特許第5998556号(P5998556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5998556ブラシレスDCモータのセンサレス制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5998556
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】ブラシレスDCモータのセンサレス制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/12 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
   H02P6/12
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-63750(P2012-63750)
(22)【出願日】2012年3月21日
(65)【公開番号】特開2013-198316(P2013-198316A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(72)【発明者】
【氏名】三浦 悠一
(72)【発明者】
【氏名】奥村 繁一
【審査官】 上野 力
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−325486(JP,A)
【文献】 特開2009−273257(JP,A)
【文献】 特開2005−269719(JP,A)
【文献】 特開2008−220078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンパレータによって3相の相電圧と基準電圧とを比較して各相の回転位置推定信号を生成する回転位置推定信号生成手段と、各相の回転位置推定信号に基づいてPWM方式で3相への通電を制御する通電制御手段とを備え、通電制御手段は、各相の上下アームにそれぞれ設けられた合計6個の上下スイッチング素子を有するスイッチング回路と、スイッチング回路を構成する各スイッチング素子にゲート信号を出力するゲートドライブ回路と、スイッチング回路を介してモータに電力を供給する直流電源とを備えているブラシレスDCモータのセンサレス制御装置において、
各相の相電圧の切替時間が所定時間内にわたって一定である場合、モータが回転していないと判断するロック検出手段を備えていることを特徴とするブラシレスDCモータのセンサレス制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブラシレスDCモータのセンサレス制御装置に関し、さらに詳しくは、例えば、油の吸入および吐出を行うポンプを駆動するのに適したブラシレスDCモータのセンサレス制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のトランスミッションには油圧ポンプにより油圧が供給されるが、省エネルギなどの観点から停車時にエンジンを停止するいわゆるアイドルストップ(アイドリングストップ)を行う自動車では、アイドルストップ時にもトランスミッションへの油圧供給を確保するために、電動ポンプが使用されるようになっている。
【0003】
自動車に搭載されるポンプ駆動用電動モータとして、ブラシレスDCモータが用いられるようになっている。このような電動ポンプでは、小スペース・低コストが求められるため、回転位置検出センサを用いずにモータを駆動するいわゆるセンサレス制御が行われている。
【0004】
ブラシレスDCモータをセンサレス制御するためには、ロータの回転位置を推定して回転位置検出センサからの回転位置信号に相当する回転位置推定信号を生成する必要がある。回転位置推定信号の推定は、一般に、モータの3相の誘起電圧を用いて行われる。
【0005】
センサレス制御においては、回転位置検出センサを使用しないことから、モータが実際に回転しているかどうかの判定を正確に行うことが難しく、特許文献1には、誘起電圧が消失したときに、モータの停止信号を出力するものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−173466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の従来のブラシレスDCモータのセンサレス制御装置においては、誘起電圧と駆動電圧とを区別するようになっていないため、モータの回転が停止している場合に、モータが回転していると判断されることが起こり得る。
