特許第5998659号(P5998659)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5998659
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】車両用走行装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 15/20 20060101AFI20160915BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20160915BHJP
   B60K 1/02 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   B60L15/20 S
   B60L3/00 J
   B60K1/02
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-129986(P2012-129986)
(22)【出願日】2012年6月7日
(65)【公開番号】特開2013-255357(P2013-255357A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】冷水 由信
(72)【発明者】
【氏名】吉井 康之
【審査官】 相羽 昌孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−145810(JP,A)
【文献】 特開2004−175313(JP,A)
【文献】 特開平07−143616(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/125117(WO,A1)
【文献】 特開2004−312860(JP,A)
【文献】 特開平06−153325(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0242289(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00− 3/12
B60L 7/00−13/00
B60L 15/00−15/42
B60K 1/00− 6/12
B60K 7/00− 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
右駆動輪を駆動する右駆動モータ、および左駆動輪を駆動する左駆動モータを有する駆動走行装置と、
前記右駆動モータを制御する右制御ユニット、および前記左駆動モータを制御する左制御ユニットを有する走行制御システムと、
前記右駆動モータに連結される右連結シャフト、前記左駆動モータに連結される左連結シャフト、および前記右連結シャフトと前記左連結シャフトとを互いに接続および切断するクラッチを有する連結装置とを備え、
前記走行制御システムは、右系統異常対応制御および左系統異常対応制御の少なくとも一方を実行し、
前記右系統異常対応制御は、前記右制御ユニットおよび前記右駆動モータの少なくとも一方に異常が発生しているとき、前記右制御ユニットから前記左制御ユニットに右系統異常信号を送信し、前記左制御ユニットが前記右系統異常信号を受信した後、前記クラッチを駆動することにより前記右連結シャフトと前記左連結シャフトとを互いに接続し、
前記左系統異常対応制御は、前記左制御ユニットおよび前記左駆動モータの少なくとも一方に異常が発生しているとき、前記左制御ユニットから前記右制御ユニットに左系統異常信号を送信し、前記右制御ユニットが前記左系統異常信号を受信した後、前記クラッチを駆動することにより前記右連結シャフトと前記左連結シャフトとを互いに接続する
車両用走行装置。
【請求項2】
前記右系統異常対応制御は、前記右制御ユニットが前記左系統異常信号を受信したとき、前記右駆動モータの出力を低下させ、前記右制御ユニットが前記左系統異常信号を受信してからの経過時間または前記右駆動モータの出力を低下させてからの経過時間である右系統待機時間が右系統判定時間未満の大きさから前記右系統判定時間以上の大きさに変化した後、前記クラッチにより前記右連結シャフトと前記左連結シャフトとを互いに接続する制御、および前記右駆動モータの出力を増大させる制御を実行し、
前記左系統異常対応制御は、前記左制御ユニットが前記右系統異常信号を受信したとき、前記左駆動モータの出力を低下させ、前記左制御ユニットが前記右系統異常信号を受信してからの経過時間または前記左駆動モータの出力を低下させてからの経過時間である左系統待機時間が左系統判定時間未満の大きさから前記左系統判定時間以上の大きさに変化した後、前記クラッチにより前記右連結シャフトと前記左連結シャフトとを互いに接続する制御、および前記左駆動モータの出力を増大させる制御を実行する
請求項1に記載の車両用走行装置。
【請求項3】
前記連結装置は、前記駆動走行装置および前記走行制御システムに異常が発生していないとき、前記右連結シャフトと前記左連結シャフトとを互いに切断する
請求項1または2に記載の車両用走行装置。
【請求項4】
前記連結装置は、前記駆動走行装置および前記走行制御システムの少なくとも一方に異常が発生しているとき、前記右連結シャフトと前記左連結シャフトとを互いに接続する
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用走行装置。
【請求項5】
前記右制御ユニットは、前記右制御ユニットおよび前記右駆動モータの少なくとも一方に異常が発生しているとき、前記右駆動モータの駆動を停止し、
前記左制御ユニットは、前記左制御ユニットおよび前記左駆動モータの少なくとも一方に異常が発生しているとき、前記左駆動モータの駆動を停止する
請求項に記載の車両用走行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の駆動モータおよび複数の制御ユニットを有する車両用走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図5は、車両用走行装置の一例を開示している。
この車両用走行装置は、駆動走行装置および走行制御システムを有する。駆動走行装置は、4個の駆動輪を個別に駆動する4個の駆動モータを有する。走行制御システムは、4個の駆動モータを個別に制御する4個の制御ユニットを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−120390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記車両用走行装置においては、例えば4個の駆動モータのうちの1個に異常が発生したとき、異常が発生した駆動モータを駆動輪から切断する。このため、駆動モータの異常発生時において車両の走行に関する直進性を確保することが難しい。なお、ここでは、駆動モータの異常発生時の課題について言及したが、例えば制御ユニットに異常が発生したことにより、駆動モータを適切に制御することが困難になる状況が生じた場合、上記と同様の課題が生じると考えられる。
【0005】
