特許第6098921号(P6098921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6098921
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】タッチパネル用ペン先
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20170313BHJP
【FI】
   G06F3/03 400F
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-256083(P2012-256083)
(22)【出願日】2012年11月22日
(65)【公開番号】特開2014-102788(P2014-102788A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年7月28日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000103600
【氏名又は名称】オーベクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069903
【弁理士】
【氏名又は名称】幸田 全弘
(72)【発明者】
【氏名】笹間 克巳
(72)【発明者】
【氏名】吉種 章
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓之
【審査官】 岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−193588(JP,A)
【文献】 特開2012−108896(JP,A)
【文献】 特開2012−168729(JP,A)
【文献】 特開平08−016300(JP,A)
【文献】 特開昭63−158300(JP,A)
【文献】 特開2012−053681(JP,A)
【文献】 特開2012−168934(JP,A)
【文献】 特表2015−525393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 1/00− 8/03
G06F 3/03
G06F 3/041− 3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部から外方向に向かって放射状に延びるリブを有し、かつエラストマからなる芯部材の外周部を、樹脂素材からなる外皮で被覆して軸部材を構成し、
前記軸部材の先端部の外皮を、先端側に向かって順次肉薄となるよう研削・除去して肉薄部を形成し、
前記肉薄部の先端を先端方向に縮径させて形成した段部の端面から、前記芯部材の先端部を顕出させてタッチ部としたこと
を特徴とするタッチパネル用ペン先。
【請求項2】
前記軸部材は、
前記外皮を除去に際し、その先端部を放物線状に研削加工することによって、前記外皮を先端部に向かって順次肉薄としながら芯部材を顕出させること
を特徴とする請求項1に記載のタッチパネル用ペン先。
【請求項3】
前記軸部材は、
研削加工よって、前記芯部材の先端部を砲弾状、筆状、チーゼル状、クサビ状としてタッチ部としたこと
を特徴とする請求項1又は2に記載のタッチパネル用ペン先。
【請求項4】
前記段部は、
その幅が0.1〜0.5mmであるか、
または
その先端方向への傾斜角が、前記段部の上縁側と前記タッチ部の下縁が交わる交点から前記軸部材の外面と並行する基準線に対して15°〜60°であること
を特徴とする請求項1に記載のタッチパネル用ペン先。
【請求項5】
前記芯部材は、
表面硬さ(JIS K7215;タイプD)が、40〜63であること
を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先。
【請求項6】
前記外皮は、
押出成形で成形された、変形しにくい熱可塑性樹脂からなること
を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先。
【請求項7】
軸部材および/または外皮は、
導電性素材が配合されていること
を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶ディスプレイに表示された部位にタッチさせながら、必要な情報を入力するためのタッチパネル用ペン先に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外部から受けた画像などの情報を液晶ディスプレイに表示する表示装置と、画面に表示された部位にタッチすることで機器を操作する入力装置からなるタッチパネルは、液晶ディスプレイに表示された部位、例えば、絵文字や図表など点や領域に、スタイラスペン又はペンタブレットと称される入力手段で、感圧式は圧力を加えることによって、静電式はタッチパネル表面の電荷を移動させることによって、情報信号を外部に出力させている。
【0003】
かかる入力手の最も簡易なものとして、特開平07−261925号公報(特許文献1)では、指先に装着し、ペン入力とキーボード入力を同時に行い易くするためのスタイラスペンとして、指先にホールドするためのホールド部とデジタイザに座標入力するためのポイント部からなるものが提案されている。
【0004】
