(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0015】
<家庭用薄葉紙収納容器の構成>
まず、本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器の構成について説明する。
なお、以下の説明では、家庭用薄葉紙収納容器の平面視長手方向を左右方向、平面視短手方向を前後方向、高さ方向を上下方向とする。
【0016】
本実施形態に係る家庭用薄葉紙収納容器1は、例えば、
図1(a)に示すように、上蓋20を閉じた状態で前後方向の側面視にて上側の角が丸みを帯びた略長方形状に形成されており、内部にウェットシートやウェットティシュー等のウェットタイプの家庭用薄葉紙Pを収納可能に構成されている。なお、家庭用薄葉紙収納容器1には、ティシューペーパーやキッチンペーパーやペーパータオル等のドライタイプの家庭用薄葉紙Pを収納しても良い。
具体的には、家庭用薄葉紙収納容器1は、例えば、
図1(a),(b)、
図2から
図5に示すように、上面に家庭用薄葉紙Pを取り出すための取出口11を有するとともに下面に家庭用薄葉紙Pが積層された薄葉紙積層体Qを詰め替えるための底面開口12を有し、内側の収納空間部Sに薄葉紙積層体Qを収納する容器本体10と、容器本体10の上面にスライド移動自在に設けられ、取出口11を開閉させる蓋体としての上蓋20と、上蓋20を容器本体10に取り付けるためのシャーシ30と、容器本体10の底面開口12を塞ぐ底蓋40と、上蓋20を開放状態となる方向に付勢する付勢部材50と、等を備えて構成される。
【0017】
ここで、容器本体10及びシャーシ30が、上面に取出口11を有し、内側に家庭用薄葉紙Pを収納するケース体として機能する。すなわち、ケース体は、容器本体10と、当該容器本体10の上面に固定されるシャーシ30と、を備えており、上蓋20は、ケース体のうちシャーシ30に取り付けられている。
また、容器本体10、上蓋20、シャーシ30及び底蓋40は、例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)等の熱可塑性樹脂から形成されている。
また、本実施形態においては、付勢部材50として、引張コイルばねを用いることとする。
【0018】
また、薄葉紙積層体Qは、例えば、複数枚の家庭用薄葉紙Pが積層された詰替え用の薄葉紙積層体であって、ケース体(本実施形態の場合、容器本体10)に形成された取出口11から家庭用薄葉紙Pを継続して取り出せるように交互に折り重ねられた状態で積層されている。すなわち、家庭用薄葉紙Pを取出口11からケース体の外側へ引き出したときに、次の家庭用薄葉紙Pの上端が取出口11よりも突出する位置まで収納空間部Sから引き出されるようになっている。
なお、薄葉紙積層体Qを、包装体によって内包することとしても良い。特に、家庭用薄葉紙収納容器1に収納する家庭用薄葉紙Pが、本実施形態のようにウェットタイプの家庭用薄葉紙Pである場合には、薄葉紙積層体Qを防湿性の包装体によって内包することが好ましい。
【0019】
容器本体10は、例えば、
図1(a),(b)に示すように、当該容器本体10の上面を構成する上面部10aと、当該容器本体10の前後左右の周面を構成する周面部10bと、からなり、容器本体10の下面は平面視にて角のとれた略長方形状を呈する底面開口12となっている。そして、この底面開口12を塞ぐように取り付けられた底蓋40と、容器本体10の上面部10a及び周面部10bと、によって囲まれた空間が、薄葉紙積層体Qを収納するための収納空間部Sとなる。
なお、本実施形態では、下面が開口した容器本体10を用い、薄葉紙積層体Qを容器本体10の下面側から詰め替えるように構成したが、これに限ることはなく、例えば、下面は閉口して前後左右の何れかの面が開口した容器本体10を用い、薄葉紙積層体Qを容器本体10の前後左右の何れかの面側から詰め替えるように構成することも可能である。
【0020】
容器本体10の上面部10aには、例えば、
図4、
図5に示すように、下側に向けて陥没する凹部13が設けられており、この凹部13の底面部13aに取出口11が形成されている。なお、本実施形態では、底面部13aのうち左右方向(容器本体10の平面視長手方向)中央よりも一側(本実施形態の場合、右側)にずれた位置に取出口11を形成したが、これに限ることはなく、例えば、底面部13aの左右方向略中央に取出口11を形成することも可能である。
取出口11は、容器本体10の内部の収納空間部Sに収納された家庭用薄葉紙Pを取り出すための、平面視にて角のとれた略長方形状に形成された開口である。
取出口11は、上蓋20が開放状態(
図1(b)、
図3、
図5参照)となった場合に開放され、このとき家庭用薄葉紙Pは、取出口11を通じて一枚毎に収納空間部Sから外部に引き出すことができるようになっている。
また、取出口11は、上蓋20が閉塞状態(
図1(a)、
図2、
図4参照)となった場合に閉塞されるようになっている。
【0021】
例えば、
図4、
図5に示すように、取出口11の周縁には、シリコンゴム等のゴムやオレフィン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーなどの弾性体から形成されたケース側パッキン14が装着されている。
また、上蓋20の下面にも、シリコンゴム等のゴムやオレフィン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーなどの弾性体から形成された蓋側パッキン21が取り付けられている。
蓋側パッキン21は、上蓋20の下面のうち上蓋20の閉塞状態においてケース側パッキン14に対応する位置に設けられており、ケース側パッキン14と蓋側パッキン21とは、上蓋20が閉塞状態となった場合に互いに密着して(
図4参照)、収納空間部S内の気密性を保持するように構成されている。すなわち、ケース側パッキン14及び蓋側パッキン21が、取出口11の周縁と上蓋20との隙間を封止する気密手段として機能する。
