特許第6024656号(P6024656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6024656
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20161107BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20161107BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20161107BHJP
   B62D 111/00 20060101ALN20161107BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20161107BHJP
   B62D 117/00 20060101ALN20161107BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20161107BHJP
   B62D 137/00 20060101ALN20161107BHJP
【FI】
   B62D6/00ZYW
   B62D5/04
   B62D101:00
   B62D111:00
   B62D113:00
   B62D117:00
   B62D119:00
   B62D137:00
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-520552(P2013-520552)
(86)(22)【出願日】2012年6月12日
(86)【国際出願番号】JP2012064961
(87)【国際公開番号】WO2012173102
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2015年5月21日
(31)【優先権主張番号】特願2011-132800(P2011-132800)
(32)【優先日】2011年6月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】板本 英則
(72)【発明者】
【氏名】益 啓純
(72)【発明者】
【氏名】中曽根 源平
【審査官】 田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−248354(JP,A)
【文献】 特開2003−312507(JP,A)
【文献】 特開2004−338562(JP,A)
【文献】 特開2008−284889(JP,A)
【文献】 特開2011−105271(JP,A)
【文献】 特開2001−171542(JP,A)
【文献】 特開2010−155598(JP,A)
【文献】 特開平11−129923(JP,A)
【文献】 特開2011−105105(JP,A)
【文献】 特開2006−199240(JP,A)
【文献】 特開2008−179300(JP,A)
【文献】 特開2005−225340(JP,A)
【文献】 特開2004−224077(JP,A)
【文献】 特開2010−000876(JP,A)
【文献】 特開2003−149062(JP,A)
【文献】 特開2000−185657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 6/00
B62D 5/04
B62D 101/00
B62D 111/00
B62D 113/00
B62D 117/00
B62D 119/00
B62D 137/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを駆動源として備え、車両の操舵系にアシスト力を付与する操舵力補助装置と、
ステアリングシャフトに設けられたトーションバーの捩れに基づき複数系統のセンサ信号を出力するトルクセンサと、
車速を検出する車速センサと、
前記トルクセンサから出力されるセンサ信号に基づき操舵トルクを検出するトルク演算手段と、
前記操舵力補助装置を制御する制御手段であって、前記操舵トルク及び前記車速に基づいてアシスト制御量を演算すると共に、前記アシスト制御量に基づくアシスト力を前記操舵系に付与するためのアシスト制御を実行する制御手段とを備え、
前記複数系統のセンサ信号のうち正常なセンサ信号が1系統になった場合、前記制御手段は、1系統となった前記正常なセンサ信号に基づき前記トルク演算手段により検出される操舵トルクを用いて、前記アシスト制御量を演算するバックアップ制御を実行するものであり、
前記制御手段は、横方向加速度、操舵角、操舵速度、及びヨーレートのうち少なくともいずれか一つに応じて、予め設定されたマップを用いて、前記バックアップ制御における前記アシスト制御量の上限値及び下限値を設定するアシスト制限処理を実
前記制御手段は、前記車速が第1速度以下であるときに選択される第1マップと、前記車速が前記第1速度よりも速い第2速度であるときに選択される第2マップとを備え、
前記制御手段は、前記車速が前記第1速度よりも速く前記第2速度よりも遅い場合、前記第1マップと前記第2マップとを補間して得られた上限値及び下限値に基づき前記アシスト制限処理を実行することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記制御手段は、前記車速が所定の速度以上の場合に前記アシスト制限処理を実行することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記制御手段、前記車速が前記第2速度よりも速い第3速度以上であるときに選択される第3マップをさらに備え
