特許第6038671号(P6038671)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6038671
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】火力発電システム
(51)【国際特許分類】
   F01K 21/04 20060101AFI20161128BHJP
   F01K 7/32 20060101ALI20161128BHJP
   F02C 3/34 20060101ALI20161128BHJP
   F01K 19/02 20060101ALI20161128BHJP
   F01K 25/00 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   F01K21/04 Z
   F01K7/32
   F02C3/34
   F01K19/02
   F01K25/00 B
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-18018(P2013-18018)
(22)【出願日】2013年2月1日
(65)【公開番号】特開2014-148934(P2014-148934A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】沼田 祥平
(72)【発明者】
【氏名】中野 晋
(72)【発明者】
【氏名】柴田 貴範
(72)【発明者】
【氏名】荒木 秀文
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04353214(US,A)
【文献】 国際公開第2011/094294(WO,A2)
【文献】 米国特許第04147204(US,A)
【文献】 特開2001−330293(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0094229(US,A1)
【文献】 特開平08−189457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 21/04
F01K 7/32
F01K 19/02
F01K 25/00
F02C 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超臨界COを作動流体として酸素と燃料を加えて燃焼させる燃焼器と、
前記燃焼器から供給される超臨界CO及び水蒸気によって駆動される超臨界COタービンと、
前記超臨界COタービンにより駆動される超臨界COタービン発電機と、
前記超臨界COタービンから排出された低圧COを貯蔵する低圧CO貯蔵装置と、
前記低圧COを圧縮する超臨界CO圧縮機と、
前記超臨界CO圧縮機により圧縮された高圧超臨界COを貯蔵する高圧超臨界CO貯蔵装置と、
前記高圧超臨界CO貯蔵装置の高圧超臨界COを一定圧力で前記燃焼器に供給する高圧超臨界CO供給装置と
前記超臨界COタービンの排気の熱を二次系統の超臨界COに供給する二次系統加熱用熱交換器と、
前記二次系統加熱用熱交換器で加熱された前記二次系統の超臨界COにより駆動する二次系統超臨界COタービンと、前記二次系統超臨界COタービンの排気を冷却する二次系統冷却器と、前記二次系統冷却器により冷却されたCOを圧縮する二次系統超臨界CO圧縮機とからなる2次系統超臨界COクローズドサイクルとを備えたことを特徴とする火力発電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の火力発電システムにおいて、
前記低圧CO貯蔵装置の前に湿分除去装置を備えたことを特徴とする火力発電システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の火力発電システムにおいて、
前記低圧CO貯蔵装置はCO回収装置を備えたことを特徴とする火力発電システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の火力発電システムにおいて、
前記高圧超臨界CO貯蔵装置はCO回収装置を備えたことを特徴とする火力発電システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の火力発電システムにおいて、
前記低圧COは超臨界COであり、前記低圧CO貯蔵装置は低圧超臨界COを貯蔵することを特徴とする火力発電システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の火力発電システムにおいて、
