特許第6034522号(P6034522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6034522半導体ウェハ加工用粘着テープおよび半導体ウェハの加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6034522
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】半導体ウェハ加工用粘着テープおよび半導体ウェハの加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20161121BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20161121BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20161121BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20161121BHJP
   C09J 201/02 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   H01L21/304 622J
   H01L21/78 M
   H01L21/68 N
   C09J7/02 Z
   C09J201/02
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-54269(P2016-54269)
(22)【出願日】2016年3月17日
【審査請求日】2016年4月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 修一
(72)【発明者】
【氏名】大倉 雅人
【審査官】 山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−181899(JP,A)
【文献】 特開平01−249878(JP,A)
【文献】 特開2015−073056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
C09J 7/02
C09J 201/02
H01L 21/301
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムの少なくとも一方の面に粘着剤層を有する半導体ウェハ加工用粘着テープであって、該粘着剤層の粘着剤が、放射線硬化型粘着剤であり、少なくとも、側鎖にエチレン性不飽和基(放射線重合性炭素−炭素二重結合でエチレン性二重結合)を有するベース樹脂、脂環式(メタ)アクリレートから導かれるモノマー単位を含むことのないアクリル系感圧性ベース樹脂および分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和基(放射線重合性炭素−炭素二重結合でエチレン性二重結合)を有するウレタンアクリレートオリゴマーから選択される樹脂もしくはオリゴマーを有し、かつ該粘着剤がエチレン性不飽和基を0.2〜2.0mmol/g有することを特徴とする半導体ウェハ加工用粘着テープ。
【請求項2】
前記脂環式(メタ)アクリレートから導かれるモノマー単位を含むことのないアクリル系感圧性ベース樹脂が、(メタ)アクリル酸の官能基を有してもよいアルキルのエステル、アクリル酸およびメタクリル酸から導かれるモノマー単位のみからなることを特徴とする請求項1に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
【請求項3】
前記(メタ)アクリル酸の官能基を有してもよいアルキルのエステルの前記官能基が、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、メルカプト基、環状酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基(−N=C=O)であることを特徴とする請求項2に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
【請求項4】
少なくとも1種の前記オリゴマーの質量平均分子量が1,100〜20,000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
【請求項5】
少なくとも1種の前記オリゴマーの質量平均分子量が1,400〜20,000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
【請求項6】
前記オリゴマーが、少なくとも、エチレン性不飽和基を分子内に2つ有するオリゴマーとエチレン性不飽和基を分子内に3つ以上有するオリゴマーの混合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
【請求項7】
前記粘着剤が、前記エチレン性不飽和基を0.72〜2.0mmol/g有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
【請求項8】
前記粘着剤が、多価イソシアネート化合物を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
【請求項9】
SUS板に対する紫外線硬化後の粘着力が、0.3〜3.0N/25mmであり、かつ硬化収縮応力が、300gf以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープを、表面凹凸が10μm以上ある半導体ウェハ面に貼合した後、紫外線照射して、前記半導体ウェハ加工用粘着テープを剥離する工程を含むことを特徴とする半導体ウェハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ加工用粘着テープおよび半導体ウェハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージは、高純度シリコン単結晶等をスライスして半導体ウェハとした後、イオン注入、エッチング等により半導体ウェハ表面に集積回路を形成して製造される。集積回路が形成された半導体ウェハの裏面を研削、研磨等することにより、半導体ウェハは所望の厚さに加工される。この際、半導体ウェハ表面に形成された集積回路を保護するために、半導体ウェハ表面保護用粘着テープ(以下、単に「表面保護テープ」ともいう。)が用いられる。
裏面研削された半導体ウェハは、裏面研削が終了した後に半導体ウェハカセットに収納され、ダイシング工程へ運搬され、半導体チップに加工される。
【0003】
従来は、裏面研削等により半導体ウェハの厚さを200〜400μm程度とすることが求められていた。しかし、近年の高密度実装技術の進歩に伴い、半導体チップを小型化する必要が生じ、それに伴い、半導体ウェハの薄膜化も進んでいる。半導体チップの種類によっては、半導体ウェハを100μm程度まで薄くすることが必要となっている。一方で、一度の加工によって製造できる半導体チップの数を多くするために、もとの半導体ウェハを大径化する傾向にある。これまでは直径が5インチや6インチの半導体ウェハが主流だったのに対し、近年では直径8〜12インチの半導体ウェハを半導体チップ化する加工が主流となっている。
半導体ウェハを薄膜化と同時に大径化する流れは、特に、NAND型やNOR型が存在するフラッシュメモリの分野や、揮発性メモリであるDRAMなどの分野で顕著である。例えば、直径12インチの半導体ウェハを150μm以下の厚さまで研削することも珍しくない。
【0004】
これに加え、特に近年、スマートフォンの普及や携帯電話の性能向上および音楽プレーヤの小型化、かつ性能向上などに伴い、耐衝撃性などを考慮した電極付半導体ウェハを用いたフリップチップ実装に用いるウェハについても薄膜化の要求が増えてきている。またバンプ付半導体ウェハについても半導体ウェハ部分を100μm以下の薄膜研削をする必要が出てきている。フリップチップ接続されるためのバンプは、転送速度向上のため高密度化されてきており、バンプの高さ(半導体ウェハ表面からの突出高さ)が低くなってきており、それに伴ってバンプ間距離が短くなってきている。また近年ではDRAMにもフリップチップ接続が実施されてきているため半導体ウェハの薄膜化も加速している。
