(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明における接着剤組成物について説明する。本発明に用いられる前記接着剤組成物中の必須成分であるオキセタン化合物はその分子中にオキセタン環を有していれば特に制限はなく、いかなる化合物も用いることが出来る。これらの内、その分子中に1〜4個のオキセタン環を有しているオキセタン化合物を用いた回路接続用部材は、硬化後にひび割れが起こりにくい点から好ましい。
【0010】
1個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(1)で示される化合物等が挙げられる。
【0012】
一般式(1)において、R
1は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基又はチエニル基である。R
2は、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基或いは3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基或いはフェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基或いはブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基或いはブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、又はエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基或いはペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等である。
【0013】
つぎに、2個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(2)で示される化合物等が挙げられる。
【0015】
一般式(2)において、R
1は、前記一般式(1)におけるものと同様の基である。R
3は、例えば、エチレン基、プロピレン基或いはブチレン基等の線状或いは分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基或いはポリ(プロピレンオキシ)基等の線状或いは分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基或いはブテニレン基等の線状或いは分枝状不飽和炭化水素基、カルボニル基、カルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基又はカルバモイル基を含むアルキレン基等である。
【0016】
また、R
3は、下記一般式(3)〜(14)で示される基から選択される多価基でもある。
【0018】
一般式(3)において、R
4は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基或いはブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子或いは臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、又はカルバモイル基である。
【0020】
一般式(4)において、R
5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、
【化5】
である。
【0022】
一般式(5)において、R
6は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基或いはブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子或いは臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、又はカルバモイル基である。
【0024】
一般式(6)において、R
5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、
【化8】
である。
【0026】
一般式(7)及び一般式(8)において、R
8は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基或いはブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子或いは臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基又はカルバモイル基である。さらにR
8は、ナフタレン環に2〜4ヶ置換していてもよい。
【0028】
2個のオキセタン環を有する化合物において、上記した化合物以外の好ましい例としては、下記一般式(15)で示される化合物がある。なお、一般式(15)において、R
1は、前記一般式(1)におけるものと同様の基である。
【0030】
3〜4個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(16)で示される化合物等が挙げられる。
【0032】
一般式(16)において、R
1は、前記一般式(1)におけるものと同様の基であり、mは3又は4である。R
9は、例えば、下記一般式(17)式(18)及び式(19)で示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記一般式(20)で示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基が挙げられる。
【0033】
【化13】
〔一般式(17)において、R
10はメチル基、エチル基又はプロピル基等の低級アルキル基である〕
【0036】
【化16】
〔一般式(20)において、nは1〜10の整数である〕
【0037】
本発明で使用するオキセタン化合物の好ましい具体例としては、以下に示す化合物がある。
【0040】
