特許第6002857号(P6002857)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6002857インクジェット用光及び熱硬化性接着剤、半導体装置の製造方法及び電子部品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6002857
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】インクジェット用光及び熱硬化性接着剤、半導体装置の製造方法及び電子部品
(51)【国際特許分類】
   C09J 4/02 20060101AFI20160923BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20160923BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20160923BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20160923BHJP
   H05K 3/10 20060101ALI20160923BHJP
   H05K 3/38 20060101ALI20160923BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20160923BHJP
【FI】
   C09J4/02
   C09J5/00
   C09J5/06
   C09J11/06
   H05K3/10 D
   H05K3/38 E
   H01L21/52 E
【請求項の数】15
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2015-548085(P2015-548085)
(86)(22)【出願日】2015年9月18日
(86)【国際出願番号】JP2015076678
【審査請求日】2016年2月8日
(31)【優先権主張番号】特願2014-232996(P2014-232996)
(32)【優先日】2014年11月17日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-144911(P2015-144911)
(32)【優先日】2015年7月22日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷川 満
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 貴志
(72)【発明者】
【氏名】藤田 悠介
(72)【発明者】
【氏名】藤田 義人
(72)【発明者】
【氏名】上田 倫久
(72)【発明者】
【氏名】乾 靖
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良輔
(72)【発明者】
【氏名】井上 孝徳
【審査官】 牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/058998(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/058996(WO,A1)
【文献】 特開2007−258425(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/154314(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/004569(WO,A1)
【文献】 特開2010−264689(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/076235(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00〜201/10
H01L 21/52
H01L 25/065、25/07、25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光及び熱硬化性化合物と、光硬化性化合物(前記光及び熱硬化性化合物を除く)と、熱硬化性化合物(前記光及び熱硬化性化合物を除く)、光重合開始剤と、熱硬化剤とを含み、
前記光及び熱硬化性化合物が、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルを含み、
接着剤100重量%中、前記光及び熱硬化性化合物の含有量が、0.5重量%以上、80重量%未満であり、
接着剤100重量%中、前記光硬化性化合物と前記光及び熱硬化性化合物との合計の含有量が、10重量%以上、80重量%以下であり、
365nmでの照度が100mW/cmになるように積算光量1000mJ/cmの光を接着剤に照射してBステージ化接着剤を得たときに、前記Bステージ化接着剤の25℃での弾性率が5.0×10Pa以上、8.0×10Pa以下である、インクジェット用光及び熱硬化性接着剤。
【請求項2】
前記光硬化性化合物が、光硬化性反応基を1個有する光硬化性化合物と、光硬化性反応基を2個以上有する光硬化性化合物とを含む、請求項1に記載のインクジェット用光及び熱硬化性接着剤。
【請求項3】
前記光硬化性反応基を1個有する光硬化性化合物の前記光硬化性反応基が(メタ)アクリロイル基であり、
前記光硬化性反応基を2個有する光硬化性化合物の前記光硬化性反応基が(メタ)アクリロイル基である、請求項2に記載のインクジェット用光及び熱硬化性接着剤。
【請求項4】
記光硬化性化合物の全体と、前記光及び熱硬化性化合物との合計100重量%中、前記光硬化性反応基を2個以上有する光硬化性化合物の含有量が0.1重量%以上、30重量%以下である、請求項2又は3に記載のインクジェット用光及び熱硬化性接着剤。
【請求項5】
前記光硬化性反応基を1個有する光硬化性化合物が、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートを含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載のインクジェット用光及び熱硬化性接着剤。
【請求項6】
JIS K2283に準拠して測定された25℃及び10rpmでの粘度が5mPa・s以上、1600mPa・s以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット用光及び熱硬化性接着剤。
【請求項7】
溶剤を含まないか又は含み、
接着剤が前記溶剤を含む場合には、前記溶剤の含有量が1重量%以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット用光及び熱硬化性接着剤。
【請求項8】
フィラーを含まないか又は含み、
接着剤が前記フィラーを含む場合には、前記フィラーの含有量が1重量%以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット用光及び熱硬化性接着剤。
【請求項9】
半導体素子搭載用の支持部材又は半導体素子の表面上に、インクジェット装置を用いて、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット用光及び熱硬化性接着剤を塗布して、接着剤層を形成する塗布工程と、
光の照射により前記接着剤層の硬化を進行させて、Bステージ化接着剤層を形成する工程と、
前記Bステージ化接着剤層の前記支持部材又は前記半導体素子側とは反対の表面上に、半導体素子を積層する工程と、
前記半導体素子の積層後に、前記Bステージ化接着剤層を熱硬化させる工程とを備える、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
半導体ウェハの表面上に、インクジェット装置を用いて、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット用光及び熱硬化性接着剤を吐出して、接着剤層を形成する塗布工程と、
光の照射により前記接着剤層の硬化を進行させて、Bステージ化接着剤層を形成する工程と、
前記Bステージ化接着剤層の前記半導体ウェハ側とは反対の表面上に、カバーガラスを積層して、積層体を得る工程と、
前記積層体における前記Bステージ化接着剤層を熱硬化させる工程と、
熱硬化後に前記積層体を切断する工程とを備える、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記Bステージ化接着剤層の25℃での弾性率を5.0×10Pa以上、8.0×10Pa以下にする、請求項又は10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記インクジェット装置が、前記インクジェット用光及び熱硬化性接着剤が貯留されるインクタンクと、前記インクタンクと接続されておりかつ前記インクジェット用光及び熱硬化性接着剤が吐出される吐出部と、一端が前記吐出部に接続されており、他端が前記インクタンクに接続されており、かつ内部を前記インクジェット用光及び熱硬化性接着剤が流れる循環流路部とを有し、
前記塗布工程において、前記インクジェット装置内で、前記インクジェット用光及び熱硬化性接着剤を前記インクタンクから前記吐出部に移動させた後に、前記吐出部から吐出されなかった前記インクジェット用光及び熱硬化性接着剤を、前記循環流路部内を流して前記インクタンクに移動させることにより、前記インクジェット用光及び熱硬化性接着剤を循環させながら、塗布する、請求項11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
循環されている前記インクジェット用光及び熱硬化性接着剤の温度が40℃以上、100℃以下である、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
第1の電子部品本体と、第2の電子部品本体と、前記第1の電子部品本体と前記第2の電子部品本体とを接続している接着剤層とを備え、
前記接着剤層が、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット用光及び熱硬化性接着剤の硬化物である、電子部品。
【請求項15】
前記第1の電子部品本体が半導体素子搭載用の支持部材又は半導体素子であり、
前記第2の電子部品本体が半導体素子である、請求項14に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット装置を用いて塗布されて用いられるインクジェット用光及び熱硬化性接着剤に関する。また、本発明は、上記接着剤を用いる半導体装置の製造方法、並びに上記接着剤を用いた電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子と基板等の支持部材との接合には、半導体素子固定用接着剤としてペースト状の接着剤が主に使用されている。近年、半導体素子の小型化、半導体パッケージの小型化、高性能化に伴って、使用される支持部材にも小型化が要求されている。こうした要求に対して、ペースト状の接着剤では、ぬれ拡がり、はみ出しなどの問題が発生している。また、ペースト状の接着剤では厚み制御が困難であり、この結果、半導体素子が傾いて、ワイヤボンディングの不具合等の問題が発生している。このため、近年の半導体パッケージには、従来のペースト状の接着剤を用いる接合では、十分に対処できなくなってきている。
