(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
容器本体に装着されるポンプカバーと、前記ポンプカバーに固定される大径部と小径部とを有するポンプシリンダと、前記ポンプシリンダの前記小径部に収容されて容器本体の液体を吸引および圧送する小径ピストンと、前記ポンプシリンダの前記大径部に収容されて外気を吸引および圧送する大径ピストンと、使用者の押し込みとその解除の繰り返しにより前記小径ピストンと前記大径ピストンとのポンプ動作を惹起させるとともに前記液体と前記外気との混合物が噴出するヘッドと、前記小径ピストンから圧送された前記液体の液体流路と、前記大径ピストンから圧送された前記外気の外気流路と、前記液体流路から圧送された前記液体と前記外気流路から圧送された前記外気との前記混合物の混合物流路と、前記小径ピストンの下流側における前記液体流路中に設けられた逆止弁と、前記混合物流路中に配置されて前記混合物が通過可能なメッシュフィルタとを備え、
前記液体流路と前記混合物流路との接続流路面積S1と、前記外気流路と前記混合物流路との接続流路面積S2とが、
2.8≦S1/S2≦3.8
の関係にある、フォーマーディスペンサー。
請求項1乃至7のいずれか1項において、前記フォーマーディスペンサーは、前記小径ピストンから圧送された前記液体の前記液体流路を内側に形成するとともに前記大径ピストンを相対運動可能に貫通するピストンガイドと、前記ピストンガイドの上端側を収容する下端側凹部と、前記メッシュフィルタを収容する上端側凹部とを有して前記下端側凹部と前記上端側凹部とを仕切る隔壁に貫通路が形成されたジェットリングとを備え、前記ジェットリングの上端側を前記ヘッドに接続したフォーマーディスペンサー。
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の前記フォーマーディスペンサーと、当該フォーマーディスペンサーが装着される容器本体とを備えるフォーマーディスペンサー付き容器。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に従うフォーマーディスペンサー付き容器を詳細に説明する。
【0018】
図1〜4は、本発明に従う、フォーマーディスペンサー付き容器および、その要部を示す。
図1中、符号20は、口部21を有する合成樹脂製の容器本体である。容器本体20は、液状の内容物が口部21を通して内部空間S
oに充填されている。本実施形態では、容器本体20は、従来よりも容量の大きいタイプの容器である。
【0019】
符号1は、本発明の一実施形態である、フォーマーディスペンサーである。フォーマーディスペンサー1は、3ccの内容物を泡状に噴出させることができる。
【0020】
符号2は、合成樹脂製のポンプカバーである。ポンプカバー2は、容器本体20の口部21に装着される装着部2aと、この装着部2aと肩部2bを介して一体に繋がるネック部2cとを有する。ネック部2cの内側には貫通路が形成されている。ポンプカバー2は、例えば、図示のように、装着部2aの内周面にねじ部を設け、このねじ部を容器本体20の口部21の外周面に設けたねじ部に螺合させることによって、容器本体20に対して取り外し可能に装着することができる。
【0021】
符号3は、合成樹脂製のポンプシリンダである。ポンプシリンダ3は、ポンプカバー2に固定される大径部3aと、この大径部3aよりも径の小さい小径部3bとを有する。小径部3b下端部には、吸入口が形成されており、この吸入口にチューブ4が接続されている。ポンプシリンダ3は、ポンプカバー2を容器本体20の口部21に装着したとき、図示のように、容器本体20の口部21を通して内部空間S
oに配置される。なお、図示の例では、ポンプシリンダ3の大径部3aの上端が外向きの環状フランジ3cとして形成されている。環状フランジ3cと容器本体20の口部21上端との間には、Oリング5を配置する。Oリングは、容器本体20とポンプシリンダ3との間をシール(密封)する。
【0022】
