(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138161
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】n−ブタンからのブタジエンおよび/またはブテン類の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 5/333 20060101AFI20170522BHJP
C07C 11/167 20060101ALI20170522BHJP
C07C 11/08 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
C07C5/333
C07C11/167
C07C11/08
【請求項の数】15
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-555183(P2014-555183)
(86)(22)【出願日】2013年1月30日
(65)【公表番号】特表2015-509108(P2015-509108A)
(43)【公表日】2015年3月26日
(86)【国際出願番号】EP2013051763
(87)【国際公開番号】WO2013113743
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2016年1月27日
(31)【優先権主張番号】12153056.2
(32)【優先日】2012年1月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ソーニャ ギーザ
(72)【発明者】
【氏名】レギーナ ベンファー
【審査官】
安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2007/0161842(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0183024(US,A1)
【文献】
特表2005−536498(JP,A)
【文献】
米国特許第03349147(US,A)
【文献】
米国特許第02433800(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0055088(US,A1)
【文献】
特開昭59−167525(JP,A)
【文献】
15710の化学商品,2010年,P334-336
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 5/00
C07C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
n−ブタンからのブタジエンの製造方法であって、以下のステップ:
A)n−ブタンを含有する導入ガス流(a)を準備するステップ;
B)n−ブタンを含有する導入ガス流(a)を、少なくとも1つの第一の脱水素化帯域およびn−ブタンの非酸化的接触脱水素化へと供給するステップ、その際、n−ブタン、1−ブテン、2−ブテン類、ブタジエン、水素、場合により水蒸気、場合により炭素酸化物および場合により不活性ガスを含有するガス流(b)が得られる;
C)ガス流(b)を、少なくとも1つの第一の圧縮ステップにおいて圧縮して冷却するステップ、その際、少なくとも1つの、水を含有する凝縮物流(c1)と、ブテン類およびブタジエン、n−ブタン、水素、水蒸気、場合により炭素酸化物および場合により不活性ガスを含有する物質流(c2)が得られる;
D)ブテン類ならびにブタジエン、n−ブタン、水素、水蒸気、場合により不活性ガスおよび場合により炭素酸化物を含有する物質流(c2)を、選択溶媒、例えば80〜97質量%のN−メチルピロリドンと3〜20質量%の水を含有する混合物で吸収させるステップ、その際、選択溶媒、例えばN−メチルピロリドン、水ならびにブテン類、ブタジエン、ブタンおよび場合により二酸化炭素を含有する物質流(d1)と、水素および場合により不活性ガスおよびブタンを含有する物質流(d2)が得られる;
E)選択溶媒、例えばN−メチルピロリドン、水ならびにブテン類、ブタジエン、ブタンおよび場合により炭素酸化物を含有する物質流(d1)を、選択溶媒、例えば80〜97質量%のN−メチルピロリドンおよび3〜20質量%の水を含有する物質流(e1)を用いて抽出蒸留するステップ、その際、選択溶媒、例えばN−メチルピロリドン、水ならびにブテン類、ブタジエン、ブタンおよび場合により炭素酸化物を含有する物質流(d1)は、選択溶媒、例えばN−メチルピロリドン、水ならびにブタン、ブテン類、ブタジエンを含有する物質流(e2)と、本質的にブタンおよび場合により炭素酸化物を含有する物質流(e3)に分離される;
F)選択溶媒、例えばN−メチルピロリドン、水、ブタンならびにブテン類、ブタジエンを含有する物質流(e2)を、本質的に選択溶媒、例えばN−メチルピロリドンおよび水を含有する物質流(e1)と、ブタン、ブテン類、ブタジエンを含有する物質流(f)へと蒸留するステップ;
G)前記物質流(f)および酸素含有ガスを、少なくとも1つの第二の脱水素化帯域と、1−ブテンおよび2−ブテン類の酸化的脱水素化へと供給するステップ、その際、n−ブタン、未反応の1−ブテンおよび2−ブテン類、ブタジエン、水蒸気、場合により炭素酸化物、場合により水素および場合により不活性ガスを含有するガス流(g)が得られる;
を有する前記製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記物質流(d2)は、完全にもしくは部分的に、第一の脱水素化帯域(B)へと返送されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、前記物質流(e1)は、完全にもしくは部分的に、吸収ステップ(D)および抽出蒸留帯域(E)へと返送されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法であって、前記物質流(e3)は、完全にもしくは部分的に、ステップ(A)へと返送されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法であって、ステップ(G)の後に、以下のステップ(H):
H)前記ガス流(g)に含有される残留酸素を触媒的燃焼ステップによって除去するステップ、前記燃焼ステップにおいて、酸素は事前に分離された水素(d2)の一部または全体と、および/または追加的に供給された水素と反応されて、酸素が減少された物質流(h)が得られる
が行われることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法であって、ステップ(G)または(H)の後に、以下のステップ(I)から(L):
I)前記の酸素が減少された物質流(h)またはガス流(g)を、少なくとも1つの第一の圧縮ステップで圧縮して冷却するステップ、その際、少なくとも1つの、水を含有する凝縮物流(i1)と、n−ブタン、1−ブテン、2−ブテン類、ブタジエン、水素、水蒸気、場合により炭素酸化物および場合により不活性ガスを含有するガス流(i2)が得られる;
J)凝縮できない低沸点のガス成分であって、水素、酸素、炭素酸化物、低沸点の炭化水素のメタン、エタン、エテン、プロパン、プロペンおよび不活性ガスを含むガス成分を、ガス流(j2)としてガス流(i2)から分離するステップ、その際、本質的にC4炭化水素からなるC4生成物ガス流(j1)が得られる;
K)前記ガス流(j1)を、選択溶媒、例えば80〜97質量%のN−メチルピロリドンおよび3〜20質量%の水を含有する混合物による抽出蒸留によって、ブタジエンおよび選択溶媒、例えばN−メチルピロリドンを含有する物質流(k1)と、n−ブタン、ブテン類、水蒸気および場合により不活性ガスを含有する物質流(k2)へと分離するステップ;
L)選択溶媒、例えばN−メチルピロリドン、水およびブタジエンを含有する物質流(k1)を、本質的に選択溶媒、例えばN−メチルピロリドンおよび水を含有する物質流(l1)と、ブタジエンを含有する物質流(l2)へと蒸留するステップ;
が行われることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、ステップ(L)の後に、以下のステップ(M):
M)ブタジエンを含有する物質流(l2)を、1もしくは2つの塔で精製蒸留するステップ、その際に、ブタジエンを含有する流れ(m2)が得られ、ブタジエンよりも揮発しやすい不純物を含有するガス流(m1)および/またはブタジエンよりも揮発しづらい不純物を含有する底部流(m3)が分離される
が行われることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の方法であって、前記ガス流(j2)は、完全にもしくは部分的に、第二の脱水素化帯域(G)へと返送されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項6から8までのいずれか1項に記載の方法であって、前記物質流(k2)は、完全にもしくは部分的に、ステップ(A)の導入ガス流へと、吸収ステップ(D)へと、抽出ステップ(E)へと、および/または部分的に第二の脱水素化帯域(G)へと返送されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項6から9までのいずれか1項に記載の方法であって、ステップ(J)における分離を二段階で、吸収とそれに続く脱着とによって行うことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項6から10までのいずれか1項に記載の方法であって、前記物質流(l1)は、完全にもしくは部分的に、ステップ(K)へと返送されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法であって、n−ブタンの非酸化的接触脱水素化は、自熱式に酸素含有ガスを供給しながら行われることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、酸素含有ガスとして、空気または酸素が富化された空気が供給されるか、または酸素含有ガスとして、工業用純度の酸素が供給されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項に記載であって、n−ブタンを含有する導入流(a)は、液化石油ガス(LPG)から取得されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項に記載であって、追加のブテン含有の供給流は、ステップ(G)において供給されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、n−ブタンからのブタジエンまたはブテン類の製造方法に関する。
