特許第6020727号(P6020727)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6020727-シリコーンゴム組成物 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6020727
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】シリコーンゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20161020BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20161020BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20161020BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20161020BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20161020BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   C08L83/07
   C08L83/05
   C08K3/36
   C08K3/34
   C08K5/14
   C09K3/10 Q
   C09K3/10 G
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-528172(P2015-528172)
(86)(22)【出願日】2014年5月21日
(86)【国際出願番号】JP2014063400
(87)【国際公開番号】WO2015011971
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2015年8月19日
(31)【優先権主張番号】特願2013-151531(P2013-151531)
(32)【優先日】2013年7月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織
(74)【代理人】
【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成
(74)【代理人】
【識別番号】100124590
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100157831
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 克彦
(72)【発明者】
【氏名】林田 修
(72)【発明者】
【氏名】堀田 昌克
(72)【発明者】
【氏名】小池 義明
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 敦人
【審査官】 安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−105317(JP,A)
【文献】 特開2000−169706(JP,A)
【文献】 特開平09−012888(JP,A)
【文献】 特開昭51−060240(JP,A)
【文献】 特開2004−231865(JP,A)
【文献】 特開2012−124428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/07
C08L 83/05
C08K 3/34
C08K 3/36
C08K 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)重合度が100以上であって、分子中に珪素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
(B)比表面積(BET法)が50m2/g以上である補強性シリカ: 10〜100質量部、
(C)平均粒径が20μm以下であり、白雲母粉砕品を焼成してなる焼成マイカ: 1〜100質量部、
(D)硬化剤: 有効量
を含有するシリコーンゴム組成物(但し、高級脂肪酸金属塩を含むものを除く)
【請求項2】
(A)成分が、下記平均組成式(I)
aSiO(4-a)/2 (I)
(式中、Rは同一又は異種の非置換又は置換一価炭化水素基を示すが、全R基に対して0.01〜10モル%がアルケニル基である。aは1.95〜2.05の正数である。)
で示され、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、重合度が3,000〜100,000であるオルガノポリシロキサンである請求項記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項3】
(D)成分が有機過酸化物である請求項1又は2記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項4】
(D)成分が、一分子中に2個以上のSiH基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、白金族金属系触媒との組み合せである請求項1又は2記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項5】
耐火ガスケット用である請求項1〜のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火性(燃焼後の焼結性)に優れた硬化物を与え、かつ混練時のロール作業性に優れたシリコーンゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築用耐火材としては、クロロプレン系ゴムやエチレン−プロピレン−ジエン系ゴムなどのゴム材料で成形されたものが使用されているが、これらのゴム材は、建築物の耐用年数の増大に伴い、ゴム材の耐候性、耐クリープ性、燃焼時の有害ガス発生防止などの向上要求に応じきれないものとなってきている。そこで近年、建築用耐火材として、耐熱耐候性、耐クリープ性に優れたシリコーンゴム製のものも使用されるようになってきた。
