特許第6015650号(P6015650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015650
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】分離膜および分離膜エレメント
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/00 20060101AFI20161013BHJP
   B01D 63/10 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   B01D63/00 510
   B01D63/10
【請求項の数】5
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2013-508699(P2013-508699)
(86)(22)【出願日】2013年2月19日
(86)【国際出願番号】JP2013053933
(87)【国際公開番号】WO2013125505
(87)【国際公開日】20130829
【審査請求日】2015年11月10日
(31)【優先権主張番号】特願2012-38521(P2012-38521)
(32)【優先日】2012年2月24日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-145158(P2012-145158)
(32)【優先日】2012年6月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100068685
【弁理士】
【氏名又は名称】斎下 和彦
(72)【発明者】
【氏名】広沢 洋帆
(72)【発明者】
【氏名】小岩 雅和
(72)【発明者】
【氏名】山田 博之
(72)【発明者】
【氏名】高木 健太朗
(72)【発明者】
【氏名】岡本 宜記
(72)【発明者】
【氏名】浜田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】大音 勝文
(72)【発明者】
【氏名】木村 将弘
【審査官】 富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−125418(JP,A)
【文献】 特表2004−508170(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/098803(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/047360(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/057028(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00−71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給側の面と、透過側の面とを備える分離膜本体と、前記分離膜本体の前記供給側の面に配置された供給側流路材と、を備える分離膜であって、
1枚の分離膜本体の供給側の面に複数の前記供給側流路材が固着されており、
前記複数の供給側流路材は、前記分離膜本体のたて方向(MD)および幅方向(CD)の少なくとも一方において、間隔を置いて配置されており、
前記供給側の面を流れる供給水の流れ方向に垂直な方向の前記供給側流路材の厚さを供給側流路材の幅とするとき、前記供給側流路材の高さ/幅の比が0.7以上3.0以下であり、かつ前記供給側流路材の空隙率が5%以上95%以下である分離膜。
【請求項2】
隣り合う前記供給側流路材との間の角度が20〜160°であることを特徴とする請求項に記載の分離膜。
【請求項3】
前記透過側の面に透過側流路材が固着されている、請求項1または2に記載の分離膜。
【請求項4】
前記供給側の面の幅方向における端部の少なくとも一方に、第2の供給側流路材が配置された帯状領域を備える、請求項1〜のいずれかに記載の分離膜。
【請求項5】
集水管と、前記集水管の周囲に巻囲された請求項1〜のいずれかに記載の分離膜と、を備えることを特徴とする分離膜エレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体、気体等の流体に含まれる成分を分離するために使用される分離膜エレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
液体、気体等の流体に含まれる成分を分離する方法としては、様々なものがある。例えば海水、かん水などに含まれるイオン性物質を除くための技術を例にとると、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして分離膜エレメントによる分離法の利用が拡大している。分離膜エレメントによる分離法に使用される分離膜には、その孔径や分離機能の点から、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜、正浸透膜などがあり、これらの膜は、例えば海水、かん水、有害物を含んだ水などから飲料水を得る場合や、工業用超純水の製造、排水処理、有価物の回収などに用いられており、目的とする分離成分及び分離性能によって使い分けられている。
【0003】
分離膜エレメントは、分離膜の一方の面に原流体を供給し、他方の面から透過水を得る点では共通している。分離膜エレメントは、各種形状からなる分離膜素子を多数束ねて膜面積を大きくし、単位エレメントあたりで多くの透過水を得ることができるように構成されており、用途や目的にあわせて、スパイラル型、中空糸型、プレート・アンド・フレーム型、回転平膜型、平膜集積型などの各種エレメントが製造されている。
【0004】
例えば、逆浸透ろ過に用いられる流体分離膜エレメントを例にとると、その分離膜エレメント部材は、原流体を分離膜表面へ供給する供給側流路材、原流体に含まれる成分を分離する分離膜、及び分離膜を透過し供給側流体から分離された透過側流体を集水管へと導くための透過側流路材からなる部材を集水管の周りに巻き付けたスパイラル型分離膜エレメントが、原流体に圧力を付与し、透過水を多く取り出す点で広く用いられている。
【0005】
例えば、スパイラル型逆浸透分離膜エレメントの部材としては、供給側流路材では供給側流体の流路を形成させるために主に高分子製のネットが使用され、分離膜としては、ポリアミドなどの架橋高分子からなる分離機能層、ポリスルホンなどの高分子からなる多孔性樹脂層、およびポリエチレンテレフタレートなどの高分子からなる不織布がそれぞれ供給側から透過側にかけて積層された分離膜が使用され、透過側流路材では膜の落ち込みを防き、かつ透過側の流路を形成させる目的で、供給側流路材よりも間隔の細かいトリコットと呼ばれる編み物部材が使用されている。
【0006】
近年、分離膜エレメントに造水コストを低減する要求の高まりから、膜エレメントの高性能化のニーズが求められている。分離膜エレメントの分離性能、単位時間あたりの透過水量を増やす上では、各流路部材、分離膜エレメント部材の性能向上が提案されてきた。例えば、特許文献1では、平膜の表面または両面に一定方向に複数のドットを設けた平膜を積層し、集水管の外周にスパイラル状に巻回したスパイラル型膜エレメントを有するスパイラル型分離膜モジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本国特開2012−40487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記した分離膜エレメントは、分離除去性能の安定性が十分に高いとは言えない。
【0009】
そこで、本発明は、特に高い圧力をかけて分離膜エレメントを運転した時の分離除去性能を安定化させることのできる分離膜および分離膜エレメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の分離膜は、供給側の面と、透過側の面とを備える分離膜本体と、前記分離膜本体の前記供給側の面に配置された供給側流路材と、を備える分離膜であって、前記供給側の面を流れる供給水の流れ方向に垂直な方向の前記供給側流路材の厚さを供給側流路材の幅とするとき、前記供給側流路材の高さ/幅の比が0.7以上3.0以下であり、かつ前記供給側流路材の空隙率が5%以上95%以下である点を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の分離膜およびこれを用いた分離膜エレメントは、安定した供給側流路を形成することができ、分離膜エレメントの分離性能、単位時間あたりの透過水量を向上するとともに、これらの分離除去性能を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1(a)(b)は、本発明の分離膜の一部を模式的に例示する説明図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は側面図である。
図2図2は、本発明の分離膜を構成する供給側流路材の配置パターンを模式的に例示する平面図である。
図3図3は、本発明の分離膜を構成する供給側流路材の他の配置パターンを模式的に例示する平面図である。
図4図4は、図2に記載の配置パターンを拡大して示す説明図である。
図5図5は、図3に記載の配置パターンを拡大して示す説明図である。
図6図6は、本発明の分離膜エレメントの実施形態の一例の一部を展開した斜視図である。
図7図7は、本発明の分離膜エレメントを構成する分離膜の実施形態を模式的に例示する展開斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の一形態について、詳細に説明する。
【0014】
〔1.分離膜〕
(1−1)概要
分離膜とは、分離膜表面に供給される流体(供給水)中の成分を分離し、分離膜を透過した透過流体を得ることができる膜である。分離膜は、分離膜本体と、分離膜本体上に配置された供給側流路材とを備える。
【0015】
このような分離膜の例として、その実施形態を図1(a)(b)に例示して説明する。なお図1(a)(b)は、本実施形態の一例の理解を容易にするために、分離膜30および供給側流路材4の形状、寸法および位置関係を簡略化および部分的に拡大して記載するものであり、本発明の分離膜がこの実施形態に制限されるものではない。
【0016】
図1(a)(b)に示すように、分離膜3は、分離膜本体30と供給側流路材4とを備える。分離膜本体30は供給側の面31と透過側の面32とを備える。供給側流路材4は、分離膜本体30の供給側の面31に配置される。
【0017】
本明細書において、分離膜本体の「供給側の面」とは、分離膜本体の2つの面のうち、原流体(供給水)が供給される側の表面を意味する。「透過側の面」とは、その逆側の面を意味する。分離膜本体30が、基材38及び分離機能層37を備える場合は、一般的に、分離機能層37側の面が供給側の面31であり基材38側の面が透過側の面32である。
【0018】
図中に分離膜に対するx軸、y軸、z軸の方向軸を示す。x軸を分離膜の幅方向(CD)、y軸を分離膜のたて方向(MD)と称することがある。またz軸は、分離膜の厚さ方向である。分離膜本体30は長方形であり、幅方向(CD)およびたて方向(MD)は、分離膜本体30の外縁に平行である。また図1(b)の例では、分離膜の供給側の表面31に導入された供給水は、矢印fで示す方向に流れる。
【0019】
(1−2)分離膜本体
<概要>
