特許第6010592号(P6010592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6010592-搭載物の取付構造 図000002
  • 特許6010592-搭載物の取付構造 図000003
  • 特許6010592-搭載物の取付構造 図000004
  • 特許6010592-搭載物の取付構造 図000005
  • 特許6010592-搭載物の取付構造 図000006
  • 特許6010592-搭載物の取付構造 図000007
  • 特許6010592-搭載物の取付構造 図000008
  • 特許6010592-搭載物の取付構造 図000009
  • 特許6010592-搭載物の取付構造 図000010
  • 特許6010592-搭載物の取付構造 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010592
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】搭載物の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20060101AFI20161006BHJP
   E01H 5/04 20060101ALI20161006BHJP
   B62D 51/06 20060101ALN20161006BHJP
【FI】
   B60K1/04 A
   E01H5/04 Z
   !B62D51/06 E
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-198936(P2014-198936)
(22)【出願日】2014年9月29日
(65)【公開番号】特開2016-68709(P2016-68709A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2015年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】太田 能司
(72)【発明者】
【氏名】橋本 淳志
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−116757(JP,U)
【文献】 実開昭63−083760(JP,U)
【文献】 特開2000−123806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機の本体に搭載物を取り付けるための搭載物の取付構造において、
前記本体には、前記搭載物を係止するための複数の係止部が設けられ、
前記搭載物には、前記複数の係止部がそれぞれ係止される複数の係合部が設けられ、
前記複数の係止部は、
一部の前記係合部を係止しつつ、前記搭載物を搭載位置にスライドさせることができる可動係止部と、
前記搭載位置において、前記可動係止部が係止する係合部とは別の係合部を係止する固定係止部と、を備え、
前記固定係止部は、前記搭載位置に向かってスライドする前記別の係合部に対向して、鉤状に形成されていることを特徴とする搭載物の取付構造。
【請求項2】
前記別の係合部は、前記搭載物の左右それぞれに設けられて、前記本体の幅方向に延び、
前記別の係合部の、前記本体の幅方向内側の部位には、前記本体の幅方向内側から前記別の係合部に向かって連続的に縮径する左右のテーパ部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の搭載物の取付構造。
【請求項3】
前記一部の係合部に接触可能な押し戻し部が形成され、
この押し戻し部は、前記搭載物の取り外し時に、前記搭載位置から前記搭載物を取り外し可能な取り外し位置まで、前記一部の係合部に当接してスライドさせる構成であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の搭載物の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機の本体に搭載物を取り付けるための、搭載物の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
農作業機や除雪機等の作業機の一部には、電動モータによって駆動するものがある。例えば、電動の作業機の本体には、電動モータを駆動させるためのバッテリが取り付けられる。バッテリ等の搭載物の取付構造に関する従来技術として、特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に示されるような、搭載物の取付構造は、作業機の本体に、スリット孔とボルト連結フランジとが形成され、バッテリに、舌片部とボルト孔とが形成されている。
