特許第6070010号(P6070010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6070010音楽データ表示装置および音楽データ表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6070010
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】音楽データ表示装置および音楽データ表示方法
(51)【国際特許分類】
   G10G 1/00 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   G10G1/00
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-209486(P2012-209486)
(22)【出願日】2012年9月24日
(65)【公開番号】特開2013-117712(P2013-117712A)
(43)【公開日】2013年6月13日
【審査請求日】2015年7月21日
(31)【優先権主張番号】特願2011-242244(P2011-242244)
(32)【優先日】2011年11月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】入山 達也
【審査官】 上田 雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−128186(JP,A)
【文献】 特開2007−047324(JP,A)
【文献】 特開平10−004534(JP,A)
【文献】 特開2005−316207(JP,A)
【文献】 超初心者による初心者の為のVocalod1・KAITO講座?,日本,2008年12月 5日,URL,https://web.archive.org/web/20081205174635/http://homepage3.nifty.com/sugikiyu/voc/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10G 1/00 − 3/04
G10H 1/00 − 7/12
G10L 13/00 −13/10
G06F 3/01
G06F 3/048−3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音高軸と時間軸とが設定された楽譜領域のうち音楽データが指定する音高および発音時点に応じた位置に、前記音楽データが指定する継続長に応じて前記時間軸方向の長さが設定された音符図形を音符毎に表示させる表示制御手段を具備し、
前記表示制御手段は、
前記音高軸方向の表示倍率を維持したまま前記時間軸方向の表示倍率を変更可能であり、
第1表示状態では、前記音楽データが各音符に指定する関連情報を当該音符の音符図形の内側に配置し、前記時間軸方向の表示倍率が前記第1表示状態よりも低い第2表示状態では、前記音楽データが各音符に指定する関連情報を、前記第1表示状態と同等の表示サイズで、当該音符の音符図形の外側に配置する表示制御手段と
を具備する音楽データ表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記第2表示状態において、前記各音符の関連情報を、前記楽譜領域内の当該音符の音符図形の周囲に配置する
請求項1の音楽データ表示装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記第2表示状態において、前記楽譜領域内の複数の音符図形が示す各音符の関連情報のうちの一部の関連情報を、前記楽譜領域内に前記時間軸方向に配列する
請求項1の音楽データ表示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記第2表示状態において、前記楽譜領域内の複数の音符図形が示す各音符の関連情報を、前記楽譜領域内に前記音高軸方向に配列する
請求項1の音楽データ表示装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記第2表示状態において、前記楽譜領域内の位置を利用者が指定するためのポインタが一の音符図形を指示する場合に、前記一の音符図形が示す音符の関連情報を前記一の音符図形の周囲に表示させる
請求項1の音楽データ表示装置。
【請求項6】
コンピュータシステムが、
音高軸と時間軸とが設定された楽譜領域のうち音楽データが指定する音高および発音時点に応じた位置に、前記音楽データが指定する継続長に応じて前記時間軸方向の長さが設定された音符図形を音符毎に表示させる方法であって、
前記音高軸方向の表示倍率を維持したまま前記時間軸方向の表示倍率を変更可能であり、
第1表示状態では、前記音楽データが各音符に指定する関連情報を当該音符の音符図形の内側に配置し、前記時間軸方向の表示倍率が前記第1表示状態よりも低い第2表示状態では、前記音楽データが各音符に指定する関連情報を、前記第1表示状態と同等の表示サイズで、当該音符の音符図形の外側に配置する
音楽データ表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽データを表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