分離膜本体30としては、使用方法、目的等に応じた分離性能を有する膜が用いられる。分離膜本体30は、単一層によって形成されていてもよいし、分離機能層37と基材38とを備える複合膜であってもよい。また、複合膜においては、分離機能層と基材との間に、多孔性支持層が形成されていてもよい。
【0020】
<分離機能層>
分離機能層の厚みは具体的な数値に限定されないが、分離性能と透過性能の点で5〜3000nmであることが好ましい。特に逆浸透膜、正浸透膜、ナノろ過膜では5〜300nmであることが好ましい。
【0021】
分離機能層の厚みは、通常の分離膜の膜厚測定法に準ずることができる。例えば、分離膜を樹脂により包埋し、それを切断することで超薄切片を作製し、得られた切片に染色などの処理を行う。その後、透過型電子顕微鏡により観察することで、厚みの測定が可能である。また、分離機能層がひだ構造を有する場合、多孔性支持層より上に位置するひだ構造の断面たて方向(MD)に50nm間隔で測定し、ひだの数を20個測定し、その平均から求めることができる。
【0022】
分離機能層は、分離機能および支持機能の両方を有する層であってもよいし、分離機能のみを備えていてもよい。なお、「分離機能層」とは、少なくとも分離機能を備える層を指す。
【0023】
分離機能層が分離機能および支持機能の両方を有する場合、分離機能層としては、セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、またはポリスルホンを主成分として含有する層が好ましく適用される。
【0024】
なお、本明細書において、「XがYを主成分として含有する」とは、XにおけるYの含有率が、50質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上であることを意味する。また、Yに該当する複数の成分が存在する場合は、それら複数の成分の合計量が、上述の範囲を満たせばよい。
【0025】
一方、多孔性支持層分離機能層としては、孔径制御が容易であり、かつ耐久性に優れるという点で架橋高分子が好ましく使用される。特に、原流体中の成分の分離性能に優れるという点で、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させてなるポリアミド分離機能層、有機無機ハイブリッド機能層などが好適に用いられる。これらの分離機能層は、多孔性支持層上でモノマーを重縮合することによって形成可能である。
【0026】
例えば、分離機能層は、ポリアミドを主成分として含有することができる。このような膜は、公知の方法により、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを界面重縮合することで形成される。例えば、多孔性支持層に多官能アミン水溶液を塗布し、余分なアミン水溶液をエアーナイフなどで除去し、その後、多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を塗布することで、ポリアミド分離機能層が得られる。
【0027】
また、分離機能層は、Si元素などを有する有機−無機ハイブリッド構造を有してもよい。有機無機ハイブリッド構造を有する分離機能層は、例えば、以下の化合物(A)、(B):
(A)エチレン性不飽和基を有する反応性基および加水分解性基がケイ素原子に直接結合したケイ素化合物、ならびに
(B)前記化合物(A)以外の化合物であってエチレン性不飽和基を有する化合物
を含有することができる。具体的には、分離機能層は、化合物(A)の加水分解性基の縮合物ならびに化合物(A)および/または(B)のエチレン性不飽和基の重合物を含有してもよい。すなわち、分離機能層は、
・化合物(A)のみが縮合および/または重合することで形成された重合物、
・化合物(B)のみが重合して形成された重合物、並びに
・化合物(A)と化合物(B)との共重合物
のうちの少なくとも1種の重合物を含有することができる。なお、重合物には縮合物が含まれる。また、化合物(A)と化合物(B)との共重合体中で、化合物(A)は加水分解性基を介して縮合していてもよい。
【0028】
ハイブリッド構造は、公知の方法で形成可能である。ハイブリッド構造の形成方法の一例は次のとおりである。化合物(A)および化合物(B)を含有する反応液を多孔性支持層に塗布する。余分な反応液を除去した後、加水分解性基を縮合させるためには、加熱処理すればよい。化合物(A)および化合物(B)のエチレン性不飽和基の重合方法としては、熱処理、電磁波照射、電子線照射、プラズマ照射を行えばよい。重合速度を速める目的で分離機能層形成の際に重合開始剤、重合促進剤等を添加することができる。
【0029】
なお、いずれの分離機能層についても、使用前に、例えばアルコール含有水溶液、アルカリ水溶液によって膜の表面を親水化させてもよい。
【0030】
<多孔性支持層>
多孔性支持層は、分離機能層を支持する層であり、多孔性樹脂層とも言い換えられる。
【0031】
多孔性支持層に使用される材料やその形状は特に限定されないが、例えば、多孔性樹脂によって基板上に形成されてもよい。多孔性支持層としては、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂あるいはそれらを混合、積層したものが使用され、化学的、機械的、熱的に安定性が高く、孔径が制御しやすいポリスルホンを使用することが好ましい。
【0032】
多孔性支持層は、分離膜に機械的強度を与え、かつイオン等の分子サイズの小さな成分に対して分離膜のような分離性能を有さない。多孔性支持層の有する孔のサイズおよび孔の分布は特に限定されないが、例えば、多孔性支持層は、均一で微細な孔を有してもよいし、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面にかけて径が徐々に大きくなるような孔径の分布を有してもよい。また、いずれの場合でも、分離機能層が形成される側の表面で原子間力顕微鏡または電子顕微鏡などを用いて測定された細孔の投影面積円相当径は、1nm以上100nm以下であることが好ましい。特に界面重合反応性および分離機能層の保持性の点で、多孔性支持層において分離機能層が形成される側の表面における孔は、3〜50nmの投影面積円相当径を有することが好ましい。
【0033】
多孔性支持層の厚みは特に限定されないが、分離膜に強度を与えるため等の理由から、20μm以上500μm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは30μm以上300μm以下である。
【0034】
多孔性支持層の形態は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡、原子間顕微鏡により観察できる。例えば走査型電子顕微鏡で観察するのであれば、基材から多孔性支持層を剥がした後、これを凍結割断法で切断して断面観察のサンプルとする。このサンプルに白金または白金−パラジウムまたは四塩化ルテニウム、好ましくは四塩化ルテニウムを薄くコーティングして3〜6kVの加速電圧で、高分解能電界放射型走査電子顕微鏡(UHR−FE−SEM)で観察する。高分解能電界放射型走査電子顕微鏡は、日立製S−900型電子顕微鏡などが使用できる。得られた電子顕微鏡写真に基づいて、多孔性支持層の膜厚、表面の投影面積円相当径を測定することができる。
【0035】
多孔性支持層の厚み、孔径は、平均値であり、多孔性支持層の厚みは、断面観察で厚み方向に直交する方向に20μm間隔で測定し、20点測定の平均値である。また、孔径は、200個の孔について測定された、各投影面積円相当径の平均値である。
【0036】
次に、多孔性支持層の形成方法について説明する。多孔性支持層は、例えば、上記ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド(以降、DMFと記載)溶液を、後述する基材、例えば密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって、製造することができる。
【0037】
多孔性支持層は、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って形成される。なお、所望の形態を得るために、ポリマー濃度、溶媒の温度、貧溶媒は調整可能である。
【0038】
例えば、所定量のポリスルホンをDMFに溶解し、所定濃度のポリスルホン樹脂溶液を調製する。次いで、このポリスルホン樹脂溶液をポリエステル布あるいは不織布からなる基材上に略一定の厚さに塗布した後、一定時間空気中で表面の溶媒を除去した後、凝固液中でポリスルホンを凝固させることによって得ることができる。
【0039】
<基材>
分離膜本体30の強度、寸法安定性等の観点から、分離膜本体30は基材を有してもよい。基材としては、強度、凹凸形成能および流体透過性の点で繊維状基材を用いることが好ましい。
【0040】
基材としては、長繊維不織布及び短繊維不織布のいずれも好ましく用いることができる。特に、長繊維不織布は、優れた製膜性を有するので、高分子重合体の溶液を流延した際に、その溶液が過浸透により裏抜けすること、多孔性支持層が剥離すること、さらには基材の毛羽立ち等により膜が不均一化すること、及びピンホール等の欠点が生じることを抑制できる。また、基材が熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることにより、短繊維不織布と比べて、高分子溶液流延時に繊維の毛羽立ちによって起きる不均一化および膜欠点の発生を抑制することができる。さらに、分離膜は、連続製膜されるときに、製膜方向に対し張力がかけられるので、寸法安定性に優れる長繊維不織布を基材として用いることが好ましい。
【0041】
長繊維不織布は、成形性、強度の点で、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維が、多孔性支持層側の表層の繊維よりも縦配向であることが好ましい。そのような構造によれば、強度を保つことで膜破れ等を防ぐ高い効果が実現されるだけでなく、分離膜に凹凸を付与する際の、多孔性支持層と基材とを含む積層体としての成形性も向上し、分離膜表面の凹凸形状が安定するので好ましい。
【0042】
より具体的には、長繊維不織布の、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度は、0°〜25°であることが好ましく、また、多孔性支持層側表層における繊維配向度との配向度差が10°〜90°であることが好ましい。
【0043】
分離膜の製造工程やエレメントの製造工程においては加熱する工程が含まれるが、加熱により多孔性支持層または分離機能層が収縮する現象が起きる。特に連続製膜において張力が付与されていない幅方向(CD)において、収縮は顕著である。収縮することにより、寸法安定性等に問題が生じるため、基材としては熱寸法変化率が小さいものが望まれる。不織布において多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度と多孔性支持層側表層における繊維配向度との差が10°〜90°であると、熱による幅方向(CD)の変化を抑制することもでき、好ましい。
【0044】
ここで、繊維配向度とは、多孔性支持層を構成する不織布基材の繊維の向きを示す指標である。具体的には、繊維配向度とは、連続製膜を行う際の製膜方向、つまり不織布基材の長手方向(MD)と、不織布基材を構成する繊維との間の角度の平均値である。つまり、繊維の長手方向(MD)が製膜方向と平行であれば、繊維配向度は0°である。また、繊維の長手方向(MD)が製膜方向に直角であれば、すなわち不織布基材の幅方向(CD)に平行であれば、その繊維の配向度は90°である。よって、繊維配向度が0°に近いほど縦配向であり、90°に近いほど横配向であることを示す。