これにより、家庭用薄葉紙収納容器1に収納する家庭用薄葉紙Pが、本実施形態のようにウェットタイプの家庭用薄葉紙Pである場合には、家庭用薄葉紙Pに含浸した薬液の蒸発を防止できるようになっている。
【0022】
また、ケース側パッキン14には、例えば、
図6に示すように、当該ケース側パッキン14の下端部から内側に向けて(取出口11を塞ぐ方向側に向けて)延出する複数の舌片部14aが設けられており、舌片部14a同士の隙間から家庭用薄葉紙Pが引き出されるように構成されている。これにより、家庭用薄葉紙Pを一枚ずつ引き出しやすくなっている。
なお、本実施形態では、容器本体10にケース側パッキン14を設けて上蓋20に蓋側パッキン21を設けた、すなわち、容器本体10と上蓋20との双方に気密手段を設けたが、これに限ることはなく、気密手段によって取出口11の周縁と上蓋20との隙間を封止できるのであれば、例えば、容器本体10だけに気密手段を設けても良いし、上蓋20だけに気密手段を設けても良い。また、例えば
図26(後述)に示すように、シャーシ30に取出口11が設けられている場合には、シャーシ30に気密手段を設けても良い。
【0023】
シャーシ30は、容器本体10の凹部13内に収容された状態で容器本体10の上面部10aに固定されており、上蓋20は、シャーシ30を介して容器本体10に取り付けられている。
シャーシ30は、例えば、
図7に示すように、凹部13の底面部13a上に載置され、取出口11を取り囲む枠部31と、閉塞状態の上蓋20と略面一となるよう枠部31に支持される上壁部32と、を備えて構成される。
ここで、本実施形態では、上蓋20と上壁部32とを合わせると、平面視にて略楕円形状の板状部材を構成するようになっている。また、上蓋20及び上壁部32は、前後方向(短径方向)に下方へ凸となるよう湾曲した形状をなしている。
【0024】
シャーシ30の枠部31(具体的には、枠部31の連結部31c(後述))の上面には、例えば、
図2、
図3、
図7に示すように、付勢部材50の一端と係合する固定側係合部33が設けられている。
また、上蓋20の下面のうち前後方向略中央の位置には、例えば、
図2、
図3、
図8に示すように、付勢部材50の他端と係合する可動側係合部22が設けられている。
ここで、例えば、
図7に示すように、本実施形態において、家庭用薄葉紙収納容器1は、付勢部材50である引張コイルばねを2本備えている。また、シャーシ30の枠部31は、固定側係合部33を2つ備えている。この2つの固定側係合部33は、上蓋20とシャーシ30とが組み合わされた状態で所定の直線(具体的には、左右方向(長径方向)に平行で可動側係合部22を通る直線)に対して互いに線対称となる位置に配置され、かつ、上蓋20の閉塞状態における可動側係合部22との間隔が、上蓋20の開放状態における可動側係合部22との間隔よりも長くなるように、枠部31に設けられている。そして、2本の付勢部材50のうち一方の一端が、2つの固定側係合部33のうちの一方に掛止されるとともに、2本の付勢部材50のうち他方の一端が、2つの固定側係合部33のうちの他方に掛止され、2本の付勢部材50の双方の他端が、上蓋20に設けられた可動側係合部22に掛止されている。
【0025】
上蓋20が右側(すなわち、上壁部32側)へとスライド移動して開放状態から閉塞状態に移行すると、付勢部材50の一端に係合する固定側係合部33と、付勢部材50の他端に係合する可動側係合部22と、の間隔が長くなるので、付勢部材50は左側(すなわち、上壁部32とは反対側)に付勢された状態になる。すなわち、付勢部材50は、上蓋20の閉塞状態において、当該上蓋20を開放状態となる方向に付勢している。そして、付勢部材50の付勢力に抗する力が解除されると、付勢部材50の付勢力によって上蓋20が左側(すなわち、上壁部32とは反対側)に引っ張られて、取出口11が開放される。
ここで、付勢部材50は、伸縮部材により構成され、シャーシ30の固定側係合部33が、ケース体(本実施形態の場合、シャーシ30)に設けられ付勢部材50の一端と係合する固定点として機能し、上蓋20の可動側係合部22が、上蓋20に設けられ付勢部材50の他端と係合する可動点として機能する。
そして、付勢部材50、シャーシ30の固定側係合部33及び上蓋20の可動側係合部22が、上蓋20を開放状態となる方向にスライド移動させる可動機構として機能する。
なお、本実施形態では、固定側係合部33(固定点)をシャーシ30に設けたが、これに限ることはなく、固定側係合部33(固定点)は、容器本体10に設けても良い。
【0026】
また、本実施形態では、付勢部材50、シャーシ30の固定側係合部33及び上蓋20の可動側係合部22は、上蓋20が、開放状態である場合も、閉塞状態である場合も、開放状態から閉塞状態に移行する途中の状態である場合も、閉塞状態から開放状態に移行する途中の状態である場合も、凹部13内に配置された状態で上蓋20に上方から覆われているので、家庭用薄葉紙収納容器1の外部から視認することができない。
すなわち、上蓋20は、当該上蓋20の状態にかかわらず、外部から視認不能に付勢部材50、シャーシ30の固定側係合部33及び上蓋20の可動側係合部22を遮蔽している。これにより、家庭用薄葉紙収納容器1の美観が向上するとともに、付勢部材50、シャーシ30の固定側係合部33及び上蓋20の可動側係合部22が触られることを防止できるようになっている。
【0027】
さらに、本実施形態では、凹部13の底面部13aが、容器本体10の内側(収納空間部S側)から視認不能に付勢部材50、シャーシ30の固定側係合部33及び上蓋20の可動側係合部22を遮蔽しているので、付勢部材50、シャーシ30の固定側係合部33及び上蓋20の可動側係合部22が、容器本体10の内側から触られることも防止できるようになっている。
【0028】
例えば、
図4、
図5に示すように、上蓋20の右端部(すなわち、上壁部32側の端部)には、下側に向けて突出する爪部23が設けられている。