前記超臨界CO圧縮機は前記超臨界COタービンから独立した回転軸を有し、前記超臨界CO圧縮機を駆動するための超臨界CO圧縮機駆動用モータを備えたことを特徴とする火力発電システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の火力発電システムにおいて、
前記超臨界CO圧縮機と前記超臨界COタービンの分離・接続装置と、分離時に前記超臨界CO圧縮機を駆動するための超臨界CO圧縮機駆動用モータとを備えたことを特徴とする火力発電システム。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の火力発電システムにおいて、
負荷変動する電力を検知する変動電力検知装置と、負荷変動する電力を利用して負荷を調整しながら超臨界CO圧縮機駆動用モータを駆動する超臨界CO圧縮機制御装置とを備えたことを特徴とする火力発電システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の火力発電システムにおいて、
前記燃焼器に供給される前の高圧超臨界COに対し前記超臨界COタービン排気の熱を供給する再生熱交換器を備えたことを特徴とする火力発電システム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の火力発電システムにおいて、
前記超臨界CO圧縮機は中間冷却装置を備えたことを特徴とする火力発電システム。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の火力発電システムにおいて、
前記超臨界CO圧縮機で発生した熱を貯蔵する蓄熱装置を備え、前記燃焼器に供給される前の高圧超臨界COに対し前記蓄熱装置に貯蔵した熱を供給する蓄熱式熱交換器を備えたことを特徴とする火力発電システム。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の火力発電システムにおいて、
酸素製造装置と、酸素貯蔵装置を備えたことを特徴とする火力発電システム。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の火力発電システムにおいて、
前記超臨界COタービン発電機の定格容量以下の定格容量を持つ再生可能エネルギー発電システムを備え、前記超臨界CO圧縮機は前記再生可能エネルギー発電システムにより発電した電力で駆動されることを特徴とする火力発電システム。
【請求項14】
負荷変動する電力により水素を製造する水素製造装置と、
前記水素を貯蔵する水素貯蔵装置と、
水素とCOを合成しメタンを製造するメタン製造装置と、
前記メタンを貯蔵するメタン貯蔵装置と、
超臨界COを作動流体として酸素と前記メタンを燃焼させる燃焼器と、
前記燃焼器から供給される超臨界CO及び水蒸気によって駆動される超臨界COタービンと、
前記超臨界COタービン排気から湿分を除去する湿分除去装置と、
前記湿分除去装置により湿分を除去された前記超臨界COタービン排気の低圧COを貯留する低圧CO貯留装置と、
前記低圧CO貯留装置から燃料により増加した分のCOを前記メタン製造装置に供給する余剰CO供給装置と、
前記低圧COを圧縮する超臨界CO圧縮機と、
前記超臨界CO圧縮機により圧縮された高圧超臨界COを前記超臨界COタービン排気により加熱する再生熱交換器とを備えたことを特徴とする火力発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電システムに係り、特に燃焼器とガスタービンを利用する火力発電システムに関わる。
【背景技術】
【0002】
天然ガス等の化石燃料を燃料とするガスタービンを備えた火力発電システムにおいては、化石燃料の有効活用と環境負荷低減の観点からシステムの高効率化とNOxやCO2の排出抑制が要求され技術開発が進められている。高効率化については、高圧力比化や燃焼温度の高温化が図られている。ここで一定以上の燃焼温度の高温化は空気中の窒素と酸素の反応を引き起こしNOx生成の原因となるため各種対策が図られる。また、CO2の排出抑制については、化学吸着法等による分離・回収技術が注目されている。
【0003】
高効率化とNOxやCO2の排出抑制を両立する技術として、作動流体に空気を用いず酸素と燃料を反応させる酸素燃焼技術がある。作動流体として水蒸気やCO2を利用すれば、高効率化のために燃焼温度を高温化してもNOxを排出せず、排気ガスには水蒸気とCO2しか含まないので水蒸気を凝縮させればCO2を容易に回収することができる。主たる作動流体として水蒸気を利用する場合は、通常の石炭火力発電所やガスタービンコンバインドサイクル発電所に用いられている蒸気タービンと同等の大きさの復水器が必要であるため、小型高効率を狙ってCO2を主に利用するシステムが提案されている。このシステムとしては、たとえば特許文献1や特許文献2に開示されている。