また、これら以外にも、分子量1,000〜5,000程度の比較的高分子量の1〜4個のオキセタン環を有する化合物も挙げられる。さらにオキセタンを含むポリマーとして、側鎖にオキセタン環を有するポリマー(例えば、K.Sato,A.Kameyama and T.Nishikubo,Macromolecules,25,1198(1992)を参照)等も同様に用いることが出来る。なお、本発明では2種類以上のオキセタン化合物を組み合わせて使用することができる。
【0041】
また、本発明における接着剤組成物にはオキセタン化合物の他に硬化触媒、フィルム性付与ポリマーを含むことができる。以下、それら添加可能な成分について説明する。
【0042】
本発明で用いる硬化触媒としては、オニウム塩、三級アミン、四級アンモニウム塩、イミダゾ−ル化合物、ホウ素化合物およびリン化合物などが挙げられる。
【0043】
オニウム塩としては、下記一般式(27)で表される化合物を挙げることができる。
【化19】
〔式中、カチオンはオニウムであり、ZはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、ClまたはN≡Nであり、R
11、R
12、R
13及びR
14は同一または異なる有機基であり、a、b、c、dは、それぞれ0〜3の整数であって(a+b+c+d)−pは、Zの価数に等しく、Mは、ハロゲン化物錯体の中心原子を構成する金属またはメタロイドであり、例えばB、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coなどであり、Xはハロゲン原子であり、pはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、qはハロゲン化物錯体イオン中の原子の数である〕
【0044】
上記一般式(27)中における陰イオン(MX
q+p)の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF
4-)、ヘキサフルオロホスフェート(PF
6-)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF
6-)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF
6-)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl
6-)などが挙げられる。
【0045】
また、一般式(27)において陰イオンが、一般式〔MX
q(OH)
-〕で表される陰イオンを有するオニウム塩を用いることができ、さらに、過塩素酸イオン(ClO
4-)、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CF
3SO
3-)、フルオロスルフォン酸イオン(FSO
3-)、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸陰イオン、トリニトロトルエンスルフォン酸陰イオンなどの他の陰イオンを有するオニウム塩を用いることもできる。これらのオニウム塩は、単独でまたは2種以上のものを組み合わせて使用できる。このようなオニウム塩のうち、特に有効なオニウム塩は芳香族オニウム塩である。
【0046】
これらのうちで、下記一般式(28)で表されるオニウム塩化合物が好ましい。
【化20】
(式中、R
15〜R
17はアルキル基、アリール基であり、同一であっても良く、Mはハロゲン化合物錯体の中心原子である金属又は半金属であり、B、P、As、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Se、V、Cr、Mn、Coなどであり、Xはハロゲンであり、rはMとXの種類によって決まる6までの自然数である)
【0047】
さらに、陰イオン(MX
r-)の代わりとして一般式(MX
r(OH)
-)の陰イオンも用いることができる。また、その他の陰イオン(MX
r-)の代わりの陰イオンとしては過塩素酸イオン(ClO
4-)、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF
3SO
3-)、フルオロスルホン酸イオン(FSO
3-)などを挙げることができる。これらの中で、下記一般式(29)の構造を有するものが市販され、有用である。
【0048】
【化21】
(式中、R
18〜R
20はアリール基又はアルキル基を示す)市販品の具体例としては、サンエイドSIシリーズ(三新化学)などを挙げることができる。
【0049】
三級アミンとしては、トリエタノ−ルアミン、テトラメチルヘキサンジアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノエタノ−ル、ジエチルアミノエタノ−ル、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノ−ル、N,N’−ジメチルピペラジン、ピリジン、ピコリン、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、ベンジルジメチルアミン及び2−(ジメチルアミノ)メチルフェノ−ル等がある。四級アンモニウム塩としては、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド及びステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等がある。
【0050】
イミダゾ−ル類としては、2−メチルイミダゾ−ル、2−ウンデシルイミダゾ−ル、2−エチルイミダゾ−ル、1−ベンジル−2−メチルイミダゾ−ル及び1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾ−ル等がある。ホウ素化合物としては、テトラフェニルボロン塩類、例えば、トリエチレンアミンテトラフェニルボレ−ト、N−メチルモルホリンテトラフェニルボレ−ト等がある。リン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリス−2,6ジメトキシフェニルホスフィン、トリ−pトリルホスフィン、亜リン酸トリフェニル、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエ−ト及びテトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等がある。
【0051】
