(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
金属材料製のハウジング内に圧縮部及び電動モータが収容されるとともに、前記ハウジング、及び当該ハウジングに取り付けられるカバーによって区画された収容空間に前記電動モータを駆動させるためのモータ駆動回路が収容され、前記カバーは、樹脂部と、電磁ノイズをシールドする金属材料製のシールド部とから構成されており、前記カバーがボルトによって前記ハウジングに取り付けられている電動圧縮機であって、
前記カバーは前記ボルトが挿通可能な挿通孔を有し、
前記シールド部における前記挿通孔の周囲は、前記樹脂部を介することなく前記ボルトの軸力を受けて前記ボルトと前記ハウジングとの間に挟み込まれる座部になっており、
前記挿通孔は、前記シールド部に形成された第1挿通孔と、前記樹脂部に形成された第2挿通孔とを有し、
前記第2挿通孔の内径は前記第1挿通孔の内径よりも大きく、
該第2挿通孔の径方向内側には、前記ボルトが挿通されるとともに該ボルトの軸力を受けて該ボルトと前記座部とに挟み込まれる介在部材が設けられ、
前記介在部材における前記ハウジング側の端面が前記座部に接触しており、
前記ボルトの軸方向において、前記介在部材と前記ボルトの頭部との間に環状の第1シール部材が前記ボルトの軸部を取り囲んで挟持されていることを特徴とする電動圧縮機。
金属材料製のハウジング内に圧縮部及び電動モータが収容されるとともに、前記ハウジング、及び当該ハウジングに取り付けられるカバーによって区画された収容空間に前記電動モータを駆動させるためのモータ駆動回路が収容され、前記カバーは、樹脂部と、電磁ノイズをシールドする金属材料製のシールド部とから構成されており、前記カバーがボルトによって前記ハウジングに取り付けられている電動圧縮機であって、
前記カバーは前記ボルトが挿通可能な挿通孔を有し、
前記シールド部における前記挿通孔の周囲は、前記樹脂部を介することなく前記ボルトの軸力を受けて前記ボルトと前記ハウジングとの間に挟み込まれる座部になっており、
前記挿通孔は、前記シールド部に形成された第1挿通孔と、前記樹脂部に形成された第2挿通孔とを有し、
前記ボルトは、前記第1挿通孔の内側に配置される軸部と、該軸部よりも外径が大きく、且つ前記第2挿通孔の内側に配置される大径部と、前記大径部における前記軸部とは反対側に突設された頭部とから形成されており、
前記軸部と前記大径部との間には第1段差部が形成され、前記大径部と前記頭部との間には第2段差部が形成されており、
前記第1段差部が前記座部に接触していることを特徴とする電動圧縮機。
【背景技術】
【0002】
電動圧縮機は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮部と、圧縮部を駆動させる電動モータとを収容する金属材料製のハウジングを有するとともに、ハウジングには、電動モータを駆動させるためのモータ駆動回路を収容する収容空間を区画するカバーが取り付けられている。
【0003】
ところで、カバーを金属材料製とすると、電動圧縮機自体の重量が重くなる。そこで、カバーを樹脂化することでカバーを軽量化させ、電動圧縮機自体の重量が重くなることを極力抑えることが考えられている。しかし、カバーを樹脂化すると、外部からの電磁ノイズがカバーを介してモータ駆動回路に流れたり、モータ駆動回路からの電磁ノイズがカバーを介して外部に漏れてしまったりする虞がある。
【0004】
そこで、特許文献1のカバーは、アルミニウムや鉄系材料等の導電性材料からなる導電材層(シールド部)と、樹脂やゴム系材料等の絶縁性材料からなる絶縁材層(樹脂部)とが積層された構成となっている。カバーはボルトによってハウジングに取り付けられるとともに、導電材層はハウジングと接触している。そして、外部からの電磁ノイズは、導電材層により遮断されてハウジングへ流れるため、外部からの電磁ノイズが絶縁材層を介して収容空間内に侵入してしまうことが抑制される。また、モータ駆動回路からの電磁ノイズは、導電材層により遮断されてハウジングへ流れるため、モータ駆動回路からの電磁ノイズが絶縁材層を介して外部に漏れてしまうことが抑制される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のカバーは、導電材層及び絶縁材層がボルトとハウジングとの間で挟み込まれるようにしてハウジングに取り付けられているため、絶縁材層がボルトの軸力を受けて変形し易くなっている。