音楽データが指定する音符の時系列を表示装置に表示させる技術が従来から提案されている。例えば特許文献1には、楽曲の各音符を表現する図形(以下「音符図形」という)を、音高軸と時間軸とが設定されたピアノロール型の楽譜領域に表示し、各音符に付与された音声符号(例えば例えば歌唱曲の各音符に対応する歌詞)を音符図形の内側に配置する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−128186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、楽譜領域の表示倍率を低下させた場合(例えば時間軸方向に縮小表示した場合)には、音符図形が縮小されるから、所定の表示サイズの音声符号が音声図形の内側に入りきらない可能性がある。音符図形の縮小に連動して音声符号の表示サイズを縮小すれば音声図形の内側に音声符号を配置することも可能であるが、利用者が音声符号を視認し難いという問題がある。なお、以上の説明では歌詞等の音声符号を例示したが、各音符に関連する各種の情報(例えばビブラート等の音楽的な表情を示す文字列や記号)を音符図形に併記する場合にも同様の問題が発生し得る。以上の事情を考慮して、本発明は、楽譜領域を縮小表示する場合でも各音符に関連する情報の視認性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために本発明が採用する手段を説明する。なお、本発明の理解を容易にするために、以下の説明では、本発明の要素と後述の実施形態の要素との対応を括弧書で付記するが、本発明の範囲を実施形態の例示に限定する趣旨ではない。
【0006】
本発明の音楽データ表示装置は、音高軸と時間軸とが設定された楽譜領域のうち音楽データが指定する音高および発音時点に応じた位置に、音楽データが指定する継続長に応じて時間軸方向の長さが設定された音符図形を音符毎に表示させる手段であって、第1表示状態では、音楽データが各音符に指定する関連情報を当該音符の音符図形の内側に配置し、楽譜領域の表示倍率(特に時間軸方向の表示倍率)が第1表示状態よりも低い第2表示状態では、音楽データが各音符に指定する関連情報を当該音符の音符図形の外側に配置する表示制御手段(例えば表示制御部32)とを具備する。なお、音高と発音時点と継続長と関連情報とを音符毎に指定する音楽データは記憶手段(例えば記憶装置14)に記憶され得る。以上の構成では、楽譜領域の表示倍率が高い第1表示状態においては各音符図形の内側に関連情報が配置され、楽譜領域の表示倍率が低い第2表示状態においては各音符図形の外側に関連情報が配置される。したがって、楽譜領域を縮小表示する場合でも、利用者が容易に視認可能な適切な態様で関連情報を表示することが可能である。なお、関連情報は、音符に関連する任意の情報(属性情報)である。例えば音符に付与された音声符号(歌詞や音素記号)が関連情報として例示され得る。
【0007】
本発明の好適な態様において、表示制御手段は、第2表示状態において、各音符の関連情報を、楽譜領域内の当該音符の音符図形の周囲に配置する。以上の態様では、各音符の関連情報が楽譜領域内の当該音符の音符図形の周囲に配置されるから、各音符図形と各関連情報との関係を利用者が容易に把握できるという利点がある。以上の態様の具体例は、例えば第1実施形態から第6実施形態として後述される。
【0008】
本発明の好適な態様において、表示制御手段は、第2表示状態において、楽譜領域内の複数の音符図形が示す各音符の関連情報のうちの一部の関連情報を、楽譜領域内に時間軸方向に配列する。以上の態様では、複数の関連情報のうちの一部の関連情報が選択的に楽譜領域内に配置されるから、表示倍率が極端に低下した場合でも、部分的ではあるが利用者が関連情報を視認できるという効果が実現される。以上の態様の具体例は、例えば第3実施形態として後述される。
【0009】
本発明の好適な態様において、表示制御手段は、第2表示状態において、楽譜領域内の複数の音符図形が示す各音符の関連情報を、楽譜領域内に音高軸方向に配列する。以上の態様では、複数の関連情報が楽譜領域内に音高軸方向に配列されるから、複数の関連情報を時間軸方向に配列する場合と比較して各関連情報の表示サイズを確保し易いという利点がある。以上の態様の具体例は、例えば第4実施形態として後述される。
【0010】
本発明の好適な態様において、表示制御手段は、第2表示状態において、楽譜領域内の位置を利用者が指定するためのポインタが一の音符図形を指示する場合に、一の音符図形が示す音符の関連情報を一の音符図形の周囲に表示させる。以上の態様では、ポインタで指示された音符図形に対応する関連情報がその音符図形の周囲に表示されるから、音符図形が指示されない場合の楽譜領域内の表示が簡素化される一方、所望の音符の関連情報を利用者が任意に確認できるという利点がある。以上の態様の具体例は、例えば第5実施形態や第6実施形態として後述される。なお、以上の構成は、利用者が1個の音符図形のみを指定する場合に加えて複数の音符図形を指定する場合も当然に包含する。利用者が複数の音符図形を指定した場合には音符図形毎に関連情報が表示される。
【0011】
本発明の好適な態様において、表示制御手段は、第2表示状態において、各音符の関連情報を、楽譜領域とは別個の補助領域に配置する。以上の態様では、各音符図形が配置される楽譜領域とは別個の補助領域に各音符の関連情報が表示されるから、音符図形および関連情報の双方が楽譜領域内に配置される構成と比較して、各音符の時系列と各音符の関連情報とを個別に確認する作業が容易化される。なお、補助領域のうち時間軸方向における各音符の発音時点に対応する位置に当該音符の関連情報を配置する構成によれば、各音符図形と各関連情報との対応を利用者が容易に把握できるという利点がある。以上の各態様の具体例は、例えば第7実施形態として後述される。
