特許第6118303号(P6118303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6118303
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/24 20060101AFI20170410BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   H02K5/24 A
   H02K15/02 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-226335(P2014-226335)
(22)【出願日】2014年11月6日
(65)【公開番号】特開2016-93012(P2016-93012A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2015年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】善家 孝夫
【審査官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−521741(JP,A)
【文献】 特開平05−030689(JP,A)
【文献】 特開平10−056754(JP,A)
【文献】 特開平05−211743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/24
H02K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平な回転軸のまわりに回転可能に軸支されたロータシャフトと、そのロータシャフトに固定された回転子鉄心とを有する回転子と、
前記ロータシャフトの軸方向の前記回転子鉄心を挟んだ位置にそれぞれ配設され、前記ロータシャフトを支持する2つの軸受と、
前記回転子鉄心の径方向外側に配されて固定子鉄心と前記固定子鉄心に巻回された固定子巻線とを有する固定子と、
前記回転子鉄心および前記固定子を収納し、据付基礎の上面に対向するフレーム底板、および前記フレーム底板と下端で結合され前記固定子を挟んで互いに対向し上方および前記軸方向に広がる2つのフレーム側板とを有するフレームと、
前記フレームに固定支持され前記2つの軸受をそれぞれ支持する2つの軸受ブラケットと、
前記フレーム底板と結合され、前記フレーム側板とは非接触であって、前記回転軸の長手方向の複数個所でそれぞれ前記固定子を下部で剛に支持し、前記フレーム側板と対向する部分に剛性を調整するための切欠きを有する複数の固定子支持部材と、
を備えることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記固定子支持部材は、上方から固定子を搭載可能なように上方が開放されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸を水平にして設置される回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の典型的な回転電機は、回転子、固定子、およびこれらを収納するフレームを有する。回転子は、軸方向に延びたロータ軸およびその周りに配された回転子鉄心を有する。ロータ軸はフレームに軸受ブラケットを介して支持された軸受部によって回転自在に軸支される。
【0003】
固定子は、回転子の径方向の周囲に配され、ロータ軸方向に延びており、固定子鉄心および固定子鉄心に巻回された固定子コイルを有する。固定子は、全体として円筒形状であり、内側の面は、回転子の外側の面と対応し、固定子の内側面と回転子の外側面間には、ギャップが形成されている。
【0004】
固定子は、フレーム内の複数個所に軸に垂直な方向に設けられた固定子支持板によって支持されている。固定子支持板はフレームの底板および側板とたとえば溶接によって結合されている。固定子支持板の中央には、固定子が貫通するための円形の開口部が形成されている。開口部の縁と固定子の外側とは、溶接等で結合されている。
【0005】
固定子は、この複数の固定子支持板によって周囲を拘束され、また、自重を支持されている。回転電機の組み立ては、たとえば、固定子支持板の開口に固定子を水平軸方向に挿入することにより行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−50538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
