(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の中間周波数は、負の周波数であり、前記第2の中間周波数は、正の周波数であり、前記第1の中間周波数の絶対値は、前記第2の中間周波数の絶対値と等しい、請求項1に記載のシステム。
前記第1の中間周波数は、負の周波数であり、前記第2の中間周波数は、正の周波数であり、前記第1の中間周波数の絶対値は、前記第2の中間周波数の絶対値と等しくない、請求項1に記載のシステム。
前記第1の中間周波数と前記第2の中間周波数との間の前記間隔は、前記最小中間周波数の値の2倍以上であって、当該最小中間周波数の値の4倍以下の範囲内である、請求項5に記載のシステム。
前記第1の中間周波数と前記第2の中間周波数との間の前記間隔は、前記最小中間周波数の値と予め定義されるガードバンドとの和の2倍である、請求項5に記載のシステム。
チューニングに先立って、前記対象相互変調次数に基づいて判定される最小サンプリングレートの値又は当該最小サンプリングレートの値の近傍である定義されるサンプリングレートに、前記第1のベースバンド信号をアップサンプリングするように適合される第1のアップサンプリング回路と、
チューニングに先立って、前記第2のベースバンド信号を前記定義されるサンプリングレートにアップサンプリングし、それによって、第2のアップサンプリングされたベースバンド信号を提供するように適合される第2のアップサンプリング回路と、
をさらに備える、請求項5に記載のシステム。
前記最小サンプリングレートの値は、当該値未満では、前記対象相互変調次数までについての前記事前歪みされた信号における周波数帯域が、前記第1及び第2の中間周波数を中心とする前記事前歪みされた信号における周波数帯域にエイリアシングする値である、請求項14に記載のシステム。
前記定義されるサンプリングレートは、前記最小サンプリングレートの値以上であって、当該最小サンプリングレートの値の2倍以下の範囲内のサンプリングレートである、請求項16に記載のシステム。
前記第1の中間周波数及び前記第2の中間周波数の双方の前記絶対値は、前記最小中間周波数の値以上であって、当該最小中間周波数の値の2倍以下の範囲内である、請求項17に記載のシステム。
前記定義されるサンプリングレートは、前記最小サンプリングレートの値以上であって、当該最小サンプリングレートの値の2倍以下の範囲内のサンプリングレートである、請求項22に記載のシステム。
前記定義されるサンプリングレートは、前記最小サンプリングレートの値以上であって、当該最小サンプリングレートの値の2倍以下の範囲内のサンプリングレートである、請求項30に記載のシステム。
前記定義されるサンプリングレートは、前記最小サンプリングレートの値以上であって、当該最小サンプリングレートの値の2倍以下の範囲内のサンプリングレートである、請求項36に記載のシステム。
【背景技術】
【0002】
無線システムは、一般に、情報搬送信号を受信機に送信する送信機を備える。送信機は、送信されるべき信号を受信機による当該信号の受信を可能にするために充分な電力レベルに増幅するように動作する電力増幅器を備える。無線システムの送信機は、意図される送信周波数以外の周波数における信号レベルについての仕様を満たすことが必要とされる。政府の規制機関によって設定される仕様もあれば、3GPP又はIEEE802.11といった無線通信標準によって設定される仕様もある。1つの仕様又は要件は、隣接チャネル電力であり、当該隣接チャネル電力は、電力増幅器の線形性に直接関連する。電力増幅器の線形性は、入力信号の増幅されたバージョンを再生する能力に対応する。また、電力増幅器は、しばしばこれらの効率の観点から説明され、当該効率は、平均送信信号電力と送信信号電力を生成するために必要とされる平均総電力との間の何らかの比較として定義される。
【0003】
回路レベルにおいて、電力増幅器の線形性は、電力増幅器が線形的に動作するような手法でトランジスタをバイアスすることによって達成され得る。しかしながら、そのようにすることは、非常に低い動作効率という代償を伴う。そのため、多くの現代の電力増幅器は、最大効率で動作するように構成され、乏しい線形性という結果になり、いわゆる「線形化(linearization)」回路を用いて非線形性を補正する。効率は高いが線形性は低い幾つかの例示的な電力増幅器は、クラスABの電力増幅器、クラスBの電力増幅器、クラスCの電力増幅器、クラスFの電力増幅器、ドハティ電力増幅器、及びChirex電力増幅器である。
【0004】
線形性、ワット損(power dissipation)、及び多様性又はロバスト性の観点において種々のトレードオフを有する種々の線形化スキームが展開されてきた。これらの線形化スキームは、アナログ事前歪み(predistortion)、デジタル事前歪み、フィードフォワード線形化、及びフィードバック線形化を含むが、これらに限定されない。事前歪み線形化は、電力増幅器の非線形性の予め定義されるモデルを用いて、電力増幅器の非線形性を補償する「対照的な(opposite)」非線形応答を生成する。事前歪みされた信号を増幅することによって、電力増幅器の出力は、あたかも電力増幅器が線形であるかのようになる。
【0005】
より具体的には、
図1は、事前歪み無しの、又はさらに言えば、任意の他の線形化技術無しの従来の送信機10を例示する。例示されるように、送信機10は、図示のように接続されるモデム12と、アップコンバータ14と、電力増幅器(PA:power amplifier)16と、フィルタ18と、を備える。モデム12は、ベースバンド信号(S
BB)をアップコンバータ14に出力する。アップコンバータ14は、ベースバンド信号(S
BB)を(キャリア周波数(f
c)と呼ばれる)所望の無線周波数にアップコンバートし、それによって、無線周波数信号(S
RF)を提供するように動作する。電力増幅器16は、無線周波数信号(S
RF)を所望の出力レベルに増幅して、増幅された無線周波数信号(S
RF_AMP)を出力する。なお、以下で議論されるように、増幅された無線周波数信号(S
RF_AMP)は、電力増幅器16の非線形性に起因して歪みを含む。増幅された無線周波数信号(S
RF_AMP)は、帯域外周波数成分を除去するためにフィルタ18によってフィルタリングされ、それによって、送信機10によって送信されるべき出力信号(S
OUT)が提供される。
【0006】
図2A〜
図2Dは、
図1の送信機10における種々の信号についての周波数帯域図である。具体的には、
図2Aは、ベースバンド信号(S
BB)についての周波数帯域図である。図示のように、ベースバンド信号(S
BB)は、DCを中心とし、ベースバンドサンプリングレート(f
S_BB)でサンプリングされている。
図2Bは、ベースバンド信号(S
BB)の所望のキャリア周波数(f
C)へのアップコンバージョンの結果として得られる無線周波数信号(S
RF)についての周波数帯域図である。重要なこととして、
図2Cは、電力増幅器16によって出力される増幅された無線周波数信号(S
RF_AMP)についての周波数帯域図である。
図2Bに示されるような、増幅の前の無線周波数信号(S
RF)についての周波数帯域図と比較すると、
図2Cの周波数帯域図は、電力増幅器16の非線形性によって引き起こされる歪みの結果として生じる周波数拡散効果を明らかに例示する。最後に、
図2Dは、フィルタ18によって出力される出力信号(S
OUT)についての周波数帯域図である。
【0007】
図3は、電力増幅器の非線形性によって引き起こされる歪みを補償するために事前歪みを実行する従来の送信機20を例示する。例示されるように、送信機20は、当該送信機20のフォワードパスを形成するモデム22と、アップサンプリング回路24と、事前歪み器(PD:predistorter)26と、アップコンバータ28と、電力増幅器(PA)30と、フィルタ32と、を備える。モデム22は、アップサンプリング回路24にベースバンド信号(S
BB)を出力する。アップサンプリング回路24は、ベースバンド信号(S
BB)を予め定義される事前歪み用サンプリングレートでアップサンプリングし、それによって、アップサンプリングされたベースバンド信号(S
BB_US)を提供する。以下で議論されるように、上記サンプリングレートは、事前歪み器26によって出力される事前歪みされた信号(S
PD)の帯域幅よりも大きい。事前歪み器26は、アップサンプリングされたベースバンド信号(S
BB_US)を定義される事前歪み特性(例えば、N次の多項式の事前歪み特性)に基づいて事前歪みさせて、事前歪みされた信号(S
PD)を提供する。事前歪み器26によって適用される事前歪みは、電力増幅器30の非線形性の結果として生じる歪みを補償する(例えば、キャンセルし又は実質的にキャンセルする)。アップコンバータ28は、事前歪みされた信号(S
PD)を所望のキャリア周波数にアップコンバートして、無線周波数信号(S
RF)を提供する。当該無線周波数信号(S
RF)は、電力増幅器30によって所望の出力電力レベルに増幅されて、増幅された無線周波数信号(S
RF_AMP)が提供される。事前歪み器26によって適用される事前歪みの結果として、増幅された無線周波数信号(S
RF_AMP)は、あたかも電力増幅器30が線形電力増幅器であるかのようになる。フィルタ32は、増幅された無線周波数信号(S
RF_AMP)から如何なる残余の帯域外歪みも除去して、送信機20によって送信される出力信号(S
OUT)を提供する。
【0008】
事前歪み器26を動的に構成するために、送信機20は、図示のように接続されるフィルタ34と、減衰器36と、ダウンコンバータ38と、アダプタ40と、を含むフィードバックパスも備える。フィルタ34は、電力増幅器30の出力に結合され、増幅された無線周波数信号(S
RF_AMP)から帯域外周波数成分を除去して、無線周波数フィードバック信号(S
FB_RF)を提供するように動作する。減衰器36は、無線周波数フィードバック信号(S
FB_RF)を係数1/G(ここで、Gは電力増幅器30のゲインに等しく又はほぼ等しい)だけ減衰させ、それによって、減衰された無線周波数フィードバック信号(S
FB_RF_1/G)を提供する。ダウンコンバータ38は、減衰された無線周波数フィードバック信号(S
FB_RF_1/G)をベースバンドにダウンコンバートして、ベースバンドフィードバック信号(S
FB_BB)を提供する。ベースバンドフィードバック信号(S
FB_BB)及びアップサンプリングされたベースバンド信号(S
BB_US)に基づいて、アダプタ40は、既知の適応技法を用いて事前歪み器26を動的に構成する。
【0009】
図4A〜
図4Eは、
図3の送信機20のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。具体的には、
図4Aは、サンプリングレート(f
S_BB)を有するベースバンド信号(S
BB)についての周波数帯域図である。
図4Bは、サンプリングレート(f
S_PD)(ここで、f
S_PD>f
S_BB)を有するアップサンプリング回路24によって出力されるアップサンプリングされたベースバンド信号(S
BB_US)についての周波数帯域図である。次に、
図4Cは、事前歪み器26によって出力される事前歪みされた信号(S
PD)についての周波数帯域図である。図示のように、周波数拡散効果は、事前歪み器26によって適用される事前歪みの結果として生じる。サンプリングレート(f