【0012】
以上の各態様に係る音楽データ表示装置は、音楽データの表示に専用されるDSP(Digital Signal Processor)などのハードウェア(電子回路)で実現されるほか、CPU(Central Processing Unit)などの汎用の演算処理装置とプログラムとの協働でも実現される。本発明のプログラムは、コンピュータに、音高軸と時間軸とが設定された楽譜領域のうち音楽データが指定する音高および発音時点に応じた位置に、音楽データが指定する継続長に応じて時間軸方向の長さが設定された音符図形を音符毎に表示させる処理であって、第1表示状態では、音楽データが各音符に指定する関連情報を当該音符の音符図形の内側に配置し、楽譜領域の表示倍率が第1表示状態よりも低い第2表示状態では、音楽データが各音符に指定する関連情報を当該音符の音符図形の外側に配置する表示制御処理を実行させる。以上のプログラムによれば、本発明の音楽データ表示装置と同様の作用および効果が実現される。本発明のプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされるほか、通信網を介した配信の形態で提供されてコンピュータにインストールされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る音声合成装置のブロック図である。
図2】音楽データの模式図である。
図3】第1表示状態における編集画面の模式図である。
図4】第2表示状態における編集画面の模式図である。
図5】表示制御部の動作のフローチャートである。
図6】第2実施形態における第2表示状態の編集画面の模式図である。
図7】第3実施形態における第2表示状態の編集画面の模式図である。
図8】第3実施形態の変形例における第2表示状態の編集画面の模式図である。
図9】第4実施形態における第2表示状態の編集画面の模式図である。
図10】第5実施形態における第2表示状態の編集画面の模式図である。
図11】第6実施形態における第1表示状態の編集画面の模式図である。
図12】第6実施形態における第2表示状態の編集画面の模式図である。
図13】第7実施形態における第2表示状態の編集画面の模式図である。
図14】第7実施形態の変形例における第2表示状態の編集画面の模式図である。
図15】第8実施形態における第2表示状態の編集画面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る音声合成装置100のブロック図である。音声合成装置100は、素片接続型の音声合成で歌唱音の音声信号Sを生成する信号処理装置であり、図1に示すように、演算処理装置12と記憶装置14と表示装置22と入力装置24と放音装置26とを具備するコンピュータシステムで実現される。例えば据置型の情報処理装置(パーソナルコンピュータ)や携帯型の情報処理装置(携帯電話機や携帯情報端末)で音声合成装置100は実現される。
【0015】
演算処理装置12は、記憶装置14に格納されたプログラムPGMを実行することで複数の機能(表示制御部32,編集処理部34,音声合成部36)を実現する。なお、演算処理装置12の各機能を複数の集積回路に分散した構成や、専用の電子回路(例えばDSP)が一部の機能を実現する構成も採用され得る。
【0016】
表示装置22(例えば液晶表示装置)は、演算処理装置12が指示する画像を表示する。入力装置24は、利用者からの指示を受付ける機器(例えばマウス等のポインティングデバイスやキーボード)である。なお、表示装置22と一体に構成されたタッチパネルを入力装置24として採用することも可能である。放音装置26(例えばヘッドホンやスピーカ)は、演算処理装置12が生成した音声信号Sに応じた音波を放射する。
【0017】
記憶装置14は、演算処理装置12が実行するプログラムPGMや演算処理装置12が使用する各種のデータ(音声素片群DA,音楽データDB)を記憶する。半導体記録媒体や磁気記録媒体等の公知の記録媒体または複数の記録媒体の組合せが記憶装置14として採用される。
【0018】
音声素片群DAは、相異なる音声素片に対応する複数の素片データ(例えば音声素片の波形のサンプル系列)で構成されて音声合成の素材として使用される音声合成ライブラリである。音声素片は、言語的な意味の区別の最小単位である音素(例えば母音や子音)、または複数の音素を連結した音素連鎖(例えばダイフォンやトライフォン)である。
【0019】
音楽データDBは、楽曲を構成する音符の時系列を指定するデータであり、図2に示すように、楽曲の各音符に対応する複数の単位データUを含んで構成される。各単位データUは、音高X1と発音時点X2と継続長X3と音声符号X4とを指定する。音高X1は音符の音高(実際には各音高に付与されたノートナンバ)である。発音時点X2は発音が開始する時刻(発音時刻)を意味し、継続長X3は音符の発音が継続する時間(音価)を意味する。すなわち、発音時点X2と継続長X3とで音符の発音期間が規定される。音声符号X4は、歌詞等の発音内容を示す符号である。以下の説明では歌詞(書記素)を音声符号X4として例示する。
【0020】