前記制御手段は、前記車速が前記第2速度よりも速く前記第3速度よりも遅い場合、前記第2マップと前記第3マップとを補間して得られた上限値及び下限値に基づき前記アシスト制限処理を実行することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項4】
請求項1〜のうちいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記複数系統のセンサ信号において正常なセンサ信号が検出されない場合、前記制御手段は、前記アシスト力を漸減させながら前記アシスト制御を停止することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電動パワーステアリング装置(EPS)は、駆動源としてのモータと、トルクセンサとを備えている。トルクセンサは、ステアリングシャフトの途中に設けられたトーションバーの捩れに基づいて、センサ信号を出力する。そして、トルクセンサからのセンサ信号に基づいて操舵トルクが検出されると、操舵トルクに応じて適切なアシスト力が操舵系に付与されるように、モータのトルクが制御される。このため、電動パワーステアリング装置では、適切なアシスト力を得るために、操舵トルクを安定的にかつ精度良く検出することが要求される。
【0003】
例えば、特許文献1は、車両の電動パワーステアリング装置に用いられるトルクセンサを開示している。この文献に開示のトルクセンサは、入力軸、出力軸、入力軸及び出力軸を連結するトーションバー、入力軸に取り付けられるリング状の磁石、磁石の周囲に配置される一対の磁気ヨーク、一対の磁気ヨーク間に生じる磁束密度を検出する磁気センサを備えている。この構成によれば、複数の磁気センサの出力を加算あるいは平均化することで、検出精度が向上する。
【0004】
また、複数のトルクセンサを備えた電動パワーステアリング装置として、特許文献2に開示されるようなものも提案されている。この文献に開示の電動パワーステアリング装置によれば、2つのトルクセンサのうち一方のトルクセンサから出力されるセンサ信号に異常が生じた場合であっても、残りの正常なトルクセンサから出力されるセンサ信号を利用することにより、アシスト力を継続して付与することができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1には、磁気センサの数を増やして検出精度を向上させることについて記載されているものの、トルクセンサから出力される複数系統のセンサ信号のうちいずれかのセンサ信号に異常が生じた場合のバックアップ制御について考慮されていない。また、特許文献2には、残りの正常なトルクセンサから出力されるセンサ信号にも異常が生じたとき、トルクセンサの検出値の急変から所定時間経過後にアシスト装置によるアシストが停止されることについては記載されているものの、検出値の急変からアシストが停止されるまでの間のことについては考慮されていない。このように、従来の電動パワーステアリング装置では、トルクセンサから出力される複数系統のセンサ信号において正常な信号が検出されなくなり、操舵力補助装置のアシスト力が停止されるまでの間に、操舵系に対し意図せぬアシスト力が付与される虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−149062号公報
【特許文献2】特開2000−185657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、トルクセンサから出力される複数系統のセンサ信号において正常な信号が検出されなくなったとしても、操舵系に対し意図せぬアシスト力が付与されるのを効果的に抑制することのできる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第一の態様によれば、モータを駆動源として備え、車両の操舵系にアシスト力を付与する操舵力補助装置と、ステアリングシャフトに設けられたトーションバーの捩れに基づき複数系統のセンサ信号を出力するトルクセンサと、車速を検出する車速センサと、トルクセンサから出力されるセンサ信号に基づき操舵トルクを検出するトルク演算手段と、操舵力補助装置を制御する制御手段であって、操舵トルク及び車速に基づいてアシスト制御量を演算すると共に、アシスト制御量に基づくアシスト力を操舵系に付与するためのアシスト制御を実行する制御手段とを備える電動パワーステアリング装置が提供される。複数系統のセンサ信号のうち正常なセンサ信号が1系統になった場合、制御手段は、1系統となった正常なセンサ信号に基づきトルク演算手段により検出される操舵トルクを用いて、アシスト制御量を演算するバックアップ制御を実行するものであり、制御手段は、横方向加速度、操舵角、操舵速度、及びヨーレートのうち少なくともいずれか一つに応じて、予め設定されたマップを用いて、バックアップ制御におけるアシスト制御量の上限値及び下限値を設定するアシスト制限処理を実、制御手段は、車速が第1速度以下であるときに選択される第1マップと、車速が第1速度よりも速い第2速度であるときに選択される第2マップとを備え、制御手段は、車速が第1速度よりも速く第2速度よりも遅い場合、第1マップと第2マップとを補間して得られた上限値及び下限値に基づきアシスト制限処理を実行する。