【0004】
一方、化石燃料を全く利用しない発電技術として、太陽光発電や風力発電技術があり、近年、電力構成に占める割合が高まってきている。しかし、太陽光や風力は天候等に左右される不安定な電源であるため、揚水式水力発電や火力発電で負荷を調整し、系統の電力を安定させることが必要である。火力発電による負荷調整は、太陽光や風力による電力供給の増減に合わせて起動・停止したり、部分負荷で運転したりする必要がある。ここで、電力供給が過剰な場合に圧縮機のみを稼働し圧縮空気を貯蔵する技術があり、たとえば特許文献3に開示されている。また、より高密度に効率よくエネルギーを貯蔵する技術として圧縮空気の代わりに高圧CO2(三重点CO2)を製造する方法も提案されており、たとえば特許文献4や特許文献5に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−12213号公報
【特許文献2】特開2001−159318号公報
【特許文献3】米国特許第4147204号公報
【特許文献4】特開昭63−239302号公報
【特許文献5】特開平3−215139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の火力発電技術では、太陽光や風力などの不安定な再生可能エネルギー電源の負荷調整を考慮していなかった。例えば、特許文献1や2に記載の方法は高温化による効率向上には寄与するが、酸素燃焼タービンとCO2圧縮機が連結されているため、再生可能エネルギー電源による不安定な電力供給に追随して負荷変動対応が可能なエネルギー貯蔵には適していなかった。また、特許文献3乃至5に記載の方法は、夜間に圧縮空気等を製造・貯蔵し、電力需要の高まる昼間に発電するというもので、負荷変動対応には不向きだった。更に、例えば特許文献4や5の方法においては、高圧CO2によるエネルギー貯蔵は可能だが、高圧CO2は熱交換器を介して加熱され、燃焼タービンの作動流体とは別系統であるため、高温で高効率な発電を実現することはできなかった。
【0007】
本発明は、以上のような事情を背景になされたものであり、太陽光や風力などの不安定な再生可能エネルギー電源の負荷調整に対応することができ、高温の作動流体による高効率発電を実現しつつ、NOx、CO2等の環境負荷物質の排出を抑制可能な火力発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の火力発電システムは、上記目的を達成するために、超臨界CO2を作動流体として酸素と燃料を加えて燃焼させる燃焼器と、前記燃焼器から供給される超臨界CO2及び水蒸気によって駆動される超臨界CO2タービンと、前記超臨界CO2タービンにより駆動される超臨界CO2タービン発電機と、前記超臨界CO2タービンから排出された低圧CO2を貯蔵する低圧CO2貯蔵装置と、前記低圧CO2を圧縮する超臨界CO2圧縮機と、前記超臨界CO2圧縮機により圧縮された高圧超臨界CO2を貯蔵する高圧超臨界CO2貯蔵装置と、前記高圧超臨界CO2貯蔵装置の高圧超臨界CO2を一定圧力で前記燃焼器に供給する高圧超臨界CO2供給装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、太陽光や風力などの不安定な再生可能エネルギー電源の負荷調整に対応することができ、高温の作動流体による高効率発電を実現しつつ、NOx、CO2等の環境負荷物質の排出を抑制可能な火力発電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1における火力発電システムを示す系統図。
図2】本発明の実施例1における火力発電システムの発電方法を示すフローチャート。
図3】本発明の実施例1における火力発電システムの負荷平準化の原理を示す模式図。
図4】本発明の実施例2における火力発電システムを示す系統図。
図5】本発明の実施例3における火力発電システムを示す系統図。
図6】本発明の実施例4における火力発電システムを示す系統図。
図7】本発明の実施例5における火力発電システムを示す系統図。
図8】本発明の実施例6における火力発電システムを示す系統図。
図9】本発明の実施例7における火力発電システムを示す系統図。