【0004】
バッテリを本体に取り付ける際には、バッテリの舌片部をスリット孔に挿入した後に、ボルト連結フランジとボルト孔とをボルトによって締結する。例えば、バッテリを屋内において充電するような作業機においては、バッテリの取り付け及び取り外しが頻繁に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平4−110648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1による発明によれば、バッテリを取り外した状態において、ボルトを紛失する虞がある。加えて、ボルトの取り付けには、工具が必要であり、搭載物の取り付け作業に手間がかかる。
【0007】
本発明は、ボルト等の締結具を用いずに、搭載物を作業機の本体に簡便に取り付けることができる技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1による発明によれば、作業機の本体に搭載物を取り付けるための搭載物の取付構造において、前記本体には、前記搭載物を係止するための複数の係止部が設けられ、前記搭載物には、前記複数の係止部がそれぞれ係止される複数の係合部が設けられ、前記複数の係止部は、一部の前記係合部を係止しつつ、前記搭載物を搭載位置にスライドさせることができる可動係止部と、前記搭載位置において、前記可動係止部が係止する係合部とは別の係合部を係止する固定係止部と、を備え、前記固定係止部は、前記搭載位置に向かってスライドする前記別の係合部に対向して、鉤状に形成されていることを特徴とする搭載物の取付構造が提供される。
【0010】
請求項に記載のごとく、好ましくは、前記別の係合部は、前記搭載物の左右それぞれに設けられて、前記本体の幅方向に延び、前記別の係合部の、前記本体の幅方向内側の部位には、前記本体の幅方向内側から前記別の係合部に向かって連続的に縮径する左右のテーパ部が形成されている。
【0011】
請求項に記載のごとく、好ましくは、前記係合部に接触可能な押し戻し部が形成され、この押し戻し部は、前記搭載物の取り外し時に、前記搭載位置から前記搭載物を取り外し可能な取り外し位置まで、前記係合部に当接してスライドさせる構成である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、本体には、複数の係止部が設けられ、搭載物には、係止部がそれぞれ係止される複数の係合部が設けられている。係止部は、一部の係合部を係止しつつ、搭載物を搭載位置にスライドさせることができる可動係止部と、搭載位置において、別の係合部を係止する固定係止部と、からなる。即ち、本体に設けられた可動係止部を操作することにより、搭載物は、搭載位置に係止される。ボルト等の締結具を用いずに、搭載物を本体に固定することができる。
【0013】
加えて、可動係止部を操作することのみによって、搭載物は搭載位置に係止される。このため、搭載物の取り付け作業時に、工具を準備する必要がない。搭載物を本体に対して、簡便に取り付けることができる。
【0014】
以上から、本発明によれば、ボルト等の締結具を用いずに、搭載物を本体に簡便に取り付けることができる。
【0015】
請求項に係る発明では、固定係止部は、搭載位置に向かってスライドする別の係合部に対向して、鉤状に形成されている。作業機の作動時には、外部から様々な荷重が加わるが、固定係止部を別の係合部に対向して鉤状に形成したために、外部から本体に荷重が入力された場合であっても、搭載物の過度な移動を防止することができる。
【0016】
請求項に係る発明では、別の係合部は、搭載物の左右において、それぞれ車幅方向に延びる。加えて、本体の幅方向内側の部位には、本体の幅方向内側から別の係合部に向かって連続的に縮径する左右のテーパ部が形成されている。搭載物を本体に搭載した際に、本体の幅方向を基準として、搭載物が所定の位置とは異なる位置に載置されることがあるが、この状態において、搭載物を搭載位置に向かってスライドさせると、左右どちらかのテーパ部が別の係合部に当接する。さらに搭載物をスライドさせると、搭載物は、載置位置に向かってスライドしつつ、幅方向中央に向かってスライドする。これにより、搭載物を所定の搭載位置に搭載することができる。搭載物を所定の搭載位置に搭載するのも、可動係止部を操作することのみによって行うことができ、簡便な操作によって正確な位置に搭載物を搭載することができる。
【0017】