【0009】
この構成によれば、制御手段は、トルクセンサから出力される複数系統のセンサ信号のうち正常なセンサ信号が1系統になった場合に、アシスト制限処理を実行する。このため、残りの正常なセンサ信号に異常が生じて正常なセンサ信号が検出されなくなったとしても、1系統となった正常なセンサ信号を用いて、操舵系に対してアシスト力の付与を継続することができる。ただし、この場合であっても、操舵系に付与されるアシスト力の大きさが所定範囲に制限されているため、操舵系に対し意図せぬアシスト力が付与されるのを効果的に抑制することができる。また、上記の電動パワーステアリング装置において、制御手段は、横方向加速度、操舵角、操舵速度、及びヨーレートのうち少なくともいずれか一つに応じてアシスト制限処理を実行する。一般に、路面から操舵系に入力される反力トルクは、車両に作用する横方向加速度、ステアリングホイールの操舵角及び操舵速度、並びに車両のヨーレートのそれぞれと相関関係を有する。具体的には、これらの値が大きくなるほど反力トルクは大きくなる。そのため、これらの値が大きくなるほど、運転者は、操舵に際してより大きな操舵トルクを要する。この点、横方向加速度、操舵角、操舵速度、及びヨーレートのうち少なくともいずれか一つの状態量に応じてアシスト制限処理を実行すれば、アシスト力が必要とされる場合、その状態量に応じた上限値及び下限値を設定し、操舵系に対して必要なアシスト力を付与することができる。
【0011】
また上記構成によれば、設計仕様に応じて上限値及び下限値を容易に設定することができる。
一般に、車速が低速の場合には、十分な大きさのアシスト力が必要となるため、アシスト制御量を制限する必要性は小さい。また、車速が高い場合は低い場合よりも、アシスト制御量に制限をかけてアシスト力を付与することが好ましい。この点、本発明によれば、制御手段は、車速に応じて選択されたマップに基づいてアシスト制限処理を実行する。これにより、アシスト制御量を制限しながら、車速に対して適切な大きさのアシスト力を操舵系に付与することができる。
【0012】
上記の電動パワーステアリング装置において、制御手段は、車速が所定の速度以上の場合にアシスト制限処理を実行することが好ましい。
【0013】
一般に、車速が低速の場合には、十分な大きさのアシスト力が必要となるため、アシスト制御量を制限する必要性は小さい。この点、本発明によれば、車速が所定の速度以上の場合に限りアシスト制限処理を実行するため、アシスト力が必要とされる車速域においてのみ、操舵系に対しアシスト力を継続して付与することができる
【0015】
上記の電動パワーステアリング装置において、制御手段、車速が第2速度よりも速い第3速度以上であるときに選択される第3マップをさらに備え、制御手段は、車速が第2速度よりも速く第3速度よりも遅い場合、第2マップと第3マップとを補間して得られた上限値及び下限値に基づきアシスト制限処理を実行することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、全ての車速域において、アシスト制御量を適切に制限しながら、意図せぬアシスト力が操舵系に付与されるのを抑制することができる。
【0017】
上記の電動パワーステアリング装置において、複数系統のセンサ信号において正常なセンサ信号が検出されない場合、制御手段は、アシスト力を漸減させながらアシスト制御を停止することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、正常なセンサ信号が検出されなくなると、制御手段は、アシスト力を漸減させながら、最終的にはアシスト制御を停止する。これにより、トルクセンサから出力される異常なセンサ信号によるアシスト力の急変を防止することができる。よって、ステアリング操作に支障をきたさないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】電動パワーステアリング装置の概略構成図。
図2】電動パワーステアリング装置の制御ブロック図。
図3】本発明の第1実施形態に係る基本アシスト制御量の制限処理を示すブロック図。
図4】アシスト制御を説明するためのフローチャート。
図5】アシスト制御量演算処理を説明するためのフローチャート。
図6】本発明の第2実施形態に係る基本アシスト制御量の制限処理を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の電動パワーステアリング装置(EPS)を具体化した第1実施形態について図1図5に従って説明する。
【0021】
図1に示すように、ステアリングホイール2は、ステアリングシャフト3に連固定されると共に、ラックアンドピニオン機構4を介してラック軸5に連結されている。ドライバーがステアリングホイール2を操作すると、ステアリングシャフト3が回転すると共に、ステアリングシャフト3の回転がラックアンドピニオン機構4を介してラック軸5の往復直線運動に変換される。
【0022】
