(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1においては、単位電池81や電池モジュールの振動等により、端子固定用ナット87が緩む虞がある。
この発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、ナットの緩みを抑制することができる蓄電装置及び蓄電モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の蓄電装置は、ケースと、前記ケース内に収容された電極組立体と、前記電極組立体と電気を授受する電極端子と、を備えた蓄電装置であって、前記電極端子は、前記ケースに形成された挿通孔より前記ケースから突出した極柱部を有し、かつ前記ケースの外側で前記極柱部の外周面に螺合されたナットにより前記ケースに固定され、さらに、前記ケースの外側で前記極柱部に接続可能なバスバーを前記極柱部に固定可能とするバスバー固定部材と、前記極柱部の軸方向における、前記ナットと前記バスバー固定部材との間に、前記ナットの前記極柱部の軸方向への移動を抑制する移動抑制部材と、を有し、前記移動抑制部材は、前記極柱部の軸方向における一方の面が前記ナットに接しているとともに他方の面が前記バスバー又は前記バスバー固定部材に接して
おり、前記移動抑制部材は、高摩擦係数を有する弾性体であり、前記ナット、前記バスバー固定部材、及び前記バスバーの少なくともいずれか一つに係合されていることを要旨とする。
【0007】
これによれば、移動抑制部材によって、ナットがケースに向けて押し付けられ、ナットにおけるケースに向けた端面と、その端面が接触するケース側の壁面との間の摩擦力が高められている。このため、蓄電装置に伝達した振動により、ナットが極柱部から螺退する方向に回転しようとしても、移動抑制部材による押し付けによって、ナットが回転することが規制され、ナットが螺退する方向に回転することが抑制される結果、ナットの緩みを抑制できる。
【0008】
また
、バスバー固定部材によってバスバーを極柱部に固定する場合、バスバー固定部材のナットに向けた押し付けによって、バスバーが極柱部に押し付けられる。この押し付け時、移動抑制部材は弾性変形してバスバー固定部材の押し付けを許容するため、バスバーを極柱部に押し付けることが可能になる。また、移動抑制部材は、弾性変形した状態から原形状へ復帰するため、この復帰力によりナットをケース側の壁面に強く押し付けることができ、ナットの緩みを抑制できる。さらに、移動抑制部材が高摩擦係数を有するとともに弾性を有するため、移動抑制部材のナットに対する摩擦力が高まり、ナットに対して移動抑制部材が滑ることが抑制され、ナットをケース側の壁面に押し付けた状態を維持できる。
【0009】
また
、バスバー又はバスバー固定部材の回転が抑制された状態において、このバスバー又はバスバー固定部材に対し移動抑制部材が係合していれば、移動抑制部材が回転することが防止され、この移動抑制部材によって押し付けられたナットも螺退方向へ回転することが抑制される。
上記問題点を解決するために、請求項2に記載の蓄電装置は、ケースと、前記ケース内に収容された電極組立体と、前記電極組立体と電気を授受する電極端子と、を備えた蓄電装置であって、前記電極端子は、前記ケースに形成された挿通孔より前記ケースから突出した極柱部を有し、かつ前記ケースの外側で前記極柱部の外周面に螺合されたナットにより前記ケースに固定され、さらに、前記ケースの外側で前記極柱部に接続可能なバスバーを前記極柱部に固定可能とするバスバー固定部材と、前記極柱部の軸方向における、前記ナットと前記バスバー固定部材との間に、前記ナットの前記極柱部の軸方向への移動を抑制する移動抑制部材と、を有し、前記移動抑制部材は、前記極柱部の軸方向における一方の面が前記ナットに接しているとともに他方の面が前記バスバー又は前記バスバー固定部材に接しており、前記極柱部は筒状であり、該極柱部の外周に前記ナットが螺合される雄ねじ部を有するとともに、内周に前記バスバー固定部材が螺合可能な雌ねじ部を有し、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部は逆ねじの関係にあり、前記移動抑制部材は、前記ナットと前記バスバー固定部材との間に配設されていることを要旨とする。