【0003】
また、近年、下記の特許文献1に記載されるように、フィルム状の接着剤層を有する接着シートが使用されるようになっている。
【0004】
この接着シートを用いた接合方法では、まず、半導体ウェハの裏面に接着シート(接着剤層)を貼付け、更に接着剤層の他方の面にダイシングシートを貼り合わせる。その後、ダイシングによって、接着剤層が貼り合わされた状態で半導体ウェハを個片化して半導体素子を得る。次いで接着剤層付きの半導体素子をピックアップして、支持部材に接合する。その後、ワイヤボンド、封止等の組立工程を経て、半導体装置が得られる。
【0005】
しかし、接着シートを用いた半導体装置の製造では、接着シートがダイシング時の切断刃にまとわりつくことで、切断性が低下し、半導体チップが欠けて歩留まりが低下するという問題がある。また、基板等の支持部材には配線パターン等の段差があるために、段差部分にボイドが残りやすい。ボイドは信頼性を悪化させる原因になる。
【0006】
また、特許文献2では、放射線重合性化合物と、光開始剤と、熱硬化性樹脂とを含有する接着剤が開示されている。しかしこのような接着剤では、光硬化後の弾性率が高く、配線パターンの段差のある基板では、接着剤層の厚み精度が低くなり、ボイドが発生し、信頼性が低くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平3−192178号公報
【特許文献2】WO2011/058998A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、インクジェット装置を用いて塗布されて用いられ、接着剤が硬化した接着剤層の厚み精度を高めることができ、更に接着剤層にボイドを生じ難くすることができるインクジェット用光及び熱硬化性接着剤を提供することである。また、本発明は、上記接着剤を用いる半導体装置の製造方法、並びに上記接着剤を用いた電子部品を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の広い局面によれば、光硬化性化合物と、熱硬化性化合物と、光重合開始剤と、熱硬化剤とを含み、365nmでの照度が100mW/cmになるように積算光量1000mJ/cmの光を接着剤に照射してBステージ化接着剤を得たときに、前記Bステージ化接着剤の25℃での弾性率が5.0×10Pa以上、8.0×10Pa以下である、インクジェット用光及び熱硬化性接着剤が提供される。
【0010】
本発明に係る接着剤のある特定の局面では、前記光硬化性化合物が、光硬化性反応基を1個有する光硬化性化合物と、光硬化性反応基を2個以上有する光硬化性化合物とを含む。
【0011】
本発明に係る接着剤のある特定の局面では、前記光硬化性反応基を1個有する光硬化性化合物の前記光硬化性反応基が(メタ)アクリロイル基であり、前記光硬化性反応基を2個有する光硬化性化合物の前記光硬化性反応基が(メタ)アクリロイル基である。
【0012】
本発明に係る接着剤のある特定の局面では、前記接着剤が、光及び熱硬化性化合物を含まないか又は含み、前記接着剤が前記光及び熱硬化性化合物を含まない場合には、前記光硬化性化合物の全体100重量%中、前記光硬化性反応基を2個以上有する光硬化性化合物の含有量が0.1重量%以上、30重量%以下であり、前記接着剤が前記光及び熱硬化性化合物を含む場合には、前記光硬化性化合物の全体と、前記光及び熱硬化性化合物との合計100重量%中、前記光硬化性反応基を2個以上有する光硬化性化合物の含有量が0.1重量%以上、30重量%以下である。
【0013】
本発明に係る接着剤のある特定の局面では、前記光硬化性反応基を1個有する光硬化性化合物が、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートを含む。
【0014】
本発明に係る接着剤のある特定の局面では、前記熱硬化性化合物が、エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物を含む。
【0015】
本発明に係る接着剤のある特定の局面では、前記接着剤は、光及び熱硬化性化合物を含む。
【0016】
本発明に係る接着剤のある特定の局面では、前記熱硬化性化合物が、エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物を含み、前記光及び熱硬化性化合物が、(メタ)アクリロイル基を有する光及び熱硬化性化合物を含む。
【0017】
本発明に係る接着剤のある特定の局面では、前記光及び熱硬化性化合物が、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルを含む。
【0018】
本発明に係る接着剤のある特定の局面では、JIS K2283に準拠して測定された25℃及び10rpmでの粘度が5mPa・s以上、1600mPa・s以下である。
【0019】
本発明に係る接着剤のある特定の局面では、前記接着剤が溶剤を含まないか又は含み、前記接着剤が前記溶剤を含む場合には、前記溶剤の含有量が1重量%以下である。
【0020】
本発明に係る接着剤のある特定の局面では、前記接着剤がフィラーを含まないか又は含み、前記接着剤が前記フィラーを含む場合には、前記フィラーの含有量が1重量%以下である。
【0021】
本発明の広い局面によれば、半導体素子搭載用の支持部材又は半導体素子の表面上に、インクジェット装置を用いて、上述したインクジェット用光及び熱硬化性接着剤を塗布して、接着剤層を形成する塗布工程と、光の照射により前記接着剤層の硬化を進行させて、Bステージ化接着剤層を形成する工程と、前記Bステージ化接着剤層の前記支持部材又は前記半導体素子側とは反対の表面上に、半導体素子を積層する工程と、前記半導体素子の積層後に、前記Bステージ化接着剤層を熱硬化させる工程とを備える、半導体装置の製造方法が提供される。
【0022】
本発明の広い局面によれば、半導体ウェハの表面上に、インクジェット装置を用いて、上述したインクジェット用光及び熱硬化性接着剤を吐出して、接着剤層を形成する塗布工程と、光の照射により前記接着剤層の硬化を進行させて、Bステージ化接着剤層を形成する工程と、前記Bステージ化接着剤層の前記半導体ウェハ側とは反対の表面上に、カバーガラスを積層して、積層体を得る工程と、前記積層体における前記Bステージ化接着剤層を熱硬化させる工程と、熱硬化後に前記積層体を切断する工程とを備える、半導体装置の製造方法が提供される。
【0023】
本発明に係る半導体装置の製造方法のある特定の局面では、前記Bステージ化接着剤層の25℃での弾性率を5.0×10Pa以上、8.0×10Pa以下にする。
【0024】
本発明に係る半導体装置の製造方法のある特定の局面では、前記インクジェット装置が、前記インクジェット用光及び熱硬化性接着剤が貯留されるインクタンクと、前記インクタンクと接続されておりかつ前記インクジェット用光及び熱硬化性接着剤が吐出される吐出部と、一端が前記吐出部に接続されており、他端が前記インクタンクに接続されており、かつ内部を前記インクジェット用光及び熱硬化性接着剤が流れる循環流路部とを有し、前記塗布工程において、前記インクジェット装置内で、前記インクジェット用光及び熱硬化性接着剤を前記インクタンクから前記吐出部に移動させた後に、前記吐出部から吐出されなかった前記インクジェット用光及び熱硬化性接着剤を、前記循環流路部内を流して前記インクタンクに移動させることにより、前記インクジェット用光及び熱硬化性接着剤を循環させながら、塗布する。
【0025】
本発明に係る半導体装置の製造方法のある特定の局面では、循環されている前記インクジェット用光及び熱硬化性接着剤の温度が40℃以上、100℃以下である。
【0026】
本発明の広い局面によれば、第1の電子部品本体と、第2の電子部品本体と、前記第1の電子部品本体と前記第2の電子部品本体とを接続している接着剤層とを備え、前記接着剤層が、上述したインクジェット用光及び熱硬化性接着剤の硬化物である、電子部品が提供される。
【0027】
本発明に係る電子部品のある特定の局面では、前記第1の電子部品本体が半導体素子搭載用の支持部材又は半導体素子であり、前記第2の電子部品本体が半導体素子である。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るインクジェット用光及び熱硬化性接着剤は、光硬化性化合物と、熱硬化性化合物と、光重合開始剤と、熱硬化剤とを含み、365nmでの照度が100mW/cmになるように積算光量1000mJ/cmの光を接着剤に照射してBステージ化接着剤を得たときに、上記Bステージ化接着剤の25℃での弾性率が5.0×10Pa以上、8.0×10Pa以下であるので、本発明に係るインクジェット用光及び熱硬化性接着剤をインクジェット装置を用いて塗布したときに、接着剤が硬化した接着剤層の厚み精度を高めることができ、接着剤層にボイドを生じ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット用光及び熱硬化性接着剤を用いて得られる電子部品を模式的に示す正面断面図である。
図2図2(a)〜(e)は、図1に示す電子部品の製造方法の各工程を説明するための断面図である。
図3図3は、図2に示す電子部品の製造方法において用いられるインクジェット装置の一例を示す概略構成図である。
図4図4は、図2に示す電子部品の製造方法において用いられるインクジェット装置の他の例を示す概略構成図である。
図5図5は、図1に示す電子部品の変形例を模式的に示す正面断面図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係るインクジェット用光及び熱硬化性接着剤を用いて得られる電子部品の第1の変形例を模式的に示す正面断面図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係るインクジェット用光及び熱硬化性接着剤を用いて得られる電子部品の第2の変形例を模式的に示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0031】
本発明に係るインクジェット用光及び熱硬化性接着剤(以下、接着剤と略記することがある)は、インクジェット装置を用いて塗布されて用いられる。本発明に係る接着剤は、スクリーン印刷により塗布される接着剤、及びディスペンサーによる塗布される接着剤等とは異なる。
【0032】
本発明に係る接着剤は、光の照射及び加熱により硬化させて用いられる。本発明に係る接着剤は、好ましくは、光の照射により硬化を進行させた後に加熱により硬化させて用いられる。本発明に係る接着剤は、光及び熱硬化性接着剤であり、光硬化性と熱硬化性とを有する。本発明に係る接着剤は、光硬化のみが行われる接着剤、及び熱硬化のみが行われる接着剤等とは異なる。
【0033】
本発明に係る接着剤は、光硬化性化合物(光の照射により硬化可能な硬化性化合物)と、熱硬化性化合物(加熱により硬化可能な硬化性化合物)と、光重合開始剤と、熱硬化剤とを含む。
【0034】
本発明に係る接着剤に、365nmでの照度が100mW/cmになるように積算光量1000mJ/cmの光を照射してBステージ化接着剤を得る。本発明では、このBステージ化接着剤の25℃での弾性率が5.0×10Pa以上、8.0×10Pa以下である。なお照度はウシオ電機社製「UIT−201」で測定した値である。
【0035】
