特許第6048756号(P6048756)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6048756対物レンズ、光学ヘッド、光ディスク装置及び情報処理装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048756
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】対物レンズ、光学ヘッド、光ディスク装置及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 7/135 20120101AFI20161219BHJP
   G11B 7/095 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   G11B7/135 A
   G11B7/095 G
【請求項の数】14
【全頁数】51
(21)【出願番号】特願2013-539533(P2013-539533)
(86)(22)【出願日】2012年10月17日
(86)【国際出願番号】JP2012006648
(87)【国際公開番号】WO2013057943
(87)【国際公開日】20130425
【審査請求日】2015年6月11日
(31)【優先権主張番号】特願2011-231595(P2011-231595)
(32)【優先日】2011年10月21日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-231596(P2011-231596)
(32)【優先日】2011年10月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100109438
【弁理士】
【氏名又は名称】大月 伸介
(72)【発明者】
【氏名】山崎 文朝
(72)【発明者】
【氏名】南 和博
(72)【発明者】
【氏名】金馬 慶明
【審査官】 川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−156682(JP,A)
【文献】 特開2010−040136(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/016847(WO,A1)
【文献】 特開2011−198446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 7/12 − 7/22
G11B 7/09 − 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源側の面に、光軸に対して略同心円状に形成される第1領域と、
前記第1領域の外側に形成される第2領域と、
前記第2領域の外側に形成される第3領域とを備え、
前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域には、回折構造が形成され、
前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域は、前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域の前記回折構造によって回折される第1の波長λ1[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第1の厚さt1[mm]の光透過層を有する第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、
前記第1領域及び前記第2領域は、前記第1領域及び前記第2領域の前記回折構造によって回折される第2の波長λ2(λ2>λ1)[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第2の厚さt2(t2>t1)[mm]の光透過層を有する第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、
前記第1領域は、前記第1領域の前記回折構造によって回折される第3の波長λ3(λ3>λ2)[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第3の厚さt3(t3>t2)[mm]の光透過層を有する第3の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、
前記第1の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第1の情報記録媒体から情報を再生する時の前記第1の情報記録媒体の傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMD1とし、前記第3の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第3の情報記録媒体から情報を再生する時の前記第3の情報記録媒体の傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMD3とし、前記第1の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第1の情報記録媒体から情報を再生する時の対物レンズの傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCML1とし、前記第3の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第3の情報記録媒体から情報を再生する時の対物レンズの傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCML3としたとき、
前記第1の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第1の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC1は、CMD1+CML1で表され、
前記第3の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第3の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC3は、CMD3+CML3で表され、
前記正弦条件違反量SC1と前記正弦条件違反量SC3とは、
SC1>0及び
SC3<0
を満たし、
前記第1の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第1の情報記録媒体から情報を再生する時の焦点距離[mm]をf1とし、前記第3の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第3の情報記録媒体から情報を再生する時の焦点距離[mm]をf3とし、前記第1の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第1の情報記録媒体から情報を再生する時の開口数をNA1(ただし、0.8NA10.9)とし、前記第3の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第3の情報記録媒体から情報を再生する時の開口数をNA3(ただし、0.45NA30.52、かつ、NA3/NA1<2/3)としたとき、
前記焦点距離f1と前記焦点距離f3とは、
f3/f1≧(2・NA1)/(3・NA3)
を満たすことを特徴とする対物レンズ。
【請求項2】
前記正弦条件違反量SC1及び前記正弦条件違反量SC3は、
80≧SC1>0[mλ/deg]、及び
−140≦SC3<0[mλ/deg]
を満たすことを特徴とする請求項1記載の対物レンズ。
【請求項3】
前記焦点距離f1と前記焦点距離f3とは、
f3/f1≧1.2
を満たすことを特徴とする請求項1又は2記載の対物レンズ。
【請求項4】
前記第1領域に形成される回折構造は、階段形状の断面を有し、
前記第1の波長λ1は、390[nm]≦λ1≦430[nm]を満たし、
前記第2の波長λ2は、630[nm]≦λ2≦680[nm]を満たし、
前記第3の波長λ3は、750[nm]≦λ3≦810[nm]を満たし、
前記第1領域の前記階段形状の段差の1段は、前記第1の波長λ1のレーザ光に対して、1波長よりも大きい光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、前記第2の波長λ2のレーザ光に対して、1波長未満の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与え、前記第3の波長λ3のレーザ光に対して、1波長未満の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の対物レンズ。
【請求項5】
前記第1領域に形成される回折構造は、5段6レベルを一周期とする階段形状の断面を有し、
前記第1領域の前記階段形状の段差の1段は、前記第1の波長λ1のレーザ光に対して、約1.33波長の光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、前記第2の波長λ2のレーザ光に対して、約0.80波長の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与え、前記第3の波長λ3のレーザ光に対して、約0.67波長の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与えることを特徴とする請求項4記載の対物レンズ。
【請求項6】
前記第2領域に形成される回折構造は、階段形状の断面を有し、
前記第1の波長λ1は、390[nm]≦λ1≦430[nm]を満たし、
前記第2の波長λ2は、630[nm]≦λ2≦680[nm]を満たし、
前記第2領域の前記階段形状の段差の1段は、前記第1の波長λ1のレーザ光に対して、1波長よりも大きい光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、前記第2の波長λ2のレーザ光に対して、1波長未満の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の対物レンズ。
【請求項7】
前記第2領域に形成される回折構造は、3段4レベルを一周期とする階段形状の断面を有し、
前記第2領域の前記階段形状の段差の1段は、前記第1の波長λ1のレーザ光に対して、約1.25波長の光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、前記第2の波長λ2のレーザ光に対して、約0.75波長の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与えることを特徴とする請求項6記載の対物レンズ。
【請求項8】
前記第3領域に形成される回折構造は、鋸歯形状の断面を有し、前記第1の波長λ1のレーザ光に対して、0.5波長未満の光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の対物レンズ。
【請求項9】
前記第3領域は、前記第3領域を通過して前記第2の情報記録媒体の情報記録面に入射する前記第2の波長λ2のレーザ光に対して収差を与えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の対物レンズ。
【請求項10】
前記第2領域及び前記第3領域は、前記第2領域及び前記第3領域を通過して前記第3の情報記録媒体の情報記録面に入射する前記第3の波長λ3のレーザ光に対して収差を与えることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の対物レンズ。
【請求項11】
前記第1の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第1の情報記録媒体から情報を再生する時の焦点距離f1[mm]は、
1.6>f1≧1.3
を満たすことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の対物レンズ。
【請求項17】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源を出射した前記レーザ光を情報記録媒体の情報記録面に収束させる請求項1〜11のいずれかに記載の対物レンズと、
前記情報記録媒体によって反射されたレーザ光を受光する受光部とを備えることを特徴とする光学ヘッド。
【請求項18】
請求項17に記載の光学ヘッドと、
前記情報記録媒体を回転駆動するためのモータと、
前記光学ヘッド及び前記モータを制御する制御部とを備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項19】
請求項18に記載の光ディスク装置と、
前記光ディスク装置に記録する情報及び/又は前記光ディスク装置から再生された情報を処理する情報処理部とを備えることを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の光ディスク等の情報記録媒体の情報記録面に、レーザ光源から出射されたレーザ光を収束させる対物レンズ、当該対物レンズを備え、情報記録媒体に対して光学的に情報を記録又は再生する光学ヘッド、当該光学ヘッドを備える光ディスク装置、及び当該光ディスク装置を備える情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
青紫半導体レーザの実用化に伴い、CD(Compact Disc)及びDVD(Digital Versatile Disc)と同じ大きさで、高密度及び大容量の光情報記録媒体(以下、光ディスクとも言う)であるBlu−ray Disc(以下、BD)が実用化されている。BDは、波長400nm程度のレーザ光を出射する青紫レーザ光源と、開口数(Numerical Aperture、以下、NAとも言う)が約0.85の対物レンズとを用いて、光透過層の厚さが約0.1mmである情報記録媒体の情報記録面に対して情報を記録又は再生するための光ディスクである。なお、本明細書において、光透過層とは、情報記録媒体の表面と情報記録面との間の層を意味している。
【0003】
ところで、光透過層の厚さが異なる複数種類の光ディスクに対して、情報を記録又は再生するための単一の対物レンズ、いわゆる互換対物レンズについて、多くの方式が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1又は特許文献2には、対物レンズに回折構造(光路差付与構造)を形成することで、複数種類の光ディスクの光透過層の厚さの差によって生じる球面収差を、光源波長の差を利用して補正する互換対物レンズが開示されている。
【0005】
図27は、従来の互換対物レンズの構成を示す図である。特許文献1に示された互換対物レンズは、図27に示すように、互換対物レンズの少なくとも一つの光学面に形成された中央領域CN(内周領域)と、中央領域CNの周りに形成された中間領域MD(中周領域)と、中間領域MDの周りに形成された周辺領域OT(外周領域)とを有している。中央領域CNは、対物レンズの光軸を含む領域である。中央領域CN、中間領域MD及び周辺領域OTは同一の光学面上に、光軸を中心とする同心円状に設けられている。
【0006】
中央領域CNには第1光路差付与構造が設けられ、中間領域MDには第2光路差付与構造が設けられ、周辺領域OTには第3光路差付与構造が設けられている。第1〜第3光路差付与構造は、例えば回折構造であり、光軸を中心とする同心円状の複数の輪帯を有する。光路差付与構造は、ブレーズ型構造と階段型構造とに大別される。ブレーズ型構造の光軸を含む断面の形状は、鋸歯状の形状であり、階段型構造の光軸を含む断面の形状は、複数の小階段状を有する形状である。なお、周辺領域OTは屈折面であってもよい。
【0007】
互換対物レンズの中央領域CNは、第1の情報記録媒体、第2の情報記録媒体及び第3の情報記録媒体に情報を記録又は再生する際に用いられる第1の情報記録媒体、第2の情報記録媒体及び第3の情報記録媒体の共用領域である。第1の情報記録媒体は、例えば、NAが0.8〜0.9程度の対物レンズにより情報が記録又は再生されるBDである。第2の情報記録媒体は、例えば、NAが0.60〜0.67程度の対物レンズにより情報が記録又は再生されるDVDである。第3の情報記録媒体は、例えば、NAが0.45〜0.51程度の対物レンズにより情報が記録又は再生されるCDである。
【0008】
すなわち、互換対物レンズは、中央領域CNを通過する波長λ1の第1光束を、第1の情報記録媒体の情報記録面上に収束させ、中央領域CNを通過する波長λ2(λ2>λ1)の第2光束を、第2の情報記録媒体の情報記録面上に収束させ、中央領域CNを通過する波長λ3(λ3>λ2)の第3光束を、第3の情報記録媒体の情報記録面上に収束させる。
【0009】
また、中央領域CNに設けられた第1光路差付与構造は、第1光路差付与構造を通過する第1光束、第2光束及び第3光束に対して、第1の情報記録媒体の光透過層の厚さt1と、第2の情報記録媒体の光透過層の厚さt2(t2>t1)と、第3の情報記録媒体の光透過層の厚さt3(t3>t2)との違いによって発生する球面収差と、第1光束と第2光束と第3光束との波長の違いによって発生する球面収差とを補正する。なお、光透過層の厚さの違いによって発生する球面収差は、波長の違いによって発生する球面収差で補正していると考えることもできる。
【0010】
互換対物レンズの中間領域MDは、第1の情報記録媒体及び第2の情報記録媒体に情報を記録又は再生する際に用いられる、第1の情報記録媒体及び第2の情報記録媒体の共用領域であり、第3の情報記録媒体に情報を記録又は再生する際には用いられない。すなわち、互換対物レンズは、中間領域MDを通過する第1光束を、第1の情報記録媒体の情報記録面上に収束させ、中間領域MDを通過する第2光束を、第2の情報記録媒体の情報記録面上に収束させる。その一方で、中間領域MDを通過する第3光束は、第3の情報記録媒体の情報記録面上でフレアを形成する。
【0011】
互換対物レンズの周辺領域OTは、第1の情報記録媒体に情報を記録又は再生する際に用いられ、第2の情報記録媒体及び第3の情報記録媒体に情報を記録又は再生する際には用いられない、第1の情報記録媒体の専用領域である。すなわち、互換対物レンズは、周辺領域OTを通過する第1光束を、第1の情報記録媒体の情報記録面上に収束させる。その一方で、周辺領域OTを通過する第2光束は、第2の情報記録媒体の情報記録面上でフレアを形成し、周辺領域OTを通過する第3光束は、第3の情報記録媒体の情報記録面上でフレアを形成する。
【0012】
次に、第1の情報記録媒体であるBD、第2の情報記録媒体であるDVD及び第3の情報記録媒体であるCDに情報を記録又は再生することが可能な、従来の光学ヘッドの動作について述べる。図28は、従来の光学ヘッド100の概略構成を示す図である。従来の光学ヘッド100は、DVD70及びCD80に情報を記録又は再生する際に用いられるDVD/CD互換対物レンズ108aと、BD60に情報を記録又は再生する際に用いられるBD専用対物レンズ108bとを搭載している。
【0013】