【0003】
しかし、従来のシリコーン系ガスケットは、火炎等の高温下に長時間暴露されると原型をとどめないまでに燃焼、灰化して、ガスケットとしての機能を示さなくなるという問題がある。
【0004】
そこで、シリコーンゴムからなる耐火材においては、上記欠点を改善するために、特開昭63−191841号公報に示されるように、耐火材として白金系化合物を添加する方法が提案されている。しかしこの方法では、3時間耐火試験などの高レベルの耐火試験ではクラックが発生し、火炎が延焼したり、長時間火炎にさらされると燃焼して脆くなり、僅かな外部応力により目地から剥離脱落してしまうという欠点がある。
【0005】
また、耐火ガスケット材として、1分子中に珪素原子に結合した水酸基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンと1分子中に珪素原子に結合した加水分解可能な基を少なくとも2個有するオルガノシラン又はオルガノポリシロキサンからなる組成物に酸化亜鉛及び/又は水酸化アルミニウムと白金化合物を添加したもの(特開昭60−141778号公報)や、炭酸マンガン、マイカ、黒ベンガラの1種と酸化亜鉛及び/又は石英粉末と白金化合物を配合したもの(特公平5−73158号公報)が知られている。更には、セラミック化材として、水酸化マグネシウムを使用することも提案されている(特開2000−169706号公報)。しかしながら、これらのシリコーンゴムは、充填剤を大量に配合することで、そのロール粘着が悪化、混練作業を非常に困難にさせることが問題になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、長時間炎にさらされても、燃焼後のシリコーンゴム成形品の灰が焼結(セラミック化)して、燃焼(焼結)前のシリコーンゴム成形品のままの形状を保持できると共に、なおかつ、シリコーンゴム組成物を製造する際の混練工程におけるロール加工性(作業性)に優れるシリコーンゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、重合度が100以上であって、珪素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、比表面積(BET法)が50m2/g以上である補強性シリカ、硬化剤、更に、特定粒径の焼成マイカを添加することで、ロール加工性(作業性)に優れると共に燃焼後の焼結性(形状保持性)に優れたシリコーンゴムを与えるシリコーンゴム組成物を提供できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0008】
従って、本発明は、以下のシリコーンゴム組成物を提供するものである。
〔1〕
(A)重合度が100以上であって、分子中に珪素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
(B)比表面積(BET法)が50m2/g以上である補強性シリカ: 10〜100質量部、
(C)平均粒径が20μm以下であり、白雲母粉砕品を焼成してなる焼成マイカ: 1〜100質量部、
(D)硬化剤: 有効量
を含有するシリコーンゴム組成物(但し、高級脂肪酸金属塩を含むものを除く)

(A)成分が、下記平均組成式(I)
aSiO(4-a)/2 (I)
(式中、Rは同一又は異種の非置換又は置換一価炭化水素基を示すが、全R基に対して0.01〜10モル%がアルケニル基である。aは1.95〜2.05の正数である。)
で示され、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、重合度が3,000〜100,000であるオルガノポリシロキサンである〔〕記載のシリコーンゴム組成物。

(D)成分が有機過酸化物である〔1〕又は〔2〕記載のシリコーンゴム組成物。

(D)成分が、一分子中に2個以上のSiH基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、白金族金属系触媒との組み合せである〔1〕又は〔2〕記載のシリコーンゴム組成物。

耐火ガスケット用である〔1〕〜〔〕のいずれかに記載のシリコーンゴム組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、混練時のロール作業性に優れたシリコーンゴム組成物を提供でき、該組成物はこれを硬化することで燃焼(焼結)後の形状保持性に優れたシリコーンゴムを形成することができるものであり、本組成物は、特に、耐火ガスケット等の建築用耐火材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例において、破壊強さの測定方法を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のシリコーンゴム組成物に使用する(A)成分は、重合度(又は分子中の珪素原子数)が100以上、好ましくは1,000以上、特には1,200以上であって、珪素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンであり、本組成物の主剤(ベースポリマー)として作用するものであるが、この(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、好適には、室温(25℃)で生ゴム状(即ち、高重合度かつ、高粘度で自己流動性のない非液状)の成分である。このような生ゴム状のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンを主剤として配合する本発明のシリコーンゴム組成物は、通常、ミラブル型の(即ち、生ゴム状であって、ロールミル等の混練機によってせん断応力下に均一に混練することが可能な)組成物を与えるものである。(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記平均組成式(I)で表されるものが代表的である。