本発明に係る接着剤では、上述した構成が備えられているので、本発明に係るインクジェット用光及び熱硬化性接着剤をインクジェット装置を用いて塗布し、次に硬化させたときに、接着剤が硬化した接着剤層の厚み精度を高めることができる。さらに、接着剤層にボイドを生じ難くすることができる。また、本発明では、吸湿性及び冷熱サイクル特性も良好にすることができる。
【0036】
Bステージ化接着剤の25℃での弾性率は好ましくは5.0×10Pa以上、より好ましくは8.0×10Pa以上、好ましくは8.0×10Pa以下、より好ましくは5.0×10Pa以下である。上記弾性率が上記下限以上であると、半導体チップ等の移動が起こりにくくなる。上記弾性率が上記上限以下であると、半導体チップ等の貼り合せ後の接着力が良好になり、更にボイドの発生が抑えられる。
【0037】
上記弾性率は、ティー・エイ・インスツルメント社製の粘弾性測定装置ARESを用いて、25℃、測定プレート:直径8mmの平行プレート、及び周波数1Hzで測定される。なお、本明細書において、上記弾性率は貯蔵弾性率(G’)を意味する。
【0038】
本発明に係る接着剤は、インクジェット装置を用いて塗布されるので、一般に25℃で液状である。上記接着剤の25℃及び10rpmでの粘度は好ましくは3mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上、より一層好ましくは10mPa・s以上、更に好ましくは160mPa・s以上、好ましくは2000mPa・s以下、より好ましくは1600mPa・s以下、更に好ましくは1500mPa・s以下である。接着剤層の厚み精度をより一層高め、更に接着剤層にボイドをより一層生じ難くする観点からは、上記接着剤の25℃及び10rpmでの粘度は160mPa・s以上、1600mPa・s以下であることが特に好ましい。
【0039】
上記粘度は、JIS K2283に準拠して、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)を用いて、25℃で測定される。
【0040】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体素子搭載用の支持部材又は半導体素子の表面上に、インクジェット装置を用いて、上記インクジェット用光及び熱硬化性接着剤を塗布して、接着剤層を形成する塗布工程と、光の照射により上記接着剤層の硬化を進行させて、Bステージ化接着剤層を形成する工程と、上記Bステージ化接着剤層の上記支持部材又は上記半導体素子側とは反対の表面上に、半導体素子を積層する工程と、上記半導体素子の積層後に、上記Bステージ化接着剤層を熱硬化させる工程とを備える。
【0041】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体ウェハの表面上に、インクジェット装置を用いて、上記インクジェット用光及び熱硬化性接着剤を吐出して、接着剤層を形成する塗布工程と、光の照射により上記接着剤層の硬化を進行させて、Bステージ化接着剤層を形成する工程と、上記Bステージ化接着剤層の上記半導体ウェハ側とは反対の表面上に、カバーガラスを積層して、積層体を得る工程と、上記積層体における上記Bステージ化接着剤層を熱硬化させる工程と、熱硬化後に上記積層体を切断する工程とを備える。
【0042】
本発明に係る接着剤を用いれば、接着剤層の厚み精度を高め、更に接着剤層にボイドを生じ難くすることができる。従って、本発明に係る接着剤は、本発明に係る半導体装置の製造方法に好適に使用可能である。
【0043】
上記インクジェット装置による吐出時に、40℃以上、100℃以下に加温した状態で、上記接着剤を吐出することが好ましい。接着剤層をより一層高精度に形成し、接着剤層にボイドをより一層生じ難くする観点からは、上記インクジェット用光及び熱硬化性接着剤を循環させながら、塗布することが好ましい。
【0044】
上記インクジェット装置が、上記接着剤が貯留されるインクタンクと、上記インクタンクと接続されておりかつ上記接着剤が吐出される吐出部と、一端が上記吐出部に接続されており、他端が上記インクタンクに接続されており、かつ内部を上記接着剤が流れる循環流路部とを有することが好ましい。
【0045】
上記接着剤を塗布する際に、上記インクジェット装置内で、上記接着剤を上記インクタンクから上記吐出部に移動させた後に、上記吐出部から吐出されなかった上記接着剤を、上記循環流路部内を流して上記インクタンクに移動させることにより、上記接着剤を循環させながら、塗布する。上記接着剤を循環させながら塗布すれば、本発明の効果がより一層効果的に得られる。すなわち、接着剤層の厚み精度をより一層高め、更に接着剤層にボイドをより一層生じ難くすることができる。
【0046】
また、本発明では、厚みの厚い接着剤層を高精度に形成することができる。また、本発明では、多層化された接着剤層であっても、微細かつ高精度に形成することができる。
【0047】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0048】
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット用光及び熱硬化性接着剤を用いて得られる電子部品を模式的に示す正面断面図である。
【0049】
図1に示す電子部品1は、第1の電子部品本体2と、第1の電子部品本体2の表面上に配置された接着剤層3と、接着剤層3の表面上に配置された第2の電子部品本体4とを備える。第2の電子部品本体4は、接着剤層3の第1の電子部品本体2側とは反対側に配置されている。接着剤層3の第1の表面上に、第1の電子部品本体2が配置されている。接着剤層3の第1の表面とは反対側の第2の表面上に、第2の電子部品本体4が配置されている。接着剤層3は光及び熱硬化後の接着剤層であり、硬化した接着剤層(硬化物層)である。接着剤層3を形成するために、本発明の一実施形態に係るインクジェット用光及び熱硬化性接着剤が用いられている。このインクジェット用光及び熱硬化性接着剤が、インクジェット装置を用いて塗布され、かつ光の照射により硬化が進行された後に加熱により硬化されて、接着剤層3が形成されている。
【0050】
上記電子部品本体としては、具体的には、回路基板、半導体ウェハ、ダイシング後の半導体ウェハ(分割された半導体ウェハ、半導体素子)、カバーガラス、コンデンサ、ダイオード、プリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等が挙げられる。上記電子部品本体は、半導体素子搭載用の支持部材であってもよい。
【0051】
高精度に形成された接着剤層が特に求められることから、上記電子部品本体は、回路基板、カバーガラス、半導体ウェハ又は、ダイシング後の半導体ウェハであることが好ましい。
【0052】
高精度に形成された接着剤層が特に求められることから、上記第1の電子部品本体が、半導体素子搭載用の支持部材又は半導体素子であることが好ましく、回路基板又は半導体素子であることがより好ましく、回路基板又はダイシング後の半導体ウェハであることが更に好ましい。高精度に形成された接着剤層が特に求められることから、上記第2の電子部品本体が、半導体素子であることが好ましく、ダイシング後の半導体ウェハであることがより好ましい。
【0053】
高精度に形成された接着剤層が特に求められることから、上記第1の電子部品本体が回路基板又はダイシング後の半導体ウェハであり、かつ上記第2の電子部品本体が、ダイシング後の半導体ウェハであることが好ましく、更に、上記第1の電子部品本体が回路基板であり、かつ上記第2の電子部品本体が、ダイシング後の半導体ウェハであることがより好ましい。上記電子部品は半導体装置用電子部品であることが好ましい。
【0054】
上記電子部品は、半導体素子を備えていることが好ましく、半導体装置であることが好ましい。
【0055】
以下、図2(a)〜(e)を参照しつつ、図1に示す電子部品の製造方法の一例について説明する。
【0056】
先ず、図2(a)に示すように、第1の電子部品本体2上に、インクジェット装置11を用いて、インクジェット用光及び熱硬化性接着剤を塗布して、接着剤層12を形成する(塗布工程)。ここでは、第1の電子部品本体2の表面上に、全体に、接着剤を塗布している。塗布後、接着剤の液滴が互いに混ざり合い、図2(b)に示す状態の接着剤層12になる。
【0057】
図3に示すように、インクジェット装置11は内部に、インクタンク21と、吐出部22と、循環流路部23とを有する。
【0058】
循環流路部23は、循環流路部23内に、バッファタンク23Aとポンプ23Bとを有する。但し、図4に示すインクジェット装置11Xのように、循環流路部23Xは、循環流路部23X内に、バッファタンクとポンプとを有していなくてもよい。上記循環流路部は、上記循環流路部内に、上記バッファタンクを有することが好ましく、上記ポンプを有することが好ましい。また、上記循環流路部は、上記循環流路部内に、バッファタンク及びポンプの他に、流速計、温度計、フィルター、液面センサー等を有していてもよい。
【0059】
インクタンク21には、上記接着剤が貯留されている。吐出部22(インクジェットヘッド)から、上記接着剤が吐出される。吐出部22は吐出ノズルを含む。インクタンク21に、吐出部22が接続されている。インクタンク21と吐出部22とは流路を介して接続されている。循環流路部23の一端は吐出部22に接続されており、他端はインクタンク21に接続されている。循環流路部23の内部を、上記接着剤が流れる。
【0060】
バッファタンク23A又はポンプ23Bが備えられる場合には、バッファタンク23A及びポンプ23Bはそれぞれ、吐出部22とインクタンク21との間に配置されることが好ましい。バッファタンク23Aはポンプ23Bよりも吐出部22側に配置されている。ポンプ23Bは、バッファタンク23Aよりもインクタンク21側に配置されている。バッファタンク23Aには、上記接着剤が仮貯留される。
【0061】
上記吐出部としては、サーマル方式、バブル噴射方式、電磁バルブ方式又はピエゾ方式のインクジェットヘッド等が挙げられる。また、上記吐出部内の循環流路部としては、共通循環流路(マニフォールド)から吐出ノズルへ分岐しているエンドシュータータイプや吐出ノズルをインクが循環するサイドシュータータイプが挙げられる。接着剤の吐出性を高めて、微細な接着剤層の形成精度をより一層高める観点からは、上記インクジェット装置がピエゾ方式のインクジェットヘッドを用いるインクジェット装置であり、上記塗布工程において、ピエゾ素子の作用によって、上記接着剤を塗布することが好ましい。
【0062】
上記接着剤の循環方法に関しては、インクの自重を利用したり、ポンプ等を利用して加圧、減圧等を行い循環したりすることが可能である。これらは複数組み合わせて用いてもよい。ポンプとしてはシリンダ方式の無脈動ポンプ、プロペラポンプ、ギヤポンプ及びダイヤフラムポンプ等が挙げられる。循環効率を高めて、微細な接着剤層の形成精度をより一層高める観点からは、上記循環流路部は、上記循環流路部内に上記接着剤を移送させるポンプを含むことが好ましい。
【0063】
上記吐出部の吐出ノズルにおいては、適切な圧力に保ちかつ、その範囲内で圧力変動(脈動)が少ないことが好ましい。ポンプ等を使用する場合にはポンプの脈動を抑えるために、ポンプと上記吐出部との間に減衰器を設けることが好ましい。このような減衰器としては、上記接着剤が仮貯留されるバッファタンクや膜式のダンパ等が挙げられる。
【0064】