請求項に係る発明では、押し戻し部は、搭載物の取り外し時に、搭載位置から搭載物を取り外し可能な取り外し位置まで、係合部に当接してスライドさせる。操作者は、取り外し位置に位置する搭載物を持ち上げることによって、搭載物を本体から取り外すことができる。搭載物の取り外し作業時において、操作者は、搭載物を取り外し位置までスライドさせる必要がない。簡便な操作によって搭載物を本体から取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による搭載物の取付構造が採用された除雪機の側面図である。
図2図1に示された除雪機の要部拡大図である。
図3図2に示された除雪機の平面図である。
図4図2に示されたスライドプレートの拡大図である。
図5図2の5−5線断面図である。
図6図2に示されたバッテリを本体に搭載する工程について説明する図である。
図7図2に示されたバッテリを搭載位置までスライドさせる工程について説明する図である。
図8図2に示されたバッテリが載置されてから係止されるまでの別の係合部と可動係止部との関係を説明する図である。
図9図2に示されたバッテリを搭載位置から取り外し位置までスライドさせた際の別の係合部と可動係止部との関係を説明する図である。
図10図5に示されたテーパ部の作用について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、説明中、左右とは作業機の操作者を基準として左右、前後とは作業機の進行方向を基準として前後を指す。また、図中Frは前、Rrは後、Lは操作者から見て左、Rは操作者から見て右、Upは上、Dnは下、Ceは除雪機本体の幅方向中央を示している。
<実施例>
【0020】
図1には、作業機の一例として、電動の除雪機10が示されている。除雪機10の本体11には、搭載物の一例として、バッテリ16が搭載されている。除雪機10は、左右の走行装置12によって自走する形式の自走式作業機である。
【0021】
除雪機10は、本体11と、本体11の左右に備えた左右の走行装置12と、本体11の前部に取り付けられた排雪部材13と、本体11の中央部に取り付けられた駆動源14と、本体11の後部に取り付けられた左右の操作ハンドル15(左の操作ハンドル15のみが示されている)とを含む。
【0022】
左右の走行装置12は、例えばクローラによって構成される。排雪部材13(ドーザ13)は、除雪機10を前進させることによって、雪を押出すことができる。駆動源14は、左右の走行装置12を駆動するものであって、例えば電動モータによって構成される。電動モータ14は、本体11に備えたバッテリ16から電力を受ける。左右の操作ハンドル15は、本体11の後部から後上方へ延び、先端に左右のグリップ17(左のグリップ17のみが示されている)を備える。作業者は、左右のグリップ17を握って、除雪機10とともに歩行しながら、左右の操作ハンドル15を操縦することができる。さらに、本体11には、該電動モータ14を駆動制御するための制御部18を備える。
【0023】
さらに、本体11には、バッテリ着脱機構30が設けられている。バッテリ着脱機構30を操作することにより、バッテリ16を本体11に取り付けると共に、本体11から取り外すことができる。
【0024】
図1乃至図3に示される状態において、バッテリ16は、本体11に搭載され固定されている。バッテリ16は、搭載位置に位置しているということもできる。
【0025】
図2及び図3に示されるように、バッテリ着脱機構30は、制御部18の前部に取り付けられたステー21に固定されている第1の軸部材31と、この第1の軸部材31に対してスイング可能に取り付けられたハンドルプレート40と、このハンドルプレート40に対して変位可能に取り付けられたロッド33と、本体11の幅方向中央に固定されている第2の軸部材34と、これらのロッド33及び第2の軸部材34に連結されバッテリ16を前後方向にスライドさせるスライドユニット50と、このスライドユニット50を下方に向かって付勢すると共にロッド33を上方に向かって付勢しているばね36と、本体11の後部の左右に固定された固定部材37,37と、これらの固定部材37,37のそれぞれに固定されている左右の固定係止プレート38と、本体11の後端に固定されているガイド部材39と、からなる。
【0026】
バッテリ16は、バッテリ16の前部中央に固定されスライドユニット50に係止される前部係合部71(一部の係合部71)と、バッテリ16の後部の左右に固定され左右の固定係止プレート38,38に係止された左右の係合部75,75(別の係合部75,75)と、を有している。
【0027】
