特許第6026469号(P6026469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6026469扁平状蓄熱器、扁平状蓄熱器を備えた蓄熱器ユニット及び蓄熱器ユニットを備えた蓄熱装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6026469
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】扁平状蓄熱器、扁平状蓄熱器を備えた蓄熱器ユニット及び蓄熱器ユニットを備えた蓄熱装置
(51)【国際特許分類】
   F28D 20/00 20060101AFI20161107BHJP
   F28F 23/00 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   F28D20/00 G
   F28F23/00 Z
   F28D20/00 A
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-157712(P2014-157712)
(22)【出願日】2014年8月1日
(65)【公開番号】特開2016-35347(P2016-35347A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2015年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】志村 隆広
(72)【発明者】
【氏名】島田 守
(72)【発明者】
【氏名】池田 匡視
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−180539(JP,A)
【文献】 特開2014−125133(JP,A)
【文献】 特開平01−212893(JP,A)
【文献】 特開昭62−213690(JP,A)
【文献】 特開昭54−093243(JP,A)
【文献】 特開2010−249412(JP,A)
【文献】 実開平06−022774(JP,U)
【文献】 特開2009−133590(JP,A)
【文献】 特開2002−115985(JP,A)
【文献】 特開2011−231967(JP,A)
【文献】 特開2016−020775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 20/00
F28F 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学蓄熱材を含有する蓄熱部構造体と、複数の該蓄熱部構造体を内部に収容し該蓄熱部構造体と熱的に接続された扁平状管材であって、一方の平坦部と該一方の平坦部と対向する他方の平坦部とを有する扁平状管材と、該扁平状管材の前記平坦部外面に設けられた熱交換手段と、を備えた扁平状蓄熱器であって、
前記扁平状蓄熱器が、前記一方の平坦部の一部領域に、前記他方の平坦部に向かって凸状に設けられた前記蓄熱部構造体と、前記他方の平坦部の一部領域に、前記一方の平坦部に向かって凸状に設けられた前記蓄熱部構造体とを有し、
隣接する前記蓄熱部構造体間及び/または前記蓄熱部構造体の先端部と前記平坦部の間が、空間部であり、
前記熱交換手段が、扁平状蓄熱器の外部の熱を前記扁平状管材の内部へ伝える扁平状蓄熱器。
【請求項2】
前記蓄熱部構造体が、底辺部から先端部へ幅が縮小していく形状である請求項1に記載の扁平状蓄熱器。
【請求項3】
前記蓄熱部構造体が、側面視三角形状または側面視山形状である請求項1または2に記載の扁平状蓄熱器。
【請求項4】
前記蓄熱部構造体の先端部が、前記平坦部と接している請求項1乃至3のいずれか1項に記載の扁平状蓄熱器。
【請求項5】
前記化学蓄熱材を含有する蓄熱部構造体が、化学蓄熱材と、金属粉、粘土鉱物、有機物の炭化物及び金属製メッシュからなる群から選択された少なくとも1種との混合物の焼結体である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の扁平状蓄熱器。
【請求項6】
化学蓄熱材を含有する蓄熱部構造体と、複数の該蓄熱部構造体を内部に収容し該蓄熱部構造体と熱的に接続された扁平状管材であって、一方の平坦部と該一方の平坦部と対向する他方の平坦部とを有する扁平状管材と、該扁平状管材の前記平坦部外面に設けられた熱交換手段と、を備えた扁平状蓄熱器であって、
前記扁平状蓄熱器が、前記一方の平坦部の一部領域に、前記他方の平坦部に向かって凸状に設けられた前記蓄熱部構造体と、前記他方の平坦部の一部領域に、前記一方の平坦部に向かって凸状に設けられた前記蓄熱部構造体とを有し、
隣接する前記蓄熱部構造体間及び/または前記蓄熱部構造体の先端部と前記平坦部の間が、空間部であり、
前記熱交換手段が、扁平状蓄熱器の外部の熱を前記扁平状管材の内部へ伝える扁平状蓄熱器と、
前記扁平状管材の一方の開口端部へ、化学蓄熱材の吸熱反応及び発熱反応に寄与する反応ガスを供給する供給用ヘッダー部と、
前記扁平状管材の他方の開口端部から前記反応ガスを排出する排出用ヘッダー部と、
を備えた蓄熱器ユニット。
【請求項7】
前記扁平状管材の前記一方の開口端部から前記他方の開口部へ流れる前記反応ガスの流れ方向が、前記扁平状蓄熱器の位置における前記熱交換手段の熱回収対象である流体の流れ方向に対して、垂直である請求項6に記載の蓄熱器ユニット。
【請求項8】
前記扁平状蓄熱器の平坦部表面が、前記熱交換手段の熱回収対象である流体の流れ方向に対して、平行方向に配置されている請求項6または7に記載の蓄熱器ユニット。
【請求項9】
前記熱交換手段が、前記扁平状管材が嵌挿される貫通孔が設けられた平板状のフィンである請求項6乃至8のいずれか1項に記載の蓄熱器ユニット。
【請求項10】
前記貫通孔にバーリング加工が施されている請求項9に記載の蓄熱器ユニット。
【請求項11】