S_PD)は、f
S_PD/2が事前歪みされた信号(S
PD)の帯域幅の1/2よりも大きくなるように選択される。
図4Dは、アップコンバータ28によって出力される無線周波数信号(S
RF)についての周波数帯域図である。無線周波数信号(S
RF)は、所望のキャリア周波数(f
C)を中心とする。最後に、
図4Eは、電力増幅器30によって出力される増幅された無線周波数信号(S
RF_AMP)についての周波数帯域図である。図示のように、事前歪み器26によって適用される事前歪みは、電力増幅器30の非線形性を補償し、それによって、増幅された無線周波数信号(S
RF_AMP)があたかも電力増幅器30が線形電力増幅器であるかのようになる。
【0010】
図5A〜
図5Cは、
図3の送信機20のフィードバックパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。具体的には、
図5Aは、フィルタ34によって出力される無線周波数フィードバック信号(S
FB_RF)についての周波数帯域図である。
図5Bは、減衰器36によって出力される減衰された無線周波数フィードバック信号(S
FB_RF_1/G)についての周波数帯域図である。最後に、
図5Cは、ダウンコンバータ38によって出力されるベースバンドフィードバック信号(S
FB_BB)についての周波数帯域図である。
【0011】
図3の送信機20において、事前歪みは、シングルバンド信号について実行される。しかしながら、多くの現代のアプリケーションは、デュアルバンド信号を用いる。本明細書において、デュアルバンド信号は、2つの別個の周波数帯域を占有する信号である。より具体的には、デュアルバンド信号は、第1の周波数帯域と呼ばれるある連続的な帯域幅を占有する周波数成分と、第2の周波数帯域と呼ばれる別の連続的な帯域幅を占有する周波数成分と、を含む。デュアルバンド信号は、第1の周波数帯域と第2の周波数帯域との間の周波数成分を含まない。デュアルバンド信号の1つの例示的なアプリケーションは、マルチスタンダードセルラ通信システムである。マルチスタンダードセルラ通信システムにおける基地局は、同時に又は並列的に2つの異なるセルラ通信プロトコルについての信号を送信する(即ち、デュアルバンド信号を送信する)ことが必要とされ得る。同様に、幾つかのシナリオにおいて、LTE(Long Term Evolution)セルラ通信プロトコルにおける基地局は、別々の周波数帯域における信号を同時に送信することが必要とされ得る。
【0012】
図6は、従来のデュアルバンド送信機42を例示する。デュアルバンド送信機42は、第1のベースバンド信号(S
BB1)を出力する第1のモデム44と、当該第1のベースバンド信号(S
BB1)を第1のキャリア周波数(f
C1)にアップコンバートし、それによって、第1の無線周波数信号(S
RF1)を提供する第1のアップコンバータ46と、を備える。デュアルバンド送信機42は、第2のベースバンド信号(S
BB2)を出力する第2のモデム48と、当該第2のベースバンド信号(S
BB2)を第2のキャリア周波数(f
C2)にアップコンバートし、それによって、第2の無線周波数信号(S
RF2)を提供する第2のアップコンバータ50と、も備える。結合器52は、第1及び第2の無線周波数信号(S
RF1及びS
RF2)を結合して、結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)を提供する。当該結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)は、デュアルバンド信号である。電力増幅器(PA)54は、結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)を所望の出力電力レベルに増幅し、それによって、増幅された無線周波数信号(S
RF_AMP)を提供する。当該増幅された無線周波数信号(S
RF_AMP)も、デュアルバンド信号である。フィルタ56は、増幅された無線周波数信号(S
RF_AMP)から帯域外の又は望まれない周波数成分を除去して、出力信号(S
OUT)を提供する。
【0013】
図7A〜
図7Gは、
図6のデュアルバンド送信機42における種々の信号についての周波数帯域図である。具体的には、
図7Aは、第1のベースバンド信号(S
BB1)についての周波数帯域図であり、当該第1のベースバンド信号(S
BB1)についてのサンプリングレートは、f
S_BBである。
図7Bは、第1のアップコンバータ46によって出力される第1の無線周波数信号(S
RF1)についての周波数帯域図である。同様に、
図7C及び
図7Dは、それぞれ第2のベースバンド信号(S
BB2)及び第2の無線周波数信号(S
RF2)についての周波数帯域図である。
図7Eは、結合器52によって出力される結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)についての周波数帯域図である。例示されるように、結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)は、第1のキャリア周波数(f
C1)を中心とする第1の周波数帯域と、第2のキャリア周波数(f
Cc)を中心とする第2の周波数帯域と、を有するデュアルバンド信号である。
【0014】
図7Fは、電力増幅器54によって出力される増幅された無線周波数信号(S
RF_AMP)についての周波数帯域図である。電力増幅器54の非線形性の結果として、第1及び第2のキャリア周波数(f
C1及びf
C2)を中心とする周波数帯域について周波数拡散効果が見られる。また、電力増幅器54の非線形性によって引き起こされる3次の相互変調歪みと、電力増幅器54に入力される結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)のデュアルバンドの性質の結果として、増幅された無線周波数信号(S
RF_AMP)は、2f
C1−f
C2及び2f
C2−f
C1を中心とする周波数帯域も含む。図示されていないが、結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)は、より高次の相互変調歪みも含み得ることに留意されたい。最後に、
図7Gは、出力信号(S
OUT)についての周波数帯域図であり、これは、フィルタ56が不要な周波数帯域(例えば、周波数2f
C1−f
C2及び2f
C2−f
C1を中心とする3次の相互変調歪みの結果として生じる周波数帯域)を除去したことを示す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本明細書に包含され及び本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の幾つかの態様を例示し、説明と共に本開示の原理を解説する役割を果たす。
【0026】
【
図1】電力増幅器の非線形性を補償するためのデジタル事前歪みの無い従来のシングルバンド送信機を例示する。
【
図2A】
図1のシングルバンド送信機における種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図2B】
図1のシングルバンド送信機における種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図2C】
図1のシングルバンド送信機における種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図2D】
図1のシングルバンド送信機における種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図3】電力増幅器の非線形性を補償するためのデジタル事前歪みを有する従来のシングルバンド送信機を例示する。
【
図4A】
図3のシングルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図4B】
図3のシングルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図4C】
図3のシングルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図4D】
図3のシングルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図4E】
図3のシングルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図5A】
図3のシングルバンド送信機のフィードバックパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図5B】
図3のシングルバンド送信機のフィードバックパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図5C】
図3のシングルバンド送信機のフィードバックパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図6】電力増幅器の非線形性を補償するためのデジタル事前歪みの無い従来のデュアルバンド送信機を例示する。
【
図7A】
図6のデュアルバンド送信機における種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図7B】
図6のデュアルバンド送信機における種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図7C】
図6のデュアルバンド送信機における種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図7D】
図6のデュアルバンド送信機における種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図7E】
図6のデュアルバンド送信機における種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図7F】
図6のデュアルバンド送信機における種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図7G】
図6のデュアルバンド送信機における種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る、電力増幅器の非線形性を補償するためのデジタル事前歪みを有するデュアルバンド送信機を例示する。
【
