【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第38回国際福祉機器展H.C.R.2011(平成23年10月5日〜10月7日)東京国際展示場「東京ビッグサイト」に展示
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置決め部材は第1の回転止め用凸部を有すると共に、前記肘回転軸受け部材と前記肘回転軸部材とのうち前記位置決め部材が取り付けられない部材は第2の回転止め用凸部を有しており、前記第1の回転止め用凸部と前記第2の回転止め用凸部が当接する範囲で前記肘回転軸受け部材と前記肘回転軸部材とは相対回転可能であることを特徴とする請求項1記載の昇降座椅子。
前記座は前記昇降ユニット側フレームに旋回可能に取り付けられると共に、前記座と前記昇降ユニット側フレームとの間には旋回ロック機構が設けられており、前記旋回ロック機構は、前記座側と前記昇降ユニット側フレーム側とのいずれか一方に設けられた凹部に、いずれか他方に設けられた凸部を挿入することで前記座の旋回をロックするものであり、前記凹部を形成する旋回方向の面は奥に向かう程前記凹部の幅を狭めるテーパー面となっていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の昇降座椅子。
前記ベースユニットは前記昇降ガイドレールに沿って昇降し且つ前記昇降ユニットが取り付けられた可動フレームを備えると共に、前記昇降ガイドレールは前後方向に沿う第1のガイド面と幅方向に沿う第2のガイド面を有しており、前記可動フレームには前記第1のガイド面に案内される第1のローラと前記第2のガイド面に案内される第2のローラが設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の昇降座椅子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の昇降座椅子では、左右別々の肘掛け106を使用しているため、部品の種類が多くなり、製造コストが高くなる。特に、アルミダイキャスト製の部品を採用する場合には製造コストの増加は著しい。
【0006】
本発明は、製造コストを安く抑えることができる昇降座椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、請求項1記載の発明は、座が取り付けられた昇降ユニットをベースユニットの昇降ガイドレールに沿って昇降させる昇降座椅子において、昇降ユニットは左右共通の肘掛け跳ね上げ機構によって昇降ユニット側フレームにそれぞれ取り付けられた左右一対の肘掛けを備えており、肘掛け跳ね上げ機構は、昇降ユニット側フレームと肘掛けとのいずれか一方に取り付けられた肘回転軸部材と、いずれか他方に取り付けられ、肘回転軸部材を回転可能に支持する肘回転軸受け部材と、肘回転軸受け部材と肘回転軸部材とのいずれか一方に取り付けられ、肘回転軸受け部材に対する肘回転軸部材の可動角度範囲を制限する位置決め部材とを備え、肘回転軸受け部材と肘回転軸部材とのうち位置決め部材が取り付けられる部材には、肘掛けの可動角度範囲が右側用の可動角度範囲になる位置に位置決め部材を配置する右用取付部と左側用の可動角度範囲になる位置に位置決め部材を配置する左用取付部との両方が設けられており、
肘回転軸部材と肘回転軸受け部材と位置決め部材とは左右対称に裏返して用いられると共に、位置決め部材が右用取付部と左用取付部の
いずれかに選択
的に
取り付けられることにより
肘回転軸部材の可動角度範囲が左右の肘掛けの間で同じ位置に配置されて左右いずれの肘掛けにも対応するものである。
【0008】
また、請求項2記載の昇降座椅子は、位置決め部材が第1の回転止め用凸部を有すると共に、肘回転軸受け部材と肘回転軸部材とのうち位置決め部材が取り付けられない部材が第2の回転止め用凸部を有しており、第1の回転止め用凸部と第2の回転止め用凸部が当接する範囲で肘回転軸受け部材と肘回転軸部材とは相対回転可能になっている。
【0009】
また、請求項3記載の昇降座椅子は、昇降ユニットがベースユニットに対して取り外し可能となっている。