【0002】
ブテン類およびブタジエンは、例えば、飽和炭化水素の熱分解(スチームクラッキング)によって、通常は原料としてナフサから出発して製造できる。ナフサのスチームクラッキングに際して、メタン、エタン、エテン、アセチレン、プロパン、プロペン、プロピン、アレン、メチルアレン、C
5以上の炭化水素からなる炭化水素混合物が生ずる。
【0003】
ブテン類とは、1−ブテン、イソブテン、2−ブテン類およびそれらの混合物を表す。ブテン流は、例えば30〜80質量%のブテン類、例えば14質量%の1−ブテン、10質量%のイソブテン、15.5質量%のトランス−2−ブテンおよび16.5質量%のシス−2−ブテンを含有する。本発明によれば、ブテン類とは、1−ブテンおよび2−ブテン類を表す。
【0004】
ブテン類およびブタジエンを生成するための前記方法の欠点は、望ましくないカップリング生成物が必ず多量に生ずることである。その一方で、ブテン類はブタンから、そしてブタジエンはn−ブテンから、脱水素化によって製造できる。
【0005】
DE-A 10 2004 059 356から、例えば、ブタジエンの製造のためにn−ブタンを原料として使用することが知られている。ブタジエンの製造のために、n−ブタンは、脱水素化帯域において非酸化的接触脱水素化によってn−ブタン、1−ブテン、2−ブテン、ブタジエン、水素、場合により二酸化炭素および場合により水蒸気を含有する物質流に脱水素化される。得られたガス混合物は冷却され、次いで隣接する脱水素化へと直接送られる。第二の脱水素化帯域において、1−ブテンおよび2−ブテンは、更にブタジエンへと脱水素化される。該脱水素化で得られた物質流は、引き続き圧縮されて冷却され、水が凝結される。n−ブタン、ブタジエン、水素、二酸化炭素および水蒸気を含有する残留流から、抽出蒸留によって、本質的にブタジエンを含有する生成物流が分離される。
【0006】
n−ブタンからのブタジエンの相応の製造方法は、更に、DE-A 10 2004 061 514に記載されている。
【0007】
ここに記載される方法の欠点は、第二の脱水素化帯域が第一の脱水素帯域に直接続いていることである。第二の脱水素化ステップの導入ガスの組成は、従って、第一の脱水素化ステップからのガス流の組成によって予め決められ、最適化できない。C4炭化水素の他に含まれるガス成分、例えば窒素、スチーム、水素、一酸化炭素および/または二酸化炭素は、部分的に第一の脱水素化ステップで形成されるものであるが、それらは、完全に第二の脱水素化ステップへと導通される。第一の脱水素化ステップで反応しなかったブタンの返送は、第二の脱水素化ステップとそれに続く後処理ステップを経た後に始めて行われる。その際、ブタンは、未反応のブテン類と一緒に分離され、第一の脱水素化ステップに返送される。第二の脱水素化ステップで反応しなかったブテン類の第一の脱水素化ステップへの返送は、そこでのブテン収率に悪影響を及ぼす。更なる欠点は、第一の脱水素化ステップの未反応のブタンが第二の脱水素化ステップの導入ガス流において同様に分離されないこと、もしくはこの流れのブテン含有量がブタンの減少によって調整されることである。
【0008】
第一の脱水素化ステップで形成される水素の分離と、このステップへの返送に際しての酸素との反応による該反応に必要なエネルギーの手配のための利用は、ここでは不可能である。
【0009】
DE-A-10 2004 054 766においては、n−ブタンからのブタジエンの製造方法であって、二段階の脱水素化からのブタジエンを含有する物質流を水の凝結のためにまずは冷却する製造方法が記載されている。更なる圧縮ステップと冷却において、n−ブタン、ブタジエンおよび水を含有する凝縮物流が得られる。水、n−ブタンおよびブタジエンを含有する物質流から、n−ブタンおよびブタジエンが分離され、引き続き本質的にブタジエンからなる生成物流と、n−ブタンを含有する返送流へと分離される。
【0010】
ここでの欠点は、C
4成分が不活性ガスから、多段階の圧縮と引き続いての凝縮によって分離されることである。このプロセスステップは、約30バールまでの圧縮のための高い所要エネルギーを特徴とする。前記のC
4凝縮は、10℃の温度で行われるため、追加的に冷却設備が必要となる。更に、第一の脱水素化の生成物流は、改めて冷却後に第二の脱水素化へと直接送られる。
【0011】
本発明の課題は、ブタジエンを含有する物質流と、任意に、ブテンおよびブタンを含有する更なる物質流を、ブタンから出発して製造する方法であって、使用されるブタンの最適な利用と、第二の脱水素化ステップの最適化された運転を可能にする方法を提供することである。
【0012】
前記課題は、n−ブタンからのブタジエンの製造方法であって、以下のステップ:
A)n−ブタンを含有する導入ガス流(a)を準備するステップ;
B)n−ブタンを含有する導入ガス流(a)を、少なくとも1つの第一の脱水素化帯域およびn−ブタンの非酸化的接触脱水素化へと供給するステップ、その際、n−ブタン、1−ブテン、2−ブテン類、ブタジエン、水素、場合により水蒸気、場合により炭素酸化物および場合により不活性ガスを含有するガス流(b)が得られる;
C)ガス流(b)を、少なくとも1つの第一の圧縮ステップにおいて圧縮して冷却するステップ、その際、少なくとも1つの、水を含有する凝縮物流(c1)と、ブテン類およびブタジエン、n−ブタン、水素、水蒸気、場合により炭素酸化物および場合により不活性ガスを含有する物質流(c2)が得られる;
D)ブテン類ならびにブタジエン、n−ブタン、水素、水蒸気、場合により不活性ガスおよび場合により炭素酸化物を含有する物質流(c2)を、選択溶媒、好ましくは80〜97質量%のN−メチルピロリドンと3〜20質量%の水を含有する混合物で吸収させるステップ、その際、選択溶媒、好ましくはN−メチルピロリドン、水ならびにブテン類、ブタジエン、ブタンおよび場合により二酸化炭素を含有する物質流(d1)と、水素および場合により不活性ガスおよびブタンを含有する物質流(d2)が得られる;
E)選択溶媒、好ましくはN−メチルピロリドン、水ならびにブテン類、ブタジエン、ブタンおよび場合により炭素酸化物を含有する物質流(d1)を、選択溶媒、好ましくは80〜97質量%のN−メチルピロリドンおよび3〜20質量%の水を含有する物質流(e1)を用いて抽出蒸留するステップ、その際、選択溶媒、好ましくはN−メチルピロリドン、水ならびにブテン類、ブタジエン、ブタンおよび場合により二酸化炭素を含有する物質流(d1)は、選択溶媒、好ましくはN−メチルピロリドン、水ならびにブタン、ブテン類、ブタジエンを含有する物質流(e2)と、本質的にブタンおよび場合により炭素酸化物を含有する物質流(e3)に分離される;
F)選択溶媒、好ましくはN−メチルピロリドン、水、ブタンならびにブテン類、ブタジエンを含有する物質流(e2)を、本質的に選択溶媒、好ましくはN−メチルピロリドンおよび水を含有する物質流(e1)と、ブタン、ブテン類、ブタジエンを含有する物質流(f)へと蒸留するステップ;
G)前記物質流(f)および酸素含有ガスを、少なくとも1つの第二の脱水素化帯域と、1−ブテンおよび2−ブテン類の酸化的脱水素化へと供給するステップ、その際、n−ブタン、未反応の1−ブテンおよび2−ブテン類、ブタジエン、水蒸気、場合により炭素酸化物、場合により水素および場合により不活性ガスを含有するガス流(g)が得られる;
を有する前記製造方法によって解決される。
【0013】
炭素酸化物は、二酸化炭素、一酸化炭素またはそれらの混合物である。好ましくは、前記物質流(d2)は、完全にもしくは部分的に、第一の脱水素化帯域(B)へと返送される。
【0014】
その際、ステップ(G)において、追加的な供給流を供給してよい。
【0015】
好ましくは、前記物質流(e1)は、完全にもしくは部分的に、吸収帯域(D)および抽出蒸留帯域E)へと返送される。
【0016】
好ましくは、前記物質流(e3)は、完全にもしくは部分的に、ステップ(A)へと返送される。
【0017】
好ましくは、ステップ(G)の後に、以下のステップ(H):
H)前記ガス流(g)に含有される残留酸素を触媒的燃焼ステップによって除去するステップ、前記燃焼ステップにおいて、酸素は(ごく僅かの微量にまで)事前に分離された水素(d2)の一部または全体と、および/または追加的に供給された水素と反応されて、酸素が減少された物質流(h)が得られる
が行われる。
【0018】
好ましくは、ステップ(G)または(H)の後に、以下のステップ(I)から(L):
I)前記の酸素が減少された物質流(h)またはガス流(g)を、少なくとも1つの第一の圧縮ステップで圧縮して冷却するステップ、その際、少なくとも1つの、水を含有する凝縮物流(i1)と、n−ブタン、1−ブテン、2−ブテン類、ブタジエン、水素、水蒸気、場合により炭素酸化物および場合により不活性ガスを含有するガス流(i2)が得られる;
J)凝縮できない低沸点のガス成分であって、水素、酸素、炭素酸化物、低沸点の炭化水素のメタン、エタン、エテン、プロパン、プロペンおよび不活性ガスを含むガス成分を、ガス流(j2)としてガス流(i2)から分離するステップ、その際、本質的にC4炭化水素からなるC4生成物ガス流(j1)が得られる;
