特許第6008011号(P6008011)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6008011
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】タイヤパンクシール剤
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/10 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   C09K3/10 A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-76058(P2015-76058)
(22)【出願日】2015年4月2日
【審査請求日】2016年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】高原 英之
【審査官】 中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−014277(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/033949(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/157239(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K3/10−3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるアミン化合物と、グリコール類と、ゴムラテックスおよび/または樹脂エマルジョンと、界面活性剤と、を含有
前記グリコール類が、下記一般式(2)で表されるグリコールエーテルである、タイヤパンクシール剤。
【化1】
(前記一般式(1)中、Rは、アルキレン基を表す。Rは、水素原子、アルキル基、または、ヒドロキシ基もしくはアミノ基で置換されたアルキル基を表す。Rは、水素原子またはアルキル基を表す。)
【化2】
(前記一般式(2)中、R11は、水素原子またはアルキル基を表す。R12は、炭素数1〜5のアルキル基を表す。pは、1以上の整数を表す。)
【請求項2】
前記アミン化合物の含有量が、前記ゴムラテックスの固形分と前記樹脂エマルジョンの固形分との合計100質量部に対して、1〜50質量部である、請求項1に記載のタイヤパンクシール剤。
【請求項3】
前記界面活性剤の含有量が、前記ゴムラテックスの固形分と前記樹脂エマルジョンの固形分との合計100質量部に対して、1〜20質量部である、請求項1または2に記載のタイヤパンクシール剤。
【請求項4】
前記一般式(1)において、Rがアルキル基である、請求項1〜のいずれか1項に記載のタイヤパンクシール剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤパンクシール剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の標準またはオプションの装備として、パンク修理キットが導入されるケースが増加している。
パンク修理キットは、タイヤパンクシール剤(タイヤパンクシール材)と任意のコンプレッサー等とを組み合わせた構成が知られており、また、実際の製品としては、「タイヤパンク応急修理剤」等と称するタイヤパンクシール剤と、シガーライターソケットから電源を採る小容量のコンプレッサー等とを組み合わせ、コンパクトにパッケージングしたものが一般的に知られている。
【0003】
このようなタイヤパンクシール剤として、例えば特許文献1には、「ゴムラテックスと、粘着付与樹脂エマルジョンと、グリコールからなる凍結防止剤とを含むタイヤのパンクシーリング剤であって、前記ゴムラテックスの固形分と粘着付与樹脂エマルジョンの固形分とを含む固相部以外の液相部は、前記グリコールと水と一価アルコールとを含むことを特徴とするタイヤのパンクシーリング剤。」が開示されている(請求項1)。
特許文献1には、前記パンクシーリング剤の液相部を、前記グリコールと水と一価アルコールとを含んで構成することにより、−30℃前後の低温下におけるパンクシーリング剤の粘性の急激な上昇を抑え、タイヤへの注入に必要な流動性を確保できる旨が開示されている(段落0022)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−120272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発明者が特許文献1に開示されるタイヤパンクシール剤について検討したところ、シール性、およびタイヤのバルブに対する注入性が未だ十分とは言えないことが明らかになった。
【0006】
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、シール性および注入性に優れたタイヤパンクシール剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、特定のアミン化合物を配合することで、シール性および注入性に優れたものになることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
【0008】
[1]
後述する一般式(1)で表されるアミン化合物と、グリコール類と、ゴムラテックスおよび/または樹脂エマルジョンと、界面活性剤と、を含有する、タイヤパンクシール剤。
[2]
上記アミン化合物の含有量が、上記ゴムラテックスの固形分と上記樹脂エマルジョンの固形分との合計100質量部に対して、1〜50質量部である、上記[1]に記載のタイヤパンクシール剤。
[3]
上記グリコール類が、後述する一般式(2)で表されるグリコールエーテルである、上記[1]または[2]に記載のタイヤパンクシール剤。