【0045】
繊維配向度は以下のように測定される。まず、不織布からランダムに小片サンプル10個を採取する。次に、そのサンプルの表面を走査型電子顕微鏡で100〜1000倍で撮影する。撮影像の中で、各サンプルあたり10本を選び、不織布の長手方向(縦方向、製膜方向)を0°としたときの角度を測定する。つまり1つの不織布あたり計100本の繊維について、角度の測定が行われる。こうして測定された100本の繊維についての角度から平均値を算出する。得られた平均値の小数点以下第一位を四捨五入して得られる値が、繊維配向度である。
【0046】
基材の厚みは、30〜300μmの範囲内、または50〜250μmの範囲内となる程度に設定されることが好ましい。
【0047】
(1−3)供給側流路材
(高さ/幅の比)
供給側流路材の例として図1(a)(b)に示すように、供給側流路材4は、分離膜本体30の供給側の面31上に配置される。好ましくは、供給側流路材4が、分離膜本体30の供給側の面31上に固着されるとよい。
【0048】
本発明において、供給側流路材4の高さhと幅dとの比h/dが、0.7以上3.0以下である。このような供給側流路材4を配置することにより、従来のネットやドットを流路材にしたときに比べて1ユニットあたりの流路材の投影面積を小さくできる。そのため、供給側流路材4の数を増やしても供給側流路の抵抗を低減しつつ、供給水の流れを乱して塩濃度分極の抑制効果を大きくすることができる。
【0049】
供給側流路材4の高さhと幅dとの比、すなわち高さ/幅の比(h/d)が大きくなるほど、供給側流路材4の幅dが狭いため流動抵抗が低減する傾向にあるが、上記比(h/d)が大きすぎると加圧ろ過時の供給水のせん断により供給側流路材4が分離膜本体30から剥離しやすくなる。流路材が分離膜本体から剥離すると分離機能層が失われるので、良好な分離性能が得られない。
【0050】
逆に、上記比(h/d)が小さくなるほど、供給側流路材4の高さdが小さいか、または供給側流路材4の幅dが大きいことにより流路が狭くなって流動抵抗が大きくなる。また、集水管の周囲に巻囲して分離膜がその長さ方向(MD)に曲げられた際、供給側流路材4は分離膜の供給側の面31の伸縮に追従し難くなり破壊が起こり易くなる傾向にある。さらに、長期運転時や加圧ろ過および停止の繰り返しにより、供給側流路材4が破壊され易くなるため供給側流路が閉塞して加圧ろ過によって得られる水量が低下する。
【0051】
よって、本発明では、供給側流路材4の高さhと幅dの比(h/d)を0.7以上3.0以下にする。好ましくは比(h/d)を1.5以上2.0以下にするとよい。
【0052】
なお、「高さh」とは、供給側流路材4のz軸方向の「厚み」と言い換え可能であり、また分離膜本体30の供給側の面31の表面と、供給側流路材4の頂部との高低差として測定される。
【0053】
また、「幅」とは、供給側の面31を流れる供給水の流れ方向に垂直な方向の供給側流路材4の厚さである。なお、供給側の面31を流れる供給水の流れ方向の供給側流路材4の長さを「長さe」というものとする。例えば、図1(b)に示すように、供給側流路材4が、底面が楕円形をした円柱であり、その長径が矢印fで示す供給水流れ方向(x軸方向)に平行に配置した例であれば、供給側流路材4の幅は、y軸方向の短径が幅dである。また、供給側流路材4がx軸方向に延長する線状の直方体(底面が直線形状)であれば、そのy軸方向の太さが幅dに相当する。
【0054】
また、複数の供給側流路材4が互いに不連続に設けられることで、一般的な供給側流路材であるネットに比べて、流路材の量が少なくなる。その結果、供給水中のファウラントが付着する部分が少なくなる。さらに、特許文献1に記載された従来のドットに比べても供給水の乱流効果が大きくなるため、ファウラントが流路材に付着し難くなる。このような理由から、供給側流路材4は従来の流路材に比べて供給側のファウリングを抑制できる。
【0055】
(投影面積比)
供給側流路材4を分離膜本体30の供給側の面31に配置させるにあたり、供給側の面側の流動抵抗を減らし、流路を安定に形成させる点では、供給側流路材(後述の第2の供給側流路材42を含む)の投影面積比が0.05以上0.6以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1以上0.5以下である。
【0056】
ここで、供給側流路材の投影面積比とは、供給側流路材を配置した分離膜本体を5cm×5cmで切り出し、市販の顕微鏡画像解析装置を用い、供給側流路材を分離膜表面の上方から供給側の面へ投影した時に得られる投影面積を切り出し面積(25cm2)で割った値とした。
【0057】
供給側流路材を特定の投影面積比で分離膜本体の供給側の面に配置することにより、エレメントとして圧力を付与した際の供給側の流路を安定に形成させるだけでなく、従来のネットよりも流動抵抗が少なく、高効率な流路を形成することを可能とする。また、供給側流路材と分離膜本体が接着していることが好ましく、その場合、急速な圧力変動、流動変動などを生じた際に、従来のネットのような連続体を用い、膜と接着していない場合に比べて、機能膜表面を傷つけにくく、耐久性に優れる。よって、従来のネットのような流路材と比較して、供給側流路材の膜面における移動が少なく、膜の傷つきを防止でき安定に運転できる。
【0058】
(高低差)
供給側流路材の高さh(高低差)は、流動抵抗と分離膜エレメントに充填する膜リーフ数を考慮して決定する。高低差が低すぎると流路の流動抵抗が大きくなり、分離特性や水透過性能が低下してしまう。また、高さhが高すぎると流動抵抗が小さくなるが、エレメント化した場合に膜リーフ数が少なくなる。そうすると、エレメントの造水能力が低下し、造水量を増加させるための運転コストが高くなる。従って、上述した各性能のバランスや運転コストを考慮すると、高さh(高低差)は0.1mm以上2mm以下、より好ましくは0.3mmm以上1mm以下が良い。
【0059】
なお、リーフとは、エレメントに組み込まれるのに適した長さに裁断された、2枚一組の分離膜、または透過側の面が内側、供給側の面が外側になるように分離膜のたて方向(MD)に折り返された分離膜である。後述の分離膜エレメントの実施例では、リーフにおいて、隣接する2枚のリーフは、分離膜の供給側の面で互いに対向するように配置されている。
【0060】
供給側流路材4の高さhは、市販の形状測定システムなどを用いて計測できる。例えば、レーザー顕微鏡による断面からの厚み測定、キーエンス製高精度形状測定システムKS−1100などで測定することができる。測定は供給側流路材が存在する任意の箇所について実施し、各高さの値を総和した値を測定総箇所の数で割って求めることができる。
【0061】
(幅d、アスペクト比およびピッチ)
高さh(高低差)と同様の理由から供給側流路材の幅dは0.1mm以上30mm以下が好ましく、より好ましくは0.2mm以上10mm以下である。分離膜表面の上方から観察したときのアスペクト比は1以上20以下である。なお、アスペクト比(d/e)は供給側流路材4の幅dを長さeで除した値である。
【0062】
供給側流路材4間のピッチは、幅dまたは長さeの10分の1から50倍の間で適宜設計すると良い。ピッチとは、ある流路材における最も高い点と、この流路材に隣接する別の流路材の最も高い点との水平距離のことである。
【0063】
(形状)
分離膜全体における供給側流路材4の形状は、ドットのような不連続状、線状、網型のような連続状など特に限定されないが、流動抵抗を小さくするために不連続状が好ましい。
【0064】
不連続状の場合、個々の流路材の形状は特に限定されず、流路の流動抵抗を少なくし、かつ分離膜に原流体を供給、透過させる際の流路を安定化させるように、変更可能である。例えば、供給側流路材4の平面形状(分離膜の表面の上方から観察した形状)は、楕円、円、長円、台形、三角形、長方形、正方形、平行四辺形、菱形、不定形であってもよい。また、立体的には、例えば分離膜の膜面方向に垂直な断面において、流路材の幅が一定な形状、分離膜本体の表面に近付くほど幅が広がる形状、逆に幅が狭まる形状等が適用される。
【0065】
(パターン)
供給側の面31の上に供給側流路材4を配置するパターンは流路を確保するものであれば特に限定されず、目的に応じていわゆる格子状や千鳥状などにパターン化でき、あるいはその組み合わせでも良い。千鳥状であると、分離膜に原流体を均一に供給できるため好ましい。分離膜に原流体を均一に供給できると、膜面での乱流効果(攪拌効果)が大きくなる。これにより、濃度分極等による分離性能の低下を抑制することができる。
【0066】
なお、本発明の分離膜を集水管の周囲に巻囲し、分離膜エレメントを形成する際には、分離膜を折りや接着により分離膜の供給側の面が外側に配置された対になるようにしてリーフを作製する。この時、リーフを形成する片側の分離膜の面のみに供給側流路材が配置されていても良く、あるいは、リーフを形成する両側の分離膜に供給側流路材が配置されてもよい。また2枚の分離膜に固着された供給側流路材4で所望の配置がなされていても良い。
【0067】
格子状とは、図2に例示する分離膜3のように、直近の4個の供給側流路材4a、4b、4c、4dが略正方形を形成するように少なくとも略直交する二方向(x軸方向およびy軸方向)に一定のピッチで形成される態様を意味し、千鳥状とは、図3に例示する分離膜3ように、直近の3個の供給側流路材4e、4f、4gが略正三角形の頂点を形成するように少なくとも三方向に一定のピッチで形成される態様を意味する。
【0068】
具体的には供給側流路材4と隣り合う供給側流路材4との間の角度は20〜160°であることが好ましく、より好ましくは35〜80°であることが好ましい。いずれの供給側流路材4のピッチが等しい場合、格子状であれば図4のように45°であり、図5のように千鳥状であれば90°となる。なお、ここでいう“隣り合う”とは基準とする1つの供給側流路材4が、供給水の流れ方向(図中、矢印fが示す方向であり、供給水の入口側から出口側への方向)に存在するその他の供給側流路材4とのピッチが最小および次に最小であることを指す。ただし、図5の千鳥状の場合のように最小ピッチが2つ存在する場合では、それぞれのピッチを指す。また、“隣り合う”2つの供給側流路材4との距離が等しい場合もある。
【0069】
(工程)
供給側流路材を配置する工程は特に限定されないが、分離膜を作製する前の段階で支持膜を加工する工程、多孔性支持層を加工する工程、基材を加工する工程、多孔性支持層、基材を積層した積層体を加工する工程、分離機能層が形成された分離膜を加工する工程が好ましく採用できる。
【0070】
(配置方法)
供給側流路材を分離膜の供給側の面に配置させる方法は特に限定されないが、ノズル型のホットメルトアプリケーター、スプレー型のホットメルトアプリケーター、フラットノズル型のホットメルトアプリケーター、ロール型コーター、グラビア法、押出型コーター、印刷、噴霧などの方法が用いられる。
【0071】
例えばホットメルト加工で供給側流路材を配置する場合は、処理温度や選択するホットメルト用樹脂の種類を変更することで、要求される分離特性および透過性能の条件を満足できるように、供給側流路材の形状を自由に調整することができる。そして、供給側流路材の高さhと幅dの比(h/d)が、0.7以上3.0以下となるように供給側流路材を再度塗布すればよい。
【0072】
例えば、供給側流路材の材料を分離膜本体30に塗布し、それが硬化した後に、その上に重ねて、流路材の材料を塗布することで、それらが溶融により強固に接着する。こうして、上述の数値範囲を満たす高さ/幅の比を容易に得ることができる。塗布する回数は、目的とする流路材の形状に合わせて変更可能である。