青紫レーザ光源101から出射された波長約405nmの青紫レーザ光は、偏光ビームスプリッタ102にS偏光で入射する。偏光ビームスプリッタ102で反射された青紫レーザ光は、1/4波長板103で円偏光に変換された後、コリメートレンズ104で略平行光に変換される。略平行光に変換された青紫レーザ光は、第1ミラー105aを透過し、第2ミラー105bで反射されて折り曲げられる。第2ミラー105bで反射した青紫レーザ光は、BD専用対物レンズ108bによって、BD60の情報記録面に光スポットとして収束される。
【0014】
BD60の情報記録面で反射した青紫レーザ光は、再びBD専用対物レンズ108bを透過し、第2ミラー105bで反射される。第2ミラー105bで反射された青紫レーザ光は、第1ミラー105a及びコリメートレンズ104を透過した後、1/4波長板103で往路とは異なる直線偏光に変換される。直線偏光に変換された青紫レーザ光は、偏光ビームスプリッタ102にP偏光で入射して透過し、平板型ビームスプリッタ113にP偏光で入射して透過する。平板型ビームスプリッタ113を透過した青紫レーザ光は、アナモフィックレンズ122を介して受光素子123に導かれ、検出スポットを形成する。受光素子123で検出された青紫レーザ光は、光電変換された後に演算される。その結果、BD60の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号と、BD60の偏心に追従するためのトラッキング誤差信号と、情報信号とが生成される。
【0015】
2波長レーザ光源111から出射された波長約660nmの赤色レーザ光は、平板型ビームスプリッタ113にS偏光で入射する。平板型ビームスプリッタ113で反射された赤色レーザ光は、偏光ビームスプリッタ102を透過し、1/4波長板103で円偏光に変換された後、コリメートレンズ104で略平行光に変換される。略平行光に変換された赤色レーザ光は、第1ミラー105aで反射されて折り曲げられる。第1ミラー105aで反射した赤色レーザ光は、DVD/CD互換対物レンズ108aによって、DVD70の情報記録面に光スポットとして収束される。
【0016】
DVD70の情報記録面で反射した赤色レーザ光は、再びDVD/CD互換対物レンズ108aを透過し、第1ミラー105aで反射される。第1ミラー105aで反射された赤色レーザ光は、コリメートレンズ104を透過した後、1/4波長板103で往路とは異なる直線偏光に変換される。直線偏光に変換された赤色レーザ光は、偏光ビームスプリッタ102にP偏光で入射して透過し、平板型ビームスプリッタ113にP偏光で入射して透過する。平板型ビームスプリッタ113を透過した赤色レーザ光は、アナモフィックレンズ122を介して受光素子123に導かれ、検出スポットを形成する。受光素子123で検出された赤色レーザ光は、光電変換された後に演算される。その結果、DVD70の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号と、DVD70の偏心に追従するためのトラッキング誤差信号と、情報信号とが生成される。
【0017】
2波長レーザ光源111から出射された波長約780nmの赤外レーザ光は、平板型ビームスプリッタ113にS偏光で入射する。平板型ビームスプリッタ113で反射された赤外レーザ光は、偏光ビームスプリッタ102を透過し、1/4波長板103で円偏光に変換された後、コリメートレンズ104で略平行光に変換される。略平行光に変換された赤外レーザ光は、第1ミラー105aで反射されて折り曲げられる。第1ミラー105aで反射した赤外レーザ光は、DVD/CD互換対物レンズ108aによって、CD80の情報記録面に光スポットとして収束される。
【0018】
CD80の情報記録面で反射した赤外レーザ光は、再びDVD/CD互換対物レンズ108aを透過し、第1ミラー105aで反射される。第1ミラー105aで反射された赤外レーザ光は、コリメートレンズ104を透過した後、1/4波長板103で往路とは異なる直線偏光に変換される。直線偏光に変換された赤外レーザ光は、偏光ビームスプリッタ102にP偏光で入射して透過し、平板型ビームスプリッタ113にP偏光で入射して透過する。平板型ビームスプリッタ113を透過した赤外レーザ光は、アナモフィックレンズ122を介して受光素子123に導かれ、検出スポットを形成する。受光素子123で検出された赤外レーザ光は、光電変換された後に演算される。その結果、CD80の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号と、CD80の偏心に追従するためのトラッキング誤差信号と、情報信号とが生成される。
【0019】
BD60、DVD70及びCD80の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号の生成には、例えばアナモフィックレンズ122による非点収差法等が用いられる。非点収差法では、受光素子123上に形成される検出スポットが、4分割受光パターンを用いて検出される。
【0020】
なお、受光素子123上に形成される検出スポット径は、BD60、DVD70及びCD80のそれぞれに情報を記録又は再生するためのレーザ光の光束径に略比例する。
【0021】
ここで、BD60に情報を記録又は再生するためのレーザ光の光束径が、DVD70に情報を記録又は再生するためのレーザ光の光束径と略等しくなるよう、DVD/CD互換対物レンズ108aとBD専用対物レンズ108bとの焦点距離及び開口数を決定することが可能である。また、BD60に情報を記録又は再生するためのレーザ光の光束径が、CD80に情報を記録又は再生するためのレーザ光の光束径と略等しくなるよう、DVD/CD互換対物レンズ108aとBD専用対物レンズ108bとの焦点距離及び開口数を決定することも可能である。
【0022】
次に、第1の情報記録媒体であるBD、第2の情報記録媒体であるDVD及び第3の情報記録媒体であるCDに情報を記録又は再生することが可能な、特許文献1又は特許文献2で開示された互換対物レンズを備えた、従来の光学ヘッドの動作について述べる。
【0023】
図29は、従来の他の光学ヘッド200の概略構成を示す図である。
【0024】
青紫レーザ光源201から出射された波長約405nmの青紫レーザ光は、偏光ビームスプリッタ202にS偏光で入射する。偏光ビームスプリッタ202で反射された青紫レーザ光は、1/4波長板203で円偏光に変換された後、コリメートレンズ204で略平行光に変換される。略平行光に変換された青紫レーザ光は、ミラー205で反射されて折り曲げられる。ミラー205で反射した青紫レーザ光は、互換対物レンズ208によって、BD60の情報記録面に光スポットとして収束される。
【0025】
BD60の情報記録面で反射した青紫レーザ光は、再び互換対物レンズ208を透過し、ミラー205で反射される。ミラー205で反射された青紫レーザ光は、コリメートレンズ204を透過した後、1/4波長板203で往路とは異なる直線偏光に変換される。直線偏光に変換された青紫レーザ光は、偏光ビームスプリッタ202にP偏光で入射して透過し、平板型ビームスプリッタ213にP偏光で入射して透過する。平板型ビームスプリッタ213を透過した青紫レーザ光は、アナモフィックレンズ222を介して受光素子223に導かれ、検出スポットを形成する。受光素子223で検出された青紫レーザ光は、光電変換された後に演算される。その結果、BD60の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号と、BD60の偏心に追従するためのトラッキング誤差信号と、情報信号とが生成される。
【0026】
2波長レーザ光源211から出射された波長約660nmの赤色レーザ光は、平板型ビームスプリッタ213にS偏光で入射する。平板型ビームスプリッタ213で反射された赤色レーザ光は、偏光ビームスプリッタ202を透過し、1/4波長板203で円偏光に変換された後、コリメートレンズ204で略平行光に変換される。略平行光に変換された赤色レーザ光は、ミラー205で反射されて折り曲げられる。ミラー205で反射した赤色レーザ光は、互換対物レンズ208によって、DVD70の情報記録面に光スポットとして収束される。
【0027】
DVD70の情報記録面で反射した赤色レーザ光は、再び互換対物レンズ208を透過し、ミラー205で反射される。ミラー205で反射された赤色レーザ光は、コリメートレンズ204を透過した後、1/4波長板203で往路とは異なる直線偏光に変換される。直線偏光に変換された赤色レーザ光は、偏光ビームスプリッタ202にP偏光で入射して透過し、平板型ビームスプリッタ213にP偏光で入射する。平板型ビームスプリッタ213を透過した赤色レーザ光は、アナモフィックレンズ222を介して受光素子223に導かれ、検出スポットを形成する。受光素子223で検出された赤色レーザ光は、光電変換された後に演算される。その結果、DVD70の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号と、DVD70の偏心に追従するためのトラッキング誤差信号と、情報信号とが生成される。
【0028】
2波長レーザ光源211から出射された波長約780nmの赤外レーザ光は、平板型ビームスプリッタ213にS偏光で入射する。平板型ビームスプリッタ213で反射された赤外レーザ光は、偏光ビームスプリッタ202を透過し、1/4波長板203で円偏光に変換された後、コリメートレンズ204で略平行光に変換される。略平行光に変換された赤外レーザ光は、ミラー205で反射されて折り曲げられる。ミラー205で反射した赤外レーザ光は、互換対物レンズ208によって、CD80の情報記録面に光スポットとして収束される。
【0029】
CD80の情報記録面で反射した赤外レーザ光は、再び互換対物レンズ208を透過し、ミラー205で反射される。ミラー205で反射された赤外レーザ光は、コリメートレンズ204を透過した後、1/4波長板203で往路とは異なる直線偏光に変換される。直線偏光に変換された赤外レーザ光は、偏光ビームスプリッタ202にP偏光で入射して透過し、平板型ビームスプリッタ213にP偏光で入射して透過する。平板型ビームスプリッタ213を透過した赤外レーザ光は、アナモフィックレンズ222を介して受光素子223に導かれ、検出スポットを形成する。受光素子223で検出された赤外レーザ光は、光電変換された後に演算される。その結果、CD80の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号と、CD80の偏心に追従するためのトラッキング誤差信号と、情報信号とが生成される。
【0030】
BD60、DVD70及びCD80の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号の生成には、例えばアナモフィックレンズ222による非点収差法等が用いられる。非点収差法では、受光素子223上に形成される検出スポットが、4分割受光パターンを用いて検出される。
【0031】
なお、受光素子223上に形成される検出スポット径は、BD60、DVD70及びCD80のそれぞれに情報を記録又は再生するためのレーザ光の光束径に略比例する。
【0032】
特許文献1又は特許文献2で開示されている従来の互換対物レンズは、内周領域がBD、DVD及びCDに情報を記録又は再生する際に使用され、中周領域がBD及びDVDに情報を記録又は再生する際に使用され、外周領域がBDに情報を記録又は再生する際に使用される。そのため、外周領域の直径に相当するBDの有効径(開口径)が最大となり、内周領域の直径に相当するCDの有効径(開口径)が最小となる。
【0033】
図30は、BDに情報を記録又は再生する際に受光素子で検出される検出スポットの状態を示す図であり、図31は、DVDに情報を記録又は再生する際に受光素子で検出される検出スポットの状態を示す図であり、図32は、CDに情報を記録又は再生する際に受光素子で検出される検出スポットの状態を示す図である。
【0034】
互換対物レンズにおける、BD、DVD及びCDのそれぞれの有効径は光束径に略等しい。そのため、図28に示した従来の光学ヘッド100と図29に示した従来の光学ヘッド200との比較から明らかなように、互換対物レンズ208を用いた光学ヘッド200では、受光素子223上に形成される検出スポットは、例えば、図30図32に示すように、BD、DVD及びCDの順に小さくなる。BDの検出スポット径が最大となり、CDの検出スポット径が最小となる。
【0035】
ここで、受光素子上に形成される検出スポット径を小さくすることで、受光素子上の受光パターン自身の寸法を小さくすることができ、回路ノイズを低減できると共に、周波数特性を向上させることができる。高密度の光ディスクであるBDに情報を記録又は再生する時のノイズ性能は特に重要である。また、高倍速で情報を記録又は再生する場合は、周波数特性も重要となる。従って、受光素子上に形成される検出スポット径は、BDのノイズ性能及び周波数特性を考慮して決定される。
【0036】
一方、受光素子上に形成される検出スポット径が小さくなると、接着固定されたレーザ光源又は受光素子の位置が環境変化等によってずれることに伴う検出スポットの位置ずれの許容量が減少し、安定的なサーボ動作が困難となる。すなわち、互換対物レンズを用いた光学ヘッドでは、BDの検出スポット径に対して、DVD及びCDの検出スポット径が必ず小さくなるため、特にCDにおいて、検出スポットの位置ずれの影響が大きくなる。
【0037】
さらに、光ディスクの下面から光学ヘッドの下面までの寸法が小さい、小型かつ薄型の光学ヘッドでは、光学ヘッドを構成する各種光学部品の設置基準面を大きくすることができない。そのため、接着固定された各種光学部品及び受光素子の環境変化等による位置ずれは、従来の大型の光学ヘッドと比較して大きくなる。すなわち、小型かつ薄型の光学ヘッドでは、環境変化等による検出スポットの位置ずれが大きくなる。
【0038】
以上のように、小型かつ薄型の光学ヘッドに互換対物レンズを用いる場合、検出スポットの位置ずれの影響が非常に大きくなる懸念がある。しかしながら、特許文献1及び特許文献2には、このような課題については、一切言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】特開2011−096350号公報
【特許文献2】特開2010−198717号公報
【発明の概要】
【0040】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、検出スポットの位置ずれの許容量を拡大することができる対物レンズ、光学ヘッド、光ディスク装置及び情報処理装置を提供することを目的とするものである。
【0041】
本発明の一局面に係る対物レンズは、レーザ光源側の面に、光軸に対して略同心円状に形成される第1領域と、前記第1領域の外側に形成される第2領域と、前記第2領域の外側に形成される第3領域とを備え、前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域には、回折構造が形成され、前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域は、前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域の前記回折構造によって回折される第1の波長λ1[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第1の厚さt1[mm]の光透過層を有する第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、前記第1領域及び前記第2領域は、前記第1領域及び前記第2領域の前記回折構造によって回折される第2の波長λ2(λ2>λ1)[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第2の厚さt2(t2>t1)[mm]の光透過層を有する第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、前記第1領域は、前記第1領域の前記回折構造によって回折される第3の波長λ3(λ3>λ2)[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第3の厚さt3(t3>t2)[mm]の光透過層を有する第3の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、前記第1の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第1の情報記録媒体から情報を再生する時の前記第1の情報記録媒体の傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMD1とし、前記第3の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第3の情報記録媒体から情報を再生する時の前記第3の情報記録媒体の傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMD3とし、前記第1の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第1の情報記録媒体から情報を再生する時の対物レンズの傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCML1とし、前記第3の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第3の情報記録媒体から情報を再生する時の対物レンズの傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCML3としたとき、前記第1の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第1の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC1は、CMD1+CML1で表され、前記第3の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第3の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC3は、CMD3+CML3で表され、前記正弦条件違反量SC1と前記正弦条件違反量SC3とは、SC1>0及びSC3<0を満たす。
【0042】
