特許第6060843号(P6060843)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6060843
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20170106BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20170106BHJP
   H01M 2/20 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   H01M2/10 M
   H01M10/48 P
   H01M2/10 S
   H01M2/10 E
   H01M2/20 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-155656(P2013-155656)
(22)【出願日】2013年7月26日
(65)【公開番号】特開2015-26523(P2015-26523A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2015年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大石 英史
(72)【発明者】
【氏名】加藤 崇行
【審査官】 田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−176575(JP,A)
【文献】 特開2011−067012(JP,A)
【文献】 特開2012−164598(JP,A)
【文献】 特開2003−045384(JP,A)
【文献】 特開2011−054353(JP,A)
【文献】 特開平10−112301(JP,A)
【文献】 実開平05−066864(JP,U)
【文献】 特開2002−124225(JP,A)
【文献】 特開平10−241647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 10/48
H05K 5/00 − 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並設された複数の電池セルと、
前記複数の電池セルの並設方向に並んで設けられた第1のカバーと第2のカバーとを有し、前記電池セルの一面と対向して設けられるカバー部材と、
前記電池セルに直接的もしくは間接的に接合され、前記電池セルの状態を検出するセンサと、
前記センサと接合される信号伝送線と、を備え、
前記信号伝送線は、前記第1のカバーと前記第2のカバーとの間を通って制御機器に接続されていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
前記第2のカバーは、前記第1のカバー側の縁部に、前記信号伝送線を前記第1のカバーに向けて屈曲させる押圧部を有することを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記第2のカバーは、前記第1のカバー側の縁部に、前記電池セル側とは反対側に立設し、前記信号伝送線が前記第2のカバーに向けて屈曲することを規制する壁部を有することを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記第1のカバーには、前記制御機器が載置されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記第1のカバーにおける前記第2のカバー側の縁部及び前記第2のカバーにおける前記第1のカバー側の縁部の少なくとも一方には、前記電池セルの並設方向に切り欠かれた切欠きが設けられ、
前記信号伝送線は、前記切欠きを通って前記制御機器に接続されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記複数の電池セルの全てと対向することを特徴とする請求項1〜請求項のうちいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
並設方向の両端に設けられた前記電池セルには、前記電池セルに電力を供給するためのパワー線が接続されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セルの状態を検出するセンサを備える電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電池モジュールには、電池セルの状態を検出するためのセンサが設けられている。例えば、特許文献1に記載の二次電池装置には、電池セルの温度を測定するための温度センサが設けられている。特許文献1に記載の二次電池装置では、複数の電池セルを並列接続したセルユニットがセンターケース内に収容されている。複数の電池セルのうち、最も温度が高くなる位置に設けられた電池セル及び最も温度が低くなる位置に設けられた電池セルには、サーミスタが設けられている。センターケースの側壁において、サーミスタが取り付けられる電池セルと対向する側壁内面には、細長い帯状の溝が形成されている。サーミスタは、溝内に収容される。サーミスタは、電池監視基板に電気的に接続され、電池セルの温度を電池監視基板に出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−38468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池モジュールには、電池セルに設けられた圧力開放弁が開放されたときに電池セルの内容物の飛散を抑止することや、電池セルの接続端子に異物が付着することを目的としてカバー部材が取り付けられる場合がある。カバー部材が取り付けられると、センサ(サーミスタ)を制御機器(電池監視基板)に接続するための信号伝送線をカバー部材の縁部まで迂回させなければいけない場合があり、センサと制御機器を接続しにくい。