【0010】
また、請求項4記載の昇降座椅子は、座が昇降ユニット側フレームに旋回可能に取り付けられると共に、座と昇降ユニット側フレームとの間には旋回ロック機構が設けられており、旋回ロック機構は、座側と昇降ユニット側フレーム側とのいずれか一方に設けられた凹部に、いずれか他方に設けられた凸部を挿入することで座の旋回をロックするものであり、凹部を形成する旋回方向の面は奥に向かう程凹部の幅を狭めるテーパー面となっているものである。
【0011】
さらに、請求項5記載の昇降座椅子は、ベースユニットが昇降ガイドレールに沿って昇降し且つ昇降ユニットが取り付けられた可動フレームを備えると共に、昇降ガイドレールが前後方向に沿う第1のガイド面と幅方向に沿う第2のガイド面を有しており、可動フレームには第1のガイド面に案内される第1のローラと第2のガイド面に案内される第2のローラが設けられているものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の昇降座椅子では、肘掛け跳ね上げ機構は取付部の選択により左右いずれの肘掛けにも対応することができるので、左右の肘掛けに対して同一の共通の肘掛け跳ね上げ機構を使用することができる。即ち、左右の肘掛けを跳ね上げ可能にする場合には、左右の肘掛けで回転方向が異なるため、左右の肘跳ね上げ機構として異なる構造のものが必要になる。そのため、一般的には、左右の肘掛けに対して別々の肘跳ね上げ機構を必要とし、部品の種類が多くなってコスト高となる。特に、肘跳ね上げ機構は高価なアルミダイキャスト製の部品を使用することから、部品の種類の増加はコストを大幅に増加させることになる。これに対し、本発明の昇降座椅子では、左右の肘掛けに対して同じ肘跳ね上げ機構を使用することができるので、部品の種類を減少させることができ、製造コストを安くすることができる。しかも、1つの部品の使用量が2倍になるので、量産効果によって部品1個当たりの製造コストも安くすることができる。
【0013】
また、請求項2記載の昇降座椅子では、第1の回転止め用凸部と第2の回転止め用凸部とが当接する範囲で肘回転軸受け部材と肘回転軸部材との相対回転を可能にしているので、各凸部同士の度当たりによって肘回転軸受け部材と肘回転軸部材との相対回転を制限することができ、左右の肘掛けを使用時の水平状態にしっかりと止めることができる。
【0014】
また、請求項3記載の昇降座椅子では、昇降ユニットをベースユニットに対して取り外し可能にしているので、昇降ユニットの取り付け、取り外しが簡単になり、昇降座椅子の移動が容易になる。例えば、移動先で簡単にベースユニットに昇降ユニットを取り付けて昇降座椅子を組み付けることができるので、別々であれば移動が容易な重さのユニットに分割した状態で昇降座椅子を移動させることができ、取り扱いが容易になる。
【0015】
また、請求項4記載の昇降座椅子では、凹部の奥まで凸部を挿入することでテーパー面に凸部を当てることができ、ロック時のがたつきを防止することができる。
【0016】
さらに、請求項5記載の昇降座椅子では、 昇降ガイドレールと可動フレームとの間のがたつきについて、第1のガイド面に第1のローラを当てることで、左右方向のがたつきを防止することができると共に、第2のガイド面に第2のローラを当てることで、前後方向のがたつきを防止することができる。第1のガイド面と第2のガイド面は同じ昇降ガイドレールに設けられているので、同じ昇降ガイドレールを利用して左右方向のがたつきと前後方向のがたつきの両方を防止することができ、別々のガイドレールを設ける場合に比べて製造コストを安くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の昇降座椅子の実施形態を示す斜視図である。
【
図2】同昇降座椅子の座、背もたれ、各種カバーを取り外した状態の斜視図である。
【
図3】同昇降座椅子の座、背もたれ、各種カバーを取り外した状態の側面図である。
【
図4】ベースユニットを斜め前方から見た斜視図である。
【
図5】ベースユニットを斜め後方から見た斜視図である。
【
図6】昇降ユニットを斜め前方から見た斜視図である。
【
