(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記印刷条件が、前記特色用途毎に、用紙種類、イメージ有無、特色現像剤の種類、特色現像剤の位置、左右反転の設定の有無を含むものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の印刷システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)主たる実施形態
以下では、本発明に係る印刷システム及び印刷装置の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
この実施形態は、例えばプリンタドライバGUIに特色現像剤の使用用途を入力する入力部を設けることで、印刷データ送信時にユーザから入力された使用用途が、その他の印刷設定や印刷データに基づく描画内容とマッチしない場合、印刷を行わずにユーザに警告表示する印刷装置及び印刷システムである。
【0014】
(A−1)実施形態の構成
図1は、この実施形態に係る印刷システムの全体的な構成と、ホストコンピュータ及び印刷装置の内部構成を示す構成図である。
【0015】
図1において、この実施形態に係る印刷システム1は、ホストコンピュータ101、印刷装置105を有する。
【0016】
図1において、ホストコンピュータ101と印刷装置105とは、有線又は無線により接続により、印刷データの送受信が行なえるようにしてなっている。例えば、ホストコンピュータ101と印刷装置105とは、USB(Universal Serial Bus)ケーブルやプリンタケーブル等の有線接続や、また例えば、無線LAN通信や赤外線通信等の無線接続により、印刷データの送受信を可能としている。
【0017】
ホストコンピュータ101は、ユーザ操作を受けて各種印刷設定情報を含む印刷データを印刷装置105に与え、印刷装置105に印刷させるものである。
【0018】
ホストコンピュータ101は、例えば、ディスプレイ装置等の表示装置、キーボードやマウス等の入力装置、制御装置、記憶装置等を有するものであり、例えば、アプリケーション及び又はプリンタドライバのGUI(Graphical User Interface)画面を通じて、印刷設定情報の入力を受け付けるものである。例えば、ホストコンピュータ101は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、携帯電話機、携帯端末等を適用することができる。
【0019】
ホストコンピュータ101は、CPU、ROM、RAM、EEPROM、入出力インタフェース部、通信部等を有する装置を適用することができ、CPUが、ROMに格納される処理プログラムを実行するソフトウェア処理により、各種機能を実現することができる。また、ホストコンピュータ101は処理プログラムをインストールすることにより構築されるようにしても良く、その場合でも機能的には
図1のように表すことができる。
【0020】
図1に示すように、ホストコンピュータ101は、
図1に示すように大きく分けて、アプリケーション102、プリンタドライバ103、印刷データ送信部104を有する。
【0021】
アプリケーション102は、例えば、文字、図形、イラスト、写真等を含む描画データを含む文書を作成するものであり、その作成した描画データを含む文書をプリンタドライバ103に与えたり、描画(印刷)命令や印刷設定情報の変更命令をプリンタドライバ103に対して行うアプリケーションソフトウェアである。また、アプリケーション102の構成機能は、既存のアプリケーションが有する機能に加えて、少なくとも特色描画指定部106を有する。
【0022】
特色描画指定部106は、特色現像剤を用いた描画(印刷)に関する印刷設定情報の指定を受け付けるものである。つまり、特色描画指定部106は、例えば、アプリケーションのGUI画面を通じて特色現像剤を用いた描画(印刷)に係る印刷設定情報の入力を受け付ける。特色描画指定部106は、種々の項目を受け付けることができ、例えば、白色現像剤、透明現像剤を含む特色現像剤を用いた描画(印刷)の有り又は無しの設定や、特色現像剤を用いる場合には白色現像剤、透明現像剤の濃度成分に関する情報の設定等の指定を受け付けるものである。
【0023】
プリンタドライバ103は、アプリケーション102から描画(印刷)命令や印刷設定情報に関する命令を受けると、その命令に基づいて印刷装置105が認識できる印刷データを生成し、印刷データ送信部104を通じて印刷データを印刷装置105に与えるものである。プリンタドライバ103は、GUIを通じて印刷指示や印刷設定情報の指定を受け付けるものである。
【0024】
図1に示すように、プリンタドライバ103は、内部機能として、特色自動生成指定部107、特色用途入力部108、用紙種類指定部109、特色トナー種類指定部110、特色トナー位置指定部111、イメージ有無検出部112、印刷許可判定部113、報知部114を有する。