また、シャーシ30には、上壁部32の一部を操作面34aとしたスイッチ部34が設けられている。スイッチ部34は、前後方向に沿って延設された軸部34bを回動軸として回動可能に構成されており、左端側(すなわち、上蓋20側)に爪部23が上方から進入して係合する爪受部34cを有している。また、スイッチ部34は、図示しない付勢手段によって、押圧されて回動する方向とは逆方向に付勢されている。
【0029】
上蓋20が開放状態である際に、付勢部材50の付勢力に抗する力を作用させて上蓋20を右側(すなわち、上壁部32側)へとスライド移動させると、まず、上蓋20の爪部23がスイッチ部34の爪受部34cに当接する。さらに上蓋20を右側へとスライド移動させると、爪受部34cが爪部23に押されてスイッチ部34の付勢手段の付勢力に抗する力が作用し、爪受部34cが下側へと移動するようにスイッチ部34が回動する。そして、上蓋20が閉塞状態になってスイッチ部34の付勢手段の付勢力に抗する力が解除されると、スイッチ部34の付勢手段の付勢力によって爪受部34cがもとの位置に戻るよう(すなわち、操作面34aが上壁部32の表面と略面一の状態となるよう)にスイッチ部34が回動して、爪部23と爪受部34cとが係合する。これにより、上蓋20の閉塞状態を維持できるようになっている。
【0030】
また、爪部23と爪受部34cとが係合している際に、スイッチ部34の操作面34aが押圧されてスイッチ部34の付勢手段の付勢力に抗する力が作用すると、爪受部34cが下側へと移動するようにスイッチ部34が回動する。そして、スイッチ部34の回動に伴い爪部23と爪受部34cとの係合が解除されると、付勢部材50の付勢力によって上蓋20が左側(すなわち、上壁部32とは反対側)へとスライド移動して開放状態になる。
すなわち、爪部23及び爪受部34cが、付勢部材50の付勢力に抗して上蓋20が閉塞状態となるように係止するとともに、当該係止を解除可能な係止手段として機能する。
なお、本実施形態では、係止手段による係止を解除する際に押圧されるスイッチ部34をシャーシ30に設けたが、これに限ることはなく、スイッチ部34は、容器本体10に設けても良い。
【0031】
本実施形態においては、シャーシ30の枠部31の一部が、上蓋20を直線的にスライド移動するようガイドするレール部31aになっている。具体的には、例えば、
図7に示すように、シャーシ30の枠部31は、左右方向に沿って延設され、前後方向に並ぶレール部31a,31aと、レール部31a,31aの右端部(すなわち、上蓋20の閉塞状態となる方向側の端部)同士を連結するとともに上壁部32を支持する支持部31bと、レール部31a,31aの左端部(すなわち、上蓋20の開放状態となる方向側の端部)同士を連結する連結部31cと、からなる。
また、例えば、
図8に示すように、上蓋20には、レール部31aに対してスライド移動可能に係合するスライド部24が設けられている。スライド部24は、例えば、上蓋20とシャーシ30とが組み合わされた状態で、当該スライド部24の下面が、対応するレール部31aの上面に当接するように、上蓋20の下面から垂下する垂壁部(図示省略)の下端に接続されている。
これにより、上蓋20をスムーズかつ確実に開閉できるようになっている。
なお、本実施形態では、上蓋20のスライド移動をガイドするためのレール部31aをシャーシ30に設けたが、これに限ることはなく、レール部31aは、容器本体10に設けても良い。
【0032】
ここで、例えば、
図8に示すように、スライド部24の左端部(すなわち、上蓋20の開放状態となる方向側の端部)には、上蓋20が開放状態となる際の衝撃を吸収するダンパー24aが設けられている。
また、例えば、
図6に示すように、容器本体10の凹部13の周縁のうち、上蓋20の閉塞状態においてスライド部24の左端側(ダンパー24aを含む)に対応する位置には、上蓋20が閉塞状態から開放状態へと移行する際にスライド部24が入り込む横穴部15が形成されており、上蓋20の開放状態において、横穴部15内でスライド部24のダンパー24aが容器本体10に当接するように構成されている。すなわち、スライド部24が容器本体10に衝突することによって、付勢部材50の付勢力による上蓋20のスライド移動が停止するように構成されており、当該衝突の際の衝撃を、ダンパー24aによって吸収できるようになっている。
なお、本実施形態では、撓むことで衝撃を吸収できるようにダンパー24aを左方へ凸となるよう内側から外側に向けて湾曲した弓状に形成したが、これに限ることはなく、ダンパー24aの形状は、上蓋20が開放状態となる際の衝撃を吸収できるのであれば、適宜任意に変更可能である。
【0033】
例えば、
図4、
図5に示すように、上蓋20には、上蓋20を閉める際等に指を掛けるための可動側指掛部25が設けられている。具体的には、上蓋20には、可動側指掛部25として、当該上蓋20の右端部(すなわち、上蓋20の閉塞状態となる方向側の端部)を上側に向けて起立させることによって形成された突起部が設けられている。また、上蓋20には、可動側指掛部25に掛けた指を載置するための指載置部26として、当該上蓋20の上面を下側に向けて窪ませることによって形成された凹部が設けられている。
また、ケース体(本実施形態の場合、シャーシ30)のうち係止手段(本実施形態の場合、爪受部34c)よりも右側(すなわち、上蓋20の閉塞状態となる方向側)には、上蓋20を閉める際等に指を掛けるための不動側指掛部35が設けられている。具体的には、シャーシ30には、不動側指掛部35として、シャーシ30の端部(本実施形態の場合、上壁部32の右端部)を上側に向けて起立させることにより形成された突起部が設けられている。
【0034】
すなわち、可動側指掛部25の左側(すなわち、不動側指掛部35とは反対側)に指を掛けて上蓋20を閉める際に、不動側指掛部35の右側(すなわち、可動側指掛部25とは反対側)に指を掛けて容器本体10に左方向の力(上蓋20に作用させる力とは逆方向の力)を作用させて容器本体10が滑らないように容器本体10を固定しておくことができるように構成されている。これにより、片手で上蓋20を閉めることができるようになっている。