K)前記ガス流(j1)を、選択溶媒、好ましくは80〜97質量%のN−メチルピロリドンおよび3〜20質量%の水を含有する混合物による抽出蒸留によって、本質的にブタジエンおよび選択溶媒、好ましくはN−メチルピロリドンからなる、またはこれらを含有する物質流(k1)と、n−ブタン、ブテン類、水蒸気および場合により不活性ガスを含有する物質流(k2)へと分離するステップ;
L)選択溶媒、好ましくはN−メチルピロリドン、水およびブタジエンを含有する物質流(k1)を、本質的に選択溶媒、好ましくはN−メチルピロリドンおよび水を含有する物質流(l1)と、ブタジエンを含有する物質流(l2)へと蒸留するステップ;
が行われる。
【0019】
好ましくは、ステップ(L)の後に、以下のステップ(M):
M)ブタジエンを含有する物質流(l2)を、1もしくは2つの塔で精製蒸留するステップ、その際に、ブタジエンを含有する流れ(m2)が得られ、ブタジエンよりも揮発しやすい不純物を含有するガス流(m1)および/またはブタジエンよりも揮発しづらい不純物を含有する底部流(m3)が分離される
が行われる。
【0020】
好ましくは、前記ガス流(j2)は、完全にもしくは部分的に、第二の脱水素化帯域(G)へと返送される。
【0021】
好ましくは、前記物質流(k2)は、完全にもしくは部分的に、ステップ(A)の導入ガス流へと、吸収ステップ(D)へと、抽出ステップ(E)へと、および/または部分的に第二の脱水素化帯域(G)へと返送される。
【0022】
好ましくは、ステップ(J)における分離は、二段階で、吸収と引き続いての脱着によって行われる。
【0023】
好ましくは、前記物質流(l1)は、完全にもしくは部分的に、ステップ(K)へと返送される。
【0024】
好ましくは、n−ブタンの非酸化的接触脱水素化は、酸素含有ガスを供給しながら自熱式に行われる。前記酸素含有ガスは、その際、例えば空気、酸素が富化された空気または工業用純度の酸素であってよい。
【0025】
n−ブタンを含有する導入流(a)は、その際、液化石油ガス(LPG)から取得することができる。
【0026】
本発明は、また、n−ブタンからブテン類を製造する方法であって、プロセスステップ(A)〜(F)が上述のように行われる前記方法に関する。
【0027】
本発明による方法は、使用されるブタンの最適な利用と、第二の脱水素化ステップの、第一の脱水素化ステップ後の上記後処理による最適化された運転を可能にする。
【0028】
本願発明の分離作業のためには、選択溶媒であって、その単結合を有するC
4炭化水素に対する親和性が、二重結合を有するC
4炭化水素に向けて、更に共役二重結合、そして三重結合に向けて高まる選択溶媒、好ましくは双極性の、特に好ましくは双極性非プロトン性溶媒である。装置工学的理由から、僅かに腐食性の物質または非腐蝕性の物質が好ましい。
【0029】
本発明による方法のために適した選択溶媒は、例えば、ブチロラクトン、ニトリル、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、ケトン、例えばアセトン、フルフロール、N−アルキル置換された低級脂肪族酸アミド、例えばジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、N−ホルミルモルホリン、N−アルキル置換された環状酸アミド(ラクタム類)、例えばN−アルキルピロリドン、特にN−メチルピロリドンである。一般に、アルキル置換された低級脂肪族酸アミドまたはN−アルキル置換された環状酸アミドが使用される。ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、フルフロールおよび特にN−メチルピロリドンが特に好ましい。
【0030】
しかしながら、前記溶媒の互いの混合物、例えばN−メチルピロリドンとアセトニトリルとの混合物、前記溶媒と助溶媒、例えば水および/またはt−ブチルエーテル、例えばメチル−t−ブチルエーテル、エチル−t−ブチルエーテル、プロピル−t−ブチルエーテル、n−もしくはイソ−ブチル−t−ブチルエーテルとの混合物も使用できる。
【0031】
N−メチルピロリドン(本願ではNMPと略して呼称される)が、好ましくは水溶液において、好ましくは0〜20質量%の水を有する水溶液において特に適している。
【0032】
本発明によれば、好ましくは、ステップ(D)における吸収のための溶媒としても、ステップ(E)およびステップ(K)における抽出のための抽出剤としても、80〜97質量%のN−メチルピロリドンおよび3〜20質量%の水からなる混合物、好ましくは90〜93質量%のN−メチルピロリドンおよび7〜10質量%の水からなる混合物および特に91〜92質量%のN−メチルピロリドンおよび8〜9質量%の水からなる混合物、例えば91.7質量%のN−メチルピロリドンおよび8.3質量%の水からなる混合物が使用される。
【0033】
該方法は、スチームクラッキングによるブタジエンの生成に比して高い選択性を特徴としている。該方法は、不所望なカップリング生成物を生じない。クラッキングプロセスの生成物ガス混合物からのブタジエンの手間と費用のかかる分離が省かれる。
【0034】
本発明による方法は、原料の特に効率的な利用を特徴としている。ここで、原料であるn−ブタンの損失は、未反応のn−ブタンをプロセスステップ(E)から第一の脱水素化ステップへの好ましい返送によって最小化される。前記n−ブタンは、プロセスステップ(F)〜(J)へと(完全には)送られず、それによりこれらの装置は、より小さく構成することができる。
【0035】
第一の脱水素化ステップの後のブテンおよびブタンの分離とブタンの好ましい返送とによって、抽出蒸留からのブタン/ブテン混合物の第二の脱水素ステップへの返送よりも高いブタンのブテンへの転化率が達成される。未反応のブテンは、好ましくは第二の脱水素化ステップへと返送される。抽出蒸留によって調整可能なブテン含有量を有するブテン含有の生成物流の部分的な分離もここでは可能である。
【0036】
更に、酸化的脱水素化ステップ(G)へとブテン含有C
4流を流れ(f)に加えて供給することも可能である。この流れは、あらゆるブテン含有源に由来しうる。考えられるのは、例えばFCC生成物流およびエチレンの二量体化によって生成されるブテン含有物質流である。
【0037】
個々のステップの実施は、DE-A-10 2004 059 356、DE-A-10 2004 054 766もしくはDE-A-10 2004 061 514に記載されるように行うことができる。
【0038】
以下に、好ましいプロセス様式を記載する:
第一のプロセス部分(A)において、n−ブタンを含有する導入ガス流(a)が準備される。通常は、その際、原料として、n−ブタンリッチなガス混合物、例えば液化石油ガス(LPG)から出発する。LPGは、本質的に、飽和のC
2〜C
5−炭化水素を含有する。その他に、メタンも微量のC
5+炭化水素も含有する。LPGの組成は、大きく変動しうる。好ましくは、使用されるLPGは、少なくとも10質量%のn−ブタンを含有する。
【0039】
その一方で、クラッカーまたは精製所からの精製C4流を使用できる。
【0040】
本発明による方法の一変法においては、n−ブタンを含有する脱水素化への導入ガス流の準備は、以下のステップ
A1)液化石油ガス(LPG)流を準備するステップ、
A2)プロパンおよび場合によりメタン、エタンおよびC5+炭化水素(主としてペンタン類、その他にヘキサン類、ヘプタン類、ベンゼン、トルエン)を前記LPG流から分離するステップ、その際、ブタン類(n−ブタンおよびイソブタン)を含有する流れが得られる、
A3)イソブタンを、ブタン類を含有する流れから分離し、その際、n−ブタンを含有する導入ガス流が得られ、かつ場合により、分離されたイソブタンをn−ブタン/イソブタン混合物へと異性体化し、かつn−ブタン/イソブタン混合物をイソブタン分離へと返送するステップ
を含む。
【0041】
プロパンおよび場合によりメタン、エタンおよびC
5+炭化水素の分離は、例えば1つ以上の通常の精留塔において行われる。例えば、第一の塔において低沸点物(メタン、エタン、プロパン)を頂部を介して、かつ第二の塔において高沸点物(C
5+炭化水素)を塔底で分離できる。ブタン類(n−ブタンおよびイソブタン)を含有する流れが得られ、その流れからイソブタンが、例えば通常の精留塔において分離される。残留するn−ブタンを含有する流れ、は、後続のブタン脱水素化のための導入ガス流として使用される。
【0042】
分離されたイソブタン流は、異性体化に供することができる。そのために、イソブタンを含有する流れが異性体化反応器に供給される。イソブタンのn−ブタンへの異性体化は、GB-A 2018815に記載されるようにして実施できる。n−ブタン/イソブタン混合物が得られ、該混合物は、n−ブタン/イソブタン−分離塔に供給される。
【0043】
分離されたイソブタン流は、更なる使用に供給することもでき、例えばメタクリル酸、ポリイソブテンまたはメチル−t−ブチルエーテルの製造のために供給することもできる。
【0044】
n−ブタンを含有する導入ガス流(a)は、一般に、少なくとも60質量%のn−ブタンを、好ましくは少なくとも90質量%のn−ブタンを含有する。その他には、前記ガス流(a)は、副成分として、なおもC
1〜C
4−炭化水素を含有しうる。
【0045】
プロセス部分(B)において、n−ブタンを含有する導入ガス流は、脱水素化帯域へと供給され、そして非酸化的接触脱水素化が行われる。その際、n−ブタンは、脱水素化反応器において脱水素化活性触媒のもと、部分的に1−ブテンおよび2−ブテン類へと脱水素化され、その際、ブタジエン(1,3−ブタジエン)も形成される。その他に、水素および少量のメタン、エタン、エテン、プロパンおよびプロペンが生ずる。脱水素化の作業様式に応じて、更に炭素酸化物(CO、CO