回転電機においては、その運転時に、磁気吸引力を有する回転子磁極の回転によって、固定子が軸に垂直な方向の平面内で楕円状に変形する円環振動が発生する(特許文献1参照)。この円環振動をもたらす電磁振動は、固定子の極間の電磁力に起因することから電源周波数の2倍の周波数を有する。
【0008】
以上のように構成された回転電機においては、電磁振動が直接フレームに伝わりやすいため、フレームによって支持されている軸受部分への影響、あるいは、フレームによって支持されているクーラ等への機械的な荷重による影響などの問題がある。
【0009】
また、回転電機の製造時の組み立て時においても、固定子の挿入、取付けに専用の組み立て装置が必要となるなどの問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、固定子の電磁振動のフレームへの伝達を抑制し、かつ組立作業性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明に係る回転電機は、水平な回転軸のまわりに回転可能に軸支されたロータシャフトと、そのロータシャフトに固定された回転子鉄心とを有する回転子と、前記ロータシャフトの軸方向の前記回転子鉄心を挟んだ位置にそれぞれ配設され、前記ロータシャフトを支持する2つの軸受と、前記回転子鉄心の径方向外側に配されて固定子鉄心と前記固定子鉄心に巻回された固定子巻線とを有する固定子と、前記回転子鉄心および前記固定子を収納し、据付基礎の上面に対向するフレーム底板、および前記フレーム底板と下端で結合され前記固定子を挟んで互いに対向し上方および前記軸方向に広がる2つのフレーム側板とを有するフレームと、前記フレームに固定支持され前記2つの軸受をそれぞれ支持する2つの軸受ブラケットと、前記フレーム底板と結合され、前記フレーム側板とは非接触であって、前記回転軸の長手方向の複数個所でそれぞれ前記固定子を下部で剛に支持し、前記フレーム側板と対向する部分に剛性を調整するための切欠きを有する複数の固定子支持部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、固定子の電磁振動のフレームへの伝達を抑制し、かつ組立作業性を向上させることできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る回転電機の立断面図である。
図2図1の第II−II線矢視水平断面図である。
図3図1の第III−III線矢視立断面図である。
図4】実施形態に係る回転電機の組み立て方法の手順を示すフロー図である。
図5】実施形態に係る回転電機の組み立て方法の手順のうちフレーム内へ固定子を搭載するステップでの状態を示す概念的鳥瞰図である。
図6】従来の回転電機の組み立て方法の手順のうちフレーム内へ固定子を搭載するステップでの状態を示す概念的鳥瞰図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る冷却器付回転電機について説明する。図1は、実施形態に係る回転電機の立断面図である。図2は、図1の第II−II線矢視水平断面図である。また、図3は、図1の第III−III線矢視立断面図である。
【0016】
回転電機200は、回転子20、軸受25a、25b、固定子30、フレーム10を有する。
【0017】
回転子20は、ロータシャフト21および回転子鉄心22を有する。ロータシャフト21は、両端近傍を軸受25aおよび25bによって水平に回転可能に軸支されている。回転子鉄心22は、径方向にはロータシャフト21の径方向外側であって、回転軸方向には軸受25aと軸受25bの間に設けられ、ロータシャフト21に取り付けられている。また、図示しないファンが、ロータシャフト21に取り付けられている。
【0018】
回転子鉄心22は、外形が円柱形状で、たとえば断面が孔あき円板形状のケイ素鋼板の積層構造を有する。なお、たとえば同期機などのように回転子鉄心22に図示しない回転子巻線が巻回されている場合でもよい。軸受25a、25bは、たとえば、転がり軸受、すべり軸受などを用いることでよい。
【0019】