図9A】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図9B】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図9C】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図9D】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図9E】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図9F】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図9G】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図9H】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図9I】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図9J】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図9K】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図9L】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図9M】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図9N】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図9O】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図9P】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図9Q】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図10A】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフィードバックパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図10B】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフィードバックパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図10C】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフィードバックパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図10D】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフィードバックパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図10E】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフィードバックパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図10F】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフィードバックパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図10G】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフィードバックパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図10H】本開示の一実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機のフィードバックパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
【
図11】本開示の一実施形態に係る、3次の相互変調歪みを対象とする場合の、
図8のデュアルバンド送信機における電力増幅器による増幅の前の事前歪みされた結合された無線周波数信号における周波数帯域の帯域幅を図示する。
【
図12】本開示の一実施形態に係る、3次の相互変調歪みを対象とする場合の事前歪みのための第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の最小間隔を判定するための制約を図示する。
【
図13】事前歪みのための第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔が
図12に例示される制約を用いて判定される最小間隔よりも小さい場合の周波数帯域の重複を図示する。
【
図14】本開示の一実施形態に係る、3次の相互変調歪みを対象とする場合の事前歪み用の最小サンプリングレートを判定するための制約を図示する。
【
図15】本開示の一実施形態に係る、5次の相互変調歪みを対象とする場合の
図8のデュアルバンド送信機における電力増幅器による増幅の前の事前歪みされた結合された無線周波数信号における周波数帯域の帯域幅を図示する。
【
図16】本開示の一実施形態に係る、5次の相互変調歪みを対象とする場合の事前歪みのための第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の最小間隔を判定するための制約を図示する。
【
図17】事前歪みのための第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔が
図16に例示される制約を用いて判定される最小間隔よりも小さい場合の周波数帯域の重複を図示する。
【
図18】本開示の一実施形態に係る、5次の相互変調歪みを対象とする場合の事前歪み用の最小サンプリングレートを判定するための制約を図示する。
【
図19】本開示の一実施形態に係る、(2k+1)次の相互変調歪みを対象とする場合の
図8のデュアルバンド送信機における電力増幅器による増幅の前の事前歪みされた結合された無線周波数信号における周波数帯域の帯域幅を図示する。
【
図20】本開示の一実施形態に係る、(2k+1)次の相互変調歪みを対象とする場合の事前歪みのための第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の最小間隔を判定するための制約を図示する。
【
図21】事前歪みのための第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔が
図20に例示される制約を用いて判定される最小間隔よりも小さい場合の周波数帯域の重複を図示する。
【
図22】本開示の一実施形態に係る、(2k+1)次の相互変調歪みを対象とする場合の事前歪み用の最小サンプリングレートを判定するための制約を図示する。
【
図23】本開示の別の実施形態に係る、
図8のデュアルバンド送信機を例示する。
【
図24】本開示の一実施形態に係る、デュアルバンド送信機におけるデジタル事前歪みを実行する方法を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に述べられる実施形態は、当業者が当該実施形態の実施をすることを可能にするために必要な情報を表し、当該実施形態の実施をするベストモードを例示する。添付の図面に照らして以下の説明を読めば、当業者は、本開示の概念を把握し、及び本明細書において特に扱われていないこれらの概念の適用を理解するであろう。これらの概念及び適用は本開示の範囲及び添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解されるべきである。
【0028】
デュアルバンド送信機における電力増幅器の非線形性を補償するためのデジタル事前歪みを提供するためのシステム及び方法が開示される。
図8は、本開示の一実施形態に係るデュアルバンド送信機58の例示的な実施形態を例示する。デュアルバンド送信機58は、第1のベースバンド信号(S
BB1)を出力する第1のモデム60を備える。アップサンプリング回路62は、第1のベースバンド信号(S
BB1)を事前歪み用の予め定義されるサンプリングレート(f
S_PD)にアップサンプリングし、それによって、第1のアップサンプリングされたベースバンド信号(S
BB1_US)を提供する。なお、アップサンプリング回路62は、好適には、アップサンプリング及びイメージフィルタリングの双方を実行する。チューニング回路64は、第1のアップサンプリングされたベースバンド信号(S
BB1_US)を第1の中間周波数にチューニングして、第1の中間周波数信号(S
IF1)を提供する。同様の手法で、第2のモデム66は、第2のベースバンド信号(S
BB2)を出力する。アップサンプリング回路68は、第2のベースバンド信号(S
BB2)を事前歪みのための予め定義されるサンプリングレート(f
S_PD)にアップサンプリングし、それによって、第2のアップサンプリングされたベースバンド信号(S
BB2_US)を提供する。なお、アップサンプリング回路68は、好適には、アップサンプリング及びイメージフィルタリングの双方を実行する。チューニング回路70は、第2のアップサンプリングされたベースバンド信号(S
BB2_US)を第2の中間周波数にチューニングして、第2の中間周波数信号(S
IF2)を提供する。
【0029】
この実施形態において、第1の中間周波数及び第2の中間周波数は、それぞれ−f
PD_IF及びf
PD_IFである。換言すれば、第1の中間周波数は負の周波数であり、第2の中間周波数は正の周波数であり、第1及び第2の中間周波数の双方の絶対値はf
PD_IFに等しい。これは、本明細書において、対称的な中間周波数の実施形態と呼ばれる。ただし、以下で議論されるように、デュアルバンド送信機58は、対称的な中間周波数の使用に限定されない。別の実施形態において、非対称的な中間周波数が用いられてもよい。非対称的な実施形態は、
図23に関して以下に議論される。
【0030】
第1及び第2の中間周波数信号(S
IF1及びS
IF2)は、結合器72によって結合され又は加算されて、結合された中間周波数信号(S
IF_COMB)が提供される。結合された中間周波数信号(S
IF_COMB)は、第1の中間周波数を中心とする第1の周波数帯域と第2の中間周波数を中心とする第2の周波数帯域とを有し、及び当該第1の周波数帯域と当該第2の周波数帯域との間の周波数成分を有しないデュアルバンド信号である。また、結合された中間周波数信号(S
IF_COMB)は、等価ベースバンド信号であり、複素信号でもあることに留意すべきである。事前歪み器(PD)74は、結合された中間周波数信号(S
IF_COMB)を事前歪みさせて、事前歪みされた信号(S
PD)を提供する。より具体的には、事前歪み器74は、結合された中間周波数信号(S
IF_COMB)に、送信機チェーンにおける電力増幅器の非線形性を補償する予め定義される事前歪みを適用する。事前歪みは、送信機チェーンにおける電力増幅器の非線形性によって引き起こされる歪みをキャンセルし又は実質的にキャンセルする。なお、事前歪みは、事前歪みのための予め定義されるサンプリングレート(f
S_PD)で実行される。以下で議論されるように、本開示の一実施形態において、事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)は、事前歪み器74の複雑さを低減するために最小化される。留意すべき点は、事前歪み器74が第1及び第2のベースバンド信号(S
BB1及びS