【0025】
特色自動生成指定部107は、白色現像剤や透明現像剤を用いた特色指定を含まない印刷データであっても、印刷装置105側のカラーマッチング部118によって特色成分を自動的に発生させて、特色現像剤を用いた印刷を行うための動作モードの指定を行うものである。
【0026】
具体的に、特色自動生成指定部107により指定される選択項目は、特色現像剤を用いた印刷を行わないことを示す「オフ」、印刷媒体の全面に亘った特色印刷を示す「ページ全体」、データ部分のみに透明現像剤を用いた印刷を示す「データ部分(白を除く)」、データ部分のみに白色現像剤、透明現像剤を用いた印刷を示す「データ部分(白を含む)」、特色現像剤のみを用いた印刷を示す「特色現像剤のみで印刷」、アプリケーション106からの印刷設定情報の指定に基づく印刷を示す「アプリケーション指定」等とすることができる。
【0027】
なお、特色自動生成指定部107による設定に対応する新たな印刷属性を指定するPDLコマンドを定義して、印刷装置105側に指定情報を通知し、印刷装置105側で対応する動作を切り替えるようにしても良い。
【0028】
特色用途入力部108は、特色現像剤を用いた印刷を行う際、特色現像剤を印刷に含める理由を取得するために、GUI画面を通じてユーザから特色用途の入力を受け付ける入力部である。
【0029】
ここで、特色用途は、例えば、「アイロンプリント」、「イメージ等の色を正確に描画するため」、「用紙裏面のにじみ・裏写り防止」、「イメージに光沢を付ける」、「目立たないマーカ、点線、背景パタン」等の項目を有する。
【0030】
用紙種類指定部109は、用紙種類(メディアタイプ)を指定するドライバGUIの入力部である。また、用紙種類指定部109は、使用される用紙サイズや、左右反転(いわゆるミラー印刷)等の設定入力を受け付けるものでる。用紙種類としては、具体的には「普通紙(白紙)」、「色つき用紙」、「OHPシート(透明シート)」、「転写紙」等の選択項目を設ける。
【0031】
特色現像剤種類指定部110は、特色現像剤の種類として、白色現像剤又は透明現像剤のいずれか又は両方の指定を受け付ける指定部である。
【0032】
特色現像剤位置指定部111は、特色現像剤による特色の重ね合わせの順序の指定を受け付ける指定部である。
【0033】
具体的には、有色現像剤による有色画像部の上に特色現像剤を用いた印刷を示す「上」、有色現像剤による有色画像部の下に特色現像剤を用いた印刷を示す「下」、印刷媒体の表と裏に両面印刷するために、特色現像剤を用いて表面に一度印刷した用紙媒体を反転させて裏面にも特色現像剤を用いて印刷を行うことを示す「逆面」のいずれかの項目を指定することができる。
【0034】
イメージ有無検出部112は、アプリケーション102から取得した描画データにイメージデータが含まれているか否かを検出する検出部であり、その検出結果を印刷許可判定部113に与えるものである。
【0035】
印刷許可判定部113は、特色自動生成指定部107、特色用途入力部108、用紙種類指定部109、特色現像剤種類指定部110、特色現像剤位置指定部111から印刷設定情報を取得すると共に、イメージ有無検出部112から描画データにおけるイメージデータの検出結果を取得し、入力された特色用途と、その他の印刷設定情報とに基づいて、特色現像剤を用いた印刷を許可するか否かを判定するものである。
【0036】
印刷許可判定部113による印刷許可の具体的な判定方法の詳細な説明は動作の項で行なうが、印刷許可判定部113は、予め設定された特色用途に応じた印刷条件113aを有しており、特色用途に応じた印刷設定情報が印刷条件113aに合致するか否かを判断して印刷を許可するか否かを判定する。
【0037】
報知部114は、印刷許可判定部113により印刷許可を行わない旨の判定結果を受けると、その旨を知らせるために報知を行うものである。報知部114による報知方法は、例えば、ディスプレイ装置等の表示装置に警告表示画面の出力や、ブザー音や警告音を出力させる等の方法を適用できる。
【0038】
印刷データ送信部104は、プリンタドライバ103から取得した印刷データを印刷装置105の印刷データ受信部115に与えるものである。
【0039】
次に、印刷装置105の制御系の内部構成を説明する。
図1に示すように、印刷装置105は、内部処理構成として、印刷データ受信部115、印刷データ解析部116、カラーマッチング部118、ページ画像生成部120、印刷制御部122、印刷許可判定部124、報知部125を有する。
【0040】
印刷データ受信部115は、ホストコンピュータ101の印刷データ送信部104から印刷データを受信し、その受信した印刷データを印刷データ解析部116に与えるものである。
【0041】