また、本実施形態の場合、不動側指掛部35は、スイッチ部34に離間してケース体(本実施形態の場合、シャーシ30)に設けられている。これにより、不動側指掛部35に掛けた指でスイッチ部34を誤操作してしまうことを防止できるようになっている。
なお、本実施形態では、不動側指掛部35をシャーシ30に設けたが、これに限ることはなく、不動側指掛部35は、容器本体10に設けても良い。
【0035】
例えば、
図4、
図5に示すように、上蓋20の下面には、先端が左側(すなわち、上蓋20の開放状態となる方向側)を向くよう前後方向の側面視略逆L字状に突出する突片部27が設けられている。
また、例えば、
図6に示すように、容器本体10の凹部13の周縁のうち、上蓋20の閉塞状態において突片部27の先端側(ダンパー27a(後述)を含む)に対応する位置には、上蓋20が閉塞状態から開放状態へと移行する際に突片部27が入り込む横穴部16が形成されており、上蓋20が開放状態になると、上蓋20の突片部27の先端側が容器本体10の横穴部16に入り込んで、突片部27の上下方向の移動が規制されるように構成されている。これにより、上蓋20の開放状態において、上蓋20の左端側が上方向へと移動して上蓋20が起き上がってしまうことを防止できるようになっている。
【0036】
ここで、例えば、
図4、
図5に示すように、突片部27の先端部には、上蓋20が開放状態となる際の衝撃を吸収するダンパー27aが設けられており、上蓋20の開放状態において、横穴部16内で突片部27のダンパー27aが容器本体10に当接するように構成されている。すなわち、突片部27が容器本体10に衝突することによっても、付勢部材50の付勢力による上蓋20のスライド移動が停止するように構成されており、当該衝突の際の衝撃を、ダンパー27aによって吸収できるようになっている。
【0037】
なお、本実施形態では、撓むことで衝撃を吸収できるようにダンパー27aを左方へ凸となるよう上側から下側に向けて湾曲した弓状に形成したが、これに限ることはなく、ダンパー27aの形状は、上蓋20が開放状態となる際の衝撃を吸収できるのであれば、適宜任意に変更可能である。
また、本実施形態では、突片部27にダンパー27aを設けてスライド部24にダンパー24aを設けた、すなわち、突片部27とスライド部24との双方にダンパーを設けたが、これに限ることはなく、ダンパーによって上蓋20が開放状態となる際の衝撃を吸収すること(衝撃を緩めること)ができるのであれば、例えば、突片部27だけにダンパーを設けても良いし、スライド部24だけにダンパーを設けても良いし、突片部27及びスライド部24以外の部分にダンパーを設けても良い。また、ダンパーは、上蓋20側ではなく、ケース体(容器本体10やシャーシ30)側に設けても良いし、上蓋20側とケース体側との双方に設けても良い。突片部27にダンパーを設けない場合は、上蓋20の開放状態において、突片部27が横穴部16内で容器本体10に当接しないように構成することが好ましい。また、スライド部24にダンパーを設けない場合は、上蓋20の開放状態において、スライド部24が横穴部15内で容器本体10に当接しないように構成することが好ましい。
【0038】
なお、本実施形態では、スライド部24の左端側が入り込む横穴部15の上方が上面部10aによって塞がれるように構成したが、これに限ることはなく、横穴部15は上方に開口していてもよい。
また、突片部27は、上蓋20が起き上がってしまうことを防止するために設けられているが、本実施形態のように、スライド部24の左端側が入り込む横穴部15の上方が上面部10aによって塞がれている場合には、スライド部24によって、上蓋20が起き上がってしまうことを防止することができる。具体的には、この場合には、上蓋20が開放状態になると、上蓋20のスライド部24の左端側が容器本体10の横穴部15に入り込んで、スライド部24の上下方向の移動が規制され、上蓋20が起き上がってしまうことを防止することができるので、突片部27を設けなくてもよい。
【0039】
<家庭用薄葉紙収納容器の製造方法>
次に、本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器の製造方法の一例について、
図9を参照して説明する。
まず、シャーシ30に、付勢部材50と上蓋20とを組み付けてアセンブリ体Aを形成する。
次いで、アセンブリ体Aを容器本体10に取り付ける。具体的には、シャーシ30の下面に設けられた複数(本実施形態の場合、5個)の嵌合凸部36と、容器本体10の凹部13の底面部13aに嵌合凸部36に対応させて設けられた嵌合孔部17と、が嵌合するよう、アセンブリ体Aを、容器本体10の凹部13内に当該凹部13の上方から嵌め込むことによって、容器本体10に取り付ける。すなわち、付勢部材50と上蓋20とは、シャーシ30に組み付けられて一体に構成されたアセンブリ体Aの状態で、容器本体10に取り付けられている。これにより、上蓋20と付勢部材50とシャーシ30とを別々に容器本体10に取り付ける手間を省くことができるようになっている。
なお、本実施形態では、シャーシ30に設けられた嵌合凸部36と、容器本体10に設けられた嵌合孔部17と、を嵌合させることによって、アセンブリ体Aを容器本体10に固定するよう構成したが、これに限ることはなく、例えば、ねじ等によってアセンブリ体Aを容器本体10に固定しても良い。
【0040】
以上説明した本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器1によれば、上面に取出口11を有し、内側に家庭用薄葉紙Pを収納するケース体(容器本体10及びシャーシ30)と、ケース体に対してスライド移動することで取出口11を開閉させる蓋体としての上蓋20と、上蓋20を開放状態となる方向に付勢する付勢部材50を有し、当該上蓋20を開放状態となる方向にスライド移動させる可動機構(付勢部材50、固定側係合部33及び可動側係合部22)と、付勢部材50の付勢力に抗して上蓋20が閉塞状態となるように係止するとともに、当該係止を解除可能な係止手段(爪部23及び爪受部34c)と、を備えている。