【0073】
重ねて塗布される樹脂材料は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0074】
(材料)
供給側流路材4は、分離膜本体30とは異なる材料で形成されてもよい。異なる材料とは、分離膜本体30で使用される材料とは異なる組成を有する材料を意味する。
【0075】
供給側流路材4を構成する成分としては特に限定されないが、耐薬品性の点で、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンや共重合ポリオレフィンなどが好ましく、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレンなどのポリマーも選択できる。また、これらの樹脂であれば成形性の観点から後述する流路材への空隙付与に好適であるため、供給側流路材4に空隙を付与することが容易である。
【0076】
供給側流路材4の平面形状は、供給水の流れ方向fに直線状でもよく、あるいは分離膜本体30の表面に対して凸であり、かつ分離膜エレメントとしての所望の効果が損なわれない範囲であれば、他の形状に変更可能である。すなわち、流路材の平面方向(xy平面)における形状は、曲線状および波線状等であってもよい。また、1つの分離膜に含まれる複数の流路材が、幅dおよび長さeの少なくとも一方が互いに異なるように形成されていてもよい。
【0077】
(空隙の付与)
本発明の分離膜において、供給側流路材が空隙部分を有することができる。空隙部分を有する供給側流路材を分離膜供給側の面に配置させる方法は特に限定されないが、例えば化学反応ガス活用法、低沸点溶剤活用法、機械的混入法、溶剤除去法、注型発泡成形法、溶融発泡成形法、固相発泡成形法やフォームメルト法が挙げられる。フォームメルト法では、不活性ガスをホットメルト樹脂に混在させて分離膜供給側の面に塗布する。そうすると、ホットメルト樹脂と不活性ガスが共存する状態でホットメルト樹脂が固化するため、不活性ガスが存在した部分が空隙部分となる。
【0078】
樹脂が空隙を有する状態で固化した場合、樹脂内部に流路が形成されないため流動抵抗の低減に寄与しないが、塗布した樹脂の高低差を大きくすることが容易であり、流路材の幅dが狭くても高さhを高くすることができる。また、塗布する樹脂の使用量を低減できるといった特徴もある。
【0079】
また、供給側流路材を構成する樹脂が空隙を有するため、供給側流路材の柔軟性が高くなる傾向にある。よって、上述したような巻囲時や長期運転時、加圧ろ過の運転および停止の繰り返し時に分離膜が伸縮しても、供給側流路材はその伸縮に追従でき破壊が起こりにくくなる。
【0080】
本発明の分離膜は、供給側流路材の空隙率が5%以上95%以下であり、40%以上85%以下がより好ましい。
【0081】
(帯状領域)
上述した供給側流路材4を第1の供給側流路材とするとき、本発明の分離膜は、供給側の面に第2の供給側流路材を配置することができる。
【0082】
すなわち、分離膜本体30の供給側の面31において、第2の供給側流路材42として、端部に帯状領域33および34が設けられてもよい。図6および図7に示すような帯状領域33および34からなる第2の供給側流路材42が分離膜3の端部に存在することにより、分離膜エレメントの供給水への流入が容易になり、加圧ろ過を長時間継続しても安定に運転できる。
【0083】
帯状領域33および34の縁は分離膜3の縁と一致する必要はなく、帯状領域が分離膜の縁から離れていてもよい。ただし、帯状領域33と分離膜の上流側の縁との距離、および帯状領域34と分離膜の下流側の縁との距離は、例えば、x軸方向における分離膜3の幅W0の5%以下、または1%以下である。このように、第2の供給側流路材42がx軸方向における分離膜の縁の近傍、特に上流側の縁の近傍に設けられていることで、供給側の面31に対して供給水101が効率よく供給される。
【0084】
また、帯状領域が設けられる「端部」は、具体的には、分離膜3のx軸方向における縁からx軸方向における分離膜3の幅W0の20%以内の領域を指す。つまり、第2の供給側流路材42は、分離膜3のx軸方向における縁から、x軸方向における分離膜3の幅W0の20%の範囲内に配置されている。
【0085】
また、帯状領域33の幅W1および帯状領域34の幅W2のそれぞれが、幅W0の1%以上であることで、原流体が供給側の面31に安定的に供給される。
【0086】
さらに、帯状領域の幅W1〜W2の合計は、幅W0の10%〜60%程度に設定されてもよい。幅W0に対する幅W1〜W2の比率が60%以下であることで、流動抵抗および圧力損失が低減される。また、この比率が10%以上であることで、乱流効果によって濃度分極発生を抑制することができる。さらに、幅W1およびW2は、それぞれがW0の10%以上であってもよい。
【0087】
このような形態の例として、本実施形態において、帯状領域33および34の形状および大きさは同一である。つまり、図7における帯状領域の幅W1とW2とは同一であり、第2の供給側流路材42の形状も同じである。また、幅W1およびW2はそれぞれ分離膜のたて方向(MD)に一定である。
【0088】
このように、供給側の面31の端部に第2の供給側流路材42が配置されていることで、向かい合う2つの供給側の面31の間で供給水101の流路が確保される。なお、本実施形態では、1つの供給側の面31に2つの帯状領域33および34が設けられているが、本発明はこの形態に限定されるものではなく、帯状領域は、x軸方向における一方の端部、つまり上流側または下流側の一方の端部にのみ設けられていてもよい。
【0089】
第2の供給側流路材42の材料、形状等の構成としては、上述の供給側流路材4(区別するために、第1の供給側流路材と称する)と同様の構成が適用可能である。ただし、1枚の分離膜において、第2の供給側流路材42と、第1の供給側流路材4とは、適用される形状、材料が互いに異なっていてもよい。また、第2の供給側流路材42は、第1の供給側流路材4について上述した高さ/幅の比を満たさなくてもよいが、満たすことがより好ましい。
【0090】
図7に示す形態では、1枚の分離膜3において、複数の第2の供給側流路材42が設けられる。個々の供給側流路材42は、直線状であって、その延長方向は、集水管2の長手方向(x軸方向)に対して斜めに配置される。特に、図7では複数本の供給側流路材42は互いに平行に配置されている。つまり、図7において、第2の供給側流路材42はストライプ形状を呈している。
【0091】
「x軸方向に対して斜め」とは、平行(x軸方向)および直交(y軸方向)を除くことを意味する。つまり、供給側流路材42の延長方向とx軸方向との間の角度θは、0°を超え90°未満である。なお、角度θは絶対値を指す。つまり、x軸に対して互いに線対称な2つの樹脂体は、同じ角度θを示す。
【0092】
角度θが90°未満であることで、原流体101の流れが乱されるので、濃度分極が起こりにくく、良好な分離性能が実現される。角度θが0°より大きいことで、濃度分極の抑制効果がより高まる。また、角度θが、60°以下であることで、原流体の流動抵抗が比較的低く、かつ濃度分極に対して高い抑制効果を得ることができる。さらに、流動抵抗を低減しつつ、乱流効果を生むために、15°より大きく45°以下であることがより好ましい。
【0093】
なお、第2の供給側流路材におけるストライプ状の配置において、上流側の流路材と下流側の流路材とは、平行であってもよいし、非平行であってもよい。例えば、ストライプ状の配置において、上流側の流路材と下流側の流路材とは、y軸に関して線対称であってもよいし、非対称であってもよい。
【0094】
上述の第1供給側流路材4は、以上に述べた上流側の帯状端部33および下流側の帯状端部34の間に配置される。
【0095】
〔2.分離膜エレメント〕
(2−1)全体構成
次に、スパイラル型分離膜エレメントの形態の一例について、図6を参照して説明する。
【0096】
図6に示すように、分離膜エレメント1は、集水管2、分離膜3、供給側流路材4、上流側の帯状端部33、透過側流路材5、供給側端板7および透過側端板8を備える。分離膜エレメント1は、供給水101を透過水102と濃縮水103とに分離することができる。
【0097】
集水管2は、一方向(図中のx軸方向)に長い円筒状の部材である。集水管2の側面には複数の孔が設けられている。
【0098】
分離膜3は、上述したような所望の分離性能を有する膜であればよい。分離膜3は、供給水101に接する供給側の面31と透過水102に接する透過側の面32を有する。
【0099】
供給側流路材4は、分離膜3の供給側の面31に設けられる。
【0100】
透過側流路材5としては、従来の流路材が適用可能であり、例えばトリコット等の編み物が用いられる。透過側流路材5は封筒状膜6において、向かい合う2つの透過側の面32の間に配置される。ただし、透過側流路材5は、分離膜3の間に透過側流路を形成できる他の部材に変更可能である。また、分離膜3として、向かい合う2つの透過側の面32に凹凸が形成された分離膜を用いることで、透過側流路材5を省略することもできる。透過側流路材の詳細および他の例については後述する。
【0101】
封筒状膜6は、上記で説明した「リーフ」とも言われる。封筒状膜6は、透過側の面32が内側になるように重ね合わされた2枚の分離膜3により、または折り畳まれた1枚の分離膜3により形成される。封筒状膜6の平面形状は長方形であり、分離膜3は3辺において閉じ、1辺が開口している。封筒状膜6は、その開口部が集水管2を向くように配置され、さらに集水管2の周囲に巻き付けられる。分離膜エレメント1においては、複数の封筒状膜6が重なるように巻回されている。それぞれの封筒状膜6の外側の面は供給側の面31であり、隣り合う封筒状膜6は供給側の面31が向かい合うように配置される。つまり、隣り合う封筒状膜6の間には供給側流路が形成され、封筒状膜6の内側には透過側流路が形成される。
【0102】
集水管およびその周囲に巻囲された複数の封筒状膜からなる巻回体は、その両端部に供給水101を通す供給側端板7ならびに透過水102と濃縮水103を通す透過側端板8を備える。供給側端板7および透過側端板8は、それぞれ、巻回体の上流側端部21および下流側端部22に取り付けられる。
【0103】
なお、分離膜エレメント1は、上述した以外の部材を備えることができる。例えば、分離膜の巻回体の周囲は、フィルム等の他部材で覆われていてもよい。
【0104】
供給水101は、供給側端板7を介して分離膜3の供給側の面31に供給される。分離膜3を透過した透過水102は、透過側流路材5により封筒状膜6内に形成された流路を通って、集水管2へと流れ込む。集水管2を流れた透過水102は、端板8を通って分離膜エレメント1の外部に排出される。また、濃縮水103は、供給側の面31間を通って端板8から外部に排出される。こうして、供給水101は、透過水102と濃縮水103とに分離される。
【0105】
(2−2)分離膜
分離膜3としては、図6および図7に示すように、上述した構成が適用される。分離膜3は、集水管2の周囲に巻回されており、分離膜3の幅方向(CD)が集水管2の長手方向に沿うように配置される。その結果、分離膜3は、そのたて方向(MD)が巻回方向に沿うように配置される。
【0106】
「巻回方向の内側」及び「巻回方向の外側」とはそれぞれ、分離膜において集水管に近い側及び遠い側と言い換えることもできる。
【0107】
上述したように、流路材は分離膜の縁まで達していなくてもよいので、例えば、巻回方向における封筒状膜の外側端部、及び集水管長手方向における封筒状膜の端部では、流路材が設けられていなくてもよい。
【0108】
(2−3)供給側流路