印刷データ解析部116は、印刷データ受信部115から取得した印刷データを解析するものである。印刷データ解析部116は、印刷データに基づく印刷を行う際の色調整を行うために、印刷データのRGBデータをカラーマッチング部118に与える。また、印刷データ解析部116は、カラーマッチング部118から色調整データを取得し、その色調整データを含む印刷データの解析データを、特色ページ画像生成部120に与える。ここで、印刷データ解析部116は、イメージ有無検出部117を有する。
【0042】
イメージ有無検出部117は、受信した印刷データにイメージデータが含まれているか否かを判定する。
【0043】
カラーマッチング部118は、印刷データ解析部116から取得した印刷データのRGBデータをCMYKデータに変換し、その変換したCMYKデータに基づいて、印刷装置105の現像剤の特性に応じた色調整を行うデータ処理部である。カラーマッチング部118は、印刷データの色調整データを印刷データ解析部117に与える。また、カラーマッチング部118は、特色自動変換部119を有する。
【0044】
特色自動変換部119は、印刷データ解析部116から取得した印刷データに、特色自動生成指定部107によって指定された情報が含まれているか否かを検出するものである。このとき、特色現像剤を用いた印刷が指定されている場合、特色自動変換部119は、特色自動生成指定部107により指定された項目に対応する、特色現像剤を用いたカラーマッチング処理を行うものである。
【0045】
ページ画像生成部120は、印刷データ解析部116から取得した印刷データの解析結果に基づいて、CMYK等の有色現像剤に対応する1ページ毎のページ画像データを生成する画像生成部である。また、ページ画像生成部120は、生成された1ページ毎のページ画像データを印刷制御部122に与える。さらに、ページ画像生成部120は、特色ページ画像生成部121を有する。
【0046】
特色ページ画像生成部120は、特色現像剤を用いた印刷を行う際に、白色現像剤、透明現像剤のドットの発生に対応したページ画像データを1ページ毎に生成するものである。
【0047】
印刷制御部122は、ページ画像生成部120から1ページ毎のページ画像データを取得し、そのページ画像データに基づき、媒体上に画像形成を行うために、印刷装置105が備える印刷機構の制御を行うものである。つまり、印刷制御部122は、ページ画像データに基づいて、CMYK等の有色現像剤、白色現像剤、透明現像剤を用いて印刷制御を行うものである。印刷制御部122は、印刷に用いられる媒体の表面色を確認するために、媒体表面色検出部123を有する。
【0048】
媒体表面色検出部123は、印刷開始直前に、媒体収納カセット160から少しだけフィードされた(繰り出された)媒体の表面(印刷面)の色を検出するものである。媒体表面色検出部123は、例えば、媒体の色の違いを電気信号に変換する色検出センサを用いることができ、媒体表面色検出部123は検出した媒体表面色を検出する。媒体表面色検出部123により検出された媒体表面の色データは、印刷制御部122から印刷許可判定部124に与えられる。
【0049】
印刷許可判定部124は、印刷制御部122から取得したデータに基づいて、特色現像剤を用いた印刷を許可するか否かを判定するものである。
【0050】
印刷許可判定部124による印刷許可の具体的な判定方法の詳細な説明は動作の項で行なうが、印刷許可判定部124は、予め設定された特色用途に応じた印刷条件124aを有しており、特色用途に応じた印刷設定情報が印刷条件124aに合致するか否かを判断して印刷を許可するか否かを判定する。
【0051】
報知部122は、印刷許可判定部124により印刷許可を行わない旨の判定結果を受けると、その旨を知らせるために報知を行うものである。報知部122による報知方法は、例えば、印刷装置105が備えるディスプレイ装置等の表示装置に警告表示画面の出力や、ブザー音や警告音を出力させる等の方法を適用できる。
【0052】
なお、
図1において、ホストコンピュータ101の印刷許可判定部113と、印刷装置105の印刷許可判定部124は、同等の機能である。この実施形態に係る
図1では、ホストコンピュータ101及び印刷装置105の両方が同等の印刷許可判定機能を有する場合を例示しているが、ホストコンピュータ101又は印刷装置105のいずれかに印刷許可判定機能を有するようにしても良い。
【0053】
また、印刷装置105の印刷許可判定部124は、後述するように、媒体表面色検出部123により検出された媒体表面色も用いた印刷許可判定を行うことができる。そのため、媒体表面色も含む印刷許可判定に関しては、媒体表面色検出部123を備える印刷装置105における印刷許可判定部124のみが行なうことができる。
【0054】
図2は、実施形態に係る印刷装置105の筐体内部に搭載される主な内部構成及び媒体搬送経路を示すブロック図である。
【0055】