ステアリングシャフト3は、コラムシャフト3a、インターミディエイトシャフト3b、及びピニオンシャフト3cを連結して構成されている。コラムシャフト3aの中間部には、トーションバー17が取り付けられている。ラック軸5の両端には、タイロッド6がそれぞれ連結されている。ラック軸5の直線運動は、タイロッド6を介して図示しないナックルに伝達される。これにより、転舵輪7の舵角が変更されて、車両の進行方向が変更される。
【0023】
電動パワーステアリング装置1は、操舵力補助装置としてのEPSアクチュエータ10と、制御手段としてのECU11とを備えている。EPSアクチュエータ10は、ドライバーによるステアリングホイール2の操作を補助するため、車両の操舵系にアシスト力を付与する。ECU11は、EPSアクチュエータ10の作動を制御する。
【0024】
EPSアクチュエータ10は、コラムタイプのEPSアクチュエータとして構成されている。EPSアクチュエータ10は、駆動源としてのモータ12と、モータ12とコラムシャフト3aとを連結する減速機構13とを備えている。モータ12には、ブラシ付の直流モータが採用されている。EPSアクチュエータ10は、減速機構13によりモータ12の回転を減速してコラムシャフト3aに伝達する。これにより、モータ12のトルクが、アシスト力として操舵系に付与される。
【0025】
ECU11には、車両の状態量を検出するための各種センサが接続されている。具体的には、ECU11には、操舵トルクτを検出するトルクセンサ14、車速Vを検出する車速センサ15、操舵角θsを検出する操舵角センサとしてのステアリングセンサ16、及び車両に作用する横方向加速度gを検出する横方向加速度センサ20等が接続されている。ECU11は、各種センサから出力される信号に基づいて、操舵トルクτ、車速V、操舵角θs及び横方向加速度gをそれぞれ検出する。
【0026】
トルクセンサ14は、複数系統のセンサ信号Sa,Sbを出力するトルクセンサである。トルクセンサ14は、図示しないセンサコアと、2つのセンサ素子14a,14bとを備えている。センサコアは、トーションバー17の捩れに基づき変化する磁束を生成する。センサ素子14a,14bは、磁電変換素子であるホールICからなり、センサコアの周りにそれぞれ配置されている。ステアリングシャフト3にトルクが入力されてトーションバー17が捩れると、各センサ素子14a,14bを通過する磁束が変化する。トルクセンサ14は、磁束変化に伴い変化する各センサ素子14a,14bからの出力電圧を、センサ信号Sa,SbとしてECU11に出力する。ECU11は、各センサ素子14a,14bから出力されるセンサ信号Sa,Sbに基づいて、操舵トルクτを検出する。
【0027】
ステアリングセンサ16は、磁気式の回転角センサである。ステアリングセンサ16は、コラムシャフト3aに固定された回転子18と、センサ素子19とを備えている。センサ素子19は、ホールICからなり、回転子18に近接して配置されている。回転子18は、トルクセンサ14とステアリングホイール2との間に配置されている。センサ素子19は、回転子18の回転に伴う磁束変化を検出する。ECU11は、センサ素子19から出力されるセンサ信号に基づいて、操舵角θsを検出する。
【0028】
ECU11は、操舵トルクτ、及び車速センサ15により検出される車速Vに基づいて目標アシスト力を演算する。ECU11は、目標アシスト力をEPSアクチュエータ10に発生させるべくモータ12に駆動電力を供給する。こうして、ECU11は、操舵系に付与されるアシスト力を制御するためのアシスト制御を実行する。
【0029】
次に、電動パワーステアリング装置1のアシスト制御及びアシスト継続制御について図2及び図3を参照して説明する。
【0030】
図2に示すように、ECU11は、モータ制御信号を出力するマイクロコンピュータ(以下、CPUという)21と、モータ制御信号に基づいてモータ12に駆動電力を供給する駆動回路22とを備えている。CPU21は、電流指令値演算部23、モータ制御信号出力部24、及びトルク演算手段としての操舵トルク演算部25を備えている。電流指令値演算部23は、アシスト制御部26、及び操舵角θsを微分処理して操舵速度ωsを算出する微分器Sを備えている。図3に示すように、アシスト制御部26は、基本アシスト制御量演算部28、及び制御量制限処理部29を備えている。
【0031】
操舵トルク演算部25は、トルクセンサ14から出力されるセンサ信号Sa,Sbの異常を検出する。操舵トルク演算部25は、センサ信号Sa,Sbの異常の有無に基づいて、トルクセンサ14に故障が生じたか否かを判定する。操舵トルク演算部25がセンサ信号Sa,Sbの異常を検出しない場合、ECU11は、通常のアシスト制御を実行する。
【0032】
アシスト制御を実行するため、CPU21は、所定のサンプリング周期で、操舵トルクτ、車速V、操舵角θs及び横方向加速度gをそれぞれ検出する。操舵トルク演算部25は、トルクセンサ14から出力されるセンサ信号Sa,Sbに基づいて、操舵トルクτを演算する。上述したように、トルクセンサ14は、ホールICを用いた磁気式のトルクセンサである。このため、操舵トルク演算部25は、操舵トルクτを高精度に演算するため、2系統のセンサ信号Sa,Sbを用いた補正処理(温度特性等)を行なう。
【0033】
電流指令値演算部23は、操舵トルクτ及び車速V等に基づいてアシスト制御量ε*を演算する。具体的には、操舵トルクτ、車速V、及び横方向加速度gがアシスト制御部26に入力される。アシスト制御部26では、図3に示すように、基本アシスト制御量演算部28が、操舵トルクτ、及び車速Vに基づいて基本アシスト制御量ε_asを演算する。尚、基本アシスト制御量ε_asは、操舵トルクτに対して適切な大きさの目標アシスト力を発生させるための基礎成分となる。
