特許第6033196号(P6033196)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033196
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】光学部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20161121BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20161121BHJP
   G02B 6/13 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   G02F1/01 F
   G02F1/01 C
   G02B6/12 363
   G02B6/13
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-210871(P2013-210871)
(22)【出願日】2013年10月8日
(65)【公開番号】特開2015-75568(P2015-75568A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2015年8月19日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100097504
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 純雄
(72)【発明者】
【氏名】山口 省一郎
(72)【発明者】
【氏名】松永 裕史
(72)【発明者】
【氏名】浅井 圭一郎
【審査官】 廣崎 拓登
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−145816(JP,A)
【文献】 特開2000−114581(JP,A)
【文献】 特開2008−052108(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/013128(WO,A1)
【文献】 特開2011−085610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12− 6/14
G02F 1/00− 1/125
1/21− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板、
光学材料基板、
前記支持基板上に設けられている電極、および
前記電極と前記光学材料基板とを接着する樹脂接着層を備えており、
前記電極が、前記樹脂接着層に接する厚さ0.03μm以上、0.1μm以下のクロム膜、および前記クロム膜と前記支持基板との間に設けられている厚さ0.03μm以上、0.2μm以下の金膜を含む光学部品を製造する方法であって、
前記支持基板上に設けられた前記電極の前記クロム膜をスクラブ洗浄する工程、および
前記電極と前記光学材料基板とを前記樹脂接着層によって接着する工程
を有することを特徴とする、光学部品の製造方法
【請求項2】
前記光学部品が、前記金膜と前記支持基板との間に設けられた金属下地膜を有することを特徴とする、請求項1記載の方法
【請求項3】
前記金属下地膜がクロムからなることを特徴とする、請求項2記載の方法
【請求項4】
前記電極が、前記金膜と前記金属下地膜との間に中間膜を更に備えていることを特徴とする、請求項2または3記載の方法
【請求項5】
前記光学材料基板に光導波路が形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の方法
【請求項6】
前記光学部品が光変調部品であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の方法
【請求項7】
前記光学部品が、前記光学材料基板に形成された周期分極反転構造を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つの請求項に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持基板上に光学材料基板を接着するタイプの光学部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クラウドコンピューティンクの進展に伴い、光通信網の高速化、高周波化が一層進展しており、光変調効率の向上が要望されている。光変調素子においては、マイクロ波と光波との速度整合を図るために、ニオブ酸リチウムなどの非線形光学材料からなる光導波路基板の厚さを非常に薄くし、別体の支持基板に対して接着することが知られている。この場合、支持基板上に導電膜を形成し、この支持基板を導電膜を介して光導波路基板に接着することにより、支持基板の共振現象に起因するマイクロ波透過特性のリップルを抑制することが提案されている(特許文献1:特開2003−156723)。こうした導電膜としては、低抵抗の金、銀、銅が挙げられている。
