特許第6030045号(P6030045)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030045
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】セラミックヒータ及びその製法
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/06 20060101AFI20161114BHJP
   H05B 3/20 20060101ALI20161114BHJP
   H05B 3/74 20060101ALI20161114BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   H05B3/06 C
   H05B3/20 305
   H05B3/20 328
   H05B3/74
   H01L21/68 R
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-250009(P2013-250009)
(22)【出願日】2013年12月3日
(65)【公開番号】特開2015-109139(P2015-109139A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2015年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相川 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲のぼり▼ 和宏
(72)【発明者】
【氏名】阿部 哲久
【審査官】 長浜 義憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−300491(JP,A)
【文献】 特開2000−150125(JP,A)
【文献】 特開2013−229310(JP,A)
【文献】 特開平06−024855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/06
H05B 3/20
H05B 3/74
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック焼結体の片方の面にAlとMgを含む金属接合材を張り巡らし、該金属接合材を該金属接合材の液相線温度以下の温度に加熱した状態で前記セラミック焼結体に加圧接合することによりヒータ電極を形成する電極形成工程
を含むセラミックヒータの製法。
【請求項2】
請求項1に記載のセラミックヒータの製法であって、
前記電極形成工程のあと、前記ヒータ電極を厚みが10〜50μmとなるまで研削する研削工程
を含むセラミックヒータの製法。
【請求項3】
請求項2に記載のセラミックヒータの製法であって、
前記研削工程のあと、前記セラミック焼結体のうち前記ヒータ電極が形成された面に樹脂製の接着層を介して金属冷却板を接合する冷却板接合工程
を含むセラミックヒータの製法。
【請求項4】
ウエハ載置面を備えたセラミック焼結体と、
前記セラミック焼結体の前記ウエハ載置面とは反対側の面に張り巡らされたヒータ電極と、
を備え、
前記ヒータ電極は、Al−Si−Mg系接合材又はAl−Mg系接合材を用いたものであり、接合界面にはMgOが存在する、
セラミックヒータ。
【請求項5】
前記ヒータ電極は、厚みが10〜50μmである、
請求項4に記載のセラミックヒータ。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のセラミックヒータであって、
前記セラミック焼結体のうち前記ヒータ電極が形成された面に樹脂製の接着層を介して接合された金属冷却板