2)、水および不活性ガス、例えば窒素が、n−ブタンの非酸化的接触脱水素化の生成物ガス混合物に含まれていることができる。その他に、生成物ガス混合物においては、未反応のn−ブタンが存在する。
【0046】
非酸化的な作業様式の酸化的な作業様式に対する特徴点は、酸化的脱水素化に際しては、遊離の水素が形成されないということである。
【0047】
n−ブタンの非酸化的接触脱水素化は、基本的に、先行技術から公知のあらゆる反応器型および作業様式において実施することができる。本発明により好適な脱水素化プロセスの説明を含むのは、また「Catalytica(登録商標)Studies Division, Oxidative Dehydrogenation and Alternative Dehydrogenation Processes」(論文番号4192 OD, 1993, 430 Ferguson Drive, Mountain View, California, 94043-5272, USA)である。
【0048】
ブタンの非酸化的接触脱水素化は、補助供給物として酸素含有ガスを用いるかまたは用いずに実施することができる。好ましくは、前記脱水素化は、補助供給物として酸素を供給しながら自熱式の非酸化的脱水素化として実施される。自熱式の作業様式の場合は、必要な熱は、反応器システムにおいて直接的に、酸素の存在下での水素および/または炭化水素の燃焼によって生成される。好ましくは、追加的に、水素を含有する補助供給物を混加してよい。n−ブタン脱水素化の反応ガス混合物に、少なくとも1つの反応帯域において、追加的に酸素が混加され、そして前記反応ガス混合物中に含まれる水素および/または炭化水素は、少なくとも部分的に燃焼され、それにより、少なくとも1つの反応帯域で必要とされる脱水素化熱の少なくとも一部が前記反応ガス混合物において直接生成される。該作業様式は純粋酸素を用いることが好ましい。酸素は、好ましくは酸素−スチーム混合物または空気−スチーム混合物として供給することができる。酸素−スチーム混合物を使用することによって、プロセス全体で少量の不活性ガス(窒素)しか送り込まれない。
【0049】
一般に、前記反応ガス混合物に添加される酸素含有ガスの量は、該反応ガス混合物中に存在する水素および場合により該反応ガス混合物中に存在する炭化水素および/またはコークスの形で存在する炭素の燃焼によって、ブタンの脱水素化のために必要な熱量が生成されるように選択される。一般に、全体で供給される酸素量は、ブタンの全量に対して、0.001〜0.5モル/モル、好ましくは0.005〜0.2モル/モル、特に好ましくは0.05〜0.2モル/モルである。
【0050】
熱生成のために燃焼された水素は、ブタンの接触脱水素化に際して形成された水素ならびに場合により前記反応ガス混合物に水素含有ガスとして追加的に添加された水素である。好ましくは、反応ガス混合物中のモル比が、酸素の供給直後に1〜10モル/モル、好ましくは2〜5モル/モルである量で水素が添加されているべきである。それは、多段階の反応器の場合には、酸素含有のかつ場合により水素含有のガスのあらゆる中間供給にも当てはまる。
【0051】
前記の水素燃焼は触媒的に行われる。使用される脱水素化触媒は、一般に、炭化水素の燃焼および水素と酸素との燃焼も触媒するので、基本的には特別な酸化触媒が必要とされない。好適な触媒は、例えばDE-A 10 2004 061 514に記載されている。
【0052】
反応器としては、当業者に公知の、気−固触媒反応用の不均一系触媒を使用するためのあらゆる反応器が適している。
【0053】
本発明による方法の一実施形態においては、酸素含有ガスおよび水素含有ガスの中間供給は、棚段塔式反応器のあらゆる棚段の前で行われる。本発明による方法の更なる一実施形態においては、酸素含有ガスおよび水素含有ガスの供給は、一番目の棚段以外のあらゆる棚段の前で行われる。一実施形態においては、各々の供給位置の後方に、特別な酸化触媒からなる層が存在し、それに引き続き脱水素化触媒からなる層が存在する。更なる一実施形態においては、特別な酸化触媒は存在しない。好適な触媒は、例えばDE-A 10 2004 061 514に記載されている。またWO 2009/124974およびWO 2009/124945も参照のこと。脱水素化温度は、一般に400〜1100℃であり、反応器の出口における圧力は、一般に0.2〜5バール、好ましくは1〜3バールである。負荷量(GHSV)は、一般に500〜2000h
-1であり、高負荷作業様式ではまた100000h
-1、好ましくは4000〜16000h
-1である。
【0054】
他の反応器、例えばモノリス型反応器も適している。
【0055】
横型の円筒または角筒の形状の反応器(1)であって、ブタジエン含有のガス流(2)の酸素を含有するガス流(3)での自熱式気相脱水素化を、モノリス(4)として形成されている不均一系触媒上で実施して反応ガス混合物を得るための反応器(1)が好ましく、
− 反応器(1)の内部空間が、反応器(1)の長手方向に配置された円筒状のまたは角筒状の気密なケーシング(G)によって、
− 上下に、左右に、かつ前後に積まれたモノリス(4)からなるそれぞれ1つの充填物が設けられている1つ以上の触媒活性帯域(5)を有し、かつ各々の触媒活性帯域(5)の前に、固体内部取付物を有するそれぞれ1つの混合帯域(6)が設けられている内部空間(A)と、
− 前記内部空間(A)と同軸上に配置された外側領域(B)と、
に分けられており、かつ
− 反応器終端部に前記ケーシング(G)に続いて熱交換器(12)が設けられており、
− 脱水素化されるべきブタン含有のガス流(2)のための1つ以上の供給導管(7)と、
− 各々が1つ以上の分配チャンバ(10)(Verteilerkammer)を備えた、混合帯域(6)の各々における酸素を含有するガス流(3)のための1つ以上の互いに独立して調節可能な供給導管(9)と、
− 自熱式気相脱水素化の反応ガス混合物のための排出導管(11)と、
を有し、その際、
− 前記外側領域(B)には、自熱式気相脱水素化の反応条件下で不活性なガスが充填されており、かつ
− 脱水素化されるべきブタン含有のガス流(2)が供給導管(7)を通じて熱交換器(12)へと導入され、該熱交換器(12)において反応ガス混合物によって向流で間接的な熱交換によって加熱され、更に該熱交換器(12)と反対側の反応器の終端部で導入され、そこで向きが変えられ、流動調整器(8)を介して内側領域(A)へと導入され、そして前記混合帯域(6)において酸素を含有するガス流(3)と混合され、そこで、反応器(1)の内側領域(A)において自熱式気相脱水素化が行われる。
【0056】
その際、自熱式気相脱水素化の反応条件下で不活性なガスは水蒸気であることが好ましい。
【0057】
その際、好ましくは、前記の自熱式気相脱水素化の反応条件下で不活性なガスは、パージガス流として、内側領域(A)における圧力に対して僅かな超過圧力2〜50ミリバール、好ましくは25〜30ミリバールにおいて、ブタン含有のガス流(2)の質量流量に対して1/5〜1/100の、好ましくは1/10〜1/50の質量流量で外側領域(B)に導通され、好ましくは、パージガス流は、一方の反応器終端部で1つ以上の供給導管(20)を介して該反応器の外側領域(B)へと導入され、かつ反対側の反応器終端部で該反応器の内側領域(A)へと再び導入され、特に1つ以上の、好ましくは脱水素化されるべきブタン含有のガス流(2)のための供給導管(7)に対して90°と異なる角度で配置された1つ以上の接続導管(21)を介して導入される。
【0058】
その際、好ましくは、脱水素化されるべきブタン含有のガス流(2)は、2つ以上の場所で熱交換器(12)へと導入され、好ましくはより高い質量流量を有する主要流と、その主要流に比して低い質量流量を有する1つ以上の副流として導入される。
【0059】
その際、好ましくは、熱交換器(12)に加えて、脱水素化されるべきブタン含有のガス流(2)のための1つ以上の補助加熱部が備えられている。
【0060】
その際、好ましくは、ブタン含有のガス流(2)のための補助加熱部として、脱水素化されるべきブタン含有のガス流(2)のための供給導管(7)への導管(23)を介した水素の供給部が、各々の触媒活性帯域(5)の前に配置されている混合帯域(6)への入口のできるだけ近くに設けられており、その際、補助加熱部として、電気加熱部(22)が設けられていてよく、前記加熱部は、好ましくは取り外し可能であり、差込式システムとして反応器(1)の外側領域(B)の内側に導入されるか、またはマッフルバーナー(Muffelbrenner)(22)として、脱水素化されるべきブタン含有のガス流(2)のための供給導管(7)中にこのガス流が熱交換器(12)から出た後に導入される。
【0061】
その際、好ましくは、前記内側領域(A)において、2つ以上の触媒活性帯域(5)には、上下に、左右に、かつ前後に積まれたモノリス(4)からなるそれぞれ1つの充填物が設けられている。
【0062】
2つ以上の反応器(1)を使用でき、その際、少なくとも1つの反応器(1)は自熱式気相脱水素化のために用いられ、同時に少なくとも1つの他の反応器(1)は再生される。
【0063】
前記再生は、好ましくは550〜700℃の温度範囲で実施される。
【0064】
前記再生は、好ましくは、酸素含有のガス流の全質量に対して0.1〜1.5質量%の酸素を含有する酸素含有のガス流を用いて行われる。
【0065】
前記反応器において、
− 反応器の内部空間は、該反応器の長手方向に取り外し可能に配置された円筒状のまたは角筒状の気密なケーシング(G)によって、
− 上下に、左右に、かつ前後に積まれたモノリスからなるそれぞれ1つの充填物が設けられている1つ以上の触媒活性帯域を有し、かつ各々の触媒活性帯域の前に、固体内部取付物を有するそれぞれ1つの混合帯域が設けられている内部空間(A)と、
− 前記内部空間(A)と同軸上に配置された外側領域(B)と、
に分けられており、その際、
− 反応器終端部に前記ケーシング(G)に続いて熱交換器が設けられており、