【0003】
一般には、配線抵抗を下げるために、電気伝導率の高い金電極(Au)を使用する場合が多い。クロム膜などによって電極を形成すると、電極の抵抗値を必要な値にまで低下させることが難しく、必要な抵抗値を得るためには電極設計が困難である。
【0004】
また、特許文献2(特開2002−040381)記載の進行波型光変調器においては、ニオブ酸リチウム基板上にクロムからなる下地膜を形成し、その上に金メッキを設けることで、光導波路を伝搬する光を変調する変調用電極を形成することを提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−156723
【特許文献2】特開2002−040381
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、支持基板上に金膜を形成し、これを薄い光導波路基板に対して樹脂で接合した場合、テープ強度試験で剥離することがあった。このような素子は、長時間使用することができず、信頼性が低下するので、歩留り低下の原因となる。こうした現象が生ずる原因は未知であった。
【0007】
本発明の課題は、光学材料基板を、支持基板上の電極に対して樹脂接着層で接着する構造の光学部品において、電極の抵抗を低く抑えつつ、かつ光学材料基板の支持基板からの剥離を防止できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
支持基板、
光学材料基板、
前記支持基板上に設けられている電極、および
前記電極と前記光学材料基板とを接着する樹脂接着層を備えており、
前記電極が、前記樹脂接着層に接する厚さ0.03μm以上、0.1μm以下のクロム膜、および前記クロム膜と前記支持基板との間に設けられている厚さ0.03μm以上、0.2μm以下の金膜を含む光学部品を製造する方法であって、
前記支持基板上に設けられた前記電極の前記クロム膜をスクラブ洗浄する工程、および
前記電極と前記光学材料基板とを前記樹脂接着層によって接着する工程
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明者は、支持基板上に金膜を形成し、その上に光学材料基板を樹脂接着層を介して接着したときに、光学材料基板の支持基板からの剥離が生ずる原因について検討した。この結果、樹脂接着前の金膜の表面状態に問題があり、接着後の剥離を生じさせていたことを発見した。
【0010】
すなわち、支持基板上に電極を形成した後、表面洗浄することによって、電極表面に付着した異物を除去することが必要である。このためには、通常、有機系の超音波洗浄のみならず、固着した異物を除去するためにスクラブ洗浄が有効である。支持基板の表面がクロム金属膜である場合には、スクラブ洗浄が有効であり、支持基板の反りが小さければ気泡をほとんど発生させることなく接合することが可能である。
【0011】
ところが、支持基板の表面に金膜が露出している場合、例えばスクラブ洗浄を実施すると、金膜の表面にスクラブ痕が付いてしまい、その部分では微小な気泡が発生していた。このため、樹脂接合を行っても光学材料基板の剥離が生じた。このため、支持基板表面の金膜をスクラブ洗浄せず、超音波洗浄のみ実施して樹脂接着剤で接着してみた。しかし、この結果、金膜表面に貼りついた異物は取りきれておらず、付着した異物の領域で気泡が発生することがわかった。さらに、接着された光学材料基板を薄板化加工していくと、気泡部で剥がれ、また光学材料基板の周縁部分からも薄板化した基板が剥がれはじめた。基板周縁の剥がれ箇所でテープ剥離試験を行うと、金膜表面と樹脂接着剤との界面間で剥がれが進展した。
【0012】
本発明者は、この知見に基づき、金膜上に更にクロム膜を形成し、このクロム膜を光学材料基板に対して樹脂接着することによって、上記の問題を解決することを想到した。すなわち、抵抗値の低い金膜によって電極として必要な導電性を得るとともに、金膜表面にクロム膜を更に形成することで、樹脂接着後における光学材料基板の支持基板からの剥離、特に光学材料基板の薄板化加工時の剥離を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態にかかる光学部品20Aを示す模式図である。