ステー21は、制御部18を支持するために本体11に固定された、制御部支持プレート22に接合され、支持されている。このため、ステー21、第1の軸部材31、及び、ハンドルプレート40は、本体11に支持されているということもできる。
【0028】
ハンドルプレート40は、本体11の側面視において略L字状を呈する2枚のL字プレート41,41と、これらのL字プレート41,41に接合されL字プレート41,41を連結する連結プレート42と、この連結プレート42の一端に接合され操作者が操作の際に把持する把持プレート43と、からなる。
【0029】
L字プレート41,41には、第1の軸部材31を挿通するための軸部材挿通孔41aが形成されている。一方のL字プレート41にのみ、ロッド33を挿通するためのロッド挿通孔41bが形成されている。
【0030】
L字プレート41の一辺の先端を基準として第1の軸部材31から離れるように把持プレート43が取り付けられている。L字プレート41の他辺の先端には、ロッド33が取り付けられている。第1の軸部材31は、L字プレート41の一辺と他辺との交点の近傍に挿通されている。
【0031】
ロッド33は、上端がL字プレート41に向かって折り曲げられた略L字状の棒状の部材である。ロッド33の下部には、ばね36の一端が当接するばね当接部33aが形成されている。ばね当接部33aは、ロッド33の一部を潰すようにして形成することができる。
【0032】
図2及び図4を参照する。スライドユニット50は、ロッド33を挟むようにしてスライドプレート60が左右に2枚配置され、これらの左右のスライドプレート60がピン状のスライドプレート連結部材52によって連結される構成である。スライドプレート連結部材52は、左右のスライドプレート60にスイング可能に嵌合されている。スライドプレート連結部材52は、ロッド33の変位を許容しつつロッド33に連結されている。スライドプレート連結部材52は、ロッド33が変位することにより、連動して変位する。
【0033】
スライドプレート60の構成は、2枚とも同じであり、以下、右のスライドプレート60のみについて説明する。左のスライドプレートは、右のスライドプレート60と同様の作用を生じさせるものであり、詳細な説明を省略する。
【0034】
スライドプレート60は、コンビネーションレンチ形状を呈する。スライドプレート60の一端に形成された丸孔状のリング部61には、スライドプレート連結部材52が挿通されている。スライドプレート60の他端の上部のオープンエンド部に対応する部位には、前方に向かって鉤状に形成され前部係合部71を係止している可動係止部62と、湾曲状に形成されバッテリ16の取り外し作業時に前部係合部71に当接しバッテリ16を後退させる押し戻し部63と、が形成されている。
【0035】
スライドプレート60の他端には、第2の軸部材34が挿通される挿通孔60aが形成されている。スライドプレート60は、第2の軸部材34を中心にスイング可能に設けられている。
【0036】
以上から、ロッド33は、上端が第1の軸部材31を中心としてスイングすると共に、スライドプレート60との連結部が第2の軸部材34を中心としてスイングするということができる。
【0037】
図2図3及び図5を参照する。左右の固定係止プレート38,38は、共に同じ形状を呈する。以下、左の固定係止プレート38のみについて説明する。右の固定係止プレート38も左の固定係止プレート38と同様の作用を生じるため、詳細な説明を省略する。
【0038】
固定係止プレート38は、後方に向かって鉤状に形成され、左の係合部75を係止している固定係止部38aを有している。固定係止プレート38の上端部38bは、後方に向かって下り勾配に形成されている。
【0039】
特に図5に示されるように、バッテリ16の左の側面部16lには、円盤状の大径部73が一体的に形成されている。この大径部73の外方側の面から一体的に外方に向かって連続的に縮径するテーパ部74が形成されている。このテーパ部74の外方の面から一体的に外方に向かって、ピン状の左の係合部75が形成されている。
【0040】
図3に示されるように、右の係合部75についても同様である。バッテリ16の右の側面部16rには、円盤状の大径部73が一体的に形成されている。この大径部73の外方側の面から一体的に外方に向かって連続的に縮径するテーパ部74が形成されている。このテーパ部74の外方の面から一体的に外方に向かって、ピン状の右の係合部75が形成されている。
【0041】
ここで、外方とは、除雪機10の本体11の幅方向を基準として、外方をいう。
【0042】