化学蓄熱材を含有する蓄熱部構造体と、複数の該蓄熱部構造体を内部に収容し該蓄熱部構造体と熱的に接続された扁平状管材であって、一方の平坦部と該一方の平坦部と対向する他方の平坦部とを有する扁平状管材と、該扁平状管材の前記平坦部外面に設けられた熱交換手段と、を備えた扁平状蓄熱器であって、前記扁平状蓄熱器が、前記一方の平坦部の一部領域に、前記他方の平坦部に向かって凸状に設けられた前記蓄熱部構造体と、前記他方の平坦部の一部領域に、前記一方の平坦部に向かって凸状に設けられた前記蓄熱部構造体とを有し、隣接する前記蓄熱部構造体間及び/または前記蓄熱部構造体の先端部と前記平坦部の間が、空間部であり、前記熱交換手段が、扁平状蓄熱器の外部の熱を前記扁平状管材の内部へ伝える扁平状蓄熱器と、
前記扁平状管材の一方の開口端部へ、化学蓄熱材の吸熱反応及び発熱反応に寄与する反応ガスとしての機能を有した熱輸送流体を供給する供給用ヘッダー部と、
前記扁平状管材の他方の開口端部から前記反応ガスとしての機能を有した熱輸送流体を排出する排出用ヘッダー部と、を備えた蓄熱器ユニットと、
前記供給用ヘッダー部と第1の配管系を介して接続された、前記熱輸送流体の液化物が収容された熱輸送流体容器と、
前記排出用ヘッダー部と第2の配管系を介して接続された、前記排出用ヘッダー部から排出される気化した前記熱輸送流体を液化させる凝縮器と、
前記凝縮器と前記熱輸送流体容器を接続し、前記凝縮器によって得られた前記熱輸送流体の液化物を前記熱輸送流体容器へ供給する第3の配管系と、
を備えた蓄熱装置。
【請求項12】
前記第1の配管系に、流路遮断手段が設けられている請求項11に記載の蓄熱装置。
【請求項13】
前記第3の配管系に、逆流防止手段が設けられている請求項11または12に記載の蓄熱装置。
【請求項14】
前記流路遮断手段及び前記流路遮断手段と前記熱輸送流体容器との間に位置する第1の配管系の部位が、前記熱輸送流体容器よりも下部に設置され、前記流路遮断手段及び前記流路遮断手段と前記熱輸送流体容器との間に位置する第1の配管系の部位に、加熱手段が設けられている請求項12または13に記載の蓄熱装置。
【請求項15】
前記凝縮器が、前記熱輸送流体容器よりも上部に設置されている請求項11乃至14のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応ガスと化学蓄熱材との化学反応により反応熱を放出し、上記反応の逆反応により吸熱する可逆反応を利用して、発熱と蓄熱を繰り返すことができる化学蓄熱材を使用した蓄熱器、該蓄熱器を備えた蓄熱器ユニット及び蓄熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化学蓄熱材は、体積あたりの蓄熱量が大きく、蓄熱された化学蓄熱材を長期貯蔵しても熱損失が極めて少ないことなどから、エンジンや工業プラント等からの排熱の貯蔵及び利用に、活用することが期待されている。
【0003】
そこで、図9に示すように、蓄熱体貯蔵容器211の内部を伝熱壁212で仕切って複数のセルを形成し、伝熱壁212で仕切られたセルのうち、1つおきに蓄熱体213を挿入した蓄熱器210が提案されている(特許文献1)。特許文献1の蓄熱器210では、蓄熱体213が挿入されていないセルは、蓄熱体から熱を注入又は抽出するための熱媒体の通路214となっており、蓄熱体213が挿入されたセルの中央部に形成された空隙部分215は、蓄熱体213から放出され又は蓄熱体213に吸収される水蒸気の通路となっている。
【0004】
しかし、特許文献1の蓄熱器210では、熱媒体の通路214を確保するために、蓄熱体213が挿入されたセルと蓄熱体213が挿入されないセルとを設けなければならない、すなわち、全てのセルに蓄熱体213を挿入することができないので、蓄熱器210が大型化してしまうという問題があった。また、上記の通り、蓄熱体213が挿入されたセルと蓄熱体213が挿入されないセルとを設けなければならないので、蓄熱器210の構成が複雑になってしまうという問題もあった。さらには、特許文献1の蓄熱器210を蓄熱装置に導入すると、熱媒体の循環系を、別途、蓄熱装置に設けなければならないので、蓄熱装置の構成も複雑になってしまうという問題があった。
【0005】
加えて、特許文献1では、単位セルあたりの蓄熱量を向上させるために、セルの長手方向を形成する内壁全面に蓄熱体が施されているが、水蒸気と蓄熱体213との接触面積が前記内壁の面積に限られてしまうので、蓄熱器の吸熱及び発熱の効率が制限されてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−27311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記した従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、小型化、薄型化させつつ、簡易な構成にて、吸熱及び発熱の効率を向上させることができる蓄熱器、及び簡易な構成にて、吸熱及び発熱の効率を向上させることができる蓄熱器ユニット及び蓄熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様は、化学蓄熱材を含有する蓄熱部構造体と、複数の該蓄熱部構造体を内部に収容し該蓄熱部構造体と熱的に接続された扁平状管材であって、一方の平坦部と該一方の平坦部と対向する他方の平坦部とを有する扁平状管材と、該扁平状管材の前記平坦部外面に設けられた熱交換手段と、を備えた扁平状蓄熱器であって、前記扁平状蓄熱器が、前記一方の平坦部の一部領域に、前記他方の平坦部に向かって凸状に設けられた前記蓄熱部構造体と、前記他方の平坦部の一部領域に、前記一方の平坦部に向かって凸状に設けられた前記蓄熱部構造体とを有し、隣接する前記蓄熱部構造体間及び/または前記蓄熱部構造体の先端部と前記平坦部の間が、空間部であり、前記熱交換手段が、扁平状蓄熱器の外部の熱を前記扁平状管材の内部へ伝える扁平状蓄熱器である。
【0009】