これによれば、ナットが螺退方向に回転しようとしたとき、移動抑制部材にもナットの螺退方向への力が作用する。すると、移動抑制部材の接しているバスバー固定部材は逆ねじの関係にあるため、バスバー固定部材には、雌ねじ部に対して螺進する方向への力が作用し、バスバー固定部材の緩みを抑制できる。
【0010】
また、前記移動抑制部材は、前記ナットと前記バスバーの間に配設されていてもよい。
これによれば、極柱部にバスバーを接続した場合には、バスバーは別の蓄電装置の電極端子と連結されるため、バスバー自体が回転することはない。この回転しないバスバーに対し移動抑制部材の他方の面が接触しているため、ナットが螺退方向へ回転しようとしても移動抑制部材は回転せず、移動抑制部材によりナットをケース側の壁面に押し付けた状態を維持することができる。
【0013】
また、前記蓄電装置は二次電池である。
また、請求項
5に記載の蓄電モジュールは、複数の蓄電装置がバスバーにより互いに電気的に接続された蓄電モジュールであって、前記蓄電装置は請求項1〜請求項
4のうちいずれか一項に記載の蓄電装置である。
【0014】
これによれば、ナットの緩みが抑制されるため、電極端子をケースに固定した状態を維持できる。このため、バスバーによる電極端子同士の連結を維持できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ナットの緩みを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、蓄電装置を二次電池に具体化した第1の実施形態を
図1〜
図5にしたがって説明する。
【0018】
図1及び
図2に示すように、二次電池10において、金属製のケース12には電極組立体20が収容されている。ケース12は、開口部13dを有する直方体状のケース本体13と、ケース本体13の開口部13dを閉塞する矩形平板状の蓋14とからなる。ケース本体13と蓋14は、何れも金属製(例えば、ステンレスやアルミニウム)であり、ケース本体13と蓋14はレーザー溶接によって接合されている。ケース本体13は、長方形状の底板13aと、底板13aの対向する一対の短側縁から立設された短側壁13bと、底板13aの対向する一対の長側縁から立設された長側壁13cとを備える。蓋14は、所定の間隔をあけて並設された一対の挿通孔14bを有する。また、本実施形態の二次電池10は、その外周が角型をなす角型電池である。また、本実施形態の二次電池10は、リチウムイオン電池である。
【0019】
図3に示すように、電極組立体20は、正極電極21と負極電極22と、を備えるとともに、正極電極21と負極電極22との間を絶縁するセパレータ23を介在させて層状をなす積層体とされている。正極電極21は、矩形状の正極用金属箔(本実施形態ではアルミニウム箔)21aと、その正極用金属箔21aの両面に形成された正極活物質層21bとを有する。負極電極22は、矩形状の負極用金属箔(本実施形態では銅箔)22aと、その負極用金属箔22aの両面に形成された負極活物質層22bとを有する。
【0020】
正極電極21は、その一辺(長辺)の一部に正極集電タブ31を有する。負極電極22の一辺(長辺)の一部に負極集電タブ32を有する。電極組立体20を構成する正極電極21は、それぞれの正極集電タブ31が積層方向に沿って列状に配置されるように積層される。同様に、電極組立体20を構成する負極電極22は、それぞれの負極集電タブ32が、正極集電タブ31と重ならないように積層方向に沿って列状に配置されるように積層される。そして、複数の正極集電タブ31は、電極組立体20における積層方向の一端から他端までの範囲に集められる。また、複数の負極集電タブ32も同様に、電極組立体20における積層方向の一端から他端までの範囲に集められる。
【0021】
図1に示すように、電極組立体20は、正極集電タブ31を集めてなる正極タブ群45を備える。この正極タブ群45の少なくとも最外の正極集電タブ31が、正極導電部材33と溶接されている。また、電極組立体20は、負極集電タブ32を集めてなる負極タブ群46を備える。この負極タブ群46の少なくとも最外の負極集電タブ32が負極導電部材37と溶接されている。
【0022】
図1及び