図1の表示制御部32は、音楽データDBの内容を利用者が確認する図3の編集画面50を表示装置22に表示させる。図3に示すように、第1実施形態の編集画面50は、楽譜領域51を含んで構成される。楽譜領域51は、相互に交差する時間軸(横軸)および音高軸(縦軸)が設定されたピアノロール型の座標平面である。図3において時間軸方向に等間隔に配列された縦方向の破線Lは、楽曲内の1拍分に相当する期間の境界線(以下「拍線」という)を意味する。すなわち、時間軸上で相互に隣合う2本の拍線Lの間隔が楽曲の1拍分の時間長に相当する。
【0021】
楽譜領域51には、音楽データDBが指定する各音符を表現する音符図形Vが時系列に配置される。第1実施形態の音符図形Vは矩形状の図形である。音楽データDBに対応する楽曲のうちの一部の区間(以下「表示対象区間」という)内の音符について音符図形Vが楽譜領域51に表示される。音高軸方向における音符図形Vの位置は音楽データDBの音高X1に応じて設定され、時間軸方向における音符図形Vの位置は音楽データDBの発音時点X2に応じて設定される。また、時間軸方向における音符図形Vの表示長は音楽データDBの継続長X3に応じて設定される。すなわち、継続長X3が長いほど音符図形Vの表示長は増加する。以上の説明から理解される通り、第1実施形態の音符図形Vは、合成すべき音の音高X1と発音時点X2と継続長X3とを表現する。
【0022】
図3に示すように、編集画面50は、楽譜領域51の時間軸方向の表示倍率Rを利用者が変更するための操作子画像(スライダ)52を含む。利用者は、入力装置24を使用して操作子画像52を適宜に操作することが可能である。表示制御部32は、操作子画像52に対する利用者からの指示に応じて表示倍率Rを可変に設定する。
【0023】
表示倍率Rは、楽譜領域51内での楽曲の単位時間(例えば楽曲の1拍分の時間長)の表示上の長さに相当する。したがって、表示倍率Rが増加する(楽譜領域51内での単位時間の表示長が長くなる)ほど楽曲内の表示対象区間は短くなり、楽曲のうち楽譜領域51内に表示される小節数や拍数が減少する(拍線Lの間隔が拡大する)とともに各音符図形Vは時間軸方向に拡大する。他方、表示倍率Rが減少する(楽譜領域51内での単位時間の表示長が短くなる)ほど楽曲内の表示対象区間は長くなり、楽曲のうち楽譜領域51内に表示される小節数や拍数が増加する(拍線Lの間隔が縮小する)とともに音符図形Vは時間軸方向に縮小される。なお、表示倍率Rを変化させた場合でも楽譜領域51自体の表示サイズは変化しない。
【0024】
表示制御部32は、音楽データDBが各音符に指定する音声符号X4を表示倍率Rに応じた位置に表示させる。具体的には、表示制御部32は、表示倍率Rが高い第1表示状態と表示倍率Rが低い第2表示状態とで音声符号X4の表示位置を変化させる。第1表示状態は、例えば音楽データDBが指定する複数の音符のうち最短の音符を示す音符図形Vの時間軸方向の表示長が所定値を上回る状態(表示倍率Rが閾値を上回る場合)であり、第2表示状態は、例えば音楽データDBが指定する複数の音符のうち最短の音符を示す音符図形Vの時間軸方向の表示長が所定値を下回る状態(表示倍率Rが閾値を下回る場合)である。図3は、第1表示状態での編集画面50の表示例であり、図4は、第2表示状態での編集画面50の表示例である。
【0025】
図3に示すように、第1表示状態では、表示制御部32は、音楽データDBが表示対象区間内の各音符に指定する音声符号X4を、その音符の音符図形Vの輪郭線の内側に配置する。すなわち、音声符号X4は音符図形Vに重ねて表示される。
【0026】
他方、表示倍率Rが第1表示状態と比較して低い第2表示状態では、表示制御部32は、図4に示すように、音楽データDBが表示対象区間内の各音符に指定する音声符号X4を各音符図形Vの外側に配置する。例えば、各音符の音符図形Vの底辺から音高軸方向の負側(下方)に所定距離だけ離間した位置にその音符の音声符号X4が配置される。音声符号X4の時間軸方向の位置は、音符図形Vと同様に発音時点X2に応じて選定される。
【0027】
以上に説明した通り、通常表示時(第1表示状態)には音符図形Vの内側に表示される音声符号X4が、縮小表示時(第2表示状態)には音符図形Vの外側に表示される。すなわち、音符図形Vの内側に音声符号X4が配置された第1表示状態で表示倍率Rを徐々に低下させていくと、各音符図形Vが時間軸方向に徐々に縮小していき、音符図形Vの時間軸方向の表示長が所定値を下回る段階(表示倍率Rが閾値を下回る段階)で第2表示状態に移行して、音声符号X4が各音符図形Vの内側から外側に移動する。音声符号X4の表示サイズは第1表示状態と第2表示状態とで同等である。
【0028】
図5は、表示制御部32が表示倍率Rに応じて表示画像(音声符号X4の表示位置)を制御する動作のフローチャートである。表示倍率Rの指定(変更)を入力装置24の操作で利用者が指示するたびに図5の処理が実行される。なお、編集画面50の表示が開始された当初は例えば第1表示状態が選択される。
【0029】
図5の処理を開始すると、表示制御部32は、利用者から指示された表示倍率(変更後の表示倍率)Rが所定の閾値RTHを上回るか否かを判定する(S1)。表示倍率Rが閾値RTHを上回る場合(S1:YES)、表示制御部32は、第1表示状態を選択する(S2)。すなわち、各音符の音声符号X4が音符図形Vの内側に配置される。他方、表示倍率Rが閾値RTH以下である場合(S1:NO)、表示制御部32は、第2表示状態を選択する(S3)。すなわち、各音符の音声符号X4が音符図形Vの外側に配置される。表示倍率Rの指定毎(変更毎)に以上の動作が実行される結果、表示倍率Rに応じた表示態様(第1表示状態/第2表示状態)で各音符の音声符号X4が表示される。