印刷装置105は、CMYK等の有色現像剤及び特色現像剤を用いた印刷を行うものである。印刷装置105は、特色現像剤を用いた印刷を行うことができれば、例えば、モノクロ印刷装置であっても良い。また、印刷装置105は、片面印刷対応のものであっても良いし、両面印刷対応のものであっても良い。この実施形態では、CMYKの有色現像剤と、白色現像剤及び透明現像剤とを用いた両面印刷対応の印刷装置を例示する。
【0056】
なお、
図2に示す印刷装置105の印刷機構の制御は、
図1の印刷制御部122による印刷制御により実行される。
【0057】
図2において、印刷装置105は、媒体搬送ベルト150、ドライブローラ151、テンションローラ152、白色現像剤用画像形成部153、黒色現像剤用画像形成部154、黄色現像剤用画像形成部155、マゼンダ色現像剤用画像形成部156、シアン色現像剤用画像形成部157、透明現像剤現像剤用画像形成部158、定着器159、媒体収納カセット160、両面印刷ユニット165、媒体表面色検出部123を有する。
【0058】
媒体収納カセット160は、例えば、用紙、OHPシート等の媒体を積層状態で収納するものである。媒体収納カセット160は、例えば、画像形成装置10内の下部に着脱自在に装着される。媒体収納カセット160に収納されている媒体は、最上部から1枚ずつ繰り出され、媒体搬送経路161方向に搬送される。
【0059】
媒体表面色検出部123は、媒体収納カセット160から繰り出された媒体の表面色を検出するものである。媒体表面検出部123は、印刷開始直前の媒体表面色を検出するため、例えば、媒体収納カセット160と媒体搬送ベルト152に媒体を搬送する媒体搬送経路161と間に配置されることが望ましい。
【0060】
媒体搬送ベルト150は、媒体搬送ベルトを駆動するドライブローラ151と、媒体搬送ベルト150を張架するテンションローラ152とにより駆動するものであって、媒体を搬送するものである。
【0061】
白色現像剤用画像形成部153、黒色現像剤用画像形成部154、黄色現像剤用画像形成部155、マゼンダ色現像剤用画像形成部156、シアン色現像剤用画像形成部157、透明現像剤現像剤用画像形成部158は、それぞれ、白色(White)、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、透明(Clear)の現像剤を用いて、搬送されてきた媒体上に画像を形成するものである。
【0062】
図2では、媒体搬送ベルト150により搬送方向に沿って、白色現像剤用画像形成部153、黒色現像剤用画像形成部154、黄色現像剤用画像形成部155、マゼンダ色現像剤用画像形成部156、シアン色現像剤用画像形成部157、透明現像剤現像剤用画像形成部158が配置されている場合を例示するが、各画像形成部153〜158の配置は
図2に限定されるものではない。
【0063】
定着器159は、媒体搬送ベルト150により搬送されてきた媒体上の現像剤像を、加熱、加圧により媒体上に定着させるものである。
【0064】
両面印刷ユニット165は、両面印刷の場合に、定着器159から搬送された媒体を、再度搬送ベルト150に送り返すものである。
【0065】
なお、片面印刷の場合、定着器159により画像が定着された媒体は、媒体搬送経路162→媒体搬送経路163の順に排出される。
【0066】
また、両面印刷の場合、媒体の表面に画像形成された後、裏面にも画像形成を行うため、定着器159により画像が定着された媒体は、媒体搬送経路166→媒体搬送経路167→媒体搬送経路168→媒体搬送経路169の順に搬送される。
【0067】
さらに、特色現像剤の位置指定が「白色現像剤が上」又は「透明トナーが下」等の場合、媒体は、媒体搬送経路166→媒体搬送経路169の順に搬送される。
【0068】
ここで、特色現像剤の位置指定に応じた媒体の搬送経路に関して説明する。
【0069】
上述したように、プリンタドライバ103の特色現像剤位置指定部111では、白色現像剤、透明現像剤の特色現像剤を用いて、「上」、「下」等の位置指定が可能である。
【0070】
また、
図2に示すように、印刷が開始されると、媒体は媒体搬送ベルト150に搬送されるため、画像形成プロセスは、白色(White)、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、透明(Clear)の順に行われる。
【0071】
そのため、「白色現像剤が上」、「透明現像剤が下」等の特色現像剤の位置指定がなされる場合には、その指定された位置に特色現像剤を載せることができない。
【0072】
例えば、媒体上において下地として白色現像剤を載せ、一番上に透明現像剤を載せる場合は、1回のパス動作で印刷が済むことになる。しかし、例えばTシャツなどへの「アイロンプリント」のために、転写紙に印刷するケースの場合、媒体に対して白色現像剤を一番上に載せる必要がある。このような場合、
図2に例示する画像形成部153〜158の配置であれば、1回のパス動作では、白色現像剤を一番上に載せることができない。
【0073】