この構成によれば、対物レンズは、レーザ光源側の面に、光軸に対して略同心円状に形成される第1領域と、第1領域の外側に形成される第2領域と、第2領域の外側に形成される第3領域とを備える。第1領域、第2領域及び第3領域には、回折構造が形成される。第1領域、第2領域及び第3領域は、第1領域、第2領域及び第3領域の回折構造によって回折される第1の波長λ1[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第1の厚さt1[mm]の光透過層を有する第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させる。第1領域及び第2領域は、第1領域及び第2領域の回折構造によって回折される第2の波長λ2(λ2>λ1)[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第2の厚さt2(t2>t1)[mm]の光透過層を有する第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させる。第1領域は、第1領域の回折構造によって回折される第3の波長λ3(λ3>λ2)[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第3の厚さt3(t3>t2)[mm]の光透過層を有する第3の情報記録媒体の情報記録面に収束させる。第1の情報記録媒体に情報を記録する又は第1の情報記録媒体から情報を再生する時の第1の情報記録媒体の傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMD1とし、第3の情報記録媒体に情報を記録する又は第3の情報記録媒体から情報を再生する時の第3の情報記録媒体の傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMD3とし、第1の情報記録媒体に情報を記録する又は第1の情報記録媒体から情報を再生する時の対物レンズの傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCML1とし、第3の情報記録媒体に情報を記録する又は第3の情報記録媒体から情報を再生する時の対物レンズの傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCML3としたとき、第1の情報記録媒体に情報を記録する又は第1の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC1は、CMD1+CML1で表され、第3の情報記録媒体に情報を記録する又は第3の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC3は、CMD3+CML3で表される。正弦条件違反量SC1と正弦条件違反量SC3とは、SC1>0及びSC3<0を満たす。
【0043】
本発明によれば、第1の情報記録媒体に情報を記録する又は第1の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC1の極性と、第3の情報記録媒体に情報を記録する又は第3の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC3の極性とは互いに逆になるので、第1の情報記録媒体の開口径(有効径)に対して、第3の情報記録媒体の開口径(有効径)を相対的に大きくすることができる。そのため、第1の情報記録媒体のノイズ性能及び周波数特性を満足するように第1の情報記録媒体の検出スポット径を一意に決定した場合に、第3の情報記録媒体の検出スポット径をより拡大することが可能となり、検出スポットの位置ずれの許容量を拡大することができる。
【0044】
本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の実施の形態1における光学ヘッドの概略構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態1における対物レンズアクチュエータの概略構成を模式的に示す図である。
図3】(A)は、コリメートレンズが基準位置にある場合の出射光を示す図であり、(B)は、コリメートレンズが光源側に移動した場合の出射光を示す図であり、(C)は、コリメートレンズが対物レンズ側に移動した場合の出射光を示す図である。
図4】本実施の形態1において、BDに情報を記録又は再生する際に受光素子で検出される検出スポットの状態を示す図である。
図5】本実施の形態1において、DVDに情報を記録又は再生する際に受光素子で検出される検出スポットの状態を示す図である。
図6】本実施の形態1において、CDに情報を記録又は再生する際に受光素子で検出される検出スポットの状態を示す図である。
図7】本発明の実施の形態1における互換対物レンズの構成を示す図である。
図8】BD、DVD及びCDの記録又は再生に用いられる互換領域において、互換領域で使用可能な階段形状の回折構造のレベル数と、BD、DVD及びCDそれぞれの記録又は再生に用いる回折効率が最大となる回折次数とを示す図である。
図9】本発明の実施の形態1において、BDに情報を記録又は再生する時の軸外特性を示す図である。
図10】本発明の実施の形態1において、DVDに情報を記録又は再生する時の軸外特性を示す図である。
図11】本発明の実施の形態1において、CDに情報を記録又は再生する時の軸外特性を示す図である。
図12】本発明の実施の形態1において、BDに情報を記録又は再生する時のレンズ傾き特性を示す図である。
図13】本発明の実施の形態1において、DVDに情報を記録又は再生する時のレンズ傾き特性を示す図である。
図14】本発明の実施の形態1において、CDに情報を記録又は再生する時のレンズ傾き特性を示す図である。
図15】本発明の実施の形態1において、BDに情報を記録又は再生する時のディスク傾き特性を示す図である。
図16】本発明の実施の形態1において、DVDに情報を記録又は再生する時のディスク傾き特性を示す図である。
図17】本発明の実施の形態1において、CDに情報を記録又は再生する時のディスク傾き特性を示す図である。
図18】互換対物レンズの焦点距離及び軸上厚さと、光学ヘッドの寸法との関係を説明するための模式図である。
図19】鋸歯形状の回折構造のピッチと、レーザ光の回折効率との関係を示す図である。
図20】本発明の実施の形態2における光学ヘッドの概略構成を示す図である。
図21】本発明の実施の形態2における互換対物レンズの構成を示す図である。
図22】本発明の実施の形態3における光ディスク装置の概略構成を示す図である。
図23】本発明の実施の形態4におけるコンピュータの概略構成を示す図である。
図24】本発明の実施の形態5における光ディスクプレーヤの概略構成を示す図である。
図25】本発明の実施の形態6における光ディスクレコーダの概略構成を示す図である。
図26】本発明の実施の形態7におけるゲーム装置の概略構成を示す図である。
図27】従来の互換対物レンズの構成を示す図である。
図28】従来の光学ヘッドの概略構成を示す図である。
図29】従来の他の光学ヘッドの概略構成を示す図である。
図30】BDに情報を記録又は再生する際に受光素子で検出される検出スポットの状態を示す図である。
図31】DVDに情報を記録又は再生する際に受光素子で検出される検出スポットの状態を示す図である。
図32】CDに情報を記録又は再生する際に受光素子で検出される検出スポットの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0047】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における光学ヘッドの概略構成を示す図である。
【0048】
本実施の形態1の光学ヘッド50は、第1の情報記録媒体であるBD60、第2の情報記録媒体であるDVD70及び第3の情報記録媒体であるCD80に情報を記録又は再生することが可能な互換対物レンズ8を搭載している。
【0049】
図1において、光学ヘッド50は、青紫レーザ光を出射する青紫レーザ光源1、偏光ビームスプリッタ2、1/4波長板3、コリメートレンズ4、ミラー5、互換対物レンズ8、対物レンズアクチュエータ9、赤色レーザ光及び赤外レーザ光を出射する2波長レーザ光源11、平板型ビームスプリッタ13、コリメートレンズアクチュエータ14、アナモフィックレンズ22及び受光素子23を備える。
【0050】
なお、BD60とは、波長が390nm〜430nm程度の青紫レーザ光と、NAが0.8〜0.9程度の対物レンズとにより情報が記録又は再生され、光透過層の厚さが0.05〜0.125mm程度であるBD系列の光ディスクの総称である。BD60は、BD−ROM、BD−R及びBD−RE等を含む。また、BD60は、単一の情報記録層のみ有するBD、2層の情報記録層を有するBD又は3層以上の情報記録層を有するBD等を含む。
【0051】
DVD70とは、波長が630nm〜680nm程度の赤色レーザ光と、NAが0.60〜0.67程度の対物レンズとにより情報が記録又は再生され、光透過層の厚さが0.6mm程度であるDVD系列の光ディスクの総称である。DVD70は、DVD−ROM、DVD−Video、DVD−
Audio、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW、DVD+R及びDVD+RW等を含む。
【0052】
CD80とは、波長が750nm〜810nm程度の赤外レーザ光と、NAが0.45〜0.52程度の対物レンズとにより情報が記録又は再生され、光透過層の厚さが1.2mm程度であるCD系列の光ディスクの総称である。CD80は、CD−ROM、CD−Audio、CD−Video、CD−R及びCD−RW等を含む。
【0053】
なお、本実施の形態1における互換対物レンズ8は、BD、DVD及びCD等の既存の光ディスクに限らず、光透過層の厚さが異なる複数種類の光ディスクに対して情報を記録又は再生する単一の対物レンズ及び光学ヘッドに広く適用可能であることは言うまでもない。
【0054】
ここで、BD60に情報を記録又は再生する場合の光学ヘッド50の動作について述べる。青紫レーザ光源1から出射された波長約405nmの青紫レーザ光は、偏光ビームスプリッタ2にS偏光で入射する。偏光ビームスプリッタ2で反射された青紫レーザ光は、1/4波長板3で円偏光に変換された後、コリメートレンズ4で略平行光に変換される。略平行光に変換された青紫レーザ光は、ミラー5で反射されて折り曲げられる。ミラー5で反射した青紫レーザ光は、互換対物レンズ8によって、BD60の情報記録面に光スポットとして収束される。
【0055】
BD60の情報記録面で反射した青紫レーザ光は、再び互換対物レンズ8を透過し、ミラー5で反射される。ミラー5で反射された青紫レーザ光は、コリメートレンズ4を透過した後、1/4波長板3で往路とは異なる直線偏光に変換される。直線偏光に変換された青紫レーザ光は、偏光ビームスプリッタ2にP偏光で入射して透過し、平板型ビームスプリッタ13にP偏光で入射して透過する。平板型ビームスプリッタ13を透過した青紫レーザ光は、アナモフィックレンズ22を介して受光素子23に導かれ、検出スポットを形成する。受光素子23で検出された青紫レーザ光は、光電変換された後に演算される。その結果、BD60の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号と、BD60の偏心に追従するためのトラッキング誤差信号と、情報信号とが生成される。
【0056】
次に、DVD70に情報を記録又は再生する場合の光学ヘッド50の動作について述べる。2波長レーザ光源11から出射された波長約660nmの赤色レーザ光は、平板型ビームスプリッタ13にS偏光で入射する。平板型ビームスプリッタ13で反射された赤色レーザ光は、偏光ビームスプリッタ2を透過し、1/4波長板3で円偏光に変換された後、コリメートレンズ4で略平行光に変換される。略平行光に変換された赤色レーザ光は、ミラー5で反射されて折り曲げられる。ミラー5で反射した赤色レーザ光は、互換対物レンズ8によって、DVD70の情報記録面に光スポットとして収束される。
【0057】
DVD70の情報記録面で反射した赤色レーザ光は、再び互換対物レンズ8を透過し、ミラー5で反射される。ミラー5で反射された赤色レーザ光は、コリメートレンズ4を透過した後、1/4波長板3で往路とは異なる直線偏光に変換される。直線偏光に変換された赤色レーザ光は、偏光ビームスプリッタ2にP偏光で入射して透過し、平板型ビームスプリッタ13にP偏光で入射して透過する。平板型ビームスプリッタ13を透過した赤色レーザ光は、アナモフィックレンズ22を介して受光素子23に導かれ、検出スポットを形成する。受光素子23で検出された赤色レーザ光は、光電変換された後に演算される。その結果、DVD70の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号と、DVD70の偏心に追従するためのトラッキング誤差信号と、情報信号とが生成される。
【0058】
次に、CD80に情報を記録又は再生する場合の光学ヘッド50の動作について述べる。2波長レーザ光源11から出射された波長約780nmの赤外レーザ光は、平板型ビームスプリッタ13にS偏光で入射する。平板型ビームスプリッタ13で反射された赤外レーザ光は、偏光ビームスプリッタ2を透過し、1/4波長板3で円偏光に変換された後、コリメートレンズ4で略平行光に変換される。略平行光に変換された赤外レーザ光は、ミラー5で反射されて折り曲げられる。ミラー5で反射した赤外レーザ光は、互換対物レンズ8によって、CD80の情報記録面に光スポットとして収束される。
【0059】
CD80の情報記録面で反射した赤外レーザ光は、再び互換対物レンズ8を透過し、ミラー5で反射される。ミラー5で反射された赤外レーザ光は、コリメートレンズ4を透過した後、1/4波長板3で往路とは異なる直線偏光に変換される。直線偏光に変換された赤外レーザ光は、偏光ビームスプリッタ2にP偏光で入射して透過し、平板型ビームスプリッタ13にP偏光で入射して透過する。平板型ビームスプリッタ13を透過した赤外レーザ光は、アナモフィックレンズ22を介して受光素子23に導かれ、検出スポットを形成する。受光素子23で検出された赤外レーザ光は、光電変換された後に演算される。その結果、CD80の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号と、CD80の偏心に追従するためのトラッキング誤差信号と、情報信号とが生成される。
【0060】
BD60、DVD70及びCD80の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号の生成には、例えばアナモフィックレンズ22を用いた非点収差法等が用いられる。また、BD60、DVD70及びCD80の偏心に追従するためのトラッキング誤差信号の生成には、回折格子(図示せず)によって生成されたメインビーム及びサブビームが用いられる、いわゆる3ビーム法又は差動プッシュプル法(DPP法)等が用いられる。
【0061】
なお、本実施の形態1において、青紫レーザ光源1が第1のレーザ光源の一例に相当し、2波長レーザ光源11が第2のレーザ光源及び第3のレーザ光源の一例に相当し、互換対物レンズ8が対物レンズの一例に相当し、受光素子23が受光部の一例に相当する。
【0062】
次に、本実施の形態1における対物レンズアクチュエータ9について説明する。図2は、本発明の実施の形態1における対物レンズアクチュエータの概略構成を模式的に示す図である。
【0063】
図2に示すように、複数のサスペンションワイヤ9aは、対物レンズホルダ9b(可動部)を支持している。対物レンズアクチュエータ9は、回転する光ディスクの情報トラックに光スポットが追従するよう、フォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号とに基づいて、フォーカス方向FCD及びトラッキング方向TDに互換対物レンズ8を駆動する。また、対物レンズアクチュエータ9は、フォーカス方向FCD及びトラッキング方向TDの変位に加えて、光ディスクの半径方向RDに互換対物レンズ8を傾けることも可能である。
【0064】
次に、本実施の形態1におけるコリメートレンズアクチュエータ14について説明する。コリメートレンズアクチュエータ14は、例えば、ステッピングモータ等の駆動により、コリメートレンズ4を光軸方向に移動させることが可能である。
【0065】
図3(A)は、コリメートレンズが基準位置にある場合の出射光を示す図であり、図3(B)は、コリメートレンズが光源側に移動した場合の出射光を示す図であり、図3(C)は、コリメートレンズが対物レンズ側に移動した場合の出射光を示す図である。
【0066】
図3(A)に示すように、コリメートレンズ4が基準位置にある場合、コリメートレンズ4の出射光は略平行光となる。これに対して、図3(B)に示すように、コリメートレンズ4を基準位置から光源側に移動させることによって、コリメートレンズ4の出射光は発散光となり、例えばBD60の光透過層が厚くなった場合に発生する球面収差を補正することができる。
【0067】
一方、図3(C)に示すように、コリメートレンズ4を基準位置から対物レンズ側に移動させることによって、コリメートレンズ4の出射光は収束光となり、例えばBD60の光透過層が薄くなった場合に発生する球面収差を補正することができる。すなわち、複数の情報記録面を備えたBD60において、それぞれの情報記録面の光透過層の厚さに応じてコリメートレンズ4を移動させることにより、球面収差を補正することができる。
【0068】
なお、コリメートレンズ4を移動させることにより、互換対物レンズ8の温度変化によって発生する球面収差、及び青紫レーザ光源1から出射される青紫レーザ光の波長の変化によって発生する球面収差を補正することも可能である。
【0069】
また、コリメートレンズ4が基準位置から光源側に移動することによって、コリメートレンズ4の出射光は発散光となる。これにより、仮想的に正(+)方向の物点から出射されたレーザ光を互換対物レンズ8に入射させることができる。また、コリメートレンズ4が基準位置から対物レンズ側に移動することによって、コリメートレンズ4の出射光は収束光となる。これにより、仮想的に負(−)方向の物点から出射されたレーザ光を互換対物レンズ8に入射させることができる。
【0070】
例えば、本実施の形態1においてコリメートレンズアクチュエータ14は、DVD70に情報を記録又は再生する時は、コリメートレンズ4を基準位置から互換対物レンズ側に移動させることによって、2波長レーザ光源11から出射された赤色レーザ光を収束光として互換対物レンズ8に入射させる。一方、CD80に情報を記録又は再生する時は、コリメートレンズ4を基準位置から光源側に移動させることによって、2波長レーザ光源11から出射された赤外レーザ光を発散光として互換対物レンズ8に入射させる。
【0071】
このように、コリメートレンズアクチュエータ14を用いることで、青紫レーザ光源1から出射された青紫レーザ光と、2波長レーザ光源11から出射された赤色レーザ光と、2波長レーザ光源11から出射された赤外レーザ光とを、それぞれ平行光、収束光及び発散光で互換対物レンズ8に入射させることができる。従って、BD、DVD及びCDのそれぞれの光源の波長又は光透過層の厚さの差によって生じる球面収差の一部を効果的に補正できる。そのため、互換対物レンズ8の回折構造の設計の自由度を上げることができ、回折構造のピッチを大きくして回折効率を向上させたり、製造マージンを拡大させたりすることができる。
【0072】
また、レーザ光を発散光で互換対物レンズ8に入射させることで、作動距離(Working Distance:WD)を大きくすることができる。互換対物レンズを用いた場合、特に光透過層の厚さが大きいCDに対する作動距離が小さくなる。そのため、CDに情報を記録又は再生する時には、赤外レーザ光を発散光で互換対物レンズ8に入射させることが好ましい。
【0073】
なお、それぞれの光源から出射されたレーザ光を、平行光、収束光又は発散光のうち、いずれの状態で互換対物レンズに入射させるかは、互換対物レンズの設計に因るものであって、青紫レーザ光を略平行光とし、赤色レーザを収束光とし、赤外レーザ光を発散光とする本実施の形態1の組み合わせに限定されるものではない。
【0074】