図10】本発明の実施例8における火力発電システムを示す系統図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1における火力発電システムを示す系統図である。図1において、本実施例の火力発電システムは、超臨界CO25を作動流体として酸素3と燃料4を加えて燃焼させる燃焼器101と、酸素3を燃焼器101に供給するポンプ114と、燃料4を燃焼器101に供給するポンプ113と、燃焼器101から供給される超臨界CO2及び水蒸気の混合ガス6によって駆動される超臨界CO2タービン102と、超臨界CO2タービン102により駆動される超臨界CO2タービン発電機103とを備えている。
【0013】
また、本実施例の火力発電システムは、超臨界CO2タービン102から排出されたタービン排ガス7により超臨界CO25を加熱する再生熱交換器108と、タービン排ガス7を冷却し湿分8を除去する湿分除去装置109と、タービン排ガス7から湿分を除去して分離した低圧CO29を貯蔵し、また余剰CO210を回収する回収装置を備えた低圧CO2貯蔵装置106と、低圧CO29を圧縮して超臨界CO2を製造する超臨界CO2圧縮機104と、系統電力1により超臨界CO2圧縮機104を駆動するモータ105とを備えている。
【0014】
更に、本実施例の火力発電システムは、系統電力1の負荷変動を検知する変動電力検知装置117と、前記変動電力検知装置117の検知結果に基づき超臨界CO2圧縮機104の出力を制御する超臨界CO2圧縮機負荷制御装置118と、超臨界CO2圧縮機104により圧縮された高圧超臨界CO211を貯蔵する高圧超臨界CO2貯蔵装置107と、超臨界CO2圧縮機104が駆動していないときに閉止するバルブ115と、高圧超臨界CO2貯蔵装置107の高圧超臨界CO25を一定圧力で燃焼器101に供給する高圧超臨界CO2供給装置112とを備えている。
【0015】
図2は、本発明の実施例1における火力発電システムの発電方法を示すフローチャートである。図2にしたがって、本実施例の火力発電システムの運用方法を説明する。図2において、ステップS100〜S102は超臨界CO2圧縮機104の運用方法、ステップS200〜209は超臨界CO2タービン102の運用方法に属しており、それぞれ別個に動作する。
【0016】
超臨界CO2圧縮機104の運用方法では、まずステップS100において、電力系統1の太陽光や風力等の負荷変動する再生可能エネルギーによる変動電力が入力される。次に、ステップS101において、変動電力に応じて超臨界CO2圧縮機104が駆動し、低圧CO2貯蔵装置106にある低圧のCO29を圧縮して高圧の超臨界CO2を製造する。ここで、低圧のCO29は臨界点近傍の超臨界CO2であってもよい。次に、ステップS102において、ステップS101により製造した高圧超臨界CO2を高圧超臨界CO2貯蔵装置107に貯蔵する。
【0017】
なお、本実施例では、系統電力1の変動電力を変動電力検知装置117で検知し、検知した変動電力に対応して超臨界CO2圧縮機104が駆動されるように、超臨界CO2圧縮機負荷制御装置118によって超臨界CO2圧縮機104の出力を制御することを想定している。
【0018】
一方、超臨界CO2タービン102の運用方法では、ステップS200において発電設備を起動することが決定された後、まずステップS201において、高圧超臨界CO2貯蔵装置107に貯蔵された高圧超臨界CO25を高圧超臨界CO2供給装置112により一定圧で供給する。次にステップ202において、一定圧の高圧超臨界CO25は、再生熱交換器108により加熱される。次にステップS203において、一定圧の高圧超臨界CO25と、それぞれポンプ113、114により一定圧で供給される燃料4及び酸素3が燃焼器101において混合燃焼する。次にステップS204において、ステップS203で生じた超臨界CO2と水蒸気の混合ガス6によって超臨界CO2タービン102が駆動する。次にステップS205において、超臨界CO2タービン102に連結された発電機103が駆動して発電する。
【0019】
そして、超臨界CO2タービン102から排出されたタービン排ガス7は、ステップS206において、再生熱交換器108に導入されステップS202の高圧超臨界CO25の加熱に利用される。このように再生熱交換器108を用いて、燃焼器101に挿入される高圧超臨界CO25に対してタービン排ガス7の熱を供給することにより、システム効率の向上を図ることができる。
【0020】
その後、ステップS207において、湿分除去装置109によりタービン排ガス7が冷却され、湿分8が除去される。次にステップS208において、タービン排ガス7から湿分8を除去して分離した低圧CO29は低圧CO2貯蔵装置106に貯蔵される。ここで、低圧のCO29は臨界点近傍の超臨界CO2であってもよく、低圧CO2貯蔵装置106は臨界点近傍の超臨界CO2貯蔵装置であってもよい。