図6に示すように、分離膜3からなる封筒状膜6が重ねられ巻回されることで、分離膜3間に、上述の供給側流路材により流路が形成される。なお、向かい合う供給側の面の両方に第1の供給側流路材4が設けられる必要はなく、少なくとも片方に設けられていればよい。
【0109】
また、第2の供給側流路材42は、向かい合う供給側の面の両方に、互いに交差するように配置されることで流路の高さをより大きく確保することができる。
【0110】
(2−4)透過側流路
透過側流路材5は、透過水が集水管に設けられた有孔に到達することができるように構成されていればよく、形状、大きさ、素材等は具体的な構成に限定されるものではない。
【0111】
透過側流路材5は、分離膜と異なる組成を有することで、圧力に対して分離膜よりも高い耐性を示すことができる。具体的には、透過側流路材5は、特に分離膜の面方向に垂直な方向における圧力に対して、分離膜よりも高い形状保持力を有する材料で形成されることが好ましい。これによって、透過側流路材5は、繰り返しの通水又は高圧下での通水を経ても、透過側流路を確保することができる。
【0112】
例えば、透過側流路材5として、トリコット、目の粗いネット状物、棒状、円柱状、ドット状物、発泡物、粉末状物、それらの組み合わせなどが使用することができる。また分離膜本体30の透過側の面32に、透過側流路材5を固着することもできる。組成としては特に限定されないが、耐薬品性の点で、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレン、ポリポリプロピレンなどのポリオレフィンや共重合ポリオレフィン、ポリエステル、ウレタン、エポキシなどの樹脂などが好ましく、熱可塑性樹脂だけでなく、熱や光による硬化性樹脂を使用することもできる。これらを単独もしくは2種類以上からなる混合物として用いることができる。ただし、熱可塑性樹脂であれば成形が容易であるため、流路材の形状を均一にできる。
【0113】
透過側流路材5を形成する材料は、母材としてこれらの樹脂を含有し、さらに充てん材を含有する複合材も、適用可能である。流路材の圧縮弾性率は、多孔質無機物などの充てん材を母材に添加することで高められる。具体的にはケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のアルカリ土類金属のケイ酸塩、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩等を充てん材として用いることができる。なお、充てん材の添加量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
【0114】
透過側流路材5を透過側の面32に固着するとき、分離膜本体30中に、より具体的には基材38中に、透過側流路材5の成分が含浸していてもよい。分離膜本体の基材38側、すなわち透過側の面32に流路材5を配置し、ホットメルト法などで基材側から加熱すると、分離膜の裏側から表側に向かって透過側流路材5の含浸が進行する。含浸が進行するにつれて流路材と基材との接着が強固になり、加圧ろ過しても流路材が基材から剥離しにくくなる。
【0115】
ただし、透過側流路材5の成分が分離機能層(供給側の面31)の近傍まで含浸していると、加圧ろ過した際に含浸した流路材が分離機能層を破壊してしまう。そのため、透過側流路材5の成分が基材に含浸している場合、基材の厚みに対する透過側流路材5の含浸厚みの割合(すなわち含浸率)は、5%以上95%以下の範囲であることが好ましく、10%以上80%以下の範囲であることがより好ましく、20%以上60%以下の範囲であることがさらに好ましい。なお、含浸厚みとは流路材最大含浸厚みを指し、流路材最大含浸厚みとは、1つの断面において、その流路材に対応する含浸部の厚みの最大値を意味する。
【0116】
透過側流路材5の含浸厚みは、例えば、透過側流路材5を構成する材料の種類(より具体的には樹脂の種類)及び/又は材料の量を変更することで、調整可能である。また、透過側流路材5をホットメルト法によって設ける場合には、処理温度等を変更することによっても、含浸厚みを調整することができる。
【0117】
なお、透過側流路材5の含浸部を含む基材を示差走査熱量測定といった熱分析に供することにより、基材とは別に透過側流路材5の成分に起因するピークが得られれば、流路材5が基材に含浸していることを確認することができる。
【0118】
透過側流路材5の基材への含浸率は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡、原子間顕微鏡により、透過側流路材5が存在する分離膜の断面を観察して流路材含浸厚みと基材厚みを算出することができる。例えば走査型電子顕微鏡で観察するのであれば分離膜を透過側流路材5と共に深さ方向に切断し、断面を走査型電子顕微鏡で観察して、流路材含浸厚みと基材厚みを測定する。そして、基材中の透過側流路材5が最も含浸している流路材最大含浸厚みと基材厚みの比から算出できる。なお、含浸深さを算出する場合の「基材厚み」とは、最大含浸厚みを測定した部分と同一箇所における基材の厚みである。
【0119】
透過側流路材5は、連続形状であってもよいし、不連続形状であってもよい。
【0120】
透過側流路材5として、連続形状を有する部材の例として、トリコットについては既に挙げた。連続の定義についてはすでに述べた。連続形状を有する部材としては、他に、織物、編み物(ネット等)、不織布、多孔性材料(多孔性フィルム等)などが挙げられる。
【0121】
また、不連続の定義についても既に述べたとおりである。不連続な流路材の形状としては、具体的には、ドット状、粒状、線状、半球状、柱状(円柱状、角柱状等を含む)、又は壁状等が挙げられる。1枚の分離膜上に設けられた、線状又は壁状の複数の流路材は、互いに交差しないように配置されていればよく、具体的には、互いに平行に配置されてもよい。
【0122】
不連続形状の透過側流路材を構成する個々の樹脂体の形状は、特に限定されないが、透過水流路の流動抵抗を少なくし、かつ分離膜エレメントに原流体を供給、透過させた際の流路を安定化させることが好ましい。不連続形状の透過側流路材の一単位を分離膜の透過側の面に垂直な方向から観察した平面視形状としては、例えば、楕円、円、長円、台形、三角形、長方形、正方形、平行四辺形、菱形、不定形が挙げられる。また、分離膜の面方向に垂直な断面において、透過側流路材は、上部から下部に向かって(つまり、厚み方向における透過側流路材の頂点から、透過側流路材が設けられた分離膜に向かって)、幅が広がる形状、狭まる形状、一定の幅を示す形状のいずれであってもよい。
【0123】
分離膜エレメントにおける透過側流路材の厚みは30μm以上1000μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以上700μm以下、さらに好ましくは50μm以上500μm以下であり、これらの範囲であれば安定した透過水の流路を確保することができる。
【0124】
透過側流路材の厚みは、例えばホットメルト加工法で不連続形状の透過側流路材を配置させる場合では処理温度や選択するホットメルト用の樹脂を変更することで、要求される分離特性や透過性能の条件を満足できるように自由に調整することができる。
【0125】
(2−5)集水管
集水管2は、その中を透過水が流れるように構成されていればよく、材質、形状、大きさ等は特に限定されない。集水管2としては、例えば、複数の孔が設けられた側面を有する円筒状の部材が用いられる。
【0126】
〔3.分離膜エレメントの製造方法〕
(3−1)分離膜本体の製造
分離膜本体の製造方法については上述したが、簡単にまとめると以下のとおりである。
【0127】
良溶媒に樹脂を溶解し、得られた樹脂溶液を基材にキャストして純水中に浸漬して多孔性支持層と基材を複合させる。その後、上述したように、多孔性支持層上に分離機能層を形成する。さらに、必要に応じて分離性能、透過性能を高めるべく、塩素、酸、アルカリ、亜硝酸などの化学処理を施し、さらにモノマー等を洗浄し分離膜本体の連続シートを作製する。
【0128】
(3−2)供給側流路材の配置
供給側流路材4は、分離膜本体30の供給側の面に、不連続な流路材を固着することで形成される。この工程は、分離膜製造のどの時点で行われてもよい。例えば、流路材は、基材上に多孔性支持層が形成される前に設けられてもよいし、多孔性支持層が設けられた後であって分離機能層が形成される前に設けられてもよいし、分離機能層が形成された後、上述の化学処理が施される前または後に行われてもよい。
【0129】
流路材を配置する方法は上述したとおりである。
【0130】
(3−3)透過側流路の形成
透過側流路材5が、透過側の面に固着された、分離膜本体30と異なる素材で形成された不連続な部材である場合、透過側流路材の形成には、供給側流路材の形成と同じ方法およびタイミングを適用することができる。
【0131】
一方、透過側流路材5がトリコット等の連続的に形成された部材である場合は、分離膜本体30に供給側流路材が配置された分離膜が製造された後、この分離膜と透過側流路材5とを重ね合わせればよい。
【0132】
(3−4)分離膜の積層および巻回
分離膜エレメントの製造には、従来のエレメント製作装置を用いることができる。また、エレメント作製方法としては、参考文献(日本国特公昭44−14216号公報、日本国特公平4−11928号公報、日本国特開平11−226366号公報)に記載される方法を用いることができる。詳細には以下の通りである。
【0133】
1枚の分離膜を透過側面が内側を向くように折り畳んでその周縁を貼り合わせることで、または2枚の分離膜を透過側面が内側を向くように重ねてその周縁を貼り合わせることで、封筒状膜が形成される。上述したように、封筒状膜は三辺が封止される。封止は、接着剤またはホットメルト等による接着、熱またはレーザーによる融着等により実行できる。
【0134】
封筒状膜の形成に用いられる接着剤は、粘度が40PS以上150PS以下の範囲内であることが好ましく、さらに50PS以上120PS以下がより好ましい。分離膜にしわが発生すると、分離膜エレメントの性能が低下することがあるが、接着剤粘度が、150PS以下であることで、分離膜を集水管に巻囲するときに、しわが発生しにくくなる。また、接着剤粘度が40PS以上である場合、分離膜間からの接着剤の流出が抑制され、不要な部分に接着剤が付着する危険性が低下する。
【0135】
接着剤の塗布量は、分離膜が集水管に巻囲された後に、接着剤が塗布される部分の幅が10mm以上100mm以下であるような量であることが好ましい。これによって、分離膜が確実に接着されるので、原流体の透過側への流入が抑制される。また、有効膜面積も比較的大きく確保することができる。
【0136】
接着剤としてはウレタン系接着剤が好ましく、粘度を40PS以上150PS以下の範囲とするには、主剤のイソシアネートと硬化剤のポリオールとが、イソシアネート:ポリオール=1:1〜1:5の重量割合で混合されたものが好ましい。接着剤の粘度は、予め主剤、硬化剤単体、及び配合割合を規定した混合物の粘度をB型粘度計(JIS K 6833)で測定される。
【0137】
こうして接着剤が塗布され封筒状に形成された分離膜(封筒状膜)は、封筒状膜の閉口部分が巻回方向内側に位置し、集水管に設けられた孔に連通するように配置され、集水管の周囲に分離膜を巻きつけられる。こうして、分離膜がスパイラル状に巻回される。
【0138】
(3−5)その他の工程
分離膜エレメントの製造方法は、上述のように形成された分離膜の巻回体の外側に、フィルムおよびフィラメント等をさらに巻きつけることを含んでいてもよいし、集水管の長手方向における分離膜の端を切りそろえるエッジカット、端板の取り付け等のさらなる工程を含んでいてもよい。