本発明は、以上の背景を踏まえて創作されたものであり、車両の状態に応じて車両の走行に関する直進性を確保することが可能な構成を有する車両用走行装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、請求項1に記載の車両用走行装置すなわち、「右駆動輪を駆動する右駆動モータ、および左駆動輪を駆動する左駆動モータを有する駆動走行装置と、前記右駆動モータを制御する右制御ユニット、および前記左駆動モータを制御する左制御ユニットを有する走行制御システムと、前記右駆動モータに連結される右連結シャフト、前記左駆動モータに連結される左連結シャフト、および前記右連結シャフトと前記左連結シャフトとを互いに接続および切断するクラッチを有する連結装置とを備え、前記走行制御システムは、右系統異常対応制御および左系統異常対応制御の少なくとも一方を実行し、前記右系統異常対応制御は、前記右制御ユニットおよび前記右駆動モータの少なくとも一方に異常が発生しているとき、前記右制御ユニットから前記左制御ユニットに右系統異常信号を送信し、前記左制御ユニットが前記右系統異常信号を受信した後、前記クラッチを駆動することにより前記右連結シャフトと前記左連結シャフトとを互いに接続し、前記左系統異常対応制御は、前記左制御ユニットおよび前記左駆動モータの少なくとも一方に異常が発生しているとき、前記左制御ユニットから前記右制御ユニットに左系統異常信号を送信し、前記右制御ユニットが前記左系統異常信号を受信した後、前記クラッチを駆動することにより前記右連結シャフトと前記左連結シャフトとを互いに接続する車両用走行装置」を有する。
【0007】
上記車両用走行装置においては、クラッチにより右連結シャフトと左連結シャフトとを互いに接続することにより、右駆動輪の駆動力および左駆動輪の駆動力に大きな差が生じることを抑制することができる。このため、車両の状態に応じて車両の走行に関する直進性を確保することができる。また、上記車両用走行装置においては、クラッチにより右連結シャフトと左連結シャフトとを互いに切断することにより、右駆動輪の駆動力および左駆動輪の駆動力を互いに独立して制御することが可能になる。このため、右駆動輪および左駆動輪の機械的な連結により直進性が確保される状態と、右駆動輪および左駆動輪の駆動力を互いに独立して制御することが可能な状態とを、車両の状態に応じて柔軟に選択することができる。
また、上記車両用走行装置の右制御ユニットは、左系統異常信号を受信したことに基づいて、右連結シャフトと左連結シャフトとを互いに接続する。このため、左制御ユニットおよび左駆動モータの少なくとも一方に異常が発生しているときにおいて、右駆動モータのトルクを的確に左駆動輪に入力することができる。なお、右制御ユニットおよび右駆動モータの少なくとも一方に異常が発生している場合においても同様の効果が得られる。
第2の手段は、請求項2に記載の車両用走行装置すなわち、「前記右系統異常対応制御は、前記右制御ユニットが前記左系統異常信号を受信したとき、前記右駆動モータの出力を低下させ、前記右制御ユニットが前記左系統異常信号を受信してからの経過時間または前記右駆動モータの出力を低下させてからの経過時間である右系統待機時間が右系統判定時間未満の大きさから前記右系統判定時間以上の大きさに変化した後、前記クラッチにより前記右連結シャフトと前記左連結シャフトとを互いに接続する制御、および前記右駆動モータの出力を増大させる制御を実行し、前記左系統異常対応制御は、前記左制御ユニットが前記右系統異常信号を受信したとき、前記左駆動モータの出力を低下させ、前記左制御ユニットが前記右系統異常信号を受信してからの経過時間または前記左駆動モータの出力を低下させてからの経過時間である左系統待機時間が左系統判定時間未満の大きさから前記左系統判定時間以上の大きさに変化した後、前記クラッチにより前記右連結シャフトと前記左連結シャフトとを互いに接続する制御、および前記左駆動モータの出力を増大させる制御を実行する請求項1に記載の車両用走行装置」を有する。
上記車両用走行装置は、車両の走行中において左制御ユニットおよび左駆動モータの少なくとも一方の異常が発生したとき、右連結シャフトと左連結シャフトとをすぐに接続することが可能な構成を有する。しかし、異常の発生時において右連結シャフトおよび左連結シャフトをすぐに接続した場合には、右駆動輪および左駆動輪の駆動力の差に起因して大きな衝撃が発生するおそれがある。
上記車両用走行装置の右制御ユニットは、以上の事項を踏まえて、左制御ユニットおよび左駆動モータの少なくとも一方の異常が発生したとき、右連結シャフトと左連結シャフトとを互いに接続する前にまず右駆動モータの出力を低下させる。このため、右駆動輪の駆動力が低下することにより、右駆動輪および左駆動輪の駆動力の差が減少する。そして右制御ユニットは、右系統待機時間が右系統判定時間未満の大きさから右系統判定時間以上の大きさに変化した後、すなわち、右駆動輪および左駆動輪の駆動力の差が小さいと予測されるとき、右連結シャフトと左連結シャフトとを互いに接続する。このため、右連結シャフトと左連結シャフトとを互いに接続したときに大きな衝撃が発生することが抑制される。また、右制御ユニットは、右系統待機時間が右系統判定時間未満の大きさから右系統判定時間以上の大きさに変化した後、右駆動モータの出力を増加させる制御を実行する。このため、車両の走行を継続するために必要な駆動力が右駆動輪および左駆動輪において確保される。なお、右制御ユニットおよび右駆動モータの少なくとも一方の異常が発生した場合においても同様の効果が得られる。
【0008】
の手段は、請求項に記載の車両用走行装置すなわち、「前記連結装置は、前記駆動走行装置、および前記走行制御システムに異常が発生していないとき、前記右連結シャフトと前記左連結シャフトとを互いに切断する請求項1または2に記載の車両用走行装置」を有する。
【0009】
上記車両用走行装置は、駆動走行装置および走行制御システムに異常が発生していないとき、右駆動モータと左駆動輪との間におけるトルクの伝達を遮断し、左駆動モータと右駆動輪との間におけるトルクの伝達を遮断する。このため、右駆動輪の駆動力および左駆動輪の駆動力を互いに独立して制御することができる。
【0010】
の手段は、請求項に記載の車両用走行装置すなわち、「前記連結装置は、前記駆動走行装置および前記走行制御システムの少なくとも一方に異常が発生しているとき、前記右連結シャフトと前記左連結シャフトとを互いに接続する請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用走行装置」を有する。
【0011】
上記車両用走行装置は、駆動走行装置および走行制御システムの少なくとも一方に異常が発生しているとき、すなわち、右駆動モータおよび左駆動モータの少なくとも一方が適切に駆動しないおそれがあるとき、右連結シャフトと左連結シャフトとを互いに接続する。このため、右制御ユニットまたは右駆動モータの異常に起因して、右駆動輪に適切な大きさの駆動力を発生させることが困難なとき、左駆動モータのトルクを左駆動輪および右駆動輪の双方に入力することができる。なお、左制御ユニットおよび左駆動モータの少なくとも一方に異常が発生する場合においても同様の効果が得られる。
【0012】
