【実施例】
【0024】
互いに撚り合わせた一対の絶縁電線1の外周をシース6で被覆した各種(表1参照)のケーブル10を製造し、それぞれのケーブル10について、密着力測定、密着力比の算出、伸び測定及び端末加工の良否判定を行った。
【0025】
【表1】
【0026】
〈試験対象ケーブル〉
(実施例1)
(1)ケーブル外径:4.0mm
(2)導体
導体サイズ:0.25mm
2、導体構成:外径0.08mmの素線を16本撚り合わせた3本の撚線をさらに撚り合わせる、材質:錫銅合金、撚外径:0.82mm
(3)絶縁体
材質:架橋難燃ポリエチレン(PE)、外径:1.4mm、撚外径:2.8mm
(4)シース
(4−1)内部シース
材質:架橋難燃ポリエチレン(PE)、外径:3.4mm
(4−2)外部シース
材質:架橋難燃熱可塑性ポリウレタン(TPU)、外径:4.0mm
【0027】
(実施例2)
(1)ケーブル外径:4.0mm
(2)導体
導体サイズ:0.25mm
2、導体構成:外径0.08mmの素線を16本撚り合わせた3本の撚線をさらに撚り合わせる、材質:錫銅合金、撚外径:0.82mm
(3)絶縁体
材質:架橋難燃ポリエチレン(PE)、外径:1.4mm、撚外径:2.8mm
(4)シース
(4−1)内部シース
材質:熱可塑性ポリウレタン(TPU)、外径:3.4mm
(4−2)外部シース
材質:熱可塑性ポリウレタン(TPU)、外径:4.0mm
【0028】
(実施例3)
(1)ケーブル外径:4.3mm
(2)導体
導体サイズ:0.25mm
2、導体構成:外径0.08mmの素線を16本撚り合わせた3本の撚線をさらに撚り合わせる、材質:錫銅合金、撚外径:0.82mm
(3)絶縁体
材質:架橋難燃ポリエチレン(PE)、外径:1.45mm、撚外径:2.9mm
(4)シース
(4−1)内部シース
材質:熱可塑性ポリウレタン(TPU)、外径:3.6mm
(4−2)外部シース
材質:熱可塑性ポリウレタン(TPU)、外径:4.3mm
【0029】
(実施例4)
(1)ケーブル外径:3.4mm
(2)導体
導体サイズ:0.18mm
2、導体構成:外径0.08mmの素線を12本撚り合わせた3本の撚線をさらに撚り合わせる、材質:錫銅合金、撚外径:0.71mm
(3)絶縁体
材質:架橋難燃ポリエチレン(PE)、外径:1.2mm、撚外径:2.4mm
(4)シース
(4−1)内部シース
材質:熱可塑性ポリウレタン(TPU)、外径:2.9mm
(4−2)外部シース
材質:熱可塑性ポリウレタン(TPU)、外径:3.4mm
【0030】
(比較例1)
(1)ケーブル外径:4.0mm
(2)導体
導体サイズ:0.25mm
2、導体構成:外径0.08mmの素線を48本撚り合わせた撚線、材質:錫銅合金、撚外径:0.65mm
(3)絶縁体
材質:架橋難燃ポリエチレン(PE)、外径:1.4mm、撚外径:2.8mm
(4)シース
(4−1)内部シース
材質:架橋難燃ポリエチレン(PE)、外径:3.4mm
(4−2)外部シース
材質:架橋難燃熱可塑性ポリウレタン(TPU)、外径:4.0mm
【0031】
(比較例2)
(1)ケーブル外径:4.0mm
(2)導体
導体サイズ:0.25mm
2、導体構成:外径0.08mmの素線を48本撚り合わせた撚線、材質:錫銅合金、撚外径:0.65mm
(3)絶縁体
材質:架橋難燃ポリエチレン(PE)、外径:1.4mm、撚外径:2.8mm
(4)シース
(4−1)内部シース
材質:熱可塑性ポリウレタン(TPU)、外径:3.4mm
(4−2)外部シース
材質:熱可塑性ポリウレタン(TPU)、外径:4.0mm
【0032】
(比較例3)
(1)ケーブル外径:3.4mm
(2)導体
導体サイズ:0.18mm
2、導体構成:外径0.08mmの素線を36本撚り合わせた撚線、材質:錫銅合金、撚外径:0.56mm
(3)絶縁体
材質:架橋難燃ポリエチレン(PE)、外径:1.2mm、撚外径:2.4mm
(4)シース
(4−1)内部シース
材質:熱可塑性ポリウレタン(TPU)、外径:2.9mm
(4−2)外部シース
材質:熱可塑性ポリウレタン(TPU)、外径:3.4mm
【0033】
〈測定方法及び判定方法〉
(1)密着力測定
(1−1)絶縁電線とシースとの密着力
図3に示すように、シース6の部分の長さを35mmとしたケーブル10の端部から露出された一対の絶縁電線1をダイス21に形成された挿通孔21aに通し、ダイス21をシース6の端面に当接させる。一対の絶縁電線1の先端をクランパ22でクランプし、クランパ22をダイス21から離間する方向(
図3中矢印方向)へ引っ張る。これにより、35mmの長さにわたりシース6から絶縁電線1を引き抜く。このときの最大の力を密着力として測定する。なお、絶縁電線1をシース6から引き抜く際の引き抜き速度は、100mm/分とする。
(1−2)導体と絶縁体との密着力
図4に示すように、絶縁体5の部分の長さを