符号6は、合成樹脂製の小径ピストンである。小径ピストン6は、ポンプシリンダ3の小径部3bに収容されて容器本体20の内容物を吸引および圧送する。本実施形態では、小径ピストン6は、ポンプシリンダ3の小径部3bの内周面をスライド可能な環状シール部6aと、この環状シール部6aからポンプシリンダ3の大径部3aに向かって伸びる筒体部6cとを有する。筒体部6cの内側には、小径ピストン6の上端部6bから開口する貫通路R
oが形成されている。なお、本実施形態では、小径ピストン6の上端部6bは、筒体部6cと環状段差6dを介して繋がっている。このため、貫通路R
oも、環状段差6dによって段差が形成されることで、上端部6bに形成された上端開口の内径は、環状シール部6aの内側に形成された下端開口よりも小さくなる。
【0023】
符号7は、合成樹脂性のプランジャである。プランジャ7は、ポンプシリンダ3の内側で、このポンプシリンダ3の小径部3bから大径部3aに向かって起立するとともに小径ピストン6を貫通する。
【0024】
本実施形態では、プランジャ7の下端部7aには、複数のフィン7dが軸線O周りに間隔を置いて配置されている。またポンプシリンダ3の小径部3bにも、複数のフィン3dが軸線O周りに間隔を置いて配置されている。プランジャ7は、そのフィン7dがポンプシリンダ3のフィン3dと互い違いになるように、ポンプシリンダ3の小径部3bに配置されている。
【0025】
他方、プランジャ7の上端部7bは、上方に向かって拡径する円錐部7cを有する。プランジャ7の円錐部7cは、小径ピストン6の上端部6bに形成された開口の内径よりも大きく形成されている。また小径ピストン6の上端部6bは、上述のとおり、環状段差6dを介して小径化されている。プランジャ7の円錐部7cは、小径ピストン6の上端部6bに形成した開口を無理抜きして当該上端部6bに接触させることができる。すなわち、プランジャ7の円錐部7cが小径ピストン6の上端部6bに接触することで、この上端部6bに形成された上端開口を開放可能にシールすることできる。これにより、ポンプシリンダ3の小径部3b内には、小径ピストン6で加圧された内容物がプランジャ7の開放によって送り出されるポンプ室S
Lが形成される。
【0026】
符号8は、変形および復元が可能な弾性部材である。弾性部材8は、プランジャ7と小径ピストン6との間に圧縮された状態で配置されている。これにより、弾性部材8は、小径ピストン6の上端開口をプランジャ7の円錐部7cの外周面に押圧させることで、小径ピストン6の貫通路R
oを開放可能に強固にシールすることができる。すなわち、プランジャ7は、弾性部材8の弾性力に抗して小径ピストン6を押し込んだときにのみ、小径ピストン6の貫通路R
oを開放する吸入弁(逆止弁)として機能する。本実施形態では、弾性部材8は、金属製又は合成樹脂製のスプリングで構成されている。
【0027】
符号9は、合成樹脂製の大径ピストンである。大径ピストン9は、小径ピストン6よりも径が大きく、ポンプシリンダ3の大径部3aに収容されて外気を吸引および圧送する。本実施形態では、大径ピストン9は、ポンプシリンダ3の大径部3aの内周面をスライド可能な環状シール部9aと、この環状シール部9aから環状壁9cを介して立設した筒体部9bとを有する。筒体部9bの内側には、貫通路が形成されている。
【0028】
また、大径ピストン9の環状壁9cには、軸線O周りに間隔を置いて複数の外気導入孔9nが形成されている。外気導入孔9nは、ポンプシリンダ3の大径部3aに形成した外気導入孔3nを通して導入された外気を大径ピストン9とポンプシリンダ3の大径部3aとの間に形成されたエアポンプ室S
airに導入する。
【0029】
符号10は、大径ピストン9に形成した外気導入孔9nを開閉する逆止弁である。逆止弁10は、大径ピストン9を押し込んでエアポンプ室S
airを圧縮させたとき、大径ピストン9の外気導入孔9nを閉じてエアポンプ室S
airからの外気の流出を阻止する一方、大径ピストン9の押し込みを解除してエアポンプ室S
airを拡大させたとき、エアポンプ室S
air内の負圧によって、大径ピストン9の外気導入孔9nを開いてポンプシリンダ3の外気導入孔3nからの外気導入を許容する。逆止弁10としては、例えば、合成樹脂製の弾性弁が挙げられる。
【0030】
符号11は、合成樹脂製のピストンガイドである。ピストンガイド11は、小径ピストン6から圧送された内容物の液体流路R