を備えたセラミックヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックヒータ及びその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置においては、ウエハを加熱するためのセラミックヒータが採用されている。こうしたセラミックヒータとしては、セラミック焼結体の一方の表面に金属ペーストを印刷して焼成することによりヒータ電極としたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4529690号公報(例えば段落0017)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、セラミック焼結体の一方の表面に金属ペーストを印刷して焼成する場合、焼成時にセラミック焼結体の中心部と外周部との間で温度差が生じること、すなわちセラミック焼結体に温度ムラが生じることがあった。金属ペーストは焼成後にヒータ電極となるが、このような温度ムラが生じると、セラミック焼結体の中心部と外周部とでヒータ電極の焼結状態が異なるものになってしまう。その結果、ヒータ電極は、セラミック焼結体の中心部と外周部とで抵抗値が異なるものとなり、セラミックヒータの均熱性が悪化するという問題があった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、セラミック焼結体の一方の表面にヒータ電極を備えたセラミックヒータにおいて、均熱性を高くすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のセラミックヒータの製法は、
セラミック焼結体の片方の面にAlとMgを含む金属接合材を張り巡らし、該金属接合材を該金属接合材の液相線温度以下の温度に加熱した状態で前記セラミック焼結体に加圧接合することによりヒータ電極を形成する電極形成工程
を含むものである。
【0007】
このセラミックヒータの製法では、金属接合材を該金属接合材の液相温度以下の温度に加熱した状態でセラミック焼結体に加圧接合することによりヒータ電極を形成する。従来のように金属ペーストを焼結してヒータ電極を形成する場合には、焼結時にセラミック焼結体の中心部と外周部とで温度ムラが生じることがある。そうすると、ヒータ電極の焼結状態ひいてはヒータ電極の抵抗値がセラミック焼結体の中心部と外周部とで差が生じてしまい、均熱性が悪くなる。しかし、本発明のセラミックヒータの製法では、ヒータ電極となる金属接合材は接合前も接合後も大部分が固相のままであるため、ヒータ電極の抵抗値はセラミック焼結体の中心部と外周部とで差が生じない。また、金属接合材を固相のまま接合したヒータ電極は、金属ペーストを焼結したヒータ電極に比べて、ヒータ電極とセラミック焼結体との接合強度が高いため、低温制御と高温制御とを繰り返すサイクル試験を行った後であってもセラミック焼結体から剥離しにくい。こうしたことから、本発明の製法によって製造されたセラミックヒータは、均熱性が高くなる。また、金属接合材中に含まれる活性の高いMgによって、セラミック焼結体の表面に存在する酸化物層が除去されるため、セラミック焼結体と金属接合材との接合強度が高くなる。
【0008】
なお、金属接合材を加熱した状態でセラミック焼結体に加圧接合するときの温度は、例えば、金属接合材の液相線温度以下固相線温度以上の温度としてもよいし、固相線温度以下の温度としてもよいが、固相線温度の近傍(例えば固相線温度±10℃)であることが好ましい。この場合、金属接合材の接合前後でほとんど固相のままになるからである。
【0009】
また、金属接合材としては、例えば、Al−Si−Mg系接合材やAl−Mg系接合材などが好ましい。
【0010】
本発明のセラミックヒータの製法は、前記電極形成工程のあと、前記ヒータ電極を厚みが10〜50μmとなるまで研削する研削工程を含んでいてもよい。こうすれば、金属接合材の導電性が高い場合であっても、金属接合材の断面積が小さいため電気抵抗が大きくなり発熱しやすくなる。この場合、前記研削工程のあと、前記セラミック焼結体のうち前記ヒータ電極が形成された面に樹脂製の接着層を介して金属冷却板を接合する冷却板接合工程を含んでいてもよい。ヒータ電極の厚みが10〜50μmと薄いため、セラミック焼結体と接着層との間に隙間が生じにくく、ホットスポットが発生しにくい。
【0011】
本発明のセラミックヒータは、
ウエハ載置面を備えたセラミック焼結体と、
前記セラミック焼結体の前記ウエハ載置面とは反対側の面に張り巡らされたヒータ電極と、
を備え、
前記ヒータ電極は、Alを含有し、接合界面にはMgOが存在するものである。
【0012】
このセラミックヒータは、例えば上述したセラミックヒータの製法によって得ることができる。