図4(a)に示すように、正極導電部材33及び負極導電部材37は、四角板状をなす端子接続部34を有する。端子接続部34において、後述の電極端子としての正極端子41又は負極端子42が溶接される面を第1面34aとし、第1面34aと反対側の面を第2面34bとする。正極導電部材33及び負極導電部材37は、第2面34bから第1面34aに向けて立ち上がる立上げ部35を有するとともに、端子接続部34から離れる方向に向けて立上げ部35から延びるタブ溶接部36を有し、タブ溶接部36は矩形板状である。
【0023】
正極導電部材33の端子接続部34には正極端子41が溶接されるとともに、負極導電部材37の端子接続部34には負極端子42が溶接されている。正極端子41、及び負極端子42は、それぞれ電極組立体20と電気を授受する。正極端子41及び負極端子42は、それぞれ四角板状をなす基部43を有するとともに、この基部43の平面形状は、各端子接続部34における第1面34aの平面形状とほぼ同じである。そして、基部43において、蓋14の内面14aに対向する面を座面43aとするとともに、基部43の厚み方向に座面43aと反対側の面を組立体側端面43bとする。
【0024】
基部43の中央からは円筒状の極柱部44が立設され、座面43aは極柱部44を取り囲んでいる。極柱部44は、外周面に雄ねじ部44aを有するとともに、内周面に雌ねじ部44bを有する。雄ねじ部44aと雌ねじ部44bは逆ねじの関係である。
【0025】
図1に示すように、基部43には、樹脂製の端子カバー50が装着されている。端子カバー50は、基部43の座面43aと、蓋14の内面14aとの間に配置される蓋側絶縁板51を備える。蓋側絶縁板51は、極柱部44が挿入される挿入部51aを有し、蓋側絶縁板51の内周縁は円弧状である。また、蓋側絶縁板51は、挿入部51aを蓋側絶縁板51の一側方に開口させる切れ込み状の連通部51bを有し、挿入部51aと連通部51bによって蓋側絶縁板51は平面視U字状となっている。蓋側絶縁板51は、その内側縁に、連通部51bを挟んで対向し、かつ連通部51bに向けて突出する突部51cを有する。
【0026】
蓋側絶縁板51は、その端縁のうち、挿入部51aを挟んだ連通部51bと反対側に位置する端縁にケース側絶縁板52を備え、このケース側絶縁板52は蓋14から離れる方向に向けて延びている。ケース側絶縁板52は矩形板状であり、蓋側絶縁板51に対し垂直に延びている。ケース側絶縁板52において、蓋14から離れた側の先端には、組立体側絶縁板53が蓋側絶縁板51と同じ方向に向けて、かつ組立体側端面43bに沿って延設されている。ケース側絶縁板52は矩形板状に形成されている。上記構成の端子カバー50は、正極端子41及び負極端子42に対し、ケース本体13の短側壁13b側から装着されている。
【0027】
図4(a)に示すように、蓋側絶縁板51の挿入部51aには極柱部44が挿入され、蓋側絶縁板51が極柱部44のほぼ全周を取り囲んでいる。また、蓋側絶縁板51は基部43の座面43a上に支持されている。基部43の座面43a上には、シール部材としてのOリング56が極柱部44を取り囲む状態に設けられている。Oリング56は、蓋側絶縁板51の挿入部51a内に配置されるとともに、Oリング56は、ほぼ全周が蓋側絶縁板51によって取り囲まれている。すなわち、Oリング56は、連通部51bと対向する部位以外は、蓋側絶縁板51の内周縁によって取り囲まれ、蓋側絶縁板51によって極柱部44の外周に位置する状態に位置決めされている。組立体側絶縁板53は、基部43の組立体側端面43bより電極組立体20側に配置されるとともに、座面43aと反対側の組立体側端面43bに沿って延びている。また、組立体側絶縁板53は、基部43と電極組立体20との間に介装されている。
【0028】
そして、端子カバー50における蓋側絶縁板51により、蓋14と正極端子41及び負極端子42が電気的に絶縁されている。また、ケース側絶縁板52により、ケース本体13と、正極端子41及び負極端子42とが電気的に絶縁されている。さらに、組立体側絶縁板53により、電極組立体20と正極端子41及び負極端子42とが電気的に絶縁されている。
【0029】