【0005】
フリップチップ実装は、近年の電子機器の小型化、高密度化に対して半導体素子を最小の面積で実装できる方法として注目されてきた。このフリップチップ実装に使用される半導体素子の電極上にはバンプが形成されており、バンプと回路基板上の配線とを電気的に接合する。これらのバンプの組成としては、主に半田や金が使用されている。この半田バンプや金バンプは、蒸着やメッキで、チップの内部配線につながる露出したアルミ端子上などに形成する。
【0006】
しかし、バンプ付半導体ウェハは、その表面に大きな凹凸を有しているため薄膜加工が難しく、通常の粘着テープを用いて裏面研削を行うと半導体ウェハ割れが発生してしまったり、半導体ウェハの厚み精度の悪化を起こしたりする。そのため、バンプ付半導体ウェハの研削には、特別に設計された表面保護テープを用いて加工がされている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、これらの表面保護テープではバンプを十分に吸収して研削性を確保しているため剥離性との両立が非常に難しい。これまでのフリップチップ実装されてきたチップの仕上げ厚みは200μm厚以上とある程度の厚みがあり、剛性を保てたため何とか剥離できてきた。しかし、最近、半導体ウェハ仕上げ厚みが、よりいっそう薄膜となり、バンプ密度も高くなってきているため表面保護テープは、剥離が容易にできないといった問題を引き起こしてしまっている。また逆に、剥離性を確保すると密着が不十分となり、裏面研削時に研削水の浸入や糊残りを引き起こしてしまっている。
【0008】
これに加えて、ウェハレベルパッケージに使用されるバンプ付半導体ウェハのバンプ高さは依然高いままであり、高さ250μm以上のバンプも搭載されている。ウェハレベルパッケージではチップをスタックする必要がないためメモリ系半導体ウェハのように50μm以下といった極薄研削されることがないが、高いバンプが付いているため厚膜研削でも非常に割れやすく、150μm厚以下の研削厚で容易に半導体ウェハ割れの問題が発生する。
【0009】
一方、近年、ポリマー中にエチレン性不飽和基を有する放射線硬化型粘着剤を使用して、各種の検討が行われている。例えば、半導体ウェハ表面の微細なパターンを破壊せずに、接着剤を残すことなく半導体ウェハ表面から剥離するため、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体と、この官能基に反応する置換基を有するエチレン性不飽和基を含有する化合物を含有させることによって得られる放射線線硬化型共重合体(例えば、特許文献1、2参照)が代表的である。
また、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体と反応させるエチレン性不飽和基を有する化合物が、脂肪族ジイソシアネートと1つの水酸基を有するアクリレートと反応させたウレタンアクリレートオリゴマー(例えば、特許文献3参照)なども知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−203255号公報
【特許文献2】特開平9−298173号公報
【特許文献3】特開2008−021897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1〜3に示されているような従来の表面保護テープでは、段差や突起の高さが益々高くなり、しかも研削する半導体ウェハや半導体ウェハの研削後の厚さが益々薄くなる状況において、必ずしも十分でない。
【0012】
従って、本発明は、段差や突起を有する半導体ウェハに好適に用いられ、半導体ウェハ加工時には半導体ウェハを確実に保持し、剥離時には半導体ウェハの破損や糊残りすることなく剥離可能な半導体ウェハ加工用粘着テープおよび半導体ウェハの加工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記の課題を達成するため、鋭意研究を重ねた結果、放射線硬化型粘着剤が有するエチレン性不飽和基の単位g当たりのモル量が重要であることがわかった。
すなわち、従来、放射線硬化型粘着剤は、見かけの粘着力(平滑な被着体に対する粘着力)を下げるよう、十分に架橋させることが望ましいとされていた。しかしながら、詳細に観察した結果、バンプ付き半導体ウェハなど、表面凹凸が大きい場合には、架橋させることで硬化収縮が発生し、バンプ付き半導体ウェハへ粘着剤が噛み込むことが原因で、糊残りや剥離力の上昇が起きてしまうことがわかった。このような知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明の上記課題は、以下の手段によって達成された。
<1>基材フィルムの少なくとも一方の面に粘着剤層を有する半導体ウェハ加工用粘着テープであって、該粘着剤層の粘着剤が、放射線硬化型粘着剤であり、少なくとも、側鎖にエチレン性不飽和基(放射線重合性炭素−炭素二重結合でエチレン性二重結合)を有するベース樹脂、脂環式(メタ)アクリレートから導かれるモノマー単位を含むことのないアクリル系感圧性ベース樹脂および分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和基(放射線重合性炭素−炭素二重結合でエチレン性二重結合)を有するウレタンアクリレートオリゴマーから選択される樹脂もしくはオリゴマーを有し、かつ該粘着剤がエチレン性不飽和基を0.2〜2.0mmol/g有することを特徴とする半導体ウェハ加工用粘着テープ。
<2>前記脂環式(メタ)アクリレートから導かれるモノマー単位を含むことのないアクリル系感圧性ベース樹脂が、(メタ)アクリル酸の官能基を有してもよいアルキルのエステル、アクリル酸およびメタクリル酸から導かれるモノマー単位のみからなることを特徴とする<1>に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
<3>前記(メタ)アクリル酸の官能基を有してもよいアルキルのエステルの前記官能基が、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、メルカプト基、環状酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基(−N=C=O)であることを特徴とする<2>に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
少なくとも1種の前記オリゴマーの質量平均分子量が1,100〜20,000であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
<5>少なくとも1種の前記オリゴマーの質量平均分子量が1,400〜20,000であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
>前記オリゴマーが、少なくとも、エチレン性不飽和基を分子内に2つ有するオリゴマーとエチレン性不飽和基を分子内に3つ以上有するオリゴマーの混合物であることを特徴とする<〜<5>のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
<7>前記粘着剤が、前記エチレン性不飽和基を0.72〜2.0mmol/g有することを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
<8>前記粘着剤が、多価イソシアネート化合物を含有することを特徴とする<1>〜<7>のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