【0030】
図1の編集処理部34は、楽譜領域51に対する利用者からの指示に応じて音楽データDBを編集する。例えば楽譜領域51内の既存の音符図形Vの位置の変更が指示された場合、その音符図形Vに対応する単位データUの音高X1および発音時点X2が変更され、音符図形Vの長さの変更が指示された場合には単位データUの継続長X3が変更される。また、各音符図形Vに対応する音声符号X4の変更または追加が指示された場合、その音符図形Vに対応する単位データUの音声符号X4が変更または追加される。また、音符図形Vの追加が指示された場合にはその音符図形Vに対応する単位データUが音楽データDBに追加される。
【0031】
図1の音声合成部36は、音声素片群DAと音楽データDBとを利用して音声信号Sを生成する。具体的には、音声合成部36は、第1に、音楽データDBが各音符に指定する音声符号X4に対応する音声素片の素片データを音声素片群DAから順次に選択し、第2に、各素片データを、単位データUが指定する音高X1および継続長X3に調整する。第3に、音声合成部36は、調整後の素片データを、各単位データUが指定する発音時点X2に配置して相互に連結することで音声信号Sを生成する。音声合成部36が生成した音声信号Sが放音装置26に供給されて音波として再生される。
【0032】
以上に説明したように、第1表示状態では音声符号X4が音符図形Vの内側に表示され、第1表示状態と比較して表示倍率Rが低い第2表示状態では音声符号X4が音符図形Vの外側に表示される。したがって、第1実施形態によれば、楽譜領域51を縮小表示する場合でも音声符号X4の視認性を充分に確保できるという利点がある。なお、各音符(音符図形V)と音声符号X4との対応を明確化するという観点からは音声符号X4を音符図形Vの内側に配置した表示が有利である。すなわち、第1実施形態によれば、第1表示状態および第2表示状態の双方にて音声符号X4を音符図形Vの外側に表示する構成と比較すると、第1表示状態にて音符図形Vと音声符号X4との対応を明確に把握できるという利点がある。ただし、第2表示状態でも音声符号X4は音符図形Vの周囲に配置されるから、音声符号X4と音符図形Vとの対応を把握することは可能である。
【0033】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0034】
図6は、第2実施形態における第2表示状態での編集画面50の模式図である。第1実施形態では、第2表示状態において音高軸方向における音声符号X4の位置を音符毎に相違させた。第2実施形態では、図6に示すように、楽譜領域51内の複数の音声符号X4が時間軸方向に1列に配列される。具体的には、表示制御部32は、楽譜領域51内の先頭(最左方)の音符図形Vの底辺から所定距離だけ下方の位置に、楽譜領域51内の複数の音声符号X4を直線状に配列する。すなわち、音高軸方向の位置は複数の音声符号X4について共通する。各音声符号X4の時間軸方向の位置は、第1実施形態と同様に、各音符の発音時点X2に応じて選定される。なお、第1表示状態での表示画像は第1実施形態と同様である。
【0035】
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態では、複数の音声符号X4が時間軸方向に直線状に配列されるから、第1実施形態と比較して音声符号X4の時系列を利用者が確認し易いという利点がある。
【0036】
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態における編集画面50の模式図である。図7では、図6に例示した第2表示状態から更に表示倍率Rを低下させた場合の編集画面50の表示例が図示されている。なお、第1表示状態での表示画像は第1実施形態と同様である。
【0037】
第2表示状態のもとで表示倍率Rが所定の閾値を下回ると、表示制御部32は、楽譜領域51内の各音符に対応する複数の音声符号X4の時系列を時間軸上で前方部分と後方部分とに区分し、図7に示すように、前方部分のみを楽譜領域51内(各音符図形Vの外側)に配置する。すなわち、後方部分の表示は省略される。図7では、表示対象区間内の「さいたさいた」という音声符号X4の時系列が前半部分の「さいた」と後半部分の「さいた」とに区分されて後半部分の表示を省略した場合が例示されている。複数の音声符号X4を前方部分と後方部分とに区分する方法は任意であるが、例えば、楽曲内の休符(例えば相前後する各音符の発音期間が時間軸上で相互に離間する時点)や利用者が指定した時点を境界として複数の音声符号X4の時系列を前方部分と後方部分とに区分することが可能である。
【0038】
第3実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第3実施形態では、表示倍率Rを低下させた場合に複数の音声符号X4の一部が省略されて残余の部分のみが表示されるから、表示倍率Rを極端に低下させた場合でも利用者が音声符号X4を部分的ではあるが確認できるという利点がある。
【0039】