これら硬化触媒の中で、オニウム塩は接着剤組成物や回路接続材料とした際の保存時の安定性と、高い反応性を両立できることから好ましい。硬化触媒の添加量は特に限定されないが、通常オキセタン化合物100重量部に対し、0.01〜20重量部である。
【0052】
本発明におけるフィルム性付与ポリマーとしては、フィルムを形成できる能力を有していれば特に制限はなく、フェノキシ樹脂、ビニル共重合体、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリスルホン等が挙げられる。フェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA、F共重合型フェノキシ樹脂等が挙げられる。
【0053】
ビニル共重合体に用いられるビニル単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、メタクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、メタクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸エイコシル、メタクリル酸エイコシル、アクリル酸ドコシル、メタクリル酸ドコシル、アクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシジエチレングリコール、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール、アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、メタクリル酸メトキシトリエチレングリコール、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸2−フルオロエチル、メタクリル酸2−フルオロエチル、アクリル酸2−シアノエチル、メタクリル酸2−シアノエチル、エチレン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0054】
これらフィルム性付与ポリマーは単独で、又は2種類以上を混合して用いることができる。フィルム性付与ポリマーの配合量は、オキセタン化合物100重量部に対して、3〜10,000重量部とすることが好ましく、5〜5,000重量部とすることがより好ましい。この配合量が3重量部未満では、フィルムとした場合の形成性が低下する傾向があり、また、10000重量部を越えると、接着力が低下する傾向がある。
【0055】
また、本発明における接着剤組成物には上記成分の他に、硬化剤を含むこともできる。硬化剤としては、アミン系、酸無水物系、フェノ−ル系硬化剤など、オキセタン化合物と硬化触媒存在下に硬化するものであれば特に限定しない。
【0056】
アミン系硬化剤の例としては、脂肪族ポリアミン、ポリアミドポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン及びその他があり、脂肪族ポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンおよびジエチルアミノプロピルアミン等が挙げられ、ポリアミドポリアミンとしては、ポリアミドポリアミンが挙げられ、脂環族ポリアミンとしては、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン及びビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等が挙げられ、芳香族ポリアミンとしては、メタキシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンおよびm−フェニレンジアミン等が挙げられ、その他としては、ジシアンジアミドおよびアジピン酸ジヒラシドが挙げられる。
【0057】
酸無水物系硬化剤の例としてはヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。フェノ−ル系硬化剤の例としては、分子中に2個以上、好ましくは3個以上のフェノ−ル性水酸基を有するものである。具体的には、フェノ−ルや置換フェノ−ル、例えば、o−クレゾ−ル、p−クレゾ−ル、t−ブチルフェノ−ル、クミルフェノ−ル、フェニルフェノ−ルとホルムアルデヒドを酸やアルカリで反応したものが挙げられる。ホルムアルデヒドの替わりに、ほかのアルデヒド、例えば、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、サリチルアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、グリオキザ−ルおよびテレフタルアルデヒドを用いたものも利用できる。レゾルシンとアルデヒドの反応物やポリビニルフェノ−ルも本発明の硬化剤として用いることができる。これら硬化剤を添加する場合の配合割合は、オキセタン化合物100重量部に対し、10〜100重量部の範囲が好ましい。
【0058】
また、本発明における接着剤組成物には上記成分の他に、反応性希釈剤、カップリング剤さらに通常用いられるエポキシ樹脂なども含むこともできる。
【0059】
具体的なエポキシ樹脂としては、フェノールエーテル系エポキシ樹脂[例えばビスフェニノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノポラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、等]:エ−テル系エポキシ樹脂〔例えば、ポリオール、ポリエーテルポリオール等とエピクロルヒドリンとの縮合物等];エステルエポキシ樹脂[例えば、グリシジル(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和単量体(アクリロニトリル等)との共重合体等]:(A−4)グリシジルアミン系エポキシ樹脂[例えば、アニリン、ジアミノジフェニルメタン、アミノフェノール類、キシリレンジアミン、ハロゲン化アニリン、ビスアミノメチルシクロヘキサン等のアミン類とエピクロルヒドリンとの縮合物等];非グリシジル型エポキシ樹脂〔例えば、脂肪族および脂環式エポキシ樹脂等];単官能エポキシ化合物〔スチレンオキサイド、クレジルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等]、多官能エポキシ化合物〔ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、トリメチロールプロバントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、等]、ビニル結合含有エポキシ化合物〔アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド等]等が挙げられる。これらエポキシ樹脂は1種類又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0060】
