特許第5926106号(P5926106)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5926106
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】車両用ドア構造
(51)【国際特許分類】
   E05B 77/04 20140101AFI20160516BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   E05B77/04
   B60J5/00 M
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-97181(P2012-97181)
(22)【出願日】2012年4月20日
(65)【公開番号】特開2013-224544(P2013-224544A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2014年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 信志
(72)【発明者】
【氏名】町田 利雄
(72)【発明者】
【氏名】永谷 泰弘
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−20845(JP,A)
【文献】 特開2009−287333(JP,A)
【文献】 特開2001−303822(JP,A)
【文献】 実開平3−46675(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00− 85/28
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドドアにおいて外板を構成するドアアウタパネルと内板を構成するドアインナパネルとの間に配置され、ドア開放時にワイヤが牽引されることにより一方向に移動し前記サイドドアが閉止されたドアロック状態を解除するロックピンと、
前記ドアアウタパネルから離間した状態で当該ドアアウタパネルと対向して配置され、前記ロックピンが取付けられたベース部材を介して当該ロックピンと一体的に設けられると共に前記ロックピンの車両幅方向外側にて車両側面視で前記ロックピンと車両前後方向に隣接して配置され、車両の側面衝突時に当該ドアアウタパネルの車両幅方向内側への変形に伴って車両下方側へ向かうに連れて前記ロックピンと離間する方向に傾斜された縦壁の先端部を中心に屈曲して車両幅方向内側へ移動し前記ロックピンの移動軌跡上に配置されて前記ドアロック状態が解除されないように当該ロックピンの移動を規制するストッパと、
を有する車両用ドア構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インナワイヤ(ワイヤ)による牽引によって、サイドドアにおけるドアロックの非解除位置から解除位置へ移動する解除レバーを備えたドアロック解除機構が開示されている。このドアロック解除機構では、インナワイヤを被覆するアウタチューブに規制部材が接続されている。規制部材は、解除レバーの回動軌跡外から回動軌跡内へ向けて移動可能とされており、規制部材が解除レバーの回動軌跡内へ移動することによって、解除レバーの非解除位置から解除位置への移動が規制されるようになっている。
【0003】
そして、車両側面衝突時(以下、「側突時」という)におけるドアアウタパネルの変形に伴ってインナワイヤが牽引される際に、当該インナワイヤと共にアウタチューブが牽引されることにより、規制部材を解除レバーの移動軌跡内へ移動させる。これにより、解除レバーのドアロックの解除方向への移動が規制されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−287333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この先行技術はインナワイヤと共にアウタチューブが牽引されることにより規制部材を移動させてドアロックの解除が防止されるという構成であるため、側突時にアウタチューブが牽引されない場合、ドアロックの解除を防止することができない。
【0006】