【0034】
アシスト制御部26は、操舵トルクτの絶対値が大きいほど、より大きな値の絶対値を有する基本アシスト制御量ε_asを演算する。つまり、アシスト制御部26は、操舵トルクτの絶対値が大きいほど、より大きなアシスト力が操舵系に付与されるように基本アシスト制御量ε_asを演算する。また、基本アシスト制御量ε_asの演算には、車速感応型の3次元マップが用いられる。アシスト制御部26は、車速Vが小さいほど、より大きな値の絶対値を有する基本アシスト制御量ε_asを演算する。
【0035】
図2に示すように、電流指令値演算部23は、基本アシスト制御量ε_asから演算されるアシスト制御量ε*に基づいて、目標アシスト力に対応する電流指令値I*を演算する。モータ制御信号出力部24には、電流指令値演算部23から電流指令値I*が入力されると共に、電流センサ27により検出されるモータ12の実電流値Iが入力される。モータ制御信号出力部24は、電流指令値I*に実電流値Iを追従させるべく電流フィードバック制御を実行する。
【0036】
モータ制御信号出力部24は、電流フィードバック制御によりモータ制御信号を生成し、モータ制御信号を駆動回路22に出力する。モータ制御信号が駆動回路22に入力されると、駆動回路22は、モータ制御信号に基づく駆動電力をモータ12へと供給する。モータ12が駆動されると、EPSアクチュエータ10が作動して、アシスト制御が実行される。また、ECU11は、トルクセンサ14から出力される複数系統のセンサ信号Sa,Sbに異常が生じた場合のバックアップ制御として、アシスト継続制御を実行する。
【0037】
アシスト制御を実行するため、操舵トルク演算部25は、トルクセンサ14から出力されるセンサ信号Sa,Sbの少なくとも一方に異常を検出した場合、トルクセンサ14に故障が生じたと判定する。また、操舵トルク演算部25は、トルクセンサ14に故障が生じたことを示す異常検出信号Strを、アシスト制御部26に出力する。センサ信号Sa,Sbの異常は、特許文献2に開示されるように、センサ信号Sa,Sbの値が正常時に取り得る値を逸脱するか否かの判定、並びに、センサ信号Sa,Sbの値及び単位時間当りの変化量等を比較及び判定して検出される。また、トルクセンサ14の故障は、センサ信号Sa,Sbの異常が所定時間継続しているか否かに基づいて検出される。
【0038】
操舵トルク演算部25がセンサ信号Sa,Sbのうち一方のみに異常を検出した場合、CPU21は、残る正常なセンサ信号に基づいて操舵トルクτを演算し、アシスト制御を継続する。この場合、2つのセンサ信号Sa,Sbを用いた補正処理は実行されないが、残る正常なセンサ信号を用いて操舵トルク演算部25が操舵トルクτを演算すると共に、操舵トルクτに基づいて電流指令値演算部23が電流指令値I*を演算及び出力し続ける。このため、車速V、及び操舵トルクτが、基本アシスト制御量演算部28に入力される。基本アシスト制御量演算部28は、車速V、操舵トルクτに基づき基本アシスト制御量ε_asを演算すると共に、基本アシスト制御量ε_asを制御量制限処理部29に出力する。
【0039】
図3に示すように、制御量制限処理部29には、基本アシスト制御量ε_asの他、車速センサ15により検出された車速Vと、横方向加速度センサ20により検出された横方向加速度gと、操舵トルク演算部25が出力する異常検出信号Strとが入力される。制御量制限処理部29は、センサ信号Sa,Sbのうち一方のみに異常が検出された場合、基本アシスト制御量ε_asの上限値及び下限値を設定するアシスト制限処理を実行する。また、制御量制限処理部29は、車速Vに基づいて、基本アシスト制御量ε_asの制限処理の要否も判定する。具体的には、車速Vが所定の速度V0以上である場合、制御量制限処理部29は、基本アシスト制御量ε_asの制限処理を実行する。一方、車速Vが所定の速度V0未満である場合、制御量制限処理部29は、基本アシスト制御量ε_asの制限処理を実行しない。
【0040】
制御量制限処理部29は、横方向加速度gに応じてアシスト制限処理を実行する。具体的には、制御量制限処理部29は、予め設定された横方向加速度g−アシスト制御量制限値マップmp1を用いて、基本アシスト制御量ε_asの制限処理を実行する。マップmp1は、横軸を横方向加速度gとし、縦軸を基本アシスト制御量とするマップであり、基本アシスト制御量ε_asを所定の範囲内に制限するように設定されている。
【0041】
マップmp1は、横方向加速度gの絶対値が大きくなるに従い基本アシスト制御量ε_asが大きくなるように設定されている。つまり、横方向加速度gが正の値である場合、基本アシスト制御量ε_asの上限値が正の方向に増加し、横方向加速度gが負の値である場合、基本アシスト制御量ε_asの下限値が負の方向に増加するように設定されている。尚、横方向加速度gが0に近い中立位置付近では、基本アシスト制御量ε_asの上限値及び下限値がそれぞれ一定値を有するように設定されている。
【0042】