なお、コリメートレンズアクチュエータ14の構成は、ステッピングモータを用いた構成に限定されるものではなく、例えば、磁気回路又は圧電素子の駆動によるアクチュエータ等のいかなる構成であっても良い。ステッピングモータを用いた構成では、コリメートレンズの光軸方向の位置をモニタする必要がなくシステムを簡素化できる。一方、磁気回路又は圧電素子の駆動によるアクチュエータは駆動部分が小さいため、光学ヘッドの小型化に適している。
【0075】
次に、フォーカス誤差信号を得るための非点収差法について詳細に説明する。
【0076】
アナモフィックレンズ22は、直交した2軸について焦点位置を異ならせることにより、前側焦線及び後側焦線を形成する。この時、アナモフィックレンズ22の前側焦線側の焦点距離と、後側焦線側の焦点距離との差(非点隔差)によって、4分割受光パターンを形成した受光素子23上に形成される検出スポットの大きさが決定される。
【0077】
ここで、受光素子23上に形成される検出スポット径を小さくすることで、受光素子23上の受光パターンの寸法を小さくすることができる。これにより、回路ノイズを低減できると共に、周波数特性を向上させることができる。高密度の光ディスクであるBD60に情報を記録又は再生する時のノイズ性能は特に重要である。また、高倍速で情報を記録又は再生する場合は、周波数特性も重要となる。従って、受光素子23上に形成される検出スポット径は、BD60のノイズ性能及び周波数特性を考慮して決定される。
【0078】
図4は、本実施の形態1において、BDに情報を記録又は再生する際に受光素子で検出される検出スポットの状態を示す図であり、図5は、本実施の形態1において、DVDに情報を記録又は再生する際に受光素子で検出される検出スポットの状態を示す図であり、図6は、本実施の形態1において、CDに情報を記録又は再生する際に受光素子で検出される検出スポットの状態を示す図である。
【0079】
例えば、本実施の形態1の光学ヘッド50では、図4に示すように、BDに情報を記録又は再生する時の検出スポットの直径を約90μmとし、受光素子23上の4分割受光パターンの一辺の長さを130μmとしている。
【0080】
ここで、BD、DVD及びCDのそれぞれに情報を記録又は再生する時に受光素子23上に形成される検出スポット径は、BD、DVD及びCDのそれぞれに情報を記録又は再生する時の光束径に略比例する。光束径は、対物レンズの開口径に略等しい。ここで、本実施の形態1の互換対物レンズ8では、後述するように、BDの開口径APbdは2.548mmであり、DVDの開口径APdvdは2.048mmであり、CDの開口径APcdは1.775mmである。
【0081】
BDに情報を記録又は再生する時の検出スポットの直径は約90μmとしているので、図5に示すように、DVDに情報を記録又は再生する時の検出スポットの直径は約72μmとなり、図6に示すように、CDに情報を記録又は再生する時の検出スポットの直径は約63μmとなる。
【0082】
次に、本実施の形態1の互換対物レンズ8について、詳細に説明する。
【0083】
図7は、本発明の実施の形態1における互換対物レンズ8の構成を示す図である。図7の左図は、互換対物レンズ8の模式的な構成を示す平面図であり、図7の右図は、互換対物レンズ8の模式的な構成を示す断面図である。
【0084】
本実施の形態1の互換対物レンズ8は、例えば、波長λ1の青紫レーザ光を用いて情報を記録又は再生するBDと、波長λ1より大きい波長λ2の赤色レーザ光を用いて情報を記録又は再生するDVDと、波長λ2より大きい波長λ3の赤外レーザ光を用いて情報を記録又は再生するCDとを互換可能な対物レンズとして用いられる。
【0085】
互換対物レンズ8は、光源側(レーザ光の入射する側)の入射面8aにベースとなる球面又は非球面を備えている。このベースとなる球面又は非球面(以下、ベース非球面と総称する)には、互換対物レンズ8の光軸OAを中心とした輪帯状の回折構造が形成されている。一方、互換対物レンズ8は、入射面8aに対向する光ディスク側(レーザ光が出射する側)の出射面8bに、回折構造が形成されていない球面又は非球面を備えている。
【0086】
互換対物レンズ8は、レーザ光源から出射されたレーザ光を、情報記録媒体(光ディスク)の情報記録面に収束させる。互換対物レンズ8は、レーザ光源側の入射面8aに形成された、回折構造を有する内周領域(第1領域)8iと、内周領域8iの外側に形成された、回折構造を有する中周領域(第2領域)8jと、中周領域8jの外側に形成された、回折構造を有する外周領域(第3領域)8kとを備える。
【0087】
光軸OAを含む内周領域8iと、内周領域8iの周辺の中周領域8jと、中周領域8jの周辺の外周領域8kとは、それぞれ異なる回折構造を有している。
【0088】
内周領域8i、中周領域8j及び外周領域8kは、内周領域8i、中周領域8j及び外周領域8kの回折構造によって回折される第1の波長λ1(390nm≦λ1≦430nm)のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第1の厚さt1の光透過層を有するBD60(第1の情報記録媒体)の情報記録面に収束させる。
【0089】
内周領域8i及び中周領域8jは、内周領域8i及び中周領域8jの回折構造によって回折される第2の波長λ2(630nm≦λ2≦680nm)のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第2の厚さt2(t2>t1)の光透過層を有するDVD70(第2の情報記録媒体)の情報記録面に収束させる。
【0090】
内周領域8iは、内周領域8iの回折構造によって回折される第3の波長λ3(750nm≦λ3≦810nm)のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第3の厚さt3(t3>t2)の光透過層を有するCD80(第3の情報記録媒体)の情報記録面に収束させる。
【0091】
内周領域8iは、例えば5段6レベルを一周期とする階段形状の回折構造を備え、波長λ3の赤外レーザ光を用いたCDへの記録又は再生、波長λ2の赤色レーザ光を用いたDVDへの記録又は再生、及び、波長λ1の青紫レーザ光を用いたBDへの記録又は再生のいずれにも使用される互換領域である。内周領域8iは、青紫レーザ光の+2次回折光を厚さ約0.1mmの光透過層を通してBDの情報記録面に収束させ、赤色レーザ光の−1次回折光を厚さ約0.6mmの光透過層を通してDVDの情報記録面に収束させ、赤外レーザ光の−2次回折光を厚さ約1.2mmの光透過層を通してCDの情報記録面に収束させるように設計されている。この内周領域8iは、CDのNA(約0.45〜0.52)に対応する領域としている。
【0092】
なお、本実施の形態1においては、波長λ3の赤外レーザ光を用いたCDへの記録又は再生、波長λ2の赤色レーザ光を用いたDVDへの記録又は再生、及び、波長λ1の青紫レーザ光を用いたBDへの記録又は再生のいずれにも使用される内周領域8iは、5段6レベルを一周期とする階段形状の回折構造を備えるとしているが、内周領域8iの回折構造は5段6レベルに限定されるものではない。
【0093】
例えば、内周領域8iは、4段5レベルを一周期とする階段形状の回折構造を備え、青紫レーザ光の+1次回折光を厚さ約0.1mmの光透過層を通してBDの情報記録面に収束させ、赤色レーザ光の−1次回折光を厚さ約0.6mmの光透過層を通してDVDの情報記録面に収束させ、赤外レーザ光の−2次回折光を厚さ約1.2mmの光透過層を通してCDの情報記録面に収束させるように設計してもよい。
【0094】
また、例えば、内周領域8iは、6段7レベルを一周期とする階段形状の回折構造を備え、青紫レーザ光の+1次回折光を厚さ約0.1mmの光透過層を通してBDの情報記録面に収束させ、赤色レーザ光の−2次回折光を厚さ約0.6mmの光透過層を通してDVDの情報記録面に収束させ、赤外レーザ光の−3次回折光を厚さ約1.2mmの光透過層を通してCDの情報記録面に収束させるように設計してもよい。
【0095】
また、例えば、内周領域8iは、7段8レベルを一周期とする階段形状の回折構造を備え、青紫レーザ光の+2次回折光を厚さ約0.1mmの光透過層を通してBDの情報記録面に収束させ、赤色レーザ光の−2次回折光を厚さ約0.6mmの光透過層を通してDVDの情報記録面に収束させ、赤外レーザ光の−3次回折光を厚さ約1.2mmの光透過層を通してCDの情報記録面に収束させるように設計してもよい。
【0096】
また、例えば、内周領域8iは、8段9レベルを一周期とする階段形状の回折構造を備え、青紫レーザ光の+1次回折光を厚さ約0.1mmの光透過層を通してBDの情報記録面に収束させ、赤色レーザ光の−3次回折光を厚さ約0.6mmの光透過層を通してDVDの情報記録面に収束させ、赤外レーザ光の−4次回折光を厚さ約1.2mmの光透過層を通してCDの情報記録面に収束させるように設計してもよい。
【0097】
図8は、BD、DVD及びCDの記録又は再生に用いられる互換領域において、使用可能な階段形状の回折構造のレベル数と、BD、DVD及びCDそれぞれの記録又は再生に用いる回折効率が最大となる回折次数とを示す図である。
【0098】
次に、中周領域8jは、例えば3段4レベルを一周期とする階段形状の回折構造を備え、波長λ2の赤色レーザ光を用いたDVDへの記録又は再生、及び、波長λ1の青紫レーザ光を用いたBDへの記録又は再生のいずれにも使用される互換領域である。中周領域8jは、青紫レーザ光の+1次回折光を厚さ約0.1mmの光透過層を通してBDの情報記録面に収束させ、赤色レーザ光の−1次回折光を厚さ約0.6mmの光透過層を通してDVDの情報記録面に収束させるように設計されている。
【0099】
また、中周領域8jは、波長λ3の赤外レーザ光にCDの情報記録面上で収差を与えるように設計される。すなわち、中周領域8jは、赤外レーザ光の集光スポットの焦点が大きくずれるように設計される。すなわち、中周領域8jは、波長λ3の赤外レーザ光がCDの情報記録面上にフレアを形成するよう設計される。中周領域8jは、中周領域8jを通過してCD(第3の情報記録媒体)の情報記録面に入射する第3の波長λ3のレーザ光に対して収差を与える。中周領域8jは、CDに情報を記録又は再生する時には、実質的に開口制限として機能する。この中周領域8jは、DVDのNA(約0.60〜0.67)に対応する領域としている。
【0100】
なお、本実施の形態1においては、中周領域8jは、3段4レベルを一周期とする階段形状の回折構造を備えるとしているが、中周領域8jの回折構造は3段4レベルに限定されるものではない。
【0101】
そして、青紫レーザ光を用いてBDに情報を記録又は再生する際のNA(約0.85)は、上述の赤色レーザ光を用いてDVDに情報を記録又は再生する際のNA(約0.60〜0.67)よりも大きい。そのため、外周領域8kは、BDの専用領域とされ、波長λ1の青紫レーザ光をBDの情報記録面に収束させるように設計される。
【0102】
また、外周領域8kは、波長λ3の赤外レーザ光にCDの情報記録面上で収差を与えるように設計される。すなわち、外周領域8kは、波長λ3の赤外レーザ光がCDの情報記録面上にフレアを形成するように設計される。また、外周領域8kは、波長λ2の赤色レーザ光にDVDの情報記録面上で収差を与えるように設計される。すなわち、外周領域8kは、波長λ2の赤色レーザ光がDVDの情報記録面上にフレアを形成するように設計される。外周領域8kは、外周領域8kを通過してDVD(第2の情報記録媒体)の情報記録面に入射する第2の波長λ2のレーザ光に対して収差を与える。外周領域8kは、外周領域8kを通過してCD(第3の情報記録媒体)の情報記録面に入射する第3の波長λ3のレーザ光に対して収差を与える。したがって、外周領域8kは、CD及びDVDに情報を記録又は再生する時には、実質的に開口制限として機能する。
【0103】
すなわち、外周領域8kは、外周領域8kを通過する波長λ2のレーザ光を、DVD(第2の情報記録媒体)の情報記録面に収束させない。また、中周領域8j及び外周領域8kは、中周領域8j及び外周領域8kを通過する波長λ3のレーザ光を、CD(第3の情報記録媒体)の情報記録面に収束させない。
【0104】
なお、外周領域8kは、屈折面であってもよい。
【0105】
内周領域8iの回折構造の段差の一単位は、波長λ1(例えばλ1=405nm)の青紫レーザ光に対して、約1.33×λ1[nm]の光路差を与える量とする。一段あたりの位相変調量は、2π/3となる。この時、+2次回折光の回折効率は、スカラー計算で70%となる。そのため、+2次回折光は、内周領域8iの回折構造によって回折される第1の波長λ1[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光である。
【0106】
一方、内周領域8iの回折構造の段差の一単位は、波長λ2(例えばλ2=660nm)の赤色レーザ光に対して、約0.80×λ2[μm]の光路差を与える量とする。一段あたりの位相変調量は、−π/3となる。この時、−1次回折光の回折効率は、スカラー計算で約90%となる。そのため、−1次回折光は、内周領域8iの回折構造によって回折される第2の波長λ2[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光である。
【0107】
さらに、内周領域8iの回折構造の段差の一単位は、波長λ3(例えばλ3=780nm)の赤外レーザ光に対して、約0.67×λ3[nm]の光路差を与える量とする。一段あたりの位相変調量は、−2π/3となる。この時、−2次回折光の回折効率は、スカラー計算で約70%となる。そのため、−2次回折光は、内周領域8iの回折構造によって回折される第3の波長λ3[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光である。
【0108】
内周領域8iに形成される回折構造は、階段形状の断面を有している。内周領域8iの階段形状の段差の1段は、第1の波長λ1のレーザ光に対して、1波長よりも大きい光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、第2の波長λ2のレーザ光に対して、1波長未満の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与え、第3の波長λ3のレーザ光に対して、1波長未満の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与える。
【0109】
より具体的に、内周領域8iに形成される回折構造は、5段6レベルを一周期とする階段形状の断面を有している。内周領域8iの階段形状の段差の1段は、第1の波長λ1のレーザ光に対して、略1.33波長の光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、第2の波長λ2のレーザ光に対して、略0.80波長の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与え、第3の波長λ3のレーザ光に対して、略0.67波長の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与える。なお、上記の1.33波長、0.80波長及び0.67波長は、それぞれ±10%程度の誤差を含む。
【0110】
中周領域8jの回折構造の段差の一単位は、波長λ1(例えばλ1=405nm)の青紫レーザ光に対して、約1.25×λ1[nm]の光路差を与える量とする。一段あたりの位相変調量は、π/2となる。この時、+1次回折光の回折効率は、スカラー計算で約80%となる。+1次回折光は、中周領域8jの回折構造によって回折される第1の波長λ1[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光である。
【0111】
一方、中周領域8jの回折構造の段差の一単位は、波長λ2(例えばλ2=660nm)の赤色レーザ光に対して、約0.75×λ2[nm]の光路差を与える量とする。一段あたりの位相変調量は、−π/2となる。この時、−1次回折光の回折効率は、スカラー計算で約80%となる。−1次回折光は、中周領域8jの回折構造によって回折される第2の波長λ2[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光である。
【0112】
中周領域8jに形成される回折構造は、階段形状の断面を有している。中周領域8jの階段形状の段差の1段は、第1の波長λ1のレーザ光に対して、1波長よりも大きい光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、第2の波長λ2のレーザ光に対して、1波長未満の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与える。
【0113】
より具体的には、中周領域8jに形成される回折構造は、3段4レベルを一周期とする階段形状の断面を有している。中周領域8jの階段形状の断面の段差の1段は、第1の波長λ1のレーザ光に対して、略1.25波長の光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、第2の波長λ2のレーザ光に対して、略0.75波長の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与える。なお、上記の1.25波長及び0.75波長は、それぞれ±10%程度の誤差を含む。
【0114】
内周領域8iに上述の回折構造が形成されることで、波長λ1のレーザ光に対する回折構造と、波長λ2及び波長λ3のレーザ光に対する回折構造とで互いに逆方向の鋸歯形状を近似できる。また、中周領域8jに上述の回折構造が形成されることで、波長λ1のレーザ光に対する回折構造と波長λ2のレーザ光に対する回折構造とで互いに逆方向の鋸歯形状を近似できる。そのため、厚さ約1.2mmの光透過層を有するCD、厚さ約0.6mmの光透過層を有するDVD、及び厚さ約0.1mmの光透過層を有するBDに対し、高い光利用効率で、情報の互換記録又は互換再生を実現できる。
【0115】
さらに、外周領域8kは、BDの専用領域となっており、波長λ1で最適化された鋸歯形状の回折構造を有している。外周領域8kに形成される回折構造は、鋸歯形状の断面を有し、第1の波長λ1のレーザ光に対して、0.5波長未満の光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与える。
【0116】
ここで、外周領域8kに設けられる鋸歯形状の回折構造の段差の高さは、波長λ1において、+1次回折光の回折効率が最大となるように設計されている。なお、回折効率が最大となるレーザ光は、+1次回折光に限定されるものではなく、+2次回折光又は+3次回折光等、他の次数のレーザ光の回折効率が最大となるように設計してもよい。また、外周領域8kは、+1次回折光の回折効率が最大となる領域、+2次回折光の回折効率が最大となる領域、及び+3次回折光の回折効率が最大となる領域等を混在させても良い。
【0117】
ただし、外周領域8kは、BD専用領域であり、CD及びDVDに情報を記録又は再生する時には、実質的に開口制限として機能することが好ましい。従って、外周領域8kを通過する波長λ2の赤色レーザ光と波長λ3の赤外レーザ光とは、情報記録面に収束することなく、かつ、情報記録面又は情報記録面以外の面から反射した迷光が、受光素子23上に集光しないことが望まれる。なお、迷光とは、光ディスクの表面、情報記録面、光路上の光学素子又は光学ヘッドの内部等で反射して、受光素子上の検出スポットに影響を与える不要光を指す。
【0118】