固定子30は、固定子鉄心31および固定子巻線32を有する。固定子鉄心31は、全体として円筒形状であり、ロータシャフト21の回転軸方向(以下、主軸方向)には回転子鉄心22とほぼ同じ範囲に設けられる。また、固定子鉄心31は、回転子鉄心22の径方向外側に設けられている。固定子鉄心31の径方向内側の面と、回転子鉄心22の径方向外側面とが互いに対向し、所定の範囲のギャップを形成している。
【0020】
固定子鉄心31の径方向の内面には、図示しない複数のスロットがロータシャフト21に平行に形成され、これにより図示しない複数の突出部(ティース)が回転子鉄心22に対向するように形成されている。この突出部の周りに、固定子巻線32が巻回されている。
【0021】
フレーム10は、回転子鉄心22および固定子30を収納する。フレーム10は、フレーム底板11、フレーム側板12、および第1フレーム端板13a、第2フレーム端板13bを有する。フレーム底板11は、ロータシャフト21の下方で水平に広がっている。フレーム側板12は、フレーム底板11の両側の辺部に結合する2枚の平板である。フレーム側板12は、互いに固定子を挟んで対向するようにロータシャフト21に平行に鉛直上方に広がっている。
【0022】
2枚のフレーム側板12のそれぞれには側板開口12aが形成されている。後述する固定子支持部材35と固定子鉄心31との結合作業等において、この2つの側板開口12aをアクセス用に用いることができる。
【0023】
第1フレーム端板13aおよび第2フレーム端板13bは、主軸方向に関しては、それぞれ、軸受25aおよび軸受25bが取り付けられている位置の近傍に互いに対向するように設けられている。第1フレーム端板13aおよび第2フレーム端板13bは、それぞれ、主軸方向に垂直に平面上に広がっている。第1フレーム端板13aは、フレーム底板11および2枚のフレーム側板12のそれぞれの辺部と結合している。第2フレーム端板13bも同様に、フレーム底板11および2枚のフレーム側板12のそれぞれの辺部と結合している。
【0024】
以上のように、フレーム10は、全体として直方体形状である。なお、フレーム10は、最後に上方から被せる上部蓋15を有する。ここで、上部蓋15は、単なる水平平板状の蓋の場合もあるが、たとえば、密封型で内部冷却用気体の冷却用の冷却器を内蔵する冷却器カバーのような、上部に取り付けて上部を閉鎖するものであれば、上部蓋と称することとする。
【0025】
フレーム10は、フレーム底板11を下側にして据付基礎5上に設置される。当該回転電機200が使用場所に設置された状態では、フレーム底板11は水平な状態で、通常、据付基礎5に密着している。フレーム底板11と据付基礎5の間は、剛に結合されている。たとえば、据付基礎5に埋め込まれた図示しない埋め込み金物とフレーム底板11が溶接で結合されてもよい。あるいは、据付基礎5に埋め込まれた図示しないアンカーボルトをたとえばフレーム底板11に形成された孔に通してナットで締め付けることでもよい。
【0026】
第1フレーム端板13aには、円形の第1端部開口14aが形成されている。第1端部開口14aは、回転子20が軸方向に通り抜け可能な口径に形成されている。第2フレーム端板13bには、円形の第2端部開口14bが形成されている。第1端部開口14aを覆うように、軸受ブラケット26aが第1フレーム端板13aに取り付けられている。軸受25aは、軸受ブラケット26aに支持されている。また、第2端部開口14bを覆うように、軸受ブラケット26bが第2フレーム端板13bに取り付けられている。軸受25bは、軸受ブラケット26bに支持されている。
【0027】
フレーム底板11上には、主軸方向の複数個所で、固定子支持部材35が固定されている。図示の例では、固定子支持部材35は、主軸方向に垂直に広がる板状である。なお、固定子支持部材35は板状でなくともよい。たとえば、軸方向に厚みの分布のある形状の物でもよい。
【0028】
固定子支持部材35の下端35aは、フレーム底板11に密着し、たとえば溶接でフレーム底板11に固定されている。なお、回り止めがなされたボルト・ナットによる結合など、確実に剛に結合されていれば他の結合手段でもよい。
【0029】
固定子支持部材35の上部35bは、固定子鉄心31の下半分と密着するように内側が半円形状に形成されている。固定子支持部材35の上部35bと固定子鉄心31の下半分とは、たとえば溶接によって結合されている。なお、固定子鉄心31そのものではなく、固定子鉄心の外面に設けられた補強用の部材と結合されていてもよい。
【0030】