絶縁材層が変形してしまうと、ボルトの緩みが生じてしまう虞があり、このボルトの緩みによってハウジングとカバーとの間のシール性が悪化してしまい、ハウジングとカバーとの間を介してごみや水が収容空間内に侵入してしまう虞があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、樹脂部の変形に伴うボルトの緩みにより、ハウジングとカバーとの間のシール性が悪化してしまうことを防止することができる電動圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1、3に記載の発明は、金属材料製のハウジング内に圧縮部及び電動モータが収容されるとともに、前記ハウジング、及び当該ハウジングに取り付けられるカバーによって区画された収容空間に前記電動モータを駆動させるためのモータ駆動回路が収容され、前記カバーは、樹脂部と、電磁ノイズをシールドする金属材料製のシールド部とから構成されており、前記カバーがボルトによって前記ハウジングに取り付けられている電動圧縮機であって、前記カバーは前記ボルトが挿通可能な挿通孔を有し、前記シールド部における前記挿通孔の周囲は、前記樹脂部を介することなく前記ボルトの軸力を受けて前記ボルトと前記ハウジングとの間に挟み込まれる座部になっていることを要旨とす
る。
【0009】
この発明によれば、ボルトの軸力が樹脂部を介することなく座部により受け止められており、座部がボルトとハウジングとの間に挟み込まれている。よって、ボルトによってカバーをハウジングに取り付ける際に、樹脂部がボルトとハウジングとの間に挟み込まれてしまうことが無く、樹脂部がボルトの軸力を受けて変形してしまうことを防止することができる。その結果、樹脂部の変形に伴うボルトの緩みにより、ハウジングとカバーとの間のシール性が悪化してしまうことを防止することができる。
【0010】
とくに、請求項
1に記載の発明は
、前記挿通孔は、前記シールド部に形成された第1挿通孔と、前記樹脂部に形成された第2挿通孔とを有し、前記第2挿通孔の内径は前記第1挿通孔の内径よりも大きく、該第2挿通孔の径方向内側には、前記ボルトが挿通されるとともに該ボルトの軸力を受けて該ボルトと前記座部とに挟み込まれる介在部材が設けられ、前記介在部材における前記ハウジング側の端面が前記座部に接触し
ており、前記ボルトの軸方向において、前記介在部材と前記ボルトの頭部との間に環状の第1シール部材が前記ボルトの軸部を取り囲んで挟持されていることを要旨とする。
【0011】
この発明によれば、ボルトの軸力が介在部材を介して座部により受け止められるため、樹脂部がボルトの軸力を受けてしまうことを防止することができる。
また、介在部材とボルトの頭部との間のシール性を確保することができる。
請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載の発明において、前記介在部材は前記樹脂部に一体固定されていることを要旨とする。
【0012】
この発明によれば、介在部材と樹脂部との間のシール性を確保することができる
。
【0013】
とくに、請求項
3に記載の発明は
、前記挿通孔は、前記シールド部に形成された第1挿通孔と、前記樹脂部に形成された第2挿通孔とを有し、前記ボルトは、前記第1挿通孔の内側に配置される軸部と、該軸部よりも外径が大きく、且つ前記第2挿通孔の内側に配置される大径部と、前記大径部における前記軸部とは反対側に突設された頭部とから形成されており、前記軸部と前記大径部との間には第1段差部が形成され、前記大径部と前記頭部との間には第2段差部が形成されており、前記第1段差部が前記座部に接触していることを要旨とする。
【0014】
この発明によれば、ボルトの軸力が第1段差部を介して座部により受け止められる。よって、樹脂部がボルトの軸力を受けてしまうことを防止するために、第2挿通孔の径方向内側に、ボルトが挿通されるとともにボルトの軸力を受けてボルトと座部とに挟み込まれる介在部材を別途設ける必要が無く、部品点数を削減することができる。
【0015】
請求項
4に記載の発明は、請求項
3に記載の発明において、前記第2挿通孔と前記大径部との間に環状の第2シール部材が前記大径部を取り囲んで配設されていることを要旨とする。
【0016】
この発明によれば、大径部と樹脂部との間のシール性を確保することができる。
請求項
5に記載の発明は、請求項
4に記載の発明において、前記第2シール部材は、前
記第2段差部により前記ハウジング側へ押し付けられて弾性変形していることを要旨とする。
【0017】
この発明によれば、第2シール部材が弾性変形することで、大径部と樹脂部との間のシール性をさらに高めることができる。
請求項
6に記載の発明は、請求項