次に、本発明の実施の形態1の互換対物レンズ8の数値実施例について、コンストラクションデータを示して説明する。なお、数値実施例において、非球面係数が与えられた面は、非球面形状の屈折光学面又は非球面と等価な屈折作用を有する面である。
【0119】
非球面の面形状は、以下の式(1)で定義される。
【0120】
【数1】
【0121】
上記の式(1)において、Z[mm]は、距離hにおける非球面上の点と、非球面頂点の接平面との光軸方向の距離であり、h[mm]は、光軸上の頂点からの光軸に垂直な方向の距離であり、R[mm]は、曲率半径であり、kは、円錐定数であり、Aiは、i次の非球面係数である。式(1)のZの値で決まる曲線が各面の非球面断面形状を与える。
【0122】
次に、光学面に付加された回折構造によって生じる位相差は、以下の式(2)で定義される。
【0123】
φ(h)=MΣPmh・・・・(2)
【0124】
上記の式(2)において、φ(h)[rad]は、位相関数であり、Mは、回折次数であり、h[mm]は、光軸上の頂点から光軸と垂直方向の距離であり、Pmは、m次の位相関数係数である。
【0125】
表1及び表2は、互換対物レンズ8の仕様を示している。表1は、BD、DVD及びCDのそれぞれの光ディスクに情報を記録又は再生する際の波長、焦点距離、開口数、開口径、第1面(入射面)の内周領域の回折次数、第1面の中周領域の回折次数、及び第1面の外周領域の回折次数を示している。表2において、面番号0は光源を表し、面番号1は互換対物レンズ8の第1面(入射面)を表し、面番号2は互換対物レンズ8の第2面(出射面)を表し、面番号3は光ディスクの表面(入射面)を表し、面番号4は光ディスクの情報記録面を表している。なお、面間隔は、該当する面番号と次の面番号との間の間隔を示しており、材質は、該当する面番号と次の面番号との間の材質を示している。
【0126】
【表1】
【0127】
【表2】
【0128】
表3は、互換対物レンズ8の材質であるZEONEX(日本ゼオン社製)の屈折率、及び光ディスクの光透過層の材質であるポリカーボネイトの屈折率を、波長毎に示している。また、表3は、BD、DVD及びCDのそれぞれに情報を記録又は再生する際の物点距離OP、作動距離WD及び光透過層の厚さDTを示している。なお、物点距離OP、作動距離WD及び光透過層の厚さDTは、それぞれ、表2の面間隔に対応している。
【0129】
【表3】
【0130】
表4は、互換対物レンズ8の第1面及び第2面の非球面係数Aiを示している。第1面は、内周領域、中周領域及び外周領域の3領域から構成されており、第2面は、第1領域と第2領域とから構成されている。
【0131】
また、表5は、互換対物レンズ8の第1面に形成された回折構造の位相関数係数Pmを示している。
【0132】
なお、表4及び表5における「E+03」〜「E−04」はそれぞれ10の3乗〜10の−4乗を表している。
【0133】
【表4】
【0134】
【表5】
【0135】
記録密度の大きいBDに対し、記録密度の小さいCDのほうが、記録又は再生時の検出スポットの位置ずれ許容量は大きい。ここで、発明者らは、BDの記録又は再生時の検出スポットの位置ずれ許容量に対し、CDの記録又は再生時の検出スポットの位置ずれ許容量が、1.5倍程度であることを、実験的に見いだした。
【0136】
これは、CDの記録又は再生時の検出スポット径が、BDの記録又は再生時の検出スポット径の2/3程度であれば、検出スポットの位置ずれの影響が、CDとBDとでほぼ等しくなることを示している。
【0137】
図4に示したように、本実施の形態1の光学ヘッド50におけるBDの記録又は再生時の検出スポット径は約90μmであり、CDの記録又は再生時の検出スポット径は約63μmである。このように、CDの記録又は再生時の検出スポット径は、BDの記録又は再生時の検出スポット径の2/3以上となっている。
【0138】
従って、BDのノイズ性能と周波数特性とを満足し、かつ、BDの検出スポットの位置ずれの影響が許容範囲内になるように、受光素子上に形成される検出スポット径を決定した場合、CDの検出スポットの位置ずれの影響も許容範囲内となる。
【0139】
次に、図9図17を用いて、本実施の形態1の互換対物レンズ8の軸外特性について詳細に説明する。図9図17において、RMSはトータルの波面収差を示し、AS3は3次非点収差を示し、CM3は3次コマ収差を示し、SA3は3次球面収差を示している。
【0140】
図9図11は、本実施の形態1の互換対物レンズ8において、BD、DVD及びCDに情報を記録又は再生する時に、互換対物レンズ8の光軸に対して傾斜した光線が入射した場合の収差特性、いわゆる軸外特性を示している。図9図11において、横軸は入射光線の軸外角度(画角)[deg]を示し、縦軸は各収差成分の収差量[mλ]を示している。図9は、本発明の実施の形態1において、BDに情報を記録又は再生する時の軸外特性を示す図であり、図10は、本発明の実施の形態1において、DVDに情報を記録又は再生する時の軸外特性を示す図であり、図11は、本発明の実施の形態1において、CDに情報を記録又は再生する時の軸外特性を示す図である。
【0141】
次に、図12図14は、本実施の形態1の互換対物レンズ8において、BD、DVD及びCDに情報を記録又は再生する時に、互換対物レンズ8が傾斜した場合の収差特性、いわゆるレンズ傾き特性を示している。図12図14において、横軸はレンズ傾き[deg]を示し、縦軸は各収差成分の収差量[mλ]を示している。図12は、本発明の実施の形態1において、BDに情報を記録又は再生する時のレンズ傾き特性を示す図であり、図13は、本発明の実施の形態1において、DVDに情報を記録又は再生する時のレンズ傾き特性を示す図であり、図14は、本発明の実施の形態1において、CDに情報を記録又は再生する時のレンズ傾き特性を示す図である。
【0142】
次に、図15図17は、BD、DVD及びCDに情報を記録又は再生する時に、それぞれ光ディスクが傾斜した場合の収差特性、いわゆるディスク傾き特性を示している。図15図17において、横軸はディスク傾き[deg]を示し、縦軸は各収差成分の収差量[mλ]を示している。図15は、本発明の実施の形態1において、BDに情報を記録又は再生する時のディスク傾き特性を示す図であり、図16は、本発明の実施の形態1において、DVDに情報を記録又は再生する時のディスク傾き特性を示す図であり、図17は、本発明の実施の形態1において、CDに情報を記録又は再生する時のディスク傾き特性を示す図である。
【0143】
なお、図15図17のディスク傾き特性は、光透過層の厚さと光源波長と開口数(NA)とにより決定され、対物レンズの種類には依存しない。
【0144】
互換対物レンズの設計によって、軸外特性又はレンズ傾き特性のいずれか一方を決定すると、他方は一意に決定される。例えば、ディスク傾きによって発生する単位角度あたりの波面収差をAD[mλ/deg]とし、レンズ傾きによって発生する単位角度あたりの波面収差をAL[mλ/deg]とすると、軸外入射によって発生する単位角度あたりの波面収差AO[mλ/deg]は、以下の式(3)で表すことができる。
【0145】
AO=AD+AL・・・・(3)
【0146】
一方、3次コマ収差に着目すると、ディスク傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差をCMD[mλ/deg]とし、レンズ傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差をCML[mλ/deg]とすると、軸外入射によって発生する単位角度あたりの3次コマ収差CMO[mλ/deg]は、以下の式(4)で表すことができる。
【0147】
CMO=CMD+CML・・・・(4)
【0148】
ここで、軸外入射によって発生する単位角度あたりの3次コマ収差CMO[mλ/deg]がゼロとなる場合、あるいは、ディスク傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差CMD[mλ/deg]とレンズ傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差CML[mλ/deg]の和がゼロとなる場合、その互換対物レンズは、正弦条件(sine condition)を満足し、以下の式(5)を満たす。
【0149】
CMO=CMD+CML=0・・・・(5)
【0150】
すなわち、互換対物レンズが正弦条件を満たさない場合、軸外入射によって発生する単位角度あたりの3次コマ収差CMO[mλ/deg]はゼロにならない。
【0151】
ここで、正弦条件からの乖離量を正弦条件違反量SCとする。正弦条件違反量SCは、以下の式(6)で定義される。
【0152】
SC=CMD+CML・・・・(6)
【0153】
表6は、本実施の形態1の互換対物レンズ8における、BD、DVD及びCDそれぞれの正弦条件違反量SCbd、SCdvd及びSCcdを示す表である。
【0154】
【表6】
【0155】
発明者らは、CDの正弦条件違反量SCcdを0より小さくすることで、CDの開口径APcdは相対的に大きくなり、BDの正弦条件違反量SCbdを0より大きくすることで、BDの開口径APbdは相対的に小さくなることを見いだした。
【0156】
すなわち、表6に示すように、本実施の形態1の互換対物レンズ8において、BDの正弦条件違反量SCbd及びCDの正弦条件違反量SCcdは以下のように表される。
【0157】
BDの正弦条件違反量SCbd=+25.76>0
CDの正弦条件違反量SCcd=−23.33<0
【0158】
すなわち、BD(第1の情報記録媒体)に情報を記録する又はBDから情報を再生する時のBDの傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMDbdとし、CD(第3の情報記録媒体)に情報を記録する又はCDから情報を再生する時のCDの傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMDcdとし、BDに情報を記録する又はBDから情報を再生する時の互換対物レンズ8の傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMLbdとし、CDに情報を記録する又はCDから情報を再生する時の互換対物レンズ8の傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMLcdとしたとき、BDに情報を記録する又はBDから情報を再生する時の正弦条件違反量SCbdは、CMDbd+CMLbdで表され、CDに情報を記録する又はCDから情報を再生する時の正弦条件違反量SCcdは、CMDcd+CMLcdで表され、正弦条件違反量SCbdと正弦条件違反量SCcdとは、SCbd>0及びSCcd<0を満たす。
【0159】
上記のように、BDの正弦条件違反量SCbdの極性と、CDの正弦条件違反量SCcdの極性とは互いに逆になるので、BDの開口径APbd(有効径)に対して、CDの開口径APcd(有効径)を相対的に大きくすることができる。従って、BDのノイズ性能及び周波数特性を満足するようにBDの検出スポット径を一意に決定した場合に、CDの検出スポット径をより拡大することが可能となる。
【0160】
ところで、BDの正弦条件違反量SCbdは、ディスク傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差CMDbd[mλ/deg]と、レンズ傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差CMLbd[mλ/deg]との和である。ここで、前述の通り、ディスク傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差CMDbdは、光透過層の厚さと光源波長と開口数(NA)とにより決定される。例えば、光透過層の厚さが約0.1mmであり、光源波長が約405nmであり、開口数が約0.85であるBDのCMDbdは、略+100[mλ/deg]である。
【0161】
一方、レンズ傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差CMLbd[mλ/deg]の絶対値|CMLbd|に着目すると、|CMLbd|が略ゼロの互換対物レンズは、互換対物レンズを傾けても3次コマ収差が発生しない。このような互換対物レンズは、光ディスクの反り等によって発生する3次コマ収差を、レンズを傾けることによって発生する3次コマ収差で相殺する、いわゆるコマ収差補正を行うことができない。また|CMLbd|が小さい場合には、コマ収差補正を行うために互換対物レンズを非常に大きく傾ける必要があるので、図12に示すように、レンズ傾きによる非点収差又は球面収差が大きくなるという課題が発生する。
【0162】
そこで、コマ収差補正を行う光学ヘッドに用いる互換対物レンズは、|CMLbd|≧20[mλ/deg]、すなわち、CMLbd≦−20[mλ/deg]を満たすことが好ましい。
【0163】
以上、BDのディスク傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差CMDbdは約+100[mλ/deg]であり、BDのレンズ傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差CMLbdは−20[mλ/deg]以下であることが好ましい。そのため、BDの正弦条件違反量SCbd(>0)の上限は、+80[mλ/deg]となる。すなわち、BDの正弦条件違反量SCbdは、80≧SCbd>0[mλ/deg]の範囲とすることが好ましい。
【0164】
また、CDの正弦条件違反量SCcdは、ディスク傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差CMDcd[mλ/deg]と、レンズ傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差CMLcd[mλ/deg]との和である。ディスク傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差CMDcdは、光透過層の厚さと光源波長と開口数(NA)とにより決定される。例えば、光透過層の厚さが約1.2mmであり、光源波長が約780nmであり、開口数が約0.45〜0.52であるCDのCMDcdは、60≦CMDcd≦70[mλ/deg]の範囲である。
【0165】
一方、レンズ傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差CMLcd[mλ/deg]の絶対値|CMLcd|に着目すると、|CMLcd|が大きい互換対物レンズは、組立誤差等に起因する互換対物レンズの傾きによって、非常に大きな3次コマ収差が発生し、記録又は再生性能が著しく劣化する。
【0166】
そこで、光学ヘッドに用いる互換対物レンズは、|CMLcd|≦200[mλ/deg]、すなわち、CMLcd≧−200[mλ/deg]を満たすことが好ましい。
【0167】
以上、CDのディスク傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差CMDcdは約60〜70[mλ/deg]であり、CDのレンズ傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差CMLcdは−200[mλ/deg]以上であることが好ましい。そのため、CDの正弦条件違反量SCcd(<0)の下限は、−140[mλ/deg]となる。すなわち、CDの正弦条件違反量SCcdは、−140≦SCcd<0[mλ/deg]の範囲とすることが好ましい。
【0168】
次に、本実施の形態1の互換対物レンズ8の焦点距離について詳細に説明する。
【0169】
正弦条件を満足する互換対物レンズの開口径APは、焦点距離fと開口数NAとを用いて表すと、AP=2・f・NAを満たす。そこで、BDの焦点距離をfbdとし、CDの焦点距離をfcdとし、BDの開口数(NA)をNAbdとし、CDの開口数(NA)をNAcdとすると、CDの開口径APcdは、APcd≒2・fcd・NAcdと表され、BDの開口径APbdは、APbd≒2・fbd・NAbdと表される。
【0170】
BDの開口径APbd(有効径)に対して、CDの開口径APcd(有効径)を相対的に大きくする、換言すれば、APcd/APbdを大きくするためには、NAcdとNAbdとがそれぞれ一定(NAcd=0.455及びNAbd=0.850)とすると、fcd/fbdを大きくすればよいことがわかる。
【0171】
ここで、本実施の形態1の互換対物レンズ8のfcd/fbdの値と、特許文献1及び特許文献2で開示されている互換対物レンズのfcd/fbdの値とを、表7に示す。
【0172】
【表7】
【0173】
表7に示すように、本実施の形態1の互換対物レンズ8のfcd/fbdの値は、特許文献1及び特許文献2で開示されている従来の互換対物レンズのfcd/fbdの値より大きいという特徴がある。
【0174】
例えば、本実施の形態1の互換対物レンズのfcd/fbdの値は1.251であり、特許文献2の表8に示された互換対物レンズのfcd/fbdの値は1.085である。
【0175】
従って、本実施の形態1の互換対物レンズと特許文献2の互換対物レンズとでBDの開口数NAbd及びCDの開口数NAcdが等しいという仮定の下では、1.251/1.085=1.15より、本実施の形態1の互換対物レンズ8を用いた光学ヘッドにおけるCDの開口径(有効径)APcdとBDの開口径(有効径)APbdとの比であるAPcd/APbdは、特許文献2の表8に示された互換対物レンズを用いた光学ヘッドのAPcd/APbdよりも15%大きくなる。つまり、本実施の形態1の互換対物レンズ8を用いた光学ヘッドでは、特許文献2の表8に示された互換対物レンズを用いた光学ヘッドよりも、CDの検出スポット径を、少なくとも15%大きくすることができる。
【0176】
なお、前述のように、CDの検出スポット径の大きさは、BDの検出スポット径の2/3以上にすることが望ましい。すなわち、BDの開口数NAbd、CDの開口数NAcd、BDの焦点距離fbd及びCDの焦点距離fcdは、下記の式(7)より、下記の式(8)を満たすことが望ましい。
【0177】
2・fcd・NAcd≧(2・fbd・NAbd)・(2/3)・・・・(7)
fcd/fbd≧(2・NAbd)/(3・NAcd)・・・・(8)
【0178】
本実施の形態1の互換対物レンズ8では、BDの開口数NAbdは0.850であり、CDの開口数NAcdは0.455であるので、表7に示すように、fcd/fbdは1.251となり、(2・NAbd)/(3・NAcd)は1.245となる。そのため、本実施の形態1の互換対物レンズ8は、上記の式(8)を満たしていることが分かる。
【0179】
なお、(2・NAbd)/(3・NAcd)は、BDの開口数NAbdとCDの開口数NAbdとによって値が変わる。しかしながら、BDに情報を記録又は再生する時の対物レンズの一般的な開口数NAbd_g=0.85と、CDに情報を記録又は再生する時の対物レンズの一般的な開口数NAcd_g=0.47とを用いることにより、(2・NAbd_g)/(3・NAcd_g)=(2×0.85)/(3×0.47)≒1.2となり、fcd/fbdは、下記の式(9)としてもよい。
【0180】
fcd/fbd≧1.2・・・・(9)
【0181】