BB2)の双方について事前歪みを同時に又は並列的に実行し、それ故に、本明細書においてデュアルバンド事前歪み器と呼ばれる点である。ただし、事前歪み器74の入力は単一の入力(即ち、単一のデュアルバンド信号入力)であるため、事前歪み器74は、シングルバンド入力のために設計される任意の事前歪み技法(例えば、多項式事前歪み、ニューラルネットワークを用いる事前歪み等)を用い得る。
【0031】
事前歪みされた信号(S
PD)は、チューニング回路76に提供され、当該チューニング回路76は、(本実施形態において、−f
IF_PDである)第1の中間周波数を中心とする当該事前歪みされた信号(S
PD)における周波数帯域を第1の中間周波数からベースバンドにチューニングし、それによって、第1の事前歪みされたベースバンド信号(S
PD_BB1)を提供するように動作する。第1の事前歪みされたベースバンド信号(S
PD_BB1)は、フィルタ78によってローパスフィルタリングされて、不要な周波数成分(即ち、DCを中心とする周波数帯域の外部にある周波数成分)が除去され、それによって、第1のフィルタリング済みの事前歪みされたベースバンド信号(S
PD_BB1_F)が提供される。アップコンバータ80は、第1のフィルタリング済みの事前歪みされたベースバンド信号(S
PD_BB1_F)をベースバンドから第1のキャリア周波数(f
C1)にアップコンバートし、それによって、第1の無線周波数信号(S
RF1)を提供する。なお、アップコンバータ80までの処理の全ては、デジタルドメインである。そのため、アップコンバータ80は、好適には、特定の実装に依存して、ベースバンド又は無線周波数のいずれかにおけるデジタル/アナログ変換も実行する。
【0032】
同様の手法で、事前歪みされた信号(S
PD)は、チューニング回路82にも提供され、当該チューニング回路82は、(本実施形態において、f
IF_PDである)第2の中間周波数を中心とする当該事前歪みされた信号(S
PD)における周波数帯域を第2の中間周波数からベースバンドにチューニングし、それによって、第2の事前歪みされたベースバンド信号(S
PD_BB2)を提供するように動作する。第2の事前歪みされたベースバンド信号(S
PD_BB2)は、フィルタ84によってローパスフィルタリングされて、不要な周波数成分(即ち、DCを中心とする周波数帯域の外部にある周波数成分)が除去され、それによって、第2のフィルタリング済みの事前歪みされたベースバンド信号(S
PD_BB2_F)が提供される。アップコンバータ86は、第2のフィルタリング済みの事前歪みされたベースバンド信号(S
PD_BB2_F)をベースバンドから第2のキャリア周波数(f
C2)にアップコンバートし、それによって、第2の無線周波数信号(S
RF2)を提供する。なお、アップコンバータ86までの処理の全ては、デジタルドメインである。そのため、アップコンバータ86は、好適には、特定の実装に依存して、ベースバンド又は無線周波数のいずれかにおけるデジタル/アナログ変換も実行する。
【0033】
結合器88は、第1及び第2の無線周波数信号(S
RF1及びS
RF2)を結合し又は加算して、結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)を提供する。結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)は、第1のキャリア周波数(f
C1)を中心とする第1の周波数帯域と第2のキャリア周波数(f
C2)を中心とする第2の周波数帯域とを有し、及び当該第1の周波数帯域と当該第2の周波数帯域との間の周波数成分を有しないデュアルバンド信号である。また、結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)は、事前歪みされた信号である。電力増幅器(PA)90は、結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)を所望の出力電力レベルに増幅し、それによって、増幅された無線周波数信号(S
RF_AMP)を提供する。最後に、フィルタ92は、増幅された無線周波数信号(S
RF_AMP)から帯域外の周波数成分を除去して、デュアルバンド送信機58によって送信されるべき出力信号(S
OUT)を提供する。具体的には、フィルタ92は、如何なる残余の帯域外歪みも除去する。
【0034】
以下で詳細に議論されるように、一実施形態において、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔は、最小の間隔値又は最小の間隔値の近傍になるように慎重に選択され、当該最小の間隔値未満では、3次の及び幾つかの実施形態においてより高次の相互変調歪みについて事前歪みされた信号(S
PD)における周波数帯域が、第1及び第2の中間周波数を中心とする、事前歪みされた信号(S
PD)における周波数帯域と重複しない。そうすることによって、周波数帯域は分離可能なままであり、それと同時に、事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)は低減されることができる。第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔を最小化することに加えて、事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)も、最小値に等しく又は最小値の近傍に設定することによって最小化されてもよく、当該最小値とは、これを下回る場合には、3次又は幾つかの実施形態においてより高次の相互変調歪みについて事前歪みされた信号(S
PD)における周波数帯域が、第1及び第2の中間周波数を中心とする事前歪みされた信号(S
PD)における周波数帯域へエイリアシングしてしまうような値である。なお、好適な実施形態において、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔及びサンプリングレート(f
S_PD)の双方が最小化される一方、サンプリングレート(f
S_PD)を最小化することなく第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔が最小化されてもよく、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔を最小化することなくサンプリングレート(f
S_PD)が最小化されてもよい。
【0035】
デュアルバンド送信機58は、電力増幅器90の出力からの増幅された無線周波数信号(S
RF_AMP)をフィルタリングし、如何なる残余の帯域外歪みも除去して、無線周波数フィードバック信号(S
FB_RF)を提供するフィルタ94を含むフィードバックパスも備える。無線周波数フィードバック信号(S
FB_RF)は、減衰器96によって減衰されて、減衰された無線周波数フィードバック信号(S
FB_RF_1/G)が提供される。ダウンコンバータ98は、第1のキャリア周波数(f
C1)を中心とする周波数帯域がベースバンドになるように、減衰された無線周波数フィードバック信号(S
FB_RF_1/G)をダウンコンバートし、それによって、第1のベースバンドフィードバック信号(S
FB_BB1)を提供する。フィルタ100は、第1のベースバンドフィードバック信号(S
FB_BB1)をローパスフィルタリングして、不要な周波数帯域(即ち、DCを中心とするもの以外の周波数帯域)を除去する。チューニング回路102は、第1のベースバンドフィードバック信号(S
FB_BB1)を(本実施形態において−f
IF_PDである)第1の中間周波数にチューニングし、それによって、第1の中間周波数フィードバック信号(S
FB_IF1)を提供する。第1の中間周波数フィードバック信号(S
FB_IF1)は、デュアルバンド送信機58のフォワードパスにおける第1の中間周波数信号(S
IF1)の対応信号である。
【0036】
同様の手法で、ダウンコンバータ104は、第2のキャリア周波数(f
C2)を中心とする周波数帯域がベースバンドになるように、減衰された無線周波数フィードバック信号(S
FB_RF_1/G)をダウンコンバートし、それによって、第2のベースバンドフィードバック信号(S
FB_BB2)を提供する。フィルタ106は、第2のベースバンドフィードバック信号(S
FB_BB2)をローパスフィルタリングして、不要な周波数帯域(即ち、DCを中心とするもの以外の周波数帯域)を除去する。チューニング回路108は、第2のベースバンドフィードバック信号(S
FB_BB2)を(本実施形態においてf
IF_PDである)第2の中間周波数にチューニングし、それによって、第2の中間周波数フィードバック信号(S
FB_IF2)を提供する。第2の中間周波数フィードバック信号(S
FB_IF2)は、デュアルバンド送信機58のフォワードパスにおける第2の中間周波数信号(S
IF2)の対応信号である。
【0037】
結合器110は、第1及び第2の中間周波数フィードバック信号(S
FB_IF1及びS
FB_IF2)を結合し又は加算して、結合された中間周波数フィードバック信号(S
FB_IF_COMB)を提供する。アダプタ112は、結合された中間周波数フィードバック信号(S
FB_IF_COMB)及び結合された中間周波数信号(S
IF_COMB)に基づいて、事前歪み器74を動的に構成する。具体的には、アダプタ112は、任意の適切な事前歪み適応アルゴリズムを用いて、1つ以上の事前歪みパラメータ(例えば、多項式事前歪みを定義する多項式係数)を更新する。
【0038】
図9A〜
図9Qは、
図8のデュアルバンド送信機58のフォワードパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。なお、
図9A〜
図9Qにおいて、事前歪みについての対象相互変調次数は、3次(即ち、IM3)である。ただし、事前歪みについての対象相互変調次数は、(2k+1)次であってもよく、ここで、kは1以上の整数であることが認識されるべきである。
図9Aは、第1のベースバンド信号(S
BB1)についての周波数帯域図である。図示のように、第1のベースバンド信号(S
BB1)についてのサンプリングレートは、f
S_BB1である。
図9Bは、第1のアップサンプリングされたベースバンド信号(S
BB1_US)についての周波数帯域図である。図示のように、第1のアップサンプリングされたベースバンド信号(S
BB1_US)についてのサンプリングレートは、事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)である。
図9Cは、第1の中間周波数信号(S
IF1)についての周波数帯域図である。図示のように、第1の中間周波数信号(S
IF1)は、第1の中間周波数を中心とし、当該第1の中間周波数は、本実施形態において−f
IF_PDである。同様に、
図9D〜
図9Fは、第1のベースバンド信号(S
BB2)、第2のアップサンプリングされたベースバンド信号(S
BB2_US)、及び第2の中間周波数信号(S
IF2)についての周波数帯域図である。
【0039】
図9Gは、結合された中間周波数信号(S
IF_COMB)についての周波数帯域図である。図示のように、結合された中間周波数信号(S
IF_COMB)は、(本実施形態において−f
IF_PDである)第1の中間周波数を中心とする第1の周波数帯域と、(本実施形態においてf