すなわち、係止手段(爪部23及び爪受部34c)による係止を解除すると、付勢部材50の付勢力によって、取出口11を閉塞していた上蓋20がスライド移動して開放状態となり、取出口11が開放されることとなる。
したがって、係止手段(爪部23及び爪受部34c)による係止を解除するだけで付勢部材50の付勢力によって自動的に上蓋20が開くので、上蓋20の開放動作が行いやすく、利便性が高い。
【0041】
具体的には、本実施形態において、付勢部材50は、伸縮部材により構成され、可動機構は、ケース体(本実施形態の場合、シャーシ30)に設けられ付勢部材50の一端と係合する固定点としての固定側係合部33と、上蓋20に設けられ付勢部材50の他端と係合する可動点としての可動側係合部22と、を備えている。
なお、家庭用薄葉紙収納容器1に備える付勢部材50の個数(本数)は、2つ(2本)に限ることはなく、適宜任意に変更可能であり、1つ(1本)であっても良いし、3つ(3本)以上あってもよい。また、固定側係合部33や可動側係合部22の個数は、付勢部材50の個数に応じて、適宜任意に変更可能である。
また、本実施形態では、上蓋20が、ケース体の外側でスライド移動するように構成したが、これに限ることはなく、上蓋20が、ケース体の内側でスライド移動して、上蓋20の開放状態において上蓋20の大部分(例えば、可動側指掛部25を除く部分)がケース体内に収まるように構成することも可能である。
【0042】
また、以上説明した本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器1によれば、上蓋20は、当該上蓋20の状態にかかわらず、外部から視認不能に付勢部材50を遮蔽している。
したがって、家庭用薄葉紙収納容器1の美観が向上する。
また、付勢部材50が触られることを防止することができるので、付勢部材50に汚れが付きにくく、付勢部材50に指等が挟まる心配もなく、衛生的に安全に使用することができるとともに、付勢部材50が、取り外されてしまったり、取り外されて誤飲されてしまったりすることを防止することができる。
【0043】
また、以上説明した本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器1によれば、上蓋20が開放状態となる際の衝撃を吸収するダンパー24a,27aを備えている。
すなわち、上蓋20は付勢部材50の付勢力によって自動的に開くが、その際の衝撃がダンパー24a,27aによって吸収されるので、上蓋20が開放状態となる際の衝撃に伴う上蓋20やケース体(本実施形態の場合、主に容器本体10)の磨耗を抑制したり、上蓋20が開放状態となる際に生じる衝突音を軽減したりすることができる。
【0044】
また、以上説明した本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器1によれば、ケース体(本実施形態の場合、シャーシ30)には、上蓋20のスライド移動をガイドするためのレール部31aが設けられ、上蓋20には、レール部31aに対してスライド移動可能に係合するスライド部24が設けられている。
すなわち、上蓋20はスライド移動することによって取出口11を開閉させるが、そのスライド移動がレール部31aによってガイドされるので、上蓋20をスムーズかつ確実に開閉することができる。
【0045】
また、以上説明した本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器1によれば、上面に取出口11を有し、内側に家庭用薄葉紙Pを収納するケース体(容器本体10及びシャーシ30)と、ケース体に対してスライド移動することで取出口11を開閉させる蓋体としての上蓋20と、上蓋20が閉塞状態となるように係止するとともに、当該係止を解除可能な係止手段(爪部23及び爪受部34c)と、を備え、上蓋20には、可動側指掛部25が設けられ、ケース体(本実施形態の場合、シャーシ30)のうち係止手段(本実施形態の場合、爪受部34c)よりも上蓋20の閉塞状態となる方向側には、不動側指掛部35が設けられている。
すなわち、可動側指掛部25に指を掛けて上蓋20に閉塞状態となる方向(本実施形態の場合、右方向)の力を加えることができるだけでなく、上蓋20を閉める際に、閉塞状態となる方向の力が上蓋20だけでなくケース体(容器本体10及びシャーシ30)に加わってしまっても、不動側指掛部35に指を掛けてケース体に逆方向の力を作用させてケース体を固定しておくことができるので、ケース体が滑ってしまうことがない。
したがって、片手で上蓋20を閉めることができ、上蓋20の閉塞動作が行いやすい。
【0046】
特に、本実施形態の場合、上蓋20を開放状態となる方向に付勢する付勢部材50を備えているので、上蓋20を閉める際に、上蓋20の閉塞状態となる方向の力として、付勢部材50の付勢力に抗する力を上蓋20に加えることとなる。その際に、付勢部材50の付勢力によって、付勢部材50の付勢力に抗する力と同じ方向の力がケース体に加わるので、ケース体は上蓋20の閉塞状態となる方向側に滑りやすいが、不動側指掛部35を設けることで、ケース体が滑らないように、不動側指掛部35に指を掛けてケース体を固定しておくことができる。
なお、本実施形態では、家庭用薄葉紙収納容器1に上蓋20を開放状態となる方向に付勢する付勢部材50を設けたが、これに限ることはなく、家庭用薄葉紙収納容器1に付勢部材50を設けなくてもよい。家庭用薄葉紙収納容器1に付勢部材50を設けない場合には、可動側指掛部25と不動側指掛部35との双方に指を掛けて上蓋20を開閉することができる。したがって、片手で上蓋20を開閉することができ、上蓋20の開閉動作が行いやすい。
【0047】