5に記載の発明において、前記第2シール部材は、前記ボルトの軸方向において、前記第2段差部と前記シールド部との間で挟み込まれていることを要旨とする。
【0018】
この発明によれば、例えば、第2段差部と樹脂部との間で第2シール部材を挟み込む場合に、樹脂部が第2シール部材を介してボルトの軸力を受けてしまい、樹脂部が変形してしまうといった問題を回避することができる。
【0019】
請求項
7に記載の発明は、請求項
5に記載の発明において、前記第2シール部材は、前記ボルトの軸方向において、前記第2段差部と前記樹脂部との間で挟み込まれていることを要旨とする。
【0020】
この発明によれば、第2挿通孔の内側で第2シール部材を弾性変形させ易く、大径部と樹脂部との間のシール性をさらに高めることができ
る。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、樹脂部の変形に伴うボルトの緩みにより、ハウジングとカバーとの間のシール性が悪化してしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を
図1にしたがって説明する。
図1(a)に示すように、電動圧縮機10のハウジングHは、有蓋筒状をなすアルミニウム製(金属材料製)の吐出ハウジング11に、有底筒状をなすアルミニウム製(金属材料製)の吸入ハウジング12を接合して形成されている。吸入ハウジング12の周壁には、図示しない吸入ポートが形成されるとともに、吸入ポートは図示しない外部冷媒回路に接続されている。吐出ハウジング11には吐出ポート14が形成されるとともに、吐出ポート14は外部冷媒回路に接続されている。吸入ハウジング12内には、冷媒を圧縮するための圧縮部15(
図1(a)において破線で示す)と、圧縮部15を駆動するための電動モータ16とが収容されている。なお、本実施形態では、特に図示は省略するが、圧縮部15は、吸入ハウジング12内に固定された固定スクロールと、固定スクロールに対向配置された可動スクロールとで構成されている。
【0024】
吸入ハウジング12の内周面にはステータ17(固定子)が固定されるとともに、ステータ17は、吸入ハウジング12の内周面に固定されたステータコア17aのティース(図示せず)にコイル17bが巻回されて構成されている。また、吸入ハウジング12内には、回転軸19がステータ17内に挿通された状態で回転可能に支持されるとともに、この回転軸19には、ロータ18(回転子)が止着されている。
【0025】
吸入ハウジング12の底壁12aには、底壁12aの外周縁全周から回転軸19の軸線Lの延びる方向(軸方向)に沿って外方へ延びる環状の鍔部12fが形成されている。鍔部12fの開口端側には、有蓋筒状をなすカバー41が取り付けられている。そして、底壁12a、鍔部12f及びカバー41によって収容空間41aが区画されている。収容空間41a内には、電動モータ16を駆動させるためのモータ駆動回路40が収容されている。モータ駆動回路40と電動モータ16とは図示しない配線により接続されている。モータ駆動回路40は、収容空間41aにおける底壁12aに取り付けられている。よって、本実施形態では、回転軸19の軸方向に沿って、圧縮部15、電動モータ16及びモータ駆動回路40がこの順序で並設されている。
【0026】
カバー41は、有蓋筒状をなす樹脂部42と、薄板状をなすアルミニウム製(金属材料製)のシールド部43とからなる。カバー41は、シールド部43を芯金として樹脂材料により型成形されてなる。シールド部43は樹脂部42の内側に配置されている。
【0027】
樹脂部42は、回転軸19の軸方向に沿って延びる環状の外周部形成筒部42aと、外周部形成筒部42aに連なるとともに外周部形成筒部42aの延設方向に対して直交する方向に沿って延びる蓋形成部42bとを有する。
【0028】
シールド部43は、回転軸19の軸方向に沿って延びる環状の筒部43aと、筒部43aに連なるとともに筒部43aの延設方向に対して直交する方向に沿って延びる蓋部43bとを有する。筒部43aは、樹脂部42の外周部形成筒部42aの内周面に沿って延びている。蓋部43bは、樹脂部42の蓋形成部42bの内底面に沿って延びている。
【0029】
図1(b)に示すように、樹脂部42の外周部には、回転軸19の径方向外側に突出する鍔状の取付部形成部42fが形成されている。また、シールド部43の外周部には、樹脂部42の取付部形成部42fにおける吸入ハウジング12側の端面に沿って延びる取付部43fが形成されている。よって、取付部形成部42fは取付部43fの外側に配置され、取付部43fの外側を覆っている。取付部43fにおける吸入ハウジング12側の面は、吸入ハウジング12の鍔部12fに接触している。シールド部43は、樹脂部42の内側全体に亘って配置されており、樹脂部42を介した電磁ノイズを遮断(シールド)している。
