特許第5974206号(P5974206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5974206
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20160809BHJP
   A61B 1/06 20060101ALI20160809BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   A61B1/00 300T
   A61B1/06 B
   G02B23/26 B
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-520713(P2016-520713)
(86)(22)【出願日】2015年3月3日
(86)【国際出願番号】JP2015056148
(87)【国際公開番号】WO2016027484
(87)【国際公開日】20160225
【審査請求日】2016年4月6日
(31)【優先権主張番号】特願2014-166747(P2014-166747)
(32)【優先日】2014年8月19日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】武井 俊二
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011-19706(JP,A)
【文献】 特開2011-255015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
G02B 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を照明するためのレーザ光を出射するように構成されたレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されるレーザ光の少なくとも一部を受光し、当該受光したレーザ光の光量に応じた光検出信号を生成して出力するように構成された受光部と、
前記受光部から出力される光検出信号の検出値と当該検出値を補正するための補正係数とに基づいて演算値を算出し、当該演算値を示す信号を生成して出力するように構成された演算処理部と、
前記演算処理部から出力される信号により示される演算値と所定の閾値とを比較するように構成された判定部と、
前記判定部により得られた比較結果に基づいて前記レーザ光源を制御するように構成された光源制御部と、
を有することを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記補正係数は、前記レーザ光源から出射されたレーザ光が前記被写体に出射されるまでの光伝送路において発生する損失を補正するための値であることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記レーザ光源から出射されたレーザ光が前記被写体に出射されるまでの光伝送路において発生する損失の変化に応じて前記補正係数を調整するための調整係数を算出するように構成された調整係数算出部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項4】
前記調整係数算出部は、前記光伝送路に含まれる光ファイバの理想的な透過率と、前記光ファイバの実際の透過率と、に基づいて前記調整係数を算出することを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記調整係数算出部は、前記光伝送路に含まれる光ファイバにおける曲げ損失がない状態の透過率と、前記光ファイバにおける曲げ損失がある状態の透過率と、に基づいて前記調整係数を算出することを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項6】
前記調整係数算出部は、前記光伝送路を経て前記被写体に出射されるレーザ光の出射光量の変化に基づいて前記調整係数を算出することを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置に関し、特に、レーザ光を発する光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野の内視鏡においては、被検者の負担を軽減するために、当該被検者の体腔内に挿入される挿入部を細径化するための種々の技術が提案されている。そして、このような技術の一例として、前述の挿入部に相当する部分に固体撮像素子を有しない走査型内視鏡、及び、当該走査型内視鏡を具備して構成された走査型内視鏡システム等が知られている。
【0003】
具体的には、前述の走査型内視鏡システムは、例えば、光源から発せられた光を伝送する照明用ファイバの先端部を揺動させることにより被写体を予め設定された走査パターンで2次元走査し、当該被写体からの戻り光を受光用ファイバで受光し、当該受光用ファイバで受光された戻り光に基づいて当該被写体の画像を生成するように構成されている。そして、このような走査型内視鏡システムに類似する構成を有するものとしては、例えば、日本国特開2011−255015号公報に開示された内視鏡装置が知られている。
【0004】
ところで、前述のような走査型内視鏡システムは、一般的に、レーザの安全基準において定められている規格値以下の光量のレーザ光を被写体に照射して当該被写体の走査を行うように構成されている。そして、このような構成によれば、照明用ファイバ等の光学部材を具備して形成される光伝送路において発生する損失を考慮した光量調整として、例えば、当該光伝送路を経て被写体へ出射されるレーザ光の光量を前述の規格値以下にするために、光源から当該光伝送路へ入射されるレーザ光の光量を前述の規格値より大きい光量に設定するような光量調整が行われる場合において、当該光源からのレーザ光の供給が停止してしまうおそれがある、という問題点が生じている。
【0005】
一方、日本国特開2011−255015号公報には、前述の問題点を解消可能な手法等について特に言及されておらず、すなわち、前述の問題点に応じた課題が依然として存在している。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、レーザ光を伝送する光伝送路において発生する損失を考慮しつつ、当該光伝送路を経て被写体へ出射されるレーザ光の光量を調整することが可能な光源装置を提供することを目的としている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の光源装置は、被写体を照明するためのレーザ光を出射するように構成されたレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されるレーザ光の少なくとも一部を受光し、当該受光したレーザ光の光量に応じた光検出信号を生成して出力するように構成された受光部と、前記受光部から出力される光検出信号の検出値と当該検出値を補正するための補正係数とに基づいて演算値を算出し、当該演算値を示す信号を生成して出力するように構成された演算処理部と、前記演算処理部から出力される信号により示される演算値と所定の閾値とを比較するように構成された判定部と、前記判定部により得られた比較結果に基づいて前記レーザ光源を制御するように構成された光源制御部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施例に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図。