>SUS板に対する紫外線硬化後の粘着力が、0.3〜3.0N/25mmであり、かつ硬化収縮応力が、300gf以下であることを特徴とする<1>〜<>のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
10>前記<1>〜<>のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープを、表面凹凸が10μm以上ある半導体ウェハ面に貼合した後、紫外線照射して、前記半導体ウェハ加工用粘着テープを剥離する工程を含むことを特徴とする半導体ウェハの加工方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、半導体ウェハ加工時には半導体ウェハを確実に保持し、剥離時には半導体ウェハの破損や糊残りすることなく剥離可能な半導体ウェハ加工用粘着テープおよび半導体ウェハの加工方法を提供することが可能となった。
特に本発明では、段差や突起を有する半導体ウェハ、さらには、研削する半導体ウェハや半導体ウェハの研削後の厚さが薄いに対して、本発明の上記効果が、効果的に発現される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<<半導体ウェハ加工用粘着テープ>>
本発明の半導体ウェハ加工用粘着テープは、基材フィルムの少なくとも一方の面に、エチレン性不飽和基(放射線重合性炭素−炭素二重結合)が0.2〜2.0mmol/gである放射線硬化型粘着剤で構成される粘着剤層を有す。
以下、基材フィルムから順に、詳細に説明する。
【0017】
<基材フィルム>
基材フィルムは、樹脂フィルムからなるものが好ましく、公知のプラスチック、ゴム等を用いることができる。例えば、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー等のα−オレフィンの単独重合体もしくは共重合体、またはこれらの混合物)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エンジニアリングプラスチック(ポリメチルメタクリレート等)、合成ゴム類(スチレン−エチレン−ブテンもしくはペンテン系共重合体)、熱可塑性エラストマー(ポリアミド−ポリオール共重合体等)、およびこれらの混合物が挙げられる。また、これらを複層にしたものを使用してもよい。
本発明において、基材フィルムは、ポリオレフィン樹脂が好ましく、なかでもエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムが好ましい。
【0018】
基材フィルムの厚みは、強伸度特性、表面保護テープの剥離性、貼合機におけるカット性の観点から、ポリエチレンなどの柔軟性を有する基材ならば50〜300μm、ポリエステルなどの剛性を有する基材ならば10〜100μmが適当である。
本発明においては、50〜300μmが好ましい。
【0019】
<粘着剤層(粘着剤)>
本発明では、粘着剤層に用いる粘着剤は、放射線硬化型粘着剤である。
放射線硬化型粘着剤は、放射線により硬化し三次元網状化する性質を有すればよく、大きく分けて、1)側鎖にエチレン性不飽和基(放射線重合性炭素−炭素二重結合でエチレン性二重結合とも称す)を有するベース樹脂(重合体)からなる粘着剤と、2)通常のゴム系あるいは(メタ)アクリル系の感圧性ベース樹脂(ポリマー)に対して、分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有する低分子量化合物(以下、放射線重合性低分子量化合物という)および光重合開始剤を配合する粘着剤に分類される。
本発明では、上記の2)が好ましい。
【0020】
1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するベース樹脂からなる粘着剤
側鎖にエチレン性不飽和基を有する粘着剤は、(メタ)アクリル系粘着剤が好ましく、ベース樹脂が(メタ)アクリル系重合体もしくは(メタ)アクリル系重合体を主成分として含むものが特に好ましい。
ここで、(メタ)アクリル系重合体を主成分とするとは、(メタ)アクリル系重合体成分が少なくとも50質量%以上であり、好ましくは80質量%以上(100質量%以下)である。
【0021】
(メタ)アクリル系重合体は、少なくとも側鎖にエチレン性不飽和基を有することで放射線照射による硬化が可能となり、さらにエポキシ基やカルボキシ基などの官能基を有してもよい。
【0022】
側鎖にエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリル重合体は、どのようにして製造されたものでもよいが、例えば、側鎖に官能基(α)を有する(メタ)アクリル系重合体と、(メタ)アクリルロイル基、(メタ)アクリルロイルオキシ基などのエチレン性不飽和基を有し、かつ、この(メタ)アクリル系重合体の側鎖の官能基(α)と反応し得る官能基(β)をもつ化合物とを反応させて得たものが好ましい。
エチレン性不飽和基を有する基は、非芳香族性のエチレン性二重結合を有すればどのような基でも構わないが、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、アリル基、1−プロペニル基、ビニル基(スチレンもしくは置換スチレンを含む)が好ましく、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基がより好ましい。
官能基(α)、(β)としては、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、メルカプト基、環状酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基(−N=C=O)等が挙げられる。
なお、環状酸無水物基は、環状の酸無水物構造を有する基である。
【0023】
ここで、官能基(α)と官能基(β)のうちの一方の官能基が、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、メルカプト基、または環状酸無水物基である場合には、他方の官能基は、エポキシ基、イソシアネート基が挙げられ、一方の官能基が環状酸無水物基の場合、他方の官能基はカルボキシ基、水酸基、アミノ基、メルカプト基が挙げられる。なお、一方の官能基が、エポキシ基である場合は、他方の官能基はエポキシ基であってもよい。
【0024】
官能基(α)としては、カルボキシ基、水酸基が好ましく、水酸基が特に好ましい。
側鎖に官能基(α)を有する(メタ)アクリル系重合体は、官能基(α)を有する(メタ)アクリル系モノマー、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル〔(特に、アルコール部に官能基(α)を有するもの〕をモノマー成分に使用することで得ることができる。
側鎖に官能基(α)を有する(メタ)アクリル系重合体は、共重合体である場合が好ましく、この共重合成分は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、なかでもアルコール部に官能基(α)やエチレン性不飽和基を有する基が置換していない(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
【0025】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、デシルアクリレートヘキシルアクリレート、およびこれらに対応するメタクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルは1種でも2種以上でも構わないが、アルコール部の炭素数が5以下のものと炭素数が6〜12のものを併用することが好ましい。
【0026】
なお、アルコール部の炭素数の大きなモノマーを使用するほどガラス転移点(Tg)は低くなるので、所望のガラス転移点のものを得ることができる。また、ガラス転移点の他、相溶性と各種性能を上げる目的で酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどの炭素−炭素二重結合をもつ低分子化合物を配合することも好ましく、この場合、これらのモノマー成分の含有量は5質量%以下の範囲内が好ましい。