Lを内側に形成するとともに大径ピストン9を相対運動可能に貫通する。本実施形態では、小径ピストン6の筒体部6cの外周面に固定される固定筒11aと、この固定筒11aからポンプカバー2のネック部2cに向かって起立する筒体部11cとを有する。本実施形態では、ピストンガイド11の筒体部11cは、固定筒11aに環状段部11dを介して繋がっている。これにより、小径ピストン6は、その環状段差6dをピストンガイド11の環状段差11dに突き当てることで位置決めすることができる。
【0031】
またピストンガイド11の内側には、ピストンガイド11の上端11bよりも下方の位置に隔壁11wが設けられている。ピストンガイドの隔壁11wには、筒状部11hが設けられている。筒状部11hの内側に形成された貫通路は、
図2に示すように、下端から同径に伸びる同径内周面11f
1と、この同径内周面11f
1に繋がり上端に向かって拡径する拡径内周面11f
2とで形成されている。
【0032】
また本実施形態では、
図2に示すように、筒体部11cの内周面には、隔壁11wから下端に向かって伸びる複数の突条11rが設けられている。本実施形態では、突条11rは、軸線O周りに間隔を置いて6箇所の位置に配置されている。ただし、突条11rは、少なくとも1箇所の位置に設けることができる。
【0033】
符号12は、金属製又は合成樹脂製のボール部材である。ボール部材12は、ピストンガイド11に設けた筒状部11hの拡径内周面11f
2に載せ置かれて筒状部11hの内側を開放可能に密封する。
【0034】
符号13は、ボール部材12を抜け止めする合成樹脂製の抜け止め部材である。抜け止め部材13は、ピストンガイド11の上端11b側の内周面に固定されてボール部材12の収容空間を形成する。また、抜け止め部材13は、ピストンガイド11の上端11bの内側にピストンガイド11とともに、このピストンガイド11に形成した液体流路R
Lを開放する開放口A
1を形成する。
【0035】
本実施形態では、抜け止め部材13は、ピストンガイド11の上端11b側の内周面と筒状部11hの間に固定される周壁13aと、ボール部材12の上方に配置される天壁13bと、この天壁13bと周壁13aと連結する複数の連結片13cとを有する。連結片13cは、軸線O周りに間隔を置いて配置されることで、その相互間に複数の開口A
0を形成する。開口A
0は、例えば3つに形成することができる。また本実施形態では、天壁13bの外縁から筒状部13dが上方に向かって一体に起立する。これにより、ピストンガイド11の上端11bの内側には、筒状部13dとの間に、軸線O周りを周回する環状の開放口A
1が形成される。すなわち、本実施形態では、液体流路R
Lの開放口A
1は、ピストンガイド11の上端11bと抜け止め部材13の筒状部13dとで区画された環状の流路面積S
1を形成する。
【0036】
このように、本実施形態では、ピストンガイド11の内側に形成された液体流路R
Lは、ピストンガイド11の上端11bに形成された環状の開放口A
1がボール部材12によって開閉されるものである。すなわち、ボール部材12は、プランジャ7が開放されてピストンガイド11の液体流路R
Lに内容物が圧送されたときにのみ、ピストンガイド11の上端11bに形成された環状の開放口A
1を開放する排出弁(逆止弁)として機能する。そして特に、本実施形態では、プランジャ7とボール部材12との間の液体流路R
Lは、小径ピストン6から圧送された内容物をさらに一定の圧力まで高めて圧送する蓄圧室としても機能する。
【0037】
また、ピストンガイド11の筒体部11cは、
図3に示すように、大径ピストン9の筒体部9bの内側を貫通する。ピストンガイド11の筒体部11cと大径ピストン9の筒体部9bとの間には隙間が形成されることで、互いに軸線Oの方向に相対運動することができる。
【0038】
加えて、ピストンガイド11の筒体部11cには、軸線O周りを周回する環状突起部11eが設けられている。この環状突起部11eの上端側には、軸線O周りを周回する環状溝11gが形成されている。大径ピストン9の筒体部9bに設けた下端部9dは、環状溝11gに接触させることができる。これにより、大径ピストン9に設けた筒体部9bの下端部9dがピストンガイド11の環状溝11gから離れて、その接触が解除されると、大径ピストン9とポンプシリンダ3の大径部3aとの間のエアポンプ室S