【0008】
すなわち、センサレス駆動では、誘起電圧のゼロクロス点を検出することで磁極切替を検知しているが、通電するために印加している駆動電圧のゼロクロス点と誘起電圧のゼロクロス点とをセンサレス制御装置は判別できないため、駆動電圧のゼロクロス点を検出することで、モータが回転していると判定されることがある。
【0009】
この発明の目的は、上記の問題を解決し、モータが回転していないことの判定を正確に行うことができるブラシレスDCモータのセンサレス制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明によるブラシレスDCモータのセンサレス制御装置は、コンパレータによって3相の相電圧と基準電圧とを比較して各相の回転位置推定信号を生成する回転位置推定信号生成手段と、各相の回転位置推定信号に基づいてPWM方式で3相への通電を制御する通電制御手段とを備え、通電制御手段は、各相の上下アームにそれぞれ設けられた合計6個の上下スイッチング素子を有するスイッチング回路と、スイッチング回路を構成する各スイッチング素子にゲート信号を出力するゲートドライブ回路と、スイッチング回路を介してモータに電力を供給する直流電源とを備えているモータ制御装置において、各相の相電圧の切替時間が所定時間内にわたって一定である場合、モータが回転していないと判断するロック検出手段を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
センサレス制御においては、誘起電圧の変化に伴うゼロクロス点を検出し、これに基づいて、各相の相電圧の指令が与えられて、相電圧パターンが切り替わっていく。誘起電圧がゼロの場合には、モータが回転していない(ロック検出)として、フェールとする必要がある。ゼロクロス点の検出は、相電圧のゼロクロス点に基づくもので、この相電圧の検出において、誘起電圧と駆動電圧とを判別するようになっていない。したがって、モータが回転していない場合に、駆動電圧が変化し、この駆動電圧の変化に伴うゼロクロス点を誘起電圧の変化に伴うゼロクロス点と認識する可能性がある。誘起電圧のゼロクロス点を検出している場合、ゼロクロス検出のタイミングは、一定ではない。つまり、一定の回転数で回転していたとしても、パターン切替の度に、必ずパターン切替時間は変化する。それに対して、駆動電圧のゼロクロス点を検出している場合、一定の切換パターンとなる。つまり、ある一定時間内にパターン切替時間が変更されない場合、モータが回転していないと判断することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明のブラシレスDCモータのセンサレス制御装置によれば、上記のように、モータが回転していないことの判定を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、この発明のブラシレスDCモータのセンサレス制御装置を示すブロック図である。
図2図2は、図1の回転位置推定信号生成装置の構成の1例を示すブロック図である。
図3a図3aは、センサレス制御装置の各部の信号の1例を示すタイムチャートであり、3相の回転位置推定信号および各スイッチング素子の通電を制御する通電信号を示している。
図3b図3bは、センサレス制御装置の各部の信号の1例を示すタイムチャートであり、各スイッチング素子に対するスイッチング素子制御信号を示している。
図4a図4aは、センサレス制御装置の各部の信号の1例を示すタイムチャートであり、各相の相電圧のパターンを示している。
図4b図4bは、センサレス制御装置の各部の信号の1例を示すタイムチャートであり、各相の駆動電圧の出力パターンを示している。
図5図5は、モータのロック検出ステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、ブラシレスDCモータのセンサレス制御装置の構成を概略的に示している。
【0016】