【0139】
〔4.分離膜エレメントの利用〕
分離膜エレメントは、さらに、直列または並列に接続して圧力容器に収納されることで、分離膜モジュールとして使用されてもよい。
【0140】
また、上記の分離膜エレメント、分離膜モジュールは、それらに流体を供給するポンプや、その流体を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この流体分離装置を用いることにより、例えば供給水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
【0141】
流体分離装置の操作圧力は高い方が除去率は向上するが、運転に必要なエネルギーも増加すること、また、分離膜エレメントの供給流路、透過流路の保持性を考慮すると、膜モジュールに被処理水(供給水)を透過する際の操作圧力は、0.2〜5MPaが好ましい。供給水温度は、高くなると塩除去率が低下するが、低くなるにしたがい膜透過流束も減少するので、5〜45℃が好ましい。また、供給水のpHが中性領域にある場合、供給水が海水などの高塩濃度の液体であっても、マグネシウムなどのスケールの発生が抑制され、また、膜の劣化も抑制される。
【0142】
分離膜エレメントによって処理される流体は特に限定されないが、水処理に使用する場合、供給水としては、海水、かん水、排水等の500mg/L〜100g/LのTDS(Total Dissolved Solids:総溶解固形分)を含有する液状混合物が挙げられる。一般に、TDSは総溶解固形分量を指し、「質量÷体積」あるいは「重量比」で表される。定義によれば、0.45μmのフィルターで濾過した溶液を39.5〜40.5℃の温度で蒸発させ残留物の重さから算出できるが、より簡便には実用塩分(S)から換算する。
【実施例】
【0143】
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
【0144】
(分離膜の供給側流路材の高さ)
キーエンス社製高精度形状測定システムKS−1100を用い、5cm×5cmの供給側の面の測定結果から供給側流路材の平均高さhを解析した。10μm以上の高低差のある30箇所を測定し、各高さの値を総和した値を測定総箇所の数で割って求めた。なお分離膜の透過側の面に透過側流路材を固着させるとき、透過側流路材の高さは上記と同様にして求めた。
【0145】
(供給側流路材の幅、ピッチおよび間隔)
走査型電子顕微鏡(S−800)(日立製作所社製)を用いて30個の任意の供給側流路材断面を500倍で写真撮影した。供給側流路材の幅は、設計された供給水の流れ方向に対し垂直な方向の最大幅を200箇所について測定し、その平均値を幅dとした。
【0146】
一方、供給側流路材のピッチは、分離膜の供給側における高い箇所の最も高いところから近接する高い箇所の最も高い箇所までの水平距離を200箇所について測定し、その平均値をピッチとした。また、直近の供給側流路材間の間隔は、最短距離を200箇所について測定し、その平均値を算出することで求めた。
【0147】
なお分離膜の透過側の面に透過側流路材を固着させるとき、透過側流路材の幅、ピッチおよび間隔は上記と同様にして求めた。
【0148】
(供給側流路材の投影面積比)
供給側流路材と共に分離膜を5cm×5cmで切り出し、レーザー顕微鏡(倍率10〜500倍の中から選択)を用い、ステージを移動させて、該流路材の全投影面積を測定した。該流路材を分離膜供給側から投影した時に得られる投影面積を切り出し面積で割った値を投影面積比とした。なお分離膜の透過側の面に透過側流路材を固着させるとき、透過側流路材の投影面積比は上記と同様にして求めた。
【0149】
(造水量)
分離膜または分離膜エレメントを用いて、供給水として濃度500mg/LかつpH6.5の食塩水を用いて、運転圧力0.7MPa、運転温度25℃として100時間運転した後に10分間のサンプリングを行い、膜の単位面積あたり、かつ1日あたりの透水量(立方メートル)を造水量(m3/日)として表した。
【0150】
(脱塩率(TDS除去率))
造水量測定でサンプリングした透過水と供給水のTDS濃度を伝導率測定により求め、下記式からTDS除去率を算出した。
TDS除去率(%)=100×{1−(透過水中のTDS濃度/供給水中のTDS濃度)}
なお、1時間後の測定値と2時間後の測定値で0.1%以上の変化をした場合に、その結果を付記した。
【0151】
(供給側流路材の空隙率)
キーエンス社製高精度形状測定システムKS−1100を用い、供給側流路材の中央を切断して得た断面を観察し、供給側流路材の断面積に対する空隙部分の総面積の比を空隙率とした。
【0152】
(安定性A)
作製した分離膜エレメントに原水として濃度500mg/LかつpH6.5、25℃の食塩水を運転圧力0.7MPaでエレメントを1分運転した後、運転を終了した。1分間の造水運転後の停止時間を1分間としこれを1サイクルとした。このサイクル(発停)を1500回繰り返した後に脱塩率を測定し、脱塩率の安定性Aを下記式により求めた。
安定性A(%)=(発停1500回後の脱塩率)/初期造水量×100
【0153】
(安定性B)
安定性Aの評価を終えた後に、原水として濃度500mg/LかつpH6.5、25℃の食塩水を運転圧力1.0MPaでエレメントを1分運転した後、運転を終了した。1分間の造水運転後の停止時間を1分間としこれを1サイクルとした。このサイクル(発停)を1000回繰り返した後に脱塩率を測定し、脱塩率の安定性Bを下記式により求めた。なお、ここでいう初期造水量は、安定性Aの評価時の結果を用いた。また、安定性Aが70%を下回った場合は本試験を実施しなかった。
安定性B(%)=(発停1000回後の脱塩率)/初期造水量×100
【0154】
(ファウリング進行度)
ノニオン界面活性剤(和光純薬工業社製 ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル)を100ppmになるように供給水に注入し、1時間通水後における供給水(ノニオン界面活性剤含有かん水・25℃)の分離膜エレメント透過水量について分離膜エレメントあたり、1日あたりの透水量(立方メートル)をノニオン界面活性剤注入後の造水量(m3/日)とした。
【0155】
ファウリング進行度はノニオン界面活性剤注入前後における造水量の変化率であり、「(ノニオン界面活性剤注入前の造水量−ノニオン界面活性剤注入後の造水量)/(ノニオン界面活性剤注入後の造水量)×100(%)」で表現される。膜が示すファウリング進行度が0%に近いほど、その膜ではファウリングが起きにくい。
【0156】
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約90μm、通気度:1cc/cm2/sec)上にポリスルホンの15.0重量%のDMF溶液を180μmの厚みで室温(25℃)にてキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって繊維補強ポリスルホン支持膜からなる多孔性支持層(厚さ130μm)ロールを作製した。
【0157】
その後、多孔性支持層ロールを巻き出し、ポリスルホン表面に、m−フェニレンジアミン(m−PDA)1.8重量%、ε−カプロラクタム4.5重量%水溶液を塗布し、エアノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド0.06重量%を含む25℃のn−デカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布した。その後、膜から余分な溶液をエアブロー除去し、80℃の熱水で洗浄し、エアブローで液切りして分離膜ロールを得た。
【0158】
次いで、分離膜の供給側の面にフォームメルトシステムを用いて、樹脂温度110℃のエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(商品名:701A)に窒素ガスを混入させながら、走行速度2.5m/minでドット状に塗布し、供給側流路材(高さh=0.83mm、幅d=0.5mm、空隙率80%、アスペクト比1、分離膜の長さ方向(y軸方向)のピッチ1.8mm、供給水の流れ方向に近接する2つの供給側流路材4とで形成する角度90°(表中には形成角と記載))を配置した。
【0159】
該分離膜のドット状の供給側流路材を配置した部分を43cm2に切り取り、圧力容器に入れて、上述の条件で運転したところ、造水量および脱塩率は1.02m3/m2/dayおよび98.7%であった。
【0160】
以下、実施例および比較例の結果を表1〜表6に示す。
【0161】
(実施例2)
実施例1で得た分離膜ロールを、分離膜エレメントでの有効面積が37.0m2となるように折り畳み断裁加工し、トリコット(厚み:0.3mm、溝幅:0.2mm、畦幅:0.3mm、溝深さ:0.105mm)を透過側流路材として幅1,000mmで26枚のリーフを作製した。
【0162】
その後、ABS製集水管(幅:1,020mm、径:30mm、孔数40個×直線状1列)に巻き付けながら26枚のリーフをスパイラル状に巻き付けた分離膜エレメントを作製し、外周にフィルムを巻き付け、テープで固定した後に、エッジカット、端板取りつけ、フィラメントワインディングを行い、8インチエレメントを作製した。
【0163】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は31.2m3/dayおよび98.8%、安定性Aは99.5%以上、安定性Bは99%以上、ファウリング進行度は39.0%だった。
【0164】
(実施例3)
樹脂と窒素ガスの供給量比を変更し、供給側流路材の空隙率を50%に変更したこと以外は全て実施例1と同様に分離膜ロールを作製した。
【0165】
該分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0166】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は31.0m3/dayおよび98.8%、安定性Aは99.5%以上、安定性Bは98.2%、ファウリング進行度は39.0%だった。
【0167】
(実施例4)
樹脂と窒素ガスの供給量比を変更し、供給側流路材の空隙率を5%に変更したこと以外は全て実施例1と同様に分離膜ロールを作製した。
【0168】
該分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0169】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は31.0m3/dayおよび98.8%、安定性Aは99.5%以上、安定性Bは96.2%、ファウリング進行度は38.9%だった。
【0170】
(実施例5)
樹脂と窒素ガスの供給量比を変更し、供給側流路材の空隙率を88%に変更したこと以外は全て実施例1と同様に分離膜ロールを作製した。
【0171】
該分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0172】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は31.1m3/dayおよび98.8%、安定性Aは99.5%以上、安定性Bは99.6%、ファウリング進行度は39.1%だった。
【0173】
(実施例6)
供給側流路材の幅dを0.3mm、分離膜の長さ方向のピッチを1.0mmに変更したこと以外は全て実施例1と同様に分離膜ロールを作製した。
【0174】