【0013】
本発明のセラミックヒータにおいて、前記ヒータ電極は、厚みが10〜50μmであることが好ましい。こうすれば、金属接合材の導電性が高い場合であっても、金属接合材の断面積が小さいため電気抵抗が大きくなり発熱しやすくなる。
【0014】
こうしたセラミックヒータは、セラミック焼結体のうちヒータ電極が形成された面に樹脂製の接着層を介して接合された金属冷却板を有していてもよい。ヒータ電極の厚みが10〜50μmと薄いため、セラミック焼結体と接合層との間に隙間が生じにくい。セラミック焼結体と接着層との間に隙間が生じると、その隙間が生じた箇所は、セラミック焼結体からの熱が金属冷却板へ熱が逃げにくくなるためホットスポットになりやすい。しかし、ここでは、セラミック焼結体と接着層との間に隙間が生じにくいため、そのようなホットスポットが発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】静電チャックヒータ20の断面図。
図2】静電チャックヒータ20の製造工程図。
図3】金属接合材126の平面図。
図4】実施例及び比較例の、低温制御と高温制御とを繰り返すサイクル試験の回数と温度差ΔTとの関係を示すグラフ。
図5】実施例及び比較例の、ヒータ電極厚みと温度差ΔTとの関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明のセラミックヒータの好適な一実施形態である静電チャックヒータ20について以下に説明する。図1は静電チャックヒータ20の断面図である。
【0017】
静電チャックヒータ20は、プラズマ処理を施すウエハWをウエハ載置面22aに吸着可能なセラミック焼結体22と、セラミック焼結体22の裏面に配置された冷却板30と、セラミック焼結体22と冷却板30とを接着する接着層40とを備えている。
【0018】
セラミック焼結体22は、外径がウエハWの外径よりも小さいセラミック製(例えばアルミナ製とか窒化アルミニウム製)の円盤状プレートである。
【0019】
セラミック焼結体22には、静電電極24が埋設されている。静電電極24は、図示しない電源装置により直流電圧を印加可能な平面状の電極である。この静電電極24に直流電圧が印加されるとウエハWはクーロン力又はジョンソン・ラーベック力によりウエハ載置面22aに吸着固定され、直流電圧の印加を解除するとウエハWのウエハ載置面22aへの吸着固定が解除される。
【0020】
セラミック焼結体22のうちウエハ載置面22aとは反対側の表面22bには、ヒータ電極26が張り巡らされている。このヒータ電極26は、表面22bの全体にわたって一筆書きの要領でパターン形成された抵抗線であり、中心に配置された一方の端部26aから外周付近に配置された端部26bまで渦巻き状に形成されている。両方の端部26a,26bには、それぞれ給電端子28a,28bがはんだ又はAl−Cuにより接合されている。ヒータ電極26は、AlとMgを含む金属接合材を該金属接合材の固相線温度以下の温度に加熱した状態でセラミック焼結体22に加圧接合したものである。こうした接合方法を、TCB接合(Thermal compression bonding)と称する。金属接合材中に含まれる活性の高いMgによって、セラミック焼結体22の表面22bに存在する酸化物層が除去され、セラミック焼結体22と金属接合材との接合強度が高くなる。また、ヒータ電極26の接合界面には、MgOが存在する。AlとMgを含有する金属接合材としては、Al−Si−Mg系接合材やAl−Mg系接合材などが好ましい。例えば、Al−Si−Mg系接合材として、88.5重量%のAl、10重量%のSi、1.5重量%のMgを含有し、固相温度が約560℃、液相温度が約590℃の接合材を用いる場合、TCB接合は、液相線温度以下である約520〜580℃に加熱した状態で、20〜140kg/mm2、好ましくは30〜60kg/mm2 の圧力で3〜6時間加圧して行われる。TCB接合は、真空雰囲気か不活性ガス雰囲気で行うのが好ましい。ヒータ電極26は、厚みが数100μmの金属接合材をTCB接合したあと、厚みが10〜50μm(好ましくは10〜20μm)に研削する。こうすれば、金属接合材の導電性が高い場合であっても、金属接合材の断面積が小さくなるため電気抵抗が大きくなり発熱しやすくなる。