このため、右駆動モータまたは左駆動モータを適切に駆動することが困難な場合において、右駆動輪の駆動力および左駆動輪の駆動力に大きな差が生じることが抑制される。このため、駆動走行装置および走行制御システムの少なくとも一方に異常が発生した場合において車両の走行に関する直進性が低下することを抑制することができる。
【0013】
の手段は、請求項に記載の車両用走行装置すなわち、「前記右制御ユニットは、前記右制御ユニットおよび前記右駆動モータの少なくとも一方に異常が発生しているとき、前記右駆動モータの駆動を停止し、前記左制御ユニットは、前記左制御ユニットおよび前記左駆動モータの少なくとも一方に異常が発生しているとき、前記左駆動モータの駆動を停止する請求項に記載の車両用走行装置」を有する。
【0014】
上記車両用走行装置においては、右制御ユニットおよび右駆動モータの少なくとも一方に異常が発生しているとき、右駆動モータの駆動を停止する。このため、右駆動モータおよび左駆動モータのうちの左駆動モータのみを用いて右駆動輪および左駆動輪を駆動することができる。このため、車両の挙動が不安定になることが抑制される。なお、左制御ユニットおよび左駆動モータの少なくとも一方に異常が発生する場合においても同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、車両の状態に応じて車両の走行に関する直進性を確保することが可能な構成を有する車両用走行装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態の車両用走行装置に関する図であり、同装置を備える車両の構成を示す構成図。
図2】実施形態の制御ユニットにより実行される異常診断制御の手順を示すフローチャート。
図3】実施形態の制御ユニットにより実行される連結制御の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照して、車両1の構成について説明する。なお、以下の説明において、「右側」は、車両1の進行方向を基準としたときの車幅方向の右側を示す。また、「左側」は、車両1の進行方向を基準としたときの車幅方向の左側を示す。また、構成要素に関する「1組」は、同一または類似の機能を有する複数の構成要素により構成される組を示す。
【0023】
車両1は、車両用走行装置10、アクセルペダル60、ブレーキペダル70、およびバッテリ80を有する。車両1は、車両用走行装置10を構成する後輪走行装置30の駆動力により走行する後輪駆動方式を有する。
【0024】
車両用走行装置10は、前輪走行装置20、駆動走行装置としての後輪走行装置30、連結装置としての後輪連結装置40、および走行制御システム50を有する。車両用走行装置10は、走行制御システム50により後輪走行装置30および後輪連結装置40を制御する。
【0025】
前輪走行装置20は、1組のフロントホイール21、ステアリング装置22、およびステアリングホイール23を有する。前輪走行装置20は、1組のフロントホイール21として右側のフロントホイール21および左側のフロントホイール21を有する。前輪走行装置20は、ステアリング装置22により1組のフロントホイール21の転舵角を変化させる。
【0026】
後輪走行装置30は、1組の走行ユニット31を有する。後輪走行装置30は、1組の走行ユニット31として右側の走行ユニット31および左側の走行ユニット31を有する。後輪走行装置30は、各走行ユニット31の駆動力により車両1を走行させる。
【0027】
走行ユニット31は、駆動輪としてのリアホイール32、ホイールハブ33、および駆動モータ34を有する。走行ユニット31は、駆動モータ34によりリアホイール32を駆動する。右側の走行ユニット31は、右駆動輪としての右側のリアホイール32を有する。左側の走行ユニット31は、左駆動輪としての左側のリアホイール32を有する。右側の走行ユニット31は、右駆動モータとしての右側の駆動モータ34を有する。左側の走行ユニット31は、左駆動モータとしての左側の駆動モータ34を有する。
【0028】
駆動モータ34としてのブラシレスモータは、モータ本体34Aおよびロータシャフト34Bを有する。駆動モータ34は、ロータシャフト34Bにおいてホイールハブ33に連結される。駆動モータ34は、リアホイール32に入力するトルクの大きさを他のホイールから独立して調整することが可能なインホイールモータとしての構成を有する。駆動モータ34は、モータ本体34Aの全体がリアホイール32の外部に配置される。
【0029】
後輪連結装置40は、右連結シャフト41、左連結シャフト42、クラッチ43、およびアクチュエータ44を有する。後輪連結装置40は、アクチュエータ44によりクラッチ43を駆動することにより、右連結シャフト41および左連結シャフト42の連結状態を変更する。すなわち、後輪連結装置40は、クラッチ43を駆動することにより、右側の駆動モータ34と左側の駆動モータ34とを互いに接続または切断する。
【0030】
右連結シャフト41は、右側のモータ本体34Aに連結される。右連結シャフト41は、右側のモータ本体34Aから入力されるトルクにより、右側のロータシャフト34Bと一体的に回転する。右連結シャフト41は、右側の駆動モータ34のトルクにより回転している状態において、クラッチ43により左連結シャフト42に連結されるとき、右側の駆動モータ34のトルクを左連結シャフト42に伝達する。
【0031】
左連結シャフト42は、左側のモータ本体34Aに連結される。左連結シャフト42は、左側のモータ本体34Aから入力されるトルクにより、左側のロータシャフト34Bと一体的に回転する。左連結シャフト42は、左側の駆動モータ34のトルクにより回転している状態において、クラッチ43により右連結シャフト41に連結されるとき、左側の駆動モータ34のトルクを右連結シャフト41に伝達する。
【0032】
クラッチ43は、アクチュエータ44により選択される動作状態として接続動作状態および切断動作状態を有する。クラッチ43は、接続動作状態のとき、右連結シャフト41と左連結シャフト42とを互いに接続する。クラッチ43は、切断動作状態のとき、右連結シャフト41および左連結シャフト42を互いに切断する。
【0033】
走行制御システム50は、1組の制御ユニット51、および車載LAN52を有する。走行制御システム50は、車載LAN52を経由して1組の制御ユニット51間において通信する。走行制御システム50は、1組の制御ユニット51として、右制御ユニットとしての第1の制御ユニット51、および左制御ユニットとしての第2の制御ユニット51を有する。走行制御システム50は、互いに独立した部品としての各制御ユニット51が車載LAN52により互いに接続された構成を有する。走行制御システム50は、車両1の操作スイッチ(図示略)に応じてオン状態およびオフ状態が切り替えられる。走行制御システム50は、オン状態のとき、1組の制御ユニット51を駆動する。
【0034】
制御ユニット51は、駆動モータ34およびアクチュエータ44のそれぞれと電気的に接続される。制御ユニット51は、バッテリ80から電力の供給を受ける。第1の制御ユニット51は、右側の走行ユニット31の駆動モータ34と直接的な接続関係を有する。第1の制御ユニット51は、アクチュエータ44と直接的な接続関係を有する。第2の制御ユニット51は、左側の走行ユニット31の駆動モータ34と直接的な接続関係を有する。第2の制御ユニット51は、アクチュエータ44と直接的な接続関係を有する。