図2】本発明の他の実施形態にかかる光学部品20Bを示す模式図である。
図3】(a)は、光学部品20Aの横断面を模式的に示す図であり、(b)は、光学部品20Bの横断面を模式的に示す図である。
図4】光学部品20Aを模式的に示す斜視図である。
図5】光学部品20Bを模式的に示す斜視図である。
図6】比較例の光学部品10を示す模式図である。
図7】比較例の光学部品10Aを示す模式図である。
図8】本発明実施例における接合状態を示す写真である。
図9】比較例において、超音波洗浄後の金膜表面の気泡を示す写真である。
図10】比較例において、接着体の気泡部分および周縁部において剥離が生じている状態を示す写真である。
図11図10における接着体の周縁部の拡大写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について、図面を適宜参照しつつ述べる。
図1図3(a)および図4は、本発明の一実施形態にかかる光学部品20Aを示すものである。
【0015】
本例では、支持基板1の表面1a上に、電極7、樹脂接着層4、バッファ層3を介して光学材料基板2の主面2bが接合されている。本例では、光学材料基板2の支持基板1とは反対側の主面2a上に上側電極15が形成されている。また、本例では、光学材料基板2内にチャンネル型光導波路13が形成されている。
【0016】
本例では、電極7は三層構造となっている。すなわち、支持基板1上に金属下地膜7aが設けられており、金属下地膜7a上に金膜7bが設けられており、金膜7b上にクロム膜7cが形成されている。クロム膜7cは樹脂接着層4と接している。
【0017】
本例では、抵抗値の低い金膜7bによって電極7として必要な導電性を得るとともに、金膜7b上にクロム膜7cを更に形成することで、樹脂接着後における光学材料基板2の支持基板1からの剥離、特に光学材料基板の薄板化加工時の剥離を防止できる。
【0018】
図2図3(b)および図5は、本発明の他の実施形態にかかる光学部品20Bを示すものである。
【0019】
本例では、支持基板1の表面1a上に、電極7A、樹脂接着層4、バッファ層3を介して光学材料基板2の主面2bが接合されている。本例では、光学材料基板2の支持基板1とは反対側の主面2a上に上側電極15が形成されている。光学材料基板2内にチャンネル型光導波路13が形成されている。
【0020】
本例では、電極7Aは四層構造となっている。すなわち、支持基板1上に金属下地膜7aが設けられており、金属下地膜7a上に中間膜7dが設けられており、中間膜7d上に金膜7bが設けられており、金膜7b上にクロム膜7cが形成されている。クロム膜7cは樹脂接着層4と接している。
【0021】
本例では、抵抗値の低い金膜7bによって電極7として必要な導電性を得るとともに、金膜7b上にクロム膜7cを更に形成することで、樹脂接着後における光学材料基板2の支持基板1からの剥離、特に光学材料基板の薄板化加工時の剥離を防止できる。
【0022】
図6は、比較例に係る光学部品10を示すものである。
本例では、支持基板1の表面1a上に、電極5、樹脂接着層4、バッファ層3を介して光学材料基板2の主面2bが接合されている。光学材料基板2の支持基板1とは反対側の主面2a上に上側電極15が形成されている。光学材料基板2内にチャンネル型光導波路13が形成されている。
【0023】
本例では、電極5は二層構造となっている。すなわち、支持基板1上に金属下地膜5aが設けられており、金属下地膜5a上に金膜5bが設けられている。金膜5bは樹脂接着層4と接している。
【0024】
この実施形態では、金膜5bを形成しているので、電極5の抵抗値を低下させることはできる。しかし、金膜5bと樹脂接着層4との接着が安定せず、金膜5b表面の洗浄後に気泡が残り、光学材料基板の薄板化加工時などに剥離進展の起点となる。
【0025】
図7は、他の比較例に係る光学部品10Aを示すものである。
本例では、支持基板1の表面1a上に、電極6、樹脂接着層4、バッファ層3を介して光学材料基板2の主面2bが接合されている。光学材料基板2の支持基板1とは反対側の主面2a上に上側電極15が形成されている。光学材料基板2内にチャンネル型光導波路13が形成されている。
【0026】