図2及び図3を参照する。ガイド部材39は、本体11の側面視において略L字状を呈する左右のガイド部材基部39aと、これらの左右のガイド部材基部39aの上端同士を繋ぎ幅方向に延びるガイド部39bと、からなる。
【0043】
作業者が把持プレート43を把持して、把持プレート43を上下動させると、L字プレート41が第1の軸部材31を中心にスイングする。L字プレート41がスイングすることにより、ロッド33が前後方向及び上下方向に変位する。ロッド33が変位すると、スライドプレート60は、第2の軸部材34を中心にスイングする。
【0044】
図6乃至図9において、本体11に対するバッテリ16の取付作業、及び、本体11からのバッテリ16の取り外し作業について説明する。
【0045】
図6及び図8(a)を参照する。矢印(1)によって示されるように、作業者は、本体11に向かってバッテリ16を下降させる。前部係合部71が可動係止部62と押し戻し部63との間に位置するように下降させる。加えて左右の係合部75(図には、左の係合部75のみが示される。以下、同じ。)が固定係止部38aの後方に位置するように下降させる。
【0046】
図7及び図8(b)を参照する。次に、操作者は、矢印(2)によって示されるように、把持プレート43を掴み、スイングさせる。把持プレート43をスイングさせることにより、矢印(3)によって示されるように、スライドプレート60がスイングする。スライドプレート60がスイングすると、可動係止部62が前部係合部71に当接する。
【0047】
図7及び図8(c)を参照する。操作者は、さらに把持プレート43をスイングさせる。可動係止部62が前部係合部71を係止しつつ、矢印(4)によって示されるように、バッテリ16を前方にスライドさせる。さらに把持プレート43をスイングさせることにより、バッテリ16を載置位置までスライドさせると共に、固定することができる(図2を参照)。
【0048】
特に図8(c)を参照する。バッテリ16が載置位置に載置された状態において、前部係合部71の後面及び上面が可動係止部62に係止されている。一方、左右の係合部75,75は、前面及び上面が固定係止部38aに係止されている。
【0049】
なお、作業中の振動により、把持プレート43が逆方向へスイングすることを防止するために、乗り越え機構などを適宜採用することができる。即ち、把持プレート43は、意図的に力を加えなければ、スイングしない構成とすることが望ましい。これらの機構については、周知の機構を採用することができる。
【0050】
図2及び図9(a)を参照する。バッテリ16を取り外す際には、矢印(6)によって示されるように、取り付けの場合とは逆方向に把持プレート43をスイングさせる。把持プレート43をスイングさせると、前部係合部71に押し戻し部63が当接する。
【0051】
図9(b)を参照する。さらに把持プレート43をスイングさせると、矢印(10)によって示されるように、押し戻し部63が前部係合部71を後方に向かって押し戻す。これにより、バッテリ16が後退する。所定の位置までバッテリ16を後退させたら、矢印(11)によって示されるように、操作者は、バッテリ16を持ち上げる。
【0052】
本発明により、以下の効果を得ることができる。
【0053】
図2を参照する。本体11には、複数の係止部62,38aが設けられ、バッテリ16には、係止部62,38aがそれぞれ係止される複数の係合部71,75が設けられている。可動係止部62は、前部係合部71を係止しつつ、バッテリ16を搭載位置にスライドさせることができる。固定係止部38aは、搭載位置において、左右の係合部75を係止する。即ち、本体11に設けられた可動係止部62(把持プレート43)を操作することにより、バッテリ16は、搭載位置に係止される。ボルト等の締結具を用いずに、バッテリ16を本体11に固定することができる。
【0054】
加えて、可動係止部62(把持プレート43)を操作することのみによって、バッテリ16は搭載位置に係止される。このため、バッテリ16の取り付け作業時に、工具を準備する必要がない。バッテリ16を本体11に対して、簡便に取り付けることができる。
【0055】
以上から、本発明によれば、ボルト等の締結具を用いずに、バッテリ16を本体11に簡便に取り付けることができるということができる。
【0056】
さらに、押し戻し部63は、バッテリ16の取り外し時に、搭載位置からバッテリ16を取り外し可能な取り外し位置まで、前部係合部71に当接してスライドさせる(図9(b)参照)。操作者は、取り外し位置に位置するバッテリ16を持ち上げることによって、バッテリ16を本体11から取り外すことができる。バッテリ16の取り外し作業時において、操作者は、バッテリ16を取り外し位置までスライドさせる必要がない。簡便な操作によってバッテリ16を本体11から取り外すことができる。