aSiO(4-a)/2 (I)
(式中、Rは同一又は異種の非置換又は置換一価炭化水素基を示し、aは1.95〜2.05、好ましくは1.98〜2.02、より好ましくは1.99〜2.01の正数である。)
【0012】
上記平均組成式(I)中、Rは同一又は異種の非置換又は置換一価炭化水素基を示し、通常、炭素数1〜12、特に1〜8のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、シクロアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基、或いはこれらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子又はシアノ基等で置換したトリフルオロプロピル基等が挙げられ、メチル基、ビニル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、特にメチル基、ビニル基が好ましい。メチル基はR中の80モル%以上、特に90モル%以上であることが好ましく、更にはアルケニル基を除く全てのR基がメチル基であることが好ましい。
【0013】
(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとして、具体的には、該オルガノポリシロキサンの主鎖がジメチルシロキサン単位からなるもの、又はこのジメチルポリシロキサンの主鎖の一部にフェニル基、ビニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等を有するジフェニルシロキサン単位、メチルビニルシロキサン単位、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシロキサン単位等を導入したもの等が好適である。
【0014】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1分子中に2個以上(通常、2〜50個、特には2〜20個程度)のアルケニル基、好ましくはビニル基を有する必要があり、例えば、上記平均組成式(I)中の全R基に対して、0.01〜10モル%、特に0.02〜5モル%がアルケニル基であることが好ましい。なお、このアルケニル基は、分子鎖末端で珪素原子に結合していても、分子鎖途中(非末端)の珪素原子に結合していても、その両方であってもよいが、少なくとも分子鎖両末端の珪素原子に結合したアルケニル基を含有していることが好ましい。具体的には分子鎖末端がジメチルビニルシリル基、メチルジビニルシリル基、トリビニルシリル基等で封鎖されたものが好ましい。
【0015】
上記平均組成式(I)において、aは1.95〜2.05の正数であり、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子構造は、基本的には、主鎖がジオルガノシロキサン単位(R2SiO2/2)の繰返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基(R3SiO1/2)で封鎖された直鎖状構造であることが一般的であるが、ゴム弾性を損なわない範囲において主鎖中に少量の分岐単位(RSiO3/2)を含有した分岐状構造であってもよい(Rは上記と同様)。
【0016】
(A)成分のオルガノポリシロキサンの重合度(又は分子中の珪素原子数)は100以上(好ましくは1,000以上)であり、より好ましくは1,200以上、更に好ましくは3,000〜100,000、特に好ましくは4,000〜20,000である。重合度が100未満であると十分なゴム強度が得られない。なお、本発明において、重合度(又は分子量)は、通常、トルエン等を展開溶媒としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の重量平均重合度(又は重量平均分子量)等として求めることができる。
【0017】
また、(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1種でも分子構造や重合度の異なる2種以上を併用してもよい。
【0018】
このようなオルガノポリシロキサンは、公知の方法、例えばオルガノハロゲノシランの1種又は2種以上を(共)加水分解縮合することにより、或いは環状ポリシロキサンをアルカリ性又は酸性触媒を用いて開環重合することによって得ることができる。
【0019】
(B)成分の補強性シリカは、煙霧質シリカ(ヒュームドシリカ)、焼成シリカ等の乾式シリカや、沈降性シリカ等の湿式シリカ等の、通常、シリコーンゴム組成物に使用される補強性シリカ微粉末が例示され、耐熱性においては煙霧質シリカが好ましい。比表面積(BET法)は50m2/g以上、好ましくは100m2/g以上、特に好ましくは100〜400m2/gである。比表面積(BET法)が50m2/g未満では機械的強度の付与が不十分となる。
【0020】
この補強性シリカは、必要に応じ、表面をメチルクロロシラン等のオルガノシラン化合物やヘキサメチルジシラザン等のオルガノシラザン化合物などの公知の処理剤で疎水化処理してもよい。
【0021】
(B)成分の補強性シリカの添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、10〜100質量部、好ましくは20〜70質量部、特に好ましくは30〜60質量部である。10質量部未満だと、添加量が少なすぎて十分な補強効果が得られず、100質量部を超えると加工性が悪くなり、また機械的強度が低下してしまう。