上記態様では、扁平状管材の長さ方向に対して平行方向に前記空間部が伸び、該空間部は反応ガスとしての機能を有した熱輸送流体の流路となっている。従って、空間部を流れる反応ガスと蓄熱された化学蓄熱材とが化学反応することで、化学蓄熱材に貯蔵されていた熱が反応熱として放出される。また、反応ガスとして使用されなかった余剰の前記熱輸送流体は、該反応熱を輸送する熱媒体であるので、放出された該反応熱は、前記熱輸送流体によって、熱利用先へ輸送される。
【0010】
一方で、熱交換手段により、扁平状蓄熱器の外部の熱が扁平状管材の内部へ輸送される。この扁平状管材の内部へ輸送された熱によって、反応ガスが、一旦化学反応により結合して反応熱を放出した化学蓄熱材から脱離する反応を起こし、化学蓄熱材が、扁平状管材の内部へ輸送された熱を貯蔵する。化学蓄熱材から脱離した反応ガスは、前記空間部へ放出される。
【0011】
本発明の態様は、前記蓄熱部構造体が、底辺部から先端部へ幅が縮小していく形状である。また、本発明の態様は、前記蓄熱部構造体が、側面視三角形状または側面視山形状である扁平状蓄熱器である。
【0012】
本発明の態様は、前記蓄熱部構造体の先端部が前記平坦部と接している扁平状蓄熱器である。
【0013】
本発明の態様は、前記化学蓄熱材を含有する蓄熱部構造体が、化学蓄熱材と、金属粉、粘土鉱物、有機物の炭化物及び金属製メッシュからなる群から選択された少なくとも1種との混合物の焼結体である扁平状蓄熱器である。
【0014】
本発明の態様は、化学蓄熱材を含有する蓄熱部構造体と、複数の該蓄熱部構造体を内部に収容し該蓄熱部構造体と熱的に接続された扁平状管材であって、一方の平坦部と該一方の平坦部と対向する他方の平坦部とを有する扁平状管材と、該扁平状管材の前記平坦部外面に設けられた熱交換手段と、を備えた扁平状蓄熱器であって、前記扁平状蓄熱器が、前記一方の平坦部の一部領域に、前記他方の平坦部に向かって凸状に設けられた前記蓄熱部構造体と、前記他方の平坦部の一部領域に、前記一方の平坦部に向かって凸状に設けられた前記蓄熱部構造体とを有し、隣接する前記蓄熱部構造体間及び/または前記蓄熱部構造体の先端部と前記平坦部の間が、空間部であり、前記熱交換手段が、扁平状蓄熱器の外部の熱を前記扁平状管材の内部へ伝える扁平状蓄熱器と、前記扁平状管材の一方の開口端部へ、化学蓄熱材の吸熱反応及び発熱反応に寄与する反応ガスを供給する供給用ヘッダー部と、前記扁平状管材の他方の開口端部から前記反応ガスを排出する排出用ヘッダー部と、を備えた蓄熱器ユニットである。
【0015】
本発明の態様は、前記扁平状管材の前記一方の開口端部から前記他方の開口部へ流れる前記反応ガスの流れ方向が、前記扁平状蓄熱器の位置における前記熱交換手段の熱回収対象である流体の流れ方向に対して、垂直である蓄熱器ユニットである。
【0016】
本発明の態様は、前記扁平状蓄熱器の平坦部表面が、前記熱交換手段の熱回収対象である流体の流れ方向に対して、平行方向に配置されている蓄熱器ユニットである。
【0017】
本発明の態様は、前記熱交換手段が、前記扁平状管材が嵌挿される貫通孔が設けられた平板状のフィンである蓄熱器ユニットである。
【0018】
本発明の態様は、前記貫通孔にバーリング加工が施されている蓄熱器ユニットである。
【0019】
本発明の態様は、化学蓄熱材を含有する蓄熱部構造体と、複数の該蓄熱部構造体を内部に収容し該蓄熱部構造体と熱的に接続された扁平状管材であって、一方の平坦部と該一方の平坦部と対向する他方の平坦部とを有する扁平状管材と、該扁平状管材の前記平坦部外面に設けられた熱交換手段と、を備えた扁平状蓄熱器であって、前記扁平状蓄熱器が、前記一方の平坦部の一部領域に、前記他方の平坦部に向かって凸状に設けられた前記蓄熱部構造体と、前記他方の平坦部の一部領域に、前記一方の平坦部に向かって凸状に設けられた前記蓄熱部構造体とを有し、隣接する前記蓄熱部構造体間及び/または前記蓄熱部構造体の先端部と前記平坦部の間が、空間部であり、前記熱交換手段が、扁平状蓄熱器の外部の熱を前記扁平状管材の内部へ伝える扁平状蓄熱器と、前記扁平状管材の一方の開口端部へ、化学蓄熱材の吸熱反応及び発熱反応に寄与する反応ガスとしての機能を有した熱輸送流体を供給する供給用ヘッダー部と、前記扁平状管材の他方の開口端部から前記反応ガスとしての機能を有した熱輸送流体を排出する排出用ヘッダー部と、を備えた蓄熱器ユニットと、前記供給用ヘッダー部と第1の配管系を介して接続された、前記熱輸送流体の液化物が収容された熱輸送流体容器と、前記排出用ヘッダー部と第2の配管系を介して接続された、前記排出用ヘッダー部から排出される気化した前記熱輸送流体を液化させる凝縮器と、前記凝縮器と前記熱輸送流体容器を接続し、前記凝縮器によって得られた前記熱輸送流体の液化物を前記熱輸送流体容器へ供給する第3の配管系と、を備えた蓄熱装置である。
【0020】
本発明の態様は、前記第1の配管系に、流路遮断手段が設けられている蓄熱装置である。
【0021】
本発明の態様は、前記第3の配管系に、逆流防止手段が設けられている蓄熱装置である。
【0022】
本発明の態様は、前記流路遮断手段及び前記流路遮断手段と前記熱輸送流体容器との間に位置する第1の配管系の部位が、前記熱輸送流体容器よりも下部に設置され、前記流路遮断手段及び前記流路遮断手段と前記熱輸送流体容器との間に位置する第1の配管系の部位に、加熱手段が設けられている蓄熱装置である。本明細書中、「下」とは、重力方向を意味し、「上」とは、重力方向と反対の方向を意味する。
【0023】
前記凝縮器が、前記熱輸送流体容器よりも上部に設置されている蓄熱装置である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の態様によれば、扁平状蓄熱器が、一方の平坦部の一部領域に他方の平坦部に向かって凸状に設けられた蓄熱部構造体と、他方の平坦部の一部領域に一方の平坦部に向かって凸状に設けられた蓄熱部構造体とを有し、隣接する蓄熱部構造体間及び/または前記蓄熱部構造体の先端部(頂部)と前記平坦部の間が、反応ガスの流路の流路となる空間部になっているので、蓄熱器の単位体積あたりの、反応ガスと蓄熱部構造体との接触面積が向上し、化学蓄熱材の発熱効率を向上させることができる。また、扁平状管材の平坦部外面に熱交換手段が設けられている、すなわち、扁平状管材の平坦部を介して熱交換手段と蓄熱部構造体とが熱的に接続されているので、化学蓄熱材の蓄熱効率を向上させることができる。また、蓄熱器の単位体積あたりの、反応ガスと蓄熱部構造体との接触面積が増大するので、蓄熱器を小型化することができる。