本発明は、上記の事実を考慮し、側突時においてドアロックの解除を安定的に阻止することができる車両用ドア構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の車両用ドア構造は、サイドドアにおいて外板を構成するドアアウタパネルと内板を構成するドアインナパネルとの間に配置され、ドア開放時にワイヤが牽引されることにより一方向に移動し前記サイドドアが閉止されたドアロック状態を解除するロックピンと、前記ドアアウタパネルから離間した状態で当該ドアアウタパネルと対向して配置され、前記ロックピンが取付けられたベース部材を介して当該ロックピンと一体的に設けられると共に前記ロックピンの車両幅方向外側にて車両側面視で前記ロックピンと車両前後方向に隣接して配置され、車両の側面衝突時に当該ドアアウタパネルの車両幅方向内側への変形に伴って車両下方側へ向かうに連れて前記ロックピンと離間する方向に傾斜された縦壁の先端部を中心に屈曲して車両幅方向内側へ移動し前記ロックピンの移動軌跡上に配置されて前記ドアロック状態が解除されないように当該ロックピンの移動を規制するストッパと、を有している。
【0008】
請求項1に記載の発明では、サイドドアにおいて外板を構成するドアアウタパネルと内板を構成するドアインナパネルとの間にロックピンが配置されている。このロックピンは、ドア開放時にワイヤが牽引されることにより一方向に移動し、これによって、サイドドアが閉止されたドアロック状態が解除される。
【0009】
また、ドアアウタパネルから離間した状態でストッパ当該ドアアウタパネルと対向して配置されている。ストッパは、ロックピンが取付けられたベース部材を介して当該ロックピンと一体的に設けられると共にロックピンの車両幅方向外側に配置されている。このストッパは、側突時に当該ドアアウタパネルの車両幅方向内側への変形に伴って車両幅方向内側へ移動し、ロックピンの移動軌跡上に配置されるようになっている。これにより、ロックピンは、サイドドアのドアロック状態が解除されないようにその移動が規制される。つまり、仮にワイヤによってロックピンが牽引されようとしても、ロックピンはストッパと干渉することで、当該ロックピンの移動は規制される。これにより、サイドドアはドアロック状態が維持されることになる。
【0010】
なお、ここではストッパは、サイドドアのドアロック状態が解除されないように当該ロックピンの移動を規制するため、当該ドアロック状態が解除されない範囲内でロックピンがストッパと干渉可能となっていれば良い。したがって、ロックピンはサイドドアのドアロック状態が解除されない範囲内での動きが可能な構成であっても良いし、当該ロックピンが動かない(ロックピンの動きが阻止される)構成であっても良い。また、ストッパは、車両側面視でロックピンと車両前後方向に隣接して配置されており、通常時は、ドアアウタパネルの車両幅方向内側、かつロックピンの車両幅方向外側に配置されている。このため、ワイヤによってロックピンが牽引されるとロックピンは移動し、サイドドアはドアロック状態が解除される。一方、側突時にドアアウタパネルが車両幅方向内側へ変形すると、ストッパは屈曲してロックピンの移動軌跡上に配置される。これにより、仮にワイヤによってロックピンが牽引されようとしても、ロックピンはストッパと干渉することで、当該ロックピンの移動は規制され、サイドドアはドアロック状態が維持される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、請求項1記載の発明に係る車両用ドア構造は、側突時においてドアロックの解除を安定的に阻止することができる、という優れた効果を有する。また、側突時においてストッパが屈曲することでドアロックの解除を安定的に阻止することができるため、構成が簡易である、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施の形態に係る車両用ドア構造が適用されたドアロック装置の要部を示す車両側方から見た正面図である。
図2】本実施の形態に係る車両用ドア構造が適用されたドアロック装置の要部を示す図3の2−2線に沿って切断された状態を示す拡大水平断面図である。
図3】スライド式のサイドドアが適用された車両を示す車両側面図である。
図4】本実施の形態に係る車両用ドア構造が適用されたドアロック装置の要部の構成を示す分解斜視図である。
図5】本実施の形態に係る車両用ドア構造が適用されたドアロック装置の要部において組み立てられた状態を車両前方側かつ上方から見て示す斜視図である。
図6】本実施の形態に係る車両用ドア構造が適用されたドアロック装置の要部において組み立てられた状態を車両斜め前方側から見て示す斜視図である。
図7】本実施の形態に係る車両用ドア構造が適用されたドアロック装置の要部における作用を説明するための図であり、(A)はドアロック装置の要部を車両幅方向外側から見た拡大図、(B)はドアロック装置の要部を車両前方側から見た拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて、本発明の一実施形態に係る車両用ドア構造について説明する。なお、各図において適宜示される矢印FRは車両前後方向前側を示し、矢印UPは車両上下方向上側を示し、矢印INは車両幅方向内側を示している。