【0030】
カバー41は、カバー41を吸入ハウジング12に取り付けるためのボルト50が挿通可能な挿通孔41hを有する。挿通孔41hは、取付部43fに形成された第1挿通孔43hと、取付部形成部42fに形成された第2挿通孔42hとを有する。第2挿通孔42hの内径は第1挿通孔43hの内径よりも大きくなっている。第1挿通孔43h及び第2挿通孔42hは重なり合う位置に配置されている。ボルト50は、雄ねじが形成された軸部50aと、軸部50aの一端部に突設された頭部50bとから形成されている。また、第2挿通孔42hの径方向内側には、ボルト50が挿通されるとともにボルト50と取付部43fとに挟み込まれる介在部材としての筒部材51が設けられている。筒部材51はアルミニウム製(金属材料製)である。
【0031】
筒部材51は、筒部材51の外周面と取付部形成部42fとの間に接着剤が塗布されることにより取付部形成部42fに一体固定されている。これにより、筒部材51の外周面と取付部形成部42fとの間がシールされている。筒部材51における頭部50b側の端面は、取付部形成部42fの外面よりも外側に突出している。
【0032】
ボルト50の軸部50aの軸方向において、筒部材51とボルト50の頭部50bとの間には、円環状の第1シール部材52がボルト50の軸部50aを取り囲んで挟持されている。第1シール部材52はアルミニウム製(金属材料製)である。この第1シール部材52により、筒部材51とボルト50の頭部50bとの間がシールされている。
【0033】
筒部材51における吸入ハウジング12側の端面は、取付部43fにおける第1挿通孔43hの周囲に接触している。すなわち、第1挿通孔43hの内縁は、第2挿通孔42hの内縁よりも内側に位置している。そして、取付部43fにおける第1挿通孔43hの周囲は、樹脂部42を介することなく筒部材51を介してボルト50の軸力を受けてボルト50の頭部50bと吸入ハウジング12の鍔部12fとの間に挟み込まれる座部43eになっている。また、吸入ハウジング12の鍔部12fには、ボルト50の軸部50aが螺合可能な雌ねじ孔12hが形成されている。
【0034】
次に、第1の実施形態の作用について説明する。
ボルト50の軸力が樹脂部42を介することなく筒部材51を介して座部43eにより受け止められており、座部43e及び筒部材51がボルト50の頭部50bと吸入ハウジング12の鍔部12fとの間に挟み込まれている。よって、ボルト50によってカバー41を吸入ハウジング12に取り付ける際に、樹脂部42がボルト50と吸入ハウジング12との間に挟み込まれてしまうことが無く、樹脂部42がボルト50の軸力を受けて変形してしまうことが防止されている。その結果、樹脂部42の変形に伴うボルト50の緩みにより、吸入ハウジング12とカバー41との間のシール性が悪化してしまうことが防止されている。
【0035】
第1の実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)取付部43fにおける第1挿通孔43hの周囲を、樹脂部42を介することなく筒部材51を介してボルト50の軸力を受けてボルト50と吸入ハウジング12との間に挟み込まれる座部43eとした。これによれば、ボルト50の軸力が樹脂部42を介することなく筒部材51を介して座部43eにより受け止められており、座部43e及び筒部材51がボルト50と吸入ハウジング12との間に挟み込まれている。よって、ボルト50によってカバー41を吸入ハウジング12に取り付ける際に、樹脂部42がボルト50と吸入ハウジング12との間に挟み込まれてしまうことが無く、樹脂部42がボルト50の軸力を受けて変形してしまうことを防止することができる。その結果、樹脂部42の変形に伴うボルト50の緩みにより、吸入ハウジング12とカバー41との間のシール性が悪化してしまうことを防止することができる。
【0036】
(2)第2挿通孔42hの径方向内側に、ボルト50が挿通されるとともにボルト50の軸力を受けてボルト50と座部43eとに挟み込まれる筒部材51を配置し、筒部材51における吸入ハウジング12側の端面を座部43eに接触させた。これによれば、ボルト50の軸力が筒部材51を介して座部43eにより受け止められるため、取付部形成部42fがボルト50の軸力を受けてしまうことを防止することができる。
【0037】