【0025】
さらに、反応ガスが熱輸送流体としても機能するので、別途、熱輸送媒体の流路を設ける必要はなく、蓄熱器の構成を簡易化できる。また、別途、熱輸送流体の流路を設ける必要がないので、蓄熱器に、より多くの化学蓄熱材を搭載でき、蓄熱器としての蓄熱密度を高めることができる。
【0026】
本発明の態様によれば、底辺部から先端部へ幅が縮小していく形状、例えば、側面視三角形状または側面視山形状の蓄熱部構造体により、簡易な加工にて効率よく、反応ガスと蓄熱部構造体との接触面積を増大させることができる。
【0027】
本発明の態様によれば、蓄熱部構造体の先端部が扁平状管材の平坦部と接していることにより、反応ガスの流路を複数形成しつつ、接触面積をより増大させることができるので、化学蓄熱材の発熱効率をさらに向上させることができる。
【0028】
本発明の態様によれば、蓄熱器ユニットに上記扁平状蓄熱器を導入することで、蓄熱器ユニットを小型化させつつ、簡易な構成にて、吸熱及び発熱の効率を向上させることができる。
【0029】
本発明の態様によれば、反応ガスの流れ方向が、熱交換手段の熱回収対象である流体の流れ方向に対して垂直であることにより、より簡易な構成にて、吸熱及び発熱の効率をより向上させることができる。
【0030】
本発明の態様によれば、扁平状蓄熱器の平坦部表面が、熱交換手段の熱回収対象である流体の流れ方向に対して、平行方向に配置されていることにより、熱交換手段の熱回収対象である流体の流れの阻害を防止しつつ、化学蓄熱材の吸熱効率を向上させることができる。
【0031】
本発明の態様によれば、蓄熱装置に上記扁平状蓄熱器を導入することで、蓄熱装置を小型化させつつ、簡易な構成にて、吸熱及び発熱の効率を向上させることができる。
【0032】
本発明の態様によれば、蓄熱器ユニットと熱輸送流体容器とを接続する第1の配管系に流路遮断手段が設けられることにより、発熱反応時における蓄熱器ユニットへの熱輸送流体としても機能する反応ガスの供給や、吸熱反応時における蓄熱器ユニットからの熱輸送流体としても機能する反応ガスの排出を、円滑に行うことができる。また、凝縮器と熱輸送流体容器を接続する第3の配管系に逆流防止手段が設けられることにより、凝縮器にて反応ガスとしての機能を有した熱輸送流体を凝縮させることで生成した前記熱輸送流体の液化物を、常時、より円滑に熱輸送流体容器へ供給することができる。
【0033】
本発明の態様によれば、流路遮断手段及び流路遮断手段と熱輸送流体容器との間の第1の配管系の部位が、熱輸送流体容器よりも下部に設置され、加熱手段が設けられていることにより、低温環境でも熱輸送流体を円滑に蓄熱器に供給することができる。
【0034】
本発明の態様によれば、凝縮器が、前記熱輸送流体容器よりも上部に設置されているので、凝縮器にて生成した、反応ガスとしての機能を有した熱輸送流体の液化物は、強制的な流体輸送手段を使用しなくても、重力の作用によって、熱輸送流体容器へ供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の第1実施形態例に係る蓄熱器の平面断面図である。
図2】本発明の第2実施形態例に係る蓄熱器の平面断面図である。
図3】本発明の第3実施形態例に係る蓄熱器の平面断面図である。
図4】本発明の実施形態例に係る蓄熱器の製造方法例の説明図である。
図5】本発明の実施形態例に係る蓄熱器ユニットの斜視図である。
図6】本発明の実施形態例に係る蓄熱器ユニットの内部を説明する斜視図である。
図7】本発明の実施形態例に係る蓄熱器ユニットの設置方向を模式的に説明する図である。
図8】本発明の実施形態例に係る蓄熱装置の概要を示す説明図である。
図9】従来の蓄熱器の断面構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、本発明の第1実施形態例に係る扁平状蓄熱器について図面を用いながら説明する。図1に示すように、第1実施形態例に係る扁平状蓄熱器1は、化学蓄熱材を含有する複数の蓄熱部構造体2と、一方の平坦部4と一方の平坦部4と対向する他方の平坦部5とを有する扁平状管材3と、扁平状管材3の外面に取り付けられ、扁平状管材3と熱的に接続された熱交換手段である平板状のフィン7とを備えている。蓄熱部構造体2は、扁平状管材3内部に収容され、扁平状管材3と熱的に接続されている。扁平状蓄熱器1では、蓄熱部構造体2の形状は、底辺部から先端部へ幅が縮小していく凸状(扁平状蓄熱器1では側面視山形状)であり、その底辺部が、扁平状蓄熱器1の一方の平坦部4の一部領域または他方の平坦部5の一部領域に固着していることで、扁平状管材3と熱的に接続されている。側面視山形状の蓄熱部構造体2は、扁平状管材3の長さ方向に対して平行方向に、扁平状管材3の一方の端部から他方の端部まで伸びている。
【0037】
扁平状蓄熱器1では、扁平状管材3の長さ方向に対して直交する方向について、一方の平坦部4の両端側近傍に、それぞれ、1つずつ、蓄熱部構造体2’の底辺部が固着し、他方の平坦部5の中央部近傍には、1つの蓄熱部構造体2’’の底辺部が固着することで、扁平状管材3に複数の蓄熱部構造体2が設けられている。従って、一方の平坦部4の内側表面にも、他方の平坦部5の内側表面にも、蓄熱部構造体2が設けられておらず、管材の露出した領域が存在する。一方の平坦部4では、中央部近傍の内側表面に管材の露出した領域が存在し、他方の平坦部5では、両端側近傍の内側表面に管材の露出した領域が存在する。すなわち、扁平状管材3の長さ方向に対して直交する方向について、蓄熱部構造体2’と蓄熱部構造体2’’とが交互に配置されている。また、扁平状蓄熱器1では、複数の蓄熱部構造体2は、いずれも略同じ形状と寸法である。