なお、楽曲内の休符を境界として音符図形Vの時系列を複数の集合(以下「フレーズ」という)に区分し、フレーズ毎に音声符号X4の時系列を配置することも可能である。例えば図8では、「さいたさいた」という音声符号X4のフレーズと「ちゅーりっぷのはなが」という音声符号X4のフレーズとを相前後する位置に指定した場合が例示されている。各フレーズの音声符号X4は、フレーズ内の先頭の音符図形Vに対応する位置(音符図形Vの始点の位置)から後方に配列され、直後のフレームと重複しないように音声符号X4の一部(末尾側)が省略される。例えば図8の例示では、前方のフレーズの音声符号X4である「さいたさいた」のうち先頭側の「さい」に後続する音声符号X4が省略され、後方のフレーズの音声符号X4である「ちゅーりっぷのはなが」のうち先頭側の「ちゅーりっ」に後続する音声符号X4が省略されている。なお、図8の例示から理解されるように、音声符号X4の位置を音符図形Vに応じて変化させる構成も好適である。また、音声符号X4と音符図形Vとを相互に重複して表示する(音声符号X4および音符図形Vの一方が他方の前面に配置される)ことも可能である。
【0040】
<第4実施形態>
図9は、第4実施形態における編集画面50の模式図である。図9では、図7と同様に、図6に例示した第2表示状態から更に表示倍率Rを低下させた場合の編集画面50の表示例が図示されている。なお、第1表示状態での表示画像は第1実施形態と同様である。
【0041】
第2表示状態のもとで表示倍率Rが所定の閾値を下回ると、表示制御部32は、楽譜領域51内の各音符に対応する複数の音声符号X4の時系列を複数の部分(以下「部分符号列」という)に区分し、図9に示すように、各部分符号列の複数の音声符号X4を音高軸方向に配列する。具体的には、各部分符号列のうち先頭の音声符号X4に対応する音符図形Vの底辺から所定距離だけ下方の位置を始点として、その部分符号列の複数の音声符号X4が音高軸方向に配列される。図9では、表示対象区間内の「さいたさいた」という音声符号X4の時系列が、前半の「さいた」の部分符号列と後半の「さいた」の部分符号列とに区分された場合が例示されている。複数の音声符号X4を各部分符号列に区分する方法は任意であるが、例えば、楽曲内の休符や利用者が指定した時点を境界として複数の音声符号X4の時系列を複数の部分符号列に区分することが可能である。
【0042】
第4実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第4実施形態では、表示倍率Rを低下させた場合に複数の音声符号X4の配列方向が時間軸方向から音高軸方向(縦方向)に変更されるから、表示倍率Rを極端に低下させた場合でも音声符号X4を適切に配置できるという利点がある。
【0043】
<第5実施形態>
図10は、第5実施形態における第2表示状態での編集画面50の模式図である。図10に示すように、表示制御部32は、表示画面の任意の位置を利用者が指示するためのポインタ(例えばマウスポインタ)60を表示装置22に表示させる。利用者は、入力装置24を適宜に操作することでポインタ60を任意の位置に移動させることが可能である。
【0044】
表示倍率Rが低い第2表示状態では、楽曲の表示対象区間内の各音符に対応する音符図形Vが楽譜領域51内に配置される。また、第5実施形態では、第2表示状態においてポインタ60が何れの音符図形Vも指示しない場合には、各音符の音声符号X4は表示されない。すなわち、第1表示状態から表示倍率Rを低下させていくと第2表示状態に移行した時点で各音符の音声符号X4が消去される。
【0045】
第2表示状態において、楽譜領域51内の1個の音符図形Vがポインタ60により指示された場合(例えばポインタ60が音符図形Vの近傍に移動した場合)、表示制御部32は、その音符図形Vが示す音符の音声符号X4を表示装置22に表示させる。具体的には、図10に示すように、吹出状の図形62により音声符号X4が音符図形Vの周囲(ポインタ60の近傍)に配置される。ポインタ60による音符図形Vの指示が解除された場合(例えばポインタ60が音符図形Vから離間した場合)、音声符号X4の表示(図形62)は消去される。すなわち、第5実施形態では、楽譜領域51内に表示された複数の音符のうち利用者が指示した音符の音声符号X4がその音符の音符図形Vの周囲に一時的に表示される。なお、第1表示状態での表示画像は第1実施形態と同様である。
【0046】
第5実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第5実施形態では、利用者が何れの音符図形Vも指示しない状態では音声符号X4の表示が省略されるから、楽譜領域51が簡素化されて各音符図形V(楽曲内の各音符の時系列)を利用者が容易に確認できるという利点がある。他方、利用者の指示に応じて音声符号X4が音符図形Vの周囲に表示されるから、音声符号X4の視認性は充分に確保される。
【0047】
なお、以上の説明では、利用者が選択した1個の音符図形Vの周囲に音声符号X4を配置したが、利用者が複数の音符図形Vを任意に選択できる構成も好適である。利用者が選択した複数の音符図形Vの各々について音声符号X4が表示される。また、入力装置24に所定の操作(例えば特定の操作子の押下)が付与された場合に、指定済の全部の音符の音声符号X4または特定の一部の音符の音声符号X4を表示する構成も採用され得る。
【0048】
<第6実施形態>
図11は、第6実施形態における第1表示状態での編集画面50の模式図である。図11に示すように、第1表示状態では、音符図形Vと音声符号X4と補助図形Wとが音符毎に楽譜領域51内に配置される。第1実施形態と同様に、第1表示状態では音声符号X4は音符図形Vの内側に配置される。