airをピストンガイド11の筒体部11cと大径ピストン9の筒体部9bとの間の前記隙間に通じさせることができる。すなわち、大径ピストン9の筒体部9bとピストンガイド11の環状溝11gは、開閉弁として機能し、前記隙間は、大径ピストン9から圧送された外気の第1外気流路R
airとして機能する。
【0039】
なお、本実施形態では、ピストンガイド11の筒体部11cの外周面に軸線O周りに間隔を置いて複数の突条11kが設けられている。本実施形態では、突条11kは、軸線O周りに間隔を置いて12箇所の位置に設けられている。突条11kは、大径ピストン9の筒体部9bに接触することなく、外気を案内する。なお、突条11kは、少なくとも1箇所の位置に設けることができる。
【0040】
また本実施形態では、ピストンガイド11の環状突起部11eの上端にさらに、環状溝11gに隣接して軸線O周りに周回する環状の切欠きを形成するとともに、この切欠きに、軸線O周りに間隔を置いて複数のガイド壁11jを設け、ガイド壁11jの相互間に異物の流入を阻止する複数の受け部C
3が設けられている。なお、ガイド壁11jは、突条11kと整列するように設けられている。すなわち、本実施形態では、ガイド壁11jも、軸線O周りに間隔を置いて12箇所の位置に設けられている。ただし、ガイド壁11jも、少なくとも1箇所の位置に設けることができる。
【0041】
符号14は、合成樹脂製のジェットリングである。
図4に示すように、ジェットリング14は、ピストンガイド11の上端11b側を収容する下端側凹部C
1と、後述する2つのメッシュリング15を収容する上端側凹部C
2とを有して下端側凹部C
1と上端側凹部C
2とを仕切る隔壁14aには貫通路が形成されている。本実施形態では、隔壁14aは、ピストンガイド11の上端11b側を取り囲む下端側周壁14bと、2つのメッシュリング15を取り囲む上端側周壁14cとを繋ぐ周壁として形作られている。
【0042】
さらに詳細には、隔壁14aは、下端側周壁14bに繋がり、この下端側周壁14bの最小内径よりも内径の小さい第1縮小周壁部14a
1と、この第1縮小周壁部14a
1と同一の内径を有する同径周壁部14a
2と、この同径周壁部14a
2よりも内径の小さい第2縮小周壁部14a
3と、この第2縮小周壁部14a
3から上端に向かって拡径する拡径周壁部14a
4と、この拡径周壁部14a
4とともに上端側周壁14cに繋がり、この上端側周壁14cよりも内径の小さい第3縮小周壁部14a
5とで形成されている。
【0043】
特に、本実施形態では、第1縮小周壁部14a
1と第3縮小周壁部14a
5との間に、軸線O周りに間隔を置いて複数の補強板14a
6が設けられている。補強板14a
6は、例えば、軸線O周りに等間隔に4箇所の位置に設けることができる。これにより、隔壁14aをウエスト部として形成することで、ジェットリング14に使用される樹脂量の削減を図りつつ、メッシュリング15を大型化させることにより、泡噴出量の増大を図ることができる。ただし、補強板14a
6は、少なくとも1箇所の位置に設けることができる。
【0044】
さらに、ジェットリング14の下端側周壁14bの内周面14f
1には、軸線O周りを周回する環状の膨出部14pが設けられている。膨出部14pは、下端側周壁14bの内側に内周面14f
1よりも内径の小さい内周面14f
2を形成する。本実施形態では、膨出部14pの内径が下端側周壁14bの最小内径となる。加えて、ジェットリング14の下端側凹部C
1には、膨出部14pから隔壁14の第1縮小周壁部14a
1にかけて伸びる複数のL字形溝14gが形成されている。本実施形態では、L字形溝14gは、軸線O周りに間隔を置いて12箇所の位置に形成されている。なお、L字形溝14gは、少なくとも1箇所の位置に設けることができる。
【0045】
符号15は、ジェットリング14の上端側凹部C