(3)筒部材51を樹脂部42の取付部形成部42fに一体固定した。これによれば、筒部材51と樹脂部42の取付部形成部42fとの間のシール性を確保することができる。
【0038】
(4)ボルト50の軸部50aの軸方向において、筒部材51とボルト50の頭部50bとの間に第1シール部材52を配設した。これによれば、筒部材51とボルト50の頭部50bとの間のシール性を確保することができる。
【0039】
(5)シールド部43は、樹脂部42の内側全体に亘って配置されている。すなわち、シールド部43は樹脂部42よりも外側に配置されていない。よって、シールド部43における耐腐食性を向上させることができる。
【0040】
(6)筒部材51における頭部50b側の端面は、樹脂部42の取付部形成部42fの外面よりも外側に突出している。よって、ボルト50の頭部50bが取付部形成部42fの外面に接触してしまうことを、筒部材51により規制することができる。その結果、ボルト50の頭部50bが取付部形成部42fの外面に接触して、ボルト50の軸力により樹脂部42が変形してしまうことを防止することができる。
【0041】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を
図2にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0042】
図2に示すように、ボルト60は、雄ねじが形成されるとともに第1挿通孔43hの内側に配置される軸部60aと、軸部60aよりも外径が大きく、且つ第2挿通孔42hの内側に配置される大径部60cと、大径部60cにおける軸部60aとは反対側に突設された頭部60bとから形成されている。軸部60aと大径部60cとの間には第1段差部60dが形成されるとともに、大径部60cと頭部60bとの間には第2段差部60eが形成されている。第1段差部60dは、座部43eに接触している。また、第2段差部60eは、第2挿通孔42hの内縁よりも内側に位置している。
【0043】
第2挿通孔42hの内側において、大径部60cと取付部形成部42fとの間には円環状の第2シール部材62が大径部60cを取り囲んで配設されている。第2シール部材62はゴム製である。第2シール部材62と第2段差部60eとは接触している。この第2シール部材62により、大径部60cと取付部形成部42fとの間がシールされている。また、第2シール部材62は、カバー41の吸入ハウジング12への取付に伴い、ボルト60が螺進することで、第2段差部60eにより吸入ハウジング12側へ押し付けられて弾性変形している。そして、第2シール部材62は、ボルト60の軸部60aの軸方向において、第2段差部60eと取付部43fとの間で挟み込まれている。これにより、大径部60cと取付部形成部42fとの間のシール性がさらに高められている。
【0044】
次に、第2の実施形態の作用について説明する。
ボルト60の軸力が樹脂部42を介することなく第1段差部60dを介して座部43eにより受け止められており、座部43e及び大径部60cがボルト60の頭部60bと吸入ハウジング12の鍔部12fとの間に挟み込まれている。よって、ボルト60によってカバー41を吸入ハウジング12に取り付ける際に、樹脂部42がボルト60と吸入ハウジング12との間に挟み込まれてしまうことが無く、樹脂部42がボルト60の軸力を受けて変形してしまうことが防止されている。その結果、樹脂部42の変形に伴うボルト60の緩みにより、吸入ハウジング12とカバー41との間のシール性が悪化してしまうことが防止されている。
【0045】
したがって、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)、(5)と同様の効果に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(7)ボルト60を、第1挿通孔43hの内側に配置される軸部60aと、軸部60aよりも外径が大きく、且つ第2挿通孔42hの内側に配置される大径部60cと、大径部60cにおける軸部60aとは反対側に突設された頭部60bとから形成した。そして、軸部60aと大径部60cとの間に第1段差部60dを形成するとともに、大径部60cと頭部60bとの間に第2段差部60eを形成し、第1段差部60dを、座部43eに接触させた。これによれば、ボルト50の軸力が第1段差部60dを介して座部43eにより受け止められる。よって、取付部形成部42fがボルト50の軸力を受けてしまうことを防止するために、第2挿通孔42hの径方向内側に、ボルト50が挿通されるとともにボルト50の軸力を受けてボルト50と座部43eとに挟み込まれる介在部材を別途設ける必要が無く、部品点数を削減することができる。