これらのエポキシ樹脂を用いる場合の混合量は、オキセタン化合物100重量部に対して0.01〜500重量部が好ましく、0.1〜400重量部がより好ましく、0.5〜300重量部が最も好ましい。エポキシ樹脂をの混合量が0.01重量部よりも少ない場合、実質的な添加効果が得られない傾向があり、一方500重量部を越える場合には効果速度が遅くなる傾向がある。
【0061】
本発明における導電性粒子としては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子やカーボン等があり、これら及び非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等に前記した導通層を被覆等により形成したものでも良い。プラスチックを核とした場合や熱溶融金属粒子の場合、加熱加圧により変形性を有するので接続時に電極との接触面積が増加し信頼性が向上するので好ましい。導電性粒子は、接着剤成分(オキセタン化合物、硬化触媒、フィルム性付与ポリマー等の樹脂成分)100体積に対して0.1〜30体積%の広範囲で用途により使い分ける。過剰な導電性粒子による回路の短絡等を防止するためには0.1〜10体積%がより好ましい。
【0062】
本発明の回路用接続部材を用いた電極の接続について説明する。この方法は、回路用接続部材を、基板上の相対時する電極間に形成し、加熱加圧により両電極の接触と基板間の接着を得る電極の接続方法である。電極を形成する基板としては、半導体、ガラス、セラミック等の無機質、ポリイミド、ポリカーボネート等の有機物、ガラス/エポキシ等のこれら複合の各組み合わせが適用できる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例により説明する。
【0064】
実施例1フィルム性付与ポリマーとしてビスフェノールA型フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名PKHC、数平均分子量45,000)50gを用い、これを酢酸エチルに溶解して、固形分40重量%の溶液とした。この溶液にキシリレンビスオキセタン(宇部興産(株)製、オキセタン等量167)50gとオニウム塩(三新化学(株)製、商品名サンエイドSI−100)1gを混合し、均一となるまで撹拌して樹脂溶液(a)を得た。この樹脂溶液(a)を厚み80μmのフッ素樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗布し、60℃、10分の熱風乾燥により接着剤層の厚みが25μmの回路用接続部材を得た。得られた回路用接続部材は、室温での十分な柔軟性を有し、また5℃で30日間放置してもフィルムの性質には変化がほとんどなく、良好な保存性を示した。
【0065】
実施例2導電性粒子(ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み0.02μmの金層を設けたもの)を樹脂溶液(a)の樹脂固形分100体積%に対して3体積%配合分散させ、厚み80μmのフッ素樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗布し、60℃、10分の熱風乾燥により接着剤層の厚みが25μmの回路用接続部材を得た。得られた回路用接続部材は、室温での十分な柔軟性を有し、また5℃で30日間放置しても回路用接続部材の性質には変化がほとんどなく、良好な保存性を示した。
【0066】
比較例1キシリレンビスオキセタンの代わりにビスフェノール型液状エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ株式会社製、商品名エピコート828、エポキシ当量184)を用いた以外は実施例1と同様にして、回路用接続部材を得た。
【0067】
比較例2キシリレンビスオキセタンの代わりにビスフェノール型液状エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ株式会社製、商品名エピコート828、エポキシ当量184)を用いた以外は実施例2と同様にして、回路用接続部材を得た。
【0068】
(回路の接続)実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2で得た回路用接続部材を用いて、ライン幅50μm、ピッチ100μm、厚み18μmの銅回路を500本有するフレキシブル回路板(FPC)同士を120℃、2MPaで20秒間加熱加圧して幅2mmにわたり接続した。この時、あらかじめ一方のFPC上に、回路用接続部材の接着面を貼り付けた後、70℃、0.5MPaで5秒間加熱加圧して仮接続し、その後、フッ素樹脂フィルムを剥離してもう一方のFPCと接続した。
【0069】
実施例3フィルム性付与ポリマーとしてビスフェノールA型フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名PKHC、平均分子量45,000)50gを用い、これを酢酸エチルに溶解して、固形分40%の溶液とした。この溶液にカテコールビスオキセタン(1、2−ビス[(3−メチル−3−オキセタニル)メチル]ベンゼン、オキセタン等量139)50gとオニウム塩(サンエイドSI−100(三新化学(株)製))1gを混合し、均一となるまで撹拌して樹脂溶液(b)を得た。導電性粒子(ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み0.02μmの金層を設けたもの)を樹脂溶液(b)の樹脂固形分100体積%に対して3体積%配合分散させ、厚み80μmのフッ素樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗布し、60℃、10分の熱風乾燥により接着剤層の厚みが25μmの回路用接続部材を得た。得られた回路用接続部材は、室温での十分な柔軟性を有し、また5℃で30日間放置しても回路用接続部材の性質には変化がほとんどなく、良好な保存性を示した。