[4]
上記界面活性剤の含有量が、上記ゴムラテックスの固形分と上記樹脂エマルジョンの固形分との合計100質量部に対して、1〜20質量部である、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載のタイヤパンクシール剤。
[5]
上記一般式(1)において、Rがアルキル基である、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載のタイヤパンクシール剤。
【発明の効果】
【0009】
以下に示すように、本発明によれば、シール性に優れるとともに、優れた注入性を示すタイヤパンクシール剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明のタイヤパンクシール剤について説明する。
なお、本発明において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明において「AおよびBの含有量」とあるのは、AとBとを両方含有する場合には、AおよびBの含有量の合計を指し、AまたはBの一方を含有する場合には、含有する一方の成分の含有量を指す。
【0011】
本発明のタイヤパンクシール剤は、後述する一般式(1)で表されるアミン化合物と、グリコール類と、ゴムラテックスおよび/または樹脂エマルジョンと、界面活性剤と、を含有する。
ここで、タイヤパンクシール剤は、パンク修理時において、パンクしたタイヤのバルブ(空気充填部)からタイヤパンクシール剤を注入して用いられる。そのため、作業効率の向上などの観点から、タイヤパンクシール剤には、タイヤのバルブからの注入性に優れることが求められている。
また、タイヤパンシール剤をタイヤに注入した後、この状態で走行することで、タイヤ中でタイヤパンクシール剤が攪拌される。その結果、パンク孔に浸入したタイヤパンクシール剤中の固形分が析出し、パンク孔が塞がれる。したがって、タイヤパンクシール剤でパンク孔を速やかに充填できれば、シール性が優れたものとなる。
上記の両性能を向上するために、本発明者が鋭意検討した結果、一般式(1)で表されるアミン化合物を含有するタイヤパンクシール剤を用いることで、タイヤのバルブからの注入性に優れるとともに、優れたシール性を示すことを見出した。
【0012】
以下、本発明のタイヤパンクシール剤が含有する各成分について説明する。
【0013】
[アミン化合物]
本発明のタイヤパンクシール剤は、下記一般式(1)で表されるアミン化合物(以下、「特定のアミン化合物」ともいう。)を含有する。
【0014】
【化1】
【0015】
上記一般式(1)中、Rは、アルキレン基を表す。
アルキレン基は特に限定されず、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。アルキレン基の炭素数としては、特に限定されないが、1〜5であることが好ましく、2〜3であることがより好ましい。
本発明において、単に「アルキレン基」という場合には、特に断りのない限り、置換基を有していないアルキレン基(すなわち、「非置換のアルキレン基」)のことを指す。
【0016】
上記一般式(1)中、Rは、水素原子、アルキル基、または、ヒドロキシ基もしくはアミノ基で置換されたアルキル基を表す。
アルキル基は特に限定されず、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。アルキル基の炭素数としては、特に限定されないが、1〜6であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
本発明において、単に「アルキル基」という場合には、特に断りのない限り、置換基を有していないアルキル基(すなわち、「非置換のアルキル基」)のことを指す。
ヒドロキシ基もしくはアミノ基で置換されたアルキル基において、好ましいアルキル基としては、特に限定されず、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。ヒドロキシ基もしくはアミノ基で置換されたアルキル基の炭素数としては、特に限定されないが、1〜5であることが好ましく、2〜3であることがより好ましい。
ヒドロキシ基もしくはアミノ基で置換されたアルキル基において、ヒドロキシ基およびアミノ基の数、すなわち置換基の数は、特に限定されない。
は、水素原子、アルキル基、または、ヒドロキシ基もしくはアミノ基で置換されたアルキル基であるが、シール性がより優れたものになるという観点から、アルキル基(すなわち、非置換のアルキル基)であることが好ましい。
【0017】
上記一般式(1)中、Rは、水素原子またはアルキル基を表す。
アルキル基は特に限定されず、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。アルキル基の炭素数としては、特に限定されないが、1〜6であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
【0018】
上記特定のアミン化合物の中でも、第2級アミン化合物(すなわち、上記一般式(1)のRおよびRのうち、一方のみが水素原子であるもの)または第3級アミン化合物(すなわち、上記一般式(1)のRおよびRの両方が水素原子でないもの)であることが好ましく、第3級アミン化合物であることがより好ましい。
【0019】