【0038】
それぞれの蓄熱部構造体2は、相互に接触していないので、隣接する蓄熱部構造体2の間には、空間部6が形成されている。側面視山形状の蓄熱部構造体2は、扁平状管材3の長さ方向に対して平行方向に、扁平状管材3の一方の端部から他方の端部まで伸びていることに対応して、空間部6も扁平状管材3の一方の端部から他方の端部まで伸びている。
【0039】
また、扁平状蓄熱器1では、一方の平坦部4に設けられた蓄熱部構造体2’の先端部(頂部)は他方の平坦部5の管材の露出した領域の一部と接触し、他方の平坦部5に設けられた蓄熱部構造体2’’の先端部は一方の平坦部4の管材の露出した領域の一部と接触している。従って、先端部と平坦部4、5との接触部を境に、隣接する蓄熱部構造体2の間に、相互に独立した空間部6が複数形成される。図1では、相互に独立した4つの空間部6−1、6−2、6−3、6−4が形成されている。先端部が対向する平坦部4、5と接触することにより形成された独立した4つの空間部6−1、6−2、6−3、6−4は、いずれも、断面積が近似しているので、蓄熱部構造体2に反応ガスを効率よく接触させることができる。また、扁平状蓄熱器1では、蓄熱部構造体2の先端部が対向する平坦部4、5の露出した領域に接触することで、該先端部も扁平状管材3に熱的に接続されている。
【0040】
従って、扁平状蓄熱器1では、内部に反応ガスの流路を複数形成しつつ、蓄熱部構造体2との接触面積を増大させることができるので、化学蓄熱材2の発熱効率を向上させることができ、さらに、蓄熱部構造体2の先端部も扁平状管材3に熱的に接続されているので、扁平状蓄熱器1外部の熱を効率よく回収することができる。また、扁平状蓄熱器1では、扁平状管材3内部の単位体積あたりの、反応ガスと蓄熱部構造体2との接触面積を増大させることができるので、蓄熱器を小型化できる。さらに、一方の平坦部4の一部領域に設けられた蓄熱部構造体2’の先端部と他方の平坦部5の一部領域に設けられた蓄熱部構造体2’’の先端部とは、対向していないので、扁平状蓄熱器1内部は蓄熱部構造体2の厚さ、すなわち、底辺部から先端部までの寸法まで、薄型化できる。
【0041】
フィン7は、平板状であり、扁平状管材3外面に当接されている。フィン7は、扁平状管材3外面の周方向を囲むように扁平状管材3外面に取り付けられることで、扁平状管材3と熱的に接続されている。フィン7の設置枚数は特に限定されず、扁平状管材3の長さ方向に1つ設置してもよく、複数設置してもよい。
【0042】
次に、扁平状蓄熱器1に設けられた構成要素の作用について、説明する。扁平状蓄熱器1が、熱回収対象である流体の流れ中に設置されると、主に熱交換手段であるフィン7及び扁平状管材3の平坦部4、5が、前記流体から熱を受け、回収する。フィン7が流体から回収した熱は、フィン7と熱的に接続されている扁平状管材3へ移動し、扁平状管材3へ移動した熱は、扁平状管材3と熱的に接続されている蓄熱部構造体2へ伝えられ、蓄熱部構造体2に含まれる化学蓄熱材が、蓄熱部構造体2へ伝えられた熱を貯蔵する。化学蓄熱材が、熱を貯蔵する際に、反応ガスを空間部6へ放出し、空間部6へ放出された反応ガスは、空間部6から扁平状蓄熱器1の外部へ放出される。
【0043】
一方、空間部6を流れる反応ガスと蓄熱部構造体2(熱を貯蔵した化学蓄熱材)とが反応することで、蓄熱部構造体2に貯蔵されていた熱が反応熱として放出される。また、上記反応に使用されなかった、空間部6に存在する余剰の反応ガスは、熱利用先に該反応熱を輸送する熱媒体、すなわち、熱輸送流体としても作用する。従って、蓄熱部構造体2から放出された反応熱は、余剰の反応ガスへ移動する。反応熱を受熱した余剰の反応ガスは、空間部6を介して扁平状蓄熱器1の外部へ、さらに扁平状蓄熱器1の外部から熱利用先へ輸送される。
【0044】
蓄熱部構造体2の成分は特に限定されず、例えば、化学蓄熱材と金属粉の混合物の焼結体、化学蓄熱材と粘土鉱物の混合物の焼結体、化学蓄熱材と金属製メッシュの混合物の焼結体、化学蓄熱材と有機物から生成した炭化物の混合の焼結体等を挙げることができる。化学蓄熱材と反応ガスは、特に限定されず、公知のものはいずれも使用でき、例えば、化学蓄熱材であるCaO及び/またはMgOと反応ガスであるHOとの組み合わせ、CaO及び/またはMgOと反応ガスであるCOとの組み合わせ等を挙げることができる。上記金属粉は、特に限定されず、例えば、銅粉、アルミニウム粉、鉄粉等を挙げることができる。また、金属製メッシュの材質は、特に限定されず、例えば、銅、アルミニウム、鉄、ステンレス、チタン等を挙げることができる。化学蓄熱材と金属粉とを混合し焼結することで、蓄熱部構造体2中に多孔質の金属が得られる。多孔質の金属により、蓄熱部構造体2の伝熱性が向上しつつ、化学蓄熱材を蓄熱部構造体2中に効率よく分散、担持できるので、蓄熱部構造体2の熱貯蔵性と熱放出性が向上する。
【0045】
扁平状管材の材質は、特に限定されず、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス等を挙げることができる。また、フィンの材質も、特に限定されず、例えば、同じく、銅、アルミニウム、ステンレス等を挙げることができる。
【0046】
次に、本発明の第2実施形態例に係る扁平状蓄熱器について図面を用いながら説明する。なお、扁平状蓄熱器1と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。図2に示すように、第2実施形態例に係る扁平状蓄熱器10では、扁平状蓄熱器1の側面視山形状の蓄熱部構造体2に代えて、側面視三角形状の蓄熱部構造体12となっている。扁平状蓄熱器10でも、側面視三角形状の底辺部が、扁平状蓄熱器10の一方の平坦部4の一部領域または他方の平坦部5の一部領域に固着していることで、扁平状管材3と熱的に接続されている。一方の平坦部4に設けられた蓄熱部構造体12’の先端部(頂部)は他方の平坦部5の管材の露出した領域の一部と接触し、他方の平坦部5に設けられた蓄熱部構造体12’’の先端部は一方の平坦部4の管材の露出した領域の一部と接触している。また、蓄熱部構造体12は、いずれも略同じ形状と寸法である。