− 脱水素化されるべきブタン含有のガス流のための1つ以上の供給導管と、
− 各々が1つ以上の分配チャンバを備えた、混合帯域の各々における酸素を含有するガス流のための1つ以上の互いに独立して調節可能な供給導管と、
− 自熱式気相脱水素化の反応ガス混合物のための排出導管と、
を有し、その際、前記外側領域(B)には、自熱式気相脱水素化の反応条件下で不活性なガスが充填されており、かつ脱水素化されるべきブタン含有のガス流が供給導管を通じて熱交換器へと導入され、該反応ガス混合物によって向流で間接的な熱交換によって加熱され、更に該熱交換器と反対側の反応器の終端部で導入され、そこで向きが変えられ、流動調整器を介して内側領域(A)へと導入され、そして前記混合帯域において酸素を含有するガス流と混合され、そこで、反応器の内部領域(A)において自熱式気相脱水素化が行われる。
【0066】
その際、自熱式気相脱水素化は、モノリスの形状で存在する不均一系触媒上で行われる。
【0067】
本発明によれば、個々のモノリスは、上下に、左右に、かつ前後に、触媒活性帯域を満たすのに必要な数だけ積まれて充填物が形成される。
【0068】
各々の充填物の前には、触媒活性でない固体の内部取付物を有するそれぞれ1つの混合帯域が設けられている。前記混合帯域において、ブタジエン含有のガス流と酸素を含有する流れとの混合が行われ、その際、流動方向において最初に流れる混合帯域において、酸素を含有するガス流と、ブタン含有の導入流との混合が行われ、そしてその後に流れる混合帯域において、酸素を含有するガス流の、なおも脱水素化されるべきブタンを含有する反応混合物中へのそれぞれ1つの中間供給が行われる。
【0069】
脱水素化されるべきブタン含有のガス流は、好ましくは、2つ以上の場所で熱交換器へと導入でき、特により高い質量流量を有する主要流と、その主要流に比して低い質量流量を有する1つ以上の副流として導入できる。
【0070】
図面には個々に以下のことが示されている:
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】
図1は、本発明による反応器の好ましい一実施形態の水平面での縦断面を示している。
【
図2】
図2は、同じ反応器の鉛直面での縦断面を示している。
【
図3】
図3は、
図2に示される反応器のB−B平面での横断面を示している。
【
図4】
図4は、
図2に示される反応器のA−A平面での横断面を示している。
【
図5】
図5は、
図1で丸で囲って印した領域の拡大図を示している。
【0072】
図面において、同じ符号は、それぞれ同じまたは相応する特徴を示している。
【0073】
図1の水平面での縦断面は、脱水素化されるべきブタン含有のガス流(2)が供給導管(11)を介して供給され、かつ供給導管(9)を介して酸素を含有するガス流(3)が供給される反応器(1)の好ましい一実施形態を示している。
図1は、ケーシング(G)が、反応器(1)の内部空間を、内側領域(A)と外側領域(B)とに分けることを示している。内側領域(A)にはその一方の終端部で熱交換器(12)が接続されている。図の右側には、パージガス流のための供給導管(20)が示されており、かつ左側には、反応器の外側領域(B)から脱水素化されるべきブタン含有のガス流(2)のための供給導管(7)へのパージガス流のための接続導管(21)が示されている。前記供給導管(20)を介して、パージガス流は、外側領域(B)へと導入され、そして接続導管(21)を介して反応器のもう一方の終端部で脱水素化されるべきブタン含有のガス流(2)のための供給導管(7)を介して内側領域(A)へと再び導入される。
【0074】
図2は、好ましくは使用されうる補助加熱部:電気加熱部(22)と、脱水素化されるべきブタン含有のガス流(2)のための供給導管(7)への燃焼ガスとしての水素のための供給導管(23)を示している。
【0075】
図3は、伝熱装置の範囲でのB−B平面の横断面図を示している。
図3は、脱水素化されるべきブタン含有のガス流(2)が、供給導管(7)を介して、この図に示される多管式熱交換器(12)の好ましい実施形態の管(17)の間の中間空間に供給されることを明確に示している。
【0076】
該横断面図においては、同様に、多管式熱交換器(12)のための、好ましくは複数の多孔板から形成されている支持構造部(18)と、反応器ジャケットの内壁の断熱層(19)と、好ましくは補助加熱部として使用される電気加熱部(22)とが確認できる。
【0077】
図4は、反応帯域の範囲におけるA−A平面における他の横断面図を示している。
図4は、特に燃焼ガスのための供給導管(23)を示している。
【0078】
図5に示される切り抜きは、高温耐性の織物からなるU字型異形材に取り囲まれた膨張マット(Blaehmatt)(24)の延長線上に配置された鋼製異形材(25)を図説しており、該異形材は、前記膨張マット(24)に相応する横断面で該マットと付着し、次第に広がっている。
図5における符号4は、モノリスを示す。
【0079】
ブタン脱水素化は、一般に好ましくは水蒸気の存在下で実施される。添加される水蒸気は、伝熱体として用いられ、かつ触媒上の有機堆積物の気化を促進し、それにより触媒の炭化に対抗し、触媒の寿命が高められる。その際、前記の有機堆積物は、一酸化炭素、二酸化炭素および場合により水に変換される。
【0080】
n−ブタンの非酸化的接触脱水素化に際して、ブタジエン、1−ブテン、2−ブテン類および未反応のn−ブタンに加えて、一般に副成分を含有するガス混合物が得られる。通常の副成分は、水素、水蒸気、CO
2ならびに低沸点物(メタン、エタン、エテン、プロパンおよびプロペン)である。第一の脱水素化帯域を出るガス混合物の組成は、脱水素化の作業様式に応じて大きく変動しうる。ここで、酸素と追加の水素を供給しながらの好ましい自熱式脱水素化の実施において、生成物ガス混合物は、比較的高い含有量の水蒸気および炭素酸化物を有する。酸素を供給しない作業様式の場合に、非酸化的脱水素化の生成物ガス混合物は、比較的高い含有量の水素を有する。
【0081】
n−ブタンの非酸化的な自熱式脱水素化の生成物ガス流は、好ましくは0.1〜15体積%のブタジエン、1〜15体積%の1−ブテン、1〜25体積%の2−ブテン(シス/トランス−2−ブテン)、20〜70体積%のn−ブタン、1〜70体積%の水蒸気、0〜10体積%の低沸点炭化水素(メタン、エタン、エテン、プロパンおよびプロペン)、0.1〜40体積%の水素、0〜10体積%の不活性ガス(窒素)および0〜5体積%の炭素酸化物を含有し、その際、内容物の全量は、100体積%である。
【0082】
第一の脱水素化帯域を出る生成物ガス流(b)は、プロセスステップ(C)での圧縮後に、プロセスステップ(D)において2つの部分流に分離でき、その際、2つの部分流の一方だけが、更なるプロセス部(E)〜(M)へと供され、そして第二の部分流は第一の脱水素化帯域中に返送される。相応の方法様式は、DE-A 102 11 275に記載されている。しかしまた、n−ブタンの非酸化的接触脱水素化の生成物ガス流(b)全体を、更なるプロセス部分(E)〜(M)に供してもよい。
【0083】
プロセスステップ(C)において、ガス流(b)は、好ましくはまずは冷却される。圧縮されたガスの冷却は、例えば多管式−、スパイラル式もしくはプレート式の熱交換器として構成されていてよい熱交換器を用いて行われる。その際に取り去られた熱は、好ましくは熱統合のためにプロセス内で利用される。引き続き、プロセスステップ(C)の好ましい一実施形態において、生成物流から水が分離される。水の分離は、その場合に好ましくはクエンチで行われる。
【0084】
引き続き、ガス流(c)は、少なくとも1つの第一の圧縮ステップにおいて圧縮され、次いで冷却される。その際、水を含有する少なくとも1つの凝縮物流(c1)が凝結され、かつn−ブタン、1−ブテン、2−ブテン類、ブタジエン、水素、水蒸気を含有し、少量のメタン、エタン、エテン、プロパンおよびプロペンを含有し、場合により炭素酸化物および場合により不活性ガスを含有するガス流(c2)が残留する。
【0085】
前記圧縮は、1段階もしくは多段階で行うことができる。全体として、1.0〜4.0バールの範囲の圧力から、3.5〜20バールの範囲の圧力にまで圧縮される。各々の圧縮ステップの後に冷却ステップが続き、そこでガス流は15〜60℃の範囲の温度に冷却される。従って、凝縮物流(c1)は、多段階の圧縮に際して複数の流れも含みうる。
【0086】
ガス流(c2)は、一般に本質的にC
4炭化水素(本質的にn−ブタン、1−ブテンおよび2−ブテン類)、水素、二酸化炭素および水蒸気からなる。その他に、前記流れ(c2)は、なおも低沸点物、ブタジエンおよび不活性ガス(窒素)を更なる副成分として含有してよい。凝縮物流(c1)は、一般に少なくとも80質量%が、好ましくは少なくとも90質量%が水からなり、かつその他に低い程度において低沸点物、C
4炭化水素、酸素化物および炭素酸化物を含有する。
【0087】
好適な圧縮機は、例えばターボ圧縮機、ロータリーピストン圧縮機および往復ピストン圧縮機である。前記圧縮機は、例えば電気モーター、エキスパンダーまたはガスタービンもしくはスチームタービンで駆動できる。1圧縮機段あたりの典型的な圧縮比(出口圧力:入口圧力)は、構造様式に応じて1.5〜3.0である。
【0088】
圧縮されたガスの冷却は、例えば多管式−、スパイラル式もしくはプレート式の熱交換器として構成されていてよい熱交換器を用いて行われる。冷媒としては、前記熱交換器においては、その場合に一般に冷却水または熱媒油が使用される。その他に、好ましくは送風機を使用した空冷が使用される。
【0089】
ステップ(D)における吸収は、当業者に公知のあらゆる任意の好適な吸収塔において実施できる。好ましくは吸収は向流で行われる。このために、該吸収塔に、下方領域において、ブテン類、ブタジエン、ブタン、水素、不活性ガス(窒素)および場合により炭素酸化物を含有する物質流が供給される。吸着塔の上方領域において、N−メチルピロリドンおよび水を含有する物質流が送り込まれる。