【0046】
(8)大径部60cと取付部形成部42fとの間に第2シール部材62が大径部60cを取り囲んで配設されている。これによれば、大径部60cと取付部形成部42fとの間のシール性を確保することができる。
【0047】
(9)第2シール部材62は、第2段差部60eにより吸入ハウジング12側へ押し付けられて弾性変形している。これによれば、第2シール部材62が弾性変形することで、大径部60cと取付部形成部42fとの間のシール性をさらに高めることができる。
【0048】
(10)第2シール部材62は、ボルト60の軸部60aの軸方向において、第2段差部60eと取付部43fとの間で挟み込まれている。これによれば、例えば、第2段差部60eと樹脂部42との間で第2シール部材62を挟み込む場合に、樹脂部42が第2シール部材62を介してボルト60の軸力を受けてしまい、樹脂部42が変形してしまうといった問題を回避することができる。
【0049】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○
図3に示すように、第2挿通孔42hが、大孔部421hと、大孔部421hよりも孔が小さく、且つ大孔部421hよりも取付部43f側に位置する小孔部422hにより形成されていてもよい。大孔部421hと小孔部422hとの間には段差部423hが形成されている。そして、大孔部421hの内側において、大径部60cと取付部形成部42fとの間に第2シール部材62を配設するとともに、第2シール部材62が、ボルト60の軸部60aの軸方向において、第2段差部60eと段差部423hとの間で挟み込まれていてもよい。これによれば、第2挿通孔42hの内側で第2シール部材62を変形させ易く、大径部60cと取付部形成部42fとの間のシール性をさらに高めることができる。
【0050】
○
図4に示すように、筒部材51の外周面に環状のシール部材51sを配設して、このシール部材51sにより、筒部材51の外周面と取付部形成部42fとの間をシールしてもよい。
【0051】
○
図5に示すように、樹脂部42に取付部形成部42fが形成されていなくてもよい。そして、第1挿通孔43hにボルト50を挿通するとともに軸部50aを雌ねじ孔12hにねじ込むことで、カバー41を吸入ハウジング12に取り付けてもよい。これによれば、ボルト50の軸力が樹脂部42を介することなく座部43eにより受け止められており、座部43eがボルト50の頭部50bと吸入ハウジング12の鍔部12fとの間に挟み込まれている。よって、ボルト50によってカバー41を吸入ハウジング12に取り付ける際に、樹脂部42がボルト50と吸入ハウジング12との間に挟み込まれてしまうことが無く、樹脂部42がボルト50の軸力を受けて変形してしまうことを防止することができる。なお、この場合、頭部50bと取付部43fとの間にシール部材70を配設するのが好ましい。
【0052】
○ 上記各実施形態において、カバー41において、シールド部43の内側に樹脂部がさらに設けられていてもよい。
○ 第1の実施形態において、筒部材51における頭部50b側の端面が、取付部形成部42fの外面と同一面上に位置していてもよい。また、筒部材51における頭部50b側の端面が、取付部形成部42fの外面よりも吸入ハウジング12側に位置していてもよい。この場合、ボルト50の頭部50bが、取付部形成部42fの外面に接触しておらず、例えば、第2挿通孔42hの内側に位置している必要がある。
【0053】
○ 上記各実施形態において、シールド部43は、例えば、鉄や銅等の導電性材料であってもよい。
○ 上記各実施形態において、圧縮部15、電動モータ16及びモータ駆動回路40がこの順序で回転軸19の軸方向に沿って並んで配置されていなくてもよい。例えば、カバー41が吸入ハウジング12の周壁に固設されており、吸入ハウジング12の周壁とカバー41とによって区画される収容空間にモータ駆動回路40が収容されていてもよい。
【0054】
○ 上記各実施形態において、圧縮部15は、例えば、ピストンタイプやベーンタイプ等であってもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0055】
(イ)前記シールド部は、前記樹脂部の内側に配置されていることを特徴とす
る電動圧縮機。
(ロ)前記電動モータを構成するロータと一体的に回転する回転軸が前記ハウジング内に収容されており、前記圧縮部、前記電動モータ及び前記モータ駆動回路がこの順序で前記回転軸の軸方向に沿って並んで配置されていることを特徴とす
る電動圧縮機。