また、以上説明した本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器1によれば、ケース体(本実施形態の場合、シャーシ30)は、係止手段(爪部23及び爪受部34c)による係止を解除する際に押圧されるスイッチ部34を備え、不動側指掛部35は、スイッチ部34に離間してケース体(本実施形態の場合、シャーシ30)に設けられた突起部である。
具体的には、本実施形態において、ケース体は、容器本体10と、当該容器本体10の上面に固定されるシャーシ30と、を備え、上蓋20は、シャーシ30に取り付けられ、不動側指掛部35は、シャーシ30の端部(本実施形態の場合、上壁部32の右端部)を上側に向けて起立させることにより形成された突起部である。
したがって、不動側指掛部35がスイッチ部34に離間して設けられているので、不動側指掛部35に掛けた指でスイッチ部34を誤操作してしまうことを防止することができ、上蓋20を片手で確実に閉めることができる。
なお、本実施形態では、スイッチ部34を回動可能に構成したが、これに限ることはなく、スイッチ部34を押圧することで係止手段(爪部23及び爪受部34c)による係止を解除できるのであれば、スイッチ部34の構成は適宜任意に変更可能であり、例えば、スイッチ部34は上下方向に揺動可能に構成しても良い。
また、スイッチ部34や不動側指掛部35を設ける箇所は、スイッチ部34や不動側指掛部35が容器本体10の平面(上面)視外形からはみ出さないのであれば、適宜任意に変更可能である。
【0048】
また、以上説明した本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器1によれば、上面に取出口11を有し、内側に家庭用薄葉紙Pを収納するケース体と、ケース体に対してスライド移動することで取出口11を開閉させる蓋体としての上蓋20と、上蓋20を開放状態となる方向に付勢する付勢部材50と、を備え、ケース体は、容器本体10と、当該容器本体10の上面に固定されるシャーシ30と、を備え、付勢部材50と上蓋20とは、シャーシ30に組み付けられて一体に構成されたアセンブリ体Aの状態で、容器本体10に取り付けられている。
具体的には、本実施形態において、容器本体10は、上面に凹部13を有し、取出口11は当該凹部13に設けられ、アセンブリ体Aは、凹部13内に当該凹部13の上方から嵌め込まれている。
また、以上説明した本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器1の製造方法によれば、シャーシ30に、付勢部材50と上蓋20とを組み付けてアセンブリ体Aを形成し、次いで、アセンブリ体Aを容器本体10に取り付けるようになっている。
したがって、上蓋20と付勢部材50とを別々に容器本体10に取り付ける必要がないので、組み立てやすい。
【0049】
<変形例1>
第1実施形態では、付勢部材50である引張コイルばねを2本備えるとともに、シャーシ30に固定側係合部33を2つ、上蓋20に可動側係合部22を1つ備えて、2本の付勢部材50のうち一方の一端が、2つの固定側係合部33のうちの一方に掛止されるとともに、2本の付勢部材50のうち他方の一端が、2つの固定側係合部33のうちの他方に掛止され、2本の付勢部材50の双方の他端が、1つの可動側係合部22に掛止されるように構成したが、これに限ることはない。
例えば、付勢部材50である引張コイルばねを2本備えるとともに、シャーシ30に固定側係合部33を2つ、上蓋20に可動側係合部22を2つ備えて、2本の付勢部材50のうち一方の一端が、2つの固定側係合部33のうちの一方に掛止されるとともに、2本の付勢部材50のうち他方の一端が、2つの固定側係合部33のうちの他方に掛止され、2本の付勢部材50のうち一方の他端が、2つの可動側係合部22のうちの一方に掛止されるとともに、2本の付勢部材50のうち他方の他端が、2つの可動側係合部22のうちの他方に掛止されるように構成することも可能である。
【0050】
また、例えば、
図10、
図11に示すように、付勢部材50である引張コイルばねを2本備えるとともに、シャーシ30に固定側係合部33を1つ、上蓋20に可動側係合部22を2つ備えて、2本の付勢部材50の双方の一端が、1つの固定側係合部33に掛止され、2本の付勢部材50のうち一方の他端が、2つの可動側係合部22のうちの一方に掛止されるとともに、2本の付勢部材50のうち他方の他端が、2つの可動側係合部22のうちの他方に掛止されるように構成することも可能である。
なお、家庭用薄葉紙収納容器1に備える付勢部材50の個数(本数)は、2つ(2本)に限ることはなく、適宜任意に変更可能であり、1つ(1本)であっても良いし、3つ(3本)以上あってもよい。また、固定側係合部33や可動側係合部22の個数は、付勢部材50の個数に応じて、適宜任意に変更可能である。
【0051】
<変形例2>
第1実施形態では、上蓋20を開放状態となる方向に付勢する付勢部材として、引張コイルばね(引きばね)を用いたが、これに限ることはなく、当該付勢部材は、伸縮部材であれば適宜任意に変更可能であり、例えば、トーションばねや圧縮コイルばね(押しばね)等であっても良い。
また、上蓋20を開放状態となる方向に付勢する付勢部材は、金属材料からなる伸縮部材であっても、高分子材料からなる伸縮部材であっても良い。高分子材料からなる伸縮部材としては、例えば、プラスチック製の伸縮部材、シリコンゴム等のゴムやオレフィン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーなどの弾性体(軟質性樹脂)製の伸縮部材等が挙げられ、また、その形状は、ばね状であっても、板状やチューブ状や紐状であっても良く、適宜任意に変更可能である。付勢部材が高分子材料からなる場合、金属製の付勢部材と違って錆びることがないので、長期に亘って安定的に使用することができる。家庭用薄葉紙収納容器1に収納する家庭用薄葉紙Pが、ウェットタイプの家庭用薄葉紙Pである場合は特に、金属製の付勢部材を用いると、家庭用薄葉紙Pから蒸発した薬液によって付勢部材が錆びる可能性が高くなるので、高分子材料からなる付勢部材を用いることが好ましい。