さらに、特開2004−017519号公報(特許文献2)においては、簡単な操作によって、筆記機能を持たない入力ペンとしても利用できるものとして、入力ペンの先端部に形成されたペン軸先端部と、ペン軸先端部に移動可能に組み付けられた筆記機能を有する芯体からなる入力ペンが提案されている。
【0005】
さらにまた、実開平05−023240号公報(特許文献3)においては、芯の径方向のガタを防止し、筆圧感度が良好なスタイラスペンが提案されている。
このスタイラスペンは、外筒の先端部に形成した案内孔と、この案内孔に遊挿され、前記案内孔により先端部が保持された芯を有するスタイラスペンの、前記案内孔の内周面と前記芯の外周面との接触部の構造において、前記案内孔の内周面もしくはこの内周面に対向する前記芯の外周面の少なくとも一方に、周方向に沿って前記芯の径方向に突出した接触手段を形成したものである。
【0006】
さらにまた、特開2012−168729号公報(特許文献4)においては、導電性を有するペン先で、擦れによる汚れが付き難いペン先が提案されている。
このペン先は、同文献の段落0031に開示されているように、筆記具の形状を模した電子ペン本体と、このペン本体の先端部に装着するペン先とで構成されている。
【0007】
前記電子ペン本体は、導電性樹脂、金属などの導電性を有する材料で形成された中空円筒形状を有するケースと、前記ケースと電気的に導通関係にあるタッチ部を装着する先端部とを有している。
さらに、前記先端部は、先細り形状を有し、この先細り形状の端部にはペン先装着孔が形成され、前記ペン先装着孔には、ペン先の嵌合孔に挿入される嵌合突起が設けられたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平07−261925号公報(請求項1,図1
【特許文献2】特開2004−017519号公報(請求項1,図1,段落0021)
【特許文献3】実開平05−023240号公報(請求項1,図1,段落0011)
【特許文献4】特開2012−168729号公報(図1,段落0031)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献1〜4に記載の入力手段は、いずれもペン本体は、円柱状もしくは中空円筒状の形態を有し、合成樹脂材料を素材とするものである。
したがって、ペンの使用感は、タッチ部の構成やタッチ部を支える保持機構などを改良することによって、良好となるよう創意工夫されている。
【0010】
しかしながら、かかるペン先の構成やペン先を支える保持機構は、その構成が必ずしも簡単なものではなく、組み立て作業を自動化させることができないなど、解決すべき多くの課題を有するものである。
【0011】
なお、特許文献4のペン先は、ペン先に用いられる導電性エラストマの導電性を付与する成分として、ナノカーボン(特に、カーボンナノチューブ)を選択することにより、十分な導電性を有していても、ペン先の擦れによる黒移りが著しく低減できるという効果を奏する、としている。
【0012】
この発明はかかる現状に鑑み、使用に際しては、適度な摺動性や筆記抵抗(引っ掛かり感)があって、使用感が良好なタッチパネル用ペン先を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、この発明のタッチパネル用ペン先は、
中心部から外方向に向かって放射状に延びるリブを有し、かつエラストマからなる芯部材の外周部を、樹脂素材からなる外皮で被覆して軸部材を構成し、
前記軸部材の先端部の外皮を、先端側に向かって順次肉薄となるよう研削・除去して肉薄部を形成し、
前記肉薄部の先端を先端方向に縮径させて形成した段部の端面から、前記芯部材の先端部を顕出させてタッチ部としたこと
を特徴とするものである。
【0014】
この発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のタッチパネル用ペン先において、
前記軸部材は、
前記外皮を除去に際し、その先端部を放物線状に研削加工することによって、前記外皮を先端部に向かって順次肉薄としながら芯部材を顕出させること
を特徴とするものである。
【0015】
この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項2に記載のタッチパネル用ペン先において、
前記軸部材は、
研削加工よって、前記芯部材の先端部を砲弾状、筆状、チーゼル状、クサビ状としてタッチ部としたこと
を特徴とするものである。
【0016】
この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項に記載のタッチパネル用ペン先において、
前記段部は、
その幅が0.1〜0.5mmであるか、
または
その先端方向への傾斜角が、前記段部の上縁側と前記タッチ部の下縁が交わる交点から前記軸部材の外面と並行する基準線に対して15°〜60°であること
を特徴とするものである。
【0017】
この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項1〜4のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先において、
前記芯部材は、
表面硬さ(JIS K7215;タイプD)が、40〜63であること
を特徴とするものである。
【0018】
この発明の請求項6に記載の発明は、
請求項1〜5のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先において、
前記外皮は、