図2】第1の実施例に係る光検出部の構成の一例を示す図。
図3】第1の実施例に係る光量監視部の構成の一例を示す図。
図4】第2の実施例に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図。
図5】第2の実施例に係る光量監視部の構成の一例を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0011】
(第1の実施例)
図1から図3は、本発明の第1の実施例に係るものである。
【0012】
内視鏡システム1は、例えば、図1に示すように、被検者の体腔内に挿入される走査型の内視鏡2と、内視鏡2を接続可能な本体装置3と、本体装置3に接続される表示装置4と、本体装置3に対する情報の入力及び指示を行うことが可能な入力装置5と、を有して構成されている。なお、入力装置5は、図1に示したような、本体装置3とは別体の装置として構成されているものに限らず、例えば、本体装置3と一体化したインターフェースとして構成されていてもよい。図1は、第1の実施例に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
【0013】
内視鏡2は、被検者の体腔内に挿入可能な細長形状及び可撓性を備えて形成された挿入部11を有して構成されている。
【0014】
挿入部11の基端部には、内視鏡2を本体装置3のコネクタ受け部62に着脱自在に接続するためのコネクタ部61が設けられている。
【0015】
コネクタ部61及びコネクタ受け部62の内部には、図示しないが、内視鏡2と本体装置3とを電気的に接続するための電気コネクタ装置が設けられている。また、コネクタ部61及びコネクタ受け部62の内部には、図示しないが、内視鏡2と本体装置3とを光学的に接続するための光コネクタ装置が設けられている。
【0016】
一方、挿入部11の内部における基端部から先端部にかけての部分には、本体装置3から供給された光を集光光学系14へ伝送するための光ファイバである照明用ファイバ12と、被写体からの戻り光(以降、反射光とも称する)を受光して本体装置3へ伝送するための1本以上の光ファイバを具備する受光用ファイバ13と、がそれぞれ挿通されている。
【0017】
照明用ファイバ12の光入射面を含む入射端部は、コネクタ部61の内部に配置されている。また、照明用ファイバ12の光出射面を含む端部は、挿入部11の先端部に設けられたレンズ14aの光入射面の近傍に配置されている。
【0018】
受光用ファイバ13の光入射面を含む入射端部は、挿入部11の先端部の先端面における、レンズ14bの光出射面の周囲に固定配置されている。また、受光用ファイバ13の光出射面を含む出射端部は、コネクタ部61の内部に配置されている。
【0019】
すなわち、以上に述べたような構成によれば、内視鏡2と本体装置3とが接続された際に、本体装置3から出射された光が、コネクタ部61に設けられた照明用ファイバ12の光入射面に入射される。また、以上に述べたような構成によれば、内視鏡2と本体装置3とが接続された際に、受光用ファイバ13の光入射面から入射した光が、コネクタ部61及びコネクタ受け部62を経て本体装置3へ出射される。
【0020】
集光光学系14は、照明用ファイバ12の光出射面を経た光が入射されるレンズ14aと、レンズ14aを経た光を被写体へ出射するレンズ14bと、を有して構成されている。
【0021】
挿入部11の先端部側における照明用ファイバ12の中途部には、本体装置3の走査制御部22から供給される駆動信号に基づいて駆動することにより、照明用ファイバ12の出射端部を揺動させることができるように構成されたアクチュエータ部15が設けられている。
【0022】
アクチュエータ部15は、例えば、本体装置3の走査制御部22から供給される駆動信号に基づいて駆動することにより、照明用ファイバ12の出射端部を第1の方向に沿って揺動させることが可能な1つ以上の圧電素子を備えた第1のアクチュエータと、本体装置3の走査制御部22から供給される駆動信号に基づいて駆動することにより、当該出射端部を当該第1の方向に直交する第2の方向に揺動させることが可能な1つ以上の圧電素子を備えた第2のアクチュエータと、を具備して構成されている。
【0023】
挿入部11の内部には、曲げ損失がない状態における照明用ファイバ12の実際の透過率を示す情報として、R光(後述)の透過率TRfと、G光(後述)の透過率TGfと、B光(後述)の透過率TBfと、を含む情報が格納されたメモリ16が設けられている。
【0024】
本体装置3は、レーザモジュール21と、走査制御部22と、光検出部23と、画像処理部24と、調光部25と、光量監視部26と、光源制御部27と、を有して構成されている。
【0025】
レーザモジュール21は、本体装置3の内部に設けられた照明光伝送用の光ファイバFsを介し、コネクタ受け部62に光学的に接続されている。また、レーザモジュール21は、本体装置3の内部に設けられた光量モニタリング用の光ファイバFmを介し、光量監視部26に光学的に接続されている。また、レーザモジュール21は、レーザ光源31aと、レーザ光源31bと、レーザ光源31cと、合波器32と、を有して構成されている。
【0026】
レーザ光源31aは、光源制御部27の制御に応じてオン状態またはオフ状態に切り替わるように構成されている。また、レーザ光源31aは、オン状態の際に、光源制御部27の制御に応じた出力値で赤色の波長帯域のレーザ光(以降、R光とも称する)を発生するように構成されている。
【0027】
レーザ光源31bは、光源制御部27の制御に応じてオン状態またはオフ状態に切り替わるように構成されている。また、レーザ光源31bは、オン状態の際に、光源制御部27の制御に応じた出力値で緑色の波長帯域のレーザ光(以降、G光とも称する)を発生するように構成されている。
【0028】
レーザ光源31cは、光源制御部27の制御に応じてオン状態またはオフ状態に切り替わるように構成されている。また、レーザ光源31cは、オン状態の際に、光源制御部27の制御に応じた出力値で青色の波長帯域のレーザ光(以降、B光とも称する)を発生するように構成されている。
【0029】
合波器32は、レーザ光源31aから発せられたR光と、レーザ光源31bから発せられたG光と、レーザ光源31cから発せられたB光と、を合波した白色光を、光ファイバFsの光入射面へ出射するように構成されている。また、合波器32は、光ファイバFsへ出射される光量未満の光量を具備する白色光を、光ファイバFmの光入射面へ出射するように構成されている。
【0030】