【0047】
図2では、扁平状管材3の長さ方向に対して直交する方向において、2つの蓄熱部構造体12’と3つの蓄熱部構造体12’’が、交互に配置され、隣接する蓄熱部構造体12の間に形成された空間部16が、それぞれ、相互に独立した6つの空間部16−1、16−2、16−3、16−4、16−5、16−6となっている。
【0048】
また、図2では、扁平状管材3の内部空間を有効に利用するために、扁平状管材3の長さ方向に対して直交する方向の両端部にも、該両端部を覆うように、蓄熱部構造体18が設けられている。
【0049】
次に、本発明の第3実施形態例に係る扁平状蓄熱器について図面を用いながら説明する。図3に示すように、第3実施形態例に係る扁平状蓄熱器20では、第1実施形態例に係る扁平状蓄熱器1の、先端部が平坦部4、5の管材の露出した領域(すなわち、蓄熱部構造体2の底辺部が平坦部4、5に固着していない領域)の一部と接触している蓄熱部構造体2’、2’’に代えて、先端部が、対向する平坦部4、5の管材に接触していない蓄熱部構造体22となっている。扁平状蓄熱器20でも、側面視山形状の底辺部が、扁平状蓄熱器20の一方の平坦部4の一部領域または他方の平坦部5の一部領域に固着していることで、扁平状管材3と熱的に接続されている。また、蓄熱部構造体22は、いずれも略同じ形状と寸法である。
【0050】
また、扁平状蓄熱器20でも、第1実施形態例に係る扁平状蓄熱器1と同様に、扁平状管材3の長さ方向に対して直交する方向について、一方の平坦部4に底辺部が固着された2つの蓄熱部構造体22’と他方の平坦部5に底辺部が固着された1つの蓄熱部構造体22’’とが、交互に配置されている。
【0051】
蓄熱部構造体22は、隣接する別の蓄熱部構造体22に対し、底辺部と先端部との間の部位で相互に接触している。扁平状蓄熱器20では、前記部位が点接触している。従って、隣接する蓄熱部構造体22の接触部を境にして、複数の相互に独立した空間部26、図3では3つの独立した空間部26−1、26−2、26−3が形成されている。
【0052】
次に、本発明の扁平状蓄熱器の製造方法例を説明する。製造方法は特に限定されないが、例えば、図4に示すように、円形状の管材33の長さ方向に沿って、所定形状の切り欠き部31を所定数有する芯棒30を挿入し、管材33の内壁面と切り欠き部31外面との間に形成された空隙部32に蓄熱部構造体となる粉末状の材料(図示せず)を充填後、加熱処理して、焼結体である蓄熱部構造体を形成する。その後、芯棒30を管材33から引き抜き、蓄熱部構造体を形成した管材33を扁平加工することにより、扁平状管材の内部に、所望の凸形状を有する蓄熱部構造体を所望の数だけ形成した扁平状蓄熱器を製造することができる。
【0053】
次に、本発明の扁平状蓄熱器を用いた蓄熱器ユニットについて、図面を用いながら説明する。ここでは、第2実施形態例に係る扁平状蓄熱器10を用いた場合を例にとって説明する。
【0054】
図5、6に示すように、本発明の実施形態例に係る、扁平状蓄熱器10を用いた蓄熱器ユニット100は、複数の扁平状蓄熱器10と、扁平状管材3の一方の開口端部へ、化学蓄熱材の吸熱反応及び発熱反応に寄与する反応ガスを供給する供給用ヘッダー部101と、扁平状管材3の他方の開口端部から前記反応ガスを排出する排出用ヘッダー部102とを備えている。
【0055】
蓄熱器ユニット100では、扁平状管材3の外表面に、板状のフィン7を複数取り付けることで、扁平状蓄熱器10が形成されている。蓄熱器ユニット100では、同じ形状、同じ大きさの扁平状蓄熱器10が使用されている。フィン7には、扁平状管材3の周方向の形状に対応した形状を有する貫通孔103が形成されている。従って、蓄熱部構造体を内部に収容した扁平状管材3を貫通孔103に嵌挿することで、扁平状管材3の外表面とフィン7の貫通孔103の内壁面が当接して、扁平状管材3とフィン7を熱的に接続することができる。
【0056】
図6では、1枚のフィン7に複数(図6では24個)の貫通孔103が形成されているので、1枚のフィン7に複数(図6では24個)の扁平状管材3を熱的に接続することができる。図6の蓄熱器ユニット100では、複数(図6では24個)の扁平状蓄熱器10のうち、扁平状管材3の平坦部4、5表面に対して直交方向に、複数(図6では12個)の扁平状蓄熱器10’が、扁平状管材3の平坦部4、5表面が相互に対向するように並設されている。さらに、上記のように並設された扁平状蓄熱器10’のそれぞれについて、扁平状管材3の長さ方向を形成する平坦部4、5表面に対して平行方向に、複数(図6では2個)の扁平状蓄熱器10’’が、扁平状蓄熱器10’の平坦部4、5表面と扁平状蓄熱器10’’の平坦部4、5表面とが、同一平面となるように並設されている。
【0057】
フィン7の表面側の面積に対する、複数の貫通孔103の面積(すなわち、扁平状管材3の長さ方向に対して直交する方向の断面積)の割合は、特に限定されない。蓄熱器ユニット100のフィン7では、貫通孔103の面積の合計の割合は、熱回収対象である流体からの熱回収効率と蓄熱器ユニット100の熱の貯蔵量とのバランスの点から、20〜70%が好ましく、30〜60%が特に好ましい。なお、図6では、貫通孔103の面積の合計の割合は、約35%となっている。また、図6では、フィン7の寸法が100mm×120mm×0.3mm、貫通孔103の合計面積は4200mmとなっている。
【0058】
また、1つの扁平状管材3に複数のフィン7を取り付けることもでき、図6では20枚のフィン7を取り付けている。また、必要に応じて、貫通孔103には、バーリング加工(図示せず)が施されてもよい。貫通孔103の周囲にバーリング加工を施すことで、扁平状管材3にフィン7をより安定して固定しつつ扁平部の変形を防止することができ、また、扁平状管材3とフィン7間の熱的接続性がより向上する。