図7】昇降ユニットを斜め後方から見た斜視図である。
【
図8】第1および第2のガイド面と第1および第2のローラとの関係を示す図である。
【
図9】旋回機構および旋回ロック機構を示す分解斜視図である。
【
図10】旋回機構および旋回ロック機構を示す断面図である。
【
図12】左側の肘掛け跳ね上げ機構を示す分解斜視図である。
【
図13】右側の肘掛け跳ね上げ機構の要部を示す分解斜視図である。
【
図14】左側の肘掛け跳ね上げ機構の要部を示す分解斜視図である。
【
図15】右用取付部と左用取付部を示す肘回転軸受け部材の側面図である。
【
図16】右用取付部に位置決め部材を取り付けた様子を示す肘回転軸受け部材の側面図である。
【
図17】左用取付部に位置決め部材を取り付けた様子を示す肘回転軸受け部材の側面図である。
【
図19】可動フレームを前方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の構成を図面に示す形態に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1〜
図19に本発明の昇降座椅子の実施形態の一例を示す。昇降座椅子は、座1が取り付けられた昇降ユニット2をベースユニット3の昇降ガイドレール4に沿って昇降させるもので、ベースユニット3は脚フレーム5と脚フレーム5に固定された昇降ガイドレール4を備えている。
【0020】
脚フレーム5は左右の縦フレーム5aを2本の横フレーム5bで連結したもので、床に倒した状態で置かれる。後側の横フレーム5bには左右の車輪6が取り付けられており、移動時には左右の縦フレーム5a前部のグリップ部5cを持ち上げて昇降座椅子全体を後方に傾斜させることで手押し車のように走行可能になっている。脚フレーム5を床に置いた状態では車輪6は床から浮いている。
【0021】
本実施形態では左右に昇降ガイドレール4を設けているが、これに限られない。左右の昇降ガイドレール4は左右の縦フレーム5aの後部に取り付けられている。左右の昇降ガイドレール4の上端は横板7で連結されている。また、左右の昇降ガイドレール4の上端にはハンドル8が取り付けられている。昇降ガイドレール4は昇降座椅子の前後方向に沿う第1のガイド面4aと幅方向に沿う第2のガイド面4bを有している。本実施形態では、
図8に詳しく示すように、内側の側板4cにスリット4dが設けられた角パイプによって昇降ガイドレール4を形成しており、内側の側板4cの外面が第1のガイド面4aであり、前後の側板4e,4fの内面が第2のガイド面4bになっている。
【0022】
また、ベースユニット3は昇降ガイドレール4に沿って昇降し且つ昇降ユニット2が取り付けられる可動フレーム9を備えている。本実施形態では、上下2本の横フレーム9aを4本の縦フレーム9bで連結することで可動フレーム9を構成しているが、これに限られない。可動フレーム9は左右の昇降ガイドレール4の間に配置されている。
【0023】
可動フレーム9には第1のガイド面4aに案内される第1のローラ11と第2のガイド面4bに案内される第2のローラ12が設けられている。本実施形態では、第1のローラ11を可動フレーム9の左右の縦フレーム9bの前面に、第2のローラ12を左右の縦フレーム9bの側面に設けている。第1のローラ11は昇降ガイドレール4の外側に配置されているのに対し、第2のローラ12は昇降ガイドレール4の内側に配置されている。第2のローラ12の回転軸は昇降ガイドレール4のスリット4dを通過して縦フレーム9bに連結されている。本実施形態では、第1のローラ11と第2のローラ12は左右それぞれに上下2個ずつ設けられているが、これに限られない。
【0024】
昇降ガイドレール4と可動フレーム9との間のがたつきについて、第1のガイド面4aに第1のローラ11を当てることで、昇降座椅子の左右方向のがたつきが防止されると共に、第2のガイド面4bに第2のローラ12を当てることで、昇降座椅子の前後方向のがたつきが防止される。第1のガイド面4aと第2のガイド面4bは同じ昇降ガイドレール4に設けられているので、同じ昇降ガイドレール4を利用して左右方向のがたつきと前後方向のがたつきの両方を防止することができ、別々のガイドレールを設ける場合に比べて製造コストを安くすることができる。