ところで、本実施の形態1の互換対物レンズ8のBDの焦点距離は、特許文献1及び特許文献2等で開示されている従来の互換対物レンズのBDの焦点距離と比較して小さく(fbd=1.542)なる。そのため、本実施の形態1は、BDの開口径(有効径)が小さいという特徴を備えている。また、本実施の形態1は、互換対物レンズの厚さ(軸上厚さ)が小さい(約1.716mm)という特徴も備えている。
【0182】
図18は、互換対物レンズの焦点距離及び軸上厚さと、光学ヘッドの寸法との関係を説明するための模式図である。
【0183】
例えば、図18に示すように、焦点距離及び軸上厚さが大きい対物レンズ81と、焦点距離及び軸上厚さが小さい対物レンズ82とを比較する。対物レンズ82の光束径db(開口径に略等しい)及びレンズ軸上厚さtbは、それぞれ対物レンズ81の光束径da及びレンズ軸上厚さtaより小さい(da>db及びta>tb)。そのため、光ディスクの下面(表面)から対物レンズ82を有する光学ヘッドの下面までの寸法Lbは、光ディスクの下面(表面)から対物レンズ81を有する光学ヘッドの下面までの寸法Laより小さくすることができる(La>Lb)。
【0184】
一方、前述のように、互換対物レンズを用いた光学ヘッドでは、BDの検出スポット径に対して、CDの検出スポット径が必ず小さくなる。そのため、特にCDにおいて、検出スポットの位置ずれの影響が大きくなる。従って、小型かつ薄型の光学ヘッドに適用可能な焦点距離が小さい互換対物レンズでは、特に検出スポットの位置ずれの影響が顕著となる。
【0185】
本実施の形態1の互換対物レンズ8の焦点距離及び軸上厚さは、従来の互換対物レンズの焦点距離及び軸上厚さより小さい。そのため、本実施の形態1の互換対物レンズ8は、光ディスクの下面(表面)から光学ヘッドの下面までの寸法が11mm以下である薄型の光学ヘッドに適用可能であり、薄型の3波長互換光学ヘッドを実現することができる。なお、光ディスクの下面(表面)から光学ヘッドの下面までの寸法が11mm以下である薄型の光学ヘッドに本実施の形態1の互換対物レンズ8を用いるためには、BDの焦点距離fbdは1.6mmより小さいことが好ましい。
【0186】
一方、焦点距離が小さくなるにつれて、光透過層の厚さが最も大きいCDにおいて、作動距離を確保することが困難となる。また、焦点距離が小さくなるにつれて、BD、DVD及びCDの光透過層の厚さの違いによって発生する球面収差を補正するための回折構造(光路差付与構造)のピッチが小さくなる。
【0187】
図19は、鋸歯形状の回折構造のピッチと、レーザ光の回折効率との関係を示す図である。図19における回折効率は、傾斜角60degの傾斜面(互換対物レンズの入射面の最外周近傍を想定)に形成された鋸歯形状の回折構造に、波長405nmの青紫レーザ光が入射した時の回折効率を表す。図19に示す回折効率は、ベクトル解析を用いて計算した結果である。図19において、横軸は傾斜面に形成された鋸歯形状の回折構造のピッチ(回折ピッチ)を示し、縦軸は回折構造に入射した青紫レーザ光の回折効率を示している。
【0188】
図19から明らかなように、回折ピッチが小さくなるにつれて、回折効率は急激に小さくなる。例えば、回折ピッチが3μm未満になると、回折効率は80%未満となることがわかる。なお、互換対物レンズの最外周近傍の回折効率の低下は、実効的な開口数を低下させる要因となるため好ましくない。また、BD、DVD及びCDの互換領域である内周領域の回折効率は、高々80%程度である。そのため、最外周近傍の回折効率が、内周領域の回折効率(80%)よりも小さくなることは好ましくない。
【0189】
ここで、発明者らは、BDの焦点距離を変えながら互換対物レンズの設計を行い、BDの焦点距離が1.3mm未満になると、回折構造のピッチの最小値が3μm未満となり、回折効率が急激に低下することを見いだした。従って、互換対物レンズのBDの焦点距離fbdは1.3mm以上であることが好ましい。
【0190】
すなわち、薄型の光学ヘッドに用いる互換対物レンズのBDの焦点距離fbd[mm]は、下記の式(10)を満たすことが好ましい。
【0191】
1.6>fbd≧1.3・・・・(10)
【0192】
(実施の形態2)
図20は、本発明の実施の形態2における光学ヘッドの概略構成を示す図である。
【0193】
本実施の形態2の光学ヘッド51は、第1の情報記録媒体であるBD60及び第2の情報記録媒体であるDVD70に情報を記録又は再生することが可能な互換対物レンズ18を搭載している。
【0194】
図20において、光学ヘッド51は、青紫レーザ光を出射する青紫レーザ光源1、偏光ビームスプリッタ2、1/4波長板3、コリメートレンズ4、ミラー5、互換対物レンズ18、対物レンズアクチュエータ9、赤色レーザ光を出射する赤色レーザ光源21、平板型ビームスプリッタ13、コリメートレンズアクチュエータ14、アナモフィックレンズ22及び受光素子23を備える。
【0195】
まず、BD60に情報を記録又は再生する場合の光学ヘッド51の動作について述べる。青紫レーザ光源1から出射された波長約405nmの青紫レーザ光は、偏光ビームスプリッタ2にS偏光で入射する。偏光ビームスプリッタ2で反射された青紫レーザ光は、1/4波長板3で円偏光に変換された後、コリメートレンズ4で略平行光に変換される。略平行光に変換された青紫レーザ光は、ミラー5で反射されて折り曲げられる。ミラー5で反射した青紫レーザ光は、互換対物レンズ18によって、BD60の情報記録面に光スポットとして収束される。
【0196】
BD60の情報記録面で反射した青紫レーザ光は、再び互換対物レンズ18を透過し、ミラー5で反射される。ミラー5で反射された青紫レーザ光は、コリメートレンズ4を透過した後、1/4波長板3で往路とは異なる直線偏光に変換される。直線偏光に変換された青紫レーザ光は、偏光ビームスプリッタ2にP偏光で入射して透過し、平板型ビームスプリッタ13にP偏光で入射して透過する。平板型ビームスプリッタ13を透過した青紫レーザ光は、アナモフィックレンズ22を介して受光素子23に導かれ、検出スポットを形成する。受光素子23で検出された青紫レーザ光は、光電変換された後に演算される。その結果、BD60の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号と、BD60の偏心に追従するためのトラッキング誤差信号と、情報信号とが生成される。
【0197】
次に、DVD70に情報を記録又は再生する場合の光学ヘッド51の動作について述べる。赤色レーザ光源21から出射された波長約660nmの赤色レーザ光は、平板型ビームスプリッタ13にS偏光で入射する。平板型ビームスプリッタ13で反射された赤色レーザ光は、偏光ビームスプリッタ2を透過し、1/4波長板3で円偏光に変換された後、コリメートレンズ4で略平行光に変換される。略平行光に変換された赤色レーザ光は、ミラー5で反射されて折り曲げられる。ミラー5で反射した赤色レーザ光は、互換対物レンズ18によって、DVD70の情報記録面に光スポットとして収束される。
【0198】
DVD70の情報記録面で反射した赤色レーザ光は、再び互換対物レンズ18を透過し、ミラー5で反射される。ミラー5で反射された赤色レーザ光は、コリメートレンズ4を透過した後、1/4波長板3で往路とは異なる直線偏光に変換される。直線偏光に変換された赤色レーザ光は、偏光ビームスプリッタ2にP偏光で入射して透過し、平板型ビームスプリッタ13にP偏光で入射して透過する。平板型ビームスプリッタ13を透過した赤色レーザ光は、アナモフィックレンズ22を介して受光素子23に導かれ、検出スポットを形成する。受光素子23で検出された赤色レーザ光は、光電変換された後に演算される。その結果、DVD70の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号と、DVD70の偏心に追従するためのトラッキング誤差信号と、情報信号とが生成される。
【0199】
BD60及びDVD70の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号の生成には、例えばアナモフィックレンズ22を用いた非点収差法等が用いられる。また、BD60及びDVD70の偏心に追従するためのトラッキング誤差信号の生成には、回折格子(図示せず)によって生成されたメインビーム及びサブビームが用いられる、いわゆる3ビーム法又は差動プッシュプル法(DPP法)等が用いられる。
【0200】
なお、本実施の形態2において、青紫レーザ光源1が第1のレーザ光源の一例に相当し、赤色レーザ光源21が第2のレーザ光源の一例に相当し、互換対物レンズ18が対物レンズの一例に相当し、受光素子23が受光部の一例に相当する。
【0201】
本実施の形態2においてコリメートレンズアクチュエータ14は、DVD70に情報を記録又は再生する時は、コリメートレンズ4を基準位置から互換対物レンズ側に移動させることによって、赤色レーザ光源21から出射された赤色レーザ光を収束光として互換対物レンズ18に入射させる。
【0202】
コリメートレンズアクチュエータ14を用いることで、青紫レーザ光源1から出射された青紫レーザ光と、赤色レーザ光源21から出射された赤色レーザ光とを、それぞれ平行光及び収束光で互換対物レンズ18に入射させることができる。従って、BD及びDVDのそれぞれの光源の波長又は光透過層の厚さの差によって生じる球面収差の一部を効果的に補正できる。そのため、互換対物レンズ18の回折構造の設計自由度を上げることができ、回折構造のピッチを大きくして回折効率を向上させたり、製造マージンを拡大させたりすることができる。
【0203】
なお、それぞれの光源から出射されたレーザ光を、平行光、収束光又は発散光のうち、いずれの状態で互換対物レンズに入射させるかは、互換対物レンズの設計に因るものであって、青紫レーザ光を略平行光とし、赤色レーザを収束光とする本実施の形態2の組み合わせに限定されるものではない。
【0204】
ここで、受光素子23上に形成される検出スポット径を小さくすることで、受光素子23上の受光パターンの寸法を小さくすることができる。これにより、回路ノイズを低減できると共に、周波数特性を向上させることができる。高密度の光ディスクであるBD60に情報を記録又は再生する時のノイズ性能は特に重要である。また、高倍速で情報を記録又は再生する場合は、周波数特性も重要となる。従って、受光素子23上に形成される検出スポット径は、BD60のノイズ性能及び周波数特性を満足するように決定される。
【0205】
次に、本実施の形態2の互換対物レンズ18について、詳細に説明する。
【0206】
図21は、本発明の実施の形態2における互換対物レンズ18の構成を示す図である。図21の左図は、互換対物レンズ18の模式的な構成を示す平面図であり、図21の右図は、互換対物レンズ18の模式的な構成を示す断面図である。
【0207】
本実施の形態2の互換対物レンズ18は、例えば、波長λ1の青紫レーザ光を用いて情報を記録又は再生するBDと、波長λ1より大きい波長λ2の赤色レーザ光を用いて情報を記録又は再生するDVDとを互換可能な対物レンズとして用いられる。
【0208】
互換対物レンズ18は、光源側(レーザ光の入射する側)の入射面18aにベースとなる球面又は非球面を備えている。このベースとなる球面又は非球面(以下、ベース非球面と総称する)には、互換対物レンズ18の光軸OAを中心とした輪帯状の回折構造が形成されている。一方、互換対物レンズ18は、入射面18aに対向する光ディスク側(レーザ光が出射する側)の出射面18bに、回折構造が形成されていない球面又は非球面を備えている。
【0209】
互換対物レンズ18は、レーザ光源から出射されたレーザ光を、情報記録媒体(光ディスク)の情報記録面に収束させる。互換対物レンズ18は、レーザ光源側の入射面18aに形成された、回折構造を有する内周領域(第1領域)18iと、内周領域18iの外側に形成された、回折構造を有する外周領域(第2領域)18kとを備える。
【0210】
光軸OAを含む内周領域18iと、内周領域18iの周辺の外周領域18kとは、それぞれ異なる回折構造を有している。
【0211】
内周領域18i及び外周領域18kは、内周領域18i及び外周領域18kの回折構造によって回折される第1の波長λ1(390nm≦λ1≦430nm)のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第1の厚さt1の光透過層を有するBD60(第1の情報記録媒体)の情報記録面に収束させる。
【0212】
内周領域18iは、内周領域18iの回折構造によって回折される第2の波長λ2(630nm≦λ2≦680nm)のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第2の厚さt2(t2>t1)の光透過層を有するDVD70(第2の情報記録媒体)の情報記録面に収束させる。
【0213】
内周領域18iは、例えば3段4レベルを一周期とする階段形状の回折構造を備え、波長λ2の赤色レーザ光を用いたDVDへの記録又は再生、及び、波長λ1の青紫レーザ光を用いたBDへの記録又は再生のいずれにも使用される互換領域である。内周領域18iは、青紫レーザ光の+1次回折光を厚さ約0.1mmの光透過層を通してBDの情報記録面に収束させ、赤色レーザ光の−1次回折光を厚さ約0.6mmの光透過層を通してDVDの情報記録面に収束させるように設計されている。この内周領域18iは、DVDのNA(約0.60〜0.67)に対応する領域としている。
【0214】
なお、本実施の形態2においては、内周領域18iは、3段4レベルを一周期とする階段形状の回折構造を備えた互換領域としているが、内周領域18iの回折構造は3段4レベルに限定されるものではない。
【0215】
青紫レーザ光を用いてBDに情報を記録又は再生する際のNA(約0.85)は、上述の赤色レーザ光を用いてDVDに情報を記録又は再生する際のNA(約0.60〜0.67)よりも大きい。そのため、外周領域18kは、BDの専用領域とされ、波長λ1の青紫レーザ光をBDの情報記録面に収束させるように設計される。
【0216】
また、外周領域18kは、波長λ2の赤色レーザ光にDVDの情報記録面上で収差を与えるように設計される。すなわち、外周領域18kは、波長λ2の赤色レーザ光がDVDの情報記録面上にフレアを形成するように設計される。外周領域18kは、外周領域18kを通過してDVD(第2の情報記録媒体)の情報記録面に入射する第2の波長λ2のレーザ光に対して収差を与える。したがって、外周領域18kは、DVDに情報を記録又は再生する時には、実質的に開口制限として機能する。
【0217】
すなわち、外周領域18kは、外周領域18kを通過する波長λ2のレーザ光を、DVD(第2の情報記録媒体)の情報記録面に収束させない。なお、外周領域18kは、屈折面であってもよい。
【0218】
内周領域18iの回折構造の段差の一単位は、波長λ1(例えばλ1=405nm)の青紫レーザ光に対して、約1.25×λ1[nm]の光路差を与える量とする。一段あたりの位相変調量は、π/2となる。この時、+1次回折光の回折効率は、スカラー計算で約80%となる。そのため、+1次回折光は、内周領域18iの回折構造によって回折される第1の波長λ1[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光である。
【0219】
一方、内周領域18iの回折構造の段差の一単位は、波長λ2(例えばλ2=660nm)の赤色レーザ光に対して、約0.75×λ2[nm]の光路差を与える量とする。一段あたりの位相変調量は、−π/2となる。この時、−1次回折光の回折効率は、スカラー計算で約80%となる。そのため、−1次回折光は、内周領域18iの回折構造によって回折される第2の波長λ2[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光である。
【0220】
内周領域18iに形成される回折構造は、階段形状の断面を有している。内周領域18iの階段形状の段差の1段は、第1の波長λ1のレーザ光に対して、1波長よりも大きい光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、第2の波長λ2のレーザ光に対して、1波長未満の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与える。
【0221】
より具体的に、内周領域18iに形成される回折構造は、3段4レベルを一周期とする階段形状の断面を有している。内周領域18iの階段形状の段差の1段は、第1の波長λ1のレーザ光に対して、略1.25波長の光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、第2の波長λ2のレーザ光に対して、略0.75波長の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与える。なお、上記の1.25波長及び0.75波長は、それぞれ±10%程度の誤差を含む。
【0222】
内周領域18iに上述の回折構造が形成されることで、波長λ1のレーザ光に対する回折構造と、波長λ2のレーザ光に対する回折構造とで互いに逆方向の鋸歯形状を近似できる。そのため、厚さ約0.6mmの光透過層を有するDVD及び厚さ約0.1mmの光透過層を有するBDに対し、高い光利用効率で、情報の互換記録又は互換再生を実現できる。
【0223】
さらに、外周領域18kは、BDの専用領域となっており、波長λ1で最適化された鋸歯形状の回折構造を有している。外周領域18kに形成される回折構造は、鋸歯形状の断面を有し、第1の波長λ1のレーザ光に対して、0.5波長未満の光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与える。
【0224】
ここで、外周領域18kに設けられる鋸歯形状の回折構造の段差の高さは、波長λ1において、+1次回折光の回折効率が最大となるように設計されている。なお、回折効率が最大となるレーザ光は、+1次回折光に限定されるものではなく、+2次回折光又は+3次回折光等、他の次数のレーザ光の回折効率が最大となるように設計してもよい。また、外周領域18kは、+1次回折光の回折効率が最大となる領域、+2次回折光の回折効率が最大となる領域、及び+3次回折光の回折効率が最大となる領域等を混在させても良い。
【0225】
ただし、外周領域18kは、BD専用領域であり、DVDに情報を記録又は再生する時には、実質的に開口制限として機能することが好ましい。従って、外周領域18kを通過する波長λ2の赤色レーザ光は、情報記録面に収束することなく、かつ、情報記録面又は情報記録面以外の面から反射した迷光が、受光素子23上に集光しないことが望まれる。
【0226】
正弦条件からの乖離量を表す正弦条件違反量SCは、上述の式(6)で定義される。このとき、本実施の形態2の互換対物レンズ18において、BDの正弦条件違反量SCbdは0より大きく、DVDの正弦条件違反量SCdvdは0より小さい。
【0227】
すなわち、BD(第1の情報記録媒体)に情報を記録する又はBDから情報を再生する時のBDの傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMDbdとし、DVD(第2の情報記録媒体)に情報を記録する又はDVDから情報を再生する時のDVDの傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMDdvdとし、BDに情報を記録する又はBDから情報を再生する時の互換対物レンズ18の傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMLbdとし、DVDに情報を記録する又はDVDから情報を再生する時の互換対物レンズ18の傾きによって単位角度あたりの発生する3次コマ収差[mλ/deg]をCMLdvdとしたとき、BDに情報を記録する又はBDから情報を再生する時の正弦条件違反量SCbdは、CMDbd+CMLbdで表され、DVDに情報を記録する又はDVDから情報を再生する時の正弦条件違反量SCdvdは、CMDdvd+CMLdvdで表され、正弦条件違反量SCbdと正弦条件違反量SCdvdとは、SCbd>0及びSCdvd<0を満たす。