すなわち、以上に述べたような構成によれば、レーザモジュール21から出射された白色のレーザ光が、被写体を照明するための照明光として、光ファイバFs及びコネクタ受け部62を経て内視鏡2に供給される。また、以上に述べたような構成によれば、レーザモジュール21から出射された白色のレーザ光の一部が、光ファイバFmを経て光量監視部26に入射される。
【0031】
走査制御部22は、例えば、信号発生器等を具備して構成されている。また、走査制御部22は、照明用ファイバ12の出射端部を渦巻状及びリサージュ状等の所定の走査パターンで揺動させるための駆動信号を生成し、当該生成した駆動信号をアクチュエータ部15及び画像処理部24へ出力するように構成されている。
【0032】
光検出部23は、コネクタ受け部62を経て入射される光を検出して電気信号を生成し、当該生成した電気信号を増幅し、当該増幅した電気信号に応じた輝度値を示すデジタル信号を生成して画像処理部24へ出力するように構成されている。
【0033】
具体的には、光検出部23は、例えば、図2に示すように、ダイクロイックミラー41a及び41bを備えた分光光学系41と、光検出器42a〜42cと、信号増幅器43a〜43cと、A/D変換器44a〜44cと、を有して構成されている。図2は、第1の実施例に係る光検出部の構成の一例を示す図である。
【0034】
ダイクロイックミラー41aは、コネクタ受け部62を経て入射される光に含まれるR光及びG光をダイクロイックミラー41b側へ透過させるとともに、当該光に含まれるB光を光検出器42c側へ反射するような光学特性を具備して構成されている。
【0035】
ダイクロイックミラー41bは、ダイクロイックミラー41aを経て入射されるR光を光検出器42a側へ透過させるとともに、ダイクロイックミラー41aを経て入射されるG光を光検出器42b側へ反射するような光学特性を具備して構成されている。
【0036】
光検出器42aは、例えば、アバランシェフォトダイオードまたは光電子増倍管等を具備して構成されている。また、光検出器42aは、ダイクロイックミラー41bを経て入射されるR光を所定の感度で受光し、当該受光したR光の光量に応じた電気信号を生成して出力するように構成されている。
【0037】
光検出器42bは、例えば、アバランシェフォトダイオードまたは光電子増倍管等を具備して構成されている。また、光検出器42bは、ダイクロイックミラー41bにおいて反射したG光を所定の感度で受光し、当該受光したG光の光量に応じた電気信号を生成して出力するように構成されている。
【0038】
光検出器42cは、例えば、アバランシェフォトダイオードまたは光電子増倍管等を具備して構成されている。また、光検出器42cは、ダイクロイックミラー41aにおいて反射したB光を所定の感度で受光し、当該受光したB光の光量に応じた電気信号を生成して出力するように構成されている。
【0039】
信号増幅器43aは、光検出器42aから出力される電気信号を増幅して出力するように構成されている。
【0040】
信号増幅器43bは、光検出器42bから出力される電気信号を増幅して出力するように構成されている。
【0041】
信号増幅器43cは、光検出器42cから出力される電気信号を増幅して出力するように構成されている。
【0042】
A/D変換器44aは、信号増幅器43aから出力される電気信号をデジタル信号に変換して出力するように構成されている。
【0043】
A/D変換器44bは、信号増幅器43bから出力される電気信号をデジタル信号に変換して出力するように構成されている。
【0044】
A/D変換器44cは、信号増幅器43cから出力される電気信号をデジタル信号に変換して出力するように構成されている。
【0045】
画像処理部24は、例えば、AGC(オートゲインコントロール)回路等の画像処理回路を具備して構成されている。また、画像処理部24は、走査制御部22から出力される駆動信号に基づいて被写体の走査パターンを検出し、光検出部23から出力されるデジタル信号により示される輝度値を当該検出した走査パターンに対応する位置の画素にマッピングし、マッピングの対象外となった各画素の画素情報を補間するための補間処理を行うことにより当該被写体の画像を生成するように構成されている。また、画像処理部24は、前述のように生成した被写体の画像を調光部25へ出力するように構成されている。また、画像処理部24は、前述のように生成した被写体の画像に対してゲイン調整等の処理を施すことにより表示用画像を生成し、当該生成した表示用画像を表示装置4へ出力するように構成されている。
【0046】
調光部25は、例えば、調光回路を具備して構成されている。また、調光部25は、例えば、画像処理部24から出力される画像の輝度値の平均値を算出し、当該算出した輝度値の平均値と所定の明るさ目標値との差を0に近づけるための調光信号を生成し、当該生成した調光信号を光源制御部27へ出力するように構成されている。
【0047】
光量監視部26は、光ファイバFmを経て入射される白色光に含まれるR光、G光及びB光の光量をそれぞれ検出し、当該検出した光量を補正するための補正処理を行い、当該補正処理により得られた補正後の光量に基づく閾値判定処理を行い、当該閾値判定処理により得られた判定結果を光源制御部27へ出力するように構成されている。また、光量監視部26は、メモリ16から読み込んだ情報と、入力装置5の操作に応じて入力された情報と、に基づき、前述の補正処理において用いられる補正係数を調整するための調整係数を算出し、当該算出した調整係数を光源制御部27へ出力するように構成されている。
【0048】
具体的には、光量監視部26は、例えば、図3に示すように、光カプラ51と、光学フィルタ52a〜52cと、フォトダイオード(以降、PDと略記する)53a〜53cと、A/D変換器54a〜54cと、検出値補正部55と、調整係数算出部56と、積算部57と、判定部58と、を有して構成されている。図3は、第1の実施例に係る光量監視部の構成の一例を示す図である。
【0049】
光カプラ51は、光ファイバFmを経て出射される白色光を3等分に分割し、当該分割した白色光を光学フィルタ52a、52b及び52cに対してそれぞれ出射するように構成されている。
【0050】
光学フィルタ52aは、光カプラ51から出射される白色光に含まれるR光を透過させる一方で、当該R光以外の光を遮断するような光学特性を具備して構成されている。
【0051】
光学フィルタ52bは、光カプラ51から出射される白色光に含まれるG光を透過させる一方で、当該G光以外の光を遮断するような光学特性を具備して構成されている。
【0052】
光学フィルタ52cは、光カプラ51から出射される白色光に含まれるB光を透過させる一方で、当該B光以外の光を遮断するような光学特性を具備して構成されている。
【0053】
PD53aは、光学フィルタ52aを経て出射されるR光を受光し、当該受光したR光の光量に応じた電気信号を生成して出力するように構成されている。
【0054】
PD53bは、光学フィルタ52bを経て出射されるG光を受光し、当該受光したG光の光量に応じた電気信号を生成して出力するように構成されている。
【0055】
PD53cは、光学フィルタ52cを経て出射されるB光を受光し、当該受光したB光の光量に応じた電気信号を生成して出力するように構成されている。
【0056】