【0027】
官能基(α)を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、けい皮酸、イタコン酸、フマル酸、フタル酸、2−ヒドロキシアルキルアクリレート類、2−ヒドロキシアルキルメタクリレート類、グリコールモノアクリレート類、グリコールモノメタクリレート類、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アリルアルコール、N−アルキルアミノエチルアクリレート類、N−アルキルアミノエチルメタクリレート類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸、無水フタル酸、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の一部を水酸基またはカルボキシ基およびエチレン性不飽和基を有する単量体でウレタン化したものなどが挙げられる。
【0028】
これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシアルキルアクリレート類、2−ヒドロキシアルキルメタクリレート類、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシアルキルアクリレート類、2−ヒドロキシアルキルメタクリレート類がより好ましく、2−ヒドロキシアルキルアクリレート類、2−ヒドロキシアルキルメタクリレート類がさらに好ましい。
【0029】
エチレン性不飽和基と官能基(β)を有する化合物における官能基(β)としては、イソシアネート基が好ましく、例えば、アルコール部にイソシアネート(−N=C=O)基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、なかでもイソシアネート(−N=C=O)基で置換された(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。このようなモノマーとしては、例えば、2−イソシアナトエチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルアクリレート等が挙げられる。
また、官能基(β)がイソシアネート基以外の場合の好ましい化合物は、官能基(α)を有する(メタ)アクリル系モノマーで例示した化合物が挙げられる。
【0030】
エチレン性不飽和基と官能基(β)を有する化合物は、側鎖に官能基(α)を有する(メタ)アクリル系重合体に加えて重合体の側鎖の官能基(α)、好ましくは水酸基と反応することで共重合体に重合性基を組み込むことができ、放射線照射後の粘着力を低下させることができる。
【0031】
(メタ)アクリル系共重合体の合成において、反応を溶液重合で行う場合の有機溶剤としては、ケトン系、エステル系、アルコール系、芳香族系のものを使用することができるが、中でもトルエン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、ベンゼンメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトンなどの、一般に(メタ)アクリル系ポリマーの良溶媒で、沸点60〜120℃の溶剤が好ましい。重合開始剤としては、α,α’−アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾビス系、ベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物系などのラジカル発生剤を通常用いる。この際、必要に応じて触媒、重合禁止剤を併用することができ、重合温度および重合時間を調節することにより、所望の分子量の(メタ)アクリル系共重合体を得ることができる。また、分子量を調節することに関しては、メルカプタン、四塩化炭素等の溶剤を用いることが好ましい。なお、この反応は溶液重合に限定されるものではなく、塊状重合、懸濁重合など別の方法でもさしつかえない。
【0032】
側鎖にエチレン性不飽和基を有するベース樹脂〔好ましくは(メタ)アクリル系共重合体〕の質量平均分子量は、20万〜100万程度が好ましい。
質量平均分子量が100万を越えると、放射線照射した場合に、放射線照射後の粘着剤の可撓性がなく、脆くなっているため、剥離時に半導体チップ面に糊残りを生じる。質量平均分子量が20万未満では、放射線照射前の凝集力が小さく、粘着力が弱いため、ダイシング時に十分に半導体チップを保持することができず、チップ飛びが生じるおそれがある。また、放射線照射後も硬化が不十分で、剥離時に半導体チップ面に糊残りを生じる。これらを極力防止するためには、質量平均分子量が20万以上であることが好ましい。
なお、本発明において、質量平均分子量は、常法によるポリスチレン換算の質量平均分子量である。
【0033】
側鎖にエチレン性不飽和基を有するベース樹脂のガラス転移点は、−70〜−10℃が好ましく、−50〜−10℃がより好ましい。ガラス転移点が−70℃より低いと、粘着剤の流動性が高く糊残りの原因となってしまい、−10℃より高いと流動性が不十分で半導体ウェハの裏面になじみにくく、半導体ウェハの研削加工時に研削水がウェハ表面に浸入する原因となってしまう。
【0034】
側鎖にエチレン性不飽和基を有するベース樹脂の酸価〔ベース樹脂1g中に存在する遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数〕は、0.5〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。
側鎖にエチレン性不飽和基を有するベース樹脂の水酸基価〔ベース樹脂1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数〕は、5〜100が好ましく、10〜80がより好ましい。
このようにすることで、さらに半導体ウェハ加工用粘着テープ剥離時の糊残り防止効果に優れる。
【0035】
なお、酸価や水酸基価の調製は、側鎖に官能基(α)を有する(メタ)アクリル系重合体と、エチレン性不飽和基を有し、かつ、この(メタ)アクリル系重合体の側鎖の官能基(α)と反応し得る官能基(β)をもつ化合物とを反応させる段階で、未反応の官能基を残すことにより所望のものに調製することができる。
【0036】
側鎖にエチレン性不飽和基を有するベース樹脂を放射線照射によって硬化させる場合には、必要に応じて、光重合開始剤、例えばイソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、フェニルジメトキシアセチルベンゼン、ミヒラーズケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシメチルフェニルプロパン等を使用することができる。
これら光重合開始剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましく、0.01〜5質量部がより好ましい。配合量が少なすぎると反応が不十分であり、配合量が多すぎると低分子成分が増加することで汚染性に影響を与えることになる。
【0037】
側鎖にエチレン性不飽和基を有するベース樹脂からなる粘着剤は、架橋剤を含有することが好ましい。
このような架橋剤は、どのようなものでも構わないが、ポリイソシアネート類、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂およびエポキシ樹脂の群から選択される架橋剤が好ましい。
このなかでも、本発明では、ポリイソシアネート類が好ましい。
【0038】
ポリイソシアネート類としては、特に制限がなく、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−〔2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等が挙げられる。具体的には、コロネートL(日本ポリウレタン株式会社製、商品名)等を用いることができる。