このブラシレスDCモータのセンサレス制御装置は、自動車に搭載されて油の吸入および吐出を行うポンプ(11)を駆動するブラシレスDCモータ(1)を、自動車に搭載されたバッテリよりなる直流電源(2)を用いて、片側PWM方式で駆動するものであり、3相の相電圧に基づいてディジタル方式で各相の回転位置推定信号を生成する回転位置推定信号生成手段である回転位置推定信号生成装置(3)と、各相の回転位置推定信号に基づいてPWM方式で直流電源(2)から3相への通電を制御する通電制御手段である通電制御装置(4)とから構成されている。直流電源(2)の電源電圧をEとする。3相の相電圧は、それぞれ、Vu、Vv、Vwとし、Vで総称する。3相の回転位置推定信号は、それぞれ、Hu、Hv、Hwとし、Hで総称する。
【0017】
通電制御装置(4)は、通電信号生成手段(5)と、スイッチング回路(6)と、電流検出器(7)と、電流制御部(電流制御手段)(8)と、PWM駆動手段(9)と、ゲートドライブ回路(10)とから構成されている。
【0018】
回転位置推定信号生成装置(3)は、図2に示すように、電圧比較回路(13)と、極性決定手段(14)とを備えており、モータ(1)のU相、V相、W相の3相の相電圧Vに基づいて、各相の回転位置推定信号Hを生成する。
【0019】
電圧比較回路(13)は、各相にそれぞれ対応する3つのコンパレータ(15u)(15v)(15w)を備えている。コンパレータ(15u)(15v)(15w)は、モータ(1)の各相のステータ巻線の各端子電圧Vu、Vv、Vwと電源電圧Eの1/2の電圧Vaとをそれぞれ比較する。コンパレータは、符号(15)で総称する。
【0020】
電源電圧Eの1/2の電圧Vaは、端子電圧Vu,Vv,Vwと比較されて、ゼロクロス点を検出するための基準電圧となる。コンパレータ(15u)(15v)(15w)の比較結果は、各端子電圧Vu、Vv、Vwの方が大である場合は「1」、小である場合は「0」であるディジタル信号Bu,Bv,Bwとして、極性決定手段(14)に例えば16KHzの周波数でサンプリングされる。
【0021】
極性決定手段(14)は、MPU(Micro Processing Unit)により構成され、ディジタル信号Bu、Bv、Bwのパターンの取るべき規則的な変化パターンを記憶しているメモリ(14a)およびタイマ(14b)を備えている。
【0022】
極性決定部(14)は、サンプリングしたディジタル信号Bu、Bv、Bwのパターンとメモリ(14a)が記憶している規則的な変化パターンに基づき、ゼロクロス点を検出する。極性決定部(14)は、ゼロクロス点を検出したときは、前回のクロス点検出からの時間であるゼロクロス点間隔を求め、求めたゼロクロス点間隔の1/2を遅延時間とする。極性決定部(14)は、メモリ(14a)が記憶している規則的な変化パターンに基づきコンパレータ(15u)(15v)(15w)の出力信号から遅延時間分遅延させた各相の回転位置推定信号Hを作成して、通電制御手段(4)に与える。
【0023】
通電信号生成手段(5)は、回転位置推定信号生成手段(3)により生成される回転位置推定信号Hに基づいて、各素子の通電をそれぞれ制御するための通電信号Cu+、Cu-、Cv+、Cv-、Cw+、Cw-を生成するものである。通電信号は、Cで総称する。通電信号生成手段(5)は、MPUにより構成されてもよいし、専用のディジタル回路により構成されてもよい。
【0024】
スイッチング回路(6)は、直流電源(2)からモータ(1)のU相への通電を制御する上アームスイッチング素子(16u+)および下アームスイッチング素子(16u-)、V相への通電を制御する上アームスイッチング素子(16v+)および下アームスイッチング素子(16v-)、W相への通電を制御する上アームスイッチング素子(16w+)および下アームスイッチング素子(16w-)を備えている。各上アームスイッチング素子(16u+)(16v+)(16w+)と各下アームスイッチング素子(16u-)(16v-)(16w-)との接続点は、モータ(1)のステータ巻線の端子に各相ごとに接続されている。スイッチング素子は、符号(16)で総称する。
【0025】
電流検出器(7)は、電流測定回路をスイッチング回路(6)に接続してモータ電流を検出するものである。モータ(1)のU相、V相、W相のステータ巻線に流れる合計電流値が電流検出器(7)により検出されている。