2に収容されるメッシュリングである。メッシュリング15は、メッシュフィルタ15aを有する。メッシュフィルタ15aは、内容物を通過させることができる細かい孔が形成された部材であって、例えば樹脂網などが挙げられる。メッシュフィルタ15aは、合成樹脂製のリング部材15bの一端に固定されている。リング部材15bは、メッシュフィルタ15aとともにジェットリング14の上端側凹部C
2の内側に嵌合保持されている。
【0046】
図3に示すように、ジェットリング14は、ピストンガイド11の上端11bを隔壁14aの第1縮小周壁部14a
1に突き当てるとともに下端側周壁14bに設けた膨出部14pの内周面f
2にピストンガイド11の筒体部11cの外周面を嵌合させることで、ピストンガイド11の上端11b側を収容する。これにより、ピストンガイド11の開放口A
1をジェットリング14の隔壁14aに形成した貫通路を通してジェットリング14の上端側凹部C
2に通じさせることができる。
【0047】
また、本実施形態では、ジェットリング14の膨出部14pから隔壁14aの第1縮小周壁部14a
1にかけて複数のL字形溝14gを形成することで、ピストンガイド11とジェットリング14との間に、大径ピストン9から圧送された外気をジェットリング14の隔壁14aに形成した前記貫通路に通じさせる第2外気流路R
airが形成される。本実施形態では、ジェットリング14のL字形溝14gとピストンガイド11とで区画された12本の第2外気流路R
airが形成される。すなわち、本実施形態では、第2外気流路R
airの開放口A
2は、ジェットリング14に形成された隔壁14aの第1縮小周壁部14a
1に形成されたL字形溝14gとピストンガイド11の上端11bとで区画された流路面積S
2を有する。なお、第2外気流路R
airは、少なくとも1箇所の位置に設けることができる。
【0048】
また、本実施形態では、ジェットリング14の下端側周壁14bの内周面14f
1が、大径ピストン9の筒体部9bに設けた上端部9eでスライド可能に密封保持される。これにより、第2外気流路R
airは、気密性を保ちつつ、第1外気流路R
airに通じる。
【0049】
隔壁14aに形成した前記貫通孔は、液体流路R
Lの開放口A
1から圧送された内容物と第2外気流路R
airの開放口A
2から圧送された外気との混合物の第1混合物流路R
Mを形成する。本実施形態では、第1混合物流路R
Mのうち、ジェットリング14の同径周壁部14a
2の内側には、抜け止め部13の筒状部13dを収容することができる。この抜け止め部13の筒状部13dが収容される拡大路は、第2縮小周壁部14a
3の内側に形成された最小内径路から拡径周壁部14a
4および第3縮小周壁部14a
5の内側に形成された湾曲路を経てメッシュリング15のリング部材15bの内側に形成された第2混合物流路R
Mに通じる。
【0050】
次いで、
図3中、符号16は、合成樹脂製のヘッドである。ヘッド16は、使用者の押し込みとその解除の繰り返しにより、小径ピストン6と大径ピストン9とのポンプ動作を惹起させるとともに、内容物と外気との混合物が噴出する。本実施形態では、ヘッド16は、使用者が押し込み操作する天壁16aと、この天壁16aから垂下する固定筒16bを有する。固定筒16bは、その内側で、ジェットリング14の上端側周壁14cを嵌合保持する。またヘッド16は、固定筒16bの内側に通じるノズル16cを有する。ノズル16cの先端には、
図1に示すように、メッシュリング15を通って泡状になった内容物を噴出させる噴出口1aが形成されている。
【0051】
さらに、ヘッド16の天壁16aには、その下端に、固定筒16b周りを放射状に伸びる複数の固定リブ16rが設けられている。また、ヘッド16の天壁16aには、その下端に、別体の外筒16dが設けられている。本実施形態では、外筒16dは、固定リブ16rを内側に収容されるとともに当該固定リブ16rによって固定することができる。
【0052】
図1中、符号17は、ヘッド16の押し下げを防止するためのストッパである。ストッパ17は、ポンプカバー2の肩部2cとヘッド16の外筒16dとの間に着脱可能に配置される既存のものである。すなわち、取っ手17aを有する基部17bから2つの湾曲アーム17cを横断面C字状に伸ばすことで、ポンプカバー2のネック部2cに取り外し可能に嵌合させるものである。これにより、ストッパ17は、肩部2cの上端と外筒16dの下端とに接触することで、ヘッド16の押し下げを防止することができる。