なお、可動側係合部22や固定側係合部33の位置は、上蓋20を開放状態となる方向に付勢する付勢部材の種類によって適宜任意に変更可能である。
【0052】
ここで、上蓋20を開放状態となる方向に付勢する付勢部材が、シリコンチューブ等の高分子材料からなるチューブ状の付勢部材150である場合、例えば、
図12、
図13に示すように、付勢部材150を1本備えるとともに、シャーシ30(或いは、容器本体10であっても良い。)に固定側係合部33を2つ、上蓋20に可動側係合部22を1つ備えて、付勢部材150の一端を2つの固定側係合部33のうちの一方(第1固定点)と係合させるとともに、付勢部材150の他端を2つの固定側係合部33のうちの他方(第2固定点)と係合させて、付勢部材150の一端と他端との間の部分(具体的には、付勢部材150の長手方向略中央の部分)を1つの可動側係合部22(可動点)と係合させるように構成しても良い。或いは、例えば、
図14、
図15に示すように、付勢部材150を1本備えるとともに、シャーシ30(或いは、容器本体10であっても良い。)に固定側係合部33を1つ、上蓋20に可動側係合部22を2つ備えて、付勢部材150の一端を2つの可動側係合部22のうちの一方(第1可動点)と係合させるとともに、付勢部材150の他端を2つの可動側係合部22のうちの他方(第2可動点)と係合させて、付勢部材150の一端と他端との間の部分(具体的には、付勢部材150の長手方向略中央の部分)を1つの固定側係合部33(固定点)と係合するように構成しても良い。
【0053】
付勢部材150の一端を2つの固定側係合部33のうちの一方と係合させて、付勢部材150の他端を2つの固定側係合部33のうちの他方と係合させる場合、例えば、
図12、
図13に示すように、付勢部材150の端部を折り返して輪状に形成し固定側係合部33に掛けて結束部151で止めても良いし、或いは、付勢部材150の端部に固定側係合部33と係合するための加工(例えば、固定側係合部33に引っ掛けることができる形状に加工)を予め施していても良いし、固定側係合部33に付勢部材150の端部と係合するための加工(例えば、付勢部材150の端部を挟むことができる形状に加工)しても良い。一方、付勢部材150の一端と他端との間の部分と可動側係合部22とは、付勢部材150の伸縮が制限されないよう、外れない程度に係合していれば良い。付勢部材150の一端を2つの可動側係合部22のうちの一方と係合させて、付勢部材150の他端を2つの可動側係合部22のうちの他方と係合させる場合も同様である。
付勢部材150の一端を2つの固定側係合部33のうちの一方と係合させて、付勢部材150の他端を2つの固定側係合部33のうちの他方と係合させる場合も、付勢部材150の一端を2つの可動側係合部22のうちの一方と係合させて、付勢部材150の他端を2つの可動側係合部22のうちの他方と係合させる場合も、付勢部材150を1本だけ用意すれば良いので、部品点数を少なくすることができる。なお、この場合、付勢部材150の形状は、チューブ状に限ることはなく、適宜任意に変更可能であり、ばね状であっても、板状や紐状であっても良い。また、付勢部材150は、高分子材料からなる伸縮部材に限ることはなく、金属材料からなる伸縮部材であっても良い。
【0054】
<変形例3>
上蓋20を開放状態となる方向に付勢する付勢部材は、伸縮部材により構成されるものに限ることはなく、例えば、可撓性部材により構成される付勢部材250であっても良い。
上蓋20を開放状態となる方向に付勢する付勢部材が可撓性部材により構成される付勢部材250である場合、家庭用薄葉紙収納容器1は、例えば、
図16から
図19に示すように、容器本体10と、容器本体10の上面にスライド移動自在に設けられ、取出口11を開閉させる蓋体としての上蓋220と、上蓋220を容器本体10に取り付けるためのシャーシ230と、底蓋40と、上蓋220を開放状態となる方向に付勢する付勢部材250と、等を備えて構成される。
【0055】
シャーシ230は、取出口11に対応する部分に開口部232aを有し、容器本体10の凹部13のうち当該部分(取出口11に対応する部分)以外を覆う上壁部232と、上壁部232の下面に回動自在に設けられた棒状の回動部238と、等を備えている。回動部238は、上下方向に沿って延設された軸部238bを回動軸として回動可能に構成されており、先端が可動部238aとなっている。
上蓋220は、シャーシ230の上壁部232の下方にスライド移動可能に配設され、スライド移動して当該上壁部232の開口部232aを開閉することによって、取出口11を開閉させるように構成されている。また、上蓋220には、可動部238aと当接する当接部220aとして、当該上蓋220の左端部(すなわち、上蓋220の開放状態となる方向側の端部)を上側に向けて起立させることによって形成された起立壁部が設けられている。
【0056】
付勢部材250は、シャーシ230の上壁部232と上蓋220との間に配設され、一端が、上壁部232の下面に設けられた固定部237に接続されるとともに、他端が、シャーシ230の回動部238の先端(可動部238a)に接続されている。
ここで、上蓋20を開放状態となる方向に付勢する付勢部材が可撓性部材により構成される付勢部材250である場合、付勢部材250と、ケース体(本変形例の場合、シャーシ230)に設けられ付勢部材250の一端と係合する固定部237(固定点)と、上蓋20に当接し付勢部材250の他端と係合する可動部238a(可動点)と、が可動機構として機能する。
なお、本変形例では、固定部237(固定点)をシャーシ230に設けたが、これに限ることはなく、固定部237(固定点)は、容器本体10に設けても良い。
【0057】
上蓋20が右側(すなわち、スイッチ部34側)へとスライド移動して開放状態から閉塞状態に移行すると、上蓋220の当接部220aに押されて、付勢部材250の他端に係合(接続)する可動部238aが、付勢部材250の一端に係合(接続)する固定部237に近づき、付勢部材250が撓むので、付勢部材250は左側(すなわち、スイッチ部34とは反対側)に付勢された状態になる。すなわち、付勢部材250は、上蓋220の閉塞状態において、当該上蓋220を開放状態となる方向に付勢している。そして、付勢部材250の付勢力に抗する力が解除されると、付勢部材250の付勢力によって付勢部材250の他端に係合する可動部238aが上蓋220を左側(すなわち、スイッチ部34とは反対側)に押すので、取出口11が開放される。