【0018】
(車両用ドア構造の構成)
図2及び図3に示されるように、車両10の車体側部にはドア開口部14が形成されており、サイドドア12が車両前後方向に沿ってスライドすることによって当該ドア開口部14が開閉可能とされている。
【0019】
また、図2に二点鎖線で示されるように、ドア開口部14の前縁部には金属製のストライカ16が設けられている。ストライカ16はU字状に屈曲された丸棒材によって構成されており、サイドドア12側に設けられたドアロック装置18に内蔵された図示しないラッチが係合してサイドドア12が閉止された状態(ドアロック状態)が維持されるようになっている。
【0020】
サイドドア12は、当該サイドドア12における車両幅方向外側に配置されサイドドア12の外板を構成するドアアウタパネル20と、サイドドア12における車両幅方向内側に配置されサイドドア12の内板を構成するドアインナパネル22と、を備えている。
【0021】
ドアアウタパネル20の周縁部とドアインナパネル22の周縁部とはヘミング加工によって互いに結合されており、この状態でドアアウタパネル20とドアインナパネル22の間には中空部24が設けられる。そして、この中空部24内には、図示しないドアガラスや当該ドアガラスを昇降させるドアガラス昇降装置(ウインドレギュレータ)等と共に、前述のドアロック装置18が配設されている。
【0022】
ここで、図1に示されるように、ドアロック装置18は、ドアインナパネル22の前壁部22Aに固定される鋼板製のベース部材28を備えている。なお、図1では、ドアアウタパネル20の図示を省略している。
【0023】
図4に示されるように、このベース部材28は、上下方向に沿って切断された状態を示す断面形状において、車両幅方向外側を開口とするU字状を成している。そして、対向する壁部30、32の車両前後方向の前端部からは、互いに離間する方向へ向かって固定片34、36がそれぞれ張り出している。この固定片34、36は、車両幅方向が長手方向となるように形成されており、固定片34、36の長手方向の両端側には固定孔38がそれぞれ形成され、固定具40(図1参照)が挿通可能とされている。
【0024】
また、ベース部材28において対向する壁部30、32同士を繋ぐ台座42には、上下方向の中央部に車両前後方向の前端部から略水平に延びる切欠き部44が切り欠かれており、当該切欠き部44内にストライカ16(図2参照)が挿通可能とされる。なお、図2では、ベース部材28は模式化された状態で図示されている。
【0025】
また、図4に示されるように、ベース部材28の台座42の車両前後方向に沿った後端部からは、車両幅方向内側へ向かって張り出すフランジ部46が形成されており、当該フランジ部46の下端部には取付座48が形成されている。この取付座48には、固定ピン49を介してロックピン50が車両前後方向に沿って揺動可能に取付けられている。
【0026】
ロックピン50の一端部には連結部50Aが設けられており、当該連結部50Aにはワイヤ52の一端部が固定されている。このワイヤ52の牽引によって、ロックピン50は固定ピン49を中心に揺動するが、ロックピン50の揺動に連動してラッチとストライカ16との係合状態が解除される(ドアロック状態が解除される)ようになっている。
【0027】
また、ベース部材28の表面は鋼板製のカバー部材54によって覆われており、カバー部材54には、ベース部材28の壁部30、32及び固定片34、36と重なるようにして形成された壁部56、58及び固定片60、62がそれぞれ設けられている。固定片60、62には、ベース部材28に形成された固定孔38と連通可能な固定孔64がそれぞれ形成されている。また、壁部56、58同士を繋ぐ台座66は、台座42との間に隙間が設けられるように設定されており、この隙間内にラッチ等が配設可能とされている。
【0028】
一方、図1に示すドアインナパネル22の前壁部22Aには、固定具40が挿通可能な穴部(図示省略)が形成されており、当該穴部及び図4に示す固定孔38、64に固定具40が挿通された状態で、カシメなどによって当該固定具40は固定され、カバー部材54及びベース部材28がドアインナパネル22に固定されるようになっている。
【0029】
ところで、図4及び図5に示されるように、カバー部材54には、鋼板製の長板状のブラケット68が取り付け可能とされている。ブラケット68の長手方向の一端部には、折曲部68Aが形成されており、当該折曲部68Aがカバー部材54の台座66に面接触された状態で、図示しない固定具を介してブラケット68がカバー部材54に固定されるようになっている。