蓋側絶縁板51の挿入部51aに挿入された極柱部44は、蓋14の挿通孔14bよりケース12の外部に突出(露出)している。そして、正極端子41及び負極端子42の基部43は、極柱部44の両端部のうちケース12内に位置する端部に設けられている。また、基部43は、ケース12の壁部としての蓋14と平行な断面積が、挿通孔14bの面積よりも大きく設定されている。このため、基部43は、ケース12の内側で挿通孔14bから抜け出し不能になっている。蓋14の挿通孔14bの内周面と、極柱部44の外周面とは、絶縁部材19によって絶縁されている。
【0030】
絶縁部材19は、筒状部24と、この筒状部24の軸方向一端縁に設けられたフランジ部25と、を有する。筒状部24は、挿通孔14bの内周面と、極柱部44の外周面との間に介装されている。フランジ部25は、蓋14の外面14cにおいて挿通孔14bの周囲に係止されている。
【0031】
極柱部44の雄ねじ部44aにはナット55が螺合され、極柱部44にナット55が取着されている。蓋14の外面14cと、ナット55における蓋側端面55aとの間には、絶縁部材19のフランジ部25が挟圧され、フランジ部25によってナット55と蓋14が絶縁されている。なお、フランジ部25は、ナット55の外周形状を形成する外周面55bよりも径方向外側にはみ出しており、フランジ部25上にナット55の蓋側端面55a全体が接触している。よって、本実施形態では、絶縁部材19のフランジ部25が、ナット55が押し付けられるケース12側の壁面に相当する。
【0032】
そして、ナット55が極柱部44に螺合されることによって、ナット55と基部43との間に、フランジ部25、蓋14、Oリング56及び蓋側絶縁板51が狭圧されるとともに正極端子41及び負極端子42が蓋14に固定されている。この固定状態では、Oリング56は、圧縮状態で蓋14の内面14a及び基部43の座面43aに密接し、挿通孔14bの周囲をシールしている。
【0033】
図5に示すように、各二次電池10は、正極端子41が隣り合う二次電池10の負極端子42に、負極端子42が隣り合う二次電池10の正極端子41にそれぞれバスバー60を介して接続され、接続された複数の二次電池10によって蓄電モジュール71が構成されている。
【0034】
図1及び
図4(a)に示すように、二次電池10同士を電気的に接続するバスバー60は、矩形板状であり、一対の挿通部60aを有する。バスバー60において、厚み方向の一方の面全体を導通面60bとし、導通面60bとは厚み方向に反対側の面である他方の面全体を押圧面60cとする。
【0035】
極柱部44の雌ねじ部44bには、バスバー固定部材としてのボルト61が螺合され、このボルト61によってバスバー60が極柱部44に固定されている。ボルト61は、雌ねじ部44bに螺合するボルトねじ部61aと、ボルトねじ部61aの軸方向一端の頭部61bとを有する。そして、ボルト61の頭部61bによって、バスバー60の押圧面60cが極柱部44に向けて押圧されるとともに、導通面60bにおける挿通部60aの周囲が極柱部44の先端面に押し付けられて面接触しバスバー60と正極端子41又は負極端子42は導通している。
【0036】
ナット55において、その厚み方向における蓋側端面55aと反対側の端面を、バスバー側端面55cとする。バスバー側端面55cと、バスバー60における導通面60bとの間には、移動抑制部材70が配設されている。移動抑制部材70は円環状である。また、移動抑制部材70は、高摩擦係数材料製の弾性体であり、具体的にはゴム製である。移動抑制部材70は弾性変形可能である。移動抑制部材70は円形状の貫通孔70cを備える。
【0037】
図4(b)に示すように、移動抑制部材70は、貫通孔70cに極柱部44が挿通された状態で、ナット55のバスバー側端面55cと、バスバー60の導通面60bとの間に厚み方向に圧縮された状態で配設されている。また、移動抑制部材70は、厚み方向の一方の面70aが、ナット55のバスバー側端面55cに面接触した状態で圧接し、他方の面70bが、バスバー60の導通面60bに面接触した状態で圧接している。よって、極柱部44の軸方向において、バスバー60とナット55の間に移動抑制部材70が配設されている。
【0038】
次に、二次電池10の作用について記載する。
蓄電モジュール71は種々の用途に使用されるが、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両に搭載されて、走行用モータ等の電源として使用される。車両に搭載された蓄電モジュール71には、車両の走行中に車両の振動が蓄電モジュール71を構成する各二次電池10に伝わる。特にフォークリフト等の産業車両においては乗用車と異なりサスペンションがないため振動が激しい。