【0053】
本発明に従う、フォーマーディスペンサー付き大型容器によれば、ヘッド16の押し込みとその解除の繰り返しにより、容器本体20から圧送された容量の大きな内容物をメッシュフィルタ15aに通すことで、泡状に噴出させることができる。
【0054】
本実施形態では、
図3に示すように、液体流路R
Lと混合物流路R
Mとの接続流路面積S
1と、外気流路R
airと混合物流路R
Mとの接続流路面積S
2とを規定し、液体側の接続流路面積S
1と外気側の接続流路面積S
2とが、以下の条件を満たすように構成することが好ましい。
2.8:1≦S
1:S
2≦3.8:1 ・・・(1)
【0055】
さらに好適には、液体側の接続流路面積S
1と外気側の接続流路面積S
2とを以下の条件を満たすように構成する。
S
1:S
2=3.8:1 ・・・(2)
【0056】
また本実施形態では、ジェットリング14の内側に形成された貫通路は、同径周壁部14a
2の内径が最小となる。すなわち、本実施形態では、混合物流路R
Mの最小流路面積S
3が、メッシュフィルタ15aよりも上流側の直前の位置にある。この場合、混合物流路R
Mの最小流路面積S
3とメッシュフィルタ15aの流路面積S
4とは、以下の条件を満たすように構成することが好ましい。
1:4≦S
3:S
4≦1:10.3 ・・・(3)
【0057】
好適には、混合物流路R
Mの最小流路面積S
3とメッシュフィルタ15aの流路面積S
4とを、以下の条件を満たすように構成する。
1:4≦S
3:S
4≦1:10.1 ・・・(4)
【0058】
さらに好適には、混合物流路R
Mの最小流路面積S
3とメッシュフィルタ15aの流路面積S
4とを、以下の条件を満たすように構成する。
1:4≦S
3:S
4≦1:6.2 ・・・(5)
【0059】
さらに増して好適には、混合物流路R
Mの最小流路面積S
3とメッシュフィルタ15aの流路面積S
4とを、以下の条件を満たすように構成する。
S
3:S
4=1:4 ・・・(6)
【0060】
また本実施形態では、混合物流路R
Mに、メッシュフィルタ15aを2箇所の位置に配置している。この場合、混合物流路R
Mの最小流路面積S
3とメッシュフィルタ15aの流路面積S
4との間の間隔L
1と、メッシュフィルタ15aの相互間の間隔L
2とを以下の条件を満たすように構成することが好ましい。
L
1:L
2=1:3.9 ・・・(7)
【0061】
また、本実施形態では、小径ピストン6から圧送された内容物の液体流路R
Lを内側に形成するとともに大径ピストン9を相対運動可能に貫通するピストンガイド11と、ピストンガイド11の上端11b側を収容する下端側凹部C
1と、メッシュフィルタ15aを収容する上端側凹部C
2とを有して下端側凹部C
1と上端側凹部C
2とを仕切る隔壁14aに貫通路が形成されたジェットリング14とを備え、
ジェットリング14の下端側凹部C
1の内周面に環状の膨出部14pを設け、ピストンガイド11の上端11bをジェットリング14の隔壁14aに突き当てるとともに膨出部14pの内側にピストンガイド11を嵌合させる一方、大径ピストン9でジェットリング14の下端側凹部C
1の内径面をスライド可能にシールするとともに、
ジェットリング14の前記膨出部14pから隔壁14aにかけて複数のL字形溝14gを形成することで、ピストンガイド11とジェットリング14との間に、大径ピストン9から圧送された外気をジェットリング14の下端側凹部C
1に通じさせる複数の外気流路R
airを形成し、当該外気流路R
airをピストンガイド11の液体流路R
Lとともに隔壁14aに貫通路に接続し、
さらにジェットリング14の上端11b側をヘッド16に接続している。
【0062】
本実施形態のような、ピストンガイド11とジェットリング14との組立体を用いれば、液体側の接続流路面積S
1と外気側の接続流路面積S
2との設定が容易である。例えば
図2に示すように、液体側の接続流路面積S