【0030】
また、図4及び図6に示されるように、ブラケット68にはワイヤ52を被覆するアウタチューブ70の一端部70Aを保持するホルダ72が固定ピン73を介して固定されており、ホルダ72の車両前後方向に沿った前方側にはストッパ74が設けられている。
【0031】
このストッパ74は、図7(A)の実線で示されるように、車両側面視でロックピン50とホルダ72との間に設けられ、当該ロックピン50に隣接して配置されている。また、ストッパ74は、図7(B)の実線で示されるように、ドアアウタパネル20の車両幅方向内側、かつロックピン50の車両幅方向外側に配置されている。ここで、図7(A)、(B)において、実線は側突前の状態を示し、仮想線は側突後の状態を示している。
【0032】
ここで、図4に示されるように、ブラケット68には、車両幅方向外側へ向かって立設する縦壁76が設けられており、ストッパ74はこの縦壁76の先端部から下方へ向かって張り出している。つまり、ストッパ74はブラケット68と一体に設けられており、ストッパ74はロックピン50の車両幅方向外側に配置されている。
【0033】
また、図7(A)に示されるように、縦壁76において幅方向に沿った直線P及びストッパ74において幅方向に沿った直線Qは、車両前後方向に沿った直線に対してそれぞれ角度を持たせるようにして形成されている。また、ストッパ74の長手方向の略中央部には、円弧状の切欠き部74Aが切り欠かれており、当該切欠き部74Aを基準として、当該ストッパ74は車両側面視で鈍角を成すように屈曲している。
【0034】
そして、ストッパ74の基部側は、縦壁76の先端部から車両斜め前方かつ下方側へ向かって延出し、縦壁76の先端部から切欠き部74A側へ向かうにつれてロックピン50側へ近接している。また、ストッパ74の先端側は、ロックピン50と略平行となるように下方へ向かって延出されている。なお、切欠き部74A同士を結ぶ直線Rは、車両前後方向に沿った直線に対して僅かに角度を有しており、直線P及び直線Qに対して角度を持たせるようにして形成されている。
【0035】
一方、図1及び図2に示されるように、サイドドア12における車両前方側の車両幅方向外側には、ドアロック装置18の上方側にドアアウトサイドハンドル78が設けられている。このドアアウトサイドハンドル78は車両前後方向に沿った後方側に回転中心部O(図2参照)が設けられており、ドアアウトサイドハンドル78を手前側に引くと当該回転中心部Oを中心にドアアウトサイドハンドル78が回動可能とされている。
【0036】
ここで、ドアアウトサイドハンドル78には当該ドアアウトサイドハンドル78の回動動作に追従して移動する図示しないリンク部材が設けられている。このリンク部材には図1に示すパイプ80が連結されており、リンク部材の移動と共に当該パイプ80が移動可能とされている。パイプ80には、カバー82の表面に設けられたL字状の伝達部材84が連結具81を介して連結されており、パイプ80の移動に伴って、当該伝達部材84が軸部86を中心に回動するようになっている。
【0037】
この軸部86は伝達部材84に固定されており、伝達部材84の回動によって、軸部86は回動するようになっている。この軸部86はカバー82を貫通して設けられている。カバー82内には、当該軸部86に固定されたロック片88が配設されている。ロック片88には、ワイヤ52の他端部が取り付けられており、ロック片88の回動によって、ワイヤ52が牽引されるようになっている。
【0038】
また、ロック片88には、図示しないトーションバネが設けられており、ドアアウトサイドハンドル78を手前側に引くと当該トーションバネには弾性力が蓄積されるようになっている。このため、ドアアウトサイドハンドル78から手を離すと、トーションバネの復元力によってロック片88は元の状態に戻るようになっている。これにより、軸部86、伝達部材84及びパイプ80等を介してドアアウトサイドハンドル78が元の状態に戻るようになっている。
【0039】
(車両用ドア構造の作用・効果)
図1に示すドアアウトサイドハンドル78を手前側に引くと、図示しないリンク部材に連結されたパイプ80によって伝達部材84が矢印A方向へ回動する。これにより、伝達部材84の軸部86が回動し、当該軸部86に固定されたロック片88が軸部86と共に矢印B方向へ回動する。このため、ロック片88に取り付けられたワイヤ52の他端部が矢印B方向へ牽引され、ロックピン50が矢印C方向へ移動する。これによって、ラッチとストライカ16(図2参照) との係合状態が解除され、サイドドア12がスライド可能(開放可能)となる。