本例では、電極6は単層構造となっており、クロム膜からなる。電極6は樹脂接着層4と接している。この実施形態では、電極6の抵抗値を必要な程度に低下させることが難しい。電極6の抵抗値を十分に下げるためには電極6の厚さを十分に大きくする必要があるが、電極6を厚くすると支持基板1が反り、電極表面に気泡が残留して接着体の剥離を生ずるおそれがある。
【0027】
以下、本発明の各構成要素について更に述べる。
光学部品の種類は特に限定されず、光学的機能を果たせばよい。具体的には、波長変換素子、光変調素子、光スイッチング素子などを例示できる。光変調素子は、光の特性に変調を加えるものであれば限定されず、光強度変調器、光位相変調器であってよい。光強度変調器は、マッハツェンダー型光導波路を利用した光振幅変調器であってよい。光位相変調器とは、入射光に対して位相変調を加え、出射光から位相変調信号を取り出すものを意味する。また、光学材料基板中に周期分極反転構造を形成することもできる。
【0028】
支持基板の材質は、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体、ニオブ酸リチウムカリウム、石英ガラスなどのガラスや水晶、Siなどを例示することができる。
【0029】
光学材料基板を構成する光学材料は、特に限定されないが、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体、ニオブ酸カリウムリチウム、KTP、GaAs及び水晶、KLiNb15、LaGaSiO14などを例示することができる。また、光学材料は、コングルエント組成であってよく、ストイキオメトリ組成であってよい。
【0030】
光学材料中には、光導波路の耐光損傷性を更に向上させるために、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、スカンジウム(Sc)及びインジウム(In)からなる群より選ばれる1種以上の金属元素を含有させることができ、マグネシウムが特に好ましい。光学材料中には、ドープ成分として、希土類元素を含有させることができる。この希土類元素は、レーザー発振用の添加元素として作用する。この希土類元素としては、特にNd、Er、Tm、Ho、Dy、Prが好ましい。
【0031】
好適な実施形態においては、光学材料基板は、相対向する一対の主面、相対向する一対の側面および光学研磨された端面を有している。主面とは、他の面よりも相対的に面積の大きい表面である。
【0032】
光学材料基板の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば光変調器においては、基板内での光エネルギーの閉じ込め性を上げて、変調効率を高めるという観点からは、10μm以下が好ましく、5μm以下が更に好ましい。また、光学材料基板の厚さは、基板の取り扱い易さという観点からは、0.5μm以上が好ましい。前述したような樹脂接着層と電極との界面を起点とする剥離は、光学材料基板の薄板化加工の際に生じやすいことから、本発明は光学材料基板が薄い場合に特に好適である。
【0033】
光学材料基板に形成される光導波路の種類は限定されず、スラブ導波路、チャンネル導波路を含む。また、導波路の種類は、チタン拡散法などの内拡散型光導波路や、リッジ型光導波路であってよい。
【0034】
例えば図3(a)、(b)に示す各例の光学部品においては、光学材料基板2の上側の主面2a側に一対のリッジ溝12A、12Bが形成されており、リッジ溝12A、12Bによってリッジ型光導波路13が形成されている。14は光ビームである。
【0035】
光学材料基板にリッジ溝12A、12Bを形成するための加工方法は限定されず、機械加工、イオンミリング、ドライエッチング、レーザーアブレーションなどの方法を用いることができる。
【0036】
好適な実施形態においては、光学素子の支持基板とは反対側の主面上に上側電極が設けられている。例えば、図3(a)、(b)に示す各例の光学部品においては、光学材料基板2の上側主面2a上に上側電極15が設けられており、上側電極15と下側の電極7、7Aとの間に変調電圧を印加する。
【0037】
光学材料基板と支持基板とを接着する樹脂接着層は、エポキシ系接着剤、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤を例示できる。
【0038】
樹脂接着層の屈折率と光学材料基板の屈折率との差は、バッファ層の厚み、屈折率に依存するが、光の閉じ込めという観点において樹脂接着層の屈折率の10%以上であることが好ましく、20%以上であることが更に好ましい。また、樹脂接着層の厚みは、安定して接着させるという観点では、0.2μm以上が好ましく、また薄板研磨加工後の基板厚バラツキの低減という観点で、2μm以下が好ましい