上記特定のアミン化合物の具体例としては、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N,N−ジメチルイソプロパノールアミン、N,N−ジエチルイソプロパノールアミン、N,N−ジブチルイソプロパノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−イソプロピルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、N−メチルイソプロパノールアミン、N−エチルイソプロパノールアミン、N−プロピルイソプロパノールアミン、N−n−ブチルイソプロパノールアミン、N−t−ブチルイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−イソプロピルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミン、N−エチルジイソプロパノールアミン、N−プロピルジイソプロパノールアミン、N−n−ブチルジイソプロパノールアミン、N−t−ブチルジイソプロパノールアミンなどが挙げられる。特定のアミン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
上記特定のアミン化合物の含有量は、前記ゴムラテックスの固形分と前記樹脂エマルジョンの固形分との合計100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましく、5〜20質量部であることがさらに好ましい。特定のアミン化合物の含有量が1質量部以上であることで、シール性および注入性がより優れたものとなる。また、特定のアミン化合物の含有量が50質量部以下であることで、タイヤパンクシール剤の製造時に凝固物が発生することを低減できる。
【0021】
[ゴムラテックスおよび/または樹脂エマルジョン]
本発明のタイヤパンクシール剤は、ゴムラテックスおよび/または樹脂エマルジョンを含有する。なかでも、ゴムラテックスおよび樹脂エマルジョンを含有するのが好ましい。すなわち、ゴムラテックスと樹脂エマルジョンとを併用するのが好ましい。
以下、ゴムラテックスおよび樹脂エマルジョンについて説明する。
【0022】
<ゴムラテックス>
上記ゴムラテックスは特に限定されず、従来公知のゴムラテックスを用いることができる。
ゴムラテックスの具体例としては、天然ゴムラテックス、クロロプレンラテックス、スチレンブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリルブタジエンゴムラテックス、スチレンブタジエンアクリルゴムラテックスなどが挙げられる。なかでも、天然ゴムラテックスが好ましい。
本発明のタイヤパンクシール剤では、ゴムラテックスを1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
上記天然ゴムラテックスは、特に限定されず、従来公知の天然ゴムラテックスを用いることができる。
天然ゴムラテックスの具体例としては、ヘベア・ブラジリエンシス樹をタッピングして採取されるもの、天然ゴムラテックスから蛋白質を除去した所謂「脱蛋白天然ゴムラテックス」などが挙げられる。
【0024】
ゴムラテックス中の固形分の含有量は特に制限されないが、ゴムラテックス全体に対して40〜80質量%であることが好ましい。
【0025】
<樹脂エマルジョン>
上記樹脂エマルジョンは、特に限定されず、従来公知の樹脂エマルジョンを用いることができる。なかでも、合成樹脂エマルジョンが好ましい。
上記合成樹脂エマルジョンの具体例としては、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、ポリオレフィンエマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体エマルジョン、ポリ塩化ビニル系エマルジョンなどが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂エマルジョンは、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンまたはエチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体エマルジョンであるのが好ましく、エチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体エマルジョンであるのがより好ましい。
【0026】
樹脂エマルジョン中の固形分の含有量は特に制限されないが、樹脂エマルジョン全体に対して30〜70質量%であることが好ましい。
【0027】
本発明のタイヤパンクシール剤において、ゴムラテックスと樹脂エマルジョンとの合計の含有量は特に制限されないが、タイヤパンクシール剤全体に対して30〜80質量%であることが好ましい。
また、ゴムラテックスの固形分と樹脂エマルジョンの固形分との合計の含有量は特に制限されないが、タイヤパンクシール剤全体に対して10〜50質量%であることが好ましい。
【0028】
[グリコール類]
本発明のタイヤパンクシール剤は、グリコール類を含有する。グリコール類とは、グリコールおよびグリコールエーテルを含む概念である。
【0029】
グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
グリコールエーテルとしては、例えば、下記一般式(2)で表されるグリコールエーテルが挙げられる。
グリコール類は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
グリコール類の中でも、シール性がより優れたものになるという観点から、グリコールエーテルを用いることが好ましい。
【0030】
本発明のタイヤパンクシール剤は、上記グリコール類の中でも、シール性がより一層優れたものになるという観点から、下記一般式(2)で表されるグリコールエーテルを含有することが好ましい。
【0031】
【化2】
【0032】
上記式(2)中、R11は、水素原子またはアルキル基を表す。なかでも水素原子であることが好ましい。アルキル基は特に限定されない。アルキル基は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