【0039】
メラミン・ホルムアルデヒド樹脂としては、具体的には、ニカラックMX−45(三和ケミカル株式会社製、商品名)、メラン(日立化成工業株式会社製、商品名)等を用いることができる。
【0040】
エポキシ樹脂としては、TETRAD−X(三菱化学株式会社製、商品名)等を用いることができる。
【0041】
架橋剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
粘着剤塗布後に、架橋剤により、ベース樹脂が架橋構造を形成し、粘着剤の凝集力を向上させることができる。
【0042】
架橋剤の配合量が0.1質量部未満では凝集力向上効果が十分でないため、粘着剤の流動性が高く糊残りの原因となってしまう。架橋剤の配合量が10質量部を越えると粘着剤弾性率が高くなりすぎてしまい、半導体ウェハ表面を保護できなくなってしまう。
【0043】
2)放射線重合性低分子量化合物を含む粘着剤
放射線重合性低分子量化合物を含む粘着剤の主成分としては、特に限定されるものではなく、粘着剤に使用される公知の塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂〔(メタ)アクリル樹脂〕、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を使用することができる。
【0044】
本発明では、粘着剤のベース樹脂としては、アクリル樹脂〔(メタ)アクリル樹脂〕が好ましく、前述の側鎖にエチレン性不飽和基を有するベース樹脂を合成する際の原料である側鎖に官能基(α)を有する(メタ)アクリル系重合体が特に好ましい。
この場合の粘着剤としては、ベース樹脂としてのアクリル樹脂および放射線重合性低分子量化合物に加え、光重合開始剤、硬化剤もしくは架橋剤等を適宜配合して粘着剤を調製するのが好ましい。
【0045】
粘着剤のベース樹脂の質量平均分子量は、20万〜200万程度が好ましい。
本発明では、ベース樹脂に加え、質量平均分子量が、1,000〜20,000のオリゴマーを少なくとも1種含有するのが好ましい。オリゴマーの質量平均分子量は、1,100〜20,000がより好ましく、2,000〜20,000がさらに好ましく、2,000〜10,000が特に好ましい。
【0046】
放射線重合性低分子量化合物としては、放射線照射によって三次元網状化しうる分子内にエチレン性不飽和基(放射線重合性炭素−炭素二重結合)を少なくとも2個以上有する低分子量化合物が用いられる。
特に、本発明では、上記のオリゴマーが、エチレン性不飽和基を有する放射線重合性低分子量化合物である場合が好ましい。
【0047】
放射線重合性低分子量化合物としては、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、オリゴエステル(メタ)アクリレート等が適用可能である。
【0048】
また、上記のような(メタ)アクリレート系化合物のほかに、放射線重合性低分子量化合物として、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを用いることもできる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエステル型またはポリエーテル型などのポリオール化合物と、多価イソシアナート化合物(例えば、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、1,4−キシリレンジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアナートなど)を反応させて得られる末端イソシアナートウレタンプレポリマーに、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレートなど)を反応させて得られる。
【0049】
放射線重合性低分子量化合物は1種でも2種以上併用してもよい。
本発明では、エチレン性不飽和基を分子内に2つ有するオリゴマーとエチレン性不飽和基を分子内に3つ以上有するオリゴマーを併用するのが好ましい。
【0050】
放射線硬化型粘着剤には、必要に応じて光重合開始剤を含むことができる。光重合開始剤には基材を透過する放射線により反応するものであれば、特に制限はなく、従来知られているものを用いることができる。例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、フェニルジメトキシアセチルベンゼン等のアセトフェノン類、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン等のアントラキノン類、2−クロロチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジル、2,4,5−トリアリ−ルイミダゾール二量体(ロフィン二量体)、アクリジン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド類、等を挙げることができ、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
光重合開始剤の添加量は、ベース樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜7.5質量部がより好ましく、0.5〜5質量部がさらに好ましい。光重合開始剤の添加量が多いと放射線硬化が多地点で、かつ、急激に発生するため、放射線硬化収縮が大きくなってしまうため、従来の放射線硬化型の表面保護用粘着テープに比べ光重合開始剤の量を少なくすることも放射線硬化収縮の抑制の点から有用である。
【0052】
粘着剤には硬化剤もしくは架橋剤を含有することが好ましい。
硬化剤もしくは架橋剤としては、多価イソシアネート化合物、多価エポキシ化合物、多価アジリジン化合物、キレート化合物等を挙げることができる。
【0053】
多価イソシアネート化合物としては、特に制限がなく、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−〔2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等が挙げられる。具体的には、コロネートL〔日本ポリウレタン工業(株)製、商品名〕等を用いることができる。
【0054】
多価エポキシ化合物としては、エポキシ樹脂が挙げられ、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステルアクリレート、N原子に2つのグリジジル基が置換したアニリン類等を挙げることができる。
なお、アニリン類としては、N,N’−テトラグリシジル−m−フェニレンジアミンが挙げられる。
【0055】
多価アジリジン化合物は、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン、トリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕ホスフィンオキシド、ヘキサ〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕トリホスファトリアジン等を挙げることができる。またキレート化合物としては、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等を挙げることができる。
【0056】
硬化剤もしくは架橋剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.1〜5.0質量部がより好ましく、0.5〜4.0質量部がさらに好ましい。
なお、本発明の粘着剤層の粘着剤は、少なくとも、側鎖にエチレン性不飽和基(放射線重合性炭素−炭素二重結合でエチレン性二重結合)を有するベース樹脂、脂環式(メタ)アクリレートから導かれるモノマー単位を含むことのないアクリル系感圧性ベース樹脂および分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和基(放射線重合性炭素−炭素二重結合でエチレン性二重結合)を有するウレタンアクリレートオリゴマーから選択される樹脂もしくはオリゴマーを有する。