【0039】
支持基板上に設けられている電極は、樹脂接着層に接するクロム膜、およびクロム膜と支持基板との間に設けられている金膜を含む。
【0040】
金膜の厚さは、導電性の向上という観点からは、0.03μm以上とするが、0.05μm以上が更に好ましい。また、金膜の厚さは、特に限定されないが、高価な材料であるため、コストの観点から0.2μm以下とするが、0.1μm以下が更に好ましい。
【0041】
樹脂接着層に接するクロム膜の厚さは、本発明の観点からは、0.03μm以上とするが、0.05μm以上が更に好ましい。また、光学部品の反りを抑制するという観点からは、0.1μm以下とするが、0.08μm以下が更に好ましい。
【0042】
好適な実施形態においては、クロム膜と支持基板との間に金属下地膜が設けられている。例えば、図1図5の実施形態においては、金膜7bと支持基板1の表面1aとの間に金属下地膜7aが設けられている。これによって金膜の支持基板への密着を更に改善することができる。このような金属下地膜の材質としては、ニッケル、チタン、タンタル、モリブデンが好ましく、クロムが特に好ましい。
【0043】
金膜と金属下地膜との間に中間膜を更に設けることができる。このような中間膜の材質としては、ニッケル、チタン、白金が好ましい。
【0044】
電極を構成する各膜の製法は特に限定されないが、スッパタリング、蒸着を例示できる。
【0045】
また、光学材料基板の上側主面、下側主面には、それぞれ、バッファ層を形成することができる。例えば、図1図5の例では、光学材料基板2の下側主面2b上にバッファ層3が形成されている。バッファ層は、各電極による光の吸収損失を低減し、光の光学材料基板内への閉じ込めを強くすると共に、光ファイバと同じように対称性の優れたスポット形状を有する光導波路が実現できる。
【0046】
このため、光学材料基板の屈折率とバッファ層の屈折率との差は、バッファ層の材質の屈折率の10%以上であることが好ましく、20%以上であることが更に好ましい。また、バッファ層の厚みは、光の閉じ込めという観点で0.1μm以上が好ましく、半波長電圧の増加という観点で1μm以下が好ましい。
【0047】
バッファ層の材質としては、SiO、Taが好ましい。
【0048】
光学材料基板の薄板化加工時には、研削加工の後、ラッピングやポリッシングを実施できる。また、支持基板の表面を研磨加工した後の洗浄工程は、以下のように実施することが好ましい。
有機溶剤でスクラブ洗浄を行い、次いで、有機溶剤による超音波洗浄、純水による超音波洗浄、純水フロー洗浄を行う。
【実施例】
【0049】
(実施例1)
図1図3(a)、図4に示すような形態の光学部品20Aを作製した。
具体的には、厚さ500μmのMgO5%molドープのz板ニオブ酸リチウム単結晶基板の上面に、スパッタリング法にてSiOからなるバッファ膜3を、厚さ0.5μm成膜した。
【0050】
また、厚さ1mmのノンドープz板ニオブ酸リチウム単結晶基板を支持基板1とした。支持基板1の上面1aに、スパッタリング法にて、厚さ0.05μmのクロム膜7a、厚さ0.1μmの金膜7b、厚さ0.05μmのクロム膜7cを形成した。次いで、電極の表面を有機溶剤を用いてスクラブ洗浄し、次いで有機溶剤によって超音波洗浄し、純水超音波洗浄、純水フロー洗浄を行った。
【0051】
次いで、MgO5%molドープの前記z板ニオブ酸リチウム単結晶基板を、バッファ層3を下にして、支持基板1に対して、樹脂接着剤によって貼り合わせた。ここで、MgOドープニオブ酸リチウム単結晶基板には、後の下部電極7の電極取り出し用に、基板の一部に直径100μm程度の穴、あるいは幅100μmの溝が形成されていてもよい。穴加工については例えばレーザー加工法が適用でき、溝加工についてはダイシングで基板の途中まで切断するような方法が利用できる。次に、MgOドープニオブ酸リチウム基板の上側主面を厚さ3.7μmとなるまで研削、研磨で加工した。この研削研磨により、先述の穴加工、あるいは溝加工した領域部分が除去され、下部電極7を被覆している樹脂接着層4が穴または溝から露出する。この露出した樹脂接着層4はアッシングにより除去でき、これによって電極取り出し用の下部電極7を表面に露出させることが可能である。その後、エキシマレーザ加工にてMgOドープニオブ酸リチウム基板側から加工し、深さ2.2μmの溝12A、12Bを形成し、幅5.3μmのリッジ型光導波路13を形成した。さらにSiOからなるバッファ層を厚さ0.5μmで成膜し、その上に上側電極15を成膜した。上側電極15は、クロム、ニッケル、金膜の3層の膜構成とした。