【0026】
電流制御部(8)は、電流検出器(7)から検出されたモータ(1)の電流検出値Aと電流指令値Aaとを比較し、両者の大小関係に基づき、モータ(1)をPWM駆動するための電流制御信号Apwmを作成し、PWM駆動手段(9)へ送るものである。
【0027】
PWM駆動手段(9)は、与えられた通電信号Cおよび電流制御信号Apwmに基づいて、各スイッチング素子(16)に対するスイッチング素子制御信号Du+、Du-、Dv+、Dv-、Dw+、Dw-を作成し、ゲートドライブ回路(10)へ出力するものである。スイッチング素子制御信号はDで総称する。
【0028】
ゲートドライブ回路(10)は、与えられたスイッチング素子制御信号Dに基づいて、各スイッチング素子(16)をオン/オフ駆動し、モータ(1)のステータ巻線に回転磁界を発生させるものである。各スイッチング素子(16)のオン/オフ駆動に伴い、各相の駆動電圧が変化する。
【0029】
図3および図4は、制御装置の各部における信号の1例を示すタイムチャートである。
【0030】
回転位置推定信号H(図3a)は、0と1で表わされ、電気角180度ごとに極性が反転する。V相の回転位置推定信号Hvは、U相の回転位置推定信号Huに対して120度遅れており、W相の回転位置推定信号Hwは、さらにV相の回転位置推定信号Hvに対して120度遅れている。
【0031】
通電信号C(図3a)は、電気角360度のうち、所定の120度だけ連続してオンになり、これによりいわゆる120度通電が行なわれる。U相上アームの通電信号Cu+は、U相の回転位置推定信号Huの立ち上がりから電気角120度の間だけオンになる。U相下アームの通電信号Cu-は、U相の回転位置推定信号Huの立ち下がりから120度の間だけオンになる。V相の上アームの通電信号Cv+は、V相の回転位置推定信号Hvの立ち上がりから120度の間だけオンになる。V相の下アームの通電信号Cv-は、V相の回転位置推定信号Hvの立ち下がりから120度の間だけオンになる。W相の上アームの通電信号Cw+は、W相の回転位置推定信号Hwの立ち上がりから120度の間だけオンになる。W相の下アームの通電信号Cw-は、W相の回転位置推定信号Hwの立ち下がりから120度の間だけオンになる。
【0032】
スイッチング素子制御信号D(図3b)は、オンとオフで表わされる。3相の上アームの制御信号Du+、Dv+、Dw+は、対応する通電信号Cu+、Cv+、Cw+がオンの間、オンに固定される。3相の下アームの制御信号Du-、Dv-、Dw-は、対応する通電信号Cu-、Cv-、Cw-がオンの間、電流制御信号Apwmに応じてオン・オフ制御される。
【0033】
上記のような制御信号Dを用いてスイッチング素子(16)を駆動することにより、いわゆる片側PWM駆動が行なわれ、その結果、3相の相電圧Vは、図4aに示すように変化する。図4aにおいて、各相の相電圧は、それぞれ120度異なっており、それぞれの正負電圧区間である180度の電気角の内、中央部の120度の区間で通電されている。120度の通電区間外の60度の区間には、各相の誘起電圧が露出している。各相の駆動電圧は、図4bに示すように、スイッチング素子制御信号Dのオン・オフと同様のパターンで正負電圧区間のパターンが変化する。
【0034】
図3および図4に示すように、各相の回転位置推定信号Hの位相は、誘起電圧の位相に対して30度遅れている。
【0035】
図1において、起動時には、強制転流モードとされ、起動指令が通電信号生成手段(5)に与えられる。通電信号生成手段(5)は、起動指令を受けた際にメモリ内に記憶した通電パターンをPWM駆動手段(9)へ与える。これは、モータ(1)のロータ位置に関係なく行われる。回転数の増加は、周波数を上げていくことで行われ、電流については、電流制御部(8)からの電流制御信号Apwmによるのではなく、直流電源(2)から、PWM駆動手段(9)のメモリ内に記憶した値に基づき、一定の電流が与えられる。PWM駆動手段(9)は、通電信号生成手段(5)からの通電信号Cに基づいて、各スイッチング素子(16)に対するスイッチング素子制御信号Dをゲートドライブ回路(10)に出力し、これにより、各スイッチング素子(16)がオン/オフ駆動され、モータ(1)のステータ巻線に強制転流のための回転磁界が発生する。
【0036】