【0057】
(粘着剤層の厚さ)
粘着剤層の厚みは、特に限定されるものではないが、被着体表面の凹凸に合わせて選択され、例えばバンプ付ウェハに貼合させる場合には、バンプの高さよりも10〜50μm程度厚いことが好ましい。具体的には10〜500μmが好ましく、30〜400μmがより好ましく、50〜300μmがさらに好ましく、50〜150μmが特に好ましい。粘着剤は複層であってもよく、その場合は、少なくとも最外層の粘着剤が、本発明の構成を満たす放射線硬化型粘着剤であることが望ましい。また、例えば加熱により軟化する基材フィルムを用いて被着体表面に追従させる場合は、追従させる層の合計厚さが上記範囲であることが望ましく、その場合は最外層の粘着剤を1〜100μm程度まで薄くすることも可能である。
【0058】
(粘着剤層もしくは粘着剤の特性)
〔放射線硬化型粘着剤中に有するエチレン性不飽和基の含有量〕
本発明では、放射線硬化型粘着剤中に有するエチレン性不飽和基(放射線重合性炭素−炭素二重結合)の含有量は、0.2〜2.0mmol/gである。
放射線硬化型粘着剤中に有するエチレン性不飽和基は、放射線硬化型粘着剤中に含有するエチレン性不飽和基を有する化合物(側鎖にエチレン性不飽和基を有するベース樹脂のような重合体、放射線重合性低分子量化合物)が有する全てのエチレン性不飽和基の総和であり、放射線硬化型粘着剤の単位g当たりのエチレン性不飽和基の総和のモル数である。
【0059】
放射線硬化型粘着剤中に有するエチレン性不飽和基の含有量は、0.2〜1.8mmol/gが好ましく、0.2〜1.5mmol/gがより好ましく、0.5〜1.5mmol/gがより好ましい。
粘着剤が複層の場合には、全ての粘着剤を1層と見做したときに上記範囲を満たすことが好ましく、それぞれの層が上記範囲を満たすことがより好ましい。
【0060】
放射線硬化型粘着剤中に有するエチレン性不飽和基の含有量は、側鎖にエチレン性不飽和基を有するベース樹脂の場合、該ベース樹脂を合成する際に使用する(メタ)アクリル系重合体の側鎖の官能基(α)と反応し得る官能基(β)とエチレン性不飽和基を有する化合物の使用量や有するエチレン性不飽和基の数で調節でき、放射線重合性低分子量化合物が有するエチレン性不飽和基の数や配合量で調節できる。
【0061】
放射線硬化型粘着剤中に有するエチレン性不飽和基の含有量は、上記のように使用する化合物や合成原料の量で求めることもできるが、放射線硬化型粘着剤のヨウ素価〔ベース樹脂100gに付加するヨウ素(I)のg数〕を求め、Iの分子量が253.8であることから、この値をmmol/gに単位変換することで求められる。
【0062】
〔SUS板に対する紫外線硬化後の粘着力〕
本発明の放射線硬化型粘着剤(粘着剤層)は、SUS板に対する紫外線硬化後の粘着力が、0.3〜3.0N/25mmが好ましく、0.5〜3.0N/25mmがより好ましく、0.5〜1.5がさらに好ましい。
なお、紫外線硬化後とは、紫外線を積算照射量500mJ/cmとなるように粘着剤層全体を照射して硬化させた後を意味する。
【0063】
具体的には、以下のようにして求めることができる。
放射線照射前の半導体ウェハ加工用粘着テープから幅25mm×長さ150mmの試験片をそれぞれ3点採取し、その試験片をJIS R 6253に規定する280番の耐水研磨紙で仕上げたJIS G 4305に規定する厚さ1.5mm〜2.0mmのSUS鋼板上に2kgのゴムローラを3往復かけ圧着し、1時間放置後、500mJ/cmの紫外線を照射して硬化させる。硬化後、測定値がその容量の15〜85%の範囲に入るJIS B 7721に適合する引張試験機(例えば、インストロン社製の引張試験機:ツインコラム卓上モデル5567)を用いて、引張速度50mm/minで90°引きはがし法により常温(25℃)、湿度50%で粘着力を測定し、3点の平均値を求める。
【0064】
SUS板に対する紫外線硬化後の粘着力は、粘着剤組成物の分子量、放射線重合性低分子量化合物の種類や量、架橋剤を始めとする添加剤の種類や量、放射線硬化型粘着剤層の厚さ等を適宜調節することで本発明の範囲にできる。
SUS板に対する見かけの粘着力を小さくしすぎると、硬化収縮も大きくなるため、バンプウェハなど表面凹凸が大きい被着体からの剥離力は逆に大きくなってしまう。SUS板に対する見かけの粘着力が大きすぎると放射線硬化が不十分で剥離不良や糊残りが発生してしまう。
【0065】
〔粘着剤の硬化収縮応力〕
本発明の放射線硬化型粘着剤(粘着剤層)は、硬化収縮応力が、300gf以下が好ましく、50〜250gfがより好ましく、50〜200gfがさらに好ましい。
【0066】
粘着剤の硬化収縮応力は、以下のようにして求めることができる。
粘着剤(粘着剤層)の硬化収縮応力は、離型処理されたセパレータ上に塗布、乾燥させた粘着剤を積層し、約2mmの厚さ、Φ8mmの径にペレット状に打ち抜いたものを用い、硬化収縮測定装置〔例えば、松尾産業(株)製 樹脂硬化収縮率応力測定装置 「CUSTRON」〕を使用し、初期荷重−60gfをかけた状態から、照度50mWで500mJ/cmの紫外線照射し、5分後の硬化収縮応力を測定した。硬化収縮応力は圧縮方向の力のため、初期荷重とは逆向きの力となる。そのため、初期荷重はマイナスで表現している。本発明では、硬化収縮応力は初期荷重−60gfを0としたときの収縮応力を表し、例えば、初期荷重−60gf、紫外線照射後の応力値が+150gfとした場合、硬化収縮応力は、150gf−(−60gf)=210gfとなる。
【0067】
硬化収縮応力は、エチレン性不飽和基や開始剤が少ないほど小さくなる。また、エチレン性不飽和基がベースポリマーに架橋されていたり、その分子量が大きくすることでも、エチレン性不飽和基の放射線架橋時の動きを抑制するため、硬化収縮応力を抑制することができる。硬化収縮応力を小さくすることで、放射線硬化収縮時の被着体表面への噛みこみや引っかかりが少なくなるため、剥離不良や糊残りを減らすことができる。
【0068】
<その他の層>
本発明の半導体ウェハ加工用粘着テープは、接着剤層などの他の層を設けてもよい。
【0069】
(接着剤層)
接着剤層は、粘着剤層上に設けられる。
接着剤層には、硬化するために、分子内に2個以上のエポキシ基を有しているエポキシ樹脂を含み、ビスフェノール型、ナフタレン型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、フェノールアラルキル型、ビフェニル型、トリフェニルメタン型およびジシクロペンタジエン型からなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂を含有することが好ましい。
【0070】
また、接着剤層には、エポキシ樹脂と反応して硬化させる硬化剤や硬化促進剤が含まれる。
硬化剤、硬化促進剤としては、フェノール系硬化剤、酸無水物、アミン化合物、イミダゾール類、ホスフィン類が挙げられる。
【0071】
接着剤層には、高分子化合物を含有することが好ましく、例えば、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、アクリルゴム等が挙げられる。
【0072】
接着剤層は無機フィラーを含有してもよい。
無機フィラーとしては、絶縁性および熱伝導性を有していればよく、例えば、窒素化合物(窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化炭素、窒化チタンなど)、炭素化合物(炭化ケイ素、炭化フッ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステン、ダイヤモンドなど)、金属酸化物(シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ベリリウムなど)などが挙げられる。
【0073】