【0005】
本発明の目的は、カバー部材を設けても電池セルの状態を検出するセンサと制御機器を接続しやすい電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する電池モジュールは、並設された複数の電池セルと、前記複数の電池セルの並設方向に並んで設けられた第1のカバーと第2のカバーとを有し、前記電池セルの一面と対向して設けられるカバー部材と、前記電池セルに直接的もしくは間接的に接合され、前記電池セルの状態を検出するセンサと、前記センサと接合される信号伝送線と、を備え、前記信号伝送線は、前記第1のカバーと前記第2のカバーとの間を通って制御機器に接続されていることを要旨とする。
【0007】
これによれば、センサの信号伝送線は、第1のカバーと第2のカバーとの間を通って制御機器と接続されるため、カバー部材の縁部まで信号伝送線を迂回させることなく制御機器に信号伝送線を接続することができる。このため、センサと制御機器を接続しやすい。
【0008】
上記電池モジュールについて、前記第2のカバーは、前記第1のカバー側の縁部に、前記信号伝送線を前記第1のカバーに向けて屈曲させる押圧部を有することが好ましい。
これによれば、第2のカバーの押圧部によって信号伝送線を押圧することで、信号伝送線の屈曲方向を第1のカバー側に向けることができる。
【0009】
上記電池モジュールについて、前記第2のカバーは、前記第1のカバー側の縁部に、前記電池セル側とは反対側に立設し、前記信号伝送線が前記第2のカバーに向けて屈曲することを規制する壁部を有することが好ましい。
これによれば、壁部によって信号伝送線が第2のカバーに向けて屈曲することが規制されるため、信号伝送線の屈曲方向を第1のカバー側に向けることができる。
【0010】
上記電池モジュールについて、前記第1のカバーには、前記制御機器が載置されていることが好ましい。
これによれば、信号伝送線は、第1のカバーに向けて屈曲するため、信号伝送線を制御機器に接続しやすい。また、第1のカバーを、制御機器を載置するための載置部材として兼用することができる。
【0011】
上記電池モジュールについて、前記第1のカバーにおける前記第2のカバー側の縁部及び前記第2のカバーにおける前記第1のカバー側の縁部の少なくとも一方には、前記電池セルの並設方向に切り欠かれた切欠きが設けられ、前記信号伝送線は、前記切欠きを通って前記制御機器に接続されることが好ましい。
【0012】
これによれば、切欠きに信号伝送線を通すことができるため、信号伝送線を第1のカバーと第2のカバーの間に通しやすい。
上記電池モジュールについて、前記カバー部材は、前記複数の電池セルの全てと対向することが好ましい。
【0013】
これによれば、電池セルに異物が付着することを好適に抑止することができる。
上記電池モジュールについて、並設方向の両端に設けられた前記電池セルには、前記電池セルに電力を供給するためのパワー線が接続されていることが好ましい。
【0014】
信号伝送線をカバー部材の縁部まで迂回させて制御機器と接続する場合、並設方向の両端に設けられた電池セルに接続されたパワー線と、信号伝送線とが並んで設けられる。この場合、パワー線を流れる電流によって生じる磁場により、制御機器に伝送される信号にノイズが生じる場合がある。信号にノイズが生じると、制御機器が電池セルの状態を正しく把握することができない。信号伝送線が第1のカバーと第2のカバーの間に位置しているため、パワー線と信号伝送線が並んで設けられることが抑制される。このため、制御機器は、電池セルの状態を正しく把握することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カバー部材を設けても電池セルの状態を検出するセンサと制御機器を接続しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の電池モジュールを示す斜視図。
図2】実施形態の電池セルと電池ホルダを示す斜視図。
図3】(a)は実施形態の電池モジュールを示す断面図、(b)は電池モジュールの一部を拡大して示す拡大図。
図4】実施形態の電池セルを示す断面図。
図5】実施形態の第1のカバーを示す斜視図。
図6】実施形態の第2のカバーを示す斜視図。
図7】実施形態のカバー部材を示す斜視図。
図8】変形例のカバー部材を示す断面図。
図9】変形例のカバー部材を示す断面図。
図10】変形例のカバー部材を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、電池モジュールの一実施形態について説明する。