【0040】
ここで、本実施形態では、図7(B)の実線で示されるように、ストッパ74は、ドアアウタパネル20の車両幅方向内側、かつロックピン50の車両幅方向外側に配置されている。このため、サイドドア12が開放される際、ワイヤ52の牽引によってロックピン50が移動(図面手前側から奥側へ向かって移動)しても、当該ロックピン50はストッパ74には干渉しない。
【0041】
また、ストッパ74は、図7(A)の実線で示されるように、車両側面視でロックピン50とホルダ72との間に配置されている。そして、ロックピン50における車両前後方向の後方側に、当該ロックピン50に隣接してストッパ74は配置されている。図7(B)の仮想線で示されるように、側突時にドアアウタパネル20が車両幅方向内側へ変形すると、当該ドアアウタパネル20の変形に伴って、ストッパ74は縦壁76の先端部を中心に車両幅方向内側へ向かって屈曲する。
【0042】
これにより、ストッパ74はロックピン50の移動軌跡上に配置されることになる。ストッパ74がロックピン50の移動軌跡上に配置されることで、仮にワイヤ52によってロックピン50が牽引されようとしても、ロックピン50はストッパ74と干渉することで、当該ロックピン50の移動は規制される。これにより、サイドドア12はドアロック状態が維持されることになる。したがって、側突時においてドアロックの解除を安定的に阻止することができる。
【0043】
なお、ここではストッパ74は、サイドドア12のドアロック状態が解除されないようにロックピン50の移動を規制するため、当該ドアロック状態が解除されない範囲内でロックピン50がストッパ74と干渉可能となっていれば良い。したがって、ロックピン50はサイドドア12のドアロック状態が解除されない範囲内での動きが可能な構成であっても良いし、当該ロックピン50が動かない構成であっても良い。
【0044】
また、本実施形態では、ドアアウタパネル20の変形に伴って、図7(B)に示されるように、ストッパ74が縦壁76の先端部を中心に車両幅方向内側へ向かって屈曲することでストッパ74がロックピン50の移動軌跡上に配置される構成であるため、複雑な機構は不要であり簡易に対応できる。
【0045】
さらに、図4に示されるように、ストッパ74は、ブラケット68において車両幅方向外側へ向かって立設する縦壁76の先端部から下方へ向かって張り出している。そして、図7(A)に示されるように、当該縦壁76において幅方向に沿った直線P及びストッパ74において幅方向に沿った直線Qは、車両前後方向に沿った直線に対してそれぞれ角度を持たせるようにして形成されている。また、ストッパ74の基部側は、縦壁76の先端部から車両斜め前方かつ下方側へ向かって延出し、ストッパ74の先端側は、ロックピン50と略平行となるように下方へ向かって延出されている。そして、切欠き部74A同士を結ぶ直線Rは、車両前後方向に沿った直線に対して僅かに角度を有し、直線P及び直線Qに対して角度を持たせるようにして形成されている。
【0046】
側突時、ドアアウタパネル20(図7(B)参照)が車両幅方向内側へ変形するが、以上のような構成により、ドアアウタパネル20が屈曲する屈曲線が縦壁76やストッパ74に必ず掛かるようにして当該ストッパ74を確実に屈曲させるようにしている。
【0047】
なお、ここでは、ストッパ74は縦壁76の先端部を中心に車両幅方向内側へ向かって屈曲するようになっているが、ストッパ74の長手方向の略中央部に形成された切欠き部74A部分においてさらに屈曲させ、当該屈曲部がロックピン50の移動軌跡上に配置されるようにしても良い。
【0048】
さらに、本実施形態では、図4及び図6に示されるように、ワイヤ52を被覆するアウタチューブ70の一端部70Aを保持するホルダ72が固定されたブラケット68と一体にストッパ74が設けられている。つまり、ブラケット68の金型形状を変更することで当該ブラケット68とストッパ74とを兼用させることができるため、別途ストッパ部材を設ける場合と比較してコストダウンを図ることができる。なお、当該ストッパ74がブラケット68以外の部材に設けられても良いのは勿論のことである。
【0049】
また、本実施形態に係る車両用ドア構造は、スライドドアについて説明したが、スイングドアでも適用可能である。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
10 車両
12 サイドドア
18 ドアロック装置(車両用ドア構造)
20 ドアアウタパネル
22 ドアインナパネル
50 ロックピン
52 ワイヤ
74 ストッパ
図1
図2
図3
図6
図7
図4
図5