【0021】
冷却板30は、金属製(例えばアルミニウム製とかアルミニウム合金製)の円盤である。この冷却板30は、セラミック焼結体22のウエハ載置面22aとは反対側の表面22bに絶縁樹脂製の接着層40を介して接着されている。また、冷却板30は、図示しない外部冷却装置で冷却された冷媒が循環する冷媒通路32を有している。冷却板30は、ヒータ電極26に取り付けられた一対の給電端子28a,28bを挿通するための貫通孔34a,34bを備えている。貫通孔34a,34bの内面はセラミック絶縁層で覆われている。そのほかに、冷却板30は、静電電極24に電力を供給する図示しない給電端子を挿通するための図示しない貫通孔も有している。
【0022】
接着層40は、エポキシ系、シリコン系又はアクリル系の接着シートが固化したものである。接着層40の厚みは、100〜300μmである。接着層40には、一対の給電端子28a,28bが貫通している。ヒータ電極26の厚みが10〜50μmの場合、セラミック焼結体22の表面22bとヒータ電極26との段差が非常に小さいため、表面22bと接着層40との間に隙間が生じにくい。表面22bと接着層40との間に隙間が生じると、その隙間が生じた箇所は、セラミック焼結体22の熱が冷却板30へ逃げにくくなるため、ホットスポットになりやすい。しかし、本実施形態では、セラミック焼結体22と接着層40との間に隙間が生じにくいため、そのようなホットスポットが発生しにくい。なお、こうした効果を確実に得るためには、ヒータ電極26の厚みを10〜20μmとするのがより好ましい。
【0023】
次に、静電チャックヒータ20の使用例について説明する。まず、図示しない真空チャンバ内に静電チャックヒータ20を設置した状態で、ウエハWをセラミック焼結体22のウエハ載置面22aに載置する。そして、真空チャンバ内を真空ポンプにより減圧して所定の真空度になるように調整し、セラミック焼結体22の静電電極24に直流電圧をかけてクーロン力又はジョンソン・ラーベック力を発生させ、ウエハWをセラミック焼結体22のウエハ載置面22aに吸着固定する。次に、真空チャンバ内を所定圧力(例えば数10〜数100Pa)の反応ガス雰囲気とし、この状態で、プラズマを発生させる。そして、発生したプラズマによってウエハWの表面がエッチングされる。図示しないコントローラは、ウエハWの温度が予め設定された目標温度となるように、ヒータ電極26へ供給する電力を制御する。
【0024】
次に、静電チャックヒータ20の製造例について説明する。図2は静電チャックヒータ20の製造工程図、図3は金属接合材126の平面図である。まず、静電電極24が埋設されたセラミック焼結体22を用意する(図2(a)参照)。こうしたセラミック焼結体22は、例えば特開2005−343733号公報の記載にしたがって用意することができる。続いて、図3に示すように、予め所定のパターン(ここでは渦巻き状)に形成された厚み数100μmの金属接合材126を用意し、その金属接合材126をウエハ載置面22aとは反対側の表面22bに載置する(図2(b)参照)。金属接合材126が形成する渦巻きの最外周の渦の直径は、セラミック焼結体22の表面22bの直径より僅かに小さい。続いて、金属接合材126が載置されたセラミック焼結体22をカーボン製の金型50に入れる。このとき、金属接合材126と金型50との間に、黒鉛シート52(例えばグラフテック(Graftech)社製の商品名グラフォイルなど)を介在させる(図2(c)参照)。そして、金属接合材126を金属接合材126の液相線温度以下の温度に加熱した状態で、金属接合材126が載置されたセラミック焼結体22を金型50の上型及び下型により上下から加圧する。これにより、金属接合材126がセラミック焼結体22に接合される。接合後、セラミック焼結体22を金型50から取り出す。金属接合材126は、セラミック焼結体22とは接合するが、黒鉛シート52とは接合しない。そのため、セラミック焼結体22を金型50から容易に取り出すことができる。その後、金属接合材126の厚みが10〜50μmとなるまで切削し、ヒータ電極26とする(図2(d)参照)。そして、ヒータ電極26の両方の端部26a,26bにそれぞれ給電端子28a,28bをはんだ又はAl−Cuロウ材により接合する(図2(e)参照)。