そこで、この実施形態では、各画像形成部153〜158により画像形成された媒体を、媒体搬送経路166→媒体搬送経路169の順に搬送して、再度、白色現像剤用画像形成部153、透明現像剤用画像形成部158により画像形成させる2パス方式(2回通過方式)により実現するようにする。
【0074】
このとき、2パス制御方式を行う際、定着器159は、1回目に通過する媒体に対しては定着処理を行ないように制御される。例えば、印刷制御部123が、定着器159の加熱温度を媒体上の現像剤が溶融しない温度に制御することで実現できる。そして、定着器159は、2回目に通過する媒体に対して定着処理を行なう。
【0075】
なお、この実施形態では、
図2に示すような2パス方式を用いる場合を例示するが、これと同等の印刷制御機能を有するものであれば広く適用できる。
【0076】
また、上記2パス方式の印刷機構の制御は、上述した印刷制御部122が行なう。
【0077】
(A−2)実施形態の動作
次に、この実施形態に係る印刷システム1における印刷処理の動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0078】
以下では、実施形態に係る印刷システム1が、白色現像剤、透明現像剤の特色現像剤を用いた印刷設定がなされて印刷処理を行う場合を例示する。
【0079】
この実施形態に係る印刷システム1は、印刷データ送信時にユーザから入力された使用用途が、その他の印刷設定情報や、印刷装置105にセットされた実際の媒体の色や、印刷データに基づく描画内容等の印刷条件とマッチしないと判定した場合に、特色現像剤を用いた印刷を行わず、ユーザに警告表示等の報知を行うものである。
【0080】
また、この実施形態では、例えばホストコンピュータ101において、プリンタドライ103がGUI画面を表示し、ユーザにより特色現像剤の使用用途の入力を受け付ける。
【0081】
まず、ホストコンピュータ101は、プリンタドライバ103のGUI画面を表示装置に表示し、ユーザが、「特色自動生成動作モード」、「特色用途」、「用紙種類」、「特色トナー種類」、「特色トナー位置」などの各種印刷設定情報を入力する。
【0082】
図3及び
図4は、プリンタドライバ103によるGUI画面のイメージを示す説明図である。
【0083】
図3の画面501は、特色自動生成指定部107により指定される特色印刷動作モード表示部510、特色用途入力部108が特色用途の入力を受け付ける入力部520を有する。
図3では、特色用途として、「アイロンプリント、」「イメージ等の色を正確に描画するため」、「用紙裏面のにじみ・裏写し防止」、「イメージに光沢を付ける」、「目立たないマーカ、点線、背景パタン等」のような特色用途として表示しておき、ユーザにいずれの用途であるかを選択可能としている。
【0084】
図4の画面502は、特色現像剤種類指定部110が特色現像剤の種類を受け付ける入力部530、特色現像剤位置指定部111が特色現像剤の位置の指定を受け付ける入力部540、用紙選択指定部109が用紙種類を受け付ける入力部550を有する。
【0085】
なお、
図3及び
図4の画面
図501及び502は、ラジオボタンにより各入力部の項目を選択できる場合を例示しているが、選択方法は特に限定されるものではなく、例えばプルダウンメニューから選択できるようにしても良い。
【0086】
ホストコンピュータ101にて、ユーザによる印刷設定情報の入力が終了し、ユーザ操作により印刷開始指示がなされると、プリンタドライバ103において、印刷装置105にて印刷可能な印刷データが生成される。
【0087】
また、GUI画面において入力された「特色自動生成動作モード」、「特色用途」、「用紙種類」、「特色トナー種類」、「特色トナー位置」などの各種印刷設定情報は印刷許可判定部113に与えられ、印刷許可判定部113が印刷許可判定を実行する。この印刷許可判定部113による印刷許可判定処理については後述する。
【0088】
印刷許可判定部113により印刷を許可しない判定が得られた場合、特色現像剤を用いた印刷設定が条件とマッチングしないため、プリンタドライバ103の報知部114がホストコンピュータ101の表示装置に警告表示や中断を促す表示等を出力する。
【0089】
このとき、印刷データは、基本的には印刷装置105に送信されず、特色現像剤を用いた印刷処理は中断される。しかし、ユーザ操作により、例えば特色現像剤を除いた印刷を選択するような場合などには、プリンタドライバ103は印刷データを印刷装置105に送信するようにして、印刷処理を実行できるようにしても良い。
【0090】
一方、印刷許可判定部113により印刷許可の判定が得られた場合、プリンタドライバ103により生成された印刷データが印刷データ送信部104に与えられ、印刷データが印刷装置105の印刷データ受信部115に送信される。
【0091】
ここで、印刷許可判定部113による印刷許可判定処理を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0092】