IF_PDである)第2の中間周波数を中心とする第2の周波数帯域を有し、及び当該第1の周波数帯域と当該第2の周波数帯域との間の周波数成分を有しないデュアルバンド信号である。また、結合された中間周波数信号(S
IF_COMB)は、等価ベースバンド信号であり、複素信号でもある。
図9Hは、事前歪みされた信号(S
PD)についての周波数帯域図である。例示されるように、事前歪みは、第1及び第2の中間周波数を中心とする周波数帯域についての周波数拡散効果という結果になる。
【0040】
図9Iは、チューニング回路76によって出力される第1の事前歪みされたベースバンド信号(S
PD_BB1)についての周波数帯域図である。図示のように、第1の中間周波数を中心とする事前歪みされた信号(S
PD)における周波数帯域は、今やベースバンドである(即ち、DCを中心とする)。
図9Jは、第1のフィルタリング済みの事前歪みされたベースバンド信号(S
PD_BB1_F)についての周波数帯域図である。図示のように、第1の事前歪みされたベースバンド信号(S
PD_BB1)は、ローパスフィルタリングされて、不要な周波数成分が除去される。当該不要な周波数成分は、この場合において、DCを中心とする周波数帯域におけるもの以外の周波数成分である。
図9Kは、第1の無線周波数信号(S
RF1)についての周波数帯域図である。図示のように、第1のフィルタリング済みの事前歪みされたベースバンド信号(S
PD_BB1_F)は、第1のキャリア周波数(f
C1)にアップコンバートされる。同様に、
図9L〜
図9Nは、第2の事前歪みされたベースバンド信号(S
PD_BB2)、第2のフィルタリング済みの事前歪みされたベースバンド信号(S
PD_BB2_F)、及び第2の無線周波数信号(S
RF2)についての周波数帯域図である。
【0041】
図9Oは、結合器88によって出力される結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)についての周波数帯域図である。図示のように、結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)は、第1のキャリア周波数(f
C1)を中心とする第1の周波数帯域と、第2のキャリア周波数(f
C2)を中心とする第2の周波数帯域とを有し、当該第1の周波数帯域と当該第2の周波数帯域との間の周波数成分を有しないデュアルバンド信号である。
図9Pは、電力増幅器90によって出力される増幅された無線周波数信号(S
RF_AMP)についての周波数帯域図である。図示のように、第1及び第2のキャリア周波数(f
C1及びf
C2)を中心とする周波数帯域についての事前歪みは、対応する周波数帯域についての、電力増幅器90の非線形性によって引き起こされる歪みをキャンセルする。しかしながら、相互変調歪みに起因して、残余の帯域外歪みは、2f
C1−f
C2及び2f
C2−f
C1を中心とする周波数において残存している。この残余の帯域外歪みは、
図9Qに示される出力信号(S
OUT)についての周波数帯域図において示されるように、フィルタ92によって除去される。
【0042】
図10A〜
図10Hは、
図8のデュアルバンド送信機58のフィードバックパスにおける種々の信号についての周波数帯域図である。
図10Aは、減衰器96によって出力される減衰された無線周波数フィードバック信号(S
FB_RF_1/G)についての周波数帯域図である。
図10Bは、ダウンコンバータ98によって出力される第1のベースバンドフィードバック信号(S
FB_BB1)についての周波数帯域図である。図示のように、第1のースバンドフィードバック信号(S
FB_BB1)は、DCを中心とする周波数帯域における周波数成分、及びf
C2−f
C1を中心とする周波数帯域における周波数成分を含む。フィルタ100によるローパスフィルタリングの後、結果として得られる第1のフィルタリングされたベースバンドフィードバック信号(S
FB_BB1_F)は、
図10Cに例示されるように、DCを中心とする周波数帯域における周波数成分のみを含む。
図10Dは、チューニング回路102によって出力される第1の中間周波数フィードバック信号(S
FB_IF1)についての周波数帯域図である。例示されるように、チューニング回路102は、第1のフィルタリングされたベースバンドフィードバック信号(S
FB_BB1_F)におけるDCを中心とする周波数帯域を第1の中間周波数に移動させる。当該第1の中間周波数は、本実施形態において−f
IF_PDである。
【0043】
図10Eは、ダウンコンバータ104によって出力される第2のベースバンドフィードバック信号(S
FB_BB2)についての周波数帯域図である。図示のように、第2のベースバンドフィードバック信号(S
FB_BB2)は、DCを中心とする周波数帯域における周波数成分、及び、−(f
C2−f
C1)を中心とする周波数帯域における周波数成分を含む。フィルタ106によるローパスフィルタリングの後、結果として得られる第2のフィルタリングされたベースバンドフィードバック信号(S
FB_BB2_F)は、
図10Fに例示されるように、DCを中心とする周波数帯域における周波数成分のみを含む。
図10Gは、チューニング回路108によって出力される第2の中間周波数フィードバック信号(S
FB_IF2)についての周波数帯域図である。例示されるように、チューニング回路108は、第2のフィルタリングされたベースバンドフィードバック信号(S
FB_BB2_F)におけるDCを中心とする周波数帯域を第2の中間周波数に移動させる。当該第2の中間周波数は、本実施形態において、f
IF_PDである。最後に、
図10Hは、結合器110によって出力される結合された中間周波数フィードバック信号(S
FB_IF_COMB)についての周波数帯域図である。
【0044】
デュアルバンド送信機58及びその動作が説明されたので、次に、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔及び/又は事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)が最小化される実施形態に着眼する。
図11〜
図14は、3次の相互変調歪み(IM3)を対象とする場合に、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔及び事前歪み用サンプリングレートが最小化されることができる手法を図示する。具体的には、
図11は、まず、本開示の一実施形態に係る、3次の相互変調歪みを対象とする場合の、結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)における周波数帯域を例示する。事前歪み器74によって適用される事前歪みの結果、第1及び第2のキャリア周波数(f
C1及びf
C2)における主要(primary)周波数帯域について周波数帯域拡散が発生する。また、結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)は、相互変調歪みに起因して、2f
C1−f
C2及び2f
C2−f
C1を中心とする周波数帯域における周波数成分を含む。
【0045】
結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)における周波数帯域の帯域幅は、4トーン分析(four-tone analysis)を用いて判定された。具体的には、第1及び第2のベースバンド信号(S
BB1及びS
BB2)は、各々2つのトーンによってモデリングされた。第1のベースバンド信号(S
BB1)は、対応する周波数帯域の左端のエッジ上の第1のトーンと、対応する周波数帯域の右端のエッジ上の第2のトーンと、によってモデリングされた。同様に、第2のベースバンド信号(S
BB2)は、対応する周波数帯域の左端のエッジ上の第1のトーンと、対応する周波数帯域の右端のエッジ上の第2のトーンと、によってモデリングされた。この4トーン分析を用いて、(周波数帯域A〜Dと呼ばれる)4つの周波数帯域の帯域幅は、以下のように判定された:
【0046】
・周波数帯域A:第1のキャリア周波数(f
C1)を中心とする周波数帯域(本明細書において周波数帯域Aと呼ばれる)の帯域幅は、以下のように定義される帯域幅(BW
IM3_A)を有する:
【0048】
ここで、BW
1は、第1のベースバンド信号(S
BB1)の帯域幅であり、BW
2は、第2のベースバンド信号(S
BB2)の帯域幅である;
【0049】
・周波数帯域B:第2のキャリア周波数(f
C2)を中心とする周波数帯域(本明細書において周波数帯域Bと呼ばれる)の帯域幅は、以下のように定義される帯域幅(BW
IM3_B)を有する:
【0051】
・周波数帯域C:2f
C1−f
C2を中心とする周波数帯域(本明細書において周波数帯域Cと呼ばれる)の帯域幅は、以下のように定義される帯域幅(BW
IM3_C)を有する:
【0053】
・周波数帯域D:2f
C2−f
C1を中心とする周波数帯域(本明細書において周波数帯域Dと呼ばれる)の帯域幅は、以下のように定義される帯域幅(BW
IM3_D)を有する:
【0055】
図12は、本開示の一実施形態に係る、周波数帯域A〜Dの帯域幅に基づく3次の相互変調歪みを対象とする場合に最小中間周波数の値f
IF_PD_MINが判定される手法を図示する。本実施形態において、第1の中間周波数及び第2の中間周波数は、それぞれ−f
IF_PD及びf
IF_PDである。そのため、3次の相互変調歪みを対象とする場合、事前歪み器74によって出力される事前歪みされた信号(S
PD)における4つの周波数帯域A〜Dは、それぞれ−f
IF_PD、f
IF_PD、−3f
IF_PD、及び3f
IF_PDを中心とする。例示されるように、4つの周波数帯域A〜Dの間の間隔を維持するために、以下の制約が充足されなければならない:
【0056】
・制約A:周波数帯域Aと周波数帯域Cとの間の間隔を維持するために、以下が真でなければならない:
【0058】
・制約B:周波数帯域Aと周波数帯域Bとの間の間隔を維持するために、以下が真でなければならない:
【0060】
・制約C:周波数帯域Bと周波数帯域Cとの間の間隔を維持するために、以下が真でなければならない:
【0064】
である。式(1)〜式(4)を式(8)に代入すると、以下が与えられる:
【0066】
さらに、BW
1≧BW
2の場合、式(9)は、以下の形になる:
【0068】
同様に、BW
1=BW
2の場合、式(9)は、以下の形になる:
【0070】
事前歪みのための充分に大きいサンプリングレート(f
S_PD)を仮定すると、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔は、式(9)〜式(11)に基づいて最小化されることができる。より具体的には、本実施形態において、第1の中間周波数及び第2の中間周波数は、それぞれ−f
IF_PD及びf
IF_PDである。それ故に、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔は、当該第1及び第2の中間周波数の間の間隔が2f
IF_PD_MIN又は2f
IF_PD_MINの近傍になるように、f
IF_PDを最小中間周波数の値(f
IF_PD_MIN)に等しく又は当該最小中間周波数の値の近傍に設定することによって最小化されることができる。より具体的には、一実施形態において、(本実施形態において、−f