制御量制限処理部29は、横方向加速度gに対応して所定の範囲内に制限された基本アシスト制御量ε_asを、制限処理後の基本アシスト制御量ε_as’として決定する。更に、アシスト制御部26は、システム安定化制御や外乱抑制制御等の補償制御により演算された各種制御量を制限処理後の基本アシスト制御量ε_as'に加算して、アシスト制御量ε*を演算する。アシスト制御部26は、アシスト制御量ε*に基づいて電流指令値I*を演算し、モータ制御信号出力部24に出力する。そして、モータ制御信号出力部24は、電流指令値I*に実電流値Iを追従させるべく電流フィードバック制御を実行してモータ制御信号を生成し、駆動回路22は、モータ制御信号に基づく駆動電力をモータ12へと供給する。
【0043】
ECU11は、トルクセンサ14から出力される複数系統のセンサ信号Sa,Sbにおいて正常な信号が検出されない場合のフェールセーフとして、アシスト停止制御を実行する。即ち、操舵トルク演算部25がセンサ信号Sa,Sbの両方に異常を検出し、所定時間経過後にトルクセンサ14が故障したと判定した場合、ECU11は、アシスト停止制御を実行する。アシスト停止制御が実行されると、ECU11は、操舵系に付与されるアシスト力を漸減しながら、速やかにアシスト制御を停止する。
【0044】
次に、アシスト制御の制御フローについて図4を参照して説明する。制御フローは、CPU21により所定のサンプリング周期で繰り返し実行される。
【0045】
図4に示すように、まず、CPU21は、トルクセンサ14、車速センサ15、ステアリングセンサ16及び横方向加速度センサ20等の各種センサから出力される信号を読み込む(ステップS501)。次に、CPU21は、各種センサから出力される信号に基づいて、アシスト制御量演算処理を実行する(ステップS502)。続いて、CPU21は、アシスト制御量演算処理により演算されたアシスト制御量ε*に基づいて、電流指令値I*を演算する(ステップS503)。
【0046】
次に、CPU21は、電流指令値I*と実電流値Iとを用いて電流フィードバック制御を実行し、モータ制御信号を演算する(ステップS504)。CPU21は、モータ制御信号を駆動回路22に出力して、モータ12を駆動する(ステップS505)。CPU21は、イグニッションスイッチがオン・オフに基づいて、制御フローを終了させるか否かを判断する(ステップS506)。イグニッションスイッチがオンされている場合(ステップS506:NO)、CPU21は、制御フローを終了させずに、ステップS501に戻り、制御フローを実行する。イグニッションスイッチがオフされている場合(ステップS506:YES)、CPU21は、制御フローを終了させる。
【0047】
次に、アシスト継続制御の制御フローについて図5を参照して説明する。
【0048】
図5に示すように、CPU21は、まず、トルクセンサ14の故障の有無を判定する(ステップS601)。次に、CPU21は、トルクセンサ14から出力されるセンサ信号Sa,Sbのうち一方のみが異常であるか否かを判定する(ステップ602)。センサ信号Sa,Sbのうち一方のみが異常である場合(ステップ602:YES)、CPU21は、アシスト継続制御を実行する(ステップ603)。そして、CPU21は、車速V及び操舵トルクτに基づくアシストマップを用いて、基本アシスト制御量ε_asを演算する(ステップ604)。
【0049】
続いて、CPU21は、車速Vが所定の速度以上であるか否かを判定する(ステップ605)。車速Vが所定の速度以上である場合(ステップ605:YES)、CPU21は、基本アシスト制御量ε_asの制限処理を実行する(ステップ606)。CPU21は、システム安定化制御演算(ステップ607)、外乱抑制制御演算(ステップ608)、及びその他の補償制御演算(ステップ609)を順に実行する。そして、CPU21は、各種制御量を制限処理後の基本アシスト制御量ε_as‘に加算して、アシスト制御量ε*を演算する(ステップ610)。一方、車速Vが所定の速度未満の場合(ステップ605:NO)、CPU21は、基本アシスト制御量ε_asの制限処理を実行せずに、ステップ607にフローを移行させる。
【0050】
センサ信号Sa,Sbのうち一方のみが異常であると判定されない場合(ステップ602:NO)、CPU21は、センサ信号Sa,Sbの両方が正常であるか否かを判定する(ステップ615)。センサ信号Sa,Sbの両方が正常である場合(ステップ615:YES)、CPU21は、通常のアシスト制御を実行する(ステップ616)。そして、CPU21は、アシスト制御量演算処理を終了する。一方、センサ信号Sa,Sbの両方が正常でない場合(ステップ615:NO)、CPU21は、センサ信号Sa,Sbの両方が異常であると判定し、アシスト停止制御を実行する(ステップ617)。CPU21は、アシスト停止制御を実行して、アシスト制御の制御フローを終了する。
【0051】
以上、第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0052】
(1)制御量制限処理部29は、基本アシスト制御量ε_asの上限値及び下限値を設定するアシスト制限処理を実行する。この構成によれば、制御量制限処理部29は、トルクセンサ14から出力される複数系統のセンサ信号Sa,Sbのうち正常なセンサ信号が1系統になった場合、即ち、センサ信号Sa,Sbのうち一方のみに異常を検出した場合に、アシスト制限処理を実行する。このため、残りの正常なセンサ信号に異常が生じて正常なセンサ信号が検出されなくなったとしても、操舵系に付与されるアシスト力の大きさが所定範囲に制限されているため、操舵系に対し意図せぬアシスト力が付与されるのを効果的に抑制することができる。