【0021】
最後に、ステップS209において、CO2回収装置を備えた低圧CO2貯蔵装置106から余剰CO210が回収される。これにより、CO2の大気中への放出を抑制する事ができる。
【0022】
なお、上記の運用方法において、ステップS101では、ステップS208により貯蔵された低圧CO2を圧縮し、ステップS201では、ステップS102により貯蔵された高圧超臨界CO2を利用するが、それぞれ低圧CO2貯蔵装置106と高圧超臨界CO2貯蔵装置107がバッファとなっているため、ステップS100〜S103の超臨界CO2圧縮機104の運用とステップS200〜209の超臨界CO2タービン102の運用は、それぞれ別個に動作する。
【0023】
図3は、本発明の実施例1における火力発電システムによる負荷平準化の原理を示す模式図である。図3を用いて、本実施例の火力発電システムを用いた負荷平準化方法を説明する。グラフ200は、横軸を時刻、縦軸を出力とした、太陽光または風力等の変動する再生可能エネルギーの発電電力の例である。このように、太陽光や風力等の発電設備では、安定して定格出力の発電をすることはなく、時間毎の出力は定格出力の0%から100%まで変動する。本実施例では、平均出力は定格出力の約25%程度である。
【0024】
本発明の火力発電システムでは、この変動する再生可能エネルギーの電力200を用いてモータ105を駆動する。そして、モータ105に連結された超臨界CO2圧縮機104により、低圧CO2貯蔵装置106の低圧CO2を圧縮して高圧超臨界CO2を製造し、高圧超臨界CO2貯蔵装置107に貯蔵する。即ち、超臨界CO2圧縮機104と超臨界CO2タービン102とが独立した回転軸を有し、前記超臨界CO2圧縮機を駆動するための超臨界CO2圧縮機駆動用モータを備えたことにより、系統電力1の変動電力を吸収・貯蔵して負荷の平準化を図ることができる。
【0025】
グラフ201は、横軸を時刻、縦軸を質量または圧力とし、高圧超臨界CO2貯蔵装置107に貯蔵された高圧超臨界CO2の量を表す。グラフに示すように、高圧超臨界CO2貯蔵装置107中には一定量以上の高圧超臨界CO2が蓄えられているため、再生可能エネルギーの電力200の変動の影響が緩和される。
【0026】
さらに、高圧超臨界CO2貯蔵装置107に貯蔵された高圧超臨界CO2を高圧超臨界CO2供給装置112により一定圧で燃焼器101に供給し、超臨界CO2タービン102を常時高効率の定格出力で駆動することにより、発電機103は安定した電力を発電する。グラフ202は、横軸を時刻、縦軸を出力として、発電機103による発電電力を表す。発電機103による発電電力202のうち、網掛け部203は再生可能エネルギーによる発電電力分を示しており、再生可能エネルギーの変動する電力200がならされて平均出力分が安定して供給されていることが分かる。
【0027】
したがって、本実施例の火力発電システムによれば、再生可能エネルギーによる不安定な系統電力1の負荷を吸収してエネルギー貯蔵することによって負荷を平準化することができ、さらに超臨界CO2タービン102を常に定格で駆動することにより高効率に発電することができる。また、発電機103で出力した電力の一部をモータ105に供給することにより、系統電力1からの電力供給がない状態でも、自立発電することができる。
【0028】
即ち、本実施例の火力発電システムによれば、太陽光や風力などの不安定な再生可能エネルギー電源の電力を利用して、超臨界CO2圧縮機が負荷追随運転をすることで高圧超臨界CO2としてエネルギーを貯蔵することができ、貯蔵した高圧超臨界CO2を一定圧力で酸素燃焼タービンに供給することで常に定格出力でタービンが駆動し、NOx、CO2等の環境負荷物質の排出を抑制しつつ安定した高効率発電を実現することが可能となる。
【実施例2】
【0029】
次に、図4を用いて実施例2の特徴を説明する。図4は、本発明の実施例2における火力発電システムを示す系統図である。なお、実施例1と同様の部分についての説明は省略し、図1に示した実施例1の構成と異なる部分を中心に説明する。
【0030】
図4において、本実施例の火力発電システムは、超臨界CO2圧縮機104により圧縮された高圧超臨界CO211が持つ熱を回収し蓄える蓄熱装置120を備える。これにより、圧縮により生じた熱を捨てることなく、高圧超臨界CO2貯蔵装置107に蓄えた高圧超臨界CO25を利用する際の再加熱に利用することができる。したがって、高圧超臨界CO2貯蔵時の放熱ロスを低減し、発電効率を高めることができる。
【0031】