IF_PDである)第1の中間周波数は、−2f
IF_PD_MIN以上−f
IF_PD_MIN以下の範囲内の周波数であり、(本実施形態において、f
IF_PDである)第2の中間周波数は、f
IF_PD_MIN以上2f
IF_PD_MIN以下の範囲内の周波数である。このように、第1及び第2の中間周波数の間の間隔は、2f
IF_PD_MIN以上4f
IF_PD_MIN以下の範囲内である。
【0071】
別の実施形態において、(本実施形態において、−f
IF_PDである)第1の中間周波数は、−f
IF_PD_MINから予め定義されるガードバンドを引いたものに等しい周波数であり、(本実施形態において、f
IF_PDである)第2の中間周波数は、f
IF_PD_MINに当該予め定義されるガードバンドを足したものに等しい周波数である。予め定義されるガードバンドは、周波数帯域A〜Dの間に充分な間隔を提供して、フィルタ78及び84による適当なフィルタリングを可能にするサイズの所定のガードバンドである。
【0072】
図13は、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔が最小の間隔(これは、上記で議論したように、2f
IF_PD_MINである)よりも小さい状況における事前歪み器74の出力についての周波数帯域図である。例示されるように、周波数帯域Cと周波数帯域Aとの間、周波数帯域Aと周波数帯域Bとの間、及び周波数帯域Bと周波数帯域Dとの間には、重複が存在する。この重複は、デュアルバンド送信機58のパフォーマンスを低下させるため、望ましくない。上記で議論したように、好適な実施形態において、第1及び第2の中間周波数は、当該第1の中間周波数と当該第2の中間周波数との間の間隔が最小の間隔(これは、2f
IF_PD_MINである)又は当該最小の間隔の近傍になるように、慎重に選択される。このようにして、周波数帯域AからDの間の重複は回避されるが、同時に、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔は最小化される。第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔のこの最小化は、事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)を低減し、これは、事前歪み器74の複雑さを低減する。
【0073】
図14は、本開示の一実施形態に係る、3次の相互変調歪み(IM3)を対象とする場合に事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)が最小化される手法を図示する。一般に、周波数帯域A〜Dにおける周波数成分のエイリアシングは、事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)の最小化に制約を課す。具体的には、
図14を参照すると、エイリアシングに起因して、周波数帯域A〜Dの第1のイメージは−f
S_PDを中心とし、周波数帯域A〜Dの第2のイメージはf
S_PDを中心とする。事前歪みのための最小サンプリングレート(f
S_PD_MIN)は、当該サンプリングレート未満では、第1のイメージにおける周波数帯域Dが第2のイメージにおける周波数帯域Aにエイリアシングしてしまい、周波数帯域Cが周波数帯域Bにエイリアシングしてしまうサンプリングレートである。換言すれば、事前歪みのための最小サンプリングレート(f
S_PD_MIN)についての制約は、次の通りである:
【0074】
・制約A:周波数帯域Dの周波数帯域Aへのエイリアシングを防止するために、以下が真でなければならない:
【0076】
・制約B:周波数帯域Cの周波数帯域Bへのエイリアシングを防止するために、以下が真でなければならない:
【0080】
である。式(1)〜式(4)を式(14)に代入すると、以下が与えられる:
【0082】
f
IF_PD=f
IF_PD_MINの場合、式(15)は以下の形をとる:
【0084】
さらに、BW
1≧BW
2の場合、式(16)は以下の形をとる:
【0086】
同様に、BW
1=BW
2の場合、式(16)は以下の形をとる:
【0088】
3次の相互変調歪みを対象とする場合の事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)は、式(15)〜式(18)に基づいて、最小化されることができる。より具体的には、一実施形態において、事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)は、事前歪みのための最小サンプリングレート(f
S_PD_MIN)に等しく又は当該最小サンプリングレートの近傍に設定される。一つの特定の実施形態において、事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)は、f
S_PD_MIN以上2f
S_PD_MIN以下の範囲内のサンプリングレートに設定される。このようにして、第2のイメージにおける周波数帯域Cの周波数帯域Bへのエイリアシング、及び第1のイメージにおける周波数帯域Dの周波数帯域Aへのエイリアシングが、回避される。
【0089】
図15〜
図18は、5次の相互変調歪み(IM5)を対象とする場合に、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔及び事前歪み用サンプリングレートが最小化されることができる手法を図示する。具体的には、
図15は、まず、本開示の一実施形態に係る、5次の相互変調歪みを対象とする場合の結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)における周波数帯域を例示する。事前歪み器74によって適用される事前歪みの結果、第1及び第2のキャリア周波数(f
C1及びf
C1)における主要周波数帯域について周波数帯域拡散が発生している。また、結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)は、相互変調歪みに起因して、2f
C1−f
C2、2f
C2−f
C1、3f
C1−2f
C2、及び3f
C2−2f
C1号を中心とする周波数帯域における周波数成分を含む。
【0090】
結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)における周波数帯域の帯域幅は、4トーン分析を用いて判定された。具体的には、第1及び第2のベースバンド信号(S
BB1及びS
BB2)は、各々2つのトーンによってモデリングされた。第1のベースバンド信号(S
BB1)は、対応する周波数帯域の左端のエッジ上の第1のトーンと、対応する周波数帯域の右端のエッジ上の第2のトーンと、によってモデリングされた。同様に、第2のベースバンド信号(S
BB2)は、対応する周波数帯域の左端のエッジ上の第1のトーンと、対応する周波数帯域の右端のエッジ上の第2のトーンと、によってモデリングされた。この4トーン分析を用いて、(周波数帯域A〜Fと呼ばれる)6つの周波数帯域は、以下のように判定された:
【0091】
・周波数帯域A:本明細書において周波数帯域Aと呼ばれる、第1のキャリア周波数(f
C1)を中心とする周波数帯域の帯域幅は、以下のように定義される帯域幅(BW
IM5_A)を有する:
【0093】
ここで、BW
1は、第1のベースバンド信号(S
BB1)の帯域幅であり、BW
2は、第2のベースバンド信号(S
BB2)の帯域幅である;
【0094】
・周波数帯域B:本明細書において周波数帯域Bと呼ばれる、第2のキャリア周波数(f
C2)を中心とする周波数帯域の帯域幅は、以下のように定義される帯域幅(BW
IM5_B)を有する:
【0096】
・周波数帯域C:本明細書において周波数帯域Cと呼ばれる、2f
C1−f
C2を中心とする周波数帯域の帯域幅は、以下のように定義される帯域幅(BW
IM5_C)を有する:
【0098】
・周波数帯域D:本明細書において周波数帯域Dと呼ばれる、2f
C2−f
C1を中心とする周波数帯域の帯域幅は、以下のように定義される帯域幅(BW
IM5_D)を有する:
【0100】
・周波数帯域E:本明細書において周波数帯域Eと呼ばれる、3f
C1−2f
C2を中心とする周波数帯域の帯域幅は、以下のように定義される帯域幅(BW
IM5_E)を有する:
【0102】
・周波数帯域F:本明細書において周波数帯域Fと呼ばれる、3f
C2−2f
C1を中心とする周波数帯域の帯域幅は、以下のように定義される帯域幅(BW
IM5_F)を有する:
【0104】
図16は、本開示の一実施形態に係る、5次の相互変調歪みを対象とする場合に、周波数帯域A〜Fの帯域幅に基づいて最小中間周波数の値(f
IF_PD_MIN)を判定する手法を図示する。本実施形態において、第1の中間周波数及び第2の中間周波数は、それぞれ−f
IF_PD及びf
IF_PDである。そのため、5次の相互変調歪みを対象とする場合、事前歪み器74によって出力される事前歪みされた信号(S
PD)における6つの周波数帯域A〜Fは、それぞれ−f
IF_PD、f
IF_PD、−3f
IF_PD、3f
IF_PD、−5f
IF_PD、及び5f
IF_PDを中心とする。例示されるように、6つの周波数帯域A〜Fの間の間隔を維持するために、以下の制約が充足されなければならない:
【0105】
・制約A:周波数帯域Aと周波数帯域Cとの間の間隔を維持するために、以下が真でなければならない:
【0107】
・制約B:周波数帯域Aと周波数帯域Bとの間の間隔を維持するために、以下が真でなければならない:
【0109】
・制約C:周波数帯域Bと周波数帯域Dとの間の間隔を維持するために、以下が真でなければならない:
【0111】
なお、周波数帯域Eと周波数帯域Cとの間、及び周波数帯域Dと周波数帯域Fとの間の間隔については制約が無い。これらの周波数帯域の間の重複は重要ではないためである。重要なのは、主要周波数帯域又は使用可能周波数帯域A及びBとの重複のみである。
【0114】
である。式(19)〜式(22)を式(28)に代入すると、以下が与えられる:
【0116】
さらに、BW
1≧BW
2の場合、式(29)は、以下の形をとる:
【0118】
同様に、BW
1=BW
2の場合、式(29)は、以下の形をとる:
【0120】
事前歪みのための充分に大きいサンプリングレート(f
S_PD)を仮定すると、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔は、式(29)〜式(31)に基づいて最小化されることができる。より具体的には、本実施形態において、第1の中間周波数及び第2の中間周波数は、それぞれ−f
IF_PD及びf
IF_PDである。それ故に、第1の中間周波数及び第2の中間周波数との間の間隔は、当該第1及び第2の中間周波数の間の間隔が2f
IF_PD_MINに等しく又は2f
IF_PD_MINの近傍になるように、f
IF_PDを最小中間周波数の値(f
IF_PD_MIN)に等しく又は当該最小中間周波数の値の近傍に設定することによって、最小化されることができる。より具体的には、一実施形態において、(本実施形態において−f
IF_PDである)第1の中間周波数は、−2f
IF_PD_MIN以上−f
IF_PD_MIN以下の範囲内の周波数であり、(本実施形態においてf
IF_PDである)第2の中間周波数は、f