押出成形で成形された、変形しにくい熱可塑性樹脂からなること
を特徴とするものである。
【0019】
この発明の請求項7に記載の発明は、
請求項1〜6に記載のタッチパネル用ペン先において、
軸部材および/または外皮は、
導電性素材が配合されていること
を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
この発明にかかるタッチパネル用ペン先は、中心部から外方向に向かって放射状に延びるリブを有するエラストマからなる芯部材を、樹脂製の外皮で被覆して得られた、軸部材の先端部の外皮を除去して芯部材を顕出させ、顕出させた芯部材の先端部をタッチ部としているので、適度な摺動性と筆記抵抗(引っ掛かり感)を有し、書き味、タッチパネルに対する操作性に優れたものである。
【0021】
この発明においては、前記芯部材をエラストマで成形するに際し、その形状を、中心部から外方向に向かって放射状に延びるリブを有する形状とすることで、芯部材自体に柔軟性を付与するとともに、その素材をエラスマとしているので、エラストマと芯部材の形状が相互に作用し合って、タッチの際の押圧力を容易に調整することができ、その調整によって、必要に応じて接地面積を変えることができる。
この接地面積の変更によって、例えば、線の太さを容易にコントロールすることができる。
【0022】
さらに、この発明のタッチパネル用ペン先は、タッチ部がタッチパネル面と密着させることができるので、タッチ部がタッチパネル面から浮き上がることがなく、手書き入力であっても、文字や図形などを正確に入力させることができる。
さらに、タッチ部とタッチパネル面との接地面積が可変であるため、摺動性に優れ、弾性感とのバランスも良好で、コシ、ねばり感がよく、適度な筆圧で入力が可能となる。
【0023】
さらに、前記タッチ部を、軸部材の先端部に、先端側に縮径する段部を介して形成することによって、剥き出し部分が真っ直ぐになり、また、外皮の強度が向上するので、筆圧が作用しても外皮が割れ難くいなどの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明にかかるタッチパネル用ペン先を使用したタッチパネル用ペンの一例を示す一部切欠き正面図である。
図2】この発明にかかるタッチパネル用ペン先の一例を示す概略説明図であって、(A)は軸部材の先端部分の正面図、(B)はその平面図である。
図3】この発明にかかるタッチパネル用ペン先の他の例を示す概略説明図であって、(A)は軸部材の先端部分の正面図、(B)はその平面図である。
図4図2における軸部材の要部の拡大図である。
図5】この発明のタッチパネル用ペン先を構成する芯部材の一例を示す説明図である。
図6】この発明のタッチパネル用ペン先の他の例を示す説明図で、(A)は筆タイプを、(B)はチーゼルタイプを、(C)はクサビタイプを示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明にかかるタッチパネル用ペン先の実施の一例を、添付の図面に基づいて具体的に説明する。
なお、この発明の要旨を変更しない範囲内で種々改良を加えることができるものであって、実施例にのみ限定されるものではない。
【0026】
この発明のタッチパネル用ペン先1(以下、ペン先1という。)は、図1に示されるように、ペンホルダ7内に保持される軸部材2と、タッチパネルの画面と当接するタッチ部3とから構成されるものである。
【0027】
かかるペン先1において、前記軸部材2は、芯部材4と、この芯部材4を内包する外皮5から構成されている。
【0028】
前記芯部材4は、図5に示すように、横断面が、中心部から外方向に向かって放射状に延びる複数のリブLで構成され、各リブL間に空隙Gを有するものである。
なお、この実施例では、各リブLの先端は2つに分岐されているが、各リブLの中心部が互いに一体化されているとともに、先端側が互いに被膜Fで相互に連結されていれば、その形態には特段の制限はない。
【0029】
前記芯部材4は、ポリエステルエラストマ、ナイロンエラストマ、ウレタンエラストマなどの高弾性を有するエラストマからなるもので、押出成形によって調製される。
この芯部材4は、顔料を添加して着色することが可能なもので、用途によっても異なるが、φ1.0〜φ3.0のものが好ましい。
【0030】
前記芯部材4の表面硬さ(JIS K 7215;タイプD)は、40〜63の範囲のものが好ましい。
前記の表面硬さが40以下では成形が難しく、63以上の場合は硬くなりすぎ、使用感が良くないので好ましくない。
【0031】
エラストマで調整された芯部材4は、その外周部を、ポリアセタールやポリアミドなどの熱可塑性樹脂を押出成形してコーティングして外皮5を形成し、軸部材2とするものである。
その際、前記熱可塑性樹脂に顔料を添加して着色可能とすることによって、前記タッチ部3の形状や硬さなど、ペン先1の種類を容易に見分けることができるので、好ましいものである。
なお、前記外皮5の素材は、研削が可能なものであれば、特段の制限はない。
この実施例においては、前記外皮5の厚みは0.1mmとした。
【0032】
かくして得た軸部材2は、その先端部の外皮5を除去することによって、内部の芯部材4を顕出させ、顕出した芯部材4の先端部をタッチ部3とするものである。
【0033】
前記軸部材2における先端部の外皮5の除去は、内装する芯部材4を顕出させることを目的とするものであって、実施例においては、図2に示すように、先端部が放物線状となるよう研削加工し、外皮5が先端側に向かって順次肉薄となるよう研削し、顕出した芯部材4の先端部を砲弾状(半球状)に形成してタッチ部3とした。