【0053】
(2)一般に、路面から操舵系に入力される反力トルクは、車両に作用する横方向加速度gと相関関係を有する。具体的には、車両に作用する横方向加速度gが大きくなるほど反力トルクは大きくなる。そのため、横方向加速度gが大きくなるほど、運転者は、操舵に際してより大きな操舵トルクを要する。この点を踏まえ、制御量制限処理部29は、横方向加速度gに応じて、アシスト制限処理を実行する。この構成によれば、横方向加速度gが大きいときには操舵系に付与される外力が大きいため、操舵系に付与されるアシスト力が大きくなるようにアシスト制御処理が実行される。一方、横方向加速度gが小さいときには操舵系に付与される外力が小さいため、操舵系に付与されるアシスト力が小さくなるようにアシスト制御処理が実行される。
【0054】
(3)制御量制限処理部29は、予め設定された横方向加速度g−アシスト制御量制限値マップmp1を用いて、基本アシスト制御量ε_asの制限処理を実行する。この構成によれば、設計仕様に応じて上限値及び下限値を容易に設定することができる。
【0055】
(4)制御量制限処理部29は、車速Vに基づいて、基本アシスト制御量ε_asの制限処理の要否も判定する。車速Vが所定の速度V0以上である場合、制御量制限処理部29は、基本アシスト制御量ε_asの制限処理を実行する。一方、車速Vが所定の速度V0未満である場合、制御量制限処理部29は、基本アシスト制御量ε_asの制限処理を実行しない。一般に、車速Vが低速の場合には、十分な大きさのアシスト力が必要となるため、アシスト制御量を制限する必要性は小さい。この点、この構成によれば、車速Vが所定の速度以上の場合に限りアシスト制限処理を実行するため、アシスト力が必要とされる車速域においてのみ、操舵系に対しアシスト力を継続して付与することができる。
【0056】
(5)ECU11は、トルクセンサ14から出力される複数系統のセンサ信号Sa,Sbにおいて正常な信号が検出されない場合のフェールセーフとして、アシスト停止制御を実行する。この構成によれば、正常なセンサ信号が検出されなくなると、ECU11は、アシスト力を漸減させながら、最終的にはアシスト制御を停止する。これにより、トルクセンサ14から出力される異常なセンサ信号によるアシスト力の急変を防止することができる。よって、ドライバーによるステアリング操作に支障をきたさないようにすることができる。 (第2実施形態)
以下、本発明の電動パワーステアリング装置を具体化した第2実施形態について図6を参照して説明する。なお、第2実施形態における第1実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。

図6に示すように、アシスト制御部126は、基本アシスト制御量演算部28、及び制御量制限処理部129を備えている。制御量制限処理部129には、基本アシスト制御量ε_asの他、車速センサ15により検出された車速Vと、ステアリングセンサ16により検出された操舵角θsと、操舵トルク演算部25が出力する異常検出信号Strとが入力される。制御量制限処理部129は、センサ信号Sa,Sbのうち一方のみに異常が検出された場合、操舵角θsに応じてアシスト制限処理を実行する。制御量制限処理部129は、予め設定された操舵角θs−アシスト制御量制限値マップmp2−1〜mp2−3を用いて、基本アシスト制御量ε_asの制限処理を実行する。マップmp2−1〜mp2−3は、横軸を操舵角θsとし、縦軸を基本アシスト制御量とするマップであり、基本アシスト制御量ε_asを所定の範囲内に制限するように設定されている。 制御量制限処理部129は、3つの操舵角θs−アシスト制御量制限値マップmp2−1,mp2−2,mp2−3を備えている。制御量制限処理部129は、車速Vに応じて3つのマップのうちから一つのマップを選択すると共に、選択されたマップに基づいてアシスト制限処理を実行する。3つのマップのうち、第1マップmp2−1は、車速Vが第1速度V1以下であるときに選択される操舵角θs−アシスト制御量制限値マップである。第2マップmp2−2は、車速Vが第1速度V1よりも速い第2速度V2であるときに選択される操舵角θs−アシスト制御量制限値マップである。第3マップmp2−3は、車速Vが第2速度V2よりも速い第3速度V3以上であるときに選択される操舵角θs−アシスト制御量制限値マップである。この場合、第1速度V1、第2速度V2及び第3速度V3は、1km/hr、5km/hr及び16km/hrにそれぞれ設定されている。
【0057】
マップmp2−1〜mp2−3は、操舵角θsの絶対値が大きくなるに従い基本アシスト制御量ε_asが大きくなるように設定されている。つまり、操舵角θsが正の値である場合、基本アシスト制御量ε_asの上限値が正の方向に増加し、操舵角θsが負の値である場合、基本アシスト制御量ε_asの下限値が負の方向に増加するように設定されている。尚、操舵角θsが0に近い中立位置付近では、基本アシスト制御量ε_asの上限値及び下限値がそれぞれ一定値を有するように設定されている。
【0058】
また、車速Vが第1速度V1よりも速く第2速度V2よりも遅い場合、制御量制限処理部129は、第1マップmp2−1と第2マップmp2−2とを補間して得られた上限値及び下限値に基づいて、アシスト制限処理を実行する。車速Vが第2速度よりも速く第3速度よりも遅い場合、制御量制限処理部129は、第2マップmp2−2と第3マップmp2−3とを補間して得られた上限値及び下限値に基づいて、アシスト制限処理を実行する。