強制転流を行うことで、モータ(1)のU相、V相、W相の3相の相電圧Vu、Vv、Vwが大きくなり、これに基づいて、回転位置推定信号生成手段(3)では、各相の回転位置推定信号H(Hu、Hv、Hw)が生成可能(すなわち、ロータ位置の検出が可能)となる。これにより、通電信号生成手段(5)は、回転位置推定信号生成手段(3)により生成される回転位置推定信号Hに基づいて、通電信号Cを生成する。PWM駆動手段(9)は、この通電信号Cおよび電流制御信号Apwmに基づいて、各スイッチング素子(16)に対するスイッチング素子制御信号Dを作成し、ゲートドライブ回路(10)に与える。こうして、強制転流モードからセンサレス制御モードに移行する。
【0037】
モータ(1)が回転すると、図4aに示すように、誘起電圧が生じるので、このゼロクロス点に基づいて、センサレス制御が適切に行われる。ここで、回転すべきモータ(1)が回転していない場合、故障と判断する必要がある。しかしながら、駆動電圧が図4bのように変化することで、この駆動電圧のゼロクロス点を誘起電圧のゼロクロス点とみなして、モータ(1)の制御を続ける(誤作動の)可能性がある。すなわち、モータ(1)が回転していない場合には、ロック検出フェールという故障モードとする必要があるが、この故障が検知されない可能性がある。
【0038】
誘起電圧と駆動電圧とを比較すると、前者は、電動ポンプ(11)の脈動などによって、パターン切替時間が変動し、これに対し、後者は、電動ポンプ(11)の影響を受けることなく、一定時間で変化する。そこで、ある一定時間内にパターン切替時間が変更されない場合、モータが回転していないと判断することができる。これに基づき、このブラシレスDCモータのセンサレス制御装置においては、適宜なタイミングで、図5に示すロック検出フェールステップが実行される。
【0039】
図5において、ロック検出フェール(S1)は、まず、センサレス駆動モードになっているかを判定して(S2)、Yesの場合(Noの場合は終了)、磁極切替時間すなわちあるゼロクロス点から次のゼロクロス点までの時間が一定かどうかを判定する(S3)。これがNoの場合は、ポンプ(11)の脈動に応じて変動する相電圧が得られているので、通常の駆動が行われている(正常)と判定して終了する。Yesすなわち磁極切替時間が一定の場合、ロック判定タイマを追加する(S4)。ロック判定タイマは、磁極切替時間が一定である総時間を計測する。そして、ロック判定タイマとロック判定時間とを比較する(S5)。この比較において、ロック判定タイマがロック判定時間よりも長くなると(Yesの場合)、磁極切替時間が一定である時間が長いことから、モータ停止(ロック検出フェール)として終了する。ロック判定タイマがロック判定時間よりも短い場合、磁極切替時間が一定となったことでモータ(1)が停止している可能性が疑われるが、その後、適度に変動する正常な相電圧が得られていることから、モータ(1)が正常に回転していると判定して終了する。
【0040】
こうして、各相の相電圧の切替時間が所定のロック判定時間内に変更されない場合、モータ(1)が回転していないと判断し、ロック検出フェールとして処理される。これにより、モータ(1)が回転していないにもかかわらず制御装置が誤ってモータが回転していると判断してしまう状態を防止でき、モータの停止故障状態の判定精度が向上する。
【0041】
上記において、誘起電圧であっても、短い時間であれば、磁極切替時間が一定となる可能性があり、この場合を「ロック検出」とすることがないように、ロック判定時間が設定される。ロック判定時間は、例えば、モータの1回転(または2回転)に必要な時間程度に適宜設定することができる。
【0042】
なお、図1に示すブロック図において、電流制御部(8)に追加して、または、これに代えて、速度制御部を設けるようにしてもよい。速度制御部は、モータ(1)の回転子の回転速度検出値Sと外部から与えられた回転方向を含む回転速度設定値Saとを比較し、両者の大小関係に基づいて、モータ(1)をPWM駆動するための速度制御信号Spwm1を作成し、PWM駆動手段(9)へ出力するものとされる。
【符号の説明】
【0043】
(1) :ブラシレスDCモータ
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5