【0049】
補助図形Wは、各音符の音楽的な特性を示す付属情報を模式化した図形である。付属情報は例えば音楽データDB内に設定され、例えば音符の音量(ベロシティ)やビブラートの態様(深さや時間),明瞭度(発音時の開口の度合),音高の揺らぎ(ピッチベンド),ポルタメントの有無等の表情パラメータを指定する。図11では、付属情報で指定されるビブラートの付加を表現する補助図形Wが例示されている。
【0050】
図12は、第6実施形態における第2表示状態での編集画面50の模式図である。図12に示すように、表示倍率Rが低い第2表示状態では、第1実施形態と同様に音符図形Vが第1表示状態と比較して時間軸方向に縮小され、補助図形Wも表示倍率Rの低下に連動して時間軸方向に縮小される。また、第2表示状態においてポインタ60が何れの音符図形Vも指示しない場合には、各音符の音声符号X4は非表示に設定される。
【0051】
第2表示状態において楽譜領域51内の1個の音符図形Vがポインタ60により指示された場合、表示制御部32は、図12に示すように、その音符図形Vに対応する音符の音符図形V'と音声符号X4と補助図形W'とを、第1表示状態と同様の形態で、利用者が指示した音符図形Vの周囲に配置する。具体的には、利用者が指示した音符図形Vの周囲に吹出状の図形62が配置され、図形62の内側に音符図形V'と音声符号X4と補助図形W'とが配置される。なお、利用者が複数の音符図形Vを選択できる構成とし、利用者が選択した複数の音符図形Vの各々について音声符号V'と音声符号X4と補助図形W'とを表示することも可能である。
【0052】
第6実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第6実施形態では、第2表示状態において1個の音符が指示された場合にその音符の付属情報を表現する補助図形Wが音声符号X4とともに音符図形Vの周囲に表示されるから、第2表示状態で各音符の音声符号X4の表示を省略することで楽譜領域51を簡素化しながら、各音符の音楽情報(音声符号X4や付属情報)を利用者が詳細に確認できるという利点がある。
【0053】
<第7実施形態>
図13は、第7実施形態における第2表示状態での編集画面50の模式図である。図13に示すように、第7実施形態の編集画面50は、各音符の音符図形Vが配置される楽譜領域51に加えて補助領域53を含んで構成される。表示倍率Rが低い第2表示状態では、表示制御部32は、表示対象区間内の各音符に対応する音声符号X4を補助領域53内に表示させる。具体的には、各音声符号X4が時間軸に沿って補助領域53内に等間隔に配列される。楽譜領域51内に音声符号X4は表示されない。また、第1表示状態では、第1実施形態と同様に楽譜領域51内の各音符図形Vの内側に音声符号X4が配置され、補助領域53に音声符号X4は表示されない。
【0054】
第7実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第7実施形態の第2表示状態では、楽譜領域51とは別個の補助領域53に各音符の音声符号X4が配置されるから、音声符号X4が音符図形Vとともに楽譜領域51内に表示される構成と比較して音声符号X4の時系列を利用者が視認し易いという利点がある。
【0055】
なお、図13の例示では、複数の音声符号X4を補助領域53内に等間隔に配列したが、図14に示すように、補助領域53のうち時間軸方向における各音符図形Vの端点の位置(すなわち音符の発音時点X2)に音声符号X4を配置することも可能である。図14の構成によれば、楽譜領域51内の各音符図形Vと補助領域53内の各音声符号X4との対応を利用者が容易に把握できるという利点がある。
【0056】
以上の各形態の説明から理解されるように、第2表示状態における音声符号X4の表示位置は、音符図形Vの外側として包括される。すなわち、音符図形Vの外側とは、第1実施形態から第6実施形態に例示した音符図形Vの周囲(楽譜領域51内)と、第7実施形態に例示した補助領域53内とを少なくとも包含する。他方、第1表示状態における音声符号X4の表示位置は、音符図形Vの内側(音符図形Vの輪郭線の内部)として包括される。
【0057】
<第8実施形態>
以上に説明した各形態では、表示倍率Rを低下させた場合に、音声符号X4を内部に表示できない程度の長さまで音符図形Vが時間軸方向に縮小される構成を例示した。第8実施形態では、図15に示すように、表示倍率Rが閾値を下回る場合(第2表示状態)に、音符図形Vの時間軸方向の表示長を所定長(以下「基準長」という)Qに設定する。すなわち、各音符図形Vは表示倍率Rの低下に連動して時間軸方向に縮小されるが、基準長Qを下回る表示長までは縮小されない。したがって、表示倍率Rが閾値を下回る第2表示状態では、音符図形Vの時間軸方向の表示長(基準長Q)は、各音符の実際の継続長X3に対応する表示長qを上回る。基準長Qは、音声符号X4を音符図形Vの内側に適切に表示できる長さに設定され、第2表示状態においても各音符の音声符号X4は音符図形Vの内側に配置される。
【0058】
第8実施形態においては、表示倍率Rが閾値を下回る場合でも音符図形Vの時間軸方向の表示長が基準長Qに維持されて音声符号X4は音符図形Vの内側に配置される。したがって、楽譜領域51を縮小表示した場合でも音声符号X4の視認性を確保できるという利点がある。
【0059】
<変形例>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を適宜に併合することも可能である。