接着剤層の厚みは、特に制限されるものではないが、埋め込む対象となるバンプの高さによって適宜選択することができる。例えば、バンプの高さから10〜20μm程度薄ければ好ましく使用することができる。
【0074】
接着剤層は、接着剤組成物を、剥離フィルム上に塗工し、基材フィルムの粘着剤層と貼り合わせることで設けられる。
【0075】
<剥離ライナー>
半導体ウェハ加工用粘着テープは、接着剤層を有さない場合、粘着剤層上に剥離ライナーを有してもよい。剥離ライナーとしては、シリコーン離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルムなどが用いられる。また必要に応じて、シリコーン離型処理をしないポリプロピレンフィルムなども用いられる。
【0076】
<<半導体ウェハの加工方法>>
本発明の半導体ウェハの加工方法は、本発明の半導体ウェハ加工用粘着テープを使用する半導体ウェハの加工方法である。
本発明の半導体ウェハ加工用粘着テープは、半導体ウェハの加工工程ならどの工程で使用してもよい。例えば、半導体ウェハ裏面研削工程、ダイシング工程、ダイシングダイボンディング工程などが好ましく挙げられる。
【0077】
また、本発明の半導体ウェハ加工用粘着テープは、表面凹凸が10μm以上ある半導体ウェハ面に貼合して使用することが好ましい。
半導体ウェハの表面凹凸〔バンプ(電極)の高さ〕が、20〜400μmのものに適用するのがより好ましく、50〜150μmのものに適用するのがさらに好ましい。MP150406と適用範囲が若干異なります。
【0078】
半導体ウェハ表面のバンプの配設密度(高密度)は、特に限定されるものではないが、バンプの高さの倍以上のピッチ(バンプの高さ方向の頂点から、次に配置されたバンプの高さ方向の頂点までの距離)のものに対して適用できる。また、全面に均一にバンプが配置された半導体ウェハにも用いられる。
【0079】
半導体ウェハの厚さは、半導体ウェハ加工用粘着テープを用いる加工方法により裏面研削された半導体ウェハの厚さにおいて、20〜500μmが好ましく、50〜200μmがより好ましく、80〜200μmがさらに好ましい。
本発明の半導体ウェハ加工用粘着テープを用いることで、薄膜半導体ウェハを高い歩留まりで得ることができる。この半導体ウェハの加工方法は、電極付半導体ウェハを50μm以下の薄膜研削の製造方法として好適である。
【0080】
本発明の半導体ウェハの加工方法は、本発明の半導体ウェハ加工用粘着テープを半導体ウェハ面に貼合した後、放射線、特に、紫外線照射して、半導体ウェハ加工用粘着テープを剥離する工程を含むことが好ましい。
【0081】
具体的には、まず、半導体ウェハの回路パターン面(表面)に、本発明の半導体ウェハ加工用粘着テープを粘着剤層が貼合面となるように貼合する。次に、半導体ウェハの回路パターンのない面側を半導体ウェハの厚さが所定の厚さ、例えば10〜200μmになるまで研削する。その後、この半導体ウェハ加工用粘着テープの貼合された面を下側にして加熱吸着台に載せ、その状態で、半導体ウェハの回路パターンのない研削した面側に、ダイシング・ダイボンディングフィルムを貼合してもよい。
ダイシング工程を行い、その後、半導体ウェハ加工用粘着テープの基材フィルムの背面に、ヒートシールタイプ(熱融着タイプ)もしくは粘着タイプの剥離テープを接着して半導体ウェハから半導体ウェハ加工用粘着テープを剥離する。
【実施例】
【0082】
以下に、本発明を実施例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0083】
(粘着剤組成物の調製)
以下のようにして、粘着剤組成物2A〜2Gを調製した。
【0084】
1)粘着剤組成物2Aの調製
2−エチルヘキシルアクリレート80質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部、メタクリル酸5質量部からなる分子量50万からなる共重合体100質量部に対して、アクリレート5官能で質量平均分子量1,400のウレタンアクリレートオリゴマー100質量部およびポリイソシアネートのコロネートL〔日本ポリウレタン工業(株)製〕4.0質量部、光重合開始剤としてSPEEDCURE BKL〔DKSHジャパン(株)製〕5.0質量部を加えて混合して、粘着剤組成物2Aを得た。
【0085】
2)粘着剤組成物2Bの調製
2−エチルヘキシルアクリレート80質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部、メタクリル酸5質量部からなる質量平均分子量50万からなる共重合体100質量部に対して、アクリレート3官能で質量平均分子量2,000のウレタンアクリレートオリゴマー100質量部およびポリイソシアネートのコロネートL〔日本ポリウレタン工業(株)製〕4.0質量部、光重合開始剤としてSPEEDCURE BKL〔DKSHジャパン(株)製〕5.0質量部を加えて混合して、粘着剤組成物2Bを得た。
【0086】
3)粘着剤組成物2Cの調製
2−エチルヘキシルアクリレート80質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部、メタクリル酸5質量部からなる質量平均分子量50万からなる共重合体100質量部に対して、アクリレート3官能で質量平均分子量6,000のウレタンアクリレートオリゴマー100質量部およびポリイソシアネートのコロネートL〔日本ポリウレタン工業(株)製〕4.0質量部、光重合開始剤としてSPEEDCURE BKL〔DKSHジャパン(株)製〕5.0質量部を加えて混合して、粘着剤組成物2Cを得た。
【0087】
4)粘着剤組成物2Dの調製
2−エチルヘキシルアクリレート80質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部、メタクリル酸5質量部からなる分子量50万からなる共重合体100質量部に対して、アクリレート5官能で質量平均分子量1,400のウレタンアクリレートオリゴマー80質量部およびアクリレート2官能で質量平均分子量3,000のウレタンアクリレートオリゴマー20部およびポリイソシアネートのコロネートL〔日本ポリウレタン工業(株)製〕4.0質量部、光重合開始剤としてSPEEDCURE BKL〔DKSHジャパン(株)製〕5.0質量部を加えて混合して、粘着剤組成物2Dを得た。
【0088】
5)粘着剤組成物2Eの調製
2−エチルヘキシルアクリレート80質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部、メタクリル酸5質量部からなる質量平均分子量50万からなる共重合体100質量部に対して、アクリレート5官能で質量平均分子量1,000のウレタンアクリレートオリゴマー100質量部およびポリイソシアネートのコロネートL〔日本ポリウレタン工業(株)製〕4.0質量部、光重合開始剤としてSPEEDCURE BKL〔DKSHジャパン(株)製〕5.0質量部を加えて混合して、粘着剤組成物2Eを得た。
【0089】
5)粘着剤組成物2Fの調製
2−エチルヘキシルアクリレート80質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部、メタクリル酸5質量部からなる質量平均分子量50万からなる共重合体100質量部に対して、アクリレート6官能で質量平均分子量800のウレタンアクリレートオリゴマー100質量部およびポリイソシアネートのコロネートL〔日本ポリウレタン工業(株)製〕4.0質量部、光重合開始剤としてSPEEDCURE BKL〔DKSHジャパン(株)製〕5.0質量部を加えて混合して、粘着剤組成物2Fを得た。
【0090】
6)粘着剤組成物2Gの調製
2−エチルヘキシルアクリレート80質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部、メタクリル酸5質量部からなる質量平均分子量50万からなる共重合体100質量部に対して、アクリレート3官能で質量平均分子量3,000のウレタンアクリレートオリゴマー20質量部およびポリイソシアネートのコロネートL〔日本ポリウレタン工業(株)製〕2.0質量部、光重合開始剤としてSPEEDCURE BKL〔DKSHジャパン(株)製〕5.0質量部を加えて混合して、粘着剤組成物2Gを得た。