【0090】
吸収塔の塔頂部では、水素リッチなおよび/または不活性ガス(窒素)リッチな物質流であって、場合によりなおもC4炭化水素の残分および場合により炭素酸素化物を含有する流れ(d2)が取り出される。更に、この流れは、不活性物(例えば窒素)および低沸点物(エタン、エテン、プロパン、プロペン、メタン)を含有してよい。N−メチルピロリドンおよび水を含有する物質流は、供給される、ブテン類および/またはブタジエン、ブタン、水素および/または不活性ガス(窒素)および場合により炭素酸化物を含有する物質流を冷却し、同時に好ましくはC
4成分および部分的に炭素酸化物を吸収する。場合により、少量のH
2、不活性物(N
2)および低沸点物も吸収される。この流れは、吸収塔の塔底部で排出される。
【0091】
N−メチルピロリドンおよび水の混合物を、吸収用の溶剤として、かつ抽出蒸留での抽出剤として使用することは、沸点温度が、純粋なN−メチルピロリドンを使用した場合の沸点温度よりも低いという利点を有する。更なる利点は、溶剤として使用される水およびN−メチルピロリドンからなる混合物における水の割合を高めることによって、選択性を高めることができることである。しかし、それは、容量の低下をもたらすことが予想される。更なる利点は、N−メチルピロリドンの、炭素酸化物、特に二酸化炭素に対する選択性である。それは、炭化水素の分離に加えて、炭素酸化物、特に二酸化炭素の水素からの分離を可能にする。
【0092】
ステップ(D)における吸収は、一般に、30〜160℃の範囲の底部温度で、5〜60℃の範囲の頂部温度で、かつ2〜20バールの範囲の圧力で実施される。好ましくは、前記吸収は、30〜100℃の底部温度で、25〜50℃の範囲の頂部温度で、かつ8〜15バールの範囲の圧力で実施される。
【0093】
前記吸収塔は、好ましくは充填体塔または充填物塔である。しかしまた、あらゆる任意の別の塔、例えば段塔も考えられる。前記吸収に適した塔は、好ましくは2〜40の理論分離段、好ましくは5〜25の理論分離段を有する。
【0094】
吸収塔に供給される前記のN−メチルピロリドンおよび水を含有する物質流、例えば流れ(e1)および/または(l1)の温度は、好ましくは10〜70℃、有利には20〜40℃である。前記のブテン類、ブタジエン、ブタン、水素および/または不活性ガス(窒素)および場合により炭素酸化物を含有する物質流の温度は、好ましくは0〜400℃の範囲、特に40〜200℃の範囲である。
【0095】
使用されるN−メチルピロリドンの、前記のブテン類、ブタジエン、ブタン、水素および/または不活性ガスおよび場合により炭素酸化物を含有する物質流に対する比率は、それぞれ、使用される物質流の質量に対して、好ましくは、2〜30の範囲、より好ましくは4〜30の範囲、特に4〜15の範囲である。
【0096】
前記の吸収に際して生ずるN−メチルピロリドン、水、ブテン類、ブタジエン、ブタンおよび炭素酸化物を含有する物質流(d1)は、一般に、20〜90モル%のN−メチルピロリドン、0〜50モル%の水、0〜20モル%のブタジエン、0〜20モル%の1−ブテン、0〜20モル%の2−ブテン類、0〜50モル%のブタンおよび0〜20モル%の炭素酸化物を含有する。
【0097】
前記の吸収に際して得られるN−メチルピロリドン、水、ブテン類、ブタジエン、ブタンおよび炭素酸化物を含有する物質流(d1)は、次いでステップ(E)において抽出蒸留に供給される。
【0098】
抽出蒸留は、例えばErdoel und Kohle Erdgas - Petrochemie、第34(8)巻、343〜346頁またはUllmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie、第9巻、第4版、1975年、1〜18頁に記載されるようにして実施することができる。
【0099】
抽出蒸留において、ブテン類、ブタジエン、ブタン、メチルピロリドン、水および炭素酸化物を含有する物質流(d1)は、N−メチルピロリドンおよび水を含有する物質流と抽出蒸留帯域で接触される。抽出蒸留帯域は、一般に棚段、充填体または充填物を内部取付物として含む塔の形状で構成されている。抽出蒸留帯域は、一般に10〜70の理論段を有し、それにより十分に良好な分離作用が達成される。好ましくは、抽出塔は、塔頂部に逆洗帯域を有する。この逆洗帯域は、気相中に含まれるN−メチルピロリドンの、液状の炭化水素還流による回収のために用いられ、そのために頂部留分は事前に凝縮される。その塔頂部の典型的な温度は、30〜60℃である。
【0100】
抽出蒸留塔の頂部生成物流(e3)は、ブタンおよび炭素酸化物を含有し、前記流れは気体状で抜き出される。ブタンと炭素酸化物の他に、更にブテン類、水素および/または不活性ガスならびに別の低沸点物が頂部生成物流中に含まれていてよい。好ましい一実施形態において、炭素酸化物、例えばCO
2ならびに場合により含まれる水素および/または不活性ガスおよび低沸点物をブタンから分離するために頂部生成物流(e3)が凝縮される。液状のブタン流は、例えばプロセスステップ(B)の脱水素化帯域に返送できる。
【0101】
抽出蒸留塔の底部において、N−メチルピロリドン、水、ブテン類、ブタンおよびブタジエンを含有する物質流(e2)が得られる。頂部を介したブタンの一部の分離によって、ここで物質流(e2)におけるブテン類の濃縮が行われる。濃縮の程度は、塔のパラメータ設定により調整できる。
【0102】
N−メチルピロリドン、水、ブタン、ブテン類およびブタジエンを含有する流れであって、抽出蒸留塔の底部で得られる流れ(e2)は、蒸留塔(F)に供給され、そこで頂部を介して本質的にブテン類、ブタンおよびブタジエンからなる物質流(f)が得られる。前記蒸留塔の底部において、N−メチルピロリドンおよび水を含有する物質流(e1)が生ずる。その際、そのN−メチルピロリドンおよび水を含有する物質流の組成は、吸収および抽出に添加される組成に相当する。N−メチルピロリドンおよび水を含有する物質流は、好ましくは分けられて、返送的に、プロセスステップ(D)の吸収と、プロセスステップ(E)の抽出蒸留へと導入される。吸収に供給される水およびN−メチルピロリドンからなる混合物の、水およびN−メチルピロリドンおよびC
4からなる、抽出蒸留に供給される混合物に対する比率は、好ましくは0.2〜20の範囲、特に0.3〜15の範囲である。
【0103】
頂部から分離される物質流(f)は、部分的にまたは完全に前記設備から抜き出され、生成物流として使用できる。その場合に、ブテン含有量は、抽出蒸留の運転様式を介して調整できる。高いブテン濃度は、プロセスステップ(G)と後続のプロセスステップに導通させねばならないブタン量を減らす。同時にこれによってBDHステップの収率が高められる。
【0104】
前記抽出蒸留は、好ましくは90〜250℃の範囲の底部温度で、特に90〜210℃の範囲の温度で、10〜100℃の範囲の頂部温度で、特に20〜70℃の範囲の頂部温度で、かつ1〜15バールの範囲の圧力で、特に3〜8バールの範囲の圧力で作業される。抽出蒸留塔は、好ましくは5〜70の理論分離段を有する。
【0105】
プロセスステップ(F)での蒸留は、好ましくは100〜300℃の範囲の底部温度で、特に150〜200℃の範囲の底部温度で、かつ0〜70℃の範囲の頂部温度で、特に10〜50℃の範囲の頂部温度で実施される。前記蒸留塔における温度は、その際、好ましくは1〜10バールの範囲である。前記蒸留塔は、好ましくは2〜30の、特に5〜20の理論分離段を有する。
【0106】
プロセスステップ(F)から得られる物質流(f)の他に、更なるn−ブテン含有物質流もプロセスステップ(G)におけるODHステップに供給してもよい。前記物質流は、例えばFCCユニットからの精製においてまたはエチレンの二量体化によって得られるものである。本発明によれば、あらゆるn−ブテン含有物質流の添加が考えられる。
【0107】
ブテン脱水素化は、単独の方法としてまたはブタン脱水素化と組み合わせて作業できる。前記ブテン脱水素化は、非酸化的にもまたは酸化的にも(酸化剤としてO
2リッチなガスを用いて)作業できる。
【0108】
プロセスステップ(G)における酸化的(接触)脱水素化において、本質的に1−ブテンおよび2−ブテン類は、脱水素化されて1,3−ブタジエンとなり、その際、1−ブテンは、一般にほぼ完全に反応し終える。
【0109】
前記酸化的脱水素化は、基本的に、先行技術から公知のあらゆる反応器型で、かつ公知の作業様式により実施できる、例えば流動床において、棚段炉(Hordenofen)において、固定床管形反応器においてもしくは多管式反応器において、またはプレート式熱交換反応器において実施できる。酸化的脱水素化の実施のためには、好ましくは酸素:n−ブテン類のモル比が少なくとも0.5であるガス混合物が必要となる。好ましくは、酸素:n−ブテン類の比率0.55〜50で、好ましくは0.55〜10で、特に0.55〜3で作業される。この値の調整のためには、一般に、非酸化的接触脱水素化に由来する生成物ガス混合物を、直接的にまたはブテン類が濃縮されかつ水素が分離される後処理の後に、純粋な酸素または酸素含有ガスと混合される。該方法の一実施形態においては、酸素含有ガスは空気である。次いで得られた酸素含有ガス混合物は、オキシ脱水素化へと供給される。空気の代わりにかつ空気よりも好ましくは、追加の窒素または23体積%未満の割合を有するリーンエアーが酸素含有ガスとして使用される。好ましい一実施形態においては、プロセスステップ(J)からの排ガスである物質流(j2)は、物質流(f)および場合により追加のスチームと混合されて、プロセスステップ(G)へと供給される。それにより、物質流(f)の希釈のために場合により必要とされる窒素量が低減され、または全く不要にできる。
【0110】