以上、第2実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0059】
(6)一般に、路面から操舵系に入力される反力トルクは、ステアリングホイール2の操舵角θsと相関関係を有する。具体的には、操舵角θsが大きくなるほど反力トルクは大きくなる。そのため、操舵角θsが大きくなるほど、運転者は、操舵に際してより大きな操舵トルクを要する。この点を踏まえ、制御量制限処理部129は、操舵角θsに応じて、アシスト制限処理を実行する。これにより、操舵角θsが大きいときには操舵系に伝わる外力が大きいため、操舵系に付与されるアシスト力が大きくなるようにアシスト制御処理が実行される。操舵角θsが小さいときには操舵系に伝わる外力が小さいため、操舵系に付与されるアシスト力が小さくなるようにアシスト制御処理が実行される。
【0060】
(7)制御量制限処理部129は、車速Vに応じて3つのマップmp2−1〜mp2−3のうちから一つのマップを選択すると共に、選択されたマップに基づいてアシスト制限処理を実行する。一般に、車速Vが低速の場合には、十分な大きさのアシスト力が必要となるため、アシスト制御量を制限する必要性は小さい。また、車速Vが高い場合は低い場合よりも、アシスト制御量に制限をかけてアシスト力を付与することが好ましい。この点、この構成によれば、制御量制限処理部129は、車速Vに応じて選択されたマップmp2−1〜mp2−3に基づいてアシスト制限処理を実行する。これにより、アシスト制御量を制限しながら、車速に対して適切な大きさのアシスト力を操舵系に付与することができる。
【0061】
(8)車速Vが第1速度V1よりも速く第2速度V2よりも遅い場合、制御量制限処理部129は、第1マップmp2−1と第2マップmp2−2とを補間して得られた上限値及び下限値に基づいて、アシスト制限処理を実行する。車速Vが第2速度V2よりも速く第3速度V3よりも遅い場合、制御量制限処理部129は、第2マップmp2−2と第3マップmp2−3とを補間して得られた上限値及び下限値に基づいて、アシスト制限処理を実行する。この構成によれば、全ての車速域において、アシスト制御量を適切に制限しながら、意図せぬアシスト力が操舵系に付与されるのを抑制することができる。
【0062】
なお、上記各実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0063】
・上記各実施形態において、基本アシスト制御量ε_asの制限処理に1つの横方向加速度g−アシスト制御量制限値マップmp1又は3つの操舵角θs−アシスト制御量制限値マップmp2−1〜mp2−3を用いたが、2つ又は4つ以上のマップを用いて基本アシスト制御量ε_asの制限処理を実行してもよい。また、マップmp2−1〜mp2−3に対応する第1速度V1、第2速度V2及び第3速度V3は、設計仕様に応じて適宜変更してもよい。
【0064】
・上記各実施形態において、横方向加速度g−アシスト制御量制限値マップ又は操舵角θs−アシスト制御量制限値マップを1つ備え、そのマップに車速等に応じたゲインをかけることにより、基本アシスト制御量ε_asの制限処理を実行してもよい。また、操舵角θs−アシスト制御量制限値マップは3次元マップであってもよい。
【0065】
・上記各実施形態において、本発明は、2系統のセンサ信号Sa,Sbを出力するトルクセンサ14に代えて、3系統以上のセンサ信号を出力するトルクセンサ、又は1系統のセンサ信号を出力するトルクセンサを備えた電動パワースタリング装置に適用してもよい。
【0066】
・上記各実施形態において、基本アシスト制御量ε_asの制限処理は、アシスト継続制御時以外に、通常のアシスト制御時にも実行してもよい。
【0067】
・上記各実施形態において、センサ素子14a,14b及びセンサ素子19を構成する磁電変換素子は、ホールIC以外の他の素子であってもよい。
【0068】
・上記各実施形態において、本発明は、磁気式のトルクセンサ以外の異常検出に適用してもよい。
【0069】
・上記各実施形態において、操舵系に付与するアシスト力を示すパラメータとして基本アシスト制御量を用いたが、モータ12の電流指令値I*を用いてもよい。
【0070】
・上記各実施形態において、基本アシスト制御量ε_asの制限処理のため横方向加速度gや操舵角θsを用いたが、操舵速度ωs、図示しないヨーレートセンサによって検出されるヨーレート等の状態量を用いてもよい。また、これらの状態量を組み合わせて用いてもよい。なお、操舵速度ωsは、図2に示すように、微分器Sにより操舵角θsを微分処理して算出してもよい。
【0071】
・上記各実施形態において、モータ12にブラシ付き直流モータを用いたが、ブラシレスモータや誘導モータを用いてもよい。特に、操舵速度ωsに応じてモータトルクを変更する場合、操舵速度ωsの検出には、ブラシレスモータの回転角センサを利用することが好ましい。
【0072】
・上記各実施形態において、本発明は、コラムタイプの電動パワーステアリング装置以外に、ピニオンタイプやラックアシストタイプの電動パワーステアリング装置に適用してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6