【0091】
実施例1
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)のセパレータ上に、乾燥後の膜厚が90μmとなるように粘着剤組成物2Aを塗布し、乾燥させた後、厚さ140μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルムからなる基材フィルムと貼りあわせ、厚さ230μmの半導体ウェハ加工用粘着テープを製造した。
【0092】
実施例2
実施例1において、粘着剤組成物2Aを粘着剤組成物2Bに替えた以外は、実施例1と同様にして、半導体ウェハ加工用粘着テープを製造した。
【0093】
実施例3
実施例1において、粘着剤組成物2Aを粘着剤組成物2Cに替えた以外は、実施例1と同様にして、半導体ウェハ加工用粘着テープを製造した。
【0094】
実施例4
実施例1において、粘着剤組成物2Aを粘着剤組成物2Dに替えた以外は、実施例1と同様にして、半導体ウェハ加工用粘着テープを製造した。
【0095】
比較例1
実施例1において、粘着剤組成物2Aを粘着剤組成物2Eに替えた以外は、実施例1と同様にして、半導体ウェハ加工用粘着テープを製造した。
【0096】
比較例2
実施例1において、粘着剤組成物2Aを粘着剤組成物2Fに替えた以外は、実施例1と同様にして、半導体ウェハ加工用粘着テープを製造した。
【0097】
比較例3
実施例1において、粘着剤組成物2Aを粘着剤組成物2Gに替えた以外は、実施例1と同様にして、半導体ウェハ加工用粘着テープを製造した。
【0098】
(評価試験)
実施例1〜4および比較例1〜3の半導体ウェハ表面加工用粘着テープにおいて、放射線硬化型粘着剤が有するエチレン性不飽和基(炭素−炭素二重結合)の含有モル量は、使用する原料から算出した。
また、SUSに対する放射線照射後の剥離力の測定、硬化収縮応力の測定、剥離力の評価、ダスト浸入および糊残りの評価の評価行った。
【0099】
[SUSに対する放射線照射後の剥離力の測定]
上記で作製した各半導体ウェハ加工用粘着テープにおいて、放射線照射前の半導体ウェハ加工用粘着テープから幅25mm×長さ150mmの試験片をそれぞれ3点採取し、その試験片をJIS R 6253に規定する280番の耐水研磨紙で仕上げたJIS G 4305に規定する厚さ1.5mm〜2.0mmのSUS鋼板上に2kgのゴムローラを3往復かけ圧着し、1時間放置後、測定値がその容量の15〜85%の範囲に入るJIS B 7721に適合する引張試験機(インストロン社製の引張試験機:ツインコラム卓上モデル5567)を用いて、引張速度50mm/minで90°引きはがし法により常温(25℃)、湿度50%で粘着力を測定し、3点の平均値を求めた。
その後、半導体ウェハ加工用粘着テープの残り部分で上記と同様の試験片を3点採取し、上記と同様にSUS鋼板に貼合して1時間放置後、500mJ/cmの紫外線を照射して硬化させた後、上記と同様にして、紫外線照射後の半導体ウェハ加工用粘着テープの粘着力を測定し、3点の平均値を求めた。
このうち、紫外線硬化後の剥離力を、下記表1に示した。
【0100】
[粘着剤の硬化収縮応力の測定]
離型処理されたセパレータ上に塗布、乾燥させた粘着剤を積層し、約2mmの厚さ、Φ8mmの径にペレット状に打ち抜いたものを用い、硬化収縮測定装置〔松尾産業(株)製 樹脂硬化収縮率応力測定装置 「CUSTRON」〕を使用し、初期荷重−60gfをかけた状態から、照度50mWで500mJ/cmの紫外線照射し、5分後の硬化収縮応力を測定した。硬化収縮応力は圧縮方向の力のため、初期荷重とは逆向きの力となる。そのため、初期荷重はマイナスで表現している。硬化収縮応力は初期荷重−60gfを0としたときの収縮応力を表し、例えば、初期荷重−60gf、紫外線照射後の応力値が+150gfとした場合、硬化収縮応力は、150gf−(−60gf)=210gfとなる。
【0101】
(半導体ウェハの加工と剥離力の評価)
表面に高さ75μmのバンプを有する8インチ径の半導体ウェハに、上記で製造した各半導体ウェハ加工用粘着テープを、貼合温度25℃で貼合した。その後、株式会社ディスコ製DFG8760(商品名)を用いて、上記の半導体ウェハ加工用粘着テープで貼合されたバンプ付半導体ウェハの裏面を2枚ずつ、200μmの厚さまで研削加工した。研削後の半導体ウェハ加工用粘着テープ付き半導体ウェハに500mJ/cmの紫外線を照射し、インストロン社製の引張試験機(ツインコラム卓上モデル5567)を用いて半導体ウェハ加工用粘着テープを剥離し、剥離時の幅が最大(200mm)となったときの剥離力において、以下の基準で評価した。
なお、表1では単に「剥離力」として示した。
【0102】
評価基準
A:20N/200mm以下
B:20N/200mmを超え50N/200mm以下
C:50N/200mmを超える
【0103】
[ダスト浸入および糊残りの評価]
剥離後の半導体ウェハを顕微鏡観察し、ダスト浸入および糊残りを調べた。
この結果を、以下の基準で評価した。
【0104】
ダスト侵入の評価基準
A:ダスト浸入が全く観測されなかった。
B:ダスト浸入がかすかに観測された。
C:ダスト浸入が明らかにはっきりと観測された。
【0105】
糊残りの評価基準
A:糊残りが全く観測されなかった。
B:糊残りがかすかに観測された。
C:糊残りが明らかにはっきりと観測された。
【0106】
剥離力の評価、ダスト侵入、糊残りの評価において、いずれも、Cランクは目標レベルに達していない。
【0107】
得られた結果を、下記表1にまとめて示す。
【0108】
【表1】
【0109】
上記表1より、粘着剤中のエチレン性不飽和基の含有量が、0.2~2.0mmol/gの範囲を満たす実施例1~4の半導体ウェハ加工用粘着テープは、硬化収縮応力を300gf以下に抑制できる範囲でSUS板に対する剥離力を3N/25mm以下と十分に落とすことができるため、表面凹凸の大きいバンプウェハに対する剥離力を50N/200mm以下に抑制することができ、優れていることがわかる。
これに対して、比較例1、2の半導体ウェハ加工用粘着テープは、粘着剤中のエチレン性不飽和基の含有量が、2.0mmol/gを超え、硬化収縮応力が330gf、380gfと高いため、剥離力も50N/200mmを超え、高い。しかも、比較例2の半導体ウェハ加工用粘着テープでは、糊残りが観察された。逆に、粘着剤中のエチレン性不飽和基の含有量が、0.2mmol/g未満の比較例3の半導体ウェハ加工用粘着テープは、硬化収縮応力は120gfと低いものの、紫外線照射後の紫外線硬化が不十分であるため、SUSに対する剥離力が5.2N/25mmと高く、ダスト侵入および糊残りが観測され、これらはいずれも不十分であった。
本発明の半導体ウェハ加工用粘着テープは、上記のように、ダスト侵入と糊残りのいずれの評価にも優れており、特に、表面凹凸が75μmと、バンプの高さが10μm以上である半導体ウェハ面に貼合して使用する半導体ウェハ加工用粘着テープとして優れていることがわかる。
【要約】
【課題】段差や突起を有する半導体ウェハ表面への追従性が良好で、剥離時には半導体ウェハの破損や糊残りすることなく剥離可能な半導体ウェハ加工用粘着テープ、半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法及び半導体ウェハの加工方法を提供する。
【解決手段】基材フィルムの少なくとも一方の面に粘着剤層を有する半導体ウェハ加工用粘着テープであって、該粘着剤層の粘着剤が、少なくとも、側鎖にエチレン性不飽和基を有するポリマー、または、架橋構造でエチレン性不飽和基を有するポリマーからなり、かつ該粘着剤のゲル分率が30〜90%である半導体ウェハ加工用粘着テープ、半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法及び半導体ウェハの加工方法。
【選択図】なし