35mmとした絶縁電線1の端部から露出された導体4をダイス31に形成された挿通孔31aに通し、ダイス31を絶縁体5の端面に当接させる。導体4の先端をクランパ32でクランプし、クランパ32をダイス31から離間する方向(
図4中矢印方向)へ引っ張る。これにより、
35mmの長さにわたり絶縁体5から導体4を引き抜く。このときの最大の力を密着力として測定する。なお、導体4を絶縁体5から引き抜く際の引き抜き速度は、100mm/分とする。
(1−3)密着力比
絶縁電線1とシース6との密着力(密着力1)に対する導体4と絶縁体5との密着力(密着力2)の比(密着力2/密着力1)を算出する。
(2)伸び測定
シース6を構成する内部シース2及び外部シース3を同時に除去して絶縁電線1を露出させた際の絶縁体5の伸び寸法を測定する。
(3)良否判定
シース6を構成する内部シース2及び外部シース3を同時に除去して絶縁電線1を露出させた際の絶縁体5の伸びが1mm以下である場合を合格(○)とし、絶縁体5の伸びが1mmを超える場合を不合格(×)とする。
【0034】
(評価試験結果)
上記の測定結果及び判定結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】
(実施例1〜4)
実施例1では、絶縁電線1とシース6との密着力(密着力1)は60N/35mmであった。また、導体4と絶縁体5との密着力(密着力2)は37N/35mmであった。そして、これらの密着力の比(密着力2/密着力1)は、0.61となった。また、内部シース2及び外部シース3を同時に除去して絶縁電線1を露出させた際の絶縁体5の伸び寸法は、0mm〜0.3mmであった。
実施例2では、絶縁電線1とシース6との密着力(密着力1)は63N/35mmであった。また、導体4と絶縁体5との密着力(密着力2)は37N/35mmであった。そして、これらの密着力の比(密着力2/密着力1)は、0.59となった。また、内部シース2及び外部シース3を同時に除去して絶縁電線1を露出させた際の絶縁体5の伸び寸法は、0.3mm〜0.5mmであった。
実施例3では、絶縁電線1とシース6との密着力(密着力1)は61N/35mmであった。また、導体4と絶縁体5との密着力(密着力2)は41N/35mmであった。そして、これらの密着力の比(密着力2/密着力1)は、0.67となった。また、内部シース2及び外部シース3を同時に除去して絶縁電線1を露出させた際の絶縁体5の伸び寸法は、0mm〜0.2mmであった。
実施例4では、絶縁電線1とシース6との密着力(密着力1)は53N/35mmであった。また、導体4と絶縁体5との密着力(密着力2)は32N/35mmであった。そして、これらの密着力の比(密着力2/密着力1)は、0.60となった。また、内部シース2及び外部シース3を同時に除去して絶縁電線1を露出させた際の絶縁体5の伸び寸法は、0mm〜0.3mmであった。
このように、実施例1〜4では、何れも導体4と絶縁体5との密着力が高い値(32N/35mm以上の高い値)となり、密着力比が0.59以上となった。
そして、これらの実施例1〜4では、内部シース2及び外部シース3を同時に除去して絶縁電線1を露出させた際の絶縁体5の伸び寸法が1mm以下であり、全て合格(○)となった。
【0037】
(比較例1〜3)
比較例1では、絶縁電線1とシース6との密着力(密着力1)は60N/35mmであった。また、導体4と絶縁体5との密着力(密着力2)は20N/35mmであった。そして、これらの密着力の比(密着力2/密着力1)は、0.33となった。また、内部シース2及び外部シース3を同時に除去して絶縁電線1を露出させた際の絶縁体5の伸び寸法は、1.0mm〜1.2mmであった。
比較例2では、絶縁電線1とシース6との密着力(密着力1)は58N/35mmであった。また、導体4と絶縁体5との密着力(密着力2)は19N/35mmであった。そして、これらの密着力の比(密着力2/密着力1)は、0.33となった。また、内部シース2及び外部シース3を同時に除去して絶縁電線1を露出させた際の絶縁体5の伸び寸法は、1.0mm〜1.5mmであった。
比較例3では、絶縁電線1とシース6との密着力(密着力1)は53N/35mmであった。また、導体4と絶縁体5との密着力(密着力2)は17N/35mmであった。そして、これらの密着力の比(密着力2/密着力1)は、0.32となった。また、内部シース2及び外部シース3を同時に除去して絶縁電線1を露出させた際の絶縁体5の伸び寸法は、1.5mm〜2.0mmであった。
このように、比較例1〜3では、何れも導体4と絶縁体5との密着力が低い値(32N/35mmより低い値)となり、密着力比が0.59よりも低くなった。
そして、これらの比較例1〜3では、内部シース2及び外部シース3を同時に除去して絶縁電線1を露出させた際の絶縁体5の伸び寸法が1mmを超えてしまい、全て不合格(×)となった。