1は、ピストンガイド11の上端11bと抜け止め部材13の筒状部13dとの間に形成される。このため、ピストンガイド11の上端11bの内径と抜け止め部材13(の筒状部13d)の外径を変更するだけで、液体側の接続流路面積S
1を適宜変更することができる。また、外気側の接続流路面積S
2は、
図4に示すジェットリング14のL字形溝14gで規定されるため、L字形溝14gの幅や深さを変更するだけで、外気側の接続流路面積S
2を適宜変更することができる。
【0063】
以下、
図1〜4に構成のフォーマーディスペンサー付き容器を用いた実施例と、比較例との試験結果を示す。なお、本実施例および比較例では、以下の表1に示す成分のボディウォッシュ(皮膚洗浄液)を内容物して試験を行った。
【実施例1】
【0065】
S
1:S
2(all)=3.8:1
液体側の接続流路面積S
1=27.3mm
2
外気側の接続流路面積S
2=7.2mm
2
但し、ここでは、接続流路面積S
2は、12個の外気側の接続流路面積S
2の総和
【実施例2】
【0066】
S
1:S
2(all)=2.8:1
液体側の接続流路面積S
1=20.16mm
2
外気側の接続流路面積S
2=7.2mm
2
但し、ここでは、接続流路面積S
2は、12個の外気側の接続流路面積S
2の総和
【実施例3】
【0067】
S
3:S
4=1:4
混合物流路R
Mの最小流路面積S
3=24.63mm
2
メッシュフィルタの流路面積S
4=98.52mm
2
【実施例4】
【0068】
S
3:S
4=1:4.2
混合物流路R
Mの最小流路面積S
3=23.76mm
2
メッシュフィルタの流路面積S
4=98.52mm
2
【実施例5】
【0069】
S
3:S
4=1:6.2
混合物流路R
Mの最小流路面積S
3=15.89mm
2
メッシュフィルタの流路面積S
4=98.52mm
2
【実施例6】
【0070】
S
3:S
4=1:10
混合物流路R
Mの最小流路面積S
3=9.85mm
2
メッシュフィルタの流路面積S
4=98.52mm
2
【実施例7】
【0071】
S
3:S
4=1:10.3
混合物流路R
Mの最小流路面積S
3=9.57mm
2
メッシュフィルタの流路面積S
4=98.52mm
2
【0072】
以下、本発明に従う、上記実施例1〜7の試験結果を以下の表2に示す。なお、表2中、○は、泡質が良好なもの、◎は、○に比べて、さらに泡質が良好なものを表す。
【0073】
【表2】
【0074】
上記の表2の実施例1、2からも、液体側の接続流路面積S
1と外気側の接続流路面積S
2とを前記(1)の条件を満たすように構成すれば、噴射される泡の泡質を向上させることができることが明らかである。特に、実施例1からも明らかなように、前記(2)の条件を満たすように構成すれば、泡質がさらに良好である。
【0075】
また上記の表2の実施例3〜7から、混合物流路R
Mの最小流路面積S
3とメッシュフィルタの流路面積S
4とを前記(3)〜(6)の条件を満たすように構成しても、噴射される泡の泡質が改善されることが明らかである。特に、実施例3からも明らかなように、前記(6)の条件を満たすように構成すれば、泡質はさらに良好である。
【0076】
また、実施例1と実施例3とを組み合わせた場合も、泡質がより良好であった。
さらに、実施例1〜7に関し、最小流路面積S
3とメッシュフィルタの流路面積S
4との間の間隔L
1=3.8mm、メッシュフィルタの相互間の間隔L
2=15mmとして、
L
1:L
2=1:3.9の設定寸法を実施例1または実施例3に組み合わせた場合、泡質がより一層良好であった。さらに、上記設定寸法を実施例1とともに実施例3に組み合わせた場合、泡質が最も良好であった。この場合の泡質を
図5(b)に模式的に示す。
図5(b)に示すように、本発明では、同一の泡F内でも、従来の
図5(a)に比べて、小さな気泡B
1を均等に散在させることができる。
【0077】
なお、本実施例では、ジェットリングは、組み付け時において液体流路R
Lとともに気体流路R
airを形成できるタイプのものを使用したが、液体流路R
Lのみを形成できる従来タイプのジェットリングを用いたフォーマーディスペンサーにも採用することができる。