【0025】
また、ベースユニット3は駆動ユニット10を備えている。駆動ユニット10はスライダ13を駆動レール10aに沿って昇降させるもので、モータケース10b内にはスライダ13を昇降させる電動モータが収容されている。電動モータは左右の肘掛け14に設けられた操作スイッチ15によって操作される。スライダ13は可動フレーム9に連結されており、スライダ13が駆動レール10aに沿って昇降すると可動フレーム9が左右の昇降ガイドレール4に沿って昇降し、昇降ユニット2が昇降する。
【0026】
昇降ユニット2は、座1および背もたれ16が取り付けられる座背フレーム17と、座背フレーム17を支持する支持フレーム(昇降ユニット側フレーム)18を備えている。本実施形態の支持フレーム18は左右一対の縦フレーム18aを5本の横フレーム18bで連結したもので、左右の縦フレーム18aの後部は昇降ガイドレール4に沿うように立ち上がっており、この立ち上がり部18cの下端から前方に向けてほぼ水平に延びて延出部18dを構成している。
【0027】
本実施形態の座背フレーム17は左右一対の縦フレーム17aを5本の横フレーム17bで連結したもので、前側半部がほぼ水平な座受け部17c、後側半部がほぼ垂直な背取付部17dとなっている。座受け部17cには座1が、背取付部17dには背もたれ16がそれぞれ取り付けられている。背もたれ16は、例えば上側2本の横フレーム17bに取り付けられている。
【0028】
座1は支持フレーム18に旋回可能に取り付けられている。本実施形態では座背フレーム17と支持フレーム18との間に旋回機構19を設けることで、座1を支持フレーム18に対して旋回可能に取り付けている。
【0029】
旋回機構19を
図9および
図10に詳しく示す。旋回機構19は、支持フレーム18の延出部18dに固着された下側プレート20と座背フレーム17の座受け部17cに固着された上側プレート21との間に滑り軸受け22を挟み込むと共に、下側プレート20および上側プレート21をセンターシャフト23を中心に回転させるもので、センターシャフト23は上側プレート21側に取り付けられ、下側プレート20側との間で相対回転可能になっている。センターシャフト23と上側プレート21との間にはスリーブ24が介在されており、センターシャフト23と上側プレート21との間のがたつきが防止されている。また、センターシャフト23と下側プレート20に取り付けられた軸受けスリーブ25との間にはスリーブ26が介在されており、センターシャフト23と下側プレート20との間のがたつきが防止されている。滑り軸受け22は例えば摩擦係数の小さな樹脂製のプレートであるが、これに限られない。本実施形態では、滑り軸受け22と下側プレート20との間には当該下側プレート20に取り付けられた固定側円板27が、滑り軸受け22と上側プレート21との間には当該上側プレート21に取り付けられた旋回側円板28がそれぞれ設けられている。下側プレート20に対して上側プレート21を回転させることで、座1および背もたれ16が取り付けられた座背フレーム17を支持フレーム18に対して旋回させることができる。旋回は人力で行うようにしているが、電動駆動で行うようにしても良い。
【0030】
また、座1と支持フレーム18との間には旋回ロック機構29が設けられている。本実施形態では座1が取り付けられる座背フレーム17の座受け部17cと支持フレーム18の延出部18dとの間、即ち旋回機構19の近傍に旋回ロック機構29が設けられている。旋回ロック機構29を旋回機構19の近傍に設けることで、構造を簡単なものにすることができる。旋回ロック機構29は、座1が取り付けられる座背フレーム17の座受け部17c側と支持フレーム18の延出部18d側とのいずれか一方に設けられた凹部30に、いずれか他方に設けられた凸部31を挿入することで座1の旋回をロックするものである。
【0031】
旋回ロック機構29を
図10および
図11に詳しく示す。本実施形態では、凹部30を支持フレーム18の延出部18d側に設けると共に、凸部31を座背フレーム17の座受け部17c側に設けている(固定側:凹部30、旋回側:凸部31)が、凹部30を座受け部17c側に設けると共に、凸部31を延出部18d側に設けても良い(固定側:凸部31、旋回側:凹部30)。