【0035】
制御ユニット51および駆動モータ34の直接的な接続関係は、別の制御ユニット51を介することなく互いに接続される制御ユニット51および駆動モータ34の接続関係を示す。また、制御ユニット51およびアクチュエータ44の直接的な接続関係は、別の制御ユニット51を介することなく互いに接続される制御ユニット51およびアクチュエータ44の接続関係を示す。
【0036】
車両用走行装置10は、各構成要素間の関係を次のように規定する。車両用走行装置10は、1個の制御ユニット51を基準として他の構成要素との関係をみるとき、同1個の制御ユニット51を「基準制御ユニット」と規定し、基準制御ユニットとは別の制御ユニット51を「対側制御ユニット」と規定する。車両用走行装置10は、基準制御ユニットと直接的な接続関係を有する駆動モータ34を「自側駆動モータ」と規定し、自側駆動モータとは別の駆動モータ34を「対側駆動モータ」と規定する。車両用走行装置10は、自側駆動モータにより駆動されるリアホイール32を「自側駆動ホイール」と規定し、対側駆動モータにより駆動されるリアホイール32を「対側駆動ホイール」と規定する。
【0037】
制御ユニット51の動作について説明する。
基準制御ユニットとしての制御ユニット51は、自側駆動モータに電流を供給することにより、自側駆動モータを駆動する。制御ユニット51は、モータ駆動制御、異常診断制御(図2参照)、および連結制御(図3参照)を実行する。制御ユニット51は、モータ駆動制御において、アクセルペダル60の踏み込み量およびブレーキペダル70の踏み込み量等に基づいて自側駆動モータを制御する。制御ユニット51は、異常診断制御において、自身に異常が発生しているか否かを診断する。制御ユニット51は、連結制御において、対側制御ユニットおよび対側駆動モータの少なくとも一方における異常の発生の有無に基づいて後輪連結装置40を制御する。
【0038】
制御ユニット51の異常は、自側駆動モータを適切に制御することが困難になる異常を示す。制御ユニット51の異常の具体例としては、製造上の問題に起因する制御ユニット51の機能不良、過度の温度上昇に起因する機能不良、および制御ユニット51内への異物等の侵入に起因するショートなどが挙げられる。なお、以下の説明においては、制御ユニット51の異常を「制御異常」として示す。また、制御異常のうちの基準制御ユニットの制御異常を「自側制御異常」として示す。また、制御異常のうちの対側制御ユニットの制御異常を「対側制御異常」として示す。
【0039】
駆動モータ34の異常は、制御ユニット51による駆動モータ34の制御が困難になる異常を示す。駆動モータ34の異常の具体例としては、駆動モータ34の駆動回路の機能不良、駆動モータ34の内部における断線、および外部装置と駆動モータ34との間における断線などが挙げられる。なお、以下の説明においては、駆動モータ34の異常を「モータ異常」として示す。また、モータ異常のうちの自側駆動モータのモータ異常を「自側モータ異常」として示す。また、制御異常のうちの対側駆動モータのモータ異常を「対側モータ異常」として示す。
【0040】
図2を参照して、異常診断制御について説明する。なお、異常診断制御は、各制御ユニット51において互いに独立して実行される。また、第1の制御ユニット51の異常診断制御は右系統異常診断制御の一例に該当する。また、第2の制御ユニット51の異常診断制御は異常診断制御の一例に該当する。また、図2を参照する以下の説明において、符号が付された各構成要素は、図1に記載される車両1の各構成要素を示している。
【0041】
制御ユニット51は、走行制御システム50がオン状態のとき、異常診断制御を繰り返し実行する。制御ユニット51は、異常診断制御において終了のステップに到達したとき、所定の演算周期が経過するまで次回の異常診断制御の開始を保留し、所定の演算周期が経過した後に次回の異常診断制御を開始する。制御ユニット51は、自側制御異常または自側モータ異常が発生していると判定した場合、終了のステップに到達したときに異常診断制御の実行を停止する。
【0042】
制御ユニット51は、異常診断制御におけるステップS110〜ステップS150の処理順序として、第1診断制御フロー、第2診断制御フロー、および第3診断制御フローを有する。制御ユニット51は、第1診断制御フローにおいて、ステップS110〜ステップS130の順に各処理を実行する。制御ユニット51は、第2診断制御フローにおいて、ステップS110、ステップS120、ステップS140、およびステップS150の順に各処理を実行する。制御ユニット51は、第3診断制御フローにおいて、ステップS110、ステップS140、およびステップS150の順に各処理を実行する。
【0043】
制御ユニット51は、ステップS110において、自側制御異常が発生しているか否かを判定する。制御ユニット51は、所定の自己異常診断プログラムを実行し、その結果に基づいて自側制御異常の発生の有無を判定する。
【0044】
制御ユニット51は、ステップS120において、自側モータ異常が発生しているか否かを判定する。制御ユニット51は、所定のモータ異常診断プログラムを実行し、その結果に基づいて自側モータ異常の発生の有無を判定する。
【0045】
制御ユニット51は、ステップS110およびステップS120において否定判定したとき、すなわち、自側制御異常および自側モータ異常が発生していないと判定したとき、ステップS130においてモータ駆動制御を継続する。
【0046】
制御ユニット51は、ステップS110またはステップS120において肯定判定したとき、すなわち、自側制御異常または自側モータ異常が発生していると判定したとき、ステップS140の処理に移行する。
【0047】
制御ユニット51は、ステップS140において、モータ駆動制御を停止する。すなわち、制御ユニット51は、自側駆動モータへの電流の供給を停止することにより、自側駆動モータの駆動を停止する。
【0048】
制御ユニット51は、ステップS150において、異常信号SSを対側制御ユニットに出力する。異常信号SSは、自側制御異常および自側モータ異常の少なくとも一方が発生していることを示す。なお、第1の制御ユニット51の異常信号SSは、右系統異常信号の一例に該当する。また、第2の制御ユニット51の異常信号SSは、左系統異常信号に該当する。
【0049】
図3を参照して、連結制御について説明する。なお、連結制御は、各制御ユニット51において互いに独立して実行される。また、図3を参照する以下の説明において、符号が付された各構成要素は、図1に記載される車両1の各構成要素を示している。
【0050】
制御ユニット51は、走行制御システム50がオン状態のとき、連結制御を繰り返し実行する。制御ユニット51は、連結制御において終了のステップに到達したとき、所定の演算周期が経過するまで次回の連結制御の開始を保留し、所定の演算周期が経過した後に次回の連結制御を開始する。
【0051】