該分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0175】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は31.6m3/dayおよび99.0%、安定性Aは99.5%以上、安定性Bは99.6%、ファウリング進行度は36.0%だった。
【0176】
(実施例7)
供給側流路材の幅dを1.2mm、分離膜の長さ方向のピッチを2.7mmに変更したこと以外は全て実施例1と同様に分離膜ロールを作製した。
【0177】
該分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0178】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は30.1m3/dayおよび98.5%、安定性Aは99.5%以上、安定性Bは99.2%、ファウリング進行度は42.2%だった。
【0179】
(実施例8)
供給水の流れ方向に近接する2つの供給側流路材4とで形成する角度30°、分離膜の長さ方向のピッチを5.6mmに変更したこと以外は全て実施例1と同様に分離膜ロールを作製した。
【0180】
該分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0181】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は30.5m3/dayおよび98.5%、安定性Aは99.5%以上、安定性Bは99.5%、ファウリング進行度は42.5%だった。
【0182】
(実施例9)
供給水の流れ方向に近接する2つの供給側流路材4とで形成する角度45°、分離膜の長さ方向のピッチを1.6mmに変更したこと以外は全て実施例1と同様に分離膜ロールを作製した。
【0183】
該分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0184】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は30.0m3/dayおよび98.6%、安定性Aは99.5%以上、安定性Bは99.5%、ファウリング進行度は41.0%だった。
【0185】
(実施例10)
供給水の流れ方向に近接する2つの供給側流路材4とで形成する角度150°、分離膜の長さ方向のピッチを1.4mmに変更したこと以外は全て実施例1と同様に分離膜ロールを作製した。
【0186】
該分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0187】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は30.3m3/dayおよび98.5%、安定性Aは99.5%以上、安定性Bは99.5%、ファウリング進行度は42.4%だった。
【0188】
(実施例11)
分離膜本体の供給側の両側端部において、ストライプ状の第2の供給側流路材42(x軸方向に対し45°傾斜する直線状の直方体形状、高さ0.415mm、幅1mm)からなる幅40mmの帯状領域を設けたこと以外は全て実施例1と同様に分離膜ロールを作製した。なお、ドット状の供給側流路材4は、エレメントに組み込んだときに向かい合う供給側の面の一方のみに設け、第2の供給側流路材42からなる帯状領域は、向かい合う供給側の面の両方に設けた。
【0189】
その後、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0190】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は30.5m3/dayおよび99.0%、安定性Aは99.5%以上、安定性Bは99.5%、ファウリング進行度は41.5%だった。
【0191】
(実施例12)
透過側流路材として、トリコットの代わりに透過側流路材を固着させたことを除き、実施例1と同様にして、分離膜ロールを作製した。透過側流路材は、分離膜の透過側の面にスリット幅0.5mm、分離膜の長さ方向のピッチ1.0mmの櫛形シムを装填したアプリケーターを用いて、分離膜エレメントとした場合に集水管の長手方向に対して垂直、かつ封筒状膜とした場合に巻回方向の内側端部から外側端部まで集水管の長手方向に対して垂直になるよう直線状にかつ、バックアップロールを20℃に温度調節しながらエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(商品名:701A)を樹脂温度130℃、走行速度5.5m/minで直線状に塗布して、透過側流路材の高さ0.3、流路材の幅0.9mm、集水管の長手方向における流路材間隔0.5mm、ピッチ1.0mm、投影面積比0.50の透過側流路材を分離膜の全体に固着させた。
【0192】
こうして得られた分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0193】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は35.7m3/dayおよび98.5%、安定性Aは99.5%以上、安定性Bは99.5%、ファウリング進行度は40.0%だった。
【0194】
(実施例13)
分離膜本体の供給側の両側端部において、幅40mmの帯状領域を設けたこと以外は全て実施例12と同様に分離膜ロールを作製した。なお、ドットは、エレメントに組み込んだときに向かい合う供給側の面の一方のみに設け、帯状領域は、向かい合う供給側の面の両方に設けた。
【0195】
その後、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0196】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は35.0m3/dayおよび98.7%、安定性Aは99.5%以上、安定性Bは99.5%、ファウリング進行度は42.2%だった。
【0197】
(実施例14)
発泡ウレタン溶液塗布加工機を用いて二軸延伸ポリエステルフィルム(東レ製ルミラーSタイプ50μm)上に実施例1と同様の供給側流路材を形成させた後に、該供給側流路材を分離膜供給側へ80℃で転写させたこと以外は全て実施例1と同様に分離膜ロールを作製した。
【0198】
該分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は31.2m3/dayおよび98.8%、安定性Aは99.5%以上、安定性Bは99.7%、ファウリング進行度は39.0%だった。
【0199】
(実施例15)
分離膜への供給側流路材への配置を変更し、グラビアロールを用いて、バックアップロールを20℃に温度調節しながらエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(商品名:701A)を樹脂温度110℃、走行速度3.0m/minでドット状に塗布することを繰り返し、供給側流路材(高さh=0.83mm、幅d=0.52mm、空隙率0%、アスペクト比1、分離膜の長さ方向のピッチ1.8mm、供給水の流れ方向に近接する2つの供給側流路材4とで形成する角度90°(表中には形成角と記載))を配置した。なお、第1の供給側流路材4に該当する樹脂は、エレメントに組み込んだときに、向かい合う供給側の面の一方にのみ配置した。
【0200】
該分離膜のドットを配置した部分を43cm2に切り取り、圧力容器に入れて、上述の条件で運転したところ、造水量および脱塩率は1.02m3/m2/dayおよび98.6%であった。
【0201】
(実施例16)
実施例15で得た分離膜ロールを、実施例2と同様の方法で8インチエレメントを作製した。
【0202】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は31.3m3/dayおよび98.7%、安定性Aは99%以上、安定性Bは95.8%、ファウリング進行度は38.8%だった。
【0203】
(実施例17)
分離膜流路材として用いる樹脂を変性ポリオレフィン(商品名:PHC−9275)とし、樹脂温度160℃、走行速度7.5m/minでドット状かつ千鳥状に塗布することを繰り返し、高さh=0.83mm、幅d=0.3mm、分離膜の長さ方向のピッチ1.0mm、の流路材を分離膜の供給側の面に固着させたこと以外は全て実施例15と同様に分離膜ロールを作製した。
【0204】
該分離膜のドットを配置した部分を43cm2に切り取り、圧力容器に入れて、上述の条件で運転したところ、造水量および脱塩率は1.03m3/m2/dayおよび98.6%であった。
【0205】
(実施例18)
実施例17で得た分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0206】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は32.0m3/dayおよび98.3%、安定性Aは99%以上、安定性Bは95.0%、ファウリング進行度は35.9%だった。
【0207】
(実施例19)
流路材として用いる樹脂を変性ポリオレフィン(商品名:RH−105)とし、樹脂温度130℃、走行速度2m/minでドット状かつ千鳥状に塗布することを繰り返し、高さh=0.83mm、幅d=0.7mm、分離膜の長さ方向のピッチ2.3mm、投影面積比0.08の流路材を分離膜供給側に固着させたこと以外は全て実施例15と同様に分離膜ロールを作製した。
【0208】
該分離膜のドットを配置した部分を43cm2に切り取り、圧力容器に入れて、上述の条件で運転したところ、造水量および脱塩率は1.03m3/m2/dayおよび98.2%であった。
【0209】
(実施例20)
実施例19で得た分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0210】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は30.5m3/dayおよび98.8%、安定性Aは99%以上、安定性Bは95.6%、ファウリング進行度は41.0%だった。
【0211】
(実施例21)
流路材として用いる樹脂を変性ポリオレフィン(商品名:RH−105)とし、樹脂温度125℃、走行速度2m/minでドット状かつ千鳥状に塗布することを繰り返し、高さh=0.83mm、幅d=0.83mm、分離膜の長さ方向のピッチ2.8mm、投影面積比0.08の流路材を分離膜供給側に固着させたこと以外は全て実施例15と同様に分離膜ロールを作製した。
【0212】
該分離膜のドットを配置した部分を43cm2に切り取り、圧力容器に入れて、上述の条件で運転したところ、造水量および脱塩率は1.02m3/m2/dayおよび98.6%であった。
【0213】
(実施例22)
実施例21で得た分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0214】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は29.8m3/dayおよび99.0%、安定性Aは99%以上、安定性Bは94.5%、ファウリング進行度は41.7%だった。
【0215】
(実施例23)
供給側流路材として、供給水の流れ方向に近接する2つの供給側流路材4とで形成する角度を45°にして格子状に配置し、高さh=0.83mm、幅d=0.83mm、長さ方向のピッチ1.6mmの流路材を分離膜の供給側の面に固着させたこと以外は全て実施例15と同様に分離膜ロールを作製した。
【0216】
該分離膜のドットを配置した部分を43cm2に切り取り、圧力容器に入れて上述の条件で運転したところ、造水量および脱塩率は1.03m3/m2/dayおよび98.6%であった。