【0032】
凹部30は、下側プレート20に固定される固定側円板27の縁に設けられている。凹部30の数は1つでも良いが、複数の旋回角度でロックする場合には複数設けても良い。本実施形態では、座背フレーム17を正面(前方)に向けて(旋回角度:0度)ロックできる位置と、左右にそれぞれ45度ずつ旋回させてロックできる位置と、左右に90度ずつ旋回させてロックできる位置の合計5カ所に凹部30を設けている。
【0033】
凹部30を拡大して
図11に示す。
図11中矢印CW,CCWは座1の旋回方向である。凹部30を形成する旋回方向の面、本実施形態では固定側円板27の切り欠きの左右の面は奥に向かう程凹部30の幅W1を狭めるテーパー面32となっている。本実施形態では左右両方の面をテーパー面32にしているが、いずれか一方のみをテーパー面32にしても良い。本実施形態ではテーパー面32の傾斜角度θを5度にしているが、これに限られない。凹部30の幅W1は、凹部30の開口部分では凸部31先端の幅W2よりも広く、奥部分では凸部31先端の幅W2よりも狭くなっており、凹部30の奥まで凸部31を挿入すると、左右のテーパー面32に凸部31が当たる。そのため、ロック時のがたつきを防止することができ、使い心地を良くすることができる。
【0034】
凸部31は、上側プレート21の底面に設けられたホルダー33内に収容され、先端を凹部30に向けて突出させている。ホルダー33と凸部31との間にはリターンスプリング34が設けられており、凸部31は常時突出する方向に付勢されている。凸部31には作動ピン35が挿入される孔31aが設けられている。孔31a内には受けピン36が設けられおり、作動ピン35が揺動して受けピン36を押すことで、凸部31はリターンスプリング34のばね力に抗してホルダー33の奥に向けて移動し、その先端を凹部30から引き抜く。作動ピン35は、操作レバー37に連結された回転レバー38に取り付けられている。本実施形態では操作レバー37を座1の左右両側に設けている。
【0035】
操作レバー37を操作することで回転レバー38が回転し、作動ピン35が凸部31を凹部30から引き抜く。一方、操作レバー37から手を離すと、リターンスプリング34のばね力によって凸部31が押し出されて凹部30に挿入される。
【0036】
本実施形態では、座背フレーム17が旋回できる角度を制限する旋回角度制限機構を備えている。旋回角度制限機構は、固定側円板27に設けられたストッパ40が旋回側円板28に設けられた2つの止め部41に当たる範囲で座背フレーム17の旋回を可能にする。本実施形態では、座背フレーム17が左右両方向に90度旋回するとストッパ40に当たる位置に止め部41がそれぞれ設けられているが、これに限られない。
【0037】
昇降ユニット2は左右一対の肘掛け14を備えている。左右の肘掛け14は左右共通の肘掛け跳ね上げ機構42によって座背フレーム17にそれぞれ取り付けられている。肘掛け跳ね上げ機構42は、座背フレーム17側と肘掛け14側とのいずれか一方に取り付けられた肘回転軸部材43と、いずれか他方に取り付けられ、肘回転軸部材43を回転可能に支持する肘回転軸受け部材44と、肘回転軸受け部材44と肘回転軸部材43とのいずれか一方に取り付けられ、肘回転軸受け部材44に対する肘回転軸部材43の可動角度範囲を制限する位置決め部材45を備えている。本実施形態では肘回転軸部材43は肘掛け14に、肘回転軸受け部材44は座背フレーム17に連結された肘掛けフレーム46にそれぞれ取り付けられている。また、本実施形態では位置決め部材45は肘回転軸部材43に取り付けられている。
【0038】