硬化した接着剤層をより一層高精度に形成する観点からは、上記循環流路部は、上記循環流路部内に、上記接着剤が仮貯留されるバッファタンクを含むことが好ましい。
【0065】
上記接着剤を加熱しながら循環させる場合には、上記インクタンク内に加熱ヒーターを導入したり、上記循環流路部に加熱ヒーターを用いたりすることで、上記接着剤の温度を調節することが可能である。
【0066】
上記接着剤を加熱しながら循環させる場合には、インクタンク21内に加熱ヒーターを導入したり、循環流路部23,23Xに加熱ヒーターを用いたりすることで、上記接着剤の温度を調節することが可能である。
【0067】
上記の塗布工程において、インクジェット装置11内で、上記接着剤をインクタンク21から吐出部22に移動させた後に、吐出部22から吐出されなかった上記接着剤を、循環流路部23内を流してインクタンク21に移動させる。それによって、上記の塗布工程において、上記接着剤を循環させながら、塗布することが好ましい。
【0068】
次に、図2(b),(c)に示すように、上記の塗布工程後に、第1の光照射部13から接着剤層12に光を照射して、接着剤層12の硬化を進行させる(第1の光照射工程)。それによって、第1の光照射部13により光が照射された接着剤層12Aが形成される。接着剤層12Aは、予備硬化物であり、Bステージ化接着剤層である。この上記Bステージ化接着剤層の25℃での弾性率が5.0×10Pa以上、8.0×10Pa以下にすることが好ましい。後述する第2の光照射部14から光が照射される場合、第1の光照射部13から照射される光の波長や照射強度と、後述する第2の光照射部14から照射される光の波長や照射強度とが同じでも異なっていてもよい。接着剤層の硬化性をより一層高める観点からは、第2の光照射部14から照射される照射強度が第1の光照射部13から照射される光の照射強度より強い方が好ましい。光硬化性化合物と、光及び熱硬化性化合物とを用いる場合に、光硬化性を制御するために、上記第1の光照射工程と、後述する第2の光照射工程とを行うことが好ましい。
【0069】
なお、「第1の光照射部13から接着剤層12に光を照射して、接着剤層12の硬化を進行させる」には、反応を進行させて増粘状態にすることも含まれる。
【0070】
光照射を行う装置としては特に限定されず、紫外線を発生する発光ダイオード(UV−LED)、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、及び超高圧水銀ランプ等が挙げられる。接着剤層の形成精度をより一層高める観点からは、特に第1の光照射部に、UV−LEDを用いることが好ましい。
【0071】
次に、図2(c),(d)に示すように、上記の第1の光照射工程後に、第1の光照射部13とは別の第2の光照射部14から、第1の光照射部13から光が照射された接着剤層12Aに光を照射して、接着剤層12Aの硬化をさらに進行させてもよい(第2の光照射工程)。それによって、第2の光照射部14により光が照射された接着剤層12Bが形成される。接着剤層12Bは、予備硬化物であり、Bステージ化接着剤層である。この上記Bステージ化接着剤層の表面の25℃での弾性率を5.0×10Pa以上、8.0×10Pa以下にすることが好ましい。なお、上記第2の光照射工程後のBステージ化接着剤層と、上記第1の光照射後のBステージ化接着剤層とのうち、上記第1の光照射後のBステージ化接着剤層の表面の25℃での弾性率を5.0×10Pa以上、8.0×10Pa以下にすることが好ましい。上記第2の光照射工程後のBステージ化接着剤層と、上記第1の光照射後のBステージ化接着剤層との双方の表面の25℃での弾性率を5.0×10Pa以上、8.0×10Pa以下にすることがより好ましい。
【0072】
上記の第2の光照射工程は、後述する積層工程前に行われることが好ましく、加熱工程前に行われることが好ましい。硬化した接着剤層をより一層高精度に形成する観点からは、上記第2の光照射工程が行われることが好ましい。但し、上記第2の光照射工程は必ずしも行われる必要はなく、上記第1の光照射工程後に、上記第2の光照射工程を行わずに、後述する積層工程が行われてもよい。
【0073】
次に、図2(d),(e)に示すように、上記の第2の光照射工程後に、光が照射された接着剤層12B上に、第2の電子部品本体4を配置して、第1の電子部品本体2と第2の電子部品本体4とを、光が照射された接着剤層12Bを介して、圧力を付与して貼り合わせて、一次積層体1Aを得る(積層工程)。なお、上記第1の光照射工程後に、上記第2の光照射工程を行わない場合には、光が照射された接着剤層12A上に、第2の電子部品本体4を配置して、第1の電子部品本体2と第2の電子部品本体4とを、光が照射された接着剤層12Aを介して、圧力を付与して貼り合わせて、一次積層体を得る(積層工程)。
【0074】
次に、上記の積層工程後に、一次積層体1Aを加熱して、第1の電子部品本体2と第2の電子部品本体4との間の接着剤層12Bを硬化させて、電子部品を得る(加熱工程)。このようにして、図1に示す電子部品1を得ることができる。
【0075】
なお、上記塗布工程と上記第1の光照射工程とを繰り返すことで、接着剤層を多層化して、多層の接着剤層を形成してもよい。図5に示すように、複数の接着剤層32A,32B,32Cが積層された接着剤層32を備える電子部品31を得てもよい。
【0076】
上記の電子部品の製造方法において、接着剤の吐出性及び移送性を高めて、硬化した接着剤層をより一層高精度に形成する観点からは、循環されている上記接着剤の温度は好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下である。
【0077】
硬化した接着剤層をより一層高精度に形成する観点からは、上記積層工程において、貼り合わせ時に付与する圧力は好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.05MPa以上、好ましくは10MPa以下、より好ましくは8MPa以下である。
【0078】
硬化した接着剤層をより一層高精度に形成する観点からは、上記積層工程において、貼り合わせ時の温度は好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下である。
【0079】
上記接着剤は、光硬化性及び熱硬化性を有する。上記接着剤は、光硬化性化合物と、熱硬化性化合物と、光重合開始剤と、熱硬化剤とを含む。上記接着剤は、光及び熱硬化性化合物(光の照射及び加熱の双方により硬化可能な硬化性化合物)を含むことが好ましい。上記接着剤は、硬化促進剤を含むことが好ましい。
【0080】
以下、上記接着剤に含まれる各成分の詳細を説明する。
【0081】
(光硬化性化合物)
上記光硬化性化合物は、光硬化性反応基を有する化合物である。上記光硬化性化合物としては、(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物、ビニル基を有する硬化性化合物及びマレイミド基を有する硬化性化合物等が挙げられる。硬化した接着剤層をより一層高精度に形成する観点からは、上記光硬化性化合物の上記光硬化性反応基は、(メタ)アクリロイル基であることが好ましく、上記光硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基(1個以上)を有することが好ましい。上記光硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0082】
本明細書では、上記(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、メタクリロイル基及びアクリロイル基の内少なくとも一方を有する化合物を意味する。
【0083】
上記光硬化性化合物として、光硬化性反応基を2個以上有する多官能化合物(光反応性化合物)(A1)を用いてもよく、光硬化性反応基を1個有する単官能化合物(光反応性化合物)(A2)を用いてもよい。硬化した接着剤層をより一層高精度に形成する観点からは、多官能化合物(A1)の光硬化性反応基は、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。硬化した接着剤層をより一層高精度に形成する観点からは、単官能化合物(A2)の光硬化性反応基は、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
【0084】
硬化した接着剤層をより一層高精度に形成する観点からは、上記接着剤が、上記光硬化性化合物として、(メタ)アクリロイル基を1個有する単官能化合物(A2)と、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物(A1)とを含むことが好ましい。
【0085】
上記多官能化合物(A1)としては、多価アルコールの(メタ)アクリル酸付加物、多価アルコールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリル酸付加物、ウレタン(メタ)アクリレート類、及びポリエステル(メタ)アクリレート類等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、及びペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0086】
上記多官能化合物(A1)は、二官能の(メタ)アクリレートであってもよく、三官能のメタアクリレートであってもよく、四官能以上の(メタ)アクリレートであってもよい。
【0087】
二官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、及びジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0088】
三官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、及びソルビトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0089】
四官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、及びプロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0090】
五官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0091】
六官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びフォスファゼンのアルキレンオキシド変性ヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0092】
上記「(メタ)アクリレート」の用語は、アクリレート又はメタクリレートを示す。上記「(メタ)アクリル」の用語は、アクリル又はメタクリルを示す。
【0093】
上記多官能化合物(A1)は、多環骨格又はウレタン骨格を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物(A1)であることが好ましい。多官能化合物(A1)の使用により、上記接着剤の硬化物の耐湿熱性を高くすることができる。従って、電子部品の信頼性を高めることができる。上記多官能化合物(A1)は、多環骨格を有していてもよく、ウレタン骨格を有していてもよい。