A/D変換器54aは、PD53aから出力される電気信号をデジタル化することにより光検出信号を生成して出力するように構成されている。
【0057】
A/D変換器54bは、PD53bから出力される電気信号をデジタル化することにより光検出信号を生成して出力するように構成されている。
【0058】
A/D変換器54cは、PD53cから出力される電気信号をデジタル化することにより光検出信号を生成して出力するように構成されている。
【0059】
検出値補正部55は、デジタル信号処理回路等により構成されている。また、検出値補正部55は、A/D変換器54aから出力される光検出信号の検出値に対し、補正係数Cを乗じて積算部57へ出力するように構成されている。また、検出値補正部55は、A/D変換器54bから出力される光検出信号の検出値に対し、補正係数Cを乗じて積算部57へ出力するように構成されている。また、検出値補正部55は、A/D変換器54cから出力される光検出信号の検出値に対し、補正係数Cを乗じて積算部57へ出力するように構成されている。また、検出値補正部55は、調整係数算出部56から出力される調整係数(後述)を用いて各補正係数をそれぞれ調整することにより、調整後の補正係数を算出するように構成されている。
【0060】
なお、本実施例においては、補正係数Cの初期値CRdが、例えば、光カプラ51から出射されるR光の光量の光ファイバFsに入射されるR光の光量に対する比の値Gと、本体装置3の内部を通過するR光の透過率Vと、照明用ファイバ12におけるR光の理想的な透過率TRi(>TRf)と、に基づいて予め算出されているものとする。
【0061】
また、本実施例においては、補正係数Cの初期値CGdが、例えば、光カプラ51から出射されるG光の光量の光ファイバFsに入射されるG光の光量に対する比の値Gと、本体装置3の内部を通過するG光の透過率Vと、照明用ファイバ12におけるG光の理想的な透過率TGi(>TGf)と、に基づいて予め算出されているものとする。
【0062】
また、本実施例においては、補正係数Cの初期値CBdが、例えば、光カプラ51から出射されるB光の光量の光ファイバFsに入射されるB光の光量に対する比の値Gと、本体装置3の内部を通過するB光の透過率Vと、照明用ファイバ12におけるB光の理想的な透過率TBi(>TBf)と、に基づいて予め算出されているものとする。
【0063】
調整係数算出部56は、演算回路等により構成されている。また、調整係数算出部56は、メモリ16から読み込んだ情報と、入力装置5の操作に応じて入力された情報と、既知の値として具備しているパラメータと、に基づき、補正係数Cを調整するための調整係数A、補正係数Cを調整するための調整係数A、及び、補正係数Cを調整するための調整係数Aをそれぞれ算出し、当該算出した各調整係数を検出値補正部55及び光源制御部27へ出力するように構成されている。なお、調整係数算出部56は、光量比の値G、G及びGと、透過率V、V及びVと、透過率TRi、TGi及び透過率TBiと、を既知の値として具備しているものとする。
【0064】
積算部57は、積算器を備えた演算回路等により構成されている。また、積算部57は、検出値補正部55から出力される光検出信号の検出値を所定期間τ(例えばτ=0.25秒)にわたって積算することにより積算信号を生成し、当該生成した積算信号を判定部58へ出力するように構成されている。
【0065】
すなわち、本実施例に係る演算処理部は、検出値補正部55及び積算部57に相当する機能を具備し、A/D変換器54aから出力される光検出信号の検出値に対して補正係数Cを乗じた値と、A/D変換器54bから出力される光検出信号の検出値に対して補正係数Cを乗じた値と、A/D変換器54cから出力される光検出信号の検出値に対して補正係数Cを乗じた値と、を所定時間τにわたって積算して得られる演算値を示す信号を生成して判定部58へ出力するように構成されている。
【0066】
判定部58は、例えば、判定回路等により構成されている。また、判定部58は、積算部57から出力される積算信号により示される積算値が閾値TH以下であるか否かを判定するための判定処理を行うとともに、当該判定処理により取得した判定結果を光源制御部27へ出力するように構成されている。
【0067】
なお、前述の閾値THは、レーザ製品の安全基準を定める国際規格である、IEC60825−1において規定されるAEL(Accessible Emission Limit)の規格値未満の値として設定されているものとする。
【0068】
光源制御部27は、例えば、CPUまたは制御回路等を具備して構成されている。また、光源制御部27は、調光部25から出力される調光信号に基づき、レーザ光源31a、31b及び31cに供給する駆動電流の電流値を設定するように構成されている。
【0069】
光源制御部27は、入力装置5においてなされた操作に基づき、例えば、レーザ光源31a、31b及び31cをオンまたはオフに切り替えるための制御等を行うように構成されている。
【0070】
光源制御部27は、レーザモジュール21から白色光を出射させるための制御として、レーザ光源31a、31b及び31cを同時に発光させる制御を行うように構成されている。
【0071】
光源制御部27は、調整係数算出部56から出力される調整係数と、判定部58から出力される判定結果と、に基づき、積算部57から出力される積算信号により示される積算値が閾値TH以下であるとの判定結果が得られた際に、当該調整係数に応じた光量を具備する白色光をレーザモジュール21から出射させるための制御をレーザ光源31a、31b及び31cに対して行うように構成されている。
【0072】
光源制御部27は、判定部58から出力される判定結果に基づき、積算部57から出力される積算信号により示される積算値が閾値THより大きいとの判定結果が得られた際に、レーザモジュール21からの白色光の出射を停止させるための制御をレーザ光源31a、31b及び31cに対して行うように構成されている。
【0073】
続いて、本実施例の作用について説明する。なお、以降においては、検出値補正部55において保持されている補正係数が初期値CRd、CGd及びCBdである状態、すなわち、調整係数算出部56による調整係数の算出が行われていない状態を起点として処理が開始される場合を例に挙げて説明を行う。
【0074】
術者等のユーザは、内視鏡システム1の各部を接続して電源を投入した後、例えば、入力装置5の照明スイッチ(不図示)をオンすることにより、本体装置3からの照明光の供給を開始させるための指示を行う。
【0075】
光源制御部27は、入力装置5の照明スイッチがオンされたことを検出した際に、R光、G光及びB光を同時に出射させるための制御をレーザ光源31a、31b及び31cに対して行う。そして、このような制御に応じ、所定の光量を具備する白色光が光ファイバFsに入射されるとともに、当該所定の光量未満の光量を具備する白色光が光ファイバFmに入射される。
【0076】
調整係数算出部56は、内視鏡2が本体装置3に接続された際に、メモリ16に格納されている情報を読み込み、当該読み込んだ情報に基づいて調整係数AR1、AG1及びAB1を算出し、当該算出した調整係数AR1、AG1及びAB1を検出値補正部55及び光源制御部27へ出力する。