制御ユニット51は、連結制御における各ステップS210〜ステップS280の処理順序として、第1連結制御フロー、第2連結制御フロー、および第3連結制御フローを有する。制御ユニット51は、第1連結制御フローにおいて、ステップS210〜ステップS270の順に各処理を実行する。制御ユニット51は、第2連結制御フローにおいて、ステップS210、ステップS220、およびステップS280の順に各処理を実行する。制御ユニット51は、第3連結制御フローにおいて、ステップS210〜ステップS280の全ての処理を実行することなく連結制御の1回の制御周期を終了する。
【0052】
制御ユニット51は、ステップS210において、自側制御異常または自側モータ異常が発生しているか否かを判定する。制御ユニット51は、異常診断制御(図2参照)において、自側制御異常または自側モータ異常が生じていると判定しているとき、連結制御を一旦終了する。
【0053】
制御ユニット51は、ステップS220において、対側制御ユニットから異常信号SSを受信しているか否かを判定する。制御ユニット51は、対側制御ユニットから異常信号SSを受信していると判定したとき、ステップS230に移行し、対側制御ユニットから異常信号SSを受信していないと判定したとき、ステップS280の処理に移行する。
【0054】
制御ユニット51は、ステップS230において自側駆動モータの駆動を停止する。すなわち、制御ユニット51は、自側駆動モータへの電流の供給を停止することにより、自側駆動ホイールの駆動力を低下させる。
【0055】
制御ユニット51は、ステップS240において、自側駆動モータの駆動を停止した時点を基準として、この時点からの経過時間(以下、「待機時間TA」)のカウントを開始する。制御ユニット51は、ステップS260の処理に移行するまで待機時間TAのカウントを継続し、ステップS260に移行したときに待機時間TAを初期化する。なお、第1の制御ユニット51の待機時間TAは、右系統待機時間の一例に該当する。また、第2の制御ユニット51の待機時間TAは、左系統待機時間の一例に該当する。
【0056】
対側制御ユニットとしての別の制御ユニット51は、異常診断制御(図3参照)において自側制御異常または自側モータ異常が発生していると判定したとき、自側駆動モータへの電流の供給を停止するとともに異常信号SSを出力する。このため、ステップS240の待機時間TAは、対側制御ユニット(別の制御ユニット51)による駆動モータ34への電流の供給が停止された時点を基準としたとき、この基準の時点からの経過時間と実質的に同じ大きさを示す。なお、上記別の制御ユニット51に関する説明において、自側制御異常、自側モータ異常、および自側駆動モータは、別の制御ユニット51からみたときの制御異常、モータ異常、および駆動モータ34を示す。
【0057】
制御ユニット51は、ステップS250において、待機時間TAが判定時間TX以上か否かを判定する。制御ユニット51は、待機時間TAが判定時間TX未満の大きさから判定時間TX以上の大きさに変化するまで、ステップS250の判定処理を所定の演算周期毎に繰り返し実行する。なお、第1の制御ユニット51の判定時間TXは、右系統判定時間の一例に該当する。また、第2の制御ユニット51の判定時間TXは、左系統判定時間の一例に該当する。
【0058】
判定時間TXは、右側のリアホイール32の駆動力と左側のリアホイール32の駆動力との差(以下、「リア駆動力差」)が所定駆動力差未満の大きさまで低下したか否かを判定するための時間として、試験等の結果に基づいて予め定められている。所定駆動力差は、クラッチ43を接続動作状態に変更することに起因して、車両1の挙動に大きな影響を及ぼすレベルの衝撃(以下、「許容外衝撃」)が発生するおそれが十分に小さいことを判定するためのリア駆動力差を示す。車両用走行装置10においては、リア駆動力差が所定駆動力差よりも小さいとき、クラッチ43を接続動作状態に変更することに起因して許容外衝撃が発生するおそれが十分に小さい。
【0059】
制御ユニット51は、待機時間TAが判定時間TX以上の大きさに変化したと判定したとき、ステップS260において、アクチュエータ44に電流を供給することによりクラッチ43の動作状態を切断動作状態から接続動作状態に変更する。すなわち、制御ユニット51は、クラッチ43を駆動することにより、右連結シャフト41と左連結シャフト42とを互いに接続する。
【0060】
制御ユニット51は、ステップS270において、自側駆動モータの駆動を再開する。すなわち、制御ユニット51は、自側駆動ホイールおよび対側駆動ホイールの双方に自側駆動モータのトルクを入力する。
【0061】
制御ユニット51は、ステップS220からステップS280に移行したとき、ステップS280において、クラッチ43の動作状態を切断動作状態に保持する。すなわち、制御ユニット51は、右連結シャフト41と左連結シャフト42とが互いに切断された状態を保持する。
【0062】
図1を参照して、車両用走行装置10の動作および作用について説明する。
第1の制御ユニット51は、対側制御異常または対側モータ異常が発生しているとき、かつ自側制御異常および自側モータ異常が発生していないとき、クラッチ43により右連結シャフト41と左連結シャフト42とを互いに接続する。
【0063】
このため、左側の駆動モータ34が適切に駆動しないおそれがあるとき、右側の駆動モータ34のトルクが右側のリアホイール32および左側のリアホイール32の双方に入力される。このため、右側のリアホイール32および左側のリアホイール32においては、右側の駆動モータ34から入力されるトルクにより実質的に同じ大きさの駆動力が発生する。このため、リア駆動力差が過度に大きくなることに起因して、車両1の走行に関する直進性が低下することが抑制される。すなわち、対側制御異常または対側モータ異常の発生に起因して、対側駆動ホイールに適切な大きさの駆動力を発生させることが困難となるおそれがある場合において、車両1の走行に関する直進性が低下することが抑制される。
【0064】
第2の制御ユニット51は、対側制御異常または対側モータ異常が発生しているとき、かつ自側制御異常および自側モータ異常が発生していないとき、クラッチ43により左連結シャフト42と右連結シャフト41とを互いに接続する。
【0065】
このため、右側の駆動モータ34が適切に駆動しないおそれがあるとき、左側の駆動モータ34のトルクが左側のリアホイール32および右側のリアホイール32の双方に入力される。このため、左側のリアホイール32および右側のリアホイール32においては、左側の駆動モータ34から入力されるトルクにより実質的に同じ大きさの駆動力が発生する。このため、リア駆動力差が過度に大きくなることに起因して、車両1の走行に関する直進性が低下することが抑制される。すなわち、対側制御異常または対側モータ異常の発生に起因して、対側駆動ホイールに適切な大きさの駆動力を発生させることが困難となるおそれがある場合において、車両1の走行に関する直進性が低下することが抑制される。
【0066】
本実施形態の車両用走行装置10は以下の効果を奏する。