図1及び図2に示すように、電池モジュール10は、電池セル11(例えば、リチウムイオン二次電池や、ニッケル水素蓄電池などの二次電池)が、樹脂製の電池ホルダ12に保持された状態で並設されている。電池モジュール10において、電池セル11の並設方向両端には、エンドプレート14が設けられており、このエンドプレート14によって電池セル11及び電池ホルダ12が拘束されている。なお、エンドプレート14は、例えば、一方のエンドプレート14から他方のエンドプレート14に向けて挿通されたボルトが、各エンドプレート14及び各電池ホルダ12を挿通して他方のエンドプレート14側でナットに螺合されることで固定される。
【0018】
図2に示すように、電池ホルダ12は、矩形平板状の第1の被覆部61を有している。第1の被覆部61の長手方向両端には、第1の被覆部61の厚み方向に延びる矩形平板状の第2の被覆部62及び第3の被覆部63が設けられている。第2の被覆部62の長手方向第1端部62a(第1の被覆部61が設けられる端部とは反対側の端部)と、第3の被覆部63の長手方向第1端部63a(第1の被覆部61が設けられる端部とは反対側の端部)には、各被覆部62,63の短手方向第1端部62b、63bの間で延びる矩形平板状の第4の被覆部64が設けられている。第2の被覆部62及び第3の被覆部63の長手方向第1端部62a,63aには、各被覆部62,63と連設され、各被覆部62,63の長手方向に延びる矩形平板状のカバー保持部65が設けられている。各カバー保持部65における各カバー保持部65と対向する面には、係止爪66が設けられている。
【0019】
図4に示すように、電池セル11は、ケース16の内部に、電極組立体17が収容されている。ケース16は、有底箱状のケース本体18と、ケース本体18の開口部を閉塞する蓋19とを有する。蓋19には、電極組立体17と電気的に接続された接続端子20(正極端子及び負極端子)が設けられている。接続端子20は、内周面に雌ねじが形成された螺合穴21を有している。また、蓋19には、ケース16内の圧力が閾値よりも高くなったときに開放される圧力開放弁26が設けられている。
【0020】
図3に示すように、電池セル11は、電池セル11の並設方向に隣り合う接続端子20が異なる極性になるように、すなわち、正極端子と負極端子が隣り合うように並設されている。電池セル11の並設方向に隣り合う接続端子20は、バスバー22によって接続されている。バスバー22は、バスバー22を貫通したボルト23が接続端子20の螺合穴21に螺合されることで接続端子20に固定されている。これにより、各電池セル11は、直列接続されている。
【0021】
ボルト23の頭部と、接続端子20との間には、センサとしての電圧検出端子24が設けられている。電圧検出端子24は、電池セル11の電圧(電池セル11の状態)を検出するものであり、例えば、金属箔で形成されている。本実施形態において、電圧検出端子24は、ボルト23の頭部と、該ボルト23の頭部と接続端子20との間に設けられたバスバー22とに挟まれることで接続端子20(電池セル11)に間接的に固定されており、各バスバー22に一つずつ設けられている。電圧検出端子24は、信号伝送線25を有している。
【0022】
電池モジュール10は、接続端子20が設けられた面(電池セル11の一面)と対向して配置されたカバー部材31を有している。カバー部材31は、全ての電池セル11と対向している。カバー部材31は、電池ホルダ12のカバー保持部65に挟まれるように配置されている。そして、カバー部材31は、係止爪66と係止し合うことで、電池ホルダ12に保持されている。電池セル11とカバー部材31との間には、領域Sが区画されている。カバー部材31は、圧力開放弁26が開放されたときに電池セル11の内容物が飛散することを抑止する目的や、接続端子20に異物が付着して電池セル11が短絡することを抑止する目的で設けられている。カバー部材31は、第1のカバー32と第2のカバー41を有している。
【0023】
図5に示すように、第1のカバー32は、矩形板状をなす本体33と、本体33の対向する一対の縁部から本体33の厚み方向に立設された矩形板状の立設部34とを有している。立設部34は、本体33における立設部34が設けられた縁部とは異なる一対の縁部間の全体にわたって設けられている。本体33における立設部34が設けられていない縁部の一方(縁部35)は、本体33の厚み方向の面のうち、立設部34が設けられた面から、立設部34が設けられていない面に向けて傾斜する傾斜面36を有している。縁部35には、円弧状をなす切欠き37が設けられている。また、立設部34において、本体33の縁部35と同一方向の縁部(長手方向の縁部のうち、本体33の縁部35側の縁部)は、傾斜面36と連続する薄肉部38を有している。
【0024】
図6に示すように、第2のカバー41は、縁部の形状を除いて、第1のカバー32と同一の形状をなしている。具体的にいえば、第2のカバー41は、矩形板状をなす本体42と、本体42の対向する一対の縁部から本体42の厚み方向に立設された矩形板状の立設部43とを有している。立設部43は、本体42における立設部43が設けられた縁部とは異なる一対の縁部間の全体にわたって設けられている。本体42における立設部43が設けられていない縁部の一方(縁部44)は、本体42の厚み方向の面のうち、立設部43が設けられていない面から、立設部43が設けられている面に向けて傾斜する傾斜面45を有している。また、立設部43において、本体42の縁部44と同一方向の縁部(長手方向の縁部のうち、本体42の縁部44側の縁部)は、傾斜面45と連続する薄肉部46を有している。また、本体42は、本体42の厚み方向に貫通する貫通孔47を有している。