【0077】
具体的には、調整係数算出部56は、透過率TRfから透過率TRiを除することにより、補正係数CRdを調整するための調整係数AR1(=TRf/TRi)を算出する。また、調整係数算出部56は、メモリ16から読み込んだ情報に基づき、透過率TGfから透過率TGiを除することにより、補正係数CGdを調整するための調整係数AG1(=TGf/TGi)を算出する。また、調整係数算出部56は、メモリ16から読み込んだ情報に基づき、透過率TBfから透過率TBiを除することにより、補正係数CBdを調整するための調整係数AB1(=TBf/TBi)を算出する。
【0078】
すなわち、調整係数算出部56は、レーザモジュール21から出射されたレーザ光が照明用ファイバ12を経て被写体に出射されるまでの光伝送路において発生する損失の変化に応じて補正係数CRd、CGd及びCBdを調整するための調整係数AR1、AG1及びAB1を算出する。
【0079】
検出値補正部55は、調整係数算出部56から出力される調整係数AR1を補正係数CRdに乗じることにより、調整後の補正係数CR1を取得する。また、検出値補正部55は、調整係数算出部56から出力される調整係数AG1を補正係数CGdに乗じることにより、調整後の補正係数CG1を取得する。また、検出値補正部55は、調整係数算出部56から出力される調整係数AB1を補正係数CBdに乗じることにより、調整後の補正係数CB1を取得する。
【0080】
その後、検出値補正部55は、A/D変換器54aから出力される光検出信号の検出値に対して補正係数CR1を乗じて積算部57へ出力し、A/D変換器54bから出力される光検出信号の検出値に対して補正係数CG1を乗じて積算部57へ出力し、A/D変換器54cから出力される光検出信号の検出値に対して補正係数CB1を乗じて積算部57へ出力する。
【0081】
ここで、PD53aに入射するR光の入射光量をIとし、PD53bに入射するG光の入射光量をIとし、PD53cに入射するB光の入射光量をIとし、照明用ファイバ12の出射端面から出射される白色光に含まれるR光の出射光量をPとし、当該白色光に含まれるG光の出射光量をPとし、当該白色光に含まれるB光の出射光量をPとし、照明用ファイバ12におけるR光の透過率をTとし、照明用ファイバ12におけるG光の透過率をTとし、照明用ファイバ12におけるB光の透過率をTとした場合、下記数式(1)〜(3)に示すような関係が成立する。
【0082】


すなわち、上記数式(1)〜(3)に示した関係式は、内視鏡2の接続に伴い、理想的な透過率TRi、TGi及び透過率TBiではなく、照明用ファイバ12に応じた透過率TRf、TGf及びTBfにおいて成立するものとして置き換えられる。
【0083】
従って、以上に述べたような、補正係数CRd、CGd及びCBdを補正係数CR1、CG1及びCB1に調整するための処理が行われることにより、照明用ファイバ12の出射端面から出射される出射光量に適合した閾値判定が判定部58において行われ、その結果、照明用ファイバ12の曲げ損失がない状態で発生する損失を考慮しつつ、照明用ファイバ12を経て出射されるレーザ光の光量を調整することができる。
【0084】
次に、レーザモジュール21の交換に応じて補正係数CR1、CG1及びCB1を調整する場合に行われる処理等について説明する。
【0085】
術者等のユーザは、レーザモジュール21を交換し、さらに、内視鏡システム1の各部の電源を投入した後において、例えば、入力装置5を操作することにより、レーザモジュール21を交換した旨を示す情報を入力する。
【0086】
光源制御部27は、入力装置5の操作に基づき、レーザモジュール21が交換されたことを検出した際に、入射光量I、I及びIがそれぞれ所定値になるように、R光、G光及びB光を同時に出射させるための制御をレーザ光源31a、31b及び31cに対して行う。
【0087】
一方、ユーザは、例えば、光パワーメータ等の測定機器を用い、レーザモジュール21を交換した旨を示す情報の入力後に内視鏡2から出射される白色光に含まれるR光の出射光量PR1と、当該白色光に含まれるG光の出射光量PG1と、当該白色光に含まれるB光の出射光量PB1と、をそれぞれ計測する。そして、ユーザは、入力装置5を操作することにより、前述のように計測した出射光量PR1、PG1及びPB1の計測値をそれぞれ入力する。
【0088】
調整係数算出部56は、メモリ16から読み込んだ情報と、入力装置5の操作に応じて入力された出射光量PR1、PG1及びPB1の計測値と、基づいて調整係数AR2、AG2及びAB2を算出し、当該算出した調整係数AR2、AG2及びAB2を検出値補正部55及び光源制御部27へ出力する。
【0089】
具体的には、調整係数算出部56は、既知の値である入射光量I、I及びIと、入力装置5の操作に応じて入力された出射光量PR1、PG1及びPB1と、透過率TRf、TGf及びTBfと、を下記数式(4)〜(6)にそれぞれ適用することにより、GR1/VR1、GG1/VG1及びGB1/VB1の各値を算出する。
【0090】


上記数式(4)のGR1は、レーザモジュール21の交換後における、光カプラ51から出射されるR光の光量の光ファイバFsに入射されるR光の光量に対する比の値を示している。また、上記数式(4)のVR1は、レーザモジュール21の交換後において、本体装置3の内部を通過するR光の透過率を示している。
【0091】
上記数式(5)のGG1は、レーザモジュール21の交換後における、光カプラ51から出射されるG光の光量の光ファイバFsに入射されるG光の光量に対する比の値を示している。また、上記数式(5)のVG1は、レーザモジュール21の交換後において、本体装置3の内部を通過するG光の透過率を示している。
【0092】
上記数式(6)のGB1は、レーザモジュール21の交換後における、光カプラ51から出射されるB光の光量の光ファイバFsに入射されるB光の光量に対する比の値を示している。また、上記数式(6)のVB1は、レーザモジュール21の交換後において、本体装置3の内部を通過するB光の透過率を示している。
【0093】
そして、調整係数算出部56は、前述のように算出したGR1/VR1、GG1/VG1及びGB1/VB1の各値と、光量比の値G、G及びGと、透過率V、V及びVと、を下記数式(7)〜(9)にそれぞれ適用することにより、P/PR1に相当する調整係数AR2と、P/PG1に相当する調整係数AG2と、P/PB1に相当する調整係数AB2と、をそれぞれ算出する。
【0094】


すなわち、調整係数算出部56は、照明用ファイバ12を含む光伝送路を通過して被写体に出射されるレーザ光の出射光量の変化に応じて補正係数CR1、CG1及びCB1を調整するための調整係数AR2、AG2及びAB2を算出する。
【0095】
検出値補正部55は、調整係数算出部56から出力される調整係数AR2を補正係数CR1に乗じることにより、調整後の補正係数CR2を取得する。また、検出値補正部55は、調整係数算出部56から出力される調整係数AG2を補正係数CG1に乗じることにより、調整後の補正係数CG2を取得する。また、検出値補正部55は、調整係数算出部56から出力される調整係数AB2を補正係数CB1に乗じることにより、調整後の補正係数CB2を取得する。