また、本実施例の火力発電システムは、系統電力1を用いて、空気2から酸素3を製造する酸素製造装置110と、製造した酸素3を貯蔵する酸素貯蔵装置111を備える。これにより、燃焼器101による酸素燃焼に必要な酸素を所内で用意することができる。また、超臨界CO2圧縮機104のように電力系統1の再生可能エネルギーによる変動電力を使えば電力変動を吸収してエネルギーを貯蔵する効果を持つことができ、より柔軟に再生可能エネルギー電源の負荷調整に対応することが可能となる。
【0032】
また、酸素3を燃焼器101に供給する前に再生熱交換器108により加熱する構成とすることで、酸素貯蔵装置111に貯蔵する酸素の温度が低温であっても燃焼の安定性を高めることができ、システムの効率を向上することができる。
【実施例3】
【0033】
図5は、本発明の実施例3における火力発電システムを示す系統図である。実施例3は、基本的な部分を実施例2と共有する。そのため、図4に示した実施例2と同様の部分についての説明は省略し、異なる部分を中心に、図5を用いて実施例3の特徴を説明する。
【0034】
図5において、本実施例の火力発電システムでは、低圧CO2貯蔵装置106から余剰CO210を回収するかわりに、高圧超臨界CO2貯蔵装置107から高圧超臨界CO230を回収し送出する高圧CO2回収装置130を備える。これにより、大気中へのCO2排出を抑制すると共に、EOR(Enhanced Oil Recovery)等の用途に有効な状態でCO2を回収、利用することができる。
【実施例4】
【0035】
図6は、本発明の実施例4における火力発電システムを示す系統図である。実施例4は、基本的な部分を実施例2と共有する。そのため、図4に示した実施例2と同様の部分についての説明は省略し、異なる部分を中心に、図6を用いて実施例4の特徴を説明する。
【0036】
図6において、本実施例の火力発電システムは、超臨界CO2圧縮機104と超臨界CO2タービン102を任意に連結及び分離する圧縮機・タービン連結装置140と、超臨界CO2圧縮機104とモータ105を任意に連結及び分離する圧縮機・モータ連結装置141を備える。
【0037】
このような構成を備えることにより、系統電力1が供給されない状態において、圧縮機・モータ連結装置141により超臨界CO2圧縮機104とモータ105を分離し、圧縮機・タービン連結装置140により超臨界CO2圧縮機104と超臨界CO2タービン102を連結することができ、高効率な自立発電が可能となる。
【0038】
また、系統電力1が供給される場合には、圧縮機・モータ連結装置141により超臨界CO2圧縮機104とモータ105を連結し、圧縮機・タービン連結装置140により超臨界CO2圧縮機104と超臨界CO2タービン102を分離することができ、系統電力1のエネルギーを貯蔵し負荷平準化と高効率発電を両立するシステムに切り替えることができる。
【実施例5】
【0039】
図7は、本発明の実施例5における火力発電システムを示す系統図である。実施例5は、基本的な部分を実施例2と共有する。そのため、図4に示した実施例2と同様の部分についての説明は省略し、異なる部分を中心に、図7を用いて実施例5の特徴を説明する。
【0040】
図7において、本実施例の火力発電システムは、超臨界CO2圧縮機104のかわりに、低圧超臨界CO2圧縮機151と、中間冷却器150と、高圧超臨界CO2圧縮機152を備える。このように中間冷却器150を備えることにより、圧縮時の温度上昇を抑制して高効率化を図ることができ、高圧超臨界CO2貯蔵装置107に高圧超臨界CO2を貯蔵する際の熱ロスを低減することができる。
【0041】
なお、本実施例では圧縮時の熱を蓄熱槽120でのみ回収する構成としているが、中間冷却器150を蓄熱槽120と一体としても良い。このように構成すれば、中間冷却器150で回収した熱を高圧超臨界CO2供給時の加熱に利用することが可能となり、更なる高効率化を図る事ができる。
【実施例6】
【0042】
図8は、本発明の実施例6における火力発電システムを示す系統図である。実施例6は、基本的な部分を実施例2と共有する。そのため、図4に示した実施例2と同様の部分についての説明は省略し、異なる部分を中心に、図8を用いて実施例6の特徴を説明する。
【0043】
図8において、本実施例の火力発電システムは、超臨界CO2タービン排ガスの熱を利用して二次系超臨界CO2クローズドサイクルの超臨界CO260を加熱する排熱回収装置160と、二次系超臨界CO2圧縮機163と、二次系超臨界CO2タービン161と、二次系冷却器162を備える。これにより、超臨界CO2コンバインドサイクルを構成することができ、より高効率な発電を実現することができる。
【0044】