図5は、実施形態に係る印刷許可判定部113における印刷許可判定処理を示すフローチャートである。
【0093】
[ステップS101]印刷許可判定部113は、特色現像剤を用いた描画特色トナーの描画指定が有るか否かを判定する。
【0094】
具体的に、印刷許可判定部113は、アプリケーション102からのデータにおいて特色現像剤を用いた指定が有るか否か、更に特色自動生成部107により特色現像剤を用いた特色印刷動作モードにおいて、特色現像剤を用いた印刷の
指定有りとなっているか否かを判断する。
【0095】
このとき、特色現像剤を用いた描画指定がある場合、ステップS102へ進む。特色現像剤を用いた描画指定がない場合、ステップS109へ進む。
【0096】
[ステップS102]印刷許可判定部113は、特色用途入力部108によってユーザから特色現像剤を用いる特色用途の入力が有るか否かを判定する。
【0097】
このとき、特色現像剤を用いた特色用途の入力がある場合、ステップS103に進み、特色用途の入力がない場合、ステップS105へ進む。
【0098】
[ステップS103]印刷許可判定部113は、特色用途及び各種印刷設定情報、イメージ有無検出部112の検出結果に基づいて、所定の印刷条件に合致するか否かを判定する。印刷条件にマッチする場合、ステップS104へ進み、印刷条件にマッチしない場合、ステップS105へ進む。
【0099】
図6は、印刷許可判定部113の印刷条件113aを説明する説明図である。
図6において、「−」は、条件を問わない(任意の設定で可)を意味する。「or」は、何れかの1つの条件に一致すれば可を意味する。「逆面」とは、両面印刷の裏面を意味する。
【0100】
図6に示すように、印刷条件113aは、特色用途毎に、特色印刷を印刷許可するための各種印刷設定情報の設定項目が定義されているものである。特色用途が設定されている場合、印刷許可判定部113が、その時点の各種印刷設定情報が
図6の印刷条件に合致するか否かを判定し、合致する場合に印刷許可をするものと判断し、合致しない場合に印刷許可をしないものと判断する。
【0101】
図6において、印刷条件の項目は、条件番号を示す「No.」、ユーザに入力された特色用途の種類を示す「特色用途」、「用紙種類」、「イメージ有無」、「特殊現像剤種類」、「特色現像剤種類」、「特色現像剤位置」、「ミラー印刷」等を含む。
【0102】
図6の条件「No.:1」は、「特色用途:アイロンプリント」、「用紙種類:転写紙」、「イメージ有無:−」、「特色現像剤種類:白色現像剤」、「特色現像剤位置:上」、「左右反転:有」が設定されている。これは、ユーザにより特色現像剤を用いる特色用途として「特色用途:アイロンプリント」が入力された場合、例えばTシャツ等の衣類に印刷画像を転写するため、使用される媒体はアイロンプリント用の転写紙が選択される必要がある。衣類への転写後に、白色が下地とするため、媒体(転写紙)への印刷はCMYK等の有色現像剤の上に白色現像剤が載るようにする必要があり、又左右反転された状態で印刷する必要がある。そのため、「用紙種類:転写紙」、「特色現像剤:白色現像剤」、「特色現像剤位置:上」、「左右反転:有」とすることが印刷許可のための条件となり得る。それ以外の設定が指定された場合、例えば「クリアトナー」や特色トナー位置「下」が指定された場合は、条件に合致しないため、印刷が許可されないことになる。
【0103】
図6の条件「No.:2」は、「特色用途:イメージ等の色を正確に描画するため」、「用紙種類:色つき用紙又はOHPシート」、「イメージ有無:−」、「特色現像剤種類:白色現像剤」、「特色現像剤位置:下」、「左右反転:−」が設定されている。これは、イメージ等の色を正しく描画するためには、白色現像剤がイメージを形成する有色現像剤よりも下にあることが必要となるからである。それ以外の設定の組み合わせでは、用途にマッチしない特色の使われ方になってしまい特色現像剤が無駄であるため、印刷を許可しない。
【0104】
図6の条件「No.:3」は、「特色用途:用紙裏面のにじみ・裏写し防止」、「用紙種類:普通用紙又はOHPシート」、「イメージ有無:−」、「特色現像剤種類:白色現像剤」、「特色現像剤位置:下又は逆面」、「左右反転:−」が設定されている。これは、用紙裏面のにじみや裏写り防止のために、普通用紙又はOHPシートに対して、白色現像剤を、CMYK等の有色現像剤よりも「下」あるいは用紙の「逆面」に印刷することが必要であるからである。それ以外の設定の組み合わせでは、用途にマッチしない特色の使われ方になってしまい特色現像剤が無駄であるため、印刷を許可しない。
【0105】
図6の「No.:4」は、「特色用途:イメージに光沢を付ける」、「用紙種類:−」、「イメージ有無:有」、「特色現像剤種類:透明現像剤」、「特色現像剤位置:上」、「左右反転:−」が設定されている。これは、イメージの光沢を与えるため、イメージ有無検出部112によるイメージ有無の検出結果が「有」で、透明現像剤を、CMYK等の有色現像剤よりも「上」に印刷することが必要である。それ以外の設定の組み合わせでは、用途にマッチしない特色の使われ方になってしまい特色現像剤が無駄であるため、印刷を許可しない。