IF_PD_MIN以上2f
IF_PD_MIN以下の範囲内の周波数である。このように、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔は、2f
IF_PD_MIN以上4f
IF_PD_MIN以下の範囲内である。
【0121】
別の実施形態において、(本実施形態において−f
IF_PDである)第1の中間周波数は、−f
IF_PD_MINから予め定義されるガードバンドを引いたものに等しい周波数であり、(本実施形態においてf
IF_PDである)第2の中間周波数は、f
IF_PD_MINに当該予め定義されるガードバンドを足したものに等しい周波数である。予め定義されるガードバンドは、周波数帯域A〜Dの間に充分な間隔を提供して、フィルタ78及び84による適当なフィルタリングを可能にするサイズの所定のガードバンドである。
【0122】
図17は、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔が最小の間隔(これは、上記で議論したように、2f
IF_PD_MINである)よりも小さい状況における事前歪み器74の出力についての周波数帯域図である。例示されるように、周波数帯域Cと周波数帯域Aとの間、周波数帯域Aと周波数帯域Bとの間、及び周波数帯域Bと周波数帯域Dとの間に重複が存在する。この重複は、デュアルバンド送信機58のパフォーマンスを低下させるため、望ましくない。なお、周波数帯域Eと周波数帯域Cとの間、及び周波数帯域Dと周波数帯域Fとの間の重複は、重要ではない。むしろ、重要なのは、主要周波数帯域又は使用可能周波数帯域A及びBに関与する重複のみである。上記で議論したように、好適な実施形態において、第1及び第2の中間周波数は、当該第1の中間周波数と当該第2の中間周波数との間の間隔が(2f
IF_PD_MINである)最小の間隔又は当該最小の間隔の近傍になるように、慎重に選択される。このようにして、周波数帯域A〜Dの間の重複は回避されるが、同時に、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔は最小化される。第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔のこの最小化は、事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)を低減し、これは、事前歪み器74の複雑さを低減する。
【0123】
図18は、本開示の一実施形態に係る、5次の相互変調歪み(IM5)を対象とする場合の、事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)が最小化される手法を図示する。一般に、周波数帯域A〜Fにおける周波数成分のエイリアシングは、事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)の最小化に制約を課す。具体的には、
図18を参照すると、エイリアシングに起因して、周波数帯域A〜Fの第1のイメージは−f
S_PDを中心とし、周波数帯域A〜Fの第2のイメージはf
S_PDを中心とする。事前歪みのための最小サンプリングレート(f
S_PD_MIN)は、当該周波数未満では、第1のイメージにおける周波数帯域Fが周波数帯域Aにエイリアシングし、第2のイメージにおける周波数帯域Eが周波数帯域Bにエイリアシングする周波数である。換言すれば、事前歪みのための最小サンプリングレート(f
S_PD_MIN)についての制約は、次の通りである:
【0124】
・制約A:周波数帯域Fの周波数帯域Aへのエイリアシングを防止するために、以下が真でなければならない:
【0126】
・制約B:周波数帯域Eの周波数帯域Bへのエイリアシングを防止するために、以下が真でなければならない:
【0130】
である。式(19)〜式(24)を式(34)に代入すると、以下が与えられる:
【0132】
f
IF_PD=f
IF_PD_MINの場合、式(35)は、以下の形になる:
【0134】
さらに、BW
1≧BW
2の場合、式(36)は、以下の形になる:
【0136】
同様に、BW
1=BW
2の場合、式(36)は、以下の形になる:
【0138】
5次の相互変調歪みを対象とする場合の事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)は、式(35)から式(38)に基づいて最小化されることができる。より具体的には、一実施形態において、事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)は、事前歪みのための最小サンプリングレート(f
S_PD_MIN)に等しく又は当該最小サンプリングレートの近傍に設定される。1つの特定の実施形態において、事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)は、f
S_PD_MIN以上2f
S_PD_MIN以下の範囲内のサンプリングレートに設定される。このようにして、第2のイメージにおける周波数帯域Eの周波数帯域Bへのエイリアシング、及び第1のイメージにおける周波数帯域Fの周波数帯域Aへのエイリアシングが回避される。
【0139】
図19〜
図22は、(2k+1)次の相互変調歪みを対象とし、ここでkは1以上の整数である場合の、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔及び事前歪み用サンプリングレートが最小化されることができる手法を図示する。換言すれば、
図19〜
図22は、任意の所望の次数の相互変調歪みを対象とするための一般化である。具体的には、
図19は、まず、本開示の一実施形態に係る、(2k+1)次の相互変調歪みを対象とする場合の、結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)における周波数帯域を例示する。事前歪み器74によって適用される事前歪みの結果、第1及び第2のキャリア周波数(f
C1及びf
C2)における主要周波数帯域について周波数帯域拡散が発生している。また、結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)は、相互変調歪みに起因して、2f
C1−f
C2、2f
C2−f
C1、...、kf
C1−(k−1)f
C2、kf
C2−(k−1)f
C1、(k+1)f
C1−kf
C2、及び(k+1)f
C2−kf
C1を中心とする周波数帯域における周波数成分を含む。
【0140】
結合された無線周波数信号(S
RF_COMB)における周波数帯域の帯域幅は、4トーン分析を用いて判定された。具体的には、第1及び第2のベースバンド信号(S
BB1及びS
BB2)は、各々2つのトーンによってモデリングされた。第1のベースバンド信号(S
BB1)は、対応する周波数帯域の左端のエッジ上の第1のトーンと、対応する周波数帯域の右端のエッジ上の第2のトーンと、によってモデリングされた。同様に、第2のベースバンド信号(S
BB2)は、対応する周波数帯域の左端のエッジ上の第1のトーンと、対応する周波数帯域の右端のエッジ上の第2のトーンと、によってモデリングされた。この4トーン分析を用いて、(周波数帯域1〜2k+2と呼ばれる)周波数帯域の帯域幅は、以下のように判定された:
【0141】
・(i+1)f
C1−if
C2を中心とする周波数帯域2i+1:
【0143】
ここで、iは0以上の整数であり、BW
1は第1のベースバンド信号(S
BB1)の帯域幅であり、及びBW
2は第2のベースバンド信号(S
BB2)の帯域幅である。
【0144】
・(i+1)f
C2−if
C1を中心とする周波数帯域2i+2:
【0146】
図20は、本開示の一実施形態に係る、(2k+1)次の相互変調歪みを対象とする場合に、周波数帯域1から2k+2の帯域幅に基づいて、最小中間周波数の値f
IF_PD_MINが判定される手法を図示する。本実施形態において、第1の中間周波数及び第2の中間周波数は、それぞれ−f
IF_PD及びf
IF_PDである。そのため、(2k+1)次の相互変調歪みを対象とする場合、事前歪み器74によって出力される事前歪みされた信号(S
PD)における周波数帯域は、±f
IF_PD、±3f
IF_PD、±5f
IF_PD等を中心とする。例示されるように、周波数帯域間の間隔を維持するために、以下の制約が充足されなければならない:
【0147】
・制約A:周波数帯域1と周波数帯域3との間の間隔を維持するために、以下が真でなければならない:
【0149】
・制約B:周波数帯域1と周波数帯域2との間の間隔を維持するために、以下が真でなければならない:
【0151】
・制約C:周波数帯域2と周波数帯域4との間の間隔を維持するために、以下が真でなければならない:
【0153】
なお、その他の周波数帯域間の間隔については、制約が無い。これらの周波数帯域間の重複は重要ではないためである。重要なのは、主要周波数帯域又は使用可能周波数帯域1及び2との重複のみである。
【0156】
式(39)〜式(40)を式(44)に代入すると、以下が与えられる:
【0158】
さらに、BW
1≧BW
2の場合、式(45)は、以下の形をとる:
【0160】
同様に、BW
1=BW
2の場合、式(45)は、以下の形をとる:
【0162】
事前歪みのための充分に大きいサンプリングレート(f
S_PD)を仮定すると、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔は、式(44)〜式(47)に基づいて最小化されることができる。より具体的には、本実施形態において、第1の中間周波数及び第2の中間周波数は、それぞれ−f
IF_PD及びf
IF_PDである。それ故に、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔は、当該第1及び第2の中間周波数の間の間隔が2f
IF_PD_MIN又は2f
IF_PD_MINの近傍になるように、f
IF_PDを最小中間周波数の値(f
IF_PD_MIN)に等しく又は当該最小中間周波数の値の近傍に設定することによって、最小化されることができる。より具体的には、一実施形態において、(本実施形態において−f
IF_PDである)第1の中間周波数は、−2f
IF_PD_MIN以上−f
IF_PD_MIN以下の範囲内の周波数であり、(本実施形態においてf
IF_PDである)第2の中間周波数は、f
IF_PD_MIN以上2f
IF_PD_MIN以下の範囲内の周波数である。このように、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔は、2f
IF_PD_MIN以上4f
IF_PD_MIN以下の範囲内である。
【0163】
別の実施形態において、(本実施形態において−f
IF_PDである)第1の中間周波数は、−f
IF_PD_MINから予め定義されるガードバンドを引いたものに等しい周波数であり、(本実施形態において、f
IF_PDである)第2の中間周波数は、f
IF_PD_MINに当該予め定義されるガードバンドを足したものに等しい周波数である。予め定義されるガードバンドは、周波数帯域1〜4の間に充分な間隔を提供して、フィルタ78及び84による適当なフィルタリングを可能にするサイズの所定のガードバンドである。