【0096】
その後、検出値補正部55は、A/D変換器54aから出力される光検出信号の検出値に対して補正係数CR2を乗じて積算部57へ出力し、A/D変換器54bから出力される光検出信号の検出値に対して補正係数CG2を乗じて積算部57へ出力し、A/D変換器54cから出力される光検出信号の検出値に対して補正係数CB2を乗じて積算部57へ出力する。
【0097】
従って、以上に述べたような、補正係数CR1、CG1及びCB1を補正係数CR2、CG2及びCB2に調整するための処理が行われることにより、照明用ファイバ12の出射端面から出射される出射光量に適合した閾値判定が判定部58において行われ、その結果、照明用ファイバ12の曲げ損失がない状態で発生する損失を考慮しつつ、照明用ファイバ12を経て出射されるレーザ光の光量を、交換後のレーザモジュール21に応じて調整することができる。
【0098】
次に、ガイド部材に挿通される挿入部11の湾曲状態に応じて補正係数CR1、CG1及びCB1を調整する場合に行われる処理等について説明する。なお、以降においては、簡単のため、ガイド部材が金属等により形成された管状部材である場合、すなわち、当該ガイド部材に挿通される挿入部11が、当該ガイド部材の最小曲げ半径minR及び最大曲げ角度maxθに応じて湾曲する場合を例に挙げて説明する。
【0099】
術者等のユーザは、内視鏡システム1の各部の電源を投入した後において、例えば、入力装置5を操作することにより、挿入部11を挿通するガイド部材の最小曲げ半径minR及び最大曲げ角度maxθの値をそれぞれ入力する。
【0100】
調整係数算出部56は、メモリ16から読み込んだ情報と、入力装置5の操作に応じて入力された最小曲げ半径minRの値と、入力装置5の操作に応じて入力された最大曲げ角度maxθの値と、に基づき、曲げ損失がある状態における照明用ファイバ12の実際の透過率を示す情報として、R光の透過率TRbと、G光の透過率TGbと、B光の透過率TBbと、をそれぞれ算出する。
【0101】
なお、本実施例によれば、例えば、挿入部11を挿通するガイド部材の種類が入力装置5において入力されるとともに、当該入力されたガイド部材の種類に応じた最小曲げ半径minR及び最大曲げ角度maxθの値をデータベース等から抽出する処理が調整係数算出部56において行われるようにしてもよい。
【0102】
調整係数算出部56は、メモリ16から読み込んだ情報と、前述のように算出した透過率TRb、TGb及びTBbと、に基づいて調整係数AR3、AG3及びAB3を算出し、当該算出した調整係数AR3、AG3及びAB3を検出値補正部55及び光源制御部27へ出力する。
【0103】
具体的には、調整係数算出部56は、透過率TRbから透過率TRfを除することにより、補正係数CR1を調整するための調整係数AR3(=TRb/TRf)を算出する。また、調整係数算出部56は、メモリ16から読み込んだ情報に基づき、透過率TGbから透過率TGfを除することにより、補正係数CG1を調整するための調整係数AG3(=TGb/TGf)を算出する。また、調整係数算出部56は、メモリ16から読み込んだ情報に基づき、透過率TBbから透過率TBfを除することにより、補正係数CB1を調整するための調整係数AB3(=TBb/TBf)を算出する。
【0104】
すなわち、調整係数算出部56は、レーザモジュール21から出射されたレーザ光が照明用ファイバ12を経て被写体に出射されるまでの光伝送路において発生する損失の変化に応じて補正係数CR1、CG1及びCB1を調整するための調整係数AR3、AG3及びAB3を算出する。
【0105】
なお、本実施例によれば、例えば、調整係数AR3、AG3及びAB3の算出の際に、ガイド部材に挿入部11を挿通した状態でホワイトバランスを取るためのホワイトバランス係数を用いるようにしてもよい。
【0106】
検出値補正部55は、調整係数算出部56から出力される調整係数AR3を補正係数CR1に乗じることにより、調整後の補正係数CR3を取得する。また、検出値補正部55は、調整係数算出部56から出力される調整係数AG3を補正係数CG1に乗じることにより、調整後の補正係数CG3を取得する。また、検出値補正部55は、調整係数算出部56から出力される調整係数AB3を補正係数CB1に乗じることにより、調整後の補正係数CB3を取得する。
【0107】
その後、検出値補正部55は、A/D変換器54aから出力される光検出信号の検出値に対して補正係数CR3を乗じて積算部57へ出力し、A/D変換器54bから出力される光検出信号の検出値に対して補正係数CG3を乗じて積算部57へ出力し、A/D変換器54cから出力される光検出信号の検出値に対して補正係数CB3を乗じて積算部57へ出力する。
【0108】
ここで、上記数式(1)〜(3)に示した関係式は、内視鏡2の湾曲に伴い、曲げ損失がない状態における照明用ファイバ12の実際の透過率TRf、TGf及びTBfではなく、曲げ損失がある状態における照明用ファイバ12の実際の透過率TRb、TGb及びTBbにおいて成立するものとして置き換えられる。
【0109】
従って、以上に述べたような、補正係数CR1、CG1及びCB1を補正係数CR3、CG3及びCB3に調整するための処理が行われることにより、照明用ファイバ12の出射端面から出射される出射光量に適合した閾値判定が判定部58において行われ、その結果、照明用ファイバ12の曲げ損失に応じて発生する損失を考慮しつつ、照明用ファイバ12を経て出射されるレーザ光の光量を調整することができる。
【0110】
(第2の実施例)
図4及び図5は、本発明の第2の実施例に係るものである。
【0111】
なお、本実施例においては、第1の実施例と同様の構成等を有する部分に関する詳細な説明を省略するとともに、第1の実施例と異なる構成等を有する部分に関して主に説明を行う。
【0112】
内視鏡システム1Aは、例えば、図4に示すように、内視鏡2と、内視鏡2を接続可能な本体装置3Aと、本体装置3Aに接続される表示装置4と、本体装置3Aに対する情報の入力及び指示を行うことが可能な入力装置5と、を有して構成されている。図4は、第2の実施例に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
【0113】
本実施例のメモリ16には、曲げ損失がない状態における照明用ファイバ12の実際の透過率を示す情報として、W光(後述)の透過率TWfを含む情報が格納されている。
【0114】
本体装置3Aは、レーザモジュール21Aと、走査制御部22と、光検出部23と、画像処理部24と、調光部25と、光量監視部26Aと、光源制御部27と、を有して構成されている。
【0115】
レーザモジュール21Aは、本体装置3Aの内部に設けられた照明光伝送用の光ファイバFsを介し、コネクタ受け部62に光学的に接続されている。また、レーザモジュール21Aは、本体装置3Aの内部に設けられた光量モニタリング用の光ファイバFmを介し、光量監視部26Aに光学的に接続されている。また、レーザモジュール21Aは、レーザ光源31dと、光カプラ33と、を有して構成されている。