固定子支持部材35の下端35aと上部35bの中間の高さの部分には、両側に切欠き35cが設けられている。切欠き35cを設けることによって、固定子支持部材35の剛性が低下して可撓性が増す。可撓性を有することによって、固定子支持部材35自体が振動エネルギーを吸収、すなわちダンピング効果を有し、全体の振動を低下させる。したがって、振動低減の必要程度に応じて、必要な剛性を確保しながら、切欠き35cの大きさを決定すればよい。
【0031】
また、当該回転電機200の運転中にも、固定子支持部材35がフレーム側板12と接触しないよう、固定子支持部材35とフレーム側板12間にはギャップ36(図2)が形成されている。
【0032】
図4は、実施形態に係る回転電機の組み立て方法の手順を示すフロー図である。まず、フレーム底板11を下側にしてフレーム10を設置する(ステップS01)。この段階では、フレーム10の上部蓋15は外されていて、フレーム10の上部は開放された状態である。
【0033】
次に、フレーム底板11に、主軸方向に沿って複数個所に、固定子支持部材35の下端35aを取り付け、剛に結合する(ステップS02)。この際、固定子支持部材35とフレーム側板12とが接触しないように固定子支持部材35の位置決めをする。
【0034】
次に、固定子30を鉛直上方から、フレーム10内の固定子支持部材35の上部に搭載する(ステップS03)。このとき、固定子30は、固定子鉄心31および固定子巻線32が組み立てられた状態である。また、回転子20がないため、固定子30の内部は円筒状に空間が存在する状態である。次に、固定子30と各固定子支持部材35の上部35bとを、たとえば溶接により結合する(ステップS04)。
【0035】
次に、固定子30とフレーム10とが一体になっている状態のままで、回転子20を水平の状態を保ったまま、第1フレーム端板13aの第1端部開口14aを経て、固定子30の中央の空間に挿入する(ステップS05)。この際、回転子20は、ロータシャフト21および回転子鉄心22が組み立てられた状態である。
【0036】
回転子20の挿入は、第2端部開口14bをロータシャフト21が貫通して回転子20が軸方向に所定の位置に到達するまで行う。また径方向については、回転子20の挿入時、および回転子の挿入後において、固定子鉄心31の径方向内側と回転子鉄心22の径方向外側とのギャップ36を全周にわたり所定の幅内に維持するように行う。回転子20の挿入後は、ロータシャフト21の両端は、図示しない2個の支持台で支持される。2個の支持台は、たとえば、それぞれフレーム10を挟んで、フレーム10の前後に配される。
【0037】
回転子20が所定の位置に到達して、ロータシャフト21の両端が支持台に支持された状態で、軸受25a、25bおよび軸受ブラケット26a、26bを取り付ける(ステップS06)。具体的には、軸受25aをロータシャフト21の一方からロータシャフト21に被せ所定の位置まで移動させる。
【0038】
次に、軸受ブラケット26aが軸受25aを支持固定するように軸受ブラケット26aと軸受25aと組み合わせて、軸受ブラケット26aを第1フレーム端板13aに取り付ける。また、軸受ブラケット26bが軸受25bを支持固定するように軸受ブラケット26bと軸受25bと組み合わせて、軸受ブラケット26bを第2フレーム端板13bに取り付ける。
【0039】
この状態で、主要な要素が組み立てられたことになる。こののち、ロータシャフト21に取り付けると第1端部開口14aを通過できない場合のファン(図示せず)のロータシャフト21への取付け、電気配線の取付けなどを行う。それらが終了すると、最終的にフレーム10の上部蓋15の取付けを行う(ステップS07)。
【0040】
図5は、実施形態に係る回転電機の組み立て方法の手順のうちフレーム内へ固定子を搭載するステップ(S03)での状態を示す概念的鳥瞰図である。また、図6は、従来の回転電機の組み立て方法の手順のうちフレーム内へ固定子を搭載するステップでの状態を示す概念的鳥瞰図である。
【0041】
比較の対象である従来の例を示した図6では、フレーム210が、水平位置にある状態を示していないが、これが水平位置にあるとして説明する。この従来の例においては、フレーム210内に設けられた2枚の固定子支持板250は、それぞれ固定子30の全周にわたって固定子30を拘束するように形成されている。
【0042】