【0164】
図21は、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔が最小の間隔(これは上記で議論されたように2f
IF_PD_MINである)よりも小さい状況において、(2k+1)次の相互変調歪みを対象とする場合の、事前歪み器74の出力についての周波数帯域図である。例示されるように、周波数帯域3と周波数帯域1との間、周波数帯域1と周波数帯域2との間、及び周波数帯域2と周波数帯域4との間に重複が存在する。この重複は、デュアルバンド送信機58のパフォーマンスを低下させるため、望ましくない。なお、その他の周波数帯域間の重複(例えば、周波数帯域5と周波数帯域3との間、及び周波数帯域4と周波数帯域6との間の重複)は、重要ではない。むしろ、重要なのは、主要周波数帯域又は使用可能周波数帯域1及び2に関与する重複のみである。上記で議論されたように、好適な実施形態において、第1及び第2の中間周波数は、当該第1の中間周波数と当該第2の中間周波数との間の間隔が最小の間隔(これは、2f
IF_PD_MINである)又は当該最小の間隔の近傍になるように、慎重に選択される。このようにして、周波数帯域1〜4の間の重複は回避されるが、同時に、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔は最小化される。第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔のこの最小化は、事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)を低減し、これは、事前歪み器74の複雑さを低減する。
【0165】
図22は、本開示の一実施形態に係る、(2k+1)次の相互変調歪みを対象とする場合に、事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)が最小化される手法を図示する。一般に、周波数帯域1〜2k+2における周波数成分のエイリアシングは、事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)の最小化に制約を課す。具体的には、
図22を参照すると、エイリアシングに起因して、周波数帯域1〜2k+2の第1のイメージは、−f
S_PDを中心とし、周波数帯域1〜2k+2の第2のイメージは、f
S_PDを中心とする。事前歪みのための最小サンプリングレート(f
S_PD_MIN)は、当該周波数を下回る場合には、第1のイメージにおける周波数帯域2k+2が周波数帯域1にエイリアシングしてしまい、第2のイメージにおける周波数帯域2k+1が周波数帯域2にエイリアシングしてしまうような周波数である。換言すれば、事前歪みのための最小サンプリングレート(f
S_PD_MIN)についての制約は、以下の通りである:
【0166】
・制約A:周波数帯域2k+2の周波数帯域1へのエイリアシングを防止するために、以下が真でなければならない:
【0168】
・制約B:周波数帯域2k+1の周波数帯域2へのエイリアシングを防止するために、以下が真でなければならない:
【0172】
である。式(39)〜式(40)を式(50)に代入すると、以下が与えられる:
【0174】
f
IF_PD=f
IF_PD_MINの場合、式(51)は、以下の形をとる:
【0176】
さらに、BW
1≧BW
2の場合、式(52)は、以下の形をとる:
【0178】
同様に、BW
1=BW
2の場合、式(52)は、以下の形をとる:
【0180】
(2k+1)次の相互変調歪みを対象とする場合の事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)は、式(50)〜式(54)に基づいて最小化されることができる。より具体的には、一実施形態において、事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)は、事前歪みのための最小サンプリングレート(f
S_PD_MIN)に等しく又は当該最小サンプリングレートの近傍に設定される。1つの特定の実施形態において、事前歪み用サンプリングレート(f
S_PD)は、f
S_PD_MIN以上2f
S_PD_MIN以下の範囲内のサンプリングレートに設定される。このようにして、第2のイメージにおける周波数帯域(2k+2)の周波数帯域1へのエイリアシング、及び第1のイメージにおける周波数帯域(2K+1)の周波数帯域2へのエイリアシングが回避される。
【0181】
上記の議論は対称的な中間周波数の実施形態に焦点を当てているが、本開示はこれに限定されない。
図23は、
図8のデュアルバンド送信機58の非対称的な中間周波数の実施形態を例示し、これはデュアルバンド送信機58’と呼ばれる。具体的には、本実施形態において、チューニング回路64は、第1のアップサンプリングされたベースバンド信号(S
BB1_US)を第1の中間周波数(本実施形態においてf
IF_PD_1である)にチューニングする。同様に、チューニング回路70は、第2のアップサンプリングされたベースバンド信号(S
BB2_US)を第2の中間周波数(本実施形態においてf
IF_PD_2である)にチューニングする。本実施形態において、第1の中間周波数は、以下のように定義される:
【0183】
ここで、f
IF_PD_OFFSETは、予め定義される周波数オフセットである。同様に、第2の中間周波数は、以下のように定義される:
【0185】
周波数オフセット(f
IF_PD_OFFSET)は任意の値をとることができるが、実際には、f
S_PDにおけるサンプリングに起因して、−f
S_PD/2からf
S_PD/2の範囲の外部の周波数オフセット(f
IF_PD_OFFSET)についての任意の値は、f
IF_PD_OFFSET+i
*f
S_PD(ここで、iは整数である)に等しい値と同じ効果を有するであろう。非ゼロの周波数オフセット(f
IF_PD_OFFSET)は、−f
S_PD/2からf
S_PD/2のウィンドウ内の周波数ドメインにおける循環シフトという結果になり、それ故に、f
S_PDは、f
IF_PD_OFFSETの値から独立しており、対称的な中間周波数の実施形態に関して上述された全ての結果はなお当てはまる。なお、対称的な中間周波数の実施形態は、f
IF_PD_OFFSET=0である特別な場合である。
【0186】
式(55)及び(56)において、f
IF_PDは、事前歪みのための中間周波数(f
IF_PD)であり、対称的な中間周波数の実施形態に関して上記に議論されたものと全く同じである。ただし、非対称的な中間周波数の実施形態において、f
IF_PDは、事前歪みの用のベース中間周波数と呼ばれる。そのため、一実施形態において、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の最小の間隔は、上記に定義される最小中間周波数の値(f
IF_PD_MIN)の2倍又は2倍の近傍である。より具体的には、上記に議論されたように、一実施形態において、f
IF_PDは、f
IF_PD_MIN以上2f
IF_PD_MIN以下の範囲内であり、結果として、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔は、2f
IF_PD_MIN以上4f
IF_PD_MIN以下の範囲内である。別の実施形態において、f
IF_PDは、f
IF_PD_MIN以上であって、f
IF_PD_MINにフィルタリングを支援するための予め定義されるガードバンドを加えたもの以下の範囲内である。事前歪みのための最小サンプリングレート(f
S_PD_MIN)も、対称的な中間周波数の実施形態について上記に定義されたものと同じである。
【0187】
図24は、本開示の一実施形態に係る、デュアルバンド送信機58及び58’などの、ただしこれらに限定されないデュアルバンド送信機においてデジタル事前歪みを実行するための方法を例示する。図示されるように、第1のベースバンド信号は、定義されるサンプリングレートにアップサンプリングされ、それによって、第1のアップサンプリングされたベースバンド信号が提供される(ステップ1000)。一実施形態において、定義されるサンプリングレートは、上記で議論されたように、対象となる相互変調次数に基づいて判定される最小値又は当該最小値の近傍である。第1のアップサンプリングされたベースバンド信号は、第1の中間周波数にチューニングされて、第1の中間周波数信号が提供される(ステップ1002)。同様に、第2のベースバンド信号は、定義されるサンプリングレートにアップサンプリングされ、それによって、第2のアップサンプリングされたベースバンド信号が提供される(ステップ1004)。第2のアップサンプリングされたベースバンド信号は、第2の中間周波数にチューニングされて、第2の中間周波数信号が提供される(ステップ1006)。なお、ステップ1000及び1002は、ステップ1004及び1006と並列的に実行される。
【0188】
第1の中間周波数信号と第2の中間周波数信号とは結合されて、結合された中間周波数信号が提供される(ステップ1008)。次いで、結合された中間周波数信号は、デュアルバンド送信機の送信チェーンにおける電力増幅器の非線形性を補償するために事前歪みされ、それによって、事前歪みされた信号が提供される(ステップ1010)。これ以降、事前歪みされた信号は、上記で議論されたように、送信のためにアップコンバートされ及び増幅される。上記で議論されたように、一実施形態において、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔は、最小間隔の値又は当該最小間隔の値の近傍であり、当該最小間隔の値を下回ってしまうと、対象相互変調次数までについての事前歪みされた信号における周波数帯域が、第1及び第2の中間周波数を中心とする事前歪みされた信号における周波数帯域と重複するような値である。
【0189】
最後に、一実施形態において、事前歪み用サンプリングレート及び第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔の双方は上述された手法で最小化されることに留意すべきである。ただし、本開示は、これに限定されない。別の実施形態において、事前歪み用サンプリングレートは、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔を本明細書において説明された手法で最小化することなく、最小化されてもよい。また別の実施形態において、第1の中間周波数と第2の中間周波数との間の間隔は、事前歪み用サンプリングレートを本明細書において説明された手法で最小化することなく、最小化されてもよい。
【0190】
本開示の全体にわたり、以下の頭字語が用いられる。
・IM3 Third-Order Intermodulation Distortion
・IM5 Fifth-Order Intermodulation Distortion
・LTE Long Term Evolution (3GPP 4G technology)
・PA Power Amplifier
・PD Predistorter
【0191】
当業者は、本開示の好適な実施形態への改良及び変形を認識するであろう。そのような改良及び変形の全ては、本明細書において開示される概念の範囲及び後続の特許請求の範囲内であるとみなされる。