【0057】
さらに、固定係止部38aは、搭載位置に向かってスライドする左右の係合部75に対向して、鉤状に形成されている。除雪機10の作動時には、外部から様々な荷重が加わる。固定係止部38aを左右の係合部75に対向して鉤状に形成した。これにより、外部から本体11に荷重が入力された場合であっても、バッテリ16の過度な移動を防止することができる。
【0058】
さらに、スライドユニット50を下方に向かって付勢すると共にロッド33を上方に向かって付勢しているばね36を有する。ロッド33は、上端がハンドルプレート40にスイング可能に連結されると共に、下部がスライドユニット50にスイング可能に連結されている。スイング可能に連結するために、ロッド33とハンドルプレート40との連結部、及び、ロッド33とスライドユニット50との連結部には、共に僅かな隙間が形成されている。除雪機10の作動中において、振動が生じることがある。この振動により、ロッド33がハンドルプレート40に接触し、及び/又は、スライドユニット50に接触することがある。接触により騒音が発生し得る。ばね36の付勢力により、ロッド33は、所定の力でハンドルプレート40に押しつけられると共に、スライドユニット50は、所定の力でロッド33に押しつけられる。除雪機10からの振動により、ロッド33とこれらの部材との間において発生し得る騒音を抑制することができる。
【0059】
図3を参照する。バッテリ16を載置する際には、上方からガイド部材39(ガイド部39b)を見ながらバッテリ16を下降させる。このとき、ガイド部材39よりも前方にバッテリ16を置く。ガイド部材39は、バッテリ16を載置する場合に、バッテリ16を所定の場所に置くためのガイドとなる。ガイド部材39を有することにより、可動係止部62が前部係合部71を係止可能な位置にバッテリ16を載置することができる。即ち、ガイド部材39を有することにより、簡便に所定の位置を認識することができる。
【0060】
図8(a)を参照する。バッテリ16を下降させる際に、所定の位置よりも前方に下降させることが考えられる。この場合、左右の係合部75は、固定係止プレート38の上端部38bに当接する。固定係止プレート38の上端部38bは、後方に向かって下り勾配に形成されている。さらにバッテリ16を下降させると、固定係止プレート38の上端部38bにガイドされて、バッテリ16を所定の位置に載置することができる。
【0061】
図3及び図10(a)を参照する。左右の係合部75は、バッテリ16の左右において、それぞれ車幅方向に延びる。加えて、本体の幅方向内側の部位には、本体の幅方向内側から左右の係合部75に向かって連続的に縮径する左右のテーパ部74が形成されている。バッテリ16を本体11に搭載した際に、バッテリ16が所定の位置よりも左側に載置されることがある。この状態において、バッテリ16を搭載位置に向かってスライドさせると、左のテーパ部74が左の係合部75に当接する。
【0062】
図10(b)を参照する。さらにバッテリ16をスライドさせると、バッテリ16は、載置位置に向かってスライドしつつ、矢印(20)によって示されるように、幅方向中央に向かってスライドする。これにより、バッテリ16を所定の搭載位置に搭載することができる。右にずれた場合も同様に、右のテーパ部74(図3参照)によって、本体中央にスライドされる。バッテリ16を所定の搭載位置に搭載するのも、可動係止部62(図2参照)を操作することのみによって行うことができる。簡便な操作によって正確な位置にバッテリ16を搭載することができる。
【0063】
尚、本発明による搭載物の取付構造は、除雪機へのバッテリの取り付けを例に説明した。しかし、搭載物には、バッテリの他にガソリンタンク等を採用できる。搭載物が取り付けられる作業機としては、除雪機の他に芝刈り機、耕耘機等が採用できる。
【0064】
本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の搭載物の取付構造は、除雪機へのバッテリの取り付けに好適である。
【符号の説明】
【0066】
10…除雪機(作業機)
11…本体
16…バッテリ(搭載物)
38a…固定係止部
62…可動係止部
63…押し戻し部
71…前部係合部(一部の係合部)
74…左右のテーパ部
75…左右の係合部(別の係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10