【0094】
上記多官能化合物(A1)は、多環骨格又はウレタン骨格を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を2個以上有すれば特に限定されない。多官能化合物(A1)として、多環骨格又はウレタン骨格を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を2個以上有する従来公知の多官能化合物を用いることができる。上記多官能化合物(A1)は、(メタ)アクリロイル基を2個以上有するため、光の照射により重合が進行し、硬化する。上記多官能化合物(A1)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0095】
多環骨格を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物の具体例としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、イソボルニルジメタノールジ(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニルジメタノールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、硬化物の耐湿熱性をより一層高める観点からは、上記多官能化合物(A1)は、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0096】
上記多官能化合物(A1)及び後述する単官能化合物(A2)における上記「多環骨格」とは、複数の環状骨格を連続して有する構造を示す。具体的には、多環骨格は、2個以上の環がそれぞれ2個以上の原子を共有した形で一体となっている骨格であり、縮合環を有する骨格である。上記多環骨格は、例えば、2つの環の間にアルキレン基が存在する骨格ではない。多官能化合物(A1)及び単官能化合物(A2)における上記多環骨格としてはそれぞれ、多環脂環式骨格及び多環芳香族骨格等が挙げられる。
【0097】
上記多環脂環式骨格としては、ビシクロアルカン骨格、トリシクロアルカン骨格、テトラシクロアルカン骨格及びイソボルニル骨格等が挙げられる。
【0098】
上記多環芳香族骨格としては、ナフタレン環骨格、アントラセン環骨格、フェナントレン環骨格、テトラセン環骨格、クリセン環骨格、トリフェニレン環骨格、テトラフェン環骨格、ピレン環骨格、ペンタセン環骨格、ピセン環骨格及びペリレン環骨格等が挙げられる。
【0099】
絶縁信頼性や接着信頼性をより一層高める観点から、上記光硬化性化合物は、ジシクロペンタジエン骨格を有する光硬化性化合物を含むことが好ましい。
【0100】
ウレタン骨格を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物は特に限定されないが、例えば、以下の方法によって得られる。ポリオールと2官能以上のイソシアネートとを反応させ、さらに残りのイソシアネート基に、アルコールや酸基を有する(メタ)アクリルモノマーを反応させる。2官能以上のイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーを反応させてもよい。具体的には、例えば、トリメチロールプロパン1モルとイソホロンジイソシアネート3モルとを錫系触媒下で反応させる。得られた化合物中に残るイソシアネート基と、2モルの水酸基を有するアクリルモノマーであるヒドロキシエチルアクリレートを反応させることにより、上記ウレタン変性(メタ)アクリル化合物が得られる。
【0101】
上記ポリオールとしては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、及び(ポリ)プロピレングリコール等が挙げられる。
【0102】
上記イソシアネートは、2官能以上であれば、特に限定されない。上記イソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、及び1,6,10−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
【0103】
上記単官能化合物(A2)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングルコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングルコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、及びステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0104】
上記ビニル基を有する化合物としてはビニルエーテル類、エチレン誘導体、スチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、無水マレイン酸、ジシクロペンタジエン、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルホルムアミド等が挙げられる。
【0105】
上記マレイミド基を有する化合物としては、特に限定されず例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−p−カルボキシフェニルマレイミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−p−クロロフェニルマレイミド、N−p−トリルマレイミド、N−p−キシリルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド、N−o−トリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−2,5−ジエチルフェニルマレイミド、N−2,5−ジメチルフェニルマレイミド、N−m−トリルマレイミド、N−α−ナフチルマレイミド、N−o−キシリルマレイミド、N−m−キシリルマレイミド、ビスマレイミドメタン、1,2−ビスマレイミドエタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、ビスマレイミドドデカン、N,N’−m−フェニレンジマレイミド、N,N’−p−フェニレンジマレイミド、4,4’−ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4’−ビスマレイミド−ジ(3−メチルフェニル)メタン、4,4’−ビスマレイミド−ジ(3−エチルフェニル)メタン、4,4’−ビスマレイミド−ジ(3−メチル−5−エチル−フェニル)メタン、N,N’−(2,2−ビス−(4−フェノキシフェニル)プロパン)ジマレイミド、N,N’−2,4−トリレンジマレイミド、N,N’−2,6−トリレンジマレイミド、及びN,N’−m−キシリレンジマレイミド等が挙げられる。
【0106】
接着剤層の厚み精度をより一層高め、更に接着剤層にボイドをより一層生じ難くする観点からは、上記光硬化性化合物が、光硬化性反応基を2個以上有する光硬化性化合物を含むことが好ましい。
【0107】
接着剤層の厚み精度を更に一層高め、また接着剤層にボイドを更に一層生じ難くする観点からは、上記光硬化性化合物が、光硬化性反応基を1個有する光硬化性化合物を含むことが好ましく、光硬化性反応基を1個有する光硬化性化合物と、光硬化性反応基を2個以上有する光硬化性化合物とを含むことがより好ましい。
【0108】
上記光硬化性反応基は、重合性不飽和二重結合を含む基であることが好ましく、(メタ)アクリロイル基であることがより好ましい。
【0109】
硬化した接着剤層の厚み精度をより一層高める観点からは、上記光硬化性反応基を1個有する光硬化性化合物が、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
【0110】
硬化した接着剤層をより一層高精度に形成する観点からは、上記接着剤100重量%中、上記光硬化性化合物の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。接着剤層の厚み精度をより一層高め、更に接着剤層にボイドをより一層生じ難くする観点からは、上記接着剤100重量%中、上記光硬化性化合物の含有量は、10重量%以上、80重量%以下であることが特に好ましい。
【0111】
接着剤層の厚み精度をより一層高め、更に接着剤層にボイドをより一層生じ難くする観点からは、接着剤が後述する光及び熱硬化性化合物を含まない場合には、上記光硬化性化合物の全体100重量%、接着剤が後述する光及び熱硬化性化合物を含む場合には、前記光硬化性化合物の全体と、光及び熱硬化性化合物との合計100重量%中、上記光硬化性反応基を2個以上有する光硬化性化合物の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、好ましくは100重量%(全量)以下、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下である。
【0112】
接着剤層の厚み精度をより一層高め、更に接着剤層にボイドをより一層生じ難くする観点からは、接着剤が後述する光及び熱硬化性化合物を含まない場合には、上記光硬化性化合物の全体100重量%、接着剤が後述する光及び熱硬化性化合物を含む場合には、前記光硬化性化合物の全体と、光及び熱硬化性化合物との合計100重量%中、上記光硬化性反応基を1個有する光硬化性化合物の含有量は好ましくは1重量%以上、より好ましくは10重量%以上、好ましくは100重量%(全量)以下、より好ましくは99重量%以下、更に好ましくは90重量%以下である。
【0113】
(光及び熱硬化性化合物)
接着剤層の厚み精度をより一層高め、更に接着剤層にボイドをより一層生じ難くし、冷熱サイクル等の信頼性を向上させる観点からは、上記接着剤は、光及び熱硬化性化合物を含むことが好ましい。上記光及び熱硬化性化合物としては、各種の光硬化性官能基(光硬化性反応基)と各種の熱硬化性官能基とを有する化合物が挙げられる。硬化した接着剤層をより一層高精度に形成する観点からは、上記光及び熱硬化性化合物の上記光硬化性反応基は、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。硬化した接着剤層をより一層高精度に形成する観点からは、上記光及び熱硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基と環状エーテル基又は環状チオエーテル基とを有することが好ましく、また(メタ)アクリロイル基と環状エーテル基とを有することが好ましく、(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有することが好ましい。上記光及び熱硬化性化合物は、環状チオエーテル基を有していてもよい。上記光及び熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0114】
上記光及び熱硬化性化合物としては、特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物、エポキシ化合物の部分(メタ)アクリル化物、ウレタン変性(メタ)アクリルエポキシ化合物等が挙げられる。
【0115】