【0116】
レーザ光源31dは、光源制御部27の制御に応じてオン状態またはオフ状態に切り替わるように構成されている。また、レーザ光源31dは、オン状態の際に、光源制御部27の制御に応じた出力値で白色のレーザ光(以降、W光とも称する)を発生するように構成されている。
【0117】
光カプラ33は、レーザ光源31dから発せられるW光を分割することにより、光量L1を具備するW光を光ファイバFsの光入射面へ出射するとともに、当該光量L1未満の光量L2を具備するW光を光ファイバFmの光入射面へ出射するように構成されている。
【0118】
すなわち、以上に述べたような構成によれば、レーザモジュール21Aから出射されたW光が、被写体を照明するための照明光として、光ファイバFs及びコネクタ受け部62を経て内視鏡2に供給される。また、以上に述べたような構成によれば、レーザモジュール21Aから出射されたW光の一部が、光ファイバFmを経て光量監視部26Aに入射される。
【0119】
光量監視部26Aは、光ファイバFmを経て入射されるW光の光量を検出し、当該検出した光量に基づく閾値判定処理を行い、当該閾値判定処理により得られた判定結果を光源制御部27へ出力するように構成されている。また、光量監視部26Aは、メモリ16から読み込んだ情報と、入力装置5の操作に応じて入力された情報と、に基づき、前述の閾値判定処理において用いられる閾値を調整するための調整係数を算出し、当該算出した調整係数を光源制御部27へ出力するように構成されている。
【0120】
具体的には、光量監視部26Aは、例えば、図5に示すように、光学フィルタ52dと、PD53dと、A/D変換器54dと、調整係数算出部56と、積算部57と、判定部58と、を有して構成されている。図5は、第2の実施例に係る光量監視部の構成の一例を示す図である。
【0121】
光学フィルタ52dは、光ファイバFmを経て出射されるW光の波長帯域において、PD53dの受光感度の逆数に相当する透過率を具備するように形成されている。
【0122】
PD53dは、光学フィルタ52dを経て出射されるW光を所定の受光感度で受光し、当該受光したW光の光量に応じた電気信号を生成して出力するように構成されている。
【0123】
A/D変換器54dは、PD53dから出力される電気信号をデジタル化することにより光検出信号を生成して出力するように構成されている。
【0124】
調整係数算出部56は、メモリ16から読み込んだ情報と、入力装置5の操作に応じて入力された情報と、既知の値として具備しているパラメータと、に基づき、判定部58の判定処理において用いられる閾値THを調整するための調整係数Aを算出し、当該算出した調整係数Aを判定部58及び光源制御部27へ出力するように構成されている。なお、本実施例の調整係数算出部56は、光ファイバFmに入射されるW光の光量L1の光ファイバFsに入射されるW光の光量L2に対する比の値G(=L1/L2)と、本体装置3の内部を通過するW光の透過率Vと、照明用ファイバ12におけるW光の理想的な透過率TWi(>T)と、を既知の値として具備しているものとする。
【0125】
積算部57は、A/D変換器54dから出力される光検出信号の検出値を所定期間τ(例えばτ=0.25秒)にわたって積算することにより積算信号を生成し、当該生成した積算信号を判定部58へ出力するように構成されている。
【0126】
判定部58は、調整係数算出部56から出力される調整係数Aを用いて閾値THを調整することにより、調整後の閾値THAを算出するように構成されている。また、判定部58は、積算部57から出力される積算信号により示される積算値が閾値THA以下であるか否かを判定するための判定処理を行うとともに、当該判定処理により取得した判定結果を光源制御部27へ出力するように構成されている。
【0127】
光源制御部27は、調整係数算出部56から出力される調整係数と、判定部58から出力される判定結果と、に基づき、積算部57から出力される積算信号により示される積算値が閾値THA以下であるとの判定結果が得られた際に、当該調整係数に応じた光量を具備するW光をレーザモジュール21Aから出射させるための制御をレーザ光源31dに対して行うように構成されている。
【0128】
光源制御部27は、判定部58から出力される判定結果に基づき、積算部57から出力される積算信号により示される積算値が閾値THAより大きいとの判定結果が得られた際に、レーザモジュール21AからのW光の出射を停止させるための制御をレーザ光源31dに対して行うように構成されている。
【0129】
続いて、本実施例の作用について説明する。なお、以降においては、判定部58において保持されている閾値がTHである状態、すなわち、調整係数算出部56による調整係数の算出が行われていない状態を起点として処理が開始される場合を例に挙げて説明を行う。
【0130】
術者等のユーザは、内視鏡システム1Aの各部を接続して電源を投入した後、例えば、入力装置5の照明スイッチ(不図示)をオンすることにより、本体装置3Aからの照明光の供給を開始させるための指示を行う。
【0131】
光源制御部27は、入力装置5の照明スイッチがオンされたことを検出した際に、レーザ光源31dをオン状態にするための制御を行う。そして、このような制御に応じ、光量L1を具備するW光が光ファイバFsに入射されるとともに、光量L2を具備するW光が光ファイバFmに入射される。
【0132】
調整係数算出部56は、内視鏡2が本体装置3Aに接続された際に、メモリ16に格納されている情報を読み込み、当該読み込んだ情報に基づいて調整係数AW1を算出し、当該算出した調整係数AW1を判定部58及び光源制御部27へ出力する。
【0133】
具体的には、調整係数算出部56は、透過率TWiから透過率TWfを除することにより、閾値THを調整するための調整係数AW1(=TWi/TWf)を算出する。
【0134】
すなわち、調整係数算出部56は、レーザモジュール21から出射されたレーザ光が照明用ファイバ12を経て被写体に出射されるまでの光伝送路において発生する損失の変化に応じて閾値THを調整するための調整係数AW1を算出する。
【0135】
判定部58は、調整係数算出部56から出力される調整係数AW1を閾値THに乗じることにより、調整後の閾値TH1を取得する。また、判定部58は、積算部57から出力される積算信号により示される積算値が閾値TH1以下であるか否かを判定するための判定処理を行うとともに、当該判定処理により取得した判定結果を光源制御部27へ出力する。
【0136】
ここで、PD53dに入射するW光の入射光量をIとし、照明用ファイバ12の出射端面から出射される白色光の出射光量をPとし、照明用ファイバ12におけるW光の透過率をTとした場合、下記数式(10)に示すような関係が成立する。
【0137】


すなわち、上記数式(10)に示した関係式は、内視鏡2の接続に伴い、理想的な透過率TWiではなく、照明用ファイバ12に応じた透過率TWfにおいて成立するものとして置き換えられる。
【0138】