【0060】
(1)前述の各形態では、音声合成に利用される音楽データDBを例示したが、音楽データDBは音声合成用のデータに限定されない。例えば、楽曲(例えば歌唱曲)の楽譜を表現する音楽データDBを表示装置22に表示させる場合(音声合成の実行の有無は不問)にも本発明は適用される。
【0061】
(2)前述の各形態では、歌詞(発音文字)を音声符号X4として例示したが、例えば音素記号を音声符号X4として表示する構成や、発音文字と音素記号との組合せを音声符号X4として表示する構成も採用され得る。また、音符図形Vとともに表示される情報は音声符号X4に限定されない。例えば、各音符の音声に付加されるビブラートの種類を表現する符号(文字列や記号や図形)を前述の各実施形態の音声符号X4に代えて(または音声符号X4とともに)音符図形Vの内側または外側に表示することも可能である。また、例えば器楽曲の楽譜を示す音楽データDBを表示装置22に表示させる場合には、各音符の演奏を担当する楽器の種類や楽音の特徴等の情報が、音声符号X4に代えて音符図形Vの内側または外側に表示され得る。以上の説明から理解されるように、本発明において音符図形の内側や外側に表示される情報は、各音符に関連する情報(関連情報)として包括され、音声符号X4は関連情報のひとつの例示である。また、関連情報は、各音符の属性を表現する属性情報とも換言され得る。なお、例えば入力装置24に対する利用者からの操作に応じて、表示装置22に表示させる関連情報の種類(例えば歌詞,音素記号,ビブラートの情報等のうちの何れを表示するか)を変更することも可能である。
【0062】
(3)前述の各形態では、楽曲の1個のパートの音符を楽譜領域51に表示したが、楽曲の複数のパートの各々の音符を楽譜領域51に同時または選択的に表示することも可能である。音符図形Vはパート毎に相異なる態様(すなわち、色彩や階調の相違により各パートの音符図形Vを視覚的に区別可能な態様)で表示される。
【0063】
(4)前述の各形態では、第2表示状態において音符図形Vの内側には音声符号X4を表示しない構成を例示したが、第2表示状態において音符図形Vの内側および外側の双方に音声符号X4を表示することも可能である。音符図形Vの内側および外側の双方に音声符号X4を表示する構成では、音符図形Vの内側に配置された音声符号X4の表示サイズを表示倍率Rの低下に連動して縮小することも可能である。
【0064】
(5)音声合成の実行時(楽曲の再生時)に、表示装置22に時系列に表示された各音声符号X4(関連情報)を、再生進行に連動して順次に強調表示することも可能である。例えば、再生位置に対応する音声符号X4を他の音声符号X4とは相違する態様で表示する構成が好適である。
【0065】
(6)音声符号X4(関連情報)を配置する位置は適宜に変更される。例えば、利用者が事前に指定した位置(例えば音符図形Vの上方)に音声符号X4を配置する構成や、入力装置24の操作(例えばマウスによるドラッグ)で利用者が音声符号X4の位置を変更できる構成も採用され得る。
【0066】
(7)前述の各形態を適宜に組合わせることも可能である。例えば、音声符号X4が配置される第7実施形態の補助領域53を第1実施形態から第6実施形態の編集画面50に追加することも可能である。また、例えば音声符号X4の一部の表示が省略される第3実施形態において、第5実施形態や第6実施形態のように、利用者がポインタ60で指示した音符図形Vの周囲に音声符号X4(および付属情報等)を配置することも可能である。
【0067】
(8)前述の各形態では、編集処理部34および音声合成部36を含む音声合成装置100を例示したが、音楽データDBを表示装置22に表示させるための装置(音楽データ表示装置)や、音楽データDBを表示装置22に表示させて利用者からの指示に応じて編集する装置(音楽データ編集装置)としても本発明は実現される。音楽データ表示装置は、例えば図1の音声合成装置100から編集処理部34および音声合成部36を省略した構成であり、音楽データ編集装置は、音声合成装置100から音声合成部36を省略した構成である。
【0068】
(9)前述の各形態では、音声素片群DAおよび音楽データDBを記憶する記憶装置14が音声合成装置100に搭載された構成を例示したが、音声合成装置100とは独立した外部装置(例えばサーバ装置)が音声素片群DAおよび音楽データDBの一方または双方を保持する構成も採用される。音声合成装置100は、例えば通信網を介して音声素片群DAや音楽データDBを取得して編集画面50の表示や音声信号VOUTの合成を実行する。以上の説明から理解されるように、音声素片群DAや音楽データDBを記憶する要素(前述の各形態における記憶装置14)は音声合成装置100の必須の要素ではない。
【0069】
(10)前述の各形態では、日本語の音声符号X4を例示したが、音声符号X4の言語は任意である。例えば、英語,スペイン語,中国後,韓国語等の任意の言語の音声符号X4を表示する場合にも以上の各形態を同様に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
100……音声合成装置、12……演算処理装置、14……記憶装置、22……表示装置、24……入力装置、26……放音装置、32……表示制御部、34……編集処理部、36……音声合成部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15