【0025】
その一方で、内部に冷媒通路32が形成された冷却板30を用意する。そして、冷却板30の表面30aとセラミック焼結体22の表面22bとを向かい合わせ、両面30a,22bの間に接着シートを挟んだ状態で、冷却板30の貫通孔34a,34bに給電端子28a,28bを挿通させながら冷却板30に対してセラミック焼結体22を押圧する。これにより、セラミック焼結体22の表面22bと冷却板30の表面30aとが接着層40を介して接合され、静電チャックヒータ20が得られる(図2(f)参照)。
【0026】
以上詳述した本実施形態の静電チャックヒータ20によれば、均熱性が高くなる。従来のように金属ペーストを焼結してヒータ電極を形成する場合には、焼結時にセラミック焼結体の中心部と外周部とで温度ムラが生じることがある。そうすると、ヒータ電極の焼結状態ひいてはヒータ電極の抵抗値がセラミック焼結体の中心部と外周部とで差が生じてしまい、均熱性が悪くなる。しかし、本実施形態の静電チャックヒータ20では、ヒータ電極26となる金属接合材は接合前も接合後も大部分が固相のままであるため、ヒータ電極26の抵抗値はセラミック焼結体22の中心部と外周部とで差が生じない。また、金属接合材を固相のまま接合したヒータ電極26は、金属ペーストを焼結したヒータ電極に比べて、ヒータ電極26とセラミック焼結体22との接合強度が高いため、熱サイクル試験後にセラミック焼結体22から剥離しにくい。こうしたことから、本実施形態の静電チャックヒータ20は、均熱性が高くなる。
【0027】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0028】
例えば、上述した実施形態では、静電チャックヒータ20の全面にわたって渦巻き状にヒータ電極26を形成したが、特に渦巻き状に限定されるものではなく、どのような形状であっても構わない。また、静電チャックヒータ20を複数のゾーンに分け、各ゾーンごとに一筆書きの要領でヒータ電極を形成してもよい。複数のゾーンとは、例えば、内周側ゾーン(円形)と外周側ゾーン(ドーナツ形)の2つのゾーンとしてもよいし、左側ゾーン(半円形)と右側ゾーン(半円形)の2つのゾーンとしてもよい。
【0029】
上述した実施形態では、本発明のセラミックヒータとして静電チャックヒータ20を例示したが、静電チャックヒータ20の静電電極24を省略してセラミックヒータとしてもよいし、あるいは、静電チャックヒータ20のセラミック焼結体22に更にプラズマ発生用の高周波電極を埋設してもよい。
【実施例】
【0030】
[実施例1]
上述した製造例(図2参照)にしたがって、静電チャックヒータ20を製造した。なお、静電電極24が埋設されたセラミック焼結体22は、直径297mm、厚み4mmのものを用いた。金属接合材126は、88.5重量%のAl、10重量%のSi、1.5重量%のMgを含有し、固相温度が約560℃、液相温度が約590℃のAl−Si−Mg系接合材を用いた。TCB接合は、真空雰囲気下、560℃に加熱した状態で30kg/mm2の圧力で5時間かけて加圧した。TCB接合後の金属接合材126の厚みが20μmになるまで金属接合材126の研削を行い、ヒータ電極26とした。ヒータ電極26の断面をSEM/EPMAで観察したところ、接合界面にMgOが存在していることが確認された。接合シートは、厚み300μmのエポキシ樹脂系シートを使用した。冷却板30は、アルミニウム製で直径300mm、厚み25mmのものを使用した。
【0031】
[比較例1]
比較例1では、実施例1において、金属接合材126をセラミック焼結体22にTCB接合してヒータ電極26を形成する代わりに、金属ペーストを用いてヒータ電極を形成した以外は、実施例1と同様にして静電チャックヒータを製造した。具体的には、タングステン粉末と焼成助剤とをエチルセルロースバインダにて混練した金属ペーストをセラミック焼結体の表面に渦巻き状のパターンとなるように印刷し、窒素ガス中800℃で脱脂した後、窒素ガス中1600℃で焼成し、所定の厚み(ここでは50μm)に研削してヒータ電極を形成した。
【0032】
[均熱性評価試験−その1]