【0033】
上記式(2)中、R12は、炭素数1〜5のアルキル基を表す。アルキル基は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
また、R12の炭素数は、タイヤパンクシール剤の初期泡立ち性に優れることと、泡の持続性と、を両立できるという観点からは、1であることが好ましい。一方、初期泡立ち性に優れることと、泡の消滅性に優れる(すなわち、タイヤパンクシール剤の製造性および回収性に優れる)ことと、を両立できるという観点からは、R12の炭素数が2〜5であることが好ましい。
【0034】
上記式(2)中、pは、1以上の整数を表す。なかでも、2以上の整数であることが好ましく、3以上の整数であることがより好ましい。
【0035】
上記一般式(2)で表されるグリコールエーテルの具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、ポリエチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、ポリエチレングリコールジブチルエーテルなどが挙げられる。
【0036】
本発明のタイヤパンクシール剤において、グリコール類の含有量は特に制限されないが、上記ゴムラテックスの固形分と上記樹脂エマルジョンの固形分との合計100質量部に対して、10〜500質量部であることが好ましく、50〜300質量部であることがより好ましく、70〜300質量部であることがさらに好ましく、100〜300質量部であることが特に好ましい。
【0037】
[界面活性剤]
本発明のタイヤパンクシール剤に含有される界面活性剤は特に限定されず、従来公知の界面活性剤を用いることができる。界面活性剤の具体例としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタン、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン−プロピレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルエステルカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルファスルホ脂肪酸エステル塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルリン酸塩、モノアルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルケニルコハク酸塩などが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン酢酸塩、アルキルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩などが挙げられる。
両性イオン界面活性剤としては、例えば、ジメチルアルキルベタイン、アルキルアミドベタインなどが挙げられる。
【0039】
界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤であることが好ましく、アニオン性界面活性剤であることがより好ましく、硫酸エステル塩であることがさらに好ましい。
【0040】
上記硫酸エステル塩は特に制限されないが、アルキル硫酸エステル塩またはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩であることが好ましく、下記式(3)または(4)で表される化合物であることがより好ましい。
【0041】
【化3】
【0042】
上記式(3)および(4)中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基を表し、Mは、1価のカチオンを表し、nは、1〜15の整数を表す。
【0043】
上記式(3)および(4)中、RおよびRが示す炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基(ラウリル基)、ウンデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロプロピルメチル基、トリフルオロエチル基などが挙げられ、中でも、炭素数10〜20の長鎖アルキル基であるのが好ましい。アルキル基は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
【0044】
上記式(3)および(4)中、Mが示す1価のカチオンとしては、例えば、1価の金属カチオン(例えば、アルカリ金属のカチオン)、アンモニウムカチオンなどが挙げられ、なかでも、下記式(5)で表されるカチオンが好ましい。
【0045】
【化4】
【0046】
上記式(5)中、R41〜R44は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(例えば、炭素数1〜5のアルキル基)、または、ヒドロキシ基を有するアルキル基(例えば、−R−OH:ここで、Rはアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基))を表す。R41〜R44の少なくとも1つはヒドロキシ基を有するアルキル基であるのが好ましい。
上記式(5)で表されるカチオンとしては、例えば、トリエタノールアンモニウムなどが挙げられる。
【0047】
界面活性剤の含有量は、上記ゴムラテックスの固形分と上記樹脂エマルジョンの固形分との合計100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましく、3〜20質量部であることがさらに好ましい。
界面活性剤の含有量が1質量部以上であることで、タイヤパンクシール剤の泡立ちが向上して、シール性がより優れたものとなる傾向にある。また、界面活性剤の含有量が20質量部以下であることで、ゴムラテックスの安定性が低下して、機械安定性が向上することにより、シール性がより優れたものとなる傾向にある。