上記(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0116】
上記エポキシ化合物の部分(メタ)アクリル化物としては、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って触媒の存在下で反応させることにより得られる。上記エポキシ化合物の部分(メタ)アクリル化物に用いることができるエポキシ化合物としては、ノボラック型エポキシ化合物及びビスフェノール型エポキシ化合物等が挙げられる。上記ノボラック型エポキシ化合物としては、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、トリスフェノールノボラック型エポキシ化合物、及びジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物等が挙げられる。上記ビスフェノール型エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノール型エポキシ化合物、及びポリオキシプロピレンビスフェノールA型エポキシ化合物等が挙げられる。エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との配合量を適宜変更することにより、所望のアクリル化率のエポキシ化合物を得ることが可能である。エポキシ基1当量に対してカルボン酸の配合量は、好ましくは0.1当量以上、より好ましくは0.2当量以上、好ましくは0.7当量以下、より好ましくは0.5当量以下である。
【0117】
上記ウレタン変性(メタ)アクリルエポキシ化合物は、例えば、以下の方法によって得られる。ポリオールと2官能以上のイソシアネートを反応させ、さらに残りのイソシアネート基に、酸基を有する(メタ)アクリルモノマー及びグリシドールを反応させる。または、ポリオールを用いず、2官能以上のイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーとグリシドールとを反応させてもよい。または、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレートモノマーにグリシドールを反応させても、上記ウレタン変性(メタ)アクリルエポキシ化合物が得られる。具体的には、例えば、まず、トリメチロールプロパン1モルとイソホロンジイソシアネート3モルとを錫系触媒下で反応させる。得られた化合物中に残るイソシアネート基と、水酸基を有するアクリルモノマーであるヒドロキシエチルアクリレート、及び水酸基を有するエポキシであるグリシドールを反応させることにより、上記ウレタン変性(メタ)アクリルエポキシ化合物が得られる。
【0118】
上記ポリオールとしては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、及び(ポリ)プロピレングリコール等が挙げられる。
【0119】
上記イソシアネートは、2官能以上であれば、特に限定されない。上記イソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、及び1,6,10−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
【0120】
上記(メタ)アクリロイル基と環状チオエーテル基を有する化合物は、例えば、上記(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物のエポキシ基を環状チオエーテル基に変換することで得られる。上記環状チオエーテル基に変換する方法としては、硫化剤を含む第1の溶液に、上記(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物を含む溶液を連続的又は断続的に添加した後、硫化剤を含む第2の溶液を連続的又は断続的にさらに添加する方法が好ましい。この方法により、上記エポキシ基を環状チオエーテル基に変換することができる。
【0121】
上記硫化剤としては、チオシアン酸塩類、チオ尿素類、ホスフィンサルファイド、ジメチルチオホルムアミド及びN−メチルベンゾチアゾール−2−チオン等が挙げられる。上記チオシアン酸塩類としては、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム及びチオシアン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0122】
硬化した接着剤層の厚み精度をより一層高める観点からは、上記光及び熱硬化性化合物は、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルを含むことが好ましく、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルを含むことがより好ましい。
【0123】
硬化した接着剤層をより一層高精度に形成する観点からは、上記接着剤100重量%中、上記光及び熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。
【0124】
硬化した接着剤層をより一層高精度に形成する観点からは、上記接着剤100重量%中、上記光硬化性化合物と上記光及び熱硬化性化合物との合計の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。
【0125】
(熱硬化性化合物)
上記熱硬化性化合物としては、環状エーテル基を有する熱硬化性化合物、及びチイラン基を有する熱硬化性化合物等が挙げられる。硬化した接着剤層をより一層高精度に形成する観点からは、上記熱硬化性化合物は、環状エーテル基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物であることが好ましく、エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物であることがより好ましく、また環状エーテル基を有する熱硬化性化合物であることも好ましく、エポキシ基を有する熱硬化性化合物(エポキシ化合物)であることが特に好ましい。上記熱硬化性化合物は、チイラン基を有する熱硬化性化合物であってもよい。硬化した接着剤層をより一層高精度に形成する観点からは、上記熱硬化性化合物が、エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物であり、上記光及び熱硬化性化合物が、(メタ)アクリロイル基を有する光及び熱硬化性化合物であることが好ましい。上記熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0126】
上記エポキシ化合物としては特に限定されず、例えば、ノボラック型エポキシ化合物及びビスフェノール型エポキシ化合物等が挙げられる。上記ノボラック型エポキシ化合物としては、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、トリスフェノールノボラック型エポキシ化合物、及びジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物等が挙げられる。上記ビスフェノール型エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノール型エポキシ化合物、及びポリオキシプロピレンビスフェノールA型エポキシ化合物等が挙げられる。また、上記エポキシ化合物としては、その他に、環式脂肪族エポキシ化合物、及びグリシジルアミン等も挙げられる。
【0127】
上記チイラン基を有する熱硬化性化合物は、例えば、上記エポキシ基を有するエポキシ化合物のエポキシ基をチイラン基に変換することで得られる。上記チイラン基に変換する方法としては、硫化剤を含む第1の溶液に、上記エポキシ基を有するエポキシ化合物を含む溶液を連続的又は断続的に添加した後、硫化剤を含む第2の溶液を連続的又は断続的にさらに添加する方法が好ましい。この方法により、上記エポキシ基をチイラン基に変換することができる。
【0128】
上記硫化剤としては、チオシアン酸塩類、チオ尿素類、ホスフィンサルファイド、ジメチルチオホルムアミド及びN−メチルベンゾチアゾール−2−チオン等が挙げられる。上記チオシアン酸塩類としては、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム及びチオシアン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0129】
接着剤層をより一層高精度に形成し、接着剤層にボイドをより一層生じ難くする観点からは、上記熱硬化性化合物は芳香族骨格を有することが好ましい。
【0130】
硬化した接着剤層をより一層高精度に形成する観点からは、上記接着剤100重量%中、上記熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。
【0131】
(光重合開始剤)
上記光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤等が挙げられる。上記光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。上記光重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0132】
上記光ラジカル重合開始剤は特に限定されない。上記光ラジカル重合開始剤は、光の照射によりラジカルを発生し、ラジカル重合反応を開始するための化合物である。上記光ラジカル重合開始剤の具体例としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン化合物;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のアルキルフェノン化合物;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン化合物;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアミノアセトフェノン化合物;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン等のアントラキノン化合物;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)等のオキシムエステル化合物;ビス(シクロペンタジエニル)−ジ−フェニル−チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ジ−クロロ−チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピロール−1−イル)フェニル)チタニウムなどのチタノセン化合物等が挙げられる。上記光ラジカル重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0133】
上記光ラジカル重合開始剤とともに、光重合開始助剤を用いてもよい。該光重合開始助剤としては、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン及びトリエタノールアミン等が挙げられる。これら以外の光重合開始助剤を用いてもよい。上記光重合開始助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0134】