【0059】
また、図2に示すように、蓄熱器ユニット100で使用する扁平状蓄熱器10では、扁平状管材3の長さ方向に対して直交方向の扁平状管材3の幅(図2のB)と扁平状管材3の厚さ(図2のA)の比率は特に限定されないが、蓄熱部構造体12の搭載密度を向上させる点から、B/Aの値は2〜10が好ましく、4〜6が特に好ましい。蓄熱器ユニット100で使用する扁平状蓄熱器10では、B/Aの値は約5である。また、扁平状管材3の長さ方向に対して直交方向の空間部16の幅(図2のa)と側面視三角形状である蓄熱部構造体12の底辺部の長さ(図2のb)の比率は特に限定されないが、蓄熱部構造体12の蓄熱作用の効率化の点から、b/aの値は4〜20が好ましく、10〜18が特に好ましい。蓄熱器ユニット100で使用する扁平状蓄熱器10では、b/aの値は約16である。
【0060】
上記した蓄熱器ユニット100で使用する扁平状蓄熱器10では、扁平状管材3の内部容積のうち、蓄熱部構造体12を90体積%まで搭載することができる。これに対し、図9の蓄熱体貯蔵容器211では、その内部容積のうち、蓄熱体213を最大20体積%程度までしか搭載できない。従って、本発明の扁平状蓄熱器及び本発明の扁平状蓄熱器を用いた蓄熱器ユニットは、蓄熱部構造体の搭載密度を向上させることができる。
【0061】
さらに、本発明の実施形態例に係る蓄熱器ユニット100の扁平状蓄熱器10では、化学蓄熱材として酸化カルシウムを、反応ガスとして水を使用している。また、蓄熱部構造体12は、前記酸化カルシウム75質量%と、銅粉と粘土鉱物の総量25質量%とからなる。これにより、蓄熱器ユニット100は約500KJ/Lの蓄熱密度を達成できる。
【0062】
図5、6に示すように、供給用ヘッダー部101は、熱輸送流体としても機能する反応ガスを扁平状管材3の内部に供給するための反応ガス供給部105と、反応ガス供給部105へ熱輸送流体としても機能する反応ガスを導入するための反応ガス供給口104と、を備えている。反応ガス供給部105は、扁平状管材3の一方の開口端部と連通した態様となっている。
【0063】
一方、排出用ヘッダー部102は、扁平状蓄熱器1の扁平状管材3の空間部6から排出された前記反応ガス、すなわち、扁平状管材3の一方の開口端部から他方の開口端部へ流れた前記反応ガスを受ける反応ガス受け部106と、反応ガス受け部106から蓄熱器ユニット100外へ前記反応ガスを排出するための反応ガス排出口107と、を備えている。反応ガス受け部106は、扁平状管材3の他方の開口端部と連通した態様となっている。
【0064】
また、蓄熱器ユニット100では、前記反応ガスが、扁平状管材3の一方の開口端部から他方の開口端部へ空間部6を円滑に流れるように、供給用ヘッダー部101の位置が排出用ヘッダー部102の位置よりも低くなる、すなわち、下部となるように取り付けられるのが好ましい。
【0065】
熱回収対象である流体の流れ方向に対する、蓄熱器ユニット100の設置方向は、特に限定されず、例えば、扁平状管材3の一方の開口端部から他方の開口部へ流れる前記反応ガスの流れ方向が、熱回収対象である流体の流れ方向に対して交差する方向、例えば、垂直または略垂直となる方向に、蓄熱器ユニット100を設置することができる。
【0066】
次に、蓄熱器ユニット100の設置方向について説明する。図7に示すように、蓄熱器ユニット100の設置方向は、例えば、扁平状蓄熱器1の平坦部4、5表面が、扁平状蓄熱器1の熱回収対象である流体の流れ方向(図7の矢印の方向)に対して、平行方向または略平行方向となるように、熱回収対象である流体の流れる流路108内に設置することができる。上記平行方向または略平行方向となる設置により、扁平状蓄熱器1の平坦部4、5と熱回収対象である流体の流れとの接触面積を増大させることができるので、熱回収対象である流体から扁平状蓄熱器1への伝熱効果を向上させることができる。また、上記平行方向または略平行方向となる設置により、扁平状蓄熱器1が熱回収対象である流体の流れを阻害することも防止できる。
【0067】
また、必要に応じて、図7に示す蓄熱器ユニット100の設置方向に代えて、扁平状蓄熱器1の平坦部4、5と熱回収対象である流体の流れとの接触面積をさらに増大させて、熱回収対象である流体から扁平状蓄熱器1への伝熱効果をさらに向上させるために、扁平状蓄熱器1の平坦部4、5表面が、扁平状蓄熱器1の熱回収対象である流体の流れ方向に対して、0°超45°以下となるように設置してもよい。平坦部4、5表面が、熱回収対象である流体の流れ方向に対して45°以下であれば、熱回収対象である流体の流れが扁平状蓄熱器1により滞ってしまうことを抑制できる。
【0068】
蓄熱器ユニット100の使用方法は、特に限定されないが、例えば、車両に搭載された内燃機関に接続された排気管に搭載することで、排気管内を流れる排ガス中の熱を蓄熱することができる。
【0069】
次に、本発明の蓄熱器ユニットを用いた蓄熱装置について、図面を用いながら説明する。ここでは、上記した蓄熱器ユニット100を用いた場合を例にとって説明する。
【0070】
図8に示すように、本発明の実施形態例に係る、蓄熱器ユニット100を用いた蓄熱装置200は、蓄熱器ユニット100と、蓄熱器ユニット100の供給用ヘッダー部と第1の配管系203を介して接続された、反応ガスとしての機能を有した熱輸送流体の液化物が収容された熱輸送流体容器201と、蓄熱器ユニット100の排出用ヘッダー部と第2の配管系204を介して接続された、排出用ヘッダー部から排出される反応ガスとしての機能を有した熱輸送流体を液化する凝縮器202と、凝縮器202と熱輸送流体容器201を接続し、凝縮器202によって得られた反応ガスとしての機能を有した熱輸送流体の液化物を熱輸送流体容器201へ供給する第3の配管系205と、を備えている。このように、蓄熱装置200では、反応ガスを、熱利用先へ化学蓄熱材から放出された反応熱を輸送する熱輸送流体としても使用している。
【0071】