オキシ脱水素化に特に適した触媒は、一般にMo−Bi−O含有の多金属酸化物系であって、一般に追加的に鉄を含有する系を基礎とするものである。一般に、前記触媒系は、なおも更なる追加の周期律表の第1族から第15族からの成分、例えばカリウム、マグネシウム、ジルコニウム、クロム、ニッケル、コバルト、カドミウム、スズ、鉛、ゲルマニウム、ランタン、マンガン、タングステン、リン、セリウム、アルミニウムまたはケイ素などの成分を含有する。
【0111】
好適な触媒およびその使用は、例えばUS 4,423,281、US 4,336,409、DE-A-2600128およびDE-A-2440329ならびにWO 2009/124974およびWO 2009/124945に記載されている。
【0112】
オキシ脱水素化のための触媒は、一般に2mmを上回る平均寸法を有する成形体として使用される。該方法の実施の間に注意を払うべき圧力損失に基づき、より小さな成形体は一般に不適である。好適な成形体としては、例えばタブレット、円柱体、円筒体、環状体、球体、ストランド、ホイール体または押出物が挙げられる。具体的な形状、例えば「Trilobes」および「Tristars」(EP-A-0 593 646を参照)または外側に少なくとも1つの切り込みを有する成形体(US 5,168,090を参照)も同様に可能である。
【0113】
一般に、使用される触媒は、いわゆる充実触媒(Vollkatalysator)として使用できる。この場合に、前記触媒成形体は、場合による助剤、例えばグラファイトまたは孔形成剤ならびに他の成分を含めて活性物質からなる。更に、触媒の活性物質を、担体上に、例えば無機酸化物成形体上に、場合による助剤、例えばグラファイトまたは孔形成剤ならびに他の成分を含めて塗布することが可能である。かかる触媒は、一般にシェル触媒(Schalenkatalysator)と呼称される。
【0114】
オキシ脱水素化は、一般に、220〜490℃の温度で、かつ好ましくは250〜450℃の温度で実施される。前記設備と後続の後処理に存在する流動抵抗を克服するのに十分な反応器入口圧が選択される。この反応器入口圧は、一般に0.005〜1MPaの超過圧、好ましくは0.01〜0.5MPaの超過圧である。当然、該反応器の入口領域で使用されるガス圧は、触媒の充填床全体を通じて低下する。
【0115】
酸化的脱水素化を出た生成物ガス流(g)は、ブタジエンと、プロセスステップ(E)で分離されなかったn−ブタンの他に、なおも水素、炭素酸化物および水蒸気を含有する。副成分として、前記ガス流は、なおも酸素、不活性ガス、例えば窒素、メタン、エタン、エテン、プロパンおよびプロペンならびに酸素含有の炭化水素、いわゆる酸素化物を含有しうる。
【0116】
一般に、酸化的脱水素化を出た生成物ガス流(g2)は、2〜40体積%のブタジエン、5〜80体積%のn−ブタン、0〜15体積%の2−ブテン類、0〜5体積%の1−ブテン、5〜70体積%の水蒸気、0〜10体積%の低沸点炭化水素(メタン、エタン、エテン、プロパンおよびプロペン)、0.1〜15体積%の水素、0〜70体積%の不活性ガス、0〜10体積%の炭素酸化物、0〜10体積%の酸素および0〜10体積%の酸素化物を有し、その際、内容物の全量は、100体積%となる。酸素化物は、例えばフラン、酢酸、メタクロレイン、無水マレイン酸、マレイン酸、無水フタル酸、プロピオン酸、アセトアルデヒド、アクロレイン、ホルムアルデヒド、ギ酸、ベンズアルデヒド、安息香酸およびブチルアルデヒドであってよい。その他にも微量のアセチレン、プロピンおよび1,2−ブタジエンが含まれていてよい。
【0117】
生成物ガス流(g)が僅かな微量を上回る酸素を含有する場合に、一般にプロセスステップ(H)は、該生成物ガス流(g)から残留酸素を除去するために行われる。残留酸素は、その酸素が後続のプロセスステップでブタジエンペルオキシドの形成を引き起こしうる場合と、重合反応のための開始剤として作用しうる場合には、妨害作用を及ぼすことがある。
【0118】
安定化されていない1,3−ブタジエンは、酸素の存在下に危険なブタジエンペルオキシドを形成しうる。該ペルオキシドは、粘性の液体である。その密度は、ブタジエンのものよりも高い。前記ペルオキシドは、更に液状の1,3−ブタジエン中に僅かしか溶けないので、貯蔵容器の底に沈殿する。その比較的低い化学的反応性にもかかわらず、前記ペルオキシドは、非常に不安定な化合物であり、85〜110℃の温度で自発的に分解しうる。具体的な危険性は、該ペルオキシドの高い衝撃感受性にあり、それは爆薬の爆破力をもって爆発する。
【0119】
ポリマー形成の危険性は、特にブタジエンの蒸留的分離(ステップLおよびM)で生じ、そこで塔内でのポリマーの堆積(いわゆる「ポップコーン」の形成)がもたらされることがある。
【0120】
好ましくは、前記酸素除去(H)は、酸化的脱水素化(G)の直後に行われる。一般に、このために、酸素がこのステップで添加される水素と触媒の存在下で反応される触媒的燃焼ステップが行われる。この水素は、物質流(d2)の一部としてプロセスステップ(D)から取り出すことができる。これにより、僅かな微量にまでの酸素含有量の低減が達成される。
【0121】
水素の酸化のための好適な触媒は、α−酸化アルミニウム上に担持されて、触媒の全質量に対して、0.01〜0.1質量%の白金および0.01〜0.1質量%のスズを含有する。白金およびスズは、好ましくは1:4〜1:0.2の質量比で使用され、有利には1:2〜1:0.5の比率で、特にほぼ1:1の比率で使用される。好ましくは、前記触媒は、触媒の全質量に対して0.05〜0.09質量%の白金および0.05〜0.09質量%のスズを含有する。白金およびスズの他に、場合によりアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物は、2質量%未満の量で、特に0.5質量%未満の量で使用できる。特に好ましくは、酸化アルミニウム触媒は、もっぱら白金およびスズを活性金属として含有する。α−酸化アルミニウムからなる触媒担体は、好ましくは0.5〜15m
2/gの、好ましくは2〜14m
2/gの、特に7〜11m
2/gのBET表面積を有する。担体として、好ましくは成形体が使用される。好ましい形状は、例えば1〜10mmの直径を有する、好ましくは2〜6mmの直径を有するタブレット、環状タブレット、球体、円柱体、星形ストランドまたは歯車型ストランドである。球体または円柱体、特に円柱体が特に好ましい。
【0122】
触媒的酸素除去は、基本的に、先行技術から公知のあらゆる反応器型および作業様式において実施できる、例えば流動床において、棚段炉において、固定床管形反応器においてもしくは多管式反応器において、またはプレート式熱交換反応器において実施できる。
【0123】
本発明による更なる一実施形態は、この触媒反応を、酸化的脱水素化と一緒にプロセスステップ(G)において2種の触媒を有する反応器において実施することと、場合により脱水素化充填床の後で燃焼ガスを中間供給することである。
【0124】
プロセスステップ(I)において、ガス流(h)は、好ましくはまずは冷却される。圧縮されたガスの冷却は、例えば多管式−、スパイラル式もしくはプレート式の熱交換器として構成されていてよい熱交換器を用いて行われる。その際に取り去られた熱は、好ましくは熱統合のためにプロセス内で利用される。引き続き、プロセスステップ(I)の好ましい一実施形態において、生成物流から水が分離される。水の分離は、その場合に好ましくはクエンチで行われる。前記クエンチは、更に酸素含有の副生成物の分離に用いられる。
【0125】
引き続き、ガス流(h)は、少なくとも1つの第一の圧縮ステップにおいて圧縮され、次いで冷却される。その際、水を含有する少なくとも1つの凝縮物流(i1)が凝結され、かつn−ブタン、1−ブテン、2−ブテン類、ブタジエン、場合により水素、水蒸気を含有し、少量のメタン、エタン、エテン、プロパンおよびプロペン、炭素酸化物および不活性ガスを含有するガス流(i2)が残留する。
【0126】
前記圧縮は、1段階もしくは多段階で行うことができる。全体として、1.0〜4.0バールの範囲の圧力から、3.5〜20バールの範囲の圧力にまで圧縮される。各々の圧縮ステップの後に冷却ステップが続き、そこでガス流は15〜60℃の範囲の温度に冷却される。従って、凝縮物流(i1)は、多段階の圧縮に際して複数の流れも含みうる。
【0127】
凝縮物流(i1)は、一般に少なくとも80質量%が、好ましくは少なくとも90質量%が水からなり、かつその他に低い程度において低沸点物、C
4炭化水素、酸素化物および炭素酸化物を含有する。
【0128】
好適な圧縮機は、例えばターボ圧縮機、ロータリーピストン圧縮機および往復ピストン圧縮機である。前記圧縮機は、例えば電気モーター、エキスパンダーまたはガスタービンもしくはスチームタービンで駆動できる。1圧縮機段あたりの典型的な圧縮比(出口圧力:入口圧力)は、構造様式に応じて1.5〜3.0である。
【0129】
圧縮されたガスの冷却は、例えば多管式−、スパイラル式もしくはプレート式の熱交換器として構成されていてよい熱交換器を用いて行われる。冷媒としては、前記熱交換器においては、その場合に冷却水または熱媒油が使用される。その他に、好ましくは送風機を使用した空冷が使用される。
【0130】
ブタジエン、ブテン類、ブタン、水素、不活性ガスおよび場合により炭素酸化物ならびに低沸点炭化水素(メタン、エタン、エテン、プロパン、プロペン)を含有する物質流(i2)は、出発流として精製のステップ(J)へと供給される。
【0131】
本発明による方法の好ましい一実施形態においては、凝縮できないまたは低沸点のガス成分、例えば水素、酸素、炭素酸化物、低沸点炭化水素(メタン、エタン、エテン、プロパン、プロペン)および不活性ガス、例えば窒素は、吸収/脱着サイクルにおいて、高沸点の吸収剤によって分離され、その際、本質的にC
4炭化水素からなるC4生成物ガス流(j1)が得られる。一般に、前記のC
4生成物ガス流(j1)は、少なくとも80体積%が、好ましくは少なくとも90体積%が、特に好ましくは少なくとも95体積%が、C
4炭化水素からなる。本質的に、前記流れ(j1)は、n−ブタン、ブテン類、例えば2−ブテン類およびブタジエンからなる。