【0022】
(C)成分の焼成マイカは本発明の特徴的成分であり、本発明のシリコーンゴム組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの耐火性能(即ち、燃焼後の焼結性(形状保持性))を著しく向上させる成分である。通常使用される湿式マイカ、乾式マイカは、シリコーンゴムの耐火性向上剤として公知ではあるが、特にミラブル型のシリコーンゴム組成物中に配合すると、組成物の製造工程(ロールミルでの混練工程等)においてそのロール粘着性を増大させ、混練作業を困難とする。マイカは800℃程度以上の温度条件で熱処理(焼成)して焼成マイカとすることで、未処理マイカ中に含まれる水分、シリカ等が抜け、これによりシリコーンポリマー(例えば、(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン)の切断や、金属表面への密着効果が低減し、その結果、ロール粘着も緩和されると考えられる。焼成マイカとしては、白雲母粉砕品を焼成したものであることが好ましい。このような焼成マイカとしては、例えば、白雲母粉砕品を焼成して製造された(株)レプコ製の焼成マイカ等が挙げられる。
【0023】
また、焼成マイカは、平均粒径(d50)が20μm以下(例えば、0.5〜20μm、特には1〜18μm程度)であることが必要である。これより大きいと、シリコーンゴム成形品を高温加熱(燃焼又は焼結)した際に、焼結後のセラミック化が不十分となり、灰化(焼結化)したシリコーンゴム成形品の形状保持性が低下する。
なお、平均粒径は、例えば、レーザー光回折法による粒度分布測定における累積重量平均径(又はメジアン径、d50)等として求めることができる。
【0024】
(C)成分の添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して1〜100質量部、好ましくは10〜60質量部である。1質量部未満では耐火性能を向上させる効果が不十分であり、100質量部を超えるとシリコーンゴムの強度や伸び等の物理的特性が低下する。
【0025】
(D)成分の硬化剤は、本発明のシリコーンゴム組成物を硬化させ得るものであれば特に限定されるものではない。従って公知のシリコーンゴム用の加硫剤(硬化剤)、例えば、有機過酸化物加硫剤(硬化剤)、或いは付加加硫剤(硬化剤)が使用可能である。
【0026】
有機過酸化物加硫剤(硬化剤)として使用する有機過酸化物としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−ビス(2,5−t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−t−ブチルパーオキシカーボネート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上併用してもよい。
有機過酸化物の添加量は、シリコーンゴム組成物を硬化させるのに十分な量であればよいが、(A)成分100質量部に対して0.1〜10質量部、特に0.2〜5質量部が好ましい。
【0027】
付加反応(ヒドロシリル化付加反応)により硬化させる場合には、付加加硫剤(硬化剤)として、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(硬化剤又は架橋剤)と白金族金属系触媒(硬化触媒)との組合せを使用する。
【0028】
白金系触媒としては、白金元素単体、白金化合物、白金複合体、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物、エーテル化合物、各種オレフィン類とのコンプレックスや、該白金化合物と同様のロジウム、パラジウム、ルテニウムの化合物などの白金族金属系触媒が例示される。
白金族金属系触媒の添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサンに対し、白金族金属の質量換算で1〜2,000ppmの範囲とすることが望ましい。
【0029】
一方、硬化剤(架橋剤)として使用するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、分子中に2個以上(通常、2〜200個)、好ましくは3個以上(例えば、3〜150個、好ましくは4〜100個程度)の珪素原子に結合した水素原子(SiH基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられ、オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、分岐鎖状、環状、三次元網状構造のいずれであってもよいが、重合度(又は分子中の珪素原子数)が300以下(例えば、2〜300、特に3〜150程度)のものが好ましく、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして具体的には、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位と(CH33SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C653SiO1/2単位とからなる共重合体などが挙げられる。
【0030】
この硬化剤としてのオルガノハイドロジェンポリシロキサンの添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン中のアルケニル基に対して、オルガノハイドロジェンポリシロキサン中の珪素原子に直結した水素原子(SiH基)のモル比が0.5〜5モル/モルとなる割合で用いられることが望ましい。本発明の組成物を硬化させる際には、(D)成分の硬化剤として、上記した有機過酸化物加硫剤(硬化剤)と、付加加硫剤(硬化剤)とを併用した共加硫タイプとすることもできる。
【0031】