【0039】
車両の振動が正極端子41及び負極端子42に伝達し、ナット55に対し雄ねじ部44aから螺退する方向への力が作用するときがある。このとき、ナット55のバスバー側端面55cには、移動抑制部材70の一方の面70aが押し付けられ、ナット55はフランジ部25に押し付けられている。このため、ナット55が螺退する方向に回転することが抑制され、ナット55が緩むことが抑制される。
【0040】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ナット55とバスバー60との間に移動抑制部材70が配設され、移動抑制部材70の一方の面70aは、ナット55のバスバー側端面55cに押し付けられ、他方の面70bが、バスバー60の導通面60bに押し付けられている。このため、移動抑制部材70によって、ナット55がフランジ部25に押し付けられ、ナット55とフランジ部25との間の摩擦力が高められている。よって、蓄電モジュール71に振動が伝達してもナット55が螺退方向へ回転することが規制され、ナット55が緩むことが抑制される。
【0041】
(2)バスバー60と極柱部44とを導通させるために、バスバー60は極柱部44の先端面に押し付けられている。この押し付けを可能にするため、極柱部44の先端面より低い位置にナット55が配置されている。そして、このナット55とバスバー60の間を埋めるように移動抑制部材70が設けられ、この移動抑制部材70によってナット55の緩みが抑制されている。よって、バスバー60と極柱部44を確実に導通させながらナット55の緩みを抑制できる。
【0042】
(3)バスバー60と極柱部44の先端面とは、バスバー60が極柱部44に押圧された状態で面接触している。この場合、極柱部44とバスバー60との間の電気抵抗が低くなる。
【0043】
(4)移動抑制部材70は、ゴム製であり、高摩擦係数を有し、弾性変形可能である。このため、ボルト61を極柱部44に螺合し、バスバー60を極柱部44の先端に押し付けたとき、移動抑制部材70は厚み方向に圧縮するように弾性変形する。このため、移動抑制部材70の原形状への復帰力によりナット55及びバスバー60に対する移動抑制部材70の押し付け力が高まり、結果として摩擦力も高まることから、ナット55及びバスバー60に対し、移動抑制部材70が滑ることが防止できる。その結果として、移動抑制部材70によってナット55を蓋14側に押し付けた状態を維持でき、ナット55の緩みを抑制できる。
【0044】
(5)蓄電モジュール71においては、バスバー60は、別の二次電池10の正極端子41又は負極端子42と連結されるため、バスバー60自体が回転することはない。この回転しないバスバー60の導通面60bに対し移動抑制部材70の他方の面70bが押し付けられているため、ナット55が螺退しようとしても移動抑制部材70は回転せず、ナット55をフランジ部25に押し付けた状態を維持することができる。
【0045】
(6)移動抑制部材70はゴム製であることから、ナット55とバスバー60の間で圧縮されると、移動抑制部材70がバスバー側端面55c及び導通面60bの微細な凹凸に対応して変形する。このため、移動抑制部材70と、ナット55及びバスバー60との間の摩擦力を高め、移動抑制部材70をより滑りにくくすることができる。
【0046】
(第2の実施形態)
次に、蓄電装置を二次電池に具体化した第2の実施形態を
図6及び
図7にしたがって説明する。なお、以下の説明では、第1の実施形態と同一構成について同一符号を付すなどし、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0047】
図6に示すように、第2の実施形態における移動抑制部材72は、コ字状である。また、バスバー60は、第1の実施形態と比べて、短手方向への長さが短くなっているとともに、厚みがバスバー60よりも厚くなっている。