肘回転軸部材43には円柱状に突出する回転軸部43aが設けられると共に、肘回転軸受け部材44には円筒状に突出する軸受け部44aが設けられており、位置決め部材45を間に挟み込みながら回転軸部43aを軸受け部44aに嵌め込むことで、肘回転軸部材43と肘回転軸受け部材44とが組み合わされる。また、肘回転軸受け部材44には係止用凸部44bが設けられており、係止用凸部44bを肘回転軸部材43の孔43bに通して押さえ座金47を嵌め込んでねじ止めすることで肘回転軸部材43と肘回転軸受け部材44が相対回転可能に組み付けられる。肘回転軸部材43と押さえ座金47の間および肘回転軸部材43と肘回転軸受け部材44との間には皿ばね48が介在されている。また、肘回転軸部材43には目隠しプレート49が取り付けられており、係止用凸部44bやねじが見えないようになっている。
【0039】
位置決め部材45は円弧状の部材で、肘回転軸受け部材44と肘回転軸部材43とのうち位置決め部材45が取り付けられる部材(本実施形態では肘回転軸受け部材44)側の面の両端には取付用凸部45aが設けられている。また、反対側の面の両端には第1の回転止め用凸部45bが設けられている。
【0040】
肘回転軸受け部材44と肘回転軸部材43とのうち位置決め部材45が取り付けられる部材(本実施形態では肘回転軸受け部材44)には、肘掛け14の可動角度範囲が右側用の可動角度範囲になる位置に位置決め部材45を配置する右用取付部50と左側用の可動角度範囲になる位置に位置決め部材45を配置する左用取付部51との両方が設けられている。本実施形態では、肘回転軸受け部材44の組み付け面44cに各取付部50,51が設けられている。組み付け面44cの同一円周上且つ同一直径上の2カ所には、位置決め部材45の取付用凸部45aを嵌め込む取付用凹部44dが設けられており、取付用凸部45aと取付用凹部44dの組み合せを変えることで位置決め部材45を取り付ける取付部50,51を選択することができる。右側の肘掛け14を取り付ける場合には、
図16に示すように右用取付部50に位置決め部材45を取り付け、左側の肘掛け14を取り付ける場合には、
図17に示すように左用取付部51に位置決め部材45を取り付ける。
【0041】
肘回転軸部材43の肘回転軸受け部材44との組み付け面43cには第2の回転止め用凸部43dが設けられている。本実施形態では、第1の回転止め用凸部45bに対応して2カ所に第2の回転止め用凸部43dが設けられている。第2の回転止め用凸部43dと第1の回転止め用凸部45bは交互に配置され、第2の回転止め用凸部43dが両側の第1の回転止め用凸部45bに当たる範囲で肘回転軸部材43は肘回転軸受け部材44に対して回転可能になっている。位置決め部材45が肘回転軸部材43の右用取付部50に取り付けられている場合、肘回転軸部材43は右の肘掛け14がほぼ水平状態から背もたれ16に沿う角度まで回転可能になり、一方、位置決め部材45が肘回転軸部材43の左用取付部51に取り付けられている場合、肘回転軸部材43は左の肘掛け14がほぼ水平状態から背もたれ16に沿う角度まで回転可能になる。
【0042】
このように、肘掛け跳ね上げ機構42は取付部50,51の選択により左右いずれの肘掛け14にも対応することができるので、左右の肘掛け14に対して同一の共通の肘掛け跳ね上げ機構42を使用することができる。即ち、左右の肘掛け14を跳ね上げ可能にする場合には、左右の肘掛け14で回転方向が異なるため、左右の肘跳ね上げ機構として異なる構造のものが必要になる。そのため、一般的には、左右のそれぞれに対して別々の肘跳ね上げ機構を必要とし、部品の種類が多くなってコスト高となる。特に、肘跳ね上げ機構は高価なアルミダイキャスト製の部品を使用することから、部品の種類の増加はコストを大幅に増加させる。これに対し、本発明では、左右の肘掛け14に対して同じ肘掛け跳ね上げ機構42を使用するので、部品の種類が減少し、製造コストを安くすることができる。しかも、1つの部品の使用量が2倍になるので、量産効果によって部品1個当たりの製造コストも安くすることができる。
【0043】
また、各回転止め用凸部45b,43d同士の度当たりによって肘回転軸受け部材44と肘回転軸部材43との相対回転を制限することができ、左右の肘掛け14を使用時のほぼ水平状態にしっかりと止めることができる。そのため、着座者が肘掛け14に肘を載せた場合にしっかりと受け止めることができ、安定感に優れ座り心地を向上させることができる。
【0044】