(1)車両用走行装置10は、後輪連結装置40を有する。この構成によれば、後輪連結装置40により右側の駆動モータ34と左側の駆動モータ34とを互いに連結することにより、右側のリアホイール32および左側のリアホイール32の駆動力に大きな差が生じることを抑制することができる。このため、車両1の状態に応じて車両1の走行に関する直進性を確保することができる。また、車両用走行装置10においては、クラッチ43により右連結シャフト41と左連結シャフト42とを互いに切断することにより、各リアホイール32の駆動力を互いに独立して制御することが可能になる。このため、各リアホイール32の機械的な連結により直進性が確保される状態と、各リアホイール32の駆動力を互いに独立して制御することが可能な状態とを、車両1の状態に応じて柔軟に選択することができる。
【0067】
(2)制御ユニット51は、制御異常およびモータ異常が発生していないとき、右連結シャフト41と左連結シャフト42とを互いに切断する。この構成によれば、後輪走行装置30および走行制御システム50の異常が発生していないとき、自側駆動モータと対側駆動ホイールとの間におけるトルクの伝達が遮断される。また、対側駆動モータと自側駆動ホイールとの間におけるトルクの伝達が遮断される。このため、各リアホイール32の駆動力を互いに独立して制御することができる。
【0068】
(3)制御ユニット51は、対側制御異常または対側モータ異常が発生しているとき、右連結シャフト41と左連結シャフト42とを互いに接続する。この構成によれば、対側制御異常または対側モータ異常の発生に起因して、車両1の走行に関する直進性が低下することが抑制される。
【0069】
(4)制御ユニット51は、自側制御異常または自側モータ異常が発生しているとき、自側駆動モータの駆動を停止する。この構成によれば、一方の制御ユニット51の制御異常、または一方の駆動モータ34のモータ異常が発生しているとき、他方の駆動モータ34のみを用いて各リアホイール32を駆動することができる。このため、車両1の挙動が不安定になることが抑制される。
【0070】
(5)制御ユニット51は、対側制御ユニットの異常信号SSを受信したことに基づいて、右連結シャフト41と左連結シャフト42とを互いに接続する。この構成によれば、対側制御異常または対側モータ異常が発生しているとき、自側駆動モータのトルクを的確に自側駆動ホイールおよび対側駆動ホイールの双方に入力することができる。
【0071】
(6)車両用走行装置10は、車両1の走行中において制御異常またはモータ異常が発生したとき、クラッチ43の動作状態をすぐに切断動作状態から接続動作状態に変更することが可能な構成を有する。しかし、制御異常またはモータ異常の発生時においてクラッチ43の動作状態をすぐに接続動作状態に変更した場合には、リア駆動力差に起因して大きな衝撃が発生するおそれがある。
【0072】
制御ユニット51は、以上の事項を踏まえて、対側制御異常または対側モータ異常が発生したとき、クラッチ43の動作状態を接続動作状態に変更する前にまずは自側駆動モータの駆動を停止する。このため、自側駆動ホイールの駆動力が低下することにより、リア駆動力差が減少する。そして制御ユニット51は、待機時間TAが判定時間TX以上の大きさに変化した後、すなわち、リア駆動力差が小さいと予測されるとき、クラッチ43の動作状態を接続動作状態に変更する。このため、クラッチ43の動作状態を接続動作状態に変更したときに大きな衝撃が発生することが抑制される。また、制御ユニット51は、待機時間TAが判定時間TX以上の大きさに変化した後、自側駆動モータの駆動を再開する制御を実行する。このため、車両1の走行を継続するために必要な駆動力が自側駆動ホイールおよび対側駆動ホイールの双方において確保される。
【0073】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態以外の実施形態を含む。以下、本発明のその他の実施形態としての上記実施形態の変形例を示す。なお、以下の各変形例は、互いに組み合わせることもできる。
【0074】
・実施形態の制御ユニット51は、連結制御(図3参照)において、自側駆動モータの駆動を停止してからの経過時間を待機時間TAとしてカウントする。ただし、待機時間TAのカウント方法は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の制御ユニット51は、対側制御ユニットの異常信号SSを受信してからの経過時間を待機時間TAとしてカウントする。
【0075】
・実施形態の走行制御システム50は、各制御ユニット51において同じ方法により待機時間TAをカウントする。ただし、各制御ユニット51における待機時間TAのカウント方法の関係は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の走行制御システム50は、各制御ユニット51において互いに異なる方法により待機時間TAをカウントする。この変形例における一方の制御ユニット51は、自側駆動モータの駆動を停止してからの経過時間を待機時間TAとしてカウントする。また、この変形例における他方の制御ユニット51は、対側制御ユニットの異常信号SSを受信してからの経過時間を待機時間TAとしてカウントする。
【0076】
・実施形態の制御ユニット51は、異常診断制御(図2参照)において、自側制御異常が発生しているか否かの判定(ステップS110)と、自側モータ異常が発生しているか否かの判定(ステップS120)とを個別に実行する。ただし、自動制御異常および自側モータ異常の発生に関する判定手順は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の制御ユニット51は、ステップS110およびステップS120の処理に代えて、自側制御異常および自側モータ異常の少なくとも一方が発生しているか否かを判定する処理(以下、「一括判定処理」)を実行する。この変形例の制御ユニット51は、一括判定処理により自側制御異常および自側モータ異常の少なくとも一方が発生していると判定したとき、ステップS140の処理に移行する。
【0077】
・実施形態の走行制御システム50は、各制御ユニット51において同じ方法により、モータ駆動制御の継続および停止に関する判定(以下、「駆動制御判定」)を行う。ただし、各制御ユニット51における駆動制御判定の関係は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の走行制御システム50は、各制御ユニット51において互いに異なる方法により駆動制御判定を行う。この変形例における一方の制御ユニット51は、実施形態の異常診断制御と同じ方法を用いて駆動制御判定を行う。また、この変形例における他方の制御ユニット51は、上記一括判定処理を用いて駆動制御判定を行う。
【0078】
・実施形態の制御ユニット51は、連結制御(図3参照)において、ステップS230〜ステップS250の処理を実行する。ただし、連結制御におけるクラッチ43の制御方法は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の制御ユニット51は、ステップS230〜ステップS250の処理を省略する。すなわち、変形例の制御ユニット51は、対側制御ユニットの異常信号SSを受信したとき、クラッチ43の動作状態をすぐに接続動作状態に変更する。