図示しない真空チャンバに静電チャックヒータを入れ、ウエハ載置面に温度測定用ウエハを載せた。温度測定用ウエハとしては、直径300mmのシリコンウエハの中心点、直径145mmの円周上の12点、直径290mmの円周上の12点に、それぞれ熱電対が埋め込まれたものを用いた。各円周上の複数の測定点は、等間隔に並んでいた。真空チャンバの内圧は10Pa未満に設定し、冷却板の冷媒通路に循環させる冷媒の温度は10℃に設定した。セラミックの目標温度は60℃に設定した。図示しないコントローラによりセラミックの温度が目標温度と一致するようにヒータ電極に供給する電力を制御したときの温度測定用ウエハの各点の温度の最大値から最小値を引いた温度差ΔT(℃)を均熱性の指標として求めた。また、ヒータ電極につき、直径200mmの円の内側の抵抗率(内側抵抗率)と直径200mmの円の外側の抵抗率(外側抵抗率)も測定した。その結果を表1に示す。表1から明らかなように、実施例1は、比較例1に比べて温度差ΔTが小さく、均熱性が優れていた。また、実施例1は、比較例1に比べて内側抵抗率と外側抵抗率のバラツキが少なかった。
【0033】
【表1】
【0034】
[均熱性評価試験−その2]
実施例1と比較例1につき、上述した[均熱性評価試験−その1]において、セラミックの目標温度を60℃に設定する代わりに、セラミックの目標温度を20℃(1分間)に設定した後80℃(1分間)に設定するのを1サイクルとし、これを5万サイクル実施した。初期を含み1万サイクルごとにIRカメラにて温度の測定を行い、均熱性の指標である温度差ΔTを求めた。その結果を図4に示す。図4から、実施例1では、初期から5万サイクル後まで温度差ΔTは絶えず3℃未満で小さいままだった。それに対して、比較例1では、初期において既に温度差ΔTが4℃を超え、また、サイクル回数が増加するにつれて温度差ΔTが更に増大した。比較例1では、サイクル回数が増加するにつれてヒータ電極がセラミック焼結体から剥離し、その剥離した部分の周辺ではセラミック焼結体から冷却板へ熱を効率よく逃がすことができなくなり、その結果均熱性が悪化したと考えられる。それに対して、実施例1では、5万サイクルまでヒータ電極がセラミック焼結体から剥離しなかったと考えられる。このように、ヒータ電極とセラミック焼結体との接合強度は、ヒータ電極としてTCB接合した金属接合材を用いた場合の方が金属ペーストの焼成体を用いた場合に比べて高いことがわかる。
【0035】
[実施例2〜5]
実施例1では、ヒータ電極26の厚みを研削により20μmとしたが、実施例2では10μm、実施例3では50μm、実施例4では100μm、実施例5では200μm(研削なし)とした。
【0036】
[比較例2〜5]
比較例1では、ヒータ電極の厚みを研削により50μmとしたが、比較例2では10μm、比較例3では20μm、比較例4では100μm、比較例5では200μm(研削なし)とした。
【0037】
[均熱性評価試験−その3]
上述した[均熱性評価試験−その1]にしたがって、各実施例、各比較例の均熱性を求めた。ヒータ電極の厚みと均熱性(ΔT)との関係を図5に示す。図5から、比較例のうち最も均熱性に優れていたのはヒータ電極の厚みが50μmのものであり、それより厚くても薄くても均熱性が悪化した。比較例において厚みが20μm以下のものは、研削時にヒータ電極が剥離したり欠けたりしたため、抵抗率が不均一になり均熱性が悪化した。これは、比較例のヒータ電極は金属ペーストを焼成したものであるため、内部に気泡が入ったり脆くなったりして抵抗率が不均一になったことが原因と考えられる。一方、同じヒータ電極の厚みの実施例と比較例とを比較すると、いずれも実施例の方が均熱性が優れていた。また、実施例のうちヒータ電極の厚みが10〜50μmの場合、比較例のうち最も均熱性が高いもの(ヒータ電極の厚みが50μmのもの)よりも更に均熱性が高かった。実施例のヒータ電極は、TCB接合の前後で大部分が固相のままだった金属接合材であるため、研削しても剥離や欠けが生じず、抵抗率が均一になったと考えられる。
【符号の説明】
【0038】
20 静電チャックヒータ、22 セラミック焼結体、22a ウエハ載置面、22b 表面、24 静電電極、26 ヒータ電極、26a,26b 端部、28a,28b 給電端子、30 冷却板、30a 表面、32 冷媒通路、34a,34b 貫通孔、40 接着層、50 金型、52 黒鉛シート、126 金属接合体、W ウエハ。
図1
図2
図4
図5
図3