従って、以上に述べたような、閾値THを閾値TH1に調整するための処理が行われることにより、照明用ファイバ12の出射端面から出射される出射光量に適合した閾値判定が判定部58において行われ、その結果、照明用ファイバ12の曲げ損失がない状態で発生する損失を考慮しつつ、照明用ファイバ12を経て出射されるレーザ光の光量を調整することができる。
【0139】
次に、レーザモジュール21Aの交換に応じて閾値TH1を調整する場合に行われる処理等について説明する。
【0140】
術者等のユーザは、レーザモジュール21Aを交換し、さらに、内視鏡システム1Aの各部の電源を投入した後において、例えば、入力装置5を操作することにより、レーザモジュール21Aを交換した旨を示す情報を入力する。
【0141】
光源制御部27は、入力装置5の操作に基づき、レーザモジュール21Aが交換されたことを検出した際に、入射光量Iが所定値になるようにW光を出射させるための制御を光源31dに対して行う。
【0142】
一方、ユーザは、例えば、光パワーメータ等の測定機器を用い、レーザモジュール21Aを交換した旨を示す情報の入力後に内視鏡2から出射される白色光の出射光量PW1を計測する。そして、ユーザは、入力装置5を操作することにより、前述のように計測した出射光量PW1の計測値をそれぞれ入力する。
【0143】
調整係数算出部56は、メモリ16から読み込んだ情報と、入力装置5の操作に応じて入力された出射光量PW1の計測値と、基づいて調整係数AW2を算出し、当該算出した調整係数AW2を判定部58及び光源制御部27へ出力する。
【0144】
具体的には、調整係数算出部56は、既知の値である入射光量Iと、入力装置5の操作に応じて入力された出射光量PW1と、透過率TWfと、を下記数式(11)に適用することにより、GW1/VW1の値を算出する。
【0145】


上記数式(11)のGW1は、レーザモジュール21の交換後における、光ファイバFmに入射されるW光の光量L1の光ファイバFsに入射されるW光の光量L2に対する比の値を示している。また、上記数式(11)のVW1は、レーザモジュール21の交換後において、本体装置3の内部を通過するW光の透過率を示している。
【0146】
そして、調整係数算出部56は、前述のように算出したGW1/VW1の値と、光量比の値Gと、透過率Vと、を下記数式(12)に適用することにより、調整係数AW2を算出する。すなわち、下記数式(12)の調整係数AW2は、PW1/Pに相当する比の値を示している。
【0147】


すなわち、調整係数算出部56は、レーザモジュール21から出射されたレーザ光が照明用ファイバ12を経て被写体に出射されるまでの光伝送路において発生する損失の変化に応じて閾値TH1を調整するための調整係数AW2を算出する。
【0148】
判定部58は、調整係数算出部56から出力される調整係数AW2を閾値TH1に乗じることにより、調整後の閾値TH2を取得する。また、判定部58は、積算部57から出力される積算信号により示される積算値が閾値TH2以下であるか否かを判定するための判定処理を行うとともに、当該判定処理により取得した判定結果を光源制御部27へ出力する。
【0149】
従って、以上に述べたような、閾値TH1を閾値TH2に調整するための処理が行われることにより、照明用ファイバ12の出射端面から出射される出射光量に適合した閾値判定が判定部58において行われ、その結果、照明用ファイバ12の曲げ損失がない状態で発生する損失を考慮しつつ、照明用ファイバ12を経て出射されるレーザ光の光量を、交換後のレーザモジュール21Aに応じて調整することができる。
【0150】
次に、ガイド部材に挿通される挿入部11の湾曲状態に応じて閾値TH1を調整する場合に行われる処理等について説明する。なお、以降においては、簡単のため、ガイド部材が金属等により形成された管状部材である場合、すなわち、当該ガイド部材に挿通される挿入部11が、当該ガイド部材の最小曲げ半径minR及び最大曲げ角度maxθに応じて湾曲する場合を例に挙げて説明する。
【0151】
術者等のユーザは、内視鏡システム1Aの各部の電源を投入した後において、例えば、入力装置5を操作することにより、最小曲げ半径minR、及び、最大曲げ角度maxθの値をそれぞれ入力する。
【0152】
調整係数算出部56は、メモリ16から読み込んだ情報と、入力装置5の操作に応じて入力された最小曲げ半径minRの値と、入力装置5の操作に応じて入力された最大曲げ角度maxθの値と、に基づき、曲げ損失がある状態における照明用ファイバ12の実際の透過率を示す情報として、W光の透過率TWbを算出する。
【0153】
調整係数算出部56は、メモリ16から読み込んだ情報と、前述のように算出した透過率TWbと、に基づいて調整係数AW3を算出し、当該算出した調整係数AW3を判定部58及び光源制御部27へ出力する。
【0154】
具体的には、調整係数算出部56は、透過率TWfから透過率TWbを除することにより、閾値TH1を調整するための調整係数AW3(=TWf/TWb)を算出する。
【0155】
すなわち、調整係数算出部56は、レーザモジュール21から出射されたレーザ光が照明用ファイバ12を経て被写体に出射されるまでの光伝送路において発生する損失の変化に応じて閾値TH1を調整するための調整係数AW3を算出する。
【0156】
判定部58は、調整係数算出部56から出力される調整係数AW3を閾値TH1に乗じることにより、調整後の閾値TH3を取得する。また、判定部58は、積算部57から出力される積算信号により示される積算値が閾値TH3以下であるか否かを判定するための判定処理を行うとともに、当該判定処理により取得した判定結果を光源制御部27へ出力する。
【0157】
ここで、上記数式(10)に示した関係式は、内視鏡2の湾曲に伴い、曲げ損失がない状態における照明用ファイバ12の実際の透過率TWfではなく、曲げ損失がある状態における照明用ファイバ12の実際の透過率TWbにおいて成立するものとして置き換えられる。
【0158】
従って、以上に述べたような、閾値TH1を閾値TH3に調整するための処理が行われることにより、照明用ファイバ12の出射端面から出射される出射光量に適合した閾値判定が判定部58において行われ、その結果、照明用ファイバ12の曲げ損失に応じて発生する損失を考慮しつつ、照明用ファイバ12を経て出射されるレーザ光の光量を調整することができる。
【0159】
なお、本実施例によれば、閾値TH1に対して調整係数AW3を乗じて得られる閾値TH3に基づく判定処理が行われるものに限らず、例えば、積算部57から出力される積算信号により示される積算値に対し、調整係数AW3の逆数である1/AW3を補正係数として乗じる演算が行われるとともに、当該演算により得られる演算値が閾値TH1以下であるか否かを判定するための判定処理が行われるようにしてもよい。
【0160】
本発明は、上述した各実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更や応用が可能であることは勿論である。
【0161】
本出願は、2014年8月19日に日本国に出願された特願2014−166747号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。
図1
図2
図3
図4
図5