したがって、フレーム210の上部が開放されていても、上方から固定子30をフレーム210内に吊り下ろすことができない。このため、固定子30についても、フレーム端板211に形成された端部開口211aから挿入する必要がある。固定子30は、水平軸方向に挿入する場合、挿入時の姿勢を保つことがロータシャフト21を有する回転子20に比べて容易ではない。このため、専用の組み立て治具を必要とする。
【0043】
そこで、図6に示すように、端部開口211a、固定子支持板250に形成された開口250aが鉛直方向に揃うように、フレーム10を据付時とは異なる姿勢に置きなおして、上部から吊り下ろす方が現実的な場合もある。
【0044】
一方、本実施形態においては、ステップS03のフレーム内へ固定子を搭載するステップでは、図5に示すように、フレーム10の姿勢を変えるような手順を必要とせず、組み立てのすべての工程にわたって、同一の姿勢で組み立て作業を行うことができる。
【0045】
以上のように構成された本実施形態に係る回転電機においては、その運転時に、磁気吸引力を有する回転子磁極の回転によって、固定子30が軸に垂直な平面内で楕円状に変形する円環振動などの電磁振動が発生する。この円環振動は、固定子30から固定子支持部材35に伝達される。固定子支持部材35は微小に変形することによって円環振動のエネルギーを吸収しダンピング効果を生ずる。また、エネルギーの大部分は、固定子支持部材35からフレーム底板11に伝達される。フレーム底板11は、据付基礎5に密着し、据付基礎5と剛に結合している。このため、フレーム底板11に伝達された振動エネルギーは据付基礎5に伝達される。
【0046】
このように、円環振動などの電磁振動のエネルギーは一部固定子支持部材35により減衰し、大部分は最終的には据付基礎5に伝達される。したがって、電磁振動がフレーム側板12、あるいは第1フレーム端板13a、あるいは第2フレーム端板13bに伝わることがなくなる。この結果、フレーム10によって支持されている軸受部分への影響、あるいは、フレーム10によって支持されている図示しないクーラ等への機械的な荷重による影響などの問題がなくなる。
【0047】
また、回転電機の製造時の組み立て時においても、図6に示す従来例のような固定子の挿入、取付けに専用の組み立て装置が必要となるなどの問題が生じない。
【0048】
以上のように、本発明によれば、固定子の電磁振動のフレームへの伝達を抑制し、かつ組立作業性を向上させることできる。
【0049】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。たとえば、実施形態では、フレームは直方体の箱形の物の場合を例に示したが、これに限定はされない。たとえば、フレーム全体が横置きの円筒形状で上部が開放されている場合でも、本発明は適用可能である。この場合は、フレームのうち据付基礎に密着している範囲の部分をフレーム底板として固定子支持部材を結合し、それ以外の部分とは非接触となるように固定子支持部材の形状、寸法を決めればよい。
【0050】
また、実施形態では、回転子20は、ロータシャフト21とケイ素鋼板などの積層構造を持つ回転子鉄心22とを有する場合を示したが、これには限定されない。たとえば、かご型誘導電動機のようにかご構造の場合でもよく、その場合も、かご部分を回転子鉄心22と称することとする。
【0051】
また、実施形態では、軸受ブラケットはフレーム端板に取り付ける場合を示したが、フレーム端板がなく、軸受ブラケットを直接、フレーム底板およびフレーム側板と結合する場合でもよい。あるいは、軸水平に設置されるフレームが、円筒状で上部に開口がある場合は、軸受ブラケットをこの円筒と結合させることでもよい。
【0052】
また、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0053】
実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0054】
5…据付基礎、10…フレーム、11…フレーム底板、12…フレーム側板、12a…側板開口、13a…第1フレーム端板、13b…第2フレーム端板、14a…第1端部開口、14b…第2端部開口、15…上部蓋、20…回転子、21…ロータシャフト、22…回転子鉄心、25a、25b…軸受、26a、26b…軸受ブラケット、30…固定子、31…固定子鉄心、32…固定子巻線、35…固定子支持部材、35a…下端、35b…上部、35c…切欠き、36…ギャップ、200…回転電機、210…フレーム、250…固定子支持板
図1
図2
図3
図4
図5
図6