図7に示すように、移動抑制部材72は、バスバー60の外周側に配置されている。そして、移動抑制部材72は、極柱部44の軸方向における、ナット55とボルト61の頭部61bとの間に介装されている。移動抑制部材72は、厚み方向の一方の面72aが、ナット55のバスバー側端面55cに面接触した状態で押し付けられ、他方の面72bが、ボルト61における頭部61bに面接触した状態で押し付けられている。
【0048】
したがって、第2の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(7)ナット55が螺合される極柱部44の雄ねじ部44aと、ボルト61が螺合される極柱部44の雌ねじ部44bは逆ねじの関係にある。このため、ナット55に対し、螺退する方向に力が作用したとき、移動抑制部材72にはナット55の螺退方向への力が作用する。すると、移動抑制部材72の接しているボルト61には、雌ねじ部44bに対し螺進する方向への力が作用し、ボルト61の緩みを抑制できる。
【0049】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○
図8(a)に示すように、バスバー60の導通面60bに係合凹部60dを形成するとともに、ナット55のバスバー側端面55cに係合凹部55dを形成する。一方、移動抑制部材70において、一方の面70a及び他方の面70bに、係合凸部70dを形成する。
【0050】
図8(b)に示すように、ナット55とバスバー60の間に移動抑制部材70が介装された状態で、各係合凹部55d,60dに、係合凸部70dを係合させてもよい。このように構成すると、移動抑制部材70に対し、ナット55及びバスバー60が回転することが防止される。このため、ナット55が螺退方向に回転しようとしても、移動抑制部材70はナット55に対し滑らないし、バスバー60に対しても移動抑制部材70は滑らない。このため、移動抑制部材70によってナット55を蓋14側に押し付けた状態が維持できる。
【0051】
なお、ナット55及びバスバー60のうちいずれか一方のみに係合凹部を設け、係合凹部に対応して移動抑制部材70に係合凸部70dを形成してもよい。また、第2の実施形態において、ナット55及び移動抑制部材72の少なくとも一方に係合凹部を設け、その係合凹部に対応して移動抑制部材72に係合凸部を設けてもよい。
【0052】
○ ナット55の蓋側端面55aを粗面加工して、絶縁部材19のフランジ部25との間に生じる摩擦力を高め、ナット55を緩みにくい構成としてもよい。また、ナット55のバスバー側端面55cを粗面加工して、移動抑制部材70,72との間に生じる摩擦力を高め、ナット55に対し移動抑制部材70,72が滑りにくい構成としてもよい。
【0053】
○ 第1の実施形態において、バスバー60の導通面60bを粗面加工して移動抑制部材70が滑り難い構成としてもよいし、第2の実施形態において、ボルト61における頭部61bを粗面加工して移動抑制部材70が滑り難い構成としてもよい。
【0054】
○ バスバー60の極柱部44への固定は、
図9に示す形態としてもよい。正極端子41又は負極端子42の極柱部44にナット55が螺合されるとともに、絶縁部材19のフランジ部25にナット55が支持されている。このナット55上にバスバー60を支持させるとともに、極柱部44にバスバー固定部材としてのナット57を螺合して、バスバー60を極柱部44に固定する。このとき、極柱部44の軸方向におけるナット55,57の間で、かつバスバー60の外側には移動抑制部材70が介装されている。
【0055】
○ 移動抑制部材70,72はゴム製でなくてもよく、例えば樹脂製であってもよい。
○ 各実施形態では、シール部材としてOリング56に具体化したが、環状のガスケットや円環状以外の環状シール部材に変更してもよい。
【0056】
○ 実施形態では、挿通孔14bを蓋14に形成したが、ケース12におけるケース本体13に挿通孔を形成し、ケース本体13から極柱部44を突出させてもよい。
○ 電極組立体20を構成する正極電極21、及び負極電極22の枚数は適宜変更してもよい。
【0057】
○ 電極組立体20は、帯状の正極電極21と負極電極22との間に帯状のセパレータ23を介在させて、これらを捲回軸周りに渦捲き状に捲回して構成された捲回型としてもよい。
【0058】
○ ケース12の形状は、円柱状や、楕円柱状に形成してもよい。
○ 蓄電装置はニッケル水素二次電池や、電気二重層キャパシタとして具体化してもよい。