【0106】
図6の「No.:5」は、「特色用途:目立たないマーカ、点線、背景パタン等」、「用紙種類:−」、「イメージ有無:−」、「特色現像剤種類:−」、「特色現像剤位置:有色現像剤の色の上又は下、単独のいずれでも可」、「左右反転:−」が設定されている。これは、特色用途が「目立たないマーカ、点線、背景パタン等」の場合は、特色トナー位置はCMYK等の有色現像剤の上/下、単独の何れでも可」である。また、用紙種類、イメージ有無、特色トナー種類の指定も任意であって良い。このケースをユーザが明示的に指定した場合は、プリンタドライバ103による印刷データの生成、および、印刷装置105の印刷データ解析部116による印刷データの解析時に、特色描画領域の面積が一定以下であれば印刷を許可するように実装するためである。
【0107】
[ステップS104]印刷許可判定部113は特色印刷を許可する。この場合、プリンタドライバ103が特色印刷を行う印刷データを生成し、印刷装置105に印刷データを送信し、その後、動作フローを終了する。
【0108】
[ステップS105]プリンタドライバ103は、現状のまま強制印刷を行うか否かの表示画面を表示装置に出力する。そして、ユーザにより強制印刷を実行する旨が選択されると、ステップS104に進む。
【0109】
[ステップS106]プリンタドライバ103は、現状から特色現像剤を除く有色現像剤のみでの強制印刷を行うか否かの表示画面を表示装置に出力する。ここで、表示画面は、ステップS105で表示する表示画面と同一画面上で選択可能なものとしても良い。そして、ユーザにより現状から特色現像剤を除く強制印刷を実行する旨が選択されると、ステップS109に進む。
【0110】
[ステップS107]プリンタドライバ103は、印刷処理を中断する旨を選択可能な表示画面を表示装置に出力する。ここで、表示画面は、ステップS105に至る前に、ステップS105、及び又は、S106で表示する表示画面と同一画面上で選択可能なものとしても良い。そして、印刷処理を中断する旨の選択、又は、所定時間が経過してタイムアウトになると、ステップS108に進む。
【0111】
[ステップS108]プリンタドライバ103は、特色印刷を中断して、動作フローを終了する。
【0112】
[ステップS109]プリンタドライバ103は通常のCMYK等の有色現像剤を用いた印刷を行い、動作フローを終了する。
【0113】
次に、印刷装置105において処理を説明する。
【0114】
印刷データ受信部115により受信された印刷データは、印刷データ解析部116に与えられる。
【0115】
印刷データ解析部116では、イメージ有無検出部117により印刷データにイメージデータが含まれているか否かの検出処理が行なわれると共に、取得した印刷データをカラーマッチング部118に与える。
【0116】
カラーマッチング部118では、印刷データに含まれるRGBデータをCMYKデータに変換し、印刷装置105における現像剤の特性に応じた色調整が行なわれる。このとき、特色自動変換部119では、印刷データ中に特色印刷動作モードの指定情報に基づき、特色現像剤を用いるカラー印刷データに変換する。
【0117】
印刷データ解析部116は、イメージデータの有無検出結果、色調整を含むカラー印刷データを有する解析結果をページ画像生成部120に与える
ページ画像生成部120では、CMYK等の有色現像剤についてのページ画像データが生成される。このとき、特色現像剤を用いる場合には、特色ページ画像生成部121により、白色現像剤、透明現像剤についてのページ画像データが生成される。
【0118】
そして、ページ画像生成部120により生成された各現像剤についてのページ画像データは印刷制御部122に与えられる。このとき、媒体表面色検出部123は、印刷開始直前に、媒体収納カセット160から少しだけ繰り出された媒体表面の色を検出する。そして、印刷制御部122は、媒体搬送ベルト150から繰り出された媒体表面の色データを媒体表面色検出部123から取得し、その媒体表面色データ及びプリンタドライバ103からの印刷設定情報を含む情報を印刷許可判定部124に与える。
【0119】
印刷許可判定部124は、媒体表面色データ及びプリンタドライバ103からの印刷設定情報を含む情報に基づいて、特色現像剤を用いた印刷許可をするか否かの判定を行う。
【0120】
ここで、印刷許可判定部124による印刷許可判定処理を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0121】
図7は、実施形態に係る印刷許可判定部124における印刷許可判定処理を示すフローチャートである。印刷許可判定部124による印刷許可判定処理は、基本的には、
図5の印刷許可判定部113の処理と同様である。つまり、印刷許可判定部124は、
