示す。なお、貼り付きが生じた場合のクッション性については評価せずに「−」で表した。
【0049】
[耐熱性評価]
プレス機の熱盤の間に耐熱クッション紙を挟み、常圧下、250℃で1時間保持した。加熱後の耐熱クッション紙の状態を目視にて以下の評価基準に基づき評価した。
(評価基準)
○:全体的に変質及び変色が発生せず、耐熱性に優れる。
△:部分的に変質及び変色が発生し、耐熱性にやや優れる。
×:全体的に変質及び変色が発生し、耐熱性に劣る。
【0050】
[クッション性評価]
プレス機の熱盤の間に、上からステンレス板(8mm)、耐熱クッション紙、ステンレス板(1mm)、感圧紙、プリプレグ、ステンレス板(1mm)、耐熱クッション紙、ステンレス板(8mm)の順となるように積層し、常温で加圧(3MPa、3分間)した。加圧後の感圧紙の発色状態を目視にて以下の評価基準に基づき評価した。
(評価基準)
○:全体的に圧力が均一にかかり、かつ圧力ムラも発生していない。
△:部分的に圧力ムラが発生している。
×:全体的に圧力ムラが発生している。
【0051】
[剥離性評価]
プレス機の熱盤の間に、上からステンレス板(8mm)、耐熱クッション紙、ステンレス板(1mm)、熱電対、ステンレス板(1mm)、耐熱クッション紙、ステンレス板(8mm)の順となるように積層し、3MPaの圧力下、230℃で1時間、2時間、3時間保持した場合と250℃で0.5時間、1時間、2時間、3時間保持した。その後、加熱加圧後の耐熱クッション紙の状態を目視にて以下の評価基準に基づき評価した。
(評価基準)
○:熱盤及びステンレス板への貼り付きが全く見られず、剥離性に優れる。
△:熱盤及びステンレス板への貼り付きがやや見られる。
×:熱盤及びステンレス板への貼り付きが多く見られ、剥離性に劣る。
【0052】
【表1】
【0053】
上記表1の結果から、本発明の耐熱クッション紙は、優れた耐熱性、クッション性、剥離性を有することがわかる(実施例1〜14)。また、上記表1の結果から、ポリホウ酸塩を含まないものは基紙の種類にかかわらず、230℃、1時間の加熱加圧条件でいずれも熱盤及びステンレス板への貼り付きがみられ、剥離性を発揮するためにはポリホウ酸塩が必須であることがわかる(比較例1、4、5)。また、ポリホウ酸塩を十分に含有していても、クッション紙の密度が低すぎる場合はクッション性及び剥離性が得られないことがわかる(比較例2)。これは、密度が低いとパルプ繊維同士の絡み合いが少なくなり、表面強度が弱くなることで熱盤への貼り付きが発生するものと推測される。逆に、クッション紙の密度が高すぎる場合は、繊維同士が絡み合うため、ポリホウ酸塩の含有量が低くても貼り付き防止効果が得られるもののクッション性に劣ることがわかる(比較例3)。