なお、本実施例では、基本的な部分を実施例2と同様としているが、実施例4のように圧縮機とタービンを連結したり、実施例5のように中間冷却器を利用する構成としても良い。このように構成することにより、自立運転システムとしても、従来のコンバインドサイクルより高効率な火力発電サイクルを実現することができる。
【実施例7】
【0045】
図9は、本発明の実施例7における発電システムを示す系統図である。実施例7は、基本的な部分を実施例2と共有する。そのため、図4に示した実施例2と同様の部分についての説明は省略し、異なる部分を中心に、図9を用いて実施例7の特徴を説明する。
【0046】
図9において、本発明の発電システムは、超臨界CO2タービンと同出力以下の定格出力の再生可能エネルギーによる発電装置300を備える。これによれば、再生可能エネルギーを導入する際に系統に負荷変動による不安定化の影響を与えることなく、最小限の化石燃料で安定した電源を構成することができる。また、電力供給時間の制御ができない太陽光や風力等の再生可能エネルギーに対して、エネルギー貯蔵システムを付加することにより、電力需要が小さい時間帯にはエネルギーを貯蔵し、電力需要が大きく電力単価が高い時間帯に電力を供給することができる。
【実施例8】
【0047】
図10は、本発明の実施例8における火力発電システムを示す系統図である。図10において、本実施例の火力発電システムは、系統電力1を用いて空気2から酸素3を製造する酸素製造装置110と、製造した酸素3を貯蔵する酸素貯蔵装置111と、超臨界CO25を作動流体として酸素3とメタン4を加えて燃焼させる燃焼器101と、酸素3を燃焼器101に供給するポンプ114と、燃焼器101から供給される超臨界CO2及び水蒸気の混合ガス6によって駆動される超臨界CO2タービン102と、超臨界CO2タービン102により駆動される超臨界CO2タービン発電機103と、超臨界CO2タービン102から排出されたタービン排ガス7により超臨界CO25を加熱する再生熱交換器108と、タービン排ガス7を冷却し湿分8を除去する湿分除去装置109と、タービン排ガス7から湿分を除去して分離した低圧CO29を貯蔵する低圧CO2貯蔵装置106と、低圧CO29を圧縮して超臨界CO2を製造する超臨界CO2圧縮機104を備える。
【0048】
更に、本実施例の火力発電システムは、系統電力1を用いて水70から酸素74と水素71を製造する水素製造装置170と、水素71を貯蔵する水素貯蔵装置171と、水素貯蔵バルブ175と、低圧CO2貯蔵装置106から余剰CO210を取り出し水素71と反応させてメタン72を製造するメタン製造装置172と、低圧CO2バルブ174と、メタン72を貯蔵するメタン貯蔵装置173と、メタン貯蔵バルブ176と、メタン貯蔵装置からメタン4を燃焼器101に供給するポンプ113を備える。
【0049】
本実施例の構成によれば、再生可能エネルギーの不安定な電力1を水素・メタン及び酸素を製造して貯蔵することができ、再生可能エネルギーの電力1で製造したメタンを燃料として用いて超臨界CO2タービンを回し、排出されたCO2を再度メタン生成に利用することで、全くCO2を排出しない、完全に閉じたクローズドサイクル発電システムを構成することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…電力系統
2…空気
3、74…酸素
4…燃料
5、11…高圧超臨界CO2
6…燃焼ガス
7…タービン排ガス
8、70…水
9、10…二酸化炭素
30…高圧CO2
60…二次系超臨界CO2
71…水素
72…メタン
101…燃焼器
102…超臨界CO2タービン
103…発電機
104…超臨界CO2圧縮機
105…モータ
106…低圧CO2貯蔵装置
107…高圧超臨界CO2貯蔵装置
108…再生熱交換器
109…湿分除去装置
110…酸素製造装置
111…酸素貯蔵装置
112…定圧超臨界CO2供給装置
113、114…ポンプ
115,116…バルブ
117…変動電力検知装置
118…超臨界CO2圧縮機制御装置
120…蓄熱槽
130…高圧CO2供給装置
140…タービン・圧縮機の分離接続装置
141…圧縮機・モータの分離接続装置
150…中間冷却器
160…2次系超臨界CO2加熱熱交換器
161…2次系超臨界CO2タービン
162…2次系超臨界CO2タービン排気冷却器
162…2次系超臨界CO2圧縮機
170…水素製造装置
171…水素貯蔵装置
172…メタン製造装置
173…メタン貯蔵装置
200…再生可能エネルギー変動電力
201…超臨界CO2貯蔵量
202…タービン出力
203…再生可能エネルギー分電力
300…再生可能エネルギー発電装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10