【0058】
<変形例4>
不動側指掛部は、シャーシ30の端部を上側に向けて起立させることにより形成された突起部に限ることはなく、スイッチ部34に離間してケース体に設けられた突起部であれば、例えば、
図20に示す不動側指掛部335のように、レール部31a,31aの右端部(すなわち、上蓋20の閉塞状態となる方向側の端部)同士を連結するとともに上壁部32を支持する支持部31bに設けられ、スイッチ部34の操作面34aよりも上方に突出する突起部であっても良い。
【0059】
さらに、不動側指掛部は、スイッチ部34に離間してケース体に設けられた突起部に限ることはなく、ケース体のうち係止手段よりも上蓋20の閉塞状態となる方向側に設けられた突起部であれば、例えば、
図21に示す不動側指掛部435のように、スイッチ部34の上面(操作面34a)に設けられた突起部であっても良い。
【0060】
また、不動側指掛部は、突起部に限ることはなく、ケース体のうち係止手段よりも上蓋20の閉塞状態となる方向側に設けられているのであれば、例えば、
図22に示す不動側指掛部535のように、容器本体10(或いは、シャーシ30であっても良い。)に設けられた凹部であっても良い。
なお、スイッチ部34に不動側指掛部を設ける場合も、不動側指掛部は凹部であっても良い。しかし、スイッチ部34に設ける不動側指掛部が凹部であると、当該不動側指掛部に掛けた指でスイッチ部34を誤操作してしまう虞がある。これに対し、前述したように、スイッチ部34に設ける不動側指掛部を突起部にすると(
図21参照)、当該不動側指掛部に掛けた指でスイッチ部34を誤操作してしまう虞を抑制することができるので、好適である。
【0061】
可動側指掛部は、突起部に限ることはなく、上蓋20に設けられているのであれば、例えば、凹部であっても良く、例えば、
図23に示すように、指載置部26を可動側指掛部として使用することも可能である。
また、上蓋20自体が湾曲して指がフィットする形状としても良い。この場合、上蓋20の上面が可動側指掛部になる。
【0062】
<変形例5>
例えば、
図24に示すように、シャーシ30の下面に、家庭用薄葉紙Pを積層してなる家庭用薄葉紙積層体(薄葉紙積層体Q)を上側から押える突出部37を備えるとともに、容器本体10の凹部13の底面部13aに突出部37を挿通可能な孔部(図示省略)を設けてもよい。
ここで、突出部37は、薄葉紙積層体Qの種類(例えば、収納空間部S内に収納する商品)に応じて、突出長さを変更可能となっている。具体的には、例えば、収納空間部S内に収納する薄葉紙積層体Q(商品)が、ウェブ高さの高い商品である場合には、短い突出部37が設けられたシャーシ30を使用し、ウェブ高さの低い商品である場合には、長い突出部37が設けられたシャーシ30を使用することが可能となっている。これにより、薄葉紙積層体Q(商品)の高さが高い場合には、収納空間部S内に薄葉紙積層体Qが収まるよう薄葉紙積層体Qを突出部37で押えつけることができ、薄葉紙積層体Q(商品)の高さが低い場合には、収納空間部S内で薄葉紙積層体Qが動かないよう薄葉紙積層体Qを突出部37で押えつけることができる。
【0063】
したがって、容器本体10を再設計しなくても、アセンブリ体Aを交換するだけで、様々なウェブ高さの薄葉紙積層体Q(商品)に対応することが可能となる。
また、付勢部材50と上蓋20とは、シャーシ30に組み付けられて一体に構成されたアセンブリ体Aの状態で、容器本体10に取り付けられているので、容器本体10を再設計しなくても、アセンブリ体Aを交換するだけで、上蓋20のデザインや寸法を変更することや、例えば
図26(後述)に示すようにシャーシ30に取出口11が設けられている場合には取出口11のデザインや寸法を変更することができる。また、容器本体10を再設計しなくても、アセンブリ体Aを交換するだけで、蓋側パッキン21の材質や形状を変更して収納空間部Sの気密性を調整することもできる。
なお、本変形例では、嵌合凸部36とは別に突出部37を設けたが、これに限ることはなく、嵌合凸部36を突出部の代用としても良い。
【0064】
<変形例6>
シャーシ30に付勢部材50と上蓋20とを組み付けて形成されたアセンブリ体Aは、例えば、
図25に示すように、容器本体10内に当該容器本体10の下面側(底面開口12側)から嵌め込まれるように構成することも可能である。
この場合、例えば、
図25、
図26に示すように、容器本体10に、容器本体10の内面と、当該容器本体10に装着されたアセンブリ体Aの外面と、の隙間を塞ぐためのリブRを設けると、収納空間部Sの気密性が向上するので、家庭用薄葉紙収納容器1に収納する家庭用薄葉紙Pが、ウェットタイプの家庭用薄葉紙Pである場合には、家庭用薄葉紙Pに含浸した薬液の蒸発を防止できる。また、容器本体10にリブRを設けると、リブRによって容器本体10に対するアセンブリ体Aの位置決めを行うことができるので、家庭用薄葉紙収納容器1の組み立て作業を効率良く行うことが可能となる。
【0065】
なお、本変形例では、例えば、
図25、
図26に示すように、容器本体10に設けられた嵌合凸部636と、シャーシ30に設けられた嵌合孔部(図示省略)と、を嵌合させることによって、アセンブリ体Aを容器本体10に固定するよう構成したが、これに限ることはなく、例えば、ねじ等によってアセンブリ体Aを容器本体10に固定しても良い。
【0066】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。また、前述の実施形態及び変形例の構成を組み合わせて適用しても良い。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。