【0228】
本実施の形態2の互換対物レンズ18では、BDの正弦条件違反量SCbdの極性と、DVDの正弦条件違反量SCdvdの極性とは互いに逆になるので、BDの開口径APbd(有効径)に対して、DVDの開口径APdvd(有効径)を相対的に大きくすることができる。従って、BDのノイズ性能及び周波数特性を満足するようにBDの検出スポット径を一意に決定した場合に、DVDの検出スポット径をより拡大することが可能となり、DVDの検出スポットの位置ずれの影響を小さくすることができる。
【0229】
なお、本実施の形態2における互換対物レンズ18は、BD及びDVD等の既存の光ディスクに限らず、光透過層の厚さが異なる複数種類の光ディスクに対して、情報を記録又は再生する単一の対物レンズ及び光学ヘッドに広く適用可能であることは言うまでもない。
【0230】
(実施の形態3)
図22は、本発明の実施の形態3における光ディスク装置の概略構成を示す図である。
【0231】
図22において、光ディスク装置300は、光ディスク駆動部(モータ)301、制御部302及び光学ヘッド303を備える。
【0232】
光ディスク駆動部301は、例えばBD60(又はDVD70、又はCD80)を回転駆動させる。光学ヘッド303は、実施の形態1で述べた光学ヘッド50又は実施の形態2で述べた光学ヘッド51である。制御部302は、光ディスク駆動部301及び光学ヘッド303の駆動を制御すると共に、光学ヘッド303で光電変換されるとともに演算された制御信号及び情報信号の信号処理を行う。また、制御部302は、情報信号を光ディスク装置300の外部と内部とでインタフェースさせる機能を有する。
【0233】
制御部302は、光学ヘッド303から得られる制御信号を受け、制御信号に基づいて、フォーカス制御、トラッキング制御、情報再生制御及び光ディスク駆動部301の回転制御を行う。また、制御部302は、情報信号から情報の再生を行うと共に、記録信号の光学ヘッド303への送出を行う。
【0234】
なお、光学ヘッド303が実施の形態1で述べた光学ヘッド50である場合、光ディスク駆動部301は、BD60(第1の情報記録媒体)、DVD70(第2の情報記録媒体)及びCD80(第3の情報記録媒体)を回転駆動する。また、光学ヘッド303が実施の形態2で述べた光学ヘッド51である場合、光ディスク駆動部301は、BD60(第1の情報記録媒体)及びDVD70(第2の情報記録媒体)を回転駆動する。
【0235】
光ディスク装置300は、実施の形態1で述べた光学ヘッド50又は実施の形態2で述べた光学ヘッド51を搭載しているので、本実施の形態3の光ディスク装置300は、BD60、DVD70又はCD80等に情報を良好に記録又は再生することができる。
【0236】
(実施の形態4)
図23は、本発明の実施の形態4におけるコンピュータの概略構成を示す図である。
【0237】
図23において、コンピュータ500は、実施の形態3の光ディスク装置300と、入力装置501と、演算装置502と、出力装置503とを備える。
【0238】
入力装置501は、キーボード、マウス又はタッチパネルなどで構成され、情報を入力する。演算装置502は、中央演算装置(CPU)などで構成され、入力装置501から入力された情報及び光ディスク装置300から読み出した情報などに基づいて演算を行う。出力装置503は、表示装置(ブラウン管又は液晶表示装置など)又はプリンタなどで構成され、演算装置502によって演算された結果などの情報を出力する。表示装置は、演算装置502によって演算された結果などの情報を表示し、プリンタは、演算装置502によって演算された結果などの情報を印刷する。
【0239】
なお、本実施の形態4において、コンピュータ500が情報処理装置の一例に相当し、演算装置502が情報処理部の一例に相当する。
【0240】
コンピュータ500は、実施の形態3の光ディスク装置300を備えるので、BD、DVD又はCD等に情報を良好に記録又は再生することができ、広い用途に適用できる。
【0241】
(実施の形態5)
図24は、本発明の実施の形態5における光ディスクプレーヤの概略構成を示す図である。
【0242】
図24において、光ディスクプレーヤ600は、実施の形態3の光ディスク装置300と、光ディスク装置300から得られる情報信号を画像信号に変換するデコーダ601とを備える。
【0243】
なお、光ディスクプレーヤ600は、GPS(Global Positioning System)等の位置センサ及び中央演算装置(CPU)を加えることによりカーナビゲーションシステムとしても利用可能である。また、光ディスクプレーヤ600は、表示装置602を備えてもよい。表示装置602は、液晶表示装置などで構成され、デコーダ601によって変換された画像信号を表示する。
【0244】
また、本実施の形態5において、光ディスクプレーヤ600が情報処理装置の一例に相当し、デコーダ601が情報処理部の一例に相当する。
【0245】
光ディスクプレーヤ600は、実施の形態3の光ディスク装置300を備えるので、BD、DVD又はCD等に情報を良好に記録又は再生することができ、広い用途に適用できる。
【0246】
(実施の形態6)
図25は、本発明の実施の形態6における光ディスクレコーダの概略構成を示す図である。
【0247】
図25において、光ディスクレコーダ700は、実施の形態3の光ディスク装置300と、画像情報を、光ディスク装置300によって光ディスクへ記録するための情報信号に変換するエンコーダ701とを備える。望ましくは、光ディスクレコーダ700は、光ディスク装置300から得られる情報信号を画像信号に変換するデコーダ702も備えることにより、記録した画像を再生することも可能となる。
【0248】
なお、光ディスクレコーダ700は、出力装置703を備えてもよい。出力装置703は、表示装置(ブラウン管又は液晶表示装置など)又はプリンタなどで構成され、デコーダ702によって変換された画像信号を出力する。表示装置は、デコーダ702によって変換された画像信号を表示し、プリンタは、デコーダ702によって変換された画像信号を印刷する。
【0249】
なお、本実施の形態6において、光ディスクレコーダ700が情報処理装置の一例に相当し、エンコーダ701が情報処理部の一例に相当する。
【0250】
光ディスクレコーダ700は、実施の形態3の光ディスク装置300を備えるので、BD、DVD又はCD等に情報を良好に記録又は再生することができ、広い用途に適用できる。
【0251】
(実施の形態7)
図26は、本発明の実施の形態7におけるゲーム装置の概略構成を示す図である。
【0252】
図26において、ゲーム装置800は、実施の形態3の光ディスク装置300と、操作部801と、演算装置802とを備える。操作部801は、ユーザによる操作情報を入力する。演算装置802は、中央演算装置(CPU)などで構成され、操作部801から入力された操作情報及び光ディスク装置300から読み出した情報などに基づいて演算を行う。なお、ゲーム装置800は、情報を表示する表示装置803を備えてもよい。
【0253】
なお、本実施の形態7において、ゲーム装置800が情報処理装置の一例に相当し、演算装置802が情報処理部の一例に相当する。
【0254】
ゲーム装置800は、実施の形態3の光ディスク装置300を備えるので、BD、DVD又はCD等に情報を良好に記録又は再生することができ、広い用途に適用できる。
【0255】
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0256】
本発明の一局面に係る対物レンズは、レーザ光源側の面に、光軸に対して略同心円状に形成される第1領域と、前記第1領域の外側に形成される第2領域と、前記第2領域の外側に形成される第3領域とを備え、前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域には、回折構造が形成され、前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域は、前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域の前記回折構造によって回折される第1の波長λ1[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第1の厚さt1[mm]の光透過層を有する第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、前記第1領域及び前記第2領域は、前記第1領域及び前記第2領域の前記回折構造によって回折される第2の波長λ2(λ2>λ1)[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第2の厚さt2(t2>t1)[mm]の光透過層を有する第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、前記第1領域は、前記第1領域の前記回折構造によって回折される第3の波長λ3(λ3>λ2)[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第3の厚さt3(t3>t2)[mm]の光透過層を有する第3の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、前記第1の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第1の情報記録媒体から情報を再生する時の前記第1の情報記録媒体の傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMD1とし、前記第3の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第3の情報記録媒体から情報を再生する時の単位角度あたりの前記第3の情報記録媒体の傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMD3とし、前記第1の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第1の情報記録媒体から情報を再生する時の対物レンズの傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCML1とし、前記第3の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第3の情報記録媒体から情報を再生する時の対物レンズの傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCML3としたとき、前記第1の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第1の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC1は、CMD1+CML1で表され、前記第3の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第3の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC3は、CMD3+CML3で表され、前記正弦条件違反量SC1と前記正弦条件違反量SC3とは、SC1>0及びSC3<0を満たす。
【0257】
この構成によれば、対物レンズは、レーザ光源側の面に、光軸に対して略同心円状に形成される第1領域と、第1領域の外側に形成される第2領域と、第2領域の外側に形成される第3領域とを備える。第1領域、第2領域及び第3領域には、回折構造が形成される。第1領域、第2領域及び第3領域は、第1領域、第2領域及び第3領域の回折構造によって回折される第1の波長λ1[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第1の厚さt1[mm]の光透過層を有する第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させる。第1領域及び第2領域は、第1領域及び第2領域の回折構造によって回折される第2の波長λ2(λ2>λ1)[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第2の厚さt2(t2>t1)[mm]の光透過層を有する第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させる。第1領域は、第1領域の回折構造によって回折される第3の波長λ3(λ3>λ2)[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第3の厚さt3(t3>t2)[mm]の光透過層を有する第3の情報記録媒体の情報記録面に収束させる。第1の情報記録媒体に情報を記録する又は第1の情報記録媒体から情報を再生する時の第1の情報記録媒体の傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMD1とし、第3の情報記録媒体に情報を記録する又は第3の情報記録媒体から情報を再生する時の第3の情報記録媒体の傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMD3とし、第1の情報記録媒体に情報を記録する又は第1の情報記録媒体から情報を再生する時の対物レンズの傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCML1とし、第3の情報記録媒体に情報を記録する又は第3の情報記録媒体から情報を再生する時の対物レンズの傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCML3としたとき、第1の情報記録媒体に情報を記録する又は第1の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC1は、CMD1+CML1で表され、第3の情報記録媒体に情報を記録する又は第3の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC3は、CMD3+CML3で表される。正弦条件違反量SC1と正弦条件違反量SC3とは、SC1>0及びSC3<0を満たす。
【0258】
したがって、第1の情報記録媒体に情報を記録する又は第1の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC1の極性と、第3の情報記録媒体に情報を記録する又は第3の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC3の極性とは互いに逆になるので、第1の情報記録媒体の開口径(有効径)に対して、第3の情報記録媒体の開口径(有効径)を相対的に大きくすることができる。そのため、第1の情報記録媒体のノイズ性能及び周波数特性を満足するように第1の情報記録媒体の検出スポット径を一意に決定した場合に、第3の情報記録媒体の検出スポット径をより拡大することが可能となり、検出スポットの位置ずれの許容量を拡大することができる。
【0259】
また、上記の対物レンズにおいて、前記第1の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第1の情報記録媒体から情報を再生する時の焦点距離[mm]をf1とし、前記第3の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第3の情報記録媒体から情報を再生する時の焦点距離[mm]をf3とし、前記第1の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第1の情報記録媒体から情報を再生する時の開口数をNA1とし、前記第3の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第3の情報記録媒体から情報を再生する時の開口数をNA3としたとき、前記焦点距離f1と前記焦点距離f3とは、f3/f1≧(2・NA1)/(3・NA3)を満たすことが好ましい。
【0260】
この構成によれば、第1の情報記録媒体に情報を記録する又は第1の情報記録媒体から情報を再生する時の焦点距離[mm]をf1とし、第3の情報記録媒体に情報を記録する又は第3の情報記録媒体から情報を再生する時の焦点距離[mm]をf3とし、第1の情報記録媒体に情報を記録する又は第1の情報記録媒体から情報を再生する時の開口数をNA1とし、第3の情報記録媒体に情報を記録する又は第3の情報記録媒体から情報を再生する時の開口数をNA3としたとき、焦点距離f1と焦点距離f3とは、f3/f1≧(2・NA1)/(3・NA3)を満たす。
【0261】
したがって、第3の情報記録媒体の記録又は再生時の検出スポット径が、第1の情報記録媒体の記録又は再生時の検出スポット径の2/3以上となるので、第1の情報記録媒体の検出スポットの位置ずれの影響が許容範囲内になるように、受光部上に形成される検出スポット径を決定した場合、第3の情報記録媒体の検出スポットの位置ずれの影響も許容範囲内にすることができる。
【0262】
また、上記の対物レンズにおいて、前記焦点距離f1と前記焦点距離f3とは、f3/f1≧1.2を満たすことが好ましい。
【0263】
この構成によれば、焦点距離f1と焦点距離f3との比を1.2以上とすることにより、第1の情報記録媒体の検出スポットの位置ずれの影響が許容範囲内になるように、受光部上に形成される検出スポット径を決定した場合、第3の情報記録媒体の検出スポットの位置ずれの影響も許容範囲内にすることができる。
【0264】
また、上記の対物レンズにおいて、前記第1領域に形成される回折構造は、階段形状の断面を有し、前記第1の波長λ1は、390[nm]≦λ1≦430[nm]を満たし、前記第2の波長λ2は、630[nm]≦λ2≦680[nm]を満たし、前記第3の波長λ3は、750[nm]≦λ3≦810[nm]を満たし、前記第1領域の前記階段形状の段差の1段は、前記第1の波長λ1のレーザ光に対して、1波長よりも大きい光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、前記第2の波長λ2のレーザ光に対して、1波長未満の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与え、前記第3の波長λ3のレーザ光に対して、1波長未満の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与えることが好ましい。
【0265】