【0079】
・実施形態の制御ユニット51は、連結制御(図3参照)において対側制御ユニットから異常信号SSを受信したとき、自側駆動モータの駆動を停止する。また、実施形態の制御ユニット51は、待機時間TAが判定時間TX以上のとき、自側駆動モータの駆動を再開する。ただし、連結制御における自側駆動モータの制御方法は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の制御ユニット51は、対側制御ユニットから異常信号SSを受信したとき、自側駆動モータの駆動を継続し、かつ異常信号SSを受信する前の自側駆動モータの出力と比較して、自側駆動モータの出力を低下させる。また、この変形例の制御ユニット51は、自側駆動モータの駆動を低下させる制御を開始した時点を基準として、この基準の時点からの経過時間を待機時間TAとしてカウントする。また、この変形例の制御ユニット51は、待機時間TAが判定時間TX未満から判定時間TX以上の大きさに変化したとき、自側駆動モータの出力を増加させる制御を実行する。この変形例の構成によれば、対側制御異常または対側モータ異常が発生してからクラッチ43の動作状態を接続動作状態に変更するまでの期間において、リア駆動力差が減少する。このため、クラッチ43の動作状態を接続動作状態に変更したときに大きな衝撃が発生することが抑制される。また、車両1の走行を継続するために必要な駆動力が自側駆動ホイールおよび対側駆動ホイールの双方において確保される。
【0080】
・実施形態の制御ユニット51は、クラッチ43を接続動作状態に変更するときの衝撃の発生を抑制するための制御として、連結制御(図3参照)のステップS230〜ステップS250の処理を実行する。ただし、連結制御における衝撃の発生を抑制するための制御方法は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の制御ユニット51は、ステップS230〜ステップS250の処理に代えて、クラッチ43の半クラッチ制御を実行することにより衝撃の発生を抑制する。半クラッチ制御は、クラッチ43の動作状態を切断動作状態から接続動作状態に変更する過程においてクラッチ43の半クラッチ状態を形成する。
【0081】
・実施形態の走行制御システム50は、各制御ユニット51において互い同じ大きさの判定時間TXを有する。ただし、各制御ユニット51における判定時間TXの関係は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の走行制御システム50は、各制御ユニット51において互い異なる大きさの判定時間TXを有する。
【0082】
・実施形態の制御ユニット51は、自側制御異常または自側モータ異常が発生し、かつ対側制御異常または対側モータ異常が発生しているとき、クラッチ43の動作状態を変更しない。ただし、各異常の発生時におけるクラッチ43の制御方法は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の制御ユニット51は、自側制御異常および自側モータ異常の少なくとも一方が発生し、かつ対側制御異常および対側モータ異常の少なくとも一方が発生しているとき、クラッチ43の動作状態を切断動作状態から接続動作状態に変更する。
【0083】
・実施形態の制御ユニット51は、異常診断制御(図2参照)および連結制御(図3参照)を実行する。ただし、制御ユニット51が実行する制御の内容は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の制御ユニット51は、異常診断制御および連結制御が省略された構成を有する。
【0084】
・実施形態の走行制御システム50は、互いに独立した部品としての1組の制御ユニット51が車載LAN52により接続された構成を有する。ただし、各制御ユニット51のハード構成は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の走行制御システム50は、1個の制御ユニット内に1組の制御ユニット51が組み込まれた構成を有する。また、この変形例の走行制御システム50は、各制御ユニット51間において互いに通信するための回路を有する。
【0085】
・実施形態の後輪走行装置30は、モータ本体34Aの全体がリアホイール32の外部に配置された構成を有する。ただし、駆動モータ34のハード構成は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の後輪走行装置30は、モータ本体34Aの全体がリアホイール32の内部に配置された構成を有する。また、別の変形例の後輪走行装置30は、モータ本体34Aの一部分がリアホイール32の内部に配置され、モータ本体34Aの残りの部分がリアホイール32の外部に配置された構成を有する。
【0086】
・実施形態の車両用走行装置10は、前輪走行装置20および後輪走行装置30のうちの後輪走行装置30のみにおいて駆動力を発生させる構成を有する。ただし、車両用走行装置10の駆動方式は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の車両用走行装置10は、実施形態の構成に加えて、第2右駆動モータ、第2左駆動モータ、第3の制御ユニット、第4の制御ユニット、および前輪連結装置を有する。
【0087】
第2右駆動モータは、右側のフロントホイール21を駆動する。第2右駆動モータは、右側の駆動モータ34に対応した構成を有する。第2左駆動モータは、左側のフロントホイール21を駆動する。第2左駆動モータは、左側の駆動モータ34に対応した構成を有する。第3の制御ユニットは、第2右駆動モータを制御する。第3の制御ユニットは、第1の制御ユニット51に対応した構成を有する。第4の制御ユニットは、第2左駆動モータを制御する。第4の制御ユニットは、第2の制御ユニット51に対応した構成を有する。前輪連結装置は、第2右駆動モータと第2左駆動モータとを互いに接続および切断する。前輪連結装置は、後輪連結装置40に対応した構成を有する。
【0088】
上記変形例を「第1変形例」としたとき、この第1変形例の車両用走行装置10の走行制御システム50は、各制御ユニット51に関する構成として以下の(a)〜(c)のいずれか1つの構成を有する。
【0089】
(a)第1の制御ユニット51は、モータ駆動制御、異常診断制御、および連結制御を実行する。第3の制御ユニットは、モータ駆動制御に準じた制御、異常診断制御に準じた制御、および連結制御に準じた制御を実行する。第2の制御ユニット51は、モータ駆動制御、異常診断制御、および連結制御を実行する。第4の制御ユニットは、モータ駆動制御に準じた制御、異常診断制御に準じた制御、および連結制御に準じた制御を実行する。
【0090】
(b)第1の制御ユニット51は、モータ駆動制御を実行し、異常診断制御および連結制御を実行しない。第3の制御ユニットは、モータ駆動制御に準じた制御、異常診断制御に準じた制御、および連結制御に準じた制御を実行する。第2の制御ユニット51は、モータ駆動制御を実行し、異常診断制御および連結制御を実行しない。第4の制御ユニットは、モータ駆動制御に準じた制御、異常診断制御に準じた制御、および連結制御に準じた制御を実行する。