また、可視光領域に吸収があるCGI−784等(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)のチタノセン化合物などを、光反応を促進するために用いてもよい。
【0135】
上記光カチオン重合開始剤としては特に限定されず、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、メタロセン化合物及びベンゾイントシレート等が挙げられる。上記光カチオン重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0136】
上記接着剤100重量%中、上記光重合開始剤の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
【0137】
(熱硬化剤)
上記熱硬化剤としては、有機酸、アミン化合物、アミド化合物、ヒドラジド化合物、イミダゾール化合物、イミダゾリン化合物、フェノール化合物、ユリア化合物、ポリスルフィッド化合物及び酸無水物等が挙げられる。上記熱硬化剤として、アミン−エポキシアダクトなどの変性ポリアミン化合物を用いてもよい。これら以外の熱硬化剤を用いてもよい。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0138】
上記アミン化合物とは、1個以上の1〜3級のアミノ基を有する化合物を意味する。上記アミン化合物としては、例えば、(1)脂肪族ポリアミン、(2)脂環族ポリアミン、(3)芳香族ポリアミン、(4)ヒドラジド、及び(5)グアニジン誘導体等が挙げられる。また、エポキシ化合物付加ポリアミン(エポキシ化合物とポリアミンの反応物)、マイケル付加ポリアミン(α,β−不飽和ケトンとポリアミンの反応物)、マンニッヒ付加ポリアミン(ポリアミンとホルマリン及びフェノールの縮合体)、チオ尿素付加ポリアミン(チオ尿素とポリアミンの反応物)、ケトン封鎖ポリアミン(ケトン化合物とポリアミンの反応物[ケチミン])などのアダクト体を用いてもよい。
【0139】
上記(1)脂肪族ポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びジエチルアミノプロピルアミン等が挙げられる。
【0140】
上記(2)脂環族ポリアミンとしては、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、及びビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等が挙げられる。
【0141】
上記(3)芳香族ポリアミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4−ジアミノジフェニルプロパン、4,4−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4−ジアミノジシクロヘキサン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス[(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、及び4,4−ジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。
【0142】
上記(4)ヒドラジドとしては、カルボジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、及びイソフタル酸ジヒドラジド等が挙げられる。
【0143】
上記(5)グアニジン誘導体としては、ジシアンジアミド、1−o−トリルジグアニド、α−2,5−ジメチルグアニド、α,ω−ジフェニルジグアニジド、α,α−ビスグアニルグアニジノジフェニルエーテル、p−クロロフェニルジグアニド、α,α−ヘキサメチレンビス[ω−(p−クロロフェノール)]ジグアニド、フェニルジグアニドオキサレート、アセチルグアニジン、及びジエチルシアノアセチルグアニジン等が挙げられる。
【0144】
上記フェノール化合物としては、多価フェノール化合物等が挙げられる。上記多価フェノール化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェニルフェノール、ナフタレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、及びフルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂等が挙げられる。
【0145】
上記酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コハク酸、無水クロレンディック酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、及びポリアゼライン酸無水物等が挙げられる。
【0146】
上記接着剤100重量%中、上記熱硬化剤の含有量は好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。
【0147】
(硬化促進剤)
上記硬化促進剤としては、第三級アミン、イミダゾール、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、有機金属塩、リン化合物及び尿素系化合物等が挙げられる。
【0148】
上記接着剤100重量%中、上記硬化促進剤の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
【0149】
(溶剤)
上記接着剤は溶剤を含まないか又は含む。上記接着剤は、溶剤を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。接着剤層の厚み精度をより一層高め、更に接着剤層にボイドをより一層生じ難くする観点からは、上記接着剤における溶剤の含有量は少ないほどよい。
【0150】
上記溶剤としては、水及び有機溶剤等が挙げられる。なかでも、残留物の除去性をより一層高める観点からは、有機溶剤が好ましい。上記有機溶剤としては、エタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、並びに石油エーテル、ナフサ等の石油系溶剤等が挙げられる。
【0151】
上記接着剤が上記溶剤を含む場合には、上記接着剤100重量%中、上記溶剤の含有量は好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下である。
【0152】
(フィラー)
上記接着剤はフィラーを含まないか又は含む。上記接着剤は、フィラーを含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。接着剤層の厚み精度をより一層高め、更に接着剤層にボイドをより一層生じ難くする観点からは、上記接着剤におけるフィラーの含有量は少ないほどよい。さらに、上記接着剤におけるフィラーの含有量が少ないほど、インクジェット装置による吐出不良の発生が抑えられる。
【0153】
上記フィラーとしては、シリカ、タルク、クレイ、マイカ、ハイドロタルサイト、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素等が挙げられる。
【0154】
上記接着剤が上記フィラーを含む場合には、上記接着剤100重量%中、上記フィラーの含有量は好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下である。
【0155】
(他の成分)
上記接着剤は、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては特に限定されないが、カップリング剤等の接着助剤、顔料、染料、レベリング剤、消泡剤、及び重合禁止剤等が挙げられる。
【0156】
(電子部品の具体例)
以下、本発明の一実施形態に係るインクジェット用光及び熱硬化性接着剤を用いて得られる電子部品の他の具体例について説明する。
【0157】
図6は、本発明の一実施形態に係るインクジェット用光及び熱硬化性接着剤を用いて得られる電子部品の第1の変形例を模式的に示す正面断面図である。
【0158】
図6に示す半導体装置71は、電子部品である。半導体装置71は、基板53Aと、接着剤層72と、第1の半導体ウェハ73とを備える。基板53Aは上面に、第1の接続端子53aを有する。第1の半導体ウェハ73は上面に、接続端子73aを有する。基板53Aは、第2の接続端子53bが設けられていないことを除いては、後述する基板53と同様に形成されている。
【0159】
基板53A上に、接着剤層72を介して、第1の半導体ウェハ73が積層されている。接着剤層72は、上記接着剤を光硬化及び熱硬化させることにより形成されている。接着剤層72は、上記接着剤の硬化物である。
【0160】
第1の半導体ウェハ73は上面に、接続端子73aを有する。接続端子73aから配線74が引き出されている。配線74により、接続端子73aと第1の接続端子53aとが電気的に接続されている。
【0161】
図7は、本発明の一実施形態に係るインクジェット用光及び熱硬化性接着剤を用いて得られる電子部品の第2の変形例を模式的に示す正面断面図である。
【0162】
図7に示す半導体装置51は、電子部品である。半導体装置51は、積層構造体52を備える。積層構造体52は、基板53と、接着剤層54と、基板53上に接着剤層54を介して積層された第2の半導体ウェハ55とを有する。基板53上に、第2の半導体ウェハ55が配置されている。基板53上に、第2の半導体ウェハ55は間接に積層されている。平面視において、基板53は、第2の半導体ウェハ55よりも大きい。基板53は、第2の半導体ウェハ55よりも側方に張り出している領域を有する。
【0163】
接着剤層54は、例えば、硬化性組成物を硬化させることにより形成されている。硬化前の硬化性組成物を用いた硬化性組成物層は、粘着性を有していてもよい。硬化前の硬化性組成物層を形成するために、硬化性組成物シートを用いてもよい。
【0164】
基板53は上面に、第1の接続端子53aを有する。第2の半導体ウェハ55は上面に、接続端子55aを有する。接続端子55aから配線56が引き出されている。配線56の一端は、第2の半導体ウェハ55上に設けられた接続端子55aに接続されている。配線56の他端は、基板53上に設けられた第1の接続端子53aに接続されている。配線56により、接続端子55aと第1の接続端子53aとが電気的に接続されている。配線56の他端は、第1の接続端子53a以外の他の接続端子に接続されていてもよい。配線56は、ボンディングワイヤーであることが好ましい。
【0165】
積層構造体52における第2の半導体ウェハ55上に、接着剤層61を介して、第1の半導体ウェハ62が積層されている。接着剤層61は、上記接着剤を光硬化及び熱硬化させることにより形成されている。接着剤層61は、上記接着剤の硬化物である。
【0166】
基板53は上面に、第2の接続端子53bを有する。第1の半導体ウェハ62は上面に、接続端子62aを有する。接続端子62aから配線63が引き出されている。配線63の一端は、第1の半導体ウェハ62上に設けられた接続端子62aに接続されている。配線63の他端は、基板53上に設けられた第2の接続端子53bに接続されている。配線63により、接続端子62aと第2の接続端子53bとが電気的に接続されている。配線63の他端は、第2の接続端子53b以外の他の接続端子に接続されていてもよい。配線63は、ボンディングワイヤーであることが好ましい。