【0070】
実施例4実施例3においてカテコールビスオキセタンの代わりにレゾルシノールビスオキセタン(1、3−ビス[(3−メチル−3−オキセタニル)メチル]ベンゼン、オキセタン等量139)50gを用いた以外は実施例3と同様に操作し、厚みが25μmの回路用接続部材を得た。得られた回路用接続部材は、室温での十分な柔軟性を有し、また5℃で30日間放置しても回路用接続部材の性質には変化がほとんどなく、良好な保存性を示した。
【0071】
実施例5フィルム性付与ポリマーとしてビニル共重合体A(メタクリル酸メチル:メタクリル酸:アクリル酸エチル=52.8:17.5:29.8(モル%)、平均分子量70,000)を用いた以外は実施例3と同様に操作し、接着剤層の厚みが25μmの回路接続用部材を得た。得られた回路接続用部材は、室温での充分な柔軟性を有し、また、5℃で30日間放置しても回路接続用部材の性質には変化がほとんどなく、良好な保存性を示した。
【0072】
実施例6フィルム性付与ポリマーとしてビニル共重合体B(メタクリル酸メチル:スチレン:アクリル酸エチル=40:30:30(モル%)、平均分子量50,000)を用いた以外は実施例3と同様に操作し、接着剤層の厚みが25μmの回路接続用部材を得た。得られた回路接続用部材は、室温での充分な柔軟性を有し、また、5℃で30日間放置しても回路接続用部材の性質には変化がほとんどなく、良好な保存性を示した。
【0073】
実施例7フィルム性付与ポリマーとしてビニル共重合体A(メタクリル酸メチル:メタクリル酸:アクリル酸エチル=52.8:17.5:29.8(モル%)、平均分子量70,000)を用いた以外は実施例4と同様に操作し、接着剤層の厚みが25μmの回路接続用部材を得た。得られた回路接続用部材は、室温での充分な柔軟性を有し、また、5℃で30日間放置しても回路接続用部材の性質には変化がほとんどなく、良好な保存性を示した。
【0074】
実施例8フィルム性付与ポリマーとしてビニル共重合体B(メタクリル酸メチル:スチレン:アクリル酸エチル=40:30:30(モル%)、平均分子量50,000)を用いた以外は実施例4と同様に操作し、接着剤層の厚みが25μmの回路接続用部材を得た。得られた回路接続用部材は、室温での充分な柔軟性を有し、また、5℃で30日間放置しても回路接続用部材の性質には変化がほとんどなく、良好な保存性を示した。
【0075】
実施例9カテコールビスオキセタン50gの代わりにカテコールビスオキセタン45gとビスフェノール型液状エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ株式会社製、商品名エピコート828、エポキシ当量184)5gの混合物を用いた以外は実施例3と同様に操作し、接着剤層の厚みが25μmの回路接続用部材を得た。得られた回路接続用部材は、室温での充分な柔軟性を有し、また、5℃で30日間放置しても回路接続用部材の性質には変化がほとんどなく、良好な保存性を示した。
【0076】
実施例10カテコールビスオキセタン50gの代わりにカテコールビスオキセタン45gとビスフェノール型液状エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ株式会社製、商品名エピコート828、エポキシ当量184)5gの混合物を用いた以外は実施例5と同様に操作し、接着剤層の厚みが25μmの回路接続用部材を得た。得られた回路接続用部材は、室温での充分な柔軟性を有し、また、5℃で30日間放置しても回路接続用部材の性質には変化がほとんどなく、良好な保存性を示した。
【0077】
実施例11カテコールビスオキセタン50gの代わりにカテコールビスオキセタン45gとビスフェノール型液状エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ株式会社製、商品名エピコート828、エポキシ当量184)5gの混合物を用いた以外は実施例6と同様に操作し、接着剤層の厚みが25μmの回路接続用部材を得た。得られた回路接続用部材は、室温での充分な柔軟性を有し、また、5℃で30日間放置しても回路接続用部材の性質には変化がほとんどなく、良好な保存性を示した。
【0078】
(回路の接続)実施例3及び実施例4で得た回路用接続部材を用いて、ライン幅50μm、ピッチ100μm、厚み18μmの銅回路を500本有するフレキシブル回路板(FPC)同士を130℃、40MPaで20秒間加熱加圧して幅2mmにわたり接続した。この時、あらかじめ一方のFPC上に、回路用接続部材の接着面を貼り付けた後、70℃、1MPaで5秒間加熱加圧して仮接続し、その後、フッ素樹脂フィルムを剥離してもう一方のFPCと接続した。
【0079】
(引っ張り剪断接着強さの測定)実施例1〜実施例11、比較例1及び比較例2で得た回路用接続部材を用いて接続した接続体について、高温高湿処理(85℃、85%RHの高温高湿槽中に500時間保持)前後の引っ張り剪断接着強さ(JIS、K−6850、但し、接着面積3×1mm
2、5個の平均)を求めた。結果を表1及び表2に示した。
【0080】
(接続抵抗の測定)回路の接続後、上記接続部を含むFPCの隣接回路間の抵抗値を、初期と、85℃、85%RHの高温高湿槽中に500時間保持した後にマルチメータで測定した。抵抗値は隣接回路間の抵抗150点の平均(x+3σ)で示した。結果を表1及び表2に示した。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
表1及び表2に示すように、実施例1〜11で得られた回路用接続部材は良好な接着性及び接続性を示した。また、初期の接続抵抗も低く、高温高湿試験後の抵抗の上昇もわずかであり、高い耐久性を示した。これらに対して、オキセタン化合物の代わりにエポキシ化合物を用いた比較例1、2では、充分な接着力が得られなかった。