本発明のシリコーンゴム組成物には、上記成分に加え、任意成分として本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じ、補強性シリカ充填剤の分散剤(例えば、α,ω−シラノール基封鎖の低重合度ジオルガノポリシロキサン等)、白金化合物(例えば、前記した付加加硫剤中の成分として例示した白金系触媒と同様の白金化合物など)、酸化鉄やハロゲン化合物のような難燃性付与剤や耐熱性向上剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、離型剤等のシリコーンゴム組成物における公知の添加剤を添加することができる。また、発泡剤を添加し、スポンジとして成形することも可能である。
【0032】
本発明のシリコーンゴム組成物の製造方法は、特に限定されないが、上述した成分の所定量を2本ロール(ロールミル)、ニーダー、バンバリーミキサー等公知の混練機で混練りすることによって得ることができる。また、必要により熱処理(加熱下での混練り)してもよい。具体的には(A)、(B)成分を混練し、必要に応じて熱処理してから室温において(D)成分を添加する方法が好ましい。この場合、(C)成分は熱処理前に配合しても熱処理後に配合してもよい。熱処理する場合、熱処理温度、時間は特に制限されないが、100〜250℃、特に140〜180℃で30分〜5時間程度行うことが好ましい。
【0033】
本発明のシリコーンゴム組成物は、必要とされる用途(成形品)に応じての成形方法を選択すればよい。具体的には、コンプレッション成形、インジェクション成形、トランスファー成形、常圧熱気加硫、スチーム加硫等が挙げられる。硬化条件は特に限定されず、硬化方法や成形品により適宜選択すればよく、一般的には80〜600℃、特に100〜450℃で数秒〜数日、特に5秒〜1時間程度である。また、必要に応じて2次加硫してもよい。2次加硫は通常180〜250℃で1〜10時間程度である。
【0034】
本発明のシリコーンゴム組成物は、特に、耐火ガスケット等の建築用耐火材として有用である。
【実施例】
【0035】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例中の部は質量部を示す。重合度は、トルエンを展開溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の重量平均重合度を示す。平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における累積重量平均径;d50を示す。
【0036】
[実施例1]
ジメチルシロキサン単位99.825モル%、メチルビニルシロキサン単位0.15モル%、分子鎖両末端を封鎖するシロキシ単位としてジメチルビニルシロキシ単位0.025モル%からなり、平均重合度約7,000である直鎖状ジメチルポリシロキサン生ゴム100部、比表面積(BET法)200m2/gの煙霧質シリカ(エロジル−200(日本アエロジル(株)製))45部、分子鎖両末端にシラノール基を有し、重合度が10の直鎖状ジメチルポリシロキサン10部をニーダーで配合し、150℃で2時間熱処理を行い、シリコーンゴムコンパウンドを作製した。
得られたゴムコンパウンドに、白雲母粉砕品を焼成して製造された焼成マイカ((株)レプコ製、平均粒径18μm)を40部、更に、塩化白金酸のアルコール溶液(Pt濃度2質量%)0.1部を2本ロールで添加し、次いでp−メチルベンゾイルパーオキサイド50質量%ペースト1.3部を添加してシリコーンゴム組成物を調製した。
【0037】
この組成物を2本ロールで練る際の粘着性(ロール加工性)を下記に示すように○、△、×で評価した。結果を表1に示す。
(粘着性)
○:ハードクロムメッキの6インチ2本ロールにおいて、ロール間隔2mm、サンプル量200gで、丸太どりが容易。
△:ハードクロムメッキの6インチ2本ロールにおいて、ロール間隔2mm、サンプル量200gで、丸太どりがやや引っかかる。
×:ハードクロムメッキの6インチ2本ロールにおいて、ロール間隔2mm、サンプル量200gで、丸太どりが困難で、組成物がロールにへばりつく。
【0038】
また、この組成物を1次加硫120℃/10分、2次加硫200℃/4時間の条件でプレス成形して2mm厚のシリコーンゴムシートを作製した。このゴムシートから3.5cm×3.5cmのシート片を切り出し、焼結炉にて800℃/5分加熱した。得られた焼結体を、10kgfまで測定可能なロードセル付試験機で、図1で示すように破壊し、その破壊強さ(焼結性)を測定した。なお、図1中、1はロードセル、2は焼結体、3は台座である。結果を表1に示す。
【0039】
[比較例1]
実施例1において使用した焼成マイカ((株)レプコ製、平均粒径18μm)40部に代えて、マイカとして、市販の白雲母湿式粉砕品(非焼成品、平均粒径22μm)40部を使用した以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴムコンパウンド及びシリコーンゴム組成物を調製した。
得られたシリコーンゴムコンパウンド及びシリコーンゴム組成物について、同様にしてロール加工性、焼結性を試験、評価した。結果を表1に示す。
【0040】
[比較例2]
実施例1において使用した焼成マイカ((株)レプコ製、平均粒径18μm)40部に代えて、白雲母粉砕品を焼成して製造された平均粒径22μmの焼成マイカ((株)レプコ製)40部を使用した以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴムコンパウンド及びシリコーンゴム組成物を調製した。
得られたシリコーンゴムコンパウンド及びシリコーンゴム組成物について、同様にしてロール加工性、焼結性を試験、評価した。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【符号の説明】
【0042】
1 ロードセル
2 焼結体
3 台座
図1