【0048】
[任意成分]
本発明のタイヤパンクシール剤は、必要に応じて、上述した各成分以外の成分(任意成分)を含有してもよい。そのような任意成分としては、例えば、凍結防止剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、分散剤、脱水剤、帯電防止剤などが挙げられる。
【0049】
[タイヤパンクシール剤の製造方法]
本発明のタイヤパンクシール剤の製造方法は特に制限されず、例えば、上述した各成分を混合、攪拌する方法などが挙げられる。また、必要に応じて、混合や攪拌の後に濾過を行ってもよい。
【実施例】
【0050】
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0051】
<タイヤパンクシール剤の製造>
下記第1表に示される成分を同表に示される割合(質量部)で攪拌機を用いて混合し、タイヤパンクシール剤(実施例および比較例のタイヤパンクシール剤)を製造した。なお、第1表中、ゴムラテックスおよび樹脂エマルジョンについてカッコ内の数値は固形分の質量部を表す。
【0052】
<シール性>
得られたタイヤパンクシール剤について以下のとおりシール性を評価した。
タイヤのトレッドのショルダー溝部にパンク孔(直径4mm)を空けた。
次いで、パンク孔を空けたタイヤをドラム試験機に装着し、得られたタイヤパンクシール剤をタイヤのバルブ口から300ml注入し、タイヤ内圧が150kPaになるように空気を充填した。
その後、荷重350kg、時速30kmの条件下で上記タイヤを1分間走行させて停止する間欠運転を、空気漏れが無くなるまで(シールされるまで)繰り返した。空気漏れの有無は、目視および石鹸水をパンク孔付近に吹き付けることで確認した。
そして、以下の基準によりシール性を評価した。結果を第1表に示す。シール性の観点から、AまたはBであることが好ましく、Aであることがより好ましい。
・A:間欠運転5サイクル以内にシールされた。
・B:間欠運転6〜10サイクルでシールされた。
・C:間欠運転11サイクル以上でシールされた。
【0053】
<注入性>
上記のようにして得られたタイヤパンクシール剤350ccを70℃に加温して、215/60 R16のタイヤに加温したタイヤパンクシール剤をバルブからタイヤ内へ注入し、350ccの全てのタイヤパンクシール剤を注入できるまでの時間(注入時間)を測定した。
そして、以下の基準により注入性を評価した。結果を第1表に示す。注入性の観点から、Aであることが好ましい。
・A:注入時間が25秒以内であった。
・B:注入時間が25秒超55秒以下であった。
・C:注入時間が55秒超、または全量注入することができなかった。
【0054】
<製造効率>
上記のタイヤパンクシール剤の製造において、各成分を攪拌した後、タイヤパンクシール剤を直ちに100メッシュの金属メッシュで濾過して、濾過前後のタイヤパンクシール剤の全質量から凝固物の発生量を算出した。製造効率の観点から、Aであることが好ましい。
・A:凝固物の発生量が0.05質量%以下であった。
・B:凝固物の発生量が0.05質量%超、または製造が困難であった。
【0055】
【表1】
【0056】
第1表に示される各成分は以下の通りである。
・ゴムラテックス:天然ゴムラテックス(Hytex HA、固形分:60質量%、フェルフェックス社製(野村貿易社取扱))
・樹脂エマルジョン:エチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体エマルジョン(スミカフレックス950HQ、固形分:50質量%、住化ケムテックス社製)
・PG:プロピレングリコール
・MDG:ジエチレングリコールモノメチルエーテル
・2A:N,N−ジエチルエタノールアミン
・MDA:N−メチルジエタノールアミン
・DEA:ジエチルアミン
・エチルアルコール
・界面活性剤:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名「エマルゲン123P」、花王社製)
【0057】
第1表の実施例の評価結果の通り、特定のアミン化合物を含有するタイヤパンクシール剤を用いることで、シール性および注入性の両性能に優れることが示された。
実施例2と実施例4との対比から、特定のアミン化合物の中でも、ヒドロキシ基を1つ有するアミン化合物を用いた実施例2が、ヒドロキシ基を2つ有するアミン化合物を用いた実施例4よりも、より優れたシール性を示した。
実施例2と実施例5との対比から、グリコール類としてグリコールエーテルを用いた実施例2は、より優れたシール性を示した。
実施例2および6〜9の対比から、界面活性剤の含有量がゴムラテックスの固形分と樹脂エマルジョンの固形分との合計100質量部に対して1〜20質量部である実施例1、6および7はより優れたシール性を示した。
実施例1〜3および10の対比から、特定のアミン化合物の含有量が50質量部以下である実施例1〜3は、タイヤパンクシール剤の製造時に凝固物の発生が少なく、製造効率に優れていることが示された。
【0058】
一方、特定のアミン化合物を含有しない比較例1〜5は、シール性および注入性の少なくとも一方が不十分であることが示された。
【要約】
【課題】本発明の課題は、シール性および注入性に優れたタイヤパンクシール剤を提供することである。
【解決手段】本発明のタイヤパンクシール剤は、下記一般式(1)で表されるアミン化合物と、グリコール類と、ゴムラテックスおよび/または樹脂エマルジョンと、界面活性剤と、を含有する。
(上記一般式(1)中、Rは、アルキレン基を表す。Rは、水素原子、アルキル基、または、ヒドロキシ基もしくはアミノ基で置換されたアルキル基を表す。Rは、水素原子またはアルキル基を表す。)
【選択図】なし