【0132】
このために、吸収ステップにおいて、生成物ガス流(i2)は、事前の水分離の後に不活性吸収剤と接触され、そしてC
4炭化水素は該不活性吸収剤中に吸収される。その際、C
4炭化水素で負荷された吸収剤と、その他のガス成分を含有する排ガス(j2)が得られる。脱着ステップにおいて、C
4炭化水素は前記吸収剤から再び遊離される。
【0133】
ステップ(J)における吸収ステップは、当業者に公知のあらゆる任意の好適な吸収塔において実施できる。該吸収は、該生成物ガス流(i2)を前記吸収剤に簡単に導通させることによって行うことができる。しかし、前記吸収は、塔内でまたは回転吸収器内で行うこともできる。その際、並流で、向流でまたは交差流で運転することができる。好ましくは吸収は向流で行われる。好適な吸収塔は、例えば泡鐘トレイ、遠心トレイおよび/またはシーブトレイを有する段塔、規則充填物、例えば100〜1000m
2/m
3の比表面積を有する板状充填物、例えばMellapak(登録商標)250 Yおよび充填体塔である。しかしまた、トリクル塔(Rieselturm)および噴霧塔、グラファイトブロック吸収体、表面吸収体、例えば厚膜吸収体および薄膜吸収体ならびに回転カラム、プレートスクラバ(Tellerwaescher)、クロスベールスクラバ(Kreuzschleierwaescher)およびロータリースクラバも該当する。
【0134】
本発明による一実施形態においては、吸収塔に下方領域で、ブタジエン、ブテン、ブタン、水素および/または窒素および場合により二酸化炭素を含有する物質流が供給される。吸収塔の上方領域において、溶剤および場合により水を含有する物質流が送り込まれる。
【0135】
本発明による吸収剤は、オクタン類、ノナン類、デカン類、ウンデカン類、ドデカン類、トリデカン類、テトラデカン類、ペンタデカン類、ヘキサデカン類、ヘプタデカン類およびオクタデカン類または精製流から得られる、主成分として上述の直鎖状アルカンを含有する留分である。
【0136】
好適な吸収剤は、更に比較的非極性の有機溶剤、例えば脂肪族C
8〜C
18−アルケン、または芳香族炭化水素、例えばパラフィン蒸留からの中油留分、または嵩高い基を有するエーテル、またはこれらの溶剤の混合物である。その際、前記非極性有機溶剤に、1,2−ジメチルフタレートなどの極性溶剤を添加することができる。好適な吸収剤は、更に、安息香酸およびフタル酸と直鎖状のC
1〜C
8−アルカノールとのエステル、例えば安息香酸−n−ブチルエステル、安息香酸メチルエステル、安息香酸エチルエステル、フタル酸ジメチルエステル、フタル酸ジエチルエステルならびにいわゆる熱媒油、例えばビフェニルおよびジフェニルエーテル、それらのクロロ誘導体ならびにトリアリールアルケンである。好適な吸収剤は、ビフェニルおよびジフェニルエーテルからなる混合物、好ましくは共沸的組成における混合物、例えば市販のDiphyl(登録商標)である。しばしば、前記溶剤混合物は、ジメチルフタレートを、0.1〜25質量%の量で含有する。
【0137】
好ましい一実施形態においては、ステップ(J)における吸収のための溶剤として、アルカン混合物、例えばテトラデカン(工業的C14−C17留分)が使用される。
【0138】
吸収塔の頂部で、本質的に不活性ガス、炭素酸化物、場合によりブタン、ブテン類、例えば2−ブテン類およびブタジエン、場合により水素および低沸点炭化水素(メタン、エタン、エテン、プロパン、プロペン)および水蒸気を含有する排ガス流(j2)が抜き出される。この物質流(j2)は、部分的にプロセスステップ(G)へと供給される。それにより、ODH反応器の導入流は、所望のC4含有量について調整できる。
【0139】
C4炭化水素で負荷された溶剤流は、脱着塔に導入される。本発明によれば、当業者に公知のあらゆる塔内部取付物が前記目的のために適している。一変法において、脱着ステップは、負荷された前記溶剤の放圧および/または加熱によって行われる。好ましい変法は、ストリッピングスチームの添加および/または脱着器の底部における新たなスチームの供給である。C
4が減少された溶剤は、混合物として凝縮されたスチーム(水)と一緒に相分離に供給されうるので、その水は溶剤と分離される。当業者に公知のあらゆる装置はこのために適している。可能なのは、更に、溶剤から分離された水をストリッピングスチームの生成のために用いることである。好ましくは70〜100質量%の溶剤および0〜30質量%の水、特に好ましくは80〜100質量%の溶剤および0〜20質量%の水、特に85〜95質量%の溶剤および5〜15質量%の水が使用される。
【0140】
分離(J)は、一般に必ずしも完全である必要はなく、こうしてC4生成物ガス流においては、分離の種類に応じて、なおも少量のまたはわずかに微量な更なるガス成分、特に低沸点炭化水素が存在してよい。分離(J)によってももたらされる体積流量低下は、後続のプロセスステップの負担を軽くする。
【0141】
本質的にn−ブタン、ブテン類、例えば2−ブテン類およびブタジエンからなるC4生成物ガス流(j1)は、一般に20〜80体積%のブタジエン、20〜80体積%のn−ブタン、0〜10体積%の1−ブテンおよび0〜50体積%の2−ブテン類を含有し、その際、全量は100体積%となる。
【0142】
プロセス部(K)において、C4生成物ガス流(j1)は、本質的にn−ブタンおよびブテン類、例えば2−ブテン類からなる返送流(k2)と、本質的にブタジエンからなる流れ(k1)へと抽出蒸留によって分離される。流れ(k2)は、好ましくはステップ(A)における導入ガス流に添加され、プロセスステップ(D)の吸収ステップへと、抽出ステップ(E)へと、および/またはプロセスステップ(G)(ODH反応器)へと(部分的に)返送される。
【0143】
抽出蒸留(K)は、例えばErdoel und Kohle Erdgas - Petrochemie、第34(8)巻、343〜346頁またはUllmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie、第9巻、第4版、1975年、1〜18頁に記載されるようにして実施することができる。
【0144】
前記抽出蒸留は、好ましくは100〜250℃の範囲の底部温度で、特に110〜210℃の範囲の温度で、10〜100℃の範囲の頂部温度で、特に20〜70℃の範囲の頂部温度で、かつ1〜15バールの範囲の圧力で、特に3〜8バールの範囲の圧力で作業される。抽出蒸留塔は、好ましくは5〜70の理論分離段を有する。
【0145】
抽出蒸留において、ブテン類、ブタジエン、ブタン、メチルピロリドンおよび水を含有する物質流は、上記のN−メチルピロリドンおよび水を含有する物質流と抽出蒸留帯域で接触される。抽出蒸留帯域は、一般に棚段、充填体または充填物を内部取付物として含む1または複数の塔の形状で構成されている。抽出蒸留帯域は、一般に10〜70の理論段を有し、それにより十分に良好な分離作用が達成される。好ましくは、抽出塔は、塔頂部に逆洗帯域を有する。この逆洗帯域は、気相中に含まれるN−メチルピロリドンの、液状の炭化水素還流による回収のために用いられ、そのために頂部留分は事前に凝縮される。その塔頂部の典型的な温度は、30〜60℃である。
【0146】
抽出蒸留塔の頂部生成物流(k2)は、本質的にブタンおよびブテン類および少量のブタジエンを含有し、かつ気体状または液体状で抜き出される。好ましい一実施形態において、炭素酸化物、例えばCO
2を分離するために頂部生成物流が凝縮される。液状のブタン/ブテン流は、吸収塔において、プロセスステップ(A)、(D)、(E)および/またはステップ(G)へと返送できる。それによって、前記の物質流は、クエンチされた、冷却された、圧縮された、かつ凝縮物が除去された第一の脱水素化ステップの生成物ガスと一緒に、ブタン類およびブテン類の分離のための抽出蒸留へと到達する。
【0147】
このブタンおよびブテンの分離は、次いでブタジエン分離の他に第二の抽出蒸留において実施する必要はない。
【0148】
該抽出蒸留塔の底部において、N−メチルピロリドン、水、ブタジエンおよび低い割合のブテン類、ブタンを含有する物質流(k1)が取得され、該流れは、蒸留塔(L)へと供給される。該蒸留塔において、頂部を介してまたは側方抜出物としてブタジエンが取得される。前記蒸留塔の底部において、N−メチルピロリドンおよび水を含有する物質流(l1)が生ずる。その際、そのN−メチルピロリドンおよび水を含有する物質流の組成は、抽出に添加される組成に相当する。N−メチルピロリドンおよび水を含有する物質流は、好ましくはプロセスステップ(K)の抽出蒸留へと導入される。
【0149】
前記抽出蒸留は、好ましくは90〜250℃の範囲の底部温度で、特に90〜210℃の範囲の温度で、10〜100℃の範囲の頂部温度で、特に20〜70℃の範囲の頂部温度で、かつ1〜15バールの範囲の圧力で、特に3〜8バールの範囲の圧力で作業される。抽出蒸留塔は、好ましくは5〜70の理論分離段を有する。
【0150】
プロセスステップ(L)での蒸留は、好ましくは100〜300℃の範囲の底部温度で、特に150〜200℃の範囲の底部温度で、かつ0〜70℃の範囲の頂部温度で、特に10〜50℃の範囲の頂部温度で実施される。前記蒸留塔における温度は、その際、好ましくは1〜10バールの範囲である。前記蒸留塔は、好ましくは2〜30の、特に5〜20の理論分離段を有する。
【0151】
プロセスステップ(M)における更なる蒸留は、ブタジエンの更なる精製に用いられ、かつ先行技術に従って運転することができる。
【符号の説明】
【0152】
1 反応器、 2 ブタン含有のガス流、 3 酸素を含有するガス流、 4 モノリス、 5 触媒活性帯域、 6 混合帯域、 7、9、11、20、23 供給導管、 8 流動調整器、 10 分配チャンバ、 12 熱交換器、 17 管、 18 支持構造部、 19 内壁の断熱層、 21 接続導管、 22 電気加熱部、 24 膨張マット、 25 鋼製異形材