【0052】
次に、ダイシングソーにて幅3mm、長さ13mmにチップ切断を行い、チップ端面を光学研磨して12mmの長さとなるように加工した。また、コア径6μmのSI(ステップインデックス)ファイバにより位相変調素子を光学的に紫外線硬化樹脂にて接続した。最後に両脇の側面部表面の電極部に外部回路と導通をとるためにワイヤボンドした。また、上部電極の素子の長手方向の長さを10mmとした。
【0053】
得られた位相変調器に対して波長1064nmのレーザ光を入射しところ、光の損失は0.5dB/cmとなり、良好な伝播性能を得ることができた。また、半波長電圧を評価したところ、約7Vであった。
【0054】
本実施例においては、光学材料基板を薄板化加工した後に、サンプルの端部からテープ試験を実施し、観察した写真を図8に示す。図8において、左上の矢印は光学材料基板を示し、右上の矢印は、樹脂接着層および電極を示す。テープ試験により、薄板化された光学材料基板の剥離は全く進展することなく、接合している様子が分かる。つまり、光学材料基板を薄板化加工した後にも、光学材料基板の剥離はまったく見られず、接合状態は安定していた。
【0055】
(比較例1)
実施例1と同様にして、図7に示すような形態の光学部品10Aを作製した。ただし、実施例1とは異なり、三層からなる電極7は設けず、その代わりに、クロム膜単層からなる電極6を、スパッタリング法によって形成した。
【0056】
ただし、クロムは金に比べて抵抗率が高いため、実施例1と同等なシート抵抗を得るには、電極の膜厚を0.5μm以上とする必要があった。この結果、接着体が100μm以上反ってしまい、一部接合ができても、ボイド(気泡)が発生する領域を小さくすることができなかった。
【0057】
(比較例2)
実施例1と同様にして、図7に示すような形態の光学部品10Aを作製した。ただし、実施例1とは異なり、三層からなる電極7は設けず、その代わりに、クロム膜単層からなる電極6を、スパッタリング法によって形成した。
【0058】
ただし、比較例1とは異なり、高抵抗となるが、クロム膜の膜厚を0.2μmまで薄くして、樹脂接合を試みた。しかし、基板の反りは30μm程度発生し、接合による気泡量を抑制することができなかった。
【0059】
(比較例3)
クロム膜だけでは、抵抗が大きく、反りが大きくなってしまう。このため、実施例1と同様にして、図6に示すような形態の光学部品10を作製した。ただし、実施例1とは異なり、三層からなる電極7は設けず、その代わりに、クロム膜からなる下地膜5aと金膜5bとからなる電極5を、スパッタリング法によって形成した。クロム膜5aの膜厚を0.05μmとし、金膜5bの膜厚を0.1μmとした。
【0060】
しかし、スクラブ洗浄を実施すると、金膜表面にスクラブ痕が付いてしまい、その部分では微小な気泡が発生した。得られた接着体を薄板化加工していくと、気泡部で剥がれ、また基板の周辺からも薄板化した基板が剥がれはじめた。基板周縁の剥がれ箇所でテープ剥離試験を行うと、金膜表面と樹脂接着剤との界面間で剥がれが進展した。このような状態となったため、後工程の素子化を断念した。
【0061】
(比較例4)
実施例1と同様にして、図6に示すような形態の光学部品10を作製した。ただし、実施例1とは異なり、三層からなる電極7は設けず、その代わりに、クロム膜からなる下地膜5aと金膜5bとからなる電極5を、スパッタリング法によって形成した。クロム膜5aの膜厚を0.05μmとし、金膜5bの膜厚を0.1μmとした。
【0062】
そして、金膜を超音波洗浄した後、スクラブ洗浄を省略した。ここで、超音波洗浄後の電極表面を観察すると、図9に示すように、電極表面に貼りついた異物が取りきれず、その領域で、矢印で示すように気泡が発生していることが判明した。
【0063】
次いで、電極を光学材料基板に接着した後、光学材料基板を薄板化加工した。この結果、図10に下側の矢印で示すように、気泡部分で剥がれが生じており、また、基板の周縁部分からも右上の矢印で示すように剥離が生じていた。図11には、図10における右上周縁部における剥離を拡大して示す。ここで、図11において左上の矢印は光学材料基板を示し、右上の矢印は金膜を示し、右下の矢印は進展している剥離を示す。
【0064】
基板周縁の剥がれ箇所でテープ剥離試験を行うと、金膜表面と樹脂との界面間で剥がれが進展した。このような状態となったため、後工程の素子化を断念した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11