【0167】
半導体装置51では、第2の半導体ウェハ55上に、光硬化性及び熱硬化性を有しかつ液状である接着剤を、インクジェット装置から吐出して、接着剤層61を形成することで得ることができる。これに対して、半導体装置71は、基板53A上に、光硬化性及び熱硬化性を有しかつ液状である接着剤を、インクジェット装置から吐出して、接着剤層72を形成することで得ることができる。
【0168】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0169】
チイラン基を有する化合物(A)の合成:
攪拌機、冷却機及び温度計を備えた2Lの反応機内に、エタノール250mLと、純水250mLと、チオシアン酸カリウム20gとを加え、チオシアン酸カリウムを溶解させ、第1の溶液を調製した。その後、容器内の温度を20〜25℃の範囲内に保持した。次に、20〜25℃に保持された容器内の第1の溶液を攪拌しながら、ビスフェノールA型エポキシ樹脂160gを5mL/分の速度で滴下した。滴下後、30分間さらに攪拌し、エポキシ化合物含有混合液を得た。次に、純水100mLと、エタノール100mLとを含む溶液に、チオシアン酸カリウム20gを溶解させた第2の溶液を用意した。得られたエポキシ化合物含有混合液に、得られた第2の溶液を5mL/分の速度で添加した後、30分攪拌した。攪拌後、純水100mLとエタノール100mLとを含む溶液に、チオシアン酸カリウム20gを溶解させた第2の溶液をさらに用意し、該第2の溶液を5mL/分の速度で容器内にさらに添加し、30分間攪拌した。その後、容器内の温度を10℃に冷却し、2時間攪拌し、反応させた。次に、容器内に飽和食塩水100mLを加え、10分間攪拌した。攪拌後、容器内にトルエン300mLをさらに加え、10分間攪拌した。その後、容器内の溶液を分液ロートに移し、2時間静置し、溶液を分離させた。分液ロート内の下方の溶液を排出し、上澄み液を取り出した。取り出された上澄み液にトルエン100mLを加え、攪拌し、2時間静置した。更に、トルエン100mLをさらに加え、攪拌し、2時間静置した。次に、トルエンが加えられた上澄み液に、硫酸マグネシウム50gを加え、5分間攪拌した。攪拌後、ろ紙により硫酸マグネシウムを取り除いて、溶液を分離した。真空乾燥機を用いて、分離された溶液を80℃で減圧乾燥することにより、残存している溶剤を除去した。このようにして、エポキシ基がチイラン基に置換されたチイラン基を有する25℃で液状の化合物(A)を得た。
【0170】
チイラン基を有する化合物(B)の合成:
チイラン基を有する化合物(A)の合成において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルに変更したこと以外は同様の操作を行い、エポキシ基がチイラン基に置換されたチイラン基を有する25℃で液状の化合物(B)を得た。
【0171】
(実施例1)
(接着剤Aの調製)
光硬化性化合物としてトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(ダイセル・オルネクス社製「IRR−214K」)2重量部、ラウリルアクリレート(共栄社化学社製「L−A」)11重量部、光及び熱硬化性化合物として4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(日本化成社製「4HBAGE」)41重量部、熱硬化性化合物としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(新日鐵住金化学社製「YD−127」)20重量部、熱硬化剤としてテルペン骨格を有する酸無水物(三菱化学社製「YH306」)20重量部、硬化促進剤としてDBU−オクチル酸塩(サンアプロ社製「UCAT SA−102」)1重量部、及び光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(BASF社製「IRGACURE369」)5重量部を均一に混合し、接着剤Aを得た。
【0172】
(実施例2〜5、参考例6、実施例7〜11、参考例12、実施例13、参考例14、実施例15,16及び比較例1〜3)
(接着剤B〜Pの調製)
下記の表1に示す成分を下記の表2,3に示す配合量で配合したこと以外は上記接着剤Aの調製と同様にして、接着剤B〜Sを調製した。
【0173】
(評価)
(接着剤の25℃及び10rpmでの粘度)
JIS K2283に準拠して、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)を用いて、25℃及び10rpmでの接着剤の粘度を測定した。粘度を下記の基準で評価した。
【0174】
[粘度の判定基準]
A:粘度が1600mPa・sを超える
B:粘度が1000mPa・sを超え、1600mPa・s以下
C:粘度が500mPa・sを超え、1000mPa・s以下
D:粘度が160mPa・s以上、500mPa・s以下
E:粘度が5mPa・s以上、160mPa・s未満
F:粘度が5mPa・s未満
【0175】
(弾性率の評価)
厚みが20μmになるように基材の上にスピンコーターで接着剤を塗布した。この塗布物に対して、25℃で、照度計(ウシオ電機社製「UIT−201」)で測定した365nmでの照度が100mW/cmになるように調節した露光装置(超高圧水銀ランプ、オーク製作所社製、「JL−4300−3」)を用いて10秒間光を照射した(積算光量1000mJ/cm)。得られたBステージ化サンプルについて、ティー・エイ・インスツルメント社製の粘弾性測定装置ARESを用いて、25℃、測定プレート:直径8mmの平行プレート及び周波数1Hzの条件で弾性率の測定を行った。
【0176】
(半導体装置における接着剤層のボイドの確認)
配線の段差が5μmあるBGA基板(厚み0.3mm、市販のソルダーレジストが塗布されている、縦10mm×横10mmの半導体チップが置かれる場所が5行×16列で90か所設けられている)を用意した。上述した本発明の一実施形態に係る電子部品の製造方法に従って、図2(a)〜(e)に示す各工程を経て、接着剤層を形成した。上記接着剤を70℃で循環させながら、塗布する上記塗布工程と、上記第1の光照射工程(365nmを主波長とするUV−LEDランプ、100mW/cm、0.1秒)とを繰り返して、厚み30μmの接着剤層を形成し、第2の光照射工程(超高圧水銀ランプ、100mW/cm、10秒)で光硬化させた。その後、接着剤層上に、ダイボンド装置を用いて、半導体チップ(縦10mm×横10mm×厚み80μm)に見立てたシリコンベアチップを110℃で0.2MPaの条件で積層して、積層体を得た。シリコンベアチップを積層した後、光学顕微鏡(キーエンス社製「デジタルマイクロスコープVH−Z100」)を用いて接着剤層のはみ出しが100μm未満であることを確認した。得られた積層体を160℃のオーブン内に入れ、3時間加熱することで、熱硬化させることにより、90個の半導体装置(積層構造体)を得た。
【0177】
超音波探査映像装置(日立建機ファインテック社製「mi−scope hyper II」)を用いて、得られた半導体装置における接着剤層のボイドを観察し、下記の基準で評価した。
【0178】
[ボイドの判定基準]
○○:ボイドがほとんど観察されなかった
○:ボイドがわずかに観察された(使用上問題がない)
×:ボイドが観察された(使用上問題あり)
【0179】
(半導体装置における半導体チップの移動の確認)
光学顕微鏡(キーエンス社製「デジタルマイクロスコープVH−Z100」)を用いて、ボイドの確認の評価で得られた半導体装置における半導体チップの移動を観察し、下記の基準で評価した。なお、半導体チップが移動している場合に、接着剤層の厚み精度が悪いことを確認した。
【0180】
[半導体チップの移動の判定基準]
○:半導体チップの移動がほとんど観察されなかった(移動距離が20μm未満)
×:半導体チップの移動が観察された(移動距離が20μm以上)
【0181】
(半導体装置の吸湿リフロー+冷熱サイクル信頼性試験)
ボイドの確認の評価で得られた半導体装置(90個)を85℃及び湿度85RH%に168時間放置して吸湿させた。その後、半田リフロー炉(プレヒート150℃×100秒、リフロー[最高温度260℃])に5サイクル通過させた。その吸湿リフロー試験を行った半導体装置を液槽式熱衝撃試験機(ESPEC社製「TSB−51」)を用いて、−55℃で5分間保持した後、150℃まで昇温し、150℃で5分間保持した後−50℃まで降温する過程を1サイクルとする冷熱サイクル試験を実施した。250サイクル、500サイクル及び1000サイクル後に半導体装置を取り出し、超音波探査映像装置(日立建機ファインテック社製「mi−scope hyper II」)を用いて、半導体装置の接着剤層の剥離を観察し、下記の基準で評価した。
【0182】
[吸湿リフロー+冷熱サイクル信頼性試験の判定基準]
○○:剥離していない
○:わずかに剥離している(使用上問題がない)
×:大きく剥離している(使用上問題あり)
【0183】
用いた配合成分の詳細を下記の表1に示し、組成及び結果を下記の表2,3に示す。配合成分の配合単位は、重量部である。
【0184】
【表1】
【0185】
【表2】
【0186】
【表3】
【0187】
半導体装置における接着剤層のボイドの確認、及び、半導体装置の吸湿リフロー+冷熱サイクル信頼性試験の評価において、Bステージ化時に、接着剤層全体に、積算光量が1000mJ/cmとなるように光を照射した場合についても、同様に評価した。この結果、表1,2に示す結果と同様の結果が得られた。
【符号の説明】
【0188】
1…電子部品
1A…一次積層体
2…第1の電子部品本体
3…接着剤層(加熱後)
4…第2の電子部品本体
11,11X…インクジェット装置
12…接着剤層
12A…第1の光照射部により光が照射された接着剤層
12B…第2の光照射部により光が照射された接着剤層
13…第1の光照射部
14…第2の光照射部
21…インクタンク
22…吐出部
23,23X…循環流路部
23A…バッファタンク
23B…ポンプ
31…電子部品
32…多層の接着剤層(加熱後)
32A,32B,32C…接着剤層(加熱後)
51,71…半導体装置
52…積層構造体
53,53A…基板
53a…第1の接続端子
53b…第2の接続端子
54,61,72…接着剤層
55…第2の半導体ウェハ
55a,73a…接続端子
56,63,74…配線
62,73…第1の半導体ウェハ
62a…接続端子
【要約】
接着剤が硬化した接着剤層の厚み精度を高めることができ、更に接着剤層にボイドを生じ難くすることができるインクジェット用光及び熱硬化性接着剤を提供する。
本発明に係るインクジェット用光及び熱硬化性接着剤は、光硬化性化合物と、熱硬化性化合物と、光重合開始剤と、熱硬化剤とを含み、365nmでの照度が100mW/cmになるように積算光量1000mJ/cmの光を接着剤に照射してBステージ化接着剤を得たときに、前記Bステージ化接着剤の25℃での弾性率が5.0×10Pa以上、8.0×10Pa以下である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7