熱輸送流体容器201の底部から第1の配管系203の配管が伸びている。第1の配管系203の途中には、流路遮断手段である第1のバルブ207が設けられている。熱輸送流体容器201の底部と第1のバルブ207をつなぐ配管部及び第1のバルブ207は、熱輸送流体容器201の底部よりも重力方向側に設けられている。よって、熱輸送流体容器201内部に貯蔵された反応ガスとしての機能を有した熱輸送流体の液化物は、重力の作用により、熱輸送流体容器201から第1のバルブ207の方向へ輸送される。なお、必要に応じて、熱輸送流体容器201の底部と第1のバルブ207とをつなぐ配管部及び/または第1のバルブ207には、低温条件下でも熱輸送流体を確実に熱輸送流体容器201から蓄熱器ユニット100へ供給するために、加熱手段(図示せず)を設けてもよい。
【0072】
反応ガスとしての機能を有した熱輸送流体は、蓄熱器ユニット100の供給用ヘッダー部へ流入する。供給用ヘッダー部へ流入した反応ガスとしての機能を有した熱輸送流体は、供給用ヘッダー部から扁平状蓄熱器内部に形成された空間部へ流入して蓄熱部構造体の化学蓄熱材と化学反応し、化学蓄熱材が反応熱を放出する。
【0073】
放出された反応熱は、化学蓄熱材との上記化学反応に使用されなかった余剰の反応ガスとしての機能を有した熱輸送流体中へ移動する。反応熱を受熱した余剰の前記熱輸送流体は気化し、扁平状蓄熱器の空間部から蓄熱器ユニット100の排出用ヘッダー部へ移動し、蒸気として、排出用ヘッダー部から第2の配管系204へ放出される。
【0074】
排出用ヘッダー部から第2の配管系204へ放出された、上記化学反応に使用されなかった前記熱輸送流体は、第2の配管系204中を、蓄熱器ユニット100よりも高い位置に設置されている凝縮器202の方向へ移動していき、凝縮器202内へ導入される。なお、図示しないが、必要に応じて、第2の配管系204に、反応ガスとしての機能を有した熱輸送流体の流路遮断手段である第2のバルブを設けてもよい。
【0075】
凝縮器202内に導入された上記化学反応に使用されなかった前記熱輸送流体は、凝縮されて液化するとともに潜熱を放出する。図示しないが、凝縮器202は、熱交換器にて熱利用先と熱的に接続されているので、凝縮器202内にて放出された潜熱は、熱交換器にて熱利用先へ輸送される。熱利用先としては、特に限定されず、例えば、内燃機関や暖房装置等を挙げることができる。
【0076】
凝縮器202は、熱輸送流体容器201よりも高い位置に設置されている、すなわち、凝縮器202の重力方向側に熱輸送流体容器201が設けられているので、凝縮器202にて生成した前記熱輸送流体の液化物は、重力の作用によって、液として、凝縮器202から第3の配管系205を介して熱輸送流体容器201内へ流入する。第3の配管系205には、前記熱輸送流体の液化物の逆流防止手段である第3のバルブ208が設けられている。
【0077】
上記構成の蓄熱装置200とすることにより、強制的な循環手段を用いることなく、反応ガスとしての機能を有した熱輸送流体は蓄熱装置200内を循環することができる。
【0078】
次に、本発明の他の実施形態例について説明する。第1の実施形態例である扁平状蓄熱器1では、蓄熱部構造体2の先端部(頂部)は対向する平坦部4、5の管材の露出した領域に接触していたが、これに代えて、蓄熱部構造体の先端部(頂部)を対向する平坦部4、5の管材の露出した領域に接触させない態様、すなわち、空間部6−1、6−2、6−3、6−4が連通して、一つの空間部が形成された態様としてもよい。また、上記各実施形態例では、いずれも、複数設けられた蓄熱部構造体2、12、22は、それぞれ、略同じ形状と寸法であったが、蓄熱部構造体2、12、22は凸形状であればよく、これに代えて、異なる形状及び/または異なる寸法の蓄熱部構造体としてもよい。また、上記各実施形態例の蓄熱部構造体2、12、22の数は、特に限定されず、所望の蓄熱能力に応じて、適宜選択可能である。
【0079】
また、第2の実施形態例である扁平状蓄熱器10では、蓄熱部構造体12の先端部(頂部)は、該先端部(頂部)が対向する平坦部4、5の管材の露出した領域に接触していたが、これに代えて、先端部(頂部)が対向する平坦部に接触しない態様としてもよい。また、上記各実施形態例では、蓄熱部構造体2、12、22の形状は、側面視三角形状または側面視山形状であったが、凸状であれば、形状は特に限定されず、例えば、側面視四角形状や台形状でもよく、フラクタル状でもよい。
【0080】
また、本発明の実施形態例に係る蓄熱器ユニット100及び蓄熱装置200は、第2実施形態例に係る扁平状蓄熱器10を用いたが、これに代えて、第1実施形態例に係る扁平状蓄熱器1、第3実施形態例に係る扁平状蓄熱器20等、本発明の他の実施形態例に係る扁平状蓄熱器を使用してもよい。この場合、扁平状蓄熱器1、20の、扁平状管材3の厚さに対する、扁平状管材3の長さ方向に対して直交方向の扁平状管材3の幅の比は、特に限定されないが、扁平状蓄熱器10と同様の比、すなわち、2〜10が好ましく、4〜6が特に好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
小型化、薄型化でき、かつ吸熱及び発熱の効率を向上させることもできる蓄熱器、及び簡易な構成にて、吸熱及び発熱の効率を向上させ、さらに蓄熱密度を向上させることができる蓄熱器ユニット及び蓄熱装置を得ることができるので、エンジンや工業プラント等からの排熱の回収・貯蔵及び利用の分野、例えば、車両に搭載して排熱を回収・貯蔵及び利用する分野で、利用価値が高い。
【符号の説明】
【0082】
1、10、20 扁平状蓄熱器
2、12、22 蓄熱部構造体
3 扁平状管材
4 一方の平坦部
5 他方の平坦部
6、26、26 空間部
7 フィン
100 蓄熱器ユニット
101 供給用ヘッダー部
102 排出用ヘッダー部
200 蓄熱装置
201 熱輸送流体容器
202 凝縮器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9