【0025】
図7に示すように、第1のカバー32には、縁部35に設けられた切欠き37の一部が本体33の厚み方向に開口するように第2のカバー41が重ね合わされている。詳細にいえば、第1のカバー32の傾斜面36の一部及び薄肉部38の一部と、第2のカバー41の傾斜面45の一部及び薄肉部46の一部の各々が対向するように第1のカバー32に第2のカバー41が重ねられている。これにより、第1のカバー32における第2のカバー41側の縁部35に切欠き37が位置する。
【0026】
図3に示すように、第1のカバー32には、電池セル11の状態に応じて電池セル11の制御を行う制御機器51(電池ECU)が載置されている。制御機器51は、制御機器用カバー52に覆われている。制御機器51には、電圧検出端子24の信号伝送線25が接続されている。第2のカバー41には、回路基板53が設けられている。回路基板53は、回路基板用カバー54に覆われている。
【0027】
各電圧検出端子24の信号伝送線25は、切欠き37を通って制御機器51に接続されている。信号伝送線25は、第2のカバー41の縁部44に押圧されて、第1のカバー32に向けて屈曲している。したがって、第2のカバー41の縁部44が押圧部となる。
【0028】
並設方向の両端の電池セル11のうち、一方の電池セル11の接続端子20には、パワー線P1が接続されている。パワー線P1は、カバー部材31と、エンドプレート14との間から接続対象(例えば、負荷)に向けて延びている。また、並設方向の両端の電池セル11のうち、他方の電池セル11の接続端子20には、導電部材55が接続されている。導電部材55は、貫通孔47を介して回路基板53に接続されている。回路基板53には、パワー線P2が接続されている。すなわち、並設方向の両端の電池セル11のうち、他方の電池セル11には、導電部材55及び回路基板53を介してパワー線P2が接続されている。
【0029】
次に、本実施形態の電池モジュール10の作用について説明する。
信号伝送線25をカバー部材31の縁部まで迂回させて制御機器51に接続する場合、並設方向の両端の電池セル11のうち、他方の電池セル11(バスバー22)に設けられた電圧検出端子24の信号伝送線25を制御機器51に接続するためには、カバー部材31の縁部まで信号伝送線25を延ばす必要がある。このため、信号伝送線25と制御機器51を接続しにくい。また、並設方向の両端の電池セル11のうち、一方の電池セル11に設けられた電圧検出端子24の信号伝送線25と、他方の電池セル11に設けられた電圧検出端子24の信号伝送線25との長さの差が大きくなる。信号伝送線25の長さの差が大きいと、配線抵抗に差が生じ、制御機器51が把握する電圧情報に差がでるおそれがある。
【0030】
更に、電池セル11を直列接続する場合、並設方向の両端の電池セル11にパワー線P1,P2が接続される。このため、カバー部材31の縁部まで迂回させて信号伝送線25を制御機器51に接続する場合には、パワー線P1,P2と信号伝送線25が並んで設けられる。パワー線P1,P2には、直列接続された各電池セル11からの電流が流れるため、パワー線P1,P2の周囲には磁場が生じる。この磁場に影響されて、信号伝送線25によって伝送される信号にノイズが生じ、制御機器51が電池セル11の電圧を正しく把握できないおそれがある。
【0031】
本実施形態の電池モジュール10では、第1のカバー32と第2のカバー41の間から信号伝送線25を延ばしているため、カバー部材31の縁部まで信号伝送線25を迂回させる必要がない。
【0032】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)信号伝送線25は、第1のカバー32と第2のカバー41の間を通って制御機器51に接続されている。このため、カバー部材31の縁部まで信号伝送線25を延ばす必要がなく、信号伝送線25を制御機器51に接続しやすい。
【0033】
(2)また、カバー部材31の縁部まで信号伝送線25を延ばす必要がないため、パワー線P1,P2と信号伝送線25が並んで設けられることが抑制される。このため、パワー線P1,P2の周囲に生じる磁場によって、信号にノイズが生じることが抑制され、制御機器51が電池セル11の状態を的確に把握することができる。
【0034】
(3)第2のカバー41の縁部44は、信号伝送線25を第1のカバー32に向けて押圧している。このため、信号伝送線25を第1のカバー32側に屈曲させることができる。
【0035】
(4)第1のカバー32には、制御機器51が載置されているため、第2のカバー41に押圧された信号伝送線25を制御機器51に接続しやすい。また、第1のカバー32を制御機器を載置するための載置部材として兼用することができる。
【0036】
(5)信号伝送線25は、領域Sから第1のカバー32と第2のカバー41との間を通って制御機器51に接続されているため、各電圧検出端子24の信号伝送線25の長さの差が小さい。このため、信号伝送線25の配線抵抗の差によって制御機器51が把握する電圧情報に差がでることが抑制される。