図7の印刷条件と同一又は対応する印刷条件124aを参照し、媒体表面色データ及びプリンタドライバ103からの印刷設定情報を含む情報に基づいて、特色現像剤を用いた印刷許可をするか否かの判定を行う。
【0122】
しかし、印刷許可判定部124は、媒体表面色検出部123が検出した媒体表面色を用いて、実際にセットされている媒体の表面色も用いて印刷許可の判定を行う点で印刷許可判定部113と異なる。
【0123】
そこで、ここでは、印刷許可判定部124の印刷許可判定処理のうち、検出された媒体表面色の判定について説明を説明する。
【0124】
[ステップS201]印刷許可判定部124は、印刷制御部122から媒体表面色検出部123が検出した媒体表面色データを含む情報を取得する。そして、印刷許可判定部124は、媒体表面色検出部123が検出した実際の媒体表面色データが、
図7の印刷条件に合致しているか否かを判定する。
【0125】
例えば、「特定用途:アイロンプリント」の場合に、媒体表面色検出部123の媒体表面色データが「色つき用紙」であるとの検出結果が得られた場合には、実際にセットされた媒体は「転写紙」ではなく、「色つき用紙」であり、実際にセットされる媒体の種類が異なっている可能性がある。このような場合には、印刷許可判定部124は印刷を許可しないと判定する。
【0126】
そして、印刷許可判定部124により印刷許可の判定が得られた場合、印刷制御部122は、印刷装置105における印刷制御を開始する。つまり、印刷制御部122は、媒体収納カセット160から媒体を繰り出し、媒体を媒体搬送ベルト150に搬送する。また、印刷制御部122は、各画像形成部153〜158における画像形成を実行させるために、各現像剤のページ画像データを、対応する各画像形成部153〜158に与えて画像処理を実行させる。
【0127】
一方、印刷許可判定部124により印刷が許可しない判定が得られた場合、印刷制御部122は印刷制御を実行せず、印刷処理は行われない。
【0128】
この場合、報知部123は、ユーザにより入力された特色用途がその他の印刷設定情報とマッチングしなかったため、印刷を中断する旨のメッセージをプリンタ105の操作パネルの画面上に出力する。このとき、ユーザ操作により、例えば特色現像剤を除いた印刷を選択するような場合などには、プリンタドライバ103は印刷データを印刷装置105に送信するようにして、印刷処理を実行できるようにしても良い。
【0129】
そして、印刷処理を中断する場合には、印刷制御部122は生成したページ画像データを破棄することによって印刷を中止する。
【0130】
(A−3)実施形態の効果
以上のように、この実施形態によれば、ユーザが指定した特色用途とその他の印刷設定がマッチしない場合に、特色印刷が行われないようになるから、誤っておかしな設定を行って特色トナーを無駄に消費することを防止することが出来るようになり、ユーザの利便性が向上する。また、特色トナーの交換時期が伸びるから経済的な印刷を行うことができる。
【0131】
(B)他の実施形態
上述した実施形態においても本発明の種々の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の変形実施形態にも適用できる。
【0132】
上述した実施形態では、本発明に係る印刷装置がプリンタに適用した場合の例として説明したが、本発明に係る印刷装置はMFPとしても良い。MFPの場合、印刷前の用紙をスキャンして、白紙の色が所定の範囲内であり白紙と判定されるかどうかを、チェックする機能を設けることで、ユーザの利便性を向上させることも可能である。範囲内から外れた場合は警告表示を行う。
【0133】
上述した実施形態において、印刷許可判定と警告表示の動作については、特色現像剤の使用用途とその他の設定との整合性のチェック結果に矛盾があることの表示し、印刷を中断させる動作として説明した。これに対し、例えば警告レベルの設定方法を設け、警告レベルが低い場合は印刷設定をデフォルトにして印刷を許可したり、1つ前の印刷設定を利用して印刷させるような機能を提供したりしても良い。また、その際に、その印刷設定による利点と欠点(例えば、特色用途の効果が薄れる等)について表示させることでも、ユーザが必要に応じて的確に特色トナーの利用法を理解して印刷に利用することが出来るようになるから、利用ユーザの利便性を向上させることもできる。
【0134】
特色現像剤の種類の入力部については、白色現像剤又は透明現像剤を選択できるようにしたが、自動で発生させる白色現像剤又は透明現像剤の量(すなわち、濃度)を指定できるようにしても良い。
【0135】
印刷の用途については、白色現像剤、透明現像剤のその他の利用用途も考えられる。そのため、上述した実施形態で説明した特色用途は、
図7に示す用途に限定されるものではない。新たに考えられる用途は、その他の条件の入力部をドライバGUIに追加して、使用許可条件の一覧表を新しく作り直しても、本発明の効果が得られる。