【0091】
(c)制御ユニット51は、モータ駆動制御、異常診断制御、および連結制御を実行する。第3の制御ユニットは、モータ駆動制御に準じた制御を実行し、異常診断制御に準じた制御、および連結制御に準じた制御を実行しない。第2の制御ユニット51は、モータ駆動制御、異常診断制御、および連結制御を実行する。第4の制御ユニットは、モータ駆動制御に準じた制御を実行し、異常診断制御に準じた制御、および連結制御に準じた制御を実行しない。
【0092】
・上記(a)または(b)の変形例の走行制御システム50において、第3の制御ユニットおよび第4の制御ユニットの少なくとも一方から、異常診断制御に準じた制御、および連結制御に準じた制御を省略することもできる。
【0093】
・上記(c)の変形例の走行制御システム50において、第3の制御ユニットおよび第4の制御ユニットの少なくとも一方に対して、異常診断制御に準じた制御、および連結制御に準じた制御を加えることもできる。
【0094】
・上記第1変形例の車両用走行装置10は、実施形態の構成に加えて、第2右駆動モータ、第2左駆動モータ、第3の制御ユニット、第4の制御ユニット、および前輪連結装置を有する。一方、別の変形例の車両用走行装置10は、実施形態の構成に代えて、第2右駆動モータ、第2左駆動モータ、第3の制御ユニット、第4の制御ユニット、および前輪連結装置を有する。
【0095】
上記変形例を「第2変形例」としたとき、この第2変形例の車両用走行装置10の走行制御システム50は、第3の制御ユニットおよび第4の制御ユニットに関する構成として以下の(d)〜(f)のいずれか1つの構成を有する。
【0096】
(d)第3の制御ユニットは、モータ駆動制御に準じた制御、異常診断制御に準じた制御、および連結制御に準じた制御を実行する。第4の制御ユニットは、モータ駆動制御に準じた制御、異常診断制御に準じた制御、および連結制御に準じた制御を実行する。
【0097】
(e)第3の制御ユニットは、モータ駆動制御に準じた制御を実行し、異常診断制御に準じた制御、および連結制御に準じた制御を実行しない。第4の制御ユニットは、モータ駆動制御に準じた制御、異常診断制御に準じた制御、および連結制御に準じた制御を実行する。
【0098】
(f)第3の制御ユニットは、モータ駆動制御に準じた制御、異常診断制御に準じた制御、および連結制御に準じた制御を実行する。第4の制御ユニットは、モータ駆動制御に準じた制御を実行し、異常診断制御に準じた制御、および連結制御に準じた制御を実行しない。
【0099】
・実施形態の車両用走行装置10は、後輪走行装置30にステアリング装置を有していない。ただし、車両用走行装置10における操舵方式は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の車両用走行装置10は、後輪走行装置30にステアリング装置を有する。
【0100】
・実施形態の走行制御システム50は、後輪走行装置30または走行制御システム50における異常の発生の有無に基づいて後輪連結装置40を制御する。ただし、後輪連結装置40の制御方法は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の走行制御システム50は、異常の発生の有無に基づく制御に代えて、または異常の発生の有無に基づく制御に加えて、以下の(g)および(h)の少なくとも一方の制御を実行する。
【0101】
(g)走行制御システム50は、運転者による連結用操作スイッチの操作により、右側の駆動モータ34と左側の駆動モータ34とを互いに連結することが要求されたとき、後輪連結装置40により各駆動モータ34を互いに接続する。走行制御システム50は、運転者による連結用操作スイッチの操作により、各駆動モータ34の連結を解除することが要求されたとき、後輪連結装置40により右側の駆動モータ34と左側の駆動モータ34とを互いに切断する。
【0102】
(h)走行制御システム50は、運転者によるステアリングホイール23等の操作に基づくことなく車両1の走行を制御する自動走行モードを実行しているとき、所定の連結条件に基づいて後輪連結装置40を制御する。走行制御システム50は、所定の連結条件が成立するとき、後輪連結装置40により右側の駆動モータ34と左側の駆動モータ34とを互いに接続する。走行制御システム50は、所定の連結条件が成立しないとき、後輪連結装置40により右側の駆動モータ34と左側の駆動モータ34とを互いに切断する。
【0103】
所定の連結条件としては、例えば、自動走行モードの実行中において、車両1が所定距離にわたり直進走行することが予定されていること等が挙げられる。また、自動走行モードとしては、例えばレーンキープアシストシステムにより実行される自動走行モードが挙げられる。
【0104】
・実施形態の車両1は、1個の右系統側駆動装置、1個の左系統側駆動装置、2個の従動輪(1組のフロントホイール21)を有する。1個の右系統側駆動装置は、1個の駆動輪(右側のリアホイール32)、1個の駆動モータ(右側の駆動モータ34)、および1個の制御ユニット(第1の制御ユニット51)の集合体として構成される。1個の左系統側駆動装置は、1個の駆動輪(左側のリアホイール32)、1個の駆動モータ(左側の駆動モータ34)、および1個の制御ユニット(第2の制御ユニット51)の集合体として構成される。ただし、車両1の構成は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の車両は、以下の(i)〜(n)のいずれかの構成を有する。
(i)変形例の車両は、1個の右系統側駆動装置、および1個の左系統側駆動装置を有し、従動輪を有していない。
(j)変形例の車両は、1個の右系統側駆動装置、1個の左系統側駆動装置、および1個の従動輪を有する。
(k)変形例の車両は、1個の右系統側駆動装置、1個の左系統側駆動装置、および3個以上の従動輪を有する。
(l)変形例の車両は、2個以上の右系統側駆動装置、および2個以上の左系統側駆動装置を有し、従動輪を有していない。
(m)変形例の車両は、2個以上の右系統側駆動装置、2個以上の左系統側駆動装置、および1個の従動輪を有する。
(n)変形例の車両は、2個以上の右系統側駆動装置、2個以上の左系統側駆動装置、および2個以上の従動輪を有する。
【符号の説明】
【0105】
1…車両
10…車両用走行装置
20…前輪走行装置、21…フロントホイール、22…ステアリング装置、23…ステアリングホイール
30…後輪走行装置(駆動走行装置)、31…走行ユニット、32…リアホイール(右駆動輪、左駆動輪)、33…ホイールハブ、34…駆動モータ(右駆動モータ、左駆動モータ)、34A…モータ本体、34B…ロータシャフト
40…後輪連結装置(連結装置)、41…右連結シャフト、42…左連結シャフト、43…クラッチ、44…アクチュエータ
50…走行制御システム、51…制御ユニット(右制御ユニット、左制御ユニット)、52…車載LAN
60…アクセルペダル、70…ブレーキペダル、80…バッテリ
SS…異常信号、TS…待機時間(右系統待機時間、左系統待機時間)、TX…判定時間(右系統判定時間、左系統判定時間)
図1
図2
図3