昇降ユニット2はベースユニット3に対して連結機構52を介して取り外し可能に取り付けられている。連結機構52は、ベースユニット3の可動フレーム9に取り付けられた座受取具53と、昇降ユニット2の支持フレーム18に取り付けられた座取付具54を備えている。本実施形態では、座受取具53と座取付具54との組合せを左右に設けているが、これに限られない。
【0045】
座受取具53は可動フレーム9の縦フレーム9bの前面に固着されている。座受取具53には、上方に開口する受け凹部53aと、係止ボルト55を貫通させる孔53bが設けられている。孔53bの裏側には図示しないウエルドナットが設けられている。一方、座取付具54は支持フレーム18の縦フレーム18aの立ち上がり部18cの後面に固着されている。座取付具54には受け凹部53aに引っ掛けるシャフト54aと係止ボルト55を貫通させる孔54bが設けられている。
【0046】
可動フレーム9に昇降ユニット2の支持フレーム18を取り付ける場合には、昇降ユニット2を持ち上げて座取付具54のシャフト54aを座受取具53の受け凹部53aに上から落とし込む(引っ掛ける)。これにより、座受取具53の孔53bと座取付具54の孔54bの位置が一致するので、各孔53b,54bに係止ボルト55を通してウエルドナットにねじ込んで固定する。これにより、可動フレーム9に支持フレーム18が取り付けられる。昇降ユニット2を持ち上げてシャフト54aを受け凹部53aに引っ掛け、係止ボルト55を止めるだけで良いので、昇降ユニット2を簡単に取り付けることができる。昇降ユニット2の荷重は座取付具54から座受取具53へと伝えられる。座取付具54の前面と座受取具53の後面はある程度の面積を有する平面となっており、昇降ユニット2および着座1者の荷重を座受取具53でしっかりと受けることができる。
【0047】
可動フレーム9から支持フレーム18を取り外す場合には、取り付ける場合の動作と逆の動作を行う。即ち、係止ボルト55を外した後、昇降ユニット2を持ち上げて座取付具54のシャフト54aを座受取具53の受け凹部53aから外せば良い。係止ボルト55を外して昇降ユニット2を持ち上げるだけで取り外すことができるので、昇降ユニット2を簡単に取り外すことができる。
【0048】
このように昇降ユニット2の取り付け、取り外しが簡単であるので、昇降座椅子の移動が容易になる。即ち、移動先で簡単にベースユニット3に昇降ユニット2を組み付けることができるので、別々であれば移動が容易な重さのユニットに分割した状態で移動させることができる。
【0049】
昇降ユニット2を降ろした状態では、座椅子として使用することができる。着座者が立ち上がる場合には、操作スイッチ15を操作して駆動ユニット10を作動させて昇降ユニット2を上昇させることで、立ち上がる動作がアシストされる。昇降ユニット2を所定の高さで止めた後、旋回ロック機構29の操作レバー37を操作して凹部30から凸部31を引き抜いてロックを解除する。これにより、座背フレーム17の旋回が可能になる。座背フレーム17を旋回させることで座1を横向きにすることができる。旋回ロック機構29の凸部31はリターンスプリング34によって突出する方向に常時付勢されているので、5カ所の凹部30のいずれかに凸部31が対向すると、凸部31が凹部30に挿入され、旋回がロックされる。この状態で、着座者は座1から降りて立ち上がる。昇降ユニット2がある程度の高さまで上昇しているので、足腰の弱い着座者でも立ち上がるのが容易である。
【0050】
また、この昇降座椅子には立ち上がった状態で座ることができる。着座者が座1に座り、座1の向きを正面に向けてロックさせた後、操作スイッチ15を操作して駆動ユニット10を作動させて昇降ユニット2を下降させることで、座椅子に低く座り込む動作がアシストされる。着座者は高い位置で座1に座ることができるので、足腰の弱い着座者でも座椅子に低く座り込むのが容易である。
【0051】
座1は旋回機構19によって旋回可能であり、旋回ロック機構29によって旋回ロック可能である。本実施形態では、正面(0度)、左右に45度、左右に90度の位置で座1の旋回をロックすることができる。
【0052】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。