なお、前記軸部材2の外皮5を切除し、内部の芯部材4を顕出させることができれば、研削形状については、特段の制限はない。
【0034】
顕出させる芯部材4の長さは、用途に応じて決定することができる。
この実施例では、砲弾状のタッチ部3では0.2〜1.0mmであるが、図6に示すように、用途に応じてタッチ部の形状を筆タイプ(A)、チーゼルタイプ(B)、クサビタイプ(C)などにすることもできる。
かかる例では、剥き出し長さは、1.0〜5mmとすることが好ましい。
【0035】
図3に示す実施例は、前記芯部材4と外皮5からなる軸部材2は、前記実施例と同一であるが、前記外皮5の先端部を除去し、内装された芯部材4を顕出させてタッチ部3を形成するに際し、前記外皮5の先端部を先端方向に縮径させて段部6を形成し、この段部6の端面から芯部材4を顕出させ、先端を砲弾状に研削してタッチ部3を構成したものである。
【0036】
この段部6の形成に際しては、図4に示すように、その幅Hは0.1〜0.5mmとすることが好ましい。
前記段部の幅Hが0.1mm以下の場合は、実質的に段差の形成が難しく、幅Hが0.5mm以上の場合は、芯部材4の剥き出し部が斜めになるので好ましくない。
【0037】
この段部6の先端方向への傾斜角θは、段部6の上縁側とタッチ部3の下縁が交わる交点Oから軸部材2の外面(外皮5の外周面)と平行する基準線Bに対して15°〜60°の範囲とすることによって、外皮5が緩やかに縮径して芯部材4と繋がり、前記段部6の基部6aが一定の厚みを有するので、段部6に負荷が作用しても、その負荷に耐えて割れることがないので好ましい。
【0038】
前記段部6の形成は、前記芯部材4の芯径のバラツキφ1.4〜φ1.8±0.03〜0.05mm、および芯部材4を被覆する際の外皮5との芯ズレ0.01〜0.03mm程度を考慮すると、研削加工による剥き出し部が斜めにならず、見た目がよく、真っ直ぐになる。
したがって、画面タッチの際の圧力による被覆部の割れ防止に優れた効果を奏する。
【0039】
かくして得たこの発明にかかるペン先1の使用感を、下記表1に示す。
この表1において、実施例1とは、図1に示すペン先であって、芯部材4の表面硬度(JISK 7215;タイプD)が47のもの、実施例2は表面硬度(JISK 7215;タイプD)が53のもの、実施例3は表面硬度表面硬度(JISK 7215;タイプD)が63のものである。
なお、比較例とは、芯部材4がポリアセタール(POM)製で、内部構造が無垢(中実)のものである。
【0040】
【表1】
【0041】
前記実施例においては、画面の押された位置を圧力で感知する感圧タイプのタッチパネル用ペン先について説明したが、前記芯部材4および/または外皮5を、導電性を有する素材で構成して静電タイプとすることもできる。
【0042】
すなわち、静電気が発生し易いものを導線で繋いで電子を逃がし、その位置を感知する静電式タイプのタッチパネル用ペン先とするには、前記芯部材4を構成する高弾性を有するエラストマおよび/または外皮5を構成する熱可塑性樹脂中に、カーボン粒子や繊維フィラー、無機物を配合することで得ることができ、配合された素材が電気抵抗を下げることによって、電荷を移動させることができる。
【0043】
この発明にかかるタッチパネル用ペン先1は、中心部から外方向に向かって放射状に延びるリブを有するエラストマからなる芯部材4を、合成樹脂製の外皮5で被覆して形成した軸部材2の先端部を、適宜手段によって除去し、前記芯部材4の先端部を外部に顕出させてタッチ部3としているので、タッチ部3自体が適度な弾性を有するとともに、エラストマとの相乗作用によって、タッチパネルなどの画面が傷付き難く、適度な筆記抵抗があって滑らず、コシ、ねばり感など有するものである。
【0044】
この発明では、タッチパネルにタッチ部を接触させる場合、その押圧力を変化させることによって接地面積を自在に変化させることができる。
それによって、例えば、タッチパネルに自由に文字や図形などを容易に表示させることができる。
【0045】
さらに、この発明のタッチパネル用ペン先1は、タブレットに触れるタッチ部3と軸部材2を従来のように個別に製作し、適宜の手段で軸部材3の先端部にタッチ部2を取付ける必要がないので、タッチパネル用ペン先の製作が簡単かつ容易で、製作工程を自動化することが可能なものである。
【0046】
なお、前記軸部材2の外皮5を除去し、内部の芯部材4を顕出させるに際し、軸部材2の先端部に、当該先端部側に縮径する段部を介して芯部材4を顕出させれば、タッチ部3自体が真っ直ぐになるとともに、タッチ部3に付加が作用しても、外皮5の割れを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
この発明のタッチパネル用ペン先は、内部に特定の構造からなる芯部材を内装した外皮の先端部外周を除去して、前記芯部材の先端部を外部に顕出させてタッチ部として、使用感を大幅に向上させているので、より広い用途での使用が可能なものである。
【符号の説明】
【0048】
1 タッチパネル用ペン先
2 軸部材
3 タッチ部
4 芯部材
5 外皮
6 段部
7 ペンホルダ
L 芯部材を構成するリブ
A 芯部材の空隙
B 基準線
F 被膜
H 段部の幅
G 空隙
θ 段部の先端方向への傾斜角
図1
図2
図3
図4
図5
図6