この構成によれば、第1領域に形成される回折構造は、階段形状の断面を有している。第1領域の階段形状の段差の1段は、第1の波長λ1のレーザ光に対して、1波長よりも大きい光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、第2の波長λ2のレーザ光に対して、1波長未満の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与え、第3の波長λ3のレーザ光に対して、1波長未満の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与える。
【0266】
したがって、第1領域を通過する第1の波長λ1のレーザ光、第2の波長λ2のレーザ光及び第3の波長λ3のレーザ光を、それぞれ第1の情報記録媒体、第2の情報記録媒体及び第3の情報記録媒体に収束させることができる。
【0267】
また、上記の対物レンズにおいて、前記第1領域に形成される回折構造は、5段6レベルを一周期とする階段形状の断面を有し、前記第1領域の前記階段形状の段差の1段は、前記第1の波長λ1のレーザ光に対して、約1.33波長の光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、前記第2の波長λ2のレーザ光に対して、約0.80波長の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与え、前記第3の波長λ3のレーザ光に対して、約0.67波長の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与えることが好ましい。
【0268】
この構成によれば、第1領域に形成される回折構造は、5段6レベルを一周期とする階段形状の断面を有している。第1領域の階段形状の段差の1段は、第1の波長λ1のレーザ光に対して、約1.33波長の光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、第2の波長λ2のレーザ光に対して、約0.80波長の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与え、第3の波長λ3のレーザ光に対して、約0.67波長の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与える。
【0269】
したがって、第1領域を通過する第1の波長λ1のレーザ光、第2の波長λ2のレーザ光及び第3の波長λ3のレーザ光を、それぞれ第1の情報記録媒体、第2の情報記録媒体及び第3の情報記録媒体に収束させることができる。
【0270】
また、上記の対物レンズにおいて、前記第2領域に形成される回折構造は、階段形状の断面を有し、前記第1の波長λ1は、390[nm]≦λ1≦430[nm]を満たし、前記第2の波長λ2は、630[nm]≦λ2≦680[nm]を満たし、前記第2領域の前記階段形状の段差の1段は、前記第1の波長λ1のレーザ光に対して、1波長よりも大きい光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、前記第2の波長λ2のレーザ光に対して、1波長未満の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与えることが好ましい。
【0271】
この構成によれば、第2領域に形成される回折構造は、階段形状の断面を有している。第2領域の階段形状の段差の1段は、第1の波長λ1のレーザ光に対して、1波長よりも大きい光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、第2の波長λ2のレーザ光に対して、1波長未満の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与える。
【0272】
したがって、第2領域を通過する第1の波長λ1のレーザ光及び第2の波長λ2のレーザ光を、それぞれ第1の情報記録媒体及び第2の情報記録媒体に収束させることができる。
【0273】
また、上記の対物レンズにおいて、前記第2領域に形成される回折構造は、3段4レベルを一周期とする階段形状の断面を有し、前記第2領域の前記階段形状の段差の1段は、前記第1の波長λ1のレーザ光に対して、約1.25波長の光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、前記第2の波長λ2のレーザ光に対して、約0.75波長の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与えることが好ましい。
【0274】
この構成によれば、第2領域に形成される回折構造は、3段4レベルを一周期とする階段形状の断面を有している。第2領域の階段形状の段差の1段は、第1の波長λ1のレーザ光に対して、約1.25波長の光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、第2の波長λ2のレーザ光に対して、約0.75波長の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与える。
【0275】
したがって、第2領域を通過する第1の波長λ1のレーザ光及び第2の波長λ2のレーザ光を、それぞれ第1の情報記録媒体及び第2の情報記録媒体に収束させることができる。
【0276】
また、上記の対物レンズにおいて、前記第3領域に形成される回折構造は、鋸歯形状の断面を有し、前記第1の波長λ1のレーザ光に対して、0.5波長未満の光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与えることが好ましい。
【0277】
この構成によれば、第3領域に形成される回折構造は、鋸歯形状の断面を有し、第1の波長λ1のレーザ光に対して、0.5波長未満の光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与えるので、第3領域を通過する第1の波長λ1のレーザ光を第1の情報記録媒体に収束させることができる。
【0278】
また、上記の対物レンズにおいて、前記第3領域は、前記第3領域を通過して前記第2の情報記録媒体の情報記録面に入射する前記第2の波長λ2のレーザ光に対して収差を与えることが好ましい。
【0279】
この構成によれば、第3領域を通過した第2の波長λ2のレーザ光が第2の情報記録媒体の情報記録面に収束しないので、第3領域を第2の波長λ2のレーザ光に対する開口制限として機能させることができる。
【0280】
また、上記の対物レンズにおいて、前記第2領域及び前記第3領域は、前記第2領域及び前記第3領域を通過して前記第3の情報記録媒体の情報記録面に入射する前記第3の波長λ3のレーザ光に対して収差を与えることが好ましい。
【0281】
この構成によれば、第2領域及び第3領域を通過した第3の波長λ3のレーザ光が第3の情報記録媒体の情報記録面に収束しないので、第2領域及び第3領域を第3の波長λ3のレーザ光に対する開口制限として機能させることができる。
【0282】
また、上記の対物レンズにおいて、前記第1の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第1の情報記録媒体から情報を再生する時の焦点距離f1[mm]は、1.6>f1≧1.3を満たすことが好ましい。
【0283】
この構成によれば、第1の情報記録媒体に情報を記録する又は第1の情報記録媒体から情報を再生する時の焦点距離f1[mm]は、1.6>f1≧1.3を満たすので、回折効率を低下させることなく、光学ヘッドを薄型化することができる。
【0284】
本発明の他の局面に係る対物レンズは、レーザ光源側の面に、光軸に対して略同心円状に形成される第1領域と、前記第1領域の外側に形成される第2領域とを備え、前記第1領域及び前記第2領域には、回折構造が形成され、前記第1領域及び前記第2領域は、前記第1領域及び前記第2領域によって回折される第1の波長λ1[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第1の厚さt1[mm]の光透過層を有する第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、前記第1領域は、前記第1領域によって回折される第2の波長λ2(λ2>λ1)[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第2の厚さt2(t2>t1)[mm]の光透過層を有する第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、前記第1の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第1の情報記録媒体から情報を再生する時の前記第1の情報記録媒体の傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMD1とし、前記第2の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第2の情報記録媒体から情報を再生する時の前記第2の情報記録媒体の傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMD2とし、前記第1の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第1の情報記録媒体から情報を再生する時の対物レンズの傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCML1とし、前記第2の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第2の情報記録媒体から情報を再生する時の対物レンズの傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCML2としたとき、前記第1の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第1の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC1は、CMD1+CML1で表され、前記第2の情報記録媒体に情報を記録する又は前記第2の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC2は、CMD2+CML2で表され、前記正弦条件違反量SC1と前記正弦条件違反量SC2とは、SC1>0及びSC2<0を満たす。
【0285】
この構成によれば、対物レンズは、レーザ光源側の面に、光軸に対して略同心円状に形成される第1領域と、第1領域の外側に形成される第2領域とを備える。第1領域及び第2領域には、回折構造が形成される。第1領域及び第2領域は、第1領域及び第2領域によって回折される第1の波長λ1[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第1の厚さt1[mm]の光透過層を有する第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させる。第1領域は、第1領域によって回折される第2の波長λ2(λ2>λ1)[nm]のレーザ光のうち、最も回折効率の大きい回折次数のレーザ光を、第2の厚さt2(t2>t1)[mm]の光透過層を有する第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させる。第1の情報記録媒体に情報を記録する又は第1の情報記録媒体から情報を再生する時の第1の情報記録媒体の傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMD1とし、第2の情報記録媒体に情報を記録する又は第2の情報記録媒体から情報を再生する時の第2の情報記録媒体の傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCMD2とし、第1の情報記録媒体に情報を記録する又は第1の情報記録媒体から情報を再生する時の対物レンズの傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCML1とし、第2の情報記録媒体に情報を記録する又は第2の情報記録媒体から情報を再生する時の対物レンズの傾きによって発生する単位角度あたりの3次コマ収差[mλ/deg]をCML2としたとき、第1の情報記録媒体に情報を記録する又は第1の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC1は、CMD1+CML1で表され、第2の情報記録媒体に情報を記録する又は第2の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC2は、CMD2+CML2で表される。正弦条件違反量SC1と正弦条件違反量SC2とは、SC1>0及びSC2<0を満たす。
【0286】
したがって、第1の情報記録媒体に情報を記録する又は第1の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC1の極性と、第2の情報記録媒体に情報を記録する又は第2の情報記録媒体から情報を再生する時の正弦条件違反量SC2の極性とは互いに逆になるので、第1の情報記録媒体の開口径(有効径)に対して、第2の情報記録媒体の開口径(有効径)を相対的に大きくすることができる。そのため、第1の情報記録媒体のノイズ性能及び周波数特性を満足するように第1の情報記録媒体の検出スポット径を一意に決定した場合に、第2の情報記録媒体の検出スポット径をより拡大することが可能となり、検出スポットの位置ずれの許容量を拡大することができる。
【0287】
また、上記の対物レンズにおいて、前記第1領域に形成される回折構造は、階段形状の断面を有し、前記第1の波長λ1は、390[nm]≦λ1≦430[nm]を満たし、前記第2の波長λ2は、630[nm]≦λ2≦680[nm]を満たし、前記第1領域の前記階段形状の段差の1段は、前記第1の波長λ1のレーザ光に対して、1波長よりも大きい光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、前記第2の波長λ2のレーザ光に対して、1波長未満の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与えることが好ましい。
【0288】
この構成によれば、第1領域に形成される回折構造は、階段形状の断面を有している。第1領域の階段形状の段差の1段は、第1の波長λ1のレーザ光に対して、1波長よりも大きい光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、第2の波長λ2のレーザ光に対して、1波長未満の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与える。
【0289】
したがって、第1領域を通過する第1の波長λ1のレーザ光及び第2の波長λ2のレーザ光を、それぞれ第1の情報記録媒体及び第2の情報記録媒体に収束させることができる。
【0290】
また、上記の対物レンズにおいて、前記第1領域に形成される回折構造は、3段4レベルを一周期とする階段形状の断面を有し、前記第1の波長λ1は、390[nm]≦λ1≦430[nm]を満たし、前記第2の波長λ2は、630[nm]≦λ2≦680[nm]を満たし、前記第1領域の前記階段形状の段差の1段は、前記第1の波長λ1のレーザ光に対して、約1.25波長の光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、前記第2の波長λ2のレーザ光に対して、約0.75波長の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与えることが好ましい。
【0291】
この構成によれば、第1領域に形成される回折構造は、3段4レベルを一周期とする階段形状の断面を有している。第1領域の階段形状の段差の1段は、第1の波長λ1のレーザ光に対して、約1.25波長の光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与え、第2の波長λ2のレーザ光に対して、約0.75波長の光路差を与えると共に、凹レンズのパワーを与える。
【0292】
したがって、第1領域を通過する第1の波長λ1のレーザ光及び第2の波長λ2のレーザ光を、それぞれ第1の情報記録媒体及び第2の情報記録媒体に収束させることができる。
【0293】
また、上記の対物レンズにおいて、前記第2領域に形成される回折構造は、鋸歯形状の断面を有し、前記第1の波長λ1のレーザ光に対して、0.5波長未満の光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与えることが好ましい。
【0294】
この構成によれば、第2領域に形成される回折構造は、鋸歯形状の断面を有し、第1の波長λ1のレーザ光に対して、0.5波長未満の光路差を与えると共に、凸レンズのパワーを与えるので、第2領域を通過する第1の波長λ1のレーザ光を第1の情報記録媒体に収束させることができる。
【0295】
また、上記の対物レンズにおいて、前記第2領域は、前記第2領域を通過して前記第2の情報記録媒体の情報記録面に入射する前記第2の波長λ2のレーザ光に対して収差を与えることが好ましい。
【0296】
この構成によれば、第2領域を通過した第2の波長λ2のレーザ光が第2の情報記録媒体の情報記録面に収束しないので、第2領域を第2の波長λ2のレーザ光に対する開口制限として機能させることができる。
【0297】
本発明の他の局面に係る光学ヘッドは、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源を出射した前記レーザ光を情報記録媒体の情報記録面に収束させる上記のいずれかに記載の対物レンズと、前記情報記録媒体によって反射されたレーザ光を受光する受光部とを備える。この構成によれば、上記の対物レンズを光学ヘッドに適用することができる。
【0298】
本発明の他の局面に係る光ディスク装置は、上記の光学ヘッドと、前記情報記録媒体を回転駆動するためのモータと、前記光学ヘッド及び前記モータを制御する制御部とを備える。この構成によれば、上記の光学ヘッドを光ディスク装置に適用することができる。
【0299】
本発明の他の局面に係る情報処理装置は、上記の光ディスク装置と、前記光ディスク装置に記録する情報及び/又は前記光ディスク装置から再生された情報を処理する情報処理部とを備える。この構成によれば、上記の光ディスク装置を情報処理装置に適用することができる。
【0300】
なお、発明を実施するための形態の項においてなされた具体的な実施態様又は実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と特許請求事項との範囲内で、種々変更して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0301】
本発明に係る対物レンズ、光学ヘッド、光ディスク装置及び情報処理装置は、検出スポットの位置ずれの許容量を拡大することができ、複数種類の情報記録媒体の情報記録面に、レーザ光源から出射されたレーザ光を収束させる対物レンズ、当該対物レンズを備え、情報記録媒体に対して光学的に情報を記録又は再生する光学ヘッド、当該光学ヘッドを備える光ディスク装置、及び当該光ディスク装置を備える情報処理装置として有用である。
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