【0037】
(6)第1のカバー32の縁部35には切欠き37が設けられているため、信号伝送線25を第1のカバー32と第2のカバー41との間から領域Sの外部に延設させることができる。
【0038】
(7)カバー部材31は、全ての電池セル11の接続端子20が設けられた面と対向している。このため、電池セル11の接続端子20が設けられた面に異物が付着することを好適に抑止することができる。
【0039】
(8)ところで、単一の部材からなるカバー部材31に孔を設けて、その孔から信号伝送線25を領域Sの外部に延ばすことも考えられる。しかしながら、信号伝送線25には、制御機器51と接続を行うためのコネクタが設けられるため、孔に信号伝送線25を通すためには、孔の大きさをコネクタよりも大きくする必要がある。複数のカバーからなるカバー部材31を用いて、カバーの間から信号伝送線25を延ばす場合には、信号伝送線25を挟むようにカバーを配置すればよく、孔にコネクタを通す必要がない。このため、コネクタを制御機器51に接続した後に、信号伝送線25を挟むようにカバーを設けることができ、カバー部材31にコネクタより大きな孔を設ける必要がない。このため、孔を介して異物が接続端子20に付着することが抑制される。
【0040】
なお、実施形態は以下のように変更してもよい。
図8に示すように、第2のカバー41の縁部44に、第2のカバー41の本体42の厚み方向のうち、電池セル11側とは反対側の方向に立設する壁部56を設けてもよい。壁部56は、第1のカバー32と第2のカバー41との間から領域Sの外部に延びる信号伝送線25が第2のカバー41に向けて屈曲することを規制している。具体的にいえば、信号伝送線25が第2のカバー41に向けて屈曲しようとすると、信号伝送線25が壁部56に当接するので、第2のカバー41に向けて屈曲しにくい。このため、信号伝送線25を第1のカバー32側に曲げやすい。なお、壁部56は、縁部44から離れた位置に設けられていてもよい。
【0041】
図9に示すように、第1のカバー32に切欠き37を設けず、第1のカバー32と第2のカバー41の縁部35,44が重なり合わないようにしてもよい。この場合、電池セル11における接続端子20が設けられる面からの離間距離を、第1のカバー32よりも第2のカバー41のほうが長くすることで、第1のカバー32と第2のカバー41の組み付けの際に、第2のカバー41を第1のカバー32に向けて移動させて、第2のカバー41の縁部44で信号伝送線25を第1のカバー32に向けて押圧できる。また、信号伝送線25を押圧する必要がない場合には、電池セル11における接続端子20が設けられる面からの離間距離を、第1のカバー32と第2のカバー41で同一距離や第2のカバー41よりも第1のカバー32のほうが長くなるようにしてもよい。
【0042】
図10に示すように、第1のカバー32における第2のカバー41側の縁部35と第2のカバー41における第1のカバー32側の縁部44の両方に切欠き37を設けてもよい。
【0043】
○ 3個以上のカバーからカバー部材31が構成されていてもよい。この場合、隣り合うカバーのうち、一方が第1のカバーとなり、他方が第2のカバーとなる。
○ 実施形態では、電圧検出端子24が、バスバー22を介して間接的に電池セル11に取り付けられているが、接続端子20(電池セル11)に電圧検出端子24を直接的に取り付けてもよい。
【0044】
○ 電池セル11は、並列接続されていてもよい。この場合、パワー線P1,P2は、並設方向の両端の電池セル11に接続されていてもよいし、他の電池セル11に接続されていてもよい。
【0045】
○ 第1のカバー32及び第2のカバー41は、立設部34,43を有していなくてもよく、本体33,42のみで構成されていてもよい。
○ 電池セル11は、電池ホルダ12に保持されていなくてもよく、電池セル11のみが並設されていてもよい。
【0046】
○ センサとして、電池セル11の温度を検出する温度センサを設けて、電池セル11の状態として、温度を検出してもよい。温度センサは、電池セル11に直接的に取り付けられていてもよいし、本実施形態のように、バスバー22などに取り付けられることで、間接的に電池セル11に取り付けられていてもよい。
【0047】
○ 制御機器51は、カバー部材31に載置されていなくてもよく、例えば、電池モジュール10がケース内に収容されているような場合には、ケース内に収容されていてもよい。
【0048】
○ カバー部材31は、電池セル11の接続端子20が設けられている面とは異なる面と対向するように配置されていてもよい。
○ カバー部材31は、全ての電池セル11と対向していなくてもよく、一部の電池セル11と対向していればよい。
【符号の説明】
【0049】
P1,P2…パワー線、10…電池モジュール、11…電池セル、20…接続端子、24…電圧検出端子、25…信号伝送線、31…カバー部材、32…第1のカバー、37…切欠き、41…第2のカバー、51…制御機器。
図1
図2
図3
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図7
図8
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図10