【0217】
(実施例24)
実施例23で得た分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0218】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は31.7m3/dayおよび98.3%、安定性Aは99%以上、安定性Bは95.7%、ファウリング進行度は38.9%だった。
【0219】
(実施例25)
分離膜本体の供給側の両側端部において、ストライプ状の第2の供給側流路材42(x軸方向に対し45°傾斜する直線状の直方体形状、高さ0.415mm、幅1mm)からなる幅40mmの帯状領域を設けたこと以外は全て実施例15と同様に分離膜ロールを作製した。なお、ドットは、エレメントに組み込んだときに向かい合う供給側の面の一方のみに設け、帯状領域は、向かい合う供給側の面の両方に設けた。
【0220】
その後、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0221】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は30.6m3/dayおよび99.0%、安定性Aは99%以上、安定性Bは95.7%、ファウリング進行度は42.3%だった。
【0222】
(実施例26)
透過側流路材として、トリコットの代わりに透過側流路材を固着させたことを除き、実施例15と同様にして、分離膜ロールを作製した。透過側流路材は、分離膜の透過側の面にスリット幅0.5mm、長さ方向のピッチ1.0mmの櫛形シムを装填したアプリケーターを用いて、分離膜エレメントとした場合に集水管の長手方向に対して垂直、かつ封筒状膜とした場合に巻回方向の内側端部から外側端部まで集水管の長手方向に対して垂直になるよう直線状にかつ、バックアップロールを20℃に温度調節しながらエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(商品名:701A)を樹脂温度130℃、走行速度5.5m/minで直線状に塗布して、透過側流路材の高さ0.3、流路材の幅0.9mm、集水管の長手方向における流路材間隔0.5mm、ピッチ1.0mmの流路材を分離膜の全体に固着させた。
【0223】
こうして得られた分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0224】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は36.0m3/dayおよび98.5%、安定性Aは99%以上、安定性Bは95.7%、ファウリング進行度は39.0%だった。
【0225】
(実施例27)
分離膜本体の供給側の両側端部において、幅40mmの帯状領域を設けたこと以外は全て実施例26と同様に分離膜ロールを作製した。なお、ドットは、エレメントに組み込んだときに向かい合う供給側の面の一方のみに設け、帯状領域は、向かい合う供給側の面の両方に設けた。
【0226】
その後、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0227】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は34.9m3/dayおよび98.8%、安定性Aは99%以上、安定性Bは95.7%、ファウリング進行度は38.8%だった。
【0228】
(実施例28)
基材を長繊維不織布に変更したこと以外は、全て実験例1と同様の方法で分離膜ロールを作製した。基材の繊維配向度は、多孔性支持層側表層で20°、多孔性支持層とは反対側の表層で40°であった。なお、ドット状の供給側流路材は、エレメントに組み込んだときに向かい合う供給側の面の一方のみに設けた。
【0229】
こうして得られた分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0230】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は31.5m3/dayおよび98.7%、安定性Aは99%以上、安定性Bは95.8%、ファウリング進行度は38.8%だった。
【0231】
(実施例29)
供給水の流れ方向に近接する2つの供給側流路材4とで形成する角度を45°、ピッチを1.6mmに変更したこと以外は全て実施例15と同様に分離膜ロールを作製した。
【0232】
該分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0233】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は30.6m3/dayおよび98.0%、安定性Aは99%以上、安定性Bは95.7%、ファウリング進行度は39.0%だった。
【0234】
(実施例30)
供給水の流れ方向に近接する2つの供給側流路材4とで形成する角度を10°、ピッチを2.6mmに変更したこと以外は全て実施例15と同様に分離膜ロールを作製した。
【0235】
該分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0236】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は30.3m3/dayおよび97.6%、安定性Aは99%以上、安定性Bは95.7%、ファウリング進行度は42.8%だった。
【0237】
(実施例31)
供給水の流れ方向に近接する2つの供給側流路材4とで形成する角度170°、ピッチを1.5mmに変更したこと以外は全て実施例15と同様に分離膜ロールを作製した。
【0238】
該分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0239】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は30.6m3/dayおよび97.7%、安定性Aは99%以上、安定性Bは95.8%、ファウリング進行度は43.0%だった。
【0240】
(実施例32)
予め二軸延伸ポリエステルフィルム(東レ製ルミラーSタイプ50μm)上へ繊維の幅が0.5mmかつ交点高さが0.83mmとなるようにしたネットを射出成形し、該供給側流路材を分離膜供給側へ120℃で転写させて分離膜ロールを作製した。
【0241】
該分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0242】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は28.9/dayおよび99.0%、安定性Aは99%以上、安定性Bは94.0%、ファウリング進行度は53.0%だった。
【0243】
(比較例1)
供給側に不連続な本発明に基づく流路材を配置せず、ネット(厚み:0.83mm、ピッチ:4mm×4mm、繊維径:415μm、投影面積比:0.20)を使用したこと以外は全て実施例1と同様に分離膜ロールを作製した。
【0244】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は28.8m3/dayおよび99.0%、安定性Aは99.5%以上、安定性Bは99.4%、ファウリング進行度は53.1%であった。
【0245】
(比較例2)
供給側流路材として用いる樹脂をエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(商品名:701A)とし、樹脂温度110℃、走行速度3.0m/minでドット状に塗布して、高さh=0.20mm、幅d=0.35mm、分離膜の長さ方向のピッチ1.8mmの流路材を分離膜供給側に固着させたこと以外は全て実施例1と同様に分離膜ロールを作製した。
【0246】
こうして得られた分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0247】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は30.4m3/dayおよび98.0、%だった。安定性Aは87%、安定性Aは87%、安定性Bは69%、ファウリング進行度は46.5%だった。
【0248】
(比較例3)
流路材として用いる樹脂をエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(商品名:701A)とし、樹脂温度110℃、走行速度3.0m/minでドット状に塗布して、高さh=0.83mm、幅d=2mm、分離膜の長さ方向のピッチ6.7mmの流路材を分離膜供給側に固着させたこと以外は全て実施例1と同様に分離膜ロールを作製した。
【0249】
こうして得られた分離膜ロールを用い、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0250】
該エレメントを圧力容器に入れて上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は30.0m3/dayおよび97.9%、安定性Aは65%、ファウリング進行度は45.0%だった。
【0251】
(比較例4)
供給水の流れ方向に近接する2つの供給側流路材4とで形成する角度を10°、ピッチを2.6mmに変更したこと以外は全て比較例3と同様に分離膜ロールを作製した。
【0252】
該分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0253】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は29.0m3/dayおよび96.8%、安定性Aは65%、ファウリング進行度は45.6%だった。
【0254】
(比較例5)
供給水の流れ方向に近接する2つの供給側流路材4とで形成する角度を170°、ピッチを1.5mmに変更したこと以外は全て比較例3と同様に分離膜ロールを作製した。
【0255】
該分離膜ロールを用いて、実施例2と同様にして、8インチエレメントを作製した。
【0256】
該エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行ったところ、造水量および脱塩率は29.6m3/dayおよび97.0%、安定性Aは67%、ファウリング進行度は47.6%だった。
【0257】
結果から明らかなように、実施例の分離膜および分離膜エレメントは、高造水性能、安定運転性能、優れた除去性能を有している。
【0258】
【表1】
【0259】
【表2】
【0260】
【表3】
【0261】
【表4】
【0262】
【表5】
【0263】
【表6】
【産業上の利用可能性】
【0264】
本発明の膜エレメントは、特に、かん水や海水の脱塩に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0265】
1 分離膜エレメント
2 集水管
21 分離膜エレメントの上流側の端部
22 分離膜エレメントの下流側の端部
3 分離膜
30 分離膜本体
31 分離膜の供給側の面
32 分離膜の透過側の面
33,34 帯状領域
4、4a−4g 第1の供給側流路材
42 第2の供給側流路材
5 透過側流路材
6 封筒状膜
7 上流側の端板
8 下流側の端板
101 供給水
102 透過水
103 濃縮水
W0 集水管長手方向における分離膜の幅
W1、W2 同方向における帯状領域の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7